説明

電源装置

【課題】 安全性の向上を図ることができる電源装置を提供する。
【解決手段】 電源装置1は、電源箱2に収容されたバッテリ3と、バッテリ3の出力端子に線材5を介して接続されて電源箱2の外に引出され駆動部11又は充電器12と接続可能とされた出力コネクタ13と、を備え、線材5の途中に介在された断続回路30と、断続回路30に接続されて電源箱2に固定された第1のスイッチ33と、断続回路30に配線34を介して接続されて電源箱2の外に引出された第2のスイッチ36と、を有し、断続回路30は、第1のスイッチ33及び第2のスイッチ36が共にオンされたときにのみバッテリ3の出力端子及び出力コネクタ13を電気的に接続する。電源装置1を搭乗型ロボット10から取出して運搬する場合、第2のスイッチ36をオフすることにより、出力コネクタ13への通電状態は解消され、感電などの事故発生を招くことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの駆動などに用いられる電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源装置の一例として、特許文献1に示される電源装置がある。特許文献1の電源装置は、移動作業ロボットに用いられている。この電源装置は、電池ボックスと、この電池ボックスに収納され、移動作業ロボットの本体全体に電力を供給する電池と、を備えている。電池ボックスの蓋上部には、電池の各電池端子と接続した電源コネクタが固定されている。電源コネクタは、移動作業ロボットの本体の電源コードに接続する電源コードと着脱自在に接続されている。そして、電池の充電は電源コネクタから電源プラグを抜き、代わりに充電器の充電プラグを差込んで行なうようにしている。
【特許文献1】特許3451780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した従来技術では、例えば電源装置を移動作業ロボットの本体から取出して持運びする際、なんらの処置も施さないと電源コネクタがオペレータに触れ、場合によっては、オペレータが感電することが起こり得、慎重な操作が必要とされるものになっている。
【0004】
なお、ロボットに用いる電源装置では、電源箱に収容されたバッテリの出力端子と負荷(ロボットの駆動部)に接続可能とされた出力コネクタとを接続する線材の途中に、電源接続スイッチを介在させ、この電源接続スイッチを電源箱に固定することがある。そして、電源接続スイッチをオンし、バッテリ及び負荷を電気的接続して電源の投入及び制御プログラムの読出しを行なうと共に、電源接続スイッチをオン状態に維持して、ロボット側の各種データの保持を図るようにしている。
【0005】
このような電源接続スイッチを上述した従来技術に用いて上記問題(オペレータが感電すること)の改善を図ることが考えられる。しかしながら、電源接続スイッチは、通常、オン状態で各種データの保持を図るものであり、感電防止のために電源接続スイッチひいては電源をオフすることは、各種データの確保上、困難である。
【0006】
また、電源装置をロボット〔例えば、人が乗って操縦するタイプのロボット、いわゆる搭乗型ロボット〕などに収納して用い、仮に該ロボットが転倒した場合には、電源接続スイッチがロボット内部に収納された電源箱に固定されていることから、感電防止のために電源接続スイッチを切ろうとしても、搭乗者は、電源接続スイッチに容易には手が届かず電源切の操作が困難であった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、安全性の向上を図ることができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、電源箱に収容されたバッテリと、該バッテリの出力端子に線材を介して接続されて電源箱の外に引出され負荷又は充電装置と接続可能とされた出力コネクタと、を備えた電源装置であって、前記線材の途中に介在された断続回路と、前記断続回路に接続されて電源箱に固定された第1のスイッチと、前記断続回路に配線を介して接続されて電源箱の外に引出された第2のスイッチと、を有し、前記断続回路は、第1のスイッチ及び第2のスイッチが共にオンされたときにのみ前記バッテリの出力端子及び出力コネクタを電気的に接続することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、断続回路は、第1のスイッチ及び第2のスイッチが共にオンされたときにのみバッテリの出力端子及び出力コネクタを電気的に接続するので、電源装置を運搬する場合、第2のスイッチをオフすることにより、出力コネクタへの通電状態は解消され、感電などの事故発生を防止できる。第2のスイッチは電源箱から引出されており、容易に操作でき良好な作業性をもって事故発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の第1実施の形態に係る電源装置を図面に基づいて説明する。
図1、図3及び図6において、電源装置1は、電源箱2に収容されたバッテリ3と、該バッテリ3の出力端子4に線材5を介して接続されて電源箱2の外に引出され負荷(後述する搭乗型ロボット10の駆動部11)又は充電器12(充電装置)に選択的に接続される出力コネクタ13と、を備えており、搭乗型ロボット10(搭乗歩行型ロボット)の駆動源として用いられるようになっている。
搭乗型ロボット10は、図1及び図2に示すように、人14(搭乗者)を乗せる椅子15と、椅子15を支持して歩行可能な2本の脚部16と、前記バッテリ3のエネルギーを利用して2本の脚部16を駆動させる前記駆動部11と、駆動部11を制御するコントローラ17と、を備えている。脚部16は、人の脚部に略模擬するように設けられており、腿部18と、脛部20と、腿部18及び脛部20を相互に揺動させる膝部19と、脛部20の先端側に脛部20に対して揺動可能に設けられた足先部21と、からなっており、足先部21が床部22に戴置され得るようになっている
【0011】
椅子15は、図2に示すように、人14が着座するためのシート部23と、シート部23に略直交して立上がって設けられた背もたれ部24と、背もたれ部24から略平行に延びる2本のアーム部25と、から大略構成されている。シート部23の下面側には、電源箱2を収納する電源箱収納部26が設けられている。背もたれ部24の背部には、後述する制御機器収納箱27が取付けられている。
【0012】
前記線材5の途中には図3及び図5に示すように、断続回路30が介在されている。断続回路30は、線材5の途中に介在されたFET31と、FET31をオン、オフさせる出力制御部32と、からなっている。出力制御部32には、図3、図4及び図7に示すように、電源箱2に固定された第1のスイッチ33が接続されている。出力制御部32には、さらに、配線34を介して第2のスイッチ36が接続されている。配線34の途中にはコネクタ(以下、第2のスイッチ用コネクタ35という。)が介在されており、配線34を第2のスイッチ36側及び出力制御部32側に分離及びその接続を行なえるようにしている。第2のスイッチ36は電源箱2の外に引出され、アーム部25の近傍に配置されており、人14(搭乗者)がオン、オフ操作し易いようになっている。
出力制御部32は、第1のスイッチ33及び第2のスイッチ36が共にオンされたときにのみ、FET31をオンさせ、バッテリ3の出力端子4及び出力コネクタ13を電気的に接続させるようにしている。すなわち、断続回路30は、第1のスイッチ33及び第2のスイッチ36が共にオンされたときにのみ、バッテリ3の出力端子4及び出力コネクタ13を電気的に接続する。
【0013】
制御機器収納箱27内には、前記コントローラ17と、コントローラ17に接続されコントローラ17が実行する制御プログラム及び演算処理内容などを含むデータ(以下、内部データという。)を格納するメモリ37と、メモリ37に対し切換手段38を介して接続された受電用コネクタ39と、前記切換手段38と、を収納している。メモリ37には、メモリ側コネクタ49を介してバッテリ3が接続され得るようになっており、バッテリ3の電力供給により内部データを保持し得るようになっている。
受電用コネクタ39には、交流を直流に変換するAC/DC変換器40に接続されたコネクタ(供給用コネクタ41)が接続されるようになっている。AC/DC変換器40には、AC電源50に接続されるAC用プラグ(AC/DC変換器用プラグ43)が接続されている。
【0014】
また、出力コネクタ13に接続される充電器12には、出力コネクタ13に接続されるコネクタ(充電器側コネクタ44)及びAC電源50に接続されるAC用プラグ(充電器用プラグ45)が接続されている。
そして、バッテリ3からメモリ37に電力を供給していた状態で、バッテリ3からのメモリ37への電力供給を停止する場合には、切換手段38によりAC/DC変換器40をメモリ37に接続したり、あるいは充電器12を出力コネクタ13に接続して、AC/DC変換器40又は充電器12からメモリ37に電力供給し、これにより、メモリ37への電力供給が断たれること、ひいてはメモリ37に格納された内部データが消えてしまうことを防止し得るようになっている。
【0015】
上述したように構成された電源装置1では、この電源装置1を搭乗型ロボット10から取出して運搬する場合、第2のスイッチ36をオフすることにより、出力コネクタ13への通電状態(印加状態)は解消される。このため、運搬時に出力コネクタ13に触れても感電などの事故発生を招くことがない。この場合、第2のスイッチ36は電源箱2から引出されて操作し易い位置に配置されているので、出力コネクタ13の印加状態の解消を容易に行なえ、その分、作業性がよいものになっている。
また、搭乗型ロボット10が仮に転倒したとしても、第2のスイッチ36をオフすることにより、出力コネクタ13への通電状態(印加状態)は解消される。このため、電源装置1の出力コネクタ13による感電などを回避でき安全性の確保を図ることができる。また、第2のスイッチ36はアーム部25近傍に配置されており、安全性の確保を容易に果たすことができる。
【0016】
上述したような安全性の確保は、上述した運搬時及び搭乗型ロボット10の転倒時に限られるものではなく、電源装置1の交換時、AC/DC変換器40の切換使用時や充電器12によるバッテリ3の充電の際にも、第2のスイッチ36をオフすることにより、上述した場合と同様に安全性の確保を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る電源装置及びこの電源装置を用いる搭乗型ロボットを模式的に示す図である。
【図2】図1の搭乗型ロボットを模式的に示す斜視図である。
【図3】図1の電源装置を模式的に示す回路図である。
【図4】図1の電源箱、第1、第2のスイッチの配置関係を模式的に示す斜視図である。
【図5】図1の電源装置を模式的に示すブロック図である。
【図6】図1の電源箱及び電源箱に備えられる各部材の配置関係を模式的に示す斜視図である。
【図7】図1の電源箱、第1、第2のスイッチ及び出力コネクタの配置関係を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1…電源装置、2…電源箱、3…バッテリ、4…出力端子、5…線材、13…出力コネクタ、30…断続回路、31…FET、32…出力制御部、33…第1のスイッチ、36…第2のスイッチ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源箱に収容されたバッテリと、該バッテリの出力端子に線材を介して接続されて電源箱の外に引出され負荷又は充電装置と接続可能とされた出力コネクタと、を備えた電源装置であって、
前記線材の途中に介在された断続回路と、
前記断続回路に接続されて電源箱に固定された第1のスイッチと、
前記断続回路に配線を介して接続されて電源箱の外に引出された第2のスイッチと、を有し、
前記断続回路は、第1のスイッチ及び第2のスイッチが共にオンされたときにのみ前記バッテリの出力端子及び出力コネクタを電気的に接続することを特徴とする電源装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−166501(P2006−166501A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350123(P2004−350123)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】