説明

電熱加熱装置付高周波加熱装置

【課題】高効率で、調理性能が優れた電熱加熱装置付高周波加熱装置を提供すること。
【解決手段】調理物8を加熱調理する加熱室5と、加熱室5にマイクロ波を供給する高周波加熱手段と、加熱室5に電熱装置で発生する熱によって調理を可能にする電熱加熱手段と、加熱室5内に配置される調理物8を載せて回転するサラウケダイ6と、サラウケダイ6を回転させるサラウケダイモーター7と、サラウケダイ6の上部に配置したロテッサリー1と、を具備し、ロテッサリー1は、サラウケダイ6の上部に配置されて、金属製で網状に構成され、調理時に調理物8を串状に刺して用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱室内で調理される多様な大きさの食材を、電熱加熱手段で均一な加熱調理が可能となる構成の電熱加熱装置付高周波加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電熱加熱装置は、略水平位置と非水平の位置間で移動可能なように、加熱装置をボール内に取付ける手段と、加熱装置に接続され、加熱装置をその水平位置と非水性位置間で移動させる駆動手段と、および加熱装置を保持する拘束手段とを備え、加熱装置が水平位置および非水平位置にあるとき、ボールの容積内に加熱装置を収容し得るボール寸法としている。
【0003】
そして、加熱装置は、水平位置、傾斜位置および少なくとも1つの略垂直な位置間で回転可能としている。加熱装置が水平位置および垂直位置の何れに在る場合でも、加熱装置を収容し得るボール寸法にしてある。また、駆動手段は調整ロッドであり、ボール内で加熱装置を動かすよう作用し、ボール外側のハンドルに接続されている。ボール外側のハンドルを回転させれば、調整ロッドによって、加熱装置を所望の位置まで動かすことができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、被加熱物としての食品を、マイクロ波(高周波)により誘電加熱する加熱手段を備え、食品を内面から熱調理すると共に、電気ヒータ等の電熱加熱装置による熱を電熱加熱装置付高周波加熱装置の加熱室に循環することで、食品の外面からの熱調理を行うものである。この高周波加熱機能付電熱加熱装置付高周波加熱装置は、マイクロ波及び、電熱加熱装置による加熱調理で食品をより早く、均一に調理することを可能にする電熱加熱装置付高周波加熱装置が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献2に記載の電熱加熱装置付高周波加熱装置にあっては、複数のバスケットをオーブン庫内で支軸上に偏心枢架したことにより、該支軸を、ブラウナー調理専用モーターにて回転したとき、調理品の各部は平均に加熱され、しかも一度に短時間で多数のブラウナー調理ができ、調理パスケットを循環移動しながら加熱調理するようにした電熱加熱装置付高周波加熱装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−41525号公報
【特許文献2】実開昭62−45601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電熱加熱装置付高周波加熱装置においては、例えば図5に示すように、丸焼きのような大容量調理物12の場合、調理物を突刺す金属棒14を加熱室の左右方向に架設させて、モーター13駆動による回転15で、鳥を丸ごと調理することを可能にしている。しかし、この方式ではモーター13や太い金属棒14を本体構成部品として、あらかじめ具備しておかなければならず、重く大きい調理物8を軸に吊るす回転15は、モーター13に大きなトルクを必要としていた。
【0008】
また、小さな食材を多量に調理することが困難であるばかりでなく、電熱加熱装置による循環加熱風9の送風手段は、電熱加熱装置の構成上、加熱室前後方向のため、金属棒1
4の回転方向と同一方向であり、調理物8の加熱室5に対する左右方向の加熱が不十分となるという不具合が発生していた。
【0009】
更に、図4に示すように、オーブン調理皿17をしようした従来の電熱加熱装置付高周波加熱装置による場合、加熱室5内の循環加熱風9は少なからず金属で覆われたオーブン調理皿17に遮られ、調理物8に効率良く加えられず、加熱が不十分になる不具合が生じている。
【0010】
また、近年では食文化の進化と共に食材並びに、食品の大きさも多様化しており、より均一でスピーディな加熱調理性能が求められている。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、高効率で、迅速、良好な優れた調理性能を有する電熱加熱装置付高周波加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電熱加熱装置付高周波加熱装置は、調理物を加熱調理する加熱室と、前記加熱室にマイクロ波を供給する高周波加熱手段と、前記加熱室に電熱装置で発生する熱によって調理を可能にする電熱加熱手段と、前記加熱室内に配置される前記調理物を載せて回転する皿受け台と、前記皿受け台を回転させる電動駆動モーターと、前記皿受け台の上部に配置した調理器具と、を具備し、前記調理器具は、前記皿受け台の上部に配置されて、金属製で網状に構成され、調理時に前記調理物を串状に刺して用いるものであ前記皿受け台の上部に配置されるものである。
【0013】
これによって、加熱室内を循環する熱風を調理物に満遍なく均一に加えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電熱加熱装置付高周波加熱装置は、様々な大きさの調理物の装着に対応でき、熱風循環による加熱調理を最大限に活用でき、簡単な構成で均一、効率的で迅速な加熱調理を実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の高周波加熱機能付電熱加熱調理装置の実施の形態1における調理器具(ロテッサリー)の構造を示す斜視図
【図2】本発明の高周波加熱機能付電熱加熱調理装置の実施の形態1における斜視図
【図3】本発明の高周波加熱機能付電熱加熱調理装置の実施の形態1における大容量調理物の調理例を示す斜視図
【図4】従来の高周波加熱機能付電熱加熱調理装置におけるオーブン皿による調理実施例を示す斜視図
【図5】従来の高周波加熱機能付電熱加熱調理装置におけるモーター駆動によるロテッサリーの調理実施例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は高周波加熱機能付電熱加熱調理装置のロテッサリー(調理器具)を金属製で網状に形成し、調理物を串刺しにすることにより、加熱風が器具に邪魔されることなく、熱を調理物に満遍なく均一に加えることができ、均一で効率的な加熱調理が可能となる。加えて、回転するサラウケダイ(皿受け台)上に配されることで上下前後左右から一層平均した熱分布による加熱調理が可能となる。
【0017】
第2の発明は、特に、第1の発明の高周波加熱機能付電熱加熱調理装置のロテッサリー
(調理器具)を電熱調理装置とその送風手段によって調理物を包み込むように熱風を当てるだけでなく、ロテッサリー(調理器具)を電動駆動のモーターによって回転するサラウケダイ(皿受け台)上に配することで、熱風循環とは異なる方向に調理物を回転させることができ、3次元的な全方向に均一な加熱調理を実現することができる。
【0018】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の高周波加熱機能付電熱加熱調理装置のロテッサリー(調理器具)を底面部分に足を設けることで庫内を循環する熱風が食品底部を通り抜けることが可能となり、底面部分を十分加熱することができる。
【0019】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明のロテッサリーは調理物を刺し込む串形状の先端部分をとがらせる、またはテーパー処理を行なう、または先端部分を細く加工処理することで調理物の装着を容易にすることができる。
【0020】
更に、金属製の網は表面をメッキ処理など、表面皮膜処理を施すことで腐食性、耐久性に優れた調理器具を提供することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるロテッサリーの構造を示す斜視図である。
【0023】
図1において、ロテッサリー1(調理器具)は、金属製棒を網状に組み合わされた幾つかの串形状部2を構成する金属製棒を溶接部4で接合させ、串形状部2を加熱室5上方に屈曲させたものであり、加熱室5に熱風を循環させる高周波加熱機能付電熱加熱調理装置と有機的に関連して加熱器具を構成している。
【0024】
以上のように構成された高周波加熱機能付電熱加熱調理装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0025】
まず、ロテッサリー1は金属製棒を網状に組み合わせた構成であり、その串形状部2に調理物を刺し込むので庫内を循環する加熱風を加熱器具が妨げることなく調理物8に均一に照射することができ、均一で高効率の加熱調理を実現が可能となる。
【0026】
加熱動作開始時には、加熱風循環器10によって、循環加熱風9が加熱室5内を前後又は左右の一方向に循環する。この時、調理物8を載せたサラウケダイ6も同時に加熱室5内を回転するため、ロテッサリー1の備えられた調理物8はその位置を随時変え、循環する循環加熱風9が当たる面を変え続けることができる。
【0027】
以上のように、本実施の形態においては、金属製の棒に串形状部2を形成することにより、様々な形状の調理物8を必要な串形状部2に刺し、網台の上に配することができる。
【0028】
本実施の形態ではロテッサリー1を底面部分に足形状部3を設けることで、庫内を循環する循環加熱風9が、調理物8底部を通り抜けることが可能となり、底面部分を十分加熱することができる。
【0029】
また、本実施の形態の金属製で網状に組み合わされた串形状部2の調理物8を刺し込む先端部分をとがらせたり、テーパー処理を行なったり、先端部分を細く加工処理することで調理物8の装着を容易にすることができる。
【0030】
更に、網状の構成物全体に表面皮膜処理を行うことで、調理器具としての衛生上の安全性を高めるだけでなく、加熱器具としての耐久性を高めることが可能となる。
【0031】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態における電熱加熱装置付高周波加熱装置の調理器具であるロテッサリー1の動作の一例を示す斜視図である。
【0032】
調理器具であるロテッサリー1に、焼き鳥のような大量の調理物8を串形状部2に刺し込み、電気駆動のサラウケダイモーター7によって加熱室5内を回転するサラウケダイ6(皿受け台)の上に配される。
【0033】
加熱動作開始時には、加熱風循環器10によって、循環加熱風9が加熱室5内を前後又は左右の一方向に循環する。この時、調理物8を載せたサラウケダイ6も同時に加熱室5内を回転するため、ロテッサリー1の備えられた調理物8はその位置を随時変え、循環する循環加熱風9が当たる面を変え続けることができる。
【0034】
このように、金属製の金網形状で構成されるロテッサリー1は、循環する加熱風を妨げることなく様々な容量の調理物8でも容易に脱着でき、加熱むらのない均一で効率的な調理を実現することが可能となる。
【0035】
図3は、本発明の電熱加熱装置付高周波加熱装置のロテッサリー1に、大容量調理物12を備える場合を示す斜視図である。
【0036】
ロテッサリー1の調理台部11において、大容量調理物12をその周囲に配する串形状部2に刺し込むことで、大容量調理物12を安定固定させることが可能となり、ロテッサリー1の足形状部3によって形成された空間によって、調理物8を包み込むような循環加熱風9が実現でき、サラウケダイ6の回転と融合した3次元的な加熱むらのない均一な調理が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明の電熱加熱装置付高周波加熱装置にかかる調理器具(ロテッサリー)は、簡単な構成で様々な大きさの調理物の装着に対応でき、熱風循環による加熱調理を最大限に活用でき、簡単な構成で均一、効率的で迅速な加熱調理が可能となるので家庭用のみならず異なる容量に対応できる商用目的での調理等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 ロテッサリー(調理器具)
2 串形状部
3 足形状部
4 溶接部
5 加熱室
6 サラウケダイ(皿受け台)
7 サラウケダイモーター(皿受け台モーター)
8 調理物
9 循環加熱風
10 加熱風循環器
11 調理台部
12 大容量調理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理物を加熱調理する加熱室と、前記加熱室にマイクロ波を供給する高周波加熱手段と、前記加熱室に電熱装置で発生する熱によって調理を可能にする電熱加熱手段と、前記加熱室内に配置される前記調理物を載せて回転する皿受け台と、前記皿受け台を回転させる皿受け台モーターと、前記皿受け台の上部に配置した調理器具と、を具備し、
前記調理器具は、前記皿受け台の上部に配置されて、金属製棒で網状に構成され、調理時に前記調理物を串状に刺して用いることを特徴とする電熱加熱装置付高周波加熱装置。
【請求項2】
前記電熱加熱手段は電熱装置から発生される熱を加熱室内で循環、対流させる送風手段を有し、
前記送風手段は、前記加熱室上部または後部に配置され、前記電熱加熱手段から発生される熱を前記加熱室内に循環させる請求項1記載の電熱加熱装置付高周波加熱装置。
【請求項3】
前記調理器具は、前記調理物を串刺しにした下部にも熱風が循環するよう隙間を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電熱加熱装置付高周波加熱装置。
【請求項4】
前記調理器具は、食品を串刺しにする金属製の棒部分の先端をとがらせる、またはテーパー処理する、または丸みを設けることにより、調理物を刺し込みやすいような先端処理を施すことを特徴とした請求項1から3のいずれか一項に記載の電熱加熱装置付高周波加熱装置。
【請求項5】
前記調理器具は、腐食防止用に皮膜処理を施したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電熱加熱装置付高周波加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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