説明

電線管理システムおよび電線管理方法

【課題】 電線の敷設の際に使用した電線の数量や端材となった電線の数量を容易に計って管理することを可能にする。
【解決手段】 電線3に沿って互いに離れて設けられると共に、順番を表す順番情報および電線3の製品情報を記憶している複数のICタグ3Aと、電線3を切断するために用いられる切断部を挟むようにICタグ3Aが位置したときに、これらのICタグ3Aとの通信によって順番情報を読み取るリード・ライト装置5と、リード・ライト装置5が読み取った順番情報が途切れたとき、途切れたときの最後の順番情報を持つICタグ3Aとその1つ前の順番情報を持つICタグ3Aとの間で電線3が切断されたと判別し、最初の順番情報から1つ前の順番情報までに対応する長さを算出して、引き出されて切断された電線3の使用数量、または戻し入れられた電線3の戻し入れ数量とする電線管理コンピュータ6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、敷設作業等で使用された電線の使用数量などを管理する電線管理システムおよび電線管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信線や電力線などの長尺の曲げ可能な電線は、通常、電線ドラムに巻かれて保管されている。例えば配電線の敷設作業では、電線ドラムを作業現場に運び、電線ドラムから電線を引き出して、電柱と電柱との間に電線を架設する。この後、敷設作業に使用した電線の使用数量から電線ドラムに巻かれている電線の残数量を計算し、使用数量や残数量を紙片等に記入して電線ドラムや配電線などに貼り付けて、次回の敷設作業のために電線を管理する。
【0003】
一方、配電線などの電線に事故が発生すると、事故による影響が広範囲に及ぶことになる。このために、電線の性能不良などが明らかになったとき、電線の修理や取り替えを速やかに行うために、電線の製造者、製造年、ロット番号などの製品情報と、この電線が敷設された位置を表す位置情報とを組み合わせて管理することが必要である。そこで、電線の製品情報の確認を容易にするために、ICタグを用いた技術がある(例えば、特許文献1参照。)。この技術によれば、ICタグに製品情報をあらかじめ記録し、このICタグを電線に貼り付ける。これにより、敷設の作業現場で作業者による製品情報の確認が容易になる。
【特許文献1】特開2003−203527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先に述べたように、電線の使用数量や残数量などを紙片等に記入し、この紙片等を電線ドラムなどに貼り付けて、次回の敷設作業のために電線を管理する方法では、電線ドラムから引き出した電線の長さを調べる場合、作業者が巻尺などを用いて電線の長さを計る必要がある。一方、作業者には早急な敷設作業と、この作業の安全管理とが要求されるので、電線の使用数量の計測は現場の作業者の負担となる。また、敷設作業では端材が発生するために、端材となった電線の端材数量を調べて電線を管理する必要もある。
【0005】
ところで、ICタグを用いる技術は現場での製品情報の確認を容易にするものであるが、電線の敷設作業では製品情報の確認と共に、先に述べた電線の使用数量や端材数量の計測も必要である。しかし、ICタグを用いた従来の技術では、電線の使用数量や端材数量を計ることまでは行うことができない。
【0006】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、電線の敷設の際に使用した電線の数量や端材となった電線の数量を容易に計って電線を管理することを可能にする電線管理システムおよび電線管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、電線に沿って互いに離れて設けられると共に、順番を表す順番情報および前記電線の製品情報を記録している複数のICタグにより、前記電線を管理する電線管理システムであって、前記電線を切断するために用いられる切断部を挟むように前記ICタグが位置したときに、これらのICタグとの通信によって順番情報を読み取る第1の通信手段と、前記第1の通信手段が読み取った前記順番情報が途切れたとき、途切れたときの最後の順番情報を持つICタグとその1つ前の順番情報を持つICタグとの間で前記電線が切断されたと判別し、最初の順番情報から前記1つ前の順番情報に対応する長さを算出して、引き出されて切断された電線の使用数量、または戻し入れられた電線の戻し入れ数量とする第1の処理手段とを備えることを特徴とする電線管理システムである。
【0008】
請求項1の発明では、ICタグがあらかじめ電線にそれぞれ離れて設けられ、各ICタグは、順番を表す順番情報および電線の製品情報を記憶している。こうした状態の場合に、電線の敷設の際に切断部を挟むようにICタグが位置したときに、第1の通信手段は、これらのICタグとの通信によって順番情報を読み出す。処理手段は、第1の通信手段がICタグから読み取った順番情報が途切れたとき、このときの最後の順番情報を持つICタグと、1つ前の順番情報を持つICタグとの間で電線が切断されたと判別する。そして、処理手段は、引き出された電線の最初の順番情報から、1つ前の順番情報までに対応する長さを算出して、引き出されて切断された電線の使用数量とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項2に記載の電線管理システムにおいて、前記第1の処理手段は取得した使用数量を前記第1の通信手段に送り、前記第1の通信手段は、前記第1の処理手段から受け取った使用数量を、前記電線が途切れたときの最後の順番情報を持つICタグに記録することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の電線管理システムにおいて、前記電線を巻き取って収納すると共に情報の読み書きが可能なICタグが設けられている電線ドラムを備え、前記第1の通信手段は、前記第1の処理手段から受け取った使用数量を、前記電線ドラムのICタグに記録することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電線管理システムにおいて、電線の敷設の際に発生する端材を収容するために用いられ、前記端材に設けられているICタグから順番情報を読み出す第2の通信手段を具備する収納容器と、前記第2の通信手段が読み取った前記順番情報を基に端材の長さを算出して、端材数量とする第2の処理手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項3または4に記載の電線管理システムにおいて、敷設を含む作業が行われた電線の作業内容を表す作業情報を入力する入力手段を備え、前記第1の処理手段は、前記入力手段から受け取った作業情報を第1の通信手段に送って前記電線または前記電線ドラムの少なくとも一方のICタグに記録することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5に記載の電線管理システムにおいて、前記第1の通信手段が読み取って前記第1の処理手段に送った製品情報、前記第1の処理手段が算出した使用数量、前記第1の処理手段が算出した戻し入れ数量、前記入力手段に入力された作業情報の少なくとも1つを送信する送受信手段と、前記送受信手段から使用数量を受信すると、前記使用数量と引き出しの際に未使用となった前記電線とを組み合わせて保存し、前記送受信手段から製品情報を受信すると、この製品情報と、この製品情報に対応する電線の設置位置情報とを組み合わせて保存し、前記送受信手段から戻し入れ数量と作業情報とを受信すると、戻し入れされた電線の製品情報と戻し入れ数量と作業情報とを組み合わせて保存する情報管理手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、電線に沿って互いに離れて設けられると共に、順番を表す順番情報および前記電線の製品情報を記録している複数のICタグにより、前記電線を管理する電線管理方法であって、前記電線を切断するために用いられる切断部を挟むように前記ICタグが位置したときに、これらのICタグとの通信によって順番情報を読み取り、読み取った前記順番情報が途切れたとき、途切れたときの最後の順番情報を持つICタグとその1つ前の順番情報を持つICタグとの間で前記電線が切断されたと判別し、最初の順番情報から前記1つ前の順番情報に対応する長さを算出して、引き出されて切断された電線の使用数量、または戻し入れられた電線の戻し入れ数量とすることを特徴とする電線管理方法。
【発明の効果】
【0015】
請求項1および請求項7の発明により、ICタグから読み取った順番情報を基にして、電線の敷設の際に使用した電線の使用数量や、敷設されている電線を回収したときの戻し入れ数量を正確に取得することができ、かつ、使用数量や戻し入れ数量の取得に際して人手による計測を不要にすることができる。
【0016】
請求項2および請求項3の発明により、敷設に際して未使用の電線の先端部側に位置するICタグや、電線ドラムのICタグが使用数量を記録しているので、この電線ドラムの電線の正確な残数量を把握することを可能にする。
【0017】
請求項4の発明により、端材に設けられているICタグから読み取った順番情報を基にして、電線の敷設作業で生じた端材の数量を正確に取得することができる。
【0018】
請求項5の発明により、電線や電線ドラムのICタグに電線の作業情報を記録していくので、電線の作業履歴を電線や電線ドラムのICタグに残すことを可能にする。
【0019】
請求項6の発明により、電線の敷設の際に未使用となった電線と使用数量とを組み合わせて保存する場合には、電線の残数量を管理することを可能にする。また、電線の製品情報とこの電線の設置位置情報とを組み合わせて保存する場合には、敷設後の電線を管理することを可能にする。さらに、戻し入れされた電線の製品情報と戻し入れ数量と作業情報とを組み合わせて保存する場合には、戻し入れされた電線の管理を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0021】
(実施の形態1)
この実施の形態による電線管理システムを図1および図2に示す。この電線管理システムは、ドラム架台1に支持可能な電線ドラム2に巻かれている電線3を管理するものであり、リード・ライト装置5、電線管理コンピュータ6、8、収納箱7、およびホストコンピュータ9を備えている。
【0022】
ドラム架台1は電線ドラム2を回転可能に支持する。電線ドラム2は長尺の曲げ可能な電線3を巻き取って収納する。電線3を収納した電線ドラム2は、保管場所から作業現場に運搬され、ドラム架台1に設置されて、電線3の敷設作業に使用される。
【0023】
電線3は、ドラム架台1に支持されたドラム2から、矢印で示す方向A(以下、引き出し方向Aという)に引き出される。電線3は配電線などの敷設作業に用いられ、図3に示すように、電線3には例えば製造工程でICタグ3Aが等しい間隔Dで設けられている。各ICタグ3Aは、ICチップをそれぞれ内蔵している。ICチップには各種情報の書き込みが可能であり、また、ICチップからは情報の読み出しが可能である。各ICチップは、ICタグ3Aの配列順番を表す順番情報をそれぞれ記憶している。この実施の形態では、ICタグ3Aに記録する順番情報は「1」から始まる数字である。つまり、ICタグ3Aが間隔Dで電線3に配置され、ICタグ3Aには「1」から始まる順番情報が記憶されているので、ICタグ3Aの順番情報が電線3の長さを表すことになる。
【0024】
また、ICタグ3Aは電線3の製品情報を記録している。ICタグ3Aが記録する製品情報は、
電線3を製造した「製造者」
電線3を製造した「製造年」
電線3の「型式」
電線3の「製造番号」
を含む情報である。ICタグ3Aは、リード・ライト装置5からの電磁波の問い合わせ信号を受信すると、この電磁波によって動作する。動作を開始したICタグ3Aは、あらかじめICチップに記録されている順番情報と製品情報とを、応答信号として電磁波で送信する。また、動作を開始したICタグ3Aは、リード・ライト装置5からの電磁波の書き込み信号を受信して、この信号に含まれる各種の情報を記録する。
【0025】
各ICタグ3Aは、電線3の被覆表面や内部に固着されてもよく、また、粘着テープなどにより電線3の被覆表面に貼り付けられてもよい。ICタグ3Aを電線3に固着した場合には、ICタグ3Aが電線3から剥がれることがなく、電線3の管理の信頼性を高めることができる。また、ICタグ3Aを電線3に貼り付けた場合には、電線3を廃棄するときに、電線3からICタグ3Aを容易に剥がすことができ、電線3のリサイクルが可能になる。
【0026】
リード・ライト装置5は、ICタグ3Aとの通信により、ICタグ3Aに対して各種の情報の書き込みと読み出しとを行う。リード・ライト装置5は、図4に示すように、支持具5Aによって支持されている第1アンテナ部5Bおよび第2アンテナ部5Cと、図5に示すように、支持具5A内部に設けられている制御部5Dとを備えている。
【0027】
第1のアンテナ部5Bおよび第2のアンテナ部5Cは、断面コ字状の支持台5B1、5C1を備えている。支持台5B1の側壁には、この側壁の長手方向にアンテナ5B2、5B3が設けられ、支持台5C1の側壁には同じくアンテナ5C2、5C3が設けられている。支持台5B1のアンテナ5B2、5B3、および、支持台5C1のアンテナ5C2、5C3は、電線3にICタグ3Aが配置されている間隔Dと同じ間隔で配置されている。支持台5B1は、支持具5Aにより支持台5C1から離れて配置されている。支持台5B1と支持台5C1との間は電線3の切断部5Eを形成し、切断部5Eは電線3を切断するために用いられる。支持台5B1のアンテナ5B3と支持台5C1のアンテナ5C2との間が、つまり、互いに向かい合うアンテナ5B3とアンテナ5C2との間が、ICタグ3Aの配置されている間隔Dと同じになるように、支持台5B1と支持台5C1とが配置されている。これにより、連続する4つのICタグ3Aが、支持台5B1のアンテナ5B2、5B3と支持台5C1のアンテナ5C2、5C3で同時に読み取り可能となる。
【0028】
アンテナ5B2、5B3およびアンテナ5C2、5C3は、制御部5Dの制御によって、電線3のICタグ3Aに電磁波を送信する。また、アンテナ5B2、5B3およびアンテナ5C2、5C3は、ICタグ3Aからの電磁波を受信する。
【0029】
制御部5Dは、電線管理コンピュータ6から問い合わせ信号や書き込み信号を受け取ると、アンテナ5B2、5B3およびアンテナ5C2、5C3から、これらの信号を電磁波で出力する。また、アンテナ5B2、5B3およびアンテナ5C2、5C3が各ICタグ3Aから応答信号を電磁波で受信すると、電磁波から応答信号を再生して電線管理コンピュータ6に送る。
【0030】
電線管理コンピュータ6は、リード・ライト装置5からの応答信号を基にして、電線ドラム2から引き出された電線3または電線ドラム2に戻し入れされた電線3の数量を計測するなどの処理をするものであり、図5に示すように、インタフェース6A、入力部6B、処理部6C、記憶部6D、送受信部6E、および表示部6Fを備える。インタフェース6Aは、リード・ライト装置5の制御部5Dと処理部6Cとの間で、各種信号の受け渡しをする。入力部6Bは人手により操作され、これにより、入力部6Bには送信指示など各種の指示や情報が入力される。送受信部6Eは、処理部6Cの制御により、通信網100の基地局101を経由して、ホストコンピュータ9と情報の送受信をする。表示部6Fは、処理部6Cの制御により、入力部6Bに入力された情報などの各種情報を表示する。記憶部6Dは、処理部6Cの各種処理の処理手順を記憶している。
【0031】
処理部6Cは、記憶部6Dに記憶されている処理手順により電線3に関する各種の処理をする。処理部6Cは、電線3の引き出しに伴う引き出し数量管理処理の開始を表す指示を入力部6Bから受け取ると、図6に示す処理を開始する。処理部6Cは、インタフェース6Aに問い合わせ信号を送る(ステップS1)。この後、処理部6Cは、インタフェース6Aによる信号の受信状態から、応答信号の有無を判断する(ステップS2)。ステップS2でインタフェース6Aが応答信号を受信していないと判断すると、問い合わせ信号を所定回数、インタフェース6Aからリード・ライト装置5に送信したかどうかを判断する(ステップS3)。ステップS3で、問い合わせ信号を所定回数送信していなければ、処理をステップS1に戻し、また、問い合わせ信号を所定回数送信していれば、電線3の引き出し作業が終了したと判別し(ステップS4)、処理を終了する。
【0032】
ステップS2でインタフェース6Aがリード・ライト装置5から応答信号を受信したと判断すると、処理部6Cは、インタフェース6Aから応答信号を受け取り(ステップS5)、応答信号から順番情報を取り出す(ステップS6)。処理部6Cは、ステップS6で取り出した順番情報がN個隣接して連続しているかどうかを判断する(ステップS7)。この実施の形態では、リード・ライト装置5が4つのアンテナ5B2、5B3およびアンテナ5C2、5C3を持つのでNの値は4である。順番情報が連続している場合、処理部6Cは、電線3が引き出し中であると判別し(ステップS8)、処理をステップS1に戻す。
【0033】
ステップS7で順番情報がN個連続していなければ、つまり、リード・ライト装置5の第1のアンテナ部5Bが備える2つのアンテナ5B2、5B3が読み出した2つの応答信号からの順番情報だけが連続してある場合、処理部6Cは、電線3が切断されたと判別する(ステップS9)。ステップS9の後、処理部6Cは、第1のアンテナ部5Bのアンテナ5B3が読み取った応答信号、つまり、電線ドラム2側の電線3の先端部側にあるICタグ3Aから取得した応答信号に含まれる順番情報を用いて、切断した電線3の長さである使用数量を算出する(ステップS10)。
【0034】
ステップS10で、処理部6Cは次のようにして引き出し電線3の使用数量を算出する。図7に示すように、電線ドラム2に巻かれている電線3の初めにあるICタグ3Aが記憶している順番情報が番号「T1」であり若番号である。以降は、番号が順に増加し、図7では番号「Tn-2」〜「Tn+3」までが例示されている。ここで、電線3が番号「Tn」と番号「Tn+1」との間で切断されると、引き出された電線3が敷設作業のために移動され、リード・ライト装置5に残るのが、電線ドラム2に巻き取られている電線3の先端部である。このとき、リード・ライト装置5の第1のアンテナ部5Bが電線3の先端部側のICタグ3Aから読み取る番号が「Tn+1」「Tn+2」であり、処理部6Cは、先端部側の番号「Tn+1」を用いて、
(Tn+1−T1−1)・D
を算出する。この算出結果が、引き出された電線3の長さ、つまり、番号「T1」のICタグ3Aから番号「Tn」のICタグ3Aまでの電線3の長さであり、引き出し電線3の使用数量である。
【0035】
ステップS10の後、処理部6Cは、算出結果である引き出し電線3の使用数量を記憶部6Dに記憶する(ステップS11)。また、処理部6Cは、第1のアンテナ部5Bのアンテナ5B3から取得した応答信号に含まれる製品情報を記憶部6Dに記憶する(ステップS12)。ステップS12の後、処理部6Cは処理をステップS1に戻す。こうして、処理部6Cは、電線3の引き出しに伴う引き出し数量管理処理を行う。
【0036】
処理部6Cは、引き出し数量管理処理をした後、次の書き込み処理をする。電線3に対する書き込み指示が入力部6Bに入力されると、処理部6Cは、記憶部6Dに記憶している電線3の使用数量を読み出し、インタフェース6Aを制御して、リード・ライト装置5の第1のアンテナ部5Bのアンテナ5B3に、使用数量を記録するための書き込み信号を送る。これにより、第1のアンテナ部5Bのアンテナ5B3は、電線ドラム2からの電線3の先端部側のICタグ3Aに使用数量を記録させる。
【0037】
処理部6Cは、電線3の引き出し数量管理処理を終了した後、次の送信処理をする。ホストコンピュータ9に対する送信の指示が入力部6Bに入力されると、処理部6Cは、記憶部6Dに記憶している使用数量および製品情報を読み出し、送受信部6Eを制御して通信網100を経由し、引き出し電線3の使用数量および製品情報をホストコンピュータ9に送信する。また、送信処理の際に電線3に対する作業内容が入力部6Bに入力されると、この作業内容を表す作業情報もホストコンピュータ9に送信する。
【0038】
先に述べたように、処理部6Cは記憶部6Dに記憶されている処理手順により電線3の引き出し数量管理処理を含む各種の処理をするが、この処理の中に電線3の戻し入れに関するものがある。電線3の戻し入れは、敷設されている電線3を撤去する際に行われる。処理部6Cは、電線3の戻し入れに伴う戻し入れ数量管理処理の開始を表す指示を入力部6Bから受け取ると、電線3の引き出し数量管理処理と同様の処理を行う。ただし、この管理処理では、図6のステップS8の処理を「電線の戻し入れ中と判別する」と読み替え、ステップS9の処理を「電線の終端と判別する」と読み替え、ステップS10の処理を「戻し入れした電線の長さを算出する」と読み替える。この戻し入れ数量管理処理により、処理部6Cは、戻し入れ電線3の戻し入れ数量および製品情報をステップS11、S12で記憶部6Dに記憶する。この後、処理部6Cは、書き込み処理により、戻し入れ電線3の戻し入れ数量および製品情報を戻し入れ電線3の先端部側にICタグ3Aに記録させ、また、作業情報が入力されると、この作業情報も記録させる。処理部6Cは、送信処理により、戻し入れ電線3の戻し入れ数量および製品情報をホストコンピュータ9に送信する。また、作業内容が入力されると、処理部6Cは、この作業内容を表す作業情報をホストコンピュータ9に送信する。
【0039】
収納箱7は、電線3の敷設の際に発生した電線3の端材を入れるためのものであり、図8に示すように、箱本体7Aとアンテナ部7Bと制御部7Cとを備えている。箱本体7Aは、端材を入れる箱状の容器である。アンテナ部7Bは、箱本体7Aの底部に設けられ、複数のアンテナで構成されてもよく、また、単体のアンテナで構成されてもよい。アンテナ部7Bは、制御部7Cの制御によって、端材のICタグ3Aに電磁波を送信する。また、アンテナ部7Bは、端材のICタグ3Aからの電磁波を受信する。
【0040】
制御部7Cは、電線管理コンピュータ8から問い合わせ信号や書き込み信号を受け取ると、これらの信号をアンテナ部7Bから電磁波で出力する。また、アンテナ部7Bが応答信号を電磁波で受信すると、電磁波から応答信号を再生して電線管理コンピュータ8に送る。
【0041】
電線管理コンピュータ8は、収納箱7からの応答信号を基にして、端材の数量を計測するなどの処理をするものであり、図9に示すように、インタフェース8A、入力部8B、処理部8C、記憶部8D、送受信部8E、および表示部8Fを備える。インタフェース8Aは、収納箱7の制御部7Cと処理部8Cとの間で、各種信号の受け渡しをする。入力部8Bは人手により操作され、これにより、入力部8Bには送信指示など各種の情報が入力される。送受信部8Eは、処理部8Cの制御により、通信網100の基地局101を経由して、ホストコンピュータ9と情報の送受信をする。表示部8Fは、処理部8Cの制御により、入力部8Bに入力された情報などの各種情報を表示する。記憶部8Dは、処理部8Cの各種の処理手順を記憶している。
【0042】
処理部8Cは、記憶部8Dに記憶されている処理手順により端材に関する各種の処理をする。処理部8Cは、入力部6Bから端材数量管理処理の開始を表す指示を受け取ると、図10に示す処理を開始する。処理部8Cは、インタフェース8Aに問い合わせ信号を送る(ステップS31)。この後、端材のICタグからの応答信号があるかどうかを判断する(ステップS32)。ステップS32で応答信号がない場合、作業者が端材を箱本体7Aに入れていない状況であるので、処理部8Cは処理をステップS31に戻す。また、ステップS32で応答信号がある場合、処理部8Cは、インタフェース8Aを経て応答信号を受け取り(ステップS33)、応答信号に含まれる順番情報を取り出す(ステップS34)。この後、処理部8Cは、順番情報を使用して端材の長さを算出する(ステップS35)。
【0043】
ステップS35での端材の算出方法は次のとおりである。端材の順番情報が1つである場合は、処理部8Cは、端材の長さをDとする。端材の順番情報が連続し、かつ、その番号が「Tk」〜「Tk+m」まである場合、処理部8Cは、この連続する1組の番号を用いて、
(Tk+m−Tk)・D
を算出する。この算出結果が端材の長さ、つまり端材数量である。そして、連続する番号の組が複数ある場合には、各組みの連続番号を用いて算出した端材の長さを合計したものを端材数量とする。また、必要に応じて各組の数を端材の個数とする。
【0044】
ステップS35の後、処理部8Cは、算出結果である端材数量を記憶部8Dに記憶する(ステップS36)。また、処理部8Cは、ステップS33で受け取った応答信号に含まれる製品情報を記憶部8Dに記憶して(ステップS37)、端材数量管理処理を終了する。
【0045】
処理部8Cは、端材数量管理処理が終了した後、次の送信処理をする。ホストコンピュータ9に対する送信の指示が入力部8Bに入力されると、処理部8Cは、記憶部8Dに記憶している端材数量および製品情報を読み出し、送受信部8Eを制御して通信網100を経由し、ホストコンピュータ9に端材電線の端材数量および製品情報を送信する。
【0046】
ホストコンピュータ9は電線ドラム2に巻かれている未使用の電線3を管理し、電線3の製造者、製造年、ロット番号などの製品情報として最新のものを常に保持している。
【0047】
ホストコンピュータ9は、引き出し電線の使用数量および製品情報を電線管理コンピュータ6から受信すると、電線ドラム2の例えば管理番号と共に引き出し電線の使用数量および製品情報を保存する。また、ホストコンピュータ9は、引き出し電線の製品情報と、引き出し電線が敷設された位置を表す位置情報とを組み合わせて保存し、また、電線管理コンピュータ6から作業情報を受け取ると、この作業情報も併せて保存する。ホストコンピュータ9は、端材電線の製品情報および端材数量を電線管理コンピュータ8から受信すると、端材電線の端材数量および製品情報を保存する。
【0048】
ホストコンピュータ9は、敷設されている電線の製品情報と最新の製品情報とを比較し、経年劣化や製造時の製品不良の有無を判別する。経年劣化や製造時の製品不良が判明すると、ホストコンピュータ9は敷設されている電線の修理や交換を指示する。
【0049】
ホストコンピュータ9は、戻し入れ電線の戻し入れ数量および製品情報を電線管理コンピュータ6から受信すると、戻し入れ電線の製品情報と最新の製品情報とを比較して、戻し入れ電線の性能不良を判別する。戻し入れ電線に性能不良がなければ、ホストコンピュータ9は、戻し入れ電線を他の場所で使用することができる再使用電線として、電線ドラム2の例えば管理番号と共に戻し入れ電線の戻し入れ数量および製品情報を保存する。また、ホストコンピュータ9は、電線管理コンピュータ6から戻し入れ数量と共に作業情報を受け取ると、この作業情報も保存する。さらに、戻し入れ電線に性能不良があると、ホストコンピュータ9は、戻し入れ電線の再使用が不可能なものと判別し、電線くずとして処理する。
【0050】
この実施の形態による電線管理システムは以上の構成である。この電線管理システムによる電線管理方法は次のようにして行われる。電線3の敷設をする作業者は、ドラム架台1に支持されている電線ドラム2から電線3を引き出して、リード・ライト装置5の支持台5B1に電線3を載せる。また、作業者は、電線管理コンピュータ6を操作して、電線3の引き出し数量管理処理の開始を入力する。この後、作業者が引き出し方向Aに引き出した後、リード・ライト装置5の切断部5Eの所で電線3を切断する。これにより、リード・ライト装置5の第1のアンテナ部5Bに電線ドラム2に巻き取られている電線3の先端部が残った状態になる。電線管理コンピュータ6は、電線3の引き出し数量管理処理により、引き出された電線3の長さである使用数量を算出して記憶すると共に電線3の製品情報を記憶する。この後、作業者が電線管理コンピュータ6を操作して、送信の指示を入力する。これにより、電線管理コンピュータ6は、記憶している引き出し電線の使用数量および製品情報をホストコンピュータ9に送信する。
【0051】
また、作業者が電線管理コンピュータ6を操作して書き込み指示を入力すると、電線管理コンピュータ6は、書き込み処理をして、リード・ライト装置5の第1のアンテナ部5Bのアンテナ5B3に、引き出し電線3の使用数量を表す書き込み信号を送る。リード・ライト装置5のアンテナ5B3は、電線ドラム2に巻き取られている電線3の先端部側にあるICタグ3Aに使用数量を記憶させる。
【0052】
これにより、電線ドラム2に巻き取られた電線3の先端部のICタグ3Aには、使用数量が記憶されているので、この使用数量から電線ドラム2に巻き取られている未使用数量を必要に応じて簡単に調べることができる。
【0053】
敷設した電線3に端材が生じた場合、作業者は、この端材を収納箱7に入れて、電線管理コンピュータ8を操作して、端材数量管理処理の開始を入力する。これにより、電線管理コンピュータ8は、端材数量管理処理を行い、端材の長さである端材数量を算出して、端材数量を記憶すると共に製品情報を記憶する。この後、作業者が電線管理コンピュータ8を操作して、送信の指示を入力する。これにより、電線管理コンピュータ8は、記憶している端材数量および製品情報をホストコンピュータ9に送信する。
【0054】
引き出し電線3の使用数量を電線管理コンピュータ6が記憶している状態で、作業者が電線管理コンピュータ6を操作して電線3の敷設位置と送信の指示とを入力すると、電線管理コンピュータ6は、電線3の敷設位置と、切断した電線3の使用数量および製品情報とを、通信網100を経由してホストコンピュータ9に送信する。
【0055】
ホストコンピュータ9は、電線管理コンピュータ6、8から各種情報を受信すると、電線3の受信した製品情報と、電線3が敷設された位置を表す位置情報とを組み合わせて保存して電線3を管理し、電線管理コンピュータ6から作業情報を受信すると、この作業情報も併せて保存して電線3を管理する。また、ホストコンピュータ9は、敷設の際に未使用となった電線3を、電線管理コンピュータ6から受信した電線3の使用数量と共に保存して未使用の電線3を管理する。
【0056】
この後、ホストコンピュータ9は、敷設されている電線3の製品情報と最新の製品情報とを比較し、経年劣化や製造時の製品不良が判明すると、敷設されている電線3の修理や交換を指示する。
【0057】
ところで、電柱の撤去などに伴って、電線ドラム2に電線3の戻し入れをする際に、電線3の戻し入れをする作業者は、リード・ライト装置5の支持台5B1に電線3を載せる。この後、作業者は、電線管理コンピュータ6を操作して、戻し入れ数量管理処理の開始を入力し、電線3を引出し方向Aとは逆の方向に戻し入れ、電線3を電線ドラム2に巻き取る。電線管理コンピュータ6は、戻し入れ数量管理処理により、戻し入れた電線3の長さである戻し入れ数量と、電線3の製品情報とを記憶する。
【0058】
戻し入れ電線3の戻し入れ数量と、この電線3の製品情報とを電線管理コンピュータ6が記憶している状態で、作業者が電線管理コンピュータ6を操作して書き込みの指示を入力すると、電線管理コンピュータ6は、戻し入れ電線3の先端部側のICタグ3Aに戻し入れ数量を記録させ、作業情報を受け取ると、この作業情報も記録させる。作業者が電線管理コンピュータ6を操作して送信の指示を入力すると、電線管理コンピュータ6は、戻し入れ電線3の戻し入れ数量および製品情報を、通信網100を経由してホストコンピュータ9に送信する。また、電線管理コンピュータ6は、作業情報を受け取ると、この作業情報も送信する。
【0059】
ホストコンピュータ9は、戻し入れ電線3の戻し入れ数量および製品情報を受信すると、戻し入れ電線3の製品情報と最新の製品情報とを比較して、戻し入れ電線3の性能不良を判別する。戻し入れ電線3に性能不良がなければ、ホストコンピュータ9は、戻し入れ電線3を他の場所で使用することができる再使用電線として、戻し入れ数量および製品情報を保存して戻し入れ電線3を管理し、作業情報を受信した場合には、この作業情報も併せて保存して戻し入れ電線3を管理する。また、戻し入れ電線3に性能不良があると、ホストコンピュータ9は、戻し入れ電線3の再使用が不可能なものとし、電線くずとして処理する。
【0060】
この実施の形態によれば、電線ドラム2から引き出した電線3を従来のように巻尺などを用いて作業者が計る必要がなく、自動で電線3の使用数量を調べることができ、また、敷設作業で発生した端材の数量も自動で計ることができる。また、この実施の形態によれば、回収した電線3の戻し入れ数量を自動で計ることができ、かつ、回収した電線3の製品情報を容易に取得することができる。さらに、戻し入れ電線の作業情報が戻し入れ電線に記録されるので、作業履歴が戻し入れ電線3に記録されることになる。電線3に対する作業は回収した電線の良否を判別する際に参照される。
【0061】
また、電線管理コンピュータ6から受信した使用数量および製品情報とをホストコンピュータ9が保存するので、敷設された電線3と、この敷設で未使用となった電線3との管理がホストコンピュータ9により可能となる。また、敷設された電線3の製品情報と位置情報とを組み合わせてホストコンピュータ9が保存するので、既に敷設された電線3のホストコンピュータ9による一元的な管理を可能にする。このとき、作業情報が組み合わされると、作業履歴も保存することができる。また、ホストコンピュータ9が常に最新の製品情報を保存しているので、電線3の経年劣化や製造時の製品不良が判明すると、敷設されている電線3の修理や交換の指示をホストコンピュータ9から出すことができる。また、電線管理コンピュータ8から受信した端材数量および製品情報を保存するので、端材となった電線3の管理がホストコンピュータ9により可能となる。さらに、電線3が電線ドラム2に戻し入れられた際に電線管理コンピュータ8から戻し入れ数量と製品情報とを受信すると、戻し入れられた電線3の製品情報と最新の製品情報とを比較して、ホストコンピュータ9が電線3の良否を判別するので、再使用電線と電線くずとの仕分けをホストコンピュータ9により容易に行うことができ、再使用電線の管理をホストコンピュータ9により可能にする。
【0062】
(実施の形態2)
この実施の形態では、実施の形態1のリード・ライト装置5の代わりに図11に示すハンディタイプの読み取り器10が用いられている。読み取り器10は、本体部11と把持部12とを備えている。
【0063】
本体部11は、電線3が通る貫通穴11Aと、貫通穴11Aの長手方向に並んで設けられているアンテナ11B、11Cとを備えている。アンテナ11B、11Cは、電線3にICタグ3Aが配置されている間隔Dと同じ間隔で本体部11に配置されている。これにより、連続する2つのICタグ3Aが、アンテナ11B、11Cで同時に読み取り可能となる。アンテナ11B、11Cは、把持部12に設けられている制御部12Aの制御によって、電線3のICタグ3Aに電磁波を送信する。また、アンテナ11B、11Cは、ICタグ3Aからの電磁波を受信する。
【0064】
把持部12は先に述べた制御部12Aを備えている。操作部12Aは実施の形態1のリード・ライト装置5の制御部5Dと同じであるので、この説明を省略する。
【0065】
リード・ライト装置5は、処理部6Cの処理の中でステップS7が異なるだけである。この実施の形態では、処理部6Cは、ステップS6の後、入力部6Bに電線3の切断が入力されたかどうかを判断する。このステップS6で、入力部6Bに切断の入力がなければ、ステップS8に進み、また、この入力があると、ステップS9に進む。
【0066】
この実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。これに加えて、この実施の形態によれば、読み取り器10がハンディタイプであるので、運搬や測定に際しての取り扱いが容易である。
【0067】
(実施の形態3)
この実施の形態では、実施の形態1のリード・ライト装置5の代わりに図12に示すハンディタイプの読み取り器20が用いられている。読み取り器20は、本体部21と把持部22とを備えている。さらに、図示を省略しているが、この実施の形態では、電線3を巻き取る電線ドラム2にICタグ3Aが設けられている。
【0068】
本体部21は、電線3が通る貫通穴21Aと、貫通穴21Aの長手方向に並んで設けられているアンテナ21B、21Cとを備えている。アンテナ21B、21Cは実施の形態2のアンテナ11B、11Cと同じであるので、これらの説明を省略する。
【0069】
把持部22は、制御部22Aと操作ボタン22B〜22Eとを備えている。制御部22Aは実施の形態1のリード・ライト装置5の制御部5Dと同じであるので、この説明を省略する。操作ボタン22B〜22Eは、切断された電線3の両端部に位置するICタグ3Aの順番情報や製品情報を手動で読み取る際に操作される。操作ボタン22Bは電線3を引き出すときに操作される「引出」のボタンである。操作ボタン22Bの操作により、操作ボタン22Bは制御部22Aを経由して引き出し信号を電線管理コンピュータ6に送る。操作ボタン22Cは電線3を戻し入れするときに操作される「戻入」のボタンである。操作ボタン22Cの操作により、操作ボタン22Cは制御部22Aを経由して戻し入れ信号を電線管理コンピュータ6に送る。操作ボタン22Dは電線3の一端部側に位置するICタグ3Aから順番情報や製品情報を読み取る際に操作される「自」のボタンであり、操作ボタン22Eは電線3の他端部側に位置するICタグ3Aから順番情報や製品情報を読み取る際に操作される「至」のボタンである。
【0070】
リード・ライト装置5の処理部6Cは、実施の形態1および実施の形態2とは異なる処理をする。つまり、処理部6Cは、インタフェース6Aを経由して、読み取り器20から引き出し信号を受け取った後、操作ボタン22Dの操作信号を受け取ると、インタフェース6Aを経て読み取り器20に問い合わせ信号を送る。この後、読み取り器20から応答信号を受け取ると、応答信号に含まれる引き出し電線の順番情報を取り出す。さらにこの後、処理部6Cは、操作ボタン22Eの操作信号を受け取ると、インタフェース6Aを経て読み取り器20に問い合わせ信号を送る。この後、読み取り器20から応答信号を受け取ると、応答信号に含まれる引き出し電線の順番情報を取り出す。そして、処理部6Cは、2つの順番情報から、引き出し電線の使用数量を算出して、応答信号に含まれる引き出し電線の製品情報と共に使用数量を記憶部6Dに記憶する。
【0071】
同じように、操作ボタン22Cが操作された後で操作ボタン22D、22Eが操作されると、処理部6Cは、戻し入れ電線の戻し入れ数量および製品情報を記憶部6Dに記憶する。
【0072】
この後、書き込み処理では、実施の形態1と同様にアンテナ21Cが電線ドラム2からの電線3の先端側のICタグ3Aに、引き出し電線の使用数量や戻し入れ電線の戻し入れ数量を記録される。また、電線ドラム2に設けられているICタグ3Aに作業者が読み取り器20を近づければ、引き出し電線の使用数量や戻し入れ電線の戻し入れ数量がこのICタグ3Aに記録される。
【0073】
また、処理部6Cは、記憶部6Dに保存している使用数量および製品情報を読み出し、送受信部6Eを制御して通信網100を経由し、引き出し電線の使用数量および製品情報や戻し入れ電線の戻し入れ数量および製品情報をホストコンピュータ9に送信する。
【0074】
この実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。これに加えて、この実施の形態によれば、作業者が操作ボタン22B〜22Eを操作して、引き出し電線の両端部に位置するICタグ3Aからの読み取りを行うだけで、引き出し電線の使用数量および戻し入れ電線の戻し入れ数量を計ることを可能にする。さらに、この実施の形態によれば、電線ドラム2に設けたICタグ3Aに、引き出し電線の使用数量や戻し入れ電線の戻し入れ数量を保存することができる。
【0075】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、各実施の形態では、配電線の敷設を例にして説明したが、電線3はこれに限定されることはなく、例えば、送電線や通信線など各種の用途の電線に対して発明の適用が可能である。また、各実施の形態では、電線管理コンピュータ6、8を別の装置としたが、収納箱7が電線管理コンピュータ6の周辺に設置可能であれば、電線管理コンピュータ6、8を1つの装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明の実施の形態1による電線管理システムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による電線管理システムを示す構成図である。
【図3】電線を説明する説明図である。
【図4】リード・ライト装置を示す斜視図である。
【図5】リード・ライト装置および電線管理コンピュータを示すブロック図である。
【図6】引き出し数量管理処理を示すフローチャートである。
【図7】切断された電線の長さの算出を説明する説明図である。
【図8】収納箱の一例を示す断面図である。
【図9】収納箱のアンテナ部および制御部と、電線管理コンピュータとを示すブロック図である。
【図10】端材数量管理処理を説明するフローチャートである。
【図11】実施の形態2による読み取り器を示す斜視図である。
【図12】実施の形態3による読み取り器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0077】
1 ドラム架台
2 電線ドラム
3 電線
5 リード・ライト装置(第1の通信手段)
5A 支持具
5B 第1のアンテナ部
5C 第2のアンテナ部
5D 制御部
5E 切断部
6 電線管理コンピュータ(第1の処理手段)
6A インタフェース
6B 入力部
6C 処理部
6D 記憶部
6E 送受信部(送受信手段)
6F 表示部
7 収納箱(収納容器)
7A 箱本体
7B アンテナ部(第2の通信手段)
7C 制御部(第2の通信手段)
8 電線管理コンピュータ(第2の処理手段)
8A インタフェース
8B 入力部
8C 処理部
8D 記憶部
8E 送受信部
8F 表示部
9 ホストコンピュータ(情報管理手段)
10 読み取り器
11 本体部
11A 貫通穴
11B、11C アンテナ
12 把持部
12A 制御部
20 読み取り器
21 本体部
21A 貫通穴
21B、21C アンテナ
22 把持部
22A 制御部
22B〜22E 操作ボタン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に沿って互いに離れて設けられると共に、順番を表す順番情報および前記電線の製品情報を記録している複数のICタグにより、前記電線を管理する電線管理システムであって、
前記電線を切断するために用いられる切断部を挟むように前記ICタグが位置したときに、これらのICタグとの通信によって順番情報を読み取る第1の通信手段と、
前記第1の通信手段が読み取った前記順番情報が途切れたとき、途切れたときの最後の順番情報を持つICタグとその1つ前の順番情報を持つICタグとの間で前記電線が切断されたと判別し、最初の順番情報から前記1つ前の順番情報に対応する長さを算出して、引き出されて切断された電線の使用数量、または戻し入れられた電線の戻し入れ数量とする第1の処理手段と、
を備えることを特徴とする電線管理システム。
【請求項2】
前記第1の処理手段は取得した使用数量を前記第1の通信手段に送り、
前記第1の通信手段は、前記第1の処理手段から受け取った使用数量を、前記電線が途切れたときの最後の順番情報を持つICタグに記録する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電線管理システム。
【請求項3】
前記電線を巻き取って収納すると共に情報の読み書きが可能なICタグが設けられている電線ドラムを備え、
前記第1の通信手段は、前記第1の処理手段から受け取った使用数量を、前記電線ドラムのICタグに記録する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電線管理システム。
【請求項4】
電線の敷設の際に発生する端材を収容するために用いられ、前記端材に設けられているICタグから順番情報を読み出す第2の通信手段を具備する収納容器と、
前記第2の通信手段が読み取った前記順番情報を基に端材の長さを算出して、端材数量とする第2の処理手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電線管理システム。
【請求項5】
敷設を含む作業が行われた電線の作業内容を表す作業情報を入力する入力手段を備え、
前記第1の処理手段は、前記入力手段から受け取った作業情報を第1の通信手段に送って前記電線または前記電線ドラムの少なくとも一方のICタグに記録する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の電線管理システム。
【請求項6】
前記第1の通信手段が読み取って前記第1の処理手段に送った製品情報、前記第1の処理手段が算出した使用数量、前記第1の処理手段が算出した戻し入れ数量、前記入力手段に入力された作業情報の少なくとも1つを送信する送受信手段と、
前記送受信手段から使用数量を受信すると、前記使用数量と引き出しの際に未使用となった前記電線とを組み合わせて保存し、前記送受信手段から製品情報を受信すると、この製品情報と、この製品情報に対応する電線の設置位置情報とを組み合わせて保存し、前記送受信手段から戻し入れ数量と作業情報とを受信すると、戻し入れされた電線の製品情報と戻し入れ数量と作業情報とを組み合わせて保存する情報管理手段と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の電線管理システム。
【請求項7】
電線に沿って互いに離れて設けられると共に、順番を表す順番情報および前記電線の製品情報を記録している複数のICタグにより、前記電線を管理する電線管理方法であって、
前記電線を切断するために用いられる切断部を挟むように前記ICタグが位置したときに、これらのICタグとの通信によって順番情報を読み取り、
読み取った前記順番情報が途切れたとき、途切れたときの最後の順番情報を持つICタグとその1つ前の順番情報を持つICタグとの間で前記電線が切断されたと判別し、
最初の順番情報から前記1つ前の順番情報に対応する長さを算出して、引き出されて切断された電線の使用数量、または戻し入れられた電線の戻し入れ数量とする、
ことを特徴とする電線管理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−265667(P2007−265667A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86020(P2006−86020)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】