霊芝種を含む抽出物および方法
本発明は、超臨界CO2抽出によって調製される霊芝種植物材料の抽出物に関する。一態様では、本発明は、図6〜29のいずれかの実時間直接分析(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む霊芝種抽出物に関する。さらなる一実施形態では、抽出物は、精油、トリテルペン、多糖、およびそれらの組合せからなる群より選択される化合物を含む。一実施形態では、精油は、9,12−オクタデカジエン酸などである。一実施形態では、トリテルペンは、ガノデリン酸などである。一実施形態では、多糖は、グルコースなどである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2006年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/785,125号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)への優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、霊芝(ganoderma)種の抽出物、連続抽出工程を使用するそれらの調製方法、およびそれらの処理法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
キノコは、その独特の質感および風味のため、特殊な食品、特に「珍味(food delicacy)」であるとみなされている。しかし、ペニシリン菌から抗生物質が得られた1900年代になって初めて、真菌の潜在的な医療価値が西洋の科学界を引き付けた。キノコ子実体の化学構成成分の化学的、生物学的、および生化学的特性は、非常に多くの生理学的および医学的利益を伴うことが示されている。担子菌のより多いキノコは世界中で、特にアジアで、何千年も漢方薬として使用されてきた。
【0004】
霊芝種、特にG.ルシダム(lucidum)(中国では「Lingzhi」および日本では「レイシ」または「マンネンタケ」)およびG.tsuageは、中国、日本、および他のアジア諸国では健康および長寿を促進するために広く使用されてきた。栽培されるキノコの中でも、霊芝種は、栄養価よりも医薬的価値が傑出しているという点で独特である。多種多様なG.ルシダム生成物は、粉末、食品栄養剤、および飲料などの様々な形態で利用可能である。これらの生成物は、菌糸、子実体、および胞子を含むキノコの様々な部分から生成される。しかし、これらの生成物の化学構成成分含量には、霊芝種原材料の化学構成成分の大きな変動に起因して疑わしい点がある。多くの植物と同様に、この植物材料の化学構成成分は、数ある変数の中でもいくつかの変数を列挙すると、遺伝的浮動、栽培方法、温度、pH、湿度、培地、使用される基材などに依存して決まる。
【0005】
霊芝種、マンネンタケ(ganodermataceae)科は、二重壁の担子胞子を有する多孔菌バシジオマイセタウス(basidiomycetous)菌である。全体でこの科の中の219種が、霊芝属に指定されており、その中でもG.ルシダムは種の典型である。霊芝系統に関する形態学的特徴は、高い表現型可塑性に起因して、抽出生成物原料のための霊芝種の同定においては限られた価値しかないと考えられている。より最近では、生化学的アプローチ(トリテルペン構成成分)、遺伝的アプローチ(交配研究)、および分子アプローチ(rDNA多型)が、霊芝分類法に使用されている。
【0006】
漢方薬(TCM)は、それらの推定上の薬理効果のために使用されているが、米国では栄養補助食品健康教育法(DSHEA)によって定義されるように、TCMは栄養補給食品とみなされており、栄養または食事の補助として分類されている。いかなる治療についても中心的問題の1つとなるのが、有害な副作用なしに所望の治療効果をもたらす有効量である。霊芝種は、2000年にわたって薬用の真菌として使用されてきた。しかし、標準的配合物、化学構成成分組成物、またはそれらの用量、化学組成、および配合に関する指針に関しては同意が得られていない。推奨用量は、1日当たりG.ルシダム子実体の市販乾燥抽出物0.5gm〜30gmの範囲であった。非常に高いレベルでヒトが消費しても、有意な毒性は報告されていない。敏感な個体では、偶発的な軽度消化不良および皮膚発疹が報告されている。中毒量(TD)および致死量(LD)は、マウスに30日間5g/kgもの高用量を投与すると非常に高く、実験動物に単回用量として38g/kgを腹腔内注入すると良好な耐用性を示す。したがって霊芝種抽出生成物は、臨床使用に関して著しい制限をもたらすものではない。重要なのは、効果的な検証用量(ED)の決定および霊芝種化学構成成分の健康上の利益についての科学的立証である。
【0007】
大部分のキノコと同様、霊芝種は約90重量%の水からなっている。科学文献に基付き、G.ルシダム化学構成成分の乾燥質量パーセントの概要を表1および2に列挙する。G.ルシダム子実体の特徴の1つは、株、栽培方法、生長時期(age)、および様々な他の要素に依存して度合が変わるその苦みである。この苦みを伝える化学構成成分がトリテルペンであり、抽出生成物の薬理学的評価のマーカーとして使用されてきた。知られている主な2つの生理学的および医学的に有効な霊芝種の化学構成成分は、トリテルペンおよび多糖である。
【0008】
【表1】
【0009】
【表2】
*揮発性油は、70Cおよび500バールでのCO2抽出の最高収率によって推定した。トリテペノイドは、最大メタノール抽出によって推定した。多糖およびタンパク質は、水抽出によって推定した。
【0010】
テルペンは、天然に存在するクラスの化合物である。それらの炭素骨格は、イソプレンC5単位からなる。その多くはアルケンであるが、他の官能基を含有してもよく、多くは環状である。植物のテルペンのいくつかは、抗炎症、抗癌、脂質低下、および他の健康促進活性などの性質を有することが見出されている。トリテルペンは、テルペンのサブクラスであり、基本骨格C30を有する。霊芝種では、トリテルペンの化学構造は、ラノスタン、ラノステロールの代謝産物をベースとし、その生合成はスクアレンの環化をベースとする。霊芝種からのトリテルペンの抽出は、一般にメタノール、エタノール、アセトン、クロロホルム、エーテル、またはこれらの溶媒の混合物を使用する溶媒抽出によるものである。知られている化学組成および分子構造を有する100を超えるトリテルペンが、霊芝種に存在することが報告されている。それらの中でも、大多数が霊芝種に独特のものであることが見出されている。霊芝トリテルペンの大多数は、ガノデリン酸およびルシデニン酸であるが、ガノデラール(ganoderal)、ガノデリオール、およびガノデルミン(ganodermic)酸、などの他のトリテルペン類も同定されている。
【0011】
様々な植物の植物性多糖は、免疫強化、抗炎症、抗潰瘍、抗ウィルス、および抗癌作用を有することが報告されている。霊芝種は、様々な高分子量の多糖を生成することで注目される。これらのポリグリカンは、キノコのすべての部分ならびにすべての成長段階で見出される。霊芝種の多糖は、子実体、菌糸、および胞子から抽出されてきた。さらに多糖以外のものが、発酵槽中の菌糸の成長によって生成される。グルコースは、霊芝種多糖の主要な糖である。しかし霊芝種は、1−3、1−4、1−6結合したβおよびα−D(またはL)−多糖を含む様々な構成のキシロース、マンノース、およびフコースも含有するヘテロポリマーである。多糖は、通常温水で抽出した後、アルコールで沈殿する。これらは温水およびアルカリでも抽出することができる。複雑な精製工程によって、グルコースポリマーGL−1(グルコース98%)などの精製多糖化合物を得ることができる。霊芝種から単離され、それによって部分的に特徴付けられる多糖化合物には、ガノデランA、B、およびCが含まれる。より最近になって、他の霊芝種多糖化合物が単離された。これらの多糖化合物のいくつかは、著しい免疫的刺激および抗癌活性を有することが示されている。
【0012】
霊芝種タンパク質は、他の真菌よりも低量であり、霊芝種化学構成成分の医薬活性に寄与することも報告されている。霊芝種タンパク質は、例えば免疫抑制活性を示すことができる。
【0013】
最も医薬として価値のある植物の中でも、揮発性油および精油化学構成成分は、植物の化学構成成分の生物活性にかなり貢献している。しかしこれらのガノデルマ化学構成成分は、科学文献では無視されていると思われる。
【0014】
毒性のない推定的健康効果を組み合わせることによって、霊芝種化学構成成分は、効果的な治療用抽出物の開発にとって望ましいものになる。霊芝種抽出物は、様々な疾患の治療法として数千年の間使用されてきたが、霊芝種抽出物および化学構成成分の客観的な科学的研究が実施されたのはごく最近になってからである。最近の科学研究所および臨床試験は、霊芝種の化学構成成分の治療有効性を簡潔にまとめるために、以下を含む霊芝種、特にG.ルシダムの様々な化合物、化学画分、および抽出生成物全体の以下の治療効果を示している。免疫促進(P、Pr、水抽出物−略記は表1参照)[1〜4(非特許文献1〜4)]:免疫抑制、抗移植拒絶反応、自己免疫疾患(Pr)[5、6]:抗炎症、抗関節炎、抗リウマチ、抗エリテマトーデス、抗アレルギー(T、GA、酢酸エチル抽出物、アルコール抽出物、水抽出物)[7〜10];抗酸化(T、P−T+Pは相乗的に作用、有機溶媒抽出物、水抽出物)[9、11、12];抗血小板凝集(GA、水溶性抽出物)[13、14];血糖降下、抗糖尿病(P−ガノデランA、B、およびC、抽出物)[9、15];抗高血圧(水溶性−エタノール不溶性抽出物、粗抽出物)[16、17];抗高コレステロール血症(トリテルペン、粗抽出物)[18];心臓血管疾患の防止(T、P、粗抽出物)[5〜18];肝臓保護(T、GA、P、水および水−エーテル抽出物)[19、20];抗ウィルス治療、抗単純ヘルペス、抗HIV、抗帯状疱疹、抗B型肝炎(P−タンパク質結合多糖、T、アルコールおよび水溶性抽出物)[21〜24];抗菌活性(T、P、アルコールおよび水抽出物)[9、25];ならびに癌予防および治療(P、T、温水およびアルコール抽出物)[9、26〜28]。
【非特許文献1】Wang YYら、Bioorg Med Chem(2002)10:1057−1062
【非特許文献2】Sone Yら、Agric Biol Chem(1985)49:2641−2653
【非特許文献3】Bao Xら、Carbohydr Res(2001)336:127−140
【非特許文献4】Bao Xら、Phytochemistry(2002)59:175−181
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
これらの相乗的に作用する生理的かつ医学的に有益な霊芝種化学構成成分を標準的で信頼性のある量で生成することができる、精製済み精油、トリテルペン、タンパク質、および多糖化学構成成分を組み合わせた再生産可能な新規霊芝抽出物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
一態様では、本発明は、図6〜29のいずれかの実時間直接分析(Direct Analysis in Real Time)(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む霊芝種抽出物に関する。さらなる一実施形態では、抽出物は、精油、トリテルペン、多糖、およびそれらの組合せからなる群より選択される化合物を含む。
【0017】
さらなる一実施形態では、精油は、9,12−オクタデカジエン酸、リノエライジン酸、n−ヘキサデカン酸、オクタン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、9−オクタデセン酸、オクタデカン酸、2−プロペン酸、トリデシルエステル、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−エイコサノール、およびそれらの組合せからなる群より選択される。さらなる一実施形態では、精油の量は8重量%を超える。さらなる一実施形態では、精油の量は25重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、精油の量は50重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、精油の量は75重量%〜90重量%である。
【0018】
さらなる一実施形態では、トリテルペンは、ガノデリン酸、ルシデン酸、ガノルシジン酸、ガノデリオール、ルシドン、ルシデュモール、ガノデルメノノール、ガノデルマジオール、ガノデルマトリオール、ガノデルマノンジオール、ガノデルマノントリオール、およびそれらの組合せからなる群より選択される。さらなる一実施形態では、トリテルペンの量は2重量%を超える。さらなる一実施形態では、トリテルペンの量は25重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、トリテルペンの量は50重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、トリテルペンの量は75重量%〜90重量%である。
【0019】
さらなる一実施形態では、多糖は、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロースウロン酸、およびそれらの組合せからなる群より選択される。さらなる一実施形態では、多糖の量は15重量%を超える。さらなる一実施形態では、多糖の量は25重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、多糖の量は50%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、多糖の量は75重量%〜90重量%である。
【0020】
さらなる一実施形態では、抽出物は、精油2重量%〜99重量%、トリテルペン5重量%〜88重量%、および多糖2重量%〜95重量%を含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、本発明の霊芝種抽出物を含む食品または医薬品に関する。
【0022】
別の態様では、本発明は、a)超臨界二酸化炭素抽出によって霊芝種植物材料を抽出して、精油画分および第1の残渣を得る工程、b)アルコール抽出によって工程a)からの第1の残渣を抽出して、トリテルペン画分および第2の残渣を得る工程、ならびにc)水抽出によって工程b)からの第2の残渣を抽出し、多糖をアルコールで沈殿させて多糖画分を得る工程によって逐次的に霊芝種植物材料を抽出して、精油画分、トリテルペン画分、および多糖画分を得ることを含む、少なくとも1つの所定の特徴を有する霊芝種抽出物の調製方法に関する。
【0023】
さらなる一実施形態では、工程a)は、1)粉砕霊芝種植物材料を抽出容器に入れる工程、2)超臨界条件下で二酸化炭素を添加する工程、3)霊芝種植物材料と二酸化炭素をある時間接触させる工程、および4)精油画分を収集容器に収集する工程を含む。さらなる一実施形態では、方法は、超臨界二酸化炭素画分分離システムで精油画分を分画することによって、精油化合物の比を変える工程をさらに含む。さらなる一実施形態では、超臨界条件は、35℃〜90℃で60バール〜800バールの圧力を含む。さらなる一実施形態では、超臨界条件は、40℃〜80℃で60バール〜500バールの圧力を含む。さらなる一実施形態では、その時間は30分〜2.5時間である。さらなる一実施形態では、その時間は1時間である。
【0024】
さらなる一実施形態では、工程b)は、1)工程a)からの第1の残渣を、トリテルペン化学構成成分を抽出するのに十分な時間、アルコール溶媒と接触させる工程、2)液液溶媒抽出プロセスを使用してトリテルペン化学構成成分を精製する工程を含む。さらなる一実施形態では、一方の溶媒はクロロホルムであり、他方の溶媒は飽和NaHCO3水溶液である。さらなる一実施形態では、アルコール溶媒はエタノールである。さらなる一実施形態では、工程1)は30℃〜100℃で実施される。さらなる一実施形態では、工程1)は60℃〜100℃で実施される。さらなる一実施形態では、その時間は1〜10時間である。さらなる一実施形態では、その時間は1〜5時間である。さらなる一実施形態では、その時間は2時間である。
【0025】
さらなる一実施形態では、工程c)は、1)多糖を抽出するのに十分な時間、霊芝種植物材料または工程b)からの第2の残渣を水と接触させる工程、および2)アルコール沈殿によって水溶液から多糖を沈殿させる工程を含む。さらなる一実施形態では、水は70℃〜90℃である。さらなる一実施形態では、水は80℃〜90℃である。さらなる一実施形態では、その時間は1〜5時間である。さらなる一実施形態では、その時間は2〜4時間である。さらなる一実施形態では、その時間は2時間である。さらなる一実施形態では、アルコールはエタノールである。
【0026】
別の態様では、本発明は、本発明の方法によって調製された霊芝種抽出物に関する。
【0027】
別の態様では、本発明は、エルゴステロール、エルゴステロールの25〜35重量%のガノルシジン酸A、エルゴステロールの10〜20重量%のガノルシジン酸B、およびエルゴステロールの30〜40重量%のガノデリン酸Hを含む霊芝種抽出物に関する。
【0028】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸Hおよびガノデリン酸Hの25〜35重量%のガノルシジン酸Aを含む霊芝種抽出物に関する。
【0029】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸H、ガノデリン酸Hの5〜15重量%のルシデン酸B、ガノデリン酸Hの1〜10重量%のルシデン酸A/N、およびガノデリン酸Hの35〜45重量%のガノルシジン酸Aを含む霊芝種抽出物に関する。
【0030】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸Hおよびガノデリン酸Hの5〜15重量%のガノデラールを含む霊芝種抽出物に関する。
【0031】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸H、ガノデリン酸Hの35〜45重量%のガノルシジン酸A、ガノデリン酸Hの10〜20重量%のガノルシジン酸B、およびガノデリン酸Hの30〜40重量%のセレビステロール(cerevisterol)を含む霊芝種抽出物に関する。
【0032】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸H、ガノデリン酸Hの10〜20重量%のガノルシジン酸B、およびガノデリン酸Hの5〜15重量%のガノデラールを含む霊芝種抽出物に関する。
【0033】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸H、ガノデリン酸Hの10〜20重量%のガノルシジン酸B、ガノデリン酸Hの20〜30重量%のメトキシセレビステロール、およびガノデリン酸Hの20〜30重量%のセレビステロールを含む霊芝種抽出物に関する。
【0034】
別の態様では、本発明は、エルゴステロール、エルゴステロールの30〜40重量%のガノルシジン酸A、エルゴステロールの5〜15重量%のガノルシジン酸B、およびエルゴステロールの65〜75重量%のガノデリン酸Hを含む霊芝種抽出物に関する。
【0035】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸H、ガノデリン酸Hの30〜40重量%のガノルシジン酸B、ガノデリン酸Hの40〜50重量%のメトキシセレビステロール、およびガノデリン酸Hの35〜45重量%のセレビステロールを含む霊芝種抽出物に関する。
【0036】
別の態様では、本発明は、エルゴステロール、エルゴステロールの1〜10重量%のガノルシジン酸A/B、エルゴステロールの1〜10重量%のガノデリオールF、およびエルゴステロールの50〜60重量%のラノステロールを含む霊芝種抽出物に関する。
【0037】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸H、ガノデリン酸Hの60〜70重量%のガノルシジン酸A、ガノデリン酸Hの25〜35重量%のガノルシジン酸B、およびガノデリン酸Hの10〜20重量%のルシデン酸A/Nを含む霊芝種抽出物に関する。
【0038】
本発明の抽出物は、それに限定されるものではないが、免疫促進、免疫抑制および抗移植拒絶反応、抗酸化活性、抗炎症活性、抗関節炎、抗リウマチ、抗自己免疫疾患、抗アレルギー、抗血小板凝集、血糖降下活性および抗糖尿病活性、抗高血圧、抗高コレステロール血症、心臓血管疾患および卒中の予防、抗変異原性活性(癌予防)、抗発癌性活性(癌療法)、抗ウィルス、抗HIV、抗単純ヘルペス、抗帯状疱疹、抗B型肝炎、抗菌活性、ならびに肝臓保護作用および肝硬変の治療を含む生理的かつ医学的効果を提供するのに有用である。
【0039】
本開示のこれらの実施形態、他の実施形態、ならびにそれらの特性および特徴は、以下の説明、図、および請求の範囲から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
定義
冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法的対象の1つまたは2つ以上(即ち少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例えば「一要素」とは、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0041】
「霊芝種」という用語はまた、lingzhi、reichi、またはマンネンタケと同義に使用され、これらの植物、クローン、変種、および枝変り等を意味する。
【0042】
本明細書で使用されるように、「1つまたは複数の化合物」という用語は、少なくとも1つの化合物、例えば1−ヘプタデカノール(霊芝種の脂溶性精油化学構成成分)もしくはガノデリン酸(霊芝種の水溶性および水−エタノール可溶性トリテルペン)、または霊芝種の水溶性−エタノール不溶性多糖分子、例えばそれに限定されるものではないが、ガノデランAが企図されることを意味し、あるいは2つ以上の化合物、例えば1−ヘプタデカノールおよびガノデリン酸Aが企図されることを意味する。当技術分野で知られているように、「化合物」という用語は、単一分子を意味するものではなく、多数のまたは数モルの1つまたは複数の化合物を意味するものである。当技術分野で知られているように、「化合物(compound)」という用語は、明確な化学的および物理的特性を有する特定の化学構成成分を意味し、「化合物(compounds)」は、1つまたは複数の化学構成成分を指す。
【0043】
本明細書で使用されるように、「画分」という用語は、いくつかの物理的、化学的特性、または物理的もしくは化学的特性によって特徴付けられる特定の群の化合物を含む抽出物を意味する。
【0044】
本明細書で使用されるように、精油画分という用語は、霊芝種から得られるまたは霊芝種に由来する脂溶性の水不溶性化合物を含み、それに限定されるものではないが、1−ヘプタデカノール、2−プロペン酸、トリデシルエステル、n−ヘキサデカン酸、(Z)−9−オクタデセン−1−オール、1−エイコサノール、(Z,Z)−9,12−オクタデカジエン酸、およびリノエライジン酸として分類される化合物が含まれる。
【0045】
本明細書で使用されるように、「トリテルペン画分」という用語は、霊芝種から得られるまたは霊芝種に由来する水溶性およびエタノール可溶性トリテルペン化合物を含み、それに限定されるものではないが、ガノデリン酸、ルシデン酸、ガノルシジン酸、ガノデリオール、ルシドン、およびガノデルミアトリオール(ganodermiatriol)などの化合物をさらに含む。
【0046】
本明細書で使用されるように、「多糖画分」という用語は、霊芝種から得られるまたは霊芝種に由来する水溶性−エタノール不溶性多糖化合物を含む。
【0047】
霊芝種の他の化学構成成分が、これらの抽出画分に存在することもできる。
【0048】
本明細書で使用されるように、「精製済み」画分という用語は、その画分の化学構成成分の50%超に濃縮しているいくつかの物理−化学的特性または物理的もしくは化学的特性によって特徴付けられる特定の群の化合物を含む画分を意味する。換言すれば、精製済み画分は、その画分を定義するいくつかの所望の物理−化学的特性、または物理的もしくは化学的特性によって特徴付けられない化学構成成分化合物を50%未満含む。
【0049】
本明細書で使用されるように、「プロファイル」という用語は、抽出画分内の化合物の質量パーセント比を指し、または最終霊芝種抽出物における3つの霊芝種画分化学構成成分のそれぞれの質量パーセント比を指す。
【0050】
本明細書で使用されるように、「原料」は一般に、植物全体を単独で、または子実体、菌糸、および胞子を含む植物の1つもしくは複数の構成部分もしくは段階のものと組み合わせて含む未加工の植物材料を指し、この植物または構成部分は、未加工のままの材料、処理を容易にするために乾燥、蒸気加工、加熱した材料、またはそれ以外の物理的処理にかけた材料を含むことができ、さらには、そのままの材料、植物材料の寸法および物理的完全性に影響を与えるために切断し、切り刻み、さいの目切りにし、粉砕し、挽き、またはそれ以外の処理にかけた材料を含むことができる。場合により「原料」という用語は、さらなる抽出プロセスのための供給物源として使用されることになる抽出生成物を特徴付けるために使用することができる。
【0051】
本明細書で使用されるように、「霊芝種構成成分」という用語は、霊芝種に見られる化合物を意味すべきであり、先に同定したような化合物、ならびにそれに限定されるものではないが精油化学構成成分、トリテルペン、タンパク質、および多糖を含む霊芝種に見られる他の化合物すべてを含むべきである。
【0052】
抽出物
本発明は、霊芝に見られる1つまたは複数の化学構成成分画分および関連種を含む抽出物を含む。本発明はまた、本明細書で教示される霊芝および関連種抽出物を含む抽出物を含む摂取可能な生成物を含む。例えば、本発明は、霊芝または関連種抽出物を含む、急速に溶解する錠剤を含む抽出物を含み、ここで精油画分、精油副画分、トリテルペン画分、または多糖画分の少なくとも1つは、天然植物材料に見られる重量パーセント量、または知られている霊芝種抽出物に現在のところ見られる重量パーセント量と比較して、重量パーセント量が実質的に増加している。
【0053】
精油画分
超臨界二酸化炭素(SCCO2)抽出技術によって、95%を超える純度の霊芝精油を抽出した。最高抽出収率は、温度70℃および圧力500バールで1.22%であることが見出された。ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)解析を使用して、合計75の化合物を同定した。霊芝精油に見られる主な化合物は、C11〜C20脂肪酸である。最も豊富なものは、C18脂肪酸、9,12−オクタデカジエン酸(Z,Z)−(CAS:60−33−3)(化合物59)およびリノエライジン酸、(E,Z)−異性体(化合物60)であり、それらの両方は立体異性体である。リノエライジン酸、(E,Z)−異性体は、植物のグリコシドに広く存在する二重不飽和脂肪酸である。リノエライジン酸、(E,Z)−異性体は、哺乳類の栄養には必須の脂肪酸であり、プロスタグランジンおよび細胞膜の生合成に使用される。
【0054】
2番目に豊富な化合物は、C16飽和脂肪酸n−ヘキサデカン酸(CAS:57−10−3)(化合物46)である。他の脂肪酸には、オクタン酸(C8H16O2、CAS:124−07−2)、テトラデカン酸(C14H28O2、CAS:544−63−8)、ペンタデカン酸(C15H30O2、CAS:1002−84−2)、9−オクタデセン酸(C18H34O2、CAS:112−80−1)、およびオクタデカン酸(C18H36O2、CAS:57−11−4)が含まれる。
【0055】
化合物の第2の主な群はアルコールであり、それには1−ウンデカノール(C11H24O、CAS:112−42−5)、1−ドデカノール(C12H26O、CAS:112−53−8)、1−テトラデカノール(C14H30O、CAS:112−72−1)、1−ヘキサデカノール(C16H34O、CAS:36653−82−4)、1−ヘプタデカノール(C17H36O、CAS:1454−85−9)、および1−エイコサノール(C20H42O、CAS:629−96−9)等が含まれる。これらの脂肪族アルコールは未変化のままであり、エステルには変換しなかった。
【0056】
超臨界二酸化炭素抽出を使用することによって、霊芝精油の化学的性質をプロファイルし、それをまとめた結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
脂肪酸は、54%および85%の間にプロファイルすることができる。全脂肪酸では、化合物59、9,12−オクタデカジエン酸(Z,Z)−および化合物60、リノエライジン酸が、75質量%〜95質量%を占める。アルコールは、10%および36%の間にプロファイルすることができる。霊芝精油に存在する他の少量の化合物に関して、エステルは2.5%および6%の間にプロファイルすることができ、アルデヒドは0.37%および2.55%の間にプロファイルすることができる。より高い濃度の脂肪酸は、高圧で得ることができ、より高い濃度の脂肪アルコールは、100バールの低圧および80℃の高温で得ることができる。
【0058】
トリテルペン画分
霊芝トリテルペンは、エタノールを使用して抽出され、液液精製により、pH変化によるトリテルペン酸およびそれらの塩の間の可溶性変化を使用することによって精製された。最終精製トリテルペン画分では、全トリテルペンの純度は、原料中0.6%およびエタノール粗抽出物中19.9%から87.5%に増加した。市販の3つのトリテルペンHPLC参照標準、ガノデリン酸A、ガノデリン酸F、およびガノデルマチオール(ganodermatiol)は、霊芝の全トリテルペン中の約4%しか占めていない。
【0059】
多糖画分
霊芝多糖を蒸留水によって抽出し、60〜80%のエタノールによって沈殿させた。収率は1.5%〜2%であった。デキストラン参照標準に基付く多糖純度は、デキストランの様々な分子量に依存して50%〜80%である。沈殿した多糖−糖タンパク質の平均分子量は953377であったが、これは様々な分子量の霊芝多糖および糖タンパク質からなり、その中でも51%が、1.6Mの高分子量の多糖および糖タンパク質であった。沈殿した多糖−糖タンパク質はまた、Accu−TOF DART質量分析によって特徴付けられた。そのスペクトルを、図6および7に示す。
【0060】
かかる抽出物の一実施形態は、抽出し精製した所定濃度の化学構成成分画分を含み、霊芝種精油画分/トリテルペン画分、精油画分/多糖画分、およびトリテルペン画分/多糖画分濃度(乾燥重量%)プロファイル(比)は、天然乾燥植物材料または従来の霊芝種抽出生成物に見られるものよりも大きいか、または小さい。個々の霊芝種の有益な化学構成成分の濃度関係(化学的プロファイル)を変更することによって、特定のヒトの状態または疾患に対して設計された独特または新規な霊芝種抽出生成物の配合が可能になる。例えば、免疫促進のための新規かつ強力な霊芝抽出物は、質量%で、霊芝天然植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも多い精製済み多糖画分、ならびにそれよりも少ない精油画分およびトリテルペン画分を有することができよう。それとは対照的に、抗ウィルス活性および抗インフルエンザ活性のための新規霊芝抽出物は、質量%で、霊芝天然植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも多い精製済みトリテルペン画分および精製済み多糖画分、ならびにそれよりも少ない精油画分を有することができよう。抗炎症活性のための新規霊芝抽出プロファイルの別の例は、天然霊芝植物材料または知られている従来の霊芝抽出生成物に見られるよりも多い精製済み精油画分、精製済みトリテルペン画分、および精製済み多糖画分を有する抽出プロファイルとなろう。
【0061】
本発明のさらなる一実施形態は、精油化学構成成分の新規副画分を含む抽出物であり、それに限定されるものではないがアルコールまたは脂肪酸などの特定の化学群の濃縮物は、新規抽出生成物の減少に対して増加するそれぞれの濃度を有する。
【0062】
天然霊芝と比較した抽出物
いくつかの実施形態は、天然霊芝および関連種の植物材料または現在のところ利用可能な霊芝種抽出生成物に見られるよりも多量の精油、トリテルペン、または多糖濃縮物の少なくとも1つを有する霊芝および関連種の抽出物を含む。いくつかの実施形態はまた、精油、トリテルペン、または多糖を含む画分の1つまたは複数が、天然霊芝種植物材料に見られるよりも高い濃度で見られる抽出物を含む。いくつかの実施形態はまた、精油、トリテルペン、または多糖を含む画分の1つまたは複数が、天然霊芝種に見られるよりも低い濃度で見られる抽出物を含む。霊芝種の生物活性のある化学構成成分画分の知られている量(表1)を、本発明の一例として使用する。例えば本発明の抽出物は、精油の濃度が天然霊芝種の濃度の0.001〜80倍である画分、および/またはトリテルペンの濃度が天然霊芝種の濃度の0.001〜100倍である画分、および/または多糖の濃度が天然霊芝種の濃度の0.001〜70倍である画分を含む。本発明の抽出物は、精油の濃度が天然霊芝種の濃度の0.01〜80倍である画分、および/またはトリテルペンの濃度が天然霊芝種の濃度の0.01〜100倍である画分、および/または多糖の濃度が天然霊芝種の濃度の0.01〜70倍である画分を含む。さらに本発明の抽出物は、天然霊芝植物材料の精油化学構成成分に見られるよりも多量または少量の、天然植物材料精油中に存在する少なくとも1つまたは複数の化合物を有する精油化学構成成分の副画分を含む。例えば、エステル、2−プロペン酸、トリデシルエステルは、SCCO2抽出条件に依存して、12倍の濃度増加範囲となる精油副画分の0.22〜2.53質量%の濃度範囲を有することができる。それとは対照的に、脂肪酸、n−ヘキサデカン酸は、2.5倍の濃度範囲となる精油副画分中4.00〜9.86質量の濃度範囲を有することができる。さらにこれらの2つの精油化合物の比は、1/15〜1/3の範囲となり得る。表3に示すように、異なる精油副画分は、大いに異なる化学構成成分および化学構成成分比を含有し得る。本発明の抽出物は、かかる新規精油副画分中の特定の化合物の濃度が、天然霊芝精油化学構成成分に見られる濃度の約1.1〜約6倍の増加または約0.1〜約6倍の減少となる画分を含む。
【0063】
例えば本発明の抽出物は、精油化学構成成分の濃度が天然霊芝植物材料の濃度の0.001〜100倍である画分、および/またはトリテルペンの濃度が天然霊芝植物材料の濃度の0.0001〜100倍、および/または多糖が天然霊芝植物材料の濃度の0.001〜100倍である画分を含む。混合抽出物を製造する場合、約0.001mg〜約200mgの精油画分を使用することができる。さらに、約0.001mg〜約500mgのトリテルペン画分を使用することができる。さらに、約0.001mg〜約500mgの水溶性エタノール不溶性多糖画分を使用することができる。
【0064】
抽出方法
本発明の方法は、ヒトの疾患の治療および予防のための新規霊芝抽出物を提供することを含む。例えば、免疫促進活性のための新規霊芝種抽出物は、重量%で、霊芝種天然植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも高い多糖画分濃度ならびに低い精油およびトリテルペン画分濃度を有することができる。ウィルス疾患の予防および治療のための新規霊芝種抽出物は、重量%で、天然霊芝種植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも多いトリテルペンおよび多糖画分、ならびに少ない精製画分を有することができる。癌の予防および治療のための新規霊芝種抽出物の別の例は、天然霊芝種植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも高いトリテルペン画分濃度、高い多糖画分濃度、および高い精油画分濃度を有する画分を含む。
【0065】
さらなる実施形態は、天然植物材料に見られるもの、または現在利用可能な霊芝種抽出生成物に対して変更されたプロファイル(比分布)の霊芝種化学構成成分を含む抽出物を含む。例えば、精油画分は、トリテルペンおよび/または多糖濃度に対して増加しても減少してもよい。同様に、トリテルペンまたは多糖を、他の抽出物構成成分の画分に対して増加または減少させて、特定の生物学的作用のための新規構成成分の化学的プロファイル抽出を可能にすることができる。
【0066】
教示される以下の方法は、個々に、または開示されている方法もしくは当業者に知られている方法と組み合わせて使用することができる。
【0067】
抽出の出発材料は、1つまたは複数の霊芝種からの植物材料である。植物材料は、植物の任意の部分であってよいが、子実体または菌糸が最も好ましい出発材料である。
【0068】
霊芝種植物材料を予備抽出工程にかけて、その材料を任意の特定の形態にすることができ、抽出に有用な任意の形態が本発明によって企図される。かかる予備抽出工程には、それに限定されるものではないが、材料が切り刻まれ、細分に刻まれ、細長く刻まれ、粉砕され、微粉化され、切断され、または引き裂かれる工程が含まれ、出発材料は、予備抽出工程の前に乾燥されるか、または新鮮な植物材料のままである。好ましい予備抽出工程は、霊芝種植物材料を、微粉に粉砕および/または微粉化する工程を含む。出発材料または予備抽出工程後の材料は乾燥されるか、または湿気を与えられる。霊芝種植物材料が抽出用の形態になると、本発明によって抽出方法が企図される。
【0069】
表4は、本発明に使用される霊芝種原料に見られる有益な主な生物活性化学構成成分画分および主な生物活性化合物のいくつかを列挙するものである。
【0070】
【表4−1】
【0071】
【表4−2】
【0072】
【表4−3】
【0073】
【表4−4】
本発明の抽出方法は、本明細書に開示のプロセスを含む。一般に本発明の方法は、超臨界流体抽出(SFE)を使用して、溶媒として二酸化炭素(SCCO2)を用いて霊芝種植物材料を抽出し、それに1つまたは複数の溶媒抽出工程、例えばそれに限定されるものではないが、水、含水アルコール、およびアフィニティーポリマー吸収抽出プロセスが続く方法を部分的に含む。本発明で企図されるさらなる他の方法は、他の有機溶媒、冷媒化学物質、圧縮性ガス、可聴化(sonification)、高圧液体抽出、高速向流クロマトグラフィー、分子インプリントポリマー、および他の知られている抽出法を使用する霊芝種植物材料の抽出を含む。かかる技術は当業者に知られている。一態様では、本発明の抽出物は、図1〜5に概略的に示した工程を含む方法によって調製することができる。
【0074】
本発明は、SCCO2技術を使用して、霊芝植物材料から精油および他の脂溶性化合物を濃縮(精製)およびプロファイルするプロセスを含む。本発明は、霊芝の脂溶性化学構成成分を、例えば高純度の精油画分(高い精油化学構成成分濃度)に分画することを含む。さらに本発明は、抽出画分中の個々の化学構成成分が、それらの化学構成成分比またはプロファイルを変更され得るSCCO2プロセスを含む。例えば、精油画分中の化学構成成分のSCCO2画分分離によって、他の精油化合物に対していくつかの精油化合物が選択的に抽出可能となり、その結果、他の化合物の濃度よりも高いいくつかの化合物の濃度を有する精油抽出副画分を得ることができる。
【0075】
本発明で教示されるSCCO2での霊芝種の精油化学構成成分の抽出によって、有害な有機溶媒の使用が排除され、各抽出物の同時分画が実現する。二酸化炭素は、天然の安全な生物学的生成物であり、多くの食品および飲料に含まれる成分である。
【0076】
当帰(Ligusticum)の生物学的に活性な化学構成成分の抽出方法の概略図を、図1〜5に示す。抽出プロセスは、一般にそれに限定されるものではないが、4工程である。本文参照に関して、下線の数字が括弧中に現れた場合[x]、その数字は図1〜5の数字を指す。抽出プロセスに使用される分析方法は、実施例部分で提示される。
【0077】
工程1:霊芝精油の超臨界流体二酸化炭素抽出
精油の疎水性性質に起因して、それに限定されるものではないが、SCCO2、ヘキサン、石油エーテル、および酢酸エチルを含む非極性溶媒を、この抽出プロセスで使用することができる。精油のいくつかの成分は揮発性であるため、抽出プロセスとして蒸気蒸留を使用することもできる。
【0078】
SCCO2を使用する霊芝種の根茎からの精油化学構成成分抽出の概略図を、図1−工程1Aおよび1Bに図示する。原料[10]は、乾燥した粉砕霊芝種子実体である(約140メッシュ)。抽出溶媒[210]は、純粋な二酸化炭素である。共溶媒としてエタノールを使用することができる。原料を、SFE抽出容器[20]に入れる。パージおよび漏出試験後、このプロセスは、貯蔵容器から冷却器を介してCO2ポンプに流れる液化CO2を含む。CO2は、所望の圧力に圧縮され、圧力および温度が所望のレベルに維持される抽出容器内で原料を貫流する。抽出の圧力は、約60バール〜800バールの範囲であり、温度は約35℃〜約90℃の範囲である。本明細書で教示されるSCCO2抽出は、好ましくは少なくとも100バールの圧力および少なくとも35℃の温度、より好ましくは約60バール〜500バールの圧力および約40℃〜約80℃の温度で実施される。抽出の単一段階についての抽出時間は、約30分〜約2.5時間、〜約1時間の範囲である。溶媒と供給物の比は、各SCCO2抽出につき、一般に約60対1である。CO2は、再利用される。次いで、抽出された精製およびプロファイル済み精油化学構成成分[30]は、コレクターまたはセパレーターに収集され、光防止ガラス瓶に保存され、冷暗庫中4℃で貯蔵される。霊芝原料[10]材料は、抽出および精製済みの得られた霊芝精油画分[30]が、1つのコレクターSFEもしくはSCCO2システム[20]に収集される1工程プロセス(図1、工程1A)で抽出することができ、または抽出された精製およびプロファイル済み霊芝精油副画分[50、60、70、80]が、1つのコレクターSFEシステム[20]で別々にかつ連続して収集される多段階(図1、工程1B)で抽出することができる。あるいは分画SFEシステムの場合、SCCO2抽出した霊芝原料物質は、コレクター容器(セパレーター)に分離され、各コレクター内に収集された精製済み精油副画分のそれぞれに異なる相対パーセンテージの精油化学構成成分抽出物(プロファイル)が存在するようにすることができる。残渣(残り)[40]は収集され、保存され、霊芝種トリテルペンおよび多糖の精製済み画分を得るためのさらなる処理に使用される。本発明の一実施形態は、60バール〜500バールの圧力および35℃と90℃の間の温度における多段階SCCO2抽出を使用する霊芝種原料の抽出、ならびに各段階後における抽出霊芝材料の収集を含む。本発明の第2の実施形態は、60バール〜500バールの圧力および35℃と90℃の間の温度におけるSCCO2分画抽出を使用する霊芝種原料の抽出、ならびに所定条件(圧力、温度、および密度)および所定間隔(時間)での異なるコレクター容器への抽出霊芝材料の収集を含む。多段階抽出器のそれぞれから、または異なるコレクター容器(分画システム)で得られる抽出された霊芝精製済み精油副画分を取り出し、独立に使用することができ、または混合して、天然植物材料もしくは従来の霊芝抽出生成物に見られるよりも高いもしくは低い所定の精油化学構成成分濃度を含む1つもしくは複数の霊芝精油抽出物を形成することができる。一般に、最大SCCO2単一抽出工程を使用する霊芝種植物材料からの精油画分の全収率は、約1.8重量%(精油化学構成成分の>95%)であり、抽出物の95質量%を超える精油化学構成成分純度を有する。実施例ならびにかかる抽出プロセスの結果は、以下の表5および6に見られる。手順は実施例1に見ることができる。
【0079】
【表5−1】
【0080】
【表5−2】
全抽出収率に対する温度効果は、そのシステムの圧力に依存し、100バールという低圧では、抽出収率は温度上昇と共に減少する。この知見は、およそ溶媒臨界点で圧力が操作される場合の大きな密度変化に寄与するものである(40CでのCO2密度は0.64g/ccであり、80CでのCO2密度は0.227g/ccである)。一方、300バールおよび500バールのより高い圧力では、抽出収率は温度上昇と共に上昇する。CO2の密度は温度によっては大して変化しないため、この知見は、溶質の蒸気圧に対する温度効果に寄与するものである。
【0081】
調査した実験範囲において密度および圧力は、霊芝キノコ系に関して抽出収率に大きな影響をもたらすと思われないことを明記することができる。しかし、温度は実質的な効果を有する。圧力および温度の両方が、抽出反応速度に影響をもたらす。温度上昇によって、抽出に好都合な化合物の蒸気圧の増大が促進される。さらに、温度および圧力がより高い値に上昇すると、拡散係数の増加および溶媒粘度の減少が草本の多孔質マトリックスからの化合物の抽出の助けにもなる。結論として、反応速度および収率両方の観点から、最大SCCO2抽出のために高温および高圧が使用されるべきである。
【0082】
表4および5から認められるように、霊芝種子実体原料に見られる主な化合物は、C11〜C20脂肪酸である。最も多量なものは高級アルコールC18脂肪酸の9,12−オクタデカンジエン酸(Z,Z)−およびリノエライジン酸(E,Z)−である。共に立体異性体である。リノエライジン酸(E,Z)−異性体は、植物の配糖体に広く存在する二重不飽和脂肪酸である。精油画分に見られる化合物の第2の主要な群は、アルコールである。これらの化合物で最も多量なものは、C17、C18、およびC20高級アルコールである。これらの脂肪族アルコールは、抽出を用いても未変化のままであり、エステルに変換しなかった。高純度の揮発性油化合物は、霊芝種原材料のSCCO2精油抽出物画分中に存在する。さらに、霊芝種精油抽出物画分は、SCCO2を使用してプロファイルすることができる(表3)。例えば、より高い濃度のアルコールは、80℃などのより高い抽出温度および100バールなどの低圧で得ることができる。それとは対照的に、より高い濃度のC18脂肪酸異性体は、40〜70℃の温度および500バールなどの高圧で得ることができる。
【0083】
霊芝種のSCCO2抽出の収率は、温度40〜80℃および圧力100〜500バール、溶媒/供給物(S/F)比180で原料の約0.6〜1.2質量%であった(表6)。
【0084】
【表6】
工程2.粗トリテルペノイド画分抽出のエタノール浸出プロセス
一態様では本発明は、活性なトリテルペン化合物の抽出および濃縮を含む。この工程の概略図を、図2−工程2に図示する。この工程2の抽出プロセスは、溶媒浸出プロセスである。この抽出プロセスの原料は、霊芝種天然原料[10]または精油化学構成成分のSCCO2抽出後の残渣[40]である。抽出溶媒[220]は、水性エタノール、エタノール、または他のアルコールであってよい。この方法では、霊芝種残渣および抽出溶媒を抽出容器[100]に入れ、加熱し攪拌する。90℃、約80℃、約70℃、約60℃、または約60〜80℃に加熱することができる。抽出は、約1〜10時間、約1〜6時間、約1〜3時間、または約2時間で実施される。得られた流体抽出物を遠心分離にかける[120]。濾液(上清)を生成物として収集し[120]、体積および乾燥質量固形分を測定する。固体抽出残渣材料[130]を保持し、さらなる処理のために保存する(工程4参照)。必要または所望に応じた回数、抽出を反復することができる。2回以上、3回以上、4回以上等反復することができる。例えば、図1−工程2は3段階プロセスを示しており、第2段階および第3段階では、同じ方法および条件を使用する。この抽出工程の一例は実施例2に見られ、結果を表7〜9に示す。
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
工程3.トリテルペン画分の精製
霊芝種の粗トリテルペン抽出物からのトリテルペン画分の抽出および精製の概略図を、図3−工程3に図示する(別表1)。原料[120]は、工程2の3段階エタノール浸出プロセスからの粗トリテルペン抽出物である。溶媒は、クロロホルム[230]および飽和重炭酸ナトリウム(NaHCO2)水溶液(10%)[240]である。この方法では、粗トリテルペン抽出原料[]120および第1の抽出溶媒[230]を抽出容器[100]に入れ、攪拌して、粗トリテルペン画分を溶媒に溶解する。クロロホルム溶媒をセパレーターシステム[320]に入れる。次いで第2の抽出溶媒[240]を、セパレーターシステム中の溶液に添加し、混合し、換気し、静置して、クロロホルム溶媒(低層)から水ベースの溶媒(上層)を分離する。水ベースの溶液層を収集し[400]、体積および乾燥質量固体分を測定する。クロロホルム(低層)残渣溶液[340]は、NaHCO2抽出のさらなる段階のために保持することができる。必要または所望に応じた回数、NaHCO2抽出を反復することができる。2回以上、3回以上、4回以上等反復することができる。例えば、図3−工程3AはNaHCO2の3段階プロセスを示しており、第2段階および第3段階では、同じ方法および条件を使用する。各抽出段階から収集された水ベースの溶液[400+410+420]を混合する[430]。混合溶液を酸性にする。酸はHClである[250]。溶液の最終pHは、約3〜5、または約4であってよい。次いで、溶媒のクロロホルム[260]を用いて溶媒セパレーターシステム[320]を使用して、酸性化溶液を抽出する[340]。所望のトリテルペノイドを含有するクロロホルム溶液層を収集し、保存する[450]。必要または所望に応じた回数、クロロホルム抽出プロセスを反復することができる。例えば、図3の工程3Bは、クロロホルム2段階プロセスを示しており、第2段階では、同じ方法および条件を使用する。抽出完了後の水ベースの残渣は破棄される。ロータリーエバポレーションを使用して、減圧下で多段階クロロホルム溶媒[480]を蒸発させ、再利用する[390]。精製済みトリテレン画分を乾燥させて[395]残りのクロロホルムを除去し、精製済みトリテルペン画分[500]として保存する。この抽出工程の一例は、実施例3に見ることができ、結果を表4に示す。
【0088】
精製済みトリテルペン画分の全収率は、最初の霊芝原料に対して0.6質量%であり、トリテルペン純度は約88%であり、粗トリペルペン抽出画分の純度の4倍増であった。したがってトリテルペノイド収率は、最初の霊芝原料に存在するトリテルペノイドの65%を超えていた。130を超える高度酸化トリテルペンおよび関連化合物がG.ルシダム植物材料から単離されたことを考えると、期待される数々の未知のピークは、このHPLCクロマトグラムによって明らかとなる。3つの参照標準、ガノデリン酸A、ガノデリン酸F、およびガノデルマトリオールの全濃度は約4%であり、これは、精製済みトリテルペン画分の商業用処理における品質管理のための全トリテルペノイドアッセイの重要性を支持するものであった。
【0089】
工程4.水浸出プロセスおよび多糖沈殿
霊芝種の化学構成成分の多糖抽出画分は、「水溶性エタノール不溶性抽出画分」として科学文献に定義されている。水溶媒浸出およびエタノール沈殿プロセスを使用する霊芝種抽出物からの多糖画分の抽出の概略図を、図4−工程4に図示する。原料[10]または[120]は、天然霊芝種植物材料粉末または工程2のエタノール浸出抽出プロセスからの固体残渣である。この原料は、2段階で浸出抽出される。溶媒は蒸留水である[270]。この方法では、霊芝種原料[10]または[120]および抽出溶媒[270]を抽出容器[700]に入れ、加熱し攪拌する。それを100℃、約60℃、または約70〜80℃に加熱することができる。抽出は、約1〜5時間、約2〜4時間、または約2時間で実施される。必要または所望に応じた回数、抽出を反復することができる。多段階抽出溶液[700+720]を混合し、スラリーを濾過し[610]、遠心分離にかけ[620]、上清を収集し蒸発させて[630]水を除去した後、溶液中の化学物質濃度を約8倍増加させる[640]。次いで、無水エタノール[280]を使用して、溶液の最初の体積を再構成し、60〜80%エタノールの最終エタノール濃度にする。多量の沈殿物[650]を観測する。溶液を遠心分離にかけ[660]、デカントし[670]、上清残渣[750]をさらなる処理のために保存してもよく、または破棄してもよい。乾燥[680]後の沈殿生成物[740]は精製済み多糖画分[760]であり、比色法を用いて、参照標準として5,000、50,000、および410,000の分子量のデキストランを使用することによって、これを多糖について分析することができる。標準として3つの異なる分子量のデキストランを使用する抽出済み多糖画分の純度は、それぞれ約80%、59%、および52%であり、全収率は最初の天然霊芝原料の2質量%である。3つのデキストラン標準の純度測定値を組み合わせると、95%を超える非常に高いレベルの純度を示している。主な不純物は、望ましいレクチンタンパク質(3質量%)であると思われ、これも有益な生物活性特性を含有する。本発明の方法を、実施例4でさらに教示する。結果を表10に示す。さらにAccuTOF−DART質量分析を使用して、精製済み多糖画分を含む化合物の分子量をさらにプロファイルした。結果を図6および7に示す。
【0090】
【表10】
*収率は、最初の霊芝原料に対する質量%である。
【0091】
霊芝多糖収率は、最初の霊芝植物原料に対して約2質量%であった。多糖画分の純度は、520〜800mg/gのデキストラン標準当量であり、これは、画分中の純度が霊芝多糖化学構成成分の>90%であることを示すものであった。数々の様々な実験手法に基付くと、2%の収率は、天然霊芝種原材料中の水溶性−エタノール不溶性多糖のほぼ100%であると結論付けることは実に合理的である。さらに、画分中の主な不純物は、望ましいレクチンタンパク質であると思われるが、これは精製済み多糖画分の約3質量%を占めている。
【0092】
当技術分野では、溶液からアルコールを除去するための多くの方法が知られている。再利用のためにアルコールを保存することが望ましい場合、抽出後に標準大気圧または減圧下での蒸留によって溶液から除去することができる。このアルコールは再利用することができる。さらに、水溶液またはアルコールが除去された溶液、いずれかの溶液から水を除去するための当技術分野で知られている多くの方法も存在する。かかる方法には、それに限定されるものではないが炭酸マグネシウムまたはマルトデキストリンなどの適切な担体上に、それに限定されるものではないが水溶液を噴霧乾燥することが含まれ、あるいは液体を凍結乾燥またはリフラクティブウィンドウ(refractive window)乾燥することによって乾燥状態にすることができる。
【0093】
抽出物の純度
先に記載の抽出方法の実施では、霊芝種の最初の乾燥霊芝の樹皮原料中95%を超える純度の精油化学構成成分を有する50〜99質量%の収率の精油化学構成成分を、精油SCCO2抽出画分として抽出できるということが見出された(工程1A)。工程1Bに教示される方法を使用すると(SCCO2抽出および分画プロセス)、高度に精製された(>90%)精油副画分への精油化学構成成分の分画により、精油収率は減少するであろう。さらに本発明で教示されるSCCO2抽出および分画プロセスによって、精油化学構成成分画分を含む個々の化合物の比(プロファイル)を変えることが可能となり、その結果、特定の医療目的に合わせて独特の精油副画分プロファイルを作り出すことができる。例えばアルコール精油化学構成成分の濃度を増加すると同時に、脂肪酸化合物の濃度を減少することができ、またはその逆も同様である。
【0094】
本発明の工程2に教示される方法を使用すると、最初の霊芝種原料から3質量%の収率で、20%のトリテルペン化学構成成分濃度を有するエタノール浸出粗トリテルペン画分が実現する。これはさらに、天然霊芝種植物材料に見られるトリテルペン関連化学構成成分の約66%の収率に等しい。
【0095】
本発明の工程3に教示される方法を使用して(トリテルペン画分の精製)、抽出物の85乾燥質量%を超える純度のトリテルペン画分を得ることができる。含水アルコール浸出抽出原料からほぼ100%のトリテルペンを抽出することが可能である。これは、天然霊芝種植物材料に見られる約66%の収率のトリテルペン酸化学構成成分に等しい。
【0096】
本発明の工程4に教示される方法を使用すると、最初の霊芝種原料から1.5〜2.0質量%の収率で、90%を超える多糖純度を有する精製済み多糖画分が実現する。多糖収率は、天然霊芝種原材料に存在する水溶性エタノール不溶性多糖のほぼ100%である。この画分中の本質的な非多糖化学構成成分は、多糖画分の約3質量%を占めるレクチンタンパク質であると思われる。これらのタンパク質は、多糖と相乗的に作用し、画分の有益な生物活性を高めると思われる。
【0097】
最後に、本発明で教示される方法によって、霊芝種新規精油化学構成成分画分、新規精油画分または副画分、新規トリテルペン画分、および新規多糖画分の精製(濃縮)を、精油画分中99質量%もの高さの所望の化学構成成分、トリテルペン画分中87質量%もの高さ、および多糖画分中95質量%もの高さとなるようにすることが可能となる。使用される特定の抽出環境、抽出速度、溶媒、および抽出技術は、原料の始めの化学構成成分プロファイルおよび最終抽出生成物の所望の精製レベルに依存する。本発明で教示される特定の方法は、特定の特質を有する産出材料に加工される出発材料の特質におけるサンプル変動を説明するプロセス調節に一般的な、ほんの日常的な実験を使用して、当業者によって容易に決定され得る。例えば特定のある組の霊芝種植物材料では、精油化学構成成分、トリテルペン、および多糖の最初の濃度は、本発明で教示されるように、当業者に知られている方法を使用して決定される。当業者は、本明細書に開示の抽出法を使用して、精油化学構成成分の最初の濃度からの、例えば最終抽出生成物の精油化学構成成分の所定量または分布(プロファイル)までの変化量を決定して、最終霊芝種抽出生成物における所望の濃度および/または化学プロファイルに到達させることができる。
【0098】
食品および医薬品
本発明の食品の一形態として、任意選択の形態、例えば顆粒状態、粒状、ペースト状、ゲル状、固体状態、または液体状態に配合することができる。これらの形態では、食品に添加できる当業者に従来知られている様々な種類の物質、例えば結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、検査薬、緩衝剤、界面活性剤、溶解助剤、保存剤、乳化剤、等張剤、安定化剤、またはpH調節剤等が任意選択で含有され得る。食品に添加されるエルダーベリー抽出物の量は特に限定されず、例えば体重約60kgの成人によって摂取される量としては1日当たり約10mg〜5g、好ましくは50mg〜2gであってよい。
【0099】
特に、保健機能食品等の保存用食品として使用される場合、本発明の所定の効果が十分に示されるような量で本発明の有効成分を含有することが好ましい。
【0100】
本発明の医薬品は、例えば錠剤、顆粒、粉剤、カプセル剤等の固体薬剤、または注入剤等の液体薬剤として、従来知られている方法に従って任意選択で調製することができる。これらの医薬品には、例えば結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、検査薬、緩衝剤、界面活性剤、溶解助剤、保存剤、乳化剤、等張剤、安定化剤、またはpH調節剤などの一般に使用される任意の材料を配合することができる。
【0101】
医薬品としての有効成分(霊芝抽出物)の投与量は、種類、剤形、患者の年齢、体重、または適用される症候等に依存して変わり得、例えば経口投与される場合、体重約60kgの成人については1日1回または数回投与され、1日当たり約10mg〜5g、好ましくは約50mg〜2gの量で投与される。有効成分は、霊芝抽出物の1つまたはいくつかの成分であってよい。
【0102】
新規霊芝種抽出物は、急性または慢性の状態の有効な治療に合わせて1日に1回または複数回投与することができる。本発明の一方法は、霊芝種構成成分化合物を含む抽出物を、少なくとも1日1回投与することを含む。方法はまた、1日当たり2回以上、1日当たり3回以上、1日当たり4回以上、および1日当たり1〜15回の範囲でかかる抽出物を投与することを含む。かかる投与は、連続的にある日数、週数、月数、もしくは年数の間、毎日行うことができ、または特定の状態を治療もしくは予防するために特定の回数で行うことができる。例えばあるヒトは、免疫系を強化するため、または心臓血管疾患および卒中を予防するため、または炎症性障害および関節炎を予防もしくは治療するため、または高血圧を治療するため、または一般的な風邪、インフルエンザ、もしくは他のウィルス疾患を予防および治療するため、または細菌性疾患を予防もしくは治療するため、または糖尿病を治療するため、または高コレステロール血症を治療するため、または癌を予防もしくは治療するために、少なくとも1日1回数年間、霊芝種抽出物を投与され得る。
【0103】
前述の説明は、本発明の実施に現在企図されている最良の態様を含む。この説明は、本発明の一般的原理を例示するためのものであり、限定的な意味と解釈されるべきではない。本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これらは本発明の範囲に制限を付与するものと決して解釈されるべきではない。それとは逆に、本明細書の説明の読後に本発明の精神から逸脱することなく当業者にそれら自体を提案できる様々な他の実施形態、改変形態、およびそれらの等価物を手段として用いることができることを明確に理解されたい。
【0104】
本明細書で使用されるすべての用語は、当業者によって通常認められている用法で解釈されるとみなされる。本明細書に引用した特許および特許出願または参考文献は、すべて参照によってその全体が組み込まれる。
【実施例】
【0105】
材料および方法
植物
赤色の霊芝ルシダム(GL)乾燥キノコを、市販で入手した。原料中の活性化合物の濃度を研究所内で測定し表11に列挙した。
【0106】
【表11】
1精油は、70℃および500バールにおける最高収率のSCCO2抽出によって推定した
2トリテペノイドは、方法抽出によって推定した
3多糖−糖タンパク質、水抽出によって推定した。
【0107】
有機溶媒
アセトン(CAS:67−64−1)、≧99.5%、ACS試薬(179124);HPLC用アセトニトリル(CAS:75−05−8)、勾配グレード≧99.9%(GC)(000687);ヘキサン(CAS番号:110−54−3)、95+%、分光光度グレード(248878);酢酸エチル(CAS番号:141−78−6)、99.5+%、ACSグレード(319902);4.8%イソプロパノール(02853)で変性したエタノール(CAS:64−17−5);エタノール(CAS:64−17−5)、無水(02883);メタノール(CAS番号:67−56−1)、99.93%、ACS HPLCグレード(4391993);クロロホルム(CAS番号:67−66−3)、≧99.0%(GC)、および水(CAS番号:7732−18−5)、HPLCグレード(95304)。すべてSigma−Aldrichから購入した。
【0108】
酸および塩基
酢酸(64−19−7)、99.7+%、ACS試薬(320099);塩酸(7647−01−0)、体積標準1.0N水溶液(318949);重炭酸ナトリウム(S263−1、ロット番号:037406)は、Fisher Co.から購入した。Bradford試薬(製品番号B6916)は、sigmaから購入した。
【0109】
化学物質参照標準
血清アルブミン(9048−46−8)、ウシアルブミン(BSA)画分V粉末細胞培養試験済み(A9418)は、sigmaから購入した。ガノデリン酸A(ロット番号:07057−022)、ガノデリン酸F(ロット番号:07068−037)、およびガノデルマトリオール(ロット番号:07060−128)は、すべてsigmaから購入した。DINによって認定されたデキストラン標準5000(00269)、50,000(00891)、および410,000(00895)は、flukaから購入した。これら標準の構造を、表12に示す。
【0110】
【表12】
HPLC法
クロマトグラフシステム:LC10ADVPポンプとSPD−M10AVPフォトダイオードアレイ検出器を備えた島津高速液体クロマトグラフLC−10AVPシステム。
【0111】
得られたエタノール抽出生成物を、逆相JupiterC18カラム(250×4.6mmI.D.、5μ、300Å)(Phenomenex、パート番号:00G−4053−E0、シリアル番号:2217520−3、バッチ番号:5243−17)で測定した。注入量は10μlであり、移動相の流量は1ml/分であった。カラム温度は25℃であった。移動相は、A(2.5%酢酸水溶液、v/v)およびB(アセトニトリル)からなっていた。勾配を以下のようにプログラムした。最初の12分でBは30%を維持し、12〜30分では、溶媒Bは30%〜65%に直線的に増加し、30〜40分では、Bは65%を維持し、次いで40〜45分ではBは65%〜85%に直線的に増加した。
【0112】
加重した量の標準化合物を5mg/mlでエタノールに溶解することによって、表12に列挙した3つの標準のメタノール保存溶液を調製した。次いで、参照標準混合溶液を段階的に希釈して、それぞれ最終濃度2、1、0.5、0.1、0.05mg/mlの一連の溶液を得た。保存溶液および使用溶液すべてを7日間以内に使用し、+4℃の冷蔵庫で保存し、使用前に室温に戻した。これらの溶液を使用して、霊芝ルシダム抽出物中の化合物を同定し定量化した。ガノデリン酸A、ガノデリン酸F、およびガノデルマトリオールの保持時間は、それぞれ約13.33、21.63、および34.42分であった。0.01〜20μgの範囲の線形フィットを見出した。回帰式および相関係数は以下の通りであった。ガノデリン酸A:ピーク領域=790642×C(μg)−23406、R2=0.9994(N=6);ガノデリン酸F:ピーク領域=513374×C(μg)−12458、R2=0.9999(N=6);ガノデルマトリオール:ピーク領域=753902×C(μg)−29095、R2=0.9997(N=6)。HPLCの結果を表13に示す。各サンプル中の参照標準の含量を、ピーク領域をベースとする対応する較正曲線からの補間によって算出した。
【0113】
【表13】
1理論段はN=16×(tR/w)2によって算出した。tRは保持時間であり、wはピーク幅である。https://www.mn−net.com/web%5CMN−WEB−HPLCKatalog.nsf/WebE/GRUNDLAGEN。
【0114】
GC−MS分析
GC−MS分析は、島津GCMS−QP2010システムで実施した。このシステムは、高速ガスクロマトグラフ、直結GC/MSインターフェース、電子衝撃(EI)イオン源と独立温度制御、四重極質量分析器等を含む。このシステムは、データ収集および実施後分析のためのGCMS溶液Ver.2ソフトウェアで制御される。Agilent J&W DB−5溶融シリカ毛細管カラム(30m×0.25mm i.d.、0.25μmフィルム厚さ)(カタログ:1225032、シリアル番号:US5285774H)で、以下の温度プログラムを使用して分離を実施した。最初の温度60℃を2分間保持し、次いで4℃/分の速度で120℃に上昇し、15分間保持し、次いで4℃/分の速度で200℃に上昇し、15分間保持し、次いで4℃/分の速度で240℃に上昇し、15分間保持し、合計実施時間は92分であった。サンプル注入温度を250℃とし、サンプル1μlを、スプリットレスモードの自動注入器によって1分間注入した。キャリアガスはヘリウムとし、流量は圧力60KPaで制御した。かかる圧力下では、流量は1.03ml/分であり、直線速度は37.1cm/分であった。MSイオン源温度は230℃であり、GC/MSインターフェース温度は250℃であった。MS検出器を、50m/zおよび500m/zの間で、走査速度1000AMU/秒で走査した。溶媒カットオフ温度は3.5分であった。
【0115】
紫外線(UV)分光分析法によるトリテルペノイドの迅速定量化
機器:島津UV−Vis分光光度計(UVプローブを備えるUV1700:S/N:A1102421982LP)
標準
飽和重炭酸ナトリウム(NaHCO3)中0.2mg/mlの濃度のトリテルペノイド標準ガノデリン酸F溶液を生成する。各溶液を飽和重炭酸ナトリウムで0.2、0.1、0.05、0.025、0.0125mg/mlに希釈する。257nmの吸光度を記録する。結果を表14に示す。
【0116】
【表14】
多糖分析(Dubois1956)
機器:島津UV−Vis分光光度計(UVプローブを備えるUV1700:S/N:A1102421982LP)
標準
多糖分析には、比色法を使用した。デキストラン(Mw=5000、50,000、および410,000)保存溶液0.1mg/mlを蒸留水中に作製する。保存溶液0.08、0.16、0.24、0.32、0.40mlを取り、蒸留水で体積0.4mlにする。次いで5%のフェノール溶液0.2mlおよび濃硫酸1mlに添加する。混合物を10分間静置した後、UV走査を実施した。最大吸収は488nmで見られた。次いで波長を488nmに設定し、各サンプルについて吸収度を測定する。結果を表15に示す。デキストラン溶液のそれぞれについて、以下のように標準較正曲線を得た。デキストラン5K、吸収度=0.01919+0.027782C(μg)、R2=0.97(N=5);デキストラン50K、吸収度=0.0075714+0.032196C(μg)、R2=0.96(N=5);およびデキストラン410K、吸収度=0.03481+0.036293C(μg)、R2=0.98(N=5)。
【0117】
【表15】
多糖分子量分析
RID−10A屈折率検出器を備えたHPLCシステムで多糖分子量分析を行った。流量は0.6ml/分に設定した。300×7.8mmI.D.のTSK−GEL G4000PWXLカラムを使用して、分析を実施した(粒経10μm、細孔径300Å、日本東京港区東ソー株式会社、カタログ番号:08022、カラム番号:H3463)。移動相は蒸留水であり、注入量は10μlであった。カラム温度は35℃であり、RIDのセル温度は40℃であった。分析時間は40分であった。
【0118】
加重した量の標準化合物を5mg/mlの濃度で蒸留水に溶解することによって、異なる分子量のデキストラン標準の蒸留水保存溶液を調製した。デキストラン5k、デキストラン25k、デキストラン50k、デキストラン270k、およびデキストラン410kの保持時間は、表16に示すように、それぞれ約15.70、13.82、12.93、11.08、および10.76分であった。保持時間(X軸)対Log MW(Y軸)をプロットすることによって線形曲線フィットを得た。回帰式はLog(MW)=9.669−0.3817×Rt(R2=0.99859)であった。未知のサンプルの分子量は、サンプルの保持時間を知ることにより上記の式で算出することができる。
【0119】
【表16】
実時間直接分析(Direct Analysis in Real Time)(DART)質量分析
機器
JOEL AccuTOF DART LC飛行時間型質量分析計(Joel USA,Inc.、米国マサチューセッツ、ピーボディ)。この飛行時間型(TOF)質量分析計技術は、サンプル調製を必要とせず、質量単位0.00001までの精度で質量が得られる。
【0120】
画分分析方法
画分を得、分析するために使用した機器の設定は、以下の通りである。陽イオンモードでは、DARTニードル電圧は3000V、発熱体は250℃、電極1は100V、電極2は250V、およびヘリウムガス流は7.45リットル/分(L/分)である。質量分析については、オリフィス1は10V、リングレンズは5V、オリフィス2は3Vである。分解能を得るために、ピーク電圧を600Vに設定し約60m/zで開始し、より大きい質量範囲での十分な分解をさらに可能にする。マイクロチャネルプレート検出器(MCP)電圧を2450Vに設定する。0.5Mカフェイン溶液標準(Sigma−Alrich Co.、米国セントルイス)を使用して、毎朝較正を実施した後にサンプルを導入する。較正の許容差は≦5mmuに保持する。
【0121】
サンプルを滅菌鉗子でDARTヘリウムプラズマに導入し、サンプルの最大表面積をヘリウムプラズマビームに確実に曝露させる。ビーム内にサンプルを導入するために、掃引動作を用いる。この動作によって、サンプルを掃引1回当たり約0.5秒の前後のストロークに繰り返し曝露することができ、サンプルの熱分解が防止された。感知され得る全イオン流(TIC)信号が検出器で観測されるまでこの動作を反復し、次いでサンプルを除去し、ベースライン/バックグラウンドの正規化を可能にする。
【0122】
陰イオンモードでは、DARTおよびAccuTOF MSを、陰イオンモードに切り替える。ニードル電圧は3000V、発熱体は250℃、電極1は100V、電極2は250V、およびヘリウムガス流は7.45L/分である。質量分析については、オリフィス1は−20V、リングレンズは−13V、オリフィス2は−5Vである。ピーク電圧は200Vである。MCP電圧は2450Vに設定される。陽イオンモードと厳密に同様にサンプルを導入する。機器を備えたMassCenterMain Suite softwareを使用して、すべてのデータ分析を実施する。
【0123】
(実施例1)
工程1Aの実施例:霊芝精油画分の単一工程のSFE最大抽出および精製
Supercritical Fluid Technologies,Inc.(デラウェア、ニューアーク)から購入した、圧力および温度をそれぞれ最大690バールおよび200℃に設計したSFT250を使用して、実験を実施した。この装置は、動的または静的モードで操作する柔軟性を伴って、超臨界条件における簡単で効率的な抽出を可能にする。この装置は主に、オーブン、ポンプおよび制御、ならびに収集モジュールの3つのモジュールからなる。オーブンは、1つの予熱カラムおよび1つの100mlの抽出容器を有する。ポンプモジュールには、300ml/分の一定の流量の圧縮空気駆動式ポンプが備えられている。収集モジュールは40mlのガラスバイアルであり、抽出生成物を回収するためにキャップおよび隔壁で封止される。この装置には、マイクロメーターバルブおよび流量計が備えられている。抽出容器の圧力および温度はモニタされ、+/−3バールおよび+/−1℃以内で制御される。
【0124】
スクリーン(140メッシュ)を使用してふるいにかけ測定した105μmを超える寸法の、粉砕した熟していない赤色のLingzhiの実の粉末5グラムを、実験毎に100mlの抽出容器に入れた。グラスウールをカラムの両端に入れて、起こり得る固体材料のキャリーオーバーを回避した。オーブンを所望の温度に予熱した後、充填された容器を搭載した。容器をオーブンに接続した後、抽出系をCO2で加圧することによって(約850psig)漏出について該系を試験し、パージした。この系を閉じ、空気駆動液体ポンプを使用して所望の抽出圧力に加圧した。次いで、該系を平衡のために約3分間静置した。サンプリングバイアル(40ml)を秤量し、サンプリングポートに接続した。約5SLPM(10g/分)の速度でCO2を流すことによって抽出を開始したが、この速度は絞り弁で制御される。収率は、全抽出物と未加工材料の供給物の重量比と定義した。収率は、抽出器内の未加工材料の最初の分量に対する抽出された油の重量パーセンテージと定義した。完全な抽出設計は、40〜80℃の温度および100〜500バールに変えて導入した。
【0125】
(実施例2)
工程2の実施例:粗トリテルペン画分のエタノール浸出抽出物
霊芝種のトリテルペン化学構成成分の3段階溶媒抽出の典型的な実施例は、以下の通りである。原料は、精油の工程1のSCCO2抽出(40℃、300バール)からの粉砕霊芝種子実体SFE残渣25gmであった。溶媒はエタノール500mlであった。この方法では、原材料およびエタノール500mlを、1つの1000mlの抽出容器に個々に入れ、70℃に予熱した水浴中で2時間混合する。保持粒経4〜8μmを有するFisherbrand P4濾紙を使用して抽出溶液を濾過し、2000rpmで10分間遠心分離にかけた。収率算出およびHPLC分析のために濾液(上清)を収集した。前述の方法を使用して、段階1の微粒子残渣を2時間抽出し(段階2)、段階2からの残渣を2時間抽出した。3段階抽出からの上清流体抽出物を混合し、減圧ロータリーエバポレーションを使用してエタノールを蒸発させ、再利用した。抽出物を50℃で12時間真空乾燥した。全トリテルペノイドアッセイを使用して、乾燥した粗トリテルペン抽出画分を、質量平衡、全トリテルペン含量について測定し、HPLCを使用して分析した。3段階抽出からの最終残渣を収集し、さらなる抽出のために保存した(以下参照)。
【0126】
3段階エタノール浸出プロセスの粗トリテルペン抽出物の全収率は、最初の霊芝種原料に対して約3質量%であり、全トリテルペノイドの純度は約20%であった。トリテルペン化学構成成分のさらに高い純度を実現するために、さらなる処理を要する(実施例3参照)。
【0127】
(実施例3)
工程3の実施例.トリテルペン画分精製
粗エタノール浸出画分中のトリテルペンの精製の典型的な実験実施例は以下の通りである。工程2のエタノール浸出粗トリテルペン画分1gをクロロホルム50mlに溶解し、抽出容器中、室温で5分間攪拌した。この透明溶液を、200mlのセパレーター漏斗に注いだ。飽和NaHCO3(10%)水溶液40mlをクロロホルム溶液に添加する。この混合物を15秒間激しく振とうし、圧力を解放し、再び15秒間激しく振とうした。クロロホルム相と水ベースの溶液相との間で溶質を平衡状態にさせるのに、30秒未満という全混合で十分であった。このプロセスの間、大量のCO2が生成されるので、圧力を換気するために特別な注意が払われなければならない。2つの溶液層が明瞭に分離するまで(約30分)、セパレーター漏斗をそのまま静置する。次いでセパレーター漏斗の栓を開け、クロロホルム低層を別のフラスコに排出し、2つのさらなるNaHCO3溶媒抽出のために保存する。残りの水ベースの溶液を漏斗の最上部から注ぎ、保存する。クロロホルム溶液のNaHCO3抽出の2つのさらなる段階を、同じ方法を使用して実施した。3段階のNaHCO3抽出溶液(120ml)を混合し、6NのHClを使用してpH4に酸性化した(約3ml)。酸性化溶液を、清浄な200mlのセパレーター漏斗に注いだ。クロロホルム50mlを2段階でセパレーター漏斗に入れて、水ベースの酸性化溶液からトリテルペン化合物を抽出した。この方法は先に記載のように室温で行われた。2つのクロロホルム層を収集し、混合し、保存した。残りの水ベースの溶液を破棄した。精製済みトリテルペン化学構成成分を含有する混合クロロホルム溶液を、ロータリーエバポレーションを使用して減圧下で蒸発させ、クロロホルムを再利用した。精製済みトリテルペン抽出画分を50℃のオーブンで乾燥させ、残りのクロロホルムを除去した。全トリテルペノイドUV分光分析アッセイを使用して、質量平衡、全トリテルペン含量によって収率を算出し、HPLCを使用して分析した。
【0128】
(実施例4)
工程4の実施例 多糖画分抽出
霊芝種の水溶性エタノール不溶性精製済み多糖画分化学構成成分の溶媒抽出および沈殿の典型的な実験実施例は以下の通りである。原料は、工程1のSFE抽出物および工程2のエタノール浸出抽出物25gmからの固体残渣であった。蒸留水500mlを使用して、70℃で2時間、2段階で原料を抽出した。2つの抽出溶液を混合し、Fisherbrand P4濾紙(粒径4〜8μm)を使用してスラリーを濾過し、2,000rpmで20分間遠心分離にかけた。上清を収集した。ロータリーエバポレーションを使用して、透明な上清抽出溶液を1000mlから200mlに濃縮した。次いで無水エタノール600mlまたは800mlを添加して、最終エタノール濃度を60%または80%にした。溶液を1時間静置し、沈殿物を観測した。抽出溶液を2,000rpmで20分間遠心分離にかけ、上清をデカントし、さらなる処理のために保存するか、または破棄した。沈殿の前および後に質量平衡を実施して、多糖およびタンパク質の収率を算出した。沈殿物を収集し、50℃のオーブンで12時間乾燥させた。乾燥多糖画分を秤量し水に溶解して、デキストランを参照標準として用いる比色法およびBradfordタンパク質アッセイを使用して、多糖およびタンパク質純度をそれぞれ分析した。
【0129】
(実施例5)
以下の成分を配合のために混合する。
【0130】
【表17】
霊芝種の新規抽出物は、天然霊芝種植物材料または従来の抽出生成物に見られるよりも高い質量%で、精油画分、トリテルペン画分、および多糖画分を含む。その配合物は、任意の経口用剤形にすることができ、生理学的、心理学的、および医学的効果(免疫促進、糖尿病、抗血小板凝集および抗血栓症、心臓血管および脳血管疾患の予防および治療、抗アテローム性動脈硬化症、抗高コレステロール血症、抗高血圧、抗炎症、抗アレルギー、抗関節炎、抗リウマチ、抗自己免疫疾患、抗ウィルス、例えばそれに限定されるものではないが、一般的な風邪、インフルエンザ、HIV、単純ヘルペス、帯状疱疹、およびB型肝炎、抗菌、癌の予防および治療)に対して、必要に応じて毎日または1日当たり15回まで投与することができる。
【0131】
(実施例6)
以下の成分を以下の配合のために混合する。
【0132】
【表18】
霊芝種の新規抽出物は、天然植物材料または従来の抽出生成物に見られるよりも高い質量%で、精油画分、トリテルペン、および多糖化学構成成分画分を含む。配合物は、任意の経口用剤形にすることができ、所望の生理学的、心理学的、医学的効果に対して、必要に応じて1日当たり15回まで安全に投与することができる(上記実施例1参照)。
【0133】
引用参考文献:
【0134】
【化1】
【0135】
【化2】
【0136】
【化3】
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】精油画分の例示的な調製方法の図である。
【図2】エタノール浸出抽出の例示的な実施方法の図である。
【図3】トリテルペン画分の例示的な精製方法の図である。
【図4】トリテルペン画分の例示的な精製方法の図である。
【図5】水浸出プロセスおよび多糖沈殿の例示的方法の図である。
【図6】本方法の工程6からの霊芝多糖画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)のグラフである。
【図7】本方法の工程6からの霊芝多糖画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)のグラフである。
【図8】熟していないlingzhiの赤い実からの霊芝抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図9】SCCO2法によって40℃および300バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図10】SCCO2法によって40℃および500バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図11】SCCO2法によって70℃および500バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図12】SCCO2法によって80℃および100バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図13】SCCO2法によって80℃および300バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図14】SCCO2法によって40℃および300バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図15】SCCO2法によって70℃および500バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図16】SCCO2法によって70℃および100バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図17】熟していないlingzhiの赤い実からの霊芝エタノール粗抽出物(粗トリテルペノイド)のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図18】熟していないlingzhiの赤い実からの最終トリテルペノイドのAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図19】熟していないlingzhiの赤い実からの霊芝抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図20】SCCO2法によって40℃および300バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図21】SCCO2法によって40℃および500バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図22】SCCO2法によって70℃および500バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図23】SCCO2法によって80℃および100バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図24】SCCO2法によって80℃および300バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図25】SCCO2法によって40℃および300バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図26】SCCO2法によって70℃および500バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図27】SCCO2法によって70℃および100バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図28】熟していないlingzhiの赤い実からの霊芝エタノール粗抽出物(粗トリテルペノイド)のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図29】熟していないlingzhiの赤い実からの最終トリテルペノイドのAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2006年3月23日に出願された米国仮特許出願第60/785,125号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)への優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、霊芝(ganoderma)種の抽出物、連続抽出工程を使用するそれらの調製方法、およびそれらの処理法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
キノコは、その独特の質感および風味のため、特殊な食品、特に「珍味(food delicacy)」であるとみなされている。しかし、ペニシリン菌から抗生物質が得られた1900年代になって初めて、真菌の潜在的な医療価値が西洋の科学界を引き付けた。キノコ子実体の化学構成成分の化学的、生物学的、および生化学的特性は、非常に多くの生理学的および医学的利益を伴うことが示されている。担子菌のより多いキノコは世界中で、特にアジアで、何千年も漢方薬として使用されてきた。
【0004】
霊芝種、特にG.ルシダム(lucidum)(中国では「Lingzhi」および日本では「レイシ」または「マンネンタケ」)およびG.tsuageは、中国、日本、および他のアジア諸国では健康および長寿を促進するために広く使用されてきた。栽培されるキノコの中でも、霊芝種は、栄養価よりも医薬的価値が傑出しているという点で独特である。多種多様なG.ルシダム生成物は、粉末、食品栄養剤、および飲料などの様々な形態で利用可能である。これらの生成物は、菌糸、子実体、および胞子を含むキノコの様々な部分から生成される。しかし、これらの生成物の化学構成成分含量には、霊芝種原材料の化学構成成分の大きな変動に起因して疑わしい点がある。多くの植物と同様に、この植物材料の化学構成成分は、数ある変数の中でもいくつかの変数を列挙すると、遺伝的浮動、栽培方法、温度、pH、湿度、培地、使用される基材などに依存して決まる。
【0005】
霊芝種、マンネンタケ(ganodermataceae)科は、二重壁の担子胞子を有する多孔菌バシジオマイセタウス(basidiomycetous)菌である。全体でこの科の中の219種が、霊芝属に指定されており、その中でもG.ルシダムは種の典型である。霊芝系統に関する形態学的特徴は、高い表現型可塑性に起因して、抽出生成物原料のための霊芝種の同定においては限られた価値しかないと考えられている。より最近では、生化学的アプローチ(トリテルペン構成成分)、遺伝的アプローチ(交配研究)、および分子アプローチ(rDNA多型)が、霊芝分類法に使用されている。
【0006】
漢方薬(TCM)は、それらの推定上の薬理効果のために使用されているが、米国では栄養補助食品健康教育法(DSHEA)によって定義されるように、TCMは栄養補給食品とみなされており、栄養または食事の補助として分類されている。いかなる治療についても中心的問題の1つとなるのが、有害な副作用なしに所望の治療効果をもたらす有効量である。霊芝種は、2000年にわたって薬用の真菌として使用されてきた。しかし、標準的配合物、化学構成成分組成物、またはそれらの用量、化学組成、および配合に関する指針に関しては同意が得られていない。推奨用量は、1日当たりG.ルシダム子実体の市販乾燥抽出物0.5gm〜30gmの範囲であった。非常に高いレベルでヒトが消費しても、有意な毒性は報告されていない。敏感な個体では、偶発的な軽度消化不良および皮膚発疹が報告されている。中毒量(TD)および致死量(LD)は、マウスに30日間5g/kgもの高用量を投与すると非常に高く、実験動物に単回用量として38g/kgを腹腔内注入すると良好な耐用性を示す。したがって霊芝種抽出生成物は、臨床使用に関して著しい制限をもたらすものではない。重要なのは、効果的な検証用量(ED)の決定および霊芝種化学構成成分の健康上の利益についての科学的立証である。
【0007】
大部分のキノコと同様、霊芝種は約90重量%の水からなっている。科学文献に基付き、G.ルシダム化学構成成分の乾燥質量パーセントの概要を表1および2に列挙する。G.ルシダム子実体の特徴の1つは、株、栽培方法、生長時期(age)、および様々な他の要素に依存して度合が変わるその苦みである。この苦みを伝える化学構成成分がトリテルペンであり、抽出生成物の薬理学的評価のマーカーとして使用されてきた。知られている主な2つの生理学的および医学的に有効な霊芝種の化学構成成分は、トリテルペンおよび多糖である。
【0008】
【表1】
【0009】
【表2】
*揮発性油は、70Cおよび500バールでのCO2抽出の最高収率によって推定した。トリテペノイドは、最大メタノール抽出によって推定した。多糖およびタンパク質は、水抽出によって推定した。
【0010】
テルペンは、天然に存在するクラスの化合物である。それらの炭素骨格は、イソプレンC5単位からなる。その多くはアルケンであるが、他の官能基を含有してもよく、多くは環状である。植物のテルペンのいくつかは、抗炎症、抗癌、脂質低下、および他の健康促進活性などの性質を有することが見出されている。トリテルペンは、テルペンのサブクラスであり、基本骨格C30を有する。霊芝種では、トリテルペンの化学構造は、ラノスタン、ラノステロールの代謝産物をベースとし、その生合成はスクアレンの環化をベースとする。霊芝種からのトリテルペンの抽出は、一般にメタノール、エタノール、アセトン、クロロホルム、エーテル、またはこれらの溶媒の混合物を使用する溶媒抽出によるものである。知られている化学組成および分子構造を有する100を超えるトリテルペンが、霊芝種に存在することが報告されている。それらの中でも、大多数が霊芝種に独特のものであることが見出されている。霊芝トリテルペンの大多数は、ガノデリン酸およびルシデニン酸であるが、ガノデラール(ganoderal)、ガノデリオール、およびガノデルミン(ganodermic)酸、などの他のトリテルペン類も同定されている。
【0011】
様々な植物の植物性多糖は、免疫強化、抗炎症、抗潰瘍、抗ウィルス、および抗癌作用を有することが報告されている。霊芝種は、様々な高分子量の多糖を生成することで注目される。これらのポリグリカンは、キノコのすべての部分ならびにすべての成長段階で見出される。霊芝種の多糖は、子実体、菌糸、および胞子から抽出されてきた。さらに多糖以外のものが、発酵槽中の菌糸の成長によって生成される。グルコースは、霊芝種多糖の主要な糖である。しかし霊芝種は、1−3、1−4、1−6結合したβおよびα−D(またはL)−多糖を含む様々な構成のキシロース、マンノース、およびフコースも含有するヘテロポリマーである。多糖は、通常温水で抽出した後、アルコールで沈殿する。これらは温水およびアルカリでも抽出することができる。複雑な精製工程によって、グルコースポリマーGL−1(グルコース98%)などの精製多糖化合物を得ることができる。霊芝種から単離され、それによって部分的に特徴付けられる多糖化合物には、ガノデランA、B、およびCが含まれる。より最近になって、他の霊芝種多糖化合物が単離された。これらの多糖化合物のいくつかは、著しい免疫的刺激および抗癌活性を有することが示されている。
【0012】
霊芝種タンパク質は、他の真菌よりも低量であり、霊芝種化学構成成分の医薬活性に寄与することも報告されている。霊芝種タンパク質は、例えば免疫抑制活性を示すことができる。
【0013】
最も医薬として価値のある植物の中でも、揮発性油および精油化学構成成分は、植物の化学構成成分の生物活性にかなり貢献している。しかしこれらのガノデルマ化学構成成分は、科学文献では無視されていると思われる。
【0014】
毒性のない推定的健康効果を組み合わせることによって、霊芝種化学構成成分は、効果的な治療用抽出物の開発にとって望ましいものになる。霊芝種抽出物は、様々な疾患の治療法として数千年の間使用されてきたが、霊芝種抽出物および化学構成成分の客観的な科学的研究が実施されたのはごく最近になってからである。最近の科学研究所および臨床試験は、霊芝種の化学構成成分の治療有効性を簡潔にまとめるために、以下を含む霊芝種、特にG.ルシダムの様々な化合物、化学画分、および抽出生成物全体の以下の治療効果を示している。免疫促進(P、Pr、水抽出物−略記は表1参照)[1〜4(非特許文献1〜4)]:免疫抑制、抗移植拒絶反応、自己免疫疾患(Pr)[5、6]:抗炎症、抗関節炎、抗リウマチ、抗エリテマトーデス、抗アレルギー(T、GA、酢酸エチル抽出物、アルコール抽出物、水抽出物)[7〜10];抗酸化(T、P−T+Pは相乗的に作用、有機溶媒抽出物、水抽出物)[9、11、12];抗血小板凝集(GA、水溶性抽出物)[13、14];血糖降下、抗糖尿病(P−ガノデランA、B、およびC、抽出物)[9、15];抗高血圧(水溶性−エタノール不溶性抽出物、粗抽出物)[16、17];抗高コレステロール血症(トリテルペン、粗抽出物)[18];心臓血管疾患の防止(T、P、粗抽出物)[5〜18];肝臓保護(T、GA、P、水および水−エーテル抽出物)[19、20];抗ウィルス治療、抗単純ヘルペス、抗HIV、抗帯状疱疹、抗B型肝炎(P−タンパク質結合多糖、T、アルコールおよび水溶性抽出物)[21〜24];抗菌活性(T、P、アルコールおよび水抽出物)[9、25];ならびに癌予防および治療(P、T、温水およびアルコール抽出物)[9、26〜28]。
【非特許文献1】Wang YYら、Bioorg Med Chem(2002)10:1057−1062
【非特許文献2】Sone Yら、Agric Biol Chem(1985)49:2641−2653
【非特許文献3】Bao Xら、Carbohydr Res(2001)336:127−140
【非特許文献4】Bao Xら、Phytochemistry(2002)59:175−181
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
これらの相乗的に作用する生理的かつ医学的に有益な霊芝種化学構成成分を標準的で信頼性のある量で生成することができる、精製済み精油、トリテルペン、タンパク質、および多糖化学構成成分を組み合わせた再生産可能な新規霊芝抽出物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
一態様では、本発明は、図6〜29のいずれかの実時間直接分析(Direct Analysis in Real Time)(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む霊芝種抽出物に関する。さらなる一実施形態では、抽出物は、精油、トリテルペン、多糖、およびそれらの組合せからなる群より選択される化合物を含む。
【0017】
さらなる一実施形態では、精油は、9,12−オクタデカジエン酸、リノエライジン酸、n−ヘキサデカン酸、オクタン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、9−オクタデセン酸、オクタデカン酸、2−プロペン酸、トリデシルエステル、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−エイコサノール、およびそれらの組合せからなる群より選択される。さらなる一実施形態では、精油の量は8重量%を超える。さらなる一実施形態では、精油の量は25重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、精油の量は50重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、精油の量は75重量%〜90重量%である。
【0018】
さらなる一実施形態では、トリテルペンは、ガノデリン酸、ルシデン酸、ガノルシジン酸、ガノデリオール、ルシドン、ルシデュモール、ガノデルメノノール、ガノデルマジオール、ガノデルマトリオール、ガノデルマノンジオール、ガノデルマノントリオール、およびそれらの組合せからなる群より選択される。さらなる一実施形態では、トリテルペンの量は2重量%を超える。さらなる一実施形態では、トリテルペンの量は25重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、トリテルペンの量は50重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、トリテルペンの量は75重量%〜90重量%である。
【0019】
さらなる一実施形態では、多糖は、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロースウロン酸、およびそれらの組合せからなる群より選択される。さらなる一実施形態では、多糖の量は15重量%を超える。さらなる一実施形態では、多糖の量は25重量%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、多糖の量は50%〜90重量%である。さらなる一実施形態では、多糖の量は75重量%〜90重量%である。
【0020】
さらなる一実施形態では、抽出物は、精油2重量%〜99重量%、トリテルペン5重量%〜88重量%、および多糖2重量%〜95重量%を含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、本発明の霊芝種抽出物を含む食品または医薬品に関する。
【0022】
別の態様では、本発明は、a)超臨界二酸化炭素抽出によって霊芝種植物材料を抽出して、精油画分および第1の残渣を得る工程、b)アルコール抽出によって工程a)からの第1の残渣を抽出して、トリテルペン画分および第2の残渣を得る工程、ならびにc)水抽出によって工程b)からの第2の残渣を抽出し、多糖をアルコールで沈殿させて多糖画分を得る工程によって逐次的に霊芝種植物材料を抽出して、精油画分、トリテルペン画分、および多糖画分を得ることを含む、少なくとも1つの所定の特徴を有する霊芝種抽出物の調製方法に関する。
【0023】
さらなる一実施形態では、工程a)は、1)粉砕霊芝種植物材料を抽出容器に入れる工程、2)超臨界条件下で二酸化炭素を添加する工程、3)霊芝種植物材料と二酸化炭素をある時間接触させる工程、および4)精油画分を収集容器に収集する工程を含む。さらなる一実施形態では、方法は、超臨界二酸化炭素画分分離システムで精油画分を分画することによって、精油化合物の比を変える工程をさらに含む。さらなる一実施形態では、超臨界条件は、35℃〜90℃で60バール〜800バールの圧力を含む。さらなる一実施形態では、超臨界条件は、40℃〜80℃で60バール〜500バールの圧力を含む。さらなる一実施形態では、その時間は30分〜2.5時間である。さらなる一実施形態では、その時間は1時間である。
【0024】
さらなる一実施形態では、工程b)は、1)工程a)からの第1の残渣を、トリテルペン化学構成成分を抽出するのに十分な時間、アルコール溶媒と接触させる工程、2)液液溶媒抽出プロセスを使用してトリテルペン化学構成成分を精製する工程を含む。さらなる一実施形態では、一方の溶媒はクロロホルムであり、他方の溶媒は飽和NaHCO3水溶液である。さらなる一実施形態では、アルコール溶媒はエタノールである。さらなる一実施形態では、工程1)は30℃〜100℃で実施される。さらなる一実施形態では、工程1)は60℃〜100℃で実施される。さらなる一実施形態では、その時間は1〜10時間である。さらなる一実施形態では、その時間は1〜5時間である。さらなる一実施形態では、その時間は2時間である。
【0025】
さらなる一実施形態では、工程c)は、1)多糖を抽出するのに十分な時間、霊芝種植物材料または工程b)からの第2の残渣を水と接触させる工程、および2)アルコール沈殿によって水溶液から多糖を沈殿させる工程を含む。さらなる一実施形態では、水は70℃〜90℃である。さらなる一実施形態では、水は80℃〜90℃である。さらなる一実施形態では、その時間は1〜5時間である。さらなる一実施形態では、その時間は2〜4時間である。さらなる一実施形態では、その時間は2時間である。さらなる一実施形態では、アルコールはエタノールである。
【0026】
別の態様では、本発明は、本発明の方法によって調製された霊芝種抽出物に関する。
【0027】
別の態様では、本発明は、エルゴステロール、エルゴステロールの25〜35重量%のガノルシジン酸A、エルゴステロールの10〜20重量%のガノルシジン酸B、およびエルゴステロールの30〜40重量%のガノデリン酸Hを含む霊芝種抽出物に関する。
【0028】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸Hおよびガノデリン酸Hの25〜35重量%のガノルシジン酸Aを含む霊芝種抽出物に関する。
【0029】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸H、ガノデリン酸Hの5〜15重量%のルシデン酸B、ガノデリン酸Hの1〜10重量%のルシデン酸A/N、およびガノデリン酸Hの35〜45重量%のガノルシジン酸Aを含む霊芝種抽出物に関する。
【0030】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸Hおよびガノデリン酸Hの5〜15重量%のガノデラールを含む霊芝種抽出物に関する。
【0031】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸H、ガノデリン酸Hの35〜45重量%のガノルシジン酸A、ガノデリン酸Hの10〜20重量%のガノルシジン酸B、およびガノデリン酸Hの30〜40重量%のセレビステロール(cerevisterol)を含む霊芝種抽出物に関する。
【0032】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸H、ガノデリン酸Hの10〜20重量%のガノルシジン酸B、およびガノデリン酸Hの5〜15重量%のガノデラールを含む霊芝種抽出物に関する。
【0033】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸H、ガノデリン酸Hの10〜20重量%のガノルシジン酸B、ガノデリン酸Hの20〜30重量%のメトキシセレビステロール、およびガノデリン酸Hの20〜30重量%のセレビステロールを含む霊芝種抽出物に関する。
【0034】
別の態様では、本発明は、エルゴステロール、エルゴステロールの30〜40重量%のガノルシジン酸A、エルゴステロールの5〜15重量%のガノルシジン酸B、およびエルゴステロールの65〜75重量%のガノデリン酸Hを含む霊芝種抽出物に関する。
【0035】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸H、ガノデリン酸Hの30〜40重量%のガノルシジン酸B、ガノデリン酸Hの40〜50重量%のメトキシセレビステロール、およびガノデリン酸Hの35〜45重量%のセレビステロールを含む霊芝種抽出物に関する。
【0036】
別の態様では、本発明は、エルゴステロール、エルゴステロールの1〜10重量%のガノルシジン酸A/B、エルゴステロールの1〜10重量%のガノデリオールF、およびエルゴステロールの50〜60重量%のラノステロールを含む霊芝種抽出物に関する。
【0037】
別の態様では、本発明は、ガノデリン酸H、ガノデリン酸Hの60〜70重量%のガノルシジン酸A、ガノデリン酸Hの25〜35重量%のガノルシジン酸B、およびガノデリン酸Hの10〜20重量%のルシデン酸A/Nを含む霊芝種抽出物に関する。
【0038】
本発明の抽出物は、それに限定されるものではないが、免疫促進、免疫抑制および抗移植拒絶反応、抗酸化活性、抗炎症活性、抗関節炎、抗リウマチ、抗自己免疫疾患、抗アレルギー、抗血小板凝集、血糖降下活性および抗糖尿病活性、抗高血圧、抗高コレステロール血症、心臓血管疾患および卒中の予防、抗変異原性活性(癌予防)、抗発癌性活性(癌療法)、抗ウィルス、抗HIV、抗単純ヘルペス、抗帯状疱疹、抗B型肝炎、抗菌活性、ならびに肝臓保護作用および肝硬変の治療を含む生理的かつ医学的効果を提供するのに有用である。
【0039】
本開示のこれらの実施形態、他の実施形態、ならびにそれらの特性および特徴は、以下の説明、図、および請求の範囲から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
定義
冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法的対象の1つまたは2つ以上(即ち少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例えば「一要素」とは、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0041】
「霊芝種」という用語はまた、lingzhi、reichi、またはマンネンタケと同義に使用され、これらの植物、クローン、変種、および枝変り等を意味する。
【0042】
本明細書で使用されるように、「1つまたは複数の化合物」という用語は、少なくとも1つの化合物、例えば1−ヘプタデカノール(霊芝種の脂溶性精油化学構成成分)もしくはガノデリン酸(霊芝種の水溶性および水−エタノール可溶性トリテルペン)、または霊芝種の水溶性−エタノール不溶性多糖分子、例えばそれに限定されるものではないが、ガノデランAが企図されることを意味し、あるいは2つ以上の化合物、例えば1−ヘプタデカノールおよびガノデリン酸Aが企図されることを意味する。当技術分野で知られているように、「化合物」という用語は、単一分子を意味するものではなく、多数のまたは数モルの1つまたは複数の化合物を意味するものである。当技術分野で知られているように、「化合物(compound)」という用語は、明確な化学的および物理的特性を有する特定の化学構成成分を意味し、「化合物(compounds)」は、1つまたは複数の化学構成成分を指す。
【0043】
本明細書で使用されるように、「画分」という用語は、いくつかの物理的、化学的特性、または物理的もしくは化学的特性によって特徴付けられる特定の群の化合物を含む抽出物を意味する。
【0044】
本明細書で使用されるように、精油画分という用語は、霊芝種から得られるまたは霊芝種に由来する脂溶性の水不溶性化合物を含み、それに限定されるものではないが、1−ヘプタデカノール、2−プロペン酸、トリデシルエステル、n−ヘキサデカン酸、(Z)−9−オクタデセン−1−オール、1−エイコサノール、(Z,Z)−9,12−オクタデカジエン酸、およびリノエライジン酸として分類される化合物が含まれる。
【0045】
本明細書で使用されるように、「トリテルペン画分」という用語は、霊芝種から得られるまたは霊芝種に由来する水溶性およびエタノール可溶性トリテルペン化合物を含み、それに限定されるものではないが、ガノデリン酸、ルシデン酸、ガノルシジン酸、ガノデリオール、ルシドン、およびガノデルミアトリオール(ganodermiatriol)などの化合物をさらに含む。
【0046】
本明細書で使用されるように、「多糖画分」という用語は、霊芝種から得られるまたは霊芝種に由来する水溶性−エタノール不溶性多糖化合物を含む。
【0047】
霊芝種の他の化学構成成分が、これらの抽出画分に存在することもできる。
【0048】
本明細書で使用されるように、「精製済み」画分という用語は、その画分の化学構成成分の50%超に濃縮しているいくつかの物理−化学的特性または物理的もしくは化学的特性によって特徴付けられる特定の群の化合物を含む画分を意味する。換言すれば、精製済み画分は、その画分を定義するいくつかの所望の物理−化学的特性、または物理的もしくは化学的特性によって特徴付けられない化学構成成分化合物を50%未満含む。
【0049】
本明細書で使用されるように、「プロファイル」という用語は、抽出画分内の化合物の質量パーセント比を指し、または最終霊芝種抽出物における3つの霊芝種画分化学構成成分のそれぞれの質量パーセント比を指す。
【0050】
本明細書で使用されるように、「原料」は一般に、植物全体を単独で、または子実体、菌糸、および胞子を含む植物の1つもしくは複数の構成部分もしくは段階のものと組み合わせて含む未加工の植物材料を指し、この植物または構成部分は、未加工のままの材料、処理を容易にするために乾燥、蒸気加工、加熱した材料、またはそれ以外の物理的処理にかけた材料を含むことができ、さらには、そのままの材料、植物材料の寸法および物理的完全性に影響を与えるために切断し、切り刻み、さいの目切りにし、粉砕し、挽き、またはそれ以外の処理にかけた材料を含むことができる。場合により「原料」という用語は、さらなる抽出プロセスのための供給物源として使用されることになる抽出生成物を特徴付けるために使用することができる。
【0051】
本明細書で使用されるように、「霊芝種構成成分」という用語は、霊芝種に見られる化合物を意味すべきであり、先に同定したような化合物、ならびにそれに限定されるものではないが精油化学構成成分、トリテルペン、タンパク質、および多糖を含む霊芝種に見られる他の化合物すべてを含むべきである。
【0052】
抽出物
本発明は、霊芝に見られる1つまたは複数の化学構成成分画分および関連種を含む抽出物を含む。本発明はまた、本明細書で教示される霊芝および関連種抽出物を含む抽出物を含む摂取可能な生成物を含む。例えば、本発明は、霊芝または関連種抽出物を含む、急速に溶解する錠剤を含む抽出物を含み、ここで精油画分、精油副画分、トリテルペン画分、または多糖画分の少なくとも1つは、天然植物材料に見られる重量パーセント量、または知られている霊芝種抽出物に現在のところ見られる重量パーセント量と比較して、重量パーセント量が実質的に増加している。
【0053】
精油画分
超臨界二酸化炭素(SCCO2)抽出技術によって、95%を超える純度の霊芝精油を抽出した。最高抽出収率は、温度70℃および圧力500バールで1.22%であることが見出された。ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)解析を使用して、合計75の化合物を同定した。霊芝精油に見られる主な化合物は、C11〜C20脂肪酸である。最も豊富なものは、C18脂肪酸、9,12−オクタデカジエン酸(Z,Z)−(CAS:60−33−3)(化合物59)およびリノエライジン酸、(E,Z)−異性体(化合物60)であり、それらの両方は立体異性体である。リノエライジン酸、(E,Z)−異性体は、植物のグリコシドに広く存在する二重不飽和脂肪酸である。リノエライジン酸、(E,Z)−異性体は、哺乳類の栄養には必須の脂肪酸であり、プロスタグランジンおよび細胞膜の生合成に使用される。
【0054】
2番目に豊富な化合物は、C16飽和脂肪酸n−ヘキサデカン酸(CAS:57−10−3)(化合物46)である。他の脂肪酸には、オクタン酸(C8H16O2、CAS:124−07−2)、テトラデカン酸(C14H28O2、CAS:544−63−8)、ペンタデカン酸(C15H30O2、CAS:1002−84−2)、9−オクタデセン酸(C18H34O2、CAS:112−80−1)、およびオクタデカン酸(C18H36O2、CAS:57−11−4)が含まれる。
【0055】
化合物の第2の主な群はアルコールであり、それには1−ウンデカノール(C11H24O、CAS:112−42−5)、1−ドデカノール(C12H26O、CAS:112−53−8)、1−テトラデカノール(C14H30O、CAS:112−72−1)、1−ヘキサデカノール(C16H34O、CAS:36653−82−4)、1−ヘプタデカノール(C17H36O、CAS:1454−85−9)、および1−エイコサノール(C20H42O、CAS:629−96−9)等が含まれる。これらの脂肪族アルコールは未変化のままであり、エステルには変換しなかった。
【0056】
超臨界二酸化炭素抽出を使用することによって、霊芝精油の化学的性質をプロファイルし、それをまとめた結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
脂肪酸は、54%および85%の間にプロファイルすることができる。全脂肪酸では、化合物59、9,12−オクタデカジエン酸(Z,Z)−および化合物60、リノエライジン酸が、75質量%〜95質量%を占める。アルコールは、10%および36%の間にプロファイルすることができる。霊芝精油に存在する他の少量の化合物に関して、エステルは2.5%および6%の間にプロファイルすることができ、アルデヒドは0.37%および2.55%の間にプロファイルすることができる。より高い濃度の脂肪酸は、高圧で得ることができ、より高い濃度の脂肪アルコールは、100バールの低圧および80℃の高温で得ることができる。
【0058】
トリテルペン画分
霊芝トリテルペンは、エタノールを使用して抽出され、液液精製により、pH変化によるトリテルペン酸およびそれらの塩の間の可溶性変化を使用することによって精製された。最終精製トリテルペン画分では、全トリテルペンの純度は、原料中0.6%およびエタノール粗抽出物中19.9%から87.5%に増加した。市販の3つのトリテルペンHPLC参照標準、ガノデリン酸A、ガノデリン酸F、およびガノデルマチオール(ganodermatiol)は、霊芝の全トリテルペン中の約4%しか占めていない。
【0059】
多糖画分
霊芝多糖を蒸留水によって抽出し、60〜80%のエタノールによって沈殿させた。収率は1.5%〜2%であった。デキストラン参照標準に基付く多糖純度は、デキストランの様々な分子量に依存して50%〜80%である。沈殿した多糖−糖タンパク質の平均分子量は953377であったが、これは様々な分子量の霊芝多糖および糖タンパク質からなり、その中でも51%が、1.6Mの高分子量の多糖および糖タンパク質であった。沈殿した多糖−糖タンパク質はまた、Accu−TOF DART質量分析によって特徴付けられた。そのスペクトルを、図6および7に示す。
【0060】
かかる抽出物の一実施形態は、抽出し精製した所定濃度の化学構成成分画分を含み、霊芝種精油画分/トリテルペン画分、精油画分/多糖画分、およびトリテルペン画分/多糖画分濃度(乾燥重量%)プロファイル(比)は、天然乾燥植物材料または従来の霊芝種抽出生成物に見られるものよりも大きいか、または小さい。個々の霊芝種の有益な化学構成成分の濃度関係(化学的プロファイル)を変更することによって、特定のヒトの状態または疾患に対して設計された独特または新規な霊芝種抽出生成物の配合が可能になる。例えば、免疫促進のための新規かつ強力な霊芝抽出物は、質量%で、霊芝天然植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも多い精製済み多糖画分、ならびにそれよりも少ない精油画分およびトリテルペン画分を有することができよう。それとは対照的に、抗ウィルス活性および抗インフルエンザ活性のための新規霊芝抽出物は、質量%で、霊芝天然植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも多い精製済みトリテルペン画分および精製済み多糖画分、ならびにそれよりも少ない精油画分を有することができよう。抗炎症活性のための新規霊芝抽出プロファイルの別の例は、天然霊芝植物材料または知られている従来の霊芝抽出生成物に見られるよりも多い精製済み精油画分、精製済みトリテルペン画分、および精製済み多糖画分を有する抽出プロファイルとなろう。
【0061】
本発明のさらなる一実施形態は、精油化学構成成分の新規副画分を含む抽出物であり、それに限定されるものではないがアルコールまたは脂肪酸などの特定の化学群の濃縮物は、新規抽出生成物の減少に対して増加するそれぞれの濃度を有する。
【0062】
天然霊芝と比較した抽出物
いくつかの実施形態は、天然霊芝および関連種の植物材料または現在のところ利用可能な霊芝種抽出生成物に見られるよりも多量の精油、トリテルペン、または多糖濃縮物の少なくとも1つを有する霊芝および関連種の抽出物を含む。いくつかの実施形態はまた、精油、トリテルペン、または多糖を含む画分の1つまたは複数が、天然霊芝種植物材料に見られるよりも高い濃度で見られる抽出物を含む。いくつかの実施形態はまた、精油、トリテルペン、または多糖を含む画分の1つまたは複数が、天然霊芝種に見られるよりも低い濃度で見られる抽出物を含む。霊芝種の生物活性のある化学構成成分画分の知られている量(表1)を、本発明の一例として使用する。例えば本発明の抽出物は、精油の濃度が天然霊芝種の濃度の0.001〜80倍である画分、および/またはトリテルペンの濃度が天然霊芝種の濃度の0.001〜100倍である画分、および/または多糖の濃度が天然霊芝種の濃度の0.001〜70倍である画分を含む。本発明の抽出物は、精油の濃度が天然霊芝種の濃度の0.01〜80倍である画分、および/またはトリテルペンの濃度が天然霊芝種の濃度の0.01〜100倍である画分、および/または多糖の濃度が天然霊芝種の濃度の0.01〜70倍である画分を含む。さらに本発明の抽出物は、天然霊芝植物材料の精油化学構成成分に見られるよりも多量または少量の、天然植物材料精油中に存在する少なくとも1つまたは複数の化合物を有する精油化学構成成分の副画分を含む。例えば、エステル、2−プロペン酸、トリデシルエステルは、SCCO2抽出条件に依存して、12倍の濃度増加範囲となる精油副画分の0.22〜2.53質量%の濃度範囲を有することができる。それとは対照的に、脂肪酸、n−ヘキサデカン酸は、2.5倍の濃度範囲となる精油副画分中4.00〜9.86質量の濃度範囲を有することができる。さらにこれらの2つの精油化合物の比は、1/15〜1/3の範囲となり得る。表3に示すように、異なる精油副画分は、大いに異なる化学構成成分および化学構成成分比を含有し得る。本発明の抽出物は、かかる新規精油副画分中の特定の化合物の濃度が、天然霊芝精油化学構成成分に見られる濃度の約1.1〜約6倍の増加または約0.1〜約6倍の減少となる画分を含む。
【0063】
例えば本発明の抽出物は、精油化学構成成分の濃度が天然霊芝植物材料の濃度の0.001〜100倍である画分、および/またはトリテルペンの濃度が天然霊芝植物材料の濃度の0.0001〜100倍、および/または多糖が天然霊芝植物材料の濃度の0.001〜100倍である画分を含む。混合抽出物を製造する場合、約0.001mg〜約200mgの精油画分を使用することができる。さらに、約0.001mg〜約500mgのトリテルペン画分を使用することができる。さらに、約0.001mg〜約500mgの水溶性エタノール不溶性多糖画分を使用することができる。
【0064】
抽出方法
本発明の方法は、ヒトの疾患の治療および予防のための新規霊芝抽出物を提供することを含む。例えば、免疫促進活性のための新規霊芝種抽出物は、重量%で、霊芝種天然植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも高い多糖画分濃度ならびに低い精油およびトリテルペン画分濃度を有することができる。ウィルス疾患の予防および治療のための新規霊芝種抽出物は、重量%で、天然霊芝種植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも多いトリテルペンおよび多糖画分、ならびに少ない精製画分を有することができる。癌の予防および治療のための新規霊芝種抽出物の別の例は、天然霊芝種植物材料または従来知られている抽出生成物に見られるよりも高いトリテルペン画分濃度、高い多糖画分濃度、および高い精油画分濃度を有する画分を含む。
【0065】
さらなる実施形態は、天然植物材料に見られるもの、または現在利用可能な霊芝種抽出生成物に対して変更されたプロファイル(比分布)の霊芝種化学構成成分を含む抽出物を含む。例えば、精油画分は、トリテルペンおよび/または多糖濃度に対して増加しても減少してもよい。同様に、トリテルペンまたは多糖を、他の抽出物構成成分の画分に対して増加または減少させて、特定の生物学的作用のための新規構成成分の化学的プロファイル抽出を可能にすることができる。
【0066】
教示される以下の方法は、個々に、または開示されている方法もしくは当業者に知られている方法と組み合わせて使用することができる。
【0067】
抽出の出発材料は、1つまたは複数の霊芝種からの植物材料である。植物材料は、植物の任意の部分であってよいが、子実体または菌糸が最も好ましい出発材料である。
【0068】
霊芝種植物材料を予備抽出工程にかけて、その材料を任意の特定の形態にすることができ、抽出に有用な任意の形態が本発明によって企図される。かかる予備抽出工程には、それに限定されるものではないが、材料が切り刻まれ、細分に刻まれ、細長く刻まれ、粉砕され、微粉化され、切断され、または引き裂かれる工程が含まれ、出発材料は、予備抽出工程の前に乾燥されるか、または新鮮な植物材料のままである。好ましい予備抽出工程は、霊芝種植物材料を、微粉に粉砕および/または微粉化する工程を含む。出発材料または予備抽出工程後の材料は乾燥されるか、または湿気を与えられる。霊芝種植物材料が抽出用の形態になると、本発明によって抽出方法が企図される。
【0069】
表4は、本発明に使用される霊芝種原料に見られる有益な主な生物活性化学構成成分画分および主な生物活性化合物のいくつかを列挙するものである。
【0070】
【表4−1】
【0071】
【表4−2】
【0072】
【表4−3】
【0073】
【表4−4】
本発明の抽出方法は、本明細書に開示のプロセスを含む。一般に本発明の方法は、超臨界流体抽出(SFE)を使用して、溶媒として二酸化炭素(SCCO2)を用いて霊芝種植物材料を抽出し、それに1つまたは複数の溶媒抽出工程、例えばそれに限定されるものではないが、水、含水アルコール、およびアフィニティーポリマー吸収抽出プロセスが続く方法を部分的に含む。本発明で企図されるさらなる他の方法は、他の有機溶媒、冷媒化学物質、圧縮性ガス、可聴化(sonification)、高圧液体抽出、高速向流クロマトグラフィー、分子インプリントポリマー、および他の知られている抽出法を使用する霊芝種植物材料の抽出を含む。かかる技術は当業者に知られている。一態様では、本発明の抽出物は、図1〜5に概略的に示した工程を含む方法によって調製することができる。
【0074】
本発明は、SCCO2技術を使用して、霊芝植物材料から精油および他の脂溶性化合物を濃縮(精製)およびプロファイルするプロセスを含む。本発明は、霊芝の脂溶性化学構成成分を、例えば高純度の精油画分(高い精油化学構成成分濃度)に分画することを含む。さらに本発明は、抽出画分中の個々の化学構成成分が、それらの化学構成成分比またはプロファイルを変更され得るSCCO2プロセスを含む。例えば、精油画分中の化学構成成分のSCCO2画分分離によって、他の精油化合物に対していくつかの精油化合物が選択的に抽出可能となり、その結果、他の化合物の濃度よりも高いいくつかの化合物の濃度を有する精油抽出副画分を得ることができる。
【0075】
本発明で教示されるSCCO2での霊芝種の精油化学構成成分の抽出によって、有害な有機溶媒の使用が排除され、各抽出物の同時分画が実現する。二酸化炭素は、天然の安全な生物学的生成物であり、多くの食品および飲料に含まれる成分である。
【0076】
当帰(Ligusticum)の生物学的に活性な化学構成成分の抽出方法の概略図を、図1〜5に示す。抽出プロセスは、一般にそれに限定されるものではないが、4工程である。本文参照に関して、下線の数字が括弧中に現れた場合[x]、その数字は図1〜5の数字を指す。抽出プロセスに使用される分析方法は、実施例部分で提示される。
【0077】
工程1:霊芝精油の超臨界流体二酸化炭素抽出
精油の疎水性性質に起因して、それに限定されるものではないが、SCCO2、ヘキサン、石油エーテル、および酢酸エチルを含む非極性溶媒を、この抽出プロセスで使用することができる。精油のいくつかの成分は揮発性であるため、抽出プロセスとして蒸気蒸留を使用することもできる。
【0078】
SCCO2を使用する霊芝種の根茎からの精油化学構成成分抽出の概略図を、図1−工程1Aおよび1Bに図示する。原料[10]は、乾燥した粉砕霊芝種子実体である(約140メッシュ)。抽出溶媒[210]は、純粋な二酸化炭素である。共溶媒としてエタノールを使用することができる。原料を、SFE抽出容器[20]に入れる。パージおよび漏出試験後、このプロセスは、貯蔵容器から冷却器を介してCO2ポンプに流れる液化CO2を含む。CO2は、所望の圧力に圧縮され、圧力および温度が所望のレベルに維持される抽出容器内で原料を貫流する。抽出の圧力は、約60バール〜800バールの範囲であり、温度は約35℃〜約90℃の範囲である。本明細書で教示されるSCCO2抽出は、好ましくは少なくとも100バールの圧力および少なくとも35℃の温度、より好ましくは約60バール〜500バールの圧力および約40℃〜約80℃の温度で実施される。抽出の単一段階についての抽出時間は、約30分〜約2.5時間、〜約1時間の範囲である。溶媒と供給物の比は、各SCCO2抽出につき、一般に約60対1である。CO2は、再利用される。次いで、抽出された精製およびプロファイル済み精油化学構成成分[30]は、コレクターまたはセパレーターに収集され、光防止ガラス瓶に保存され、冷暗庫中4℃で貯蔵される。霊芝原料[10]材料は、抽出および精製済みの得られた霊芝精油画分[30]が、1つのコレクターSFEもしくはSCCO2システム[20]に収集される1工程プロセス(図1、工程1A)で抽出することができ、または抽出された精製およびプロファイル済み霊芝精油副画分[50、60、70、80]が、1つのコレクターSFEシステム[20]で別々にかつ連続して収集される多段階(図1、工程1B)で抽出することができる。あるいは分画SFEシステムの場合、SCCO2抽出した霊芝原料物質は、コレクター容器(セパレーター)に分離され、各コレクター内に収集された精製済み精油副画分のそれぞれに異なる相対パーセンテージの精油化学構成成分抽出物(プロファイル)が存在するようにすることができる。残渣(残り)[40]は収集され、保存され、霊芝種トリテルペンおよび多糖の精製済み画分を得るためのさらなる処理に使用される。本発明の一実施形態は、60バール〜500バールの圧力および35℃と90℃の間の温度における多段階SCCO2抽出を使用する霊芝種原料の抽出、ならびに各段階後における抽出霊芝材料の収集を含む。本発明の第2の実施形態は、60バール〜500バールの圧力および35℃と90℃の間の温度におけるSCCO2分画抽出を使用する霊芝種原料の抽出、ならびに所定条件(圧力、温度、および密度)および所定間隔(時間)での異なるコレクター容器への抽出霊芝材料の収集を含む。多段階抽出器のそれぞれから、または異なるコレクター容器(分画システム)で得られる抽出された霊芝精製済み精油副画分を取り出し、独立に使用することができ、または混合して、天然植物材料もしくは従来の霊芝抽出生成物に見られるよりも高いもしくは低い所定の精油化学構成成分濃度を含む1つもしくは複数の霊芝精油抽出物を形成することができる。一般に、最大SCCO2単一抽出工程を使用する霊芝種植物材料からの精油画分の全収率は、約1.8重量%(精油化学構成成分の>95%)であり、抽出物の95質量%を超える精油化学構成成分純度を有する。実施例ならびにかかる抽出プロセスの結果は、以下の表5および6に見られる。手順は実施例1に見ることができる。
【0079】
【表5−1】
【0080】
【表5−2】
全抽出収率に対する温度効果は、そのシステムの圧力に依存し、100バールという低圧では、抽出収率は温度上昇と共に減少する。この知見は、およそ溶媒臨界点で圧力が操作される場合の大きな密度変化に寄与するものである(40CでのCO2密度は0.64g/ccであり、80CでのCO2密度は0.227g/ccである)。一方、300バールおよび500バールのより高い圧力では、抽出収率は温度上昇と共に上昇する。CO2の密度は温度によっては大して変化しないため、この知見は、溶質の蒸気圧に対する温度効果に寄与するものである。
【0081】
調査した実験範囲において密度および圧力は、霊芝キノコ系に関して抽出収率に大きな影響をもたらすと思われないことを明記することができる。しかし、温度は実質的な効果を有する。圧力および温度の両方が、抽出反応速度に影響をもたらす。温度上昇によって、抽出に好都合な化合物の蒸気圧の増大が促進される。さらに、温度および圧力がより高い値に上昇すると、拡散係数の増加および溶媒粘度の減少が草本の多孔質マトリックスからの化合物の抽出の助けにもなる。結論として、反応速度および収率両方の観点から、最大SCCO2抽出のために高温および高圧が使用されるべきである。
【0082】
表4および5から認められるように、霊芝種子実体原料に見られる主な化合物は、C11〜C20脂肪酸である。最も多量なものは高級アルコールC18脂肪酸の9,12−オクタデカンジエン酸(Z,Z)−およびリノエライジン酸(E,Z)−である。共に立体異性体である。リノエライジン酸(E,Z)−異性体は、植物の配糖体に広く存在する二重不飽和脂肪酸である。精油画分に見られる化合物の第2の主要な群は、アルコールである。これらの化合物で最も多量なものは、C17、C18、およびC20高級アルコールである。これらの脂肪族アルコールは、抽出を用いても未変化のままであり、エステルに変換しなかった。高純度の揮発性油化合物は、霊芝種原材料のSCCO2精油抽出物画分中に存在する。さらに、霊芝種精油抽出物画分は、SCCO2を使用してプロファイルすることができる(表3)。例えば、より高い濃度のアルコールは、80℃などのより高い抽出温度および100バールなどの低圧で得ることができる。それとは対照的に、より高い濃度のC18脂肪酸異性体は、40〜70℃の温度および500バールなどの高圧で得ることができる。
【0083】
霊芝種のSCCO2抽出の収率は、温度40〜80℃および圧力100〜500バール、溶媒/供給物(S/F)比180で原料の約0.6〜1.2質量%であった(表6)。
【0084】
【表6】
工程2.粗トリテルペノイド画分抽出のエタノール浸出プロセス
一態様では本発明は、活性なトリテルペン化合物の抽出および濃縮を含む。この工程の概略図を、図2−工程2に図示する。この工程2の抽出プロセスは、溶媒浸出プロセスである。この抽出プロセスの原料は、霊芝種天然原料[10]または精油化学構成成分のSCCO2抽出後の残渣[40]である。抽出溶媒[220]は、水性エタノール、エタノール、または他のアルコールであってよい。この方法では、霊芝種残渣および抽出溶媒を抽出容器[100]に入れ、加熱し攪拌する。90℃、約80℃、約70℃、約60℃、または約60〜80℃に加熱することができる。抽出は、約1〜10時間、約1〜6時間、約1〜3時間、または約2時間で実施される。得られた流体抽出物を遠心分離にかける[120]。濾液(上清)を生成物として収集し[120]、体積および乾燥質量固形分を測定する。固体抽出残渣材料[130]を保持し、さらなる処理のために保存する(工程4参照)。必要または所望に応じた回数、抽出を反復することができる。2回以上、3回以上、4回以上等反復することができる。例えば、図1−工程2は3段階プロセスを示しており、第2段階および第3段階では、同じ方法および条件を使用する。この抽出工程の一例は実施例2に見られ、結果を表7〜9に示す。
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
工程3.トリテルペン画分の精製
霊芝種の粗トリテルペン抽出物からのトリテルペン画分の抽出および精製の概略図を、図3−工程3に図示する(別表1)。原料[120]は、工程2の3段階エタノール浸出プロセスからの粗トリテルペン抽出物である。溶媒は、クロロホルム[230]および飽和重炭酸ナトリウム(NaHCO2)水溶液(10%)[240]である。この方法では、粗トリテルペン抽出原料[]120および第1の抽出溶媒[230]を抽出容器[100]に入れ、攪拌して、粗トリテルペン画分を溶媒に溶解する。クロロホルム溶媒をセパレーターシステム[320]に入れる。次いで第2の抽出溶媒[240]を、セパレーターシステム中の溶液に添加し、混合し、換気し、静置して、クロロホルム溶媒(低層)から水ベースの溶媒(上層)を分離する。水ベースの溶液層を収集し[400]、体積および乾燥質量固体分を測定する。クロロホルム(低層)残渣溶液[340]は、NaHCO2抽出のさらなる段階のために保持することができる。必要または所望に応じた回数、NaHCO2抽出を反復することができる。2回以上、3回以上、4回以上等反復することができる。例えば、図3−工程3AはNaHCO2の3段階プロセスを示しており、第2段階および第3段階では、同じ方法および条件を使用する。各抽出段階から収集された水ベースの溶液[400+410+420]を混合する[430]。混合溶液を酸性にする。酸はHClである[250]。溶液の最終pHは、約3〜5、または約4であってよい。次いで、溶媒のクロロホルム[260]を用いて溶媒セパレーターシステム[320]を使用して、酸性化溶液を抽出する[340]。所望のトリテルペノイドを含有するクロロホルム溶液層を収集し、保存する[450]。必要または所望に応じた回数、クロロホルム抽出プロセスを反復することができる。例えば、図3の工程3Bは、クロロホルム2段階プロセスを示しており、第2段階では、同じ方法および条件を使用する。抽出完了後の水ベースの残渣は破棄される。ロータリーエバポレーションを使用して、減圧下で多段階クロロホルム溶媒[480]を蒸発させ、再利用する[390]。精製済みトリテレン画分を乾燥させて[395]残りのクロロホルムを除去し、精製済みトリテルペン画分[500]として保存する。この抽出工程の一例は、実施例3に見ることができ、結果を表4に示す。
【0088】
精製済みトリテルペン画分の全収率は、最初の霊芝原料に対して0.6質量%であり、トリテルペン純度は約88%であり、粗トリペルペン抽出画分の純度の4倍増であった。したがってトリテルペノイド収率は、最初の霊芝原料に存在するトリテルペノイドの65%を超えていた。130を超える高度酸化トリテルペンおよび関連化合物がG.ルシダム植物材料から単離されたことを考えると、期待される数々の未知のピークは、このHPLCクロマトグラムによって明らかとなる。3つの参照標準、ガノデリン酸A、ガノデリン酸F、およびガノデルマトリオールの全濃度は約4%であり、これは、精製済みトリテルペン画分の商業用処理における品質管理のための全トリテルペノイドアッセイの重要性を支持するものであった。
【0089】
工程4.水浸出プロセスおよび多糖沈殿
霊芝種の化学構成成分の多糖抽出画分は、「水溶性エタノール不溶性抽出画分」として科学文献に定義されている。水溶媒浸出およびエタノール沈殿プロセスを使用する霊芝種抽出物からの多糖画分の抽出の概略図を、図4−工程4に図示する。原料[10]または[120]は、天然霊芝種植物材料粉末または工程2のエタノール浸出抽出プロセスからの固体残渣である。この原料は、2段階で浸出抽出される。溶媒は蒸留水である[270]。この方法では、霊芝種原料[10]または[120]および抽出溶媒[270]を抽出容器[700]に入れ、加熱し攪拌する。それを100℃、約60℃、または約70〜80℃に加熱することができる。抽出は、約1〜5時間、約2〜4時間、または約2時間で実施される。必要または所望に応じた回数、抽出を反復することができる。多段階抽出溶液[700+720]を混合し、スラリーを濾過し[610]、遠心分離にかけ[620]、上清を収集し蒸発させて[630]水を除去した後、溶液中の化学物質濃度を約8倍増加させる[640]。次いで、無水エタノール[280]を使用して、溶液の最初の体積を再構成し、60〜80%エタノールの最終エタノール濃度にする。多量の沈殿物[650]を観測する。溶液を遠心分離にかけ[660]、デカントし[670]、上清残渣[750]をさらなる処理のために保存してもよく、または破棄してもよい。乾燥[680]後の沈殿生成物[740]は精製済み多糖画分[760]であり、比色法を用いて、参照標準として5,000、50,000、および410,000の分子量のデキストランを使用することによって、これを多糖について分析することができる。標準として3つの異なる分子量のデキストランを使用する抽出済み多糖画分の純度は、それぞれ約80%、59%、および52%であり、全収率は最初の天然霊芝原料の2質量%である。3つのデキストラン標準の純度測定値を組み合わせると、95%を超える非常に高いレベルの純度を示している。主な不純物は、望ましいレクチンタンパク質(3質量%)であると思われ、これも有益な生物活性特性を含有する。本発明の方法を、実施例4でさらに教示する。結果を表10に示す。さらにAccuTOF−DART質量分析を使用して、精製済み多糖画分を含む化合物の分子量をさらにプロファイルした。結果を図6および7に示す。
【0090】
【表10】
*収率は、最初の霊芝原料に対する質量%である。
【0091】
霊芝多糖収率は、最初の霊芝植物原料に対して約2質量%であった。多糖画分の純度は、520〜800mg/gのデキストラン標準当量であり、これは、画分中の純度が霊芝多糖化学構成成分の>90%であることを示すものであった。数々の様々な実験手法に基付くと、2%の収率は、天然霊芝種原材料中の水溶性−エタノール不溶性多糖のほぼ100%であると結論付けることは実に合理的である。さらに、画分中の主な不純物は、望ましいレクチンタンパク質であると思われるが、これは精製済み多糖画分の約3質量%を占めている。
【0092】
当技術分野では、溶液からアルコールを除去するための多くの方法が知られている。再利用のためにアルコールを保存することが望ましい場合、抽出後に標準大気圧または減圧下での蒸留によって溶液から除去することができる。このアルコールは再利用することができる。さらに、水溶液またはアルコールが除去された溶液、いずれかの溶液から水を除去するための当技術分野で知られている多くの方法も存在する。かかる方法には、それに限定されるものではないが炭酸マグネシウムまたはマルトデキストリンなどの適切な担体上に、それに限定されるものではないが水溶液を噴霧乾燥することが含まれ、あるいは液体を凍結乾燥またはリフラクティブウィンドウ(refractive window)乾燥することによって乾燥状態にすることができる。
【0093】
抽出物の純度
先に記載の抽出方法の実施では、霊芝種の最初の乾燥霊芝の樹皮原料中95%を超える純度の精油化学構成成分を有する50〜99質量%の収率の精油化学構成成分を、精油SCCO2抽出画分として抽出できるということが見出された(工程1A)。工程1Bに教示される方法を使用すると(SCCO2抽出および分画プロセス)、高度に精製された(>90%)精油副画分への精油化学構成成分の分画により、精油収率は減少するであろう。さらに本発明で教示されるSCCO2抽出および分画プロセスによって、精油化学構成成分画分を含む個々の化合物の比(プロファイル)を変えることが可能となり、その結果、特定の医療目的に合わせて独特の精油副画分プロファイルを作り出すことができる。例えばアルコール精油化学構成成分の濃度を増加すると同時に、脂肪酸化合物の濃度を減少することができ、またはその逆も同様である。
【0094】
本発明の工程2に教示される方法を使用すると、最初の霊芝種原料から3質量%の収率で、20%のトリテルペン化学構成成分濃度を有するエタノール浸出粗トリテルペン画分が実現する。これはさらに、天然霊芝種植物材料に見られるトリテルペン関連化学構成成分の約66%の収率に等しい。
【0095】
本発明の工程3に教示される方法を使用して(トリテルペン画分の精製)、抽出物の85乾燥質量%を超える純度のトリテルペン画分を得ることができる。含水アルコール浸出抽出原料からほぼ100%のトリテルペンを抽出することが可能である。これは、天然霊芝種植物材料に見られる約66%の収率のトリテルペン酸化学構成成分に等しい。
【0096】
本発明の工程4に教示される方法を使用すると、最初の霊芝種原料から1.5〜2.0質量%の収率で、90%を超える多糖純度を有する精製済み多糖画分が実現する。多糖収率は、天然霊芝種原材料に存在する水溶性エタノール不溶性多糖のほぼ100%である。この画分中の本質的な非多糖化学構成成分は、多糖画分の約3質量%を占めるレクチンタンパク質であると思われる。これらのタンパク質は、多糖と相乗的に作用し、画分の有益な生物活性を高めると思われる。
【0097】
最後に、本発明で教示される方法によって、霊芝種新規精油化学構成成分画分、新規精油画分または副画分、新規トリテルペン画分、および新規多糖画分の精製(濃縮)を、精油画分中99質量%もの高さの所望の化学構成成分、トリテルペン画分中87質量%もの高さ、および多糖画分中95質量%もの高さとなるようにすることが可能となる。使用される特定の抽出環境、抽出速度、溶媒、および抽出技術は、原料の始めの化学構成成分プロファイルおよび最終抽出生成物の所望の精製レベルに依存する。本発明で教示される特定の方法は、特定の特質を有する産出材料に加工される出発材料の特質におけるサンプル変動を説明するプロセス調節に一般的な、ほんの日常的な実験を使用して、当業者によって容易に決定され得る。例えば特定のある組の霊芝種植物材料では、精油化学構成成分、トリテルペン、および多糖の最初の濃度は、本発明で教示されるように、当業者に知られている方法を使用して決定される。当業者は、本明細書に開示の抽出法を使用して、精油化学構成成分の最初の濃度からの、例えば最終抽出生成物の精油化学構成成分の所定量または分布(プロファイル)までの変化量を決定して、最終霊芝種抽出生成物における所望の濃度および/または化学プロファイルに到達させることができる。
【0098】
食品および医薬品
本発明の食品の一形態として、任意選択の形態、例えば顆粒状態、粒状、ペースト状、ゲル状、固体状態、または液体状態に配合することができる。これらの形態では、食品に添加できる当業者に従来知られている様々な種類の物質、例えば結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、検査薬、緩衝剤、界面活性剤、溶解助剤、保存剤、乳化剤、等張剤、安定化剤、またはpH調節剤等が任意選択で含有され得る。食品に添加されるエルダーベリー抽出物の量は特に限定されず、例えば体重約60kgの成人によって摂取される量としては1日当たり約10mg〜5g、好ましくは50mg〜2gであってよい。
【0099】
特に、保健機能食品等の保存用食品として使用される場合、本発明の所定の効果が十分に示されるような量で本発明の有効成分を含有することが好ましい。
【0100】
本発明の医薬品は、例えば錠剤、顆粒、粉剤、カプセル剤等の固体薬剤、または注入剤等の液体薬剤として、従来知られている方法に従って任意選択で調製することができる。これらの医薬品には、例えば結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、検査薬、緩衝剤、界面活性剤、溶解助剤、保存剤、乳化剤、等張剤、安定化剤、またはpH調節剤などの一般に使用される任意の材料を配合することができる。
【0101】
医薬品としての有効成分(霊芝抽出物)の投与量は、種類、剤形、患者の年齢、体重、または適用される症候等に依存して変わり得、例えば経口投与される場合、体重約60kgの成人については1日1回または数回投与され、1日当たり約10mg〜5g、好ましくは約50mg〜2gの量で投与される。有効成分は、霊芝抽出物の1つまたはいくつかの成分であってよい。
【0102】
新規霊芝種抽出物は、急性または慢性の状態の有効な治療に合わせて1日に1回または複数回投与することができる。本発明の一方法は、霊芝種構成成分化合物を含む抽出物を、少なくとも1日1回投与することを含む。方法はまた、1日当たり2回以上、1日当たり3回以上、1日当たり4回以上、および1日当たり1〜15回の範囲でかかる抽出物を投与することを含む。かかる投与は、連続的にある日数、週数、月数、もしくは年数の間、毎日行うことができ、または特定の状態を治療もしくは予防するために特定の回数で行うことができる。例えばあるヒトは、免疫系を強化するため、または心臓血管疾患および卒中を予防するため、または炎症性障害および関節炎を予防もしくは治療するため、または高血圧を治療するため、または一般的な風邪、インフルエンザ、もしくは他のウィルス疾患を予防および治療するため、または細菌性疾患を予防もしくは治療するため、または糖尿病を治療するため、または高コレステロール血症を治療するため、または癌を予防もしくは治療するために、少なくとも1日1回数年間、霊芝種抽出物を投与され得る。
【0103】
前述の説明は、本発明の実施に現在企図されている最良の態様を含む。この説明は、本発明の一般的原理を例示するためのものであり、限定的な意味と解釈されるべきではない。本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これらは本発明の範囲に制限を付与するものと決して解釈されるべきではない。それとは逆に、本明細書の説明の読後に本発明の精神から逸脱することなく当業者にそれら自体を提案できる様々な他の実施形態、改変形態、およびそれらの等価物を手段として用いることができることを明確に理解されたい。
【0104】
本明細書で使用されるすべての用語は、当業者によって通常認められている用法で解釈されるとみなされる。本明細書に引用した特許および特許出願または参考文献は、すべて参照によってその全体が組み込まれる。
【実施例】
【0105】
材料および方法
植物
赤色の霊芝ルシダム(GL)乾燥キノコを、市販で入手した。原料中の活性化合物の濃度を研究所内で測定し表11に列挙した。
【0106】
【表11】
1精油は、70℃および500バールにおける最高収率のSCCO2抽出によって推定した
2トリテペノイドは、方法抽出によって推定した
3多糖−糖タンパク質、水抽出によって推定した。
【0107】
有機溶媒
アセトン(CAS:67−64−1)、≧99.5%、ACS試薬(179124);HPLC用アセトニトリル(CAS:75−05−8)、勾配グレード≧99.9%(GC)(000687);ヘキサン(CAS番号:110−54−3)、95+%、分光光度グレード(248878);酢酸エチル(CAS番号:141−78−6)、99.5+%、ACSグレード(319902);4.8%イソプロパノール(02853)で変性したエタノール(CAS:64−17−5);エタノール(CAS:64−17−5)、無水(02883);メタノール(CAS番号:67−56−1)、99.93%、ACS HPLCグレード(4391993);クロロホルム(CAS番号:67−66−3)、≧99.0%(GC)、および水(CAS番号:7732−18−5)、HPLCグレード(95304)。すべてSigma−Aldrichから購入した。
【0108】
酸および塩基
酢酸(64−19−7)、99.7+%、ACS試薬(320099);塩酸(7647−01−0)、体積標準1.0N水溶液(318949);重炭酸ナトリウム(S263−1、ロット番号:037406)は、Fisher Co.から購入した。Bradford試薬(製品番号B6916)は、sigmaから購入した。
【0109】
化学物質参照標準
血清アルブミン(9048−46−8)、ウシアルブミン(BSA)画分V粉末細胞培養試験済み(A9418)は、sigmaから購入した。ガノデリン酸A(ロット番号:07057−022)、ガノデリン酸F(ロット番号:07068−037)、およびガノデルマトリオール(ロット番号:07060−128)は、すべてsigmaから購入した。DINによって認定されたデキストラン標準5000(00269)、50,000(00891)、および410,000(00895)は、flukaから購入した。これら標準の構造を、表12に示す。
【0110】
【表12】
HPLC法
クロマトグラフシステム:LC10ADVPポンプとSPD−M10AVPフォトダイオードアレイ検出器を備えた島津高速液体クロマトグラフLC−10AVPシステム。
【0111】
得られたエタノール抽出生成物を、逆相JupiterC18カラム(250×4.6mmI.D.、5μ、300Å)(Phenomenex、パート番号:00G−4053−E0、シリアル番号:2217520−3、バッチ番号:5243−17)で測定した。注入量は10μlであり、移動相の流量は1ml/分であった。カラム温度は25℃であった。移動相は、A(2.5%酢酸水溶液、v/v)およびB(アセトニトリル)からなっていた。勾配を以下のようにプログラムした。最初の12分でBは30%を維持し、12〜30分では、溶媒Bは30%〜65%に直線的に増加し、30〜40分では、Bは65%を維持し、次いで40〜45分ではBは65%〜85%に直線的に増加した。
【0112】
加重した量の標準化合物を5mg/mlでエタノールに溶解することによって、表12に列挙した3つの標準のメタノール保存溶液を調製した。次いで、参照標準混合溶液を段階的に希釈して、それぞれ最終濃度2、1、0.5、0.1、0.05mg/mlの一連の溶液を得た。保存溶液および使用溶液すべてを7日間以内に使用し、+4℃の冷蔵庫で保存し、使用前に室温に戻した。これらの溶液を使用して、霊芝ルシダム抽出物中の化合物を同定し定量化した。ガノデリン酸A、ガノデリン酸F、およびガノデルマトリオールの保持時間は、それぞれ約13.33、21.63、および34.42分であった。0.01〜20μgの範囲の線形フィットを見出した。回帰式および相関係数は以下の通りであった。ガノデリン酸A:ピーク領域=790642×C(μg)−23406、R2=0.9994(N=6);ガノデリン酸F:ピーク領域=513374×C(μg)−12458、R2=0.9999(N=6);ガノデルマトリオール:ピーク領域=753902×C(μg)−29095、R2=0.9997(N=6)。HPLCの結果を表13に示す。各サンプル中の参照標準の含量を、ピーク領域をベースとする対応する較正曲線からの補間によって算出した。
【0113】
【表13】
1理論段はN=16×(tR/w)2によって算出した。tRは保持時間であり、wはピーク幅である。https://www.mn−net.com/web%5CMN−WEB−HPLCKatalog.nsf/WebE/GRUNDLAGEN。
【0114】
GC−MS分析
GC−MS分析は、島津GCMS−QP2010システムで実施した。このシステムは、高速ガスクロマトグラフ、直結GC/MSインターフェース、電子衝撃(EI)イオン源と独立温度制御、四重極質量分析器等を含む。このシステムは、データ収集および実施後分析のためのGCMS溶液Ver.2ソフトウェアで制御される。Agilent J&W DB−5溶融シリカ毛細管カラム(30m×0.25mm i.d.、0.25μmフィルム厚さ)(カタログ:1225032、シリアル番号:US5285774H)で、以下の温度プログラムを使用して分離を実施した。最初の温度60℃を2分間保持し、次いで4℃/分の速度で120℃に上昇し、15分間保持し、次いで4℃/分の速度で200℃に上昇し、15分間保持し、次いで4℃/分の速度で240℃に上昇し、15分間保持し、合計実施時間は92分であった。サンプル注入温度を250℃とし、サンプル1μlを、スプリットレスモードの自動注入器によって1分間注入した。キャリアガスはヘリウムとし、流量は圧力60KPaで制御した。かかる圧力下では、流量は1.03ml/分であり、直線速度は37.1cm/分であった。MSイオン源温度は230℃であり、GC/MSインターフェース温度は250℃であった。MS検出器を、50m/zおよび500m/zの間で、走査速度1000AMU/秒で走査した。溶媒カットオフ温度は3.5分であった。
【0115】
紫外線(UV)分光分析法によるトリテルペノイドの迅速定量化
機器:島津UV−Vis分光光度計(UVプローブを備えるUV1700:S/N:A1102421982LP)
標準
飽和重炭酸ナトリウム(NaHCO3)中0.2mg/mlの濃度のトリテルペノイド標準ガノデリン酸F溶液を生成する。各溶液を飽和重炭酸ナトリウムで0.2、0.1、0.05、0.025、0.0125mg/mlに希釈する。257nmの吸光度を記録する。結果を表14に示す。
【0116】
【表14】
多糖分析(Dubois1956)
機器:島津UV−Vis分光光度計(UVプローブを備えるUV1700:S/N:A1102421982LP)
標準
多糖分析には、比色法を使用した。デキストラン(Mw=5000、50,000、および410,000)保存溶液0.1mg/mlを蒸留水中に作製する。保存溶液0.08、0.16、0.24、0.32、0.40mlを取り、蒸留水で体積0.4mlにする。次いで5%のフェノール溶液0.2mlおよび濃硫酸1mlに添加する。混合物を10分間静置した後、UV走査を実施した。最大吸収は488nmで見られた。次いで波長を488nmに設定し、各サンプルについて吸収度を測定する。結果を表15に示す。デキストラン溶液のそれぞれについて、以下のように標準較正曲線を得た。デキストラン5K、吸収度=0.01919+0.027782C(μg)、R2=0.97(N=5);デキストラン50K、吸収度=0.0075714+0.032196C(μg)、R2=0.96(N=5);およびデキストラン410K、吸収度=0.03481+0.036293C(μg)、R2=0.98(N=5)。
【0117】
【表15】
多糖分子量分析
RID−10A屈折率検出器を備えたHPLCシステムで多糖分子量分析を行った。流量は0.6ml/分に設定した。300×7.8mmI.D.のTSK−GEL G4000PWXLカラムを使用して、分析を実施した(粒経10μm、細孔径300Å、日本東京港区東ソー株式会社、カタログ番号:08022、カラム番号:H3463)。移動相は蒸留水であり、注入量は10μlであった。カラム温度は35℃であり、RIDのセル温度は40℃であった。分析時間は40分であった。
【0118】
加重した量の標準化合物を5mg/mlの濃度で蒸留水に溶解することによって、異なる分子量のデキストラン標準の蒸留水保存溶液を調製した。デキストラン5k、デキストラン25k、デキストラン50k、デキストラン270k、およびデキストラン410kの保持時間は、表16に示すように、それぞれ約15.70、13.82、12.93、11.08、および10.76分であった。保持時間(X軸)対Log MW(Y軸)をプロットすることによって線形曲線フィットを得た。回帰式はLog(MW)=9.669−0.3817×Rt(R2=0.99859)であった。未知のサンプルの分子量は、サンプルの保持時間を知ることにより上記の式で算出することができる。
【0119】
【表16】
実時間直接分析(Direct Analysis in Real Time)(DART)質量分析
機器
JOEL AccuTOF DART LC飛行時間型質量分析計(Joel USA,Inc.、米国マサチューセッツ、ピーボディ)。この飛行時間型(TOF)質量分析計技術は、サンプル調製を必要とせず、質量単位0.00001までの精度で質量が得られる。
【0120】
画分分析方法
画分を得、分析するために使用した機器の設定は、以下の通りである。陽イオンモードでは、DARTニードル電圧は3000V、発熱体は250℃、電極1は100V、電極2は250V、およびヘリウムガス流は7.45リットル/分(L/分)である。質量分析については、オリフィス1は10V、リングレンズは5V、オリフィス2は3Vである。分解能を得るために、ピーク電圧を600Vに設定し約60m/zで開始し、より大きい質量範囲での十分な分解をさらに可能にする。マイクロチャネルプレート検出器(MCP)電圧を2450Vに設定する。0.5Mカフェイン溶液標準(Sigma−Alrich Co.、米国セントルイス)を使用して、毎朝較正を実施した後にサンプルを導入する。較正の許容差は≦5mmuに保持する。
【0121】
サンプルを滅菌鉗子でDARTヘリウムプラズマに導入し、サンプルの最大表面積をヘリウムプラズマビームに確実に曝露させる。ビーム内にサンプルを導入するために、掃引動作を用いる。この動作によって、サンプルを掃引1回当たり約0.5秒の前後のストロークに繰り返し曝露することができ、サンプルの熱分解が防止された。感知され得る全イオン流(TIC)信号が検出器で観測されるまでこの動作を反復し、次いでサンプルを除去し、ベースライン/バックグラウンドの正規化を可能にする。
【0122】
陰イオンモードでは、DARTおよびAccuTOF MSを、陰イオンモードに切り替える。ニードル電圧は3000V、発熱体は250℃、電極1は100V、電極2は250V、およびヘリウムガス流は7.45L/分である。質量分析については、オリフィス1は−20V、リングレンズは−13V、オリフィス2は−5Vである。ピーク電圧は200Vである。MCP電圧は2450Vに設定される。陽イオンモードと厳密に同様にサンプルを導入する。機器を備えたMassCenterMain Suite softwareを使用して、すべてのデータ分析を実施する。
【0123】
(実施例1)
工程1Aの実施例:霊芝精油画分の単一工程のSFE最大抽出および精製
Supercritical Fluid Technologies,Inc.(デラウェア、ニューアーク)から購入した、圧力および温度をそれぞれ最大690バールおよび200℃に設計したSFT250を使用して、実験を実施した。この装置は、動的または静的モードで操作する柔軟性を伴って、超臨界条件における簡単で効率的な抽出を可能にする。この装置は主に、オーブン、ポンプおよび制御、ならびに収集モジュールの3つのモジュールからなる。オーブンは、1つの予熱カラムおよび1つの100mlの抽出容器を有する。ポンプモジュールには、300ml/分の一定の流量の圧縮空気駆動式ポンプが備えられている。収集モジュールは40mlのガラスバイアルであり、抽出生成物を回収するためにキャップおよび隔壁で封止される。この装置には、マイクロメーターバルブおよび流量計が備えられている。抽出容器の圧力および温度はモニタされ、+/−3バールおよび+/−1℃以内で制御される。
【0124】
スクリーン(140メッシュ)を使用してふるいにかけ測定した105μmを超える寸法の、粉砕した熟していない赤色のLingzhiの実の粉末5グラムを、実験毎に100mlの抽出容器に入れた。グラスウールをカラムの両端に入れて、起こり得る固体材料のキャリーオーバーを回避した。オーブンを所望の温度に予熱した後、充填された容器を搭載した。容器をオーブンに接続した後、抽出系をCO2で加圧することによって(約850psig)漏出について該系を試験し、パージした。この系を閉じ、空気駆動液体ポンプを使用して所望の抽出圧力に加圧した。次いで、該系を平衡のために約3分間静置した。サンプリングバイアル(40ml)を秤量し、サンプリングポートに接続した。約5SLPM(10g/分)の速度でCO2を流すことによって抽出を開始したが、この速度は絞り弁で制御される。収率は、全抽出物と未加工材料の供給物の重量比と定義した。収率は、抽出器内の未加工材料の最初の分量に対する抽出された油の重量パーセンテージと定義した。完全な抽出設計は、40〜80℃の温度および100〜500バールに変えて導入した。
【0125】
(実施例2)
工程2の実施例:粗トリテルペン画分のエタノール浸出抽出物
霊芝種のトリテルペン化学構成成分の3段階溶媒抽出の典型的な実施例は、以下の通りである。原料は、精油の工程1のSCCO2抽出(40℃、300バール)からの粉砕霊芝種子実体SFE残渣25gmであった。溶媒はエタノール500mlであった。この方法では、原材料およびエタノール500mlを、1つの1000mlの抽出容器に個々に入れ、70℃に予熱した水浴中で2時間混合する。保持粒経4〜8μmを有するFisherbrand P4濾紙を使用して抽出溶液を濾過し、2000rpmで10分間遠心分離にかけた。収率算出およびHPLC分析のために濾液(上清)を収集した。前述の方法を使用して、段階1の微粒子残渣を2時間抽出し(段階2)、段階2からの残渣を2時間抽出した。3段階抽出からの上清流体抽出物を混合し、減圧ロータリーエバポレーションを使用してエタノールを蒸発させ、再利用した。抽出物を50℃で12時間真空乾燥した。全トリテルペノイドアッセイを使用して、乾燥した粗トリテルペン抽出画分を、質量平衡、全トリテルペン含量について測定し、HPLCを使用して分析した。3段階抽出からの最終残渣を収集し、さらなる抽出のために保存した(以下参照)。
【0126】
3段階エタノール浸出プロセスの粗トリテルペン抽出物の全収率は、最初の霊芝種原料に対して約3質量%であり、全トリテルペノイドの純度は約20%であった。トリテルペン化学構成成分のさらに高い純度を実現するために、さらなる処理を要する(実施例3参照)。
【0127】
(実施例3)
工程3の実施例.トリテルペン画分精製
粗エタノール浸出画分中のトリテルペンの精製の典型的な実験実施例は以下の通りである。工程2のエタノール浸出粗トリテルペン画分1gをクロロホルム50mlに溶解し、抽出容器中、室温で5分間攪拌した。この透明溶液を、200mlのセパレーター漏斗に注いだ。飽和NaHCO3(10%)水溶液40mlをクロロホルム溶液に添加する。この混合物を15秒間激しく振とうし、圧力を解放し、再び15秒間激しく振とうした。クロロホルム相と水ベースの溶液相との間で溶質を平衡状態にさせるのに、30秒未満という全混合で十分であった。このプロセスの間、大量のCO2が生成されるので、圧力を換気するために特別な注意が払われなければならない。2つの溶液層が明瞭に分離するまで(約30分)、セパレーター漏斗をそのまま静置する。次いでセパレーター漏斗の栓を開け、クロロホルム低層を別のフラスコに排出し、2つのさらなるNaHCO3溶媒抽出のために保存する。残りの水ベースの溶液を漏斗の最上部から注ぎ、保存する。クロロホルム溶液のNaHCO3抽出の2つのさらなる段階を、同じ方法を使用して実施した。3段階のNaHCO3抽出溶液(120ml)を混合し、6NのHClを使用してpH4に酸性化した(約3ml)。酸性化溶液を、清浄な200mlのセパレーター漏斗に注いだ。クロロホルム50mlを2段階でセパレーター漏斗に入れて、水ベースの酸性化溶液からトリテルペン化合物を抽出した。この方法は先に記載のように室温で行われた。2つのクロロホルム層を収集し、混合し、保存した。残りの水ベースの溶液を破棄した。精製済みトリテルペン化学構成成分を含有する混合クロロホルム溶液を、ロータリーエバポレーションを使用して減圧下で蒸発させ、クロロホルムを再利用した。精製済みトリテルペン抽出画分を50℃のオーブンで乾燥させ、残りのクロロホルムを除去した。全トリテルペノイドUV分光分析アッセイを使用して、質量平衡、全トリテルペン含量によって収率を算出し、HPLCを使用して分析した。
【0128】
(実施例4)
工程4の実施例 多糖画分抽出
霊芝種の水溶性エタノール不溶性精製済み多糖画分化学構成成分の溶媒抽出および沈殿の典型的な実験実施例は以下の通りである。原料は、工程1のSFE抽出物および工程2のエタノール浸出抽出物25gmからの固体残渣であった。蒸留水500mlを使用して、70℃で2時間、2段階で原料を抽出した。2つの抽出溶液を混合し、Fisherbrand P4濾紙(粒径4〜8μm)を使用してスラリーを濾過し、2,000rpmで20分間遠心分離にかけた。上清を収集した。ロータリーエバポレーションを使用して、透明な上清抽出溶液を1000mlから200mlに濃縮した。次いで無水エタノール600mlまたは800mlを添加して、最終エタノール濃度を60%または80%にした。溶液を1時間静置し、沈殿物を観測した。抽出溶液を2,000rpmで20分間遠心分離にかけ、上清をデカントし、さらなる処理のために保存するか、または破棄した。沈殿の前および後に質量平衡を実施して、多糖およびタンパク質の収率を算出した。沈殿物を収集し、50℃のオーブンで12時間乾燥させた。乾燥多糖画分を秤量し水に溶解して、デキストランを参照標準として用いる比色法およびBradfordタンパク質アッセイを使用して、多糖およびタンパク質純度をそれぞれ分析した。
【0129】
(実施例5)
以下の成分を配合のために混合する。
【0130】
【表17】
霊芝種の新規抽出物は、天然霊芝種植物材料または従来の抽出生成物に見られるよりも高い質量%で、精油画分、トリテルペン画分、および多糖画分を含む。その配合物は、任意の経口用剤形にすることができ、生理学的、心理学的、および医学的効果(免疫促進、糖尿病、抗血小板凝集および抗血栓症、心臓血管および脳血管疾患の予防および治療、抗アテローム性動脈硬化症、抗高コレステロール血症、抗高血圧、抗炎症、抗アレルギー、抗関節炎、抗リウマチ、抗自己免疫疾患、抗ウィルス、例えばそれに限定されるものではないが、一般的な風邪、インフルエンザ、HIV、単純ヘルペス、帯状疱疹、およびB型肝炎、抗菌、癌の予防および治療)に対して、必要に応じて毎日または1日当たり15回まで投与することができる。
【0131】
(実施例6)
以下の成分を以下の配合のために混合する。
【0132】
【表18】
霊芝種の新規抽出物は、天然植物材料または従来の抽出生成物に見られるよりも高い質量%で、精油画分、トリテルペン、および多糖化学構成成分画分を含む。配合物は、任意の経口用剤形にすることができ、所望の生理学的、心理学的、医学的効果に対して、必要に応じて1日当たり15回まで安全に投与することができる(上記実施例1参照)。
【0133】
引用参考文献:
【0134】
【化1】
【0135】
【化2】
【0136】
【化3】
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】精油画分の例示的な調製方法の図である。
【図2】エタノール浸出抽出の例示的な実施方法の図である。
【図3】トリテルペン画分の例示的な精製方法の図である。
【図4】トリテルペン画分の例示的な精製方法の図である。
【図5】水浸出プロセスおよび多糖沈殿の例示的方法の図である。
【図6】本方法の工程6からの霊芝多糖画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(陽イオンモード)のグラフである。
【図7】本方法の工程6からの霊芝多糖画分のAccuTOF−DART質量スペクトル(陰イオンモード)のグラフである。
【図8】熟していないlingzhiの赤い実からの霊芝抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図9】SCCO2法によって40℃および300バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図10】SCCO2法によって40℃および500バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図11】SCCO2法によって70℃および500バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図12】SCCO2法によって80℃および100バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図13】SCCO2法によって80℃および300バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図14】SCCO2法によって40℃および300バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図15】SCCO2法によって70℃および500バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図16】SCCO2法によって70℃および100バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図17】熟していないlingzhiの赤い実からの霊芝エタノール粗抽出物(粗トリテルペノイド)のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図18】熟していないlingzhiの赤い実からの最終トリテルペノイドのAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陽イオンモード)。
【図19】熟していないlingzhiの赤い実からの霊芝抽出物のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図20】SCCO2法によって40℃および300バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図21】SCCO2法によって40℃および500バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図22】SCCO2法によって70℃および500バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図23】SCCO2法によって80℃および100バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図24】SCCO2法によって80℃および300バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図25】SCCO2法によって40℃および300バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図26】SCCO2法によって70℃および500バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図27】SCCO2法によって70℃および100バールで抽出した霊芝精油のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図28】熟していないlingzhiの赤い実からの霊芝エタノール粗抽出物(粗トリテルペノイド)のAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【図29】熟していないlingzhiの赤い実からの最終トリテルペノイドのAccuTOF−DART質量スペクトルの図である(陰イオンモード)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図6〜29のいずれかの実時間直接分析(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む霊芝種抽出物。
【請求項2】
精油、トリテルペン、多糖、およびそれらの組合せからなる群より選択される化合物を含む、請求項1に記載の霊芝種抽出物。
【請求項3】
前記精油が、9,12−オクタデカジエン酸、リノエライジン酸、n−ヘキサデカン酸、オクタン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、9−オクタデセン酸、オクタデカン酸、2−プロペン酸、トリデシルエステル、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−エイコサノール、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項4】
前記トリテルペンが、ガノデリン酸、ルシデン酸、ガノルシジン酸、ガノデリオール、ルシドン、ルシデュモール、ガノデルメノノール、ガノデルマジオール、ガノデルマトリオール、ガノデルマノンジオール、ガノデルマノントリオール、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項5】
前記多糖が、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロースウロン酸、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項2に記載の霊芝種。
【請求項6】
前記精油の量が8重量%を超える、請求項2に記載の霊芝種。
【請求項7】
前記精油の量が25重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項8】
前記精油の量が50重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項9】
前記精油の量が75重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項10】
前記トリテルペンの量が2重量%を超える、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項11】
前記トリテルペンの量が25重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項12】
前記トリテルペンの量が50重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項13】
前記トリテルペンの量が75重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項14】
前記多糖の量が15重量%を超える、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項15】
前記多糖の量が25重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項16】
前記多糖の量が50重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項17】
前記多糖の量が75重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項18】
2重量%〜99重量%の精油、5重量%〜88重量%のトリテルペン、および2重量%〜95重量%の多糖を含む、請求項1に記載の霊芝種抽出物。
【請求項19】
請求項1に記載の霊芝種抽出物を含む食品または医薬品。
【請求項20】
a)超臨界二酸化炭素抽出によって霊芝種植物材料を抽出して、精油画分および第1の残渣を得る工程、
b)アルコール抽出によって工程a)からの第1の残渣を抽出して、トリテルペン画分および第2の残渣を得る工程、ならびに
c)水抽出によって工程b)からの第2の残渣を抽出し、多糖をアルコールで沈殿させて多糖画分を得る工程
によって逐次的に霊芝種植物材料を抽出して、該精油画分、該トリテルペン画分、および該多糖画分を得ることを含む、少なくとも1つの所定の特徴を有する霊芝種抽出物の調製方法。
【請求項21】
工程a)が、
1)粉砕霊芝種植物材料を抽出容器に入れる工程、
2)超臨界条件下で二酸化炭素を添加する工程、
3)該霊芝種植物材料と該二酸化炭素をある時間接触させる工程、および
4)精油画分を収集容器に収集する工程
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
超臨界二酸化炭素画分分離システムで前記精油画分を分画することによって、前記精油化合物の比を変える工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
超臨界条件が、35℃〜90℃で60バール〜800バールの圧力を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
超臨界条件が、40℃〜80℃で60バール〜500バールの圧力を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記時間が30分〜2.5時間である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記時間が1時間である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
工程b)が、
1)工程a)からの第1の残渣を、トリテルペン化学構成成分を抽出するのに十分な時間、アルコール溶媒と接触させる工程、
2)液液溶媒抽出プロセスを使用して該トリテルペン化学構成成分を精製する工程
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
一方の溶媒がクロロホルムであり、他方の溶媒が飽和NaHCO3水溶液である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記アルコール溶媒がエタノールである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
工程1)が30℃〜100℃で実施される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
工程1)が60℃〜100℃で実施される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記時間が1〜10時間である、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記時間が1〜5時間である、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記時間が2時間である、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
工程c)が、
1)多糖を抽出するのに十分な時間、霊芝種植物材料または工程b)からの第2の残渣を水と接触させる工程、および
2)アルコール沈殿によって水溶液から該多糖を沈殿させる工程
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項36】
前記水が70℃〜90℃である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記水が80℃〜90℃である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記時間が1〜5時間である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記時間が2〜4時間である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記時間が2時間である、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記アルコールがエタノールである、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
請求項20に記載の方法によって調製された霊芝種抽出物。
【請求項43】
エルゴステロール、該エルゴステロールの25〜35重量%のガノルシジン酸A、該エルゴステロールの10〜20重量%のガノルシジン酸B、および該エルゴステロールの30〜40重量%のガノデリン酸Hを含む霊芝種抽出物。
【請求項44】
ガノデリン酸Hおよび該ガノデリン酸Hの25〜35重量%のガノルシジン酸Aを含む霊芝種抽出物。
【請求項45】
ガノデリン酸H、該ガノデリン酸Hの5〜15重量%のルシデン酸B、該ガノデリン酸Hの1〜10重量%のルシデン酸A/N、および該ガノデリン酸Hの35〜45重量%のガノルシジン酸Aを含む霊芝種抽出物。
【請求項46】
ガノデリン酸Hおよび該ガノデリン酸Hの5〜15重量%のガノデラールを含む霊芝種抽出物。
【請求項47】
ガノデリン酸H、該ガノデリン酸Hの35〜45重量%のガノルシジン酸A、該ガノデリン酸Hの10〜20重量%のガノルシジン酸B、および該ガノデリン酸Hの30〜40重量%のセレビステロールを含む霊芝種抽出物。
【請求項48】
ガノデリン酸H、該ガノデリン酸Hの10〜20重量%のガノルシジン酸B、および該ガノデリン酸Hの5〜15重量%のガノデラールを含む霊芝種抽出物。
【請求項49】
ガノデリン酸H、該ガノデリン酸Hの10〜20重量%のガノルシジン酸B、該ガノデリン酸Hの20〜30重量%のメトキシセレビステロール、および該ガノデリン酸Hの20〜30重量%のセレビステロールを含む霊芝種抽出物。
【請求項50】
エルゴステロール、該エルゴステロールの30〜40重量%のガノルシジン酸A、該エルゴステロールの5〜15重量%のガノルシジン酸B、および該エルゴステロールの65〜75重量%のガノデリン酸Hを含む霊芝種抽出物。
【請求項51】
ガノデリン酸H、該ガノデリン酸Hの30〜40重量%のガノルシジン酸B、該ガノデリン酸Hの40〜50重量%のメトキシセレビステロール、および該ガノデリン酸Hの35〜45重量%のセレビステロールを含む霊芝種抽出物。
【請求項52】
エルゴステロール、該エルゴステロールの1〜10重量%のガノルシジン酸A/B、該エルゴステロールの1〜10重量%のガノデリオールF、および該エルゴステロールの50〜60重量%のラノステロールを含む霊芝種抽出物。
【請求項53】
ガノデリン酸H、該ガノデリン酸Hの60〜70重量%のガノルシジン酸A、該ガノデリン酸Hの25〜35重量%のガノルシジン酸B、および該ガノデリン酸Hの10〜20重量%のルシデン酸A/Nを含む霊芝種抽出物。
【請求項1】
図6〜29のいずれかの実時間直接分析(DART)質量分析クロマトグラムを有する画分を含む霊芝種抽出物。
【請求項2】
精油、トリテルペン、多糖、およびそれらの組合せからなる群より選択される化合物を含む、請求項1に記載の霊芝種抽出物。
【請求項3】
前記精油が、9,12−オクタデカジエン酸、リノエライジン酸、n−ヘキサデカン酸、オクタン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、9−オクタデセン酸、オクタデカン酸、2−プロペン酸、トリデシルエステル、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−エイコサノール、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項4】
前記トリテルペンが、ガノデリン酸、ルシデン酸、ガノルシジン酸、ガノデリオール、ルシドン、ルシデュモール、ガノデルメノノール、ガノデルマジオール、ガノデルマトリオール、ガノデルマノンジオール、ガノデルマノントリオール、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項5】
前記多糖が、グルコース、アラビノース、ガラクトース、ラムノース、キシロースウロン酸、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項2に記載の霊芝種。
【請求項6】
前記精油の量が8重量%を超える、請求項2に記載の霊芝種。
【請求項7】
前記精油の量が25重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項8】
前記精油の量が50重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項9】
前記精油の量が75重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項10】
前記トリテルペンの量が2重量%を超える、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項11】
前記トリテルペンの量が25重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項12】
前記トリテルペンの量が50重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項13】
前記トリテルペンの量が75重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項14】
前記多糖の量が15重量%を超える、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項15】
前記多糖の量が25重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項16】
前記多糖の量が50重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項17】
前記多糖の量が75重量%〜90重量%である、請求項2に記載の霊芝種抽出物。
【請求項18】
2重量%〜99重量%の精油、5重量%〜88重量%のトリテルペン、および2重量%〜95重量%の多糖を含む、請求項1に記載の霊芝種抽出物。
【請求項19】
請求項1に記載の霊芝種抽出物を含む食品または医薬品。
【請求項20】
a)超臨界二酸化炭素抽出によって霊芝種植物材料を抽出して、精油画分および第1の残渣を得る工程、
b)アルコール抽出によって工程a)からの第1の残渣を抽出して、トリテルペン画分および第2の残渣を得る工程、ならびに
c)水抽出によって工程b)からの第2の残渣を抽出し、多糖をアルコールで沈殿させて多糖画分を得る工程
によって逐次的に霊芝種植物材料を抽出して、該精油画分、該トリテルペン画分、および該多糖画分を得ることを含む、少なくとも1つの所定の特徴を有する霊芝種抽出物の調製方法。
【請求項21】
工程a)が、
1)粉砕霊芝種植物材料を抽出容器に入れる工程、
2)超臨界条件下で二酸化炭素を添加する工程、
3)該霊芝種植物材料と該二酸化炭素をある時間接触させる工程、および
4)精油画分を収集容器に収集する工程
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
超臨界二酸化炭素画分分離システムで前記精油画分を分画することによって、前記精油化合物の比を変える工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
超臨界条件が、35℃〜90℃で60バール〜800バールの圧力を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
超臨界条件が、40℃〜80℃で60バール〜500バールの圧力を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記時間が30分〜2.5時間である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記時間が1時間である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
工程b)が、
1)工程a)からの第1の残渣を、トリテルペン化学構成成分を抽出するのに十分な時間、アルコール溶媒と接触させる工程、
2)液液溶媒抽出プロセスを使用して該トリテルペン化学構成成分を精製する工程
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
一方の溶媒がクロロホルムであり、他方の溶媒が飽和NaHCO3水溶液である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記アルコール溶媒がエタノールである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
工程1)が30℃〜100℃で実施される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
工程1)が60℃〜100℃で実施される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記時間が1〜10時間である、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記時間が1〜5時間である、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記時間が2時間である、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
工程c)が、
1)多糖を抽出するのに十分な時間、霊芝種植物材料または工程b)からの第2の残渣を水と接触させる工程、および
2)アルコール沈殿によって水溶液から該多糖を沈殿させる工程
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項36】
前記水が70℃〜90℃である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記水が80℃〜90℃である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記時間が1〜5時間である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記時間が2〜4時間である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記時間が2時間である、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記アルコールがエタノールである、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
請求項20に記載の方法によって調製された霊芝種抽出物。
【請求項43】
エルゴステロール、該エルゴステロールの25〜35重量%のガノルシジン酸A、該エルゴステロールの10〜20重量%のガノルシジン酸B、および該エルゴステロールの30〜40重量%のガノデリン酸Hを含む霊芝種抽出物。
【請求項44】
ガノデリン酸Hおよび該ガノデリン酸Hの25〜35重量%のガノルシジン酸Aを含む霊芝種抽出物。
【請求項45】
ガノデリン酸H、該ガノデリン酸Hの5〜15重量%のルシデン酸B、該ガノデリン酸Hの1〜10重量%のルシデン酸A/N、および該ガノデリン酸Hの35〜45重量%のガノルシジン酸Aを含む霊芝種抽出物。
【請求項46】
ガノデリン酸Hおよび該ガノデリン酸Hの5〜15重量%のガノデラールを含む霊芝種抽出物。
【請求項47】
ガノデリン酸H、該ガノデリン酸Hの35〜45重量%のガノルシジン酸A、該ガノデリン酸Hの10〜20重量%のガノルシジン酸B、および該ガノデリン酸Hの30〜40重量%のセレビステロールを含む霊芝種抽出物。
【請求項48】
ガノデリン酸H、該ガノデリン酸Hの10〜20重量%のガノルシジン酸B、および該ガノデリン酸Hの5〜15重量%のガノデラールを含む霊芝種抽出物。
【請求項49】
ガノデリン酸H、該ガノデリン酸Hの10〜20重量%のガノルシジン酸B、該ガノデリン酸Hの20〜30重量%のメトキシセレビステロール、および該ガノデリン酸Hの20〜30重量%のセレビステロールを含む霊芝種抽出物。
【請求項50】
エルゴステロール、該エルゴステロールの30〜40重量%のガノルシジン酸A、該エルゴステロールの5〜15重量%のガノルシジン酸B、および該エルゴステロールの65〜75重量%のガノデリン酸Hを含む霊芝種抽出物。
【請求項51】
ガノデリン酸H、該ガノデリン酸Hの30〜40重量%のガノルシジン酸B、該ガノデリン酸Hの40〜50重量%のメトキシセレビステロール、および該ガノデリン酸Hの35〜45重量%のセレビステロールを含む霊芝種抽出物。
【請求項52】
エルゴステロール、該エルゴステロールの1〜10重量%のガノルシジン酸A/B、該エルゴステロールの1〜10重量%のガノデリオールF、および該エルゴステロールの50〜60重量%のラノステロールを含む霊芝種抽出物。
【請求項53】
ガノデリン酸H、該ガノデリン酸Hの60〜70重量%のガノルシジン酸A、該ガノデリン酸Hの25〜35重量%のガノルシジン酸B、および該ガノデリン酸Hの10〜20重量%のルシデン酸A/Nを含む霊芝種抽出物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公表番号】特表2009−531330(P2009−531330A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501755(P2009−501755)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/064829
【国際公開番号】WO2007/109801
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508083459)ハーバルサイエンス シンガポール ピーティーイー. リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】HERBALSCIENCE SINGAPORE PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】1004 Collier Center Way, Suite200, Naples, FL 34110 USA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/064829
【国際公開番号】WO2007/109801
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508083459)ハーバルサイエンス シンガポール ピーティーイー. リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】HERBALSCIENCE SINGAPORE PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】1004 Collier Center Way, Suite200, Naples, FL 34110 USA
【Fターム(参考)】
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