電界アンテナ装置
【課題】アンテナ部を磁性体の波長短縮効果を利用して小型化する場合に、波長短縮効果を低減させることなく磁性体の磁気損失によるアンテナ効率の低下を防止する。
【解決手段】放射導体と当該放射導体の延長する方向に沿って前記放射導体の周りに配置された磁性体とからなるアンテナ部と、前記アンテナ部が取り付けられると共に接地導体が配置される基板と、前記放射導体に給電する信号源とを備え、前記アンテナ部の磁性体は、放射導体と磁性体の間に周回磁路と平行に設けられた磁気ギャップ部A及び放射導体の延伸方向と直交する面と平行に設けられた磁気ギャップ部Bの少なくとも一方を有する。
【解決手段】放射導体と当該放射導体の延長する方向に沿って前記放射導体の周りに配置された磁性体とからなるアンテナ部と、前記アンテナ部が取り付けられると共に接地導体が配置される基板と、前記放射導体に給電する信号源とを備え、前記アンテナ部の磁性体は、放射導体と磁性体の間に周回磁路と平行に設けられた磁気ギャップ部A及び放射導体の延伸方向と直交する面と平行に設けられた磁気ギャップ部Bの少なくとも一方を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型、高効率のアンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体通信機器では、機器に内蔵できる小型電界アンテナ装置の需要が高まってきている。電界アンテナ装置の小型化技術としては、放射導体を媒体で囲み、媒体中での波長短縮効果を利用して必要なアンテナの長さを短縮するものが知られている。アンテナの長さは、これを構成する放射導体の長さで決まるが、この放射導体の長さは、送受信の対象となる電磁波に対して十分な感度を確保するためには、当該電磁波の波長の約1/4の長さが必要とされる。従って、放射導体を囲む媒体中での波長が短縮すれば、その分必要な放射導体長を短縮できるため、アンテナの小型化を促進することができる。
【0003】
媒体の比誘電率、比透磁率をそれぞれεr、μrとすれば、当該電磁波のその媒体中での波長λは、真空中(空気中でもほぼ同じ)での波長λ0をεrの平方根、及びμrの平方根で除した値となる。従って、媒体の比誘電率、比透磁率が1よりも大きい場合、その媒体中での電磁波の波長は空気中での波長よりも小さくなる。
【0004】
従来は、上記媒体として非磁性誘電体が用いられていたが、UHF帯域でも良好な磁気特
性(1より大きな比透磁率を有するということ)を持つ磁性誘電体(以下、磁性体と略称する)が開発されており、このような磁性体を使って、誘電特性と磁性特性の両特性による波長短縮効果を利用した小型の電界アンテナ装置の開発が始められている(例えば特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−067994号公報
【特許文献2】特開2007−318701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような電界アンテナ装置の放射効率や受信効率は放射導体を囲む媒体の誘電体損失や磁性体損失の影響を受ける。放射導体を囲む媒体の誘電体損失や磁性体損失が無ければ、アンテナの放射効率は向上し1に近づき、損失が大きくなるにつれて放射効率は低下する。
アンテナ部に磁性体を用いた場合、波長短縮効果は期待できるものの、誘電特性による誘電体損失に比べて、磁性特性による磁性体損失が大きいために、アンテナ効率が低下するという問題があった。
【0007】
この点を解決するために、例えば、特許文献1では、磁性体に直流磁界を印加することによって磁性体損失を低減していた。特許文献1には、磁性体への直流磁界の印加方法として、磁性体自体を永久磁石にする方法や、直流磁界を印加するための磁石もしくは電磁石を磁性体に隣接して配置する方法が示されている。前者の場合は、材料選択の自由度が損なわれるし、常に磁力線を発生している状態下での組立作業となり、その作業は容易ではない。
【0008】
また、後者の場合は、磁性体に隣接して磁石又は電磁石を配置しているためアンテナ装置全体としての小型化が制約されることになる。また、磁石もしくは電磁石がアンテナ近
傍に存在するということは、アンテナに金属、磁性体が付加されたことになるため、金属部の導電損や磁性体の磁気損失が増え、アンテナ効率が低下してしまう。すなわち、磁石や電磁石自身が損失を生み出す原因にもなっていた。さらに、常に直流磁界が存在していることになるため、スピーカなど他の機器への直流磁界の影響も問題となり、この影響を低減するために十分な磁気シールドを施すと当該機器の小型化が妨げられるという問題があった。
【0009】
一方、特許文献2では、線状導体を磁性基体に貫通させ、磁性基体の長手方向に垂直な断面の外形Rと内径rとの比を0.1以上とすることが提案されているが、この場合は放射導体に磁性体が接しており、接した部分の磁性体が磁気飽和を起こしやすくなる。磁気飽和が起こった場合、磁性体の非線形特性により、送信波形が歪んでしまい、送信される情報の質が低下するという問題がある。
【0010】
この発明は上記の諸問題に鑑みてなされたもので、アンテナ部を磁性体の波長短縮効果を利用して小型化する場合に、磁性体の磁気飽和を回避し、波長短縮効果を低減させることなく磁気損失によるアンテナ効率の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明による電界アンテナ装置は、放射導体と当該放射導体の延長する方向に沿って前記放射導体の周りに配置された磁性体とからなるアンテナ部、前記アンテナ部が取り付けられると共に接地導体が配置される基板、前記放射導体に給電する信号源を備え、前記アンテナ部の磁性体は、放射導体と磁性体の間に周回磁路と平行に設けられた磁気ギャップ部A及び放射導体の延伸方向と直交する面と平行に設けられた磁気ギャップ部Bの少なくとも一方を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
電界アンテナ装置を上記の構成にしたことにより、放射導体の周囲に配置された磁性体での波長短縮効果を利用してUHF帯での電界アンテナの小型化を可能にするとともに、放
射導体を囲む磁性体内部に空隙部を設けたので、磁性体中での磁気損失と磁性体内を流れる誘導電流による損失を低減し、アンテナ装置の送受信の効率を改善することができる。更に、磁性体内に、前記放射導体に垂直な方向に多数の空隙部を設けたので、送信時に放射導体を流れる電流による磁気飽和を防止することができ、送信波形の歪みを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願の実施の形態1に係る発明の構成を示す図である。
【図2】本願の実施の形態1に係る磁性体の構成を示す図である。
【図3】本願の実施の形態1に係る磁気ギャップ部Bの構成を示す図である。
【図4】本願の実施の形態1に係る磁性体に流れる誘導電流を示す図である。
【図5】本願の実施の形態1に係る放射導体周囲の磁界強度を示す図である。
【図6】本願の実施の形態2に係る磁性体の他の構成を示す図である。
【図7】本願の実施の形態1に係る具体例の磁性体の構成を示す図である。
【図8】本願の実施の形態3に係る磁性体の構成を示す図である。
【図9】本願の実施の形態4に係る発明の構成を示す図である。
【図10】本願の実施の形態5に係るアンテナ部と基板の配置例を示す図である。
【図11】本願の実施の形態6に係るアンテナ部と基板の配置例を示す図である。
【図12】本願の実施の形態7に係る発明の構成を示す図である。
【図13】本願の実施の形態7に係るアンテナ部と基板の配置例を示す図である。
【図14】本願の実施の形態8に係る磁性体の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1に、本発明の実施の形態1による電界アンテナ装置1の全体構成を示す。図1において、4はアンテナ部で、放射導体2と磁性体3とからなっている。磁性体3は放射導体2の延伸方向に沿って放射導体2の周りに配置されている。5はアンテナ部4が取り付けられた基板、6は放射導体2に給電する信号源、7は信号源6から放射導体2に給電する際の基板5上に配設された給電部、8は基板上に配設された接地導体である。なお、図1に示した電界アンテナ装置1は、モノポールアンテナの例である。
【0015】
基板5は多層基板であることが多いため、通常、接地層を有している。図1はこの層を描いたものである。また、図1は、給電部7が基板5の接地導体8と同じ層に形成されているとして表示しているが、他の層にあっても良い。また、基板5を介さずに信号源6と放射導体2とが直接接続されていても良い。給電部7には通常インピーダンスマッチング回路が付加されることが多いが、給電部7を基板上でなく別途用意しても良いし、省略することもある。また、図1の接地導体8と給電部7の形状、配置は概念的に示したものであり図示した形状、配置関係に限定されるものではないが、接地導体8は基板5の接地層の大きな面積を専有する形で配置されているのが通常である。
【0016】
ここで図1に示す放射導体2はその両端で磁性体3から飛び出している。給電側端部は給電の便宜上、磁性体3から外に出ていることが必要だが、給電端と反対側の端部は磁性体3から突出させる必要性はない。ここでは、磁性体3中に放射導体2が配置されていることを明示するために磁性体3から放射導体2が突出しているものとした。
【0017】
次に、図1に例示するアンテナ装置1の動作について説明する。本装置は、電磁波信号中、電界成分を放射導体で送受信するためのものである。一般に、信号送受信の効率を大きくするために、放射導体の長さは、送受信対象となる電磁波の波長の略1/4に設定される。そのため、高周波帯域では送受信に必要な放射導体2の長さは比較的短くて済むが、近年その需要が高まっているUHF帯などの比較的低周波帯の信号に対しては、必要な放
射導体2の長さが大きくなり、そのような放射導体2は携帯機器用のアンテナ装置として不適当なものとなる。
【0018】
上記磁性体3は、磁性体3での波長短縮効果を利用して信号送受信に必要とされる放射導体の長さを短縮することを目的に設定されている。信号源6は、給電部7を介して放射導体2に必要な信号を供給するためのものであり、接地導体8は基板5に形成された回路の接地部として利用され、基板5は、給電部7と接地導体8を配置し、アンテナ部4を取り付けるとともに送受信信号の処理回路(図示していない)を配したものである。
【0019】
磁性体3についてもう少し詳しく説明する。図2は、本願発明によるアンテナ部4の放射導体2の延伸方向に直交する断面(図1に示すA−A’断面)を示すものである。図2において、図1と同じ品目には同じ番号を付している。31は磁性体3の存在していない空隙部(以下、磁気ギャップ部Aと呼ぶ)、9は放射導体2の延伸方向に直交する磁性体3の断面中の、放射導体2の周りの周回磁路である。放射導体が発生する磁界の向きと周回磁路の向きは同じである。磁気ギャップ部Aは放射導体2と磁性体3の間に周回磁路9と平行に設けられている。
【0020】
図3は、本願発明によるアンテナ部4の放射導体2の延伸方向の断面(図2に示すB−B’断面)を示すものである。図3において、図2と同じ品目には同じ番号を付している。32は磁性体の存在していない空隙部(以下、磁気ギャップ部Bと呼ぶ)である。磁気ギャップ部Bは磁性体間に放射導体の延伸方向と直交する面と平行に設けられている。
このように放射導体2の延伸方向に沿って、放射導体2の周囲に磁性体3を配置したた
め、当該磁性体3の比誘電率、及び比透磁率の寄与による波長短縮効果により、アンテナ部4の小型化を図ることができる。
【0021】
しかし、アンテナ部4の小型化が達成できたとしても、このアンテナ装置1による電磁波の送受信効率が十分なものであるかが問題となる。
アンテナの効率は対象となる電磁波の周波数が、電界アンテナ装置の持つ共振周波数に一致したときに最大となるが、この効率の最大値はアンテナ部4の放射抵抗とその他の損失との比で決定される。本願発明では、放射導体2の周囲に磁気ギャップ部Aを設けたた
め、周回磁路9の磁気抵抗が増加し、放射抵抗が増加する。また、磁性体3中の磁場強度が低減し、磁性特性による磁性体損失が低減される。すなわち、磁気ギャップ部Aにより
、周回磁路9の磁気抵抗が大きくなると、磁性体3中での磁気損失の低減と放射抵抗の増加を誘起し、アンテナから放射される電力が増加する。
【0022】
次に、磁気ギャップ部Bの動作について説明する。図4は放射導体2の延伸方向の断面(図2に示すB−B’断面)にて磁性体中を流れる誘導電流を示すものである。図4(a)は、磁気ギャップ部Bが無い場合の誘導電流を示す図であり、35はそのときに流れる誘導電流を示している。放射導体2を流れる高周波電流36により、磁性体3の広い範囲で誘導電流が流れる。誘導電流は放射導体2が作る高周波磁場を打ち消す向きに流れるため、アンテナから放射される電力が低下する。図4(b)は、本願発明による磁気ギャップ部Bが磁性体内に、放射導体2に垂直な方向に多数存在する場合の誘導電流を示す図であり、32がその空隙部であり、37は誘導電流である。放射導体2を流れる高周波電流36により誘導電流が流れるが、磁気ギャップ部Bにより、磁性体の一部でしか誘導電流が流れず、このためアンテナから放射する電力の低下はほとんど無くなる。
【0023】
アンテナ部4を送信アンテナとして用いた時の磁気ギャップ部Aの効果について更に説明する。図5は放射導体2の周囲にできる磁界の強さを示す図である。放射導体周囲の磁界の強さHは、放射導体2からの距離aに対し、1/aに比例して減衰するため、放射導体2に接した部分の磁界強度は非常に大きくなる。アンテナ部を受信アンテナとして用いたときには放射導体2に流れる電流は僅かなため問題にならないが、送信アンテナとして用いたときには放射導体2に流れる電流が大きいため、放射導体2に接した部分の磁性体3が磁気飽和を起こし、送信波形が歪んでしまう。本願発明による電界アンテナ装置では、磁性体が飽和しない領域に磁性体を配置し、磁性体が磁気飽和する領域に磁気ギャップAを配置するようにすることにより、送信電流が大きくなっても磁性体の飽和により送信波形が歪むことを、正確になくすことができる。
【0024】
このことを具体的に実現する方法について次に説明する。
業務用無線機と呼ばれるMCA無線装置では、通話エリアが30km以上と広いため、タ
クシー、バス事業、トラック事業などの運送業のみならず、災害時・緊急時の無線システムとして広く利用されている。このような業務用無線機の送信パワーは、通常2Wから5Wであるが、広いエリアをカバーするシステムでは10Wになるものもある。無線機の送信
パワーをPo(W)とすると、送信器の出力インピーダンスが50Ωのため、アンテナ導体を
流れる電流値Iは、次式で表される。
【0025】
【数1】
一方、放射導体周囲の磁界の強さHは、放射導体表面からの距離をaとすると、
【数2】
となる。放射導体を流れる高周波電流は、表皮深さのため導体表面を流れているため、導体表面からの距離にて磁界強度を求める必要がある。例えば、送信パワー2Wの無線機の
アンテナ部の放射導体に流れる電流は0.2Aとなる。導体表面から0.1mm離れた位置での磁界強度は320A/mとなる。
【0026】
この磁界にて磁性体が飽和する領域は磁気ギャップAとし、飽和しない領域にのみ磁性体を配置する必要がある。一般に、磁性体の飽和はB―Hカーブにて決まる。保持力Hc以上の磁界が加わると磁性体の飽和が起こり、送信波形に歪みが発生する。このため、磁界強度が磁性体の保持力を超える領域は、磁気ギャップ部にする必要がある。(1)式と(2)式から、無線機の送信パワーがP(W)、磁性体の保持力をHc(A/m)とすると、導体表面からの磁
気ギャップ部の距離aは次式にて与えられる。
【数3】
【0027】
一般に、UHF帯でよく用いられるフェライトの保持力Hcは30A/mから100A/mで
ある。例えば、保持力100A/mのフェライトを用いた場合、送信パワー2Wの無線機で磁気飽和を防止するためには、導体表面から0.3mmは、磁気ギャップとする必要がある。特許文献2には、放射導体と磁性体の隙間を50μm以下にすることが述べられているが、50μm程度の隙間では、磁気飽和による波形歪みの影響を回避できないのは明らかである。
このように、(3)式に示すように、磁性体の保持力と送信パワーによって決まる距離aの
部分を磁気ギャップAとする構造が必要になる。
【0028】
更に、磁気ギャップ部Bにより、磁性体が複数個に分割された構造を有しているため、扁平な磁性体(例えばトロイダルリング形)を放射導体の周りに多数配置することにより、アンテナ部を実現できる。送受信の電磁波の周波数が低くなると、放射導体の長さが長くなり、必要とされる磁性体の長さも長くなるため、磁性体の製造コストが高くなったり、磁性体の強度が低下したりするなどの問題が発生する。本願発明における磁性体では、扁平な磁性体を用いるため、磁性体の製造コストが安く、強度も強いため、安価で耐衝撃性に優れた電界アンテナ装置を提供できるという効果を有する。磁気ギャップ部Bに衝撃吸収材を挿入することにより更に耐衝撃性に優れた電界アンテナ装置を得ることができる。
【0029】
実施の形態2.
図6は、磁性体3と放射導体2の間に配置される磁気ギャップ部Aの他の構成例を示している。図6(a)が図2と異なる点は、スペーサ41にて放射導体を支持するようにした
ことである。また、図6(b)のように放射導体の周囲に被覆材42を用いてもよい。被覆
材42と放射導体2とを一体化したものとして、例えば絶縁被覆ケーブルを使用することができるが、放射導体2と磁性体3の間は必ずしも電気的に絶縁しなければならないというわけではない。スペーサ41及び被覆材42はいずれも非磁性材料である。放射導体2と磁性体3の間に非磁性の磁気ギャップ部を設けるという点で、図6の構成は図2の構成と共通している。
【0030】
このような構成にした場合の波長短縮効果について以下具体例で説明する。図7は、検討を行ったアンテナ部4の各種形状を示す図である。放射導体2の長さを65mm、外径
0.2mmとし、磁性体3は外径6mm、内径2.2mmのトロイダル形状とした。放射導体2と磁性体3の内径の間の空間が磁気ギャップ部Aに相当する。図7(a)は、磁性体3の長さを58mmとし、磁気ギャップ部Aだけを設けたものである。図7(b)は、磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bを設けたものである。長さが2.9mmのトロイダル形状の磁性体を19個用い(図では6個のみ表示)、18箇所の磁性体間に0.2mmの磁気ギャップ部Bを設けた。磁性体部3のトータルの長さは58.7mmとなる。図面簡略化のため6個の磁性体の場合について記載している。
【0031】
図7(c)は、磁気ギャップ部Aのみを設けたものである。磁性体3の長さは55.1mmとし、長さが2.9mmのトロイダル形状の磁性体を19個分の長さと同じにし、図7(b)と磁性体の体積が同じになるようにした。図7(d)は比較のために設けた磁気ギャップ部Aおよび磁気ギャップ部Bがない構成である。磁性体の長さは58mm、外径は6mmと図7(a)と同一にした。
【0032】
結果について説明する。放射導体2の長さを65mmとすると磁性体3を用いない場合の共振周波数は1.2GHzである。磁性体による損失が無いので、アンテナ効率が最大となる周波数でのアンテナ放射効率の最大値は0dB(アンテナ放射効率の減衰が無い状態)となる。まず、図7(d)に示すように、放射導体の周囲に磁性体を配置し、磁性体に磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bの両方を設けていない場合を考える。磁性体の比誘電率=10、比透磁率=10、磁性損失tanδ=1.0とした。このような条件下では、共振周波数600MHz、アンテナ効率の最大値は、−9dBであった。共振周波数は1.2GHzから600MHzに1/2(6dB)低下しているが、アンテナ効率が9dB低減している。波長短縮効果による共振周波数低減効果よりも磁性体ロスによるアンテナ効率劣化のほうが大きいため、ギャップの無い磁性体を用いた効果はあまり無い。
【0033】
次に図7(a)に示すように、磁気ギャップ部Aのみを設けた場合の結果について説明
する。このときの共振周波数は650MHz、アンテナ効率の最大値は−6dBであった。このように磁気ギャップ部Aを設けることにより、ギャップ部が無いときに比べて放射効率の最大値の改善幅は3dBと大きなものとなった。波長短縮効果は10%程度低減したが、まだ十分な波長短縮効果を有しているといえる。磁気ギャップ部Aを設けることに
より、周波数低減効果とアンテナ効率劣化が同レベルになり、磁性体によるアンテナ小型化のメリットが生じる。
【0034】
更に、図7(b)に示すように磁気ギャップ部Bを設けた場合の結果について述べる。この時の共振周波数は650MHz、アンテナ効率の最大値は−4dBであった。このように磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bを設けることにより、磁気ギャップ部Aのみの場合に比べて、共振周波数による波長短縮効果を損なわずに、アンテナ効率を2dB改善することができることが分かった。磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bの両方を設けることにより、周波数低減効果がアンテナ効率劣化を上回るため、磁性体によるアンテナ小型化のメリットが更に生じる。
【0035】
また、図7(c)に示すように図7(b)と同じ磁性体の体積で、磁気ギャップAのみを設けた結果について述べる。この時の共振周波数650MHz、アンテナ効率の最大値は−6dBであった。このように磁気ギャップ部Bを用いると共振周波数を変化させずにアンテナ効率のみを改善できる効果があることが分かる。これは、磁気ギャップ部Bには磁性体による磁気損失を低減させるという効果以外に、誘導電流による損失を低減させることができるという効果があるためである。
【0036】
以上から、本願発明によれば、アンテナ部4の磁性体3に磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bを設けることにより、アンテナ部4を小型化し、アンテナ装置1の小型化を図る
ことができると共に、当該アンテナ装置の放射効率、受信効率を大きく改善することが可能となり、送信波形の歪みを大きく低減することができる効果がある。
なお、これまでUHF帯での電界アンテナ装置の小型化、高効率化を中心に説明してきたが、この波長帯域に限定されるものではない。この発明によればどのような波長域であっても既に説明した原理と同じ原理にて電界アンテナ装置の小型化、高効率化、低歪み化を図ることができる。このことは、以下のすべての実施の形態においても同様である。
【0037】
実施の形態3.
実施の形態1では、図1に示すモノポール型アンテナを例に本願発明による効果を説明したが、図8(a)にその変形例であるモノポールを折り曲げたタイプのアンテナや図8(b)に示す逆F型アンテナにおいても同様の効果が得られる。図1のA−A’断面は図8ではC−C’断面に対応したしたものとなる。すなわち、図8で、磁性体3のC−C’断面が図2に該当するものとする。これにより実施の形態1及び2で説明したことと同様の効果を奏することができる。なお、図8では、基板5に配置された給電部7、接地導体部8は省略されているが、信号源6も含めて、基本的には図1の場合と同様である。
【0038】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る発明を図9に示す。図9に示す形態は図2に示す形態と類似しているが、放射導体2が磁性体3の中心からずれているという点が異なる。放射導体2と磁性体3の間に周回磁路と平行に磁気ギャップ部Aが設けられ、図示していないが、放射導体の延伸方向と直交する面と平行に磁気ギャップ部Bが設けられているという点は図2と同じである。
【0039】
図10は実施の形態4(図9)に示すアンテナ部4の基板5への配置構成例であり、モノポールアンテナを使った場合についてのアンテナ装置1の図1に示すA−A’断面図である。図1にて説明したと同様に、アンテナ部4の放射導体2は、その一端が給電部7に接続され(ただし、給電部7はアンテナ部4を構成する磁性体3の陰に隠れて表示されていない)、他端が基板5から遠ざかる方向に延伸した配置になっている。ここでは、磁性体3は放射導体2が基板5に設けられた接地導体8に近い位置になるように配置されている。
【0040】
上記磁性体3の配置により、電界は放射導体2と接地導体8との間に集中する。この集中する部分に磁気ギャップ部Aが多く存在すると波長短縮効果が劣化することになる。しかし、図10に示すように放射導体2と接地導体8の間に磁性体3が多く(磁気ギャップ部Aが少なく)存在するように磁性体3を配置することにより、波長短縮効果を劣化させずに磁性体3による磁気損失を低減させることができる。
【0041】
このように、本実施の形態によるアンテナ部4の配置によれば、磁性体3に磁気ギャップ部31が存在することによる波長短縮効果の劣化を低減できるため、UHF帯域でもアンテナ部のサイズを小型化することによりアンテナ装置としての小型化を図ることができ、更に、この磁性体の磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bにより磁気的損失と誘導電流による損失の低減を行なうことができるため、UHF帯域のように比較的波長の長い電磁波に対して、アンテナ部に磁性体を用いた場合の送受信効率の低減を防止することができる。
【0042】
実施の形態5.
本発明の形態5は、基板5に対して図9に示したアンテナ部4を図8に示す配置構成にした場合の例として図11に示している。
図11は、アンテナ部4のモノポール放射導体を折り曲げた形状にしたアンテナの配置を示す図8(a)または逆F型アンテナの配置を示す図8(b)のC−C’断面図である。
図11に示す例では、放射導体2が基板5に設けられた接地導体8に近い位置になるように配置されている。この点は、実施の形態4の場合と同様である。従って、この実施の形態に係る発明も実施の形態4に記載の効果と同等の効果を得ることができる。
【0043】
実施の形態6.
本実施の形態6は、基板5に対して図9に示したアンテナ部4を図12に示す配置構成にした場合の例を示している。
図12に示すアンテナ部4は、基板5の面内にその面から所定距離浮かしたところで、その面と略平行に配置されている。アンテナ部4が基板5面と略平行に配置されているとは放射導体2の延伸方向が基板5面と略平行になるようにアンテナ部が配置されているということである。
図13は図12のD−D’断面を示したものである。図13に示す例では、放射導体2が基板5に設けられた接地導体8に近い位置になるように配置されている。この点は、実施の形態4の場合と同様である。従って、この実施の形態7に係る発明も実施の形態4に記載の効果と同等の効果を得ることができる。
【0044】
実施の形態7.
実施の形態1の図3に示した例では、磁気ギャップ部Bにスペーサを設けた場合について説明したが、図14に示すように分割したコアを直接並べても、誘導電流による損失を低減することができる。この場合、分割したコアの接する面に僅かにできる隙間が磁気ギャップ部Bと同等の働きを示すためである。従って、この実施の形態に係る発明も実施の形態1に記載の効果と同等の効果を得ることができる。
以上説明した各実施の形態では、磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bを同時に設けた場合について説明したが、どちらか一方のみに磁気ギャップ部が存在しても良い。どちらか一方に磁気ギャップ部が存在することにより、両方同時に存在する場合より効果は少なくなるが、波長短縮効果と磁性体による磁気損失の低減効果が得られる。
【符号の説明】
【0045】
1 アンテナ装置、2 放射導体、3 磁性体、4 アンテナ部、5 基板、
6 信号源、7 給電部、 8 接地導体、 9 周回磁路、 31 磁気ギャップ部A、32 磁気ギャップ部B、41 スペーサ、42 被覆材
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型、高効率のアンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体通信機器では、機器に内蔵できる小型電界アンテナ装置の需要が高まってきている。電界アンテナ装置の小型化技術としては、放射導体を媒体で囲み、媒体中での波長短縮効果を利用して必要なアンテナの長さを短縮するものが知られている。アンテナの長さは、これを構成する放射導体の長さで決まるが、この放射導体の長さは、送受信の対象となる電磁波に対して十分な感度を確保するためには、当該電磁波の波長の約1/4の長さが必要とされる。従って、放射導体を囲む媒体中での波長が短縮すれば、その分必要な放射導体長を短縮できるため、アンテナの小型化を促進することができる。
【0003】
媒体の比誘電率、比透磁率をそれぞれεr、μrとすれば、当該電磁波のその媒体中での波長λは、真空中(空気中でもほぼ同じ)での波長λ0をεrの平方根、及びμrの平方根で除した値となる。従って、媒体の比誘電率、比透磁率が1よりも大きい場合、その媒体中での電磁波の波長は空気中での波長よりも小さくなる。
【0004】
従来は、上記媒体として非磁性誘電体が用いられていたが、UHF帯域でも良好な磁気特
性(1より大きな比透磁率を有するということ)を持つ磁性誘電体(以下、磁性体と略称する)が開発されており、このような磁性体を使って、誘電特性と磁性特性の両特性による波長短縮効果を利用した小型の電界アンテナ装置の開発が始められている(例えば特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−067994号公報
【特許文献2】特開2007−318701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような電界アンテナ装置の放射効率や受信効率は放射導体を囲む媒体の誘電体損失や磁性体損失の影響を受ける。放射導体を囲む媒体の誘電体損失や磁性体損失が無ければ、アンテナの放射効率は向上し1に近づき、損失が大きくなるにつれて放射効率は低下する。
アンテナ部に磁性体を用いた場合、波長短縮効果は期待できるものの、誘電特性による誘電体損失に比べて、磁性特性による磁性体損失が大きいために、アンテナ効率が低下するという問題があった。
【0007】
この点を解決するために、例えば、特許文献1では、磁性体に直流磁界を印加することによって磁性体損失を低減していた。特許文献1には、磁性体への直流磁界の印加方法として、磁性体自体を永久磁石にする方法や、直流磁界を印加するための磁石もしくは電磁石を磁性体に隣接して配置する方法が示されている。前者の場合は、材料選択の自由度が損なわれるし、常に磁力線を発生している状態下での組立作業となり、その作業は容易ではない。
【0008】
また、後者の場合は、磁性体に隣接して磁石又は電磁石を配置しているためアンテナ装置全体としての小型化が制約されることになる。また、磁石もしくは電磁石がアンテナ近
傍に存在するということは、アンテナに金属、磁性体が付加されたことになるため、金属部の導電損や磁性体の磁気損失が増え、アンテナ効率が低下してしまう。すなわち、磁石や電磁石自身が損失を生み出す原因にもなっていた。さらに、常に直流磁界が存在していることになるため、スピーカなど他の機器への直流磁界の影響も問題となり、この影響を低減するために十分な磁気シールドを施すと当該機器の小型化が妨げられるという問題があった。
【0009】
一方、特許文献2では、線状導体を磁性基体に貫通させ、磁性基体の長手方向に垂直な断面の外形Rと内径rとの比を0.1以上とすることが提案されているが、この場合は放射導体に磁性体が接しており、接した部分の磁性体が磁気飽和を起こしやすくなる。磁気飽和が起こった場合、磁性体の非線形特性により、送信波形が歪んでしまい、送信される情報の質が低下するという問題がある。
【0010】
この発明は上記の諸問題に鑑みてなされたもので、アンテナ部を磁性体の波長短縮効果を利用して小型化する場合に、磁性体の磁気飽和を回避し、波長短縮効果を低減させることなく磁気損失によるアンテナ効率の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明による電界アンテナ装置は、放射導体と当該放射導体の延長する方向に沿って前記放射導体の周りに配置された磁性体とからなるアンテナ部、前記アンテナ部が取り付けられると共に接地導体が配置される基板、前記放射導体に給電する信号源を備え、前記アンテナ部の磁性体は、放射導体と磁性体の間に周回磁路と平行に設けられた磁気ギャップ部A及び放射導体の延伸方向と直交する面と平行に設けられた磁気ギャップ部Bの少なくとも一方を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
電界アンテナ装置を上記の構成にしたことにより、放射導体の周囲に配置された磁性体での波長短縮効果を利用してUHF帯での電界アンテナの小型化を可能にするとともに、放
射導体を囲む磁性体内部に空隙部を設けたので、磁性体中での磁気損失と磁性体内を流れる誘導電流による損失を低減し、アンテナ装置の送受信の効率を改善することができる。更に、磁性体内に、前記放射導体に垂直な方向に多数の空隙部を設けたので、送信時に放射導体を流れる電流による磁気飽和を防止することができ、送信波形の歪みを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願の実施の形態1に係る発明の構成を示す図である。
【図2】本願の実施の形態1に係る磁性体の構成を示す図である。
【図3】本願の実施の形態1に係る磁気ギャップ部Bの構成を示す図である。
【図4】本願の実施の形態1に係る磁性体に流れる誘導電流を示す図である。
【図5】本願の実施の形態1に係る放射導体周囲の磁界強度を示す図である。
【図6】本願の実施の形態2に係る磁性体の他の構成を示す図である。
【図7】本願の実施の形態1に係る具体例の磁性体の構成を示す図である。
【図8】本願の実施の形態3に係る磁性体の構成を示す図である。
【図9】本願の実施の形態4に係る発明の構成を示す図である。
【図10】本願の実施の形態5に係るアンテナ部と基板の配置例を示す図である。
【図11】本願の実施の形態6に係るアンテナ部と基板の配置例を示す図である。
【図12】本願の実施の形態7に係る発明の構成を示す図である。
【図13】本願の実施の形態7に係るアンテナ部と基板の配置例を示す図である。
【図14】本願の実施の形態8に係る磁性体の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1に、本発明の実施の形態1による電界アンテナ装置1の全体構成を示す。図1において、4はアンテナ部で、放射導体2と磁性体3とからなっている。磁性体3は放射導体2の延伸方向に沿って放射導体2の周りに配置されている。5はアンテナ部4が取り付けられた基板、6は放射導体2に給電する信号源、7は信号源6から放射導体2に給電する際の基板5上に配設された給電部、8は基板上に配設された接地導体である。なお、図1に示した電界アンテナ装置1は、モノポールアンテナの例である。
【0015】
基板5は多層基板であることが多いため、通常、接地層を有している。図1はこの層を描いたものである。また、図1は、給電部7が基板5の接地導体8と同じ層に形成されているとして表示しているが、他の層にあっても良い。また、基板5を介さずに信号源6と放射導体2とが直接接続されていても良い。給電部7には通常インピーダンスマッチング回路が付加されることが多いが、給電部7を基板上でなく別途用意しても良いし、省略することもある。また、図1の接地導体8と給電部7の形状、配置は概念的に示したものであり図示した形状、配置関係に限定されるものではないが、接地導体8は基板5の接地層の大きな面積を専有する形で配置されているのが通常である。
【0016】
ここで図1に示す放射導体2はその両端で磁性体3から飛び出している。給電側端部は給電の便宜上、磁性体3から外に出ていることが必要だが、給電端と反対側の端部は磁性体3から突出させる必要性はない。ここでは、磁性体3中に放射導体2が配置されていることを明示するために磁性体3から放射導体2が突出しているものとした。
【0017】
次に、図1に例示するアンテナ装置1の動作について説明する。本装置は、電磁波信号中、電界成分を放射導体で送受信するためのものである。一般に、信号送受信の効率を大きくするために、放射導体の長さは、送受信対象となる電磁波の波長の略1/4に設定される。そのため、高周波帯域では送受信に必要な放射導体2の長さは比較的短くて済むが、近年その需要が高まっているUHF帯などの比較的低周波帯の信号に対しては、必要な放
射導体2の長さが大きくなり、そのような放射導体2は携帯機器用のアンテナ装置として不適当なものとなる。
【0018】
上記磁性体3は、磁性体3での波長短縮効果を利用して信号送受信に必要とされる放射導体の長さを短縮することを目的に設定されている。信号源6は、給電部7を介して放射導体2に必要な信号を供給するためのものであり、接地導体8は基板5に形成された回路の接地部として利用され、基板5は、給電部7と接地導体8を配置し、アンテナ部4を取り付けるとともに送受信信号の処理回路(図示していない)を配したものである。
【0019】
磁性体3についてもう少し詳しく説明する。図2は、本願発明によるアンテナ部4の放射導体2の延伸方向に直交する断面(図1に示すA−A’断面)を示すものである。図2において、図1と同じ品目には同じ番号を付している。31は磁性体3の存在していない空隙部(以下、磁気ギャップ部Aと呼ぶ)、9は放射導体2の延伸方向に直交する磁性体3の断面中の、放射導体2の周りの周回磁路である。放射導体が発生する磁界の向きと周回磁路の向きは同じである。磁気ギャップ部Aは放射導体2と磁性体3の間に周回磁路9と平行に設けられている。
【0020】
図3は、本願発明によるアンテナ部4の放射導体2の延伸方向の断面(図2に示すB−B’断面)を示すものである。図3において、図2と同じ品目には同じ番号を付している。32は磁性体の存在していない空隙部(以下、磁気ギャップ部Bと呼ぶ)である。磁気ギャップ部Bは磁性体間に放射導体の延伸方向と直交する面と平行に設けられている。
このように放射導体2の延伸方向に沿って、放射導体2の周囲に磁性体3を配置したた
め、当該磁性体3の比誘電率、及び比透磁率の寄与による波長短縮効果により、アンテナ部4の小型化を図ることができる。
【0021】
しかし、アンテナ部4の小型化が達成できたとしても、このアンテナ装置1による電磁波の送受信効率が十分なものであるかが問題となる。
アンテナの効率は対象となる電磁波の周波数が、電界アンテナ装置の持つ共振周波数に一致したときに最大となるが、この効率の最大値はアンテナ部4の放射抵抗とその他の損失との比で決定される。本願発明では、放射導体2の周囲に磁気ギャップ部Aを設けたた
め、周回磁路9の磁気抵抗が増加し、放射抵抗が増加する。また、磁性体3中の磁場強度が低減し、磁性特性による磁性体損失が低減される。すなわち、磁気ギャップ部Aにより
、周回磁路9の磁気抵抗が大きくなると、磁性体3中での磁気損失の低減と放射抵抗の増加を誘起し、アンテナから放射される電力が増加する。
【0022】
次に、磁気ギャップ部Bの動作について説明する。図4は放射導体2の延伸方向の断面(図2に示すB−B’断面)にて磁性体中を流れる誘導電流を示すものである。図4(a)は、磁気ギャップ部Bが無い場合の誘導電流を示す図であり、35はそのときに流れる誘導電流を示している。放射導体2を流れる高周波電流36により、磁性体3の広い範囲で誘導電流が流れる。誘導電流は放射導体2が作る高周波磁場を打ち消す向きに流れるため、アンテナから放射される電力が低下する。図4(b)は、本願発明による磁気ギャップ部Bが磁性体内に、放射導体2に垂直な方向に多数存在する場合の誘導電流を示す図であり、32がその空隙部であり、37は誘導電流である。放射導体2を流れる高周波電流36により誘導電流が流れるが、磁気ギャップ部Bにより、磁性体の一部でしか誘導電流が流れず、このためアンテナから放射する電力の低下はほとんど無くなる。
【0023】
アンテナ部4を送信アンテナとして用いた時の磁気ギャップ部Aの効果について更に説明する。図5は放射導体2の周囲にできる磁界の強さを示す図である。放射導体周囲の磁界の強さHは、放射導体2からの距離aに対し、1/aに比例して減衰するため、放射導体2に接した部分の磁界強度は非常に大きくなる。アンテナ部を受信アンテナとして用いたときには放射導体2に流れる電流は僅かなため問題にならないが、送信アンテナとして用いたときには放射導体2に流れる電流が大きいため、放射導体2に接した部分の磁性体3が磁気飽和を起こし、送信波形が歪んでしまう。本願発明による電界アンテナ装置では、磁性体が飽和しない領域に磁性体を配置し、磁性体が磁気飽和する領域に磁気ギャップAを配置するようにすることにより、送信電流が大きくなっても磁性体の飽和により送信波形が歪むことを、正確になくすことができる。
【0024】
このことを具体的に実現する方法について次に説明する。
業務用無線機と呼ばれるMCA無線装置では、通話エリアが30km以上と広いため、タ
クシー、バス事業、トラック事業などの運送業のみならず、災害時・緊急時の無線システムとして広く利用されている。このような業務用無線機の送信パワーは、通常2Wから5Wであるが、広いエリアをカバーするシステムでは10Wになるものもある。無線機の送信
パワーをPo(W)とすると、送信器の出力インピーダンスが50Ωのため、アンテナ導体を
流れる電流値Iは、次式で表される。
【0025】
【数1】
一方、放射導体周囲の磁界の強さHは、放射導体表面からの距離をaとすると、
【数2】
となる。放射導体を流れる高周波電流は、表皮深さのため導体表面を流れているため、導体表面からの距離にて磁界強度を求める必要がある。例えば、送信パワー2Wの無線機の
アンテナ部の放射導体に流れる電流は0.2Aとなる。導体表面から0.1mm離れた位置での磁界強度は320A/mとなる。
【0026】
この磁界にて磁性体が飽和する領域は磁気ギャップAとし、飽和しない領域にのみ磁性体を配置する必要がある。一般に、磁性体の飽和はB―Hカーブにて決まる。保持力Hc以上の磁界が加わると磁性体の飽和が起こり、送信波形に歪みが発生する。このため、磁界強度が磁性体の保持力を超える領域は、磁気ギャップ部にする必要がある。(1)式と(2)式から、無線機の送信パワーがP(W)、磁性体の保持力をHc(A/m)とすると、導体表面からの磁
気ギャップ部の距離aは次式にて与えられる。
【数3】
【0027】
一般に、UHF帯でよく用いられるフェライトの保持力Hcは30A/mから100A/mで
ある。例えば、保持力100A/mのフェライトを用いた場合、送信パワー2Wの無線機で磁気飽和を防止するためには、導体表面から0.3mmは、磁気ギャップとする必要がある。特許文献2には、放射導体と磁性体の隙間を50μm以下にすることが述べられているが、50μm程度の隙間では、磁気飽和による波形歪みの影響を回避できないのは明らかである。
このように、(3)式に示すように、磁性体の保持力と送信パワーによって決まる距離aの
部分を磁気ギャップAとする構造が必要になる。
【0028】
更に、磁気ギャップ部Bにより、磁性体が複数個に分割された構造を有しているため、扁平な磁性体(例えばトロイダルリング形)を放射導体の周りに多数配置することにより、アンテナ部を実現できる。送受信の電磁波の周波数が低くなると、放射導体の長さが長くなり、必要とされる磁性体の長さも長くなるため、磁性体の製造コストが高くなったり、磁性体の強度が低下したりするなどの問題が発生する。本願発明における磁性体では、扁平な磁性体を用いるため、磁性体の製造コストが安く、強度も強いため、安価で耐衝撃性に優れた電界アンテナ装置を提供できるという効果を有する。磁気ギャップ部Bに衝撃吸収材を挿入することにより更に耐衝撃性に優れた電界アンテナ装置を得ることができる。
【0029】
実施の形態2.
図6は、磁性体3と放射導体2の間に配置される磁気ギャップ部Aの他の構成例を示している。図6(a)が図2と異なる点は、スペーサ41にて放射導体を支持するようにした
ことである。また、図6(b)のように放射導体の周囲に被覆材42を用いてもよい。被覆
材42と放射導体2とを一体化したものとして、例えば絶縁被覆ケーブルを使用することができるが、放射導体2と磁性体3の間は必ずしも電気的に絶縁しなければならないというわけではない。スペーサ41及び被覆材42はいずれも非磁性材料である。放射導体2と磁性体3の間に非磁性の磁気ギャップ部を設けるという点で、図6の構成は図2の構成と共通している。
【0030】
このような構成にした場合の波長短縮効果について以下具体例で説明する。図7は、検討を行ったアンテナ部4の各種形状を示す図である。放射導体2の長さを65mm、外径
0.2mmとし、磁性体3は外径6mm、内径2.2mmのトロイダル形状とした。放射導体2と磁性体3の内径の間の空間が磁気ギャップ部Aに相当する。図7(a)は、磁性体3の長さを58mmとし、磁気ギャップ部Aだけを設けたものである。図7(b)は、磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bを設けたものである。長さが2.9mmのトロイダル形状の磁性体を19個用い(図では6個のみ表示)、18箇所の磁性体間に0.2mmの磁気ギャップ部Bを設けた。磁性体部3のトータルの長さは58.7mmとなる。図面簡略化のため6個の磁性体の場合について記載している。
【0031】
図7(c)は、磁気ギャップ部Aのみを設けたものである。磁性体3の長さは55.1mmとし、長さが2.9mmのトロイダル形状の磁性体を19個分の長さと同じにし、図7(b)と磁性体の体積が同じになるようにした。図7(d)は比較のために設けた磁気ギャップ部Aおよび磁気ギャップ部Bがない構成である。磁性体の長さは58mm、外径は6mmと図7(a)と同一にした。
【0032】
結果について説明する。放射導体2の長さを65mmとすると磁性体3を用いない場合の共振周波数は1.2GHzである。磁性体による損失が無いので、アンテナ効率が最大となる周波数でのアンテナ放射効率の最大値は0dB(アンテナ放射効率の減衰が無い状態)となる。まず、図7(d)に示すように、放射導体の周囲に磁性体を配置し、磁性体に磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bの両方を設けていない場合を考える。磁性体の比誘電率=10、比透磁率=10、磁性損失tanδ=1.0とした。このような条件下では、共振周波数600MHz、アンテナ効率の最大値は、−9dBであった。共振周波数は1.2GHzから600MHzに1/2(6dB)低下しているが、アンテナ効率が9dB低減している。波長短縮効果による共振周波数低減効果よりも磁性体ロスによるアンテナ効率劣化のほうが大きいため、ギャップの無い磁性体を用いた効果はあまり無い。
【0033】
次に図7(a)に示すように、磁気ギャップ部Aのみを設けた場合の結果について説明
する。このときの共振周波数は650MHz、アンテナ効率の最大値は−6dBであった。このように磁気ギャップ部Aを設けることにより、ギャップ部が無いときに比べて放射効率の最大値の改善幅は3dBと大きなものとなった。波長短縮効果は10%程度低減したが、まだ十分な波長短縮効果を有しているといえる。磁気ギャップ部Aを設けることに
より、周波数低減効果とアンテナ効率劣化が同レベルになり、磁性体によるアンテナ小型化のメリットが生じる。
【0034】
更に、図7(b)に示すように磁気ギャップ部Bを設けた場合の結果について述べる。この時の共振周波数は650MHz、アンテナ効率の最大値は−4dBであった。このように磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bを設けることにより、磁気ギャップ部Aのみの場合に比べて、共振周波数による波長短縮効果を損なわずに、アンテナ効率を2dB改善することができることが分かった。磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bの両方を設けることにより、周波数低減効果がアンテナ効率劣化を上回るため、磁性体によるアンテナ小型化のメリットが更に生じる。
【0035】
また、図7(c)に示すように図7(b)と同じ磁性体の体積で、磁気ギャップAのみを設けた結果について述べる。この時の共振周波数650MHz、アンテナ効率の最大値は−6dBであった。このように磁気ギャップ部Bを用いると共振周波数を変化させずにアンテナ効率のみを改善できる効果があることが分かる。これは、磁気ギャップ部Bには磁性体による磁気損失を低減させるという効果以外に、誘導電流による損失を低減させることができるという効果があるためである。
【0036】
以上から、本願発明によれば、アンテナ部4の磁性体3に磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bを設けることにより、アンテナ部4を小型化し、アンテナ装置1の小型化を図る
ことができると共に、当該アンテナ装置の放射効率、受信効率を大きく改善することが可能となり、送信波形の歪みを大きく低減することができる効果がある。
なお、これまでUHF帯での電界アンテナ装置の小型化、高効率化を中心に説明してきたが、この波長帯域に限定されるものではない。この発明によればどのような波長域であっても既に説明した原理と同じ原理にて電界アンテナ装置の小型化、高効率化、低歪み化を図ることができる。このことは、以下のすべての実施の形態においても同様である。
【0037】
実施の形態3.
実施の形態1では、図1に示すモノポール型アンテナを例に本願発明による効果を説明したが、図8(a)にその変形例であるモノポールを折り曲げたタイプのアンテナや図8(b)に示す逆F型アンテナにおいても同様の効果が得られる。図1のA−A’断面は図8ではC−C’断面に対応したしたものとなる。すなわち、図8で、磁性体3のC−C’断面が図2に該当するものとする。これにより実施の形態1及び2で説明したことと同様の効果を奏することができる。なお、図8では、基板5に配置された給電部7、接地導体部8は省略されているが、信号源6も含めて、基本的には図1の場合と同様である。
【0038】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る発明を図9に示す。図9に示す形態は図2に示す形態と類似しているが、放射導体2が磁性体3の中心からずれているという点が異なる。放射導体2と磁性体3の間に周回磁路と平行に磁気ギャップ部Aが設けられ、図示していないが、放射導体の延伸方向と直交する面と平行に磁気ギャップ部Bが設けられているという点は図2と同じである。
【0039】
図10は実施の形態4(図9)に示すアンテナ部4の基板5への配置構成例であり、モノポールアンテナを使った場合についてのアンテナ装置1の図1に示すA−A’断面図である。図1にて説明したと同様に、アンテナ部4の放射導体2は、その一端が給電部7に接続され(ただし、給電部7はアンテナ部4を構成する磁性体3の陰に隠れて表示されていない)、他端が基板5から遠ざかる方向に延伸した配置になっている。ここでは、磁性体3は放射導体2が基板5に設けられた接地導体8に近い位置になるように配置されている。
【0040】
上記磁性体3の配置により、電界は放射導体2と接地導体8との間に集中する。この集中する部分に磁気ギャップ部Aが多く存在すると波長短縮効果が劣化することになる。しかし、図10に示すように放射導体2と接地導体8の間に磁性体3が多く(磁気ギャップ部Aが少なく)存在するように磁性体3を配置することにより、波長短縮効果を劣化させずに磁性体3による磁気損失を低減させることができる。
【0041】
このように、本実施の形態によるアンテナ部4の配置によれば、磁性体3に磁気ギャップ部31が存在することによる波長短縮効果の劣化を低減できるため、UHF帯域でもアンテナ部のサイズを小型化することによりアンテナ装置としての小型化を図ることができ、更に、この磁性体の磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bにより磁気的損失と誘導電流による損失の低減を行なうことができるため、UHF帯域のように比較的波長の長い電磁波に対して、アンテナ部に磁性体を用いた場合の送受信効率の低減を防止することができる。
【0042】
実施の形態5.
本発明の形態5は、基板5に対して図9に示したアンテナ部4を図8に示す配置構成にした場合の例として図11に示している。
図11は、アンテナ部4のモノポール放射導体を折り曲げた形状にしたアンテナの配置を示す図8(a)または逆F型アンテナの配置を示す図8(b)のC−C’断面図である。
図11に示す例では、放射導体2が基板5に設けられた接地導体8に近い位置になるように配置されている。この点は、実施の形態4の場合と同様である。従って、この実施の形態に係る発明も実施の形態4に記載の効果と同等の効果を得ることができる。
【0043】
実施の形態6.
本実施の形態6は、基板5に対して図9に示したアンテナ部4を図12に示す配置構成にした場合の例を示している。
図12に示すアンテナ部4は、基板5の面内にその面から所定距離浮かしたところで、その面と略平行に配置されている。アンテナ部4が基板5面と略平行に配置されているとは放射導体2の延伸方向が基板5面と略平行になるようにアンテナ部が配置されているということである。
図13は図12のD−D’断面を示したものである。図13に示す例では、放射導体2が基板5に設けられた接地導体8に近い位置になるように配置されている。この点は、実施の形態4の場合と同様である。従って、この実施の形態7に係る発明も実施の形態4に記載の効果と同等の効果を得ることができる。
【0044】
実施の形態7.
実施の形態1の図3に示した例では、磁気ギャップ部Bにスペーサを設けた場合について説明したが、図14に示すように分割したコアを直接並べても、誘導電流による損失を低減することができる。この場合、分割したコアの接する面に僅かにできる隙間が磁気ギャップ部Bと同等の働きを示すためである。従って、この実施の形態に係る発明も実施の形態1に記載の効果と同等の効果を得ることができる。
以上説明した各実施の形態では、磁気ギャップ部Aと磁気ギャップ部Bを同時に設けた場合について説明したが、どちらか一方のみに磁気ギャップ部が存在しても良い。どちらか一方に磁気ギャップ部が存在することにより、両方同時に存在する場合より効果は少なくなるが、波長短縮効果と磁性体による磁気損失の低減効果が得られる。
【符号の説明】
【0045】
1 アンテナ装置、2 放射導体、3 磁性体、4 アンテナ部、5 基板、
6 信号源、7 給電部、 8 接地導体、 9 周回磁路、 31 磁気ギャップ部A、32 磁気ギャップ部B、41 スペーサ、42 被覆材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射導体と当該放射導体の延伸する方向に沿って前記放射導体の周りに配置された磁性体とで構成されるアンテナ部と、前記放射導体に給電する給電部と、接地導体が配置された基板とを備え、前記アンテナ部の磁性体は、放射導体と磁性体の間に周回磁路と平行に設けられた磁気ギャップ部A及び放射導体の延伸方向と直交する面と平行に設けられた磁気ギャップ部Bの少なくとも一方を有することを特徴とする電界アンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ部の磁性体は、放射導体と磁性体の間に周回磁路と平行に磁気ギャップ部Aを設けると共に放射導体の延伸方向と直交する面と平行に磁気ギャップ部Bを有することを特徴とする請求項1に記載の電界アンテナ装置。
【請求項3】
前記磁気ギャップAは、磁性体が磁気飽和しない領域に配置したことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の電界アンテナ装置。
【請求項4】
前記磁気ギャップ部に、非磁性体からなるスペーサを配置したことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の電界アンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナ部は、前記基板上から離れて配置されるとともに、前記放射導体が前記基板に設けられた接地導体に近い位置に偏心配置されたことを特長とする特許請求項1に記載の電界アンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナ部の磁性体は、放射導体の延伸方向に複数の磁性体を配置したことを特徴とする請求項1に記載の電界アンテナ装置。
【請求項1】
放射導体と当該放射導体の延伸する方向に沿って前記放射導体の周りに配置された磁性体とで構成されるアンテナ部と、前記放射導体に給電する給電部と、接地導体が配置された基板とを備え、前記アンテナ部の磁性体は、放射導体と磁性体の間に周回磁路と平行に設けられた磁気ギャップ部A及び放射導体の延伸方向と直交する面と平行に設けられた磁気ギャップ部Bの少なくとも一方を有することを特徴とする電界アンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ部の磁性体は、放射導体と磁性体の間に周回磁路と平行に磁気ギャップ部Aを設けると共に放射導体の延伸方向と直交する面と平行に磁気ギャップ部Bを有することを特徴とする請求項1に記載の電界アンテナ装置。
【請求項3】
前記磁気ギャップAは、磁性体が磁気飽和しない領域に配置したことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の電界アンテナ装置。
【請求項4】
前記磁気ギャップ部に、非磁性体からなるスペーサを配置したことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の電界アンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナ部は、前記基板上から離れて配置されるとともに、前記放射導体が前記基板に設けられた接地導体に近い位置に偏心配置されたことを特長とする特許請求項1に記載の電界アンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナ部の磁性体は、放射導体の延伸方向に複数の磁性体を配置したことを特徴とする請求項1に記載の電界アンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−199826(P2010−199826A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40876(P2009−40876)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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