説明

電磁波遮蔽フィルムと光学機能性フィルムとの貼合用粘着剤、及び前記粘着剤を含むディスプレイパネルフィルター要素

【課題】電磁波遮蔽フィルムと光学機能性フィルムとの貼合において、充分な粘着力を示し、メッシュ状金属箔開口部内部に充填され、加熱処理の際にも気泡を発生させない貼合用粘着剤、及び前記貼合用粘着剤を含むディスプレイパネルフィルター要素を提供する。
【解決手段】貼合用粘着剤は、電磁波遮蔽フィルムと光学機能性フィルムとの貼合用であり、70℃における貯蔵弾性率が7.00×10Pa以上であることを特徴とする。ディスプレイパネルフィルター要素は、(1)透明基材フィルムと、その透明基材フィルムの一方の表面上に設けた接着剤層と、その接着剤層の表面上に形成されたメッシュ状金属箔との積層体である電磁波遮蔽フィルム、(2)前記電磁波遮蔽フィルムのメッシュ状金属箔を覆うように設けた前記貼合用粘着剤の層、及び(3)前記粘着剤層の表面上に設けられた光学機能性フィルムを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波遮蔽フィルムと光学機能性フィルムとの貼合用粘着剤、及び前記粘着剤を含むディスプレイパネルフィルター要素に関する。本発明の粘着剤は、例えば、プラズマディスプレイパネルなどを構成するディスプレイパネルフィルター要素の製造に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイなどの電磁気的装置から発生する電磁波は、他の電磁気的装置に悪影響を与えるだけでなく、人体に対しても悪影響を及ぼすものと考えられている。特に、プラズマディスプレイからは30MHz〜130MHzの周波数の電磁波が発生しており、周囲に存在するコンピュータやコンピュータ利用機器に影響を与えることがあるため、発生する電磁波をできるだけ外部にもらさないことが望まれている。電磁波を遮蔽する方法としては、高導電性材料で構成されたケースで覆う方法か、導電性ネットで被覆する方法もあるが、プラズマディスプレイのように観察を必要とする装置では、透視性が要求されるため、前記の方法を採用することはできない。
【0003】
そこで、プラズマディスプレイなどでは、電磁波遮蔽性と透視性とを兼ね備えたものとして、透明基材フィルム上に接着剤層を介して積層した金属箔をエッチングして開口部を形成し、メッシュ状とした金属箔を有する電磁波遮蔽シートが用いられるようになっている。透明基材フィルムと接着剤層とメッシュ状金属箔との積層体である電磁波遮蔽フィルムでは、金属箔の層厚やメッシュ開口部の寸法を適正に調整することにより、放出される電磁波の強度がプラズマディスプレイのように強いレベルであっても、充分な遮蔽能力を示し、しかも、ディスプレイ画面の視認性を損なわない透明性を兼ね備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前記の電磁波遮蔽フィルムは、その表面上のメッシュ状金属箔の上から粘着剤を付与し、各種の光学機能性フィルム(例えば、近赤外光吸収フィルム、紫外光吸収フィルム、又は反射防止フィルム)を貼合させる。このような電磁波遮蔽フィルムと光学機能性フィルムとの貼合処理は、一般に、貼合後、オートクレーブ処理が0.3〜1.5MPa程度の加圧下及び40〜80℃程度の加熱下で実施される。前記のオートクレーブ処理では、加圧によって微細な凹凸表面構造を有するメッシュ状金属箔の開口部の内部に粘着剤を完全に充填させ、気泡を完全に排除する必要がある(以下、「埋め込み性」ということがある)。また、前記の貼合に用いる粘着剤には、貼合された電磁波遮蔽フィルムと光学機能性フィルムとが剥離するのを防止するために、電磁波遮蔽フィルムの表面上のメッシュ状金属箔と光学機能性フィルムとの充分な粘着力と、メッシュ状金属箔の開口部に露出している接着剤層と光学機能性フィルムとの充分な粘着力とが求められる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−188576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記の電磁波遮蔽フィルムと各種の光学機能性フィルムとの貼合に従来から使用されていた粘着剤は、粘着力の点で不充分であったり、加圧してもメッシュ状金属箔の開口部の内部に充分に充填されなかったり、加熱処理の際に気泡を発生させたりするなどの欠点を有していた。
本発明者は、電磁波遮蔽フィルムと光学機能性フィルムとの貼合という特殊な用途においては、粘着剤の粘弾性パラメータを特定の範囲内に設定することによって、高い粘着力を達成することができることを見出した。
従って、本発明の課題は、前記の電磁波遮蔽フィルムと各種の光学機能性フィルムとの貼合において、充分な粘着力を示し、加圧によりメッシュ状金属箔の開口部の内部に充分に充填され、しかも加熱処理の際にも気泡を発生させない粘着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、本発明により、70℃における貯蔵弾性率が7.00×10Pa以上であることを特徴とする、電磁波遮蔽フィルムと光学機能性フィルムとの貼合用粘着剤によって解決することができる。
【0008】
本発明による前記粘着剤の好ましい態様においては、23℃における貯蔵弾性率が1.00×10Pa以上であることを特徴とする。
本発明による前記粘着剤の別の好ましい態様においては、損失正接(tanδ)のピーク温度が−15℃以上である。
本発明による前記粘着剤の更に別の好ましい態様においては、構成成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含有するアクリル系共重合体からなり、好ましくは、構成成分として更に窒素含有ビニル単量体を含有するアクリル系共重合体からなり、より好ましくは、アクリル系共重合体が酸成分を含まない。
【0009】
更に、本発明は、
(1)透明基材フィルムと、その透明基材フィルムの一方の表面上に設けた接着剤層と、その接着剤層の表面上に形成されたメッシュ状金属箔との積層体である電磁波遮蔽フィルム、
(2)前記電磁波遮蔽フィルムのメッシュ状金属箔を覆うように設けた前記粘着剤の層、及び
(3)前記粘着剤層の表面上に設けられた光学機能性フィルム
を含むことを特徴とする、ディスプレイパネルフィルター要素にも関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による粘着剤は、オートクレーブ処理温度(70℃)における貯蔵弾性率を特定の範囲とすることにより、加熱及び加圧によりメッシュ状金属箔の開口部の内部に充分に充填され、しかも高温高湿度条件下での耐久性を有している。
また、本発明による粘着剤は、常温(23℃)における貯蔵弾性率も、通常の粘着剤よりも高いので、電磁波遮蔽フィルムのメッシュ状金属箔側の面に対して良好な密着性を有している。
更に、本発明による粘着剤は、耐腐食性にも優れているので、電磁波遮蔽フィルムに付与した場合でも、メッシュ状金属箔を腐食させることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
粘着剤は、弾性と粘性の両方の挙動を示す粘弾性体である。粘弾性を数量的に表す粘弾性パラメータとして、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、及び損失正接(tanδ)が広く採用されている。貯蔵弾性率は、歪みと同位相の弾性応力の比率として定義され、材料が弾性的にエネルギーを貯蔵する能力に関連している。また、損失弾性率は、歪みとは異なる位相の比率であり、材料が応力を熱として散逸する能力に相当する。また、これらの弾性率の比(G’’/G’)は損失正接(tanδ)として定義され、材料の弾性成分に対する粘性成分の比を示している。これらの粘弾性パラメータは、動的粘弾性測定装置によって測定することができる。
【0012】
さて、本発明による粘着剤は、70℃における貯蔵弾性率が、7.00×10Pa以上であり、好ましくは8.00×10Pa以上、より好ましくは9.00×10Pa以上である。なお、70℃は、電磁波遮蔽フィルムと光学機能性フィルムとのオートクレーブ貼合処理の代表的な温度である。70℃における貯蔵弾性率(G’)が7.00×10Pa未満になると、本発明の用途において、高温高湿度条件下での耐久性が悪化することがある。一方、70℃における貯蔵弾性率(G’)の上限は特に限定されないが、本発明の用途において、粘着剤が硬くなり過ぎると、電磁波遮蔽フィルムの表面上のメッシュ状金属箔の上から粘着剤を付与し、微細な凹凸表面構造を有するメッシュ状金属箔の開口部の内部に粘着剤を完全に充填させるためには、オートクレーブ処理における圧力をより高くしなければならないことがある。この点から70℃における貯蔵弾性率の上限として、好ましくは1.00×10Paである。
【0013】
また、本発明による粘着剤は、23℃(室温)における貯蔵弾性率(G’)が好ましくは1.00×10Pa以上、より好ましくは1.50×10Pa以上、最も好ましくは2.00×10Pa以上である。23℃(室温)における貯蔵弾性率(G’)が1.00×10Pa未満になると、本発明の用途において、電磁波遮蔽フィルムと光学機能性フィルムとの粘着力が不充分になることがある。一方、23℃(室温)における貯蔵弾性率(G’)の上限は特に限定されないが、本発明の用途においては、23℃における貯蔵弾性率(G’)が高くなりすぎると貼合適性が低下するので、23℃における貯蔵弾性率の上限として、好ましくは1.00×10Paである。
【0014】
本発明による粘着剤は、損失正接(tanδ)のピーク温度が、好ましくは−15℃以上であり、より好ましくは−12℃以上である。ピーク温度が−15℃未満になると、所望の粘着力を得ることが困難になるおそれがある。損失正接(tanδ)のピーク温度の上限は特に限定されないが、損失正接のピーク温度が高くなりすぎると貼合適性が低下するので、損失正接のピーク温度の上限として、好ましくは30℃である。
【0015】
本発明による粘着剤は、後述する実施例に示す条件下において、粘着力が、好ましくは20〜50N/25mm、より好ましくは22〜45N/25mmである。
【0016】
本発明による粘着剤の好ましい例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を構成成分とするアクリル系共重合体が挙げられ、特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体及び窒素含有ビニル単量体を構成成分とするアクリル系共重合体が好ましい。また、前記アクリル系共重合体を構成する全ての単量体に対する窒素含有ビニル単量体の比率は、好ましくは0.1〜30.0質量%、より好ましくは3〜30質量%、最も好ましくは4〜25質量%である。なお、アクリル系共重合体を構成する単量体の混合物を、以後「単量体混合物」ということがある。前記窒素含有ビニル単量体の使用量が、0.1質量%未満になると、粘着力が低くなりすぎることがあり、30質量%を超えると、埋め込み性が悪くなることがある。
【0017】
前記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、例えば、炭素原子数1〜20(好ましくは炭素原子数1〜12)のアルキルエステル部分を有するアクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルである。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、又は(メタ)アクリル酸ステアリルなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
前記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(1種又は2種以上)は、前記単量体混合物中において、好ましくは70〜97質量%、より好ましくは75〜95質量%の量で使用することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の量が70質量%未満になると、埋め込み性が悪くなることがあり、97質量%を超えると、粘着力が低くなりすぎることがある。
【0019】
アクリル系共重合体を構成成分とする前記単量体混合物は、更に分子内に架橋性官能基を有する単量体を含むことが好ましい。架橋性官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基、カルボキシル基、又は炭素−炭素不飽和結合などを挙げることができる。ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基又はカルボキシル基は架橋剤と反応して架橋するものであり、炭素−炭素不飽和結合は、それら相互の付加反応により架橋するものである。分子内に架橋性官能基を有する単量体の例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのアクリルアミド類;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げることができる。これらの単量体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。炭素−炭素不飽和結合を有する基の例としては、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。メッシュ状金属箔の腐食を抑制する観点から、架橋性官能基を有する単量体は酸成分を含まないものが好ましく、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが特に好ましい。
【0020】
前記の架橋性官能基を有する単量体は、前記単量体混合物中において、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%の量で使用することができる。
【0021】
前記の窒素含有ビニル単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリル酸ジメチルアミノエチル、又はアクリロイルピペリジン等を挙げることができる。
【0022】
これらの中でも、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃以上、更には110℃以上である窒素含有ビニル単量体が好ましい。このような窒素含有ビニル単量体は、アクリルアミド(119℃)、メタクリルアミド(171℃)、N−tert−ブチルアクリルアミド(135℃)、N,N−ジメチルアクリルアミド(119℃)、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(119℃)、N−イソプロピルアクリルアミド(134℃)、N−フェニルアクリルアミド(160℃)、アクリロイルモルホリン(145℃)、アクリロイルピペリジン(116℃)が挙げられ、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミドが特に好ましい。なお、( )内はホモポリマーのガラス転移温度である。
【0023】
なお、窒素含有ビニル単量体が、前述の架橋性官能基を有する単量体であってもよい。
【0024】
前記のアクリル系共重合体は、場合によりその他の単量体を構成成分として含んでいてもよい。その他の単量体としては、例えば、酢酸ビニルやスチレンなどが挙げられる。
【0025】
前記のアクリル系共重合体は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体及び窒素含有ビニル単量体を含む単量体混合物から、溶液重合や塊状重合等の任意の公知の重合方法によって得ることができる。重量平均分子量は、好ましくは20万〜180万程度であり、より好ましくは50万〜150万である。
【0026】
また、前記のアクリル系共重合体を架橋剤によって架橋することが好ましい。架橋剤としては、例えば、ポリイソシアナート化合物、金属キレート化合物、エポキシ化合物などが挙げられるが、ポリイソシアナート化合物が好ましい。ポリイソシアナート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアナートもしくはその水素化物又はトリレンジイソシアナートのトリメチロールプロパンとのアダクト体、トリフェニルメタントリイソシアナート、メチレンビス−ジ−フェニルイソシアナートもしくはその水素化物、ヘキサメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンとのアダクト体、キシリレンジイソシアナート、キシレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンとのアダクト体、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、あるいはこれらの重合物のように、分子内に2個以上のイソシアナート基を有するものを用いることができる。架橋剤の使用量は特に限定されないが、通常アクリル系共重合体100質量部に対し、0.01〜10質量部である。
【0027】
本発明による粘着剤は、前記のアクリル系共重合体に加えて、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂、クマロンインデン樹脂もしくはフェノール樹脂等の粘着付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、防錆剤、又はシランカップリング剤もしくは充填剤等の適宜の添加剤を配合してもよい。
【0028】
更に、本発明の粘着剤には、近赤外線吸収剤、ネオン光カット剤、染料、又は顔料などを含有させることにより、プラズマディスプレイからの各種光線、例えば、近赤外線又はネオン光の放出を防止ないし軽減することができる。
近赤外線吸収剤の例としては、シアニン系、チオール系金属錯体系、アゾ化合物、ポリメチン系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、キノン系又はジイモニウム塩系などの色素が挙げられ、プラズマディスプレイから放出される近紫外線の波長に併せて通常2種類以上を使用することができる。ネオン光カット剤としては、例えば、シアニン系、スクアリウム系、アゾメチン系、キサンテン系、又はオキソノール系の化合物を用いることができる。
【0029】
本発明の粘着剤は、前記の通り、電磁波遮蔽フィルムと光学機能性フィルムとの貼合用粘着剤である。電磁波遮蔽フィルムとしては、
(1)透明基材フィルムと、
(2)その透明基材フィルムの一方の表面上に設けた接着剤層と、
(3)その接着剤層の表面上に形成されたメッシュ状金属箔と
の積層体が挙げられる。透明基材フィルムとしては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ポリサルホン樹脂、もしくはポリ塩化ビニル樹脂等のフィルムを用いることができる。通常は、機械的強度が優れ、透明性が高いポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂のフィルムを用いることが好ましい。透明基材フィルムの厚みは、特に限定されないが、機械的強度があり、折り曲げに対する抵抗性を大きくする点から、50μm〜200μm程度であることが好ましい。必要に応じ、透明基材フィルムの片面もしくは両面にコロナ放電処理を施したり、あるいは易接着層を設けるとよい。
【0030】
電磁波遮蔽フィルムを形成する方法としては、例えば、透明基材フィルムの一方の表面上に接着剤を介して金属箔を設け、エッチング処理を行う方法が挙げられる。金属箔としては、銅、鉄、ニッケル、もしくはクロム等の金属、又はこれらの金属の合金、もしくはこれらの金属の1種以上を主体とする合金の箔を用いることができ、特に限定はされないが、これらのうち、電磁波遮蔽性が高く、エッチングが容易で、取扱いやすいことから、銅箔を用いることが好ましい。
【0031】
金属箔の厚みは、好ましくは1μm〜100μm、より好ましくは5μm〜20μmである。金属箔の厚みが1μm未満になると、電磁波遮蔽性が十分でなく、100μmを超えると、サイドエッチングの進行が無視できないため、エッチングにより、所定の精度で開口部を形成することが困難になる。また、金属箔は、透明基材フィルム側に、黒化処理による黒化層を有したものであってよく、防錆効果に加え、反射防止性を付与することができる。黒化層の上に防錆処理としてクロメート処理をしてもよい。予め黒化処理された金属箔を用いないときは、後の適宜な工程において、黒化処理を行うこともできる。なお、黒化層の形成は、レジスト層となり得る感光性樹脂層を、黒色に着色した組成物を用いて形成し、エッチングが終了した後に、レジスト層を除去せずに残留させることによっても形成することができるし、黒色系の被膜を与えるメッキ法によってもよい。
【0032】
透明基材フィルムと金属箔との積層は、透明基材フィルムとして、熱融着性の高いエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂もしくはアイオノマー樹脂等の熱融着性樹脂のフィルムを単独又は他の樹脂フィルムと積層して使用するときは、接着剤層を設けずに行うことも可能であるが、通常は、接着剤層を用いたドライラミネート法等によって積層を行う。接着剤層を構成する接着剤としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、もしくはエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等の接着剤を挙げることができ、これらの他、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等)を用いることもできる。
【0033】
こうして得られたラミネート体の金属箔をエッチングして開口部を密に形成し、メッシュ状とすることによって、透明基材フィルムと接着剤層とメッシュ状金属箔との積層体である電磁波遮蔽フィルムを得ることができる。
【0034】
本発明による粘着剤の被着体の一方となる電磁波遮蔽フィルムのメッシュ状金属箔は、光透過性が必要なことから、通常開口率が65〜95%のものが用いられる。開口率は、メッシュ状金属箔の面積に対する光透過性部分(金属箔が無いところ)の面積の割合で表される。また、メッシュ状金属箔の厚さは、1μm〜100μmが好ましく、5μm〜20μmがより好ましい。
【0035】
本発明による粘着剤は、前記電磁波遮蔽フィルムのメッシュ状金属箔担持表面あるいは光学機能性フィルムの表面に公知の任意の方法で付与することができ、それにより粘着剤担持フィルムとすることができる。粘着剤を付与する方法としては、例えば、剥離シートの剥離処理面上に公知の塗工方法で本発明による粘着剤の層を設け、この粘着剤層と前記メッシュ状金属箔担持表面あるいは光学機能性フィルムの表面とを貼合して粘着剤層を転写する方法、あるいは、本発明の粘着剤を、メッシュ状金属箔担持表面あるいは光学機能性フィルム表面に公知の方法で塗工して付与する方法を挙げることができる。塗工方法としては、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、ダイコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、又はスクリーン印刷等の手法を挙げることができる。
【0036】
前記電磁波遮蔽フィルムのメッシュ状金属箔担持表面あるいは光学機能性フィルム表面に付与された本発明による粘着剤は、光学機能性フィルム及び/又はメッシュ状金属箔表面に貼合された後、オートクレーブ処理が実施される。オートクレーブ処理は、公知の方法により、例えば、40〜80℃にて、0.3〜1.5MPaの加圧下にて実施することができる。本発明の粘着剤は、メッシュ状金属箔を完全に覆う厚さで設けることが好ましい。こうして形成される粘着剤層の層厚は、オートクレーブ処理後において、好ましくは20μm〜100μm、より好ましくは20μm〜40μmである。
【0037】
光学機能性フィルムとしては、例えば、近赤外光又は赤外光を吸収するフィルム、ネオン光を吸収するフィルム、紫外光を吸収するフィルム、メッシュ状金属箔に加えて電磁波の漏洩を防止ないし軽減するフィルム、外光の反射を防止するフィルム、又は色調の補正を行うフィルムを挙げることができる。また、ディスプレイパネルのガラス面を保護したり、ガラス割れ時の飛散防止を行うフィルムを貼合することもできる。光学機能性フィルムの基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどのフィルムが用いられる。基材の厚さは20μm〜300μm程度である。
【0038】
本発明によるディスプレイパネルフィルター要素は、
(1)透明基材フィルムと、その透明基材フィルムの一方の表面上に設けた接着剤層と、その接着剤層の表面上に形成されたメッシュ状金属箔との積層体である電磁波遮蔽フィルム、
(2)前記電磁波遮蔽フィルムのメッシュ状金属箔を覆うように設けた本発明による粘着剤の層、及び
(3)前記粘着剤層の表面上に設けられた光学機能性フィルム
を含む。
【0039】
前記のディスプレイパネルフィルター要素は、プラズマディスプレイパネルなどの構成要素として用いることができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0041】
《実施例1》
単量体成分としてのアクリル酸n−ブチル64.5質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5質量部、及びアクリロイルモルホリン5質量部と、開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.2質量部とを酢酸エチル200質量部中に添加し、60℃で17時間攪拌することにより重量平均分子量85万のアクリル酸エステル共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液の固形分100質量部に対し、架橋剤としてのキシレンジイソシアナート系3官能性アダクト体〔綜研化学(株)製:TD−75〕0.5質量部を加え、2−ブタノンにて濃度25質量%の溶液となるように希釈し、粘着剤溶液とした。なお、アクリロイルモルホリンのホモポリマーのガラス転移温度は、145℃である。
この粘着剤溶液をナイフコーターによって剥離フィルム〔リンテック(株)製、SP−PET3811〕の剥離処理面に塗布し、90℃で1分間乾燥して厚さ25μmの粘着剤層を形成した。次いで、粘着剤層に厚さ100μmの光学機能性フィルムの基材となるポリエチレンテレフタレートフィルム〔東洋紡績(株)製「コスモシャインA4300」〕をラミネートし、粘着剤担持フィルムを得た。
【0042】
《実施例2》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル59.5質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5質量部、及びアクリロイルモルホリン10質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は85万であった。
【0043】
《実施例3》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル54.5質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5質量部、及びアクリロイルモルホリン15質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は85万であった。
【0044】
《実施例4》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル49.5質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5質量部、及びアクリロイルモルホリン20質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は85万であった。
【0045】
《実施例5》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル64.5質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5質量部、及びN,N−ジメチルアクリルアミド5質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は80万であった。なお、N,N−ジメチルアクリルアミドのホモポリマーのガラス転移温度は、119℃である。
【0046】
《実施例6》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル59.5質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5質量部、及びN,N−ジメチルアクリルアミド10質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は80万であった。
【0047】
《実施例7》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル54.5質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5質量部、及びN,N−ジメチルアクリルアミド15質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は80万であった。
【0048】
《実施例8》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル49.5質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5質量部、及びN,N−ジメチルアクリルアミド20質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は80万であった。
【0049】
《実施例9》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル59質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1質量部、及びアクリロイルモルホリン10質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は80万であった。
【0050】
《実施例10》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル58質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル2質量部、及びアクリロイルモルホリン10質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は80万であった。
【0051】
《実施例11》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル57質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル3質量部、及びアクリロイルモルホリン10質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は80万であった。
【0052】
《実施例12》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル54質量部、アクリル酸メチル30質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1質量部、及びアクリロイルモルホリン10質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は80万であった。
【0053】
《比較例1》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル49.5質量部、アクリル酸メチル30質量部、メタクリル酸メチル20質量部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は80万であった。
【0054】
《比較例2》
単量体成分として、アクリル酸n−ブチル79質量部、アクリル酸メチル20質量部、及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル1質量部を用いること以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着剤担持フィルムを得た。なお、得られたアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は90万であった。
【0055】
[物性評価]
(1)銅メッシュ積層フィルムの製造
以下の物性評価に用いる電磁波遮蔽フィルムとしての銅メッシュ積層フィルムを以下の方法で製造した。
すなわち、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東洋紡績(株)製「コスモシャインA4100」〕と、片面を黒化処理した厚み10μmの銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、品番:BW−S〕とを準備した。ポリウレタン樹脂からなる接着剤〔武田薬品工業(株)製、タケラックA310(主剤)/タケネートA10(硬化剤)/酢酸エチル=12/1/21の質量比で混合〕にて、前記銅箔の黒化処理面とは反対側の表面と前記ポリエチレンテレフタレートフィルムとを貼合し、ポリエチレンテレフタレートフィルム/接着剤層/銅箔の構成の積層体とした。
【0056】
得られた積層体の銅箔側に、カゼインを主成分とするレジスト溶液を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層とし、パターンが形成されたマスクを用いて紫外線の密着露光を行い、露光後に水で現像して、硬化処理を施してから、100℃の温度でベーキングを行い、レジストパターンを形成した。マスクのパターンとしては、ピッチが300μmであり、線幅が10μmのパターンを使用した。レジストパターンが形成された上記の積層体に、レジストパターン側より、塩化第2鉄溶液(ボーメ度:42、温度:30℃)を噴射してエッチングを行った後、水洗を行ってから、アルカリ溶液を用いてレジスト剥離を行い、剥離後に洗浄及び乾燥を行って、ポリエチレンテレフタレートフィルム/接着剤層/銅メッシュの構成の銅メッシュ積層フィルム(電磁波遮蔽フィルム)を得た。銅メッシュの開口率は80%であり、厚さは10μmであった。
【0057】
(2)銅メッシュに対する粘着力の測定方法
粘着剤担持フィルムから、25mm幅及び240mm長のサンプルを切り出し、剥離フィルムを剥がして、被着体としての銅メッシュ積層フィルムの銅メッシュ側に貼合した後、オートクレーブ(栗原製作所製)にて、0.5MPa、70℃、及び30分間の条件で加圧した。その後、23℃及び相対湿度(Rh)50%の環境下で24時間放置した後、引張り試験機(オリエンテック社製テンシロン)を用いて、剥離速度300mm/min、及び剥離角度180°の条件で測定した。なお、実施例1〜12及び比較例1の全てにおいて、粘着剤と銅メッシュの界面で剥離が起きた。
【0058】
(3)ガラスに対する粘着力の測定方法
被着体を無アルカリガラス(コーニング社製「1727」)に変えたこと以外は、前項(2)「銅メッシュに対する粘着力の測定方法」と同様にして測定した。
【0059】
(4)貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G’’)の測定方法
貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G’’)は、剥離フィルム上に形成された厚さ25μmの粘着剤層を積層して、直径8mm及び厚さ3mmの円柱状の粘着剤層からなる試験片を作成し、ねじり剪断法により、下記の条件で測定を行った。
測定装置:レオメトリック社製 動的粘弾性測定装置「DYNAMIC ANALYZER RDAII」
周波数:1Hz
温度:23℃、70℃
【0060】
(5)損失正接(tanδ)の算出方法
損失正接(tanδ)は、貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G’’)の値から以下の計算によって算出することができる。
損失正接=損失弾性率/貯蔵弾性率
【0061】
(6)気泡の有無
粘着剤層担持フィルムから幅50mm及び長さ120mmのサンプルを切り出し、剥離フィルムを剥がして銅メッシュ積層フィルムの銅メッシュ側に貼合した後、オートクレーブ(栗原製作所製)にて、0.5MPa、70℃、及び30分間の条件で加圧した後、目視観察を行い、以下の基準で評価を行った。
○:外観異常は見られなかった。
×:粘着剤層と銅メッシュとの界面に気泡が見られた。
【0062】
(7)耐久性能の評価方法
粘着剤担持フィルムから幅50mm及び長さ120mmのサンプルを切り出し、剥離フィルムを剥がして、銅メッシュ積層フィルムの銅メッシュ側に貼合した後、オートクレーブ(栗原製作所製)にて、0.9MPa、70℃、及び60分間の条件で加圧した。その後、23℃、相対湿度90%の環境下で24時間放置し、80℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置した後、目視観察を行い、以下の基準で評価を行った。
◎:外観異常は見られなかった。
○:最大径100μm以上の気泡は見られなかった。
×:最大径100μm以上の気泡が見られた。
【0063】
(8)耐腐食性の評価方法
粘着剤層担持フィルムから幅50mm及び長さ120mmのサンプルを切り出し、剥離フィルムを剥がして銅メッシュ積層フィルムの銅メッシュ側に貼合した後、オートクレーブ(栗原製作所製)にて、0.5MPa、70℃、及び30分間の条件(加圧条件1)、あるいは0.9MPa、70℃、及び60分間の条件(加圧条件2)で加圧して評価用試料とした。評価用試料を60℃及び相対湿度90%の環境下に500時間放置した前後の波長700nmにおける透過率を、分光光度計〔(株)島津製作所製:MPC3100〕を用いて測定し、評価用試料の透過率変化(ΔY)を算出した。
ΔYが1.5%以下であれば耐腐食性は良好である。
【0064】
(9)評価結果
前記物性評価の結果を、以下の表1に示す。
【0065】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の粘着剤は、例えば、プラズマディスプレイパネルなどを構成するディスプレイパネルフィルター要素の製造、及びそれを用いたディスプレイの製造に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
70℃における貯蔵弾性率が7.00×10Pa以上であることを特徴とする、電磁波遮蔽フィルムと光学機能性フィルムとの貼合用粘着剤。
【請求項2】
23℃における貯蔵弾性率が1.00×10Pa以上であることを特徴とする、請求項1に記載の粘着剤。
【請求項3】
損失正接(tanδ)のピーク温度が−15℃以上である、請求項1又は2に記載の粘着剤。
【請求項4】
構成成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含有するアクリル系共重合体からなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤。
【請求項5】
構成成分として更に窒素含有ビニル単量体を含有するアクリル系共重合体からなる、請求項4に記載の粘着剤。
【請求項6】
アクリル系共重合体が酸成分を含まないことを特徴とする、請求項4又は5に記載の粘着剤。
【請求項7】
(1)透明基材フィルムと、その透明基材フィルムの一方の表面上に設けた接着剤層と、その接着剤層の表面上に形成されたメッシュ状金属箔との積層体である電磁波遮蔽フィルム、
(2)前記電磁波遮蔽フィルムのメッシュ状金属箔を覆うように設けた請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着剤の層、及び
(3)前記粘着剤層の表面上に設けられた光学機能性フィルム
を含むことを特徴とする、ディスプレイパネルフィルター要素。

【公開番号】特開2007−246879(P2007−246879A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306241(P2006−306241)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】