説明

青果物内部検査装置

【課題】青果物の種類を問わず、青果物の内部検査を同一条件の下に行う。
【解決手段】検査対象物である青果物(105)に近赤外光を照射し、青果物を透過した透過光を解析することにより、青果物の内部品質を計測する青果物内部検査装置(100)であって、青果物を一定の方向に搬送する青果物搬送手段(110,120)と、青果物に近赤外光を照射する光照射手段(140)と、青果物を透過した透過光を受光するCCDカメラ(150)と、CCDカメラにおける光電変換により発生した電荷を読み出す周期を青果物の透過率に応じて変更し、かつ、青果物搬送手段による青果物の搬送速度を変更後の周期に応じて変更する制御装置(160)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は青果物の糖度、酸度その他の内部品質を非破壊的に検査する青果物内部検査装置、青果物内部検査方法、同方法を実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
みかん、リンゴ、メロンその他の青果物に近赤外光を照射すると、青果物に含まれる糖質などの成分が特定の波長帯の光を吸収する。このため、青果物を透過した透過光の吸光度を計測することにより、青果物の糖度、酸度、腐敗部分の有無その他の内部品質を非破壊的に判定することが可能であることが知られている。
【0003】
この原理を応用した青果物内部検査装置も既に数多く提案されており、そのような青果物内部検査装置の一例として特許第3712247号公報(特開平11−337480号公報)に記載されたものがある。
【0004】
図4は同公報に記載された青果物内部検査装置500の構造を示す概略図である。
【0005】
この青果物内部検査装置500は、青果物505をX方向に連続的に搬送する搬送手段510と、搬送手段510により搬送される各青果物505の位置を測定する位置測定センサ520と、搬送手段510上の所定の位置Aにおいて各青果物505に近赤外光を照射する近赤外光照射手段530と、各青果物505を透過した透過光を受光し、受光した透過光を電流に変換する受光素子540と、受光素子540が受光した透過光を解析し、各青果物505の内部品質を算出する信号処理装置550と、から構成されている。
【0006】
図5は、信号処理装置550の内部構造を示すブロック図である。
【0007】
図5に示すように、信号処理装置550は、受光素子540により変換された電流を電圧値V1に変換する電流電圧変換アンプ552と、比較電圧値V2を発生する比較電圧発生回路553と、電流電圧変換アンプ552から送られてきた電圧値V1と比較電圧発生回路553から送られてきた比較電圧値V2とを比較するコンパレータ回路554と、受光素子540が遮光状態にあるときに発生する電圧と等しい基準電圧Vdを発生する基準電圧発生回路555と、電流電圧変換アンプ552から電圧値V1を、基準電圧発生回路555から基準電圧Vdをそれぞれ受信し、コンパレータ回路554による比較の結果に応じて、電圧値V1及び基準電圧Vdの何れかを選択する電圧信号切り替え回路556と、電圧信号切り替え回路556により選択された電圧を増幅するゲインアンプ557と、から構成されている。
【0008】
信号処理装置550は、以下のように、作動する。
【0009】
青果物505が受光素子540の前方に位置せず、近赤外光がそのまま受光素子540に入射する場合には、受光素子540に大きな電流が発生し、さらに、電流電圧変換アンプ552により、過大な電圧値V1が発生する。
【0010】
コンパレータ回路554は、電流電圧変換アンプ552から送られてきた電圧値V1と比較電圧発生回路553から送られてきた比較電圧値V2とを比較する。
【0011】
電圧値V1>比較電圧値V2である場合には、コンパレータ回路554は受光素子540が透過光を直接受光しているものと判定し、その判定結果を電圧信号切り替え回路556に送信する。
【0012】
電圧信号切り替え回路556は、コンパレータ回路554からの判定結果に応じて、基準電圧Vdを選択し、基準電圧Vdをゲインアンプ557に送信する。
【0013】
電圧値V1≦比較電圧値V2である場合には、コンパレータ回路554は受光素子540が各青果物505を透過した透過光を受光しているものと判定し、その判定結果を電圧信号切り替え回路556に送信する。
【0014】
電圧信号切り替え回路556は、コンパレータ回路554からの判定結果に応じて、電流電圧変換アンプ552から送られてきた電圧値V1を選択し、電圧値V1をゲインアンプ557に送信する。
【0015】
ゲインアンプ557は受信した電圧値を増幅する。増幅された電圧値に基づいて、青果物505の内部品質が解析される。
【0016】
以上のように、青果物内部検査装置500は信号処理装置550内において発生する電圧値V1と予め定められた比較電圧値V2との比較を行うことにより、信号処理装置550の内部に過度の電圧が発生することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第3712247号公報(特開平11−337480号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
一般に、青果物505として同一種類の青果物を測定対象とする場合、各青果物505の大きさ(近赤外光が青果物の内部を通過する道程の長さ)により、透過光量は大きく変化する。すなわち、青果物505が小さいほど、透過光量は大きくなり、青果物505が大きいほど、透過光量は小さくなる。
【0019】
また、青果物505の大きさが全て同一であるとしても、青果物の種類によって、透過光量は大きく変化する。すなわち、青果物505の内部密度が小さいほど、透過光量は大きくなり、青果物505の内部密度が大きいほど、透過光量は小さくなる。
【0020】
このため、図4に示した青果物内部検査装置500を用いて、種類の異なる青果物の内部検査を行う場合、青果物の種類に応じて、信号処理装置550の構造、特に、受光素子540の受光感度やゲインアンプ557の感度(増幅率)を変更しなければならないという問題点があった。
【0021】
受光素子540の受光感度やゲインアンプ557の感度を変更するためには、受光素子540やゲインアンプ557それ自体の交換、あるいは、受光素子540やゲインアンプ557の感度変更のための内部パーツの交換または調整などを行わなければならず、時間及び労力の増大は避けられないものとなっていた。
【0022】
本発明は、このような従来の青果物内部検査装置における問題点に鑑みてなされたものであり、測定対象の青果物の種類が変わっても、青果物内部検査装置におけるパーツの交換やパーツの感度変更のための調整その他の作業を行うことなく、青果物の内部検査を行うことを可能にする青果物内部検査装置、青果物内部検査方法、同方法を実行させるためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の目的を達成するため、本発明は、検査対象物である青果物(105)に近赤外光を照射し、前記青果物(105)を透過した透過光を解析することにより、前記青果物(105)の内部品質を計測する青果物内部検査装置(100)であって、前記青果物(105)を一定の方向に搬送する青果物搬送手段(110、120)と、前記青果物(105)に近赤外光を照射する光照射手段(140)と、前記青果物(105)を透過した透過光を受光するCCDカメラ(150)と、前記CCDカメラ(150)における光電変換により発生した電荷を読み出す周期を前記青果物(105)の透過率に応じて変更し、かつ、前記青果物搬送手段(110、120)による前記青果物(105)の搬送速度を変更後の前記周期に応じて変更する制御装置(160)と、を備える青果物内部検査装置(100)を提供する。
【0024】
例えば、前記制御装置(160)は、基準透過率と、基準周期と、基準搬送速度とが予め定められている場合に、前記透過率が前記基準透過率のX倍(Xは正の数)である場合には、前記周期を前記基準周期の1/X倍の周期に変更し、かつ、前記搬送速度を前記基準搬送速度のX倍の速度に変更するように構成されている。
【0025】
青果物内部検査装置(100)は、前記基準透過率と、前記基準周期と、前記基準搬送速度とを書き直し可能な状態で記憶している記憶装置をさらに備えていることが好ましい。
【0026】
本発明は、さらに、検査対象物である青果物(105)に近赤外光を照射し、前記青果物(105)を透過した透過光を解析することにより、前記青果物(105)の内部品質を計測する青果物内部検査方法であって、前記青果物(105)を一定の方向に搬送する間に、前記青果物(105)に近赤外光を照射し、前記青果物(105)を透過した透過光をCCDカメラ(150)により受光する第一の過程と、前記CCDカメラ(150)における光電変換により発生した電荷を読み出す周期を前記青果物(105)の透過率に応じて変更し、かつ、前記青果物搬送手段(110、120)による前記青果物(105)の搬送速度を変更後の前記周期に応じて変更する第二の過程と、を備える青果物内部検査方法を提供する。
【0027】
例えば、前記第二の過程においては、基準透過率と、基準周期と、基準搬送速度とが予め定められている場合に、前記透過率が前記基準透過率のX倍(Xは正の数)である場合には、前記周期が前記基準周期の1/X倍の周期に変更され、かつ、前記搬送速度が前記基準搬送速度のX倍の速度に変更される。
【0028】
本発明は、さらに、検査対象物である青果物(105)に近赤外光を照射し、前記青果物(105)を透過した透過光を解析することにより、前記青果物(105)の内部品質を計測する青果物内部検査方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プログラムが行う処理は、前記青果物(105)を一定の方向に搬送する間に、前記青果物(105)に近赤外光を照射し、前記青果物(105)を透過した透過光を受光したCCDカメラ(150)が光電変換により発生させた電荷を読み出す周期を前記青果物(105)の透過率に応じて変更し、かつ、前記青果物(105)の搬送速度を変更後の前記周期に応じて変更する処理であるプログラムを提供する。
【0029】
前記プログラムが行う前記処理は、例えば、基準透過率と、基準周期と、基準搬送速度とが予め定められている場合に、前記透過率が前記基準透過率のX倍(Xは正の数)である場合には、前記周期を前記基準周期の1/X倍の周期に変更し、かつ、前記搬送速度を前記基準搬送速度のX倍の速度に変更する処理である。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る青果物内部検査装置においては、測定すべき青果物の種類が特定されると、制御装置は、特定された青果物の種類に応じて、CCDカメラから電荷を読み出す読み出し周期及び青果物を搬送する搬送速度を変更する。これによって、多くの種類の青果物について、基準青果物と同一条件の下に、受光素子の感度あるいは増幅器の増幅率などを変更することなく、内部検査を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る青果物内部検査装置の概略的なブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る青果物内部検査装置の構成要素である制御装置の構造の一例を示すブロック図である。
【図3】青果物リストの一例を示す図である。
【図4】従来の青果物内部検査装置の構造を示す概略図である。
【図5】従来の青果物内部検査装置における信号処理装置の内部構造を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係る青果物内部検査装置100の概略的なブロック図である。
【0033】
青果物内部検査装置100は、検査対象物である青果物105を一定の方向Xに搬送する青果物搬送手段としてのコンベア110と、コンベア110を駆動する駆動モーター120と、青果物105のコンベア110上における通過を検出する通過検出センサ130と、コンベア110上を搬送される青果物105の各々に近赤外光を照射する光照射手段としてのハロゲンランプ140と、各青果物105を透過した透過光を受光し、各青果物105を撮像するCCDカメラ150と、CCDカメラ150が撮像した分光エネルギーのスペクトルを解析し、各青果物105の内部品質を計測するとともに、駆動モーター120及びCCDカメラ150の動作を制御する制御装置160と、制御装置160による分光エネルギーのスペクトルの解析結果を表示するディスプレイ170と、制御装置160による分光エネルギーのスペクトルの解析結果を格納するメモリ180と、水晶発振器190と、制御装置160にデータまたはコマンドを入力する入力装置200と、を備えている。
【0034】
コンベア110は青果物105を一定の方向Xに連続的に搬送する。コンベア110の搬送速度は一定である。
【0035】
ハロゲンランプ140は、近赤外光を青果物105に対してコンベア110がなす平面と平行に(すなわち、青果物105の横方向から)照射する。
【0036】
あるいは、ハロゲンランプ140は青果物105の直上から青果物105に対して垂直方向に近赤外光を照射することも可能である。この場合には、コンベア110はハロゲンランプ140から発光される近赤外光を透過させることができる光透過性材質でつくられており、青果物105を透過した近赤外光もコンベア110を透過することができるようになっている。
【0037】
ハロゲンランプ140の近赤外光の照射のオン・オフは制御装置160によって制御される。
【0038】
通過検出センサ130は投光センサ131と、投光センサ131から発せられる光を受光する受光センサ132とから構成される。
【0039】
投光センサ131は受光センサ132に対して常に光を投光し続けている。コンベア110上を青果物105が通過すると、投光センサ131からの光は青果物105に遮られ、受光センサ132には到達しない。受光センサ132は投光センサ131からの光が遮断されている間(すなわち、青果物105が投光センサ131の前方を通過している間)、制御装置160に検出信号を送信し続ける。制御装置160は受光センサ132からの検出信号の受信開始時刻及び受信終了時刻を計測し、受光センサ132から検出信号を受信し続けた時間とコンベア110の搬送速度とから、各青果物105の大きさ(コンベア110の進行方向Xにおける長さ)とコンベア110上における各青果物105の位置とを算出し、さらに、各青果物105がハロゲンランプ140の前方に到達する時刻を算出する。
【0040】
CCDカメラ150は、複数個の受光ユニットと、複数個の電荷蓄積ユニットとを備えている。受光ユニットは、各青果物105を透過した近赤外光を受光すると、光電変換を行い、受光した光を電荷に変換する。受光ユニットにおいて生成された電荷は電荷蓄積ユニットに蓄積される。電荷蓄積ユニットに蓄積された電荷は、電荷蓄積ユニットから読み出されることにより、リセットされる。
【0041】
制御装置160は、CCDカメラ150における光電変換により発生した電荷を読み出す読み出し周期を青果物105の種類に応じて変更するとともに、駆動モーター120の出力を制御することにより、コンベア110による青果物105の搬送速度を変更後の読み出し周期に応じて変更する。
【0042】
具体的には、制御装置160は、青果物105の透過率の基準値である基準透過率と、読み出し周期の基準値である基準周期と、この基準周期に対応する基準搬送速度(コンベア110による搬送速度の基準値)とが予め定められている場合に、測定対象である青果物105の透過率が基準透過率のX倍(Xは正の数)であるとき、読み出し周期を基準周期の1/X倍の周期に変更し、さらに、搬送速度を基準搬送速度のX倍の速度に変更する。
【0043】
上述のように、CCDカメラ150は、受光ユニットにおいて、受光した光を電荷に変換し、生成された電荷を電荷蓄積ユニットに蓄積する。この電荷は電荷蓄積ユニットから読み出されることにより、リセットされる。このため、各電荷蓄積ユニットに蓄積されている電荷を一定の周期で読み出せば、CCDカメラ150は一定の感度で動作していることになる。
【0044】
例えば、2ミリ秒(msec)毎に各電荷蓄積ユニットから電荷を読み出す場合、すなわち、読み出し周期が2ミリ秒である場合と、4ミリ秒(msec)毎に各電荷蓄積ユニットから電荷を読み出す場合、すなわち、読み出し周期が4ミリ秒である場合とを比較すると、読み出し周期が4ミリ秒である場合の方が読み出し周期が2ミリ秒である場合よりも2倍の電荷量が蓄積される。すなわち、CCDカメラ150の感度は2倍になる。
【0045】
あるいは、読み出し周期が1ミリ秒である場合には、読み出し周期が2ミリ秒である場合と比較して、蓄積される電荷量は1/2倍になる。すなわち、CCDカメラ150の感度は1/2倍になる。
【0046】
このため、各電荷蓄積ユニットからの電荷の読み出し周期を青果物105の透過率に応じて選択することによって、測定対象物である青果物105の透過率の違いを補正することが可能になる。
【0047】
CCDカメラ150から電荷を読み出す読み出し周期は、例えば、水晶発振器190から発信される信号を分周することにより、所望の値に設定することができる。中央制御装置160は、水晶発振器190から発信される信号の分周比を変更することにより、読み出し周期を変更する。
【0048】
電荷の読み出し周期を上記のように変更する場合には、変更された読み出し周期に対応して、青果物105の搬送速度をも変更することが必要になる。
【0049】
すなわち、例えば、読み出し周期を基準周期の2倍に変更する場合には、青果物105の搬送速度を基準搬送速度の1/2倍に変更する。あるいは、読み出し周期を基準周期の1/3倍に変更する場合には、青果物105の搬送速度を基準搬送速度の3倍に変更する。このように、読み出し周期を基準周期のX倍に変更し、かつ、青果物105の搬送速度を基準搬送速度の1/X倍に変更することにより、基準透過率を有する青果物が基準搬送速度で搬送され、かつ、基準周期で電荷が読み出される場合と同一の条件の下に、種々の透過率を有する青果物の内部検査を行うことが可能になる。
【0050】
従来の青果物内部検査装置においては、測定対象物である青果物105の種類が変わると、受光素子やゲインアンプの感度を変更しなければならなかったが、本実施形態に係る青果物内部検査装置によれば、受光素子やゲインアンプの感度を変更することなく、種類が異なる青果物105の内部検査を実施することが可能になる。
【0051】
以下、本実施形態に係る青果物内部検査装置100の動作を説明する。
【0052】
青果物105はコンベア110に乗せられて一定の方向Xに搬送される。コンベア110上の各青果物105の間隔は一定である必要はなく、間隔をあけて相互に離れていればよい。
【0053】
制御装置160は、受光センサ132からの検出信号に基づいて、各青果物105がハロゲンランプ140の前方に到達する時刻を算出する。各青果物105がハロゲンランプ140の前方に到達すると、制御装置160はハロゲンランプ140を作動させる。これにより、青果物105にハロゲンランプ140から近赤外光が照射される。
【0054】
CCDカメラ150は各青果物105を透過した透過光を受光し、CCDカメラ150が撮像した分光エネルギーのスペクトルは制御装置160に送られる。
【0055】
制御装置160は、CCDカメラ150が撮像した分光エネルギーのスペクトルを解析し、各青果物105の内部品質を計測し、計測結果をディスプレイ170に表示するとともに、メモリ180に計測結果を記憶する。
【0056】
図2は制御装置160の構造の一例を示すブロック図である。
【0057】
制御装置160は、中央処理装置(CPU)161と、第1メモリ162と、第2メモリ163と、各種命令及びデータを中央処理装置161に入力するための入力インターフェイス164と、中央処理装置161により実行された処理の結果を出力する出力インターフェイス165と、中央処理装置161と他の構成要素とを接続するバス166と、から構成されている。
【0058】
第1メモリ162及び第2メモリ163の各々は、リード・オンリー・メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)またはICメモリーカードなどの半導体記憶装置、フレキシブルディスクなどの記憶媒体、ハードディスク、あるいは、光学磁気ディスクなどからなる。本実施形態においては、第1メモリ162はROMからなり、第2メモリ163はRAMからなる。
【0059】
第1メモリ162は中央処理装置161が実行するための各種の制御用プログラムその他の固定的なデータを格納している。第2メモリ163は様々なデータ及びパラメータを記憶しているとともに、中央処理装置161に対する作動領域を提供する、すなわち、中央処理装置161がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納している。中央処理装置161は第1メモリ162からプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。すなわち、中央処理装置161は第1メモリ162に格納されているプログラムに従って作動する。
【0060】
制御装置160は内蔵メモリを有しており、内蔵メモリには青果物リストが記憶されている。青果物リストの原理的な一例を図3に示す。
【0061】
図3に示すように、青果物リストには、青果物の種類ごとに、その透過率、搬送速度及び読み出し周期が列挙されているとともに、基準透過率A、基準搬送速度VA、基準読み出し周期IAが記載されている。
【0062】
基準搬送速度VA及び基準読み出し周期IAとは、任意の種類の青果物(基準青果物)の内部検査を最適に行うことができる場合のコンベア110による搬送速度と、CCDカメラ150からの電荷の読み出し周期とを指し、基準透過率Aとはその場合のその青果物(基準青果物)の透過率を指す。すなわち、基準透過率A、基準搬送速度VA、基準読み出し周期IAは他の青果物に対する透過率、搬送速度及び読み出し周期の基準値となるものであり、以下に述べるように、他の青果物に対する搬送速度及び読み出し周期は基準透過率A、基準搬送速度VA及び基準読み出し周期IAに基づいて決定される。
【0063】
青果物リストは、予め、入力装置200を介して制御装置160の内蔵メモリに入力されている。
【0064】
青果物リストに記載されている基準透過率A、基準搬送速度VA及び基準読み出し周期IAは入力装置200を介して書き換えることが可能である。
【0065】
全種類の青果物について、それらの近赤外光の透過率は、何らかの方法により既に測定されており、既知である。すなわち、全種類の青果物の概略的な透過率は既知であるので、その概略的な透過率が青果物毎に青果物リストに記載されている。
【0066】
青果物リストの番号1に挙げられている「ミカン」は0.5Aの透過率を有している。測定対象物である青果物105として「ミカン」を選択する場合、すなわち、青果物内部検査装置100により「ミカン」の内部検査を行う場合には、入力装置200を介して、数字の「1」を制御装置160に入力する。
【0067】
制御装置160は、数字の「1」が入力されると、青果物リストの番号1に対応する読み出し周期及び搬送速度を読み取る。番号1に対応する読み出し周期及び搬送速度はそれぞれ2IA、0.5VAである。
【0068】
次いで、制御装置160は、CCDカメラ150に対して読み出し周期が2IAになるようにCCDカメラ150の各電荷蓄積ユニットを制御するとともに、コンベア110による青果物105の搬送速度が0.5VAになるように、駆動モーター120の出力を制御する。
【0069】
また、青果物リストの番号2に挙げられている「スイカ」は2Aの透過率を有している。測定対象物である青果物105として「スイカ」を選択する場合、すなわち、青果物内部検査装置100により「スイカ」の内部検査を行う場合には、入力装置200を介して、数字の「2」を制御装置160に入力する。
【0070】
制御装置160は、数字の「2」が入力されると、青果物リストの番号2に対応する読み出し周期及び搬送速度を読み取る。番号2に対応する読み出し周期及び搬送速度はそれぞれIA/2、2VAである。
【0071】
次いで、制御装置160は、CCDカメラ150に対して読み出し周期がIA/2になるようにCCDカメラ150の各電荷蓄積ユニットを制御するとともに、コンベア110による青果物105の搬送速度が2VAになるように、駆動モーター120の出力を制御する。
【0072】
また、青果物リストの番号3に挙げられている「メロン」は1.5Aの透過率を有している。測定対象物である青果物105として「メロン」を選択する場合、すなわち、青果物内部検査装置100により「メロン」の内部検査を行う場合には、入力装置200を介して、数字の「3」を制御装置160に入力する。
【0073】
制御装置160は、数字の「3」が入力されると、青果物リストの番号3に対応する読み出し周期及び搬送速度を読み取る。番号3に対応する読み出し周期及び搬送速度はそれぞれIA/1.5、1.5VAである。
【0074】
次いで、制御装置160は、CCDカメラ150に対して読み出し周期がIA/1.5になるようにCCDカメラ150の各電荷蓄積ユニットを制御するとともに、コンベア110による青果物105の搬送速度が1.5VAになるように、駆動モーター120の出力を制御する。
【0075】
また、青果物リストの番号4に挙げられている「トマト」は2.5Aの透過率を有している。測定対象物である青果物105として「トマト」を選択する場合、すなわち、青果物内部検査装置100により「トマト」の内部検査を行う場合には、入力装置200を介して、数字の「4」を制御装置160に入力する。
【0076】
制御装置160は、数字の「4」が入力されると、青果物リストの番号4に対応する読み出し周期及び搬送速度を読み取る。番号4に対応する読み出し周期及び搬送速度はそれぞれIA/2.5、2.5VAである。
【0077】
次いで、制御装置160は、CCDカメラ150に対して読み出し周期がIA/2.5になるようにCCDカメラ150の各電荷蓄積ユニットを制御するとともに、コンベア110による青果物105の搬送速度が2.5VAになるように、駆動モーター120の出力を制御する。
【0078】
このように、青果物内部検査装置100のオペレータにより入力装置200を介して青果物105の種類が特定されると、制御装置160は、特定された青果物の種類に応じて、読み出し周期及び搬送速度を変更する。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る青果物内部検査装置100によれば、測定対象物である青果物の種類に応じて、CCDカメラ150から電荷を読み出す読み出し周期及び青果物105を搬送する搬送速度が変更される。このため、あらゆる種類の青果物105について、基準青果物と同一条件の下に、受光素子の感度あるいは増幅器の増幅率などを変更することなく、内部検査を実施することが可能である。
【0080】
なお、コンベア110による搬送速度には上限及び下限があるため、さらには、一日に処理可能な青果物105の量にも上限があるため、コンベア110による搬送速度を基準搬送速度のX倍の速度に変更する場合には、搬送速度の上限及び下限並びに青果物の一日の処理量が考慮される。
【符号の説明】
【0081】
100 青果物内部検査装置
105 青果物
110 コンベア
120 駆動モーター
130 通過検出センサ
140 ハロゲンランプ
150 CCDカメラ
160 制御装置
170 ディスプレイ
180 メモリ
190 水晶発振器
200 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物である青果物に近赤外光を照射し、前記青果物を透過した透過光を解析することにより、前記青果物の内部品質を計測する青果物内部検査装置であって、
前記青果物を一定の方向に搬送する青果物搬送手段と、
前記青果物に近赤外光を照射する光照射手段と、
前記青果物を透過した透過光を受光するCCDカメラと、
前記CCDカメラにおける光電変換により発生した電荷を読み出す周期を前記青果物の透過率に応じて変更し、かつ、前記青果物搬送手段による前記青果物の搬送速度を変更後の前記周期に応じて変更する制御装置と、
を備える青果物内部検査装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
基準透過率と、基準周期と、基準搬送速度とが予め定められている場合に、
前記透過率が前記基準透過率のX倍(Xは正の数)である場合には、前記周期を前記基準周期の1/X倍の周期に変更し、かつ、前記搬送速度を前記基準搬送速度のX倍の速度に変更するものであることを特徴とする請求項1に記載の青果物内部検査装置。
【請求項3】
前記基準透過率と、前記基準周期と、前記基準搬送速度とを書き直し可能な状態で記憶している記憶装置をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の青果物内部検査装置。
【請求項4】
検査対象物である青果物に近赤外光を照射し、前記青果物を透過した透過光を解析することにより、前記青果物の内部品質を計測する青果物内部検査方法であって、
前記青果物を一定の方向に搬送する間に、前記青果物に近赤外光を照射し、前記青果物を透過した透過光をCCDカメラにより受光する第一の過程と、
前記CCDカメラにおける光電変換により発生した電荷を読み出す周期を前記青果物の透過率に応じて変更し、かつ、前記青果物搬送手段による前記青果物の搬送速度を変更後の前記周期に応じて変更する第二の過程と、
を備える青果物内部検査方法。
【請求項5】
前記第二の過程は、
基準透過率と、基準周期と、基準搬送速度とが予め定められている場合に、
前記透過率が前記基準透過率のX倍(Xは正の数)である場合には、前記周期を前記基準周期の1/X倍の周期に変更し、かつ、前記搬送速度を前記基準搬送速度のX倍の速度に変更するものであることを特徴とする請求項4に記載の青果物内部検査方法。
【請求項6】
検査対象物である青果物に近赤外光を照射し、前記青果物を透過した透過光を解析することにより、前記青果物の内部品質を計測する青果物内部検査方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記プログラムが行う処理は、
前記青果物を一定の方向に搬送する間に、前記青果物に近赤外光を照射し、前記青果物を透過した透過光を受光したCCDカメラが光電変換により発生させた電荷を読み出す周期を前記青果物の透過率に応じて変更し、かつ、前記青果物の搬送速度を変更後の前記周期に応じて変更する処理であるプログラム。
【請求項7】
前記処理は、
基準透過率と、基準周期と、基準搬送速度とが予め定められている場合に、
前記透過率が前記基準透過率のX倍(Xは正の数)である場合には、前記周期を前記基準周期の1/X倍の周期に変更し、かつ、前記搬送速度を前記基準搬送速度のX倍の速度に変更する処理であることを特徴とする請求項6に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−8099(P2012−8099A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146584(P2010−146584)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000135254)株式会社ニレコ (41)
【Fターム(参考)】