説明

電話装置

【課題】 着信側が応答しなかった場合には、発信者にその旨を知らせることができるようにして、利用者に対する利便性等を向上させた自動発信機能を備えた電話装置を提供する。
【解決手段】 発信側である発信者Aが通話回線を介して電話をかけることで、或いはデータ通信回線を介して電子メールを送信することで、コールバックの要求をした場合に、制御部11ではコールバック処理を実行して着信側の使用者Bに自動発信するが(S1)、その際に、使用者Bが未応答であった場合には、電子メールアドレス記憶部15dを参照して、発信側である発信者Aの電子メールアドレスを取得する。或いは、電子メール送受信部17が受信した発信者Aからの電子メールから電子メールアドレスを取得する。そして、使用者Bが未応答であった旨の情報などを、電子メールを介して発信者Aに送信する(S4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話装置に関する。より詳しくは、発信要求に応じて、本装置から自動的に発信する自動発信機能(所謂コールバック機能)を備えた電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、発信者Aが本装置B宛に発信を行った場合、本装置Bは着信の際に検出した発信者Aの電話番号を受信すると共に、この発信者Aの電話番号がメモリ等の記憶手段に登録されていれば、発信者Aがオンフックした後、本装置Bのブザー等を鳴動させて使用者Bの着信応答操作を待って発信者A側へ自動的に発信(自動発信、所謂コールバック)し、発信者Aと通話を行わせるようにして、例えば会社の従業員等が会社に業務上の電話をかける場合にその通話料を会社側に負担させることができるようにした電話装置が記載されている。
【0003】
また、従来より、電子メールを通信網を介して受信する機能を備え、発信者Aから送信され本装置Bで受信した電子メールにコールバック要求が存在する場合には、発信者Aの電話番号にコールバックするようにした電話装置も提案されている。
【特許文献1】特開平10−65833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、コールバック処理を実行する際に、着信側の使用者Bを呼び出して使用者Bの着信応答操作を待って、発信側である発信者Aへ発信を行なうような場合、使用者Bが何らかの理由(例えば、不在、他と通話中など)より電話にでることができない場合には、発信者Aへの発信が行なわれないため、コールバック要求をした発信者Aに、比較的長時間経過しても何も連絡が行かない惧れがあり、発信者Aに対する配慮に欠け利便性等が損なわれる惧れがある。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、着信側が応答しなかった場合には、発信者にその旨を知らせることができるようにして、利用者に対する利便性等を向上させた自動発信機能を備えた電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明に係る電話装置は、
発信側から要求があった場合に、自動的に、着信側に発信し応答があったときに発信側に発信する自動発信機能(所謂コールバック機能)を備えた電話装置であって、
前記自動発信機能による着信側への発信に着信側が応答しなかった場合に、発信側に対して電子メールを送ることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記自動発信機能による着信側への発信に着信側が応答しなかった場合に、当該発信を転送し、転送先が応答しなかった場合に、発信側に対して電子メールを送ることを特徴とすることができる。
【0008】
本発明においては、電子メールを送る時期が、前記自動発信機能による着信側への発信に着信側が応答せず、かつ、転送先が応答しないことを確認した後であることを特徴とすることができる。
【0009】
本発明に係る電話装置は、主装置と、当該主装置に内線を介して収容されるボタン電話機と、を含んで構成されるボタン電話装置とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、着信側が応答しなかった場合には、発信者にその旨を知らせることができるようにして、利用者に対する利便性等を向上させた自動発信機能を備えた電話装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る通信システムの全体構成を概略的に説明するための図である。
【0013】
本実施の形態に係る通信システムは、図1に示したように、主装置1と、その内線に収容されたn台のボタン電話機2−1〜2−n(nは2以上の整数)と、からなるボタン電話装置が、有線或いは無線の電話回線やインターネット等の通信網3を介して、他の電話機4或いは携帯電話機5と通信可能に構成されている。
【0014】
前記主装置1は、この主装置1全体の制御等を行う制御部11と、通信網3側との接続制御を行う通信制御部12(スプリッタ及びモデムとしての機能も備える)と、内線伝送路を介してボタン電話機2−1〜2−nを収容する内線インタフェース部13と、通信制御部12と内線インタフェース部13とを交換接続する交換処理部14と、制御部11での制御に必要な各種制御情報、発信履歴情報、着信履歴情報、送受信した電子メール等を各ボタン電話機2−1〜2−n及び日時等と関連付けて記憶する記憶部15と、相手先電話番号、発信履歴情報、着信履歴情報等を表示するLCD等からなる表示部16と、を備えて構成され、前記制御部11には通信網3上のメールサーバと電子メールの送受信を行なう電子メール送受信部17が備えられている。
【0015】
また、記憶部15は、図2に示すように、コールバックの要求があったときにコールバック処理を実行すべき相手先の電話番号等をボタン電話機2−1〜2−nに対応させて予め登録しておくコールバック先登録情報記憶部15aと、コールバック要求時の着信時に検出した発信者の電話番号(発番号)或いは受信した電子メールに付加されていた発信者の電話番号(発番号)をボタン電話機2−1〜2−nに対応させて記憶するためのコールバック先情報記憶部15bと、コールバック処理の実行によりボタン電話機2−1〜2−nに発信したときの発信情報(電話番号、日時、無応答、話し中など)をボタン電話機2−1〜2−nに対応させて記憶するためのコールバック実行情報記憶部15cと、コールバック処理を実行すべき相手先(発信者)と対応付けて電子メールアドレスを予め登録しておく電子メールアドレス記憶部15dと、送受信した電子メールを保存しておくための電子メール記憶部15eと、を備えている。
【0016】
まず、発信側である発信者Aが電話装置4から通話回線を介してコールバックを要求した場合について説明する。
【0017】
制御部11では、発信者A側の電話機4或いは携帯電話機5(以下、単に発信者Aと称する場合もある)から着信側であるボタン電話機2−1〜2−nの何れかに対して発信が行なわれた場合、呼出信号の到来前に通知される発番号(発信者Aの電話番号)を受信すると、記憶部15のコールバック先登録情報記憶部15aを参照して、当該発番号がコールバック先登録情報記憶部15aにコールバック先登録情報として記憶されている発番号と一致するか否かを判断する。
【0018】
そして、一致している場合には、制御部11では、この発番号を該当するボタン電話機2−1〜2−nと対応付けてコールバック先情報記憶部15bに記憶すると共に、内蔵する自動発信監視用タイマーを起動し、起動されたタイマーの計時による所定時間内に発信者Aがオンフックするか否かを監視する。
【0019】
発信者Aが、前記所定時間内にオンフックし回線を切断すると、制御部11では、これを検出して、例えば、該当するボタン電話機2−1〜2−nの使用者Bに対して「発信者Aから電話がありました」旨の音声を再生して当該使用者Bに報知すると共に、後述するようにしてコールバック処理を実行する。一方、前記所定時間内に発信者Aがオンフックしない場合には、通常の通話を望んでいるとして通常の着信処理を実行する。また、着信時に発番号が通知されない場合、或いは通知されてもコールバック先登録情報記憶部15aのコールバック先登録情報として登録されていない場合には、通常の着信処理が実行される。
【0020】
ここで、コールバック処理の実行について説明する。
制御部11は、発信者Aが前記所定時間内にオンフックし回線を切断した後に、該当するボタン電話機2−1〜2−nの使用者Bに対して発信して鳴動動作させる。そして、使用者Bが応答し電話に出た場合に、例えば使用者Bに対してコールバック処理の実行中である旨をアナウンスした後、発信者Aに対して発信して鳴動動作させ、発信者Aが電話に出た場合には、使用者Bと発信者Aとの回線を接続し、コールバック処理は成功とされる。なお、使用者Bが電話に出ない場合や話中の場合には、コールバック失敗として、コールバック成功となるまで、所定期間毎にコールバック処理は実行されるようになっている。
【0021】
次に、発信者Aがデータ通信回線を介して電子メールを送信することで、コールバックの要求をした場合について説明する。
【0022】
制御部11では、電子メール送受信部17が発信者Aの送信した電子メールを受信すると、その電子メールの内容を解析してコールバック要求の有無や、ボタン電話機2−1〜2−nのうちのどの使用者に対してのコールバック要求であるのか、などを検出し、コールバック要求がある場合には、記憶部15のコールバック先登録情報記憶部15aを参照して、当該電子メールアドレスに対応する発番号を取得すると共に、電子メールに付加されている情報からボタン電話機2−1〜2−nの使用者の電話番号を取得して、後述するようにしてコールバック処理を実行する。或いは、電子メールに付加されている情報から発番号を取得することが可能であれば、当該発番号を利用してコールバック処理を実行することもできる。
【0023】
ここでのコールバック処理は、既述した通話回線を介してコールバックを要求した場合と同様であるので、説明は省略する。
【0024】
以上のようにして、通話回線を介して或いはデータ通信回線(電子メール)を介して、コールバック要求がなされ、それに応じて制御部11はコールバック処理を実行するが、例えば、使用者Bが他の電話装置と通話中であったり不在であった場合には、コールバック失敗として中断されるため、このような場合には、発信者Aに対して比較的長い時間何も連絡が行かず、発信者Aに対する配慮に欠け利便性等に劣る惧れがある。
【0025】
このため、本実施の形態では、以下のような処理を行う。
すなわち、
(1)制御部11がコールバック処理を実行し主装置1から使用者Bに発信したときに(図3のS1参照)、使用者Bが他の電話装置と通話中であったり不在であった場合には、所定時間経過後に、主装置1では、使用者Bへの発信を終了し(図3のS2参照)、電子メールアドレス記憶部15dを参照して、発信側である発信者Aの電子メールアドレスを取得する。或いは、電子メール送受信部17が受信した発信者Aからの電子メールから電子メールアドレスを取得する。
(2)そして、制御部11では、使用者Bが未応答であった旨の情報(不在或いは通話中であった旨の情報を含ませることもできる)や、コールバック処理が失敗に終わったことなどを、電子メールを介して発信者Aに送信する(図3のS4参照)。なお、次回のコールバック処理を実行する予定時刻を情報として当該電子メールに含ませることもできる。
【0026】
これにより、発信者Aは、コールバック処理が実行されたが失敗に終わった旨を、その原因等と共に比較的短時間の間に知ることができるため、従来のようにコールバックが繰り返し失敗に終わった場合に比較的長い時間経過しても発信者Aに何も連絡が行かず、発信者Aが原因がわからず不安感やイライラ感などを抱くような惧れを回避することができ、以って利便性等の向上を図ることができる。
【0027】
次に、本発明の第二の実施の形態について説明する。
第二の実施の形態は、第一の実施の形態と同様、主装置1と、その内線に収容されたn台のボタン電話機2−1〜2−nと、からなるボタン電話装置が、有線或いは無線の電話回線、インターネット等の通信網3を介して、他の電話機4或いは携帯電話機5と通信可能に構成されている。
【0028】
なお、発信者Aが通話回線或いはデータ通信回線(電子メール)を介してコールバックを要求し、制御装置11がコールバック処理を実行するまでの処理は第一の実施の形態と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0029】
第二の実施の形態では、制御装置11がコールバック処理を実行したときに、使用者Bが他の電話装置と通話中であったり不在であった場合に、内線伝送路を介してボタン電話機2−1〜2−nのうちの他のボタン電話機2−2(使用者C)に転送するような転送設定がなされている場合についての一例について説明する。
【0030】
すなわち、制御部11がコールバック処理を実行し主装置1から使用者Bに発信したときに(図3のS1参照)、使用者Bが他の電話装置と通話中であったり不在であった場合には、所定時間経過後に、主装置1では、使用者Bへの発信を終了し(図3のS2参照)、当該発信を内線伝送路を介してボタン電話機2−1〜2−nのうちの他のボタン電話機2−2(使用者C)に転送を開始する(図3のS3参照)。
【0031】
そして、転送先の使用者Cも他の電話装置と通話中であったり不在であった場合に、主装置1では、所定時間経過後に、使用者Cへの転送を終了する(図3のS5参照)。
【0032】
ここで、主装置1では、使用者Bへの発信を終了し使用者Cへの転送を開始した後に、電子メールアドレス記憶部15dを参照して、発信者Aの電子メールアドレスを取得する。或いは、電子メール送受信部17が受信した発信者Aからの電子メールから電子メールアドレスを取得する。そして、着信側(使用者B)が未応答であった旨の情報(不在或いは通話中であった旨の情報を含ませることもできる)や、コールバック処理が失敗に終わったことなどを、電子メールを介して発信者Aに送信する(図3のS4参照)。なお、次回のコールバック処理を実行する予定時刻を情報として当該電子メールに含ませることもできる。
【0033】
また、主装置1では、使用者Cへの転送を終了した後に、着信側(使用者C)が未応答であった旨の情報(不在或いは通話中であった旨の情報を含ませることもできる)や、コールバック処理が失敗に終わったことなどを、電子メールを介して発信者Aに送信する(図3のS6参照)。なお、次回のコールバック処理を実行する予定時刻を情報として当該電子メールに含ませることもできる。
【0034】
なお、図3のS4を省略して、図3のS6で、着信側(使用者B及びC)が未応答であった旨の情報(不在或いは通話中であった旨の情報を含ませることもできる)や、コールバック処理が失敗に終わったことなどを、電子メールを介して発信者Aに送信することもできる。
【0035】
これにより、発信者Aは、コールバック処理が実行されたが失敗に終わった旨を、その原因等と共に比較的短時間の間に知ることができるため、従来のようにコールバックが繰り返し失敗に終わった場合に比較的長い時間経過しても発信者Aに何も連絡が行かず、発信者Aが原因がわからず不安感やイライラ感などを抱くような惧れを回避することができ、以って利便性等の向上を図ることができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、使用者Bが他の電話装置と通話中であったり不在であった場合に、使用者Bが在籍する部署等の他の使用者Cに転送する構成としたので、第一の実施の形態に比べ、多様化するニーズに応じたよりきめの細かい機能・サービスを提供することができる。
【0037】
ところで、本実施の形態では、使用者Cに転送する場合を一例として示したが、これに限定されるものではなく、例えば、使用者Bが在籍する部署等の使用者B以外の使用者の全部又は一部に同時転送或いは順次転送する構成とすることもできる。或いは、主装置1が、内線伝送路を介して収容している使用者B以外のボタン電話機2−2〜2−nの全て或いは一部に同時転送或いは順次転送する構成とすることもできる。更には、予め転送先として登録してある他の電話装置や携帯電話機に転送を試みることも可能である。そして、コールバックが失敗に終わった場合には、転送した相手先やその数などに応じて発信者Aに送信する電子メールの内容を適宜変更することができるものである。
【0038】
上述した第一、第二の実施の形態では、ボタン電話機2−1〜2−nを内線伝送路を介して収容しているボタン電話装置に関して説明したが、ボタン電話機2−1〜2−nの何れか一つと、主装置1と、の関係を見れば、受話器或いは子機(これらがボタン電話機2−1〜2−nの何れかに相当)を備え、制御部、記憶部、表示部等を備える本体装置(主装置1に相当)を備えて構成される通常の電話装置と同様のものとして把握することができる。従って、各実施の形態は、ボタン電話装置に限らず一般的な電話装置にも適用できるものである。
【0039】
以上で説明した実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る通信システムの全体構成を概略的に説明するための図である。
【図2】同上実施の形態に係る記憶部の内容を示す図である。
【図3】同上実施の形態に係る通信システムが行う動作シーケンスの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 主装置
2−1〜2−n ボタン電話機
4 電話機
5 携帯電話機
11 制御部
15 記憶部
16 表示部
17 電子メール送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信側から要求があった場合に、自動的に、着信側に発信し応答があったときに発信側に発信する自動発信機能を備えた電話装置であって、
前記自動発信機能による着信側への発信に着信側が応答しなかった場合に、発信側に対して電子メールを送ることを特徴とする電話装置。
【請求項2】
前記自動発信機能による着信側への発信に着信側が応答しなかった場合に、当該発信を転送し、転送先が応答しなかった場合に、発信側に対して電子メールを送ることを特徴とする請求項1に記載の電話装置。
【請求項3】
前記電子メールを送る時期が、前記自動発信機能による着信側への発信に着信側が応答せず、かつ、転送先が応答しないことを確認した後であることを特徴とする請求項2に記載の電話装置。
【請求項4】
前記電話装置が、主装置と、当該主装置に内線を介して収容されるボタン電話機と、を含んで構成されるボタン電話装置であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−258669(P2008−258669A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95358(P2007−95358)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】