説明

電源装置

【課題】従来技術の装置の欠点を解消した電源装置を提供すること。
【解決手段】本発明の電源装置に含まれる変圧器は、メインスイッチが接続された1次巻線と、負荷に給電するメイン分岐が接続された2次巻線とを有しており、メインスイッチは、1次巻線を給電源に接続および遮断するためにスイッチオンおよびオフ可能であり、2次巻線は、補助電源を給電するための少なくとも1つの補助分岐とを有している。この補助分岐にはヒステリシスを有するスイッチングレギュレータが含まれており、このスイッチングレギュレータは、2次巻線における電圧および補助電源の電圧を検知するそれぞれの補助スイッチを有しており、補助スイッチを構成して、2次巻線における電圧がマイナスに移行した場合に閉じられてメイン分岐から補助電源に向かって電流が流され、補助電源における電圧が上側の基準電圧に達した場合に開かれるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【0002】
この明細書により、種々異なる実施形態において扱われるのは、絶縁型スイッチングコンバータ、殊にフライバックトポロジの絶縁型スイッチングコンバータの分野の技術である。
【0003】
この明細書により、種々異なる実施形態において扱われるのは、同じ1つの変圧器巻線から複数の同期的な出力を形成することである。
【0004】
この明細書により、種々異なる実施形態において扱われるのは、例えば、LED光源のような光源に給電するために適合化された解決手段である。
【背景技術】
【0005】
図1ないし3には、複数の出力を得るように適合化されかつフライバックトポロジを使用する電源装置の種々異なる解決手段が示されている。
【0006】
図1ないし3に示した3つの回路図には複数の解決手段が示されており、ここでは1次巻線を有する変圧器Tが設けられており、この変圧器は、(ふつうはMOSFETである)電子スイッチQPを介して電源Vから給電され、このスイッチQPは、レギュレータSWによってスイッチオンかまたはスイッチオフすることができる。
【0007】
参考例として思い起こされるこのような基本的な配置構成は、ここで考察するすべての実施形態の1次側に設けられているが、これらの実施形態は、限定を目的としない単なる実施例である。
【0008】
図1の回路図では、変圧器Tには複数の2次巻線が設けられており、この実施例では巻線はS1,S2の2つである。各2次巻線S1,S2により、ダイオードD1,D2,…およびキャパシタC1,C2,…とからなる整流/フィルタリング回路を介してそれぞれの出力Out1,Out2,…が形成される。
【0009】
このようにして複数の出力を得ることにはいくつかの欠点が伴う。
【0010】
第1にそれそのものが重要なコンポーネントである変圧器Tは、嵩が大きくなりまた理想にはほど遠く動作する傾向があるため、一層コストがかかる。さらに接続ピンの数が増大し、これによって絶縁性能が悪化してしまうのである。
【0011】
さらに種々異なる出力電圧間の比が(種々異なる巻線S1,S2などの巻数に依存して)理論的には一定であるという事実により、一方では他の出力電圧を変化させることなしに1つの出力電圧を調整することができないことになる。また他方では変圧器の寄生および別の回路素子によってクロスレギュレーションは損なわれるため、出力電圧比は、負荷、周波数、温度および他の動作パラメタに依存してしまうのである。
【0012】
図2による解決手段ではこれとは異なり、ただ1つの2次巻線Sが設けられており、またメイン出力側Out1からスイッチングタイプのレギュレータを介して補助出力(すなわちこの実施例の出力側Out2)が導き出されている。このレギュレータには、関連したレギュレータSW’によって駆動される(ここでもふつうはMOSFETである)電子スイッチQsが含まれている。
【0013】
この解決手段は、エネルギ使用の観点から見ればエネルギ効率がよいが、いくつかの付加的なコンポーネントが必要であり、これにはレギュレータSW’と、ハイサイド側の実際に効率のよいスイッチ(すなわちQs)と、出力側インダクタンスL2と、スイッチQsが開いている場合に電流を再循環させるフライホイールダイオードD2と、ふつうは出力電圧Out2にしたがってレギュレータSW’を駆動するフィードバック回路FBとが含まれている。
【0014】
したがって上記の解決手段は、殊に低出力補助電源を形成するために使用することを考えた場合にかなりスペースを消費するコストのかかる解決手段なのである。
【0015】
しかしながら図2の解決手段は、図3に略示したように簡略化した設計で実現することができる。すなわち、この場合には上記の補助回路のスイッチQsとして、バイポーラパストランジスタまたはMOSFETを使用する。しかしながらこれはもはやスイッチとしては動作するのではなく、エラーアンプEAによって駆動されるリニアレギュレータとして動作する。このエラーアンプEAは、基準電圧Refと、ネットワークFBによって供給されるフィードバック電圧との差分にしたがってトランジスタQsを駆動するのである。
【0016】
この解決手段は簡単でありかつ少ないコンポーネントで容易に実現できるが、(線形動作領域で動作する)トランジスタQsの損失が大きいという欠点を有する。その結果、適用可能なアプリケーションは、電圧降下が小さくかつ出力側に供給される電流の値が小さいというケースに限られてしまうのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の課題は、従来技術の装置の欠点を解消した電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題は、本発明の請求項1により、変圧器を含む電源装置であって、この変圧器は、メインスイッチが接続された1次巻線と、負荷に給電するメイン分岐が接続された2次巻線とを有しており、上記メインスイッチは、上記の1次巻線を給電源に接続および遮断するためにスイッチオンおよびスイッチオフ可能であり、上記2次巻線は、補助電源を給電するための少なくとも1つの補助分岐とを有している、電源装置において、上記の少なくとも1つの補助分岐にはヒステリシスを有するスイッチングレギュレータが含まれており、このスイッチングレギュレータは、上記の2次巻線における電圧および上記の補助電源の電圧を検知するそれぞれの補助スイッチを有しており、上記の補助スイッチを構成して、上記の2次巻線における電圧がマイナスに移行した場合にこの補助スイッチが閉じられて上記のメイン分岐から上記の補助電源に向かって電流が流され、上記の補助電源における電圧が上側の基準電圧に達した場合にこの補助スイッチが開かれるようにしたことを特徴とする、変圧器を含む電源装置を構成することによって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の電源装置を示す図である。
【図2】従来の電源装置を示す別の図である。
【図3】従来の電源装置を示すさらに別の図である。
【図4】本発明の1実施形態による電源装置を示す図である。
【図5】本発明の別の1実施形態による電源装置を示す図である。
【図6】本発明のさらに別の1実施形態による電源装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
種々の実施形態において同じ2次巻線により、複数の電圧制御出力を供給することができる。
【0021】
種々の実施形態において、上記の形成される複数の出力側は、互いに独立して制御することができる。
【0022】
種々の実施形態において、線形受動型レギュレータの使用を回避することができる。
【0023】
種々の実施形態において、各補助レギュレータにおけるコンポーネントの数を、完全なバックレギュレータに比べて格段に少なくすることができる。
【0024】
種々の実施形態において、ZVS(Zero Voltage Switching)条件で動作させることにより、効率を改善することができる。
【0025】
種々の実施形態において上記の補助レギュレータまたは各補助レギュレータは、パルス形成に関していえば、バックコンバータ(例えば図2を参照されたい)の場合とは異なり、実質的に上記のメインスイッチと同期している。
【0026】
複数の補助出力が供給される種々の実施形態では、複数のレギュレータ間で上記の回路のいくつかのパーツを共有することが可能であるため、コンポーネントの全体数を少なくすることができる。これは、従来のバック型の実現方式では不可能である。
【実施例】
【0027】
以下の説明では、実施形態をわかりやすくするため、数多くの具体的な詳細を示す。これらの実施形態は、1つまたはいくつかの具体的な詳細がなくても実施可能であり、または別の方式、コンポーネント、材料などによって実施可能である。また場合によっては上記の実施形態の様相をわかりにくくしないようにするため、既知の構造、材料または動作は、示されていないかまたは詳細に示されていないことがある。
【0028】
この明細書全般において「1つの実施形態」または「1実施形態」という記載は、この実施形態に関連して説明した特定の機能、構造または特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがってこの明細書全般の種々異なる箇所に「1つの実施形態において」または「1実施形態において」という語句が登場する場合、すべてが同じ実施形態を指し示す必要はないのである。さらに特定の機能、構造または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の適当なやり方で組み合わせることができるのである。
【0029】
またこの明細書の表題は、便宜上だけのものであり、実施形態の範囲または意味を説明するものではない。
【0030】
図4,5および6において参照符号10は一般的に給電装置を示しており、この給電装置は、入力電圧Vから、例えばLED光源などの光源を含む負荷Lに給電するように適合化されている。種々の実施形態において負荷Lは、いわゆるLEDの列を含むことができる。
【0031】
しかしながらいくつかの図においてそのように示されているが、負荷Lそのものは装置10に含まれている必要がないことに注意されたい。
【0032】
図4,5および6の装置10では上で説明した図1ないし3の回路図と同じ一般的な設計がなされている。殊に図4ないし6と称されておりかつ制限を目的としたものではなく例示を目的としたこれらの3つのすべての実施形態において、装置10の1次側は、図1ないし3に関連して説明したものと同じものにすることが可能である。このような理由から、図1ないし3に関連してすでに説明したパーツ、素子およびコンポーネントと同じまたは同等のパーツ、素子およびコンポーネントは、図4ないし6において同じ参照符号を付してあり、またこのようなパーツ、素子およびコンポーネントの説明は、簡潔さのため、以下では繰り返して行わない。
【0033】
図4,5および6の3つの回路図において装置10の2次側には、負荷Lに出力電圧Out1を供給するように適合化されたメイン分岐が含まれている。
【0034】
この給電はそれ自体公知の条件で行われるため、以下で詳しく説明する必要はない。このような理由から、図4,5および5のすべての回路図において上記のメイン分岐は、単に整流(ダイオードDMAIN)およびフィルタ(キャパシタCMAIN)回路として示されており、これは、フライバッグモードで動作する変圧器Tの2次巻線Sから直接に給電される。
【0035】
以下の説明においてさらによくわかるように図5の回路図によって強調されているのは、種々の実施形態において、(例えば電圧に関して)互いに異なる特徴を有し得るが実質的には同じに実現される複数の出力側を有し得ることである。
【0036】
この場合、上記のメイン分岐のコンポーネントは、サフィックスMAINによって識別されず単に参照符号1によって識別され、したがって整流器(ダイオードD1)/フィルタ(キャパシタC1A)回路が設けられているのである。
【0037】
図4の回路図には出力が、メイン出力Out1と、付加的な1つの補助給電出力(Aux supply)とからなる実施形態が記載されている。
【0038】
種々の実施形態において回路10の2次側には、第2または補助的な整流器DAUXを有することができ、そのアノードはメインの整流器DMAINのアノードに接続されており、これによって(以下でさらに詳しく説明される条件にしたがって)メイン出力側Out1に向かう入力線から電流を分流させることができる。
【0039】
第2の整流器DAUXの下流には、駆動部Dによって駆動される(ふつうはn型MOSFETなどのMOSFETである)電子スイッチQAUXが設けられている。
【0040】
補助整流器DAUXおよび補助スイッチQAUXによって分流される電流は、キャパシタCSMOOTHに向かって送られ、このキャパシタの両端には電圧Aux supplyが加わっている。
【0041】
種々の実施形態において電圧Aux supplyは、ローパスフィルタLCの出力とすることでき、このローパスフィルタは、オプションでキャパシタCSMOOTHにカスケード接続されて配置されてノイズ防止フィルタの機能を有する。このようなフィルタは、インダクタLFILTERおよびキャパシタCFILTERからなる。
【0042】
種々の実施形態において、ダイオードDAUXの下流かつスイッチQAUXの上流にキャパシタCXを設けることができ、このキャパシタは、ZVS条件を消去するが、スイッチQAUXが開いている際の電流を低減することによって回路の効率を改善するように適合化されており、さらにこれによってEMI問題が低減される。
【0043】
例示だけを目的として示したこの実施形態において参照符号12はコンパレータを示しており、その非反転入力側はアースに接続されており、また反転入力側は、比例または微分型の回路N1を介して変圧器Tの2次巻線Sに接続されている。
【0044】
コンパレータ12および回路N1からなるユニットは、変圧器Tの2次巻線Sにおける電圧の低下(例えばこの電圧が負になったこと)を検出するように適合化されている。
【0045】
一方、参照符号14は別のコンパレータを示しており、このコンパレータにより、抵抗型分圧器RAおよびRBを介して降圧された補助出力電圧Aux supply(例えば、キャパシタCSMOOTHの両端電圧)と基準電圧VREFとが比較される。
【0046】
参照符号RCは、コンパレータ14の出力側と非反転入力側との間に接続された抵抗を示しており、この抵抗は、コンパレータ14そのものにヒステリシス特性を導入するように接続されている。
【0047】
最後に参照符号16はラッチ回路を示しており、このラッチ回路は、2つのコンパレータ12および14の出力信号に基づき、(駆動部Dを介して)補助スイッチQAUXを駆動するように適合化されている。
【0048】
上記の回路によって実現されるのは、ヒステリシス型スイッチングレギュレータであり、ここでは、2次巻線Sに加わる電圧が負になるかまたは急峻に降下した場合に補助スイッチQAUXが閉じられる(すなわち導通される)。その後、上記の出力電圧が、値VREF(および/または分圧器RA,RBの分圧比)によって表されるプリセット値よりも高くなった場合にスイッチQAUXは再び開かれる。
【0049】
すでに述べたように図5には図4で示した解決手段を一般的なn個の出力信号Out1,Out2,…,の形成に拡張できることが示されており、その第1の出力側(または別の任意の選択された出力側)は、負荷Lに給電するように適合化されたメイン出力側を構成することができる。
【0050】
図5の回路図では各補助分岐に、相応するラッチ回路16が設けられており、このラッチ回路は、これに付随する補助スイッチの駆動部Dを有する。ここでこれらの補助スイッチは、Q2,Q3,…,Qnによって示されており、また相応する補助整流器は参照符号D2,D3,…,Dnによって示されている。
【0051】
図5に示されているのは、このような「複数型」の解決手段を実現するのにあたって、出力電圧Out2,Out3,…,Outnを形成するように適合化されたすべての補助分岐が、同じコンパレータ12および同じ回路N1を共有できることである。
【0052】
平滑化キャパシタ(図4のCSMOOTH)は、図5の回路図ではC2A,C3A,…,CnAで示されている。
【0053】
同様に出力側フィルタのコンポーネントLCは(それらが設けられている場合)、L2,L3,…,LnおよびC2B,C3B,…,CnBで示される。
【0054】
図5の同じ回路図から明らかであるのは、補助分岐が同じ基準電圧VREFを共有できることであり、ここでこの基準電圧は、コンパレータ14によって実行される、出力(図4の分圧器RA,RB、図5では一般的にFN2,FN3,…,FNnで示されている)から得られる電圧との比較操作に使用される。
【0055】
補助分岐についての全体的な対称性を強調するため、図5ではメイン分岐の整流器DMAINはD1によって示されており、これに対してキャパシタCMAINおよび出力フィルタのコンポーネントLCはそれぞれ、C1AおよびL1,C1Bによって示されている。同じ理由から図5において上記の出力電圧を検出する回路は、メイン分岐に関してFN1で示されている。
【0056】
さらに注意しておきたいのは、図5の回路図において電圧VREFと、回路FN1の出力電圧とのコンパレータ20による比較結果は、メイン分岐において使用され、この比較結果は、例えば、オプトアイソレータ22を介して、この装置の1次側に設けられたレギュレータSWに対してフィードバック機能を実行する。このようなフィードバック制御動作の実行条件は、従来技術において公知であるため、以下で詳しく説明する必要はない。
【0057】
定常状態(すなわち非過渡状態)の電圧レベルによる連続動作を参照することにより、図4または図5の実施形態の動作を以下に説明する。さらに注意したいのは、いずれの場合においても上記の補助出力Aux SupplyまたはOut2,Out3,…,Outnから得られる電圧は、メイン出力Out1の電圧よりも低い(かまたは最大でも実質的に等しい)ことである。
【0058】
1次巻線側のスイッチQPが閉じたためまたは1次側回路が自由な自励振動期間にあるために2次巻線Sの電圧が負になる場合(または一般的にマイナスの方向に急峻に移行する場合)、コンパレータ12が移行し、このコンパレータにより、ラッチ16が制御されて補助スイッチQAux(または図5の場合、Q2,Q3,…,Qn)が閉じられる。
【0059】
この時点にはキャパシタCSMOOTH(図5の回路図のC2A,C3A,…,CnA)に電流が流れない。これは、ダイオードDAUX(図5の回路図のD2,D3,…,Dn)が開いたままであるという事実に起因するものである。したがって上記の補助スイッチは、ゼロ電圧および電流という条件において閉じられるのである。
【0060】
しかしながらメインスイッチQPが開くと、2次巻線における電圧の極性が変化して、ダイオードDAUX(図5の実施形態の場合にはD2,D3,…Dn)が導通し始めるため、2次巻線Sから得られる電流は、トランジスタQAUX(図5の回路図におけるQ2,Q3,…,Qn)を介してキャパシタCSMOOTH(図5の回路図ではC2A,C3A,…,CnA)を充電し始める。
【0061】
上記のキャパシタンス値は、上記の補助出力に対して許容される電圧リップルに基づいて選択され、ここでは相応するdv/dt値が、上記のキャパシタにポンピングされる電流にしたがって導出される。
【0062】
メイン出力側における電圧は、CSMOOTH(C2A,C3A,…,CnA)における電圧よりも高いため、メイン整流器DMAIN(または図5の回路図におけるD1)は開いたままである。したがって2次巻線Sは、電流発生器として動作し、またその電圧は実質的にキャパシタCSMOOTH(図5の回路図におけるC2A,C3A,…,CnA)によってクランプされる。
【0063】
上記の出力電圧(Aux SupplyまたはOut2,Out3,…,Outn,すなわち実質的にキャパシタCSMOOTH,C2A,C3A,…,CnAの両端の電圧)が、コンパレータ14において設定した閾値を上回ると、同じコンパレータは、ラッチ回路16に作用を及ぼし、このラッチ回路は、スイッチQAUX,Q2,Q3,…,Qnをターンオフする。すなわちこれらを開くのである。
【0064】
メインダイオードDMAINまたはD1が導通し始めるまで2次巻線Sにおける電圧が上昇するため、この巻線の電流は出力側キャパシタ(CまたはC1A)および負荷Lに向かって流れる。同時にキャパシタCSMOOTHまたはC2A,C3A,…,CnAは放電を開始して相応する補助出力側に向かって電流を供給するのである。
【0065】
キャパシタCSMOOTH(C2A,C3A,…,CnA)における電圧が、1回のスイッチングサイクルにおいて所望の閾値に達しない場合、スイッチQAUX,Q2,Q3,Qnは、上記の閾値に達するまでいくかのサイクルにわたって閉じたままになる。
【0066】
コンパレータ14に対して固定のヒステリシスを使用し、またラッチ回路16が、リセット主導タイプの場合、内部の補助スイッチQAUX,Q2,Q3,…,Qnは、上記の低い方の閾値レベルに達するまでいくつかのサイクルにわたって開いたままになる。
【0067】
この逆に上記のパーツを設計して、いずれのケースにおいても、メインスイッチQPがそれぞれ閉成されるサイクルにおいて補助スイッチQAUXが閉成されることを保証することにより、QPが開いた場合、2次巻線Sにおける電圧が値OutAUXに下がるという作用が得られる。すなわち、これにより、1次側Pに反映される電圧も同様に低減され、変圧器Tの分散されたインダクタンスに起因する、スイッチが開いた際に余分な電圧が生じるという問題が小さくなる。
【0068】
図6の回路図(ここでは前にすでに説明したのと同じまたは同等の部分、素子およびコンポーネントは同じ参照符号によって示されており、またここで再度説明はしない)には、オプトアイソレータ22の構造が示されており、これには負荷Lに接続された「送信」部22aと、レギュレータSWに作用する「受信」部22bとが含まれている。
【0069】
この点に関して強調されるのは、特にコンパレータ12および14ならびにラッチ16に着目して上で説明した回路機能が実現できることであり、この回路機能は、図4に示した種々異なる論理機能を実現する単一のコンパレータ124を使用することによって実現される。
【0070】
論理ラッチの機能は、変圧器Tの2次巻線Sに接続された微分回路N1と、コンパレータ124の周りのヒステリシス回路Ncによって実現される。補助スイッチQAUXを駆動する機能は、上記のメイン出力から、スタートアップレジスタRsuによってレベルシフトしたBJTボルテージフォロアDによって達成される。図6の全回路は、図示した補助電圧Aux supplyそのものによって給電できることは有利である。
【0071】
当然のことながら上記の詳細および実施形態は、例示だけを目的として記載したことについて、本発明の基本原理を損なうことなくまた添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を逸脱することなく変更することができ、場合によって大幅に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 電源装置、 12 コンパレータ、 14 コンパレータ、 16 ラッチ、 22 オプトアイソレータ、 22a 送信部、 22b 受信部、 T 変圧器、 P 1次巻線、 S 2次巻線、 QP メインスイッチ、 QS 電子スイッチ、 QAUX 補助スイッチ、 RA,RB 分圧器、 SW,SW’ レギュレータ、 D1,D2 ダイオード、 C1,C2 キャパシタ、 CSMOOTH 平滑化キャパシタ、 L1,L2 インダクタ、 L 負荷、 Out1,Out2 出力、 VREF 基準電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器(T)を含む電源装置(10)であって、
前記の変圧器(T)は、メインスイッチ(QP)が接続された1次巻線(P)と、負荷(L)に給電するメイン分岐(DMAIN,CMAIN)が接続された2次巻線(S)とを有しており、
前記メインスイッチ(QP)は、前記の1次巻線(P)を給電源(V)に接続および遮断するためにスイッチオンおよびスイッチオフ可能であり、
前記2次巻線は、補助電源(Aux supply)を給電するための少なくとも1つの補助分岐(DAUX,QAUX)とを有している、電源装置(10)において、
前記の少なくとも1つの補助分岐(DAUX,QAUX)にはヒステリシスを有するスイッチングレギュレータ(QAUX)が含まれており、
当該のスイッチングレギュレータは、前記の2次巻線(S)における電圧および前記の補助電源(Aux supply)の電圧を検知するそれぞれの補助スイッチ(QAUX)有しており、
前記の補助スイッチ(QAUX)を構成して、
前記の2次巻線(S)における電圧がマイナスに移行した場合に当該の補助スイッチが閉じられて前記のメイン分岐(DMAIN,CMAIN)から前記の補助電源(Aux supply)に向かって電流が流され、
前記の補助電源(Aux supply)における電圧が上側の基準電圧(VREF)に達した場合に当該の補助スイッチが開かれるようにしたことを特徴とする、
変圧器(T)を含む電源装置(10)。
【請求項2】
前記の2次巻線(S)と、前記の少なくとも1つの補助分岐の補助スイッチ(QAUX)との間に、前記の変圧器(T)の2次巻線(S)における電圧がマイナスに移行したことを検出する比例または微分回路(N1)および移行コンパレータ(12)が挿入されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記の少なくとも1つの補助分岐の補助電源(Aux supply)と補助スイッチ(QAUX)との間に、当該の補助電源(Aux supply)における電圧を検知する、ヒステリシス(Rc)を備えたコンパレータ(14)が挿入されている、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記の移行コンパレータ(12)と前記のヒステリシスコンパレータ(14)との間かつ前記の移行コンパレータ(12)と前記の補助スイッチ(QAUX)との間にラッチ回路(16)が挿入されている、
請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記の移行コンパレータおよび前記のヒステリシスコンパレータとして動作する単一のコンパレータ(124)が含まれている、
請求項2または3に記載の装置。
【請求項6】
前記の補助2次巻線(S)と補助スイッチ(QAUX)との間にダイオード(DAUX)が挿入されており、
当該のダイオードは、前記のメインスイッチ(QP)が開いて前記の2次巻線(S)における電圧の極性が反転した場合に導通する、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
複数の補助分岐(D2,Q2;D3,Q3;…;Dn,Qn)が含まれており、
各補助分岐によって相応の補助電源(Out2,Out3,…,Outn)が形成され、
単一の移行コンパレータ(12)が、前記のすべての補助分岐に共通に設けられている、
請求項2に記載の装置。
【請求項8】
複数の補助分岐(D2,Q2;D3,Q3;…;Dn,Qn)が含まれており、
各補助分岐によって相応の補助電源(Out2,Out3,…,Outn)が形成され、
前記の各補助分岐には、相応するヒステリシスコンパレータ(14)が含まれており、
当該のヒステリシスコンパレータは、前記のすべての補助分岐に共通な上側の基準レベル(VREF)の単一の供給源と協働する、
請求項2または7に記載の装置。
【請求項9】
前記のメインスイッチ(QP)および補助スイッチ(QAUX)は、MOSFETのような電子スイッチである、
請求項1から8までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記負荷(L)は、LED光源のような光源である、
請求項1から9までのいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−152101(P2012−152101A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−9295(P2012−9295)
【出願日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【出願人】(508096703)オスラム アクチエンゲゼルシャフト (92)
【氏名又は名称原語表記】OSRAM AG
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Str. 1, 81543 Muenchen Germany
【Fターム(参考)】