説明

電線の固定構造及びそれを備えた電子機器

【課題】装置本体に対し電線を簡易且つ確実に固定できる電線の固定構造、及びそれを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】箱体33aの係合孔51にレバー部材43の係合部43aを挿入し、係合孔51を支点としてレバー部材43を矢印A方向に回動させることにより、押圧部43cがブッシュ41のストッパー部41bに接触する。レバー部材43をさらに矢印A方向に押し下げ、固定部43bに挿入されたレバー固定ビス45を箱体33aのビス孔53に締結する。電源コード31はストッパー部41bの突出片49によってハウジング部41aの支持片48a、48bの間に押し込まれて変形し、ブッシュ41に強固に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複写機、レーザープリンター等のOA機器や家電製品等に電力や信号を供給するための電線の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、OA機器や家電製品等の電子機器を作動させるための電力は、コンセントから電源コードを通じて電子機器の電源基板に供給される。そして、電源コードの固定方法としては、電源コード側のプラグ部を電源基板側のインレットに差し込んで固定する構成が一般的である。
【0003】
また、電源基板とインレットを接続する配線の色は各電圧仕様で規定されており、従来は全ての電圧で使用できる電源基板であっても電圧仕様に合わせて配線の色を変更する必要があった。しかし、近年では全世界共通の規格を取得した電源コードを予め電源基板側のインレットに接続しておくことにより、安全規格や電圧仕様に関係なく電子機器を使用できるようになっている。
【0004】
ところで、上記の構成では、装置外部に延出している電源コードを引っ張ったり、誤って足を引っ掛けたりした場合に電源コードに負荷が掛かるとコードが断線したり、電源基板が破損したりする可能性がある。また、電源コード及び電源基板には高圧電流が流れているため、電源コードや電源基板が破損しないまでも、プラグ部がインレットから抜けるなどして電源コードと電源基板とが不完全な接続状態になると、ショートや温度上昇による発火のおそれがある。
【0005】
また、装置の組み立て時に電源基板に対する電源コードの固定位置がばらついた場合、電源コードのプラグ部がインレットから抜けた状態で固定されたり、電源コードの張力により電源基板に負荷を与えたりすることがある。そのため、装置本体への電源コードの固定は強度及び位置精度が要求され、固定部材の点数が増加するのみならず煩雑な工数を要するという問題点があった。
【0006】
そこで、装置本体に対し電源コードを簡易且つ確実に固定する方法が提案されており、例えば特許文献1には、第1の結束体を結び付けた電線を装置本体側の2対の結束穴に2個の結束体で結束する際に、第1の結束体を2個の結束体の中間に配置した電線の固定方法が開示されている。また、特許文献2には、電線に締め括られた締め括り部材を保持部から突出する一対の突出部で挟みこむとともに、突出部に電線を係合する係合部を設けた画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−85469号公報
【特許文献2】特開2009−9048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2の方法では、電源コードの位置ずれを防ぐために電源コードに結束されている結束体(締め括り部材)を強固に固定する必要があり、作業者に負担を強いることになるか、或いは専用の治具が必要となるため、組み立て作業が煩雑となる。また、結束体(締め括り部材)を強固に固定した場合でも、特許文献1の構成では第1の結束体と2個の結束体との間で電源コードがずれるおそれがあり、特許文献2の構成では締め括り部材と一対の突出部との間で電源コードがずれるおそれがある。
【0009】
さらに、特許文献2の構成では電線をS字状に変形させて突出部に挟み込んでいるが、装置全体の電力を供給する電源コードは一般的に太くて硬いため、電源コードを変形させて固定するためにはやはり専用の工具や治具が必要となる。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、装置本体に対し電線を簡易且つ確実に固定できる電線の固定構造、及びそれを備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、装置本体に接続される電線と、該電線を長さ方向の2箇所で支持する一対の支持片と、該一対の支持片の間において前記支持片と反対側から前記電線に接触する突出片と、該突出片または前記支持片のいずれか一方を前記電線に押圧する押圧部材と、を有し、前記押圧部材により前記突出片若しくは前記支持片を押圧して前記一対の支持片の間で前記電線を変形させることにより前記電線を前記装置本体に固定する電線の固定構造である。
【0012】
また本発明は、上記構成の電線の固定構造において、前記押圧部材は、前記装置本体側の係合孔に回動可能に係合する係合部と、前記装置本体側に固定される固定部と、前記突出片若しくは前記支持片を前記電線に押圧する押圧部と、を有するレバー部材であり、前記係合部を支点、前記固定部を力点、前記押圧部を作用点とする梃子の原理により前記突出片若しくは前記支持片を押圧することを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の電線の固定構造において、前記レバー部材は、一端に前記係合部が形成され、他端に前記固定部が形成されるとともに、前記係合部と前記固定部の間に前記押圧部が形成されており、前記係合部から前記押圧部までの水平距離が、前記押圧部から前記固定部までの水平距離よりも長いことを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の電線の固定構造において、前記装置本体側に固定される側面視凹形状のハウジング部と、該ハウジング部の凹部に嵌合するストッパー部との間に前記電線を挟み込んで固定するブッシュが付設されており、前記一対の支持片が前記ハウジング部に形成され、前記突出片が前記ストッパー部に形成されることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の電線の固定構造において、前記一対の支持片は装置本体側に一体形成され、前記突出片は前記押圧部材に一体形成されることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の電線の固定構造を備えた電子機器である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の構成によれば、押圧部材により突出片または支持片のいずれか一方を押圧して一対の支持片の間で電線を変形させることにより、装置本体に対し電線を強固に固定することができ、電線が長さ方向にずれるおそれがなくなる。また、専用の工具や治具を用いることなく電線を固定できるため、作業の煩雑さを回避し、作業時間を短縮する等、電線の固定作業性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の電線の固定構造において、押圧部材が、装置本体側の係合孔に回動可能に係合する係合部と、装置本体側に固定される固定部と、突出片若しくは支持片を前記電線に押圧する押圧部と、を有するレバー部材であり、係合部を支点、固定部を力点、押圧部を作用点とする梃子の原理により突出片若しくは支持片を押圧することにより、梃子の原理を利用して軽い力で電線を変形させることができる。
【0019】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の電線の固定構造において、レバー部材の一端に係合部を形成し、他端に固定部を形成するとともに、係合部と固定部の間に押圧部を形成し、係合部から押圧部までの水平距離を、押圧部から固定部までの水平距離よりも長くすることにより、電線を変形させるためにレバー部材を押さえ込む距離が短くなり、電線の固定作業を円滑に行うことができる。
【0020】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の電線の固定構造において、装置本体側に固定される側面視凹形状のハウジング部と、該ハウジング部の凹部に嵌合するストッパー部との間に電線を挟み込んで固定するブッシュが付設されており、一対の支持片がハウジング部に形成され、突出片がストッパー部に形成されることにより、支持片や突出片を別途形成する必要がないため装置本体或いは押圧部材の構造を簡素化することができる。
【0021】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の電線の固定構造において、一対の支持片は装置本体側に一体形成され、突出片は押圧部材に一体形成されることにより、電線固定用の部材点数や組み立て工数を削減することができる。
【0022】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の電線の固定構造を用いて電線を固定することにより、組み立て作業性に優れ、装置本体に対する電線の固定位置の精度も高く強度も確保された電子機器となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の電線の固定構造を備えた電子機器の一例である画像形成装置の全体構成を示す概略図
【図2】本発明の電線の固定構造を備えた電源ユニット30の外観斜視図
【図3】本発明の第1実施形態に係る電線の固定構造を備えた電源ユニット30を電源コード31側から見た斜視図
【図4】第1実施形態に係る電線の固定構造を備えた電源ユニット30を電源コード31の反対側から見た斜視図
【図5】第1実施形態の電線の固定構造に用いられるブッシュ41の外観斜視図
【図6】第1実施形態の電線の固定構造に用いられるブッシュ41の分解斜視図
【図7】第1実施形態の電線の固定構造に用いられるレバー部材43の外観斜視図
【図8】第1実施形態の電線の固定構造を備えた電源ユニット30の組み立て手順において、電源基板35を箱体33a内に固定する様子を電源コード31側から見た斜視図
【図9】ブッシュ41のストッパー部41bとハウジング部41aとで電源コード31を挟み込んだ状態を示す側面断面図
【図10】電源ユニット30の組み立て手順において、箱体33aの係合孔51にレバー部材43の係合部43aを挿入した状態を電源コード31側から見た側面図
【図11】電源ユニット30の組み立て手順において、箱体33aの係合孔51にレバー部材43の係合部43aを挿入した状態を電源コード31の反対側から見た斜視図
【図12】電源ユニット30の組み立て手順において、レバー部材43を回動させて押圧部43cをストッパー部41bに接触させた状態を電源コード31側から見た側面図
【図13】電源ユニット30の組み立て手順において、レバー部材43を回動させて押圧部43cをストッパー部41bに接触させた状態を電源コード31の反対側から見た斜視図
【図14】電源ユニット30の組み立て手順において、レバー部材43の固定部43bをビス固定した状態を電源コード31側から見た側面図
【図15】電源ユニット30の組み立て手順において、レバー部材43の固定部43bをビス固定した状態を電源コード31の反対側から見た斜視図
【図16】レバー部材43の固定部43bをビス固定した状態におけるブッシュ41の側面断面図
【図17】本発明の第2実施形態に係る電線の固定構造を備えた電源ユニット30を電源コード31の反対側から見た斜視図
【図18】第2実施形態の電線の固定構造を備えた電源ユニット30を電源コード31側から見た側面図
【図19】第2実施形態の電線の固定構造に用いられるレバー部材43の外観斜視図
【図20】第2実施形態の電線の固定構造を備えた電源ユニット30の組み立て手順において、レバー部材43の固定部43bをビス固定した状態を電源コード31側から見た側面図
【図21】レバー部材43の固定部43bをビス固定した状態を電源コード31の反対側から見た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の電線の固定構造を備えた電子機器の一例である画像形成装置の外観斜視図である。図1に示すように、画像形成装置100は、いわゆる胴内排紙型のデジタル複合機であって、大きくは、本体ハウジング1と、その上部に配設された上ハウジング2と、から構成されている。この上ハウジング2には、原稿の画像を電気信号として読み取るための画像読取部が設けられ、上ハウジング2の上部には原稿搬送装置(図示せず)が付設される。他方、本体ハウジング1には、読み取った原稿画像の電気信号に基づいて用紙に画像を転写するための後述する各種機構が設けられ、本体ハウジング1の左側部には用紙後処理装置3が付設されている。
【0025】
本実施形態では、本体ハウジング1は、下ハウジング1aと、その上方で右側部に沿って位置し上ハウジング2に連結される連結ハウジング1bと、から構成され、下ハウジング1aには、用紙の給紙部5や、用紙P上にトナー画像を形成する画像形成部(図示せず)や、用紙上のトナー画像を定着するための定着装置(図示せず)等が設けられ、他方、連結ハウジング1bには、定着後の用紙を搬送して本体ハウジング1から排出するための用紙排出部(図示せず)が設けられている。
【0026】
また、上ハウジング2の直下における連結ハウジング1bの左側方には、左側面及び正面に向けて大きく開放された胴内排紙空間7が形成されており、この胴内排紙空間7には、連結ハウジング1bの左側面から排出される用紙を受け取って積載する一方で、用紙に後処理を施す場合には用紙後処理装置3への搬送を可能とする中継ユニット9が設けられている。
【0027】
用紙後処理装置3は、本体ハウジング1の用紙排出方向下流側(図1の左側)に着脱可能に配置され、本体ハウジング1で画像形成処理された用紙に対して綴じ処理や、用紙をずらして排出するシフト排出処理等の後処理を行うものである。
【0028】
用紙後処理装置3の内部には、中継ユニット9から搬入された用紙を下流側に搬送する後処理用搬送ローラーと、搬入された用紙を複数枚スタックして、スタックされた用紙束をまとめてステープルで綴じる綴じ処理装置と、用紙若しくは用紙束をずらして排出するシフト排出装置とが設けられている。なお、用紙後処理装置3の本体ハウジング1への取り付け方法については後述する。
【0029】
画像形成処理された用紙が中継ユニット9を経由して用紙後処理装置3内に搬入されると、不図示の制御部により綴じ処理が指示されている場合には、綴じ処理装置によって所定枚数の用紙束を整列させた後、用紙束の所定の位置に綴じ処理が行われる。一方、綴じ処理が指示されていない場合、用紙はそのまま綴じ処理装置を通過し、排出トレイ10に排出される。
【0030】
また、シフト排出処理が指示されている場合には、シフト排出装置によって、用紙P若しくは用紙束をずらして排出トレイ10の所定位置にシフト排出処理が行われ、シフト排出処理が指示されていない場合はそのままシフト排出装置を通過し、排出トレイ10に排出される。
【0031】
また、用紙後処理装置3の下部には電源ユニット30が連結されており、この電源ユニット30から用紙後処理装置3へ電力が供給される。図2は、電源ユニット30の外観斜視図である。電源ユニット30は後処理装置取り付け部材20の下部に固定されており、上面には用紙後処理装置3のコネクターに連結される後処理装置用ドロアー21が設けられている。また、後処理装置取り付け部材20の背面には中継ユニット9のコネクターに連結される中継ユニット用ドロアー23が設けられている。
【0032】
図3及び図4は、本発明の第1実施形態に係る電線の固定構造を備えた電源ユニット30を電源コード31側及び反対側から見た斜視図である。なお、電源ユニット30の内部構造が視認できるように、図3及び図4ではカバー33bを取り外した状態を示している。電源ユニット30は、箱体33a及びカバー33bから成る電装箱33内に電源基板35が配設されている。電源基板35には電源コード31のプラグ部31aが差し込まれるインレット37が設けられている。
【0033】
箱体33aの側面には、電源コード31が挿入される切り欠き部40a、及び信号線39が挿入される切り欠き部40bが形成されており、電源コード31はブッシュ41を介して切り欠き部40aに固定されている。また、信号線39は上方に折り曲げられて後処理装置用ドロアー21に接続されている。ブッシュ41の上方にはレバー部材43が配置されており、レバー部材43はレバー固定ビス45により箱体33aに締結されている。
【0034】
図5及び図6は、ブッシュ41の外観斜視図及び分解斜視図である。ブッシュ41は樹脂製であり、側面視凹形状のハウジング部41aと、ハウジング部41aの凹部46に嵌合するストッパー部41bとで構成される略円柱状の部材である。ブッシュ41の外周面には係合溝47が形成されており、ハウジング部41a側の係合溝47aには箱体33aの切り欠き部40aが係合する。また、ストッパー部41b側の係合溝47bにはレバー部材43の押圧部43b(図6参照)が係合する。
【0035】
そして、ハウジング部41aとストッパー部41bとを嵌合させた状態で、ハウジング部41aの凹部46とストッパー部41bとの間に電源コード31が挿入される貫通孔41cが形成される。ストッパー部41bには、貫通孔41c内に突出する突出片49が設けられている。
【0036】
図7は、レバー部材43の外観斜視図である。レバー部材43は金属板を折り曲げて形成されたクランク形状の部材であり、箱体33aの側面に係合する係合部43a(支点部分)と、レバー固定ビス45(図12参照)により箱体33aに締結される固定部43b(力点部分)と、ブッシュ41のストッパー部41b(図5参照)を押圧する押圧部43c(作用点部分)とを有する。
【0037】
また、係合部43aから押圧部43cまでの水平距離L1(支点−作用点間距離)は、押圧部43cから固定部43bまでの水平距離L2(作用点−力点間距離)よりも長くなっている。
【0038】
次に、必要に応じて図5〜図7を参照しながら、図8〜図16に沿って本実施形態の電線の固定構造を備えた電源ユニット30の組み立て手順について説明する。先ず、図8に示すように、電源基板35のインレット37に電源コード31のプラグ部31aを差し込んで電源コード31と電源基板35とを接続する。一方、ブッシュ41のハウジング部41aを、係合溝47aが切り欠き部40aに係合するように箱体33aの上方から装着しておく。そして、電源コード31をハウジング部41aの凹部46に沿って挿入しながら、基板固定ビス50a〜50dにより電源基板35を箱体33a内に固定する。なお、切り欠き部40bには信号線39(図2参照)が挿入されるが、以下の図面では図示を省略する。
【0039】
次いで、ストッパー部41bをハウジング部41aの凹部46に嵌合させることにより、ストッパー部41bとハウジング部41aとで電源コード31を挟み込む。図9に示すように、ハウジング部41aは凹部46の両端に形成された支持片48a、48bで電源コード31を橋渡し状に支持している。また、ストッパー部41bの突出片49は支持片48a、48bの間で、支持片48a、48bと反対側から電源コード31に接触する。
【0040】
次いで、図10及び図11に示すように、箱体33aの側面に形成された係合孔51にレバー部材43の係合部43aを挿入する。そして、係合孔51を支点としてレバー部材43を矢印A方向に回動させることにより、押圧部43cがブッシュ41のストッパー部41bに接触する。
【0041】
この状態から、図12及び図13に示すように、レバー部材43をさらに矢印A方向に押し下げ、固定部43bに挿入されたレバー固定ビス45を箱体33aのビス孔53に締結して電源コード31の固定作業を終了する。
【0042】
図14は、電源コード31が固定された電源ユニット30を電源コード31側から見た側面図、図15は、電源ユニット30を電源コード31と反対側から見た斜視図であり、図16は、図14及び図15におけるブッシュ41の側面断面図である。レバー固定ビス45を締結した状態では、レバー部材43の押圧部43cによってストッパー部41bが所定の位置まで押し下げられており、図16に示すように、電源コード31はストッパー部41bの突出片49によってハウジング部41aの支持片48a、48bの間に押し込まれて変形している。
【0043】
これにより、電源コード31が長さ方向においてブッシュ41に強固に固定され、ブッシュ41は係合溝41cと切り欠き部40aとの係合によって箱体33aに固定されるため、電源コード31に引っ張り力が作用してもプラグ部31aがインレット37から抜けるおそれがなくなる。
【0044】
また、レバー部材43は係合部43aを支点、固定部43bを力点、押圧部43cを作用点として梃子の原理によりストッパー部41bを押圧するため、専用の工具や治具を用いることなく、少ない力で電源コード31を変形させることができる。実際には電動ドライバーでレバー固定ビス45を締結するだけで電源コード31の固定作業を行うことができる。
【0045】
さらに、図7に示したように、レバー部材43の係合部43aから押圧部43cまでの水平距離L1が、押圧部43cから固定部43bまでの水平距離L2よりも長くなっているため、押圧部43cがストッパー部41bに当接したときレバー部材43の固定部43bが箱体33aから離れた位置まで上がらない。そのため、電源コード31を変形させるためにレバー部材43を押さえ込む距離が短くなり、電源コード31の固定作業を円滑に行うことができる。
【0046】
なお、太さ(直径)の異なる電源コード31を固定する場合は、レバー部材43の固定部43bと箱体33aのビス孔53との間にスペーサーを介在させてレバー固定ビス45を締結することにより押圧部43cの押圧力を調節すれば良い。或いは、スペーサーを用いる代わりに電源コード31の太さに応じた複数種類のレバー部材43を用いることもできる。
【0047】
図17は、本発明の第2実施形態に係る電線の固定構造を備えた電源ユニット30を電源コード31の反対側から見た斜視図であり、図18は、第2実施形態に係る電線の固定構造を備えた電源ユニット30を電源コード31側から見た側面図である。また、図19は、第2実施形態の電線の固定構造に用いられるレバー部材43の外観斜視図である。なお、図17では第1実施形態の図2と同様に電装箱33のカバーを取り外した状態を示している。
【0048】
本実施形態では、第1実施形態のブッシュ41を用いず、箱体33aの切り欠き部40aに支持片48aを形成し、切り欠き部40aの内側に間隔を隔てて支持片48bを形成している。また、レバー部材43の押圧部43cには突出片49が形成されている。他の部分の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0049】
電源ユニット30の組み立て手順としては、先ず、電源コード31を切り欠き部40aに挿入しながら、基板固定ビス50a〜50dにより電源基板35を箱体33a内に固定する。これにより、電源コード31は支持片48a、48bで橋渡し状に支持される。
【0050】
次いで、箱体33aの係合孔51にレバー部材43の係合部43aを挿入する。そして、係合孔51を支点としてレバー部材43を矢印A方向に回動させることにより、突出片49が支持片48a、48bの間で、支持片48a、48bの反対側から電源コード31に接触する。
【0051】
この状態から、レバー部材43をさらに矢印A方向に押し下げ、図20及び図21に示すように、固定部43bに挿入されたレバー固定ビス45を箱体33aのビス孔53に締結して電源コード31の固定作業を終了する。
【0052】
これにより、電源コード31はレバー部材43の突出片49によって箱体33aの支持片48a、48bの間に押し込まれて変形し、第1実施形態と同様に電源コード31が箱体33aに強固に固定される。従って、電源コード31に引っ張り力が作用してもプラグ部31aがインレット37から抜けるおそれがなくなる。
【0053】
また、支持片48a、48bが箱体33aに一体形成され、突出片49がレバー部材43に一体形成されるため、ブッシュ41を用いることなく電源コード31を固定することができ、部品点数や組み立て工数を削減することができる。さらに、第1実施形態と同様に、レバー部材43の係合部43aから押圧部43cまでの水平距離L1が、押圧部43cから固定部43bまでの水平距離L2よりも長くなっているため、電源コード31を変形させるためにレバー部材43を押さえ込む距離が短くなり、電源コード31の固定作業を円滑に行うことができる。
【0054】
その他、本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では、レバー部材43を金属製としたが、樹脂製のレバー部材43を用いることもできる。また、レバー部材43の固定はビス固定に限らず、例えば箱体33aに引っ掛け部を設け、電源コード31の弾性力を利用して引っ掛け固定することもできる。さらに、レバー部材43の係合部43a(支点部分)、固定部43b(力点部分)、押圧部43c(作用点部分)の順序が異なっていても良い。
【0055】
また、上記各実施形態では、係合部43a、固定部43b、押圧部43cを有し、梃子の原理により電源コード31を変形させるレバー部材43を用いたが、例えばレバー部材43の両端部を固定部43bとして箱体33aにビス固定することにより、中央部を押圧部43cとして電源コード31を押圧して変形させるようにしても良い。
【0056】
また、上記各実施形態では、突出片49がレバー部材43によって押圧されるか、或いは突出片49がレバー部材43に一体形成される構成としたが、支持片48a、48bと突出片49の配置を逆にすることにより、支持片48a、48bがレバー部材43によって押圧されるか、或いは支持片48a、48bがレバー部材43と一体形成される構成としても良い。
【0057】
また、上記各実施形態では、電源ユニット30に電力を供給する電源コード31の固定について説明したが、電源ユニット30と周辺機器との間で制御信号を送受信する信号線39の固定に用いることもできる。また、ここでは電源ユニット30の電装箱33に電源コード31を固定する構成について説明したが、画像形成装置100や用紙後処理装置3、或いは画像形成装置以外の電子機器の電源コードの固定構造にも適用できるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、OA機器や家電製品等に電力や信号を供給するための電線の固定に利用可能である。本発明の利用により、専用の工具や治具を用いることなく装置本体に対し電線を簡易且つ確実に固定することができる。
【符号の説明】
【0059】
3 用紙後処理装置
30 電源ユニット(装置本体)
31 電源コード(電線)
33 電装箱
33a 箱体
33b カバー
35 電源基板
37 インレット
39 信号線(電線)
41 ブッシュ
41a ハウジング部
41b ストッパー部
43 レバー部材(押圧部材)
43a 係合部
43b 固定部
43c 押圧部
45 レバー固定ビス
48a、48b 支持片
49 突出片
100 画像形成装置
Pa〜Pd 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に接続される電線と、
該電線を長さ方向の2箇所で支持する一対の支持片と、
該一対の支持片の間において前記支持片と反対側から前記電線に接触する突出片と、
該突出片または前記支持片のいずれか一方を前記電線に押圧する押圧部材と、
を有し、
前記押圧部材により前記突出片若しくは前記支持片を押圧して前記一対の支持片の間で前記電線を変形させることにより前記電線を前記装置本体に固定することを特徴とする電線の固定構造。
【請求項2】
前記押圧部材は、前記装置本体側の係合孔に回動可能に係合する係合部と、前記装置本体側に固定される固定部と、前記突出片若しくは前記支持片を前記電線に押圧する押圧部と、を有するレバー部材であり、前記係合部を支点、前記固定部を力点、前記押圧部を作用点とする梃子の原理により前記突出片若しくは前記支持片を押圧することを特徴とする請求項1に記載の電線の固定構造。
【請求項3】
前記レバー部材は、一端に前記係合部が形成され、他端に前記固定部が形成されるとともに、前記係合部と前記固定部の間に前記押圧部が形成されており、前記係合部から前記押圧部までの水平距離が、前記押圧部から前記固定部までの水平距離よりも長いことを特徴とする請求項2に記載の電線の固定構造。
【請求項4】
前記装置本体側に固定される側面視凹形状のハウジング部と、該ハウジング部の凹部に嵌合するストッパー部との間に前記電線を挟み込んで固定するブッシュが付設されており、前記一対の支持片が前記ハウジング部に形成され、前記突出片が前記ストッパー部に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電線の固定構造。
【請求項5】
前記一対の支持片は装置本体側に一体形成され、前記突出片は前記押圧部材に一体形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電線の固定構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電線の固定構造を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−169416(P2012−169416A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28492(P2011−28492)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】