電話交換装置
【課題】公衆網を利用した通信接続を行い、専用回線(専用線)の番号計画を利用でき、メンテナンス性に優れた電話交換装置を提供する。
【解決手段】電話交換装置101の電話機102から電話交換装置201の電話機202を呼び出す際に、番号変換テーブル106により、専用回線の番号計画に基づくダイヤルを公衆網加入者番号に変換し発信し、電話交換装置201は、公衆網からの着信に自動応答した後、可聴音信号送出部107、207、可聴音信号受信部108、208により可聴音信号を送受し、相手内線を指定する情報を受信するようにした。
【解決手段】電話交換装置101の電話機102から電話交換装置201の電話機202を呼び出す際に、番号変換テーブル106により、専用回線の番号計画に基づくダイヤルを公衆網加入者番号に変換し発信し、電話交換装置201は、公衆網からの着信に自動応答した後、可聴音信号送出部107、207、可聴音信号受信部108、208により可聴音信号を送受し、相手内線を指定する情報を受信するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公衆網を経由して複数の構内交換機が接続されているネットワークにおいて発呼者に被呼者の公衆網の契約番号を意識させること無く、私設線番号計画のみに従って発呼操作することで被呼者内線を直接呼び出すことが可能な専用線と同等の機能を提供する電話交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の事業所を有する企業において事業所間で内線電話を利用する場合、事業所間で専用回線を契約した上で私設線番号計画に基づきダイヤル操作を行い相互に接続する方法が主流である。しかし、昨今の通信キャリアの変化により、定額の通信料金で公衆網の利用が可能となってきている。
【0003】
インターネットプロトコルを用いた通信網を利用し、通信コストの抑制を図り、専用回線と同等のサービスを行なうシステムが知られている。(例えば特許文献1参照。)
【0004】
従って、従来の公衆網を用いた私設専用回線システムによれば、電話交換装置間をアダプタ(いわゆるゲートウェイ。)を用いて接続し、番号変換を行い着信先を決定しているので、利用者は一般的な専用回線を利用しているのと何ら変わらないサービスを得ることができる。
【0005】
また、公衆網からの着信に対して発信者番号情報を用いて、特定の発信者番号情報を受信した場合に、電話交換装置で自動応答し、ダイレクトインダイヤル方式を用いてダイヤル情報(接続相手先内線電話機)を受信し内線電話機を呼出す方法も知られている。(例えば特許文献2参照。)
【特許文献1】特願平5−135号公報
【特許文献2】特願平7−217210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたような上記従来の仮想専用回線システムによれば、専用回線と同様のサービスを得ることを可能としたが、電話交換設備にアダプタを追加する設備投資費の増加、及び番号変換テーブルをそれぞれのアダプタで記憶していることで、接続先が増加する毎にすべてのアダプタのデータを変更しなければならず、1対1の対向局のみの接続であればそれなりに利用可能であるが、複数の電話交換装置を接続する場合には、アダプタのメンテナンス(番号変換データ)に膨大な時間と労力を必要とする為、実用的ではなかった。
【0007】
また、特許文献2に記載されたような電話交換装置においては、接続相手先を指定するダイヤル情報の送出は、着信先の電話交換装置からのダイヤル受信確認音(疑似ダイヤルトーン)の聴取後、発信側の電話機からPB信号を送出しなければならず、操作にわずらわしさを感じるものであった。
【0008】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、新たな設備であるアダプタを必要とせず、自電話交換設備内で他の電話交換装置への番号変換データを容易に管理でき、ダイヤルされた番号情報を自動で接続相手先電話交換装置に送出することができる電話交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の電話交換装置は、複数の電話機を収容すると共に、公衆網と接続可能な電話交換装置において、前記電話機から発信操作があると前記電話機からのダイヤル情報を記憶し、当該ダイヤル情報が特定のダイヤル情報であることを認識すると、前記ダイヤル情報の変換を行う変換手段と、前記公衆網に対して前記変換手段で変換されたダイヤル情報を用いて発信を行う発信手段と、前記発信手段が発信を行った後、前記公衆網からの応答信号の受信を監視する応答信号監視手段と、前記応答信号監視手段で、前記応答信号を受信後、前記公衆網より仮想専用線確立準備信号を受信する準備完了信号受信手段と、前記準備完了信号受信手段が前記仮想専用線確立準備完了信号を受信すると、前記公衆網に対して、前記仮想専用線の通話路確立を要求する要求信号を送信する要求信号送信手段と、前記要求信号送信手段が前記要求信号を送信した後、前記公衆網より、前記仮想専用線の通話路確立の応答信号を受信すると、前記記憶したダイヤル情報の一部を前記公衆網に対して送出する送出手段と、を備え、前記応答信号監視手段が前記応答信号を前記特定の時間内に受信しないときには、前記発信操作を行った電話機と前記公衆網との通話路を確立する発信接続手段とを備えるようにした。
【0010】
また、本発明の電話交換装置は、請求項1に記載の電話交換装置であって、前記準備完了信号受信手段が、前記仮想専用線確立準備完了信号の受信を特定の時間監視する準備信号監視手段と、前記準備信号監視手段で、特定の時間経過したときには、前記公衆網に対して前記仮想専用線の通話路確立要求を示す要求信号を送出する要求信号送出手段と、を備えるようにした。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成された本発明の電話交換装置によれば、本発明に係る電話交換装置101、201は、専用回線への番号計画に基づいたダイヤル情報を、公衆網110に対する加入者番号に変更すること可能とすることができ、単に番号変換を行うのみならず、着信側電話交換装置と信号情報の送受信を行うことによって、接続先となる内線電話機の指定情報を発信側の電話交換装置から自動で送信することができる。
【0012】
さらに、本発明に係る番号変換テーブル106は、図2で示すように、着信先となる加入者番号と専用線番号計画で用いられる事業所番号(電話交換装置の自局着信用番号)を、発信側電話交換装置で管理するようにしたので、単に着信先となる電話交換装置内の内線番号計画変更などに左右されることなく、自局の局データのみを管理することだけでよいため、電話交換装置のメンテナンスの容易性をアピールすることができる。
【0013】
また、発信側電話交換装置もしくは、着信側電話交換装置のどちらか一方だけが本発明に係る機能を有していた場合でも、接続先となる相手電話交換装置もしくは一般加入者電話機が、可聴信号音に対して未対応であることを自動的に認識できることから、相手方の電話交換装置の機能有無を意識せずにダイヤル操作できる。
【0014】
さらに、発信者番号情報を用いて自動応答する着信を認識することで、外線として使用する公衆網と仮想専用線として使用する公衆網を分けることなくトラヒック見合いで全体の公衆網契約回線数を決定でき、公衆網回線の契約数の集約が可能となる。
【0015】
さらに、IP電話網を利用した場合は、その多くが、同一ネットワーク内での通話を従量課金ではなく定額課金または無料としていることから、本発明にかかわるシーケンスを実行している間の接続料金を通話時間に換算し、課金することなく処理ができるため、通信費の削減となりその経済効果は増大する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を示す電話交換装置について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態を示す電話交換装置の概略構成を示すブロック図である。電話交換装置101と電話交換装置201はそれぞれ同様の構成である。説明の都合上、電話交換装置101と電話交換装置102を公衆網110を介して対向して接続している。
【0018】
それぞれ電話交換装置101を発信側電話交換装置、電話交換装置201を着信側電話交換装置として説明するが、どちらの電話交換装置が発信側もしくは、着信側の電話交換装置となっても良いことは言うまでもない。
【0019】
まず、電話交換装置の構成について説明する。図1に示す電話交換装置101は、内線電話機となる電話機102は内線回路103を介して接続されている。内線回路103は、電話交換装置に接続される電話機102の種類によって、それぞれ異なるインタフェースを備えたパッケージを電話交換装置101に収容する。
【0020】
接続される電話機102の種類は、多機能電話機(図示せず。)、一般家庭で用いられる2W電話機(図示せず。)など様々あるが、本発明の実施の形態ではダイヤル情報の送出が可能な電話機であれば良いので電話機の種類に限定されるものではない。
【0021】
局線トランク104は、公衆網110に接続するためのインタフェースであり、電話交換装置101に収容されるパッケージである。本発明の実施の形態では、局線トランク104を1つで記載してあるが、局線トランク104を同様に複数収容すれば複数の公衆網回線と接続することが可能である。
【0022】
スイッチ109は通話路スイッチであり、内線回路103と局線トランク104などの通信設備に接続され、それぞれの通話路を形成することによって、電話機102などの内線電話機相互間、もしくは公衆網110を含めた接続を行い通信を行う。
【0023】
また、電話交換装置101は、図示せぬ制御バスを介して制御部105、番号変換テーブル106、可聴音信号送出部107、可聴音信号受信部108を備える。 制御部105は、上記したスイッチ109を制御するCPUである。番号変換テーブル106は、いわゆる記憶装置(メモリ)であり、本発明の実施の形態において用いる番号変換テーブルを記載してある。言うまでもなく、この記憶装置には、番号変換テーブルのみならず、電話交換装置全体を制御するプログラム、局データ、呼制御を実施する際に利用する一時メモリも含まれている。
【0024】
可聴音信号送出部107は、本発明の実施の形態で用いられる可聴音(特殊信号)を生成するための制御を行うものである。
【0025】
可聴音信号受信部108は、本発明の実施の形態で用いられる可聴音を受信するための制御を行うものである。
【0026】
着信側電話交換装置となる電話交換装置201は、上記した電話交換装置101と同様の構成であり、電話機202は電話機101と、内線回路203は内線回路103と、局線トランク204は局線トランク104と、スイッチ209はスイッチ109と、制御部205は制御部105と、番号変換テーブル206は番号変換テーブル106と、可聴音信号送出部207は可聴音信号送出部107と、可聴音信号受信部208は可聴音信号受信部108と同様の制御を行うものである。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態における番号変換データのイメージ図であり、電話交換装置101の番号変換テーブル106として記憶されている。図2に示す番号変換データは、事業所番号Z201と公衆加入者番号Z202で構成されている。
【0028】
図2で示されるように、事業所番号Z201一つに対して、一つの公衆加入者番号Z202が対応するように構成される。
【0029】
以下、本発明の実施の形態の第一の実施例として、電話機102から電話機202に対して発信を行った場合の動作について、図3のシーケンス図を用いて説明する。
【0030】
なお、発信側電話機を電話機102とし内線番号2000として、発信側電話交換装置を電話交換装置101として、着信側電話交換装置を電話交換装置201として、着信側電話機を電話機202とし内線番号3000として説明する。
【0031】
また、電話交換装置101の専用線アクセス特番を「8」とし、電話交換装置202の電話交換装置アクセス特番を「20」として説明する。
【0032】
まず、電話機102がオフフックすると(S310)、電話交換装置101は、内線回路103からオフフック情報を入手し、電話機102に対してダイヤルトーンを送出する。電話機102は、ダイヤルトーンを聴取すると接続先となる電話番号をダイヤルする。本発明の実施の形態では、電話機202に対する発信であるため、「8−20−3000」をダイヤルする。上記したが、このダイヤル番号は「専用線アクセス特番+電話交換装置アクセス特番(着信側電話交換装置)+電話機202の内線番号(着信側電話機内線番号)」である(S311)。
【0033】
電話交換装置101は、電話機102からのダイヤルを受信すると、受信したダイヤル情報を記憶装置の呼処理用一時記憶メモリに記憶し、番号変換テーブル106を検索する(S312)。本発明の実施の形態では、上記した電話交換装置アクセス特番が検索キーとなる。番号変換データは図2に示したように事業所番号Z201と公衆加入者番号Z202で構成されているので、電話交換装置アクセス特番「20」を用いて検索を行う。
【0034】
電話交換装置101は、事業所番号「20」を認識すると、公衆加入者番号Z202を参照し、対応データがありか判定する。公衆加入者番号Z202には「050−2345−6789」が記憶されているので対応ありと判定する(S313)。
【0035】
次に、記憶されている公衆加入者番号Z202を用いて番号変換を行い(S314)、局線トランク104を捕捉し、番号変換を行った公衆加入者番号Z202「050−2345−6789」を用いて、公衆網110に対して発信を行う(S315)。公衆網110は、電話交換装置101からの発信として、通常の接続処理を行うため「050−2345−6789」のダイヤル情報に基づき、電話交換装置201に着信処理を行う(S316、S317)。
【0036】
電話交換装置201は、公衆網110からの着信に対して、自動的に応答を行う(S318)。このときに公衆網110に対して、応答信号を返送してしまうが、インターネット電話などを利用している場合、定額料金や通話料金無料(同一通信キャリア内のみ)などのサービスを利用していれば、通信料金が距離別時間差方式のような加算はされない。
【0037】
電話交換装置201での自動応答は、公衆網110から送信されてくる発信者番号情報を用いるとよい。要するに、電話交換装置201に収容されている局線トランクの全てが自動応答するとは限らない。このような場合に、発信者番号情報を用いて自動応答する着信を分類すればよい。
例えば、電話交換装置201の局データとして設定しておき、着信したときにその局データを参照し、登録がある場合には自動応答を行い、登録がない場合には自動応答を行わない。
【0038】
また、接続回線となる局線トランク204を固定的に(局線トランク204への着信は全て自動応答する着信である場合。)利用することが可能であれば、回線毎に自動応答するか否かを局データとして設定する方法でもよい。
【0039】
電話交換装置201からの応答によって、公衆網110では、電話交換装置101と電話交換装置201の通話路を接続する(S319)。
【0040】
電話交換装置201は、応答信号を送出後、可聴音信号送出部207を用いて、仮想専用線確立要求信号受信準備完了(以下準備完了信号とする。)を示す可聴音信号を送出する(S320、S321)。
【0041】
電話交換装置101は、可聴音信号を受信すると、可聴音信号受信部108を用いて、受信した可聴音信号が準備信号であることを認識すると、可聴音信号送出部107を用いて仮想専用線確立要求信号(以下要求信号とする。)を示す可聴音信号を送出する(S322、S323)。
【0042】
電話交換装置201は、可聴音信号を受信すると可聴音信号受信部208を用いて、受信した可聴音信号が要求信号であることを認識すると、可聴音信号送出部207を用いて仮想専用線確立応答信号(以下応答信号とする。)を送出する(S324、S325)。
【0043】
電話交換装置101は、可聴信号を受信すると可聴音信号受信部108を用いて、受信した可聴音信号が応答信号であることを認識すると、一時メモリに記憶してある着信側電話機内線番号(本実施の形態では「3000」)を抽出し、相手先指定信号としてPB信号を送出する(S326、S327)。このようにしてダイヤル情報を送出するが、電話交換装置101と電話交換装置201の通話路は接続されたままである(S328)。
【0044】
電話交換装置201は、相手先指定信号として受信したダイヤル情報を受信すると、通常の内線呼び出し処理を実行し(S329)、電話機202に対しては着信音の鳴動を開始し(S330)、通話路が接続されている電話機102に対しては呼び出し音が送出される(S331)。
電話交換装置201は、電話機202がオフフックすると応答したものと判断し(S332)、すでに通話路が接続されている(S333)電話交換機101と電話交換機201の通話路と電話機202を接続し、通話となる。
【0045】
図4は、電話機102から発信を行った場合に、番号変換データの対応データがなかった場合のシーケンス図である。図4で示すステップS411以前までの動作シーケンスは図3で示すステップS310〜S313までの動作と何ら変わるところがないため説明を省略する。電話交換装置101がダイヤル情報を受信し、番号変換テーブルに番号変換データがないと判断したときには、電話機102に対して規制音(本実施の形態ではBT(ビジートーン))を送出する(S410)。
【0046】
図5は、電話機102から電話機202に対して発信を行った場合に、電話機202が話中であった場合の動作シーケンス図である。図5で示すステップS512以前までの通話路確立までの動作シーケンスについては、図3で示すステップS310〜S328までの動作と何ら変わるところがないため説明を省略する。
【0047】
電話交換装置201は、ダイヤル情報を受信し内線呼び出し処理を実行し、電話機202が話中であることを認識すると、そのまま通話路を接続することにより電話機102に対して話中音(ROT(リオーダートーン))を聴取させることができる(S510、S511)。
【0048】
図6は、電話機102から電話機202に対して発信を行った場合に、局線トランクが全塞がり(話中など)や接続障害などで、局線トランクの補足ができなかった場合の動作シーケンス図である。図6の動作シーケンス図で示すステップS612以前までの番号変換処理の動作については、図3で示すステップS310〜S314までの番号変換処理と何ら変わるところがないため説明を省略する。
【0049】
電話交換装置101は、局線トランクの捕捉失敗を認識すると、電話機102に対して話中音を聴取させる(S610)。
【0050】
図7は、電話機102から電話機202に対して発信を行った場合に、公衆網110で話中や接続障害などの場合の動作シーケンス図である。図7の動作シーケンス図で示すステップS711以前までの局線トランク104捕捉後、(変換した)相手番号送出までの動作については、図3で示すステップS310〜S315、S316までの相手番号送出処理と何ら変わるところがないため説明を省略する。
【0051】
公衆網110は、電話交換装置101から加入者番号であるダイヤル情報を受信すると、着信先である電話交換装置202の局線トランク204への接続を実行する。このときに、局線トランク204が使用中であったり、故障などで接続できない状態であることを認識すると、電話交換装置101の局線トランクに対して話中音の送出を行う(S710)。
【0052】
公衆網110の処理としては、受信した加入者番号に対して接続処理を行い、相手話中や接続障害などで、回線の接続ができないために、発信者に対して話中音を送出するだけであるので、従来の回線交換処理と何ら変更することはない。
【0053】
図8は、電話機101から電話機202に対して発信を行った場合に、電話機202を呼出し中に電話機101がオンフック(呼び出し途中放棄)を行った場合の動作シーケンス図である。図8の動作シーケンス図で示すステップS811以前までの内線呼び出しまでの動作については、図3で示すステップS310〜S329までの内線呼び出し処理と何ら変わるところがないため説明を省略する。
【0054】
通話路が確立されている状態である電話機102は、呼出音(RBT(リングバックトーン)を聴取しているが、この状態で電話機102がオンフックを行うと(S810)、電話交換装置101は電話機102がオンフック(切断)したことを内線回路103から切断情報を取得して認識すると(S812)、局線トランク104に対して切断信号を送出する(S813)。公衆網110は、切断信号を受信するので、一般の通話状態から切断信号を受信した場合と同様の呼処理を行うので、電話交換装置201に対して切断信号を送出する(S814)。
【0055】
電話交換装置201は、公衆網110からの切断信号を受信すると、内線呼出処理を停止し電話機202への着信鳴動を停止する(S815)。
【0056】
図9は、電話機101から発信を行ったときに、着信側電話交換機となる電話交換機201に本発明で示す制御ができない場合(機能がない。)や、接続相手先が一般加入者電話の場合の接続動作を示す動作シーケンス図である。図9で示すステップS919以前までの着信動作については、図3で示すステップS310〜S317で示す着信動作と何ら変わるところがないため説明を省略する。
【0057】
電話交換装置101は、記憶されている公衆加入者番号Z202を用いて番号変換を行い、局線トランク104を捕捉し、番号変換を行った公衆加入者番号Z202「050−2345−6789」を用いて、公衆網110に対して発信を行うと、公衆網110からの応答信号を受信しないために通話路の確立ができない。
【0058】
この場合には、電話交換装置101内の内部タイマーを用いてタイマーの起動を行う(S910)。電話交換装置201では、公衆網110からの着信に対して自らの局データに従い着信を行う(S911)。例えばダイヤルイン着信や中継台着信、ダイレクトインダイヤル着信、ダイレクトインライン着信、分散着信などである。本発明の実施の形態では公衆網110(局線)からの着信については何ら特定されるものではないので、上記何れかの方法を用いて電話機202に対して着信すればよい(S912)。
【0059】
電話機202に対する着信が行われると、公衆網110より呼出音が送出されるため電話交換装置101の局線トランク104に呼出音が送出されている(S913)。
【0060】
一方、電話交換装置101では、ステップS910で起動されたタイマーの満了を監視し、タイマー満了となったときに(S914)、電話機102との通話路を設定する(S915)。このようにして通話路が設定されることで、電話機102に呼出音が送出され(S916)、通常の着信と同様の処理が行われる。
【0061】
電話機202が応答を行うことによって(S917)、電話機102と電話機202の通話路が確立される(S918)。
【0062】
なお、タイマーの設定時間によって電話機202が応答後にタイマー満了となることが考えられるが、このタイマーの設定時間を可変として、電話交換装置101の局データとすることで、実用的なタイマー値(例えば1秒程度など。)に変更することが可能である。
【0063】
図10は、着信側電話交換装置で準備信号を送出後、何等かの原因(接続先電話交換装置の可聴音信号送出部の故障、公衆網110の回線状態の不良による信号音の受信エラーなど)で、要求信号の受信ができなかった場合の動作を示すシーケンス図である。図10で示すステップS1006、S1007以前までの準備信号送出動作については、図3で示すステップS310〜S320,S321の準備信号送出動作と何ら変わるところがないため説明を省略する。
【0064】
電話交換装置201は、準備信号を送出すると監視タイマーの起動を行う(S1008)。この監視タイマーは要求信号の受信を待つ時間であり、タイマーの満了となったときには(S1009)、電話交換装置201の局データに従い着信処理を行う。本発明の実施の形態では例えば代表内線呼出である(S1010)。これは、要求信号の受信ができなかった場合に、予め着信先となる電話機を局データとして設定しておくことにより、着信先内線電話機を決定する。
【0065】
公衆網110に対しては呼出音が送出され(S1012)、電話交換装置201では着信先内線電話機が着信鳴動をする。電話機202が応答することにより(S1013)電話機102と電話機202との通話路が確立する。
【0066】
次に、本発明の実施の形態の第二の実施例として、電話機102から電話機202に対して発信を行った場合の動作について、図11のシーケンス図を用いて説明する。なお、図11において、図3と同様の動作については同様の符号で記載してあり、処理についても同様の処理を行えばよいため、詳細な説明は省略する。
【0067】
図11で示す動作シーケンスと図3で示す動作シーケンスでの異なる点は、ステップS1110で示すタイマーの設定である。電話交換装置101から番号変換処理を行い、公衆網110に対して発信処理を行うまでは、図3を用いて説明した通りであるが、発信処理を実行後、監視タイマーの起動を行う(S1110)。この監視タイマーは着信側電話交換装置となる電話交換装置201の自動応答待ち時間であり、電話交換装置101の局データとして任意の時間設定が可能である。
【0068】
電話交換装置101では、タイマーの起動後、タイマー満了まで一定の待ち時間を設けて、タイマー満了後に(S1111)要求信号の送出を行う。その後の動作については前述した通り、図3で示す動作と同様のものとなる。
【0069】
このように構成することにより、準備信号の受信を待つ必要がなくなり、それぞれの電話交換装置での処理時間の短縮を図ることができる。当然の如く、この第二の実施例を用いる場合は、着信側となる電話交換装置201での自動応答が前提となる。
【0070】
なお、本発明の実施の形態においては、実施の形態を公衆網110として記載したが、可聴音信号(例えばPB信号)の透過ができる通信網であれば、アナログ網、ディジタル網、専用線網、VoIP機能を利用したIP電話網など様々な通信網で構成することも可能であることは明らかである。
【0071】
以上説明したように、本発明に係る電話交換装置101、201は、専用回線への番号計画に基づいたダイヤル情報を、公衆網110に対する加入者番号に変更すること可能とすることができ、単に番号変換を行うのみならず、着信側電話交換装置と信号情報の送受信を行うことによって、接続先となる内線電話機の指定情報を発信側の電話交換装置から自動で送信することができる。
【0072】
さらに、本発明に係る番号変換テーブル106は、図2で示すように、着信先となる加入者番号と専用線番号計画で用いられる事業所番号(電話交換装置の自局着信用番号)を、発信側電話交換装置で管理するようにしたので、単に着信先となる電話交換装置内の内線番号計画変更などに左右されることなく、自局の局データのみを管理することだけでよいため、電話交換装置のメンテナンスの容易性をアピールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る電話交換装置の実施の形態の全体構成図
【図2】本発明に係る番号変換テーブルの一実施の形態のイメージ図
【図3】本発明に係る発信動作の一実施の形態のシーケンス図
【図4】本発明に係る発信異常動作の一実施の形態のシーケンス図
【図5】本発明に係る着信先電話機話中動作の一実施の形態のシーケンス図
【図6】本発明に係る話中動作の一実施の形態のシーケンス図
【図7】本発明に係る話中動作の一実施の形態のシーケンス図
【図8】本発明に係る発信途中放棄動作の一実施の形態のシーケンス図
【図9】本発明に係る信号送受不可動作の一実施の形態のシーケンス図
【図10】本発明に係る着信動作の一実施の形態のシーケンス図
【図11】本発明に係る発信動作の一実施の形態のシーケンス図
【符号の説明】
【0074】
101、201:電話交換装置
102、202:電話機
103、203:内線回路
104、204:局線トランク
105、205:制御部(中央制御装置(CPU))
106、206:番号変換テーブル(記憶装置)
107、207:可聴音信号送出部
108、208:可聴音信号受信部
109、209:通話路スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、公衆網を経由して複数の構内交換機が接続されているネットワークにおいて発呼者に被呼者の公衆網の契約番号を意識させること無く、私設線番号計画のみに従って発呼操作することで被呼者内線を直接呼び出すことが可能な専用線と同等の機能を提供する電話交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の事業所を有する企業において事業所間で内線電話を利用する場合、事業所間で専用回線を契約した上で私設線番号計画に基づきダイヤル操作を行い相互に接続する方法が主流である。しかし、昨今の通信キャリアの変化により、定額の通信料金で公衆網の利用が可能となってきている。
【0003】
インターネットプロトコルを用いた通信網を利用し、通信コストの抑制を図り、専用回線と同等のサービスを行なうシステムが知られている。(例えば特許文献1参照。)
【0004】
従って、従来の公衆網を用いた私設専用回線システムによれば、電話交換装置間をアダプタ(いわゆるゲートウェイ。)を用いて接続し、番号変換を行い着信先を決定しているので、利用者は一般的な専用回線を利用しているのと何ら変わらないサービスを得ることができる。
【0005】
また、公衆網からの着信に対して発信者番号情報を用いて、特定の発信者番号情報を受信した場合に、電話交換装置で自動応答し、ダイレクトインダイヤル方式を用いてダイヤル情報(接続相手先内線電話機)を受信し内線電話機を呼出す方法も知られている。(例えば特許文献2参照。)
【特許文献1】特願平5−135号公報
【特許文献2】特願平7−217210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたような上記従来の仮想専用回線システムによれば、専用回線と同様のサービスを得ることを可能としたが、電話交換設備にアダプタを追加する設備投資費の増加、及び番号変換テーブルをそれぞれのアダプタで記憶していることで、接続先が増加する毎にすべてのアダプタのデータを変更しなければならず、1対1の対向局のみの接続であればそれなりに利用可能であるが、複数の電話交換装置を接続する場合には、アダプタのメンテナンス(番号変換データ)に膨大な時間と労力を必要とする為、実用的ではなかった。
【0007】
また、特許文献2に記載されたような電話交換装置においては、接続相手先を指定するダイヤル情報の送出は、着信先の電話交換装置からのダイヤル受信確認音(疑似ダイヤルトーン)の聴取後、発信側の電話機からPB信号を送出しなければならず、操作にわずらわしさを感じるものであった。
【0008】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、新たな設備であるアダプタを必要とせず、自電話交換設備内で他の電話交換装置への番号変換データを容易に管理でき、ダイヤルされた番号情報を自動で接続相手先電話交換装置に送出することができる電話交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の電話交換装置は、複数の電話機を収容すると共に、公衆網と接続可能な電話交換装置において、前記電話機から発信操作があると前記電話機からのダイヤル情報を記憶し、当該ダイヤル情報が特定のダイヤル情報であることを認識すると、前記ダイヤル情報の変換を行う変換手段と、前記公衆網に対して前記変換手段で変換されたダイヤル情報を用いて発信を行う発信手段と、前記発信手段が発信を行った後、前記公衆網からの応答信号の受信を監視する応答信号監視手段と、前記応答信号監視手段で、前記応答信号を受信後、前記公衆網より仮想専用線確立準備信号を受信する準備完了信号受信手段と、前記準備完了信号受信手段が前記仮想専用線確立準備完了信号を受信すると、前記公衆網に対して、前記仮想専用線の通話路確立を要求する要求信号を送信する要求信号送信手段と、前記要求信号送信手段が前記要求信号を送信した後、前記公衆網より、前記仮想専用線の通話路確立の応答信号を受信すると、前記記憶したダイヤル情報の一部を前記公衆網に対して送出する送出手段と、を備え、前記応答信号監視手段が前記応答信号を前記特定の時間内に受信しないときには、前記発信操作を行った電話機と前記公衆網との通話路を確立する発信接続手段とを備えるようにした。
【0010】
また、本発明の電話交換装置は、請求項1に記載の電話交換装置であって、前記準備完了信号受信手段が、前記仮想専用線確立準備完了信号の受信を特定の時間監視する準備信号監視手段と、前記準備信号監視手段で、特定の時間経過したときには、前記公衆網に対して前記仮想専用線の通話路確立要求を示す要求信号を送出する要求信号送出手段と、を備えるようにした。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成された本発明の電話交換装置によれば、本発明に係る電話交換装置101、201は、専用回線への番号計画に基づいたダイヤル情報を、公衆網110に対する加入者番号に変更すること可能とすることができ、単に番号変換を行うのみならず、着信側電話交換装置と信号情報の送受信を行うことによって、接続先となる内線電話機の指定情報を発信側の電話交換装置から自動で送信することができる。
【0012】
さらに、本発明に係る番号変換テーブル106は、図2で示すように、着信先となる加入者番号と専用線番号計画で用いられる事業所番号(電話交換装置の自局着信用番号)を、発信側電話交換装置で管理するようにしたので、単に着信先となる電話交換装置内の内線番号計画変更などに左右されることなく、自局の局データのみを管理することだけでよいため、電話交換装置のメンテナンスの容易性をアピールすることができる。
【0013】
また、発信側電話交換装置もしくは、着信側電話交換装置のどちらか一方だけが本発明に係る機能を有していた場合でも、接続先となる相手電話交換装置もしくは一般加入者電話機が、可聴信号音に対して未対応であることを自動的に認識できることから、相手方の電話交換装置の機能有無を意識せずにダイヤル操作できる。
【0014】
さらに、発信者番号情報を用いて自動応答する着信を認識することで、外線として使用する公衆網と仮想専用線として使用する公衆網を分けることなくトラヒック見合いで全体の公衆網契約回線数を決定でき、公衆網回線の契約数の集約が可能となる。
【0015】
さらに、IP電話網を利用した場合は、その多くが、同一ネットワーク内での通話を従量課金ではなく定額課金または無料としていることから、本発明にかかわるシーケンスを実行している間の接続料金を通話時間に換算し、課金することなく処理ができるため、通信費の削減となりその経済効果は増大する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を示す電話交換装置について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態を示す電話交換装置の概略構成を示すブロック図である。電話交換装置101と電話交換装置201はそれぞれ同様の構成である。説明の都合上、電話交換装置101と電話交換装置102を公衆網110を介して対向して接続している。
【0018】
それぞれ電話交換装置101を発信側電話交換装置、電話交換装置201を着信側電話交換装置として説明するが、どちらの電話交換装置が発信側もしくは、着信側の電話交換装置となっても良いことは言うまでもない。
【0019】
まず、電話交換装置の構成について説明する。図1に示す電話交換装置101は、内線電話機となる電話機102は内線回路103を介して接続されている。内線回路103は、電話交換装置に接続される電話機102の種類によって、それぞれ異なるインタフェースを備えたパッケージを電話交換装置101に収容する。
【0020】
接続される電話機102の種類は、多機能電話機(図示せず。)、一般家庭で用いられる2W電話機(図示せず。)など様々あるが、本発明の実施の形態ではダイヤル情報の送出が可能な電話機であれば良いので電話機の種類に限定されるものではない。
【0021】
局線トランク104は、公衆網110に接続するためのインタフェースであり、電話交換装置101に収容されるパッケージである。本発明の実施の形態では、局線トランク104を1つで記載してあるが、局線トランク104を同様に複数収容すれば複数の公衆網回線と接続することが可能である。
【0022】
スイッチ109は通話路スイッチであり、内線回路103と局線トランク104などの通信設備に接続され、それぞれの通話路を形成することによって、電話機102などの内線電話機相互間、もしくは公衆網110を含めた接続を行い通信を行う。
【0023】
また、電話交換装置101は、図示せぬ制御バスを介して制御部105、番号変換テーブル106、可聴音信号送出部107、可聴音信号受信部108を備える。 制御部105は、上記したスイッチ109を制御するCPUである。番号変換テーブル106は、いわゆる記憶装置(メモリ)であり、本発明の実施の形態において用いる番号変換テーブルを記載してある。言うまでもなく、この記憶装置には、番号変換テーブルのみならず、電話交換装置全体を制御するプログラム、局データ、呼制御を実施する際に利用する一時メモリも含まれている。
【0024】
可聴音信号送出部107は、本発明の実施の形態で用いられる可聴音(特殊信号)を生成するための制御を行うものである。
【0025】
可聴音信号受信部108は、本発明の実施の形態で用いられる可聴音を受信するための制御を行うものである。
【0026】
着信側電話交換装置となる電話交換装置201は、上記した電話交換装置101と同様の構成であり、電話機202は電話機101と、内線回路203は内線回路103と、局線トランク204は局線トランク104と、スイッチ209はスイッチ109と、制御部205は制御部105と、番号変換テーブル206は番号変換テーブル106と、可聴音信号送出部207は可聴音信号送出部107と、可聴音信号受信部208は可聴音信号受信部108と同様の制御を行うものである。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態における番号変換データのイメージ図であり、電話交換装置101の番号変換テーブル106として記憶されている。図2に示す番号変換データは、事業所番号Z201と公衆加入者番号Z202で構成されている。
【0028】
図2で示されるように、事業所番号Z201一つに対して、一つの公衆加入者番号Z202が対応するように構成される。
【0029】
以下、本発明の実施の形態の第一の実施例として、電話機102から電話機202に対して発信を行った場合の動作について、図3のシーケンス図を用いて説明する。
【0030】
なお、発信側電話機を電話機102とし内線番号2000として、発信側電話交換装置を電話交換装置101として、着信側電話交換装置を電話交換装置201として、着信側電話機を電話機202とし内線番号3000として説明する。
【0031】
また、電話交換装置101の専用線アクセス特番を「8」とし、電話交換装置202の電話交換装置アクセス特番を「20」として説明する。
【0032】
まず、電話機102がオフフックすると(S310)、電話交換装置101は、内線回路103からオフフック情報を入手し、電話機102に対してダイヤルトーンを送出する。電話機102は、ダイヤルトーンを聴取すると接続先となる電話番号をダイヤルする。本発明の実施の形態では、電話機202に対する発信であるため、「8−20−3000」をダイヤルする。上記したが、このダイヤル番号は「専用線アクセス特番+電話交換装置アクセス特番(着信側電話交換装置)+電話機202の内線番号(着信側電話機内線番号)」である(S311)。
【0033】
電話交換装置101は、電話機102からのダイヤルを受信すると、受信したダイヤル情報を記憶装置の呼処理用一時記憶メモリに記憶し、番号変換テーブル106を検索する(S312)。本発明の実施の形態では、上記した電話交換装置アクセス特番が検索キーとなる。番号変換データは図2に示したように事業所番号Z201と公衆加入者番号Z202で構成されているので、電話交換装置アクセス特番「20」を用いて検索を行う。
【0034】
電話交換装置101は、事業所番号「20」を認識すると、公衆加入者番号Z202を参照し、対応データがありか判定する。公衆加入者番号Z202には「050−2345−6789」が記憶されているので対応ありと判定する(S313)。
【0035】
次に、記憶されている公衆加入者番号Z202を用いて番号変換を行い(S314)、局線トランク104を捕捉し、番号変換を行った公衆加入者番号Z202「050−2345−6789」を用いて、公衆網110に対して発信を行う(S315)。公衆網110は、電話交換装置101からの発信として、通常の接続処理を行うため「050−2345−6789」のダイヤル情報に基づき、電話交換装置201に着信処理を行う(S316、S317)。
【0036】
電話交換装置201は、公衆網110からの着信に対して、自動的に応答を行う(S318)。このときに公衆網110に対して、応答信号を返送してしまうが、インターネット電話などを利用している場合、定額料金や通話料金無料(同一通信キャリア内のみ)などのサービスを利用していれば、通信料金が距離別時間差方式のような加算はされない。
【0037】
電話交換装置201での自動応答は、公衆網110から送信されてくる発信者番号情報を用いるとよい。要するに、電話交換装置201に収容されている局線トランクの全てが自動応答するとは限らない。このような場合に、発信者番号情報を用いて自動応答する着信を分類すればよい。
例えば、電話交換装置201の局データとして設定しておき、着信したときにその局データを参照し、登録がある場合には自動応答を行い、登録がない場合には自動応答を行わない。
【0038】
また、接続回線となる局線トランク204を固定的に(局線トランク204への着信は全て自動応答する着信である場合。)利用することが可能であれば、回線毎に自動応答するか否かを局データとして設定する方法でもよい。
【0039】
電話交換装置201からの応答によって、公衆網110では、電話交換装置101と電話交換装置201の通話路を接続する(S319)。
【0040】
電話交換装置201は、応答信号を送出後、可聴音信号送出部207を用いて、仮想専用線確立要求信号受信準備完了(以下準備完了信号とする。)を示す可聴音信号を送出する(S320、S321)。
【0041】
電話交換装置101は、可聴音信号を受信すると、可聴音信号受信部108を用いて、受信した可聴音信号が準備信号であることを認識すると、可聴音信号送出部107を用いて仮想専用線確立要求信号(以下要求信号とする。)を示す可聴音信号を送出する(S322、S323)。
【0042】
電話交換装置201は、可聴音信号を受信すると可聴音信号受信部208を用いて、受信した可聴音信号が要求信号であることを認識すると、可聴音信号送出部207を用いて仮想専用線確立応答信号(以下応答信号とする。)を送出する(S324、S325)。
【0043】
電話交換装置101は、可聴信号を受信すると可聴音信号受信部108を用いて、受信した可聴音信号が応答信号であることを認識すると、一時メモリに記憶してある着信側電話機内線番号(本実施の形態では「3000」)を抽出し、相手先指定信号としてPB信号を送出する(S326、S327)。このようにしてダイヤル情報を送出するが、電話交換装置101と電話交換装置201の通話路は接続されたままである(S328)。
【0044】
電話交換装置201は、相手先指定信号として受信したダイヤル情報を受信すると、通常の内線呼び出し処理を実行し(S329)、電話機202に対しては着信音の鳴動を開始し(S330)、通話路が接続されている電話機102に対しては呼び出し音が送出される(S331)。
電話交換装置201は、電話機202がオフフックすると応答したものと判断し(S332)、すでに通話路が接続されている(S333)電話交換機101と電話交換機201の通話路と電話機202を接続し、通話となる。
【0045】
図4は、電話機102から発信を行った場合に、番号変換データの対応データがなかった場合のシーケンス図である。図4で示すステップS411以前までの動作シーケンスは図3で示すステップS310〜S313までの動作と何ら変わるところがないため説明を省略する。電話交換装置101がダイヤル情報を受信し、番号変換テーブルに番号変換データがないと判断したときには、電話機102に対して規制音(本実施の形態ではBT(ビジートーン))を送出する(S410)。
【0046】
図5は、電話機102から電話機202に対して発信を行った場合に、電話機202が話中であった場合の動作シーケンス図である。図5で示すステップS512以前までの通話路確立までの動作シーケンスについては、図3で示すステップS310〜S328までの動作と何ら変わるところがないため説明を省略する。
【0047】
電話交換装置201は、ダイヤル情報を受信し内線呼び出し処理を実行し、電話機202が話中であることを認識すると、そのまま通話路を接続することにより電話機102に対して話中音(ROT(リオーダートーン))を聴取させることができる(S510、S511)。
【0048】
図6は、電話機102から電話機202に対して発信を行った場合に、局線トランクが全塞がり(話中など)や接続障害などで、局線トランクの補足ができなかった場合の動作シーケンス図である。図6の動作シーケンス図で示すステップS612以前までの番号変換処理の動作については、図3で示すステップS310〜S314までの番号変換処理と何ら変わるところがないため説明を省略する。
【0049】
電話交換装置101は、局線トランクの捕捉失敗を認識すると、電話機102に対して話中音を聴取させる(S610)。
【0050】
図7は、電話機102から電話機202に対して発信を行った場合に、公衆網110で話中や接続障害などの場合の動作シーケンス図である。図7の動作シーケンス図で示すステップS711以前までの局線トランク104捕捉後、(変換した)相手番号送出までの動作については、図3で示すステップS310〜S315、S316までの相手番号送出処理と何ら変わるところがないため説明を省略する。
【0051】
公衆網110は、電話交換装置101から加入者番号であるダイヤル情報を受信すると、着信先である電話交換装置202の局線トランク204への接続を実行する。このときに、局線トランク204が使用中であったり、故障などで接続できない状態であることを認識すると、電話交換装置101の局線トランクに対して話中音の送出を行う(S710)。
【0052】
公衆網110の処理としては、受信した加入者番号に対して接続処理を行い、相手話中や接続障害などで、回線の接続ができないために、発信者に対して話中音を送出するだけであるので、従来の回線交換処理と何ら変更することはない。
【0053】
図8は、電話機101から電話機202に対して発信を行った場合に、電話機202を呼出し中に電話機101がオンフック(呼び出し途中放棄)を行った場合の動作シーケンス図である。図8の動作シーケンス図で示すステップS811以前までの内線呼び出しまでの動作については、図3で示すステップS310〜S329までの内線呼び出し処理と何ら変わるところがないため説明を省略する。
【0054】
通話路が確立されている状態である電話機102は、呼出音(RBT(リングバックトーン)を聴取しているが、この状態で電話機102がオンフックを行うと(S810)、電話交換装置101は電話機102がオンフック(切断)したことを内線回路103から切断情報を取得して認識すると(S812)、局線トランク104に対して切断信号を送出する(S813)。公衆網110は、切断信号を受信するので、一般の通話状態から切断信号を受信した場合と同様の呼処理を行うので、電話交換装置201に対して切断信号を送出する(S814)。
【0055】
電話交換装置201は、公衆網110からの切断信号を受信すると、内線呼出処理を停止し電話機202への着信鳴動を停止する(S815)。
【0056】
図9は、電話機101から発信を行ったときに、着信側電話交換機となる電話交換機201に本発明で示す制御ができない場合(機能がない。)や、接続相手先が一般加入者電話の場合の接続動作を示す動作シーケンス図である。図9で示すステップS919以前までの着信動作については、図3で示すステップS310〜S317で示す着信動作と何ら変わるところがないため説明を省略する。
【0057】
電話交換装置101は、記憶されている公衆加入者番号Z202を用いて番号変換を行い、局線トランク104を捕捉し、番号変換を行った公衆加入者番号Z202「050−2345−6789」を用いて、公衆網110に対して発信を行うと、公衆網110からの応答信号を受信しないために通話路の確立ができない。
【0058】
この場合には、電話交換装置101内の内部タイマーを用いてタイマーの起動を行う(S910)。電話交換装置201では、公衆網110からの着信に対して自らの局データに従い着信を行う(S911)。例えばダイヤルイン着信や中継台着信、ダイレクトインダイヤル着信、ダイレクトインライン着信、分散着信などである。本発明の実施の形態では公衆網110(局線)からの着信については何ら特定されるものではないので、上記何れかの方法を用いて電話機202に対して着信すればよい(S912)。
【0059】
電話機202に対する着信が行われると、公衆網110より呼出音が送出されるため電話交換装置101の局線トランク104に呼出音が送出されている(S913)。
【0060】
一方、電話交換装置101では、ステップS910で起動されたタイマーの満了を監視し、タイマー満了となったときに(S914)、電話機102との通話路を設定する(S915)。このようにして通話路が設定されることで、電話機102に呼出音が送出され(S916)、通常の着信と同様の処理が行われる。
【0061】
電話機202が応答を行うことによって(S917)、電話機102と電話機202の通話路が確立される(S918)。
【0062】
なお、タイマーの設定時間によって電話機202が応答後にタイマー満了となることが考えられるが、このタイマーの設定時間を可変として、電話交換装置101の局データとすることで、実用的なタイマー値(例えば1秒程度など。)に変更することが可能である。
【0063】
図10は、着信側電話交換装置で準備信号を送出後、何等かの原因(接続先電話交換装置の可聴音信号送出部の故障、公衆網110の回線状態の不良による信号音の受信エラーなど)で、要求信号の受信ができなかった場合の動作を示すシーケンス図である。図10で示すステップS1006、S1007以前までの準備信号送出動作については、図3で示すステップS310〜S320,S321の準備信号送出動作と何ら変わるところがないため説明を省略する。
【0064】
電話交換装置201は、準備信号を送出すると監視タイマーの起動を行う(S1008)。この監視タイマーは要求信号の受信を待つ時間であり、タイマーの満了となったときには(S1009)、電話交換装置201の局データに従い着信処理を行う。本発明の実施の形態では例えば代表内線呼出である(S1010)。これは、要求信号の受信ができなかった場合に、予め着信先となる電話機を局データとして設定しておくことにより、着信先内線電話機を決定する。
【0065】
公衆網110に対しては呼出音が送出され(S1012)、電話交換装置201では着信先内線電話機が着信鳴動をする。電話機202が応答することにより(S1013)電話機102と電話機202との通話路が確立する。
【0066】
次に、本発明の実施の形態の第二の実施例として、電話機102から電話機202に対して発信を行った場合の動作について、図11のシーケンス図を用いて説明する。なお、図11において、図3と同様の動作については同様の符号で記載してあり、処理についても同様の処理を行えばよいため、詳細な説明は省略する。
【0067】
図11で示す動作シーケンスと図3で示す動作シーケンスでの異なる点は、ステップS1110で示すタイマーの設定である。電話交換装置101から番号変換処理を行い、公衆網110に対して発信処理を行うまでは、図3を用いて説明した通りであるが、発信処理を実行後、監視タイマーの起動を行う(S1110)。この監視タイマーは着信側電話交換装置となる電話交換装置201の自動応答待ち時間であり、電話交換装置101の局データとして任意の時間設定が可能である。
【0068】
電話交換装置101では、タイマーの起動後、タイマー満了まで一定の待ち時間を設けて、タイマー満了後に(S1111)要求信号の送出を行う。その後の動作については前述した通り、図3で示す動作と同様のものとなる。
【0069】
このように構成することにより、準備信号の受信を待つ必要がなくなり、それぞれの電話交換装置での処理時間の短縮を図ることができる。当然の如く、この第二の実施例を用いる場合は、着信側となる電話交換装置201での自動応答が前提となる。
【0070】
なお、本発明の実施の形態においては、実施の形態を公衆網110として記載したが、可聴音信号(例えばPB信号)の透過ができる通信網であれば、アナログ網、ディジタル網、専用線網、VoIP機能を利用したIP電話網など様々な通信網で構成することも可能であることは明らかである。
【0071】
以上説明したように、本発明に係る電話交換装置101、201は、専用回線への番号計画に基づいたダイヤル情報を、公衆網110に対する加入者番号に変更すること可能とすることができ、単に番号変換を行うのみならず、着信側電話交換装置と信号情報の送受信を行うことによって、接続先となる内線電話機の指定情報を発信側の電話交換装置から自動で送信することができる。
【0072】
さらに、本発明に係る番号変換テーブル106は、図2で示すように、着信先となる加入者番号と専用線番号計画で用いられる事業所番号(電話交換装置の自局着信用番号)を、発信側電話交換装置で管理するようにしたので、単に着信先となる電話交換装置内の内線番号計画変更などに左右されることなく、自局の局データのみを管理することだけでよいため、電話交換装置のメンテナンスの容易性をアピールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る電話交換装置の実施の形態の全体構成図
【図2】本発明に係る番号変換テーブルの一実施の形態のイメージ図
【図3】本発明に係る発信動作の一実施の形態のシーケンス図
【図4】本発明に係る発信異常動作の一実施の形態のシーケンス図
【図5】本発明に係る着信先電話機話中動作の一実施の形態のシーケンス図
【図6】本発明に係る話中動作の一実施の形態のシーケンス図
【図7】本発明に係る話中動作の一実施の形態のシーケンス図
【図8】本発明に係る発信途中放棄動作の一実施の形態のシーケンス図
【図9】本発明に係る信号送受不可動作の一実施の形態のシーケンス図
【図10】本発明に係る着信動作の一実施の形態のシーケンス図
【図11】本発明に係る発信動作の一実施の形態のシーケンス図
【符号の説明】
【0074】
101、201:電話交換装置
102、202:電話機
103、203:内線回路
104、204:局線トランク
105、205:制御部(中央制御装置(CPU))
106、206:番号変換テーブル(記憶装置)
107、207:可聴音信号送出部
108、208:可聴音信号受信部
109、209:通話路スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電話機を収容すると共に、公衆網と接続可能な電話交換装置において、
前記電話機から発信操作があると前記電話機からのダイヤル情報を記憶し、当該ダイヤル情報が特定のダイヤル情報であることを認識すると、前記ダイヤル情報の変換を行う変換手段と、
前記公衆網に対して前記変換手段で変換されたダイヤル情報を用いて発信を行う発信手段と、
前記発信手段が発信を行った後、前記公衆網からの応答信号の受信を監視する応答信号監視手段と、
前記応答信号監視手段で、前記応答信号を受信後、前記公衆網より仮想専用線確立準備信号を受信する準備完了信号受信手段と、
前記準備完了信号受信手段が前記仮想専用線確立準備完了信号を受信すると、前記公衆網に対して、前記仮想専用線の通話路確立を要求する要求信号を送信する要求信号送信手段と、
前記要求信号送信手段が前記要求信号を送信した後、前記公衆網より、前記仮想専用線の通話路確立の応答信号を受信すると、前記記憶したダイヤル情報の一部を前記公衆網に対して送出する送出手段と、を備え、
前記応答信号監視手段が前記応答信号を前記特定の時間内に受信しないときには、前記発信操作を行った電話機と前記公衆網との通話路を確立する発信接続手段と
を備えたことを特徴とする電話交換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話交換装置であって、
前記準備完了信号受信手段が、前記仮想専用線確立準備完了信号の受信を特定の時間監視する準備信号監視手段と、前記準備信号監視手段で、特定の時間経過したときには、前記公衆網に対して前記仮想専用線の通話路確立要求を示す要求信号を送出する要求信号送出手段と、を備えたことを特徴とする電話交換装置。
【請求項1】
複数の電話機を収容すると共に、公衆網と接続可能な電話交換装置において、
前記電話機から発信操作があると前記電話機からのダイヤル情報を記憶し、当該ダイヤル情報が特定のダイヤル情報であることを認識すると、前記ダイヤル情報の変換を行う変換手段と、
前記公衆網に対して前記変換手段で変換されたダイヤル情報を用いて発信を行う発信手段と、
前記発信手段が発信を行った後、前記公衆網からの応答信号の受信を監視する応答信号監視手段と、
前記応答信号監視手段で、前記応答信号を受信後、前記公衆網より仮想専用線確立準備信号を受信する準備完了信号受信手段と、
前記準備完了信号受信手段が前記仮想専用線確立準備完了信号を受信すると、前記公衆網に対して、前記仮想専用線の通話路確立を要求する要求信号を送信する要求信号送信手段と、
前記要求信号送信手段が前記要求信号を送信した後、前記公衆網より、前記仮想専用線の通話路確立の応答信号を受信すると、前記記憶したダイヤル情報の一部を前記公衆網に対して送出する送出手段と、を備え、
前記応答信号監視手段が前記応答信号を前記特定の時間内に受信しないときには、前記発信操作を行った電話機と前記公衆網との通話路を確立する発信接続手段と
を備えたことを特徴とする電話交換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話交換装置であって、
前記準備完了信号受信手段が、前記仮想専用線確立準備完了信号の受信を特定の時間監視する準備信号監視手段と、前記準備信号監視手段で、特定の時間経過したときには、前記公衆網に対して前記仮想専用線の通話路確立要求を示す要求信号を送出する要求信号送出手段と、を備えたことを特徴とする電話交換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−154293(P2008−154293A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68394(P2008−68394)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【分割の表示】特願2003−362410(P2003−362410)の分割
【原出願日】平成15年10月22日(2003.10.22)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【分割の表示】特願2003−362410(P2003−362410)の分割
【原出願日】平成15年10月22日(2003.10.22)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】
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