説明

電磁波照射用導子及び電磁波照射用導子を備えた電磁波治療器

【課題】患部に対する電磁波の照射効率を高めて、治療効率を向上させることができるとともに、周辺の電子機器に対する電磁波の悪影響も防ぐ。
【解決手段】放射手段50の背面側に遮蔽手段51を設け、この遮蔽手段51によって、放射手段50の背面側に向け照射された電磁波を遮るとともに、その電磁波を遮蔽手段51に反射させて前面側の生体患部に照射させる。これにより生体の患部には、より多くの電磁波が照射され、治療効率の向上を図ることができ、かつ周囲の電子機器に与える電磁波の悪影響も防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば超短波やマイクロ波といった電磁波を用いて温熱治療を行うための電磁波照射用導子、及びこの電磁波照射用導子を備えた電磁波治療器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超短波やマイクロ波といった電磁波を人体に照射し、体内に発生する透熱効果により温熱治療を行う治療器として、例えば特開2001−46520号公報(特許文献1)及び特開2001−46521号公報(特許文献2)に示されるものが知られている。特許文献1に示される治療用導子は、治療器本体の出力端子にそれぞれ接続された第1の電極と第2の電極とを有するものであって、これら電極は2個が対になって容量結合されることにより、治療器本体からの出力に対するインピーダンス回路を構成している。そして、このように構成された治療用導子では、第1の電極と第2の電極との間に患部を挟んだ状態で、これら電極に電圧を印加した場合に、電極にて発生した電磁波が患部に照射され、当患部に対する温熱治療が行われる。
【0003】
特許文献2に示される治療用導子は、表面が低い誘電率かつ高い耐熱性の絶縁部材により被覆された1個の渦巻き状の導線と、この導線を収容する導線収容部とを備えたものであって、導線収容部内の導線には、治療器本体の出力整合回路からの駆動電圧が印加される。出力整合回路は、人体インピーダンスと、伝送経路の特性インピーダンスとの整合をとり、かつ渦巻き状の導線に駆動電圧を印加することで、導線にて電磁波を発生させるものであり、ここで発生した電磁波が患部に照射されることにより、当患部に対する温熱治療が行われる。
【特許文献1】特開2001−46520号公報
【特許文献2】特開2001−46521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に示される治療用導子では、患部に照射するべき電磁波が、患部が位置しない異なる方向にも放射され、照射効率が悪いという問題が発生していた。例えば、特許文献1に示される治療用導子では、2つの導子間に挟むように位置させた患部にのみ電磁波を照射すべきであるが、その周辺に電磁波が拡散し、患部に対する治療効率が悪くなるという問題が生じていた。さらに、治療用導子の周辺に電子機器などがある場合には、外部に向け放射された電磁波によって、電子機器などが影響を受けるという被害発生の恐れもあった。
【0005】
本発明は、従来の有していた問題を解決しようとするものであって、患部に対する電磁波の照射効率を高めて、治療効率を向上させることができるとともに、周辺の電子機器に対する電磁波の悪影響も防ぐことができる、電磁波照射用導子及びこの電磁波照射用導子を備えた電磁波治療器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、上記目的を達成するために、本発明の課題解決手段では、治療器本体の出力端子から供給される電力により生体の患部に対して電磁波を放射する放射手段と、この放射手段の背面側に設けられこの放射手段から放射された電磁波を遮る遮蔽手段と、これら放射手段及び遮蔽手段に接するように設けられてこれら放射手段及び遮蔽手段の間隔を維持するための緩衝手段と、を積層配置することにより、電磁波照射用導子を構成する。
【0007】
また、本発明の課題解決手段では、前記放射手段を渦巻き状に巻かれた導線とすることにより、電磁波照射用導子を構成する。
【0008】
また、本発明の課題解決手段では、前記放射手段を一対の電極とすることにより、電磁波照射用導子を構成する。
【0009】
また、本発明の課題解決手段では、前記放射手段の前面かつ生体に接する側に配置された第1の緩衝材と、放射手段の背面側でかつ遮蔽手段との間に配置された第2の緩衝材と、遮蔽手段の背面側に配置された第3の緩衝材とからなる緩衝手段を設けることにより、電磁波照射用導子を構成する。
【0010】
また、本発明の課題解決手段では、前記遮蔽手段を、柔軟性を有する格子状体で形成することにより、電磁波照射用導子を構成する。
【0011】
また、本発明の課題解決手段では、上述した電磁波照射用導子と、当該電磁波照射用導子が取り付けられ、当該電磁波照射用導子を生体の患部に対して脱着させる装着手段とから、電磁波照射用導子を備えた電磁波治療器を構成する。
【0012】
上記のように構成された電磁波照射用導子、及び電磁波照射用導子を備えた電磁波治療器の作用について説明する。
上記課題解決手段に示される電磁波照射用導子では、放射手段の背面側に遮蔽手段が設けられているので、この遮蔽手段によって、放射手段の背面側に向け放射された電磁波が遮られ、かつその電磁波が遮蔽手段に反射して前面側にある生体患部に照射され、これにより生体の患部には、より多くの電磁波が照射される。また、この遮蔽手段より、放射手段から外部に向け放射された電磁波も遮蔽される。
【0013】
本発明の課題解決手段に示される電磁波照射用導子では、放射手段が渦巻き状の導線により構成されているので、導線にて発生した電磁波が患部に照射され、当患部に対する温熱治療が行われるが、その際、発生した電磁波が、放射手段の背面に位置する遮蔽手段に反射して、前面側に位置する生体患部を照射することになり、その結果、生体の患部には、より多くの電磁波が照射されることになる。
【0014】
本発明の課題解決手段に示される電磁波照射用導子では、放射手段が一対の電極から構成されているので、これら電極間に生体の患部を挟んだ状態で、放射手段に電圧を印加した場合に、放射手段から電磁波が放射されて、この電磁波が電極間の生体患部に照射されるとともに、各電極の背面に位置する遮蔽手段が、放射手段からの電磁波をそれぞれ反射し、これら電極間に位置する生体の患部に対して、より多くの電磁波が照射されることになる。
【0015】
本発明の課題解決手段に示される電磁波照射用導子では、放射手段の前面でかつ生体に接する側に配置された第1の緩衝材と、放射手段の背面側でかつ遮蔽手段との間に配置された第2の緩衝材と、遮蔽手段の背面側に配置された第3の緩衝材とから緩衝手段が構成されているので、第1の緩衝材によって放射手段と患部との間隔が適正に保たれ、第2の緩衝材によって確実に電磁波を反射しかつ遮蔽できる間隔に遮蔽手段が配置され、第3の緩衝材によって外部からの衝撃が吸収される。
【0016】
本発明の課題解決手段に示される電磁波照射用導子では、遮蔽手段が柔軟性を有する格子状体から構成されるものであり、これにより生体にフィットする装着ができる。又、放射手段を構成する一対の電磁板を様々な角度で配置、例えば、患部を挟むように配置しても、電磁板間に位置する遮蔽手段が柔軟に屈曲するために、2枚の電磁板の動きを妨げることがなく、自由な角度、位置に電磁板が配置される。
【0017】
本発明の課題解決手段に示される電磁波照射用導子を備えた電磁波治療器では、装着手段により、前述した電磁波照射用導子が生体の患部に対して脱着されるようになっており、装着時において、電磁波照射用導子から放射された電磁波が、生体に対して効率良く照射される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の課題解決手段に示される電磁波照射用導子では、放射手段の背面側に遮蔽手段が設けられているので、この遮蔽手段によって、放射手段の背面側に向け放射された電磁波が遮られ、かつその電磁波が遮蔽手段に反射して前面側にある生体患部に照射される。これにより生体の患部には、より多くの電磁波が照射されることになり、治療効率の向上を図ることが可能となる。また、この遮蔽手段より、外部に向け放射された電磁波を遮蔽することが可能であるので、周囲の電子機器に与える電磁波の悪影響も防ぐことができる。
【0019】
本発明の課題解決手段に示される電磁波照射用導子では、放射手段が渦巻き状の導線により構成されているので、導線にて発生した電磁波が患部に照射され、当患部に対する温熱治療が行われるが、その際、発生した電磁波が、放射手段の背面に位置する遮蔽手段に反射して、前面側に位置する生体患部を照射することになり、その結果、生体の患部には、より多くの電磁波が照射されることになり、治療効率の向上を図ることが可能となる。
【0020】
本発明の課題解決手段に示される電磁波照射用導子では、放射手段が一対の電極から構成されているので、これら電極間に生体の患部を挟んだ状態で、放射手段に電圧を印加した場合に、放射手段から電磁波が放射されて、この電磁波が電極間の生体患部に照射されるとともに、各電極の背面に位置する遮蔽手段が、放射手段からの電磁波をそれぞれ反射し、これら電極間に位置する生体の患部に対して、より多くの電磁波が照射されることになり、治療効率の向上を図ることが可能となる。
【0021】
本発明の課題解決手段に示される電磁波照射用導子では、放射手段の前面でかつ生体に接する側に配置された第1の緩衝材と、放射手段の背面側でかつ遮蔽手段との間に配置された第2の緩衝材と、遮蔽手段の背面側に配置された第3の緩衝材とから緩衝手段が構成されているので、第1の緩衝材によって、放射手段と患部との間隔を適正に保ち効率の良く患部への電磁波照射を行うことができ、第2の緩衝材によって、確実に電磁波を反射しかつ遮蔽できる最適な間隔に遮蔽手段を位置させることができ、更に、第3の緩衝材によって、外部からの衝撃を吸収することができる。
【0022】
本発明の課題解決手段に示される電磁波照射用導子では、遮蔽手段が柔軟性を有する格子状体から構成されるものであり、これにより遮蔽手段を生体にフィットする装着ができ、良好な装着感を得ることが可能となる。又、放射手段を構成する一対の電磁板を様々な角度で配置、例えば、患部を挟むように配置しても、電磁板間に位置する遮蔽手段が柔軟に屈曲するために、2枚の電磁板の動きを妨げることがなく、自由な角度に電磁板を位置させることが可能となる。
【0023】
本発明の課題解決手段に示される電磁波照射用導子を備えた電磁波治療器では、装着手段により、前述した電磁波照射用導子が生体の患部に対して脱着されるようになっており、装着時において、電磁波照射用導子から放射された電磁波を、生体に対して効率良く照射することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施例1)
以下に本発明の実施例1を図1及び図2に基づいて説明する。
図1は本発明に係る電磁波照射用導子100の全体図を示すものである。
電磁波照射用導子100は、全体として板状に形成された放射手段を備えている。この放射手段50は、図2に示されるように、コード20を介して治療器本体の出力端子(図示略)に接続され、この出力端子から供給される駆動電力により、生体Mの患部に対して電磁波を放射するものである(後述する)。放射手段50の背面側には、放射手段50から放射された電磁波を遮る遮蔽手段51が設けられている。遮蔽手段51は、例えば銀フィルム、高分子ポリマーシートといった材料からなる柔軟性を有する格子状の板状体であって、放射手段50から背面側に放射された電磁波を前面側に反射し、後方に拡散することを防止する。なお、本実施例では、遮蔽手段51を格子状としたが、格子状とは図1のように網目状のものも含むものとする。また、十分な柔軟性を有するのであれば必ずしもこの格子は必須では無い。
【0025】
放射手段50及び遮蔽手段51の前面側及び背面側には、緩衝手段52が積層されている。緩衝手段52は、放射手段50の前面かつ生体に接する側に配置された第1の緩衝材52Aと、放射手段50の背面側でかつ遮蔽手段51との間に配置された第2の緩衝材52Bと、遮蔽手段51の背面側に配置された第3の緩衝材52Cとから構成されたものであり、例えば合成ゴム、天然ゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、EPTゴム等からなるシートにより構成され、全体として柔軟性を有している。第1の緩衝材52Aは、放射手段50と生体Mの患部との間に一定の間隔を保つために設けられているものであり、その厚さを適正に定めることにより、患部への電磁波照射を最大の効率とすることができる。第2の緩衝材52Bは、放射手段50と遮蔽手段51との間隔を一定に保つために設けられているものであり、その厚さを適正に定めることにより、放射手段50からの電磁波が遮蔽手段51にて反射される効率を最大とすることができる。第3の緩衝材52Cは外部からの衝撃を吸収し、放射手段50を保護するものである。なお、第2の緩衝材52Bは具体的には3〜20mmの厚さとすることが好ましい。
【0026】
次に、図2を参照して電磁波照射用導子100における放射手段50の具体的な構成を説明する。この放射手段50は、コイル型パッド導子であって、コード接続板16によって支持されたコード20を介して治療器本体の出力整合回路(図示せず)に接続されている。コード20に接続される導線12は、誘電率が低く耐熱性の高い絶縁部材、例えばシリコン樹脂で被覆されると共に、渦巻き状に巻かれたもので、ターン数を例えば10ターンとする。導線12は導線収容部14内に収容されており、この芯部14bの周囲に導線12が渦巻き状に巻かれることにより、直線状をなす領域12aと、屈曲された領域12bとが形成されたものである。この導線12には、間欠的にシリコンゴム等の柔軟性に富む接着剤からなり、同導線12の相対変位を規制するための導体保持部13が設けられている。なお、実施例1に示す放射手段50として、例えば特開2001−46521号公報に示される技術が使用される。
【0027】
そして、上記のように構成された電磁波照射用導子100では、治療器本体の出力整合回路を通して、放射手段50内の渦巻き状の導線12に駆動電圧が印加されることで、導線12にて電磁波が発生し、この発生した電磁波が生体Mの患部に照射され、当患部に対する温熱治療が行われることになる。その際、放射手段50の背面側に設けられた遮蔽手段51によって、放射手段50の背面側に向け照射された電磁波が遮られるとともに、その電磁波が遮蔽手段51に反射して前面側にある生体Mに照射される。これにより生体の患部には、より多くの電磁波が照射されることになり、治療効率の向上を図ることが可能となる。また、この遮蔽手段51より、外部に向け放射された電磁波を遮蔽することが可能であるので、周囲の電子機器に与える電磁波の悪影響も防ぐことができる。なお、前記放射手段50は、導線収容部14内に収容されているが、渦巻き形状が維持されるのであれば、導線収容部14内に収容する必要は無く、第1の緩衝材52Aと第2の緩衝材52Bとの間に直接積層しても良い。また、電磁波照射用導子100は、図1に符号55で示すカバーに収納して人体に装着し、その際に、カバーを生体Mの腕、脚、胴体に巻きつけるためのベルト、紐を取り付けても良い。そして、これらカバー55、ベルト、紐等によって、請求の範囲に示す装着手段が構成される。さらに、電磁波照射用導子100と、装着手段と、治療器本体などによって電磁波治療器が構成される。
【0028】
(実施例2)
以下に本発明の実施例2を図3〜図5に基づいて説明する。図3は本発明に係わる電磁波照射用導子101の全体図を示すものであって、この電磁波照射用導子101が、実施例1に示される電磁波照射用導子100と異なる点は放射手段60の構成にある。すなわち、その相違は、実施例1に示される放射手段50がインダクタンス型であるのに対して、実施例2の放射手段60は、一対の電極60A・60Bを有するキャパシタンス型である点にある。電磁波照射用導子101では、一対の電極60A・60Bにより放射手段60が構成され、かつ柔軟性を有する材料で遮蔽手段51及び緩衝手段52が形成されていることから、中心線Lを境に折り畳み自在、屈曲自在となり、電磁波照射を行う患部の状態に応じて、電極60Aと電極60Bとを様々な位置関係、角度で配置させることができる。なお、図3にて、電磁波照射用導子101の中心線Lを境に右半分を導子部101A、左半分を導子部101Bとする。また、放射手段60の背面側には、放射手段60から放射された電磁波を遮る遮蔽手段51が設けられ、放射手段60及び遮蔽手段51の前面側及び背面側には、緩衝手段52が積層されているが、これら遮蔽手段51、緩衝手段52の構成、機能については、実施例1と同じである。また、図3では、遮蔽手段51及び緩衝手段52の緩衝材52A・52Bを一体型としたが、これに限定されず、放射手段60と同様にそれぞれ一対としても良い。
【0029】
次に、図4及び図5を参照して電磁波照射用導子101を備えた電磁波治療器102の具体的構成を説明する。これら図4及び図5に符号32で示されるカバー内には、電磁波照射用導子101を構成する導子部101A・101Bが共に収納されている。また、これら図4及び図5は導子部101A・101B内の電極60A・60Bの具体的構成を示すものであり、遮蔽手段51及び緩衝手段52の図示は省略されている。
【0030】
図4に示されるように、導子部101Aには電磁波を照射する電極60Aがあり、この電極60Aはコード固定板31によりカバー32に固定される。電極60Aは、銅などの金属導体を材料とする平板又は金網形状で、寸法は例えば10cm×10cmの略正方形をしており、2芯のコード33と接続されている。コード固定板31は、図5に示すように電極60Aに固定された扇型の板金で、同軸ケーブルよりなるコード33の芯線を固定する。カバー32は、電極60A及びコード固定板31を覆う絶縁性の布からなる。好ましくは、カバー32にポリエステル製フェルトを用いて、剛性の高い電極60Aと患者の皮膚との馴染みを良くすると共に、電極60Aを保護して機械的損傷や漏電の発生を防止すると良い。また、カバー32には電極60Aを支持する支持バンド34が設けられ、この支持バンド34を介して、生体Mの腕、脚、胴体に装着する固定ベルト45に固定されている。
【0031】
導子部101Bは、電磁波を照射する電極60Bを有するものであり、この電極60Bは同軸ケーブルよりなるコード37に接続されるとともに、コード固定板(図示せず)によりカバー32に固定されている。また、カバー32には、電極60Bを支持する支持バンド38が設けられ、この支持バンド38を介して、生体Mの腕、脚、胴体に装着する固定ベルト45に固定されている。電極60A・60Bに電力を供給するコード33・37の先端には、3端子プラグ44が設けられ、この3端子プラグ44を介して、治療器本体にある出力整合回路の出力端子(図示せず)に接続される。なお、固定ベルト45は、布製でもよく、また紐や帯でも良い。
【0032】
なお、実施例2では、カバー32、支持バンド34・38、固定ベルト45によって請求の範囲に示され装着手段103が構成される。そして、この装着手段103によって、電磁波照射用導子101を構成する導子部101B・101Aが、生体Mの患部に対して装着される。また、実施例1に示される電磁波照射用導子100を、実施例2と同様な、カバー32、支持バンド34・38、固定ベルト45からなる装着手段103により、生体Mの患部に装着しても良い。
【0033】
このように構成された電磁波治療器102では、患部が腕や足の場合には、中央の屈曲部43を腕や足の厚みに応じて屈曲させて、導子部101A・101Bにより患部を挟む。そして、固定ベルト45によって導子部101A・101Bを患部に対して固定し、電磁波治療を行う。また、患部が肩や腰の場合には、屈曲部43を背骨に位置合わせして、背骨に対して左右対称に肩や腰の患部と対向するように導子部101A・101Bを位置合わせする。そして、固定ベルト45によって導子部101A・101Bを患部に対して固定し、電磁波治療を行う。屈曲部43により導子部101A・101Bが人体の曲面に沿うように固定されるので、導子部101A・101B間で電磁波が患部を透過して、温熱治療が行われる。なお、実際例2に示す放射手段50として、例えば特開2001−46520号公報に示される技術が使用される。
【0034】
そして、以上のように上記のように構成された電磁波治療器102では、治療器本体の出力端子から、電磁波照射用導子101の放射手段60を構成する一対の電極60A・60Bに駆動電圧が印加されることで、電極60A・60Bにて電磁波が発生し、この発生した電磁波が電極60A・60B間の生体Mの患部に照射され、当患部に対する温熱治療が行われることになる。その際、放射手段60の背面側に設けられた遮蔽手段51によって、放射手段60の背面側に向け照射された電磁波が遮られるとともに、その電磁波が遮蔽手段51に反射して前面側にある生体Mに照射される。これにより生体の患部には、より多くの電磁波が照射されることになり、治療効率の向上を図ることが可能となる。また、この遮蔽手段51より、外部に向け放射された電磁波を遮蔽することが可能であるので、周囲の電子機器に与える電磁波の悪影響も防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、超短波やマイクロ波といった電磁波を人体に照射し、体内に発生する透熱効果により温熱治療を行う電磁波照射用導子、及びこの電磁波照射用導子を備えた電磁波治療器に関する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例1を示す図で、(A)は斜視図、(B)はその正面図
【図2】実施例1の放射手段50を具体的に示す図で、(A)は放射手段50の平面図、(B)は図(A)を矢印B−Bに沿って切った断面図
【図3】本発明の実施例2を示す図で、(A)は斜視図、(B)はその正面図
【図4】図3の電磁波照射用導子101を用いた電磁波治療器102を示す平面図
【図5】図4の導子部101Aを詳細に示す平面図
【符号の説明】
【0037】
50 放射手段
51 遮蔽手段
52 緩衝手段
55 カバー(装着手段)
60 放射手段
60A 電極
60B 電極
100 電磁波照射用導子
101 電磁波照射用導子
101A 導子部
101B 導子部
102 電磁波治療器
103 装着手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療器本体の出力端子から供給される電力により生体の患部に対して電磁波を放射する放射手段と、
この放射手段の背面側に設けられこの放射手段から放射された電磁波を遮る遮蔽手段と、
これら放射手段及び遮蔽手段に接するように設けられてこれら放射手段及び遮蔽手段の間隔を維持するための緩衝手段と、
が積層配置されていることを特徴とする電磁波照射用導子。
【請求項2】
前記放射手段は、渦巻き状に巻かれた導線を有することを特徴とする請求項1に記載の電磁波照射用導子。
【請求項3】
前記放射手段は、一対の電極を有することを特徴とする請求項1に記載の電磁波照射用導子。
【請求項4】
前記緩衝手段は、
放射手段の前面かつ生体に接する側に配置された第1の緩衝材と、
放射手段の背面側でかつ遮蔽手段との間に配置された第2の緩衝材と、
遮蔽手段の背面側に配置された第3の緩衝材と
から構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁波照射用導子。
【請求項5】
前記遮蔽手段は、柔軟性を有する格子状体により形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電磁波照射用導子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電磁波照射用導子と、
当該電磁波照射用導子が取り付けられ、当該電磁波照射用導子を生体の患部に対して脱着させる装着手段と、
を有する電磁波照射用導子を備えた電磁波治療器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−73164(P2008−73164A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254616(P2006−254616)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(591032518)伊藤超短波株式会社 (69)
【Fターム(参考)】