説明

電源装置及びアーク溶接機

【課題】小容量電源で動作し大消費電力負荷回路への給電を行う、安価でコンパクトな電源装置とそれを用いたアーク溶接機を提供する。
【解決手段】交流電源50から変圧器5の一次側巻線5aに入力される電圧・電流を検出し交流電源50の電源インピーダンスを予測する。電源容量自動計測部21では、予測した電源インピーダンスに対して逆勾配特性で変化する信号と正勾配特性で変化する初期給電電流目標信号とを合成した給電電流目標信号をサイリスタ整流回路6の出力電流である給電電流Ichの目標信号として出力する。点孤角制御回路24は、電源容量自動計測部21で出力された給電電流目標信号と給電電流検出信号との給電電流偏差εchが0となるようにサイリスタ整流回路6の点孤角を制御する。これにより、交流電源50からは、給電可能最大限の電力を取り出して溶接に必要な電力とする。溶接に不足する電力は、二次電池から給電することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用アーク溶接機等の負荷回路を駆動するために使用される電源装置に関し、特に、ホビー用発電機のような小容量電源を使用する場合でも負荷回路へ安定的な給電を行うことのできる電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場等では、建設機材の仮止めや、鋼材同士の溶接に、携帯用アーク溶接機が用いられている。一般に、アーク溶接機のように消費電力の大きい負荷回路には、200V商用電源のような容量の大きい電源が必要とされる。したがって、商用電源の得られない現場では、大容量の電源として、大型のディーゼル発電機のような発電装置を搬入して使用する必要がある。そのため、より軽量で可搬な小型発電機(例えば、容量1kVA以下のホビー用小型発電機等)や一般家庭に供給されている100V商用電源のようなより低容量の電源でも動作するアーク溶接機の開発が求められていた。
【0003】
しかしながら、小型発電機のような低容量電源には、内部インピーダンスが大きい、出力電圧波形が正弦波ではない、負荷変動に伴う電圧変動と周波数変動が共に大きい等の多くの問題がある。そのため、これらの問題を解決するための電源装置が必要とされる。かかるアーク溶接機用の電源装置としては、特許文献1に記載のものが公知である。
【0004】
特許文献1には、小型内燃機関により駆動される発電機からの電源又は100V商用電源を用いたアーク溶接機の電源装置が記載されている。これらの電源は、一般的に、電源の容量が小さく内部インピーダンスが大きいため、アーク溶接に必要な電力が得られない問題がある。そこで、電源から電源装置に供給される交流電圧を充電用変圧器により変圧した後、サイリスタ整流装置で整流し、いったん二次電池に充電する。これにより、溶接に必要な電力が時間積分して二次電池に充電される。また、充電用変圧器と並列に、アーク溶接用変圧器及び整流回路を設け、電源から負荷回路に直接電力を供給することもできるようにする。そして、溶接を行う際には、二次電池に蓄えられたエネルギーを電源から供給されるエネルギーに加算して負荷回路に給電することにより、溶接に必要なエネルギーを得ることができる。また、この電源装置では、弾み車が付設された磁石型同期機からなるインピーダンス低減化装置を上記の電源に並列に接続することにより、電源の入力インピーダンスを低減化して等価的に電源容量を大きくしている。
【0005】
また、変圧器に入力される電源電圧の周期に自動的に追従するサイリスタ基準点弧発生回路を設け、整流器前段の変圧器に入力される電源電圧の周期にサイリスタの点弧角を自動的に追従させるようにしている。
【特許文献1】特開2004−122200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の電源装置では、インピーダンス低減化装置によって見かけ上の電源の入力インピーダンスが低減化される。しかしながら、弾み車が付設された磁石型同期機のような特殊な部品が必要とされ、また、物理的にも大きい部品であるため装置の小型化に限界がある。また、充電用変圧器とアーク溶接用変圧器の2個の変圧器が必要とされる。そのため、より安価でコンパクトに構成することのできる電源回路が求められていた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、小型発電機等の小容量電源で動作し、アーク溶接機のような消費電力の大きい負荷回路への給電を行う電源装置であって、従来よりも安価でコンパクトに構成することのできる電源装置及びそれを用いたアーク溶接機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電源装置は、入力とする交流電源を電源装置内に配置した変圧器の一次側巻線に繋ぎ、前記変圧器の二次側巻線電圧を、サイリスタ整流素子の点孤角制御により可変整流電圧とすることにより、電力の制御が可能なサイリスタ整流回路とし、前記サイリスタ整流回路の正極出力端子を給電ノードに繋ぎ、前記サイリスタ整流回路の負極出力端子を接地ノードに繋ぎ、前記給電ノードと前期接地ノードとの間には、充放電を行う二次電池を接続し、前記給電ノードと前記接地ノードから負荷回路へ給電を行う電源装置であって、前記交流電源から前記変圧器の一次側巻線に入力される電源電圧及び電流を検出し、当該電圧及び電流から予測される前記交流電源の電源インピーダンスに対し、逆勾配特性で変化するサイリスタ整流回路の出力電流の目標信号を出力するための電源容量自動計測部の信号に、前記サイリスタ整流回路の出力電流に対し正勾配特性で変化するサイリスタ整流回路の出力電流の目標信号を加算した信号と、前記サイリスタ整流回路の出力電流検出信号との偏差が0又は所定のサイリスタ整流回路の出力電流以下となるようにサイリスタ整流回路の点孤角を制御する点孤角制御回路と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成により、サイリスタ整流回路の出力電流である給電電流の目標値は、電源容量自動計測部で電源の内部インピーダンスを自動計測し、電源の能力(性能)一杯の給電電流を得ることができるように設定されるため、サイリスタ整流回路の出力電流は、電源の能力に応じて最も効率のよい給電電流を供給すことが可能となる。すなわち、電源容量に適応して給電電流を出力することができる。
【0010】
ここで、「正勾配特性」とは、正比例のように入力変数が増加すると出力変数も増加する関係をいう。また「逆勾配特性」とは、逆比例のように入力変数が増加すると出力変数が減少する関係をいう。
【0011】
また、本発明において、前記給電ノードと前記接地ノードとの間の電圧である給電電圧を検出し、前記給電電圧と給電電圧の目標電圧とを比較する給電電圧判定回路を備え、前記給電電圧判定回路により、前記給電電圧が前記給電電圧の目標電圧を越えたことが検出された場合、前記点孤角制御回路は、前記サイリスタ整流回路を消孤状態とすることができる。
【0012】
この構成により、二次電池の過充電が防止され、二次電池からのガスの発生等を防止することができる。
【0013】
また、本発明において、前記給電ノードと前記接地ノードから前記負荷回路へ給電される電流の通断を行うスイッチング回路と、前記負荷回路からみて前記スイッチング回路と並列に接続された還流ダイオードと、前記負荷回路へ給電される負荷電流を検出する負荷電流検流器と、前記負荷電流が負荷電流の目標電圧を越えたか否かを検出する負荷電流判定回路と、前記スイッチング回路の通断を制御する負荷電流制御回路と、を備え、前記負荷電流制御回路は、前記負荷電流が前記負荷電流の目標電圧を越えた場合、その越えた時点から所定の時間だけ遅延させて前記スイッチング回路をターンオフし、前記負荷電流が負荷電流の目標電圧を下回った場合、前記スイッチング回路をターンオンすることができる。
【0014】
この構成により、負荷電流制御回路は、負荷電流が負荷電流の目標電圧を越えた場合、その越えた時点から所定の時間だけ遅延させてスイッチング回路をターンオフし、負荷電流が負荷電流の目標電圧を下回った場合、スイッチング回路をターンオンすることで、スイッチング回路のスイッチングが短時間で高速に行われること(スイッチングのばたつき)を防止し、回路動作の安定性を高め、出力電流を安定に制御することが可能となる。
【0015】
また、本発明に係るアーク溶接機は、請求項1乃至3の電源装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、小型発電機等の小容量電源で動作し、アーク溶接機のような消費電力の大きい負荷回路へ給電を行うことができ、かつ、従来よりも安価でコンパクトに構成することのできる電源装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0018】
〔1〕電源装置の構成
図1は、本発明に係る電源装置の回路構成を表す図である。本実施例に係る電源装置1は、携帯用アーク溶接機の電源装置として使用されるものである。図1において、電源50は、小型発電機や100V商用電源等の電源容量の小さい交流電源(例えば、1kVA以下の電源)である。
【0019】
本実施例の電源装置1は、電源容量の小さい交流電源の内部抵抗2、交流電源の内部インダクタンス3の存在を視野に入れた構成になっている。つまり、入力側検流器4、変圧器5、サイリスタ整流回路6、給電電流検出器7、二次電池8、限流ヒューズ9、分圧回路10、スイッチング回路11、保護ダイオード12、還流ダイオード13、負荷電流検流器14、直流リアクトル15、逆流防止ダイオード16、アーク発生を容易にする整流回路17、直流リアクトル18、負荷電流判定回路19、負荷電流制御回路20、電源容量自動計測部21、給電電流判定回路22、給電電圧判定回路23、及び点孤角制御回路24を備えている。また、図1において、INは電源入力端子、OUTは出力端子、GNDは出力を兼ねた接地端子であり接地ノード25に繋がっている。電源50は、電源入力端子INに接続される。アーク溶接機の負荷回路(パワーケーブル,溶接トーチ等)は出力端子OUTに接続される。また、溶接の母材は、母材ケーブルを介して出力を兼ねた接地端子GNDに接続される。勿論、アーク溶接機の負荷回路は、出力端子OUTと出力を兼ねた接地端子GNDの極性を入れ替えて繋いでもよい。
【0020】
(1)電源入力部分の構成
電源50から入力される交流電流は、交流電源の内部抵抗2、交流電源の内部インダクタンス3、及び入力側検流器4を経て変圧器5の一次側巻線5aに入力される。交流電源の内部抵抗2及び交流電源の内部インダクタンス3は、電源50から電源装置1に入力される電圧の降下に繋がる。入力側検流器4は、変圧器5の一次側巻線5aに入力される電流を検出し電圧値として出力する回路である。入力側検流器4としては、シャント抵抗やホール素子等を用いた電流センサを用いることができる。以下、変圧器5の一次側巻線5aに入力される電流を「電源電流」といい、Iと記す。変圧器5の一次側巻線5aに印加される電圧を「入力電圧」といい、Vと記す。また、入力側検流器4が出力する電源電流Iに比例する電圧を「電源電流検出信号」といい、Is,detと記す。
【0021】
変圧器5は、電源装置1の電源入力端子INに入力される交流電圧の大きさ(あるいは振幅)Vを電磁誘導を利用して任意の電圧に変換する電気部品であり、1つの一次側巻線5aに対して2系統の二次側巻線5b,5cを備えている。
【0022】
(2)給電回路部分の構成
(2−1)サイリスタ整流回路部分の構成
サイリスタ整流回路6は、変圧器5の二次側巻線5bに接続された整流回路であり、サイリスタ6a,6bで構成されている。変圧器5の二次側巻線5bは、巻線の中央から出されたタップが接地ノード25に接続されている。ここで、接地ノード25は、電源装置1の接地電位のノードであり、電源の出力である接地端子GNDと接続されている。
【0023】
変圧器5の二次側巻線5bの一端にはサイリスタ6aのアノード、他端にはサイリスタ6bのアノードが接続されている。サイリスタ6a,6bのカソードは、給電電流検流器7を介して給電ノード26に接続されている。ここで、給電ノード26は、サイリスタ整流回路から二次電池8への充電又は二次電池8から負荷回路への給電が行われるノードである。この給電ノード26の電圧を「給電電圧」と呼びVと記す。また、サイリスタ整流回路6から給電ノード26に出力される電流を「給電電流」といい、Ichと記す。また、給電ノード26から二次電池8へ流入する電流を「蓄電池電流」といい、Iと記す。
【0024】
給電電流検流器7は、変圧器5の二次側巻線5bからサイリスタ整流回路6で整流して給電ノード26に出力される給電電流Ichを検出し、電圧値として出力する回路である。給電電流検流器7としては、シャント抵抗やホール素子等を用いた電流センサを用いることができる。以下、給電電流検流器7が出力する、給電電流Ichに比例する電圧を「給電電流検出信号」といい、Ich,detと記す。
【0025】
給電ノード26と接地ノード25との間には、二次電池8及び限流ヒューズ9が直列に接続されている。二次電池8は、正極側がヒューズ9を介して給電ノード26に接続され、負極側が接地ノード25に接続されている。
【0026】
また、給電ノード26と接地ノード25との間には、二次電池8及び限流ヒューズ9と並列に、分圧回路10が接続されている。この分圧回路10は、分圧抵抗R,Rが直列接続された回路であり、両抵抗の接続点である分圧ノード27には、給電電圧Vに比例した電圧VB,detが発生する。
【0027】
給電ノード26から出力端子OUTにかけて、スイッチング回路11、負荷電流検流器14、直流リアクトル15、及び逆流防止ダイオード16がこの順で直列に接続されている。
【0028】
スイッチング回路11は、給電ノード26から出力端子OUTへ出力される電流の通断を行うスイッチであり、NPN型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が使用されている。尚、スイッチング回路11としては、IGBT以外にもFETやゲートターンオフサイリスタ(GTO)等のスイッチング素子を使用してもよい。スイッチング回路11は、コレクタが給電ノード26側、エミッタが出力端子OUT側に接続されている。また、スイッチング回路11のエミッタとコレクタの間には、スイッチング素子に逆向きの電圧が印加されないように保護ダイオード12が並列に接続されている。
【0029】
また、スイッチング回路11のエミッタと接地ノード25との間には還流ダイオード13が接続されている。還流ダイオード13は、カソード側がスイッチング回路11のエミッタと接続され、アノード側が接地ノード25に接続している。この還流ダイオード13は、スイッチング回路11が電流をターンオフした後に、直流リアクトル15に蓄えられた電磁エネルギーで生じる逆起電力を利用し、負荷に電流を供給するために設けられたダイオードである。
【0030】
負荷電流検流器14は、スイッチング回路11又は還流ダイオード13から出力端子OUTに流れる電流を検出する素子である。負荷電流検流器14としては、シャント抵抗やホール素子等を用いた電流センサを用いることができる。以下、この負荷電流検流器14を流れる電流を「負荷電流」といい、IWMと記す。
【0031】
直流リアクトル15は、出力端子OUTへ給電される電流波形を平滑化すると同時にスイッチング回路11のオン時に流れる負荷電流IWMを電磁エネルギーとして蓄えるためのインダクタである。逆流防止ダイオード16は、出力端子OUT側からスイッチング回路11の側に逆流電流が流れることを防止するためのダイオードである。
【0032】
(2−2)アーク発生を容易にする回路部分の構成
アーク発生を容易にする整流回路17は、入力端子が変圧器5の二次側巻線5cに接続された整流回路である。アーク発生を容易にする整流回路17の正極出力端子は、直流リアクトル18を介して出力端子OUTに接続されている。また、アーク発生を容易にする整流回路17の負極出力端子は接地ノード25に接続されている。このアーク発生を容易にする整流回路17は、出力端子OUTと接地ノード25のGNDに繋ぐ負荷がアーク溶接の場合、アーク発生を容易にし、二次電池8から負荷回路に給電される電力が、安定に供給されるように動作する。以下、直流リアクトル18から出力端子OUTに給電される電流を「アーク発生を容易にする負荷電流」といい、Iと記す。
【0033】
出力端子OUTには、二次電池8とスイッチング回路11の側から逆流防止ダイオード16を通して給電される負荷電流IWMと、アーク発生を容易にする整流回路17の側から直流リアクトル18を介して流入するアーク発生を容易にする負荷電流Iとが合わせて給電される。以下、出力端子OUTから負荷回路に出力される電流を「出力電流」といい、Iと記す。また、出力端子OUTと接地端子GNDとの間の電圧を「出力電圧」といい、Vと記す。
【0034】
(2−3)負荷電流制御部分の構成
負荷電流判定回路19及び負荷電流制御回路20は、スイッチング回路11の通断制御を行うことによって、給電ノード26から出力端子OUTへ給電する電流を略一定の値とする制御を行う回路である。
【0035】
負荷電流判定回路19は、負荷電流検流器14が出力する負荷電流IWMに比例する負荷電流検出電圧IWM,detと、負荷電流の目標電圧IWM,rとを比較するコンパレータである。ここで、負荷電流の目標電圧IWM,rは、負荷電流の目標値を設定する電圧であり、電源装置1の用途に応じて適宜生成される。IWM,det<IWM,rのときには負荷電流判定回路19は“1”(アサート)を出力し、IWM,det≧IWM,rのときには負荷電流判定回路19は“0”(ネゲート)を出力する。
【0036】
負荷電流制御回路20は、負荷電流判定回路19の出力に応じてスイッチング回路11の切り替え制御を行う回路であり、マイクロコンピュータ等を用いて構成される。負荷電流制御回路20は、負荷電流判定回路19の出力が“1”から“0”に切り替わった場合、その切り替わり時点から一定の遅延時間Tをおいてスイッチング回路11をターンオフする。また、負荷電流判定回路19の出力が“0”から“1”に切り替わった場合には、即座にスイッチング回路11をターンオンする。尚、この負荷電流制御回路20の詳細な構成については後述する。
【0037】
(3)給電電流制御部分の構成
電源容量自動計測部21、給電電流判定回路22、給電電圧判定回路23、及び点孤角制御回路24は、電源50から変圧器5とサイリスタ整流回路6を介して二次電池8の繋がる給電ノードへ電流を供給する供給電流制御を行う回路である。これら電源容量自動計測部21、給電電流判定回路22、給電電圧判定回路23、及び点孤角制御回路24は、電源50の電源容量に応じて給電電流の大きさを自動調整する、電源適応型であることを特徴としている。
【0038】
電源容量自動計測部21は、入力側検流器4が出力する電源電流検出信号Is,detと入力電圧Vを検出した入力電圧検出信号Vr,detとから、電源50の交流電源の内部インピーダンスを推定し、その出力インピーダンスに基づいて給電電電流Ichの目標値信号Ich,rを出力する回路である。電源容量自動計測部21は、マイクロコンピュータ等により構成することができる。電源容量自動計測部21は、電源電流検出信号Is,detと入力電圧Vを検出した入力電圧検出信号Vr,detとから電源50の交流電源の内部インピーダンスZ∝Vr,det/Is,detを計測し、この交流電源の内部インピーダンスZに対して正勾配特性で変化する関数f(Z)を初期給電電電流目標信号Ich0,rから差し引いた給電電流目標信号Ich,r=Ich0,r−f(Z)を出力する。これにより、電源容量自動計測部21は、交流電源の内部インピーダンスZsに対し逆勾配特性で変化する給電電流目標信号Ich,rを出力する。ここで、「初期給電電流目標信号」とは、給電電流目標信号Ich,rの初期値(デフォルト値)であり、その信号の大きさは外部回路で設定され、電源容量自動計測部21に入力される。また、関数f(Z)は、交流電源の内部インピーダンスZに対して正勾配特性で変化する関数であればよく、例えば、反比例関数f(Z)=KZ(K(>0)は定数)のような関数を用いることができる。
【0039】
給電電流判定回路22は、この給電電流目標信号Ich,rから給電電流検出信号Ich,detを差し引き、差し引いた値(以下「給電電流偏差」という。)εchを出力する減算回路である。
【0040】
給電電圧判定回路23は、分圧ノード27の電圧VB,det(∝VB)と給電電圧の目標電圧VB,rとを比較し、VB,r≧VB,detのときは“1”を、VB,r<VB,detのときは“0”を出力するコンパレータである。ここで、給電電圧の目標電圧VB,rは、給電電圧Vの上限値を規定するための電圧である。
【0041】
点孤角制御回路24は、給電電流偏差εchが0となるようにサイリスタ整流回路6の各サイリスタ6a,6bの点孤角αを制御することで、電源50の電源容量に適応した給電電流を出力する。また、点孤角制御回路24は、給電電圧判定回路23の出力値が0となったときには、サイリスタ6a,6bを点孤しないようにして、二次電池8の過充電を防止する。この点孤角制御回路24は、マイクロコンピュータ等により構成することができる。
【0042】
(4)電源容量自動計測部21の詳細な構成
図2は、図1の電源容量自動計測部21の詳細な回路構成を表す図である。電源容量自動計測部21は、整流用ダイオードD,D、抵抗R,R、コンデンサC,C、除算回路28、及び減算回路29を備えている。
【0043】
電源50から変圧器5の一次側巻線5aに入力される入力電圧Vは、入力電圧検出信号電Vr,detとして電源容量自動計測部21に入力される。尚、入力電圧Vは、電源電圧V−Zとなる。入力電圧検出信号電Vr,detは、まず整流用ダイオードDで整流され、抵抗RとコンデンサCからなる一次遅れ回路に入力され、入力電圧Vの大きさに比例した直流電圧信号Vr,det1が得られる。一方、電源50から変圧器5の一次側巻線5aに入力される電流Iは、入力側検流器4で検出され、電源電流検出信号Is,detとして電源容量自動計測部21に入力される。電源電流検出信号Is,detは、まず整流用ダイオードDで整流され、抵抗RとコンデンサCからなる一次遅れ回路に入力され、電源電流Iの大きさに比例した直流電圧信号Is,det1が得られる。除算回路28は、直流電圧信号Vr,det1を直流電圧信号Is,det1で除算して交流電源の内部インピーダンスZに比例した大きさの電圧信号K(Vr,det1/Is,det1)を出力する。減算回路29は、外部から入力される初期給電電流目標信号Ich0,rからこの電圧信号K(Vr,det1/Is,det1)を減算し、給電電流目標信号Ich,r=Ich0,r−K(Vr,det1/Is,det1)を出力する。
【0044】
これにより、電源容量自動計測部21から出力される給電電流目標信号Ich,rの大きさは、電源50の交流電源の内部インピーダンスZに対し逆勾配特性で変化するものとなる。
【0045】
(5)負荷電流制御回路20の詳細な構成
図3,図4は、図1の負荷電流制御回路20及びその周辺回路の詳細な回路構成を表す図である。図3,図4において、二次電池8、限流ヒューズ9、スイッチング回路11、保護ダイオード12、還流ダイオード13、負荷電流検流器14、直流リアクトル15、負荷電流判定回路19、負荷電流制御回路20、接地ノード25、及び給電ノード26は、図1と同様のものであり、同符号が付されている。
【0046】
スイッチング回路11のチャネルと並列に、抵抗RsnuとコンデンサCsnuの直列回路が接続されている。この抵抗Rsnu及びコンデンサCsnuは、スイッチング回路11のターンオンやターンオフ時に発生するパルス状の電圧を吸収するために設けられている。
【0047】
負荷電流検流器14は、シャント抵抗30、及びアンプ回路31で構成されている。シャント抵抗30の両端には、負荷電流IWMに比例した電圧が生じる。アンプ回路31はこの電圧を増幅して負荷電流検出電圧IWM,detを出力する。
【0048】
負荷電流判定回路19は、可変抵抗32及びコンパレータ33を備えている。可変抵抗32は、その中間タップ32aに負荷電流の目標電圧IWM,rを発生する。可変抵抗32の中間タップ32aの位置を調整することによって、負荷電流の目標電圧IWM,rを調節することができる。コンパレータ33は、負荷電流の目標電圧IWM,rと負荷電流検出電圧IWM,detとを比較し、その結果を比較結果信号Vcomとして出力する。
【0049】
負荷電流制御回路20は、エミッタ接地増幅回路34、シュミットトリガ・インバータ35,36、単安定マルチバイブレータ38、遅延時間設定回路39、NANDゲート40、スイッチング回路11をオン・オフするための出力回路41、IGBTドライバ回路42、IGBTモジュール駆動用ハイブリッドIC43、及びIGBT過電流保護回路44を備えている。単安定マルチバイブレータ38としては、ここでは標準ロジックICのSN74LS123を使用している。
【0050】
負荷電流判定回路19内のコンパレータ33の出力であるVcomは、IWM,rとIWM,detとの比較結果信号であり、エミッタ接地増幅回路34に入力されて増幅された後、シュミットトリガ・インバータ35に入力される。シュミットトリガ・インバータ35,36は直列に接続され、シュミットトリガ・インバータ36の出力は、NANDゲート40の一方の入力端子に接続されている。一方、シュミットトリガ・インバータ35の出力は分岐して、単安定マルチバイブレータ38の1番端子に接続されている。遅延時間設定回路39は、コンデンサC2と可変抵抗VRの調節によって、単安定マルチバイブレータ38の出力端子番号4に遅延時間Tの出力を与える。つまり、単安定マルチバイブレータ38の15番端子と14番端子間にキャパシタCを接続し、これと遅延時間設定回路39によって、単安定マルチバイブレータ38の切り替え遅延時間が設定される。単安定マルチバイブレータ38の4番端子(Q^)は、NANDゲート40の他方の入力端子に接続されている。
【0051】
NANDゲート40の出力端子は、スイッチング回路11をオン・オフするための出力回路41の入力に接続されている。スイッチング回路11をオン・オフするための出力回路41の出力Aは、IGBTドライバ回路42の入力に接続されている。
【0052】
IGBTドライバ回路42は、スイッチング回路11をオン・オフするための出力回路41の出力Aの出力に基づきスイッチング回路11のオン・オフ制御を行うドライバ回路である。また、IGBT過電流保護回路44は、スイッチング回路11を過電流による破壊から保護する回路である。
【0053】
この負荷電流制御回路20により、負荷電流IWMが負荷電流の目標電圧WM,rを越えた場合、その越えた時点から遅延時間Tほど遅延してスイッチング回路11はターンオフされる。また、負荷電流IWMが負荷電流の目標電圧WM,rを下回った場合には、即座にスイッチング回路11はターンオンされる。
【0054】
以上のように構成された本実施例の電源装置1について、以下その動作を説明する。
〔2〕電源装置の動作
(1)二次電池の充電と点孤角制御
図1の回路において、電源50から変圧器5の一次側巻線5aに電源電流Iが入力されると、入力側検流器4はその電源電流Iに比例した電源電流検出信号Is,detを出力する。電源容量自動計測部21には、入力側検流器4が出力する電源電流検出信号Is,detと、入力電圧検出信号Vr,detと、初期給電電流目標信号Ich0,rとが入力される。電源容量自動計測部21は、入力電圧検出信号Vr,det及び電源電流検出信号Is,detを整流用ダイオードD,Dでそれぞれ整流し、抵抗R,R及びコンデンサC,Cで平滑化し、直流電圧信号Vr,det1及び直流電圧信号Is,det1を生成する。そして、除算回路28は、直流電圧信号Vr,det1を直流電圧信号Is,det1で除算し、交流電源の内部インピーダンスZに比例した大きさの電圧信号K(Vr,det1/Is,det1)を出力する。そして、減算回路29は、初期給電電流目標信号Ich0,rからこの電圧信号K(Vr,det1/Is,det1)を減算し、給電電流目標信号Ich,r=Ich0,r−K(Vr,det1/Is,det1)を出力する。従って、給電電流目標信号Ich,rは、交流電源の内部インピーダンスZが大きいと小さくなり、逆に交流電源の内部インピーダンスZが小さいと大きくなる。すなわち、電源50の電源容量が小さいと給電電流目標信号Ich,rは小さい値となり、電源50の電源容量が大きいと給電電流目標信号Ich,rは大きい値となる。これにより、電源50の電源容量(給電能力)に応じて給電電流目標信号Ich,rが自動的に適宜な値に調節される。この給電電流目標信号Ich,rが、サイリスタ整流回路から負荷の給電ノード26に供給する電流の目標値となる。
【0055】
一方、電源50から変圧器5の一次側巻線5aに電源電流Iが入力されると、変圧器5の二次側巻線5bに交流電圧が発生し、サイリスタ整流回路6に入力される。負荷の給電ノード26には、二次側巻線5bに発生する交流電圧をサイリスタ整流回路6で整流した電圧に基づいて流れる電流(給電電流Ich)が入力される。給電側検流器7は、給電電流Ichを検出し、給電電流Ichの大きさに比例した給電電流検出信号Ich,detを出力する。尚、初期状態では給電電流Ichは0なので、給電電流検出信号Ich,detも0になる。
【0056】
給電電流判定回路22は、給電電流目標信号Ich,rから給電電流検出信号Ich,detを差し引いた給電電流偏差εchを出力する。給電電流偏差εchは、給電電流検出信号Ich,detが給電電流目標信号Ich,rに達しないときは正の値となり、給電電流検出信号Ich,detが給電電流目標信号Ich,rより小さいほど給電電流偏差εchは大きくなる。
【0057】
点孤角制御回路24は、給電電流偏差εchが0となるようにサイリスタ整流回路6の各サイリスタ6a,6bの点孤角αを制御する。すなわち、給電電流偏差εchが正の値の場合には、給電電流Ichの値が大きくなるように、サイリスタ6a,6bのゲートに入力する点孤パルスの位相が調整される。逆に、給電電流偏差εchが負の値の場合には、給電電流Ichの値が小さくなるように、サイリスタ6a,6bのゲートに入力する点孤パルスの位相が調整される。この点孤角制御回路24の制御により、給電電流Ichの値が給電電流目標信号Ich,rで定まる所定の目標電流となるよう調節される。
【0058】
以上のように、サイリスタ整流回路から給電ノード供給される給電電流は、電源容量自動計測部21で電源50の内部インピーダンスを自動計測し、電源50の能力(性能)一杯の給電を行うことができるように設定されるため、電源50の能力に応じて最も効率のよい給電電流を負荷である給電ノードに供給することが可能となる。
【0059】
二次電池8の充電が進むと、負荷の給電ノード26の電圧(給電電圧V)が上昇する。給電電圧Vが上昇するのに比例して分圧ノード27の電圧VB,detも上昇する。分圧ノード27の電圧VB,detが給電電圧の目標電圧VB,rに達すると、給電電圧判定回路23の出力は、“1”から“0”に切り替わる。点孤角制御回路24は、給電電圧判定回路23の出力が“0”になると、サイリスタ6a,6bを消孤状態とする。これにより、給電電流Ichは0となり、二次電池8の過充電が防止される。
【0060】
(2)出力端子に繋がる負荷回路への給電
図1の回路において、負荷回路への出力端子(OUT,GND)からみると、アーク発生を容易にする整流回路17と二次電池8とが並列に接続された状態となっている。従って、出力電流Iが減少して小さくなると、直流リアクトル18に蓄えられた電磁エネルギーを基としてアーク発生を容易にする負荷電流Iの時間微分に応じて出力端子(OUT)に高電圧が印加される。このことにより、出力端子(OUT,GND)に繋がる負荷にはアーク発生が容易となる。
【0061】
出力端子に繋がる負荷回路がOFF状態の場合(負荷回路に電力供給がない場合)、電源50から給電される余剰電力のすべては二次電池8に充電される。一方、出力端子に繋がる負荷回路がON状態の場合、電源からは、電源の性能限界の最大限の電力を供給しながら、不足分の電力は二次電池8より供給して溶接に必要な電力を得ることができる。
【0062】
(3)負荷電流IWMの制御
図5は、図1の電源装置1の負荷電流IWMの制御動作を示す図である。図6は、図1における各電流・電圧の波形を表す図である。図5,図6において横軸は時間を表す。また、図5(a)は負荷電流の目標電圧IWM,rの波形(直線)、図5(b)は負荷電流判定回路19の出力波形、図5(c)は単安定マルチバイブレータ38(図3)の出力波形、図5(d)はスイッチング回路11をオン・オフするためのゲート電圧VIGの波形を表す。
【0063】
負荷電流IWMが小さく、負荷電流IWMを検出した負荷電流検出電圧WM,detが荷電流目の標電圧IWM,rに達していない場合、負荷電流判定回路19の出力である比較結果信号Vcom“1”である。このとき、エミッタ接地増幅回路34の出力はL(Low状態)、シュミットトリガ・インバータ35,36の出力はそれぞれH(High状態),Lとなり、NANDゲート40の出力は“1”、ゲート電圧VIGはHであり、スイッチング回路11は通電状態となる。
【0064】
負荷電流IWMが増加して、負荷電流検出電圧IWM,detが負荷電流の目標電圧IWM,rに達すると、負荷電流判定回路19の出力が“0”に切り替わる。これにより、単安定マルチバイブレータ38の出力Qが遅延時間Tだけ“1”に立ち上がる(出力Q^は遅延時間Tだけ“0”に立ち下がる)。従って、この間は、NANDゲート40の出力は“1”、ゲート電圧VIGはH(ON)であり、スイッチング回路11は遅延時間Tだけ通電状態に維持される。
【0065】
遅延時間Tが経過して単安定マルチバイブレータ38の出力Qの出力パルスが立ち下がると(出力Q^の出力パルスが立ち上がると)、NANDゲート40の両入力はHとなるので、NANDゲート40の出力は“0”、ゲート電圧VIGはLとなり、スイッチング回路11はターンオフする。このとき、直流リアクトル15に蓄積された電磁エネルギーにより逆起電力が発生し、負荷電流IWMは還流ダイオード13を通って継続して流れる。そして、時間と共に負荷電流IWMは減衰する。
【0066】
負荷電流IWMが減衰していくと、負荷電流検出電圧IWM,detが負荷電流目標電圧IWM,rより小さくなるため、負荷電流判定回路19の出力が“1”となる。これにより、エミッタ接地増幅回路34の出力がL、シュミットトリガ・インバータ35,36の出力がそれぞれH,L、NANDゲート40の出力が“1”、ゲート電圧VIGがHとなり、スイッチング回路11は再びターンオンされる。スイッチング回路11がターンオンされると、ターンオンの時点から僅かの間は、スイッチング回路11の応答遅れで負荷電流IWMは減少を続けるが、すぐに増加に転じる。従って、すぐに負荷電流IWMは再び負荷電流目の標電圧IWM,rに達して越える。
【0067】
負荷電流IWMが再び負荷電流の目標電圧IWM,rを越えると、前述したとおり、負荷電流判定回路19の出力が“0”に切り替わり、単安定マルチバイブレータ38の出力Qパルスが遅延時間Tだけ“1”に立ち上がる(出力Q^は遅延時間Tだけ“0”に立ち下がる)。従って、この間は、NANDゲート40の出力は“1”、ゲート電圧VIGはHであり、スイッチング回路11は通電状態に維持される。以下同様の動作を繰り返して、負荷電流IWMは負荷電流の目標電圧IWM,r近傍に維持される。
【0068】
以上のように、負荷電流制御回路20は、負荷電流IWMが負荷電流の目標電圧IWM,rを越えた場合、その越えた時点から所定の遅延時間Tだけ遅延させてスイッチング回路11をターンオフし、負荷電流IWMが負荷電流の目標電圧IWM,rを下回った場合、スイッチング回路11をターンオンすることで、スイッチング回路11のスイッチングが短時間で高速に行われることを防止し、負荷電流の制御性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る電源装置の回路構成を表す図である。
【図2】図1の電源容量自動計測部21の詳細な回路構成を表す図である。
【図3】図1の負荷電流制御回路20及びその周辺回路の詳細な回路構成を表す図である。
【図4】図1の負荷電流制御回路20及びその周辺回路の詳細な回路構成を表す図である。
【図5】図1の電源装置1の負荷電流IWMの制御動作を示す図である。
【図6】図1における各電流・電圧の波形を表す図である。
【符号の説明】
【0070】
電源装置1
交流電源の内部抵抗2
交流電源の内部インダクタンス3
入力側検流器4
変圧器5
一次側巻線5a
二次側巻線5b,5c
サイリスタ整流回路6
サイリスタ6a,6b
給電電流検流器7
二次電池8
限流ヒューズ9
分圧回路10
分圧抵抗R,R
スイッチング回路11
保護ダイオード12
還流ダイオード13
負荷電流検流器14
直流リアクトル15
逆流防止ダイオード16
アーク発生を容易にする整流回路17
直流リアクトル18
負荷電流判定回路19
負荷電流制御回路20
電源容量自動計測部21
給電電流判定回路22
給電電圧判定回路23
点孤角制御回路24
接地ノード25
給電ノード26
分圧ノード27
除算回路28
減算回路29
シャント抵抗30
アンプ回路31
可変抵抗32
コンパレータ33
エミッタ接地増幅回路34
シュミットトリガ・インバータ35,36
単安定マルチバイブレータ38
遅延時間設定回路39
NANDゲート40
スイッチング回路11をオン・オフするための出力回路41
IGBTドライバ回路42
IGBTモジュール駆動用配ハイブリッドIC43
IGBT過電流保護回路44
電源50
電源電流I
電源電流検出信号Is,det
入力電圧V
入力電圧検出信号Vr,det
給電電圧V
給電電圧の目標電圧VB,r
蓄電池電流I
給電電流Ich
給電電流検出信号Ich,det
給電電流目標信号Ich,r
初期給電電流目標信号Ich0,r
給電電流偏差εch
負荷電流IWM
アーク発生を容易にする負荷電流I
出力電流I
出力電圧V
負荷電流検出電圧IWM,det
負荷電流の目標電圧IWM,r
遅延時間T
ゲート電圧VIG
電源入力端子IN
出力端子OUT
出力を兼ねた接地端子GND

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力とする交流電源を一次側巻線に配した変圧器と、
前記変圧器の二次側巻線に接続された点孤角制御により出力電圧の制御可能なサイリスタ整流回路と、
サイリスタ整流回路の正極端子が給電ノードに接続され、サイリスタ整流回路の負極端子が接地ノードに接続されており、両ノード間には充放電を行う二次電池と、を備え、前記給電ノードと接地ノードから負荷回路へ給電を行う電源装置であって、
前記交流電源から前記変圧器の一次側巻線に入力される電圧及び電流を検出し、当該電圧及び電流から予測される前記交流電源の電源インピーダンスに対して逆勾配特性で変化する信号と正勾配特性で変化するサイリスタ整流回路の出力電流である給電電流の目標信号とを合成して給電電流目標信号を出力する電源容量自動計測部と、
前記給電電流目標信号と給電電流検出信号との偏差が0又は所定の閾値以下となるように前記サイリスタ整流回路の点孤角を制御する点孤角制御回路と、を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記接地ノードに対する給電ノードの電圧である給電電圧を検出し、これと前記給電電圧の目標電圧とを比較する給電電圧判定回路を備え、
前記点孤角制御回路は、前記給電電圧判定回路により、前記給電電圧が前記給電電圧の目標を越えたことが検出された場合、前記サイリスタ整流回路を消孤状態とすることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記給電ノードから前記負荷回路へ給電される電流の通断を行うスイッチング回路と、
前記負荷回路から見て前記スイッチング回路と前記接地ノードに対して、並列に接続された還流ダイオードと、
前記負荷回路へ給電される電流である負荷電流を検出する負荷電流検出器と、
前記負荷電流が負荷電流の目標電圧を越えたか否かを検出する負荷電流判定回路と、
前記スイッチング回路の通断を制御する負荷電流制御回路と、
を備え、
前記負荷電流制御回路は、前記負荷電流が負荷電流の目標電圧を越えた場合、その越えた時点から所定の時間だけ遅延させて前記スイッチング回路をターンオフし、前記負荷電流が負荷電流の目標電圧を下回った場合、前記スイッチング回路をターンオンすることを特徴とする請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の電源装置を備えたことを特徴とするアーク溶接機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−232599(P2009−232599A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76086(P2008−76086)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(802000031)財団法人北九州産業学術推進機構 (187)
【Fターム(参考)】