説明

電線の防水装置及び防水方法、制御装置、建設用機械

【課題】筐体に取付けられる電線の防水を簡易な構造で行うことができる防水装置を提供する。
【解決手段】筐体3の開口部4に取り付けられる電線の防水装置において、開口部を覆うように配置され、筐体と反対側に円筒部22を有し、突出部に開口部へ電線を通すための穴を設けた弾性体2と、弾性体に対して筐体と反対側に配置され開口穴11が設けられた部材とを備え、部材から弾性体を介して筐体にボルト締めするための、部材と弾性体と筐体とを連通した連通穴が少なくとも2つ設けられ、連通穴に対してボルト締めすることによって、部材と接触した弾性体へ圧力がかかり弾性体が筐体に密着すると共に、開口穴の内壁から円筒部へ圧力がかかり円筒部の内壁が電線に密着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の防水装置及び防水方法、制御装置、建設用機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2009−32892号公報(特許文献1)がある。この公報には、「筐体の開口部において、容器部4に取り付けられたゴム部材2と、蓋部5に取り付けられたスポンジ部材3とを備える。ゴム部材2とスポンジ部材3とにより、ワイヤハーネス1を挟み込むことで、ワイヤハーネス取り出し口を防水する。結束部材11は、複数のワイヤハーネス1を結束する。ゴム部材2とスポンジ部材3とにより、結束部材11を挟み込むことで、ワイヤハーネス取り出し口を防水する。」と記載されている(要約参照)。
【0003】
また、特開2009−8166号公報(特許文献2)がある。この公報には、「弾性ブッシュ5は、略U字形状の外周面を有する先端部11と基部12を有する。上記先端部11には貫通孔15を設け、基部12にはその基部12の端面に向けて徐々に厚さが厚くなるテーパ部16を設ける。上記基部12の表面に、幅方向に張り出す張出部17,17を設ける。上記先端部11の厚さよりも厚くなるテーパ部16の部分が厚肉部16aである。筐体本体1の一側面の略U字形状の取付部3の内側の幅は、奥の略半円筒状の輪郭を有する部分のみならず、水平方向の入り口側の部分も奥に行くほど狭くなっている。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−32892号公報
【特許文献2】特開2009−8166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、容器部と蓋部からなる筐体の開口部から取り出されたワイヤハーネスの防水構造について記載されている。しかしながら、特許文献1の防水構造は容器部に蓋部に取付ける工程を利用しており、ワイヤハーネスを挟み込むゴム部材やスポンジ部材を容器部又は蓋部に取付けるために、容器部又は蓋部に対して複雑な加工を施す必要が生ずる。
【0006】
また、上記特許文献2にも同様に筐体本部に弾性ブッシュを取り付ける際の防水構造について記載されている。しかしながら、この特許文献1の防水構造は筐体側にやはり複雑な加工を施す必要があるうえに、さらに弾性ブッシュにも徐々に厚さが変化する厚肉部を設けることが示されているため、ワイヤハーネス等の電線に対して汎用的に用いることができない。
【0007】
そこで本発明は、筐体に取付けられる電線の防水を簡易な構造で行うことができる防水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、筐体の開口部に取り付けられる電線の防水装置において、開口部を覆うように配置され、筐体と反対側に円筒部を有し、円筒部に開口部へ電線を通すための穴を設けた弾性体と、弾性体に対して筐体と反対側に配置され、開口穴が設けられた部材と、を備え、部材から弾性体を介して筐体にボルト締めするための、部材と弾性体と筐体とを連通した連通穴が少なくとも2つ設けられ、連通穴に対してボルト締めすることによって、部材から部材と接触した弾性体へ圧力がかかり弾性体が筐体に密着すると共に、開口穴の内壁から内壁と接触した円筒部へ圧力がかかり円筒部の内壁が内壁内を通った電線に密着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電線の防水を簡易な構造で行う防水装置を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の防水装置を説明するための図である。
【図2】実施例1の防水構造の断面図を説明するための図である。
【図3】実施例1の防水構造の組立途中の状態を説明するための断面図。
【図4】実施例1における、組立が完了し、ワイヤハーネスと弾性体の隙間と、弾性体と筐体の隙間を圧着している状態を表した断面図。
【図5】実施例2における、ブラケットの分割位置と弾性体のスリット位置を表した図。
【図6】実施例2における弾性体の円筒部に対して、ブラケットの孔部の内壁により圧縮される方向と、スリット部を密着させる圧力の方向を表した模式図。
【図7】実施例3における、組立前の部品配置を表した断面図。
【図8】実施例3における、組立後のワイヤハーネスと弾性体の隙間を圧着している状態を表した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
実施例1を図1〜4を用いて説明する。
図1は実施例1の防水装置を説明するための図である。筐体3の内部には図示されていない電子機器があり、この電子機器と筐体外部の電子機器とが筐体に設けられた開口部4を介してたとえばワイヤハーネス等の電線により接続される。以下、本実施例においてはワイヤハーネスを接続するものとして説明するが、この電線はワイヤハーネスに限定されるものではない。この開口部4は、筐体内部の電子機器と筐体外部の電子機器とを接続するために、筐体に設けたものである。
【0013】
この筐体がたとえばパワーショベルやクレーン装置等の建設用機械の一部であり、筐体内部の電子機器が建設用機械における制御装置であった場合、筐体内部に水が浸入することは避ける必要がある。特に建設用機械は作業後に野ざらしにされることも多いため、水や塵などが筐体内部に浸入する可能性があるため、これを防止する構造が必要である。
【0014】
このとき筐体の開口部4に何らかの加工を施してワイヤハーネスを挟み込み防水することが考えられるが、この方法は複雑な加工が必要になるため、コストが高くなる虞がある。また、ワイヤハーネスの数や形が分かったうえで筐体の開口部に加工を施して製造する必要があるため、後からワイヤハーネスを接続した場合に同様の防水構造とすることができない。
【0015】
そこで、本実施例においては、簡易な構造で防水とするために、まず筐体にワイヤハーネスを通すための開口部を設ける。この開口部は予め筐体に設けておくことが望ましいが、内部の制御装置やワイヤハーネスを取付ける位置又は本数が決まった後に、これに合わせた大きさで設けることも可能である。この開口部を覆うように弾性体2を配置する。この弾性体2をゴム材ものとすると防水効果が増すことができる。さらにゴム材として二トリルゴム(NBR)を用いると、防水性に加えて耐油性がよくすることができる。あるいは、ゴム材としてエチレンプロピレンゴム(EPDM)を用いると、耐候性をよくすることができる。したがって、ゴム材にこれらのものを用いることにより、特に建設用機械に用いる場合に有効である。
【0016】
弾性体2は、平らなシート部21と円筒部22とから成る。円筒部22は筐体3と反対側に突出した突出部であり、内側にワイヤハーネスを開口部4に通すための穴が設けられている。以後においては、突出部に設けられた穴を円筒部22の内壁22aと呼ぶ。また、弾性体2に対して筐体3と反対側に配置された部材(ブラケット1)を備え、このブラケット1により弾性体2に圧力をかけることで、弾性体2と筐体3、及び、円筒部22とワイヤハーネスとを密着するものである。つまり、ブラケット1と弾性体2のシート部21とが接触する。そしてブラケット1は円筒部22と組み合わさる開口穴11が設けられ、この開口穴11の内壁11aと、円筒部22の外周22bとが接触する。
【0017】
ブラケット1には筐体3にボルト締めするためのボルト締結部12が設けられ、弾性体2にも同じ位置にボルトを通す穴が設けられている。また、筐体3にはボルト締結用のメネジ穴32が設けられており、このようにブラケット1のボルト締結部12と弾性体2の穴と筐体3のメネジ穴32とが連通して連通穴が形成される。図1においてはこの連通穴は4箇所形成されているが、これは4箇所に限定されるものではなく、少なくとも2箇所あればよい。
【0018】
連通穴にボルト締めすることにより、ブラケット1からブラケット1と接触している弾性体2のシート部21に対して圧力がかけられる。これにより、シート部21に筐体3方向の力が働くため、シート部21と筐体のシート部31とが密着する。弾性体2は開口部4を覆うように配置されているため、シート部21が密着することで筐体3と弾性体2との間の隙間から水が浸入する虞を低減することができる。
【0019】
また、連通穴にボルト締めすることにより、開口穴11の内壁11bからこの内壁11bと接触している円筒部22の外周22bに対して圧力がかけられる。つまり、円筒部22は内方向に対して力が働くため、円筒部22の内壁22aとこの内壁(あるいは円筒ブ2の穴)に通ったワイヤハーネスとが密着することになる。これにより、ワイヤハーネスを通す穴、すなわち、円筒部22の内壁22aとワイヤハーネスとの間の隙間を埋めることができるため、この隙間から水が浸入することを防止することができる。
【0020】
より具体的に本実施例の防水構造について説明する。
図2は、図1の断面図を示すもので本実施例の防水構造を説明するための図である。ブラケット1の開口穴11の内壁11aは弾性体のシート接触面に向かうにつれ、つまり、ボルト締めの方向に向かうにつれて直径及び断面積が大きくなる。なお、この直径及び断面積はボルト締め方向に対して垂直方向の直径及び断面積のことであり、ブラケット1(あるいはシート部21)と平行の断面積である。よって開口穴11は横から見ると図2に示すように円錐台の形状をしている。このように開口穴11を円錐台の形状とすることで、弾性体2の円筒部22に対して組み合わせる際に、円筒部22との接触面が少なくなるため、余計な摩擦を低減し、組み合わせを容易にすることができる。
【0021】
本実施例においては、弾性体2の円筒部21の外周面22bについても同様に、シート接触面に向かうにつれて直径及び断面積が徐々に大きくなる円錐台の形状をしている。この直径及び断面積も同様にボルト締め方向に対して垂直方向の直径及び断面積のことであり、ブラケット1(あるいはシート部21)と平行の断面積である。なお、筐体3のメネジ穴32は内部まで貫通していない構造としている。つまり、ボルト5を連通穴に通した場合に、ボルト5はメネジ穴32で止まるため、筐体3の内部に粉塵や水が浸入されない。
【0022】
図3はブラケット1が弾性体2を介して筐体3にボルト5で締結する途中の状態を示す図である。このとき、弾性体2の円筒部22の外周22bが、ブラケット1の開口穴11の内壁11aと接触している。本実施例においては、円筒部22の外周22bと内壁11aの一部とが接触する。もちろん一部ではなく全体が接触するように円筒部22の外周22bと内壁11aとを同一形状にすることもできるが、図3のように一部を接触するようにすることで、より円筒部22に対して開口穴11を組み合わせ易くすることができる。
このとき、円筒部22の外周22bと開口穴11の内壁11aの一部とが接触することにより、内壁11aの内側方向に対して圧力がかかることになる。図3においてはまだ弾性体2と筐体3とは接触していない。また、ボルト締めする前においては、円筒部22の内壁22aとワイヤハーネス6が接触しないように内壁22aの大きさを決めている。これにより、ワイヤハーネスを容易に開口部4に挿入することが可能となり、作業効率を向上することができる。
【0023】
図4は図3からさらにボルト5を締めて締結した状態を示す図である。このようにさらにネジを締める事により、ブラケット1からこのブラケット1と接触した弾性体2のシート部21に対して圧力が加わる。これにより、シート部21と筐体3のシート部31とが密着(あるいは圧着)することができる。つまり、弾性体2と筐体3との間の隙間の防水を行うことが可能となる。
【0024】
また、ボルト締めが完了した状態において、開口穴11の内壁11aから円筒部22の外周22bに対して圧力がかかることになる。このため、ボルト締めを行う前の状態、つまり、図2において、開口穴11の内壁11aのボルト締め方向に対して反対方向の端部11bの断面積を、円筒部22の同一方向(ボルト締め方向と反対方向)の端部22cの断面積より小さくしている。これによりボルト5を締結することで、円筒部22の外周22bと接触している開口穴11の内壁11aからの圧力によって、円筒部22が内側に縮小することになる。よって、ボルト締めすることで、円筒部22は内側に縮小し、結局は円筒部22の内壁22aが内側に縮小してワイヤハーネス6に密着することになる。つまり、図4に示すように弾性体2の円筒部22の内壁22aがワイヤハーネス6の外周に密着(あるいは圧着)する。
【0025】
以上の構成によれば、ワイヤハーネス6と円筒部22の内壁22aとの間の隙間を埋めることができるため、簡易な構成によりコストを低減しながら、隙間に対する防水を行うことができる。なお、図4においては、開口穴11の端部11bと円筒部22の端部22cとが同一の断面積である例を示しているが、円錐台形状の開口穴11において円筒部22の端部22cの断面積よりも小さい断面積である部分があれば、円筒部22の端部22cと接触する部分は開口穴11の端部11bである必要は必ずしもない。つまり、開口穴11の内壁11aにおける端部11bよりもボルト締めの方向に少しずれた部分において円筒部22の端部22cと接触するようにしてもよい。このようにした場合においても、内壁11aの一部の断面積が、円筒部22の端部22cの断面積よりも小さければ、連通穴に対してボルト締めすることにより、内壁11aの一部から内壁11aの一部と接触した円筒部22に圧力がかかり円筒部22の内壁22aがワイヤハーネス6に密着することができる。
【0026】
本実施例によれば、ブラケット1の開口穴の内壁11aがテーパ状、つまり、ボルト締めの方向に沿って該方向に対して垂直方向の断面積が広がるように傾斜があることからボルト5で締結する際の接触面を減るため、抵抗を減らして開口穴11と円筒部22とを組み合わせ易くすることができる。また、弾性体2の円筒部22の外周22bが円錐台の形状であることから、開口穴11との接触面に幅を持たすことになるため、円筒部外周22bを均等に圧縮できる。つまり、接触面を線ではなく面とすることで圧力を十分にかけて、円筒部22の内壁22aとワイヤハーネス6とを密着することができる。
【0027】
また、開口穴11の内壁11aのボルト締めの方向の端部11cの断面積は、円筒部22のボルト締め方向の端部22dの断面積よりも大きくする必要がある。本実施例のように円錐台形状でない場合には、開口穴11の端部11cの断面積を円筒部22の断面積のうち最大の断面積以上の大きさとすることが必要である。
【0028】
以上の通り、本実施例の防水構造によれば、簡易な構成で筐体に取付けられるワイヤハーネスの防水を行うことができ、コスト低減を図ることができる。さらに、ボルト締めをする前はワイヤハーネスに弾性体2が密着していないことから作業性の向上を図ることが可能である。さらに開口穴11がテーパ形状になっているため、余計な接触面を減らし容易に組み立て可能である。さらにはボルト締めを行うだけで、弾性体2と筐体3との防水だけでなく、開口穴11とワイヤハーネス6との防水を行うことができるため、信頼性の高い防水を簡易な構造で、かつ、作業コストも低減しつつ行うことができる。なお、本実施例の防水装置によれば、筐体3の内部にスペースを必要としない。筐体3の内部はスペースが限られているため、ここのスペースを無駄にしないため、結局は装置の小形化にも寄与することも可能となる。
【実施例2】
【0029】
実施例2について、図5、図6を用いて説明する。本実施例では、実施例1の防水装置を組み立て後において取付けることができる防水装置について説明する。
図5は実施例1の防水装置について、ブラケット1及び弾性体2を分割して組み立てる構造を説明するための図である。具体的には実施例1のブラケット1のワイヤハーネス貫通部を横断しブラケット1aとブラケット1bに分割するものである。分割したブラケット1a、1bは組み立てた後にボルト8により締結して固定する。また、弾性体2についても分割することが可能であるが、スリット9を設けることにより、弾性体は柔軟性があることから分割せずとも後から取付けることが可能である。これにより、ワイヤハーネス6を配線した後で、横から弾性体2を取付ける事ができる。さらに弾性体2を取付けた後にブラケット1aと1bをボルト8で締結することにより、実施例1のブラケット1と同じ機能を実現できる。
【0030】
図6は実施例1と同様にボルトで締結した際の弾性体2の円筒部22に対して加わる圧縮力の方向を表した図である。弾性体2の円筒部22に圧縮する力10が加わり、スリット9の隙間を圧着する力11が加わることで、スリット9の防水を実現している。ワイヤハーネスを取り付けた後に横からブラケット1と弾性体2を取付けることが可能となることで、事前にワイヤハーネスの両端にコネクタなどの外装品の取付けが可能となり、組立作業性が向上する。
【実施例3】
【0031】
実施例3について図7.図8を用いて説明する。
図7は実施例1におけるブラケット1の開口穴11の内壁11aと弾性体2の円筒部22の外周22bの直径を一律にし、リング7を取付けたものである。リング7の内壁にはテーパが設けられており、ブラケット1と筐体3をボルト5で締結する事により、リング7の内壁に弾性体の円筒部の外周22bが接触し、リング7のテーパ71に沿って押し込まれる。このとき、リング7のテーパ71の断面積(ボルト締め方向に対して垂直方向の断面積)はボルト締め方向に向かうにつれて大きくなっている。このテーパ71に対して弾性体2が押し込まれると円筒部22の外周22bの内側に圧力が働く。
【0032】
図8は図7の防水構造について、ボルト締めが完了した状態を説明する図である。これにより、外周22bが内側に縮小するため、弾性体2の内壁22aがワイヤハーネス6の外周に圧着され、防水が実現される。ブラケット1の開口穴11の内壁加工と弾性体2の円筒部22の外周の形状が単純になるため、加工コストが低減される効果がある。
【0033】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…ブラケット、1a…分割ブラケット(上)、1b…分割ブラケット(下)、11…ブラケットの開口穴、11a…ブラケットの開口穴の内壁、2…弾性体、21…弾性体のシート部、22…弾性体の円筒部(突出部)22a…円筒部の内壁、22b…円筒部の外周、3…筐体、31…筐体のシール面、32…ボルト締結用のメネジ、4…筐体の開口部、5…ボルト、6…ワイヤハーネス、7…リング、8…ブラケット固定ボルト、9…スリット、10…円筒部にかかる収縮力、11…スリットの圧着力。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の開口部に取り付けられる電線の防水装置において、
前記開口部を覆うように配置され、前記筐体と反対側に円筒部を有し、該円筒部の内側に前記開口部へ前記電線を通すための内壁を設けた弾性体と、
前記弾性体に対して前記筐体と反対側に配置され、開口穴が設けられた部材と、を備え、
該部材から前記弾性体を介して前記筐体にボルト締めするための、前記部材と前記弾性体と前記筐体とを連通した連通穴が少なくとも2つ設けられ、
前記連通穴に対してボルト締めすることによって、前記部材から該部材と接触した前記弾性体へ圧力がかかり前記弾性体が前記筐体に密着すると共に、前記開口穴の内壁から該内壁と接触した前記円筒部へ圧力がかかり前記円筒部の内壁が前記内壁内を通った前記電線に密着することを特徴とする電線の防水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電線の防水装置において、
前記内壁の前記ボルト締めの方向に対して反対方向の端部の前記ボルト締めの方向に対して垂直方向の断面積は、前記円筒部の前記反対方向の端部の前記垂直方向の断面積より小さいことを特徴とする電線の防水装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電線の防水装置において、
前記内壁は、前記ボルト締めの方向に沿って該方向に対して垂直方向の断面積が広がるように傾斜があり、前記内壁の一部の前記断面積は、前記円筒部の前記ボルト締めの方向に対して反対方向の端部の前記垂直方向の断面積よりも小さく、前記連通穴に対してボルト締めすることにより、前記内壁の一部から該内壁の一部と接触した前記円筒部に圧力がかかり前記穴の内壁が前記穴を通った前記電線に密着することを特徴とする電線の防水装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電線の防水装置において、
前記内壁の一部の前記ボルト締めの方向に対して垂直方向の断面積は、前記円筒部の前記垂直方向の断面積よりも小さいことを特徴とする電線の防水装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電線の防水装置において、
前記連通穴に対してボルト締めすることにより、前記内壁の一部から該内壁の一部と接触した前記円筒部に圧力がかかり前記穴の内壁が前記穴を通った前記電線に密着することを特徴とする電線の防水装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電線の防水装置において、
前記内壁は、前記ボルト締めの方向に沿って該方向に対して垂直方向の断面積が広がるように傾斜があり、前記内壁のうち前記ボルト締め方向に対して反対方向の側の一部において前記内壁と前記円筒部とが接触することを特徴とする電線の防水装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の電線の防水装置において、
前記内壁の前記ボルト締めの方向の端部の前記ボルト締め方向に対して垂直方向の断面席は、前記円筒部の前記垂直方向の断面積のうち最大の断面積以上の大きさであることを特徴とする電線の防水装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電線の防水装置において、
前記連通穴は前記筐体を貫通していないことを特徴とする電線の防水装置。
【請求項9】
請求項7に記載の電線の防水装置において、
前記弾性体は、ニトリルゴム又はエチレンプロピレンゴムであることを特徴とする電線の防水装置。
【請求項10】
筐体の開口部に取り付けられる電線の防水方法において、
前記筐体と反対側に円筒部を有し、該円筒部の内側に前記開口部へ前記電線を通すための内壁を設けた弾性体を、前記開口部を覆うように配置し、
前記弾性体に対して前記筐体と反対側に部材が配置され、
前記部材と前記弾性体と前記筐体とを連通した少なくとも2つの連通穴に対してボルト締めすることにより、前記部材から該部材と接触した前記弾性体へ圧力がかかり前記弾性体が前記筐体に密着すると共に、前記開口穴の内壁から該内壁に接触した前記円筒部へ圧力がかかり前記円筒部の内壁が該内壁内を通った前記電線に密着することを特徴とする電線の防水方法。
【請求項11】
請求項10に記載の電線の防水方法において、
前記内壁の前記ボルト締めの方向に対して反対方向の端部の前記ボルト締めの方向に対して垂直方向の断面積は、前記円筒部の前記反対方向の端部の前記垂直方向の断面積より小さいことを特徴とする電線の防水方法。
【請求項12】
請求項1〜9の何れかに記載の防水装置により防水された電線に接続されたことを特徴とする制御装置。
【請求項13】
請求項1〜9の何れかに記載の防水装置と、
該防水装置により防水された電線と、
該電線に接続された制御装置と、を備えたことを特徴とする建設用機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−75253(P2012−75253A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218084(P2010−218084)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】