説明

電線供給装置

【課題】作業者の負担を軽減するとともに、多品種少量生産に適した電線供給を可能にする電線供給装置を提供する。
【解決手段】電線の端末処理装置に対して電線を供給するための供給装置本体と、供給装置本体に複数個設けられ、一端側に挿入口23を有する受箱部15と、挿入口23を介して受箱部15内に挿脱可能に収容される箱状のケース部33、電線が巻かれた電線ドラム36をケース部33内で回動可能に支持するドラム支持部38、及び、ケース部33に設けられ電線ドラム36に巻かれた電線を一定方向に繰出させる電線ガイド部、を有するカセット式電線繰出し部とを具備する。また、供給装置本体は、挿入口23の向きを同一方向に一致させた状態で、複数の受箱部15を所定の鉛直面に沿ってループ状に配列し、そのループ状を維持したまま鉛直面上で回転させる回転機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線供給装置に関するものであり、特に、電線の端末加工処理を行う端末処理装置に対して多種類の電線を供給することが可能な電線供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
端末処理装置として、電線の端部の被覆材を除去し、その端部に端子を圧着するとともに、電線を所定の長さに切断する端子圧着装置が知られている。この端子圧着装置の中には、電線の先端部と後端部の両方に端子を圧着することのできるものもある。
【0003】
具体的には、図10に示すように、端子圧着装置101は、電線癖取装置102と、電線Lの先端側及び後端側に端子を圧着させるための第一圧着機構103,第二圧着機構104と、電線Lを切断するとともに電線Lの端部の被覆材を除去する切断機構105と、電線Lの先端側を第一圧着機構103に送り込む電線送込み機構106と、切断後の電線Lを保持し電線Lの後端側を第二圧着機構104に送り込むチャック機構(図示しない)と、端子Tを圧着し終えた電線Lを蓄えた後に所定数の電線Lを纏めて外部へ排出する排出装置(図示しない)とを備えている。
【0004】
第一圧着機構103と第二圧着機構104とは基本的な構成が等しく、端子を圧着するためのアプリケータ109がフレーム部材110に取付けられている。つまり、フレーム部材110の側面には、切欠き111が形成され、その切欠き111内にアプリケータ109が取付けられている。詳しくは、切欠き111の上方にはアプリケータ109の上側ユニット112が、また、切欠き111の下方には、アプリケータ109の下側ユニット113が夫々取付けられている。
【0005】
また、電線送込み機構106は、電線取込みガイド157、電線Lの長さを測長するエンコーダ158、及び、所定距離離間して配置される一対のローラ159等から構成されている。(特許文献1参照)。
【0006】
一方、端子圧着装置101に電線を供給する方法として、例えば互いに異なる電線が巻かれた複数の電線ドラムを備え、複数の電線ドラムの中から加工処理する電線を、手作業で端子圧着装置101に供給することが一般的に行われている。つまり、電線ドラムに巻かれた電線の先端を、端子圧着装置101の電線癖取装置102を通して電線送込み機構106にセットする方法であり、その後は、電線送込み機構106に設けられた一対のローラ159の動力(引張操作)によって、電線ドラムから電線を繰出させることができる。
【0007】
ところで、電気製品には配線用の被覆電線が数多く使用されている。これらの被覆電線は、銅等で形成された芯線と、塩化ビニール等の樹脂で形成され芯線を絶縁するための被覆とから構成され、配線場所、用途、消費電力、及び接続方法等の使用条件に適するように、その全長、芯線の直径、及び芯線の露出長さ等が夫々設定される。
【0008】
また、複数の電気部品を電気的に接続するために、複数の電線を束ねたワイヤーハーネスが使用されることもある。そして、このワイヤーハーネスでは複数の色(例えば13色)の被覆電線が用いられている。
【0009】
なお、近年、電気製品の多品種化に伴い、それに使用される被覆電線の種類も極めて多様になってきており、しかも在庫をもたずに適切なタイミングで適切な分だけ納品できるように少量生産が一般的に行われている。特に車両に用いられるワイヤーハーネスでは、複数の色の被覆電線を単品生産することも要望されている。
【0010】
【特許文献1】特開2005−166399号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来の電線供給方法では、電線の種類が変わるごとに電線を手作業で掛け換える作業が必要となることから、端子圧着装置の稼動率が大幅に低下していた。具体的には、端子圧着装置101の加工処理能力が3000本/時間であっても、電線の掛け換えに1分間要する場合には、1時間当りの生産量は60本以下となっていた。つまり、多品種少量生産の場合、生産性が極めて悪くなり、ひいては製造コストの増加、及び作業者の負担の増加が問題となっていた。
【0012】
また、一般の電線ドラムは比較的大型であることから、それらを数多く並べるには極めて広いスペースが必要となり、設備の導入が困難となっていた。また、電線ドラムに巻かれている電線が残り少なくなった場合には、新たな電線ドラムと交換しなければならないが、この際、大きな電線ドラムを現場で取外したりセットしたりする作業が必要となり、稼働率の低下、及び作業者の負担の増加が助長されていた。
【0013】
また、現場に十分な配設スペースがない場合には、一つまたは頻繁に使用する電線ドラムのみを端子圧着装置の近傍に配置し、残り全ての電線ドラムを倉庫や収納庫で保管しておくことも一般的に行われているが、これによれば、保管された電線ドラムを使用する際に、倉庫等から端子圧着装置の近傍まで電線ドラムを搬送しなければならず、電線の掛け換えが完了するまでに一層長い時間を要していた。
【0014】
なお、収納庫に保管された複数の電線ドラムの中から加工処理する電線ドラムを適宜選択し、その電線ドラムを端子圧着装置まで自動で搬送しセットするシステム、所謂、自動搬送システムを構築することも考えられるが、これのようなシステムは極めて大掛かりな設備となり、膨大な費用が必要となる。
【0015】
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、作業者の負担を軽減するとともに、多品種少量生産に適した電線供給を可能にする電線供給装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明にかかる電線供給装置は、「電線の端末処理装置に対して電線を供給するための供給装置本体と、
該供給装置本体に複数個設けられ、少なくとも一端側に挿入口を有する筒状の受箱部と、
前記挿入口を介して前記受箱部内に挿脱可能に収容される箱状のケース部、電線が巻かれた電線ドラムを前記ケース部内で回動可能に支持するドラム支持部、及び、前記ケース部に設けられ前記電線ドラムに巻かれた電線を前記ケース部における所定の部位から一定方向に繰出させる電線ガイド部、を有するカセット式電線繰出し部と
を具備し、
前記供給装置本体は、前記挿入口の向きを同一方向に一致させた状態で、前記複数の受箱部を所定の鉛直面に沿ってループ状に配列し、該ループ状を維持したまま前記鉛直面上で回転させる回転機構を備える」ものである。
【0017】
ここで、「端末処理装置」としては電線の端部に端子を圧着する端子圧着装置を例示することができる。「回転機構」の構成としては特に限定されるものではないが、ループ状を維持したまま平面上で回転させる無端のチェーンと、そのチェーンに回転力を付与するモータとから構成することができる。また、「カセット式電線繰出し部」を「受箱部」に収容する際、「電線ガイド部」を、受箱部の一端側(すなわち挿入口側)に位置させるようにしてもよく、受箱部の他端側に位置させるようにしてもよい。
【0018】
本発明の電線供給装置によれば、電線ドラムがドラム支持部によって支持されると、電線ドラムをケース部内で回動させることが可能になる。電線ドラムから延出された電線は、電線ガイド部を通ってケース部の外部へ配線されているため、ケース部の外部において、ケース部から突出した電線の先端部分を引張れば、電線ドラムに巻かれた電線をケース部外へ繰出させることが可能になる。また、このケース部は、カセット式電線繰出し部を構成しており、供給装置本体に設けられた筒状の受箱部内に収容させることが可能となっている。そして、カセット式電線繰出し部が受箱部内に収容されると、その受箱部から電線を繰出すことが可能になる。特に、供給装置本体には複数の受箱部が設けられているため、供給装置本体から互いに異なる種類の電線を随時供給することが可能になる。
【0019】
特に、カセット式であるため、供給装置本体に電線ドラムを装着する作業が極めて容易になる。また、決められた位置から一定の方向に電線が繰出されるため、電線の円滑な受渡しが可能になる。さらに、電線ドラムを交換する際には、受箱部からカセット式電線繰出し部を取出し、そのケース部内に収容された電線ドラムを交換することとなるため、安全な場所での交換作業が可能になるとともに、電線ドラムの交換作業中であっても、他の電線ドラムが収容された受箱部から電線を供給し続けることが可能になる。
【0020】
また、複数の受箱部は、挿入口の向きを同一方向に一致させた状態で、所定の鉛直面に沿ってループ状に配列されており、回転機構を動作させると、そのループ状を維持したまま鉛直面上で回転する。このため、夫々の電線ドラムを所定の取出位置まで移動させることが可能になる。また、複数のカセット式電線繰出し部を規則正しく配列することができ、しかも比較的簡易な構造で支持することが可能になる。したがって、狭いスペースでも数多くの電線ドラムを保持することが可能となり、ひいては電線供給装置の小型化が可能になる。特に、所定の鉛直面に沿ってループ状に配列されていることから、一つの回転機構のみによって、夫々の回転ドラムを水平方向及び鉛直方向に変位させることが可能になり、選択された回転ドラムを所定の取出位置まで容易に移動させることが可能になる。すなわち、水平方向にスライドさせる装置と昇降装置とを組合せたような複雑な構成を採用する必要がなく、比較的安価に製造できるとともに、装置を一層小型化させることができる。
【0021】
また、本発明の電線供給装置において、「前記回転機構は、前記鉛直面に沿って配設され複数のスプロケットに巻き掛けられた無端のチェーンと、いずれか一つの前記スプロケットを介して前記チェーンに回転力を付与する回動駆動源とを有し、
複数の前記受箱部は、前記チェーンの外周縁に沿って所定の間隔で配置され、前記チェーンに対して放射状に連結されている」構成とすることができる。
【0022】
本発明の電線供給装置によれば、モータ等の回動駆動源が動作すると、その回転力がチェーンに付与され、チェーンは、スプロケットに巻き掛けられたまま回転する。チェーンの外周縁には所定の間隔で複数の受箱部が放射状に連結されているため、複数の受箱部をループ状に維持したまま鉛直面上で回転させることが可能になる。特に放射状になるように連結されていることから、受箱部の背面側を開放することで、背面側からカセット式電線繰出し部を挿入させることが可能になり、例えば電線供給装置の前面を化粧板等で塞いだ場合でも、夫々の受箱内に対して電線ドラムを容易に着脱させることが可能になる。
【0023】
また、本発明の電線供給装置において、「前記回動駆動源を制御し、複数の前記受箱部の中から供給対象として指示された電線の受箱部を所定の取出位置まで移動させる移動制御手段と、
前記取出位置に配置された前記受箱部と対向し、該受箱部に収容されている前記カセット式電線繰出し部から延出された電線を、引張って繰出させるとともに、該電線の先端部分を前記端末処理装置に供給する電線送り装置と
をさらに備える」ようにしてもよい。
【0024】
ここで、「電線送り装置」の構成は特に限定されるものではないが、例えば、回転することにより電線を挟持して送る一対の送りローラと、その送りローラによって送られる電線を一定方向に案内する筒状の案内部材とから構成することができる。また、電線の先端部分を挟持可能なチャック部と、端末処理装置と供給装置本体との間に配設されチャック部をスライド可能に支持する支持杆と、その支持杆に沿ってチャック部を摺動させる駆動源とから構成するようにしてもよい。
【0025】
本発明の電線供給装置によれば、複数の受箱部の中から一つの受箱部が供給対象として指示されると、移動制御手段は回動駆動源を制御し、指示された受箱部を所定の取出位置まで移動させる。また、取出位置に対向するように電線送り装置が設けられており、電線送り装置は、取出位置のカセット式電線繰出し部から電線を引張って繰出させるとともに、その電線の先端部分を端末処理装置に受渡す。
【0026】
このように、選択された一つの受箱部を所定の取出位置に移動させる動作、及びカセット式電線繰出し部から延出された電線を端末処理装置に受渡す動作、を機械的に行うため、一連の作業を自動化することができ、作業者の負担を軽減するとともに、加工すべき電線を間違いなく且つ速やかに供給することが可能となる。
【0027】
また、本発明の電線供給装置において、「複数の前記受箱部が連結された前記チェーン、及び該チェーンを回転させる前記回動駆動源を備える前記供給装置本体が、複数組並設されている」構成を採用することもできる。
【0028】
ところで、例えば、ワイヤーハーネスを作成する場合には、複数の色(例えば13色)の被覆電線が使用されており、それらの色と、電線の材質及び径とを組合せたパターン数は100種類以上に及ぶ場合もある。そして、これらの電線が巻かれた電線ドラムを、夫々別々の受箱部に収容させるには、極めて多くの受箱部を用意しなければならない。ところが、これほど多くの受箱部をチェーンの外周縁に沿って所定の間隔で配置させようとすると、回転負荷が極めて大きくなり回転させることが困難となる場合がある。また、ループ状のチェーンにおける内径が大きくなることから、装置が大型化する虞がある。さらに、所定位置に位置している現在繰出し中の電線ドラムと、次回の加工に必要となる電線ドラムの収容位置とが離れている場合には、電線ドラムの移動距離が長くなり、次回の加工の際に速やかに電線を供給することができなくなる。
【0029】
これに対し、本発明の電線供給装置によれば、複数組の供給装置本体が並設されているため、必要な受箱部の数を振分けることが可能になる。つまり、電線の種類が極めて多い場合には、夫々に対応する受箱部の数も極めて多くなるが、本例では複数組の供給装置本体を備えることにより、一つのチェーンに連結される受箱部の数を制限することが可能になる。このため、回転負荷が大きくなることを抑制するとともに、チェーンの内径が極めて大きくなることを防止できる。さらに、必要な電線ドラムを取出位置に移動させるまでの時間を短縮することができ、端末処理装置の稼働率を一層高めることが可能になる。
【0030】
また、本発明の電線供給装置において、「前記複数組の供給装置本体を載置するとともに、前記取出位置を中心として水平方向にスライド可能に支持された可動ベース部材と、
該可動ベース部材を水平方向に運動させる水平方向駆動源と
をさらに備え、
前記移動制御手段は、供給対象として指示された前記受箱部を含む前記供給装置本体が、前記電線送り装置と対向している場合には、前記回動駆動源のみによって前記受箱部を前記取出位置まで回動させ、一方、供給対象として指示された前記受箱部を含む前記供給装置本体が、前記電線送り装置と対向していない場合には、該電線送り装置と対向するように前記水平方向駆動源によって前記可動ベース部材を水平方向に移動させるとともに、前記回動駆動源によって前記受箱部を前記取出位置まで回動させる」ようにしてもよい。
【0031】
本発明の電線供給装置によれば、可動ベース部材の上に複数組の供給装置本体が載置されており、水平方向にスライド可能になっている。つまり、水平方向駆動源が動作すると、可動ベース部材が水平方向に運動し、複数組の供給装置本体が一斉に変位するようになっている。そして、移動制御手段は、所定の電線ドラムが収容された受箱部が指示されると、その受箱部を含む供給装置本体が、電線送り装置と対向しているか否かを判定し、互いに対向している場合には、水平方向駆動源を動作させることなく回動駆動源のみによって受箱部を取出位置まで回動させる。一方、その受箱部を含む供給装置本体が、電線送り装置と対向していない場合には、電線送り機構と対向するように水平方向駆動源によって可動ベース部材を水平方向に移動させるとともに、回動駆動源によって受箱部を取出位置まで回動させる。このように電線送り装置を中心として複数の供給装置本体を水平方向にスライドさせることにより、複数組の供給装置本体に振分けて設けられたいずれの電線ドラムに対しても、一つの電線送り装置によって電線を繰出させることが可能になる。
【0032】
なお、上記の構成を採用する代りに、本発明の電線供給装置において、「二組の前記供給装置本体が互いに隣接して配置され、
供給対象としていずれか一つの前記受箱部が指定されると、該受箱部を含む一方の前記供給装置本体を選択するとともに、前記電線送り装置の先端が、選択された前記供給装置本体側を指すように、前記電線送り装置を所定の位置まで旋回させる首振り駆動部をさらに備える」ようにしてもよい。
【0033】
本発明の電線供給装置によれば、ループ状を呈する二組の供給装置本体が互いに隣接して配置されているため、夫々の供給装置本体における取出位置を隣合わせることが可能になる。また、電線送り装置を旋回させる首振り駆動部が設けられており、いずれか一つの受箱部が指定されると、その受箱部を含む一方の供給装置本体が選択され、電線送り装置の先端が、選択された供給装置本体の取出位置を指すように旋回させられる。このように電線送り装置の向きを僅かに変化させるだけで、供給装置本体をスライド移動させなくても夫々の供給装置本体に設けられた電線ドラムから電線を繰出すことが可能になる。したがって、複数の供給装置本体を移動させることに伴うエネルギーの損失を軽減することができるとともに、装置全体を一層小型化することができる。しかも、一方の供給装置本体側から電線を繰出している途中であっても、次に繰出される電線が他方の供給装置本体側に含まれている場合には、繰出し動作が終了する前から、次の電線の準備、すなわち電線が収容された受箱部を取出位置まで移動させることが可能になり、ひいては、電線の交換に伴う段取り時間を一層短縮することができる。
【発明の効果】
【0034】
このように、本発明の電線供給装置によれば、作業者の負担を軽減するとともに、多品種少量生産に適した電線の供給を行うことができる。また、複数の受箱部が所定の鉛直面に沿ってループ状に配列されていることから、一つの回転機構のみによって、夫々の回転ドラムを水平方向及び鉛直方向に変位させることが可能になり、選択された回転ドラムを所定の取出位置まで容易に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の第一実施形態である電線供給装置を備える電線処理システムについて、図1乃至図7に基づき説明する。図1は電線処理システムの概略構成を示す模式図であり、図2は電線供給装置の構成を示す平面図であり、図3は電線供給装置における受箱部の構成を示す斜視図であり、図4は受箱部及びカセット式電線繰出し部の構成を示す分解斜視図であり、図5はカセット式電線繰出し部の構成を示す平面図であり、図6は電線送り装置における要部の構成を説明するための概念図であり、図7は電線供給制御に関する機能的構成を示すブロック図である。
【0036】
図1に示すように、電線処理システム1は、電線の端部の被覆材を除去し、その端部に端子を圧着するとともに、電線を所定の長さに切断する端子圧着装置2と、端子圧着装置2に対して、複数の種類の電線を供給することを可能にする電線供給装置3と、電線供給装置3から電線を繰出させるとともに電線の先端部分を端子圧着装置2に受渡す電線送り装置4と、を具備して構成されている。ここで、端子圧着装置2が本発明の端末処理装置に相当する。
【0037】
端子圧着装置2としては、図10に基づいて先に説明した従来の端子圧着装置101と略同様の構成が採用され、加工中の電線Lの向きを変えることなく、直線状に電線Lを送りながら加工することが可能になっている。すなわち、図1に示すように、端子圧着装置2は、電線Lの先端側に端子を圧着させるための第一圧着機構103と、電線Lの後端側に端子を圧着させるための第二圧着機構104と、電線Lの端部の被覆材を除去する切断刃を有する第一切断機構105aと、電線Lを切断する切断刃を有する第二切断機構105bと、電線Lの先端側を第一圧着機構103に送り込む電線送込み機構106とを具備している。また、従来の端子圧着装置101に設けられていない新たな構成として、第二圧着機構104の下流側に配設され、電線Lを挟持し回転によって送ることが可能な一対の送りローラ110が備えられている。
【0038】
電線送込み機構106は、電線取込みガイド157、電線Lの長さを測長するエンコーダ158、所定距離離間して配置される一対のローラ159、及び電線Lの先端が通過したことを検出する先端検出センサ160等から構成されている。なお、一対のローラ159は、互いに接近および離反するように移動可能とされ、また、ローラ159は、ローラ駆動手段(図示しない)により回転駆動され、回転方向及び回転数を制御することにより、電線Lを任意の長さ送るとともに、エンコーダ158によるフィードバック制御も行われている。
【0039】
なお、図10に示す従来の端子圧着装置101では、電線の曲り癖等を矯正する電線癖取装置102が備えられていたが、本例の端子圧着装置2には電線癖取装置が設けられておらず、電線供給装置3内において癖取りが行われるようになっている(詳細は後述する)。
【0040】
図2に示すように、電線供給装置3は、隣接して配置された二組の供給装置本体16を具備して構成されており、夫々の供給装置本体16は、電線供給装置3の正面(端子圧着装置2側の面)に平行な鉛直面に沿ってループ状(略長方形)に配列された複数の受箱部15と、これらの受箱部15を可動させる駆動機構11とを具備して構成されている。駆動機構11は、複数の受箱部15を、ループ状を維持したまま旋回させるとともに、複数の受箱部15の中から選択された一つの受箱部15を所定の取出位置、例えば、図2においては「A1」及び「A2」位置まで移動させるものである。詳しく説明すると、電線供給装置3は、夫々の受箱部15における挿入口23(詳細は後述する)を同一方向に一致させた状態、具体的には全ての挿入口23が背面側を向くように、複数の受箱部15を略長方形のループ状に配列しており、選択された所定の受箱部15が取出位置A1あるいは取出位置A2に位置するように、ループ状を維持したまま鉛直面上で回転させる構成となっている。駆動機構11は、鉛直面に沿って配設された四つのスプロケット12と、それらのスプロケット12に巻き掛けられた無端のチェーン13と、いずれか一つのスプロケット12を介してチェーン13に回転力を付与するモータ17とを有しており、複数の受箱部15が、チェーン13の外周縁に沿って所定の間隔で配置され、チェーン13に対して放射状に連結されている。なお、モータ17の回転軸18と一つのスプロケット12とが無端のベルト19によって連結されており、モータ17の回転力がベルト19を介してチェーン13に伝達されるようになっている。ここで、駆動機構11が本発明の回転機構に相当し、モータ17が本発明の回動駆動源に相当する。
【0041】
図3及び図4に示すように、受箱部15は、略直方体形状を呈する筒状の部材であり、一端側の側面にはカセット式電線繰出し部30を挿入させるための挿入口23が設けられている。また、受箱部15の挿入口23側には、固定部24aを支点として外方に弾性変形可能な係止部材24が設けられており、弾性力に抗して係止部材24を手で外方に撓ませることによりカセット式電線繰出し部30の挿脱が可能となり、カセット式電線繰出し部30を受箱部15内に挿入した後、係止部材24から手を離すと、係止部材24は弾性力によって元の状態に戻り、先端の爪部24bによって受箱部15からカセット式電線繰出し部30(以下、単に「カセット部30」と称す)が脱離することが防止されるようになっている。
【0042】
また、図示しないが、受箱部15の内底面には、カセット部30の挿入位置を規制するストッパー25が突設されている。このストッパー25は、略G字形の部材であり、端部側25aのみが固定され、一端が切欠かれた中央側の片部25bは挿脱方向に対して弾性変形可能となっている。つまり、受箱部15内にカセット部30が挿入されると、その端部が片部25bに当接し、片部25bを弾性変形させた状態、すなわちカセット部30を挿入口23側に向って押圧した状態となる。なお、この際、カセット部30の先端は係止部材24によって係止されるため、受箱部15が挿入口23から飛び出すことはなく、カセット部30の先端が挿入口23に一致した状態で保持される。一方、解除操作によって係止部材24が弾性変形すると、係止部材24の係止状態が解消され、カセット部30はストッパー25における片部25bの弾性力によって挿入口23から押し出される。これにより、カセット部30を容易に引き出しことが可能になる。
【0043】
一方、カセット部30は、図4及び図5に示すように、底板31とその両側から立設された一対の側面板32とを有する断面略コ字形のケース部33と、一対の側面板32の上面に架け渡され、電線Lが巻かれた電線ドラム36を回動可能に支持するドラム支持部38とを具備して構成されている。なお、電線ドラム36の大きさは特に限定されるものではないが、本例では、直径が約15〜20cmで、幅が約5〜10cmである比較的小型のドラムが用いられている。
【0044】
また、図5に示すように、カセット部30は、電線ドラム36に圧接し電線ドラム36の回転を制動する制動部材39と、電線Lを繰出す際、電線ドラム36に対する制動部材39の圧接状態を解除する制動解除機構40とを具備している。具体的には、制動部材39は、電線ドラム36に圧接し電線ドラム36との間で摩擦力を発生させる圧接部48を備えている。圧接部48は、全体的に逆U字形の形状を呈した板バネ状の部材からなり、一端側が取付部材47を介して底板31に固定され、他端側が側面板32に沿って延出された操作杆46に連結されている。操作杆46は、長手方向に摺動可能な状態で支持されており、圧接部48が電線ドラム36に当接する位置(制動位置)と、電線ドラム36から離れる位置(解除位置)との間でスライドさせることが可能になっている。また、一定方向(圧接部48が電線ドラム36に圧接する方向)に付勢する弾性体(図示しない)が取付けられている。
【0045】
制動解除機構40は、操作杆46上で回動可能に支持された可動ローラ51から構成されている。そして、電線ドラム36から延出された電線Lは、可動ローラ51を経由してガイドローラ41に掛けられているため、電線Lをカセット部30から繰出す際、電線Lに引張り力が作用すると、可動ローラ51には電線ドラム36側に向う力が作用し、その力によって操作杆46は、弾性体の弾性力に抗して変位することとなる。つまり、電線Lを繰出す際の引張り力が所定量よりも大きくなると、操作杆46が変位して圧接部48によるロック状態が解除される。換言すれば、電線Lの繰出し操作が行われるまでは、制動状態が維持され電線ドラム36の回転が防止されるが、電線Lの繰出し操作が行われると、制動状態が解除され電線ドラム36の回転負荷が軽くなる。
【0046】
また、カセット部30には、ケース部33内に、ガイドローラ41と癖取り部42とが設けられている。癖取り部42は複数のローラを組合せてなり、夫々のローラ間で張力を作用させることにより、電線Lのねじり癖や曲がり癖を矯正している。また、ケース部33には、電線ドラム36に巻かれた電線Lをケース部33の先端部分から一定方向に繰出させる電線ガイド部43が設けられている。この電線ガイド部43は円錐筒状であり、先端から真直ぐに電線Lを突出させることが可能となっている。
【0047】
さらに、カセット部30におけるケース部33の先端側(図5では上端側)には、カセット部30を持ち運ぶ際に把持される円柱状の把持部55が設けられ、把持部55の表面には、夫々のカセット部30に付与された識別番号を記憶したバーコード56が貼着されている。このバーコード56に記憶された識別番号は、電線Lの種別に関する情報、具体的には、夫々の電線ドラム36に巻かれた電線の色、電線の径、及び被覆材の材質と、対応付けられており、後述する情報読出制御手段86(具体的にはバーコードリーダー)によって識別番号を読出すことにより、電線Lの種別に関する情報を認識することが可能となっている。なお、バーコード56の代りにICチップを設け、電線Lの種別に関する情報を書込み及び読出し可能に記憶させるようにしてもよい。なお、ICチップでは、高周波などの電波を受信すると、その電波を電気に変換して蓄え、その電力が所定量に達すると、ICチップの記憶部に情報を書込んだり、情報を発信したりすることが可能になる。
【0048】
一方、図1に示すように、電線送り装置4は、送り機構本体60と、ガイドユニット61と、送り機構本体60及びガイドユニット61を載置する可動テーブル66と、可動テーブル66の端部側を軸として回動可能に支持する基部67とを具備して構成されている。送り機構本体60は、所定の取出位置A1または取出位置A2とガイドユニット61との間に配置されるとともに、矢印Yの方向に摺動可能に支持された可動ベース板62と、可動ベース板62を駆動させる動力源(図示しない)と、可動ベース板62上で鉛直方向の軸を中心として回転する一対の送りローラ63とを備えている。なお、一対の送りローラ63は、所定距離離間して配置され、電線Lを挟持しながら繰出させるものである。また、一対の送りローラ63は、互いに接近および離反するように移動可能とされ、離反させることにより一対の送りローラ63の間に電線Lを挿脱させることが可能になり、接近させて回転させることにより電線Lを繰出させることが可能になる。
【0049】
また、可動ベース板62には、一対の第二切断刃53が配設されており、繰出された電線Lを、端子圧着装置2から送信された指令に基づいて切断するようになっている。これによれば、電線供給装置3から繰出された電線Lを根元側である電線供給装置3内で切断することにより、電線Lを交換する場合でも、既に繰出されている電線Lを電線ドラム36に巻き戻す等の処理が不要となり、カセット部30内での構成を簡素化することが可能である。
【0050】
また、可動ベース板62には、電線Lの先端位置を検出する先端検出センサ64が設けられており、この先端検出センサ64で電線Lが検出された時点を基準として、繰出される電線Lが測長されるようになっている(詳細は後述する)。
【0051】
さらに、可動ベース板62の先端面には、取出位置A1または取出位置A2のカセット部30に向って突出した突起部(図示しない)が形成されており、その先端部分に位置決めローラが回転可能に支持されている。この位置決めローラは、可動ベース板62をカセット部30側に摺動させた際に、ケース部33の底板31に形成された略三角形状の切欠57(図5参照)内に挿入されるものであり、取出位置A1または取出位置A2におけるカセット部30を、位置決めローラ65を基準とした正規の位置までスライドさせることにより、カセット部30から突出する電線Lを、一対の送りローラ63に対向させることが可能になる。また、図示していないが、電線供給装置3には、選択された受箱部15が所定の取出位置まで移動した際、電線供給装置3の動作、すなわち受箱部15の旋回を防止するロック装置(例えば位置決めピン)が備えられている。
【0052】
図6に示すように、ガイドユニット61は、送り機構本体60の送りローラ63によって繰出される電線Lを、端子圧着装置2に案内するものである。具体的には、一対の側壁の間に電線Lが通過するスペースを有する案内箱87と、案内箱87の上部に固定され電線Lの送り方向に延びる上側案内部材88と、上側案内部材88の下方に配置され上側案内部材88と平行に延びる下側案内部材89とを具備して構成されている。特に、下側案内部材89における出口側(端子圧着装置2側)の端部付近は、軸支部材90によって回動可能に支持されており、実線で示す直線案内位置と二点鎖線で示す傾斜案内位置との間で変位するように回動駆動源98(図7参照)に連結されている。ここで、直線案内位置とは、下側案内部材89における入口側(送り機構本体60側)の端部を送り機構本体60の送りローラ63に対向させた位置であり、この位置に変位すると、送りローラ63から繰出される電線Lを真直ぐ直線状に案内することが可能になる。一方、傾斜案内位置とは、下側案内部材89における入口側の端部を垂下させ送りローラ63から離間させる位置であり、この位置に変位すると、送りローラ63から繰出される電線Lを、送りローラ63と下側案内部材89との間で撓ませることが可能になる。つまり、送りローラ63と下側案内部材89との間において、繰出された電線Lを余剰させることが可能になる。
【0053】
また、図1に示すように、これらの送り機構本体60及びガイドユニット61は、可動テーブル66の上に載置されており、基部67に対して所定の範囲で回動するように構成されている。つまり、図1において左側に回動した場合(実線で示す)には、送り機構本体60が、左側に配置された供給装置本体16の取出位置A1(図2参照)と対向し、その取出位置A1に配置された受箱部15から電線Lを繰出すことが可能になる。一方、図1において右側に回動した場合(二点鎖線で示す)には、送り機構本体60が、右側に配置された供給装置本体16の取出位置A2(図2参照)と対向し、その取出位置A2に配置された受箱部15から電線Lを繰出すことが可能になる。なお、基部67内には、可動テーブル66を回動させるための首振り駆動部68(図7参照)が設けられており、この首振り駆動部68によって、送り機構本体60及びガイドユニット61を、選択された何れか一方の取出位置に対向させることが可能になっている。
【0054】
次に、電線Lの供給制御に関する機能的構成、及びその作用を、図7に基づき説明する。なお、これらの機能的構成は、中央演算装置としてのCPU、読み出し専用メモリとしてのROM、読み書き可能メモリとしてのRAM等により実現されている。端子圧着装置2には、電線ドラム選択手段70が設けられており、加工処理する電線Lに対応した電線ドラムを、複数の電線ドラム36の中から選択する。具体的には、夫々の受箱部15には予め番号が付与されているため、各受箱部15の番号を特定することで、一つの電線ドラム36を選択する。
【0055】
電線ドラム選択手段70によって選択された受箱部15の番号は、送受信制御手段71によって電線供給装置3に送信される。すると、電線供給装置3では、その番号が送受信制御手段83によって受信され、電線供給制御手段84に送られる。電線供給制御手段84は、回転位置制御手段85によってモータ17を駆動し、電線ドラム選択手段70によって特定された受箱部15が所定の取出位置に位置するように制御する。特に、本例では、二つの供給装置本体16が互いに隣接して設けられており、電線ドラム選択手段70によって一つの受箱部15が選択されると、その受箱部15が左右いずれの供給装置本体16に含まれているかを判別し、対応する供給装置本体16におけるモータ17を駆動することにより、選択された受箱部15が取出位置に位置するように制御する。つまり、受箱部15が左側の供給装置本体16に含まれている場合には、その受箱部15を取出位置A1に位置させ、右側の供給装置本体16に含まれている場合には、その受箱部15を取出位置A2に位置させる。なお、夫々のモータ17は正転及び反転が可能であり、現在取出位置に位置する受箱部15と、選択された受箱部15との位置関係を基に回転方向を決定する。すなわち、回転角度が少なくなるように回転方向を決定する。また、夫々の供給装置本体16における各受箱部15の位置はモータ17の回転量を検出するエンコーダ(図示しない)によって認識されるようになっている。また、図2に示すように、選択された受箱部15が取出位置で停止する際、スプロケット12によって形成されるチェーン13の四隅に対して何れかの受箱部15が対応するようになっており、特に夫々対応する受箱部15が斜め45°に延出された状態となる。これにより、チェーン13の再び回転し始める際の回転負荷を低減するとともに、チェーン13に対して安定した回転を与えることができる。ここで、回転位置制御手段85が本発明の移動制御手段に相当する。
【0056】
また、電線供給装置3には、カセット部30のケース部33に取付けられたバーコード56から識別番号を読出す情報読出手段86(バーコードリーダを有する)が設けられており、取出位置の受箱部15に収容されている電線ドラム(または電線)に関しての情報(具体的には電線の色、電線の径、及び被覆材の材質、さらには電線ドラム36に巻かれた電線Lの初期長さ)を、バーコード56に記録された識別番号と、その識別番号に対応付けて予め記憶されている情報とを基に取得する。この情報は送受信制御手段83を介して端子圧着装置2に送信され、端子圧着装置2に設けられた電線表示手段72によってディスプレイに表示される。なお、電線ドラム36に関する情報は、電線ドラム36に電線が巻かれる毎に、識別番号と対応づけて記憶させるようにしてもよいが、電線Lの初期長さのみが毎回変化し、その他の情報が一定の場合には(すなわち、夫々のカセット部30に収容される電線Lの種類が変化しない場合には)、電線Lの初期長さに関する情報のみを更新するようにしてもよい。
【0057】
また、端子圧着装置2には、情報読出手段86によって読出された電線Lの初期長さを記憶する初期長記憶手段74と、端末加工処理された夫々の電線Lの長さ(累計)を個別に測長する電線測長手段75と、初期長記憶手段74に記憶された電線Lの初期長さ、及び電線測長手段75によって測長された夫々の電線Lの長さに基づいて、夫々の電線ドラム36に巻かれている電線Lの残り長さを算出する残長算出手段76とを備えている。つまり、電線Lの種類毎に、元の長さから、使用した分の長さが差し引かれ、残りの長さが求められる。これによれば、端子圧着装置2において、夫々の電線ドラム36に巻かれている残りの長さを一元的に管理することが可能になる。特に、本例では、算出された電線Lの残り長さが、所定量以下になった場合、報知制御手段73によってその電線Lの種別を知らせるようになっている。このため、残量が少なくなったことを作業者に認識させることが可能になり、新たな電線ドラム36を予め準備させることが可能になる。
【0058】
一方、電線送り装置4には、端子圧着装置2の送受信制御手段71と通信を行う送受信制御手段77と、送りローラ63を回転させるモータ79(ステッピングモータ)を駆動し電線Lの繰出しを制御する電線送り制御手段78と、第二切断刃53を駆動して電線Lを切断する切断制御手段54とが備えられている。
【0059】
ところで、電線ドラム36を交換する際には、第二切断刃53によって電線Lを切断することとなるが、端子圧着装置2において一連の処理が終わってから、すなわち所定長さの電線Lが生成された後に電線Lを切断するものでは、端子圧着装置2と電線供給装置3との間に繰出された電線Lが端尺として残ってしまい、材料に無駄が生じてしまう。特に、多品種少量生産の場合には、端尺の電線Lが数多く発生することから、材料費が大幅に増加することが懸念される。
【0060】
そこで、本例の電線送り装置4では、端子圧着装置2において生成される電線Lの必要長さを認識する必要長認識手段93と、送りローラ63を経て第二切断刃53を通過した電線Lの長さを測長する繰出長さ測長手段94とを備え、切断制御手段54は、繰出長さ測長手段94によって測長された電線Lの長さが、必要長認識手段93によって認識された電線Lの必要長さに一致した際に、第二切断刃53を動作させて電線Lを切断するようにしている。このため、既に繰出されている電線Lが端子圧着装置2において残らず使用されることになり、端尺の電線Lが発生することを回避することができる。なお、電線Lの必要長さは、端子圧着装置2から送信された情報を送受信制御手段77を介して受信することで認識され、第二切断刃53を通過する電線Lの長さは、モータ79におけるステップ数をカウントすることにより測長される。
【0061】
また、第二切断刃53から一定の距離には、電線Lの先端を検出する先端検出センサ64が設けられており、繰出長さ測長手段94によって測長される電線Lの長さが、先端検出センサ64の出力に基づいて補正されるようになっている。具体的には、電線Lの先端が検出された後に測長される電線Lの長さから、第二切断刃53から先端検出センサ64までの距離を差引くことにより、第二切断刃53を通過する電線Lの長さを認識している。これによれば、夫々のカセット部30から突出する電線Lの長さにバラツキがあっても、先端検出センサ64を利用して電線の初期長さを補正することが可能になり、正確な長さの電線Lを生成することができる。
【0062】
また、電線送り制御手段78は、送り機構本体60の送りローラ63を、端子圧着装置2におけるローラ159の動作状態に拘らず、一定速度で回転させ、必要長さの電線Lが繰出されるまで電線ドラム36から電線Lを連続的に繰出させるようにしている。つまり、例えば端子圧着装置2において電線Lの端部の被覆材を除去する際等、電線Lを逆方向に送る場合、あるいは電線Lの端部に端子を圧着する際等、電線Lの送込みを一端中断した状態で端末処理加工を実行する場合でも、電線送り装置4の送りローラ63を一定方向に定速で回転させることにより、電線ドラム36から電線Lを連続的に繰出させる。
【0063】
なお、電線送り装置4には、案内方向切替制御手段97が備えられており、電線ドラム36から繰出された電線Lの先端が端子圧着装置2のローラ159に送られると、回動駆動源98を駆動し、下側案内部材89を直線案内位置から傾斜案内位置に変位させる。これにより、送りローラ63と下側案内部材89との間において繰出された電線Lを余剰させることが可能になる。換言すれば、端子圧着装置2のローラ159が停止中または逆回転している場合であっても、電線送り装置4の送りローラ63によって電線Lを継続して繰出させることが可能になり、必要な長さの電線Lを速やかに繰出させることが可能になる。
【0064】
また、電線送り装置4には、首振り駆動部68を制御する取出位置切替手段69が備えられており、電線ドラム選択手段70によって何れか一つの受箱部15が選択されると、その受箱部15を含む供給装置本体16を選択するとともに、送り機構本体60の先端が、選択された供給装置本体16の取出位置を指すように、可動テーブル66を所定の位置まで旋回させる。これにより、二つの取出位置から電線を選択的に繰出させることが可能になる。
【0065】
このように、本例の電線処理システム1によれば、複数の受箱部15が、挿入口23の向きを後方に一致させた状態で、所定の鉛直面に沿ってループ状に配列されており、駆動機構11を動作させると、そのループ状を維持したまま鉛直面上で回転する。このため、夫々の電線ドラム36を取出位置A1または取出位置A2まで移動させることが可能になる。また、複数のカセット部30を規則正しく配列することができ、しかも比較的簡易な構造で支持することが可能になる。したがって、狭いスペースでも数多くの電線ドラム36を保持することが可能となり、ひいては電線供給装置3の小型化が可能になる。特に、所定の鉛直面に沿ってループ状に配列されていることから、一つの駆動機構11のみによって、夫々の電線ドラム36を水平方向及び鉛直方向に変位させることが可能になり、選択された電線ドラム36を所定の取出位置A1,A2まで容易に移動させることが可能になる。すなわち、水平方向にスライドさせる装置と昇降装置とを組合せたような複雑な構成を採用する必要がなく、比較的安価に製造できるとともに、装置を一層小型化させることができる。
【0066】
また、本例の電線処理システム1によれば、複数の受箱部15が無端のチェーン13に対し放射状になるように連結されているため、受箱部15の背面側を開放することで、背面側からカセット部30を挿入させることが可能になり、例えば電線供給装置3の前面を化粧板等で塞いだ場合でも、夫々の受箱部15内に対して電線ドラム36を容易に着脱させることが可能になる。
【0067】
本例の電線処理システム1によれば、選択された一つの受箱部15を所定の取出位置に移動させる動作、及びカセット部30から延出された電線Lを端子圧着装置2に受渡す動作、を機械的に行うため、一連の作業を自動化することができ、作業者の負担を軽減するとともに、加工すべき電線を間違いなく且つ速やかに供給することが可能となる。
【0068】
また、本例の電線処理システム1によれば、一対の供給装置本体16が並設されているため、必要な受箱部15の数を振分けることが可能になり、回転負荷が大きくなることを抑制するとともに、チェーン13の内径が極めて大きくなることを防止できる。さらに、必要な電線ドラム36を取出位置に移動させるまでの時間を短縮することができ、ひいては端子圧着装置2の稼働率を一層高めることができる。特にループ状を呈する二組の供給装置本体16が互いに隣接して配置されているため、夫々の供給装置本体16における取出位置A1,A2を隣合わせることが可能になる。また、電線送り装置4を旋回させる首振り駆動部68が設けられており、いずれか一つの受箱部15が選択されると、その受箱部15を含む一方の供給装置本体16が選択され、電線送り装置4の先端が、選択された供給装置本体16の取出位置を指すように旋回させられる。したがって、複数の供給装置本体16を移動させることに伴うエネルギーの損失を軽減することができるとともに、装置全体を一層小型化することができる。しかも、一方の供給装置本体16側から電線Lを繰出している途中であっても、次に繰出される電線Lが他方の供給装置本体16側に含まれている場合には、繰出し動作が終了する前から、次の電線Lの準備、すなわち電線Lが収容された受箱部15を取出位置まで移動させることが可能になり、ひいては、電線Lの交換に伴う段取り時間を一層短縮することができる。
【0069】
また、本例の電線処理システム1によれば、電線送り装置4には、取出位置に対向して配置された第二切断刃53が備えられており、端子圧着装置2から送信される情報に基づいて動作するようになっている。このため、端子圧着装置2で使用される電線Lを交換する際、繰出された電線Lを根元側で切断することができ、電線Lを電線ドラム36に巻き戻す等の処理が不要となる。すなわち、電線供給装置3における構成を簡素化することが可能になる。
【0070】
また、本例の電線処理システム1によれば、供給装置本体16には複数の受箱部15が設けられているため、供給装置本体16から互いに異なる種類の電線を随時供給することが可能になる。特に、カセット式であるため、供給装置本体16に電線ドラム36を装着する作業が極めて容易になる。また、決められた位置から一定の方向に電線Lが繰出されるため、電線送り装置4によって電線Lを確実に把持することができ、円滑な受渡しが可能になる。さらに、電線ドラム36を交換する際には、受箱部15からカセット部30を取出し、そのケース部33内に収容された電線ドラム36を交換することとなるため、安全な場所での交換作業が可能になるとともに、電線ドラム36の交換作業中であっても、他の電線ドラム36が収容された受箱部15から電線Lを供給し続けることが可能になる。また、複数のカセット部30を規則正しく配列することができ、しかも比較的簡易な構造で支持できるため、狭いスペースでも数多くの電線ドラム36を保持することが可能となり、ひいては端子圧着装置2の小型化が可能になる。
【0071】
また、本例の電線処理システム1によれば、電線ドラム36から突出した電線Lが一対の送りローラ63の間に挟持され、一対の送りローラ63を互いに反対方向に回転させることにより、電線Lが電線ドラム36から繰出され、繰出された電線Lは、ガイドユニット61を通過することにより、端子圧着装置2に向って案内される。このため、比較的簡単な構成で電線Lの先端を端子圧着装置2に受け渡すことが可能になる。特に、電線送り装置4では、端子圧着装置2において生成される電線Lの必要長さを認識するとともに、第二切断刃53を通過する電線Lの長さを測長し、測長された電線Lの長さが、認識している電線Lの必要長さに一致した際に、第二切断刃53を動作させて電線Lを切断する。このため、既に繰出されている電線Lが端子圧着装置2において残らず使用されることになり、端尺の電線Lが発生することを回避することが可能になる。
【0072】
また、本例の電線処理システム1によれば、端子圧着装置2にローラ159が備えられているが、電線送り装置4における送りローラ63は、端子圧着装置2におけるローラ159の動作状態に拘らず電線ドラム36から電線Lを繰出させるため、例えば端子圧着装置2において電線Lの端部の被覆材を除去する際等、電線Lを逆方向に送る場合、あるいは電線Lの端部に端子を圧着する際等、電線Lの送込みを一端中断した状態で端末処理加工を実行する場合でも、電線送り装置4の送りローラ63を一定方向に回転させることにより、電線ドラム36から電線Lを連続的に繰出させる。したがって、端子圧着装置2において電線Lの加工が終了する時よりも早く必要長さの電線Lを繰出すことが可能になり、さらには端子圧着装置2において電線を加工している最中でも、電線供給装置3においては次に加工する電線を繰出すための準備、具体的には選択された電線ドラム36を所定の取出位置に移動させる動作を行わせることができる。そして、この場合には、段取り時間が大幅に削減され、端子圧着装置2における稼働率を一層高めることが可能になる。特に、電線ドラム36から繰出された電線Lの先端が端子圧着装置2のローラ159に送られると、回動駆動源98が駆動され、下側案内部材89は直線案内位置から傾斜案内位置に変位し、送りローラ63から繰出される電線Lを、送りローラ63と下側案内部材89との間で撓ませることが可能になる。このため、端子圧着装置2のローラ159が停止中または逆回転している場合であっても、電線送り装置4の送りローラ63によって電線Lを継続して繰出させることが可能になり、必要な長さの電線Lを速やかに繰出させることが可能になる。
【0073】
また、本例の電線処理システム1によれば、ケース部33内に設けられた癖取り部42によって電線Lのねじり癖や曲がり癖が矯正されるため、略直線形状の電線Lを電線ガイド部43に案内することができ、ひいては、ケース部33から突出する電線の延出方向に直進性を持たせることができる。したがって、電線Lの受渡しを一層確実なものとすることができる。
【0074】
また、本例の電線処理システム1によれば、電線ドラム36の回転を制動する制動部材39が設けられているため、受箱部15の移動等に起因する電線ドラム36の回動による不具合、すなわち電線Lが自然に繰出されたり、ケース部33内で電線Lが撓んだり、電線ガイド部43から電線Lが抜けたりするという不具合を解消することができる。しかも、取出位置のカセット部30に対して制動解除機構40が作動するため、回転負荷を大きくすることなく、電線ドラム36を回転させることが可能になり、比較的小さな引張り力でも電線Lを容易に繰出させることが可能になる。特に、電線Lの引張り力を利用して制動状態を解除することから、制動及び解除操作においても自動化が可能である。
【0075】
さらに、本例の電線処理システム1によれば、挿入口23から受箱部15内に挿入したカセット部30を、係止部材24によって係止するため、受箱部15からカセット部30が脱離することを防止でき、安定した状態で可動させることができる。
【0076】
続いて、本発明の第二実施形態である電線供給装置201について、図8及び図9に基づき説明する。図8は電線供給装置201の構成を示す正面図であり、図9は電線供給装置201の構成を示す斜視図である。なお、図面において、第一実施形態の電線供給装置3と同様の構成については同一の番号を付し詳細な説明を省略する。
【0077】
本例の電線供給装置201は、三組の供給装置本体16を備えており、電線送り装置4に対し水平方向に摺動可能となっている。つまり、第一実施形態の電線供給装置3では、固定された二組の供給装置本体16に対して、電線送り装置4を可動させるものを示したが、本例の電線供給装置201では、固定された電線送り装置4に対し、各供給装置本体16が必要に応じて対向するように、取出位置を中心として三組の供給装置本体16を同時に水平方向にスライドさせる構成となっている。具体的には、架台202と、架台202に対し水平方向にスライド可能に支持され三組の供給装置本体16を載置する可動ベース部材203と、可動ベース部材203を水平方向に運動させる水平方向駆動源204とを具備して構成されている。なお、夫々の供給装置本体16は、第一実施形態の供給装置本体16と同様、電線供給装置3の正面に平行な鉛直面に沿ってループ状に配列された複数の受箱部15と、これらの受箱部15を可動させる駆動機構11とを備えて構成されている。
【0078】
また、この電線供給装置201では、供給対象として選択された受箱部15が、いずれの供給装置本体16に含まれるのかが判別され、その供給装置本体16が電線送り装置4と対向している場合には、駆動機構11のみによって受箱部15を取出位置まで回動させ、一方、選択された受箱部15を含む供給装置本体16が、電線送り装置4と対向していない場合には、電線送り装置4と対向するように水平方向駆動源204によって可動ベース部材203を水平方向に移動させるとともに、駆動機構11によって受箱部15を取出位置まで回動させる。このように、電線送り装置4を中心として複数の供給装置本体16を水平方向にスライドさせることにより、複数組の供給装置本体16に振分けて設けられた全ての電線ドラム36から電線Lを繰出させることが可能になる。
【0079】
以上、本発明を実施するための二つの形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すように本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良および設計の変更が可能である。
【0080】
すなわち、上記二つの実施形態では、複数の受箱部15を旋回させる駆動機構11を、複数のスプロケット12と、それらに巻かれた無端のチェーン13とから構成するものを示したが、鉛直方向に立設されたベース板に対して複数の受箱部15を固定状態で取付け、ベース板ごと回転させるようにしてもよい。但し、本例のようにチェーン13を用いて構成すれば、ベース板は回転しないことから、複数の受箱部15を略長方形のループに沿って配置することが可能となり、円盤状のベース板を回転させるもの(すなわち外観が円筒状であるもの)に比べて、設置スペースを効率的に利用することが可能になる。
【0081】
また、上記二つの実施形態では、複数の受箱部15が、電線供給装置3の正面(端子圧着装置2側の面)に平行な鉛直面に沿ってループ状に配列されているものを示したが、電線供給装置3の側面に平行な鉛直面に沿ってループ状に配列するようにしてもよい。
【0082】
また、上記二つの実施形態では、第二切断刃53を電線送り装置4に設けるものを示したが、電線供給装置3に備えるようにしてもよい。
【0083】
さらに、上記二つの実施形態では、挿入口23の反対側から電線Lが繰出されるものを示したが、挿入口23側の面から電線Lを繰出すようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第一実施形態の電線供給装置を有する電線処理システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】電線処理システムにおける電線供給装置の構成を示す平面図である。
【図3】電線供給装置における受箱部の構成を示す斜視図である。
【図4】受箱部とカセット式電線繰出し部との構成を示す分解斜視図である。
【図5】カセット式電線繰出し部の構成を示す平面図である。
【図6】電線送り装置におけるガイド部材の構成を模式的に示す模式図である。
【図7】電線供給制御に関する機能的構成を示すブロック図である。
【図8】第二実施形態の電線供給装置の構成を示す正面図である。
【図9】第二実施形態の電線供給装置の構成を示す斜視図である。
【図10】従来の端子圧着装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0085】
1 電線処理システム
2 端子圧着装置(端末処理装置)
3 電線供給装置
4 電線送り装置
11 駆動機構(回転機構)
12 スプロケット
13 チェーン
15 受箱部
16 供給装置本体
17 モータ(回動駆動源)
23 挿入口
30 カセット式電線繰出し部
33 ケース部
36 電線ドラム
38 ドラム支持部
68 首振り駆動部
85 回転位置制御手段(移動制御手段)
L 電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端末処理装置に対して電線を供給するための供給装置本体と、
該供給装置本体に複数個設けられ、少なくとも一端側に挿入口を有する筒状の受箱部と、
前記挿入口を介して前記受箱部内に挿脱可能に収容される箱状のケース部、電線が巻かれた電線ドラムを前記ケース部内で回動可能に支持するドラム支持部、及び、前記ケース部に設けられ前記電線ドラムに巻かれた電線を前記ケース部における所定の部位から一定方向に繰出させる電線ガイド部、を有するカセット式電線繰出し部と
を具備し、
前記供給装置本体は、前記挿入口の向きを同一方向に一致させた状態で、前記複数の受箱部を所定の鉛直面に沿ってループ状に配列し、該ループ状を維持したまま前記鉛直面上で回転させる回転機構を備えることを特徴とする電線供給装置。
【請求項2】
前記回転機構は、前記鉛直面に沿って配設され複数のスプロケットに巻き掛けられた無端のチェーンと、いずれか一つの前記スプロケットを介して前記チェーンに回転力を付与する回動駆動源とを有し、
複数の前記受箱部は、前記チェーンの外周縁に沿って所定の間隔で配置され、前記チェーンに対して放射状に連結されている
ことを特徴とする電線供給装置。
【請求項3】
前記回動駆動源を制御し、複数の前記受箱部の中から供給対象として指示された電線の受箱部を所定の取出位置まで移動させる移動制御手段と、
前記取出位置に配置された前記受箱部と対向し、該受箱部に収容されている前記カセット式電線繰出し部から延出された電線を、引張って繰出させるとともに、該電線の先端部分を前記端末処理装置に供給する電線送り装置と
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の電線供給装置。
【請求項4】
複数の前記受箱部が連結された前記チェーン、及び該チェーンを回転させる前記回動駆動源を備える前記供給装置本体が、複数組並設されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電線供給装置。
【請求項5】
前記複数組の供給装置本体を載置するとともに、前記取出位置を中心として水平方向にスライド可能に支持された可動ベース部材と、
該可動ベース部材を水平方向に運動させる水平方向駆動源と
をさらに備え、
前記移動制御手段は、供給対象として指示された前記受箱部を含む前記供給装置本体が、前記電線送り装置と対向している場合には、前記回動駆動源のみによって前記受箱部を前記取出位置まで回動させ、一方、供給対象として指示された前記受箱部を含む前記供給装置本体が、前記電線送り装置と対向していない場合には、該電線送り装置と対向するように前記水平方向駆動源によって前記可動ベース部材を水平方向に移動させるとともに、前記回動駆動源によって前記受箱部を前記取出位置まで回動させることを特徴とする請求項4に記載の電線供給装置。
【請求項6】
二組の前記供給装置本体が互いに隣接して配置され、
供給対象としていずれか一つの前記受箱部が指定されると、該受箱部を含む一方の前記供給装置本体を選択するとともに、前記電線送り装置の先端が、選択された前記供給装置本体側を指すように、前記電線送り装置を所定の位置まで旋回させる首振り駆動部をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の電線供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−27790(P2008−27790A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200407(P2006−200407)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(593098646)株式会社小寺電子製作所 (22)
【Fターム(参考)】