説明

電解コンデンサの劣化診断装置および劣化診断方法

【課題】電解コンデンサが回路基板に搭載された状態であっても、その電解コンデンサの劣化状態を容易に判定できる劣化診断装置および劣化診断方法を提供する。
【解決手段】透過画像取得部8は、回路基板20に対して一方からX線を照射し、回路基板20を介して対向する他方において、透過したX線に応じた透過画像を取得する。画像処理部2は、CCD部16から電気信号を受けて回路基板20の透過画像を生成し、その透過画像を濃淡画像(グレイ画像)に変換する。演算部4は、グレイ画像から濃淡値(グレイ値)の度数分布を生成するとともに、その度数分布において、電解コンデンサの劣化状態に応じて度数が変化する濃淡値の度数に基づいて劣化指標を算出する。演算部4は、この劣化指標に基づいて電解コンデンサ34の劣化状態を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電解コンデンサの劣化診断装置および劣化診断方法に関し、特に回路基板に搭載された電解コンデンサの劣化状態を診断するのに好適な装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器には多数のコンデンサが使用される。コンデンサには、その構造や誘電体の種類に応じて、電解コンデンサ、マイラーコンデンサ、フィルムコンデンサおよび電気二重層コンデンサなどに分類される。その中でも、電解コンデンサは静電容量が比較的大きく、直流回路の電源フィルタおよび交流回路のカップリングやフィルタなどに用いられる。
【0003】
アルミ電解コンデンサ(以下では単に「電解コンデンサ」と呼ぶ場合もある)では、電極であるアルミニウムの表面に形成された酸化被膜が誘電体として機能する。そして、アルミニウム電極表面には、その表面積をできるだけ大きくするために微細な凹凸加工がなされる。さらに、微細な凹凸加工がなされたアルミニウム電極同士を互いに近接させる(ほぼ密着した状態にする)ために、電解液を含む紙が電極間に挿入されている。
【0004】
しかしながら、電解コンデンサ内における電解液の封入はゴム栓等を使用して行なわれているため完全でなく、電解液は徐々に蒸発する。電解液の蒸発に伴い、アルミニウム電極間をほぼ密着した状態に保つことが困難となり、その結果、電解コンデンサの静電容量は減少する。このような現象は、「容量抜け」と称される。特に、電解コンデンサが使用される温度環境によっては、電解液が通常より多く蒸発するために静電容量が急速に減少する場合がある。
【0005】
電解コンデンサの容量抜けにより、その電解コンデンサが搭載された回路においてリップル成分電圧の増大などが生じる。これにより電子機器の動作特性の変化が生じる。また、電子機器の機能の停止や誤動作を起こす。たとえば発電プラントの制御用回路基板が誤動作した場合には、発電の停止に至る。そのため、従来から、電解コンデンサの劣化状態を定期的に診断することによって、電子機器の故障の発生を抑制したいというニーズがある。現在は回路基板の中で電解コンデンサが最弱点部品となることが分かっているので、電解コンデンサの期待寿命に合わせて回路基板ごとに取替えが行なわれている状況である。
【0006】
たとえば特許文献1には、静電容量、tanδ(誘電正接)、漏れ電流およびインピーダンスなどの電解コンデンサの電気的特性を測定し、その測定値の経時変化に基づいて劣化状態を判定する、電解コンデンサ劣化診断装置が開示されている。
【0007】
たとえば特許文献2には、電解コンデンサの一方の電極側とコンデンサケースとの間の電圧波形を測定し、この測定された電圧波形により電解コンデンサの劣化度を診断することを特徴とする電解コンデンサの劣化診断方法が開示されている。
【0008】
たとえば特許文献3には、電解コンデンサの表面温度と周囲温度との差に基づいて電解コンデンサの劣化状況を判定する劣化診断装置および方法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−267708号公報
【特許文献2】特公平1−43272号公報
【特許文献3】特開2000−131362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般的に、電子機器に用いられる電解コンデンサは、回路基板に搭載され、同じく回路基板に搭載された抵抗およびトランジスタなどとともに電気回路を構成する。そして、回路基板に搭載された電解コンデンサは、ハンダなどによりその回路基板に固定される。
【0010】
特許文献1に開示される電解コンデンサ劣化診断装置は、電解コンデンサそのものの電気的特性を測定することにより劣化状態を判定するものである。したがって、この劣化診断装置により回路基板に搭載された電解コンデンサの電気的特性を測定した場合には、その電気的特性が回路基板上の他の素子(抵抗等)の影響を受ける可能性がある。すなわち電解コンデンサの劣化状態を正確に判定できない可能性がある。
【0011】
この問題を解決するためには、回路基板から電解コンデンサを取り外した後に、その電解コンデンサの電気的特性を測定する必要がある。ただし、電気的特性が測定された後には、当該コンデンサを回路基板に再度搭載する必要が生じるだけでなく、その回路基板の動作を確認する必要も生じる。
【0012】
その上、1つの回路基板に多数の電解コンデンサが搭載されていることが多い。すなわち、回路基板に搭載された電解コンデンサの劣化状態を判定するためには、その電解コンデンサの回路基板からの取り外し、および回路基板への搭載、さらには回路基板の動作確認などの付帯作業が必要となる。特許文献1に開示される劣化診断装置によれば、回路基板上のすべての電解コンデンサについて、時間的な条件およびコスト的な条件を満たしつつ正確な劣化診断を行なうことが困難と考えられる。
【0013】
また、特許文献2には、リプル電圧に基づいて電解コンデンサの劣化度を判定することが開示されている。しかし、コンデンサの個体差を考慮すると、複数のコンデンサ(容量はいずれも同じとする)のリプル電圧が同じであっても劣化状況が異なる可能性が考えられる。
【0014】
また、特許文献3には、電解コンデンサの表面温度および周囲温度から電解コンデンサの内部温度を推定することにより劣化度を診断する方法が開示されている。しかし、たとえば容量値の小さいコンデンサの場合、入出力電流が小さいために電解コンデンサの発熱量も小さいと考えられる。したがって、電解コンデンサの表面温度および周囲温度の差が小さい可能性がある。このため、劣化度を正確に診断できない可能性がある。
【0015】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、電解コンデンサが回路基板に搭載された状態であっても、その電解コンデンサの劣化状態を容易に判定できる劣化診断装置および劣化診断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明は要約すれば、電解液を含む電解コンデンサの劣化診断装置であって、電解液により透過が妨げられる電磁波を電解コンデンサに照射することにより、電解コンデンサの透過画像を取得する透過画像取得部と、取得された透過画像を、所定単位の領域ごとに、その領域の濃淡の程度に応じた濃淡値が対応付けられた濃淡画像に変換する画像処理部と、濃淡画像を用いて濃淡値の度数分布を生成し、かつ、生成された度数分布に基づいて、電解コンデンサの劣化状態を示す劣化指標を算出する演算部とを備える。
【0017】
好ましくは、演算部は、度数分布において、電解コンデンサの劣化に伴ってその度数が変化する濃淡値を、予め定められた値として記憶する。演算部は、生成された度数分布と予め定められた値とに基づいて、劣化指標を算出する。
【0018】
より好ましくは、予め定められた値は、電解コンデンサの劣化に応じて、度数分布における度数が増加する第1の値と、電解コンデンサの劣化に応じて、度数分布における度数が減少する第2の値とを含む。演算部は、生成された度数分布における、第1および第2の値にそれぞれ対応する第1および第2の度数を取得する。演算部は、その取得した第1および第2の度数に基づいて、劣化指標を算出する。
【0019】
さらに好ましくは、第1および第2の値は、濃淡画像における電解液の領域の濃淡値である。
【0020】
さらに好ましくは、演算部は、第1および第2の度数の差と劣化指標との対応関係を予め記憶する。演算部は、取得した第1および第2の度数と対応関係とに基づいて、劣化指標を算出する。演算部は、算出した劣化指標と所定の基準値とを比較することにより劣化状態を診断する。
【0021】
好ましくは、演算部は、算出した劣化指標と、電解コンデンサの使用期間とに基づいて、電解コンデンサの残存寿命を算出する。
【0022】
好ましくは、劣化指標は、電解コンデンサの未使用状態における電解液の量を基準とした、電解液の残存率である。
【0023】
好ましくは、電磁波は、軟X線である。
この発明の他の局面に従うと、電解液を含む電解コンデンサの劣化診断方法であって、電解液により透過が妨げられる電磁波を電解コンデンサに照射することにより、電解コンデンサの透過画像を取得するステップと、取得された透過画像を、所定単位の領域ごとにその領域の濃淡の程度に応じた濃淡値が対応付けられた濃淡画像に変換するステップと、濃淡画像を用いて濃淡値の度数分布を生成するステップと、生成された度数分布に基づいて、電解コンデンサの劣化状態を示す劣化指標を算出するステップとを備える。
【0024】
好ましくは、劣化診断方法は、劣化指標を算出するステップにおいて、生成された度数分布と、度数分布において、電解コンデンサの劣化に伴ってその度数が変化する濃淡値として予め定められた値とに基づいて、劣化指標を算出する。
【0025】
より好ましくは、予め定められた値は、電解コンデンサの劣化に応じて、度数分布における度数が増加する第1の値と、電解コンデンサの劣化に応じて、度数分布における度数が減少する第2の値とを含む。劣化診断方法は、劣化指標を算出するステップにおいて、生成された度数分布における、第1および第2の値にそれぞれ対応する第1および第2の度数を取得するとともに、その取得した第1および第2の度数に基づいて、劣化指標を算出する。
【0026】
さらに好ましくは、第1および第2の値は、濃淡画像における電解液の領域の濃淡値である。
【0027】
さらに好ましくは、劣化診断方法は、劣化指標を算出するステップにおいて、予め定められた第1および第2の度数の差と劣化指標との対応関係と、取得された第1および第2の度数とから劣化指標を算出し、算出された劣化指標と所定の基準値とを比較することにより劣化状態を診断するステップをさらに備える。
【0028】
好ましくは、劣化診断方法は、算出された劣化指標と、電解コンデンサの使用期間とに基づいて、電解コンデンサの残存寿命を算出するステップをさらに備える。
【0029】
好ましくは、劣化指標は、電解コンデンサの未使用状態における電解液の量を基準とした、電解液の残存率である。
【0030】
好ましくは、電磁波は、軟X線である。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、電解コンデンサが回路基板に搭載された状態であっても、その電解コンデンサの劣化状態を容易に判定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0033】
図1は、この発明の実施の形態に従う劣化診断装置1の概略構成図である。図1を参照して、劣化診断装置1は、回路基板20上に搭載された電解コンデンサ34の劣化状態を判定する。なお、本実施の形態における「電解コンデンサ」は、一例としてアルミ電解コンデンサである。図1には示していないが、一般的にアルミ電解コンデンサは、少なくとも2つの電極と、電解液とを含む。電極間には、たとえば電解液が浸潤した紙が挟まれる。
【0034】
劣化診断装置1は、透過画像取得部8と、画像処理部2と、演算部4と、表示部6と、入力部7とを備える。
【0035】
透過画像取得部8は、回路基板20に対して一方からX線を照射し、回路基板20を介して対向する他方において、透過したX線に応じた透過画像を取得する。そして、透過画像取得部8は、高電圧発生部10と、X線管12と、ベリリウム窓14と、CCD(Charge Coupled Devices)部16とを備える。
【0036】
高電圧発生部10は、X線管12において放電が生じるように直流の高電圧を発生し、その電圧をX線管12へ与える。この発明の実施の形態においては、一例として、高電圧発生部10は、10〜50kVの電圧を発生する。
【0037】
X線管12は、高電圧発生部10からの高電圧によって、その内部に放電を生じさせ、その放電によってX線を生じさせる。そして、X線管12で発生されたX線は、回路基板20に向けて照射される。
【0038】
ベリリウム窓14は、X線管12から照射されたX線のうち、回路基板20を透過したX線を可視光に変換し、CCD部16へ出力する。
【0039】
CCD部16は、ベリリウム窓14からの可視光を受け、回路基板20の透過画像を電気信号に変換して画像処理部2へ出力する。
【0040】
画像処理部2は、CCD部16から電気信号を受けて、回路基板20の透過画像を生成する。そして、画像処理部2は、その透過画像を濃淡画像(以下、グレイ画像とも呼ぶ)に変換する。詳細に説明すると、画像処理部2は、透過画像を複数のメッシュに区切り、各メッシュの濃淡の程度に応じて、そのメッシュの濃淡の程度を示す濃淡値(以下、グレイ値とも呼ぶ)を決定する。これにより透過画像からグレイ画像が生成される。
【0041】
なお、濃淡画像の階調は2よりも大きい。濃淡画像の階調が2であるとすると、濃淡値は「0」および「1」のいずれかとなるので、透過画像から生成される画像が2値画像(白黒画像)になる。本実施の形態における濃淡画像の階調は256である。したがって濃淡画像における濃淡値は0〜255の範囲の中のいずれかの値となる。
【0042】
演算部4は、上記のグレイ画像を用いて濃淡値の度数分布を生成する。そして演算部4は、生成した度数分布に基づいて、電解コンデンサ34の劣化状態の診断、および、その電解コンデンサ34の寿命診断を行なう。
【0043】
詳細に説明すると、演算部4は、濃淡値の度数分布において電解コンデンサの劣化に応じてその度数が変化する濃淡値を予め記憶する。演算部4に記憶される濃淡値は、たとえば以下の方法により定められる。
【0044】
まず第1のステップにおいて電解コンデンサの劣化試験が行なわれる。次に第2のステップにおいて、電解コンデンサのX線透過画像が取得される。続いて、第3のステップにおいて、その透過画像からグレイ画像への変換、および濃淡値の度数分布が生成される。第3のステップの後、再び第1のステップの処理が繰返される。このような第1〜第3のステップの処理を繰返すことにより、電解コンデンサの劣化状態に応じた濃淡値の度数分布が複数得られる。したがって、これらの度数分布を解析することによって、電解コンデンサの劣化に応じてその度数が変化する濃淡値を決定することが可能になる。
【0045】
なお、演算部4に記憶される濃淡値を求める方法はこの方法に限定されるものではなく、様々な方法を用いることができる。
【0046】
表示部6は、演算部4による電解コンデンサ34の劣化状態の診断結果および/または演算部4による電解コンデンサ34の残存寿命を表示する。入力部7は、ユーザからの入力値、あるいはユーザからの診断実行指令を受付ける。
【0047】
図2は、図1に示す演算部4の劣化状態の診断および寿命推定に関する部分の機能ブロック図である。図2を参照して、演算部4は、劣化指標算出部31と、診断部32と、寿命推定部33とを含む。劣化指標算出部31は、画像処理部2から受けるグレイ画像に基づいて濃淡値の度数分布を生成するとともに、その生成した度数分布において、予め記憶する濃淡値での度数を求める。さらに、劣化指標算出部31は、求めた濃淡値の度数に基づいて、診断対象の電解コンデンサの劣化指標を算出する。
【0048】
診断部32は、劣化指標算出部31により算出された劣化指標に基づいて、電解コンデンサの劣化状態を診断し、その診断結果を表示部6へ出力する。
【0049】
寿命推定部33は、劣化指標算出部31により算出された劣化指標に基づいて、その電解コンデンサの残存寿命を推定し、その推定結果を表示部6へ出力する。なお本実施の形態では、劣化指標とは、電解コンデンサの内部の電解液の残存率である。
【0050】
本実施形態では、X線管12は、電解液に吸収されやすい軟X線を発生する。軟X線は、X線の中でも比較的波長が長く、0.1nm〜10nm程度の波長をもつ。なお、軟X線は、アクリル樹脂に吸収されやすい。したがって鉛に代えてアクリル樹脂を軟X線の遮へい材として用いることができる。これにより透過画像取得部8の構成を簡素化できる。
【0051】
(透過画像および画像処理)
図3は、透過画像取得部8により取得された電解コンデンサの透過画像の一例を示す図である。
【0052】
図3(a)は、未使用状態の電解コンデンサの透過画像を示す図である。
図3(b)は、劣化状態の電解コンデンサの透過画像を示す図である。
【0053】
図3(a)および図3(b)を参照して、X線管12が放射する軟X線は、電解コンデンサ内の電解液に吸収されるので透過が妨げられる。そのため、CCD部16が取得する透過画像において、電解液に相当する部分および電極に相当する部分は黒色の領域となって表われる。
【0054】
図3(a)と図3(b)とを比較すると、濃淡の差を明確に見出すことは難しいと考えられる。そこで、本実施の形態では透過画像の複数の領域(メッシュ)ごとに濃淡の程度に応じた濃淡値を割り当てる。これにより、濃淡の程度の違いをより明確にすることができる。
【0055】
図4は、画像処理部2により生成された電解コンデンサのグレイ画像の一例を示す図である。
【0056】
図4(a)は、未使用状態の電解コンデンサのグレイ画像を示す図である。
図4(b)は、劣化状態の電解コンデンサのグレイ画像を示す図である。
【0057】
図4(a)および図4(b)を参照して、画像処理部2は、透過画像を所定のドットまたはピクセル単位のメッシュに区切り、メッシュの各々をその濃淡の程度に応じて、0〜255のいずれかの値に変換する。言い換えると画像処理部2は、各メッシュの濃淡の程度に応じて、そのメッシュに0〜255のいずれかの値を割り当てる。これによりグレイ画像が生成される。
【0058】
なお、本実施の形態では軟X線の不透過領域、すなわち黒色の領域にグレイ値「0」が割り当てられ、軟X線の透過領域、すなわち白色の領域にグレイ値「255」が割り当てられる。ただし、白色の領域にグレイ値「0」が割り当てられ、黒色の領域にグレイ値「255」が割り当てられるように処理が行なわれてもよい。
【0059】
図4(a)および図4(b)に示されるように、グレイ画像では、電解液、リード線および電解コンデンサの外装、回路基板といった軟X線の透過が妨げられる部位は黒に近い色の領域となり、X線の透過が実質的に妨げられない部位については白に近い色の領域として表われる。グレイ画像での他の領域は、軟X線の吸収の程度に応じて濃淡の程度が異なる灰色の領域となる。
【0060】
演算部4は画像処理部2が生成したグレイ画像を用いて濃淡値(グレイ値)の度数分布を生成する。この度数分布においては、電解コンデンサの劣化に応じてその度数が変化するグレイ値が存在する。演算部4は、そのグレイ値を予め記憶する。
【0061】
演算部4が生成した濃淡値(グレイ値)の度数分布において電解コンデンサの劣化に応じてその度数が変化するグレイ値が存在することを具体的に説明する。図5は、劣化した電解コンデンサのグレイ画像から算出したグレイ値の度数分布の一例を示す図である。図5は、10個のサンプル(「No.1」〜「No.10」と示す)の各々のグレイ画像に基づいて生成されたグレイ値の度数分布を示す。なお、グラフの縦軸に示す「粒子数」とは、上述の「度数」に相当し、具体的には「グレイ画像の画素数」である。
【0062】
本実施の形態では0から255までのグレイ値の範囲のうち、特に、180〜240の範囲の度数分布に着目する。
【0063】
図6は、電解コンデンサの劣化の進み度合いによるグレイ値の度数分布の変化を示す図である。
【0064】
図6(a)は、電解コンデンサの状態が良好である場合のグレイ値の度数分布を示す図である。
【0065】
図6(b)は、電解コンデンサの劣化の進み度合いが小さい状態でのグレイ値の度数分布を示す図である。
【0066】
図6(c)は、電解コンデンサの劣化の進み度合いが大きい状態でのグレイ値の度数分布を示す図である。
【0067】
図6(a)〜図6(c)に示されるように、195付近のグレイ値の度数は電解コンデンサの劣化が進むに連れて減少し、215付近のグレイ値の度数は電解コンデンサの劣化が進むに連れて増加する。なお、グラフの縦軸の「平均粒子数」とは、図5に示した10個のサンプルの各グレイ値での度数を平均した値である。
【0068】
このようなグレイ値の度数の変化は、たとえば以下の理由によるものと考えられる。電解コンデンサ内における電解液の封入はゴム栓等を使用して行なわれているため完全でなく、電解液は徐々に蒸発する。電解液は軟X線の透過を妨げる作用を有するが、電解液が減少することによって、軟X線が透過しやすい領域が増えると考えられる。したがって、電解液が減少するにつれて、グレイ画像中の黒色に近い灰色の領域(軟X線が透過しにくい領域に相当)が減るとともに、白色に近い灰色の領域(軟X線が透過しやすい領域に相当)が増える。すなわち、2つのグレイ値(195および215)は、グレイ画像における電解液の領域のグレイ値を表しているものと考えられる。
【0069】
本実施の形態では、グレイ画像中の領域の色が黒に近いほどその領域のグレイ値は小さく、白に近いほどその領域のグレイ値は大きい。よって、電解コンデンサの劣化が進むに連れて、より小さいグレイ値の度数が減少し、より大きいグレイ値の度数が増加する。演算部4は、電解コンデンサの劣化に応じてその度数が変化する濃淡値を記憶する。そして、演算部4は、その濃淡値における度数に基づいて、電解コンデンサの劣化状態を診断する。演算部4が予め記憶するグレイ値は、たとえば「195」および「215」に定められる。
【0070】
ここで、図6に示されるように、電解コンデンサの劣化が進むに連れて、度数が変化するグレイ値は少なくとも1つ存在する。したがって、そのグレイ値での度数に基づいて電解コンデンサの劣化状態を診断してもよい。
【0071】
ただし、1つのグレイ値の度数のみに基づいて劣化状態を診断する場合、透過画像からグレイ画像への変換結果によっては、度数がほとんど変化しない場合も考えられる。本実施の形態では、演算部4(より特定的には劣化指標算出部31)は、電解コンデンサの劣化に応じて度数が増加する第1のグレイ値(上述の例では「215」)と、電解コンデンサの劣化に応じて度数が減少する第2のグレイ値(上述の例では「195」)とを予め記憶する。そして劣化指標算出部31は、グレイ画像から算出した度数分布における第1のグレイ値に対応する度数(粒子数)と、第2のグレイ値に対応する度数との差を算出する。この場合、2つの度数の差は電解コンデンサの劣化が進むに連れて大きくなる。したがって、度数の差がほとんど変化しないという可能性が小さくなる。よって、正確な診断が可能になる。
【0072】
劣化指標算出部31は、算出した度数の差から電解液の残存率を算出する。ここで、電解液の残存率とは、未使用の状態にある同一構造の電解コンデンサにおける電解液の残存量を基準値とし、その基準値に対する各々の電解コンデンサにおける電解液の残存量の比率である。すなわち、未使用の状態においては、電解液の残存率は100%となる。
【0073】
劣化指標算出部31は、たとえば図7に示したような度数の差(粒子数の差)と電解液の残存率との対応関係を記憶し、その関係と、算出した濃淡値の度数の差とから電解液の残存率を算出する。図7に示した度数の差(粒子数の差)と電解液の残存率との対応関係は、たとえば実験によって予め算出される。
【0074】
診断部32は、その算出した電解液の残存率が所定の基準値以上であるか否かに基づいて、診断対象の電解コンデンサが「正常」または「劣化」のいずれであるかを判定する。なお、「所定の基準値」も、たとえば実験あるいは、その電解コンデンサが搭載される機器の動作条件等によって予め定められる。
【0075】
なお、診断部32での診断に用いられる基準値は複数設定されていてもよい。たとえば、第1および第2の基準値を設定し(第1の基準値は第2の基準値より大きいとする)、電解液の残存率が第1の基準値以上であれば「正常」と判定し、第1の基準値未満かつ第2の基準値以上であれば「注意」と判定し、第2の基準値未満であれば「劣化」と判定するような構成としてもよい。
【0076】
なお、本実施の形態では、電解コンデンサの劣化状態に応じて度数が変化するグレイ値が演算部4に予め記憶される。ただし、演算部4が、予め定められたグレイ値の範囲(上述の例では図6に示す180から240の範囲)の度数分布から2つのピークを検出して、その検出結果から求められるピークの差から、電解液の残存率を算出してもよい。ただし演算部4がグレイ値を予め記憶することにより演算部4の処理を簡単にすることができる。
【0077】
(劣化状態の判定処理フロー)
図8は、電解コンデンサの劣化状態の診断処理を示すフローチャートである。図8および図1を参照して、演算部4は、透過画像取得部8に診断対象の電解コンデンサの透過画像を取得させる(ステップS1)。演算部4は、画像処理部2に透過画像取得部8が取得した透過画像をグレイ処理させる(ステップS2)。演算部4は、画像処理部2からグレイ画像を受ける。
【0078】
次に図8および図2を参照して、劣化指標算出部31は、グレイ値の度数分布を作成する(ステップS3)。そして、劣化指標算出部31は、その度数分布から、第1のグレイ値の度数と第2のグレイ値の度数との差、すなわち粒子数の差を算出する(ステップS4)。劣化指標算出部31は、算出した度数の差に基づいて電解液の残存率を算出する(ステップS5)。診断部32は劣化指標算出部31が算出した電解液の残存率が基準値以上か否かを判断する(ステップS6)。
【0079】
電解液の残存率が基準値以上の場合(ステップS6においてYES)、診断部32は、診断対象の電解コンデンサを『正常』と判断し(ステップS7)、処理を終了する。一方、電解液の残存率が基準値未満の場合(ステップS6においてNO)、診断部32は、診断対象の電解コンデンサを『劣化』と判断し(ステップS8)、処理を終了する。ステップS7またはステップS8の処理が終了すると全体の処理が終了する。
【0080】
(寿命推定)
電解コンデンサの電解液は、経年的に減少すると考えられる。そのため、使用条件が同じであり、かつ互いに同一構造の電解コンデンサの場合、使用時間に対する電解液の残存量の変化を示す曲線はほぼ同じになると考えられる。
【0081】
演算部4(より特定的には寿命推定部33)は、同一構造の電解コンデンサについて、算出された電解液の残存率と使用期間とに基づいて、その寿命を推定する。すなわち、寿命推定部33は、同一構造の電解コンデンサについて、電解液の残存率と使用期間との関係から電解液の減少速度を算出し、さらに、その算出した減少速度に基づいて、電解液の残存率が所定の基準値以下となる時期を寿命と推定する。電解コンデンサの寿命を推定することで、電解コンデンサの劣化前にその電解コンデンサを交換できるので、たとえば電子機器がある時点から急に動かなくなるといった故障が生じるのを防ぐことができる。
【0082】
図9は、電解コンデンサの寿命を推定する回帰分析を示す図である。図9を参照して、同一構造の電解コンデンサについて、縦軸を電解液の残存率とし、横軸を使用期間とする。
【0083】
そして、寿命推定部33は、診断対象の電解コンデンサにおける電解液の残存率、およびその電解コンデンサの使用期間とが対応付けられたデータに対して回帰分析を行い、回帰式を求める。この回帰式が、電解液の減少速度を示す関数となる。なお、回帰式としては、複次の多項式や対数式などを用いることができる。また、回帰式を求める(フィッテングする)方法として、たとえば、最小二乗法を用いることができる。
【0084】
さらに、寿命推定部33は、求めた回帰式と、電解液の残存率が所定の基準値以下の領域である「劣化域」との交点を求める。そして、寿命推定部33は、その交点における使用期間を診断対象の電解コンデンサにおける製品寿命と推定する。さらに、寿命推定部33は、推定した製品寿命から、診断対象の電解コンデンサの使用期間を差し引き、その時点における残存寿命を求める。
【0085】
なお、たとえば産業プラントでは、互いに使用期間が異なる複数の装置(各装置の構成はいずれも同じとする)が設置されることが多い。たとえば演算部4は、このような装置に含まれる電解コンデンサ(ただし、同じ構造の電解コンデンサであることが必要である)の寿命を推定する場合には、各電解コンデンサに含まれる電解液の残存率を算出し、かつ、その電解コンデンサの使用期間とともに、算出した残存率を記憶する。これにより、演算部4は、電解コンデンサの使用期間と電解液の残存率とが対応付けられた複数のデータを保持することができる。演算部4(寿命推定部33)は、これら複数のデータを用いて、ある装置に含まれる電解コンデンサの寿命を推定できる。
【0086】
また、使用開始時期の異なる同一の装置が存在しない場合には、演算部4は、診断対象の電解コンデンサについて電解液の残存率を所定の期間(たとえば1年)毎に算出する。これにより演算部4は、当該電解コンデンサについて、使用に伴う電解液の残存率の変化を取得できる。そのため、上述の方法により当該電解コンデンサの寿命を推定できる。
【0087】
(寿命推定処理フロー)
図10は、電解コンデンサの寿命推定処理の一例を示すフローチャートである。
【0088】
図10および図2を参照して、寿命推定部33は、電解コンデンサの使用期間および電解液の残存率を受付ける(ステップS11)。寿命推定部33は、劣化指標算出部31から電解液の残存率を受けるとともに、ユーザにより入力部7に入力された電解コンデンサの使用期間を入力部7から受ける。なお、寿命推定部33は、入力部7からユーザが入力した電解液の残存率を受けてもよい。
【0089】
寿命推定部33は、入力された使用期間および電解液の残存率を用いて回帰分析を行なう(ステップS12)。さらに、寿命推定部33は、求めた回帰式と劣化域との交点を算出し、その交点における使用期間から製品寿命を推定する(ステップS13)。
【0090】
寿命推定部33は、診断対象の電解コンデンサの使用期間を受ける(ステップS14)。ユーザは、予め取得している診断対象の電解コンデンサの使用期間を入力部7に入力する。そして寿命推定部33は、推定した製品寿命から入力された使用期間を減算して残存寿命を算出する(ステップS15)。ステップS15の処理が終了すると全体の処理が終了する。
【0091】
なお、上述の説明では、電解コンデンサの透過画像を取得するため軟X線を照射する場合について例示したが、たとえば、中性子線などの電解液により透過を妨げられる電磁波を用いてもよい。
【0092】
また、上述の説明では、演算部4は、劣化指標として電解液の残存率を算出するものとしたが、たとえば静電容量の減少率を算出してもよい。なお、この場合、演算部4が実行する劣化診断、および寿命推定は、上述の処理と同様である。
【0093】
本実施の形態によれば、電解液に吸収される軟X線を診断対象の電解コンデンサに照射し、その透過画像に基づいて電解コンデンサの劣化状態の診断および寿命推定が行なわれる。これにより、回路基板に配置された状態での電解コンデンサに対して、劣化診断および寿命推定が可能になる。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】この発明の実施の形態に従う劣化診断装置1の概略構成図である。
【図2】図1に示す演算部4の劣化状態の診断および寿命推定に関する部分の機能ブロック図である。
【図3】透過画像取得部8により取得された電解コンデンサの透過画像の一例を示す図である。
【図4】画像処理部2により生成された電解コンデンサのグレイ画像の一例を示す図である。
【図5】劣化した電解コンデンサのグレイ画像から算出したグレイ値の度数分布の一例を示す図である。
【図6】電解コンデンサの劣化の進み度合いによるグレイ値の度数分布の変化を示す図である。
【図7】粒子数の差と電解液の残存率との対応関係の一例を示す図である。
【図8】電解コンデンサの劣化状態の診断処理を示すフローチャートである。
【図9】電解コンデンサの寿命を推定する回帰分析を示す図である。
【図10】電解コンデンサの寿命推定処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
1 劣化診断装置、2 画像処理部、4 演算部、6 表示部、7 入力部、8 透過画像取得部、10 高電圧発生部、12 X線管、14 ベリリウム窓、16 CCD部、20 回路基板、31 劣化指標算出部、32 診断部、33 寿命推定部、34 電解コンデンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液を含む電解コンデンサの劣化診断装置であって、
前記電解液により透過が妨げられる電磁波を前記電解コンデンサに照射することにより、前記電解コンデンサの透過画像を取得する透過画像取得部と、
取得された前記透過画像を、所定単位の領域ごとに、その領域の濃淡の程度に応じた濃淡値が対応付けられた濃淡画像に変換する画像処理部と、
前記濃淡画像を用いて前記濃淡値の度数分布を生成し、かつ、生成された前記度数分布に基づいて、前記電解コンデンサの劣化状態を示す劣化指標を算出する演算部とを備える、電解コンデンサの劣化診断装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記度数分布において、前記電解コンデンサの劣化に伴ってその度数が変化する前記濃淡値を、予め定められた値として記憶し、かつ、前記生成された前記度数分布と前記予め定められた値とに基づいて、前記劣化指標を算出する、請求項1に記載の電解コンデンサの劣化診断装置。
【請求項3】
前記予め定められた値は、
前記電解コンデンサの劣化に応じて、前記度数分布における度数が増加する第1の値と、
前記電解コンデンサの劣化に応じて、前記度数分布における度数が減少する第2の値とを含み、
前記演算部は、前記生成された前記度数分布における、前記第1および第2の値にそれぞれ対応する第1および第2の度数を取得して、その取得した前記第1および第2の度数に基づいて、前記劣化指標を算出する、請求項2に記載の電解コンデンサの劣化診断装置。
【請求項4】
前記第1および第2の値は、前記濃淡画像における前記電解液の領域の前記濃淡値である、請求項3に記載の電解コンデンサの劣化診断装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記第1および第2の度数の差と前記劣化指標との対応関係を予め記憶し、取得した前記第1および第2の度数と前記対応関係とに基づいて、前記劣化指標を算出し、算出した前記劣化指標と所定の基準値とを比較することにより前記劣化状態を診断する、請求項3に記載の電解コンデンサの劣化診断装置。
【請求項6】
前記演算部は、算出した前記劣化指標と、前記電解コンデンサの使用期間とに基づいて、前記電解コンデンサの残存寿命を算出する、請求項1から5のいずれか1項に記載の電解コンデンサの劣化診断装置。
【請求項7】
前記劣化指標は、前記電解コンデンサの未使用状態における前記電解液の量を基準とした、前記電解液の残存率である、請求項1から6のいずれか1項に記載の電解コンデンサの劣化診断装置。
【請求項8】
前記電磁波は、軟X線である、請求項1から7のいずれか1項に記載の電解コンデンサの劣化診断装置。
【請求項9】
電解液を含む電解コンデンサの劣化診断方法であって、
前記電解液により透過が妨げられる電磁波を前記電解コンデンサに照射することにより、前記電解コンデンサの透過画像を取得するステップと、
取得された前記透過画像を、所定単位の領域ごとにその領域の濃淡の程度に応じた濃淡値が対応付けられた濃淡画像に変換するステップと、
前記濃淡画像を用いて前記濃淡値の度数分布を生成するステップと、
生成された前記度数分布に基づいて、前記電解コンデンサの劣化状態を示す劣化指標を算出するステップとを備える、電解コンデンサの劣化診断方法。
【請求項10】
前記劣化指標を算出するステップにおいて、前記生成された前記度数分布と、前記度数分布において、前記電解コンデンサの劣化に伴ってその度数が変化する前記濃淡値として予め定められた値とに基づいて、前記劣化指標を算出する、請求項9に記載の電解コンデンサの劣化診断方法。
【請求項11】
前記予め定められた値は、
前記電解コンデンサの劣化に応じて、前記度数分布における度数が増加する第1の値と、
前記電解コンデンサの劣化に応じて、前記度数分布における度数が減少する第2の値とを含み、
前記劣化指標を算出するステップにおいて、前記生成された前記度数分布における、前記第1および第2の値にそれぞれ対応する第1および第2の度数を取得するとともに、その取得した前記第1および第2の度数に基づいて、前記劣化指標を算出する、請求項10に記載の電解コンデンサの劣化診断方法。
【請求項12】
前記第1および第2の値は、前記濃淡画像における前記電解液の領域の前記濃淡値である、請求項11に記載の電解コンデンサの劣化診断方法。
【請求項13】
前記劣化指標を算出するステップにおいて、予め定められた前記第1および第2の度数の差と前記劣化指標との対応関係と、取得された前記第1および第2の度数とから前記劣化指標を算出し、
算出された前記劣化指標と所定の基準値とを比較することにより前記劣化状態を診断するステップをさらに備える、請求項11に記載の電解コンデンサの劣化診断方法。
【請求項14】
算出された前記劣化指標と、前記電解コンデンサの使用期間とに基づいて、前記電解コンデンサの残存寿命を算出するステップをさらに備える、請求項9から13のいずれか1項に記載の電解コンデンサの劣化診断方法。
【請求項15】
前記劣化指標は、前記電解コンデンサの未使用状態における前記電解液の量を基準とした、前記電解液の残存率である、請求項9から14のいずれか1項に記載の電解コンデンサの劣化診断方法。
【請求項16】
前記電磁波は、軟X線である、請求項9から15のいずれか1項に記載の電解コンデンサの劣化診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−192308(P2009−192308A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31895(P2008−31895)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】