説明

電源装置及び画像形成装置

【課題】 負荷が小さい省電力状態において、急峻、且つ、過大な電圧変動が生じても電源装置が誤動作することを回避する。
【解決手段】 省電力状態に遷移可能な画像形成装置において、省電力状態で、電源の一次側の電圧変動を検知すると、二次側の負荷を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に電力を供給する電源装置、及び、それを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の一例として、図8に記録材に画像を形成する画像形成装置としてのレーザビームプリンタ47の構成例を示す。図8のレーザビームプリンタは、コンピュータ等の外部装置43から送信される命令やデータに基づき画像形成動作を行う画像形成本体部30(以下、本体30という)を有している。この画像形成動作を行う本体30では、帯電ローラ32により像担持体である感光ドラム31の表面を一様に帯電し、その後、露光部33が感光ドラム31の表面を画像情報に基づいたレーザ光で走査して静電潜像を形成する。そして、現像装置34が、感光ドラム31に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像して感光ドラム31に現像剤像を形成する。そして、給紙カセット35に収容された記録材36が、給紙ローラ37によって本体30の内部に供給されて、感光ドラム31の現像剤像が転写ローラ38により記録材36に転写される。その後、定着装置39が、記録材36に転写された現像剤像を記録材36に定着する。
【0003】
また、レーザビームプリンタ47には、制御装置としてのエンジンコントローラ40とビデオコントローラ41を有している。これらのコントローラ40と41は、インターフェース42により双方向に通信可能に接続されている。エンジンコントローラ40は、本体30の上記の画像形成動作を制御している。ビデオコントローラ41は、外部装置43と汎用インターフェース44で接続されており、外部装置43から送信される画像情報をビットデータに展開し、展開したビットデータをエンジンコントローラ40へ送信する。また、本体30は、電源装置2が設けられ、この電源装置2から、画像形成動作のための高電圧生成部45、モータを含む駆動力生成部46、露光部33、エンジンコントローラ40、及び、ビデオコントローラ41に電力を供給する。レーザビームプリンタ47のような装置は、近年、印字動作を実行していない待機時の省電力化のため、消費電力を低減するいくつかの省電力状態(省エネルギー状態ともいう)に遷移する機能が設けられている。この省エネルギー状態に移行する方法として、装置内の様々な負荷を極力小さくする方法を採用している。例えば、省エネルギー状態において、装置内の様々な負荷を削減するために、エンジンコントローラ40が、電源装置2から高電圧生成部45、駆動力生成部46、露光部33への電力供給を停止するように制御する方法が採用されている。また、他の方法としては、電源装置2そのものの動作を高効率化する方法も採用されている。以下に、画像形成装置に用いられる一般的な電源装置2の構成について図9に基づき説明する。図9は、電源装置の一例として、RCC電源(自励式リンギングチョークコンバータ)を示す。図9において、商用交流電源1から供給された交流電圧を、一次フィルタ6、ダイオードブリッジ7、一次電解コンデンサ8により直流電圧に変換する。そして、変換した直流電圧を、FET10のスイッチング動作によってパルス電圧に変換して、トランス9の一次巻線に供給する。そして、トランス9の二次巻線に誘起した電圧を、ダイオード12、電解コンデンサ13により整流して、直流電圧V1を生成して二次側の負荷3に供給する。この負荷3は、上記した画像形成装置内の高電圧生成部45、駆動力生成部46、露光部33等に対応する。また、スイッチング動作を制御する制御IC11は、不図示の出力電圧のフィードバックにより、所望の直流電圧V1が出力されるFET10のスイッチング動作を制御してトランス9を駆動する。なお、制御IC11の駆動電圧Vccは、トランス9の補助巻線に誘起した電圧をダイオード14、電解コンデンサ15により整流して得られた電圧である。
【0004】
ここで、上記の省エネルギー状態では、負荷3を極力小さくすることと、電源装置2の動作を高効率化することが必要となる。例えば、特許文献1に、電源装置の動作の高効率化の方法として、制御IC11によりFET10(トランス9)を間欠発振駆動させて、電源装置2を高効率に動作させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−252973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように電源装置を間欠発振駆動して、省エネルギー状態に移行した場合に、次に説明するような課題が発生する。電源装置が省エネルギー状態に移行している際に、雷サージのような急峻、且つ、過大な一次側の電圧変動が発生し、その後、省エネルギー状態が解除されると電源装置が誤動作する可能性がある。この誤動作の現象について図9、図10を用いて説明する。
【0007】
図10に、図9の電源装置2の主要部電圧波形を示す。図10において、Vgsは、FET10のゲート電圧、Vdsは、FET10のドレイン電圧、Vhは、一次電解コンデンサ8の電圧、Vccは、制御IC11の駆動電圧である。省エネルギー状態において、電源装置2は、間欠発振駆動されているため、VgsがHighとなり、FET10がオンする時間は非常に短くなる。この状態で、雷サージが発生すると、Vhが急激に高い電圧となる。すなわち、トランス9の一次巻線に供給される電圧が急激に高くなる。そして、雷サージの発生直後の、VgsがHighとなり、FET10がオンするタイミングにおいて、トランス9の一次巻線に供給された電圧に比例した電圧がトランス9の補助巻線に発生して制御IC11の駆動電圧Vccが高くなる。ここで、VgsがHighとなる時間は、非常に短いため、Vccは、制御IC11の保護回路(例えば、シャットダウンラッチ等の保護回路)が動作する程、高電圧には至らない。一方、負荷3は極めて小さいので、トランス9の二次側へのエネルギー放出は非常に小さくなっている。従って、Vhは高電圧を保持することになる。この高電圧の状態が保持されている期間に、例えば、外部装置43から印字を指示するコマンドが、画像形成装置に対して送出される、また、ユーザが不図示の電源スイッチ(例えば、ソフトスイッチ)にアクセスする等、省エネルギー状態の解除命令が出された場合は、画像形成装置内の様々な負荷に電力を供給する必要がある。すなわち、トランス9の二次側へのエネルギー放出を増大して、負荷3に電力を供給することになる。そのため、VgsがHighとなる時間が長くなり、高電圧を保持したVhの影響がVccに現れて、Vccは、制御IC11の保護回路の閾値電圧(シャットダウンラッチ電圧)に至る高電圧となる。このように、省エネルギー状態において負荷3を、極力小さくする方法や高効率化のための間欠発振駆動させる方法を用いた場合、Vhが高電圧を維持することによって、電源装置の誤動作が発生する。
【0008】
この誤動作は、例えば、高電圧生成部45、駆動力生成部46、露光部33だけでなく、ビデオコントローラ41への電力供給も停止して、待機時における装置の消費電力を、0.5W〜1.0W程度にまで低減する際に、画像形成装置が有する複数の省エネルギー状態のうちでも、最大限に負荷3を小さくする程、顕在化してくる。
【0009】
この対策として、Vccが制御IC11のシャットダウンラッチ電圧に至らないように、電解コンデンサ15の両端に、ツェナーダイオードを接続した構成が考えられる。一般に、ツェナーダイオードのツェナー電圧には、素子毎にばらつきがあるため、商用交流電源1における交流電圧の変動と雷サージ等のような急峻、且つ、過大な一次側の電圧変動の両者に対応して適切に対応することが困難である。また、別の対策として、雷サージを一次側の回路で吸収する構成が考えられる。例えば、雷サージのような異常な過電圧に対してのみ動作して、過電圧を吸収するアレスタのような素子を用いることになるが、アレスタを設けると装置の大型化やコストアップとなる。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、小型で安価な電源装置であって、二次側の負荷が小さい省電力状態において、雷サージのような急峻、且つ、過大な電圧変動が生じた後に、省電力状態が解除された際の電源装置の誤動作を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明の電源は、入力される交流電圧から直流電圧を生成して負荷に供給し、動作を待機している際に省電力状態に遷移することが可能な電源であって、前記電源の一次側の電圧変動を検知する一次電圧変動検知手段と、前記電源の二次側の負荷を増加させる二次負荷増加手段と、を備え、前記省電力状態で、前記一次電圧変動検知手段により前記一次側の電圧変動を検知すると、前記二次負荷増加手段によって前記負荷を増加させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の電源は、入力される交流電圧から直流電圧を生成して負荷に供給し、動作を待機している際に省電力状態に遷移することが可能な電源であって、前記電源の二次側の負荷を増加させる二次負荷増加手段と、を備え、前記省電力状態に遷移すると、前記二次負荷増加手段によって前記負荷を増加させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
負荷が小さい省電力状態において、急峻、且つ、過大な電圧変動が生じても電源装置が誤動作することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における雷サージ対策回路の構成概念を示す図である。
【図2】実施例1における雷サージ対策回路の構成を示す図である。
【図3】実施例1における雷サージ対策回路の主要部の電圧波形を示す図である。
【図4】実施例2における雷サージ対策回路の構成を示す図である。
【図5】実施例2におけるエンジンコントローラの制御フローチャートを示す図である。
【図6】実施例3における雷サージ対策回路の構成を示す図である。
【図7】実施例4における雷サージ対策回路の構成概念を示す図である。
【図8】画像形成装置の構成概念を示す図である。
【図9】従来の電源装置を示す図である。
【図10】従来の電源装置の主要部電圧波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、上述した課題を解決するための本発明の具体的な構成について、以下に実施例に基づき説明する。なお、以下に示す実施例は一例であって、この発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。以下、本発明の構成について実施例を示して詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
実施例1の構成及び動作について図1、図2、図3に基づいて以下に説明する。なお、上記の図9、図10と同一の構成や機能については同一の符号を付して説明を省略する。
【0017】
図1に、電源の商用交流電源側(交流電圧の入力側)に雷サージのような過大な電圧変動が発生した時の対策を施した電源回路の構成を示す。図1に示す回路の特徴点は、装置が所定の省電力状態(省エネルギー状態ともいう)である場合に、雷サージのように急峻、且つ、過大な一次側の電圧変動の発生を、一次電圧変動検知部5によって検知し、検知結果に基づいて二次負荷増加部4が負荷3を所定時間だけ増大させる点にある。一次電圧変動検知部5は、雷サージによる一次側の電圧Vhの増大を、トランス9の一次巻線のオンタイミングにおいて、トランス9の二次巻線に発生する電圧Vaが所定値を超えることを検知して判断する。上記のように、負荷3を極力小さくする方法や電源装置2を間欠発振駆動させる方法では、一次側の電圧Vhが高電圧に維持されるため、電源装置2が誤動作する可能性があった。そこで、本実施例では、一次側の電圧Vhを降下させる。なお、本実施例における所定の省エネルギー状態とは、上記の図8に示す画像形成装置において、例えば、高電圧生成部45、駆動力生成部46、露光部33だけでなく、ビデオコントローラ41への電力供給もオフする制御を行って、省電力で待機する状態である。この待機時では、画像形成装置の消費電力は0.5W〜1.0W程度に抑えた状態であり、画像形成装置において最大限に負荷3を小さくした状態である。
【0018】
以下に、本実施例の詳細構成について図2を用いて説明する。図1の一次電圧変動検知部5は、抵抗16、17、18、19、20、21、コンデンサ22、コンパレータ23により構成される。また、図1の二次負荷増加部4は、抵抗24、25、26、トランジスタ27により構成される。図3は、図1の電源装置2(RCC電源)動作時の主要部の電圧波形を示している。図3において、Vaは、トランス9の二次巻線の電圧である。スイッチング素子としてのFET10のゲート電圧Vgs(以下、Vgsという)がHighとなり、FET10がオンするタイミングで、一次側の入力電圧Vhに対してトランス9の巻線数比に応じたマイナス電位がVaとして発生する。このVaのマイナス電位を、一次電圧変動検知部5により検知することで、雷サージのような過大な電圧変動の発生を検知することができる。すなわち、雷サージ発生直後、VgsがHighとなり、FET10がオンするタイミングにおいて、Vaを抵抗16、17、18により分圧された電圧V−が、予め設定された基準電圧V+より低くなった場合に、コンパレータ23の出力端子がオープンコレクタ状態となり、二次負荷増加部4に対してHigh信号を送信する。ここで、基準電圧V+は、直流電圧V1を抵抗19、20により分圧することにより設定される。また、コンパレータ23の出力端子は、基準電圧V+>V−の場合にオープンコレクタ状態でHigh出力となり、基準電圧V+<V−の場合にLow出力となる仕様である。
【0019】
次に、二次負荷増加部4は、High信号に従ってトランジスタ27をオンして、抵抗26を通電状態にして負荷3を増大させる。そして、トランス9の二次側へVhが増加した分、エネルギーを放出してVhを降下させる。Vhが降下する時間は、抵抗16、17、18、コンデンサ22で決定される時定数Tで設定されており、FET10が複数回オン動作を繰り返すことにより雷サージにより増加した分のVhが降下していく。そして、Vhが降下すると、基準電圧V+<V−となり、二次負荷増加部4に対してLow信号が送出され、二次負荷増加部4は、トランジスタ27をオフして、負荷3の増大させる動作を停止させる。以上、説明した動作により、雷サージのような一次側の過大な電圧変動の発生直後のVgsがHigh状態となってFET10がオンするタイミングにおいて、Vhを降下させることができる。これにより、その後、省エネルギー状態が解除された際に電源装置2の誤動作を回避することができる。尚、上記の抵抗26の値は、Vhを十分に降下させるに値に設定すれば良い。具体的には、雷サージで発生する増加電圧分が100V程度であるため、その増加電圧値や、トランス9の巻線数比(例えば7:2)等に応じて抵抗26の抵抗値を、100〜300Ω程度に設定する。また、Vhを十分に降下させる抵抗26の通電時間は、抵抗16、17、18、コンデンサ22で決定される時定数Tを適切に選定して設定すれば良い。本実施例では、通電時間が数百μsecになるように時定数Tを設定した。また、本実施例の動作によって、雷サージが発生した場合に、一時的に負荷3を増大させる動作を行うため、省エネルギー状態を低消費電力状態のまま維持することができる。
【0020】
以上のように、本実施例では、負荷が極端に小さい省エネルギー状態において、雷サージのような急峻、且つ、過大な一次側の電圧変動が発生を検知して、負荷を増大させる構成とした。これにより、省エネルギー状態において一次側に過大な電圧変動の発生後に、省エネルギー状態が解除されても、電源装置の誤動作の発生を回避でき、さらに、省エネルギー状態を低消費電力状態に維持することができる。
【実施例2】
【0021】
次に、実施例2の構成及び動作について図4、図5、図6に基づいて説明する。なお、上記の実施例1と同一の構成及び機能については同一の符号を付して説明を省略する。
【0022】
本実施例では、実施例1における二次負荷増加部4の構成が異なっている。図4を用いて本実施例の電源回路の構成詳細を説明する。本実施例では、実施例1(図1)の二次負荷増加部4が、エンジンコントローラ40の主要部であって画像形成装置の動作を制御するマイクロコントローラ28(以下、CPU28と記す)になっている。つまり、本実施例ではCPU28のクロック発振周波数を変化させる回路を設けて、二次負荷増加部4としている点が特徴である。省エネルギー状態において、CPU28の発振周波数を、画像形成動作の待機状態よりも低下させたり、また、クロック発振自体を停止させたりして、CPU28の消費電力を削減する方法を前提とする。以下に、この方法を用いて、二次負荷増加部4、及び、増大される負荷3の両者を、CPU28の動作の切り替えによって実行する制御について、図5の制御フローチャートに基づき説明する。なお、この図5の制御はエンジンコントローラ40によって実行されるものとする。
【0023】
まず、エンジンコントローラ40は、画像形成装置の各負荷への電力供給をオフし、且つ、CPU28のクロック発振周波数を低下させるように制御して、画像形成装置を省エネルギー状態に遷移させる(S1)。この状態で、雷サージが発生した場合、エンジンコントローラ40は、一次電圧変動検知部5によって、一次側の過大な電圧変動を検知したか否かを判断する(S2)。一次電圧変動検知部5が、一次側の過大な電圧変動を検知したと判断すると、CPU28の入力ポートPIにHigh信号が入力される。そして、CPU28は、過大な電圧変動の発生を認識して、一時的に負荷を増大させる必要があると判断し、自身のクロック発振周波数を上昇させる。すなわち、CPU28が上記の実施例1における二次負荷増加部4と負荷3として機能する(S3)。そして、一次側の入力電圧Vhが十分に降下して、電圧変動の影響を吸収する時間が経過した後、再び、画像形成装置を省エネルギー状態に遷移させる(S1)。一方、一次電圧変動検知部5が、一次側の過大な電圧変動を検知しなければ、省エネルギー状態の解除命令を受信しない限り、省エネルギー状態を維持する(S4、S5)。そして、省エネルギー状態の解除命令を受信した場合は、画像形成装置を通常の動作状態に遷移させる(S6)。
【0024】
なお、図5の制御フローチャートでは、省エネルギー状態において、CPU28のクロック発振周波数を低下させる方法を一例として説明した。しかし、CPU28のクロック発振を停止させた省エネルギー状態であっても同様に制御することができる。また、図4で示した一次電圧変動検知部5は、検知結果をコンパレータ23で二値化して出力する(High/Lowの出力)例を説明したが、例えば、図4(b)に示すように、一次電圧変動検知部5から、抵抗19、20、コンパレータ23を削除して、アナログ電圧そのものをCPU28のA/Dポートに入力して処理することもできる。
【0025】
そして、一次電圧変動検知部5から送出される信号が、CPU28の入力ポートPIに入力された場合に、CPU28のクロック周波数を上昇させる。また、クロック発振が停止している場合は、クロック発振動作を開始させる。これにより、負荷を増大させる。また、CPU28は、一次側の入力電圧Vhを十分に降下させるに相当する時間だけ、クロック発振周波数を変化させて、負荷を増大させる時間を細かく可変設定することができる。
【0026】
なお、本実施例では、CPU28を用いた制御であるため、入力電圧Vhが十分に降下した時間が経過した後、再び、省エネルギー状態へ遷移する処理を行うことが可能である。また、CPU28のA/Dポートを使用した構成にすれは、雷サージのような過大な電圧変動の発生を検知するだけでなく、変動の度合いをアナログレベルとして検知することができる。これにより、電圧変動の度合いに応じて、CPU28がクロック周波数を細かく可変に切り替えて上昇させて負荷を増大させる時間を適切に設定することが可能となる。これにより、電圧変動の発生に起因した入力電圧Vhを短時間で降下させることができる。従って、実施例1で説明した構成と同様の効果が得られることに加え、負荷を増大させる時間を最適化することができる。
【0027】
以上のように、本実施例によれば、二次側の負荷が極端に小さい、省エネルギー状態において、雷サージのような過大な電圧変動の発生後に、省エネルギー状態が解除された際に、電源装置の誤動作を回避し、かつ、省電力状態に維持することができる。
【実施例3】
【0028】
次に、実施例3の構成及び動作について図6に基づき説明する。なお、上記の実施例2と同一の構成や機能については同一の符号を付して説明を省略する。
【0029】
本実施例の電源回路の詳細構成について図6(a)を用いて説明する。本実施例の特徴点は、実施例2で説明した図4における二次負荷増加部4としてのCPU28に更に、抵抗24、25、26、トランジスタ27が追加された点である。本実施例は、例えば、CPU28のクロック発振周波数を上昇させて、負荷を増大させる際の負荷量が、一次側の変動電圧Vhを短時間で降下させるに満たない場合に有効な構成である。具体的には、CPU28の出力ポートPOに抵抗24、25、26、トランジスタ27を接続して、その回路を動作させる。すなわち、CPU28は、自身を実施例1で説明した二次負荷増加部4と負荷3として用いることに加え、出力ポートPOよりHigh信号を送信してトランジスタ27をオンし、抵抗26を通電状態にして負荷を増大させる。これにより、実施例1及び実施例2で説明した構成と同様の効果が得られることに加え、更に、負荷を増大させる際の負荷量と負荷を増大させる時間をより適切に設定して、一次側の過大な電圧変動の発生に起因した電圧変動Vhを短時間に降下させることができる。なお、図6(a)で示した一次電圧変動検知部5は、検知結果をコンパレータ23により二値化して処理を行う構成であるが、例えば、図6(b)に示すように、一次電圧変動検知部5から、抵抗19、20、コンパレータ23を削除し、アナログ電圧の検知結果をCPU28のA/Dポートに入力して処理しても良い。
【0030】
以上のように、本実施例によれば、二次側の負荷が極端に小さい、省エネルギー状態において、雷サージのような過大な電圧変動の発生後に、省エネルギー状態が解除された際に、電源装置の誤動作を回避し、かつ、省エネルギー状態を低消費電力状態で維持することができる。
【実施例4】
【0031】
次に、実施例4について図7に基づいて説明する。なお、上記の実施例1と同一の構成及び機能については同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
本実施例は、上記の実施例1乃至3における一次電圧変動検知部5を設けずに、二次負荷増加部4のみを設けた簡易的な構成である。本実施例の特徴点は、装置の所定の省エネルギー状態において、二次負荷増加部4が、負荷3を常に増大させる点である。
【0033】
次に、図7(a)の二次負荷増加部4の詳細構成について図7(b)を用いて説明する。二次負荷増加部4は、CPU28、抵抗24、25、26、トランジスタ27により構成される。CPU28は、所定の省エネルギー状態に遷移する処理を行う前に、出力ポートPOよりHigh信号を送信してトランジスタ27をオンする。これにより、抵抗26を通電状態にして負荷3を増大させる。この構成を用いた場合、所定の省エネルギー状態における消費電力を常に増大させることになり、上記の実施例1乃至3に比べると消費電力の低減効果は小さいが、雷サージのような過大な電圧変動の発生による電源装置2の誤動作を簡易的に防止することができる。
【0034】
以上のように、本実施例によれば、二次側の負荷が極端に小さい、省エネルギー状態において、雷サージのような過大な電圧変動の発生後に、省エネルギー状態が解除された際に、電源装置の誤動作を回避することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 商用交流電源
2 電源装置
3 負荷
4 二次負荷増加部
5 一次電圧変動検知部
6 一次フィルタ
7 ダイオードブリッジ
8 一次電解コンデンサ
9 トランス
10 FET
11 制御IC
12、14 ダイオード
13、15 電解コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される交流電圧から直流電圧を生成して負荷に供給し、動作を待機している際に省電力状態に遷移することが可能な電源であって、
前記電源の一次側の電圧変動を検知する一次電圧変動検知手段と、
前記電源の二次側の負荷を増加させる二次負荷増加手段と、を備え、
前記省電力状態で、前記一次電圧変動検知手段により前記一次側の電圧変動を検知すると、前記二次負荷増加手段によって前記負荷を増加させることを特徴とする電源。
【請求項2】
入力される交流電圧から直流電圧を生成して負荷に供給し、動作を待機している際に省電力状態に遷移することが可能な電源であって、
前記電源の二次側の負荷を増加させる二次負荷増加手段と、を備え、
前記省電力状態に遷移すると、前記二次負荷増加手段によって前記負荷を増加させることを特徴とする電源。
【請求項3】
トランスと、前記電源の駆動を制御する制御手段とを有し、前記制御手段からの信号によって、前記トランスの一次側のスイッチング素子を駆動することによって、前記トランスの二次側に発生する電圧から前記直流電圧を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の電源。
【請求項4】
前記制御手段は、前記省電力状態において、前記スイッチング素子を間欠発振駆動させることを特徴とする請求項3に記載の電源。
【請求項5】
前記一次電圧変動検知手段は、前記トランスの二次側に発生する電圧に基づいて、前記電源の一次側の電圧変動を検知することを特徴とする請求項3または4に記載の電源。
【請求項6】
前記二次負荷増加手段は、抵抗の接続の状態を制御することにより前記負荷を増加させる回路であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記二次負荷増加手段が前記負荷を増加させる量は、前記電源の一次側の電圧変動に応じた値に設定されることを特徴とする請求項1に記載の電源。
【請求項8】
前記二次負荷増加手段が前記負荷を増加させる時間は、前記一次電圧変動検知手段が検知した一次側の電圧変動の検知結果に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の電源。
【請求項9】
入力される交流電圧から直流電圧を生成して負荷に供給する電源を備え、画像形成動作を待機している際に省電力状態に遷移することが可能な画像形成装置であって、
前記電源の一次側の電圧変動を検知する一次電圧変動検知手段と、
前記電源の二次側の負荷を増加させる二次負荷増加手段と、を備え、
前記画像形成装置が前記省電力状態で、前記一次電圧変動検知手段により前記一次側の電圧変動を検知すると、前記二次負荷増加手段によって前記負荷を増加させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
入力される交流電圧から直流電圧を生成して負荷に供給する電源を備え、画像形成動作を待機している際に省電力状態に遷移することが可能な画像形成装置であって、
前記電源の一次側の電圧変動を検知する一次電圧変動検知手段と、
前記電源の二次側の負荷を増加させる二次負荷増加手段と、を備え、
前記画像形成装置が前記省電力状態に遷移すると、前記二次負荷増加手段によって前記負荷を増加させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成装置の動作を制御するコントローラを備え、
前記省電力状態において、前記コントローラを駆動するクロックの発振周波数は、画像形成動作の待機状態に比べて低いことを特徴とする請求項9または10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記省電力状態において、前記コントローラのクロック発振を停止していることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記二次負荷増加手段は、前記コントローラを駆動するクロック発振周波数を高くして前記負荷を増加させることを特徴とする請求項11または12のいずれかの項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−39684(P2012−39684A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174839(P2010−174839)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】