説明

電源装置及びこれを備える車両並びに蓄電装置

【課題】負荷の動作停止中に何らかの異常が発生しても、安全機構を動作可能とする。
【解決手段】複数の二次電池セル1を直列または並列に接続した電池ブロック9と、電池ブロック9の異常を判定する異常判定手段と、電池ブロック9及び異常判定手段を収納する電源ケース70と、電池ブロック9に対する物理的な変化を与える異常を検出して検出信号を送出するための異常検出手段と、電池ブロック9の出力と被駆動機器の入力との接続状態のON/OFFを切り替えるための出力接続手段とを備え、異常検出手段は、出力接続手段がOFF状態でも異常を検出可能であり、出力接続手段がOFF状態において、異常検出手段が異常を検出し検出信号を送出したことを受けて、異常判定手段が電池ブロック9が異常か否かを判定し、異常と判定された場合には出力接続手段のONへの切り替えを制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ハイブリッド車や電気自動車等の自動車を駆動するモータの電源用、あるいは家庭用、工場用の蓄電用途等に使用される大電流用の電源装置及びこのような電源装置を備える車両並びに蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の組電池等、出力を高くした電源装置が求められている。このような電源装置では、多数の電池セルを直列に接続して出力電圧を高く、出力電力を大きくしている。このような高出力の電源装置においては、外部からの衝撃や冠水などの異常が発生すると、電池セルが高温になることがある。このため、異常発熱を阻止するために異常時に回路を遮断する安全機構が設けられている。例えば、車両用の電源装置においては、車両側が衝突を検出すると、車両側から電源装置側に対して、遮断信号を送信し、電力供給を停止することとしている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−224262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の安全機構では、車両など、負荷側で異常を検出して、電源側に伝達する構成のため、負荷の動作が停止している間には、このような通知ができないという問題があった。例えば、車両用の電源装置の場合は、車両の動作中(キーON時)であれば、衝突や冠水など、何らかの異常が発生すると、車両側で異常検出信号を電源装置側に送出することで、電池の使用を停止するなどの安全策を講じることができる。しかしながら、車両の駐車中(キーOFF時)にはこのような処理を行うことができなかった。例えば、駐車中の車両に何らかの外力が加わったり、水没するなどの異常が発生し、その後ユーザがこれらの異常に気付かずにキーONして走行させようとした場合に、電子回路の断線や短絡などが動作に悪影響を与える事態が考えられる。同様に、家庭用あるいは工場用の電源装置においても、地震や津波によって衝撃、冠水などの異常が発生した後、ユーザが避難地から帰ってきた際にそのまま使用を継続しようとした場合に、同様の問題が発生しうる。
【0005】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、負荷の動作停止中に何らかの異常が発生しても、安全機構を動作させることが可能な電源装置及びこれを備える車両並びに蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る電源装置によれば、電池の出力を被駆動機器の入力と接続することで、該被駆動機器を駆動可能な電源装置であって、複数の二次電池セル1を直列または並列に接続した電池ブロック9と、前記電池ブロック9の異常を判定する異常判定手段と、前記電池ブロック9及び異常判定手段を収納する電源ケース70と、前記電池ブロック9に対する物理的な変化を与える異常を検出して検出信号を送出するための異常検出手段と、前記電池ブロック9の出力と被駆動機器の入力との接続状態のON/OFFを切り替えるための出力接続手段と、を備え、前記異常検出手段は、前記出力接続手段がOFF状態でも異常を検出可能であり、前記出力接続手段がOFF状態において、前記異常検出手段が異常を検出し検出信号を送出したことを受けて、前記異常判定手段が前記電池ブロック9が異常か否かを判定し、異常と判定された場合には前記出力接続手段のONへの切り替えを制限することができる。これにより、電源装置は出力停止状態でも異常検出を継続でき、何らかの異常発生時には出力の再開を制限することにより、電池ブロックの保護を図ることが可能となる。
【0007】
また、第2の側面に係る電源装置によれば、さらに前記異常判定手段が異常と判定した際に、該異常情報を記録するための異常記録手段18を備えており、前記出力接続手段は、OFFからONへ切り替えようとするときに、前記異常記録手段18に異常情報が記録されている場合は、ONへの切り替えを制限するよう構成できる。これにより、異常発生時にのみ異常情報を記録させておき、電源装置の出力接続時には必ず異常記録手段を確認させることで、異常が記録されている場合には出力を制限することで安全な動作が図られる。
【0008】
さらに、第3の側面に係る電源装置によれば、前記出力接続手段が、前記電池ブロック9の出力を被駆動機器と接続するためのコンタクタ5であり、前記起動の制限を、前記コンタクタ5をOFFからONにしない制御とすることができる。これによって、異常発生時にはコンタクタをONとさせないことで、電池ブロックの使用を禁止することができる。
【0009】
さらにまた、第4の側面に係る電源装置によれば、さらに前記二次電池セル1と接続することで、これを放電させるための放電手段24と、前記放電手段24と二次電池セル1との接続を切り替えるための放電スイッチ25と、を備えており、前記異常判定手段が異常と判定すると、前記放電スイッチ25をONして前記放電手段24を前記二次電池セル1と接続して、該二次電池セル1を放電させることができる。これにより、異常発生時には二次電池セルを強制的に放電させて、継続使用を不可能とすることで、安全性を高めることができる。
【0010】
さらにまた、第5の側面に係る電源装置によれば、前記放電手段24及び前記放電スイッチ25とで、前記複数の二次電池セル1を均等化させる均等化回路を構成できる。これにより、複数の二次電池セル間の残容量を均等化させる均等化回路でもって、二次電池セルの異常発生時に強制放電させる放電回路23に共用することが可能となり、部品点数の低減や回路構成の簡素化、省スペース化を図ることができる。
【0011】
さらにまた、第6の側面に係る電源装置によれば、前記異常検出手段に、前記電池ブロック9に物理的な衝撃を与え得る外力を検出可能な衝撃検知センサ33を含めることができる。これにより、衝撃によって電池ブロックに異常が生じたことを衝撃検知センサで検出して、このような異常の発生した電池ブロックを使用する事態を回避して安全性を高めることができる。
【0012】
さらにまた、第7の側面に係る電源装置によれば、前記異常検出手段に、前記電池ブロック9の浸水を検出する浸水検知センサ32を含めることができる。これにより、浸水によって電池ブロックに異常が生じたことを衝撃検知センサで検出でき、安全性を高めることができる。
【0013】
さらにまた、第8の側面に係る電源装置によれば、前記異常検出手段に、前記電池ブロック9の温度が所定の上限温度を超えたこと又は所定の下限温度を下回ったことを検出する異常温度検知センサ31を含めることができる。これにより、異常温度検知センサで、被駆動装置の非駆動時においても電池ブロックの異常温度を検出して、安全動作に寄与させることができる。
【0014】
さらにまた、第9の側面に係る電源装置によれば、前記異常検出手段を、前記電源ケース70の表面又は内面に設けることができる。これにより、電源装置の周囲に熱源などがあり二次電池セルが加熱される状態や、電源ケースの表面に与えられる衝撃などの異常を異常検出手段で確実に検出でき、二次電池セルへの異常発生を正確に判断できる。
る。
【0015】
さらにまた、第10の側面に係る電源装置によれば、前記異常検出手段を、被駆動機器に備えられた、外部からの物理的な変化を検出するための機器側異常検知センサとすることができる。これにより、被駆動機器の機器側異常検知センサでもって、被駆動機器への異常のみならず電源装置への異常も検出でき、センサを共通化して構成の簡素化を図ることが可能となる。
【0016】
さらにまた、第11の側面に係る車両は、前記電源装置を搭載したものである。
【0017】
さらにまた、第12の側面に係る蓄電装置は、前記電源装置を搭載したものである。
【0018】
さらにまた、第13の側面に係る電源装置の制御方法によれば、電池ブロック9の出力を被駆動機器の入力と接続することで、該被駆動機器を駆動可能な電源装置の制御方法であって、前記被駆動機器の停止中に、前記電池ブロック9に対する物理的な変化を与える異常を検出して検出信号を送出するための異常検出手段を、動作可能な状態とする工程と、前記異常検出手段が何らかの異常を検出すると、検出信号を生成する工程と、前記検出信号を受けて、前記電池ブロック9の異常を判定する異常判定手段が前記電池ブロック9が異常か否かを判定し、異常と判定された場合には、異常情報を異常記録手段18に記録する工程と、前記電池ブロック9の出力と被駆動機器の入力との接続状態のON/OFFを切り替えるための出力接続手段を、OFFからONへ切り替えようとするときに、前記異常記録手段18に異常情報が記録されているかどうかを確認し、該異常情報が記録されている場合は、ONへの切り替えを制限する工程とを含むことができる。これにより、異常発生時にのみ異常情報を記録させておき、起動時に必ず異常記録手段を確認させることで、異常発生の有無を電源装置側で把握することができ、起動の安全性が図られる。
【0019】
さらにまた、第14の側面に係る電源装置の制御方法によれば、電池ブロック9の出力を被駆動機器の入力と接続することで、該被駆動機器を駆動可能な電源装置の制御方法であって、前記被駆動機器の停止中に、前記電池ブロック9に対する物理的な変化を与える異常を検出して検出信号を送出するための異常検出手段を、動作可能な状態とする工程と、前記異常検出手段が何らかの異常を検出すると、検出信号を生成する工程と、前記検出信号を受けて、前記電池ブロック9の異常を判定する異常判定手段が前記電池ブロック9が異常か否かを判定し、異常と判定された場合には、前記電池ブロック9を放電させる工程と、を含めることができる。これにより、異常発生時には二次電池セルを強制的に放電させて、継続使用を不可能とすることで、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る電源装置をエンジンとモータで走行するハイブリッド車に搭載する例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係る電源装置を車両側負荷に接続した電源システムを示すブロック図である。
【図3】実施例1に係る、車両停車時に異常発止した場合の安全機構の動作を示すフローチャートである。
【図4】車両を始動させる際の安全機構の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施例2に係る、車両停車時に異常発止した場合の安全機構の動作を示すフローチャートである。
【図6】モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【図7】蓄電用の電源装置に適用する例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電源装置及びこれを備える車両並びに蓄電装置を例示するものであって、本発明は電源装置及びこれを備える車両並びに蓄電装置を以下のものに特定しない。また、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
(実施例1)
【0022】
図1〜図4に、本発明の実施例1に係る電源装置として、車載用の電源装置に適用した例を説明する。この電源装置100は、主としてハイブリッド車や電気自動車等の電動車両に搭載されて、車両のモータに電力を供給して、車両を走行させる電源に使用される。ただ、本発明の電源装置は、接続先の被駆動機器をこれに限定せず、ハイブリッド車や電気自動車以外の電動車両に使用でき、また電動車両以外の大出力が要求される用途にも使用できる。
【0023】
図1に、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車に電源装置100を搭載したブロック図を示す。この図に示す電源装置100を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する電源装置100と、電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100の電池を充電する。
(電源装置100)
【0024】
図2に、電源装置100のブロック図を示す。この図に示す電源装置100は、電池ブロック9と、ヒューズ2と、電流センサ3と、リレーユニット4と、制御ユニット10とを備えている。これらは、電源ケース70内に収納される。また電源ケース70の表面には、異常温度検知センサ31が固定されている。
【0025】
制御ユニット10は、電池ブロック9の電圧及び電流を監視し、また電池ブロック9の起動を制御する。この制御ユニット10は、セル電圧検出回路21と、放電制御回路22と、ヒューズ状態検出回路12と、電流検出回路13と、絶縁状態検出回路15と、リレー制御回路14と、制御部11と、異常記録手段18と、起動回路17と、信号受信回路16とを備えている。この制御ユニット10は、電池ブロック9の異常を判定する異常判定手段として機能する。
【0026】
この電源装置100は、車両側負荷90として接続されるモータ93を駆動して車両を走行させる。車両側負荷90は、図1に示すように、入力側にDC/ACインバータ95を、出力側にモータ93と発電機94を接続している。DC/ACインバータ95は、走行用バッテリ1の直流を3相の交流に変換して、モータ93への供給電力をコントロールする。また、発電機94の出力を直流に変換して電源装置100の走行用バッテリ1を充電する。さらに車両側負荷90の入力側には、コンデンサ97が接続される。さらにまた、車両側負荷90には、機器側異常検知センサとして浸水検知センサ32と衝撃検知センサ33が設けられている(詳細は後述)。
【0027】
なお、車両側負荷には、DC/ACインバータの入力側に昇降圧コンバータを接続して、電源装置の出力電圧を昇圧してモータに供給するものもある。この車両側負荷は、昇降圧コンバータで電源装置の出力電圧を昇圧して、DC/ACインバータを介してモータに供給し、さらに発電機の出力をDC/ACインバータで直流に変換し、さらに昇降圧コンバータで降圧して走行用バッテリを充電する。
【0028】
電池ブロック9は、車両側負荷90のモータ93に電力を供給する。電池ブロック9の各二次電池セル1は、セル電圧検出回路21及び放電制御回路22に接続されている。セル電圧検出回路21は、二次電池セル1のセル電圧を個別に検出する。
【0029】
電流センサ3は、電池ブロック9の電流を検出する。電流センサ3の出力は、電流検出回路13に入力されて、充放電電流が演算される。セル電圧検出回路21は、各二次電池セル1の両端電極と接続されており、二次電池セル1の電圧を検出する。
【0030】
制御部11は、電流検出回路13及びセル電圧検出回路21の出力を受けて、二次電池セル1の残容量を演算する。この制御部11は、MPUなどが利用できる。二次電池セル1の残容量に一定以上のばらつきが生じた場合、放電制御回路22を動作させて二次電池セル1の残容量の均等化を行う。ここでは、放電制御回路22は、各二次電池セル1と放電スイッチ25と放電抵抗を介して接続されている。放電スイッチ25をONすると、二次電池セル1を放電抵抗と接続して放電させることができる。これにより、残容量の大きな二次電池セル1を放電させて、他の二次電池セル1との残容量の差を低減できる。またこの放電制御回路22は、このような均等化回路としての動作の他、後述する安全放電機構としても機能する。
【0031】
電池ブロック9の出力は、ヒューズ2、電流センサ3、リレーユニット4と直列に接続されている。ヒューズ2は、充放電電流が所定値以上に至った場合に溶断して、電流を遮断し、電池ブロック9を大電流から保護する。またヒューズ2は、制御ユニット10のヒューズ状態検出回路12と接続されており、ヒューズ状態検出回路12がヒューズ2の溶断を検出する。
【0032】
またリレーユニット4は、プリチャージ回路を構成するリレー6と、コンタクタ5である正極側コンタクタ5A及び負極側コンタクタ5Bとで構成される。プリチャージ回路は、リレー6と抵抗7で構成される。電源装置100の起動時にはリレー6が負極側コンタクタ5Bと共にONされて、車両側負荷90のコンデンサ97が充電されるまでの間の突入電流を抵抗7によって抑制する。突入電流の収束後は、正極側コンタクタ5AがONされると共にプリチャージ回路がOFFされる。これらコンタクタ5は、電池ブロック9の出力と車両側負荷の入力との接続状態のON/OFFを切り替えるための出力接続手段として機能する。
(放電回路23)
【0033】
各電池セルには、放電回路23が接続される。放電回路23は、放電手段24と放電スイッチ25を備える。放電手段24は、抵抗器が好適に利用できる。放電手段24である放電抵抗は、放電スイッチ25を介して各二次電池セル1と接続される。放電スイッチ25のON/OFFは放電制御回路22によって制御される。放電スイッチ25をONすることで、二次電池セル1と放電抵抗とを直列に接続し、二次電池セル1を放電させることができる。
【0034】
この放電回路23は、上述の通り二次電池セル1間の残容量の差を均等化する均等化回路として利用される。加えて、後述する異常検出手段が異常を検出した際に、各二次電池セル1を強制的に放電させて残容量を少なくして、電源装置100を始動させようとしても容量不足で利用不能としたり、意図しない放電による発熱などの問題を回避するための安全放電機構としても利用できる。すなわち、既存の均等化回路を安全放電機構に兼用することができ、回路構成を簡素化すると共に省スペース化、低コスト化にも貢献できる。
【0035】
なお、この例では電池ブロック9を構成する各二次電池セル1毎に、放電回路23を接続している。ただ、本発明はこの構成に限られず、二次電池セルを2個ごと、3個ごとなど複数本を単位として放電回路を接続してもよい。
【0036】
また、図2の例では各二次電池セル1の電圧検出線を、放電回路23の放電経路と併用しているが、電圧検出線と放電回路とを個別に配線することもできる。この場合は、セル電圧の検出をより正確に行える利点が得られる。
(異常検出手段)
【0037】
異常検出手段としては、異常温度を検出する異常温度検知センサ31、浸水を検出する浸水検知センサ32、衝撃を検出する衝撃検知センサ33等が利用できる。図2の例では、電源装置100側に異常温度検知センサ31、車両側に浸水検知センサ32及び衝撃検知センサ33を、それぞれ設けている。これらの異常検出手段は、何らかの異常を検出すると、検出信号を生成して信号受信回路16に送出する。
【0038】
信号受信回路16は、異常検出手段から検出信号を受領すると、起動回路17を通じて制御ユニット10の制御部11を起動させる。起動回路17は、制御部11を起動させるための起動信号を供給する。なお制御部11は、完全に動作を停止させておくスリープモードの他、起動回路17からの起動信号に応じて速やかに起動できるよう低消費電力モードで待機させておくこともできる。
【0039】
制御部11は起動回路17からの起動信号を受けて起動されると、所定の安全チェックシーケンスを実行する。安全チェックシーケンスとしては、例えば電源装置100の漏電の有無、セル電圧検出回路21を通じてセル電圧が正常範囲かどうかのチェック、電流検出回路13を通じて電流センサ3が意図しない放電電流を検出しているかどうかのチェック、ヒューズ状態検出回路12を通じてヒューズ2の断線が生じているかどうかのチェック、セル温度のチェック、絶縁状態検出回路15を通じて溶着が生じていないかのチェック、断線チェック等が行われる。そして、これらの結果に基づいて電池ブロック9に異常が生じているかどうかの最終判断を行い、異常と判定された場合は、異常情報を異常記録手段18に記録する。異常情報は、例えば異常検出フラグ(エラーフラグ)とする。また異常記録手段18は不揮発性メモリが好適に利用できる。制御部11は異常記録手段18に異常情報を記録後、再び動作を停止し、スリープモードや低消費電力モードに移行する。このようにすることで、車両側が停止している状態であっても、異常発生の有無を電源装置100側で記録しておくことができる。
【0040】
ここで、制御部11を動作させるための電源は、例えばバックアップ用電源や、電池ブロック9の出力電圧を変換したものが利用される。なお、図2の例において起動回路17を省略し、信号受信回路16が検出信号を受けて直接制御部11を起動するように構成してもよい。
【0041】
一方で、電源装置100の起動時には、まず異常記録手段18に異常情報が記録されていないかどうかを確認する。そして異常情報が記録されている場合には、起動を制限する。例えばリレー制御回路14がコンタクタ5をONさせずに起動を停止し、異常発生によって起動できない旨の警告メッセージをユーザに告知したり、あるいは最低限の動作のみを許可して、例えばサービスセンターまで移動するよう促すなどの、安全を確保するための動作を指示する。このように、異常発生時に異常情報を異常記録手段18に記録させておき、電源装置100の起動時に必ず異常記録手段18を確認させることで、安全に起動させて動作させることができるかどうかを電源装置100側で把握でき、起動の安全性が図られる。また、後述するように異常と判定された時点で、二次電池セルの放電を行わせ、車両の動作自体ができないようにしたり、あるいは意図しない短絡に起因する発熱などの発生を回避するようにしてもよい。
(浸水検知センサ32及び衝撃検知センサ33)
【0042】
上述の通り、図2の例では異常検出手段として、異常温度検知センサ31、浸水検知センサ32及び衝撃検知センサ33を、それぞれ設けている。この内、車両側に設けられた浸水検知センサ32及び衝撃検知センサ33は、車両側負荷が元々備えている浸水検知センサ32及び衝撃検知センサ33を利用し、各センサの出力を電源装置100の信号受信回路16に接続している。これによって、既存のセンサを利用して、車両停車時の異常検出を図ることができる。
【0043】
この場合、各センサを設ける位置が、電源装置100における異常を確実に検出できる位置とすることが好ましい。すなわち、車両側に設けた浸水検知センサ32を、電源装置100の異常検出手段として併用する場合、この浸水検知センサ32を、電源装置100が冠水したことを検出できる高さに固定することで、車両側の冠水のみならず、電源装置100の冠水も検出できる。例えば、電源装置100を設けた水平高さの底面、あるいは電源ケース70内で二次電池セル1や電子回路を設けた位置よりも低い位置に、浸水検知センサ32を配置する。同様に、車両がに設けた衝撃検知センサ33を電源装置100への衝撃検出にも併用する場合、電源装置100と近い位置に衝撃検知センサ33を設けることが好ましい。これによって、車両側の異常検出と電源装置100側の異常検出を、共通のセンサで行うことが可能となる。
【0044】
なお、これらの車両側異常検知センサを、車両停車中においても利用できるよう、例えば車両が別途備える電装用の12Vバッテリからこれらの車両側異常検知センサに給電させるようにする。あるいは、車両側異常検知センサの信号線と電源線を共通化し、電源装置側から給電すると共に、このラインを利用して検出信号を車両側から電源装置側に送出するように構成してもよい。
(異常温度検知センサ31)
【0045】
一方、異常温度検知センサ31は電源装置100側に設けられる。この異常温度検知センサ31は、電池ブロック9自体の発熱(例えば大電流での充放電に起因する温度上昇)でなく、電源装置100の外部で発生した温度異常を検出することを目的としている。例えば、停車中の車両の近傍で火事が生じた場合や、異常低温となった場合などである。従来、停車中すなわち車両のキーOFF中には、温度センサの動作が停止しているためこのような異常な温度を検出することができず、停車中に電池ブロック9に悪影響を生じさせる事象が生じても、電池ブロック9側でこれを検出することができなかった。そこで、停車中でもこのような状態を検出できるよう、異常温度検知センサ31を追加することで、従来把握できなった停車中の異常をも検出させて、安全性を高めたものである。
【0046】
このような目的のため、異常温度検知センサ31は、各電池セルに設けられた温度センサとは別に設けられる。この異常温度検知センサ31は、電源装置100の外部から電池ブロック9に与えられる温度を正確に検出できるよう、電源ケース70の、電池ブロック9の近傍に設けられる。図2の例では、異常温度検知センサ31は電池ブロック9と対向した電源ケース70の表面側に設けられている。これにより、電源装置100の外部から電池ブロック9に与えられる影響を正確に検出できる。なお、電源ケース70の外面側でなく、内面側に設けることもできる。これによって、電源ケース70の外部に異常温度検知センサ31を突出させず、外形の小型化や異常温度検知センサ31の保護を図ることができる。この際、電源ケース70は熱伝導性に優れた材質とすることが好ましい。例えば、金属製の電源ケース70とする。
【0047】
異常温度検知センサ31は、電池ブロック9の温度が上限温度を超えたこと又は下限温度を下回ったことを検出する。実際には、電池ブロック9そのものの温度でなく、これと離間した電源ケース70側で温度を検出するため、若干のマージンを考慮して異常温度検知センサ31が異常判定を行う上限閾値と下限閾値を設定する。例えば、−40℃〜+50℃の範囲で設定する。
(実施例1:車両停車時の安全機構の動作)
【0048】
次に、車両の停車時における安全機構が異常を記録する動作の流れを、図3のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、車両の停車中に、衝撃や浸水などの異常が発生した場合の動作を説明する。まずステップS21において、異常検出手段を構成するセンサ類のいずれかが動作して、異常を検出する。ここでは、車両側の衝撃検知センサ33と浸水検知センサ32、及び電源装置100側の異常温度検知センサ31のいずれかが反応したものとする。
【0049】
次にステップS22において、センサからの検出信号を受けて、電源装置100の制御ユニット10が起動される。ここでは、センサが発した検出信号を信号受信回路16で検出し、これを受けて起動回路17が制御ユニット10の制御部11を起動させる。
【0050】
さらにステップS23において、制御ユニット10が安全チェックシーケンスを実行する。すなわち、電池ブロック9を構成する各二次電池セル1に異常が見られるかどうか等、セル電圧やセル温度等に基づいた判定作業が行われる。また、二次電池セル1以外に、電子回路類が正常動作するかどうか等を判定することもできる。そして安全チェックシーケンスの各処理の結果、電源装置100が安全かどうかの最終判定を行い(ステップS24)、安全と判定された場合は処理を終了し、一方安全でないと判定された場合は、ステップS25において、異常情報としてエラーフラグを異常記録手段18に記録した上で、処理を終了する。
(車両始動時の安全チェック)
【0051】
このようにして、異常発生時には異常記録手段18にエラーフラグが記録される。次に、車両を始動させる際の動作の流れを、図4のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS31において、車両の始動すなわちキーONを行う。次にステップS32において、キーONを受けて制御ユニット10が起動される。さらにステップS33において、異常記録手段18に対するメモリチェックが実行される。そしてステップS34において、メモリチェックの結果、エラーフラグが発見された場合はステップS35に進み、車両側負荷に対して警告が行われる。これを受けてステップS36において、リレーユニット4の動作が禁止され、車両が駆動されない状態となって終了する。
【0052】
一方、ステップS34においてエラーフラグの記録がない場合は、ステップS37に進み、リレーの動作が許可されて車両の駆動が可能となる。
(実施例2:異常検出時の強制放電)
【0053】
以上の例では、異常が発生すると車両の始動を許可しない制御について説明した。この方法では、異常が認められた場合の車両を誤って動作させることは回避できるものの、電源装置が異常な状態のまま置かれることとなる。そこで、異常が認められた場合には、積極的に二次電池セル1を放電させて、より安全な状態に置くことも好ましい。このような例を、実施例2として図5のフローチャートに基づいて説明する。ここでも図3と同様、センサのいずれかが反応を示したものとして以下説明する。
【0054】
まずステップS41において、ステップS31と同様に、異常検出手段を構成するセンサのいずれかが動作して、異常を検出する。そしてセンサの発する検出信号を受けて、ステップS32において電源装置100の制御ユニット10が起動される。さらにステップS43において、制御ユニット10が安全チェックシーケンスを実行する。そしてステップS44において、電源装置100が安全かどうかの判定が行われる。安全と判定された場合は処理を終了し、一方安全でないと判定された場合は、ステップS45に進み、エラーフラグを異常記録手段18に記録する。ここまでの動作は、図3と同じである。
【0055】
さらにステップS46において、セルの容量放電を行う。ここでは放電回路23を動作させ、放電スイッチ25をONして放電手段24である放電抵抗に通電させて、二次電池セル1の残容量を低減させる。これによって、異常が発生した電池ブロック9の残容量を低減させて、発熱などのリスクを低減でき、また車両の起動ができないようにすることで安全性を一層高めることができる。なおここでは、すべての二次電池セル1を放電させる例を説明したが、異常が見られた電池セルのみを放電させる構成としてもよい。また、放電させる場合はエラーフラグの保存工程を省略させてもよいが、次回の車両起動時までに放電が完了しない場合や、放電の原因を明確に記録するなどの目的から、エラーフラグを記録しておくことが好ましい。
【0056】
なお図2の例では、浸水検知センサ32及び衝撃検知センサ33を車両側に設ける構成を採用した。これによって、車両側が本来的に備える浸水検知センサ32及び衝撃検知センサ33を利用して、電源装置100をキーOFF時においても浸水や衝撃から保護できる。またセンサ類を新たに付加する必要を無くし、コストの低減化も図られる。
【0057】
ただ、本発明はこの構成に限られず、電源装置側にこれら浸水検知センサ及び衝撃検知センサ、又はいずれかを設けてもよい。電源装置側に浸水検知センサを設ける場合は、例えば電源装置の底面側など、浸水を検知できる位置とする。同様に車両側に衝撃検知センサを設ける場合も、衝撃を検出できる位置、例えば電源ケースの表面側などとする。電源装置側にこれらのセンサを設けることで、車両側負荷の停止時にこれらのセンサ類に給電する必要をなくし、制御を簡素化できる利点が得られる。
【0058】
さらに図2の例では、異常温度検知センサ31を電源装置100の電源ケース70に設けているが、これを車両側に設けてもよい。この場合、車両側においては、電源装置の二次電池セル近傍の温度が検出できるよう、電池ブロック9と近い位置に異常温度検知センサを設ける。
【0059】
また以上のセンサ類は、電源装置側、車両側のいずれか一方に設ける構成に限らず、両方に設けることもでき、これによってセンサ類のバックアップとして機能させることもできる。
(電気自動車用電源装置)
【0060】
以上の例では、被駆動機器としてモータとエンジンで駆動されるハイブリッド車に利用する例を説明したが、これに限らずモータのみで走行する電気自動車に電源装置を適用することもできる。このような電気自動車に本発明を適用した例を図6に示す。この図に示す電源装置100を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する電源装置100と、この電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100の電池を充電する。
(蓄電用電源装置)
【0061】
さらに、この電源装置は、移動体用の動力源としてのみならず、載置型の蓄電用設備としても利用できる。例えば家庭用、工場用の電源として、太陽光や深夜電力等で充電し、必要時に放電する電源システム、あるいは日中の太陽光を充電して夜間に放電する街路灯用の電源や、停電時に駆動する信号機用のバックアップ電源等にも利用できる。このような例を図7に示す。この図に示す電源装置100は、複数の電池パック81をユニット状に接続して電池ユニット82を構成している。各電池パック81は、複数の角型電池セル1が直列及び/又は並列に接続されている。各電池パック81は、電源コントローラ84により制御される。この電源装置100は、電池ユニット82を充電用電源CPで充電した後、負荷LDを駆動する。このため電源装置100は、充電モードと放電モードを備える。負荷LDと充電用電源CPはそれぞれ、放電スイッチDS及び充電スイッチCSを介して電源装置100と接続されている。放電スイッチDS及び充電スイッチCSのON/OFFは、電源装置100の電源コントローラ84によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ84は充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをOFFに切り替えて、充電用電源CPから電源装置100への充電を許可する。また充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で負荷LDからの要求に応じて、電源コントローラ84は充電スイッチCSをOFFに、放電スイッチDSをONにして放電モードに切り替え、電源装置100から負荷LDへの放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをONにして、負荷LDの電力供給と、電源装置100への充電を同時に行うこともできる。
【0062】
電源装置100で駆動される負荷LDは、放電スイッチDSを介して電源装置100と接続されている。電源装置100の放電モードにおいては、電源コントローラ84が放電スイッチDSをONに切り替えて、負荷LDに接続し、電源装置100からの電力で負荷LDを駆動する。放電スイッチDSはFET等のスイッチング素子が利用できる。放電スイッチDSのON/OFFは、電源装置100の電源コントローラ84によって制御される。また電源コントローラ84は、外部機器と通信するための通信インターフェースを備えている。図7の例では、UARTやRS−232C等の既存の通信プロトコルに従い、ホスト機器HTと接続されている。また必要に応じて、電源システムに対してユーザが操作を行うためのユーザインターフェースを設けることもできる。
【0063】
各電池パック81は、信号端子と電源端子を備える。信号端子は、パック入出力端子DIと、パック異常出力端子DAと、パック接続端子DOとを含む。パック入出力端子DIは、他のパック電池や電源コントローラ84からの信号を入出力するための端子であり、パック接続端子DOは子パックである他のパック電池に対して信号を入出力するための端子である。またパック異常出力端子DAは、パック電池の異常を外部に出力するための端子である。さらに電源端子は、電池パック81同士を直列、並列に接続するための端子である。また電池ユニット82は並列接続スイッチ85を介して出力ラインOLに接続されて互いに並列に接続されている。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る電源装置及びこれを備える車両並びに蓄電装置は、EV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電源装置として好適に利用できる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0065】
100…電源装置
1…二次電池セル
2…ヒューズ
3…電流センサ
4…リレーユニット
5…コンタクタ;5A…正極側コンタクタ;5B…負極側コンタクタ
6…リレー
7…抵抗
9…電池ブロック
10…制御ユニット
11…制御部
12…ヒューズ状態検出回路
13…電流検出回路
14…リレー制御回路
15…絶縁状態検出回路
16…信号受信回路
17…起動回路
18…異常記録手段
21…セル電圧検出回路
22…放電制御回路
23…放電回路
24…放電手段(放電抵抗)
25…放電スイッチ
31…異常温度検知センサ
32…浸水検知センサ
33…衝撃検知センサ
70…電源ケース
81…電池パック
82…電池ユニット
84…電源コントローラ
85…並列接続スイッチ
90…車両側負荷
93…モータ
94…発電機
95…DC/ACインバータ
96…エンジン
97…コンデンサ
EV、HV…車両
LD…負荷;CP…充電用電源;DS…放電スイッチ;CS…充電スイッチ
OL…出力ライン;HT…ホスト機器
DI…パック入出力端子;DA…パック異常出力端子;DO…パック接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の出力を被駆動機器の入力と接続することで、該被駆動機器を駆動可能な電源装置であって、
複数の二次電池セル(1)を直列または並列に接続した電池ブロック(9)と、
前記電池ブロック(9)の異常を判定する異常判定手段と、
前記電池ブロック(9)及び異常判定手段を収納する電源ケース(70)と、
前記電池ブロック(9)に対する物理的な変化を与える異常を検出して検出信号を送出するための異常検出手段と、
前記電池ブロック(9)の出力と被駆動機器の入力との接続状態のON/OFFを切り替えるための出力接続手段と、
を備え、
前記異常検出手段は、前記出力接続手段がOFF状態でも異常を検出可能であり、
前記出力接続手段がOFF状態において、前記異常検出手段が異常を検出し検出信号を送出したことを受けて、前記異常判定手段が前記電池ブロック(9)が異常か否かを判定し、異常と判定された場合には前記出力接続手段のONへの切り替えを制限してなることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、さらに、
前記異常判定手段が異常と判定した際に、該異常情報を記録するための異常記録手段(18)を備えており、
前記出力接続手段は、OFFからONへ切り替えようとするときに、前記異常記録手段(18)に異常情報が記録されている場合は、ONへの切り替えを制限するよう構成してなることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置であって、
前記出力接続手段が、前記電池ブロック(9)の出力を被駆動機器と接続するためのコンタクタ(5)であり、
前記起動の制限が、前記コンタクタ(5)をOFFからONにしない制御であることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の電源装置であって、さらに、
前記二次電池セル(1)と接続することで、これを放電させるための放電手段(24)と、
前記放電手段(24)と二次電池セル(1)との接続を切り替えるための放電スイッチ(25)と、
を備えており、
前記異常判定手段が異常と判定すると、前記放電スイッチ(25)をONして前記放電手段(24)を前記二次電池セル(1)と接続して、該二次電池セル(1)を放電させてなることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置であって、
前記放電手段(24)及び前記放電スイッチ(25)とが、前記複数の二次電池セル(1)を均等化させる均等化回路を構成していることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記異常検出手段が、前記電池ブロック(9)に物理的な衝撃を与え得る外力を検出可能な衝撃検知センサ(33)を含むことを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記異常検出手段が、前記電池ブロック(9)の浸水を検出する浸水検知センサ(32)を含むことを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記異常検出手段が、前記電池ブロック(9)の温度が所定の上限温度を超えたこと又は所定の下限温度を下回ったことを検出する異常温度検知センサ(31)を含むことを特徴とする電源装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記異常検出手段が、前記電源ケース(70)の表面又は内面に設けられてなることを特徴とする電源装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記異常検出手段が、被駆動機器に備えられた、外部からの物理的な変化を検出するための機器側異常検知センサであることを特徴とする電源装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一に記載の電源装置を搭載してなる車両。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一に記載の電源装置を搭載した蓄電装置。
【請求項13】
電池ブロック(9)の出力を被駆動機器の入力と接続することで、該被駆動機器を駆動可能な電源装置の制御方法であって、
前記被駆動機器の停止中に、前記電池ブロック(9)に対する物理的な変化を与える異常を検出して検出信号を送出するための異常検出手段を、動作可能な状態とする工程と、
前記異常検出手段が何らかの異常を検出すると、検出信号を生成する工程と、
前記検出信号を受けて、前記電池ブロック(9)の異常を判定する異常判定手段が前記電池ブロック(9)が異常か否かを判定し、異常と判定された場合には、異常情報を異常記録手段(18)に記録する工程と、
前記電池ブロック(9)の出力と被駆動機器の入力との接続状態のON/OFFを切り替えるための出力接続手段を、OFFからONへ切り替えようとするときに、前記異常記録手段(18)に異常情報が記録されているかどうかを確認し、該異常情報が記録されている場合は、ONへの切り替えを制限する工程と、
を含むことを特徴とする電源装置の制御方法。
【請求項14】
電池ブロック(9)の出力を被駆動機器の入力と接続することで、該被駆動機器を駆動可能な電源装置の制御方法であって、
前記被駆動機器の停止中に、前記電池ブロック(9)に対する物理的な変化を与える異常を検出して検出信号を送出するための異常検出手段を、動作可能な状態とする工程と、
前記異常検出手段が何らかの異常を検出すると、検出信号を生成する工程と、
前記検出信号を受けて、前記電池ブロック(9)の異常を判定する異常判定手段が前記電池ブロック(9)が異常か否かを判定し、異常と判定された場合には、前記電池ブロック(9)を放電させる工程と、
を含むことを特徴とする電源装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−74707(P2013−74707A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211672(P2011−211672)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】