説明

電磁シールド管、シールドケーブル、電磁シールド管の製造方法、電磁シールド管用素材、電磁シールド管の密着性向上方法

【課題】 めっき処理を行うことなく製造可能であり、また、優れた電磁シールド性を有する電磁シールド管およびこの製造方法等を提供する。
【解決手段】 電磁シールド管3は、樹脂管11上にシールド層13が形成されて構成される。シールド層13は、溶射によって形成される溶射Zn層13aにより構成され、樹脂管11の少なくとも外表面全面に対して形成される。溶射Zn層13aは、2本のZn(またはZn−Al合金などのZn合金)ワイヤーに直流の電気を流しアーク放電させて溶解し、これをエア又は他のガスにてアトマイズして母材に付着させることで形成される。電磁シールド管3は、シールド層13は、金属層である溶射Zn層13aのみで構成されるため、シールド層13の厚みCは、溶射Zn層13aの厚さと一致する。すなわち、溶射Zn層13aがシールド層としての機能を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有するとともに優れた電磁波シールド性を有し、特に電線などの電磁波シールド用として好適な電磁シールド管、その製造方法および電磁シールド管用素材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電子制御機器(以下、電子機器と略称する)が産業用や民生用などとして普及してきている。これに伴い、該機器から漏洩する電磁波が、各種電子機器の誤動作をもたらすことが多くなり、社会的な問題となってきている。特に、コンピュータや事務処理機器などから放射される電磁波がテレビや音響機器などに与える障害は著しいものとなっている。したがって、このような電磁波による障害の発生を防ぐために、電磁波の影響を受ける電子機器のみならず、電磁波の発生源となる電子機器においても、EMC(Electro−Magnetic Compatibility:電磁環境適合性)対応を施したハウジングに収容することが一般的となってきている。
【0003】
また、このような電子機器のみならず、電線のEMC対応も要求され始めている。特に、自動車の電子化やハイブリッド電気自動車の普及に伴い、自動車内配線のEMC対応の必要がより一層高まっている。また、このような電線のEMC対応として、例えば電線一つ一つにシールド材を巻く方法や、電線を束ねてシールド材を巻く方法などが提案されているが、これらの方法は、作業性、コスト面などから充分に満足しうる方法とはいえない。
【0004】
一方、電線の作業性の良い一般的な施工方法として、チューブやパイプの中に電線を這わす方法が多用されている。したがって、効率的な電線のEMC対応として、このチューブやパイプをめっきして、電線全体をシールドする方法が考えられる。
【0005】
しかしながら、該チューブやパイプは、一般に、成形性、強度、可撓性、価格などの面から、ポリオレフィンが使用されている場合が多い。ポリオレフィンは無極性であるため、ポリオレフィン製チューブやパイプをめっきすることは困難である。また、特にハイブリッド電気自動車での使用においては、耐熱性の要求からポリアミドやポリブチレンテレフタレート等の汎用エンジニアリングプラスチックの使用が好ましいが、一般的にこのような樹脂も同様にめっきが困難である。
【0006】
ポリオレフィン製樹脂管にめっき処理を施した電磁シールド樹脂管としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂に炭酸カルシウムを適量添加することによりめっき性を向上させた電磁波シールド用コルゲートチューブがある(特許文献1)。
【0007】
また、ポリオレフィン系樹脂に酸可溶性無機粉体及びカチオン系界面活性剤を適量添加することによりめっき性を向上させた樹脂管がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−173386号公報
【特許文献2】特開平10−185015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、特許文献2のように、添加剤を樹脂に加えることは、めっき性を向上させる一方で難燃性や強度、耐熱性、剛性といった特性を損なうことになる。また、種々の添加剤を加えるためにはマスターバッチの作製が必要となり、コスト増の要因ともなる。
【0010】
また、上記の特許文献にはポリオレフィン製樹脂管へのめっき性を向上させる手段は開示されているが、ポリブチレンテレフタレート等の汎用エンジニアリングプラスチックについては、何ら開示されていない。すなわち、上記の方法では、樹脂へのめっき性を考慮する必要があるため、適用可能な樹脂が限られ、樹脂選択に対する設計自由度が低い。さらに上記の特許文献では、めっき処理が行われるが、めっき処理には有害な重クロム酸を用いたエッチング工程や、高価なパラジウム触媒を担持させる工程が必要とされ、環境や資源の面から必ずしも好ましい方法とは言えない。
【0011】
したがって、環境負荷の大きなめっき処理を行うことなく、また、そのめっき性によって適用可能な樹脂に制限を受けることなく、耐熱性等の特性にも優れ、製造性にも優れた電磁シールド管およびこの製造方法等が望まれている。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、めっき処理を行うことなく製造可能であり、また、優れた電磁シールド性を有する電磁シールド管およびこの製造方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、可撓性を有する樹脂管体と、前記樹脂管体の外周に形成されるシールド層と、を具備し、前記樹脂管体は、溶射を行う前の外表面の表面粗さRaが1.0μm以上であり、さらに記シールド層は、前記樹脂管体の外表面に溶射によって形成される少なくともZn、Al、Mg、Cu、Niの少なくとも何れかを含む金属層または合金層を有することを特徴とする電磁シールド管である。
【0014】
前記シールド層は、2層以上の異なる金属層が溶射によって形成されてもよい。この場合、上層側の金属層は、下層側の金属層に対して、融点が高く、導電率が高いことが望ましい。また、最下層の金属層はZn、Al、Mg層であり、上層側の金属層がCuまたはNi層であることが望ましい。前記上層側の金属層と前記下層側の金属層との界面には両金属層による合金層が形成されてもよい。
【0015】
前記樹脂管体は波付管であり、前記波付管の山部の傾斜角度が5〜45°であり、前記シールド層は10〜200μmであり、前記シールド層の断面位置によりシールド層の厚さが相異しており、シールド層の最小厚みに対する最大厚みの比が1:6以下であることが望ましい。
【0016】
前記シールド層の外周側に、樹脂被覆層が形成されてもよい。前記樹脂管体は、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ナイロンのいずれかで構成されてもよい。
【0017】
第1の発明によれば、樹脂管体の外表面に溶射によってシールド層が形成されるため、電解めっきまたは無電解めっきを施す必要がない。したがって、ポリオレフィンやポリスチレン、汎用エンジニアリング樹脂など樹脂管体の材質によらず、確実にシールド層を形成することができる。また、通常、吸水性を有するため、めっきに用いる液を吸水した場合、後の樹脂管体の物性に悪影響を及ぼす場合があるナイロン等に対しても適用することができる。また、めっきを施す必要がないため、廃液処理等の問題もなく製造時の環境負荷を抑制することができる。
【0018】
また、溶射前の樹脂管体の外表面の表面粗さが1.0μm以上であれば、その後に溶射を行った際に、溶射後の溶射金属と樹脂管と密着性を向上させることができる。
【0019】
また、溶射による金属層を2層以上とすることで、シールド層の下層側と上層側とで異なる特性を付与することができる。この場合、下層側の金属層に対して上層側の金属層の融点を高くすることで、下層側の金属層の溶射によって、樹脂管体の表面を過剰に溶融させることがなく、また、上層側の金属層の溶射時に、下層側の金属層との密着性を高めることができる。また、上層側の導電率を高めることで、より高いシールド特性を得ることができる。
【0020】
このような、金属層の組み合わせとしては、例えば最下層をZn、Al、Mgのうちいずれかの層とし、最上層をCuまたはNi層とすることができる。この場合には、樹脂管体とCu層とが直接接触しないため、樹脂に対する銅害を防止することもできる。したがって、樹脂に対して通常添加される銅害防止剤が不要である。また、Cu層により高い導電率を有する金属層を形成することができるため、高いシールド特性を得ることができる。
【0021】
ここで、Zn層、Cu層とは、溶射によって形成されたZn層およびCu層を指し、Zn層、Cu層それぞれは、純Zn、純CuのみならずZn合金(たとえば、Zn−Al合金など)やCu合金等による金属層をも含むものである。他の金属層も同様である。
【0022】
樹脂管体が波付管であり、波付管の山部の傾斜角度が5〜45°であれば、溶射時に、山部の頂部(または谷部の底部)と山部の側部における溶射金属層の厚さばらつき(最大厚みに対する最小厚みの比)を小さくすることができる。このため、シールド層の密着性に優れ、確実に高いシールド特性を得ることができる。
【0023】
また、シールド層の総厚が10〜200μmであれば、シールド層の密着性にも優れる。また、シールド層の最小厚みに対する最大厚みの比が1:6以下であれば、シールド層全体の強度が略均一になり、パイプの曲げなどによりシールド層に割れが発生することを防止することができる。
【0024】
また、シールド層の外周側に、樹脂被覆層を形成することで、シールド層の耐外傷性や耐食性を確保することができる。このため、例えば自動車等の車体下に配置した場合でも、石はね等により、シールド層が損傷することがなく、また、水の付着により、シールド層が腐食することがない。
【0025】
第2の発明は、第1の発明にかかる電磁シールド管を用い、前記電磁シールド管の内部に電線が挿通され、前記電磁シールド管の両端には前記電線と接続される端子部が設けられることを特徴とするシールドケーブルである。
【0026】
第2の発明によれば、環境負荷が小さく、製造性に優れ、シールド特性にも優れるシールドケーブルを得ることができる。
【0027】
第3の発明は、可撓性を有し、溶射を行う前の表面粗さがRaで1.0μm以上である樹脂管体外表面に溶射によって溶射Zn、Al、Mgのいずれかを含む層を形成し、溶射Zn、Al、またはMgのいずれかを含む層の外表面に溶射によってCuまたはNiのいずれかの層を形成し、前記溶射CuまたはNi層の外周側に、樹脂被覆層を形成することを特徴とする電磁シールド管の製造方法である。
【0028】
溶射を行う前に、前記樹脂管体の外表面に粗面化処理を施し、表面粗さをRaで1.0μm以上とすることが望ましい。例えば、Zn溶射層を形成する前に、樹脂管体の外表面に、サンドブラスト処理などの粗面化処理および洗浄による下地処理を行うことが望ましい。
【0029】
第3の発明によれば、環境負荷が小さく、製造性に優れ、シールド特性にも優れる電磁シールド管を製造することができる。また、シールド層の密着性が高い電磁シールド管を得ることができる。
【0030】
第4の発明は、シールドケーブルに用いられる電磁シールド管用素材であって、可撓性を有する波付管からなり、前記波付管の山部の傾斜角度が5〜45°であり、前記波付管は、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ナイロンのいずれかで構成され、前記波付管の表面の表面粗さRaが1.0μm以上であることを特徴とする電磁シールド管用素材である。
【0031】
第4の発明によれば、表面粗さRaが1.0μm以上である可撓性を有する樹脂管体からなるため、その後に溶射を行うことで、シールド層の密着性が高い電磁シールド管を得ることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、めっき処理を行うことなく製造可能であり、また、優れた電磁シールド性を有する電磁シールド管およびこの製造方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】シールドケーブル1を示す図。
【図2】電磁シールド管3を示す図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のA部拡大断面図。
【図3】電磁シールド管3の表面近傍の拡大図。
【図4】電磁シールド管3の製造工程を示す図。
【図5】溶射機の概念図。
【図6】他の実施形態を示す図で、(a)は電磁シールド管3aの部分断面図、(b)は電磁シールド管3aの表面近傍の拡大図。
【図7】他の実施形態を示す図で電磁シールド管3bの表面近傍の拡大図。
【図8】本発明の電磁シールド管のシールド特性の一例を示す図。
【図9】本発明の電磁シールド管のシールド特性の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態にかかるシールドケーブル1について説明する。図1は、シールドケーブル1を示す図である。シールドケーブル1は、主に電磁シールド管3、端子7、電線9等から構成される。
【0035】
樹脂製の波付管から構成される電磁シールド管3内部には、電線9が挿通される。電線9の両端部は、電気的に端子7と接続される。端子7は、例えば自動車等のバッテリーとモータ等にそれぞれ設けられる端子部と接続可能である。なお、端子形状は、接続対象に応じて適宜設定される。
【0036】
図2は、電磁シールド管3を示す図であり、図2(a)は斜視図、図2(b)は図2(a)のA部の断面拡大図である。電磁シールド管3は、樹脂管11上にシールド層13が形成されて構成される。
【0037】
樹脂管体である樹脂管11としては、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレートなどの汎用エンジニアリングプラスチックを用いることができる。また、吸水性の大きなナイロンのような樹脂であっても適用可能である。
【0038】
図2(b)に示すように、樹脂管11が波付管である場合には、断面において、波付山部の側面が径方向(電磁シールド管の長手方向に対して垂直な方向)に対して、所定の角度Bで形成される。ここで、山部の傾斜角度Bは5〜45°とすることが望ましい。また、山部の形状は、管の伸縮性や可撓性を考慮すると図示したような略矩形(台形)の形状が望ましいが、必ずしもこれに限らず頂部または底部が円弧状に形成されていてもよく、山部および谷部の両端角部に0.1〜1.0mm程度のR面取りを行ってもよい。なお、山部の傾斜角度については後述する。
【0039】
また、本発明の電磁シールドパイプに用いる樹脂管11としては、図示したような波付管に限られず、剛性を有する管、可撓性を有する管、例えばスパイラルチューブやパイプ、各種異形チューブやパイプ、コルゲートチューブやパイプ、フレキシブル螺旋管などいずれの形状のものに対しても適用可能である。
【0040】
図3は、電磁シールド管3の表面近傍の拡大図である。電磁シールド管3は、樹脂管11上にシールド層13が形成されて構成される。シールド層13は、溶射によって形成される溶射Zn層13aにより構成され、樹脂管11の少なくとも外表面全面に対して形成される。溶射Zn層13aは、2本のZn(またはZn−Al合金などのZn合金)ワイヤーに直流の電気を流しアーク放電させて溶解し、これをエア又は他のガスにてアトマイズして母材に付着させることで形成される。金属膜の酸化を押えるには、エアではなく不活性ガスを使用することが望ましい。
【0041】
シールド層13は金属層である溶射Zn層13aのみで構成されるため、シールド層13の厚みCは、溶射Zn層13aの厚さと一致する。すなわち、溶射Zn層13aがシールド層としての機能を奏する。
【0042】
なお、溶射材料としては、純亜鉛の他に6%〜15%程度のアルミニウムを添加したZn−Al合金を用いても良い。また、シールド層13を構成する金属としては、Znに限られず、基材となる樹脂管11に対して悪影響を与えない材質であればよく、例えばSnやSn合金等であってもよい。
【0043】
シールド層13の厚み(図中C)としては、10μm以上200μm以下であることが望ましい。シールド層13が薄すぎると、十分なシールド特性を得ることができず、また、シールド層の強度が弱くなるため、樹脂管11の曲げ時にシールド層に割れが生じる恐れがあるためである。また、シールド層13が厚すぎると、材料費や加工費の上昇に対して、電磁波シールド性能が低く、また、皮膜厚さのばらつきが大きくなると同時に、樹脂管11を曲げた際に皮膜が割れやすくなるためである。
【0044】
次に、電磁シールド管3の製造方法について説明する。まず、例えば押出成形法などの公知の成形方法により、樹脂管11を成形する。次いで、樹脂管11の外表面に必要に応じてサンドブラスト処理を行う。サンドブラスト処理後に、クリーナー液による洗浄を行う。また、必要に応じてさらに、UVオゾン処理やプラズマ処理を適宜組み合わせて行っても良い。なお、表面を粗らすための粗面化処理方法は、サンドブラストに限るものではなく、例えばエッチング処理による方法でも良く、更に押出成形時の金型表面にRa1.0μm以上のナシジ処理を施した金型を使用して、樹脂管11表面に押出と同時に表面粗さRa1.0μm以上の表面粗さを付ける方法でも良い。
【0045】
粗面化処理後の表面粗さとしては、Raで1.0μm以上とすることが望ましい。表面粗さが小さいと、溶射後の溶射金属と樹脂管11との密着性が劣るためである。さらに、樹脂管体の表面粗さRaが5.0μmを超えると、樹脂管体の表面の樹脂のロスが大きく、溶射後の金属層の被覆厚さが不均一になり、実用上問題があるので、樹脂管体の表面粗さは、Raが5.0μm以下、より好ましくは、3.0μm以下が好ましい。
【0046】
次に、樹脂管11の外周面に溶射を行う。図4は溶射工程の概念図であり、図5は溶射機15の構成を示す概念図である。図4に示すように、樹脂管11の全周にわたって溶射機15を用いてZnを溶射する。溶射機15は、樹脂管11表面(径方向)に対してやや角度をつけた状態で、樹脂管11の長手方向に相対的に移動する。なお、樹脂管11は所定速度で回転させる。
【0047】
すなわち、樹脂管11の全周にできるだけ均一な厚みの溶射Zn層13aが得られるように、樹脂管11の波型の形状に合わせて、溶射機15を樹脂管11の軸芯の垂直方向から45度程度まで適宜傾けて溶射を行う。
【0048】
図5に示すように、溶射機15の内部では、陽極側線材17aと陰極側線材17bとが一定の速度で先端方向に送られる。陽極側線材17aと陰極側線材17bとは、溶射機15の先端近傍で近接しアークによって溶融する。溶射機15の後方からは所定圧力のエア等が送られる。この際、アークによって溶融した溶融金属19が微粉化して吹き飛ばされる。吹き飛ばされた溶融金属19は被溶射物に付着して凝固し、金属層を形成することができる。
【0049】
なお、通常、このような溶射は金属表面に行うことが普通であり、樹脂表面に行うことは無いが、本発明者らは、樹脂表面に対しても溶射によって金属層を形成可能であることを見出だし、これをシールド層として利用したものである。
【0050】
このように溶射機15を樹脂管11に対して相対的に移動させながら、樹脂管11の全表面に溶射を行う。なお、樹脂管11が波付管であったとしても、溶射機15の角度を反転させて往復させることで、樹脂管11の全面に溶射Zn層を形成することができる。片側にそれぞれ樹脂管に対して所定角度で、複数の溶射機15を設けるなどしても形成することができる。
【0051】
なお、前述の通り、樹脂管11の山部の側面の傾斜角度は5〜45°で形成される。山部側面の傾斜角度を5°以上とすることで、溶射時に溶射金属を樹脂管11の外周面により均一に形成することができる。すなわち、図4に示すように溶射を行うと、通常、樹脂管11の外周面の山部の頂部(または山部で挟まれた谷部の底部)には溶射層が十分に形成されるが、山部の側面には溶射金属が付着しにくい。これに対し、上記角度で山部側面に傾斜角度を形成することで、山部の側面にも確実に溶射金属層を形成することができる。
【0052】
なお、シールド層13の厚みは、電磁シールド管の断面位置によって異なる場合があるが、シールド層13の最大厚み(例えば山部頂部)に対して、最小厚み(例えば山部側面)が1/6以上であることが望ましい。シールド層の最小厚みと最大厚みの比が1:6を超えると、シールド層13全体の強度が不均一になり、電磁シールド管の曲げなどによりシールド層13に割れが発生してしまう恐れがあるためである。なお、山部側面の傾斜角度を5°以上とすることで、最大厚みと最小厚みの差が小さくなり、上記のシールド層の厚みのばらつき範囲を満足することができる。また、確実にシールド特性を得ることができるとともに、シールド層の部分的な剥離等を防止することができる。
【0053】
また、山部側面の傾斜角度を45°以下とすることで、樹脂管体の可撓性および圧縮強度を確保することができ、曲げ時において、樹脂管体の損傷(白化や塑性変形)等を抑制することができる。
【0054】
以上、本実施の形態によれば、溶射のみによってシールド層13を形成することで、従来のようなめっきを行う必要がない。したがって、生産性にも優れ、吸水性を有する樹脂をはじめ、めっきが困難であった汎用樹脂を使用することができる。このため、ポリオレフィンやポリブチレンテレフタレートが有する加工性やフレキシブル性などの本来の特性を生かすことが可能である。
【0055】
また、めっき工程を完全になくすことができるため、めっき処理に伴う廃液処理などの必要がない。したがって、製造時における環境負荷も小さい。
【0056】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、図1〜図3に示す構成と同一の機能を果たす構成要素には、図1〜図3と同一の番号を付し、重複した説明を避ける。
【0057】
図6は、第2の実施の形態に用いられる電磁シールド管3aを示す図であり、図6(a)は電磁シールド管3aの部分断面図、図6(b)は電磁シールド管3aの表面近傍の拡大図である。電磁シールド管3aは、電磁シールド管3と略同様の構成であるが、シールド層13の外周に、さらに樹脂被覆層21が形成される点で異なる。
【0058】
樹脂被覆層21は、シールド層13に水分等が付着することを防止するとともに、シールド層13が外部から損傷を受けることを防止する。樹脂被覆層21としては、塩化ビニル樹脂等の樹脂が押出被覆されてもよく、または、樹脂をディッピングや塗装によってコーティングして形成してもよい。
【0059】
第2の実施の形態にかかる電磁シールド管3aによれば、電磁シールド管3と同様の効果を得ることができる。また、シールド層13の外周に樹脂被覆層21が形成されるため、例えば、当該電磁シールド管3aを自動車の車体下等に配置した場合でも、水はねや結露によってシールド層13に水分が付着し、シールド層13が腐食することを防止することができる。また、電磁シールド管3aの取り扱い時にシールド層13が他の部材と接触して損傷することを防止することができる。また、使用時に石はね等があっても、シールド層13が損傷することがない。
【0060】
次に、第3の実施の形態について説明する。図7は、第3の実施の形態に用いられる電磁シールド管3bの表面近傍の拡大図である。電磁シールド管3bは、電磁シールド管3と略同様の構成であるが、シールド層13が複数の溶射金属層によって形成される点で異なる。
【0061】
電磁シールド管3bのシールド層13は、下層に溶射Zn層13aが設けられ、溶射Zn層13aの上層に溶射Cu層13bが複数積層されて構成される。すなわち、シールド層13の厚みは、溶射Zn層13aの厚みCと溶射Zn層の厚みDの和となる。この場合、シールド層13の総厚みが10〜200μmとなることが望ましい。
【0062】
このように、溶射金属層を複数層形成する場合には、上層側の溶射金属層を構成する金属が、下層側の溶射金属層を構成する金属に対して、融点が高く、かつ、導電率が高いことが望ましい。下層側の溶射金属の融点が高すぎると、溶射時に樹脂管体の表面を過剰に損傷する恐れがある。
【0063】
また、上層側の溶射金属が下層側の溶射金属の融点よりも低いと、十分に上層の溶射金属層が下層の溶射金属層に密着しないためである。すなわち、上層側の溶射金属層を下層側の溶射金属層の上に溶射すると、溶射された溶融金属が下層側の溶射金属と衝突して凝固する際に、溶射時に形成される凹凸によるアンカ効果と、両金属層の界面に生じる合金層(拡散層)による一体化の効果によって、確実に両金属層を密着させることができる。
【0064】
また、溶射Zn層13a上に溶射Cu層13bを構成することで、Cuが直接樹脂と接触することが無い。このため、銅害の恐れが無い。ここで、金属がプラスチックに及ぼす元素別の影響度(樹脂の劣化など)は、
Co>Mn>Cu>Fe>V≫Ni>Ti≒Ca≒Ag≒Zn>Al>Mg
であることが知られている。すなわち、樹脂に対して影響の小さいZnやZn−Al合金、AlやMgなどを樹脂管11とCu層との間に入れることにより、Cuによる影響(銅害)を防止することができる。
【0065】
なお、このように複数層の金属層を形成する場合には、下層にはZnやAl、Mg、Snなどを用い、上層には、Cu、Al、Ni、Fe、Au、Agなどを選択することもできる。また、さらに、3層以上に溶射層を形成してもよい。また、さらに、上層側の溶射金属層の上層に、電磁シールド管3aのように樹脂被覆層21を形成してもよい。
【0066】
第3の実施の形態にかかる電磁シールド管3aによれば、電磁シールド管3と同様の効果を得ることができる。また、シールド層13を複数層の溶射金属層で構成することで、各金属層それぞれの特性を生かすことができる。例えば、下層をZn、Al、Mgのうちいずれかの層、上層にCuまたはNi層を形成することで、Zn層等によって、樹脂管との密着性を確保することができる。さらに、上層がCu層の場合には、Zn層等によって、Cuが樹脂と接触することを防ぐことができる。また、Cu層を形成することで、より高いシールド特性を確保することができる。
【実施例】
【0067】
(板サンプルでの溶射前の表面粗さと溶射後の密着強度への影響評価)
表面粗さと溶射密着強度については板サンプルを作成して評価を行った。所定の粗さの板サンプルを準備した。溶射前の表面粗さは、東京精密製のサーフコム1500DXによって測定した。それぞれの粗さの板サンプル部に対して、溶射を実施し、密着強度を評価した。密着強度は、溶射膜にカッターにて10mm幅で切り込みを入れ、引張り代を作り、引張り代を把持して日本電産シンポ製FGS−50TVを使用して測定を行った。ここでの密着強度の合格基準としては、めっきの密着強度を基準とした。めっきの密着強度は1.3Kg・cm以上であることから、本発明においてもめっき材と同等の密着強度を得ることを目標とした。
【0068】
そこで、板サンプルでの表面粗さと密着性の関係を把握するために、各板サンプルにおける溶射膜厚さを40μmとして、板サンプルの表面粗さを、Ra=0.2μm、Ra=0.5μm、Ra=1.0μmの3種類の表面粗さの板材を各5枚用意し、溶射前の板サンプルの表面粗さと密着強度の関係を調査した。Ra=0.2μmの板材では、密着強度が、0.7Kg・cm以上1.0Kg・cm未満の範囲であり、Ra=0.5μmの板材では、密着強度が、1.0以上1.3Kg・cm未満の範囲であり、Ra=1.0μmの板材では、密着強度が、1.3以上1.6Kg・cm未満であった。したがって、めっきの密着強度を1.3Kg・cm以上とするためには、溶射前の表面粗さRaを1.0μm以上とすることでめっきと同等の密着強度を得ることができることがわかった。
【0069】
ここで、本発明における密着強度とは、樹脂管体の表面状態の影響を受けて、密着強度が試験中に一定値を保つのではなく、繰り返して上下に変動するため、本発明においては、その各変動における下限値の平均を密着強度としたものである。ここで、密着強度の測定は、各実施例の樹脂管体5本について密着強度の下限値の平均を求めて、これを密着強度とした。
【0070】
以下、本発明の全ての実施例、比較例においては、密着強度を確保するために、Raが1.0μm以上の樹脂管体を用いた。
【0071】
(電磁シールド管のシールド層の密着強度とシールド性)
次に、各種条件の被検体を用い、シールド性およびシールド層(溶射層)の密着性等を評価した。まず、樹脂管体のそれぞれの材質の樹脂を押出機により成形して、肉厚0.5mm、外径27.5mm、内径22mmの波付管を製造した。
【0072】
波付管の外表面には、あらかじめサンドブラスト処理および洗浄による下地処理を行った。表面粗さ測定はサーフコム1500DX(東京精密製)を使用して測定した。サンドブラスト条件として、使用砥粒は新東工業社製AF80(212〜150μm程度の粒径範囲)、噴射圧力0.2MPa、噴射時間2分、樹脂管体とサンドブラストガンの距離を150mmとして、樹脂管11の表面を粗らした。
【0073】
この結果、表1の樹脂管体の実施例1〜実施例10、比較例1〜比較例5においては、樹脂管体の表面粗さは、Ra2.5μmを目標として、製造したが実施例1〜実施例10では、Raが2.42から2.64μmの範囲に、比較例1から比較例5では、Raが2.45から2.66μmの範囲に調整した材料を得た。この波付管の表面に、それぞれの条件で溶射してシールド層を形成し、シールド層の密着性とシールド特性等を評価した。
【0074】
【表1】

【0075】
表中の樹脂管体の材質の「PP」はポリプロピレン、「PBT」はポリブレンテレフタレート、「PA」は66ナイロンを示す。また、溶射層は、アーク溶射装置(Eutectic Model 8830MHU型)を用いてZnまたはZn−Al合金を溶射した。溶射時の電圧は20V、電流値は60〜100A、圧縮空気圧は60〜80psiで調整し、Zn膜厚が、コルゲートの谷の部分で10〜100μmになるようにした。
【0076】
また、シールド層の厚みは、長さ1.5mの溶射された樹脂管から等間隔に三箇所、波形状一周期分を切り出し、拡大鏡により波形状のそれぞれの部位を観察して、シールド層の最小厚み、最大厚みを測定し平均した。シールド性の評価は、吸収クランプ法で測定した。
【0077】
溶射層密着性は、JIS C8411の可とう性試験に準じて評価し、R100mmで100回の繰り返し曲げ試験を行い、シールド層の剥離を目視で評価した。この可とう性試験において、剥がれが生じなかったものを「○」とし、剥がれが生じたものを「×」とした。
【0078】
また、管体座屈強度は、溶射処理を行う前の樹脂管体に対して、JIS C8411の可とう性試験後の状態を観察し、異常が見られなかったものを「○」、樹脂管体の表面に白化した部分や塑性変形が見られたものを「×」とした。
【0079】
また、管体圧縮強度は、溶射処理を行う前の樹脂管体に対して、JIS C8411の圧縮復元性試験を行い、試験前後の外径差が10%以下のものを「○」、10%を超えるものを「×」とした。
【0080】
表より明らかなように、実施例1〜10は、溶射層密着性、管体座屈強度、管体圧縮強度のいずれにおいても、シールド層の剥離や、樹脂管体の変形等が確認されず、シールド層の密着性、樹脂管体の可撓性および強度にも優れることが分かる。また、いずれもシールド特性も、0.1MHz〜100MHzの電磁界に対して、十分満足しうる値であった。なお、図8、図9は、一例として実施例4、実施例6のシールド特性の評価結果を示す。
【0081】
すなわち、本発明によれば、シールド層の高いシールド性と密着性を両立するとともに、樹脂管体の強度(可撓性)も確保することができることが分かる。
【0082】
なお、表中への詳細な記述は省くが、実施例6、9、10において、上層溶射層をCuに代えてNiとした他は、樹脂管体の材料、山部角度、下層溶射層の種類、上層溶射挿抜性の層厚さ、溶射により形成したシールド層の全体厚さに対する最大膜厚(最大厚さ)と最小膜厚(最小厚さ)などを同様に設定した電磁シールド管を作成し、これら電磁シールド管を順に実施例11、12、13とすると、これらも、実施例6、9、10と同様の効果を得ることができた。尚、ここで、実施例11、12、13に用いた管体樹脂の表面粗さは、Raがそれぞれ2.42、2.76、2.47μmであり、密着強度には問題が無かった。
【0083】
一方、比較例1は、シールド層密着性評価において、樹脂管体の繰り返し曲げによりシールド層に剥離が生じた。これは、比較例1では樹脂管の山部角度が下限を下回っているため、特に山部側面へのシールド層の溶射が困難となり、この結果、シールド層の最小厚に対する最大厚が1:31と厚さの差が大きくなったためである。
【0084】
また、比較例2は、管体座屈強度および管体圧縮強度において、管体の白化および変形が確認された。これは、比較例2では樹脂管の山部角度が上限を超えているため、樹脂管体自体の可撓性および強度が弱くなったためである。
【0085】
また、比較例3は、シールド層密着性評価において、樹脂管体の折り曲げによりシールド層に剥離が生じた。これは、比較例3ではシールド層の総厚が薄く、このため、シールド層の強度が弱かったためである。
【0086】
また、比較例4は、シールド層密着性評価において、樹脂管体の折り曲げによりシールド層に剥離が生じた。これは、比較例4ではシールド層の総厚が厚すぎるため、シールド層が剥離したためである。
【0087】
また、比較例5は、シールド層密着性評価において、樹脂管体の折り曲げによりシールド層に剥離が生じた。これは、比較例5ではシールド層の最小厚に対する最大厚の比率が8.1と大きいため、シールド層全体の強度が不均一となり、樹脂管体の曲げ時にシールド層に割れが発生したためである。
【0088】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0089】
1………シールドケーブル
3、3a、3b………電磁シールド管
7………端子
9………電線
11………樹脂管
13………シールド層
13a………溶射Zn層
13b………溶射Cu層
15………溶射機
17a………陽極側線材
17b………陰側線材層
19………溶融金属
21………樹脂被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する樹脂管体と、
前記樹脂管体の外周に形成されるシールド層と、
を具備し、
前記樹脂管体の溶射を行う前の外表面の表面粗さRaが1.0μm以上であり、
さらに、前記シールド層は、前記樹脂管体の外表面に溶射によって形成される少なくともZn、Al、Mg、Cu、Niの少なくとも何れかを含む金属層または合金層を有することを特徴とする電磁シールド管。
【請求項2】
前記シールド層は、2層以上の異なる金属層が溶射によって形成され、上層側の金属層は、下層側の金属層に対して、融点と導電率が高いことを特徴とする請求項1に記載の電磁シールド管。
【請求項3】
前記上層側の金属層と前記下層側の金属層との界面には両金属層による合金層が形成されることを特徴とする請求項2に記載の電磁シールド管。
【請求項4】
前記シールド層は、2層以上の異なる金属層が溶射によって形成され、最下層の金属層はZn、Al、Mgのうちいずれかの層であり、上層側の金属層がCuまたはNi層であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電磁シールド管。
【請求項5】
前記樹脂管体は、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ナイロンのいずれかで構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電磁シールド管。
【請求項6】
前記樹脂管体は波付管であり、前記波付管の山部の傾斜角度が5〜45°であり、前記シールド層は10〜200μmであり、前記シールド層の断面位置によりシールド層の厚さが相異しており、シールド層の最小厚みに対する最大厚みの比が1:6以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電磁シールド管。
【請求項7】
前記シールド層の外周側に、樹脂被覆層が形成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の電磁シールド管。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の電磁シールド管を用い、前記電磁シールド管の内部に電線が挿通され、前記電磁シールド管の両端には前記電線と接続される端子部が設けられることを特徴とするシールドケーブル。
【請求項9】
可撓性を有し、溶射を行う前の表面粗さがRaで1.0μm以上である樹脂管体の外表面に溶射によって少なくともZn、Al、Mgのいずれかを含む層を形成し、
溶射Zn、Al、またはMg層の外表面に、溶射によってCuまたはNiのいずれかの層を形成し、溶射CuまたはNiのいずれかの層の外周側に、樹脂被覆層を形成することを特徴とする電磁シールド管の製造方法。
【請求項10】
溶射前の樹脂管体の粗さをRaで1.0μm以上とするために、前記樹脂管体の外表面に粗面化処理を施すことを特徴とする請求項9記載の電磁シールド管の製造方法。
【請求項11】
シールドケーブルに用いられる電磁シールド管用素材であって、
可撓性を有する波付管からなり、
前記波付管の山部の傾斜角度が5〜45°であり、
前記波付管は、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ナイロンのいずれかで構成され、
前記波付管の表面の表面粗さRaが1.0μm以上であることを特徴とする電磁シールド管用素材。
【請求項12】
請求項11に記載の電磁シールド管用素材に溶射を行って、溶射層の密着性として密着強度の下限値の平均値を1.3Kg・cm以上とすることを特徴とする電磁シールド管の密着性向上方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−21311(P2013−21311A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134175(P2012−134175)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】