説明

電磁弁

【課題】 長時間にわたって気中で作動しても作動油によるスプール弁およびプランジャへのダンピング効果を維持し、自励振動を抑制できる電磁弁を提供する。
【解決手段】 スリーブ19の外周面にばね室56と対応する部分に油たまり環状溝66を刻設し、油たまり環状溝66の上部を嵌合穴61外部に連通するドレン通路68を形成し、油たまり環状溝66とばね室56とを連通する絞り孔67を油たまり環状溝66の下部に設けた。油たまり環状溝66は、上部がドレン通路68によって嵌合穴61外部と連通していることから、作動油を油たまり環状溝66の上部まで貯めることができ、絞り孔67で連通したばね室56に作動油を保留しておくことができる。また、隣接するフィードバックポート48からスプール弁20と弁孔18との間のクリアランスを通ってばね室内56には作動油が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コイルに供給される電流に応じたプランジャの軸動によってスプール弁を作動させるようにした電磁弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リニアソレノイドのコイルに通電されると磁気吸引力によりプランジャが移動され、このプランジャの移動によりスプール弁が弁孔内で移動されて弁孔に開口する各ポート間の流路面積を制御する電磁弁では、プランジャの移動によりプランジャ後端面が露出する後端室の容積が変化する。この容積変化にともなって作動油が後端室に出入力可能なように呼吸通路を設けることが特許文献1に記載されている。即ち、特許文献1に記載の電磁弁では、収容部13、磁気抵抗部15、吸引部14が順次形成された固定コア12にプランジャ17が摺動可能に嵌合され、固定コア12の外周面とヨーク11の内周面との間に形成された環状空間にコイル20が収納されてリニアソレノイド10が構成され、ヨーク11の前端にはスプール制御弁40の弁ハウジング(スリーブ)41が固定されている。弁ハウジング41には、スプール50が摺動可能に嵌合され、ばね力によりプランジャ17に当接されている。ヨーク11の後端にはカバー30が固定され、プランジャ17の後端面が露出する空間100を覆っている。リニアソレノイド10のコイル20に通電されて磁気吸引によりプランジャ17が移動されると、空間100の容積が変化する。この容積変化に応じて作動油が空間100に出入りする呼吸通路101がカバー30に形成されている。
【特許文献1】特開2002−310332号公報(第3ページ、図1、図2)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この特許文献1に記載されるような電磁弁においては、空間100に作動油を流出入させ、プランジャ17の移動による容積変化を吸収する作用とは別に、空間100に保留された作動油により、プランジャ17の動きに対するダンピング効果を付与している。コイル20のオン・オフ時のように、電磁弁を過渡的に作動させた場合、プランジャ17およびスプール50が急激に移動し、この急激な動作に伴うサージ圧により、プランジャ17およびスプール50に自励振動が発生する。この自励振動は、空間100に保留された作動油によるプランジャ17の動きに対するダンピング効果により抑制される。
【0004】
特許文献1に記載される電磁弁は、車両の電子制御式自動変速機の作動油が貯溜されるオイルパンなどの内部でプランジャ17の軸線が水平になるように横向きで使用されることが一般的である。
【0005】
しかしながら、車両の運転状態によっては、オイルパン内部の作動油の油面が電磁弁より低下することがある。このような場合、電磁弁は気中で長時間作動することとなる。このため、特許文献1のような構成の電磁弁では、呼吸通路101から作動油が排出されてしまい、空間100内の作動油は、外部から供給されず、作動油によるプランジャ17の動きに対するダンピング効果が期待できないことから、電磁弁に自励振動が発生する虞れがあった。
【0006】
本発明は、長時間にわたって気中で作動しても作動油によるスプール弁およびプランジャへのダンピング効果を維持し、自励振動を抑制できる電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、コイルに供給される電流に応じてプランジャが軸動吸引されるソレノイド部と、ソレノイド部に接合されプランジャと同軸線上に弁孔が穿設されたスリーブと、弁孔に摺動可能に嵌合され該弁孔の底部に形成されたばね室に収納されたスプリングのばね力によりプランジャに当接され、プランジャとともに移動して弁孔に開口する供給ポート、出力ポート、およびメインドレンポートの流路面積を制御するスプール弁と、スリーブの軸線が略水平になるようにスリーブが嵌合する嵌合穴が貫通して穿設されたバルブボディとを備え、出力ポートから出力される制御圧をスプールに形成した面積差を有するフィードバックランド部に導くフィードバックポートをばね室に隣接して弁穴に開口し、コイルへの通電によりプランジャが軸動吸引されてスプール弁が移動されると供給ポートと出力ポートとの流路面積が漸増するとともに、出力ポートとメインドレンポートとの流路面積が漸減するノーマルクローズタイプの電磁弁において、フィードバックポートとバルブボディの嵌合穴のばね室側開口端との間で、スリーブの外周面にばね室と対応する部分に油たまり環状溝を刻設し、油たまり環状溝の上部を嵌合穴外部に連通するドレン通路をスリーブの外周面に油たまり環状溝からスリーブ端に向かって形成し、油たまり環状溝とばね室とを連通する呼吸通路を油たまり環状溝の下部に設けたことである。
【0008】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、メインドレンポートと油たまり室とを連通する連通溝をスリーブの外周面に刻設したことである。
【0009】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、コイルに供給される電流に応じてプランジャが軸動吸引されるソレノイド部と、ソレノイド部に接合されプランジャと同軸線上に弁孔が穿設されたスリーブと、弁孔に摺動可能に嵌合され弁孔の底部に形成されたばね室に収納されたスプリングのばね力によりプランジャに当接され、プランジャとともに移動して弁孔に開口する供給ポート、出力ポート、およびメインドレンポートの流路面積を制御するスプール弁と、スリーブの軸線が略水平になるようにスリーブが嵌合する嵌合穴が貫通して穿設されたバルブボディとを備え、メインドレンポートをばね室に隣接して弁孔に開口し、コイルへの通電によりプランジャが軸動吸引されてスプール弁が移動されると供給ポートと出力ポートとの流路面積が漸減するとともに、出力ポートとメインドレンポートとの流路面積が漸増するノーマルオープンタイプの電磁弁において、メインドレンポートとバルブボディの嵌合穴のばね室側開口端との間で、スリーブの外周面にばね室と対応する部分に油たまり環状溝を刻設し、油たまり環状溝の上部を嵌合穴外部に連通するドレン通路をスリーブの外周面に油たまり環状溝からスリーブ端に向かって形成し、油たまり環状溝とばね室とを連通する呼吸通路を該油たまり環状溝の下部に設け、油たまり環状溝の下部とメインドレン通路を連通する導入通路を形成したことである。
【0010】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、コイルに供給される電流に応じてプランジャが軸動吸引されるソレノイド部と、ソレノイド部に接合されプランジャと同軸線上に弁孔が穿設されたスリーブと、弁孔に摺動可能に嵌合され弁孔の底部に形成されたばね室に収納されたスプリングのばね力によりプランジャに当接され、プランジャとともに移動して弁孔に開口する供給ポート、出力ポート、およびメインドレンポートの流路面積を制御するスプール弁と、スリーブの軸線が略水平になるようにスリーブが嵌合する嵌合穴が貫通して穿設されたバルブボディとを備え、メインドレンポートをばね室に隣接して弁孔に開口し、コイルへの通電によりプランジャが軸動吸引されてスプール弁が移動されると供給ポートと出力ポートとの流路面積が漸減するとともに、出力ポートとメインドレンポートとの流路面積が漸増するノーマルオープンタイプの電磁弁において、メインドレンポートとバルブボディの嵌合穴のばね室側開口端との間で、スリーブの外周面にばね室と対応する部分に油たまり環状溝を刻設し、油たまり環状溝の上部を嵌合穴外部に連通するドレン通路をスリーブの外周面に油たまり環状溝からスリーブ端に向かって形成し、油たまり環状溝とばね室とを連通する呼吸通路を該油たまり環状溝の下部に設け、メインドレンポートをばね室に連通する連通溝をスリーブの外周面に刻設したことである。
【0011】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、コイルに供給される電流に応じてプランジャが軸動吸引されるソレノイド部と、ソレノイド部に接合されプランジャと同軸線上に弁孔が穿設されたスリーブと、弁孔に摺動可能に嵌合され弁孔の底部に形成されたばね室に収納されたスプリングのばね力によりプランジャに当接され、該プランジャとともに移動して弁孔に開口する供給ポート、出力ポート、およびメインドレンポートの流路面積を制御するスプール弁と、スリーブの軸線が略水平になるようにスリーブが嵌合する嵌合穴が貫通して穿設されたバルブボディを備え、メインドレンポートをばね室に隣接して弁孔に開口し、出力ポートから出力される制御圧をスプールに形成した面積差を有するフィードバックランド部に導くフィードバックポートを弁孔のソレノイド部と供給ポートとの間に開口し、フィードバックポートとソレノイド部との間でサブドレンポートを弁孔に開口し、コイルへの通電によりプランジャが軸動吸引されてスプール弁が移動されると供給ポートと出力ポートとの流路面積が漸減するとともに、出力ポートとメインドレンポートとの流路面積が漸増するノーマルオープンタイプの電磁弁において、メインドレンポートとバルブボディの嵌合穴のばね室側開口端との間で、スリーブの外周面にばね室と対応する部分に油たまり環状溝を刻設し、油たまり環状溝の上部を嵌合穴外部に連通するドレン通路をスリーブの外周面に油たまり環状溝からスリーブ端に向かって形成し、油たまり環状溝とばね室とを連通する呼吸通路を油たまり環状溝の下部に設け、サブドレンポートと油たまり環状溝とを連通する連通溝をスリーブの外周面に刻設したことである。
【0012】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、コイルに供給される電流に応じてプランジャが軸動吸引されるソレノイド部と、ソレノイド部に接合されプランジャと同軸線上に弁孔が穿設されたスリーブと、弁孔に摺動可能に嵌合され弁孔の底部に形成されたばね室に収納されたスプリングのばね力によりプランジャに当接され、プランジャとともに移動して弁孔に開口する供給ポート、出力ポート、およびメインドレンポートの流路面積を制御するスプール弁と、スリーブの軸線が略水平になるようにスリーブが嵌合する嵌合穴が貫通して穿設されたバルブボディをと備え、メインドレンポートをばね室に隣接して弁孔に開口し、出力ポートから出力される制御圧をスプールに形成した面積差を有するフィードバックランド部に導くフィードバックポートを弁孔のソレノイド部と供給ポートとの間に開口し、フィードバックポートとソレノイド部との間でサブドレンポートを弁孔に開口し、コイルへの通電によりプランジャが軸動吸引されてスプール弁が移動されると供給ポートと出力ポートとの流路面積が漸減するとともに、出力ポートとメインドレンポートとの流路面積が漸増するノーマルオープンタイプの電磁弁において、メインドレンポートとバルブボディの嵌合穴のばね室側開口端との間で、スリーブの外周面にばね室と対応する部分に油たまり環状溝を刻設し、油たまり環状溝の上部を嵌合穴外部に連通するドレン通路をスリーブの外周面に油たまり環状溝からスリーブ端に向かって形成し、油たまり環状溝とばね室とを連通する呼吸通路を油たまり環状溝の下部に設け、サブドレンポートをばね室に連通する連通溝をスリーブの外周面に刻設したことである。
【0013】
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、コイルに供給される電流に応じてプランジャが軸動吸引されるソレノイド部と、ソレノイド部に接合されプランジャと同軸線上に弁孔が穿設されたスリーブと、弁孔に摺動可能に嵌合され弁孔の底部に形成されたばね室に収納されたスプリングのばね力によりプランジャに当接され、プランジャとともに移動して弁孔に開口する供給ポート、出力ポート、およびメインドレンポートの流路面積を制御するスプール弁と、スリーブの軸線が略水平になるようにスリーブが嵌合する嵌合穴が貫通して穿設されたバルブボディとを備え、メインドレンポートをばね室に隣接して弁孔に開口し、出力ポートから出力される制御圧をスプールに形成した面積差を有するフィードバックランド部に導くフィードバックポートを弁孔のソレノイド部と供給ポートとの間に開口し、フィードバックポートとソレノイド部との間でサブドレンポートを弁孔に開口し、コイルへの通電によりプランジャが軸動吸引されてスプール弁が移動されると供給ポートと出力ポートとの流路面積が漸減するとともに、出力ポートとメインドレンポートとの流路面積が漸増するノーマルオープンタイプの電磁弁において、フィードバックポートとバルブボディの嵌合穴のソレノイド部側端との間で、前記スリーブの外周面に前記サブドレンポートと対応する部分に油たまり環状溝を刻設し、バルブボディに前記油たまり環状溝の上部と連通するとともに嵌合穴外部に連通するサブドレン通路を形成し、油たまり環状溝と前記サブドレンポートとを連通する呼吸通路を油たまり環状溝の下部に設けたことである。
【0014】
請求項8に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至7のいずれか1項において、呼吸通路を絞り抵抗を有する絞り孔としたことである。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、油たまり環状溝は、上部がドレン通路によって嵌合穴外部と連通していることから、作動油を油たまり環状溝の上部まで貯めることができ、呼吸通路で連通したばね室に作動油を保留しておくことができる。このため、出力ポートの制御圧を制御するためにコイルに通電され、プランジャが電磁力に応じて軸動吸引されることにより、スプール弁がスプリングのばね力に抗してプランジャとともに移動されるとき、スプール弁は、ばね室に保留された作動油のダンピング効果により自励振動することが防止される。
【0016】
出力ポートの制御圧を高く維持するためにコイルに最大制御電流が通電されプランジャ延いてはスプール弁が一端に停止された状態が長時間継続した場合、出力ポートからフィードバックポートに供給された最高制御圧力の作動油がスプール弁と弁孔との間のクリアランスを通ってばね室内に流入し、ばね室から呼吸通路を介して油たまり環状溝に供給されドレン通路から嵌合穴外部に排出される。また、出力ポートの制御圧を低く維持するためにコイルに最小制御電流が通電されスプール弁が他端に停止した状態が長時間継続した場合も、フィードバックポートに供給された最低制御圧力の作動油がスプール弁と弁孔との間を通ってばね室内に流入する。従って、スプール弁が初期状態に停止されて電磁弁が気中に配置される状態が長時間継続しても、ばね室に作動油を継続して供給し保留しておくことができるので、スプール弁が停止状態から移動されたときに、ばね室内の作動油によるダンピング効果によって自励振動の発生を防止できる。
【0017】
上記のように構成した請求項2に係る発明によれば、コイルに最大制御電流が通電されるときは、フィードバックポート内に作用する制御圧によってスプール弁と弁孔との間のクリアランスからばね室内に作動油が供給され、ばね室から呼吸通路を介して油たまり環状溝に供給される。コイルに最小制御電流が通電されるときは、フィードバックポートの制御圧が低くなり、フィードバックポートからばね室に作動油が殆ど流入しなくなっても、メインドレンポートと連通する連通溝から作動油が油たまり環状溝に供給される。従って、油たまり環状溝に常時作動油を供給してばね室に作動油を保留しておくことができる。
【0018】
上記のように構成した請求項3に係る発明によれば、出力ポートの制御圧を低く維持するためにコイルに最大制御電流が通電されスプール弁が一端に停止された状態が長時間継続した場合、メインドレンポートに排出された作動油が導入通路から油たまり環状溝に流入し、呼吸通路を介してばね室に供給されるとともに、ドレン通路から嵌合穴外部に排出される。また、出力ポートの制御圧を高く維持するためにコイルに最小制御電流が通電されスプール弁が他端に停止した状態が長時間継続した場合、メインドレンポートに排出される作動油が減少しても導入通路の絞り抵抗により、油たまり環状溝からメインドレンポートに作動油が流出することなく、僅かながら作動油がメインドレンポートから油たまり環状溝に流入し、呼吸通路を介してばね室に供給される。従って、スプール弁が初期状態に停止されて電磁弁が気中に配置される状態が長時間継続しても、ばね室に作動油を継続して供給し保留しておくことができるので、スプール弁が停止状態から移動されたときに、ばね室内の作動油のダンピング効果によって自励振動の発生を防止できる。
【0019】
上記のように構成した請求項4に係る発明によれば、出力ポートの制御圧を低く維持するためにコイルに最大制御電流が通電されスプール弁が一端に停止された状態が長時間継続した場合、メインドレンポートに排出された作動油が連通溝からばね室に流入し、呼吸通路を介して油たまり環状溝に供給され、ドレン通路から嵌合穴外部に排出される。また、出力ポートの制御圧を高く維持するためにコイルに最小制御電流が通電されスプール弁が他端に停止した状態が長時間継続した場合においても、メインドレンポートに排出される作動油が連通溝からばね室に流入し、呼吸通路を介して油たまり環状溝に供給される。従って、スプール弁が初期状態に停止されて電磁弁が気中に配置される状態が長時間継続しても、ばね室に作動油を継続して供給し保留しておくことができる 上記のように構成した請求項5に係る発明によれば、出力ポートの制御圧を低く維持するためにコイルに最大制御電流が通電されスプール弁が一端に停止された状態が長時間継続した場合、フィードバックポートに供給された最低制御圧力の作動油がスプール弁と弁孔との間のクリアランスを通ってサブドレンポートに流入し、サブドレインポートと油たまり環状溝を連通する連通溝から作動油が油たまり環状溝のに流入し、呼吸通路を介してばね室に供給される。また、出力ポートの制御圧を高く維持するためにコイルに最小制御電流が通電されスプール弁が他端に停止した状態が長時間継続した場合、出力ポートからフィードバックポートに供給された最高制御圧力の作動油がスプール弁と弁孔との間のクリアランスを通ってサブドレンポートに流入し、サブドレインポートと油たまり環状溝を連通する連通溝から作動油が油たまり環状溝に流入し、呼吸通路を介してばね室に供給される。従って、スプール弁が初期状態に停止されて電磁弁が気中に配置される状態が長時間継続しても、ばね室に作動油を継続して供給し保留しておくことができる。
【0020】
上記のように構成した請求項6に係る発明によれば、出力ポートの制御圧を低く維持するためにコイルに最大制御電流が通電されスプール弁が一端に停止された状態が長時間継続した場合、フィードバックポートに供給された最低制御圧力の作動油がスプール弁と弁孔との間のクリアランスを通ってサブドレンポートに流入し、サブドレインポートとばね室を連通する連通溝から作動油がばね室に流入し、呼吸通路を介して油たまり環状溝に供給される。また、出力ポートの制御圧を高く維持するためにコイルに最小制御電流が通電されスプール弁が他端に停止した状態が長時間継続した場合、出力ポートからフィードバックポートに供給された最高制御圧力の作動油がスプール弁と弁孔との間のクリアランスを通ってサブドレンポートに流入し、サブドレインポートとばね室を連通する連通溝から作動油がばね室に流入し、呼吸通路を介して油たまり環状溝に供給される。従って、スプール弁が初期状態に停止されて電磁弁が気中に配置される状態が長時間継続しても、ばね室に作動油を継続して供給し保留しておくことができる。
【0021】
上記のように構成した請求項7に係る発明によれば、油たまり環状溝は、上部がサブドレン通路に連通していることから、作動油を油たまり環状溝の上部まで貯めることができ、サブドレンポートに作動油を保留しておくことができる。このため、出力ポートの制御圧を制御するためにコイルに通電され、プランジャが電磁力に応じて軸動吸引されることにより、スプール弁がスプリングのばね力に抗してプランジャとともに移動されるとき、スプール弁は、サブドレンポートに保留された作動油のダンピング効果により自励振動することを防止される。
【0022】
出力ポートの制御圧を低く維持するためにコイルに最大制御電流が通電されプランジャ延いてはスプール弁が一端に停止された状態が長時間継続した場合、フィードバックポートに供給された最低制御圧力の作動油がスプール弁と弁孔との間のクリアランスを通ってサブドレンポートに流入し、呼吸通路を介して油たまり環状溝に供給され、油たまり環状溝の上部からドレン通路を介して外部に排出される。また、出力ポートの制御圧を高く維持するためにコイルに最小制御電流が通電されスプール弁が他端に停止した状態が長時間継続した場合、出力ポートと連通するフィードバック通路を介してフィードバックポートに供給された最高制御圧力の作動油がスプール弁と弁孔との間のクリアランスを通ってサブドレンポートに流入し、呼吸通路を介して油たまり環状溝に供給される。従って、スプール弁が初期状態に停止されて電磁弁が気中に配置される状態が長時間継続しても、サブドレンポートに作動油を継続して保留しておくことができる。
【0023】
上記のように構成した請求項8に係る発明によれば、呼吸通路を絞り抵抗を有する絞り孔としたことで、出力ポートの制御圧を制御するためにコイルに通電され、プランジャが電磁力に応じて軸動吸引されることにより、スプール弁がスプリングのばね力に抗してプランジャとともに移動されるとき、ばね室またはサブドレンポートに保留された作動油がスプール弁の移動とともに油たまり環状溝との間で移動する速度を遅くして適切なダンピング効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、請求項1の発明に係る第1の実施の形態の電磁弁10を図1に基づいて説明する。電磁弁10は、主として、ソレノイド部11と、ソレノイド部11に結合されたスプール制御弁12とによって構成されている。ソレノイド部11は、同軸線上に直列に配置されたヨーク13およびコア14と、コイル29を樹脂部で被服したコイル体15と、コイル体15の外周面に嵌合するとともにヨーク13およびコア14とともにソレノイドの固定子を構成するカバー16と、ヨーク13の貫通穴21に密嵌合して電磁力により移動されるプランジャ17等を備えている。スプール制御弁12は、コア14に接合され弁孔18が穿設されたスリーブ19と、弁孔18に摺動可能に嵌合されて弁孔18の底部に形成されたばね室56に収納されたスプリング32のばね力によりプランジャ17に当接され、プランジャ17とともに移動して弁孔18に開口する供給ポート55、制御圧を出力する出力ポート51、およびメインドレンポート54の流路面積を制御するスプール弁20等を備えている。
【0025】
ヨーク13およびコア14には、貫通孔21,22、円筒部23,24およびフランジ部25、26がそれぞれ形成され、円筒部23、24に非磁性体からなる円筒体27が嵌合されることにより、ヨーク13およびコア14が同軸線上に直列に配置され、フランジ部25、26の内端面に円筒体27の両端が当接して円筒部23、24の対向する端面間に空隙28が磁気抵抗部として形成されている。ヨーク13およびコア14の円筒部23,24には、コイル29を樹脂30で被覆したコイル体15が円筒体27を介して嵌合され、コイル体15の両端面に僅かな隙間を持って対向している。磁性体で形成された有底円筒状のカバー16が、コイル15の樹脂で形成された外周面33に円筒状内周面で嵌合するとともに、ヨーク13のフランジ部21の外端面と当接して、コア14、ヨーク13、プランジャ17とともにコイル体15を取り巻く磁気回路を形成している。
【0026】
プランジャ17の後端面とカバー16の底面の間には後端室35が形成されている。この後端室35はカバー16に形成された連通孔37から外部に連通している。
【0027】
コア14のフランジ部24の外端面とスリーブ19の後端面とを接合させた状態で、カバー16の開口端部がスリーブ19のフランジ部24にカシメにより結合されることにより、コア14とスリーブ19延いてはソレノイド部11とスプール制御弁12とが結合される。
【0028】
カバー16内に収納されたヨーク13とコア14とは、円筒体27により空隙28を確保してカバー16の底部とスリーブ19のフランジ部との間で軸方向に固定されている。
【0029】
スリーブ19は、バルブボディ60に形成された水平方向に穿設された嵌合穴61に嵌合されている。バルブボディ60は図略の電子制御式自動変速装置のオイルパン内に収納され、嵌合穴61はバルブボディ60を貫通する開口穴とされている。
【0030】
スリーブ19には、径の異なる第1弁孔41と第2弁孔42とを備えた弁孔18がコア14の貫通孔22と同軸線上に形成されている。弁孔18に摺動可能に嵌合されたスプール弁20には、第1弁孔41より大径の第2弁孔42に嵌合する第1および第2ランド部43、44が設けられている。スプール弁20には第1弁孔41と嵌合する段差部46が形成され、この段差部46に対応して弁孔18には環状溝47が刻設されている。環状溝47にはフィードバックポート48が開口している。第1ランド部43と第2ランド部44は、軸線方向に所定距離へだてて形成され、第1および第2ランド部43,44の間には小径部49が設けられている。第2弁孔42には、小径部49に対応して環状溝(出力室)50が刻設され、環状溝50に制御圧を出力する出力ポート51が開口されている。出力ポート51は、バルブボディ60に形成された出力通路62に連通されている。出力通路62は、図略のクラッチ室に連通するとともに、バルブボディ60に形成されたフィードバック通路63を介してフィードバックポート48に連通されている。第2弁孔42には、第1および第2ランド部43、44の小径部49側の各端部に対応して環状溝52,53が刻設され、環状溝52,53にはメインドレンポート54および供給ポート55が開口されている。メインドレンポート54はバルブボディ60に形成されたメインドレン通路64を介して図略のドレンタンクに連通し、供給ポート55には、バルブボディ60に形成された供給通路65を介して作動油が供給される。
【0031】
弁孔18にはばね室56が第2弁孔42に続いて設けられ、ばね室56の開口端に螺合されたプラグ57とスプール弁20の端面との間にスプリング32が介在されている。スプール弁20はスプリング32のばね力によりプランジャ17に向かって付勢され、スプール弁20の第2ランド部44から突出されたロッド部58でプランジャ17に当接し、プランジャ17とともに移動する。
【0032】
ヨーク13の貫通穴21に摺動可能に密嵌合されたプランジャ17の前端面とスプール弁20の第1ランド部43との間にはコア14の貫通穴22を含めて中間室59が形成され、ロッド部58は中間室59を通ってプランジャ17と当接されている。
【0033】
スリーブ19のばね室56の外周には、フィードバックポート48に隣接して油たまり環状溝66が刻設されている。この油たまり環状溝66とばね室56は、図2および図3に示すようにばね室56の下部と油たまり環状溝66の下部が絞り孔(呼吸通路)67を介して連通され、油たまり環状溝66上部の嵌合穴61の開口端側に突設する壁面には、嵌合穴61の外部に連通するドレン通路68が開口されている。これによって油たまり環状溝66にはドレン通路68の開口された高さまで作動油を貯蔵することができ、この油たまり環状溝66に作動油が貯められている状態では、ばね室56は作動油が充満することになる。絞り孔(呼吸通路)67は、ばね室56の下部と油たまり環状溝66の下部とを絞り抵抗を有して連通され、ばね室56に保留された作動油がスプール弁20の移動とともに油たまり環状溝66との間で移動する速度を調整している。すなわち、出力ポート51の制御圧を制御するためにコイル29に通電され、プランジャ17が電磁力に応じて軸動吸引されることにより、スプール弁20がスプリング32のばね力に抗してプランジャ17とともに移動されるとき、スプール弁20に作用する作動油のダンピング効果を調整している。なお、この絞り孔67の口径は、作動油の粘性とスプール弁20に付与するダンピング効果との関係に基づいて適宜設定される。
【0034】
以上のような構成で、上記第1の実施形態の作動について説明する。コイル29が非通電状態においては、プランジャ17およびスプール弁20はプランジャ17がカバー16の底面に当接するまでスプリング32のばね力により押圧されている。このとき、供給ポート55は第1ランド部43によって閉止され、出力ポート51は供給ポート55との連通を遮断され、メインドレンポート54と連通して制御圧=0とされる。出力ポート51が制御圧=0のためフィードバックポート48も同様に制御圧=0である。
【0035】
このとき、油たまり環状溝66は、上部がドレン通路68によって嵌合穴61外部と連通していることから、作動油を油たまり環状溝66の上部まで貯めることができ、絞り孔67で連通したばね室56に作動油が保留されている。なお、コイル29が非通電状態においては、プランジャ17およびスプール弁20はプランジャ17が移動せず自励振動も発生しない。
【0036】
次に、電子式自動変速機の制御が開始され、コイル29に最小制御電流が通電されると、プランジャ17がコア14に吸引されてスプール弁20がスプリング32のばね力に抗して移動されることにより、第1ランド部43が環状溝52と協働して供給ポート55と出力ポート51との間の流路面積を漸増し、第2ランド部44が環状溝53と協働して出力ポート51とメインドレンポート54との間の流路面積を漸減する。これにより、出力ポート51から最低制御圧の作動油が出力通路62に供給されるとともに、フィードバック通路63を介してフィードバックポート48にも供給される。フィードバックポート48に供給された最低制御圧の作動油は、環状溝47に導入され段差46に作用して、第1ランド部43と段部46の面積差を乗じたフィードバック力をスプリング32のばね力と同方向にスプール弁20に作用させる。スプリング32のばね力に、このフィードバック力を加算した力が、コイル29に通電される電流値に応じてコア14がプランジャ17を吸引する吸引力とバランスする位置にスプール弁20が保持されることにより、制御圧はコイル29に通電される制御電流の増加に応じて増大するように制御される。
【0037】
最低制御圧の作動油が環状溝47に導入されたとき、最低制御圧力の作動油がスプール弁20と弁孔18との間のクリアランスを通ってばね室56内に流入する。このばね室56に流入した作動油は絞り孔67を介して油たまり環状溝に供給され、油たまり環状溝66からドレン通路68を介して余剰の作動油は外部に放出される。
【0038】
そして、コイル29に通電される電流値の増大とともに作動油の制御圧が上昇し、この制御圧の上昇とともにドレインポート48からスプール弁20と弁孔18との間のクリアランスを通ってばね室56内に流入する作動油の流量も増大し、絞り孔67を介して油たまり環状溝66に供給される。
【0039】
これにより、出力ポート51の制御圧を高く維持するためにコイル29に最大制御電流が通電されプランジャ17延いてはスプール弁20が一端に停止された状態が長時間継続した場合、出力ポート51と連通するフィードバック通路63を介してフィードバックポート48に供給された最高制御圧力の作動油がスプール弁20と弁孔18との間のクリアランスを通ってばね室56内に流入され、ばね室56から絞り孔67を介して油たまり環状溝66に供給されドレン通路68から嵌合穴61外部に排出される。また、出力ポート51の制御圧を低く維持するためにコイル29に最小制御電流が通電されスプール弁が他端に停止した状態が長時間継続した場合も、フィードバックポート48に供給された最低制御圧力の作動油がスプール弁20と弁孔18との間を通ってばね室56内に流入される。従って、スプール弁20が初期状態に停止されて電磁弁10が気中に配置される状態が長時間継続しても、ばね室56に作動油を継続して供給し保留しておくことができるので、スプール弁20が停止状態から移動されたときに、ばね室56内の作動油のダンピング効果によって自励振動の発生を防止できる。
【0040】
次に請求項2の発明に係る第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、図1に示す第1の実施の形態における電磁弁10に対してメインドレンポート54と油たまり環状溝66とを連通したことに特徴がある。具体的には、図4に示すようにメインドレンポート54と油たまり環状溝66とを連通する連通溝69がスリーブ19の外周に刻設されている。
【0041】
メインドレンポート54は、図1に示すように、コイル29への最小制御電流の通電時には環状溝50を介して供給ポート51と連通し、コイル29への制御電流の増大とともに第2ランド部44が環状溝53と協働して出力ポート51とメインドレンポート54との間の流路面積を漸減される。このためメインドレンポート54においては、最小制御電流の通電時に作動油が大量に流入し、メインドレン通路64から排出され、連通溝69を介して油たまり環状溝66に作動油が供給される。制御電流の増大とともにメインドレンポート54への作動油の流入は減少し、連通溝69を介して油たまり環状溝66に供給される作動油も減少する。これに対し、フィードバックポート48からは、制御電流の増大とともにスプール弁20と弁孔18との間のクリアランスを通ってばね室56内に流入する作動油の流量も増大し、絞り孔67を介して油たまり環状溝66に供給される。このため、コイル29へ最大制御電流を通電時は、フィードバックポート54内に作用する制御圧によってスプール弁20と弁孔18との間のクリアランスからばね室56内に作動油が供給され、ばね室56から絞り孔67を介して油たまり環状溝66に供給される。また、コイル29へ最小制御電流通電時は、フィードバックポート48の制御圧が低くなり、フィードバックポート48からばね室56に作動油が殆ど流入しなくなっても、メインドレンポート54と連通する連通溝69から作動油が油たまり環状溝66に供給される。従って、電磁弁10が作動している間は継続して油たまり環状溝66に常時安定した流量の作動油を供給してばね室に作動油を保留しておくことができる。
【0042】
次に、請求項3の発明に係る第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態においては、ソレノイド部11の構成は、第1実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0043】
図5において、スリーブ119は、バルブボディ160に形成された水平方向に穿設された嵌合穴161に嵌合している。バルブボディ160は図略の電子制御式自動変速装置のオイルパン内に収納され、嵌合穴161はバルブボディ160を貫通する開口穴が形成されている。スリーブ119には径の異なる第1弁孔141と第2弁孔142とを備えた弁孔118がコア14の貫通孔22と同軸上に形成されている。弁孔118に摺動可能に嵌合されたスプール弁120には、第2弁孔142より大径の第1弁孔141に嵌合する第1および第2ランド部143,144と、第2弁孔142に嵌合する第3ランド部145が設けられている。第2ランド部144と第3ランド部145は隣接して設けられ、その間に段差部146が形成されている。弁孔118には第1弁孔141と第2弁孔142との間に段差部146と対応して環状溝147が刻設され、環状溝147にフィードバックポート148が開口されている。第1および第2ランド部143,144は軸線方向に所定距離へだてて形成され、第1および第2ランド部143,144の間には小径部149が設けられている。第1弁孔141には小径部149に対応して環状溝150が刻設され、環状溝150に制御圧を出力する出力ポート151が開口されている。出力ポート151はバルブボディ160に形成された出力通路162に連通している。出力通路162は図略のクラッチ室に連通するとともに、バルブボディ160に形成されたフィードバック通路163を介してフィードバックポート148に連通されている。第1弁孔141には、第1および第2ランド部143,144の小径部149側の各端部に対応して環状溝152,153が刻設され、環状溝152,153にはメインドレンポート154および供給ポート155が開口されている。メインドレンポート154は、バルブボディ160に形成された図略のドレンタンクに連通するメインドレン通路164に連通され、供給ポート155は作動油が供給される供給通路165に連通されている。第2弁孔142には第3ランド部145に対応して環状溝171が刻設され、環状溝171には、サブドレンポート172が開口されている。サブドレンポート172はバルブボディに形成されたサブドレン通路173に連通されている。なお、このサブドレンポート172はフィードバックポート148に制御圧が作用したとき、弁孔118とスプール弁120の間のクリアランスを通って後述する中間室159に作動油が流入し、中間室159に異物等が侵入しないようにするために設けられている。
【0044】
弁孔118にはばね室156が第1弁孔141に続いて設けられている。ばね室156の開口端に螺合されたプラグ157とスプール弁120の端面との間には、スプリング132が介在されている。スプール弁120はスプリング132のばね力によりプランジャ17に向かって付勢され、スプール弁120の第3ランド部145の端面から突出されたロッド部158でプランジャ17に当接し、プランジャ17とともに移動される。
【0045】
ヨーク13の貫通穴21に摺動可能に密嵌合されたプランジャ17の前端面とスプール弁120の第3ランド部145との間にはコア14の貫通穴22を含めて中間室159が形成され、ロッド部158は中間室59を通ってプランジャ17と当接されている。
【0046】
スリーブ119のばね室156の外周には、フィードバックポート148に隣接して環状の油たまり環状溝166が形成されている。この油たまり環状溝166とばね室156は、ばね室156の下部と油たまり環状溝166の下部が絞り孔(呼吸通路)167を介して連通され、油たまり環状溝66上部の嵌合穴161の開口端側に突設する壁面には、嵌合穴161の外部に連通するドレン通路168が開口されている。これによって油たまり環状溝166にはドレン通路168の開口された高さまで作動油を貯蔵することができ、この油たまり環状溝166に作動油が貯められている状態では、ばね室156は作動油が充満することになる。絞り孔(呼吸通路)167は、ばね室156の下部と油たまり環状溝166の下部とを絞り抵抗を有して連通させ、ばね室156に保留された作動油がスプール弁120の移動とともに油たまり環状溝166との間で移動する速度を調整している。油たまり環状溝166の下部はメインドレン通路164と絞り抵抗を有する導入通路170によって連通されている。
【0047】
以上のような構成で、上記第3の実施形態の作動について説明する。コイル29が非通電状態においては、プランジャ17およびスプール弁20はプランジャ17がカバー16の底面に当接するまでスプリング32のばね力により押圧されている。このとき、出力ポート151はメインドレンポート154との連通が遮断されて高圧に保持されている。また、油たまり環状溝166は、上部がドレン通路168によって嵌合穴161外部と連通していることから、作動油を油たまり環状溝166の上部まで貯めることができ、絞り孔167で連通したばね室156に作動油が保留されている。なお、コイル29が非通電状態においては、プランジャ17およびスプール弁20はプランジャ17が移動せず自励振動も発生しない。
【0048】
次に、電子式自動変速機の制御が開始され、コイル29に通電されると、プランジャ17がコア14に吸引されてスプール弁20がスプリング132のばね力に抗して移動されることにより、第2ランド部144が環状溝153と協働して供給ポート155と出力ポート151との間の流路面積を漸減し、第1ランド部143が環状溝152と協働して出力ポート151とメインドレンポート154との間の流路面積を漸増する。これにより、出力ポート151から出力通路に供給される制御圧はスプール弁120の移動とともに減圧される。この制御圧はフィードバック通路163を介してフィードバックポート148にも供給される。フィードバックポート148に供給された作動油は、環状溝147に導入され段差146に作用して、第2ランド部144と第3ランド部145の面積差を乗じたフィードバック力をスプリング132のばね力と反対方向にスプール弁120に作用させる。コイル29に通電される電流値に応じてコア14がプランジャ17を吸引する吸引力に、このフィードバック力を加算した力がスプリング132のばね力とバランスする位置にスプール弁120が保持されることにより、制御圧はコイル29に通電される電流値に応じて減少する。
【0049】
コイル129に通電される電流値に応じて、第2ランド部144が環状溝153と協働して供給ポート155と出力ポート151との間の流路面積を漸減し、第1ランド部43が環状溝152と協働して出力ポート151とメインドレンポート154との間の流路面積を漸増することにより、メインドレンポート154からメインドレン通路に排出される作動油が増加する。これにより、メインドレンポート154と連通するメインドレン通路164に排出された作動油が導入通路170から油たまり環状溝166に流入し、絞り孔167を介してばね室156に供給されるとともに、ドレン通路168から嵌合穴161外部に排出される。また、出力ポート151の制御圧を低く維持するためにコイル29に最大制御電流が通電されプランジャ17延いてはスプール弁120が一端に停止された状態が長時間継続した場合、メインドレンポート154と連通するメインドレン通路164に排出された作動油が導入通路170から油たまり環状溝に流入し、絞り孔167を介してばね室156に供給されるとともに、ドレン通路168から嵌合穴外部に排出される。また、出力ポート151の制御圧を高く維持するためにコイル29に最小制御電流が通電されスプール弁120が他端に停止した状態が長時間継続した場合、メインドレン通路164に排出される作動油が減少しても導入通路170の絞り抵抗により、油たまり環状溝166からメインドレン通路164に作動油が流出することなく、僅かながら作動油がメインドレン通路164から油たまり環状溝166に流入し、絞り孔167を介してばね室156に供給される。従って、スプール弁120が初期状態に停止されて電磁弁10が気中に配置される状態が長時間継続しても、ばね室156に作動油を継続して供給し保留しておくことができるので、スプール弁120が停止状態から移動されたときに、ばね室156内の作動油のダンピング効果によって自励振動の発生を防止できる。
【0050】
次に請求項4の発明に係る第4の実施形態について説明する。第4の実施の形態は、第3の実施の形態における電磁弁10に対してメインドレン通路164と油たまり環状溝166を導入通路170で連通する代わりに、メインドレインポート154の環状溝152とばね室156を連通したことが相違する。具体的には、図6に示すように、メインドレンポート154の環状溝152からばね室156のスリーブ119の外周面に連通溝175が刻設され、この連通溝175の両端に孔176,177が形成され、孔176は環状溝152に連通し、孔177はばね室156に連通している。
【0051】
これにより、出力ポート151の制御圧を低く維持するためにコイル29に最大制御電流が通電されプランジャ17延いてはスプール弁120が一端に停止された状態が長時間継続した場合、出力ポート151からメインドレンポート154に排出される最低制御圧力の作動油が孔176,177および連通溝175を介してばね室156に流入し、絞り孔167を介して油たまり環状溝166に供給される。また、出力ポート151の制御圧を高く維持するためにコイル29に最小制御電流が通電されスプール弁120が他端に停止した状態が長時間継続した場合も、出力ポート151に供給された最高制御圧力の作動油が孔176,177および連通溝175を介してばね室156に流入し、絞り孔167を介して油たまり環状溝166に供給される。従って、スプール弁120が初期状態に停止されて電磁弁10が気中に配置される状態が長時間継続しても、ばね室156に作動油を継続して供給し保留しておくことができる。
【0052】
次に請求項5の発明に係る第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態は、第3の実施の形態における電磁弁10に対してメインドレン通路164と油たまり環状溝166を導入通路170で連通する代わりに、サブドレンポート172と油たまり環状溝166の上部とを連通したことが相違する。具体的には、図7に示すように、サブドレンポート172からばね室156のスリーブ119の外周面に連通溝178が刻設され、この連通溝178の一端がサブドレン通路に連通され、他端が油たまり環状溝166に連通されている。
【0053】
これにより、出力ポート151の制御圧を低く維持するためにコイル29に最大制御電流が通電されプランジャ17延いてはスプール弁120が一端に停止された状態が長時間継続した場合、フィードバックポート148に供給された最低制御圧力の作動油がスプール弁120と弁孔118との間のクリアランスを通ってサブドレンポート172に流入し、サブドレンポート172と油たまり環状溝166を連通する連通溝178から作動油が油たまり環状溝166の上部に流入し、絞り孔167を介してばね室156に供給される。また、出力ポート151の制御圧を高く維持するためにコイル29に最小制御電流が通電されスプール弁120が他端に停止した状態が長時間継続した場合、出力ポート151と連通するフィードバック通路163を介してフィードバックポート148に供給された最高制御圧力の作動油がスプール弁120と弁孔118との間のクリアランスを通ってサブドレンポート172に流入し、サブドレンポート172と油たまり環状溝166を連通する連通溝178から作動油が油たまり環状溝166の上部に流入し、絞り孔167を介してばね室156に供給される。従って、スプール弁120が初期状態に停止されて電磁弁10が気中に配置される状態が長時間継続しても、ばね室156に作動油を継続して供給し保留しておくことができる。
【0054】
次に請求項6の発明に係る第6の実施の形態について説明する。第6の実施の形態は、図5に示した第3の実施の形態における電磁弁10に対してメインドレン通路164と油たまり環状溝166を導入通路170で連通する代わりに、サブドレンポート172を直接ばね室156に連通したことにある。具体的には、図8に示すように、サブドレンポート172からばね室156のスリーブ119の外周面に連通溝179が刻設され、この連通溝179の一端がサブドレン通路に連通され、他端がばね室の外周に形成された絞り孔180を介してばね室156に連通されている。
【0055】
これにより、出力ポート151の制御圧を低く維持するためにコイルに最大制御電流が通電されスプール弁120が一端に停止された状態が長時間継続した場合、フィードバックポート148に供給された最低制御圧力の作動油がスプール弁120と弁孔118との間のクリアランスを通ってサブドレンポート172に流入し、サブドレンポート172と直接ばね室156を連通する連通溝179から作動油がばね室156に流入し、絞り孔167を介して油たまり環状溝166に供給される。また、出力ポート151の制御圧を高く維持するためにコイル29に最小制御電流が通電されスプール弁120が他端に停止した状態が長時間継続した場合、出力ポート151と連通するフィードバック通路163を介してフィードバックポート148に供給された最高制御圧力の作動油がスプール弁120と弁孔118との間のクリアランスを通ってサブドレンポート172に流入し、サブドレンポート172と直接ばね室156を連通する連通溝179から作動油がばね室に流入し、絞り孔167を介して油たまり環状溝166に供給される。従って、スプール弁120が初期状態に停止されて電磁弁が気中に配置される状態が長時間継続しても、ばね室156に作動油を継続して供給し保留しておくことができる。
【0056】
次に請求項7の発明に係る第7の実施の形態について説明する。第7の実施の形態は、図*に示した第6の実施の形態における電磁弁10に対し油たまり環状溝166をばね室156の外周に刻設する代わりに、サブドレンポート172が形成された弁スリーブ119の外周に刻設したことにある。具体的には、図9に示すように、フィードバック通路163と嵌合穴161のソレノイド部11側端との間で、スリーブ119の外周面のサブドレンポート172と対応する部分に油たまり環状溝181が刻設され、バルブボディ160に油たまり環状溝181の上部と連通するサブドレン通路173が形成され、サブドレンポート172が連通路182を介して油たまり環状溝181の下部と連通されている。
【0057】
これにより、油たまり環状溝181は、上部がサブドレン通路173に連通されていることから、作動油を油たまり環状溝181の上部まで貯めることができ、サブドレンポート172に作動油を保留しておくことができる。このため、出力ポート162の制御圧を制御するためにコイル29に通電され、プランジャ17が電磁力に応じて軸動吸引されることにより、スプール弁120がスプリング132のばね力に抗してプランジャ17とともに移動されるとき、スプール弁120は、サブドレンポート172に保留された作動油のダンピング効果により自励振動することを防止される。
【0058】
出力ポート151の制御圧を低く維持するためにコイル29に最大制御電流が通電されプランジャ17延いてはスプール弁120が一端に停止された状態が長時間継続した場合、フィードバックポート163に供給された最低制御圧力の作動油がスプール弁120と弁118孔との間のクリアランスを通ってサブドレンポート172に流入して油たまり環状溝181に供給され、油たまり環状溝181の上部からサブドレン通路173に排出される。また、出力ポート151の制御圧を高く維持するためにコイル29に最小制御電流が通電されスプール弁120が他端に停止した状態が長時間継続した場合、出力ポート151と連通するフィードバック通路163を介してフィードバックポート148に供給された最高制御圧力の作動油がスプール弁120と弁孔118との間のクリアランスを通ってサブドレンポート172に流入して油たまり環状溝181に供給される。従って、スプール弁120が初期状態に停止されて電磁弁10が気中に配置される状態が長時間継続しても、サブドレンポート172に作動油を継続して保留しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1の実施の形態に係る電磁弁の断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る電磁弁の要部拡大図である。
【図3】図2のA―A線での断面図である。
【図4】第2の実施の形態に係る電磁弁の断面図である。
【図5】第3の実施の形態に係る電磁弁の断面図であって、(a)はスリーブ内部断面図、(b)はバルブボディ内部の断面図である。
【図6】第4の実施の形態に係る電磁弁の断面図である。
【図7】第5の実施の形態に係る電磁弁の断面図である。
【図8】第6の実施の形態に係る電磁弁の断面図である。
【図9】第7の実施の形態に係る電磁弁の断面図である。
【符号の説明】
【0060】
10…電磁弁、11…ソレノイド部、12…スプール制御弁、13…ヨーク、14…コア、15…コイル体、16…カバー、17…プランジャ、18、118…弁孔、19,119…スリーブ、20,120…スプール弁、29…コイル、32,132…スプリング、48,148…フィードバックポート、49,149…小径部、51、151…出力ポート、54,154…メインドレンポート、55、155…供給ポート、56、156…ばね室、60、160…バルブボディ、61,161…嵌合穴、62,162…出力通路、63,163…フィードバック通路、64,164…メインドレン通路、65,165…供給通路、66,166,181…油たまり環状溝、67,167,182…呼吸通路(絞り孔)、68,168…ドレン通路、170…導入通路、172…サブドレンポート、173…サブドレン通路、69,175,178,179…連通溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルに供給される電流に応じてプランジャが軸動吸引されるソレノイド部と、
前記ソレノイド部に接合され前記プランジャと同軸線上に弁孔が穿設されたスリーブと、
前記弁孔に摺動可能に嵌合され該弁孔の底部に形成されたばね室に収納されたスプリングのばね力により前記プランジャに当接され、該プランジャとともに移動して弁孔に開口する供給ポート、出力ポート、およびメインドレンポートの流路面積を制御するスプール弁と、
前記スリーブの軸線が略水平になるように該スリーブが嵌合される嵌合穴が貫通して穿設されたバルブボディとを備え、
前記出力ポートから出力される制御圧を前記スプール弁に形成した面積差を有するフィードバックランド部に導くフィードバックポートを前記ばね室に隣接して前記弁穴に開口し、
前記コイルへの通電により前記プランジャが軸動吸引されて前記スプール弁が移動されると前記供給ポートと前記出力ポートとの流路面積が漸増するとともに、出力ポートとメインドレンポートとの流路面積が漸減するノーマルクローズタイプの電磁弁において、
前記フィードバックポートと前記バルブボディの嵌合穴のばね室側開口端との間で、前記スリーブの外周面に前記ばね室と対応する部分に油たまり環状溝を刻設し、
該油たまり環状溝の上部を前記嵌合穴外部に連通するドレン通路を前記スリーブの外周面に前記油たまり環状溝からスリーブ端に向かって形成し、
前記油たまり環状溝と前記ばね室とを連通する呼吸通路を該油たまり環状溝の下部に設けたことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
請求項1において、前記メインドレンポートと前記油たまり環状溝とを連通する連通溝を前記スリーブの外周面に刻設したことを特徴とする電磁弁。
【請求項3】
コイルに供給される電流に応じてプランジャが軸動吸引されるソレノイド部と、
前記ソレノイド部に接合され前記プランジャと同軸線上に弁孔が穿設されたスリーブと、
前記弁孔に摺動可能に嵌合され該弁孔の底部に形成されたばね室に収納されたスプリングのばね力により前記プランジャに当接され、該プランジャとともに移動して弁孔に開口する供給ポート、出力ポート、およびメインドレンポートの流路面積を制御するスプール弁と、
前記スリーブの軸線が略水平になるように該スリーブが嵌合される嵌合穴が貫通して穿設されたバルブボディを備え、
前記メインドレンポートを前記ばね室に隣接して前記弁孔に開口し、
前記コイルへの通電により前記プランジャが軸動吸引されて前記スプール弁が移動されると前記供給ポートと前記出力ポートとの流路面積が漸減するとともに、出力ポートとメインドレンポートとの流路面積が漸増するノーマルオープンタイプの電磁弁において、
前記メインドレンポートと前記バルブボディの嵌合穴のばね室側開口端との間で、前記スリーブの外周面に前記ばね室と対応する部分に油たまり環状溝を刻設し、
該油たまり環状溝の上部を前記嵌合穴外部に連通するドレン通路を前記スリーブの外周面に前記油たまり環状溝からスリーブ端に向かって形成し、
前記油たまり環状溝と前記ばね室とを連通する呼吸通路を該油たまり環状溝の下部に設け、
前記油たまり環状溝の下部と前記メインドレン通路を連通する導入通路を設けたことを特徴とする電磁弁。
【請求項4】
コイルに供給される電流に応じてプランジャが軸動吸引されるソレノイド部と、
前記ソレノイド部に接合され前記プランジャと同軸線上に弁孔が穿設されたスリーブと、
前記弁孔に摺動可能に嵌合され該弁孔の底部に形成されたばね室に収納されたスプリングのばね力により前記プランジャに当接され、該プランジャとともに移動して弁孔に開口する供給ポート、出力ポート、およびメインドレンポートの流路面積を制御するスプール弁と、
前記スリーブの軸線が略水平になるように該スリーブが嵌合される嵌合穴が貫通して穿設されたバルブボディを備え、
前記メインドレンポートを前記ばね室に隣接して前記弁孔に開口し、
前記コイルへの通電により前記プランジャが軸動吸引されて前記スプール弁が移動されると前記供給ポートと前記出力ポートとの流路面積が漸減するとともに、出力ポートとメインドレンポートとの流路面積が漸増するノーマルオープンタイプの電磁弁において、
前記メインドレンポートと前記バルブボディの嵌合穴のばね室側開口端との間で、前記スリーブの外周面に前記ばね室と対応する部分に油たまり環状溝を刻設し、
該油たまり環状溝の上部を前記嵌合穴外部に連通するドレン通路を前記スリーブの外周面に前記油たまり環状溝からスリーブ端に向かって形成し、
前記油たまり環状溝と前記ばね室とを連通する呼吸通路を該油たまり環状溝の下部に設け、
前記メインドレンポートを前記ばね室に連通する連通溝を前記スリーブの外周面に刻設したことを特徴とする電磁弁。
【請求項5】
コイルに供給される電流に応じてプランジャが軸動吸引されるソレノイド部と、
前記ソレノイド部に接合され前記プランジャと同軸線上に弁孔が穿設されたスリーブと、
前記弁孔に摺動可能に嵌合され該弁孔の底部に形成されたばね室に収納されたスプリングのばね力により前記プランジャに当接され、該プランジャとともに移動して弁孔に開口する供給ポート、出力ポート、およびメインドレンポートの流路面積を制御するスプール弁と、
前記スリーブの軸線が略水平になるように該スリーブが嵌合する嵌合穴が貫通して穿設されたバルブボディとを備え、
前記メインドレンポートを前記ばね室に隣接して前記弁孔に開口し、
前記出力ポートから出力される制御圧を前記スプール弁に形成した面積差を有するフィードバックランド部に導くフィードバックポートを前記弁孔の前記ソレノイド部と前記供給ポートとの間に開口し、
前記フィードバックポートと前記ソレノイド部との間でサブドレンポートを前記弁孔に開口し、
前記コイルへの通電により前記プランジャが軸動吸引されて前記スプール弁が移動されると前記供給ポートと前記出力ポートとの流路面積が漸減するとともに、出力ポートとメインドレンポートとの流路面積が漸増するノーマルオープンタイプの電磁弁において、
前記メインドレンポートと前記バルブボディの嵌合穴のばね室側開口端との間で、前記スリーブの外周面に前記ばね室と対応する部分に油たまり環状溝を刻設し、
該油たまり環状溝の上部を前記嵌合穴外部に連通するドレン通路を前記スリーブの外周面に前記油たまり環状溝からスリーブ端に向かって形成し、
前記油たまり環状溝と前記ばね室とを連通する呼吸通路を該油たまり環状溝の下部に設け、
前記サブドレンポートと前記油たまり環状溝とを連通する連通溝を前記スリーブの外周面に刻設したことを特徴とする電磁弁。
【請求項6】
コイルに供給される電流に応じてプランジャが軸動吸引されるソレノイド部と、
前記ソレノイド部に接合され前記プランジャと同軸線上に弁孔が穿設されたスリーブと、
前記弁孔に摺動可能に嵌合され該弁孔の底部に形成されたばね室に収納されたスプリングのばね力により前記プランジャに当接され、該プランジャとともに移動して弁孔に開口する供給ポート、出力ポート、およびメインドレンポートの流路面積を制御するスプール弁と、
前記スリーブの軸線が略水平になるように該スリーブが嵌合する嵌合穴が貫通して穿設されたバルブボディとを備え、
前記メインドレンポートを前記ばね室に隣接して前記弁孔に開口し、
前記出力ポートから出力される制御圧を前記スプール弁に形成した面積差を有するフィードバックランド部に導くフィードバックポートを前記弁孔の前記ソレノイド部と前記供給ポートとの間に開口し、
前記フィードバックポートと前記ソレノイド部との間でサブドレンポートを前記弁孔に開口し、
前記コイルへの通電により前記プランジャが軸動吸引されて前記スプール弁が移動されると前記供給ポートと前記出力ポートとの流路面積が漸減するとともに、出力ポートとメインドレンポートとの流路面積が漸増するノーマルオープンタイプの電磁弁において、
前記メインドレンポートと前記バルブボディの嵌合穴のばね室側開口端との間で、前記スリーブの外周面に前記ばね室と対応する部分に油たまり環状溝を刻設し、
該油たまり環状溝の上部を前記嵌合穴外部に連通するドレン通路を前記スリーブの外周面に前記油たまり環状溝からスリーブ端に向かって形成し、
前記油たまり環状溝と前記ばね室とを連通する呼吸通路を該油たまり環状溝の下部に設け、
前記サブドレンポートを前記ばね室に連通する連通溝を前記スリーブの外周面に刻設したことを特徴とする電磁弁。
【請求項7】
コイルに供給される電流に応じてプランジャが軸動吸引されるソレノイド部と、
前記ソレノイド部に接合され前記プランジャと同軸線上に弁孔が穿設されたスリーブと、
前記弁孔に摺動可能に嵌合され該弁孔の底部に形成されたばね室に収納されたスプリングのばね力により前記プランジャに当接され、該プランジャとともに移動して弁孔に開口する供給ポート、出力ポート、およびメインドレンポートの流路面積を制御するスプール弁と、
前記スリーブの軸線が略水平になるように該スリーブを嵌合する嵌合穴が貫通して穿設されたバルブボディを備え、
前記メインドレンポートを前記ばね室に隣接して前記弁孔に開口し、
前記出力ポートから出力される制御圧を前記スプール弁に形成した面積差を有するフィードバックランド部に導くフィードバックポートを前記弁孔の前記ソレノイド部と前記供給ポートとの間に開口し、
前記フィードバックポートと前記ソレノイド部との間でサブドレンポートを前記弁孔に開口し、
前記コイルへの通電により前記プランジャが軸動吸引されて前記スプール弁が移動されると前記供給ポートと前記出力ポートとの流路面積が漸減するとともに、出力ポートとメインドレンポートとの流路面積が漸増するノーマルオープンタイプの電磁弁において、
前記フィードバックポートと前記バルブボディの嵌合穴の前記ソレノイド部側端との間で、前記スリーブの外周面に前記サブドレンポートと対応する部分に油たまり環状溝を刻設し、
前記バルブボディに前記油たまり環状溝の上部と連通するとともに前記嵌合穴外部に連通するサブドレン通路を形成し、
前記油たまり環状溝と前記サブドレンポートとを連通する呼吸通路を該油たまり環状溝の下部に設けたことを特徴とする電磁弁。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項において、前記呼吸通路を絞り抵抗を有する絞り孔としたことを特徴とする電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−112514(P2006−112514A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300238(P2004−300238)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000003470)豊田工機株式会社 (198)
【Fターム(参考)】