説明

電線接続用の雌コネクタ

【課題】より少ない部品点数で、雄コネクタと強固に連結できる電線接続用の雌コネクタを提供する。
【解決手段】電線端部の雄コネクタ200に設けられた複数の電線側端子110と電気的に接続される複数の機器側端子220を有する電線接続用の雌コネクタ200である。このコネクタ200は、各機器側端子同士を絶縁するように並列される複数の絶縁片230、各機器側端子220と絶縁片230との間に形成されて、電線側端子110が抜き差しされる複数の挿脱孔、少なくとも一つの絶縁片230を、絶縁片230の並列方向に付勢する弾性材240、端子同士の押圧方向と交差する方向に進退される1本のボルト250、ボルト250の回転動力又は進退動力を端子110,220同士の押圧方向への動力に変換して絶縁片230に伝達する動力伝達機構260を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスといった自動車用電線などのプラグコネクタを機器側とを接続することに好適に利用できる電線接続用の雌コネクタに関するものである。特に、より少ない部品点数で、雄コネクタと強固に連結できる電線接続用の雌コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電線側となるワイヤハーネスの雄コネクタ(プラグ)を機器側の雌コネクタ(レセプタクル)に接続する構造としては、ボルト式と差込式とがある。
【0003】
まず、ボルト式は、特許文献1に示すように、雄コネクタの端子と、雌コネクタの端子とをボルトで貫通し、そのボルトを締め付けることで両端子の電気的接続を確保する構成である。
【0004】
一方、差込式は、いわゆるコンセントに類似した構成を有する。例えば、電線に繋がる雄コネクタの端子を板状片とし、雌コネクタの端子を互いに押圧し合う一対の押圧板とする。そして、雄コネクタの板状片を雌コネクタの押圧板の間に差し込み、この押圧板の押圧力で雄コネクタの板状片を保持する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2003-317821号公報 図1、図3、図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の各方式の接続構造には、次のような問題があった。
【0007】
まず、ボルト式は、雄コネクタと雌コネクタの両端子を強固に接続できるものの、多数のボルトを必要とする。例えば、3相交流の電線が2系統あった場合、端子同士の接続だけで合計6本のボルトを必要とする。そのため、両コネクタの接続・取り外しを行うには、多数のボルトの締め外しを行わなければならず、その作業が非常に煩雑になる。特に、ボルトの緩み防止のため、ボルトの締付トルクの管理も必要なため、ボルトの締め付けは一層煩雑な作業となる。また、ボルトの締め外しを行うには、ボルト頭部の周辺にボルトを回転させるための工具を取り回すスペースが必要になる。そのため、複数本のボルトは、工具の取り回しスペースを考慮した広い間隔に配置せざるを得ず、このような事情は、雌コネクタの小型化の障害にもなっている。
【0008】
次に、差込式は、雄コネクタと雌コネクタの端子同士を接続・解除する際、単に雄コネクタを雌コネクタに抜き差しするだけでよく、多数のボルトの締め外しを必要としない。しかし、電線に流れる電流が小さい場合は雌コネクタの押圧板同士の押圧力で十分に雄コネクタの板状片を挟みつけられるが、例えば100A以上といった大電流になると、押圧板の押圧力が小さければ、両端子の接触抵抗が大きくなり、両端子の接触箇所で発熱が生じる。一方、押圧板の押圧力を強くすれば、端子同士の接触抵抗を低減できるが、雄コネクタを雌コネクタに抜き差しすることが人力では困難となる。その上、この抜き差しを行うことに伴って、両端子が強く摺接されるため、各端子が損傷する虞もある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、より少ない部品点数で、端子を損傷することなく両コネクタを強固に連結できる電線接続用の雌コネクタを提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、簡易な作業にて、多数の端子を同時に接続・解除できる電線接続用の雌コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、一つのボルトの締め外しにより複数の端子を接続できる雌コネクタの検討を行った。その結果、このボルトの回転動力又は進退動力を、複数の端子を押圧する方向の動力として変換して各端子に伝達すれば、上記の目的を達成できるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。以下の説明において、電線には、電線及びケーブルを含むものとする。
【0012】
本発明の雌コネクタは、電線端部の雄コネクタに設けられた複数の電線側端子と電気的に接続される複数の機器側端子を有する電線接続用の雌コネクタであって、複数の絶縁片、複数の挿脱孔、弾性材、1本のボルト、及び動力伝達機構を備えることを特徴とする。絶縁片は、各機器側端子同士を絶縁するように並列される。挿脱孔は、各機器側端子と絶縁片との間に形成されて、前記電線側端子が抜き差しされる孔である。弾性材は、少なくとも一つの絶縁片を、絶縁片の並列方向に付勢する。ボルトは、端子同士の押圧方向と交差する方向に進退される。そして、動力伝達機構は、そのボルトの回転動力又は進退動力を前記端子同士の押圧方向への動力に変換して絶縁片に伝達する。
【0013】
この構成によれば、動力伝達機構により、1本のボルトの回転動力又は進退動力を雄コネクタと雌コネクタにおける複数の端子同士の接続に利用することができる。そのため、少ないボルトの数で、複数の端子同士の接続ができる。例えば、雄コネクタの一つの端子と、この端子に繋がる雌コネクタの一つの端子を接続端子対とするとき、複数対の接続端子対を1本のボルトの動作にて接続したり解除したりできる。また、この動力伝達機構により、1本のボルトの締付力を端子同士の押圧力として利用できると共に、弾性材による付勢力も合わせて端子同士の押圧力として利用できるため、雄コネクタと雌コネクタの端子同士を強固に接続できる。特に、動力伝達機構を、増力(倍力)機能を備える構成とすれば、一層強固に端子同士を接続できる。
【0014】
動力伝達機構の具体例としては、次の構成が挙げられる。
【0015】
(1)ボルトの端部に取り付けられてテーパ面を有するウェッジと、前記テーパ面に適合する傾斜面を有し、ボルトの進退に伴うウェッジの進退動力をテーパ面と傾斜面の接触により絶縁片に伝達するカムとを備える動力伝達機構。
この構成によれば、ボルトの進退によりウェッジのテーパ面をカムの傾斜面に押圧・解除し、それに伴って雄コネクタと雌コネクタの端子同士を強固に接続・解除することができる。
【0016】
(2)ボルトに連動して回転されると共に絶縁片を押圧する偏心カムを備える動力伝達機構。
この構成によれば、ボルトの回転に伴って偏心カムを回転させるだけで、この偏心カムによる絶縁片の押圧・解除により、雄コネクタと雌コネクタの端子同士を強固に接続・解除することができる。
【0017】
(3)ボルトは、その軸方向の一端側に右ボルト面を、他端側に左ボルト面を有する構成とする。その際、動力伝達機構は、絶縁片に形成されてΛ型に突出した山型面と、前記ボルトの右ボルト面と左ボルト面の各々に螺合されると共に、ボルトの回転に伴って互いに近接・離反する一対の部材であって、前記山型面に適合するV型の谷型面を構成するペアカムとを備える構成とする。
この構成によれば、ペアカムの近接・離反に伴って絶縁片の山型面を押圧・解除し、雄コネクタと雌コネクタの端子同士を強固に接続・解除することができる。
【0018】
(4)ボルトは、その軸方向の一端側に右ボルト面を、他端側に左ボルト面を有する構成とする。その際、動力伝達機構は、前記ボルトの右ボルト面と左ボルト面の各々に螺合されると共に、ボルトの回転に伴って互いに近接・離反する一対の押圧片と、押圧片の近接・離反に伴ってボルトの軸方向と直交する方向に膨出・復帰する板ばねとを備える構成とする。
この構成によれば、押圧片の近接・離反に伴って板ばねの屈曲程度を可変させ、その板ばねの膨出・復帰により雄コネクタと雌コネクタの端子同士を強固に接続・解除することができる。
【0019】
(5)ボルトの進退に連動して屈曲・伸長される一対のリンクと、リンクの連結点に設けられ、リンクの屈曲時に絶縁片を押圧する圧接片とを備える動力伝達機構。
この構成によれば、ボルトの進退によりいわゆるトグルジョイントと同様のリンクを駆動し、このリンクの屈曲程度を可変させることで圧接片を介して絶縁片を押圧・解除し、雄コネクタと雌コネクタの端子同士を強固に接続・解除することができる。
【0020】
その他、本発明の電線接続用の雌コネクタの一形態として、ボルトの軸方向に平面視したとき、ボルトに対して左右対称となるように機器側端子、絶縁片および弾性材が配置された構成が挙げられる。
【0021】
この構成によれば、左右対称に設けられた機器側端子、絶縁片および弾性材を1本のボルトの回転動力又は進退動力を利用して駆動することができ、ボルトの左右に存在する複数対の接続端子対を接続・解除することができる。
【0022】
また、本発明の電線接続用の雌コネクタの一形態として、前記ボルトを回転自在に支持すると共に、機器側端子、絶縁片および弾性材を取り囲むケースを備える構成が挙げられる。
【0023】
この構成によれば、ケースを設けることで、防水性の高い雌コネクタを構成しやすくできる。
【0024】
さらに、本発明の電線接続用の雌コネクタの一形態として、前記ボルトをケースにねじ込むことで、ボルトの頭部とケースとの間で圧縮されることによりボルトとケースとを止水する止水材を備える構成が挙げられる。
【0025】
この構成によれば、ボルトがケースに貫通する箇所からのケース内への浸水を効果的に抑制して防水特性の高い雌コネクタを実現できる。
【0026】
そして、本発明の電線接続用の雌コネクタの一形態として、前記ボルトと各機器側端子とは、絶縁片および動力伝達機構により絶縁されている構成が挙げられる。
【0027】
この構成によれば、ボルトと各機器側端子との絶縁を確保することで、ボルト操作時の安全性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の電線接続用の雌コネクタによれば、より少ない部品点数で、簡易な操作にて強固に雄コネクタと連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態1に係る雌コネクタを機器側から背面視した図で、電線側・機器側端子を圧接状態とした雌コネクタの部分断面図である。
【図2】実施形態1に係る雌コネクタを平面視した図で、図1のII-II矢視断面を含む部分断面図である。
【図3】実施形態1に係る雌コネクタを側面視した図で、図1のIII-III矢視断面を含む部分断面図である。
【図4】実施形態1に係る雌コネクタの主要内部構造を示す模式斜視図である。
【図5】実施形態1に係る雌コネクタを機器側から背面視した図で、電線側・機器側端子の圧接を解除状態とした雌コネクタの部分断面図である。
【図6】実施形態2〜6に係る本発明雌コネクタの模式構成図である。
【図7】3相の電線導体の配置パターンに応じた電線側端子と機器側端子の配列を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。ここでは、ワイヤハーネスの端部に形成した雄コネクタと、機器側に固定された雌コネクタとを接続する機構を例として説明する。
【0031】
<実施形態1>
[本発明の雌コネクタを用いた接続機構の全体構成]
この接続機構は、図2、図4に示すように、互いに結合する雄コネクタ100と雌コネクタ200とを備える。両コネクタの接続・解除は、主として、雄コネクタ100を雌コネクタ200の挿脱孔に抜き差しすることと、雌コネクタ200に設けられた1本のボルト250を締め外しすることで行う。雌コネクタ200は合計6つの機器側端子220を備えており、3つの電線側端子110を備える雄コネクタ100を一対用い、各雄コネクタ100を雌コネクタ200に接続することで、2系統の3相交流の電流路を構成することができる。まず先に雄コネクタ100を概説し、その後に雌コネクタ200の構成を詳細に説明する。
【0032】
[雄コネクタ:図2〜4]
この雄コネクタ100は、図2〜図4に示すように、3相の各相に対応する電線導体の各々に接続される電線側端子110を備える。いずれの電線側端子110も錫めっき銅の細長い矩形片で構成され、一定間隔に並列配置されて、雄コネクタ100のボディー115から突出される。このボディー115は概略的には断面外径がトラック状の筒状体で、電線側端子110と電線導体の接続箇所を覆うプラスチックケースを備える。そのケースの外周には、雌コネクタ200と結合した際に雌コネクタ200のケースとの間を止水するOリング120(図2、3)を備える。
【0033】
[雌コネクタ]
雌コネクタ200は、雄コネクタ100をインバータなどの機器側に接続するための構造体であり、ケース210、機器側端子220、絶縁片230、弾性材240、ボルト250、動力伝達機構260を主たる構成要素とする。
【0034】
(ケース:図1〜3)
この雌コネクタ200は、後述する絶縁片230、弾性材240、動力伝達機構260を収納するケース210を備える。このケース210は、アルミダイキャスト製で、断面がトラック状の筒状部材である一対の雄コネクタ差込部212と、この一対の雄コネクタ差込部212を並列状態で連結する枠状部214とを備える。各差込部212の一端側は並列する差込部212と連結され、他端側には雄コネクタ100を差し込む開口部が形成されている。さらに、連結状態の一対の差込部212は枠状部214に連結され、その枠状部214の内側には、トラック状の開口部が形成される。この枠状部214は、一対の差込部212からフランジ状に突出され、図示しない機器の筐体にねじ止めにて固定される。その際、筐体と枠状部214との間には、Oリングを介在させることで、機器の筐体との間を止水することができる。
【0035】
また、このケース210上面における一対の雄コネクタ差込部212の中間には、後述するボルト250のボルト孔216が形成されている。このボルト孔216に螺合したボルト250をケース210内に進退させることで、ボルト250の両側に位置する合計6対の電線側端子110と機器側端子220との接続を行う。
【0036】
(機器側端子:図1〜4)
機器側端子220は、一端が電線側端子110と接続され、他端がインバータなどの機器に接続される導電部材である。ここでは、錫めっき銅のL状片を機器側端子220とした。L状片の長辺側が、電線側端子110との接続面になり、短辺側が機器への接続側となる。本例では、図1において、ボルト250を中心として左右対称に3つずつ(1系統に対応)の機器側端子220が所定の間隔をあけて配置されている。図1や図2では、機器側端子220をケース210から突出して示しているが、この突出箇所は、機器の筐体(図示略)内に収納されており、実際には外部からは見えない。
【0037】
(絶縁片:図1、2、4)
絶縁片230は、各機器側端子220同士を絶縁する複数のブロック状部材である。つまり、各機器側端子220の間、最もボルト250から離れた機器側端子220と雌コネクタ200のケース210との間、及び最もボルト250に近接した機器側端子220とボルト250との間の各々に絶縁片230が配置されている。本例では、いずれの絶縁片230も不飽和ポリエステルの成形体で構成し1系統当たり4つの絶縁片230、つまり図1におけるボルト250の左右で合計8つの絶縁片230を用いた。以下の説明において、絶縁片230のボルト250に近い方を中央側、ボルト250から離れる方を側端側という。
【0038】
1系統における3つの機器側端子220の間に介在される一対の中間絶縁片232の各々は、略直方体状の基部と、基部上下面に突出される略矩形の突部と、突部及び基部と一体で、基部の中央側に突出する[型の係合片とを備え、電線側又は機器側から見た概略形状が[型の絶縁片である。基部の側端側の側面には、電線側端子110の挿脱孔となる電線側凹部232WCを備え、基部の中央側の側面には、機器側端子220の位置決め孔となる機器側凹部232DCを備える。電線側凹部232WCは、基部の機器側に電線側端子110の当て止めを有し、機器側凹部232DCは、基部の電線側に機器側端子220の当て止めを有する。一方、両中間絶縁片232を隣接させた際、一方の中間絶縁片232の係合片が、他方の中間絶縁片232の突部と係合される。つまり、[型の係合片の間に矩形の突部がはめ込まれるように係合する。この係合により、各中間絶縁片232は、相互に位置決めされて隣接される。その隣接により、一方の中間絶縁片232の電線側凹部232WCと他方の中間絶縁片の機器側凹部232DCとが対面され、この両凹部内で電線側端子110と機器側端子220とが接続される。
【0039】
また、最もボルト250から離れた機器側端子220と雌コネクタ200のケース210との間に配される端部絶縁片234は、断面が略半円状の基部と、基部上下面から基部の中央側に突出する[型の係合片とを備え、電線側又は機器側から見た概略形状が[型の絶縁片である。この端部絶縁片234の基部は、側端側の側面がケース210の内面に適合する湾曲面で構成され、中央側の側面に機器側端子220の位置決め孔となる機器側凹部234DCが形成される。この機器側凹234DC部も、基部の電線側に機器側端子220の当て止めを有する。そして、端部絶縁片234の係合片を隣接する中間絶縁片232の突部に係合することで、端部絶縁片234と中間絶縁片232とが位置決めされる。その際、端部絶縁片234の機器側凹部234DCと、隣接する中間絶縁片232の電線側凹部232WCとが対面され、この両凹部内で電線側端子110と機器側端子220とが接続される。
【0040】
さらに、最もボルト250に近接した機器側端子220とボルト250との間に配される絶縁片は、弾性材240である圧縮ばねのばね座ブロック236である。このばね座ブロック236は、中間絶縁片232の上下に位置する一対の係合片の間に嵌め込まれる薄い矩形ブロック状の部材である。ばね座ブロック236の側端側の側面には、電線側端子110の挿脱孔となる電線側凹部236WCが形成され、中央側の側面には、圧縮ばね240の一端側のばね座となる円座ぐり236Hが形成されている。この電線側凹部236WCも、ばね座ブロック236の機器側に電線側端子110の当て止めを有する。このばね座ブロック236は、圧縮ばね240により中央側から側端側に付勢され、順次ばね座ブロック236の側端側に並列される中間絶縁片232及び端部絶縁片234をも側端側に付勢する。その際、端部絶縁片234は、ケース210の内面に当て止めされる。さらに、ばね座ブロック236の上下面には、ばね座ブロック236の中央側に位置するカム264(後述)が係合する矩形凹部が形成されている。
【0041】
その他、図3に示すように、各絶縁片230の外周には溝230Rが形成され、この溝230Rがケース210内部の突条に係合することで、各絶縁片230のケース210からの脱落を抑制している。そして、各絶縁片230において、電線側凹部232WC、236WC及び機器側凹部232DC、234DCにおける各端子110、220の挿入側開口には、傾斜面を形成し、各端子110、220を各凹部232WC、232DC、234DC、236WCに挿入しやすくしている。
【0042】
(弾性材:図1、2、4)
弾性材240は、前記ばね座ブロック236と後述するカム264との間に介在されて、各絶縁片230を側端側に、カムを264中央側に付勢する圧縮ばねである。本例では、自由長:15mm、直径:12mm、幅2.5mm×厚さ2.0mmの平角線(材質:SWSC-V)をらせん状にエッジワイズ巻きした圧縮ばね240を用いている。この圧縮ばね240は、ボルト250の左右の各々に一つずつ用いられる。
【0043】
(ボルト:図1、4)
一方、ボルト250は、ケース210中央のボルト孔216に螺合される。このボルト250をケース210内に進退させることで、後述する動力伝達機構260を介して中央側から側端側に各絶縁片230を押圧し、その押圧により絶縁片230間に差し込まれている電線側端子110と機器側端子220の圧接・解除を行う。本例では、SS400からなる2段ボルトを用いた。このボルト250は、雄ねじ面を有する太径部250Lをボルト250の頭部側に有し、ねじ面のない丸棒からなる細径部250Tをボルト250の先端側に有する。但し、この細径部250Tの先端部のみには、雄ねじ部が形成されている。そして、太径部250Lはボルト孔216に螺合され、細径部250Tには後述するウェッジ262が貫通される。
【0044】
また、本例では、ボルト頭部の直下において、ボルト250の太径部250Lに貫通される円環状のシール座金252を配置している。このシール座金252は断面が[状で、太径部250Lの外周に嵌められたOリング254を収納する。ボルト250をボルト孔216にねじ込むことで、Oリング254はシール座金252とケース210との間で圧縮されて変形し、ボルト250とボルト孔216との間を確実に止水することができる。
【0045】
(動力伝達機構:図1、2、4)
前記ボルト250の進退動力は、ウェッジ262とカム264からなる動力伝達機構260を介して、絶縁片230に伝達され、それら絶縁片230を並列方向に圧縮・開放する。これらウェッジ262とカム264も、絶縁片230と同じ不飽和ポリエステルの成形体である。
【0046】
まず、ウェッジ262は、ボルト250に貫通された状態で保持されるブロック体で、その上部(ボルト頭部側)にはボルト軸方向にわたって幅が一定となる直線部262Lを備え、その下部(ボルト先端側)にはボルト先端側に向かって幅が狭くなるテーパ部262Tを備える。そして、ウェッジの直線部262Lの側面には垂直面が、テーパ部262Tの側面にはテーパ面が形成される。このようなウェッジ262は、ボルト250の太径部250Lよりは細く、かつ細径部250Tよりは太い内径の貫通孔を有し、細径部先端の雄ねじ部に貫通孔の内径よりも大きな外寸の止めナット256を螺合することで、細径部250Tからウェッジ262が脱落することが防止される。
【0047】
次に、カム264は、概略的には凹型ブロックで、その上下から側端側に突出する一対の係合片を備える。この係合片は、前述したばね座ブロック236の矩形凹部に係合されると共に、隣接する中間絶縁片232の[型の係合片にも係合される。また、このカム264の側端側の側面には、圧縮ばね240の他端側のばね座となる円座ぐり264Hが形成され、中央側の側面には、カム264のテーパ面と適合する傾斜面264Iと、傾斜面264Iから下方に連続する垂直面264Vが形成されている。
【0048】
[両コネクタの接続と解除の動作手順]
以上のような雄コネクタ100と雌コネクタ200の接続は、次のように行う。
【0049】
まず、図5に示すように、雌コネクタ200のボルト250を後退させ、ケース210内でウェッジ262が上部に引き上げられた状態としておく。その際、ウェッジ262がカム264を押圧することはなく、圧縮ばね240は伸長し、各絶縁片230同士も緩やかに当接される状態である。そのため、挿脱孔の幅は広がった状態となっている。
【0050】
この挿脱孔に雄コネクタ100の電線側端子110を差し込む。挿脱孔の幅が広がった状態となっているため、この差込作業は人力でも容易に行える。この雄コネクタ100の差込により、機器側端子220の中央側に隣接して電線側端子110が配置される。本例の雌コネクタ200では、ボルト250の左右に1系統分ずつの雄コネクタ差込部212を有するため、各差込部212にそれぞれ雄コネクタ100を差し込む。
【0051】
次に、図1に示すように、雄コネクタ100を雌コネクタ200に差し込んだ状態で、ボルト250をケース210内に進出させる。ボルト250を進出させると、ウェッジ262が下方に移動する。このウェッジ262が下方に移動するほどウェッジ262のテーパ面がカム264の傾斜面264Iをより強く押していく。この押圧により、ボルト250の両側のカム264は中央側から側端部側に押圧され、さらに圧縮ばね240の押圧と各絶縁片230の押圧が行われる。
【0052】
各絶縁片230が押圧されると挿脱孔の幅が狭められ、電線側端子110と機器側端子220とが強く押圧されることになる。特に、本例では、非常に強い反発力を有する圧縮ばね240を用いているため、両端子を十分に押圧することが可能である。
【0053】
ここで、ウェッジ262のテーパ面とカム264の傾斜面264Iが押圧されている状態は、電線側端子110と機器側端子220との押圧力が増大している過程である。一方、ウェッジ262がさらに下方に押し進められると、ウェッジ262の垂直面とカム264の垂直面264V同士が接触することになる。この状態となれば、それ以上ウェッジ264を下方に進出しても電線側端子110と機器側端子220とを押圧する力が増大することはない。つまり、ウェッジ262に幅が一定の直線部262Lがあり、カム264に垂直面264Vがあることで、カム264の押圧限度が図1の間隔tで規定される。そのため、ボルト250が多少緩んでも、ウェッジ262の垂直面とカム264の垂直面264V同士が接触する状態さえ維持できれば、両端子110,220の押圧力は緩むことがない。換言すれば、ボルト250の締付トルクを管理しなくても適切な押圧力で両端子110,220を接合することができる。しかも、1本のボルト250を締め付けるだけで、3相交流の2系統分、即ち6対の端子同士を同時に接続することができる。
【0054】
一方、雄コネクタ100を雌コネクタ200から外すには、逆にボルト250を緩めればよい。ボルト250を緩めると、ウェッジ262が後退される。それに伴って、ウェッジ262の垂直面とカムの垂直面264V同士が接触する状態からウェッジ262のテーパ面とカムの傾斜面264I同士が接触する状態に移行する。この移行に伴って、カムが各絶縁片230を押圧する力が弱められる。
【0055】
さらにウェッジ262を後退させれば、ウェッジ262のテーパ面はカムの傾斜面264Iを実質的に押圧しない状態となる。このとき、圧縮ばね240が伸長され、かつ各絶縁片230同士の間も広げられるため、挿脱孔の幅も広がることになる。そのため、この状態で雄コネクタ100を引き抜けば、過度の負担を要することなく、容易に雄コネクタ100を雌コネクタ200から離脱させることができる。
【0056】
このように、本例の雌コネクタ200によれば、ボルト式における強固な端子同士の接続と、差込式における容易な接続・解除というメリットを兼備することができる。そして、各絶縁片230、ウェッジ262、カム264を全て絶縁材料で構成することで、ボルトを各端子110、220に対して確実に絶縁できる。
【0057】
<実施形態2>
次に、実施形態1とは異なる構成の実施形態2を図6(a)に基づいて説明する。図6において、図1〜図5と同様の部材には同一の符号を付している。以下の説明では、実施形態1との相違点を中心に説明し、共通点の説明は省略する。また、実施形態2以降のいずれの実施形態も、ケース210内の一端側に弾性材となる圧縮ばね240を備え、他端側に動力伝達機構260を備える。そして、圧縮ばね240と動力伝達機構260との間、つまりボルト250の左側にのみに絶縁片230が配置され、1系統の3相交流の電線側端子110を雌コネクタ200内の機器側端子220に接続する構成である。これらのことは後述する全ての実施形態においても同様である。
【0058】
本例の実施形態1との主たる相違点は、圧縮ばね240の配置個所と動力伝達機構260の構成にある。すなわち、本例では、動力伝達機構260としてボルト250と同期して回転される偏心カム266を備える。
【0059】
この雌コネクタ200で両端子の接続を行うには、ボルト250の回転動作を利用して偏心カム266を回転させる。偏心カム266は、ボルト250の中心軸からの径が小さな円弧面と、径が大きい円弧面とを備える。電線側端子110を雌コネクタ200に差し込む際、ボルト250の中心軸からの径が小さな円弧面が絶縁片230に対向するようにしておく。そのとき、挿脱孔の幅は広く、容易に電線側端子110を挿脱孔に差し込むことができる。電線側端子110と機器側端子220とを圧接する際には、ボルト250の中心軸からの径が大きな円弧面が絶縁片230に対向するようにする。そのとき、カムにより絶縁片230が圧縮ばね240側に押圧されるため、各絶縁片230は互いに押圧され、それに伴って電線側端子110と機器側端子220とを接続する。
【0060】
<実施形態3>
次に、実施形態1とは異なる構成の実施形態3を図6(b)に基づいて説明する。本例の実施形態1との主たる相違点は圧縮ばね240の配置個所と動力伝達機構260の構成である。本例の動力伝達機構260は、ケース210内の一端側において、ボルト250の回転によりボルト250の軸方向に移動する角錘台状のウェッジ262Bと、ウェッジ262Bを挟み込む一対の傾斜片264Bとを備える。
【0061】
この雌コネクタ200で電線側端子110を機器側端子220と圧接させるには、ボルト250を回転させる。このボルト250はケース210に対しては進退しないが、ボルト250に螺合されるウェッジ262Bはボルト250の回転に伴って軸方向に移動する。そのため、図6(b)の下方にウェッジ262Bを移動させれば、一対の傾斜片264Bの間隔が広げられ、そのうち一方の傾斜片264Bが絶縁片230を押圧する。この押圧により電線側端子110を機器側端子220と接続できる。電線側端子110を雌コネクタ200から引き抜くときは、逆にボルト250の回転によりウェッジ262Bを上方に移動させることで傾斜片264Bの間隔を狭めるようにすれば良い。
【0062】
<実施形態4>
次に、実施形態1とは異なる構成の実施形態3を図6(c)に基づいて説明する。本例の実施形態1との主たる相違点も圧縮ばね240の配置個所と動力伝達機構260の構成である。
【0063】
本例では、ボルト250Bがケース210に対して回転自在に取り付けられているが、ボルト250Bを回転させてもケース210に対して進退しない。このボルト250Bは、図の上半分と下半分の一方が右ねじ、他方が左ねじとなっている。そして、この右ねじ個所と左ねじ個所の各々には、断面が台形状のブロック片からなるペアカム264Pが螺合されている。このペアカム264Pは、ボルト250Bの回転に伴って各ブロック片が互いに近接・離反され、圧縮ばね240側の側面にV型の谷型面を構成する。一方、このペアカム264Pに隣接する絶縁片230は、ボルト側に対してΛ型に突出した山型面230Mを備える。この山型面230Mはペアカム264Pの谷型面に適合する。
【0064】
この雌コネクタ200で電線側端子110を機器側端子220と接続させるには、ボルト250を回転させることで、各ブロック片の間隔を可変する。つまり、各ブロック片同士を近接させれば、ペアカム264Pの谷型面が絶縁片230の山型面230Mを押圧する。この押圧により、各絶縁片230が押圧され、電線側端子110と機器側端子220も圧接される。一方、両端子110,220の押圧を解除するには、各ブロック片同士を離反させることで、絶縁片230の山型面230Mからペアカム264Pの谷型面を非接触とさせればよい。それに伴って各絶縁片230の押圧が解除され、電線側端子110を容易に雌コネクタ200から引き抜くことができる。
【0065】
<実施形態5>
次に、実施形態1とは異なる構成の実施形態3を図6(d)に基づいて説明する。本例の実施形態1との主たる相違点も圧縮ばね240の配置個所と動力伝達機構260の構成である。
【0066】
本例でも、実施形態4と同様の右ねじと左ねじを備えるボルト250Bを用いている。このボルト250Bの右ねじ個所及び左ねじ個所の各々には、円盤状の押圧片262Wが螺合されている。そのため、ボルト250Bを回転させれば、一対の押圧片262Wの間隔を可変することができる。一方、両押圧片262Wの間には、押圧片262Wの近接・離反に伴ってボルト250Bの軸方向と直交する方向に膨出・復帰する板ばね264Sが装着されている。
【0067】
この雌コネクタ200で電線側端子110を機器側端子220と接続させるには、ボルト250Bを回転させることで、各押圧片262Wの間隔を可変する。つまり、各押圧片262W同士を近接させれば、板ばね264Sがボルト250Bの軸方向と直交方向に膨出する。それに伴って板ばね264Sが絶縁片230を押圧するため、各絶縁片230同士が押圧され、電線側端子110と機器側端子220も押圧される。一方、両端子の押圧を解除するには、各押圧片262W同士を離反させることで、板ばね264Sを絶縁片230から非接触とさせればよい。それに伴って各絶縁片230の押圧が解除され、電線側端子110を容易に雌コネクタ200から引き抜くことができる。
【0068】
<実施形態6>
次に、実施形態1とは異なる構成の実施形態3を図6(e)に基づいて説明する。本例の実施形態1との主たる相違点も圧縮ばね240の配置個所と動力伝達機構260の構成である。
【0069】
本例の動力伝達機構260は、ボルト250Cの進退に連動して屈曲・伸長される一対のリンク268と、リンク268の連結点に設けられ、リンク268の屈曲時に絶縁片230を押圧する押圧片とを備える。つまり、ケース210に螺合されたボルト250 Cの端部には、ボルト250 Cの回転は伝達せず、進退のみを伝達する連結部270が設けられ、その連結部270の端部に一方のリンク268Aの一端が回転自在に支持される。このリンク268Aの他端は、他方のリンク268Bと回転自在に支持され、さらに他方のリンク268Bの他端はケース210に対して回転自在に支持されている。そして、両リンク268A,268Bの連結点、つまりエルボーに相当する箇所に略V型の押圧片269が設けられている。この押圧片269は、両リンク268A,268Bの屈曲程度に応じて隣接する絶縁片230を押圧・解除する。
【0070】
この雌コネクタ200で電線側端子110を機器側端子220と押圧させるには、ボルト250Cを回転させることで、リンク268の屈曲角度を変える。つまり、ボルト250Cをケース210内に進出させれば、リンク268の屈曲角度が小さくなり、圧接片269が圧縮ばね240側(図の左側)に移動される。その移動に伴って、押圧片269が絶縁片230を押圧するため、各絶縁片230同士が押圧され、電線側端子110と機器側端子220も押圧される。一方、両端子110,220の押圧を解除するには、ボルト250Cをケース210内から後退させ、リンク268の屈曲角度を大きくして、押圧片269が絶縁片230を押圧することを解除すればよい。それに伴って各絶縁片230の押圧が解除され、電線側端子110を容易に雌コネクタ200から引き抜くことができる。
【0071】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、3心の電線の導体の配列は、図7(a)に示すように、水平方向の横並びに限定されない。図7(b)に示すように、電線の導体は斜めに傾斜して並列されている場合がある。その場合、電線側端子110の一端は機器側端子220の配置に合わせて水平方向の横並びとするが、他端は途中で屈曲させ、その屈曲度合いを変えることで、高さの異なる各電線の導体と接続すればよい。そして、図7(c)に示すように、電線の導体配列を俵積みの三角配置としてもよい。その場合、三角配置の頂点に位置する電線の導体とつながる電線側端子110のみ屈曲構造とすればよい。電線導体の配置は、水平配置、傾斜配置、俵積み配置の順に機器側端子220の間隔を狭く配置することができる。
【0072】
その他、実施形態2以降の各実施形態では、ボルト250の左側にのみに絶縁片230を配置し、1系統の3相交流の電線側端子110を雌コネクタ200内の機器側端子220に接続する構成を示しているが、ボルトの右側にも同様の構成を対称に設けることで、2系統の3相交流の電線側端子を雌コネクタ内の機器側端子に接続する構成とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の電線接続用の雌コネクタは、自動車、ハイブリッドカー、電気自動車などのワイヤハーネスの雄コネクタを機器側に接続するための雌コネクタとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0074】
100 雄コネクタ
110 電線側端子 115 ボディー 120 Oリング
200 雌コネクタ
210 ケース 212 雄コネクタ差込部 214 枠状部 216 ボルト孔
220 機器側端子
230 絶縁片
230R 溝 230M 山型面
232 中間絶縁片 232WC 電線側凹部 232DC 機器側凹部
234 端部絶縁片 234DC 機器側凹部
236 ばね座ブロック 236WC 電線側凹部 236H 円座ぐり
240 弾性材(圧縮ばね)
250、250B、250C ボルト
250L 太径部 250T 細径部 252 シール座金 254 Oリング
256 止めナット
260 動力伝達機構
262、262B ウェッジ 262L 直線部 262T テーパ部
264P ペアカム 262W 押圧片
264 カム 264H 円座ぐり 264I 傾斜面 264V 垂直面
264B 傾斜片 264S 板ばね
266 偏心カム
268、268A、268B リンク 269 押圧片
270 連結部
t 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線端部の雄コネクタに設けられた複数の電線側端子と電気的に接続される複数の機器側端子を有する電線接続用の雌コネクタであって、
各機器側端子同士を絶縁するように並列される複数の絶縁片と、
各機器側端子と絶縁片との間に形成されて、前記電線側端子が抜き差しされる複数の挿脱孔と、
少なくとも一つの絶縁片を、絶縁片の並列方向に付勢する弾性材と、
前記端子同士の圧接方向と交差する方向に進退される1本のボルトと、
そのボルトの回転動力又は進退動力を前記端子同士の押圧方向への動力に変換して絶縁片に伝達する動力伝達機構とを備えることを特徴とする電線接続用の雌コネクタ。
【請求項2】
前記動力伝達機構は、
ボルトの端部に取り付けられてテーパ面を有するウェッジと、
前記テーパ面に適合する傾斜面を有し、ボルトの進退に伴うウェッジの進退動力をテーパ面と傾斜面の接触により絶縁片に伝達するカムとを備えることを特徴とする請求項1に記載の電線接続用の雌コネクタ。
【請求項3】
前記動力伝達機構は、
前記ボルトに連動して回転されると共に絶縁片を押圧する偏心カムを備えることを特徴とする請求項1に記載の電線接続用の雌コネクタ。
【請求項4】
前記ボルトは、その軸方向の一端側に右ボルト面を、他端側に左ボルト面を有し、
前記動力伝達機構は、
前記絶縁片に形成されてΛ型に突出した山型面と、
前記ボルトの右ボルト面と左ボルト面の各々に螺合されると共に、ボルトの回転に伴って互いに近接・離反する一対の部材であって、前記山型面に適合するV型の谷型面を構成するペアカムとを備えることを特徴とする請求項1に記載の電線接続用の雌コネクタ。
【請求項5】
前記ボルトは、その軸方向の一端側に右ボルト面を、他端側に左ボルト面を有し、
前記動力伝達機構は、
前記ボルトの右ボルト面と左ボルト面の各々に螺合されると共に、ボルトの回転に伴って互いに近接・離反する一対の押圧片と、
押圧片の近接・離反に伴ってボルトの軸方向と直交する方向に膨出・復帰する板ばねとを備えることを特徴とする請求項1に記載の電線接続用の雌コネクタ。
【請求項6】
前記動力伝達機構は、
前記ボルトの進退に連動して屈曲・伸長される一対のリンクと、
前記リンクの連結点に設けられ、リンクの屈曲時に絶縁片を押圧する押圧片とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電線接続用の雌コネクタ。
【請求項7】
前記ボルトの軸方向に平面視したとき、ボルトに対して左右対称となるように機器側端子、絶縁片および弾性材が配置されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電線接続用の雌コネクタ。
【請求項8】
前記ボルトを回転自在に支持すると共に、機器側端子、絶縁片および弾性材を取り囲むケースを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電線接続用の雌コネクタ。
【請求項9】
前記ボルトをケースにねじ込むことで、ボルトの頭部とケースとの間で圧縮されることによりボルトとケースとを止水する止水材を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電線接続用の雌コネクタ。
【請求項10】
前記ボルトと各機器側端子とは、絶縁片および動力伝達機構により絶縁されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電線接続用の雌コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−244935(P2010−244935A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94050(P2009−94050)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000213884)住電朝日精工株式会社 (24)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】