説明

電源装置及び電源装置を備える車両

【課題】電池セル表面に結露する事態を回避しつつ、電池セルと冷却プレート(61)との熱結合も維持可能とする。
【解決手段】複数の角形電池セル1を積層してなる電池積層体(5)5と、電池積層体(5)5の外部を、該電池積層体(5)5の一面の一部を残して被覆する被覆ケース(16)16と、該電池積層体(5)5の一面に熱結合状態に配置され、内部に冷媒を流すことで該電池積層体(5)5と熱交換を行うための冷却プレート(61)61と、を備える電源装置であって、電源装置はさらに、電池積層体(5)5の一面を被覆する防水性シート19を備え、電池積層体(5)5と被覆ケース(16)16との隙間に充填材を注入して形成された充填層18を介在させ、充填層18でもって防水性シート19を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ハイブリッド車や電気自動車等の自動車を駆動するモータの電源用、あるいは家庭用、工場用の蓄電用途等に使用される大電流用の電源装置及びこのような電源装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の組電池等、出力を高くした電源装置が求められている。このような電源装置では、多数の電池セルを直列に接続して出力電圧を高く、出力電力を大きくしている。電池セルは、大電流で充放電されると発熱する。特に、使用する電池セルの数が増えるに従い、発熱量も増大する。よって、効率よく電池セルの放熱を熱伝導して発散させる放熱機構が求められる。このような放熱機構としては、電池セルに対して冷却風を送風する空冷方式の他、冷媒を供給、循環させた冷却パイプを電池セルに接触させて、熱交換により直接冷却する方式も提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。このようなバッテリシステムにおいては、例えば図26、図27に示すように、電池セル201を積層した電池積層体205の下面に、冷媒を循環させる冷却パイプ260を配置し、冷却機構269に接続することで、冷却パイプ260あるいは冷却プレート261を介して、電池積層体205から熱を奪い冷却させている。図26の例では、冷却パイプ260が電池セル201を積層する積層方向と交差する方向に延長して配管している。また図27の例では、電池セル201を積層する積層方向と平行に冷却パイプ260を延長して配管している。さらに図28の例では、電池積層体205の下面に冷却プレート261を配置し、冷却プレート261に冷却パイプ260を配管することで、冷却プレート261を介して、電池積層体205から熱を奪い冷却させている。
【0003】
これらの冷却方式では、隣接する電池セル同士の隙間に冷却空気を送風する空冷式の冷却方式に比べ、冷媒を用いた熱交換によってより効率よく電池セルの熱を奪うことが可能となる。その反面、高い冷却性能のため冷却部分が比較的低温になる結果、温度が結露点以下に低下し、空気中の水分が冷やされて電池セルの表面に結露することがある。このような結露が生じると、意図しない通電が生じたり、腐食が生じたりすることがある。
【0004】
このための対策として、金属製の外装缶である電池セルの表面を樹脂などで完全に被覆し、電池セルの表面から空気層を排除することで、空気中に含まれる水分が結露する事態を回避することが考えられる。しかしながら、電池セルの周囲を樹脂で完全に被覆してしまうと、冷却プレートとの熱結合をどのように維持するのかが問題となる。すなわち、電池積層体の周囲を完全に被覆すると、冷却プレートとの熱結合が図れなくなり、放熱性が低下してしまう。このため、電池積層体の底面など、いずれかの面を開放して、ここに冷却プレートを配置する必要が生じる。
【0005】
しかしながら、このような配置では、冷却プレートと電池積層体との間に隙間が生じ、完全な密閉が図られなくなる結果、空気の出入りが生じて空気中の水分が結露する事態を阻止できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−134901号公報
【特許文献2】特開2009−134936号公報
【特許文献3】特開2010−15788号公報
【特許文献4】実公昭34−16929号公報
【特許文献5】特開2005−149837号公報
【特許文献6】特開2002−100407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、電池積層体と冷却プレートとの熱結合を図りつつ、結露を防止可能とした電源装置及び電源装置を備える車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る電源装置によれば、複数の角形電池セルを積層してなる電池積層体5と、一面を開口した箱形であり、該一面を残して前記電池積層体5の周囲を被覆する被覆ケース16と、前記被覆ケース16の該一面を閉塞すると共に、前記電池積層体5と熱結合状態に配置され、内部に冷媒を流すことで該電池積層体5と熱交換を行うための冷却プレート61と、を備える電源装置であって、前記電源装置はさらに、前記被覆ケース16と、前記冷却プレート61との接合界面を密封する封止部材20を備えることができる。これにより、被覆ケースと冷却プレートとで電池積層体を気密状態に閉塞でき、空気の流通を阻止して空気中の水分が結露する事態を回避できる。
【0009】
また第2の側面に係る電源装置によれば、さらに前記冷却プレート61と、前記電池積層体5との間に介在される、絶縁性と熱伝導性を有し、かつ弾性を有する熱伝導シート12を備えることができる。これによって、熱伝導プレートと電池積層体との間に隙間が形成される事態を回避し、両者間の熱結合を確実に発揮する構成が実現される。
【0010】
さらに第3の側面に係る電源装置によれば、前記封止部材20が、弾性を有する部材であり、該封止部材20が、前記冷却プレート61と前記被覆ケース16との界面に介在され、これらの界面で押圧されて弾性変形する。これにより、封止部材を弾性変形させて確実に冷却プレートと被覆ケースとの界面を防水構造とできる。
【0011】
さらにまた第4の側面に係る電源装置によれば、前記封止部材20が、リング状であって、該リング状の内径が、前記熱伝導シート12の外形よりも大きくできる。これにより、封止部材が熱伝導シートと抵触することなく、熱伝導シートの周囲で冷却プレートと被覆ケースとの界面を防水できる。
【0012】
さらにまた第5の側面に係る電源装置によれば、前記封止部材20のリング状の内径を、前記冷却プレート61の外形よりも小さくできる。これにより、封止部材は冷却プレートの内側で、かつ熱伝導シートの周囲で、熱伝導シートの周囲で冷却プレートと被覆ケースとの界面を防水できる。
【0013】
さらにまた第6の側面に係る電源装置によれば、前記熱伝導シート12は、その外形を前記冷却プレート61の表面よりも小さくしてなり、前記冷却プレート61の上面に前記熱伝導シート12を載置した状態で、該熱伝導シート12の周囲に平面状の段差領域62が設けられてなり、前記封止部材20を該段差領域62に配置することができる。これにより、熱伝導シートの周囲に設けられた段差領域で、封止部材は冷却プレートと被覆ケースとの界面を防水できる。
【0014】
さらにまた第7の側面に係る電源装置によれば、前記段差領域62又は該段差領域62と接合される被覆ケース16の少なくとも一方に、前記弾性部材を配置するための溝17を形成できる。これにより、封止部材を溝に案内して位置決めが図られ、信頼性高く防水構造を実現できる。
【0015】
さらにまた第8の側面に係る電源装置によれば、前記封止部材20をOリングとできる。
【0016】
さらにまた第9の側面に係る電源装置によれば、前記封止部材20が、前記熱伝導シート12と前記電池積層体5との間に介在される密閉プレート20Bであり、前記密閉プレート20Bは、前記被覆ケース16の開口を閉塞するように気密状態に前記被覆ケース16に固定され、前記密閉プレート20Bの背面側に前記熱伝導シート12を介して前記冷却プレート61を固定できる。これにより、密閉プレートで被覆ケースを気密状態に閉塞した上で、密閉プレートに冷却プレートを固定できるので、密閉プレートを介して電池積層体と冷却プレート間の高い熱伝導が維持される。特に、被覆ケースを気密に閉塞する部材と、電池積層体の冷却を行う部材を切り分けることで、これらの構成を別々に達成しやすくなり、密閉機能と冷却機能を各部材で個別に発揮させて構造上、製造上有利とできる。
【0017】
さらにまた第10の側面に係る電源装置によれば、さらに前記密閉プレート20Bと前記電池積層体5の一面との間に、弾性を有する第二熱伝導シート13を介在させることができる。これによって、密閉プレートと電池積層体との間の隙間を第二熱伝導シートで埋めることができ、この間の熱伝導を発揮させることができる。
【0018】
さらにまた第11の側面に係る電源装置によれば、前記密閉プレート20Bの大きさ及び外形が、前記被覆ケース16の開口と合致するように設計できる。これによって、密閉プレートで被覆ケースを気密に閉塞する構成を容易に実現できる。
【0019】
さらにまた第12の側面に係る電源装置によれば、前記密閉プレート20Bを、金属製のプレートとできる。これによって、金属製の密閉プレートを介在させても、熱伝導性を低下させることなく、冷却プレートでもって電池積層体を効率よく放熱できる。
【0020】
さらにまた第13の側面に係る電源装置によれば、前記電池積層体5と被覆ケース16との隙間に充填材を注入することができる。これによって、電池積層体の周囲を完全に閉塞して隙間を無くし、結露を物理的に阻止できる。
【0021】
さらにまた第14の側面に係る車両によれば、上記の電源装置を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1に係る電源装置を備える電源装置の分解斜視図である。
【図2】図1の組電池を示す斜視図である。
【図3】図2の電池積層体から冷却プレートを外した状態を示す分解斜視図である。
【図4】図2の電池積層体を斜め下方から見た斜視図である。
【図5】図2の組電池を示す分解斜視図である。
【図6】図5の電池積層体の分解斜視図である。
【図7】変形例に係る電源装置を示す断面図である。
【図8】電池積層体に吸水シートを配置する例を示す模式断面図である。
【図9】図8の電源装置を示す分解断面図である。
【図10】電池積層体と冷却プレートの界面に封止部材を配置する例を示す分解斜視図である。
【図11】図10の電池積層体を斜め下方から見た分解斜視図である。
【図12】図11の電池積層体の、封止部材を配置した部位を示す拡大斜視図である。
【図13】図12の電池積層体から封止部材を外した状態を示す拡大斜視図である。
【図14】実施例2に係る電源装置の電池積層体に吸水シートを配置する例を示す模式断面図である。
【図15】実施例3に係る電源装置を示す断面図である。
【図16】図14に示す電源装置の組み立て状態を示す断面図である。
【図17】図16に示す電源装置に熱伝導シート及び冷却プレートを配置する状態を示す分解断面図である。
【図18】実施例4に係る電源装置を示す断面図である。
【図19】図18に示す電源装置を示す分解断面図である。
【図20】冷却プレートの配置状態を示す模式平面図である。
【図21】実施例5に係る冷却パイプを下面に配置した電池積層体を示す模式断面図である。
【図22】実施例6に係る電池積層体を示す模式断面図である。
【図23】エンジンとモータで走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【図24】モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【図25】蓄電用の電源装置に適用する例を示すブロック図である。
【図26】従来の電源装置の冷却機構を示す斜視図である。
【図27】従来の他の電源装置の冷却機構を示す斜視図である。
【図28】従来のさらに他の電源装置の冷却機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電源装置及びこれを備える車両を例示するものであって、本発明は電源装置及びこれを備える車両を以下のものに特定しない。また、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
(実施例1)
【0024】
図1〜図13に、本発明の実施例1に係る電源装置100として、車載用の電源装置に適用した例を説明する。これらの図において、図1は電源装置100の分解斜視図、図2は図1の電池積層体5を示す斜視図、図3は図2の電池積層体5から冷却プレート61を外した分解斜視図、図4は図2の電池積層体5を斜め下方から見た斜視図、図5は図2の電池積層体5の分解斜視図、図6は図5の電池積層体5の分解斜視図、図7は変形例に係る電源装置を示す断面図、図8は電池積層体5と被覆ケース16との間に吸水シートを配置する例を示す模式断面図、図9は図8の電源装置を示す分解断面図、図10は電池積層体5と冷却プレート61の界面に封止部材20を配置する例を示す分解斜視図、図11は図10の電池積層体5を斜め下方から見た分解斜視図、図12は図11の電池積層体5の、封止部材20を配置した部位を示す拡大斜視図、図13は図12の電池積層体5から封止部材20を外した状態を示す拡大斜視図を、それぞれ示している。この電源装置100は、主としてハイブリッド車や電気自動車等の電動車両に搭載されて、車両の走行モータに電力を供給して、車両を走行させる電源に使用される。ただ、本発明の電源装置は、ハイブリッド車や電気自動車以外の電動車両に使用でき、また電動車両以外の大出力が要求される用途にも使用できる。
(電源装置100)
【0025】
電源装置100の外観は、図1の分解斜視図に示すように、上面を長方形状とする箱形である。この電源装置100は、箱形の外装ケース70を二分割して、内部に複数の組電池10を収納している。外装ケース70は、下ケース71と、上ケース72と、これらの下ケース71、上ケース72の両端に連結している端面プレート73とを備えている。上ケース72と下ケース71は、外側に突出する鍔部74を有し、この鍔部74をボルトとナットで固定している。外装ケース70は、鍔部74を外装ケース70の側面に配置している。また図1に示す例では、電池積層体5を長手方向に2つ、横方向に2列、計4個下ケース71に収納している。各電池積層体5は、外装ケース70内部の定位置に固定している。端面プレート73は、下ケース71と上ケース72の両端に連結されて、外装ケース70の両端を閉塞している。
(組電池10)
【0026】
組電池10は、図1に示す例では、4つの電池積層体5で構成される。すなわち、角型電池セル1の積層方向に2つの電池積層体5が連結されて一の電池積層連続体10Bを構成し、このような連結状態にある電池積層連続体10Bを2つ平行に並べて、組電池10を構成している。
【0027】
組電池10を構成する各電池積層体5の斜視図を図2に示す。この電池積層体5は、これを冷却するための冷却プレート61上に固定されている。電池積層体5は、図2〜図5に示すように、冷却プレート61上に固定するための連結構造を備えている(詳細は後述)。
【0028】
各電池積層体5は、図5及び図6に示すように、複数の角形電池セル1と、複数の角形電池セル1同士を積層する面に介在させて、角形電池セル1間を絶縁するセパレータ2と、複数の角形電池セル1とセパレータ2を交互に積層した電池積層体5を収納する被覆ケース16と、電池積層体5の積層方向の端面に配置された一対のエンドプレート3と、電池積層体5の両端面に配置されたエンドプレート3同士を締結する金属製の複数の締結部材4とを備えている。
(電池積層体5)
【0029】
電池積層体5は、図6に示すように複数の角形電池セル1を、絶縁性のセパレータ2を介して積層している。さらに図5に示すように、この電池積層体5の両端面に一対のエンドプレート3を配置して、一対のエンドプレート3を締結部材4で連結している。このように、互いに隣接する角形電池セル1を絶縁するセパレータ2を角形電池セル1同士の積層面に介在させて、複数の角形電池セル1とセパレータ2とを交互に積層した電池積層体5としている。
(角形電池セル1)
【0030】
角形電池セル1は、図6に示すように、その外形を構成する外装缶を、幅よりも厚さを薄くした角形としている。この外装缶を閉塞する封口板に正負の電極端子を設けると共に、電極端子の間に安全弁を設けている。安全弁は、外装缶の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。安全弁の開弁により、外装缶の内圧上昇を停止することができる。この角形電池セル1を構成する素電池は、リチウムイオン電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。特に、角形電池セル1にリチウムイオン二次電池を使用すると、電池セル全体の体積や質量に対する充電容量を大きくできる特長がある。さらに、本発明で用いる電池セルは角形電池セルに限らず、円筒型電池セルや外装体がラミネート材料で被覆された角形やその他の形状のラミネート電池セルであってもよい。
【0031】
積層されて電池積層体5を構成する各角形電池セル1は、隣接する正負の電極端子をバスバー6で連結して互いに直列に接続している。隣接する角形電池セル1を互いに直列に接続する組電池10は、出力電圧を高くして出力を大きくできる。ただ、組電池は、隣接する角形電池セルを並列に接続することも、直列接続と並列接続とを組み合わせて多直多並、又は、多並多直とすることもできる。また角形電池セル1は、金属製の外装缶で製作している。この角形電池セル1は、隣接する角形電池セル1の外装缶のショートを防止するために絶縁材のセパレータ2を挟着している。なお、角形電池セルの外装缶は、プラスチック等の絶縁材で製作することもできる。この場合、角形電池セルは外装缶を絶縁して積層する必要がないので、セパレータを金属製とすることや、セパレータを不要とすることもできる。
(セパレータ2)
【0032】
セパレータ2は、隣接する角形電池セル1を電気的、熱的に絶縁して積層するスペーサである。このセパレータ2はプラスチック等の絶縁材で製作しており、互いに隣接する角形電池セル1同士の間に配置されて、隣接する角形電池セル1を絶縁している。
【0033】
ここで、被覆ケース16と角形電池セル1との絶縁を確保することで、セパレータ2の側面を簡略化して小型化できる。すなわち図5及び図6に示す例では、被覆ケース16の側面を絶縁性として電池積層体5の側面を保護できるため、このセパレータ2は、角形電池セル1同士が対向する面のみを絶縁すれば足り、セパレータで角形電池セルの側面を被覆する必要がない。このため、セパレータの側面から、電池積層体5の側面を被覆するように突出させた部位を無くして小型化できる。あるいは、セパレータ自体を保持及び位置決めのために、角形電池セル側面の面取り部分に僅かに突出させたものを使用することもできる。このセパレータは、電池積層体の側面において角形電池セルの表面とほぼ同一平面に構成できるので、電池積層体の横幅を小さくできる。また、セパレータの上面に凹凸等による嵌合構造を設け、セパレータ同士の位置決めをすることもできる。その一方で、セパレータの側面に設けられた突出部分は、積層する電池セルを位置決めするために設けられる。
【0034】
なお、被覆ケースの全体を金属製とすることもできる。この場合は、被覆ケースの側面も金属製となるため、電池積層体の側面において角形電池セル間の絶縁を図るためセパレータで角形電池セルの側面を被覆することが好ましい。その一方で、電池積層体は、必ずしも角形電池セルの間にセパレータを介在させる必要はない。例えば角形電池セルの外装缶を絶縁材で成形し、あるいは角形電池セルの外装缶の外周を熱収縮チューブや絶縁シート、絶縁塗料等で被覆する等の方法で、互いに隣接する角形電池セル同士を絶縁することによって、セパレータを不要とできる。特に、角形電池セルの間に冷却風を強制送風して角形電池セルを冷却する空冷式によらず、冷媒等を用いて冷却させた冷却プレートを介して電池積層体を冷却する方式を採用する構成においては、角形電池セルの間にセパレータを介在させる必要は必ずしも無い。さらに、冷媒等を用いて冷却させた冷却プレートを介して電池積層体を冷却する方式を採用する構成においては、角形電池セルの間に冷却風を強制送風して角形電池セルを冷却する空冷式のように、角型電池セル同士の間に介在される絶縁性のセパレータに冷却風を流すための風路を設ける必要がないので、角型電池セルの積層方向の長さを短くすることができ、電池積層体の小型化を図ることができる。
(エンドプレート3)
【0035】
角形電池セル1とセパレータ2とを交互に積層した電池積層体5の両端面には、図5に示すように一対のエンドプレート3を配置している。この一対のエンドプレート3でもって、電池積層体5を両面から挟持するように締結している。エンドプレート3は、十分な強度を発揮する材質、例えば金属製とする。またエンドプレート3には、図1に示す下ケース71と固定するための固定構造を備えることもできる。
【0036】
なお、図5の例では被覆ケース16の両側端面を開放しているが、この構成に限られず、例えば一方の被覆ケースの端面を予め閉塞しておくことできる。この場合は、他方の開口端面から電池積層体を挿入した後、1枚のエンドプレートでもってこの開口端面を閉塞することにより、被覆ケースを側面周囲を閉塞することができる。
(締結部材4)
【0037】
締結部材4は、図2〜図5に示すように、両端にエンドプレート3が積層された電池積層体5の両側面に配置されて、一対のエンドプレート3に固定されて電池積層体5を締結する。この締結部材4は、図5の斜視図に示すように、電池積層体5の側面を覆う本体部41と、本体部41の両端で折曲され、エンドプレート3と固定される折曲片42と、上方で折曲されて電池積層体5の上面を保持する上面保持部43と、下方に突出される締結連結部44を備える。このような締結部材4は、十分な強度を有する材質、例えば金属製のバインドバーで構成される。なお図1に示す例では、各電池積層体5にそれぞれ締結部材を設けており、この場合は各電池積層体5にそれぞれの端面に位置するエンドプレート同士を、締結部材で固定する。尚、2つの電池積層体5を積層方向に並べた状態で、両側側面を締結部材4で一体的に連結することもできる。この構成では、締結部材4を電池積層体5同士を連結するための部材としても利用している。ここでは、端面に位置するエンドプレート3同士を締結部材4で固定すると共に、2つの電池積層体5の間で対向するエンドプレート3には、締結部材は固定されない。さらに、2つの電池積層体5の間で対向するエンドプレート3を一部品として共通化することもできる。エンドプレートと締結部材の固定は、実施例で記載のボルト等で固定する構造のものに限定しない。
(被覆ケース16)
【0038】
電池積層体5は、被覆ケース16で被覆される。実施例1において電池積層体5は、図5の分解斜視図に示すように、断面をコ字状として下面と両端面を開口した被覆ケース16と、被覆ケース16の両端を覆うエンドプレート3と、電池積層体5の底面を被覆する防水性シート19と、被覆ケース16の開口部を閉塞する冷却プレート61と、冷却プレート61と防水性シート19の間に配置される熱伝導シート12で構成される。ここでは電池積層体5を両端面から狭持するエンドプレート3を、被覆ケース16の端面としても共用している。またエンドプレート3の内側にはパッキン3bが設けられる。パッキン3bは、シート状等の弾性部材である。このようにして電池積層体5を被覆ケース16で覆うことで、密閉構造が実現される。また被覆ケース16は、内面を絶縁して、積層された角形電池セル1間の絶縁を図っている。
【0039】
さらに被覆ケース16の上面には、カバー部24が設けられる。カバー部24には、各電池セルの電極端子と連通するためのスリットが設けられ、このスリットを介して隣接する電池セル同士を接続するバスバー6や、バスバー6と回路基板との電気接続が得られる。またカバー部24には、充填材を注入するための充填材注入口を設けており、先にカバー部24で被覆ケース16を閉塞した後、ポッティング材を充填することができる。この場合は、カバー部24と被覆ケース16との間の隙間、あるいはカバー部24と電池積層体5との間の隙間も充填できる利点が得られる。このようにして、角形電池セル1を被覆し、表面に結露する事態を回避できる。
【0040】
さらにカバー部24の内面には、角形電池セル1の安全弁と連通されたガスダクト26を設けている。ガスダクト26を各角形電池セル1の安全弁と連結し、さらにガスダクト26を外部に配管することで、角形電池セル1の内圧が上昇した際に排出されるガスを、安全に外部に排出できる。またカバー部24の上面には、電源装置100を制御するための制御回路を実装した回路基板が配置される。またカバー部に回路基板を一体的に設けてもよい。
【0041】
なお図5の例では、カバー部24を被覆ケース16と一体的に設けているが、これらを別部材で構成することもできる。このような例を変形例として図7に示す。この図に示す被覆ケース16Bは、カバー部24Bを別部材として上面を閉塞している。
【0042】
このようにして被覆ケース16で電池積層体5を収納する。被覆ケース16は、各面を構成するケース部材を嵌合構造として、嵌合部分を気密に封止することもできる。このような嵌合構造としては、パッキン、Oリング、ガスケット等が利用でき、被覆ケース16を封止できる。
(張り出し部16b)
【0043】
また被覆ケース16は、図8の断面図等に示すように、その底辺において、電池積層体5の隅部で側縁から底面にかけて張り出した張り出し部16bが設けられている。張り出し部16bは、電池積層体5の底面を両側の隅部で保持する。一方で被覆ケース16は、電池積層体5の上面を被覆しているので、被覆ケース16で電池積層体5を上下から挟持することで、電池積層体5を構成する電池セルの天面を同一平面上に並べることができる。いいかえると、電池積層体5の底面を同一面に揃えることで、冷却プレート61との連結面を平面状として、熱結合の安定性、信頼性を向上できる。加えて、被覆ケース16底面の開口を、防水性シート19で覆う際の固定にも利用できる。
(開口部)
【0044】
この被覆ケース16は、底面を開口した開口部としている。開口部は、一対の張り出し部16bで挟まれた領域である。この開口部は、冷却プレート61で閉塞できる大きさとする。その一方で、開口部に熱伝導シート12を挿入できるよう、熱伝導シート12の外形は開口部とほぼ同じ又はこれよりも若干小さい大きさに形成される。
(熱伝導シート12)
【0045】
加えて、電池積層体5と冷却プレート61との間には、熱伝導シート12等の伝熱部材が介在される。熱伝導シート12は、絶縁性でかつ熱伝導に優れた材質とし、さらに好ましくはある程度の弾性を有するものが好ましい。このような材質としてはアクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シリコーン系の樹脂等が挙げられる。このようにすることで電池積層体5と冷却プレート61との間を電気的に絶縁する。特に、角型電池セル1の外装缶を金属製とし、さらに冷却プレート61を金属製とする場合は、角型電池セル1の底面で導通しないよう、絶縁を図る必要がある。上述の通り外装缶の表面を熱収縮チューブ等で被覆して絶縁しつつ、さらに絶縁性を向上させるために絶縁性の熱伝導シート12を介在させて安全性、信頼性を高めている。また、熱伝導シートに代えて、熱伝導ペースト等を利用することもできる。さらに絶縁性を確実に維持するため、追加の絶縁フィルムを介在させることもできる。また、冷却パイプを絶縁製の材質で構成することもできる。このようにして十分な絶縁性が図られる場合は、熱伝導シート等を省略してもよい。
【0046】
また熱伝導シート12に弾性を持たせることで、熱伝導シート12の表面を弾性変形させて電池積層体5と冷却プレート61との接触面で隙間を無くし、熱結合状態を良好に改善できる。
(防水構造)
【0047】
電池積層体5は、被覆ケース16で周囲を覆い、防水構造としている。これにより、外部からの埃や水分の浸入を阻止し、意図しない導通や腐食を回避できる。その一方で、外部から侵入する水分のみならず、内部で結露等によって発生した水滴からも保護できる。特に角形電池セルの冷却方式として、冷媒を用いた熱交換によって角形電池セルの熱を奪う冷媒方式を利用すると、より効率よく冷却可能な反面、高い冷却性能のため温度が結露点以下に低下して、電池積層体の周囲に存在する空気中の水分が冷やされて角形電池セルの表面に結露することがある。そこで、被覆ケース16を防水構造としている。具体的には、被覆ケース16と冷却プレート61との接合界面を気密に密封する封止部材20を設けている。
(封止部材20)
【0048】
封止部材20は、弾性を有する部材であり、被覆ケース16と冷却プレート61との接合界面で押圧されて弾性変形することによって、この界面を気密に封止している。この様子を図8及び図9に基づいて説明する。図9は図8の分解断面図であり、まず電池積層体5の周囲を被覆ケース16で被覆する。被覆ケース16で電池積層体5の底面を除く面を被覆し、防水構造とできる。
【0049】
封止部材20には、例えばOリングが利用できる。ここで、Oリングを用いた電源装置の詳細を図10〜図13に示す。これらの図に示す電源装置は、図5等で説明した電池積層体5を用いている。なお冷却プレート61Bは、周囲を面取りした板状としており、その上面に熱伝導シート12Bを配置している。ここで熱伝導シート12Bは、その外形を冷却プレート61Bの表面よりも小さくしており、これによって熱伝導シート12Bの周囲に、冷却プレート61Bの周囲に沿った平面状の段差領域62が設けられる。
【0050】
またOリング状の封止部材20は、熱伝導シート12Bの外周を囲むように、その内径を熱伝導シート12Bの外形よりも大きくしている。かつ封止部材20は、段差領域62上に配置されるよう、冷却プレート61Bよりもの外形よりも小さく形成している。これによって、図12に示すように封止部材20を段差領域62に配置して、熱伝導シート12Bに阻害されることなく、電池積層体5の底面と冷却プレート61Bの間の界面を弾性変形して封止できる。
【0051】
さらに段差領域62と対向する電池積層体5の底面には、好ましくは図13に示すように、封止部材20を案内するための溝17を設ける。これによって、封止部材20を溝17に案内して容易に位置決めでき、かつ確実に溝17の部分で封止部材20を弾性変形させて、電池積層体5と冷却プレート61Bとの防水構造を実現できる。
【0052】
なお、この例では電池積層体5の底面側に溝17を設けたが、これに加えて、又はこれに代えて、冷却プレート側にも同様に、封止部材を案内するための溝を形成することもできる。
(実施例2)
【0053】
以上のようにして被覆ケースと冷却プレートとで電池積層体5を気密状態に閉塞することにより、空気の流通を阻止して空気中の水分が結露する事態を回避できる。また、被覆ケースの表面を防水構造とするのみならず、被覆ケースで囲まれた電池積層体の表面を水滴等から保護するため、電池積層体の表面を充填層で被覆して、隙間を充填する構造としてもよい。このような構造を採用した電源装置の例を、実施例2として図14の断面図を示す。この図に示す電源装置では、電池積層体5と被覆ケース16との間に充填層18を配置している。すなわち、電池積層体5と被覆ケース16との間の隙間に充填材を充填して充填層18を設けることで、この隙間に存在する空気中の水分が結露して電池積層体5に悪影響を与える事態を回避している。
(充填層18)
【0054】
実施例1の例では、充填層18として電池積層体5の周囲を充填材で被覆している。ここでは、電池積層体5の表面に充填材を保持するため、電池積層体5の周囲を被覆ケース16で囲むことにより、電池積層体5と被覆ケース16との間に充填材を注入している。これによって電池積層体5と被覆ケース16との間の空間を無くし、電池積層体5の表面が結露して悪影響を与える事態を回避できる。実施例1では、エンドプレート3と被覆ケース16で防水構造を実現するため、締結部材4による締結後、エンドプレート3と被覆ケース16で囲まれた領域内で、電池積層体5との隙間に、充填層18として充填材を充填している。これによって、電池積層体5の周囲を防水した防水構造が得られる。
(充填材)
【0055】
充填材は、隙間を充填するポッティング材が利用できる。このようなポッティング材としては、ウレタン系樹脂が好適に利用できる。このように充填材でポッティングすることで、空間を無くし、角形電池セル1の表面を保護し、結露による導通や腐食を回避できる。なお充填材を隙間に行き渡らせ、気泡の発生を回避するよう、充填材の充填時には被覆ケース16内を減圧又は負圧とすることが好ましい。あるいは逆に、充填材を加圧して注入することもできる。充填材の充填後、充填材が完全に硬化するまで乾燥させる。また、被覆ケース16を樹脂製とし、充填材を被覆ケース16と同系統の樹脂製とすることで、充填材硬化後の接着性を向上させることもできる。
(吸水シート)
【0056】
あるいは、充填層18として充填材に加え、吸水シートを使用することもできる。吸水シートは、高分子材料等で構成された吸湿性、吸水性を備えるシート材であり、これによってさらに結露を回避できる。また、防水構造はこれに限らず、パッキンやOリング、ガスケット等による封止構造、シート状の弾性部材や他のポッティング材、あるいは電池積層体を防水袋に収納する等の構成が適宜利用できる。
(防水性シート19)
【0057】
一方で、被覆ケース16は底面を開口しているため、この部分で電池積層体5を被覆ができない。そこで、開口面を被覆する防水性シート19を設けている。防水性シート19は、図4の斜視図に示すように、電池積層体5の底面を被覆するように配置され、この状態で電池積層体5に固定される。防水性シート19の固定には、例えば接着材を防水性シート19と電池積層体5との界面に塗布する。また、被覆ケース16の張り出し部16bで固定することもできる。特に、充填層18を電池積層体5と被覆ケース16の隙間に充填して固定する際に、併せて防水性シート19も固定することもできる。このようにすることで、隙間に充填した充填層18の硬化によって防水性シート19の端縁を電池積層体5や被覆ケース16に確実に固定できることに加え、防水性シート19と被覆ケース16との間の隙間も充填されて、この部分からの浸水を阻止可能な防水構造を実現できる。
【0058】
防水性シート19には、防水性に優れた樹脂製のシートが利用でき、例えばPETやPEV、PP等が利用できる。また、防水シートを介して電池積層体5を冷却プレート61で放熱することから、熱伝導に優れる部材とすることが好ましい。加えて、電池積層体5を構成する電池セル間の絶縁も図る必要があり、絶縁性にも優れた素材であることが必要である。さらに、電池セルが発熱しても容易に破損しないよう、耐熱性にも優れることが好ましい。このような特性を備える防水性シート19としては、アクリル系材料等が好適に利用できる。
【0059】
なお、上述した実施例1に係る図9の例では、電池積層体5の底面に防水性シートを貼付しているが、この構成に限られない。例えば、防水性シートがない状態でも、熱伝導シートを電池積層体の底面に直接押圧して、電池積層体の底面で各電池セル間の絶縁性を維持しつつ、界面における隙間の発生を抑制して電池積層体と冷却プレート61との熱伝導状態を高めることができる。図10〜図13の例では、防水性シートを用いていない。
(実施例3)
【0060】
また熱伝導シート12を電池積層体5と直接接触させるように、防水性シート19の一部を除去することもできる。このような例を実施例3として図15に示す。この図に示す電池積層体5は、充填材の硬化後に、図17に示す状態から電池積層体5の底面を覆う防水性シート19を除去している。防水性シート19が除去された部分は、電池積層体5の底面が露出するので、この面に熱伝導シート12を押圧して、電池積層体5と熱伝導シート12に直接密着させて、熱抵抗を低減し、冷却プレート61による放熱性を向上させることが期待できる。また、充填材の硬化後であれば、既に電池積層体5の表面は露出部分を除いて密封されているので、露出部分を完全に熱伝導シート12で覆うことができれば、防水構造も維持できる。このため防水性シート19の除去は、好ましくは熱伝導シート12の面積よりも小さくする。また、除去されずに残った防水性シート19bは、張り出し部16bの部分で気密性を維持できる。これによって、防水性シート19が除去されて電池積層体5の底面が露出した領域を、熱伝導シート12で完全に被覆することができる。
(充填材の充填)
【0061】
ここで充填材を充填する手順を、図16〜図17の断面図に基づいて説明する。この図に示すように、電池積層体5の周囲を被覆ケース16で覆った状態で、その底面の開口部に防水性シート19を配置する。ここでは、防水性シート固定用の治具JGを用いて防水性シート19を支持する。治具JGは、開口部とほぼ同じ大きさか、又はこれよりも若干小さい大きさとして、開口部を貫通して防水性シート19を電池積層体5の底面に押圧する。
【0062】
治具JGで防水性シート19を押圧した状態で、電池積層体5の表面と被覆ケース16の内面との間の隙間に、充填材を充填する。充填材は、例えば予め被覆ケース16に開口された充填材注入口から注入される。そして充填材が硬化後、治具JGを取り外して、開口部を開口させる。この状態では、充填材の硬化によって形成された充填層18が電池積層体5の外表面と被覆ケース16の内面との間の隙間を排除できる。さらにこの状態から、図17に示すように、開口部に熱伝導シート12を挿入し、さらに熱伝導シート12の底面を冷却プレート61で押圧した状態となるよう、冷却プレート61を電池積層体5に固定する。これにより、冷却プレート61を熱伝導シート12及び防水性シート19を介して電池積層体5の底面に熱伝導状態とでき、この面で熱交換を行うことにより電池積層体5を冷却できる。また、必要に応じて、熱伝導シート12を配置する前に、防水性シート19を部分的に除去してもよいことは、上述の通りである。
【0063】
以上の例では、電池積層体5の底面で冷却プレート61と熱結合させるため、被覆ケース16の底面を開口している。ただ、この構成に限られず、例えば電池積層体の側面や天面を開口させて、この部分で冷却プレートとの熱結合を図ることもできる。なお、電池セルの電極端子は一般に電池セルの天面に設けられるため、好ましくは電極端子を設けた面とは異なる面に、冷却プレートを配置して熱結合を図る。
(実施例4)
【0064】
また、封止部材はOリングに限られず、被覆ケース16と冷却プレート61との界面を封止可能な構造が適宜利用できる。さらに、防水性シートを利用せずに、予め電池積層体5の周囲を完全に防水状態で被覆し、その上で熱伝導シート12や冷却プレート61を配置する構成としてもよい。この構成では、被覆ケース16の開口部を、密閉プレート20Bでもって予め物理的に密封状態に被覆しておく。このような密閉プレート20Bを用いて防水構造を実現した例を、実施例3として図18〜図19に示す。これらの図に示す電源装置は、封止部材として、熱伝導シート12と電池積層体5との間に介在される密閉プレート20Bを用いている。
(密閉プレート20B)
【0065】
密閉プレート20Bは、被覆ケース16の開口を閉塞するように、気密状態に被覆ケース16に固定される。このような密閉プレート20Bには、金属製プレートが好適に利用できる。例えば、アルミニウム製の薄いシートを密閉プレート20Bとして利用し、被覆ケース16の底面と接着や溶接などの方法で固定する。密閉プレート20Bは、被覆ケース16の開口部を確実に閉塞できるよう、その大きさと外形が設計される。好ましくは、密閉プレート20Bの大きさ及び外形を、被覆ケース16の開口と合致するように構成する。これによって、物理的に被覆ケース16の底面を気密状態に閉塞できる。さらに、図19に示すように密閉プレート20Bの背面側に、上記と同様、熱伝導シート12を介して冷却プレート61を固定し、冷却プレート61でもって熱伝導により電池積層体5の放熱を行う。この構成によれば、被覆ケース16を気密に閉塞する部材と、電池積層体5の冷却を行う部材を切り分ける構成とできる。このため、それぞれに適した材質や接合構造を選択できるため、密閉機能と冷却機能を各部材で個別に発揮させて構造上、製造上有利となる。
(第二熱伝導シート13)
【0066】
さらに、密閉プレート20Bと電池積層体5との熱結合を向上させるため、被覆ケース16の内部で、密閉プレート20Bと電池積層体5の底面との間に、弾性を有する第二熱伝導シート13を介在させることもできる。これにより、金属製の密閉プレート20Bを使用する際に、電池セルの外装缶の底面が不均一となった場合の熱結合の不完全さを、弾性を有する第二熱伝導シート13を介在させることで解消でき、熱伝導性を安定化させることが可能となる。
(連結構造)
【0067】
一方で、電池積層体5及び冷却プレート61は、電池積層体5を冷却プレート61上に固定するための連結構造を備えている。連結構造は、図2〜図5に示す例では、締結部材4の本体部41の下端から突出するように設けられた締結連結部44と、冷却プレート61側に設けられたプレート連結部とで構成される。締結連結部44は、複数を互いに離間して設けている。図2の例では、本体部41の下端で両側と中間の3箇所に設けられている。
(係止片)
【0068】
締結連結部44は、図3〜図4の例では、先端を鉤状に形成した係止片としている。この係止片は、鉤状の突出方向を、電池積層体5から外向きの姿勢としている。
(プレート連結部)
【0069】
一方で冷却プレート61側には、この締結連結部44と連結するための連結機構としてプレート連結部を設けている。プレート連結部は、締結連結部44を設けた位置と対応する位置に設けられる。このようなプレート連結部として、図5の例では係止片を係止可能な係止孔51が形成された連結バー50を利用している。この係止孔51に鉤状の係止片を挿入して係止することで、締結部材4を容易に冷却プレート61に固定できる。
(連結バー50)
【0070】
連結バー50は、図5の分解斜視図に示すように、ストリップ条を断面視略コ字状に折曲した形状としている。ストリップ条は、十分な強度を発揮できるよう金属板で構成する。図5の例では、ストリップ条の表面に段差を形成して強度を向上させている。この連結バー50の長さは、略コ字状の折曲部分で冷却プレート61の底面を挟み込める大きさとする。この連結バー50の端面に、プレート連結部として係止孔51を開口している。このようにして、連結バー50を用いることで冷却プレート61に容易にプレート連結部を付加できる。特に、冷媒循環機能等を備える冷却プレート61の形状を複雑化することなく連結機構を追加できる。
(冷媒循環機構)
【0071】
冷却プレート61は、その内部に冷媒循環機構を設けている。図20に、このような冷媒循環機構の一例を示す。図20に示す組電池10は、複数の角形電池セル1を積層している電池積層体5を、冷却プレート61の上面に配置している。この冷却プレート61は、電池積層体5を構成する角形電池セル1に熱結合状態に配置している。冷却プレート61は、冷媒配管を配設しており、この冷媒配管を冷却機構69に連結している。この組電池10は、電池積層体5を冷却プレート61に接触させて直接、効果的に冷却できる。また、電池積層体のみならず、例えば電池積層体の端面に配置した各部材等も併せて冷却することもできる。このように、内部に冷媒を循環させる冷却パイプ60を内蔵した冷却プレート61を、被覆ケース16と接触させて冷却することで、放熱性を向上させ、電源装置を高出力でも安定的に利用可能とできる。
(冷却プレート61)
【0072】
冷却プレート61は、角形電池セル1の熱を熱伝導して外部に放熱するための放熱体であり、図20の例では冷媒配管を配設している。冷却プレート61は、熱交換器として、冷却液である液化された冷媒を循環させる銅やアルミニウム等の冷媒配管である冷却パイプ60を内蔵している。冷却パイプ60は、冷却プレート61の上面板に熱結合されており、底板との間には断熱材を配設して、底板との間を断熱している。また、冷却プレート61にはこのような冷媒による冷却機能を付加する他、金属板のみで構成することもできる。例えば放熱フィンを設けた金属体等、放熱、伝熱性に優れた形状とする。または金属製に限らず、絶縁性を有する伝熱シートを利用しても良い。
【0073】
冷却プレート61は、内部に配管された冷媒配管に、冷却機構69から冷却液が供給されて冷却される。冷却プレート61は、冷却機構69から供給される冷却液を、冷媒配管の内部で気化する気化熱で冷却プレート61を冷却する冷媒としてより効率よく冷却できる。
【0074】
図20の例では、各冷却プレート61上に2つの電池積層体5を載置している。上述の通り、長さ方向すなわち角型電池セル1の積層方向に2つの電池積層体5が連結されて一の電池積層連続体10Bを構成しており、このような連結状態にある2つの電池積層体5を、一の冷却プレート61で支持している。これらの電池積層連続体10Bを2つ平行に並べて、組電池10を構成している。
【0075】
また図20の例では、冷却プレート61を角型電池セル1の積層方向に延長すると共に、内部に配管された冷却パイプ60を端縁で折り返すようにして蛇行させることで、3列の直線状冷却パイプ60が電池積層体5の下面に配置される。そして、電池積層連続体10B同士で冷却パイプ60同士を接続することで、冷媒の循環経路を共通化している。このように、一の冷却プレート61上に複数の電池積層体5を載置して冷却させる構成とすれば、冷却機構を共用でき、冷却プレート61を共通化してより安価で簡素化された冷却機構を実現できる。ただ、電池積層体の下面に複数本の冷却パイプを配置することもでき、例えば蛇行した冷却パイプを折り返し部分で分割して、複数本の冷却パイプとすることができる。これにより、蛇行部分を無くすことができるので、軽量化を図ることができる。このとき、各冷却パイプ同士を接続して、冷媒経路を共通化させても良い。なお、冷却パイプを配置する構成や形状は、適宜変更することができる。
【0076】
さらに冷却プレート61は、複数の角形電池セル1の温度を均等化する均熱化手段としても機能する。すなわち、冷却プレート61が角形電池セル1から吸収する熱エネルギーを調整して、温度が高くなる角形電池セル、例えば中央部の角形電池セルを効率よく冷却して、温度が低くなる領域、例えば両端部の角形電池セルの冷却を少なくして、角形電池セルの温度差を少なくする。これによって、角形電池セルの温度むらを低減して、一部の角形電池セルの劣化が進み過充電、過放電となる事態を回避できる。
【0077】
なお、図20では、電池積層体5の底面に冷却プレート61を配置する例を示したが、この構成に限られるものでない。例えば冷却プレートを角形電池セルの両側面にそれぞれ配置したり、又は側面にのみ配置することもできる。
(冷却パイプ60)
【0078】
さらに、冷却プレートのような金属板を用いることなく、内部の冷媒を通す冷却パイプ60を直接電池積層体5の下面に配置することもできる。このような例を実施例5として図21の模式断面図に示す。この図に示すように、複数列の冷却パイプ60を電池積層体5を収納した被覆ケース16の下面に配置し、さらに冷却パイプ60同士の間には断熱部材14を配置する。このように、冷却パイプ60の周囲で空気層を排除し、断熱部材で覆うことにより断熱して冷却パイプ60の高効率冷却が実現される。また、このようにして高効率の冷却が実現される結果、従来のように冷却パイプを電池積層体の底面に多数列敷設する必要を無くし、2列や3列といった少ない列数でも十分な冷却効果を得て、冷却機構の簡素化と電源装置の軽量化が図られる。さらにこの方式であれば、冷却プレートのような金属板を介在させることなく、冷媒を流す冷却パイプを直接電池積層体5に当てて冷却できるので、この点でも薄型と軽量化、小型化が図られる。
【0079】
冷却パイプ60は、図21に示すように、電池積層体5との対向面を平坦とした扁平型に形成されている。このようにすることで、円筒形の冷却パイプと比べ、角型電池セル1との接触面積を増やして電池積層体5との熱結合を確実に実現できる。また冷却パイプ60は、熱伝導に優れた材質で構成する。ここではアルミニウム等の金属製としている。特に、アルミニウム製の冷却パイプは比較的柔らかいため、電池積層体5との接触界面で押圧させることで表面を多少変形させて密着性を向上でき、高い熱伝導性を実現できる。
(断熱部材14)
【0080】
さらに図21の電源装置では、冷却パイプ60同士の間の隙間に断熱部材14を配置している。断熱部材14は、断熱性樹脂とできる。例えばウレタン系樹脂等が好適に利用できる。ここでは、図21に示すように冷却パイプ60の周囲を断熱性樹脂でポッティングにより被覆する。このようにすることで、ポッティングにより確実に冷却パイプ60と電池積層体5の底面とを被覆して、結露の発生を阻止して安全性を高めることができる。
【0081】
なお図21の例では、冷却パイプ60を電池積層体5の底面に、熱伝導シート12を介して当接させた状態で、冷却パイプ60同士の間の隙間や冷却パイプ60の下面に断熱部材14を充填して被覆している。ただ、冷却パイプ60の上面にも断熱部材14を充填すれば、冷却パイプ60の上面を絶縁することができ、角型電池セル1との間に設ける熱伝導シートを不要とすることもできる。
【0082】
また図21の例では、被覆ケース16として下面を開口し上面を閉塞した箱形のタイプを使用した例を説明したが、被覆ケースには上述したように上面を開口して下面を閉塞した有底箱形のタイプを使用することもできる。また、冷却プレートは均一な金属プレートとする他、ストリップ状の金属プレートを一又は複数、部分的に埋め込むようにインサート成形することもできる。この場合は、図22の断面図に示す実施例6のように、冷却パイプ60と対応する位置に金属プレート21cが配置されるように冷却プレートを構成することで、冷却パイプ60との熱結合を向上させることができる。
【0083】
このようにして、実施例1に係る電源装置100は電池積層体5を密閉して防水構造とし、結露等から角形電池セル1を保護している。この構成では、被覆ケース16とエンドプレート3によって内部空間を画定でき、ここにポッティング等によって充填層18を配して密閉できる。また、エンドプレート3が外側に位置するため、外装ケースやフレーム等への固定を容易に行える利点も得られる。さらに締結部材4が被覆ケース16の外側に位置するため、冷却プレート61を固定するための固定構造を小型化できる利点も得られる。
【0084】
なお、被覆ケースを金属製とする等十分な強度を持たせることで、被覆ケースにエンドプレート3を固定して電池積層体を締結することもできる。この構成であれば、被覆ケースが締結部材を兼用できるため、より一層の小型化が図られる。
【0085】
以上の電源装置は、車載用の電源として利用できる。電源装置を搭載する車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。
(ハイブリッド車用電源装置)
【0086】
図23に、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する電源装置100と、電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100の電池を充電する。
(電気自動車用電源装置)
【0087】
また図24に、モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する電源装置100と、この電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100の電池を充電する。
(蓄電用電源装置)
【0088】
さらに、この電源装置は、移動体用の動力源としてのみならず、載置型の蓄電用設備としても利用できる。例えば家庭用、工場用の電源として、太陽光や深夜電力等で充電し、必要時に放電する電源システム、あるいは日中の太陽光を充電して夜間に放電する街路灯用の電源や、停電時に駆動する信号機用のバックアップ電源等にも利用できる。このような例を図25に示す。この図に示す電源装置100は、複数の電池パック81をユニット状に接続して電池ユニット82を構成している。各電池パック81は、複数の角型電池セル1が直列及び/又は並列に接続されている。各電池パック81は、電源コントローラ84により制御される。この電源装置100は、電池ユニット82を充電用電源CPで充電した後、負荷LDを駆動する。このため電源装置100は、充電モードと放電モードを備える。負荷LDと充電用電源CPはそれぞれ、放電スイッチDS及び充電スイッチCSを介して電源装置100と接続されている。放電スイッチDS及び充電スイッチCSのON/OFFは、電源装置100の電源コントローラ84によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ84は充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをOFFに切り替えて、充電用電源CPから電源装置100への充電を許可する。また充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で負荷LDからの要求に応じて、電源コントローラ84は充電スイッチCSをOFFに、放電スイッチDSをONにして放電モードに切り替え、電源装置100から負荷LDへの放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをONにして、負荷LDの電力供給と、電源装置100への充電を同時に行うこともできる。
【0089】
電源装置100で駆動される負荷LDは、放電スイッチDSを介して電源装置100と接続されている。電源装置100の放電モードにおいては、電源コントローラ84が放電スイッチDSをONに切り替えて、負荷LDに接続し、電源装置100からの電力で負荷LDを駆動する。放電スイッチDSはFET等のスイッチング素子が利用できる。放電スイッチDSのON/OFFは、電源装置100の電源コントローラ84によって制御される。また電源コントローラ84は、外部機器と通信するための通信インターフェースを備えている。図25の例では、UARTやRS−232C等の既存の通信プロトコルに従い、ホスト機器HTと接続されている。また必要に応じて、電源システムに対してユーザが操作を行うためのユーザインターフェースを設けることもできる。
【0090】
各電池パック81は、信号端子と電源端子を備える。信号端子は、パック入出力端子DIと、パック異常出力端子DAと、パック接続端子DOとを含む。パック入出力端子DIは、他のパック電池や電源コントローラ84からの信号を入出力するための端子であり、パック接続端子DOは子パックである他のパック電池に対して信号を入出力するための端子である。またパック異常出力端子DAは、パック電池の異常を外部に出力するための端子である。さらに電源端子は、電池パック81同士を直列、並列に接続するための端子である。また電池ユニット82は並列接続スイッチ85を介して出力ラインOLに接続されて互いに並列に接続されている。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明に係る電源装置及びこれを備える車両は、EV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電源装置として好適に利用できる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0092】
100…電源装置
1…角形電池セル
2…セパレータ
3…エンドプレート;3b…パッキン
4…締結部材
5…電池積層体
6…バスバー
10…組電池
10B…電池積層連続体
12、12B…熱伝導シート
13…第二熱伝導シート
14…断熱部材
16、16B…被覆ケース
16b…張り出し部
17…溝
18…充填層
19、19b…防水性シート
20…封止部材;20B…密閉プレート
21c…金属プレート
24、24B…カバー部
26…ガスダクト
41…本体部
42…折曲片
43…上面保持部
44…締結連結部
50…連結バー
51…係止孔
60…冷却パイプ
61、61B…冷却プレート
62…段差領域
69…冷却機構
70…外装ケース
71…下ケース
72…上ケース
73…端面プレート
74…鍔部
81…電池パック
82…電池ユニット
84…電源コントローラ
85…並列接続スイッチ
93…モータ
94…発電機
95…DC/ACインバータ
96…エンジン
201…電池セル
205…電池積層体
260…冷却パイプ
261…冷却プレート
269…冷却機構
JG…治具
EV、HV…車両
LD…負荷;CP…充電用電源;DS…放電スイッチ;CS…充電スイッチ
OL…出力ライン;HT…ホスト機器
DI…パック入出力端子;DA…パック異常出力端子;DO…パック接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の角形電池セルを積層してなる電池積層体(5)と、
一面を開口した箱形であり、該一面を残して前記電池積層体(5)の周囲を被覆する被覆ケース(16)と、
前記被覆ケース(16)の該一面を閉塞すると共に、前記電池積層体(5)と熱結合状態に配置され、内部に冷媒を流すことで該電池積層体(5)と熱交換を行うための冷却プレート(61)と、
を備える電源装置であって、
前記電源装置はさらに、前記被覆ケース(16)と、前記冷却プレート(61)との接合界面を密封する封止部材(20)を備えてなることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、さらに、
前記冷却プレート(61)と、前記電池積層体(5)との間に介在される、絶縁性と熱伝導性を有し、かつ弾性を有する熱伝導シート(12)を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置であって、
前記封止部材(20)が、弾性を有する部材であり、該封止部材(20)が、前記冷却プレート(61)と前記被覆ケース(16)との界面に介在され、これらの界面で押圧されて弾性変形することを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置であって、
前記封止部材(20)が、リング状であって、該リング状の内径が、前記熱伝導シート(12)の外形よりも大きいことを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置であって、
前記封止部材(20)のリング状の内径が、前記冷却プレート(61)の外形よりも小さいことを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記熱伝導シート(12)は、その外形を前記冷却プレート(61)の表面よりも小さくしてなり、
前記冷却プレート(61)の上面に前記熱伝導シート(12)を載置した状態で、該熱伝導シート(12)の周囲に平面状の段差領域(62)が設けられてなり、
前記封止部材(20)を該段差領域(62)に配置してなることを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電源装置であって、
前記段差領域(62)又は該段差領域(62)と接合される被覆ケース(16)の少なくとも一方に、前記弾性部材を配置するための溝(17)が形成されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記封止部材(20)が、Oリングであることを特徴とする電源装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記封止部材(20)が、前記熱伝導シート(12)と前記電池積層体(5)との間に介在される密閉プレート(20B)であり、
前記密閉プレート(20B)は、前記被覆ケース(16)の開口を閉塞するように気密状態に前記被覆ケース(16)に固定され、
前記密閉プレート(20B)の背面側に前記熱伝導シート(12)を介して前記冷却プレート(61)が固定されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電源装置であって、さらに、
前記密閉プレート(20B)と前記電池積層体(5)の一面との間に、弾性を有する第二熱伝導シート(13)が介在されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の電源装置であって、
前記密閉プレート(20B)の大きさ及び外形が、前記被覆ケース(16)の開口と合致するように設計されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記密閉プレート(20B)が、金属製のプレートであることを特徴とする電池パック。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一に記載の電源装置であって、
前記電池積層体(5)と被覆ケース(16)との隙間に充填材を注入してなることを特徴とする電源装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一に記載の電源装置を搭載してなる車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−12441(P2013−12441A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145741(P2011−145741)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】