説明

電源装置

【課題】筺体内部の構造を見直して冷却性能の向上を図ることができる電源装置を提供する。
【解決手段】出力側回路5は、出力電圧配線路を形成する金属導体としての板状部材121〜126と、板状部材121〜124と熱的および電気的に接続する出力ダイオード16,17と第1および第2のプリント基板55,56とによる整流ユニット133,134を備えている。また、空気の流れFに沿って、板状部材121〜124と出力側整流部とにより囲まれた第1の風路としての風洞131,132と、前記整流ユニット133,134の外部と筺体25との間に形成される第2の風路135,136とを、筺体25内に区画して配設する。そして、これらの風洞131,132や風路135,136の出口側から排出される混合した空気の流れを受けるように、入力側回路4を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風手段を備えた強制空冷型の電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の強制空冷型の電源装置は、吸気口と排気口を筐体の一側と他側にそれぞれを設け、この排気口に臨んで送風ファンを配置すると共に、吸気口から排気口に至る空気の流れの良い位置に、放熱板を取付けた集積回路や電源部を直線状に配置し、送風ファンにより筐体内の空気を排気して、集積回路を含む電源部を強制的に空冷するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、吸気口と排気口を有する筐体の内部に、冷却効果を向上させる目的で、一定の間隔をおいて一乃至複数の吸気ファンと排気ファンをそれぞれ配置し、この吸気ファンと排気ファンの間に、発熱の大きな主発熱電子部品を設けた薄型の電源装置も知られている(特許文献2参照)。
【0004】
こうした従来の電源装置の冷却構造を見直すべく、本願出願人は特願2006−306514号で、図5〜図11に示す電源装置を提案している。
【0005】
先ず、図5において電源装置の回路構成を説明すると、1は電源装置の入力端子2に印加される交流電源、3は入力側(一次側)と出力側(二次側)とを電気的に絶縁するトランスで、トランス3の入力側には入力側回路4が接続されると共に、トランス2の出力側には出力側回路5が接続される。これらのトランス3,入力側回路4および出力側回路5は、前記入力端子2から出力端子6に電力を伝送する主回路を構成している。
【0006】
前記入力側回路4は、ノイズ除去のためのフィルタ回路や、突入電流防止回路を含む入力回路8と、複数個の整流用ダイオード9A〜9Dをブリッジ接続してなる入力側整流回路10と、入力電圧よりも高い直流電圧を出力する昇圧回路11と、一対のスイッチ素子12A,12Bおよび一対のコンデンサ13A,13Bと、昇圧回路11の出力側に接続する入力コンデンサ13Cと、トランス3の入力側巻線3Aと直列に接続するコンデンサ13Dからなるハーフブリッジ型のインバータ回路14と、により構成される。
【0007】
出力側回路5は、トランス3の出力側巻線3Bに誘起した電圧を整流する出力ダイオード16,17と、平滑用の出力インダクタ18および出力コンデンサ19,20とにより構成される。出力ダイオード16は、N個の並列接続されたダイオード素子16A〜16Nによって構成され、これらのアノードは何れもトランス3の出力側巻線3Bの一端(ドット側端子)に接続される。また、別の出力ダイオード17は、N個の並列接続されたダイオード素子17A〜17Nによって構成され、これらのアノードは何れもトランス3の出力側巻線の他端(非ドット側端子)に接続される。ダイオード素子16A〜16N,17A〜17Nの数は1個以上であればよく、二次側電流などを考慮して適宜決定すればよい。また、トランス3の出力側巻線のセンタータップには、出力インダクタ18の一端が接続される。このように、出力ダイオード16,17と出力インダクタ18とを、トランス3の出力側巻線3Bに直接接続する回路構成を採用することで、比較的占有スペースの大きなこれらの各部品を、短かい配線路で並べて配置することが可能になる。
【0008】
出力ダイオード16,17のカソードと出力インダクタ18の他端は、それぞれ対をなす出力端子6に接続され、この出力端子6間には、一乃至複数の出力コンデンサ19,20が接続される。図5に示す回路図では、後ほど説明する出力側回路5の配置構造に対応して、出力ダイオード16と同じ側に配置される出力コンデンサ19と、出力ダイオード17と同じ側に配置される出力コンデンサ20とを、意図的に分けて記述している。そして、一方の出力コンデンサ19は、N個の並列接続されたコンデンサ素子19A〜19Nによって構成され、他方の出力コンデンサ20は、N個の並列接続されたコンデンサ素子20A〜20Nによって構成される。
【0009】
また、ここには図示していないが、主回路を制御する制御手段として、前記昇圧回路11のスイッチ素子をオン,オフ制御するための制御回路と、スイッチ素子12A,12Bをオン,オフ制御する制御回路がそれぞれ設けられる。そして、上記の回路構成では、交流電源1からの交流入力電圧が入力端子2間に印加されると、入力回路8によってノイズ成分を抑制除去した交流電圧が、後段の入力側整流回路10によって全波整流される。この全波整流した電圧は、高調波電流抑制用のアクティブフィルタ回路である昇圧回路11によって昇圧され、インバータ回路14を構成するコンデンサ13A,13Bに印加される。そして、スイッチ素子12A,12Bを交互に、且つその間にデッドタイムを持たせながらオン,オフすることにより、トランス3の出力側巻線に誘起した電圧が出力ダイオード16,17で整流され、この整流した電圧が出力インダクタ18および出力コンデンサ19,20により平滑されることで、出力端子6間に所望の出力電圧を得るようにしている。
【0010】
図6は、電源装置の概略的な配置構成を示している。25は電源装置の外郭をなす筐体であって、この筐体25は長方形の対向する底板25Aおよび上板(図示せず)の間に、細長い左右の側板25Bと、正面側にある正面板25Cと、背面側にある背面板25Dとを配設して、全体が箱型矩形状に形成される。筐体25の一側すなわち正面側にある正面板25Cには、筐体25内に空気を取り入れるための吸気口26が設けられ、また吸気口26に対向して、筐体25の他側(図5では下側)にある背面板25Dには、筐体25内で熱を奪った空気を外部に排出するための排気口27が設けられる。当該吸気口26や排気口27の寸法形状や個数は、特に限定されない。また、電源装置を収容する被収容機器の筐体を利用して、吸気口26や排気口27を設けてもよい。
【0011】
28は、排気口27に臨んで設けた軸流送風装置としての排気ファンである。排気ファン28の個数は、本実施例のように1個であっても、また複数個であっても構わないが、何れも排気口27との間に電子部品を配置することなく、当該排気口27の近傍に設けられる。また、ここでは吸気口26から排気口27への空気の流れFを生成する風洞29を形成する上で、排気ファン28以外に他の送風手段(例えば、従来例における吸気ファンなど)を設けていない。これは、後程説明する大電流の流れる出力側回路5を筐体25内に無理なく配置するためである。
【0012】
筐体25の内部には、吸気口26から排気口27に向かう空気の流れFに沿って、出力側回路5,トランス3,入力側回路4が順に配置される。つまり、吸気口26の近傍には出力側回路5が配置される一方で、排気口27の近傍には入力側回路4が配置され、この出力側回路5と入力側回路4との間にトランス3が配置される。
【0013】
本実施例における入力側回路4および出力側回路5は、図5に示す回路的な構成で、トランス3の入力側巻線3Aや出力側巻線3Bから見て、主回路として対称な回路素子が存在する一対の対称構造部34A,34Bおよび35A,35Bと、主回路として対称な回路素子が存在しない回路素子を含む非対称構造部34Cおよび35Cにそれぞれ区画され、前記空気の流れFに直交して、非対称構造部34Cおよび35Cを中央部に配置し、その両側に対称構造部34A,34Bおよび35A,35Bを配置している。こうすることで、筐体25の内部に形成される空気の流れFは、出力側回路5の非対称構造部35Cから入力側回路4の非対称構造部34Cへの空気の流れFと、出力側回路5の一方の対称構造部35Aから入力側回路4の一方の対称構造部34Aへの空気の流れFと、出力側回路5の他方の対称構造部35Bから入力側回路4の他方の対称構造部34Bへの空気の流れFにほぼ均等に分割される。
【0014】
さらに本実施例では、トランス3が非対称構造部34C,35Cと同じく、空気の流れFに直交した中央部に配置され、前記空気の流れFを受けるようになっている。これは、図5の回路図において、トランス3も電源装置の主回路として対称には配置できない非対称構造部であることに基づいている。
【0015】
前記入力側回路4において、対称構造部34A,34Bとして配置できる電子部品は、図1の回路図において、整流用ダイオード9A〜9Dやスイッチ素子12A,12Bなどが該当する。これらの各部品は、何れも入力端子2,2からトランス3の入力側巻線3Aの各端に至る入力電圧配線路間に、それぞれ対をなすように接続される。したがって例えば、一方の入力電圧配線路にその一端が接続する整流用ダイオード9A,9Cと、スイッチ素子12Aを、一方の対称構造部34Aとして配置し、他方の入力電圧配線路にその一端が接続する整流用ダイオード9B,9Dと、スイッチ素子12Bを、他方の対称構造部34Bとして配置すればよい。一方、昇圧回路11を構成する各部品などは、対をなす部品が存在せず、非対称構造部34Cとして配置される。
【0016】
前記出力側回路5において、対称構造部35A,35Bとして配置できる電子部品は、図1の回路図において、出力ダイオード16,17および出力コンデンサ19,20が該当する。これらの各部品は、何れもセンタータップを有するトランス3の出力側巻線3Bの一端と他端からそれぞれ延びる出力電圧配線路に、対をなすように接続される。したがって例えば、一方の出力電圧配線路に挿入接続される出力ダイオード16の各ダイオード素子16A〜16Nと、その一端が接続する出力コンデンサ19の各コンデンサ素子19A〜19Nを、一方の対称構造部35Aとして配置し、他方の出力電圧配線路に挿入接続される出力ダイオード17の各ダイオード素子17A〜17Nと、その一端が接続する出力コンデンサ20の各コンデンサ素子20A〜20Nを、他方の対称構造部35Bとして配置すればよい。一方、トランス3の出力側巻線のセンタータップに挿入接続される出力インダクタ18は、対をなす部品が存在せず、非対称構造部35Cとして配置される。
【0017】
図7は、図6に対応して、より詳細な部品の配置を示したものである。また、図8〜図11は、特にトランス3と出力側回路5に関する各部の構成を示したものである。図7において、トランス3,入力側回路4および出力側回路5は、共通の主プリント基板41上に実装される。この主プリント基板41は、この図では示していない筐体25の底板25A上に、隙間を有しつつ配置される。また、主プリント基板41の背面側には凹部41Aが形成され、ここに前記図6で示した排気ファン28が装着される。したがって、ここでは主プリント基板41と排気ファン28が、筐体25の底板25Aをほぼ占有する形状に形成される。
【0018】
入力側回路4の構成について、一方の対称構造部34Aは、前述した整流用ダイオード9A,9Cや、スイッチ素子12Aの他に、整流用ダイオード9A,9Cおよびスイッチ素子12Aの部品背面と熱的に接続されるヒートシンク43を備えている。同様に、他方の対称構造部34Bも、前述した整流用ダイオード9B,9Dや、スイッチ素子12Bの他に、整流用ダイオード9B,9Dおよびスイッチ素子12Bの部品背面と熱的に接続されるヒートシンク44を備えている。一方のヒートシンク43は、前記空気の流れFを妨げない方向に複数のフィン43Aが設けられ、また他方のヒートシンク44も、空気の流れFを妨げない方向に複数のフィン44Aが設けられる。また、これらの対称構造部34Aの各構成部品と、対称構造部34Bの各構成部品は、対称構造部34A,34B間での熱的なアンバランスを極力防ぐために、排気ファン28による空気の流れFに沿った風洞29の中心線(すなわち、排気ファン29の軸流方向中心線)Cに対し、平面視で左右対称に向かい合うように配置される。したがって図7に示すように、例えばヒートシンク43のフィン43Aが、中心線Cに対して外向きに延びて形成されれば、別なヒートシンク44のフィン44Aも、中心線Cに対して外向きに延びて形成される。これは、後述する出力側回路5の各構成部品についても同じことが言える。
【0019】
トランス3は、出力側の出力側巻線3Bの一端,他端およびセンタータップに対応して、それぞれねじ孔付きの接続金具47,48,49が設けられる。また、出力側回路5に関し、前述した出力ダイオード16,17と、出力インダクタ18と、出力コンデンサ19,20の他に、出力側回路5の配線路を形成する第1〜第4のバスバー51〜54と、第1〜第4のプリント基板55〜58とを備えている。第1のバスバー51は、トランス3の出力側巻線3Bの一端と出力ダイオード16のカソードとの間の配線路に相当し、その基端側に形成したねじ孔付きの接続部51Aが、止着部材であるねじ60によって接続金具47に接続され、また板状の平板部51Bが、第1のプリント基板55の部品実装面55Aに沿うように密着接続される。これにより、第1のプリント基板55の部品実装面55A上に露出形成された導電パターン(図示せず)に、第1のバスバー51の平板部51Bが電気的に接続される。また、第2のバスバー52は、トランス3の出力巻線の他端と出力ダイオード17のカソードとの間の配線路に相当し、その基端側に形成したねじ孔付きの接続部52Aが、止着部材であるねじ60によって接続金具48に接続され、また板状の平板部52Bが、第2のプリント基板56の部品実装面56Aに沿うように接続される。これにより、第2のプリント基板56の部品実装面56A上に露出形成された導電パターン(図示せず)に、第2のバスバー52の平板部52Bが電気的に接続される。
【0020】
第1のプリント基板55には、出力ダイオード16を構成する6個のダイオード素子16A〜16Fが、部品実装面55Aから横方向外方に延出して配設される。同様に、第2のプリント基板56にも、別な出力ダイオード17を構成する6個のダイオード素子17A〜17Fが、部品実装面56Aから横方向外方に延出して配設される。出力ダイオード16は、前記第1のバスバー51における平板部51Bの両側に向かい合うようにして、ダイオード素子16A〜16Cと、ダイオード素子16D〜16Fが3個ずつ並んで配置される。また、出力ダイオード17も、前記第2のバスバー52における平板部52Bの両側に向かい合うようにして、ダイオード素子17A〜17Cと、ダイオード素子17D〜17Fが3個ずつ並んで配置される。
【0021】
第3のバスバー53は、出力ダイオード16,17のカソードから出力端子6の一方に至る出力電圧正極側の配線路を構成するものである。これは具体的には、出力ダイオード16,17の発熱部に当接する左右一対の当接部61,62と、この当接部61,62の共通する基端部63から上方向垂直に延びるコンデンサ取付部64,65と、コンデンサ取付部65の前方より外側に折曲げ形成された垂直な延出部66と、延出部66から電源装置の前方に延び、正極側の出力端子6に相当する結線用の孔67を備えた端子部68とにより構成される。そして、当接部61,62は、基端部63から枝分れして平面視において中心線Cに対し左右対称となるように配置される。さらに、当接部61,62は、何れも略コの断面となるように形成され、当接部61の上下に向かい合う両方の当接片61A,61Bには、出力ダイオード16の各ダイオード素子16A〜16Fを固定するためのねじ孔69が設けられ、また当接部62の上下に向かい合う両方の当接片62A,62Bにも、出力ダイオード17の各ダイオード素子17A〜17Fを固定するための同様のねじ孔69が設けられる。そして、当接部61における上側の当接片61Aに、3個の前記ダイオード素子16A〜16Cがそれぞれ接続され、下側の当接片61Bに、別な3個のダイオード素子16D〜16Fがそれぞれ接続される。また、当接部62における上側の当接片62Aに、3個の前記ダイオード素子17A〜17Cがそれぞれ接続され、下側の当接片62Bに、別な3個のダイオード素子17D〜17Fがそれぞれ接続される。これらの出力ダイオード16,17は、止着部材としてのねじ59を用いて当接部61,62に取付け固定される。
【0022】
前記トランス3の接続金具49には出力インダクタ18の一端が接続されるが、この出力インダクタ18の他端から出力端子6の他方に至る出力電圧負極側の配線路として、前述した第4のバスバー54が配設される。第4のバスバー54は、出力インダクタ18の他端との接続部となる基端部71と、この基端部71から上方向垂直に延びるコンデンサ取付部72,73と、コンデンサ取付部73の前方より外側に折曲げ形成された垂直な延出部74と、延出部74から電源装置の前方に延び、負極側の出力端子6に相当する結線用の孔75を備えた端子部76とにより構成される。そして、組立に際しては、第4のバスバー54の基端部71と第3のバスバー53の基端部63が非接触に上下に向かい合い、且つ双方のコンデンサ取付部64,65およびコンデンサ取付部72,73が、空気の流れFに沿って、それぞれ非接触に且つ一列に並ぶように、第3のバスバー53と第4のバスバー54が配置される。
【0023】
前記出力コンデンサ19は第3のプリント基板57に実装されると共に、別な出力コンデンサ20は第4のプリント基板58に実装される。そして、第3のプリント基板57は、コンデンサ取付部64,72の外側面に縦置きに取付け固定され、第4のプリント基板58は、コンデンサ取付部65,73の外側面に縦置きに取付け固定される。ここでの出力コンデンサ19は6個のコンデンサ素子19A〜19Fからなり、出力コンデンサ20も同数のコンデンサ素子20A〜20Fからなる。そして、コンデンサ取付部64,72,第3のプリント基板57および出力コンデンサ19と、コンデンサ取付部65,73,第4のプリント基板58および出力コンデンサ20は、中心線Cに対し平面視で左右対称となるように配置される。また同様に、第1のバスバー51,第3のバスバー53の当接部61,第1のプリント基板55および出力ダイオード16と、第2のバスバー52,第3のバスバー53の当接部62,第2のプリント基板56および出力ダイオード17も、中心線Cに対し平面視で左右対称となるように配置される。前記出力インダクタ18は、当接部61,62に沿って延びる第1および第2のプリント基板55,56の間に配置される。
【0024】
なお、上記第1〜第4のバスバー51〜54は、何れも一枚の導電性板体から折曲げ加工して、所望の形状に形成され、各部の肉厚は同じとなる。また、第1および第2のバスバー51,52の平板部51B,52Bと、第3のバスバー53の当接部61,62と、第3および第4のバスバー53,54のコンデンサ取付部64,72や、コンデンサ取付部65,73は、筐体25内における空気の流れFを妨げないように、この空気の流れFに沿うように平行に配置される。したがって、これらの各部は空気の流れFにより効率的に冷却される。また、第3のバスバー53の延出部66は、空気の流れFに直交して配設されるが、ここには一乃至複数の通気孔81が設けられていて、通気孔81を通して空気の流れFが形成されるようになっている。
【0025】
このような構成において、排気ファン28を動作させると、筐体25の正面側にある吸気口26から冷たい空気が吸い込まれ、先ず入力側回路4に比べて大電流が流れる出力側回路5から熱を奪ってゆく。出力側回路5では、第1のプリント基板55並びに第3のプリント基板57と、これにほぼ沿うように配設された第1のバスバー51の平板部51B並びに第3および第4のバスバー53,54のコンデンサ取付部64,72が、対称構造部35Aと非対称構造部35Cに空気の流れF,Fをそれぞれ分岐する第1の分岐部材として機能し、また第2のプリント基板56並びに第4のプリント基板58と、これにほぼ沿うように配設された第2のバスバー52の平板部52B並びに第3および第4のバスバー53,54のコンデンサ取付部65,73が、対称構造部35Bと非対称構造部35Cに空気の流れF,Fをそれぞれ分岐する第2の分岐部材として機能する。したがって、出力側回路5に進入した空気は、3つのほぼ均等な流れF,F,Fに分れて排気ファン28側に移動する。
【0026】
ここで、端子部68,74間に接続した負荷(図示せず)に電力を供給すると、筐体25内部の各電子部品が発熱すると共に、大電流が流れる導電部材としての第1〜第4のバスバー51〜54が発熱する。特に出力側回路5では、第1〜第4のバスバー51〜54が熱伝導性に優れた部材で形成されるので、第3のバスバー53の当接部61,62に、当該出力ダイオード16,17からの熱が速やかに伝達され、また、第3および第4のバスバー53,54を組み合わせたコンデンサ取付部64,65およびコンデンサ取付部72,73に、出力コンデンサ19,20からの熱が速やかに伝達される。
【0027】
このとき、対称構造部35Aを通過する空気の流れFが、出力コンデンサ19や出力ダイオード16の二次側電子部品に直接当たることにより、これらの部品から熱を奪うと共に、第1のバスバー51の平板部51Bや、第3のバスバー53の当接部61において、そのコ字状内面に沿って、空気の流れFが直接当たることにより、第1および第3のバスバー51,53からも熱を奪う。こうして、対称構造部35Aを構成する主な発熱部品や配線路からの効果的な熱放散を達成できる。
【0028】
また同様に、対称構造部35Bを通過する空気の流れFが、出力コンデンサ20や出力ダイオード17の二次側電子部品に直接当たることにより、これらの部品から熱を奪うと共に、第2のバスバー52の平板部52Bや、第3のバスバー53の当接部62において、そのコ字状内面に沿って、空気の流れFが直接当たることにより、第2および第3のバスバー52,53からも熱を奪う。こうして、対称構造部35Bを構成する主な発熱部品や配線路からも、効果的な熱放散を達成できる。
【0029】
さらに、非対称構造部35Cを通過する空気の流れFは、第3および第4のバスバー53,54におけるコンデンサ取付部64,65と、コンデンサ取付部72,73と、基端部63,71のU字状内面に沿って先ず流れ、これらの第3および第4のバスバー53,54からの熱を奪った後、出力インダクタ18からの熱を奪い、さらにその先にあるトランス3からの熱を奪う。こうして、非対称構造部35Cも、対称構造部35A,35Bと同等の空気の流れFによって、効果的に熱放散を実現できる。
【0030】
このように、回路的に対をなす対称構造部35Aおよび対称構造部35Bの主な発熱部品や配線路が、筐体25内で平面視において対称に配置されるので、電源装置内での熱分布が均等化され、安定な動作を維持できる。また、第3のバスバー53は、枝分れした当接部61,62に発熱部品である出力ダイオード16,17が取付けられるので、発熱源を分散化して、複数箇所で放熱を行なうことができ、効率的な熱放散が可能になる。さらに、略コ字状をなす当接片61A,61B,62A,62Bの各々に出力ダイオード16,17を取付けることで、部品実装密度の高い電源装置を実現できる上に、第1〜第4のバスバー51〜54が一枚に導電性板材から折曲げ加工により形成されるので、その熱流抵抗が小さく、個々のバスバー51〜54全体として効率的な熱放散が可能になる。
【0031】
こうして、出力側回路5やトランス3から発生する熱を奪った空気の流れFは、次に入力側回路4で発生する熱を奪う。この入力側回路4においても、各ヒートシンク43,44が、3つのほぼ均等な空気の流れF,F,Fを形成する分岐部として機能する。そして、整流用ダイオード9A,9Cやスイッチ素子12Aからの熱が、熱伝導性の良好な例えばアルミニウム製のヒートシンク43に速やかに伝導し、ここでフィン43Aを通過する空気の流れFによって、効果的に熱放散することができる。また、別な整流用ダイオード9B,9Dおよびスイッチ素子12Bからの熱も、ヒートシンク44に速やかに伝導し、ここでフィン44Aを通過する空気の流れFによって、効果的に熱放散することができる。さらに、出力インダクタ18やトランス3を通過した別な空気の流れFも、非対称構造部34Cを構成する昇圧回路11の各部品から熱を奪いつつ、他の空気の流れF,Fと共に、排気ファン28に向かって移動する。こうして、排気ファン28の入口側に集められた各空気の流れF,F,Fは、当該排気ファン28を通過してそのまま排気口27から筐体25の外部へと排出される。こうして、出力側回路5のみならず、トランス3や入力側回路4を含めて、筐体25の内部に配置された各構成部品(回路素子および配線路)から発生する熱を、回路的にも均一に且つ効果的に放散することが可能になる。
【特許文献1】特開平9−64570号公報
【特許文献2】特開2005−124322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
しかし、上述した図5〜図11の電源装置では、冷却性能を向上させるという点で、さらに次のような改善の余地があった。
【0033】
第1に、出力側回路5において、特に出力コンデンサ19,20を通過した空気の流れF,Fは、コ字状に形成された当接部61,62の内面側を通過して、ここで出力ダイオード16,17からの熱を奪いながら、入力側回路4の各ヒートシンク43,44へと送り出さされる。しかし、ヒートシンク43,44には、出力ダイオード16,17からの熱を受取った高い温度の空気だけが送り込まれることになり、入力側回路4の発熱部品(整流用ダイオード9A〜9Dやスイッチ素子12A,12B)を十分に冷却することができなかった。
【0034】
第2に、出力コンデンサ19,20は、縦置きされた第3および第4のプリント基板57,58から、横方向に上下二段に分けて間隔をおいて配置され、その隙間に筐体25の吸気口26からの空気が通過するようになっている。しかし、出力コンデンサ19,20をそれぞれのプリント基板57,58に実装して構成されるコンデンサユニットは、主プリント基板41の上面に載るように配置されているので、高さ方向が限られている筺体25内では、上下二段に分けて配置した出力コンデンサ19,20の間に、十分な空気の流れを形成するような隙間を確保することができず、結果的にこれも入力側回路4の発熱部品を十分に冷却できない要因となっていた。
【0035】
第3に、第3のバスバー53の延出部66は、空気の流れFに直交する方向に配設されており、ここに設けた一乃至複数の通気孔81を通して、上下二段に分けて配置した出力コンデンサ19,20の間に空気を送り込むようになっている。しかし、通気孔81を設けること自体、大電流が流れる第3のバスバー53において発熱や電力損失が増大し、また延出部66が空気の流れFを妨げる位置に設けられていて、筺体25内部における冷却性能が低下する。
【0036】
そこで本発明の目的は、筺体内部の構造を見直して冷却性能の向上を図ることができる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明の請求項1における電源装置は、負荷に電力を伝送する主回路を筺体内に備え、前記筐体の吸気口から排気口に向かう空気の流れを形成する送風手段を配設し、前記主回路は、トランスと、このトランスの入力側巻線に入力電圧を断続的に印加する入力側回路と、前記トランスの出力側巻線に誘起した電圧を整流平滑して、出力端子から出力電圧を供給する出力側回路とからなり、前記空気の流れの上流側から、前記出力側回路,前記トランスおよび前記入力側回路の順に直線的に配置され、前記出力側回路は、出力電圧配線路を形成する金属導体と、この金属導体と熱的および電気的に接続する出力側整流部とによる整流ユニットを備え、前記空気の流れに沿って配置され、前記金属導体と前記出力側整流部とにより囲まれた第1の風路と、前記空気の流れに沿って、前記整流ユニットの外部と前記筺体との間に形成される第2の風路とを、前記筺体内に区画して配設し、前記第1および第2の風路の出口側からの混合した空気の流れを受けるように、前記入力側回路を配置している。
【0038】
本発明の請求項2における電源装置は、前記入力側回路が、入力側発熱部品と、この入力側発熱部品に熱的に接続する冷却器とを備え、前記冷却器が、横方向に延設する第1フィンを備えた第1ヒートシンクと、前記第1ヒートシンクの上部に位置し、縦方向に延設する第2フィンを備えた第2ヒートシンクとからなることを特徴とする。
【0039】
本発明の請求項3における電源装置は、前記第1ヒートシンクと前記第2ヒートシンクが別部材であることを特徴とする。
【0040】
本発明の請求項4における電源装置は、前記出力側回路が、前記整流ユニットの他に、前記金属導体の取付部に接合し、複数個の出力コンデンサを縦置きされた基板に実装してなるコンデンサユニットをさらに備え、前記空気の流れの上流側から、前記コンデンサユニットと、前記整流ユニットを、前記筺体内に設けられた主基板上にそれぞれ順に配置し、前記出力コンデンサを前記基板から横方向に少なくとも上下二段に分けて配置すると共に、前記第1および第2の風路に空気が直接入り込むように、上下二段に分けて配置した前記出力コンデンサ間に空気導入路を形成し、前記下段側に位置する前記出力コンデンサを、前記主基板に形成した切欠き部に配置したことを特徴とする。
【0041】
本発明の請求項5における電源装置は、前記金属導体において、前記取付部と前記出力端子との間に板状の延出部が形成され、この延出部が、前記空気の流れと直交する方向で、且つ前記空気導入路を迂回して形成される。
【発明の効果】
【0042】
本発明の請求項1では、整流ユニットの外形を金属導体と出力側整流部とにより筒状に形成し、これを空気の流れに沿って配置することで第1の風路を形成すると共に、整流ユニットの外部と筺体の内部との間には、第1の風路と区画して、別な第2の風路を配設する。こうすると、第1の風路を流れる空気は出力側整流部からの熱を集中的に奪って加熱される一方で、第2の風路を流れる空気は殆ど温度上昇することなくそのまま通過し、これらの各風路の出口から吐出する空気が混合して、入力側回路に流れるようになる。したがって、空気の流れの下流側にある入力側回路は、加熱された空気と、さほど加熱されていない温度の低い空気とを混合した空気で冷却されることとなり、従来よりも入力側回路の発熱部品を十分に冷却することが可能になる。
【0043】
本発明の請求項2では、入力側回路の下方を流れてくる空気を、第1ヒートシンクの第1フィンに通過させるだけでなく、例えばトランスを跨いで入力側回路の上方から流れてくる空気を第2ヒートシンクの第2フィンに通過させて、入力側発熱部品をより効率よく冷却することができる。したがって、従来よりも入力側回路の発熱部品をより一層十分に冷却することが可能になる。
【0044】
本発明の請求項3では、入力側回路の組立に際して、先に第1ヒートシンクと共に、その周辺にある電子部品を取付けてから、第1ヒートシンクの上に第2ヒートシンクを配置することができ、生産性を向上させることができる。
【0045】
本発明の請求項4では、縦置きされた基板に実装する下段の出力コンデンサを、主基板に形成した切欠き部に落とし込んで配置することができる。そのため、上下二段に分けて配置した出力コンデンサ間の空気導入路を広く確保することができ、整流ユニットへの冷却風の導風管構造として作用する空気導入路から大量の空気を取り込んで、整流ユニットのみならず入力側回路の発熱部品を十分に冷却することができる。
【0046】
本発明の請求項5では、金属導体に形成した板状の延出部が、空気導入路を通過する空気の流れを妨げないように迂回して配置されるので、空気導入路はさらに大量の空気を取り込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、図1〜図4に示す添付図面を参照しながら、本発明における電源装置について、好ましい実施例を説明する。なお、従来例と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複を避けるため極力省略する一方で、本実施例の特徴となる部分は、従来例と異なる符号を付して説明する。
【0048】
本実施例で提案する電源装置の回路構成は、図5に示すものと全く同じである。但し、図5で説明したハーフブリッジ型以外に、例えばプッシュプル型やフルブリッジ型のインバータ回路14を採用してもよい。また、図6に示す概略的な配置構成も変更はなく、入力側回路4や出力側回路5の細部構成が異なっている。
【0049】
先ず、入力側回路4の変更点を説明する。ここでは従来のヒートシンク43,44に代わって、各対称構造部34A,34Bに放熱器101,111をそれぞれ設けている。これらの放熱器101,111は、何れも熱伝導性の良好な材料である例えばアルミニウムなどで構成され、一方の放熱器101は、各々別部材である第1ヒートシンク102と第2ヒートシンク103を組み合わせて構成され、また他方の放熱器111も、各々別部材である第1ヒートシンク112と第2ヒートシンク113を組み合わせて構成される。
【0050】
第1ヒートシンク102は、その外側面が整流用ダイオード9A,9Cおよびスイッチ素子12Aの部品背面と熱的に接続可能な取付面として形成され、主プリント基板41上に立設状態に載置される板状の取付基部104と、取付基部104の内側面から横方向に延設する複数のフィン105とを備えて構成される。同様に、第1ヒートシンク112は、その外側面が整流用ダイオード9B,9Dおよびスイッチ素子12Bの部品背面と熱的に接続可能な取付面として形成され、主プリント基板41上に立設状態に載置される板状の取付基部114と、取付基部114の内側面から横方向に延設する複数のフィン115とを備えて構成される。
【0051】
第2ヒートシンク103は、対称構造部34Aの全体と非対称構造部34Cのほぼ半分を覆うように、第1ヒートシンク102の上部に配置される。この第2ヒートシンク103の取付基部106を、第1ヒートシンク102の上面に載置した状態で取付け固定するために、当該第1ヒートシンク102の上面には、ねじ止め用のタップ孔107が複数個形成される。第2ヒートシンク103は、前述した板状の横方向に拡がる取付基部106の他に、この取付基部106の上面から縦方向に延設する複数のフィン108とを備えて構成される。第1ヒートシンク102のフィン105および第2ヒートシンク103のフィン108は、何れも対称構造部34Aへの空気の流れFを妨げないように、この空気の流れFに沿って設けられる。
【0052】
別な第2ヒートシンク113は、対称構造部34Cの全体と非対称構造部34Cの残りのほぼ半分を覆うように、第1ヒートシンク112の上部に配置される。この第2ヒートシンク113の取付基部116を、第1ヒートシンク112の上面に載置した状態で取付け固定するために、当該第1ヒートシンク112の上面には、ねじ止め用のタップ孔117が複数個形成される。第2ヒートシンク113は、前述した板状の横方向に拡がる取付基部116の他に、この取付基部116の上面から縦方向に延設する複数のフィン118とを備えて構成される。第1ヒートシンク112のフィン115および第2ヒートシンク113のフィン118は、何れも対称構造部34Bへの空気の流れFを妨げないように、この空気の流れFに沿って設けられる。
【0053】
また、入力側回路4の非対称構造部34Cとして、前記昇圧回路11の他に、複数のチップ部品からなるコンデンサ13A〜13Dを、それぞれの基板119に実装した入力側コンデンサユニット120が、基板41に立設した状態で取付け固定される。これらの昇圧回路11や入力側コンデンサユニット120は、左右一対に間隔をおいて配置された放熱器101,111の間に設けられる。
【0054】
次に、出力側回路5の変更点を説明する。ここでは、前記第3のバスバー53に相当する部材が、何れも導電性に優れた材料からなる板状部材121〜126を組み合わせることで構成される。また、他の第1,第2および第4のバスバー51,52,54も、その形状が変更されている。
【0055】
第1のバスバー51は、トランス3の出力側巻線3Bの一端と出力ダイオード16のカソードとの間の配線路に相当し、その基端側に形成したねじ孔付きの接続部51Aが、止着部材であるねじ60によってナット状の接続金具47に接続され、また板状の平板部51Bが、第1のプリント基板55の部品実装面55Aに沿うように密着接続される。これにより、第1のプリント基板55の部品実装面55A上に露出形成された導電パターン(図示せず)に、第1のバスバー51の平板部51Bが電気的に接続される。
【0056】
また、第2のバスバー52は、トランス3の出力巻線の他端と出力ダイオード17のカソードとの間の配線路に相当し、その基端側に形成したねじ孔付きの接続部52Aが、ここでの止着部材であるねじ60によってナット状の接続金具48に接続され、また板状の平板部52Bが、第2のプリント基板56の部品実装面56Aに沿うように接続される。これにより、第2のプリント基板56の部品実装面56A上に露出形成された導電パターン(図示せず)に、第2のバスバー52の平板部52Bが電気的に接続される。
【0057】
第1のプリント基板55には、出力ダイオード16を構成する8個のダイオード素子16A〜16Hが、下方に向く部品実装面55Aから延出して配設される。同様に、第2のプリント基板56にも、別な出力ダイオード17を構成する8個のダイオード素子17A〜17Gが、下方に向く部品実装面56Aから延出して配設される。出力ダイオード16は、前記第1のバスバー51における平板部51Bの両側に向かい合うようにして、ダイオード素子16A〜16Dと、ダイオード素子16E〜16Hが4個ずつ並んで配置される。また、出力ダイオード17も、前記第2のバスバー52における平板部52Bの両側に向かい合うようにして、ダイオード素子17A〜17Dと、ダイオード素子17E〜17Hが4個ずつ並んで配置される。
【0058】
板状部材121,122は前記第3のバスバー53の当接部61に相当し、また板状部材123,124は前記第3のバスバー53の当接部62に相当するもので、それぞれが断面L字状に形成される。そして、出力ダイオード16を構成するダイオード素子16A〜16Dの発熱部が、板状部材121の外側面に当接し、ダイオード素子16E〜16Hの発熱部が、板状部材122の外側面に当接すると共に、別な出力ダイオード17を構成するダイオード素子17A〜17Dの発熱部が、板状部材123の外側面に当接し、ダイオード素子17E〜17Hの発熱部が、板状部材124の外側面に当接する。これらの出力ダイオード16,17は、止着部材としてのねじ59を用いて板状部材121〜124にそれぞれ取付け固定され、それにより、プリント基板55と共に出力側整流部を構成するダイオード素子16A〜16Gが、板状部材121,122と熱的および電気的に接続固定し、別なプリント基板56と共に出力側整流部を構成するダイオード素子17A〜17Gが、板状部材123,124と熱的および電気的に接続固定するようになっている。
【0059】
板状部材121,122は、お互いの底面部端縁が向かい合うように配置され、板状部材121,122の上端縁を跨ぐようにして、ダイオード素子16A〜16Gおよび第1のバスバー51を予め取付けたプリント基板55が配設される。これにより、板状部材121,122とプリント基板55により囲まれた風洞131が形成される。同様に、板状部材123,124も、お互いの底面部端縁が向かい合うように配置され、板状部材123,124の上端縁を跨ぐようにして、ダイオード素子17A〜17Gおよび第2のバスバー52を予め取付けたプリント基板56が配設される。これにより、板状部材123,124とプリント基板56により囲まれた風洞132が形成される。これらの風洞131,132は、何れも第1の風路として空気Fの流れに沿って配置されると共に、風洞131,132の内部には、出力ダイオード16,17からの熱を効率よく熱交換するために、薄板状のフィン片130が配設される。
【0060】
前記板状部材121,122およびダイオード素子16A〜16Gを実装したプリント基板55による整流ユニット133は、板状部材125の上面一側にねじ孔141を利用して取付けられる。また、別な板状部材123,124およびダイオード素子17A〜17Gを実装したプリント基板56による整流ユニット134も、板状部材125の上面他側にねじ孔142を利用して取付けられる。平板金属体からなる板状部材125は、従来例における第3のバスバー53の基端部63に相当するもので、前記主プリント基板41と共に筺体25の底板25A上に、この底板25Aと電気的に絶縁した状態で取付けられる。そして、整流ユニット133,134の各外側面と筺体25の側板25Bとの間には、空気Fの流れに沿って、前記風洞131,132とは別の風路135,136がそれぞれ形成される。
【0061】
板状部材126は、前記第3のバスバーの基端部63から端子部68に相当するもので、これは前記板状部材125に形成したねじ孔145を利用して、この板状部材125の前端部に取り付け固定されるT字状の連結部146と、連結部146の前部両側から上方向垂直に延びるコンデンサ取付部64,65と、コンデンサ取付部65の前方上端より外側に横方向に延びる延出部147と、延出部147から電源装置の前方に延び、正極側の出力端子6に相当する結線用の孔67を備えた端子部68とにより構成される。
【0062】
前述したように、第4のバスバー54は、出力インダクタ18の他端から出力端子6の他方に至る出力電圧負極側の配線路として配設され、出力インダクタ18の他端との接続部となる基端部71と、この基端部71の左右両側において、上方向垂直に延びるコンデンサ取付部72,73と、コンデンサ取付部73の前方より外側に折曲げ形成された垂直な延出部74と、延出部74から電源装置の前方に延び、負極側の出力端子6に相当する結線用の孔75を備えた端子部76とにより構成される。
【0063】
そして、組立に際しては、板状部材126の連結部146と第4のバスバー54の基端部71が非接触に上下に向かい合い、且つ双方のコンデンサ取付部64,65およびコンデンサ取付部72,73が、空気の流れFに沿って、それぞれ非接触に且つ前後方向垂直に一列で並ぶように、板状部材126と第4のバスバー54が配置される。
【0064】
前記出力コンデンサ19は第3のプリント基板57に実装されると共に、別な出力コンデンサ20は第4のプリント基板58に実装される。そして、第3のプリント基板57は、コンデンサ取付部64,72の外側面に縦置きに取付け固定され、第4のプリント基板58は、コンデンサ取付部65,73の外側面に縦置きに取付け固定される。ここでの出力コンデンサ19は6個のコンデンサ素子19A〜19Fからなり、出力コンデンサ20は4個のコンデンサ素子20A〜20Dからなる。そして、コンデンサ取付部64,72,第3のプリント基板57および出力コンデンサ19と、コンデンサ取付部65,73,第4のプリント基板58および出力コンデンサ20は、中心線Cに対し平面視で左右対称となるように配置される。また同様に、整流ユニット133,134も、中心線Cに対し平面視で左右対称となるように配置される。前記出力インダクタ18は、整流ユニット133,134の間に配置される。
【0065】
対称構造部35Aにおいて、出力コンデンサ19を第3のプリント基板57に実装したコンデンサユニット151は、整流ユニット133よりも空気の流れFの上流側に位置して、主プリント基板41上に設けられる。ここではコンデンサ素子19A〜19Cと、コンデンサ素子19D〜19Fが、第3のプリント基板57から横方向に上下二段に分けて配置され、その間には、筐体25の吸気口26から前記風洞131と風路135に空気が直接入り込むように、空気導入路152が形成される。そして特に、第3のプリント基板57の下段側に設けられたコンデンサ素子19D〜19Fの一部が、主プリント基板41よりも下方に位置するように、主プリント基板41に形成した切欠き部41Bに、これらのコンデンサ素子19D〜19Fが配置される。
【0066】
また、別な対称構造部35Bにおいて、出力コンデンサ20を第4のプリント基板58に実装したコンデンサユニット153は、整流ユニット134よりも空気の流れFの上流側に位置して、主プリント基板41上に設けられる。ここではコンデンサ素子20A,20Bと、コンデンサ素子20C,20Dが、第4のプリント基板58から横方向に上下二段に分けて配置され、その間には、筐体25の吸気口26から前記風洞132と風路136に空気が直接入り込むように、空気導入路154が形成される。そしてここでも、第3のプリント基板57の下段側に設けられたコンデンサ素子20C,20Dの一部が、主プリント基板41よりも下方に位置するように、主プリント基板41に形成した切欠き部(図示せず)に、これらのコンデンサ素子20C,20Dが配置される。
【0067】
なお、上記第1,第2および第4のバスバー51,53,54と、各板状部材121〜126は、何れも一枚の導電性板体から折曲げ加工して、所望の形状に形成され、各部の肉厚は同じとなる。また、第1および第2のバスバー51,52の平板部51B,52Bと、板状部材121〜124と、板状部材126のコンデンサ取付部64,65と、第4のバスバー54のコンデンサ取付部72,73は、筐体25内における空気の流れFを妨げないように、この空気の流れFに沿うように平行に配置される。したがって、これらの各部は空気の流れFにより効率的に冷却される。また、板状部材126の取付部であるコンデンサ取付部65と端子部68との間を連結する延出部147は、空気の流れFに直交する方向に配設されるが、ここでは空気導入路154の入口を閉塞しないように、この空気導入路154の上方を迂回して延出部147が形成される。
【0068】
このような筺体25内部の構成について、排気ファンを動作させたときの作用を説明する。排気ファン28の動作に伴い、筐体25の正面側にある吸気口26から冷たい空気が吸い込まれると、この空気は、先ず入力側回路4に比べて大電流が流れる出力側回路5からの熱を奪ってゆく。出力側回路5では、第3のプリント基板57およびチョークコイル18の一方の側壁部が、対称構造部35Aと非対称構造部35Cに空気の流れF,Fをそれぞれ分岐する第1の分岐部材として機能し、また第4のプリント基板58およびチョークコイル18の他方の側壁部が、対称構造部35Bと非対称構造部35Cに空気の流れF,Fをそれぞれ分岐する第2の分岐部材として機能する。したがって、出力側回路5に進入した空気は、3つのほぼ均等な流れF,F,Fに分れて排気ファン28側に移動する。
【0069】
その際、対称構造部35Aにおいて、筐体25の吸気口26から吸い込まれた空気は、そのままコンデンサ素子19A〜19Cと、コンデンサ素子19D〜19Fとの間に形成された空気導入路152へと案内され、整流ユニット133により各々区画して形成された風洞131と風路135に送り出される。このとき、第3のプリント基板57の下段側に設けられたコンデンサ素子19D〜19Fは、主プリント基板41に形成した切欠き部41Bに落とし込んだ位置に設けられることから、その分だけ従来よりも広い空気導入路152を形成でき、大量の冷却風を下流の風洞131と風路135に送り出すことができる。
【0070】
また、別な対称構造部35Bにおいて、板状部材126の延出部147が、空気導入路154の入口を迂回するように、第4のプリント基板58の上段側に設けられたコンデンサ素子20A,20Bと同じ高さで、横方向に並んで配置されているので、筐体25の吸気口26から吸い込まれた空気が、延出部147にぶつかることなく、そのままコンデンサ素子20A,20Bと、コンデンサ素子20C,20Dとの間に形成された空気導入路154に案内される。ここでも、第4のプリント基板58の下段側に設けられたコンデンサ素子20C,20Dは、主プリント基板41に形成した切欠き部(図示せず)に落とし込んだ位置に設けられることから、その分だけ従来よりも広い空気導入路154を形成でき、大量の冷却風を下流の風洞132と風路136に送り出すことができる。
【0071】
ここで、端子部68,74間に接続した負荷(図示せず)に電力を供給すると、筐体25内部の各電子部品が発熱すると共に、大電流が流れる金属導体としての第1,第2および第4のバスバー51,52,54や、板状部材121〜126が発熱する。これらの各部材は、何れも熱伝導性に優れた材料で形成されるので、板状部材121〜124に、出力ダイオード16,17からの熱が速やかに伝達され、また、第3および第4のバスバー53,54を組み合わせたコンデンサ取付部64,65およびコンデンサ取付部72,73に、出力コンデンサ19,20からの熱が速やかに伝達される。
【0072】
このとき、対称構造部35Aを通過する空気の流れFが、出力コンデンサ19や出力ダイオード16の二次側電子部品に直接当たることにより、これらの部品から熱を奪うと共に、特に板状部材121,122と第1の基板55とにより筒状に形成された風洞131を通過する空気が、その内部にあるフィン片133に当たりながら、板状部材121,122に到達した出力ダイオード16からの熱を効率よく奪い取る。そのため、風洞131からは比較的高い温度の空気が排出される。
【0073】
一方、風洞131とは別の風路135を通過する空気は、出力ダイオード16の表面に沿って流れて行くものの、さほど温度上昇しないまま下流側に送り出される。このようにして、対称構造部35Aを構成する主な発熱部品や配線路からの効果的な熱放散を達成できる。
【0074】
同様に、対称構造部35Bを通過する空気の流れFが、出力コンデンサ20や出力ダイオード17の二次側電子部品に直接当たることにより、これらの部品から熱を奪うと共に、特に板状部材123,124と第1の基板56とにより筒状に形成された風洞132を通過する空気が、その内部にあるフィン片133に当たりながら、板状部材123,124に到達した出力ダイオード17からの熱を効率よく奪い取る。そのため、風洞132からは比較的高い温度の空気が排出される。
【0075】
一方、風洞132とは別の風路136を通過する空気は、出力ダイオード17の表面に沿って流れて行くものの、さほど温度上昇しないまま下流側に送り出される。このようにして、対称構造部35Bを構成する主な発熱部品や配線路からも、効果的な熱放散を達成できる。
【0076】
さらに、非対称構造部35Cを通過する空気の流れFは、板状部材126および第4のバスバー54により形成されるコンデンサ取付部64,65と、コンデンサ取付部72,73と、連結部146および基端部71のU字状内面に沿って先ず流れ、これらの板状部材126および第4のバスバー54からの熱を奪った後、出力インダクタ18からの熱を奪い、さらにその先にあるトランス3からの熱を奪う。こうして、非対称構造部35Cも、対称構造部35A,35Bと同等の空気の流れFによって、効果的に熱放散を実現できる。
【0077】
ここでも、回路的に対をなす対称構造部35Aおよび対称構造部35Bの主な発熱部品や配線路が、筐体25内で平面視において対称に配置されるので、電源装置内での熱分布が均等化され、安定な動作を維持できる。また、枝分れした板状部材121,122と板状部材123,124に、発熱部品である出力ダイオード16,17がそれぞれ取付けられるので、発熱源を分散化して、複数箇所で放熱を行なうことができ、効率的な熱放散が可能になる。さらに、略コ字状をなす板状部材121〜124の各々に出力ダイオード16,17を取付けることで、部品実装密度の高い電源装置を実現できる上に、第1,第2および第4のバスバー51,52,54や、板状部材121〜124が、何れも一枚の導電性板材から折曲げ加工により形成されるので、その熱流抵抗が小さく、効率的な熱放散が可能になる。
【0078】
こうして、出力側回路5やトランス3から発生する熱を奪った空気の流れFは、次に入力側回路4で発生する熱を奪う。この入力側回路4においても、各放熱器101,111が、3つのほぼ均等な空気の流れF,F,Fを形成する分岐部として機能するが、入力側回路4の主に対称構造部34Aには、風洞131からの比較的高い温度の空気と、風路135からのさほど温度上昇していない空気が混合して送り込まれ、整流用ダイオード9A,9Cやスイッチ素子12Aから直接発生する熱と、これらの各部品から放熱器101に伝達した熱を、従来よりも効果的に奪い取ることができる。特に、本実施例では放熱器101の下側を通過する空気の流れFを利用して、主に第1ヒートシンク102に形成したフィン105から熱を奪い取ることができ、また一部はトランス3の上部を越えて放熱器101の上側を通過するような空気の流れFも、これを有効に利用して、主に第2ヒートシンク103に形成したフィン108から熱を奪い取ることができる。しかも第2ヒートシンク103は、別な第2ヒートシンク113と共に、入力側回路4の上部をほぼ覆って配置されていることから、出力側回路5からの空気を受ける構成配置でありながら、入力側回路4の各発熱部品を極めて効率よく冷却できる。
【0079】
同様に、入力側回路4の主に対称構造部34Bには、風洞132からの比較的高い温度の空気と、風路136からのさほど温度上昇していない空気が混合して送り込まれ、整流用ダイオード9B,9Dやスイッチ素子12Bから直接発生する熱と、これらの各部品から放熱器111に伝達した熱を、従来よりも効果的に奪い取ることができる。特に、放熱器111の下側を通過する空気の流れFを利用して、主に第1ヒートシンク112に形成したフィン115から熱を奪い取ることができ、また一部はトランス3の上部を越えて放熱器111の上側を通過するような空気の流れFも、これを有効に利用して、主に第2ヒートシンク113に形成したフィン118から熱を奪い取ることができる。
【0080】
さらに、出力インダクタ18やトランス3を通過した別な空気の流れFも、非対称構造部34Cを構成する昇圧回路11の各部品や、入力側コンデンサユニット120や、第2ヒートシンク103,113から熱を奪いつつ、他の空気の流れF,Fと共に、排気ファン28に向かって移動する。こうして、排気ファン28の入口側に集められた各空気の流れF,F,Fは、当該排気ファン28を通過してそのまま排気口27から筐体25の外部へと排出され、出力側回路5のみならず、トランス3や入力側回路4を含めて、筐体25の内部に配置された各構成部品(回路素子および配線路)から発生する熱を、回路的にも均一に且つ極めて効果的に放散することが可能になる。
【0081】
以上のように本実施例では、負荷に電力を伝送する主回路として、トランス3と、このトランス3の入力側巻線3Aに入力電圧を断続的に印加する入力側回路4と、トランス4の出力側巻線3Bに誘起した電圧を整流平滑して、出力端子6から出力電圧を供給する出力側回路とを筺体25内に備え、筐体25の吸気口26から排気口27に向かう空気の流れFを形成する送風手段となる排気ファン28を配設し、空気の流れFの上流側から、出力側回路5,トランス3および入力側回路4の順に、主回路を直線的に配置したものにおいて、出力側回路5は、出力電圧配線路を形成する金属導体としての板状部材121〜126と、板状部材121〜124と熱的および電気的に接続する出力側整流部(出力ダイオード16,17と第1および第2のプリント基板55,56)とによる整流ユニット133,134を備え、空気の流れFに沿って配置され、板状部材121〜124と出力側整流部とにより囲まれた第1の風路としての風洞131,132と、同じく空気の流れFに沿って、前記整流ユニット133,134の外部と筺体25との間に形成される第2の風路135,136とを、筺体25内に区画して配設し、これらの風洞131,132や風路135,136の出口側から排出される混合した空気の流れを受けるように、入力側回路4を配置している。
【0082】
こうすると、整流ユニット133,134の外形を板状部材121〜124と出力側整流部とにより筒状に形成し、これを空気の流れFに沿って配置することで風洞131,132を形成すると共に、整流ユニット133,134の外部と筺体25の内部との間には、風洞131,132と区画して別な風路135,136を配設する。こうすると、風洞131,132を流れる空気は出力側整流部からの熱を集中的に奪って加熱される一方で、風路135,136を流れる空気は殆ど温度上昇することなくそのまま通過し、これらの風洞131,132および風路135,136の出口から吐出する空気が混合して、入力側回路4に流れるようになる。したがって、空気の流れFの下流側にある入力側回路4は、加熱された空気と、さほど加熱されていない温度の低い空気とを混合した空気で冷却されることとなり、従来よりも入力側回路4の発熱部品を十分に冷却することが可能になる。
【0083】
また、本実施例の入力側回路4は、入力側発熱部品である整流用ダイオード9A〜9Dやスイッチ素子12A,12Bと、こうした入力側発熱部品に熱的に接続する冷却器101,111とを備え、冷却器101,111は、何れも横方向に延設する第1フィンとしてのフィン105,115を備えた第1ヒートシンク102,112と、第1ヒートシンク102,112の上部にそれぞれ位置し、縦方向に延設する第2フィンとしてのフィン108,118を備えた第2ヒートシンク103,113とにより構成している。
【0084】
こうすると、入力側回路4の下方を流れてくる空気を、第1ヒートシンク102,112のフィン105,115に通過させるだけでなく、例えばトランス3を跨いで入力側回路4の上方から流れてくる空気を、第2ヒートシンク103,113のフィン108,118に通過させて、入力側発熱部品である整流用ダイオード9A〜9Dやスイッチ素子12A,12Bを、より効率よく冷却することができる。したがって、従来よりも入力側発熱部品をより一層十分に冷却することが可能になる。
【0085】
なお、こうした冷却器101,111を備えた構成では、第1ヒートシンク102,112と第2ヒートシンク103,113が、一体の部材ではなく別部材であることが好ましい。
【0086】
そうすることで、入力側回路の組立に際して、先に第1ヒートシンク102,112と共に、その周辺にある電子部品(例えば、昇圧回路11の各部品や、入力側コンデンサユニット120)を主プリント基板41上に取付けてから、第1ヒートシンク102,112の上に第2ヒートシンク103,113をねじ止めなどで配置することができ、生産性を向上させることができる。
【0087】
また、本実施例における出力側回路5は、整流ユニット133,134の他に、板状部材126の取付部であるコンデンサ取付部64,65に接合し、出力コンデンサ19,20を構成する複数個のコンデンサ素子19A〜19F,20A〜20Dを、縦置きされた基板である第3および第4のプリント基板57,58にそれぞれ実装してなるコンデンサユニット151,153をさらに備え、空気の流れFの上流側から、コンデンサユニット151,153と、整流ユニット133,134を、筺体25内に設けられた主基板である主プリント基板41上にそれぞれ順に配置し、コンデンサ素子19A〜19F,20A〜20Dをそれぞれ第3および第4のプリント基板57,58から横方向に少なくとも上下二段に分けて配置すると共に、風洞131,132および風路135,136に空気が直接入り込むように、上下二段に分けて配置したコンデンサ素子19A〜19F,20A〜20D間に空気導入路152,154を形成し、下段側に位置するコンデンサ素子19D〜19F,20C,20Dを、主プリント基板41に形成した切欠き部41Bに配置している。
【0088】
こうすると、縦置きされた基板に実装する下段のコンデンサ素子19D〜19F,20C,20Dを、主プリント基板41に形成した切欠き部41Bに落とし込んで配置することができる。そのため、上下二段に分けて配置したコンデンサ素子19A〜19F,20A〜20D間の空気導入路152,154を広く確保することができ、整流ユニット133,134への冷却風の導風管構造として作用する空気導入路152,154から大量の空気を取り込んで、整流ユニット133,134のみならず入力側回路4の発熱部品を十分に冷却することができる。
【0089】
さらに、本実施例における板状部材126は、コンデンサ取付部65と出力端子6に相当する端子部68との間に板状の延出部147が形成され、この延出部147を、前記空気の流れFと直交する方向で、且つ空気導入路154を迂回して形成している。
【0090】
そのため、板状部材126に形成した板状の延出部147が、空気導入路154を通過する空気の流れを妨げないように迂回して配置されるので、空気導入路154はさらに大量の空気を取り込むことができる。そのため、整流ユニット133,134のみならず入力側回路4の発熱部品をさらに十分に冷却することができる。
【0091】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、放熱器101,111の形状や、出力ダイオード16,17並びに出力コンデンサ19,20の個数などは、実施例中のものに限定されず、適宜変更が可能である。また、主プリント基板41が例えば入力側回路4と出力側回路5で別々に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の好ましい一実施例における電源装置を示す各部の分解斜視図である。
【図2】同上、図1の完成状態を示す斜視図である。
【図3】同上、図1の完成状態を示す平面図である。
【図4】同上、導体ユニット単独の構成を示す平面図である。
【図5】従来例における電源装置全体の回路構成図である。
【図6】同上、電源装置の概略的な配置構成を示す平面図である。
【図7】同上、図7における配置構成をより具体化した電源装置の斜視図である。
【図8】同上、トランスおよび出力側回路の斜視図である。
【図9】同上、トランスおよび出力側回路の平面図である。
【図10】同上、トランスおよび出力側回路の側面図である。
【図11】同上、トランスおよび出力側回路の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0093】
3 トランス(主回路)
3A 入力側巻線
3B 出力側巻線
4 入力側回路(主回路)
5 出力側回路(主回路)
6 出力端子
9A〜9D 整流用ダイオード(入力側発熱部品)
12A,12B スイッチ素子(入力側発熱部品)
16,17 出力ダイオード(出力側整流部)
19,20 出力コンデンサ
25 筺体
26 吸気口
27 排気口
28 排気ファン(送風手段)
55 第1のプリント基板(出力側整流部)
56 第2のプリント基板(出力側整流部)
57 第3のプリント基板(基板)
58 第4のプリント基板(基板)
64,65 コンデンサ取付部(取付部)
101,111 冷却器
102,112 第1ヒートシンク
105,115 フィン(第1フィン)
103,113 第2ヒートシンク
108,118 フィン(第2フィン)
121〜126 板状部材(金属導体)
131,132 風洞(第1の風路)
133,134 整流ユニット
135,136 風路(第2の風路)
147 延出部
151,153 コンデンサユニット
152,154 空気導入路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を伝送する主回路を筺体内に備え、
前記筐体の吸気口から排気口に向かう空気の流れを形成する送風手段を配設し、
前記主回路は、トランスと、このトランスの入力側巻線に入力電圧を断続的に印加する入力側回路と、前記トランスの出力側巻線に誘起した電圧を整流平滑して、出力端子から出力電圧を供給する出力側回路とからなり、前記空気の流れの上流側から、前記出力側回路,前記トランスおよび前記入力側回路の順に直線的に配置され、
前記出力側回路は、出力電圧配線路を形成する金属導体と、この金属導体と熱的および電気的に接続する出力側整流部とによる整流ユニットを備え、
前記空気の流れに沿って配置され、前記金属導体と前記出力側整流部とにより囲まれた第1の風路と、
前記空気の流れに沿って、前記整流ユニットの外部と前記筺体との間に形成される第2の風路とを、前記筺体内に区画して配設し、
前記第1および第2の風路の出口側からの混合した空気の流れを受けるように、前記入力側回路を配置したことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記入力側回路は、入力側発熱部品と、この入力側発熱部品に熱的に接続する冷却器とを備え、
前記冷却器は、横方向に延設する第1フィンを備えた第1ヒートシンクと、前記第1ヒートシンクの上部に位置し、縦方向に延設する第2フィンを備えた第2ヒートシンクとからなることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1ヒートシンクと前記第2ヒートシンクが別部材であることを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記出力側回路は、前記整流ユニットの他に、前記金属導体の取付部に接合し、複数個の出力コンデンサを縦置きされた基板に実装してなるコンデンサユニットをさらに備え、
前記空気の流れの上流側から、前記コンデンサユニットと、前記整流ユニットを、前記筺体内に設けられた主基板上にそれぞれ順に配置し、
前記出力コンデンサを前記基板から横方向に少なくとも上下二段に分けて配置すると共に、前記第1および第2の風路に空気が直接入り込むように、上下二段に分けて配置した前記出力コンデンサ間に空気導入路を形成し、
前記下段側に位置する前記出力コンデンサを、前記主基板に形成した切欠き部に配置したことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項5】
前記金属導体は、前記取付部と前記出力端子との間に板状の延出部が形成され、
この延出部は、前記空気の流れと直交する方向で、且つ前記空気導入路を迂回して形成されることを特徴とする請求項4記載の電源装置。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−271645(P2008−271645A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108164(P2007−108164)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(390013723)デンセイ・ラムダ株式会社 (272)
【Fターム(参考)】