説明

電磁波吸収体及び電磁波吸収方法

【課題】低周波の電磁波を含む広帯域の電磁波に対して高い電磁波吸収特性を備え、薄膜且つ軽量化を実現した電磁波吸収体及び電磁波吸収方法を提供する。
【解決手段】高誘電性材料で形成されるとともに立方体形状を有する基材2と、高磁性材料で形成されるとともに基材2の内部において3方向に形成された各長孔4、5、6に充填された充填材3とが複合した複合体によって電磁波吸収体1を成形し、各高誘電性材料及び高磁性材料をそれぞれ三次元的に連続させた構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ等の電子部品から発せられる広帯域の電磁波を吸収可能とする電磁波吸収体及び電磁波吸収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駆動モータやコンピュータ等の電子機器から発せられる電磁波によって、他の電子機器の正常な動作を妨げる事態が少なからず生じていた。そこで、従来より電磁波を吸収する吸収体によってそれらの電子機器を囲ったり、隔壁を形成することによって、電磁波による悪影響を防止する方法が行われていた(例えば、特開2004−207328号公報参照)。また、このような電磁波吸収体においては、電磁波吸収特性を向上させる為の要件として、入射した電磁波を減衰させる以外に、入射した電磁波を反射させること無く吸収体の内部へと取り込むことが重要であった。
【0003】
ここで、従来用いられていた電磁波吸収体としては、以下のものがあった。
一つは、吸収体の表面において無反射となる無反射条件式を利用した電磁波吸収体である。この無反射条件式を利用した電磁波吸収体では、例えば金属製の電磁波反射膜の前面に定まった間隔(例えばλ/4)の誘電体を配置し、更にその上に電磁波吸収膜を重ねた構造とする。そして、電磁波が入射した際に、電磁波吸収膜の表面で反射された表面反射波と、吸収体内部の反射波で反射された内部反射波とが逆位相となるように、インピーダンスの整合をとることによって反射波を低減することができる。
【0004】
しかしながら、上記無反射条件式を利用した電磁波吸収体では、特定の狭い帯域の電磁波に対しては非常に優れた電磁波吸収特性を備えるが、その他の帯域に対しては電磁波吸収特性が良くないという問題があった。
【0005】
一方で、広帯域の電磁波吸収特性を得ることが可能な電磁波吸収体としてウェッジ構造やピラミッド構造の電磁波吸収体がある。これらの構造の電磁波吸収体は例えば電波暗室の壁部に用いられ、吸収体前面から奥に行くにつれて徐々に吸収体の空間に占める体積比率が増加するウェッジ構造又はピラミッド構造とする。そして、吸収体前面から電磁波が入射した際における電磁波の吸収効率を良くし、反射波を低減することができる。
【0006】
しかしながら、上記ウェッジ構造やピラミッド構造の電磁波吸収体では、低周波(MHz帯)の電磁波に対してまで電磁波吸収特性を広げる為には、厚みが非常に大きく(例えば、数m)なるという問題があった。
【特許文献1】特開2004−207328号公報(第3頁〜第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、近年ではハイブリッド車両において駆動モータやバッテリから生じる電磁波によって、車両に設置された車速センサ等の各種センサが誤作動を起こす問題があった。しかしながら、上記無反射条件式を利用した電磁波吸収体のシートを用いてこれらの電磁波の吸収を行う場合には、特に低周波の電磁波を吸収対象とすると、シートの厚みが非常に厚くなるという問題があった。また、上記ウェッジ構造やピラミッド構造の電磁波吸収体を用いることは、車両という限られたスペースでは非現実的である。
【0008】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、低周波の電磁波を含む広帯域の電磁波に対して高い電磁波吸収特性を備え、薄膜且つ軽量化を実現した電磁波吸収体及び電磁波吸収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る電磁波吸収体は、高誘電性材料と高磁性材料とが複合された複合体からなり、前記複合体中において前記高誘電性材料と前記高磁性材料とがそれぞれ三次元的に連続した構造を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る電磁波吸収体は、請求項1に記載の電磁波吸収体において、前記高誘電性材料及び前記高磁性材料の一方で成形され、内部に複数の長孔を備えた基材と、前記高誘電性材料及び前記高磁性材料の他方で成形され、前記長孔に充填された充填材と、を有し、前記長孔は、所定方向に沿って形成された第1長孔と、前記第1長孔と交差する第2長孔と、前記第1長孔及び前記第2長孔と交差する第3長孔と、からなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る電磁波吸収体は、請求項1に記載の電磁波吸収体において、前記高誘電性材料で形成された第1紐状体と、前記高磁性材料で形成された第2紐状体と、を有し、前記第1紐状体と前記第2紐状体とが複数混合された構造を有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る電磁波吸収体は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電磁波吸収体において、前記高誘電性材料に導電材を添加したことを特徴とする。
【0013】
更に、請求項5に係る電磁波吸収方法は、高誘電性材料と高磁性材料とを含む電磁波吸収体を備え、前記高誘電性材料及び高磁性材料に対して入射した電磁波を吸収する電磁波吸収方法であって、前記高誘電性材料に対して入射した電磁波に対する第1反射波と、前記高磁性材料に対して入射した電磁波に対する第2反射波とを逆位相とすることにより反射波を相殺することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前記構成を有する請求項1に記載の電磁波吸収体によれば、電磁波の磁界成分及び電界成分の振動方向に対しても高誘電性材料及び高磁性材料が連続しているので、磁気回路及び電気回路が分断されること無く、低周波の電磁波を含む広帯域の電磁波に対して高い電磁波吸収特性を備える。また、電磁波吸収体を用いて作製したシート厚さを薄くしても高い電磁波吸収特性を備えるので、使用用途を広げることができる。
【0015】
また、請求項2に記載の電磁波吸収体によれば、簡易な構造により高誘電性材料と高磁性材料とをそれぞれ三次元的に連続させた複合体を成形することが可能である。従って、製造が容易となり、生産性に優れる。
【0016】
また、請求項3に記載の電磁波吸収体によれば、簡易な構造により高誘電性材料と高磁性材料とをそれぞれ三次元的に連続させた複合体を成形することが可能である。従って、製造が容易となり、生産性に優れる。
【0017】
また、請求項4に記載の電磁波吸収体によれば、電磁波吸収体の複素比誘電率の虚部の値を大きく上昇させるとともに、その値を制御することが可能となる。従って、添加する導電材の種類や添加量を調整することによって、複素比透磁率の虚部μr″と複素比誘電率の虚部を含む項(εr″+σ/ω)を同値とし、電磁波吸収体の特性インピーダンスを空気中の特性インピーダンスと同値とすることが可能となる。その結果、電磁波吸収体に入射した電磁波は電磁波吸収体の表面で反射することなく電磁波吸収体内に全て入射させることが可能となる。
【0018】
更に、請求項5に記載の電磁波吸収方法によれば、電磁波吸収体を構成する高誘電性材料に対して入射した電磁波に対する第1反射波と、同じく電磁波吸収体を構成する高磁性材料に対して入射した電磁波に対する第2反射波とを逆位相とすることにより反射波を相殺するので、電磁波吸収体の表面で反射する反射波を減衰することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る電磁波吸収体及び電磁波吸収方法について具体化した第1乃至第6実施形態について以下に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
〔第1実施形態〕
先ず、第1実施形態に係る電磁波吸収体1について図1に基づき説明する。図1は第1実施形態に係る電磁波吸収体1について示した説明図である。
【0021】
図1に示すように、第1実施形態に係る電磁波吸収体1は、高誘電性材料で形成されるとともに立方体形状を有する基材2と、高磁性材料で形成されるとともに円柱形状を有する充填材3とが複合した複合体によって構成される。尚、第1実施形態では高誘電性材料としては、例えばチタン酸バリウム(測定周波数45MHzにおける複素比誘電率εrの実部の値“90”、複素比透磁率μrの実部の値“1”)が用いられる。また、高磁性材料としては、例えばフェライト(測定周波数45MHzにおける複素比誘電率εrの実部の値“2”、複素比透磁率μrの実部の値“90”)が用いられる。
【0022】
そして、第1実施形態に係る電磁波吸収体1では、その複合体中において高誘電性材料と高磁性材料とがそれぞれ三次元的に連続した構造を有する。ここで、高誘電性材料と高磁性材料とがそれぞれ三次元的に連続した構造とは、どのような位置でどのような角度により構造体(第1実施形態では電磁波吸収体1)を切断したとしても、その切断面において高誘電性材料と高磁性材料とが互いに接触する構造をいう。
具体的には、高誘電性材料からなる基材2の内部において3方向に形成された計27本の各長孔4、5、6に、高磁性材料からなる充填材3が充填されることによって電磁波吸収体1は構成される。
【0023】
また、各長孔4、5、6は図1のX軸方向に沿って形成された第1長孔4と、Y軸方向に沿って形成された第2長孔5と、Z軸方向に沿って形成された第3長孔6とからなり、互いに交差する。尚、図1では電磁波吸収体1に対して入射する電磁波の入射方向(図1では矢印7の方向)はZ軸に平行となっているが、入射方向はZ軸と平行でなくても良い。また、充填材3及び各長孔4、5、6は図1に示すような円柱形状に限らず、四角柱等の多角柱形状等で構成しても良い。更に、電磁波吸収体1の高誘電性材料と高磁性材料の体積比率は比誘電率、比透磁率の値を加味した体積比とすることが望ましい。
【0024】
次に、上記図1に示す第1実施形態に係る電磁波吸収体1の製造方法について説明する。
ここで、電磁波吸収体1の製造方法としては、基材2を成形した後に、基材2に対して各長孔4、5、6を形成し、その後に充填材3を充填する方法が挙げられる。
【0025】
そして、上記製造方法によって作製された電磁波吸収体1は、高誘電性材料と高磁性材料とがそれぞれ三次元的に連続する構造となる。そして、高誘電性材料と高磁性材料を樹脂中に配合し、粒子単位で混合して電磁波吸収体を製造する場合と比較して、電磁波吸収体の比誘電率や比透磁率が大幅に低下することが無い。
【0026】
ここで、図2は高誘電性材料と高磁性材料と導電性材料とを粒子単位で混合して製造した電磁波吸収体11を示した図である。
図2に示すように、例えば、フェライト等の高磁性材料粒子12と、チタン酸バリウム等の高誘電性材料粒子13と、導電性材料である炭素粒子14とを樹脂15中に混合することによって製造した電磁波吸収体11は、混合前の高磁性材料や導電性材料と比較して比誘電率や比透磁率が大幅に低下する。例えば、高誘電性材料としてチタン酸バリウム、高磁性材料としてフェライトが用いられた場合では、電磁波吸収体11の比誘電率εrは約1/100まで低下し、比透磁率μrについても約1/100まで低下することとなる。
従って、このように粒子単位で混合した電磁波吸収体11では、屈折率が低下し、内部に進入した電磁波の波長圧縮率が低下する。それにより、電磁波吸収シートとして十分な電磁波吸収特性を得る為には一定以上のシート厚みが必要となり、薄膜化が困難となる。それに対して、図1に示す電磁波吸収体1では後述のように高い電磁波吸収特性を備える。
【0027】
続いて、図1に示すように高誘電性材料及び高磁性材料を三次元的に連続させた構造を有する電磁波吸収体1に関する電磁波吸収特性について以下に説明する。
【0028】
先ず、図3では、電磁波吸収体1を構成する基材2(高誘電性材料)に対して、電磁波が入射した場合の入射波21と、境界面で反射した反射波22の特に電界成分について示す。
ここで、図3の式(1)に示すように、高誘電性材料では特性インピーダンスZεがZ0(Z0は空気の特性インピーダンス)に比べて非常に小さくなる。
そして、図3の式(2)に示すように、特性インピーダンスZεの項を無視することができ、電磁波吸収体の表面における反射係数Rεは略「−1」となる。
従って、基材2に対して、電磁波が入射した場合に発生する反射波22は、入射波21と略逆位相の波形となる。
【0029】
次に、図4では、電磁波吸収体1を構成する充填材3(高磁性材料)に対して、電磁波が入射した場合の入射波21と、境界面で反射した反射波23の特に電界成分について示す。
ここで、図4の式(3)に示すように、高磁性材料では特性インピーダンスZμがZ0に比べて非常に大きくなる。
そして、図4の式(4)に示すように、空気中の特性インピーダンスZ0の項を無視することができ、電磁波吸収体の表面における反射係数Rμは略「1」となる。
従って、充填材3に対して、開口部から垂直に電磁波が入射した場合に発生する反射波23は、入射波21と略同位相の波形となる。
【0030】
続いて、図5では、上述した基材2(高誘電性材料)と充填材3(高磁性材料)とが複合され、それぞれが三次元的に連続した構造を備えた第1実施形態に係る電磁波吸収体1に対して、電磁波が入射した場合の入射波21と反射波22、23の特に電界成分について示す。
上記したように、基材2からの反射波22は入射波21と略逆位相の波形となり、充填材3からの反射波23は入射波21と略同位相の波形となるので、各材料から発せられる反射波22と反射波23は互いに逆位相となり相殺されることとなる。尚、図示は省略するが、電磁波が入射した場合の入射波と反射波の特に磁界成分についても、基材2からの反射波と充填材3からの反射波23とは互いに逆位相となり相殺されることとなる。
【0031】
従って、電磁波吸収体1ではシート表面で反射する反射波を大きく減衰させることができる。また、電磁波吸収体1では高誘電性材料の比誘電率εrや高磁性材料の比透磁率μrを低下させずに適用することができる。従って、屈折率が高くなることから、電磁波の入射方向に対して薄いシート状としても電磁波の減衰と波長の十分な圧縮を行うことが可能となる。
【0032】
一方で、第1実施形態に係る電磁波吸収体1のように、高誘電性材料と高磁性材料とが高密度で複合されている電磁波吸収体は、低周波(MHz帯)の電磁波にとっては図6に示すように高誘電率で且つ高透磁率の均一材料により形成された電磁波吸収体31とみなすことも可能となる。
従って、基材2(高誘電性材料)の比誘電率εrの実部及び虚部の値と充填材3(高磁性材料)の比透磁率μrの実部及び虚部の値とが同値である場合には、図6の式(5)に示すように電磁波吸収体31の特性インピーダンスは空気中の特性インピーダンスと同値となる。従って、入射した電磁波は電磁波吸収体31の表面で反射することなく電磁波吸収体31内に全て入射させることが可能となる。更に、電磁波吸収体31の屈折率が非常に高くなることから、電磁波の入射方向に対して薄いシート状としても電磁波の減衰と波長の十分な圧縮を行うことが可能となる。
【0033】
以上説明したように、第1実施形態に係る電磁波吸収体1では、簡易な構造により高誘電性材料と高磁性材料とをそれぞれ三次元的に連続させた複合体を成形することが可能である。従って、製造が容易となり、生産性に優れる。また、高誘電性材料と高磁性材料とを三次元的に連続させた複合構造とすることによって、電磁波の磁界成分及び電界成分の振動方向に対しても高誘電性材料及び高磁性材料が連続するので、磁気回路及び電気回路が分断されることが無い。従って、比誘電率εrや比透磁率μrが大きく低下することなく、低周波の電磁波を含む広帯域の電磁波に対して高い電磁波吸収特性を備える。更に、電磁波吸収体1を用いて作製したシート厚さを薄くしても高い電磁波吸収特性を備えるので、使用用途を広げることができる。
【0034】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る電磁波吸収体41について図7に基づき説明する。図7は第2実施形態に係る電磁波吸収体41について示した説明図である。
【0035】
図7に示すように、第2実施形態に係る電磁波吸収体41は、高磁性材料で形成されるとともに立方体形状を有する基材42と、高誘電性材料で形成されるとともに円柱形状を有する充填材43とが複合した複合体によって構成される。尚、第2実施形態では高磁性材料としては、例えばフェライト(測定周波数45MHzにおける複素比誘電率εrの実部の値“2”、複素比透磁率μrの実部の値“90”)が用いられる。また、高誘電性材料としては、例えば水(測定周波数45MHzにおける複素比誘電率εrの実部の値“80.4”、複素比透磁率μrの実部の値“1”)が用いられる。尚、充填材43として水を用いる場合には、寒天やポリアクリル酸ナトリウム等の高い吸水性及び水分保持性能を有する材料に水を吸水させたゲル状体を用いることが望ましい。
【0036】
尚、基材42と充填材43は以下の材料の組み合わせによって構成しても良い。
(a)“多孔質フェライト”からなる基材42と“導電ゲル(ゲル状体にNaCl等の電解質を溶解させたもの)”からなる充填材43。
(b)“多孔質フェライト”からなる基材42と“導電フィラーを混練したBaTiO”からなる充填材43。
【0037】
そして、第2実施形態に係る電磁波吸収体41では、第1実施形態と同じく、その複合体中において高誘電性材料と高磁性材料とがそれぞれ三次元的に連続した構造を有する。具体的には、高磁性材料からなる基材42の内部において3方向に形成された計27本の各長孔44、45、46に、高誘電性材料からなる充填材43が充填されることによって電磁波吸収体41は構成される。
【0038】
また、各長孔44、45、46は図7のX軸方向に沿って形成された第1長孔44と、Y軸方向に沿って形成された第2長孔45と、Z軸方向に沿って形成された第3長孔46とからなり、互いに交差する。尚、図7では電磁波吸収体41に対して入射する電磁波の入射方向(図7では矢印47の方向)はZ軸に平行となっているが、入射方向はZ軸と平行でなくても良い。また、充填材43及び各長孔44、45、46は図7に示すような円柱形状に限らず、四角柱等の多角柱形状等で構成しても良い。更に、電磁波吸収体41の高誘電性材料と高磁性材料の体積比率は誘電率、透磁率の値を加味した体積比とすることが望ましい。
【0039】
次に、上記図7に示す第2実施形態に係る電磁波吸収体41の製造方法について説明する。
ここで、電磁波吸収体41の製造方法としては、基材42を成形した後に、基材42に対して各長孔44、45、46を形成し、その後に充填材43を充填する方法が挙げられる。
【0040】
上記第2実施形態に係る電磁波吸収体41は、簡易な構造により高誘電性材料と高磁性材料とをそれぞれ三次元的に連続させた複合体を成形することが可能である。従って、製造が容易となり、生産性に優れる。また、高誘電性材料と高磁性材料とを三次元的に連続させた複合構造とすることによって、電磁波の磁界成分及び電界成分の振動方向に対しても高誘電性材料及び高磁性材料が連続するので、磁気回路及び電気回路が分断されることが無い。従って、比誘電率εrや比透磁率μrが大きく低下することがない。更に、図3〜図6に既に示した第1実施形態に係る電磁波吸収体1と同様に、低周波の電磁波を含む広帯域の電磁波に対しても高い電磁波吸収特性を備える。また、電磁波吸収体41を用いて作製したシート厚さを薄くしても高い電磁波吸収特性を備えるので、使用用途を広げることができる。
【0041】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態に係る電磁波吸収体51について図8に基づき説明する。図8は第3実施形態に係る電磁波吸収体51について一部を拡大して示した説明図である。
【0042】
図8に示すように、第3実施形態に係る電磁波吸収体51は、高誘電性材料で形成される第1紐状体52と、高磁性材料で形成される第2紐状体53とが複合した複合体によって構成される。尚、第3実施形態では高誘電性材料としては、例えばチタン酸バリウム(測定周波数45MHzにおける複素比誘電率εrの実部の値“90”、複素比透磁率μrの実部の値“1”)や水(測定周波数45MHzにおける複素比誘電率εrの実部の値“80.4”、複素比透磁率μrの実部の値“1”)が用いられる。また、高磁性材料としては、例えばフェライト(測定周波数45MHzにおける複素比誘電率εrの実部の値“2”、複素比透磁率μrの実部の値“90”)が用いられる。尚、第2紐状体53として特に水を用いる場合には、寒天やポリアクリル酸ナトリウム等の高い吸水性及び水分保持性能を有する材料に水を吸水させたゲル状体を用いることが望ましい。
【0043】
そして、第3実施形態に係る電磁波吸収体51では、第1実施形態と同じく、その複合体中において高誘電性材料と高磁性材料とがそれぞれ三次元的に連続した構造を有する。具体的には、複数の第1紐状体52と第2紐状体53とが互いに三次元方向に絡み合った状態で固定されることによって電磁波吸収体51は構成される。更に、電磁波吸収体51の高誘電性材料と高磁性材料の体積比率は誘電率、透磁率の値を加味した体積比とすることが望ましい。
【0044】
上記第3実施形態に係る電磁波吸収体51は、簡易な構造により高誘電性材料と高磁性材料とをそれぞれ三次元的に連続させた複合体を成形することが可能である。また、電磁波の磁界成分及び電界成分の振動方向に対しても高誘電性材料及び高磁性材料が連続するので、磁気回路及び電気回路が分断されることが無い。従って、比誘電率εや比透磁率μが大きく低下することがない。更に、図3〜図6に既に示した第1実施形態に係る電磁波吸収体1と同様に、低周波の電磁波を含む広帯域の電磁波に対しても高い電磁波吸収特性を備える。また、電磁波吸収体51を用いて作製したシート厚さを薄くしても高い電磁波吸収特性を備えるので、使用用途を広げることができる。
【0045】
〔第4実施形態、第5実施形態〕
次に、第4実施形態及び第5実施形態に係る電磁波吸収体61、71について図9及び図10に基づき説明する。図9は第4実施形態に係る電磁波吸収体61について一部を拡大して示した説明図、図10は第5実施形態に係る電磁波吸収体71について一部を拡大して示した説明図である。
【0046】
図9に示すように、第4実施形態に係る電磁波吸収体61は、高誘電性材料と高磁性材料とが複合した複合体によって構成される。同じく図10に示すように、第5実施形態に係る電磁波吸収体71は、高誘電性材料と高磁性材料とが複合した複合体によって構成される。
尚、第4実施形態及び第5実施形態では高誘電性材料としては、例えばチタン酸バリウム(測定周波数45MHzにおける複素比誘電率εrの実部の値“90”、複素比透磁率μrの実部の値“1”)や水(測定周波数45MHzにおける複素比誘電率εrの実部の値“80.4”、複素比透磁率μrの実部の値“1”)が用いられる。また、高磁性材料としては、例えばフェライト(測定周波数45MHzにおける複素比誘電率εrの実部の値“2”、複素比透磁率μrの実部の値“90”)が用いられる。尚、高誘電性材料として特に水を用いる場合には、寒天やポリアクリル酸ナトリウム等の高い吸水性及び水分保持性能を有する材料に水を吸水させたゲル状体を用いることが望ましい。
【0047】
そして、第4実施形態に係る電磁波吸収体61及び第5実施形態に係る電磁波吸収体71では、第1実施形態と同じく、その複合体中において高誘電性材料と高磁性材料とがそれぞれ三次元的に連続した構造を有する。
また、電磁波吸収体61及び電磁波吸収体71には図9及び図10に示すように、三次元網目状に連続的に繋がる空隙を備える。従って、高誘電性材料として特に水を用いる場合には、この空隙に水を充填させることによって高誘電性材料を三次元的に連続した構造とすることが可能となる。
【0048】
上記第4実施形態に係る電磁波吸収体61及び第5実施形態に係る電磁波吸収体71は、高誘電性材料と高磁性材料とをそれぞれ三次元的に連続させた複合体により成形することにより、電磁波の磁界成分及び電界成分の振動方向に対しても高誘電性材料及び高磁性材料が連続するので、磁気回路及び電気回路が分断されることが無い。従って、比誘電率εrや比透磁率μrが大きく低下することがない。更に、図3〜図6に既に示した第1実施形態に係る電磁波吸収体1と同様に、低周波の電磁波を含む広帯域の電磁波に対しても高い電磁波吸収特性を備える。また、電磁波吸収体61、71を用いて作製したシート厚さを薄くしても高い電磁波吸収特性を備えるので、使用用途を広げることができる。
【0049】
〔第6実施形態〕
次に、第6実施形態に係る電磁波吸収体について図11乃至図14に基づき説明する。第6実施形態に係る電磁波吸収体は、複素比誘電率の実部と虚部及び複素比透磁率の実部と虚部をそれぞれ整合させることにより、電磁波吸収体の特性インピーダンスと空気中の特性インピーダンスとを整合させることを特徴とする。
ここで、第1実施形態乃至第5実施形態に係る電磁波吸収体は、前記したように高誘電性材料と高磁性材料の複数種類の材料により構成されているが、低周波(MHz帯)の電磁波にとっては高誘電率で且つ高透磁率の均一材料により形成された電磁波吸収体とみなすことも可能となる。
そして、均一材料により形成されたとみなされた電磁波吸収体の特性インピーダンスを空気中の特性インピーダンスと同値とすることにより、入射した電磁波は電磁波吸収体の表面で反射することなく電磁波吸収体内に全て入射させることが可能となる。
上記のインピーダンスの整合を行うためには、図11の式(6)において以下の(A)及び(B)の条件を満たす必要がある。
(A)分子の実数項(複素比透磁率の実部)μr´と分母の実数項(複素比誘電率の実部)εr´を同値とする。
(B)分子の虚数項(複素比透磁率の虚部)μr″と分母の虚数項(複素比誘電率の虚部εr″を含む項)εr″+σ/ωを同値とする。
【0050】
次に、サンプル1〜3の測定結果を用いて、電磁波吸収体の複素比透磁率の実部と複素比誘電率の実部を整合させ、且つ複素比透磁率の虚部と複素比誘電率の虚部を整合させる為の条件の導出について説明する。
【0051】
(測定対象とするサンプル1及びサンプル2)
測定に用いるサンプル1は、第2実施形態に係る電磁波吸収体41と同じ構成を備えた電磁波吸収体を用いる。ただし、基材42としてフェライトを用いる。また、充填材43としてAuコロイド処理がされたBaTiOを用いる。
具体的には、サンプル1の作製は、以下の(a)〜(e)の工程により行う。
(a)ウルトラアペックスミルを用い、BaTiOを湿式粉砕する。尚、溶剤としては、1−プロパノールを用いる。BaTiOと溶剤の分量比は1:3とする。更に、粉砕時間は20分間とする。
(b)粉砕後に溶剤を除去する。
(c)Auナノコロイドを作製する。具体的には、HAuCl・4HOをクエン酸三ナトリウム水溶液で還元(80℃×30min)する。
(d)上記Auナノコロイドの溶液に粉砕されたBaTiOを投入し、混合する。
(e)洗浄→遠心分離を繰り返し行った後、乾燥させ、Auコロイド処理がされたBaTiOを作製する。
(f)作製されたAuコロイド処理BaTiOとシアノエチルプルランとN−メチルピロリドン(NMP)を100:10:50の重量比で配合しスラリーを作製する。
(g)その後は、第1実施形態で説明した第1工程〜第6工程と同様に、フェライトからなる基材42に形成された長孔44、45、46にスラリーを充填し、充填材43を形成する。
以上より、サンプル1として用いる電磁波吸収体を製造する。
尚、比較例として誘電体(Auコロイド処理BaTiO)を充填していない基材42のみから構成されるサンプル2も製造した。
【0052】
(サンプル測定1)
上記サンプル1について複素比透磁率の実部μr´と複素比誘電率の実部εr´を測定すると、図12に示す結果を得た。尚、比較例として誘電体(Auコロイド処理BaTiO)を充填していないサンプル2の測定結果も示すこととする。また、測定周波数は60MHz〜200MHzとした。
【0053】
図12に示すように、サンプル1の複素比透磁率の実部μr´は、測定周波数に対してμr´=5〜12の間で変化する。一方、複素比誘電率の実部εr´は測定周波数に対して依存せず略固定の値となったが、誘電体を充電していないサンプル2がεr´≒7であるのに対して、誘電体を充電したサンプル1はεr´≒17まで上昇した。
従って、図12に示す測定結果を比較すると、基材42に対して誘電体を充填することにより、複素比誘電率の実部εr´の値を制御することが可能となることが分かる。即ち、材料定数や誘電体の充填率の設計値を調整することによって、複素比透磁率の実部μr´と複素比誘電率の実部εr´を同値とすることが可能となる。
【0054】
(サンプル測定2)
次に、上記サンプル1について複素比透磁率の虚部μr″と複素比誘電率の虚部εr″を測定すると、図13に示す結果を得た。尚、比較例として誘電体(Auコロイド処理BaTiO)を充填していないサンプル2の測定結果も示すこととする。また、測定周波数は60MHz〜200MHzとした。
【0055】
図13に示すように、サンプル1の複素比透磁率の虚部μr″は、測定周波数に対してμr″=20〜40の間で変化する。一方、複素比誘電率の虚部εr″は誘電体を充電していないサンプル2がεr″=0〜0.2の値となるのに対して、誘電体を充電したサンプル1はεr″=1〜2の値まで上昇した。
従って、図13に示す測定結果を比較すると、誘電体を充電したとしても複素比透磁率の虚部μr″に比べて複素比誘電率の虚部εr″が非常に小さい。従って、複素比透磁率の虚部μr″と複素比誘電率の虚部を含む項(εr″+σ/ω)を同値とする為には、複素比誘電率の虚部εr″を更に上昇させる必要があることが分かる。
【0056】
(測定対象とするサンプル3)
測定に用いるサンプル3(第6実施形態に係る電磁波吸収体)は、サンプル1と同じく第2実施形態に係る電磁波吸収体41と同じ構成を備えた電磁波吸収体を用いる。ただし、基材42としてフェライトを用いる。また、充填材43としてAuコロイド処理がされたBaTiOに導電材(例えばAg)を添加した材料を用いる。
尚、具体的なサンプル3の作製工程については、スラリーにAgを添加する点以外はサンプル1と同一であるので省略する。
【0057】
(サンプル測定3)
次に、上記サンプル3について複素比誘電率の虚部εr″を測定すると、図14に示す結果を得た。尚、比較例として誘電体にAgを添加していないサンプル1の測定結果も示すこととする。また、測定周波数は60MHz〜200MHzとした。
【0058】
図14に示すように、誘電体にAgを添加していないサンプル1の複素比誘電率の虚部εr″は、前記したようにεr″=1〜2の値が測定される。一方、誘電体にAgを添加したサンプル3の複素比誘電率の虚部εr″は、εr″=50〜100の値まで上昇した。
従って、図14に示す測定結果を比較すると、長孔44、45、46に充填する誘電体に対して導電材(例えばAg)を添加することにより、複素比誘電率の虚部εr″の値を大きく上昇させるとともに、その値を制御することが可能となることが分かる。即ち、添加する導電材の種類や添加量を調整することによって、複素比透磁率の虚部μr″と複素比誘電率の虚部を含む項(εr″+σ/ω)を同値とすることが可能となる。
その結果、電磁波吸収体の特性インピーダンスを空気中の特性インピーダンスと同値とすることが可能となる。それにより、電磁波吸収体に入射した電磁波は電磁波吸収体の表面で反射することなく電磁波吸収体内に全て入射させることが可能となる。
【0059】
尚、上記説明では第2実施形態に係る電磁波吸収体41と同一構成を有する電磁波吸収体をサンプルに用いた例を説明したが、第1実施形態、第3実施形態〜第5実施形態に係る電磁波吸収体と同一構成を有する電磁波吸収体をサンプルにした場合でも同様の結果を得ることが可能となる。
即ち、高誘電性材料に導電材を添加することにより、電磁波吸収体の複素比誘電率の虚部の値を大きく上昇させるとともに、その値を制御することが可能となる。従って、添加する導電材の種類や添加量を調整することによって、複素比透磁率の虚部μr″と複素比誘電率の虚部を含む項(εr″+σ/ω)を同値とし、電磁波吸収体の特性インピーダンスを空気中の特性インピーダンスと同値とすることが可能となる。
【0060】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では基材2、42に形成する長孔の数を、一方向当たり9本としているが、9本より多く又は少なくしても良い。また、高誘電性材料及び高磁性材料として用いる材料は上記実施形態に記載した材料以外であっても良い。
【0061】
また、上記第1実施形態乃至第6実施形態に示すような、高誘電性材料と高磁性材料とがそれぞれ三次元的に連続した三次元連続体構造を備えた電磁波吸収体を用いて作製した電磁波吸収シートは、厚さを薄くしても高い電磁波吸収特性を備える。以下に、それを説明する理論式について図15を用いて説明する。
【0062】
図15に示す分布定数回路で表したとき、電磁波吸収体の表面における特性インピーダンスZinは式(7)となる。尚、式(7)は電波吸収体の電磁波入射方向に対して背面側に金属板等を配置し、該金属で短絡させた場合において成立する。また、電磁波吸収体の複素比透磁率をμr(=μr´−jμr″)とし、複素比誘電率をεr(=εr´−jεr″)とする。
その後、インピーダンスの整合がなされているとして、比誘電率εと比透磁率μとが同値であり、且つ電磁波吸収体の特性インピーダンスZinと空気中の特性インピーダンスZ0とが同値であるとする条件を考慮すると、式(8)が導出される。
更に、式(8)に基づいて式(9)が導出される。
また、式(9)を満たすためには、式(10)が成り立つ。
ここで、入射波の周波数f=300MHz(波長λ=1.0m)を仮定した場合において、シートの厚みd=20mmとすると、εr″に対する式(10)に示す減衰項の値は図16に示す値となる。
例えば、複素比透磁率の虚部の値をεr″=40とすると、図16に示すように減衰項の値は0.65×10−2となる。これは、電磁波吸収体が87.38dBの減衰効果を有することを示す。従って、例えば、複素比透磁率の虚部の値をεr″=40となる電磁波吸収体を用いれば、20mmの厚みのシートによる周波数f=300MHz(波長λ=1.0m)の電磁波の吸収量は、87.38dBとなる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1実施形態に係る電磁波吸収体について示した説明図である。
【図2】高誘電性材料と高磁性材料と導電性材料とを粒子単位で混合して製造した電磁波吸収シートを示した図である。
【図3】第1実施形態に係る電磁波吸収体を構成する基材(高誘電性材料)に対して、電磁波が入射した場合の入射波と反射波を示した図である。
【図4】第1実施形態に係る電磁波吸収体を構成する充填材(高磁性材料)に対して、電磁波が入射した場合の入射波と反射波を示した図である。
【図5】第1実施形態に係る電磁波吸収体に対して、電磁波が入射した場合の入射波と反射波を示した図である。
【図6】第1実施形態に係る電磁波吸収体の電磁波吸収特性を示した図である。
【図7】第2実施形態に係る電磁波吸収体について示した説明図である。
【図8】第3実施形態に係る電磁波吸収体について一部を拡大して示した説明図である。
【図9】第4実施形態に係る電磁波吸収体について一部を拡大して示した説明図である。
【図10】第5実施形態に係る電磁波吸収体について一部を拡大して示した説明図である。
【図11】電磁波吸収体の特性インピーダンスと空気中の特性インピーダンスとを整合させる条件を示した図である。
【図12】サンプル1とサンプル2について複素比透磁率の実部μr´と複素比誘電率の実部εr´の測定結果を示した図である。
【図13】サンプル1とサンプル2について複素比透磁率の虚部μr″と複素比誘電率の虚部εr″の測定結果を示した図である。
【図14】サンプル1とサンプル3について複素比誘電率の虚部εr″の測定結果を示した図である。
【図15】三次元連続構造を備えた電磁波吸収体が薄膜化可能であることを説明する理論式を示した図である。
【図16】三次元連続構造を備えた電磁波吸収体が薄膜化可能であることを説明した図である。
【符号の説明】
【0064】
1、41、51、61、71 電磁波吸収体
2、42 基材
3、43 充填材
4、5、6、44、45、46 長孔
52 第1紐状体
53 第2紐状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高誘電性材料と高磁性材料とが複合された複合体からなり、
前記複合体中において前記高誘電性材料と前記高磁性材料とがそれぞれ三次元的に連続した構造を有することを特徴とする電磁波吸収体。
【請求項2】
前記高誘電性材料及び前記高磁性材料の一方で成形され、内部に複数の長孔を備えた基材と、
前記高誘電性材料及び前記高磁性材料の他方で成形され、前記長孔に充填された充填材と、を有し、
前記長孔は、
所定方向に沿って形成された第1長孔と、
前記第1長孔と交差する第2長孔と、
前記第1長孔及び前記第2長孔と交差する第3長孔と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収体。
【請求項3】
前記高誘電性材料で形成された第1紐状体と、
前記高磁性材料で形成された第2紐状体と、を有し、
前記第1紐状体と前記第2紐状体とが複数混合された構造を有することを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収体。
【請求項4】
前記高誘電性材料に導電材を添加したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電磁波吸収体。
【請求項5】
高誘電性材料と高磁性材料とを含む電磁波吸収体を備え、前記高誘電性材料及び高磁性材料に対して入射した電磁波を吸収する電磁波吸収方法であって、
前記高誘電性材料に対して入射した電磁波に対する第1反射波と、前記高磁性材料に対して入射した電磁波に対する第2反射波とを逆位相とすることにより反射波を相殺することを特徴とする電磁波吸収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−94502(P2009−94502A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241157(P2008−241157)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】