説明

露光装置および画像形成装置

【課題】多重露光方式を採用した露光装置における駆動回路の規模を縮小する。
【解決手段】互いに異なる位置に配置される複数の発光素子の各々からの出射光で被露光面14を多重露光する露光装置10であって、駆動電流を生成する電流源30と、駆動電流の供給先として、複数の発光素子のうち少なくとも1つを選択可能な選択部40とを具備する。電流源30および選択部40を、ひとつの駆動部Uと捉えれば、ひとつの駆動部Uで複数の発光素子が駆動される。したがって、1つの発光素子につき1個の駆動部Uを設ける態様に比べて、駆動回路の規模が肥大化することを抑制できるという利点がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を用いた露光装置およびこれを利用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発光素子が配列された露光装置を感光体ドラムなどの像担持体の露光に利用した電子写真方式の画像形成装置が従来から提案されている。例えば特許文献1には、複数の発光素子を主走査方向に沿って配置した発光ラインを2行分設け、一方の発光ラインに属する各発光素子からの出射光と他方の発光ラインに属する各発光素子からの出射光とで像担持体の被露光面を多重露光する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−80608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1の技術では、ひとつの発光素子につき1個の駆動回路が設けられている。そのため、高い解像度が要求された場合、駆動回路の規模が肥大化することにより、当該駆動回路を基板上にレイアウトすることが困難になるという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、多重露光方式を採用した露光装置における駆動回路の規模を縮小することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る露光装置は、互いに異なる位置に配置される複数の発光素子の各々からの出射光で被露光面を多重露光する露光装置であって、駆動電流を生成する電流源と、駆動電流の供給先として、複数の発光素子のうち少なくとも1つを選択可能な選択部とを具備する。選択部は、各々が、電流源と複数の発光素子の各々との間に介在する複数のスイッチを含み、複数のスイッチのオンオフを制御することで、駆動電流の供給先となる発光素子を選択する。上述の電流源および選択部を、発光素子を駆動する駆動回路(図3に示す駆動部U)と捉えると、本発明においては、ひとつの駆動回路で複数の発光素子が駆動される。したがって、本発明によれば、1つの発光素子につき1個の駆動回路が設けられる態様に比べて、駆動回路の規模が肥大化することを抑制できるという利点がある。これにより、高精細な露光装置が提供可能になる。
【0006】
本発明に係る露光装置の態様として、選択部によって選択される発光素子の総数を可変に制御する選択制御部と、選択部によって選択される発光素子の総数に応じて、電流源にて生成される駆動電流の値を可変に制御する電流制御部と、を備える。より具体的には、電流制御部は、複数の発光素子の全てが駆動電流の供給先として選択された場合における駆動電流の値を、複数の発光素子のうちの何れかが駆動電流の供給先として非選択である場合に比べて大きい値に設定する。さらに詳述すると、電流制御部は、選択部によって選択される発光素子を流れる電流の値が、選択部によって選択される発光素子の数とは無関係に一定の値になるように、駆動電流の値を可変に制御する。この態様によれば、選択部によって選択される発光素子の数が変化しても、選択される発光素子の発光輝度は一定に保たれるから、発光素子の選択数が変化するたびに発光輝度がばらついて表示品質が劣化することを防止できるという利点がある。
【0007】
本発明に係る露光装置は各種の電子機器に利用される。例えば、本発明のひとつの態様に係る画像形成装置は、以上の何れかの態様に係る露光装置と、露光装置による露光で潜像が形成される被露光面を有する像担持体と、像担持体の潜像に対する現像剤の付加によって顕像を形成する現像器と、を具備する。
【0008】
もっとも、本発明に係る露光装置の用途は、像担持体の露光に限定されない。例えば、スキャナなどの画像読取装置においては、本発明に係る露光装置を原稿の照明に利用することが可能である。この画像読取装置は、以上の各態様に係る露光装置と、露光装置から出射して読取対象(原稿)で反射した光を電気信号に変換する受光装置(例えばCCD(Charge Coupled Device)素子などの受光素子)とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る露光装置のブロック図である。
【図2】発光素子の配置を模式的に示す図である。
【図3】露光装置全体の回路図である。
【図4】被露光面に形成される静電潜像を表す図である。
【図5】露光装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】多重露光の様子を説明するための模式図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る露光装置の一部の回路図である。
【図8】同実施形態に係る露光装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態に係る露光装置の一部の回路図である。
【図10】同実施形態に係る露光装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図11】発光素子の配置を模式的に示す図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る露光装置の一部の回路図である。
【図13】被露光面に形成される静電潜像を表す図である。
【図14】同実施形態に係る露光装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図15】多重露光の様子を説明するための模式図である。
【図16】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す図である。
【図17】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の部分的な構成を示す斜視図である。同図に示すように、画像形成装置は、露光装置10と、集光性レンズアレイ11と、外周面が被露光面(像形成面)14として機能する感光体ドラム(像担持体)12とを含む。露光装置10は、基板13の表面に直線状に配列された多数の発光素子(図1においては図示略)を含む。これらの発光素子は、用紙などの記録材に印刷されるべき画像の態様に応じて選択的に発光する。感光体ドラム12は、X方向(主走査方向)に延在する回転軸に支持され、被露光面14を発光装置10に対向させた状態で回転する。したがって、被露光面14は、露光装置10に対してY方向(記録材が搬送される副走査方向)に進行する。
【0011】
集光性レンズアレイ11は露光装置10と感光体ドラム12との間隙に配置される。集光性レンズアレイ11は、各々の光軸を図1に示すZ方向に向けて配列する複数のレンズを含む。このような集光性レンズアレイ11としては、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある(セルフォック/SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標)。露光装置10の各発光素子からの出射光は集光性レンズアレイ11の各レンズを透過したうえで感光体ドラム12の被露光面14に到達する。この露光によって感光体ドラム12の被露光面14には所望の画像に応じた潜像(静電潜像)が形成される。
【0012】
図2は、露光装置10の基板13上に形成される発光素子の配置を模式的に示す図である。図2に示すように、基板13上には、副走査方向Yに並列に配置される第1素子群G1および第2素子群G2が形成される。第1素子群G1は、主走査方向Xに沿って配列するn個の発光素子(P11,P12,・・・,P1n)からなる。第2素子群G2は、主走査方向Xに沿って配列するn個の発光素子(P21,P22,・・・,P2n)からなる。本実施形態では、発光素子は、陽極と陰極との間に有機EL材料の発光層を介在させた有機EL素子である。第1素子群G1に属する各発光素子のX方向における位置は、第2素子群G2に属する各発光素子のX方向における位置に一致する。例えば、図2において、発光素子P11(第1素子群G1)のX方向における位置は発光素子P21(第2素子群G2)のX方向における位置に一致し、発光素子P12(第1素子群G1)のX方向における位置は発光素子P22(第2素子群G2)のX方向における位置に一致するという具合である。ここで、Y方向に所定の間隔をあけて配置された2つの発光素子を1つの対Tとして捉えると、第1素子群G1の発光素子と第2素子群G2の発光素子とで各々が構成される複数の対TがX方向に沿って配置されているとみなすことができる。第i番目(1≦i≦n)の対Tは、第1素子群G1の第i番目の発光素子P1iと第2素子群G2の第i番目の発光素子P2iとから構成される。
【0013】
図3は、露光装置10の回路図である。露光装置10は、n個の対(T1,T2,・・・Tn)と1対1に対応して設けられるn個の駆動部(U1,U2,・・・,Un)と、各駆動部(U1,U2,・・・,Un)を制御する制御回路20とを有する。制御回路20は、外部の回路(図示省略)から供給される画像データDinやクロックCK信号などに基づいて、各発光素子の指定階調に応じたデータ電位Vdや各種の制御信号(書込信号Sel、選択信号L1およびL2など)を各駆動部(U1〜Un)へ供給する。
【0014】
各駆動部(U1〜Un)および各対(T1〜Tn)は、高位側電源電位VELが供給される高位側電源線21と、低位側電源電位VCTが供給される低位側電源線22との間に配置される。以下、第1段目の駆動部U1に着目して、その構成を説明するが、他の駆動部の構成も同様である。図3に示すように、駆動部U1は、電流源30と選択部40とを含む。
【0015】
電流源30は、駆動電流を生成するための手段である。図3に示すように、電流源30は、書込用トランジスタTwと、駆動トランジスタTdと、保持容量Cとを含む。書込用トランジスタTwは、制御回路20からのデータ電位Vdを駆動トランジスタTdのゲートへ供給するか否かを制御するPチャネル型のトランジスタである。書込用トランジスタTwのゲートには制御回路20からの書込信号Selが供給される。駆動トランジスタTdは、ゲート・ソース間の電圧に応じた駆動電流を生成するPチャネル型のトランジスタである。駆動トランジスタTdのソースは高位側電源線21に接続される一方、ドレインは選択部40に接続される。また、駆動トランジスタTdのゲートとソースとの間には保持容量Cが配置される。
【0016】
選択部40は、電流源30にて生成される駆動電流の供給先として、第1番目の対T1を構成する発光素子P11およびP21のうち少なくとも1つを選択可能な手段である。図3に示すように、選択部40は、第1の選択トランジスタTs1と、第2の選択トランジスタTs2とを有する。第1の選択トランジスタTs1は、駆動トランジスタTdのドレイン(電流源30)と発光素子P11との間に配置されるNチャネル型トランジスタである。第1の選択トランジスタTs1のゲートには制御回路20からの選択信号L1が供給される。第2の選択トランジスタTs2は、駆動トランジスタTdのドレイン(電流源30)と発光素子P21との間に配置されるNチャネル型のトランジスタである。第2の選択トランジスタTs2のゲートには制御回路20からの選択信号L2が供給される。選択部40は、制御回路20からの選択信号L1およびL2に応じて、駆動電流の供給先となる発光素子を選択する。より具体的には、選択信号L1およびL2の両方がアクティブレベル(ハイレベル)の場合は、第1の選択トランジスタTs1および第2の選択トランジスタTs2の両方がオン状態となり、駆動電流の供給先として、発光素子P11およびP21の両方が選択される。また、選択信号L1がハイレベルで選択信号L2が非アクティブレベル(ローレベル)の場合は、駆動電流の供給先として、発光素子P11が選択される。同様に、選択信号L2がハイレベルで選択信号L1がローレベルの場合は、駆動電流の供給先として、発光素子P21が選択されるという具合である。
【0017】
以上の構成を前提として、本実施形態に係る露光装置10は、第1素子群G1に属する各発光素子(P11,P12,・・・,P1n)からの出射光と、第2素子群G2に属する各発光素子(P21,P22,・・・,P2n)からの出射光とで感光体ドラム12の被露光面14を二重露光することで、被露光面14に静電潜像を形成する。
【0018】
いま、図4に示すような静電画像SZを被露光面14に形成する場合を想定する。図4に示す静電潜像SZは、Y方向に並列に配置される第1露光ドット群I1および第2露光ドット群I2からなる。第1露光ドット群I1は、X方向に沿って配列するn個の露光ドット(D11,D12,・・・,D1n)からなる。第i番目の露光ドットD1iは、第1素子群G1の第i番目の発光素子P1i、および、第2素子群G2の第i番目の発光素子P2iの各々の出射光が集光性レンズアレイ11を透過して被露光面14に到達することで形成される。言い換えれば、第i番目の露光ドットD1iは、第i番目の対Tiを構成する2つの発光素子の各々からの出射光で二重露光されることで形成される。第2露光ドット群I2は、X方向に沿って配列するn個の露光ドット(D21,D22,・・・,D2n)からなる。第i番目の露光ドットD2iは、第i番目の対Tiを構成する2つの発光素子の各々からの出射光で二重露光されることで形成される。本実施形態では、各露光ドットは白(発光)または黒(非発光)の何れかの階調に指定され、これによって画像の階調が表現される(いわゆる面積階調法)。
【0019】
図5に示すように、図4に示す静電潜像SZが形成される1フレーム期間Fは、第1期間T1と、第1期間T1の後の第2期間T2と、第2期間T2の後の第3期間T3とを含む。図6に示すように、第1期間T1においては、第1素子群G1の各発光素子が、被露光面14のうち第1露光ドット群I1が形成される領域に対向するように、感光体ドラム12の回転が制御される。そして、被露光面14のうち第1露光ドット群I1が形成される領域には、第1素子群G1の各発光素子からの出射光が到達することで1回目の露光が行われる。第2期間T2においては、第1素子群G1の各発光素子が、被露光面14のうち第2露光ドット群I2が形成される領域に対向するとともに、第2素子群G2の各発光素子が、被露光面14のうち第1露光ドット群I1が形成される領域に対向するように、感光体ドラム12の回転が制御される。そして、被露光面14のうち第1露光ドット群I1が形成される領域には、第2素子群G2の各発光素子からの出射光が到達することで2回目の露光が行われる一方、被露光面14のうち第2露光ドット群I2が形成される領域には、第1素子群G1の各発光素子からの出射光が到達することで1回目の露光が行われる。第3期間T3においては、第2素子群G2の各発光素子が、被露光面14のうち第2露光ドット群I2が形成される領域に対向するように、感光体ドラム12の回転が制御される。そして、被露光面14のうち第2露光ドット群I2が形成される領域には、第2素子群I2の各発光素子からの出射光が到達することで2回目の露光が行われる。
【0020】
以下、第1段目の駆動部U1および第1番目の対T1に着目して、露光装置10の具体的な動作を説明する。制御回路20は、画像データDinによって指定される露光ドットD11およびD12の階調値やクロックCK信号などに基づいて、選択部40が選択する発光素子の数を可変に制御するとともに、発光素子の選択数に応じて、電流源30が生成する駆動電流の値を可変に制御する。説明の便宜上、ここでは、露光ドットD11およびD21の階調は「白」に指定されるものとする。したがって、第1期間T1においては、第1素子群G1の発光素子P11のみが発光し、第2期間T2においては、第1素子群G1の発光素子P11および第2素子群G2の発光素子P21の両方が発光し、第3期間T3においては、第2素子群G2の発光素子P21のみが発光する。
【0021】
図5に示すように、第1期間T1の直前の第1書込期間W1において、制御回路20は、書込信号Selをアクティブレベル(ローレベル)に設定する。したがって、書込用トランジスタTwはオン状態になる。また、制御回路20は、データ電位Vdを、第1期間T1にて発光する発光素子の数に応じた値に設定する。第1期間T1においては発光素子P11のみが発光するため、データ電位Vdの値は、駆動電流の供給先がひとつの発光素子である場合の第1電位V1に設定される。したがって、駆動トランジスタTdのゲートには、書込用トランジスタTwを介して第1電位V1が供給され、当該第1電位V1は保持容量Cに書き込まれる。
【0022】
第1期間T1が開始すると、制御回路20は、書込信号Selを非アクティブレベル(ハイレベル)に設定する。したがって、書込用トランジスタTwはオフ状態になり、駆動トランジスタTdのゲートに対するデータ電位Vdの供給は停止するが、保持容量Cには第1書込期間W1にて書き込まれた第1電位V1が保持される。また、制御回路20は、選択信号L1をアクティブレベル(ハイレベル)に設定する一方、選択信号L2を非アクティブレベル(ローレベル)に設定する。したがって、第1選択トランジスタTs1がオン状態になる一方、第2選択トランジスタTs2はオフ状態になる。すなわち、駆動電流の供給先として第1素子群G1に属する発光素子P11が選択される一方、第2素子群G2に属する発光素子P21は非選択状態となる。駆動トランジスタTdは、保持容量Cに保持された第1電位V1に応じた駆動電流Id1を生成し、当該駆動電流Id1が発光素子P11へ供給される。これにより、発光素子P11は発光状態となる。そして、被露光面14のうち露光ドットD11が形成される領域には、発光素子P11からの出射光が到達することで1回目の露光が行われる。図5に示すように、第1期間T1が終了すると、制御回路20は、選択信号L1をローレベルに設定する。したがって、第1の選択トランジスタTs1がオフ状態になり、発光素子P11は非発光状態となる。
【0023】
図5に示すように、第1期間T1の後、第2期間T2の直前の第2書込期間W2において、制御回路20は、書込信号Selをローレベルに設定するとともに、データ電位Vdを、第2期間T2にて発光する発光素子の数に応じた値に設定する。第2期間T2においては、発光素子P11および発光素子P21の両方が発光するため、データ電位Vdの値は、駆動電流の供給先が2つの発光素子である場合の第2電位V2に設定される。したがって、駆動トランジスタTdのゲートには、書込用トランジスタTwを介して第2電位V2が供給され、当該第2電位V2は保持容量Cに書き込まれる。
【0024】
第2期間T2が開始すると、制御回路20は、書込信号Selをハイレベルに設定する一方、選択信号L1およびL2をハイレベルに設定する。したがって、保持容量Cには第2書込期間W2にて書き込まれた第2電位V2が保持される一方、駆動電流の供給先として発光素子P11および発光素子P21の両方が選択される。駆動トランジスタTdは、保持容量Cに保持された第2電位V2に応じた駆動電流Id2を生成し、当該駆動電流Id2が発光素子P11および発光素子P21へ分配される。これにより、発光素子P11および発光素子P21の両方が発光状態となる。
【0025】
ここで、制御回路20は、選択部40によって選択される発光素子を流れる電流が、発光素子の選択数とは無関係に一定の値になるように、電流源30にて生成される駆動電流の値を可変に制御する。本実施形態において、制御回路20は、駆動電流Id2の電流値が前述の駆動電流Id1の電流値の2倍になるように、第2電位V2の値を設定する。これにより、発光素子P11および発光素子P21の各々には、駆動電流Id1に等しい電流が流れる。そして、被露光面14のうち露光ドットD11が形成される領域には、発光素子P21からの出射光が到達することで2回目の露光が行われる一方、被露光面14のうち露光ドットD21が形成される領域には、発光素子P11からの出射光が到達することで1回目の露光が行われる。図5に示すように、第2期間T2が終了すると、制御回路20は、選択信号L1およびL2をローレベルに設定する。したがって、第1の選択トランジスタTs1および第2の選択トランジスタTs2がオフ状態になり、発光素子P11および発光素子P21は非発光状態となる。
【0026】
図5に示すように、第2期間T2の後、第3期間T3の直前の第3書込期間W3において、制御回路20は、書込信号Selをローレベルに設定するとともに、データ電位Vdを、第3期間T3にて発光する発光素子の数に応じた値に設定する。第3期間T3においては発光素子P21のみが発光するため、データ電位Vdの値は、駆動電流の供給先がひとつの発光素子である場合の第1電位V1に設定される。したがって、駆動トランジスタTdのゲートには、書込用トランジスタTwを介して第1電位V1が供給され、当該第1電位V1は保持容量Cに書き込まれる。
【0027】
第3期間T3が開始すると、制御回路20は、書込信号Selおよび選択信号L2をハイレベルに設定する一方、選択信号L1をローレベルに設定する。このとき、保持容量Cには第3書込期間W3にて書き込まれた第1電位V1が保持される。また、駆動電流の供給先として発光素子P21が選択される一方、発光素子P11は非選択状態となる。駆動トランジスタTdは、保持容量Cに保持された第1電位V1に応じた駆動電流Id1を生成し、当該駆動電流Id1が発光素子P21へ供給される。これにより、発光素子P21は発光状態となる。そして、被露光面14のうち露光ドットD21が形成される領域には、発光素子P21からの出射光が到達することで2回目の露光が行われる。図5に示すように、第3期間T3が終了すると、制御回路20は、選択信号L2をローレベルに設定する。したがって、第2選択トランジスタTs2がオフ状態になり、発光素子P21は非発光状態となる。以上の動作によって、被露光面14には図4に示す静電潜像SZが形成される。
【0028】
以上に説明したように、本実施形態においては、第1素子群G1に属する1つの発光素子と第2素子群G2に属する1つの発光素子とからなる対Tごとに、当該対Tを駆動する駆動部Uが設けられている。このため、1つの発光素子につき1つの駆動部Uを設ける態様(以下、「対比例」という)に比べて、各発光素子を駆動する回路の規模が抑制される。したがって、高精細な露光装置が提供可能になるという利点がある。
【0029】
また、本実施形態において、制御回路20は、選択部40によって選択される発光素子を流れる電流の値が、発光素子の選択数とは無関係に一定の値になるように、電流源30にて生成される駆動電流の値を可変に制御するから、発光素子の選択数が変化しても、選択される発光素子の発光輝度は一定に保たれる。したがって、発光素子の選択数が変化するたびに発光輝度がばらついて表示品質が劣化することを防止できるという利点がある。
【0030】
<B:第2実施形態>
第2実施形態においては、各駆動部Uの電流源30として図7の構成が採用される点で第1実施形態と相違する。図7においては、第1段目の駆動部U1のみが例示されているが、他の駆動部Uも同様の構成である。図7に示すように、電流源30は、Pチャネル型の駆動トランジスタTd1およびTd2と、Pチャネル型の制御トランジスタTc1およびTc2とを有する。駆動トランジスタTd1およびTd2は、ゲート・ソース間の電圧に応じた駆動電流を生成する手段である。駆動トランジスタTd1(Td2)のソースは高位側電源線21に接続され、ドレインは制御トランジスタTc1(Tc2)のソースに接続される。駆動トランジスタTd1およびTd2の特性(例えばチャネル幅やチャネル長などのトランジスタサイズや移動度等)は同じであり、前述の駆動トランジスタTdの特性に等しい。駆動トランジスタTd1およびTd2の各々のゲートには、制御回路20からのデータ電位Vdが共通に供給され、駆動トランジスタTd1およびTd2の各々は、当該データ電位Vdに応じた駆動電流を生成する。本実施形態では、データ電位Vdは、前述の第1電位V1に設定されており、駆動トランジスタTd1およびTd2の各々は当該第1電位V1に応じた駆動電流Id1を生成する。また、駆動トランジスタTd1およびTd2のゲートとソースとの間には保持容量Cが配置される。
【0031】
制御トランジスタTc1(Tc2)は、駆動トランジスタTd1(Td2)にて生成される駆動電流を選択部40へ供給するか否かを決定する手段である。制御トランジスタTc1のドレインは、制御トランジスタTc2のドレインと接続され、その接続点をノードND1と表記する。ノードND1は、選択部40における第1選択トランジスタTs1および第2選択トランジスタTs2の各々のドレインに接続される。また、制御トランジスタTc1(Tc2)のゲートには制御回路20からの制御信号C1(C2)が供給される。
【0032】
図8は、図4に示す静電潜像SZを被露光面14に形成する場合における本実施形態の露光装置10の動作を示すタイミングチャートである。以下、第1段目の駆動部U1および第1番目の対T1に着目して、露光装置10の具体的な動作を説明する。上述の第1実施形態と重複する部分については適宜説明を省略する。図8に示すように、本実施形態では、第1書込期間W1、第2書込期間W2および第3書込期間W3が1フレーム期間F内に設けられず、1フレーム期間Fは、第1期間T1と第2期間T2と第3期間T3とに区分される。第1期間T1が開始すると、制御回路20は、制御信号C1をアクティブレベル(ローレベル)に設定する一方、制御信号C2を非アクティブレベル(ハイレベル)に設定する。したがって、制御トランジスタTc1がオン状態になる一方、制御トランジスタTc2はオフ状態になる。そうすると、駆動トランジスタTd1にて生成される駆動電流Id1が、制御トランジスタTc1を介してノードND1へ流れ込む。第1実施形態と同様に、第1期間T1においては、駆動電流の供給先として第1素子群G1の発光素子P11が選択されるから、ノードND1に流れ込む駆動電流Id1は、第1の選択トランジスタTs1を介して発光素子P11へ供給される。
【0033】
図8に示すように、第2期間T2が開始すると、制御回路20は、制御信号C1をローレベルに維持する一方、制御信号C2をローレベルに設定する。したがって、制御トランジスタTc1はオン状態に維持される一方、制御トランジスタTc2はオン状態に遷移する。そうすると、駆動トランジスタTd1にて生成される駆動電流Id1が、制御トランジスタTc1を介してノードND1へ流れ込むとともに、駆動トランジスタTd2にて生成される駆動電流Id1が、制御トランジスタTc2を介してノードND1へ流れ込む。これは、前述の駆動電流Id2(=2×Id1)がノードND1に流れ込むことと等価である。第1実施形態と同様に、第2期間T2においては、駆動電流の供給先として発光素子P11およびP21の両方が選択されるから、ノードND1に流れ込む駆動電流(=2×Id1)は、発光素子P11およびP21へ分配される。これにより、発光素子P11およびP21の各々には駆動電流Id1に等しい電流が流れる。
【0034】
図8に示すように、第3期間T3が開始すると、制御回路20は、制御信号C1をローレベルに維持する一方、制御信号C2をハイレベルに設定する。したがって、制御トランジスタTc1はオン状態に維持される一方、制御トランジスタTc2はオフ状態に遷移する。そうすると、ノードND1には、駆動トランジスタTd1にて生成される駆動電流Id1のみが流れ込む。第1実施形態と同様に、第3期間T3においては、駆動電流の供給先として第2素子群G2の発光素子P21が選択されるから、ノードND1に流れ込む駆動電流Id1は、発光素子P21へ供給される。
【0035】
以上に説明したように、本実施形態においては、選択部40によって選択される発光素子の総数に応じてデータ電位Vdの値を可変に制御する必要は無く、駆動トランジスタTd1およびTd2のゲートに供給するデータ電位Vdを第1電位V1に維持したまま、制御トランジスタ(Tc1,Tc2)のオンオフを制御するのみで、電流源30にて生成される駆動電流の値を可変に制御できる。したがって、第1実施形態とは異なり、第1期間T1〜第3期間T3の各々の直前に、当該期間にて選択される発光素子の総数に応じたデータ電位Vdを書き込むための書込期間を設ける必要は無く、電流源30にて生成される駆動電流の値を可変に制御するための構成や制御が簡素化されるという利点がある。
【0036】
<C:第3実施形態>
第3実施形態においては、各駆動部Uの電流源30として図9の構成が採用される。図9においては、第1段目の駆動部U1のみが例示されているが、他の駆動部Uも同様の構成である。図9に示すように、電流源30は、駆動トランジスタTdおよび保持容量Cに加え、高位側電源線21と低位側電源線22との間に配置されるミラー回路32を備える点で上述の第1実施形態と相違する。ミラー回路32は、トランジスタTcmと、トランジスタTr1およびTr2と、データ書込部34とを含む。
【0037】
トランジスタTcmは、Pチャネル型のトランジスタで構成され、その特性は駆動トランジスタTdの特性と同じである。トランジスタTcmのソースは高位側電源線21に接続され、ドレインはトランジスタTr2に接続される。トランジスタTcmのゲートは駆動トランジスタTdのゲートに接続される。また、トランジスタTcmのゲートとドレインとの間にはPチャネル型のトランジスタTr1が配置される。トランジスタTr1のゲートには制御回路20からのラッチ信号Latが供給される。トランジスタTr2は、トランジスタTcmのドレインからデータ書込部30へ至る電流経路上に配置されるPチャネル型のトランジスタである。トランジスタTr2のゲートには制御回路20からのラッチ信号Latが供給される。
【0038】
データ書込部34は、トランジスタTr3およびTr4と、保持容量C2とを有する。トランジスタTr3は、ドレインがトランジスタTr2のドレインに接続される一方、ソースが低位側電源線22に接続されるNチャネル型のトランジスタである。トランジスタTr3のゲートとソースとの間には保持容量C2が配置される。トランジスタTr4は、制御回路20からのデータ電位VdをトランジスタTr3のゲートへ供給するか否かを制御するNチャネル型のトランジスタである。トランジスタTr4のゲートには制御回路20からの書込信号Selが供給される。
【0039】
図10は、図4に示す静電潜像SZを被露光面14に形成する場合における本実施形態の露光装置10の動作を示すタイミングチャートである。以下、第1段目の駆動部U1および第1番目の対T1に着目して、露光装置10の具体的な動作を説明する。上述の第1実施形態と重複する部分については適宜説明を省略する。図10に示すように、本実施形態では、各書込期間W1〜W3は、データ書込期間P1と、直後のラッチ期間P2とに区分される。
【0040】
図10に示すように、第1書込期間W1において、データ書込期間P1が開始すると、制御回路20は、書込信号Selをローレベルに設定する一方、ラッチ信号Latを非アクティブレベル(ハイレベル)に設定する。したがって、トランジスタTr4はオン状態になる一方、トランジスタTr1およびTr2はオフ状態になる。また、制御回路20は、データ電位Vdを、駆動電流の供給先がひとつの発光素子である場合の第1電位V11に設定する。したがって、トランジスタTr3のゲートには、トランジスタTr4を介して第1電位V11が供給され、当該第1電位V11は保持容量C2に書き込まれる。第1電位V11は、当該第1電位V11と低位側電位VCTとの電位差(トランジスタTr3のゲート・ソース間の電圧)が、トランジスタTr3の閾値電圧を充分に上回るような値に設定される。このため、データ書込期間P1において、トランジスタTr3はオン状態に設定される。
【0041】
続いて、ラッチ期間P2が開始すると、制御回路20は、書込信号Selをハイレベルに設定する一方、ラッチ信号Latをアクティブレベル(ローレベル)に設定する。したがって、トランジスタTr4はオフ状態に遷移する一方、トランジスタTr1およびTr2はオン状態に遷移する。そうすると、トランジスタTcmのゲートは、トランジスタTr1、Tr2およびTr3を介して低位側電源線22に導通する。これにより、トランジスタTcmのゲートの電位が引き下げられ、トランジスタTcmはオン状態に遷移する。このとき、トランジスタTcmのゲートの電位は、トランジスタTr3を流れる電流に応じた値に設定される。トランジスタTr3を流れる電流は、トランジスタTr3のゲート・ソース間の電圧に応じて決まるため、トランジスタTcmのゲートの電位は、データ書込期間P1にてトランジスタTr3のゲートに書き込まれた第1電位V11に応じた値に設定される。すなわち、トランジスタTcmを流れる電流は、第1電位V11に応じた値に設定される。本実施形態において、第1電位V11の値は、ラッチ期間P2にてトランジスタTcmを流れる電流が、前述の駆動電流Id1に等しくなるように設定される。このときのトランジスタTcmのゲート・ソース間の電圧は保持容量C1によって保持される。以上より、ラッチ期間P2において、駆動トランジスタTdのゲート・ソース間の電圧は、駆動電流Id1を生成するのに必要な電圧に設定され、当該電圧は保持容量Cによって保持される。
【0042】
図10に示すように、第1期間T1が開始すると、制御回路20は、ラッチ信号Latをハイレベルに設定する。したがって、トランジスタTr1およびTr2はオフ状態に遷移する。このとき、駆動トランジスタTdのゲート・ソース間の電圧は、直前のラッチ期間P2において保持容量Cに書き込まれた電圧に維持されるから、駆動トランジスタTdには駆動電流Id1が流れる。その他の動作は上述の第1実施形態と同じである。
【0043】
図10に示すように、第2書込期間W2において、データ書込期間P1が開始すると、制御回路20は、書込信号Selをローレベルに設定する一方、ラッチ信号Latをハイレベルに設定する。したがって、トランジスタTr4はオン状態になる一方、トランジスタTr1およびTr2はオフ状態になる。また、制御回路20は、データ電位Vdを、駆動電流の供給先が2つの発光素子である場合の第2電位V22に設定する。したがって、第2電位V22が、トランジスタTr3のゲートに供給されるとともに、保持容量C2に書き込まれる。第2電位V22は、当該第2電位V22と低位側電位VCTとの電位差が、トランジスタTr3の閾値電圧を充分に上回るような値に設定される。
【0044】
続いて、ラッチ期間P2が開始すると、制御回路20は、書込信号Selをハイレベルに設定する一方、ラッチ信号Latをローレベルに設定する。したがって、トランジスタTcmのゲートは、トランジスタTr1、Tr2およびTr3を介して低位側電源線22に導通する。このとき、トランジスタTcmのゲートの電位は、トランジスタTr3を流れる電流に応じた値に設定されるから、トランジスタTcmのゲートの電位は、データ書込期間P1にてトランジスタTr3のゲートに書き込まれた第2電位V22に応じた値に設定される。本実施形態において、第2電位V22の値は、ラッチ期間P2にてトランジスタTcmを流れる電流が、前述の駆動電流Id2に等しくなるように設定される。したがって、ラッチ期間P2において、駆動トランジスタTdのゲート・ソース間の電圧は、駆動電流Id2を生成するのに必要な電圧に設定され、当該電圧は保持容量Cによって保持される。
【0045】
図10に示すように、第2期間T2が開始すると、制御回路20は、ラッチ信号Latをハイレベルに設定する。したがって、トランジスタTr1およびTr2はオフ状態に遷移する。このとき、駆動トランジスタTdのゲート・ソース間の電圧は、直前のラッチ期間P2において保持容量Cに書き込まれた電圧に維持されるから、駆動トランジスタTdには駆動電流Id2が流れる。その他の動作は上述の第1実施形態と同じである。
【0046】
図10に示すように、第3書込期間W3において、データ書込期間P1が開始すると、制御回路20は、書込信号Selをローレベルに設定する一方、ラッチ信号Latをハイレベルに設定する。したがって、トランジスタTr4はオン状態になる一方、トランジスタTr1およびTr2はオフ状態になる。また、制御回路20は、データ電位Vdを第1電位V11に設定する。したがって、第1電位V11が、トランジスタTr3のゲートに供給されるとともに、保持容量C2に書き込まれる。
【0047】
続いて、ラッチ期間P2が開始すると、制御回路20は、書込信号Selをハイレベルに設定する一方、ラッチ信号Latをローレベルに設定する。したがって、トランジスタTcmのゲートは、トランジスタTr1、Tr2およびTr3を介して低位側電源線22に導通する。そして、第1書込期間W1と同様に、駆動トランジスタTdのゲート・ソース間の電圧は、駆動電流Id1を生成するのに必要な電圧に設定され、当該電圧は保持容量Cによって保持される。
【0048】
図10に示すように、第3期間T3が開始すると、制御回路20は、ラッチ信号Latをハイレベルに設定する。したがって、トランジスタTr1およびTr2はオフ状態に遷移する。このとき、駆動トランジスタTdのゲート・ソース間の電圧は、直前のラッチ期間P2において保持容量Cに書き込まれた電圧に維持されるから、駆動トランジスタTdには駆動電流Id1が流れる。その他の動作は上述の第1実施形態と同じである。
【0049】
<D:第4実施形態>
第4実施形態においては、感光体ドラム12の被露光面14が三重露光される点で上述の各実施形態と相違する。図11は、露光装置10の基板13上に形成される発光素子の配置を模式的に示す図である。図11に示すように、基板13上には、副走査方向Yに並列に配置される第1素子群G1、第2素子群G2および第3素子群G3が形成される。上述の各実施形態と同様に、各素子群は、X方向に沿って配列するn個の発光素子で構成される。そして、第1素子群G1に属する各発光素子のX方向における位置と、第2素子群G2に属する各発光素子のX方向における位置と、第3素子群G3に属する各発光素子のX方向における位置とは一致する。Y方向に所定の間隔をあけて配置された3つの発光素子を1つの対Tとして捉えると、第1素子群G1の発光素子と第2素子群G2の発光素子とで第3素子群G3の発光素子とで各々が構成される複数の対TがX方向に沿って配置されているとみなすことができる。
【0050】
上述の各実施形態と同様に、n個の対Tと1対1に対応するn個の駆動部U1〜Unが設けられている。図12は、第1段目の駆動部U1の回路図であるが、他の駆動部Uも同様の構成である。図12に示すように、電流源30は、Pチャネル型の駆動トランジスタTd3と、当該駆動トランジスタTd3に直列に接続される制御トランジスタTc3とをさらに備える点で図7の構成と相違する。駆動トランジスタTd1、Td2およびTd3の各々のゲートには、制御回路20からのデータ電位Vdが共通に供給され、駆動トランジスタTd1、Td2およびTd3の各々は、当該データ電位Vdに応じた駆動電流を生成する。データ電位Vdは、前述の第1電位V1に設定されており、駆動トランジスタTd1、Td2およびTd3の各々は当該第1電位V1に応じた駆動電流Id1を生成する。また、制御トランジスタTc1のドレインと、制御トランジスタTc2のドレインと、制御トランジスタTc3のドレインとはノードND1にて接続される。ノードND1は、選択部40に接続される。
【0051】
選択部40は、電流源30にて生成される駆動電流の供給先として、対T1を構成する発光素子P11、P21およびP31のうち少なくとも1つを選択可能である。図12に示すように、選択部40は、第1の選択トランジスタTs1および第2の選択トランジスタTs2に加えて、第3の選択トランジスタTs3をさらに有する点で図7の構成と相違する。第3の選択トランジスタTs3は、ノードND1(電流源30)と第3素子群G3に属する発光素子P31との間に配置されるNチャネル型トランジスタである。第3の選択トランジスタTs3のゲートには制御回路20からの選択信号L3が供給される。
【0052】
いま、図13に示すような静電画像SYを被露光面14に形成する場合を想定する。図13に示す静電潜像SYは、Y方向に並列に配置される第1露光ドット群I1、第2露光ドット群I2および第3露光ドット群I3からなる。上述の各実施形態と同様に、各露光ドット群は、X方向に沿って配列するn個の露光ドットで構成される。
【0053】
図14に示すように、静電潜像SYが形成される1フレーム期間FYは、第1期間T10と、第2期間T20と、第3期間T30と、第4期間T40と、第5期間T50とに区分される。図15に示すように、第1期間T10においては、第1素子群G1の各発光素子が、被露光面14のうち第1露光ドット群I1が形成される領域に対向するように、感光体ドラム12の回転が制御される。そして、被露光面14のうち第1露光ドット群I1が形成される領域には、第1素子群G1の各発光素子からの出射光が到達することで1回目の露光が行われる。第2期間T20においては、第1素子群G1の各発光素子が、被露光面14のうち第2露光ドット群I2が形成される領域に対向するとともに、第2素子群G2の各発光素子が、被露光面14のうち第1露光ドット群I1が形成される領域に対向するように、感光体ドラム12の回転が制御される。そして、被露光面14のうち第1露光ドット群I1が形成される領域には、第2素子群G2の各発光素子からの出射光が到達することで2回目の露光が行われる一方、被露光面14のうち第2露光ドット群I2が形成される領域には、第1素子群G1の各発光素子からの出射光が到達することで1回目の露光が行われる。
【0054】
図15に示すように、第3期間T30においては、第1素子群G1の各発光素子が、被露光面14のうち第3露光ドット群I3が形成される領域に対向するとともに、第2素子群G2の各発光素子が、被露光面14のうち第2露光ドット群I2が形成される領域に対向し、且つ、第3素子群G3の各発光素子が、被露光面14のうち第1露光ドット群I1が形成される領域に対向するように、感光体ドラム12の回転が制御される。そして、被露光面14のうち第1露光ドット群I1が形成される領域には、第3素子群I3の各発光素子からの出射光が到達することで3回目の露光が行われる。また、被露光面14のうち第2露光ドット群I2が形成される領域には、第2素子群I2の各発光素子からの出射光が到達することで2回目の露光が行われる。さらに、被露光面14のうち第3露光ドット群I3が形成される領域には、第1素子群I1の各発光素子からの出射光が到達することで1回目の露光が行われる。
【0055】
図15に示すように、第4期間T40においては、第2素子群G2の各発光素子が、被露光面14のうち第3露光ドット群I3が形成される領域に対向するとともに、第3素子群G3の各発光素子が、被露光面14のうち第2露光ドット群I2が形成される領域に対向するように、感光体ドラム12の回転が制御される。そして、被露光面14のうち第2露光ドット群I2が形成される領域には、第3素子群G3の各発光素子からの出射光が到達することで3回目の露光が行われる一方、被露光面14のうち第3露光ドット群I3が形成される領域には、第2素子群G2の各発光素子からの出射光が到達することで2回目の露光が行われる。第5期間T50においては、第3素子群G3の各発光素子が、被露光面14のうち第1露光ドット群I3が形成される領域に対向するように、感光体ドラム12の回転が制御される。そして、被露光面14のうち第3露光ドット群I1が形成される領域には、第3素子群G3の各発光素子からの出射光が到達することで3回目の露光が行われる。
【0056】
以下、第1段目の駆動部U1および第1番目の対T1に着目して、露光装置10の具体的な動作を説明する。図14に示すように、第1期間T10が開始すると、制御回路20は、制御信号C1をローレベルに設定する一方、制御信号C2およびC3をハイレベルに設定する。したがって、制御トランジスタTc1がオン状態になる一方、制御トランジスタTc2およびTc3はオフ状態になる。そうすると、駆動トランジスタTd1にて生成される駆動電流Id1が、制御トランジスタTc1を介してノードND1へ流れ込む。また、制御回路20は、選択信号L1をハイレベルに設定する一方、選択信号L2およびL3をローレベルに設定する。したがって、第1の選択トランジスタTs1がオン状態になる一方、第2の選択トランジスタTs2および第3の選択トランジスタTs3はオフ状態になる。すなわち、駆動電流の供給先として第1素子群G1に属する発光素子P11が選択される一方、第2素子群G2に属する発光素子P21および第3素子群G3に属する発光素子P31は非選択状態となる。電流源30(駆動トランジスタTd1)にて生成された駆動電流Id1は、第1の選択トランジスタTs1を介して発光素子P11へ供給される。これにより、発光素子P11は発光状態となる。
【0057】
第2期間T20が開始すると、制御回路20は、制御信号C1をローレベル、制御信号C3をハイレベルに維持する一方、制御信号C2をローレベルに設定する。したがって、制御トランジスタTc2がオン状態に遷移する。そうすると、駆動トランジスタTd1にて生成される駆動電流Id1が、制御トランジスタTc1を介してノードND1へ流れ込むとともに、駆動トランジスタTd2にて生成される駆動電流Id1が、制御トランジスタTc2を介してノードND1へ流れ込む。また、制御回路20は、選択信号L1をハイレベル、選択信号L3をローレベルに維持する一方、選択信号L2をハイレベルに設定する。したがって、第1の選択トランジスタTs1がオン状態、第3の選択トランジスタTs3がオフ状態に維持される一方、第2の選択トランジスタTs2はオン状態に遷移する。すなわち、駆動電流の供給先として発光素子P11およびP21が選択される一方、発光素子P31は非選択状態となるから、ノードND1に流れ込む駆動電流(=2×Id1)は、発光素子P11およびP21へ分配される。これにより、発光素子P11およびP21の各々には駆動電流Id1に等しい電流が流れて発光状態となる。
【0058】
第3期間T30が開始すると、制御回路20は、制御信号C1およびC2をローレベルに維持する一方、制御信号C3をローレベルに設定する。したがって、制御トランジスタTc3がオン状態に遷移する。そうすると、駆動トランジスタTd1〜Td3にて生成される駆動電流Id1が、制御トランジスタTc1〜Tc3を介してノードND1へ流れ込む。また、制御回路20は、選択信号L1およびL2をハイレベルに維持する一方、選択信号L3をハイレベルに設定する。したがって、第1の選択トランジスタTs1および第2の選択トランジスタTs2がオン状態に維持される一方、第3の選択トランジスタTs3はオン状態に遷移する。すなわち、駆動電流の供給先として発光素子P11、P21およびP31が選択されるから、ノードND1に流れ込む駆動電流(=3×Id1)は、発光素子P11、P21およびP31へ分配される。これにより、発光素子P11、P21およびP31の各々には駆動電流Id1に等しい電流が流れて発光状態となる。
【0059】
第4期間T40が開始すると、制御回路20は、制御信号C1およびC2をローレベルに維持する一方、制御信号C3をハイレベルに設定する。したがって、制御トランジスタTc3がオフ状態に遷移する。そうすると、ノードND1には、駆動トランジスタTd1およびTd2の各々にて生成される駆動電流Id1が流れ込む。また、制御回路20は、選択信号L2およびL3をハイレベルに維持する一方、選択信号L1をローレベルに設定する。したがって、第2の選択トランジスタTs2および第3の選択トランジスタTs3がオン状態に維持される一方、第1の選択トランジスタTs1はオフ状態に遷移する。すなわち、駆動電流の供給先として発光素子P21およびP31が選択される一方、発光素子P11は非選択状態となるから、ノードND1に流れ込む駆動電流(=2×Id1)は、発光素子P21およびP31へ分配される一方、発光素子P11には供給されない。これにより、発光素子P21およびP31の各々には駆動電流Id1に等しい電流が流れて発光状態となる一方、発光素子P11は非発光状態となる。
【0060】
第5期間T50が開始すると、制御回路20は、制御信号C1をローレベル、制御信号C3をハイレベルに維持する一方、制御信号C2をハイレベルに設定する。したがって、制御トランジスタTc2がオフ状態に遷移する。そうすると、ノードND1には、駆動トランジスタTd1にて生成される駆動電流Id1のみが流れ込む。また、制御回路20は、選択信号L1をローレベル、制御信号L3をハイレベルに維持する一方、選択信号L2をローレベルに設定する。したがって、第1の選択トランジスタTs2がオフ状態、第3の選択トランジスタTs3がオン状態に維持される一方、第2の選択トランジスタTs2はオフ状態に遷移する。すなわち、駆動電流の供給先としてP31が選択される一方、発光素子P11およびP21は非選択状態となるから、ノードND1に流れ込む駆動電流(=Id1)は、発光素子P31へ供給される一方、発光素子P11およびP21には供給されない。これにより、発光素子P31には駆動電流Id1に等しい電流が流れて発光状態となる一方、発光素子P11およびP21は非発光状態となる。
【0061】
以上の形態においても、第1素子群G1に属する1つの発光素子と第2素子群G2に属する1つの発光素子と第3素子群G3に属する1つの発光素子とからなる対Tごとに、当該対Tを駆動する駆動部Uが設けられている。このため、対比例に比べて、各発光素子を駆動する回路の規模が抑制されるから、より高精細な露光装置10を提供することができるという利点がある。また、本実施形態においては、駆動トランジスタTd1、Td2およびTd3のゲートに供給するデータ電位Vdを第1電位V1に維持したまま、制御トランジスタ(Tc1,Tc2,Tc3)のオンオフを制御するのみで、電流源30にて生成される駆動電流の値を可変に制御しているが、これに限らず、例えば前述の第1実施形態と同様に、
選択部40によって選択される発光素子の総数に応じてデータ電位Vdの値を可変に制御する態様とすることもできる。また、前述の第3実施形態と同様に、電流源30の構成をカレントミラータイプの回路とすることも可能である。
【0062】
<E:変形例>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。また、以下に示す変形例のうちの2以上の変形例を組み合わせることもできる。
【0063】
(1)変形例1
上述の各実施形態においては、感光体ドラム12の被露光面14が二重露光される態様や三重露光される態様を例示したが、これに限らず、多重露光数は任意に設定可能である。要するに、本発明は、互いに異なる位置に配置される複数の発光素子の各々からの出射光で被露光面を多重露光する露光装置に適用することができる。
【0064】
(2)変形例2
被露光面14に形成される静電潜像SZ(SY)の行数は任意である。言い換えれば、静電潜像SZ(SY)を構成する露光ドット群の数は任意であり、4つ以上の露光ドット群がY方向に沿って並列に配置される態様とすることもできるし、ひとつの露光ドット群のみによって静電潜像SZ(SY)が形成される態様とすることもできる。また、露光ドット群に含まれる露光ドットの数(すなわちひとつの素子群に属する発光素子の数)も任意である。
【0065】
(3)変形例3
上述の各実施形態において、制御回路20は、各駆動部の選択部40が選択する発光素子の数を可変に制御するとともに、選択する発光素子の総数に応じて、電流源30が生成する駆動電流の値を可変に制御しているが、例えば制御回路20の代わりに、各駆動部の選択部40が選択する発光素子の数を可変に制御する選択制御部と、選択する発光素子の総数に応じて、電流源30が生成する駆動電流の値を可変に制御する電流制御部とが設けられる態様とすることもできる。
【0066】
(4)変形例4
上述の各実施形態においては、発光素子の一例として、OLED素子を取り上げたが、無機発光ダイオードやLED(Light Emitting Diode)であってもよい。要は、駆動電流に応じた発光輝度で発光するのであれば、どのような素子であってもよい。
【0067】
<F:電子機器>
次に、図16を参照して、本発明に係る電子機器のひとつの態様である画像形成装置について説明する。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像形成装置である。
【0068】
この画像形成装置では、各々が同様の構成である4個の露光装置10K,10C,10M,10Yが、各々の構成が同様である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの像形成面110に対向する位置にそれぞれ配置されている。露光装置10K,10C,10M,10Yは、上記の各形態に係る露光装置10と同様の構成である。
【0069】
図16に示すように、この画像形成装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122とが設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0070】
この中間転写ベルト120の周囲には、外周面に感光層を有する4個の感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが互いに所定の間隔をおいて配置される。添字「K」,「C」,「M」,「Y」はそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0071】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、発光装置10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)とが配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、これに対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の像形成面110A(外周面)を一様に帯電させる。発光装置10(K,C,M,Y)は、各感光体ドラムの帯電した像形成面110Aに静電潜像を書き込む。各発光装置10(K,C,M,Y)においては、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿って複数の発光素子20が配列する。静電潜像の書き込みは、複数の発光素子20によって感光体ドラム110(K,C,M,Y)に光を照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム110(K,C,M,Y)に顕像(すなわち可視像)を形成する。
【0072】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次に一次転写されることによって中間転写ベルト120上で重ね合わされ、この結果としてフルカラーの顕像が形成される。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0073】
最終的に画像を形成する対象(記録材)としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0074】
次に、図17を参照して、本発明に係る画像形成装置の他の形態について説明する。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像形成装置である。図17に示すように、感光体ドラム110の周囲には、コロナ帯電器168と、ロータリ式の現像ユニット161と、上記の実施形態に係る露光装置10と、中間転写ベルト169とが設けられている。
【0075】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム110の外周面を一様に帯電させる。露光装置10は、感光体ドラム110の帯電させられた像形成面(外周面)に静電潜像を書き込む。この露光装置10においては、感光体ドラム110の母線(主走査方向)に沿って複数の発光素子32が配列する。静電潜像の書き込みは、これらの発光素子32から感光体ドラム110に光を照射することにより行う。
【0076】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム110に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム110に顕像(すなわち可視像)を形成する。
【0077】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム110から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラム110と一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0078】
具体的には、感光体ドラム110の最初の1回転で、露光装置10によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、露光装置10Aによりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム110が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次に重ね合わせられ、この結果としてフルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上に形成する。
【0079】
画像形成装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0080】
以上のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再び定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0081】
図16および図17に例示した画像形成装置は、OLED素子を発光素子として採用した光源(露光手段)を利用しているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも装置が小型化される。なお、以上に例示した以外の電子写真方式の画像形成装置にも本発明の露光装置10を採用することができる。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムからシートに対して直接的に顕像を転写するタイプの画像形成装置や、モノクロの画像を形成する画像形成装置にも本発明に係る露光装置10を応用することが可能である。
【0082】
本発明に係る露光装置の用途は感光体の露光に限定されない。例えば、本発明の露光装置は、原稿などの読取対象に光を照射するライン型の光ヘッド(照明装置)としてスキャナなどの画像読取装置に採用される。この種の画像読取装置としては、スキャナ、複写機やファクシミリの読取部分、バーコードリーダ、あるいはQRコード(登録商標)のような二次元画像コードを読む二次元画像コードリーダがある。
【符号の説明】
【0083】
10……露光装置、11……集光性レンズアレイ、12……感光体ドラム、13……基板、14……被露光面、20……制御回路、30……電流源、40……選択部、G(G1〜G3)……素子群、I(I1〜I3)……露光ドット群、P……発光素子、SZ,SY……静電潜像、T……対、U……駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる位置に配置される複数の発光素子の各々からの出射光で被露光面を多重露光する露光装置であって、
駆動電流を生成する電流源と、
前記駆動電流の供給先として、前記複数の発光素子のうち少なくとも1つを選択可能な選択部とを具備する
露光装置。
【請求項2】
前記選択部によって選択される前記発光素子の総数を可変に制御する選択制御部と、
前記選択部によって選択される前記発光素子の総数に応じて、前記電流源にて生成される前記駆動電流の値を可変に制御する電流制御部と、を備える
請求項1の露光装置。
【請求項3】
前記電流制御部は、前記複数の発光素子の全てが前記駆動電流の供給先として選択された場合における前記駆動電流の値を、前記複数の発光素子のうちの何れかが前記駆動電流の供給先として非選択である場合に比べて大きい値に設定する
請求項2の露光装置。
【請求項4】
前記電流制御部は、前記選択部によって選択される前記発光素子を流れる電流の値が、前記選択部によって選択される前記発光素子の数とは無関係に一定の値になるように、前記駆動電流の値を可変に制御する
請求項2または請求項3の露光装置。
【請求項5】
前記選択部は、
各々が、前記電流源と前記複数の発光素子の各々との間に介在する複数のスイッチを含み、
前記複数のスイッチのオンオフを制御することで、前記駆動電流の供給先となる前記発光素子を選択する
請求項1から請求項4の何れかの露光装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかの露光装置と、
前記露光装置による露光で潜像が形成される前記被露光面を有する像担持体と、
前記像担持体の潜像に対する現像剤の付加によって顕像を形成する現像器と、を具備する画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−16322(P2011−16322A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163472(P2009−163472)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】