電線保護具の装着方法および保護具付電線
【課題】電線保護具に対する電線の固定を、小さい作業負担で簡易に行うことができる技術を提供する。
【解決手段】まず、本体側貫通孔に、組立図板上に立設された治具の治具ピンを挿通させる。続いて、電線束1を本体部材2の溝に沿って挿入された状態とし、溝内部に突出する一対の治具ピンの間に電線束1が挟み込まれた状態とする。続いて、本体部材2の溝を蓋部材3で覆った状態とする。ここで、蓋部材3の対向面には一対の突起部33が形成されており、この工程において、一対の突起部33のそれぞれが、本体部材2の側壁と電線束1と治具ピンとの間に形成されている隙間に差し込まれ、電線束1が一対の突起部33の間に挟み込まれた状態となる。続いて、治具ピンを、蓋側貫通孔32および本体側貫通孔から順に引き抜く。
【解決手段】まず、本体側貫通孔に、組立図板上に立設された治具の治具ピンを挿通させる。続いて、電線束1を本体部材2の溝に沿って挿入された状態とし、溝内部に突出する一対の治具ピンの間に電線束1が挟み込まれた状態とする。続いて、本体部材2の溝を蓋部材3で覆った状態とする。ここで、蓋部材3の対向面には一対の突起部33が形成されており、この工程において、一対の突起部33のそれぞれが、本体部材2の側壁と電線束1と治具ピンとの間に形成されている隙間に差し込まれ、電線束1が一対の突起部33の間に挟み込まれた状態となる。続いて、治具ピンを、蓋側貫通孔32および本体側貫通孔から順に引き抜く。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の周囲を覆う電線保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に搭載されるワイヤハーネスは、一般に、予め定められた経路に沿う枝状の敷設形状に組み立てられた上で車両等に配設される。ワイヤハーネスの組み立て作業は、例えば、電線(あるいは、複数の電線を束ねた電線束)を、組立図板に立設された治具によって受け止められた状態になるように布線して定められた敷設形状とし、布線された電線をテープ巻きにより結束し、さらに、定められた位置に電線保護具(プロテクタ)などの各種部品を取り付けることによって行われる。
【0003】
電線保護具は、一般に、電線(あるいは、複数の電線を束ねた電線束)の周囲を覆う筒状の部材により構成される。電線は、電線保護具で覆われることによって、振動又は可動部の動きに応じて周囲の部材と接触することがなくなり、耐久性が高まる。電線保護具の構成例は、例えば、特許文献1,2に開示されている。特許文献1には、プロテクタを構成する溝状の本体部材とカバー部材との間のロック構造に関する技術が開示されている。また、特許文献2には、プロテクタに挿通されたワイヤハーネスがプロテクタ内でバラバラにならないように保持する技術が開示されている。
【0004】
ところで、電線に電線保護具を取り付ける場合、電線は、電線保護具の引き出し口からの引き出し寸法が厳密に管理された状態で、電線保護具に対して固定されていなければならない。電線の引き出し寸法が定められた寸法からずれてしまうと、ワイヤハーネスが車体内に配索された状態において、ある位置でワイヤハーネスの不要なたるみが生じたり、また、別の位置でワイヤハーネスの余長が足りなくなったり、といった事態が生じるおそれがあるからである。
【0005】
電線保護具の引き出し口における電線の固定は、従来においては、例えば、電線保護具の引き出し口付近に形成された孔に、樹脂成型品であるタイバンドを挿通させ、このタイバンドを電線保護具に挿通された電線に巻き付けることによって行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平1−166415号公報
【特許文献2】特開2006−311785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
タイバンドを用いた固定においては、タイバンドを電線保護具の孔に挿通させ、さらに一定の締め付け力でタイバンドを電線に巻き付けるという一連の作業が必要となるため、作業工程が煩雑となり、作業負担が大きかった。また、タイバンドの通し方向、巻き付け時の締め荷重、タイバンドを固定するバックル部の位置等、品質管理ポイントが増加するため、品質管理にかかる負担も大きかった。また、巻き付け後にタイバンドがずれてしまわないような工夫(例えば、電線保護具に別の孔を形成しておき、タイバンドをこの孔にさらに通してずれを防止する、タイバンドを沿わせるリブ、あるいは切り欠きを電線保護具に形成する、等の工夫)が必要となるため、電線保護具の形状が複雑になるという問題もあった。さらに、電線保護具の他にタイバンドという別部品が必要となるので、コスト面においても好ましくなかった。
【0008】
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電線保護具に対する電線の固定を、小さい作業負担で簡易に行うことができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様に係る発明は、電線が挿入される溝を形成する半筒状の本体部材と、前記溝を覆う蓋部材とが組み合わされることにより形成される電線保護具を、前記電線に装着する方法であって、a)前記本体部材の溝底面において前記溝の幅方向に沿って対向配置された一対の本体側貫通孔のそれぞれに、組立図板上に立設された治具ピンを挿通させる工程と、b)前記電線を、前記溝に沿って挿入された状態とし、前記一対の本体側貫通孔を介して前記溝の内部に突出する一対の前記治具ピンの間に前記電線が挟み込まれた状態とする工程と、c)前記蓋部材の対向面を前記本体部材の溝の開口面に対向させるとともに、前記蓋部材の幅方向に沿って対向配置された一対の蓋側貫通孔に、前記一対の本体側貫通孔を介して突出する一対の前記治具ピンを挿通させた状態として、一対の前記治具ピンに案内された状態で前記対向面を前記開口面に近づけて当接させることによって、前記開口面を前記蓋部材で覆った状態とする工程と、d)前記治具ピンを前記蓋側貫通孔および前記本体側貫通孔から順に引き抜く工程と、を備え、前記蓋部材の延在方向について前記一対の蓋側貫通孔の隣に、前記蓋部材の幅方向に沿って対向配置され、それぞれが前記対向面の法線方向に突出する、一対の突起部が形成されており、前記c)工程において、前記一対の突起部のそれぞれが、前記本体部材の側壁と前記電線と前記治具ピンとの間に形成されている隙間に差し込まれることによって、前記電線が前記一対の突起部の間に挟み込まれた状態となる。
【0010】
第2の態様に係る発明は、第1の態様に係る電線保護具の装着方法であって、前記一対の突起部が二組形成され、前記二組の前記一対の突起部が、前記蓋部材の延在方向について前記一対の蓋側貫通孔を間に挟んで形成される。
【0011】
第3の態様に係る発明は、第1または第2の態様に係る電線保護具の装着方法であって、前記一対の突起部のそれぞれが断面三角形状である。
【0012】
第4の態様に係る発明は、保護具付電線であって、電線と、第1から第3のいずれかの態様に係る方法で前記電線に装着された電線保護具と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
第1の態様に係る発明によると、蓋部材に形成された一対の突起部の間に本体部材の溝に沿って挿入されている電線が挟み込まれた状態となることによって、電線が電線保護具に対して固定されることになる。この構成によると、タイバンドの巻き付け作業等といった特別な作業を行わずとも、本体部材の溝に沿って電線を挿入するとともに蓋部材を本体部材に被せるという通常の作業を行うだけで、電線を電線保護具に対して固定することができる。したがって、電線保護具に対する電線の固定を小さい作業負担で簡易に行うことができる。特に、蓋部材に形成された突起部は、本体部材の側壁と電線と治具ピンとの間に形成されている隙間に差し込まれることになるので、蓋部材を本体部材に被せる際に大きな負荷を要することもない。
【0014】
第2の態様に係る発明によると、蓋部材の延在方向について一対の蓋側貫通孔の両隣に一対の突起部が形成されるので、電線が、その延在方向に沿う2箇所において挟み込まれた状態となる。したがって、電線が電線保護具に対して確実に固定されることになる。
【0015】
第3の態様に係る発明によると、一対の突起部のそれぞれが断面三角形状である。本体部材の側壁と電線と治具ピンとの間に形成される隙間は、断面三角形状に近い形となっているところ、この構成によると、当該隙間に突起部を無理なく簡単に(すなわち、小さな負荷で)差し込むことができる。
【0016】
第4の態様に係る発明によると、電線保護具に対して電線が確実に固定された保護具付電線を、小さい作業負担で簡易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】保護具付電線の斜視図である。
【図2】本体部材の斜視図である。
【図3】蓋部材の斜視図である。
【図4】蓋部材を対向面側から見た平面図である。
【図5】蓋部材の側面図である。
【図6】第1工程を説明するための斜視図である。
【図7】第2工程を説明するための斜視図である。
【図8】第2工程を説明するための平面図である。
【図9】第3工程を説明するための斜視図である。
【図10】第3工程を説明するための平面図である。
【図11】第4工程を説明するための斜視図である。
【図12】第4工程を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。本発明の実施形態に係る保護具付電線は、例えば、自動車などの車両に搭載され、バッテリ又はインバータ回路などの電力供給源と電装機器との間、又は複数の電装機器相互間を接続するワイヤハーネスである。
【0019】
<1.保護具付電線>
まず、図1を参照しつつ、本発明の実施形態に係る保護具付電線100について説明する。図1は、保護具付電線100における、電線保護具10の引き出し口付近の様子を示す図である。
【0020】
保護具付電線100は、電線束1と、電線束1の周囲を覆う電線保護具10とを備える。
【0021】
<1−1.電線束1>
電線束1は、複数の電線11と、複数の電線11を束ねた状態で被覆する外装部材12とを備える。電線11は、導線が絶縁被覆によって覆われたケーブルであり、例えば、丸ケーブル又はフラットケーブルなどである。また、電線11の端部には、通常、不図示のコネクタが設けられている。外装部材12は、例えば、塩化ビニル等から成形されたチューブにより構成される。電線束1は、その周囲に電線保護具10が取り付けられることにより、周囲に存在する物体との接触による破損が防がれる。
【0022】
<1−2.電線保護具10>
電線保護具10は、電線束1の周囲を覆う筒を形成する用具であり、電線束1の両側から組み合わされることによって筒を形成する本体部材2と蓋部材3とを備える。
【0023】
本体部材2は、内側に電線束1が挿入される溝を形成する半筒状の部材である。一方、蓋部材3は、本体部材2の溝の開口面を覆う板状の部材である。なお、図示されるように、蓋部材3の幅方向の両側端は本体部材2と対向する方向に向けて直角に折れ曲げられていてもよい。本体部材2および蓋部材3のそれぞれは、例えば、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はABS樹脂などの樹脂からなる一体成形部材である。
【0024】
本体部材2の溝の開口面に、蓋部材3の一方の主面(以下「対向面」という)を対向させた状態で、本体部材2と蓋部材3とを突き合わせて(以下「突き合わせ状態」という)、両部材2,3を連結することにより、筒状の電線保護具10が形成される。本体部材2と蓋部材3との間の連結は、例えば、蓋部材3に形成された爪部31が、本体部材2に形成された爪受け部21に抜け防止状態で挿入されることによって(具体的には、閉じた枠状に形成される爪受け部21の枠内部に爪部31が挿通されるとともに、爪部31の先端に形成された突起部311が爪受け部21に引っ掛かることによって)実現される。
【0025】
<2.端部付近の構成>
<2−1.本体部材2の端部付近>
本体部材2の端部付近の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本体部材2の端部付近を示す斜視図である。
【0026】
本体部材2は、上述したとおり、内側に電線束1が挿入される溝を形成する半筒状の部材であり、半筒体の周方向に沿う端部位置には、本体部材2と蓋部材3とを連結させるための連結用部材である爪受け部21が形成される。
【0027】
本体部材2の端部付近において、本体部材2の溝底面には、溝の幅方向(具体的には、溝の延在方向と直交する方向)に沿って対向配置された一対の本体側貫通孔22,22が形成される。本体側貫通孔22は、組立図板上に立設された治具ピン91を挿通させる挿通孔として機能するものであり(図6参照)、本体側貫通孔22のサイズは、治具ピン91の断面サイズよりも僅かに大きく形成されている。
【0028】
一対の本体側貫通孔22,22の形成位置は、溝に沿って挿入される電線束1の直径に応じて規定される。具体的には、一対の本体側貫通孔22,22は、その離間幅に応じて規定されるくびれ幅(具体的には、溝の幅方向について、一方の本体側貫通孔22の外縁と、他方の本体側貫通孔22の外縁とが最も近接する距離)d22が、溝に沿って挿入される電線束1の直径よりも僅かに小さくなるように、形成される。
【0029】
<2−2.蓋部材3の端部付近>
次に、蓋部材3の端部付近の構成について、図3〜図5を参照しながら説明する。図3は、蓋部材3の端部付近を示す斜視図である。図4は、蓋部材3の端部付近を対向面側(図3の矢印K1方向)からみた平面図である。図5は、蓋部材3を側方(図3の矢印K2方向)からみた側面図である。
【0030】
蓋部材3は、上述したとおり、本体部材2の溝の開口面を覆う長尺の板状部材であり、その幅方向に沿う端部位置であって、突き合わせ状態において本体部材2に形成された爪受け部21と対応する位置に、連結用部材である爪部31が形成される。
【0031】
蓋部材3の端部付近において、蓋部材3には、その幅方向(具体的には、蓋部材3の延在方向と直交する方向)に沿って対向配置された一対の蓋側貫通孔32,32が形成される。一対の蓋側貫通孔32,32は、突き合わせ状態において、本体部材2に形成された一対の本体側貫通孔22,22を介して本体部材2の溝内部に突出した一対の治具ピン91を挿通させる挿通孔として機能するものである(図9参照)。すなわち、一対の蓋側貫通孔32,32のそれぞれは、突き合わせ状態において一対の本体側貫通孔22,22のそれぞれと対向する位置に形成されるとともに、各蓋側貫通孔32は、本体側貫通孔22と略同一のサイズ(すなわち、治具ピン91の断面サイズよりも僅かに大きなサイズ)に形成されている。したがって、一対の蓋側貫通孔32,32の離間幅に応じて規定されるくびれ幅(具体的には、蓋部材3の幅方向について、一方の蓋側貫通孔32の外縁と、他方の蓋側貫通孔32の外縁とが最も近接する距離)d32は、一対の本体側貫通孔22,22の離間幅に応じて規定されるくびれ幅d22(図2)と略同一となる。すなわち、くびれ幅d32は、本体部材2の溝に沿って挿入される電線束1の直径よりも僅かに小さいものとなっている。
【0032】
蓋部材3には、二組の突起部対331,332が形成される。二組の突起部対331,332は、蓋部材3の延在方向について一対の蓋側貫通孔32,32を間に挟んで形成される。すなわち、蓋部材3の延在方向について一対の蓋側貫通孔32,32の一方の隣には第1突起部対331が配置され、他方の隣には第2突起部対332が配置される。
【0033】
各突起部対331,332は、蓋部材3の幅方向に沿って対向配置された一対の突起部33,33により構成される。各突起部33は、蓋部材3の対向面の法線方向に突出して形成される。各突起部33の突出方向に沿う長さは、突き合わせ状態において、突起部33の先端が本体部材2の溝底面に僅かな隙間をあけた位置にくるような長さとされる(図12参照)。また、一対の突起部33,33は、その挟み幅(具体的には、蓋部材3の幅方向について、一方の突起部33の外縁と、他方の突起部33の外縁とが最も近接する距離)d33が、一対の蓋側貫通孔32,32の離間幅に応じて規定されるくびれ幅d32と略同一となるように形成される。すなわち、挟み幅d33は、本体部材2の溝に沿って挿入される電線束1の直径よりも僅かに小さくなる。
【0034】
各突起部33は、好ましくは、その断面が略三角形状に形成される。さらに好ましくは、各突起部33は、その突出する頂辺を、対になる他方の突起部33に向けて(すなわち、蓋部材3の延在方向に沿う中心線に向けて)形成される。さらに好ましくは、各突起部33は、図示されるように、蓋部材3の側縁に沿う面と蓋側貫通孔32に対向する側の面とがなす角度が直角になるような断面直角三角形状とされる。
【0035】
<3.装着方法>
保護具付電線100の製造方法について説明する。保護具付電線100は、電線束1に電線保護具10を装着することによって製造される。電線束1に電線保護具10を装着する方法について、図6〜図12を参照しながら説明する。図6は、電線束1に電線保護具10を装着する一連の作業における第1工程を説明するための図である。図7、図8は、当該一連の作業における第2工程を説明するための図である。図9、図10は、当該一連の作業における第3工程を説明するための図である。図11、図12は、当該一連の作業における第4工程を説明するための図である。ただし、図12において、電線束1は、一対の突起部33,33で挟まれた位置での断面形状で示されている。
【0036】
<第1工程>
まず、本体部材2の溝底面に形成された一対の本体側貫通孔22,22のそれぞれに、組立図板上に立設された治具ピン91が挿通された状態とする。ただし、ここでは、組立図板上の定められた位置(具体的には、布線された電線束1における、電線保護具10を装着すべき位置)に、先端がU字状に枝分かれした治具9が配置されており、治具9の一対の脚部が一対の治具ピン91,91として機能する。すなわち、ここでは、組立図板上に立設された治具9の一対の脚部(すなわち、一対の治具ピン)91,91のそれぞれを、本体部材2の底面に形成された一対の本体側貫通孔22,22のそれぞれに挿通された状態とする。すると、本体部材2は、治具9によって、組立図板上の定位置に支持された状態となる。
【0037】
<第2工程>
続いて、電線束1を、本体部材2の溝に沿って挿入された状態とし、さらに、本体部材2の一対の本体側貫通孔22,22を介して溝内部に突出する一対の治具ピン91,91の間に、溝に沿って挿入された電線束1が挟み込まれた状態とする。ただし、上述したとおり、一対の本体側貫通孔22,22のくびれ幅d22は電線束1の直径よりも僅かに小さくなるように規定されているため、一対の本体側貫通孔22,22を介して溝内部に突出する一対の治具ピン91,91の離間幅は電線束1の直径よりも小さくなっている。そこで、作業者は、電線束1を押しつぶすようにして、一対の治具ピン91,91の間に電線束1を押し入れることによって、電線束1を一対の治具ピン91,91の間に挟み込まれた状態とする。すると、図8に示されるように、本体部材2の側壁と電線束1と治具ピン91との間に断面が略三角形状の筒状の隙間Qが形成される。
【0038】
<第3工程>
続いて、蓋部材3と本体部材2とを突き合わせ状態とする。具体的には、まず、蓋部材3の対向面を本体部材2の溝の開口面に対向させるとともに、蓋部材3に形成された一対の蓋側貫通孔32,32のそれぞれに、一対の本体側貫通孔22,22を介して突出する一対の治具ピン91のそれぞれを挿通させた状態とする。そして、一対の治具ピン91,91に案内された状態で、蓋部材3の対向面を本体部材2の溝の開口面に近づけて当接させることによって、開口面を蓋部材3で覆った状態とする。このとき、蓋部材3に形成された爪部31が本体部材2に形成された爪受け部21に抜け防止状態に挿入されることによって、蓋部材3が本体部材2に対して固定される。
【0039】
上述したとおり、蓋部材3には、一対の蓋側貫通孔32,32の一方の隣に第1突起部対331が、他方の隣に2突起部対332が、それぞれ形成されている。第3工程において、蓋部材3の対向面が、本体部材2の溝の開口面に対して、開口面と平行な位置関係を保った姿勢で近づけられていくと、蓋部材3の対向面に形成された4個の突起部33のそれぞれが、本体部材2に形成されている隙間Qに、真っ直ぐ(すなわち、溝底面の法線方向に沿って)差し込まれていく。そして、突き合わせ状態(すなわち、対向面が溝の開口面に当接した状態)となると、各突起部33の先端が本体部材2の溝底面に僅かな隙間をあけた位置にくる。上述したとおり、一対の突起部33,33の挟み幅d33は、本体部材2の溝に沿って挿入される電線束1の直径よりも僅かに小さく形成されている。したがって、この状態において、溝に沿って挿入された電線束1は、一対の突起部33,33によって挟み込まれた状態となる。具体的には、電線束1は、その延在方向に沿う第1の位置において、第1突起部対331により挟み込まれた状態になるとともに、第1の位置と異なる第2の位置において、一対の治具ピン91により挟み込まれた状態になり、さらに、第1、第2の位置と異なる第3の位置において、第2突起部対332により挟み込まれた状態となる。つまり、電線束1はその延在方向に沿う3箇所において、挟み込まれた状態となる。
【0040】
<第4工程>
続いて、一対の治具ピン91,91を、一対の蓋側貫通孔32,32および一対の本体側貫通孔22,22から順に引き抜く。これにより、電線束1における定められた位置に電線保護具10が装着された、保護具付電線100が得られる。電線保護具10の引き出し口付近において、電線束1はその延在方向に沿う2箇所において、第1突起部対331および第2突起部対332のそれぞれによって挟み込まれた状態となっており、電線束1は、その延在方向に沿って引っ張る力、あるいは押す力が加えられても、電線保護具10に対して動かない状態となっている。すなわち、電線束1は電線保護具10に対して固定された状態となっている。
【0041】
<4.効果>
本実施形態によると、蓋部材3に形成された一対の突起部33,33の間に本体部材2の溝に沿って挿入されている電線束1が挟み込まれた状態となることによって、電線束1が電線保護具10に対して固定されることになる。この構成によると、タイバンドの巻き付け作業等といった特別な作業を行わずとも、本体部材2の溝に沿って電線束1を挿入するとともに蓋部材3を本体部材2に被せるという通常の作業を行うだけで、電線束1を電線保護具10に対して固定することができる。したがって、電線保護具10に対する電線束1の固定を小さい作業負担で簡易に行うことができる。
【0042】
また、本実施形態に係る固定態様(具体的には、一対の突起部33,33の間に電線束1を挟み込むことによって、電線束1を電線保護具10に対して固定する固定態様)は、例えば、タイバンドの巻き付けによる固定態様と比べて、次の利点がある。第1に、本実施形態に係る固定態様では、電線束1を電線保護具10に固定するためにタイバンド等の別部品を必要とすることがないので、部品点数を少なく抑えることが可能となり、製造コストを抑えられる。第2に、タイバンドによる固定態様の場合、タイバンドの通し方向、巻き付け時の締め荷重、タイバンドを固定するバックル部の位置等の品質管理ポイントがあり、品質管理に要する負担が大きかったが、本実施形態に係る固定態様では、突起部33という単純な構成で電線束1を固定するので、品質管理ポイントが少なくなり、品質管理に要する負担が少なくなる。第3に、タイバンドによる固定態様の場合、タイバンドにより電線束1に大きな負荷(締め付け力)がかかるが、本実施形態に係る固定態様では、電線束1にかかる負荷が比較的小さいため、電線束1に負担をかけることなく、電線束1を電線保護具10に対して確実に固定することができる。
【0043】
また、本実施形態においては、蓋部材3を本体部材2に被せるに先だって、溝に沿って挿入された電線束1が、一対の治具ピン91の間に、潰された状態で挟み込まれており、これによって隙間Qが形成されることになる。そして、蓋部材3を本体部材2に被せるときに、この隙間Qに、突起部33が差し込まれる。仮に、溝内部に突出する治具ピン91の存在がないとすると、このような隙間Qは形成されないため、蓋部材3を本体部材2に被せるときに、電線束1を突起部33で潰しながら、突起部33を差し込まなければならない。この場合、作業者は大きな負荷をかけなければ蓋部材3を本体部材2に被せることができない。また、蓋部材3を本体部材2に被せる際に突起部33にも大きな負荷がかかるため、突起部33が損傷するおそれもある。本実施形態においては、予め、治具ピン91を利用して電線束1を潰し、隙間Qが形成された状態としておくので、このような問題は生じない。すなわち、蓋部材3を本体部材2に被せる際の負荷も小さくてすみ、突起部33にも負担がかかりにくい。
【0044】
特に、本体部材2の側壁と電線束1と治具ピン91との間に形成される隙間Qは、断面三角形状に近い形となっている。したがって、突起部33が断面三角形状とされると、当該隙間Qに突起部33を無理なく簡単に(すなわち、より小さな負荷で)差し込むことができる。
【0045】
また、本実施形態によると、蓋部材3の延在方向について一対の蓋側貫通孔32,32の両隣に突起部対331と突起部対332とが形成されるので、電線束1が、その延在方向に沿う2箇所において挟み込まれた状態となる。したがって、電線束1が電線保護具10に対して確実に固定されることになる。
【0046】
また、本実施形態によると、蓋部材3は一対の蓋側貫通孔32,32に挿通された一対の治具ピン91,91により案内された状態で本体部材2に被せられることになるので、作業者は、目視等による位置あわせ等を行わなくとも簡単に蓋部材3を本体部材2に正しく位置あわせされた状態で被せることができる。
【0047】
<5.変形例>
上記の実施形態においては、電線束1は複数の電線11と、これらを束ねた状態で被覆する外装部材12とを備える構成としたが、電線束1において、複数の電線11は必ずしも外装部材12に被覆されていなくともよい。また、電線束1が備える電線11は1本であってもよい。
【0048】
また、上記の実施形態において、本体部材2は、半角筒状の部材であるとしたが、本体部材2は、内側に電線束1が挿入される溝を形成する半筒状の部材であれば他の形状の部材であってもよい。
【0049】
また、上記の実施形態において、本体側貫通孔22、および蓋側貫通孔32は半長円形状に図示されているが、各貫通孔22,32は、円形状とされてもよいし、矩形状であってもよい。例えば、電線の布線に用いられる治具ピン91が断面矩形の場合は、本体側貫通孔22、および蓋側貫通孔32も矩形状に形成することが好ましい。
【0050】
また、上記の実施形態においては、突起部33の断面は三角形状が好ましいとしたが、突起部33の断面形状は必ずしも三角形状でなくともよい。例えば、断面円形状、断面楕円形状等であってもよい。
【0051】
また、上記の実施形態においては、蓋部材3は、その延在方向について一対の蓋側貫通孔32,32を間に挟んで形成される二組の突起部対331,332を備える構成としたが、突起部対は一組だけ形成される構成であってもよい。
【0052】
また、上記の実施形態において、治具9は、先端がU字状に枝分かれした治具9であるとし、その一対の脚部のそれぞれが治具ピン91として機能するものとしたが、一対の治具ピン91は別体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 電線束
2 本体部材
3 蓋部材
10 電線保護具
22 本体側貫通孔
32 蓋側貫通孔
33 突起部
331,332 突起部対
100 保護具付電線
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の周囲を覆う電線保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に搭載されるワイヤハーネスは、一般に、予め定められた経路に沿う枝状の敷設形状に組み立てられた上で車両等に配設される。ワイヤハーネスの組み立て作業は、例えば、電線(あるいは、複数の電線を束ねた電線束)を、組立図板に立設された治具によって受け止められた状態になるように布線して定められた敷設形状とし、布線された電線をテープ巻きにより結束し、さらに、定められた位置に電線保護具(プロテクタ)などの各種部品を取り付けることによって行われる。
【0003】
電線保護具は、一般に、電線(あるいは、複数の電線を束ねた電線束)の周囲を覆う筒状の部材により構成される。電線は、電線保護具で覆われることによって、振動又は可動部の動きに応じて周囲の部材と接触することがなくなり、耐久性が高まる。電線保護具の構成例は、例えば、特許文献1,2に開示されている。特許文献1には、プロテクタを構成する溝状の本体部材とカバー部材との間のロック構造に関する技術が開示されている。また、特許文献2には、プロテクタに挿通されたワイヤハーネスがプロテクタ内でバラバラにならないように保持する技術が開示されている。
【0004】
ところで、電線に電線保護具を取り付ける場合、電線は、電線保護具の引き出し口からの引き出し寸法が厳密に管理された状態で、電線保護具に対して固定されていなければならない。電線の引き出し寸法が定められた寸法からずれてしまうと、ワイヤハーネスが車体内に配索された状態において、ある位置でワイヤハーネスの不要なたるみが生じたり、また、別の位置でワイヤハーネスの余長が足りなくなったり、といった事態が生じるおそれがあるからである。
【0005】
電線保護具の引き出し口における電線の固定は、従来においては、例えば、電線保護具の引き出し口付近に形成された孔に、樹脂成型品であるタイバンドを挿通させ、このタイバンドを電線保護具に挿通された電線に巻き付けることによって行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平1−166415号公報
【特許文献2】特開2006−311785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
タイバンドを用いた固定においては、タイバンドを電線保護具の孔に挿通させ、さらに一定の締め付け力でタイバンドを電線に巻き付けるという一連の作業が必要となるため、作業工程が煩雑となり、作業負担が大きかった。また、タイバンドの通し方向、巻き付け時の締め荷重、タイバンドを固定するバックル部の位置等、品質管理ポイントが増加するため、品質管理にかかる負担も大きかった。また、巻き付け後にタイバンドがずれてしまわないような工夫(例えば、電線保護具に別の孔を形成しておき、タイバンドをこの孔にさらに通してずれを防止する、タイバンドを沿わせるリブ、あるいは切り欠きを電線保護具に形成する、等の工夫)が必要となるため、電線保護具の形状が複雑になるという問題もあった。さらに、電線保護具の他にタイバンドという別部品が必要となるので、コスト面においても好ましくなかった。
【0008】
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電線保護具に対する電線の固定を、小さい作業負担で簡易に行うことができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様に係る発明は、電線が挿入される溝を形成する半筒状の本体部材と、前記溝を覆う蓋部材とが組み合わされることにより形成される電線保護具を、前記電線に装着する方法であって、a)前記本体部材の溝底面において前記溝の幅方向に沿って対向配置された一対の本体側貫通孔のそれぞれに、組立図板上に立設された治具ピンを挿通させる工程と、b)前記電線を、前記溝に沿って挿入された状態とし、前記一対の本体側貫通孔を介して前記溝の内部に突出する一対の前記治具ピンの間に前記電線が挟み込まれた状態とする工程と、c)前記蓋部材の対向面を前記本体部材の溝の開口面に対向させるとともに、前記蓋部材の幅方向に沿って対向配置された一対の蓋側貫通孔に、前記一対の本体側貫通孔を介して突出する一対の前記治具ピンを挿通させた状態として、一対の前記治具ピンに案内された状態で前記対向面を前記開口面に近づけて当接させることによって、前記開口面を前記蓋部材で覆った状態とする工程と、d)前記治具ピンを前記蓋側貫通孔および前記本体側貫通孔から順に引き抜く工程と、を備え、前記蓋部材の延在方向について前記一対の蓋側貫通孔の隣に、前記蓋部材の幅方向に沿って対向配置され、それぞれが前記対向面の法線方向に突出する、一対の突起部が形成されており、前記c)工程において、前記一対の突起部のそれぞれが、前記本体部材の側壁と前記電線と前記治具ピンとの間に形成されている隙間に差し込まれることによって、前記電線が前記一対の突起部の間に挟み込まれた状態となる。
【0010】
第2の態様に係る発明は、第1の態様に係る電線保護具の装着方法であって、前記一対の突起部が二組形成され、前記二組の前記一対の突起部が、前記蓋部材の延在方向について前記一対の蓋側貫通孔を間に挟んで形成される。
【0011】
第3の態様に係る発明は、第1または第2の態様に係る電線保護具の装着方法であって、前記一対の突起部のそれぞれが断面三角形状である。
【0012】
第4の態様に係る発明は、保護具付電線であって、電線と、第1から第3のいずれかの態様に係る方法で前記電線に装着された電線保護具と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
第1の態様に係る発明によると、蓋部材に形成された一対の突起部の間に本体部材の溝に沿って挿入されている電線が挟み込まれた状態となることによって、電線が電線保護具に対して固定されることになる。この構成によると、タイバンドの巻き付け作業等といった特別な作業を行わずとも、本体部材の溝に沿って電線を挿入するとともに蓋部材を本体部材に被せるという通常の作業を行うだけで、電線を電線保護具に対して固定することができる。したがって、電線保護具に対する電線の固定を小さい作業負担で簡易に行うことができる。特に、蓋部材に形成された突起部は、本体部材の側壁と電線と治具ピンとの間に形成されている隙間に差し込まれることになるので、蓋部材を本体部材に被せる際に大きな負荷を要することもない。
【0014】
第2の態様に係る発明によると、蓋部材の延在方向について一対の蓋側貫通孔の両隣に一対の突起部が形成されるので、電線が、その延在方向に沿う2箇所において挟み込まれた状態となる。したがって、電線が電線保護具に対して確実に固定されることになる。
【0015】
第3の態様に係る発明によると、一対の突起部のそれぞれが断面三角形状である。本体部材の側壁と電線と治具ピンとの間に形成される隙間は、断面三角形状に近い形となっているところ、この構成によると、当該隙間に突起部を無理なく簡単に(すなわち、小さな負荷で)差し込むことができる。
【0016】
第4の態様に係る発明によると、電線保護具に対して電線が確実に固定された保護具付電線を、小さい作業負担で簡易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】保護具付電線の斜視図である。
【図2】本体部材の斜視図である。
【図3】蓋部材の斜視図である。
【図4】蓋部材を対向面側から見た平面図である。
【図5】蓋部材の側面図である。
【図6】第1工程を説明するための斜視図である。
【図7】第2工程を説明するための斜視図である。
【図8】第2工程を説明するための平面図である。
【図9】第3工程を説明するための斜視図である。
【図10】第3工程を説明するための平面図である。
【図11】第4工程を説明するための斜視図である。
【図12】第4工程を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。本発明の実施形態に係る保護具付電線は、例えば、自動車などの車両に搭載され、バッテリ又はインバータ回路などの電力供給源と電装機器との間、又は複数の電装機器相互間を接続するワイヤハーネスである。
【0019】
<1.保護具付電線>
まず、図1を参照しつつ、本発明の実施形態に係る保護具付電線100について説明する。図1は、保護具付電線100における、電線保護具10の引き出し口付近の様子を示す図である。
【0020】
保護具付電線100は、電線束1と、電線束1の周囲を覆う電線保護具10とを備える。
【0021】
<1−1.電線束1>
電線束1は、複数の電線11と、複数の電線11を束ねた状態で被覆する外装部材12とを備える。電線11は、導線が絶縁被覆によって覆われたケーブルであり、例えば、丸ケーブル又はフラットケーブルなどである。また、電線11の端部には、通常、不図示のコネクタが設けられている。外装部材12は、例えば、塩化ビニル等から成形されたチューブにより構成される。電線束1は、その周囲に電線保護具10が取り付けられることにより、周囲に存在する物体との接触による破損が防がれる。
【0022】
<1−2.電線保護具10>
電線保護具10は、電線束1の周囲を覆う筒を形成する用具であり、電線束1の両側から組み合わされることによって筒を形成する本体部材2と蓋部材3とを備える。
【0023】
本体部材2は、内側に電線束1が挿入される溝を形成する半筒状の部材である。一方、蓋部材3は、本体部材2の溝の開口面を覆う板状の部材である。なお、図示されるように、蓋部材3の幅方向の両側端は本体部材2と対向する方向に向けて直角に折れ曲げられていてもよい。本体部材2および蓋部材3のそれぞれは、例えば、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はABS樹脂などの樹脂からなる一体成形部材である。
【0024】
本体部材2の溝の開口面に、蓋部材3の一方の主面(以下「対向面」という)を対向させた状態で、本体部材2と蓋部材3とを突き合わせて(以下「突き合わせ状態」という)、両部材2,3を連結することにより、筒状の電線保護具10が形成される。本体部材2と蓋部材3との間の連結は、例えば、蓋部材3に形成された爪部31が、本体部材2に形成された爪受け部21に抜け防止状態で挿入されることによって(具体的には、閉じた枠状に形成される爪受け部21の枠内部に爪部31が挿通されるとともに、爪部31の先端に形成された突起部311が爪受け部21に引っ掛かることによって)実現される。
【0025】
<2.端部付近の構成>
<2−1.本体部材2の端部付近>
本体部材2の端部付近の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本体部材2の端部付近を示す斜視図である。
【0026】
本体部材2は、上述したとおり、内側に電線束1が挿入される溝を形成する半筒状の部材であり、半筒体の周方向に沿う端部位置には、本体部材2と蓋部材3とを連結させるための連結用部材である爪受け部21が形成される。
【0027】
本体部材2の端部付近において、本体部材2の溝底面には、溝の幅方向(具体的には、溝の延在方向と直交する方向)に沿って対向配置された一対の本体側貫通孔22,22が形成される。本体側貫通孔22は、組立図板上に立設された治具ピン91を挿通させる挿通孔として機能するものであり(図6参照)、本体側貫通孔22のサイズは、治具ピン91の断面サイズよりも僅かに大きく形成されている。
【0028】
一対の本体側貫通孔22,22の形成位置は、溝に沿って挿入される電線束1の直径に応じて規定される。具体的には、一対の本体側貫通孔22,22は、その離間幅に応じて規定されるくびれ幅(具体的には、溝の幅方向について、一方の本体側貫通孔22の外縁と、他方の本体側貫通孔22の外縁とが最も近接する距離)d22が、溝に沿って挿入される電線束1の直径よりも僅かに小さくなるように、形成される。
【0029】
<2−2.蓋部材3の端部付近>
次に、蓋部材3の端部付近の構成について、図3〜図5を参照しながら説明する。図3は、蓋部材3の端部付近を示す斜視図である。図4は、蓋部材3の端部付近を対向面側(図3の矢印K1方向)からみた平面図である。図5は、蓋部材3を側方(図3の矢印K2方向)からみた側面図である。
【0030】
蓋部材3は、上述したとおり、本体部材2の溝の開口面を覆う長尺の板状部材であり、その幅方向に沿う端部位置であって、突き合わせ状態において本体部材2に形成された爪受け部21と対応する位置に、連結用部材である爪部31が形成される。
【0031】
蓋部材3の端部付近において、蓋部材3には、その幅方向(具体的には、蓋部材3の延在方向と直交する方向)に沿って対向配置された一対の蓋側貫通孔32,32が形成される。一対の蓋側貫通孔32,32は、突き合わせ状態において、本体部材2に形成された一対の本体側貫通孔22,22を介して本体部材2の溝内部に突出した一対の治具ピン91を挿通させる挿通孔として機能するものである(図9参照)。すなわち、一対の蓋側貫通孔32,32のそれぞれは、突き合わせ状態において一対の本体側貫通孔22,22のそれぞれと対向する位置に形成されるとともに、各蓋側貫通孔32は、本体側貫通孔22と略同一のサイズ(すなわち、治具ピン91の断面サイズよりも僅かに大きなサイズ)に形成されている。したがって、一対の蓋側貫通孔32,32の離間幅に応じて規定されるくびれ幅(具体的には、蓋部材3の幅方向について、一方の蓋側貫通孔32の外縁と、他方の蓋側貫通孔32の外縁とが最も近接する距離)d32は、一対の本体側貫通孔22,22の離間幅に応じて規定されるくびれ幅d22(図2)と略同一となる。すなわち、くびれ幅d32は、本体部材2の溝に沿って挿入される電線束1の直径よりも僅かに小さいものとなっている。
【0032】
蓋部材3には、二組の突起部対331,332が形成される。二組の突起部対331,332は、蓋部材3の延在方向について一対の蓋側貫通孔32,32を間に挟んで形成される。すなわち、蓋部材3の延在方向について一対の蓋側貫通孔32,32の一方の隣には第1突起部対331が配置され、他方の隣には第2突起部対332が配置される。
【0033】
各突起部対331,332は、蓋部材3の幅方向に沿って対向配置された一対の突起部33,33により構成される。各突起部33は、蓋部材3の対向面の法線方向に突出して形成される。各突起部33の突出方向に沿う長さは、突き合わせ状態において、突起部33の先端が本体部材2の溝底面に僅かな隙間をあけた位置にくるような長さとされる(図12参照)。また、一対の突起部33,33は、その挟み幅(具体的には、蓋部材3の幅方向について、一方の突起部33の外縁と、他方の突起部33の外縁とが最も近接する距離)d33が、一対の蓋側貫通孔32,32の離間幅に応じて規定されるくびれ幅d32と略同一となるように形成される。すなわち、挟み幅d33は、本体部材2の溝に沿って挿入される電線束1の直径よりも僅かに小さくなる。
【0034】
各突起部33は、好ましくは、その断面が略三角形状に形成される。さらに好ましくは、各突起部33は、その突出する頂辺を、対になる他方の突起部33に向けて(すなわち、蓋部材3の延在方向に沿う中心線に向けて)形成される。さらに好ましくは、各突起部33は、図示されるように、蓋部材3の側縁に沿う面と蓋側貫通孔32に対向する側の面とがなす角度が直角になるような断面直角三角形状とされる。
【0035】
<3.装着方法>
保護具付電線100の製造方法について説明する。保護具付電線100は、電線束1に電線保護具10を装着することによって製造される。電線束1に電線保護具10を装着する方法について、図6〜図12を参照しながら説明する。図6は、電線束1に電線保護具10を装着する一連の作業における第1工程を説明するための図である。図7、図8は、当該一連の作業における第2工程を説明するための図である。図9、図10は、当該一連の作業における第3工程を説明するための図である。図11、図12は、当該一連の作業における第4工程を説明するための図である。ただし、図12において、電線束1は、一対の突起部33,33で挟まれた位置での断面形状で示されている。
【0036】
<第1工程>
まず、本体部材2の溝底面に形成された一対の本体側貫通孔22,22のそれぞれに、組立図板上に立設された治具ピン91が挿通された状態とする。ただし、ここでは、組立図板上の定められた位置(具体的には、布線された電線束1における、電線保護具10を装着すべき位置)に、先端がU字状に枝分かれした治具9が配置されており、治具9の一対の脚部が一対の治具ピン91,91として機能する。すなわち、ここでは、組立図板上に立設された治具9の一対の脚部(すなわち、一対の治具ピン)91,91のそれぞれを、本体部材2の底面に形成された一対の本体側貫通孔22,22のそれぞれに挿通された状態とする。すると、本体部材2は、治具9によって、組立図板上の定位置に支持された状態となる。
【0037】
<第2工程>
続いて、電線束1を、本体部材2の溝に沿って挿入された状態とし、さらに、本体部材2の一対の本体側貫通孔22,22を介して溝内部に突出する一対の治具ピン91,91の間に、溝に沿って挿入された電線束1が挟み込まれた状態とする。ただし、上述したとおり、一対の本体側貫通孔22,22のくびれ幅d22は電線束1の直径よりも僅かに小さくなるように規定されているため、一対の本体側貫通孔22,22を介して溝内部に突出する一対の治具ピン91,91の離間幅は電線束1の直径よりも小さくなっている。そこで、作業者は、電線束1を押しつぶすようにして、一対の治具ピン91,91の間に電線束1を押し入れることによって、電線束1を一対の治具ピン91,91の間に挟み込まれた状態とする。すると、図8に示されるように、本体部材2の側壁と電線束1と治具ピン91との間に断面が略三角形状の筒状の隙間Qが形成される。
【0038】
<第3工程>
続いて、蓋部材3と本体部材2とを突き合わせ状態とする。具体的には、まず、蓋部材3の対向面を本体部材2の溝の開口面に対向させるとともに、蓋部材3に形成された一対の蓋側貫通孔32,32のそれぞれに、一対の本体側貫通孔22,22を介して突出する一対の治具ピン91のそれぞれを挿通させた状態とする。そして、一対の治具ピン91,91に案内された状態で、蓋部材3の対向面を本体部材2の溝の開口面に近づけて当接させることによって、開口面を蓋部材3で覆った状態とする。このとき、蓋部材3に形成された爪部31が本体部材2に形成された爪受け部21に抜け防止状態に挿入されることによって、蓋部材3が本体部材2に対して固定される。
【0039】
上述したとおり、蓋部材3には、一対の蓋側貫通孔32,32の一方の隣に第1突起部対331が、他方の隣に2突起部対332が、それぞれ形成されている。第3工程において、蓋部材3の対向面が、本体部材2の溝の開口面に対して、開口面と平行な位置関係を保った姿勢で近づけられていくと、蓋部材3の対向面に形成された4個の突起部33のそれぞれが、本体部材2に形成されている隙間Qに、真っ直ぐ(すなわち、溝底面の法線方向に沿って)差し込まれていく。そして、突き合わせ状態(すなわち、対向面が溝の開口面に当接した状態)となると、各突起部33の先端が本体部材2の溝底面に僅かな隙間をあけた位置にくる。上述したとおり、一対の突起部33,33の挟み幅d33は、本体部材2の溝に沿って挿入される電線束1の直径よりも僅かに小さく形成されている。したがって、この状態において、溝に沿って挿入された電線束1は、一対の突起部33,33によって挟み込まれた状態となる。具体的には、電線束1は、その延在方向に沿う第1の位置において、第1突起部対331により挟み込まれた状態になるとともに、第1の位置と異なる第2の位置において、一対の治具ピン91により挟み込まれた状態になり、さらに、第1、第2の位置と異なる第3の位置において、第2突起部対332により挟み込まれた状態となる。つまり、電線束1はその延在方向に沿う3箇所において、挟み込まれた状態となる。
【0040】
<第4工程>
続いて、一対の治具ピン91,91を、一対の蓋側貫通孔32,32および一対の本体側貫通孔22,22から順に引き抜く。これにより、電線束1における定められた位置に電線保護具10が装着された、保護具付電線100が得られる。電線保護具10の引き出し口付近において、電線束1はその延在方向に沿う2箇所において、第1突起部対331および第2突起部対332のそれぞれによって挟み込まれた状態となっており、電線束1は、その延在方向に沿って引っ張る力、あるいは押す力が加えられても、電線保護具10に対して動かない状態となっている。すなわち、電線束1は電線保護具10に対して固定された状態となっている。
【0041】
<4.効果>
本実施形態によると、蓋部材3に形成された一対の突起部33,33の間に本体部材2の溝に沿って挿入されている電線束1が挟み込まれた状態となることによって、電線束1が電線保護具10に対して固定されることになる。この構成によると、タイバンドの巻き付け作業等といった特別な作業を行わずとも、本体部材2の溝に沿って電線束1を挿入するとともに蓋部材3を本体部材2に被せるという通常の作業を行うだけで、電線束1を電線保護具10に対して固定することができる。したがって、電線保護具10に対する電線束1の固定を小さい作業負担で簡易に行うことができる。
【0042】
また、本実施形態に係る固定態様(具体的には、一対の突起部33,33の間に電線束1を挟み込むことによって、電線束1を電線保護具10に対して固定する固定態様)は、例えば、タイバンドの巻き付けによる固定態様と比べて、次の利点がある。第1に、本実施形態に係る固定態様では、電線束1を電線保護具10に固定するためにタイバンド等の別部品を必要とすることがないので、部品点数を少なく抑えることが可能となり、製造コストを抑えられる。第2に、タイバンドによる固定態様の場合、タイバンドの通し方向、巻き付け時の締め荷重、タイバンドを固定するバックル部の位置等の品質管理ポイントがあり、品質管理に要する負担が大きかったが、本実施形態に係る固定態様では、突起部33という単純な構成で電線束1を固定するので、品質管理ポイントが少なくなり、品質管理に要する負担が少なくなる。第3に、タイバンドによる固定態様の場合、タイバンドにより電線束1に大きな負荷(締め付け力)がかかるが、本実施形態に係る固定態様では、電線束1にかかる負荷が比較的小さいため、電線束1に負担をかけることなく、電線束1を電線保護具10に対して確実に固定することができる。
【0043】
また、本実施形態においては、蓋部材3を本体部材2に被せるに先だって、溝に沿って挿入された電線束1が、一対の治具ピン91の間に、潰された状態で挟み込まれており、これによって隙間Qが形成されることになる。そして、蓋部材3を本体部材2に被せるときに、この隙間Qに、突起部33が差し込まれる。仮に、溝内部に突出する治具ピン91の存在がないとすると、このような隙間Qは形成されないため、蓋部材3を本体部材2に被せるときに、電線束1を突起部33で潰しながら、突起部33を差し込まなければならない。この場合、作業者は大きな負荷をかけなければ蓋部材3を本体部材2に被せることができない。また、蓋部材3を本体部材2に被せる際に突起部33にも大きな負荷がかかるため、突起部33が損傷するおそれもある。本実施形態においては、予め、治具ピン91を利用して電線束1を潰し、隙間Qが形成された状態としておくので、このような問題は生じない。すなわち、蓋部材3を本体部材2に被せる際の負荷も小さくてすみ、突起部33にも負担がかかりにくい。
【0044】
特に、本体部材2の側壁と電線束1と治具ピン91との間に形成される隙間Qは、断面三角形状に近い形となっている。したがって、突起部33が断面三角形状とされると、当該隙間Qに突起部33を無理なく簡単に(すなわち、より小さな負荷で)差し込むことができる。
【0045】
また、本実施形態によると、蓋部材3の延在方向について一対の蓋側貫通孔32,32の両隣に突起部対331と突起部対332とが形成されるので、電線束1が、その延在方向に沿う2箇所において挟み込まれた状態となる。したがって、電線束1が電線保護具10に対して確実に固定されることになる。
【0046】
また、本実施形態によると、蓋部材3は一対の蓋側貫通孔32,32に挿通された一対の治具ピン91,91により案内された状態で本体部材2に被せられることになるので、作業者は、目視等による位置あわせ等を行わなくとも簡単に蓋部材3を本体部材2に正しく位置あわせされた状態で被せることができる。
【0047】
<5.変形例>
上記の実施形態においては、電線束1は複数の電線11と、これらを束ねた状態で被覆する外装部材12とを備える構成としたが、電線束1において、複数の電線11は必ずしも外装部材12に被覆されていなくともよい。また、電線束1が備える電線11は1本であってもよい。
【0048】
また、上記の実施形態において、本体部材2は、半角筒状の部材であるとしたが、本体部材2は、内側に電線束1が挿入される溝を形成する半筒状の部材であれば他の形状の部材であってもよい。
【0049】
また、上記の実施形態において、本体側貫通孔22、および蓋側貫通孔32は半長円形状に図示されているが、各貫通孔22,32は、円形状とされてもよいし、矩形状であってもよい。例えば、電線の布線に用いられる治具ピン91が断面矩形の場合は、本体側貫通孔22、および蓋側貫通孔32も矩形状に形成することが好ましい。
【0050】
また、上記の実施形態においては、突起部33の断面は三角形状が好ましいとしたが、突起部33の断面形状は必ずしも三角形状でなくともよい。例えば、断面円形状、断面楕円形状等であってもよい。
【0051】
また、上記の実施形態においては、蓋部材3は、その延在方向について一対の蓋側貫通孔32,32を間に挟んで形成される二組の突起部対331,332を備える構成としたが、突起部対は一組だけ形成される構成であってもよい。
【0052】
また、上記の実施形態において、治具9は、先端がU字状に枝分かれした治具9であるとし、その一対の脚部のそれぞれが治具ピン91として機能するものとしたが、一対の治具ピン91は別体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 電線束
2 本体部材
3 蓋部材
10 電線保護具
22 本体側貫通孔
32 蓋側貫通孔
33 突起部
331,332 突起部対
100 保護具付電線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が挿入される溝を形成する半筒状の本体部材と、前記溝を覆う蓋部材とが組み合わされることにより形成される電線保護具を、前記電線に装着する方法であって、
a)前記本体部材の溝底面において前記溝の幅方向に沿って対向配置された一対の本体側貫通孔のそれぞれに、組立図板上に立設された治具ピンを挿通させる工程と、
b)前記電線を、前記溝に沿って挿入された状態とし、前記一対の本体側貫通孔を介して前記溝の内部に突出する一対の前記治具ピンの間に前記電線が挟み込まれた状態とする工程と、
c)前記蓋部材の対向面を前記本体部材の溝の開口面に対向させるとともに、前記蓋部材の幅方向に沿って対向配置された一対の蓋側貫通孔に、前記一対の本体側貫通孔を介して突出する一対の前記治具ピンを挿通させた状態として、一対の前記治具ピンに案内された状態で前記対向面を前記開口面に近づけて当接させることによって、前記開口面を前記蓋部材で覆った状態とする工程と、
d)前記治具ピンを前記蓋側貫通孔および前記本体側貫通孔から順に引き抜く工程と、
を備え、
前記蓋部材の延在方向について前記一対の蓋側貫通孔の隣に、前記蓋部材の幅方向に沿って対向配置され、それぞれが前記対向面の法線方向に突出する、一対の突起部が形成されており、前記c)工程において、前記一対の突起部のそれぞれが、前記本体部材の側壁と前記電線と前記治具ピンとの間に形成されている隙間に差し込まれることによって、前記電線が前記一対の突起部の間に挟み込まれた状態となる、電線保護具の装着方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電線保護具の装着方法であって、
前記一対の突起部が二組形成され、
前記二組の前記一対の突起部が、前記蓋部材の延在方向について前記一対の蓋側貫通孔を間に挟んで形成される、電線保護具の装着方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電線保護具の装着方法であって、
前記一対の突起部のそれぞれが断面三角形状である、電線保護具の装着方法。
【請求項4】
電線と、
請求項1から3のいずれかに記載の方法で前記電線に装着された電線保護具と、
を備える保護具付電線。
【請求項1】
電線が挿入される溝を形成する半筒状の本体部材と、前記溝を覆う蓋部材とが組み合わされることにより形成される電線保護具を、前記電線に装着する方法であって、
a)前記本体部材の溝底面において前記溝の幅方向に沿って対向配置された一対の本体側貫通孔のそれぞれに、組立図板上に立設された治具ピンを挿通させる工程と、
b)前記電線を、前記溝に沿って挿入された状態とし、前記一対の本体側貫通孔を介して前記溝の内部に突出する一対の前記治具ピンの間に前記電線が挟み込まれた状態とする工程と、
c)前記蓋部材の対向面を前記本体部材の溝の開口面に対向させるとともに、前記蓋部材の幅方向に沿って対向配置された一対の蓋側貫通孔に、前記一対の本体側貫通孔を介して突出する一対の前記治具ピンを挿通させた状態として、一対の前記治具ピンに案内された状態で前記対向面を前記開口面に近づけて当接させることによって、前記開口面を前記蓋部材で覆った状態とする工程と、
d)前記治具ピンを前記蓋側貫通孔および前記本体側貫通孔から順に引き抜く工程と、
を備え、
前記蓋部材の延在方向について前記一対の蓋側貫通孔の隣に、前記蓋部材の幅方向に沿って対向配置され、それぞれが前記対向面の法線方向に突出する、一対の突起部が形成されており、前記c)工程において、前記一対の突起部のそれぞれが、前記本体部材の側壁と前記電線と前記治具ピンとの間に形成されている隙間に差し込まれることによって、前記電線が前記一対の突起部の間に挟み込まれた状態となる、電線保護具の装着方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電線保護具の装着方法であって、
前記一対の突起部が二組形成され、
前記二組の前記一対の突起部が、前記蓋部材の延在方向について前記一対の蓋側貫通孔を間に挟んで形成される、電線保護具の装着方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電線保護具の装着方法であって、
前記一対の突起部のそれぞれが断面三角形状である、電線保護具の装着方法。
【請求項4】
電線と、
請求項1から3のいずれかに記載の方法で前記電線に装着された電線保護具と、
を備える保護具付電線。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−235555(P2012−235555A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100722(P2011−100722)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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