静止誘導電器および低周波吸音壁
【課題】静止誘導電器から発生する騒音の特徴周波数に着目し、低周波数領域の騒音を効果的に低減できる低周波吸音部材を備えた静止誘導電器を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、静止誘導電器本体の周囲を覆うように遮音板を組合せて構成した遮音壁が配設されてなる静止誘導電器において、騒音低減の対象となる音波の周波数と共鳴するように設定された開口径および開口長さが形成された開口部25を備えた穴開き板21aと、多孔質材または連続気泡体のいずれかで構成された連続気泡硬質発泡材からなる吸音材22と、繊維状吸音材23とを重ね合わせて構成した低周波吸音部材31を遮音板24の内面に配置する。
【解決手段】実施形態によれば、静止誘導電器本体の周囲を覆うように遮音板を組合せて構成した遮音壁が配設されてなる静止誘導電器において、騒音低減の対象となる音波の周波数と共鳴するように設定された開口径および開口長さが形成された開口部25を備えた穴開き板21aと、多孔質材または連続気泡体のいずれかで構成された連続気泡硬質発泡材からなる吸音材22と、繊維状吸音材23とを重ね合わせて構成した低周波吸音部材31を遮音板24の内面に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、変圧器やリアクトルに代表される静止誘導電器と、静止誘導電器を覆ってその静止誘導電器から発生する低周波騒音を低減する低周波吸音壁に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器やリアクトルなどの静止誘導電器においては、静止誘導電器本体から電源周波数に基づく騒音が発生することが知られており、特に100〜200Hzの低周波数領域の騒音が問題となることが多い。低周波数領域の騒音を低減する手段としては、一般に鋼板を用いて構成された防音タンク等の防音構造物を、静止誘導電器本体を包囲するように設置することが多い。
【0003】
図11は、一般的な低騒音化構造を有する静止誘導電器の概略構成を示す立断面図であり、図11を参照して、静止誘導電器の一般的な騒音低減手段について説明する。
【0004】
防音構造物2は、静止誘導電器本体1の周囲を囲むように設けられた防音構造物であって、鋼板等の金属製のパネルからなる遮音壁4で静止誘導電器本体1を覆うように組み合わせて構成されている。
【0005】
また、多孔質吸音材3は、防音構造物2の内部において、ビルドアップによる騒音レベルの増加を防ぐため、遮音壁4の内面に設置されている。
【0006】
このように構成することにより、静止誘導電器本体1から発生した騒音は、防音構造物2を構成する遮音壁4の透過損失および多孔質吸音材3による吸音効果により低減されるので、静止誘導電器の騒音を低減させることができる。
【0007】
上記のように、防音構造物2の内部において、ビルドアップによる騒音レベルの増加を防ぐために用いられる多孔質吸音材3およびその構成方法に対して、性能向上を目的とした様々な提案が行われている。
【0008】
例えば、静止誘導電器から発生する代表的な騒音の特徴周波数域である100Hz〜200Hzの低周波数領域の騒音に対する吸音材の吸音特性を向上させるために、皮膜とグラスウール等の多孔質層を組み合わせた低周波吸音部材が用いられることが多い。
【0009】
上記の構成について、図12を参照して説明する。図12は、低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、図において、低周波吸音部材5は、厚さが50μm程度で面密度が0.68〜0.78kg/m2、または、1.75〜1.85kg/m2のシリコン系の樹脂からなる皮膜6と、皮膜6の背面側に積層されるグラスウール(密度32kg/m3)からなる多孔質体層7とを備え、低周波数領域の騒音に対して効果が得られるよう構成されている。
【0010】
このように構成された低周波吸音部材5を、静止誘導電器本体1を収納する鋼板等の金属製の遮音壁4の内面、または静止誘導電器本体1が設置された床面に配置する。
【0011】
このような構成の静止誘導電器の防音構造においては、皮膜6の面密度を上記のようにすることにより、低周波吸音部材5の吸音率のピーク周波数を低周波数領域側にシフトすることができるとともに、200Hz付近の低周波数領域における吸音率も向上させることができる。
【0012】
また、400Hz以下、特に120Hz以下の低周波数領域の騒音に対する吸音効果を向上させるため、多孔質吸音板および繊維状吸音材等を組み合わせた低周波吸音部材が用いられることもある。
【0013】
この場合に用いられている低周波吸音部材の構成について、図13を参照して説明する。
【0014】
発生音源側(図の上側)から厚さ3mm〜12mmの金属多孔質吸音板8、厚さ30mm〜100mmの繊維状吸音材9、厚さ30mm〜100mmの空気層10および厚さ30mm〜100mmの繊維状吸音材9が順に配置されている。また、繊維状吸音材9の背面側には図示しない遮音板が更に配置されることもある。
【0015】
以上のような構成の吸音構造においては、金属多孔質吸音板8と繊維状吸音材9とを組み合わせることにより、それぞれ単体で用いる場合よりも、高い吸音率を得ることができるとともに、静止誘導電器本体1から発生する騒音の特徴周波数である120Hz以下の低周波数領域での高い吸音率を得ることが可能となる。
【0016】
また、消音器の原理を応用した防音壁を用いた静止誘導電器の例として、例えば、連続気泡硬質発泡材からなる棒状の吸音板をその軸方向の中心部にその長手方向に沿う凸部曲面を有する形状に形成し、この吸音板の幅方向の両端部に遮音板の両端部に合わせて防音筒を構成し、この防音筒の吸音板側を騒音発生源側に向けると共に、この防音筒を互いに密接あるいは所定の間隔をおいて配列した防音壁を用いた静止誘導電器がある。
【0017】
ここで用いられている防音壁の構成について、図14および図15を参照して説明する。
【0018】
図において、11は防音壁、12は防音筒、13aは防音筒を構成するアルミニウム発泡材からなる吸音板、13bはアルミニウム平板からなる遮音板である。
【0019】
防音壁11を構成する防音筒12は、幅方向の中心部にその長手方向に沿う凸曲面部を有する形状に形成され、かつ連続気泡硬質発泡材からなる吸音板13aの両端部と遮音板13bを結合して吸音板13aと遮音板13bとで空洞部14を形成した筒状構成になっている。
【0020】
この吸音板13aにおける音波の入射位置によって防音筒12の空洞部14の空気層の厚さに対応する周波数の音波を高吸音率で吸音することができる。
【0021】
このような防音筒は広範囲の周波数を有する音波に対して高吸音性能を有することになる。また、上記したように吸音板13aは凸曲面部を有する形状に形成されているので、この吸音板に対して任意の角度をなして入射する音波を高吸音率で吸音することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2007−324388号公報
【特許文献2】特開平10−183813号公報
【特許文献3】特開平3−228905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
以上は、いずれも、静止誘導電器の騒音で問題となる低周波数領域の吸音効果を高めることを目的としている。
【0024】
ここで、吸音材のみの組合せで低周波領域の騒音低減を行おうとした場合、例えばグラスウールを用いた場合は、その吸音特性の問題から、空気層を大きくとる必要があるなど、どうしても全体的な厚みが大きくなってしまい、現実的な機器に適用する場合に支障となる場合が多い。
【0025】
ここで、特定の周波数に対して効果を発揮する代表的な消音装置のひとつとして、共鳴型消音装置について説明する。
【0026】
共鳴型消音装置のひとつであるヘルムホルツ型消音器の共鳴周波数fは、(1)式で求められる(但し開口部の形状が丸穴の場合)。
【0027】
f={c/(2π)}√[S/{V(L+0.8d)}] … (1)
ここで、cは媒質の音速、Sは消音器の開口面積、Vは消音器の容積、Lは開口部の長さ(首長さ)、dは開口部の直径である。
【0028】
例えば、静止誘導電器の代表的な機器として、変圧器を例に挙げると、発生する音の主要周波数は電源周波数の2倍の周波数およびその倍調波成分であることから、発生する騒音の特徴周波数は既知の値となる。したがって、消音器の共鳴周波数を予め発生騒音の特徴周波数に一致させるように構成することにより、消音器による騒音の低減が可能となる。
【0029】
本発明の実施形態においては、上述したように、変圧器やリアクトル等に代表される静止誘導電器の発生騒音における特徴周波数に着目し、特に低周波数領域の騒音を効果的に低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記の課題を解決するため、本発明の実施形態に係る静止誘導電器においては、特定の特徴周波数を有する騒音を発生する静止誘導電器本体と、前記特徴周波数の騒音と共鳴するように開口径および開口長が形成された開口部を備えて前記静止誘導電器本体を覆う穴開き部材と、前記穴開き部材を覆い、多孔質材または連続気泡体のいずれかで構成された連続気泡発泡材と、前記穴開き部材を覆う繊維状吸音材と、前記連続気泡発泡材および繊維状吸音材を覆う遮音板と、を有することを特徴とする。
【0031】
このような構成にすることにより、異なる吸音特性を有する吸音材の組み合わせによる低周波数領域における騒音低減性能の向上とともに、穴開き部材と連続気泡硬質発泡材と、繊維状吸音材とで構成された低周波吸音部材による共鳴効果により、低周波数領域の騒音をより効果的に低減することができる。
【0032】
また、本発明の実施形態に係る静止誘導電器においては、前記した低周波吸音部材として、異なる周波数に対して共鳴効果が得られるように、複数の異なる開口径が形成された開口部を備えた穴開き部材を用いて低周波吸音部材を形成したことを特徴としている。
【0033】
このような構成にすることにより、異なる周波数成分を有する騒音に対しても、特徴周波数に共鳴するように穴開き部材の開口径を設定することで、騒音低減効果を向上させることができる。
【0034】
また、本発明の実施形態に係る静止誘導電器においては、前記した低周波吸音部材として、多孔質材または連続気泡体のいずれかで構成された連続気泡硬質発泡材として、アルミニウムや鉄等の金属材料を用いたことを特徴としている。
【0035】
このような構成にすることにより、例えば油中で用いられる場合においても耐環境性に優れた低周波吸音構造を実現することができる。
【0036】
また、本発明の実施形態に係る静止誘導電器においては、前記した低周波吸音部材として、内径および長さが調整された円筒状部材を、基板を貫通させて配置しても良い。
【0037】
なお、円筒状部材は、複数の長さの異なる寸法のものを配置することで、穴開き部材の板厚を薄くすることができるとともに、複数の周波数成分に対して、共鳴効果を発揮することができるので、より軽量で吸音効果の大きな低周波吸音構造を実現することができる。
【0038】
また、本発明の実施形態に係る静止誘導電器においては、前記した低周波吸音部材において、低周波吸音部材を、箱状の筐体に収納して、パネル状の構成としたことを特徴としている。
【0039】
このような構成にすることにより、騒音低減の対象となる特定部分への設置が容易になり、防音対策工事等の作業性を向上することができる。
【0040】
また、本発明の実施形態に係る静止誘導電器においては、前記の低周波吸音部材において、箱状の筐体に収納してパネル状に構成したパネル状吸音部材の開口部に対して複数の共鳴箱を形成するように箱状の筐体部に仕切りを設けたことを特徴としている。
【0041】
このような構成にすることにより、開口径、開口長さおよび筐体背後体積により決定される共鳴周波数の自由度が増えるので、より理想的な設計が可能となり、より吸音効果の大きな低周波吸音構造を実現することができる。
【0042】
さらに、本発明の実施形態に係る低周波吸音壁においては、特定の特徴周波数を有する騒音を発生する静止誘導電器本体を覆う低周波吸音壁であって、前記特徴周波数の騒音と共鳴するように開口径および開口長が形成された開口部を備えて前記静止誘導電器本体を覆う穴開き部材と、前記穴開き部材を覆い、多孔質材または連続気泡体のいずれかで構成された連続気泡発泡材と、前記穴開き部材を覆う繊維状吸音材と、前記連続気泡発泡材および繊維状吸音材を覆う遮音板と、を有することを特徴とする。
【0043】
このような構成にすることにより、異なる吸音特性を有する吸音材の組み合わせによる低周波数領域における騒音低減性能の向上とともに、穴開き部材と連続気泡硬質発泡材と、繊維状吸音材とで構成された低周波吸音部材による共鳴効果により、低周波数領域の騒音をより効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造を示す縦断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態の変形例に係る変圧器の低周波吸音構造を示す縦断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造(穴開き部材)を示す正面図。
【図4】本発明の第1の実施形態における穴開き部材の変形例を示す正面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造を示す縦断面図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造の変形例を示す縦断面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造の変形例を示す縦断面図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造の変形例を示す縦断面図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造を示す縦断面図。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造の変形例を示す縦断面図。
【図11】従来における変圧器の防音構造を示す立断面図。
【図12】従来における低周波吸音構造を示す縦断面図。
【図13】従来における低周波吸音構造を示す縦断面図。
【図14】従来における低周波吸音構造を示す側面図。
【図15】従来における低周波吸音構造を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明に係る静止誘導電器の実施形態について、変圧器を例に挙げ、図面を参照して説明する。
【0046】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について、図1および図3を参照して説明する。図1は、本実施形態の変圧器における低周波吸音構造を形成する低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、図3は、図1における穴開き部材を音源側から見た正面図である。
【0047】
以下、図を参照して、本実施形態における低周波吸音部材の構成について説明する。
【0048】
音源側(図の上側)から順に所定の開口径d1を有する開口部25が所定の間隔pで設けられた穴開き部材である穴開き板21a、グラスウール、ロックウール、アルミニウム繊維材料などの多孔質材またはウレタン、ポリエチレン、アルミニウム発泡材等の連続気泡硬質発泡材からなる吸音材22、および、吸音材22とは吸音特性の異なる繊維状吸音材23が重ね合わせて形成された低周波吸音部材31が、遮音板24の内面に取り付けられている。
【0049】
音源側から伝播した音波は、まず、穴開き板21aと穴開き板21a背後の吸音材22、23で形成されたヘルムホルツ型消音器の共鳴効果により、穴開き部材21の開口部25の開口径d1、板厚、背後層および作用範囲で決定される共鳴周波数成分の騒音が低減される。
【0050】
さらに、多孔質材または連続気泡硬質発泡材からなる吸音材22と、吸音材22とは吸音特性の異なる繊維状吸音材23とで二重構造とした吸音材自身の吸音効果の組合せ効果により、単体の吸音材で得られる吸音効果と比較して、より広帯域かつ効果的に吸音特性を向上させることができる。
【0051】
ここで、多孔質材または連続気泡硬質発泡材からなる吸音材22としては、アルミニウム等の金属材料を用いると、吸湿等による性能低下の影響が比較的小さく、環境の変化に対して安定的な効果を得ることができ、また、リサイクルも比較的容易である。
【0052】
次に、第1の実施形態の変形例について、図2を参照して説明する。図2は、本変形例で用いられる低周波吸音部材の縦断面図である。
【0053】
図2においては、低周波吸音部材31と遮音板24との間には空気層26が設けられている。本変形例においては、このような構成にすることにより、さらに低周波数領域の吸音特性に優れた吸音構造を実現することができる。
【0054】
なお、穴開き板21aの開口部25の数や配置については、図3に示したものに限定されるものではない。また、吸音構造を構成する多孔質材または連続気泡硬質発泡材および繊維状吸音材の厚さについては、穴開き板21aの板厚と開口部25の開口径d1、開口部25の作用範囲および低減の対象となる周波数で決定される寸法の範囲内で、適宜決定すれば良い。
【0055】
次に、第1の実施形態のさらに別の変形例について、図4を参照して説明する。 図4は、図3に示した穴開き板21aの変形例を示すものである。本変形例の低周波吸音部材31においては、穴開き板21aは、複数の異なる周波数に対して共鳴するように調整された、複数の異なる開口径d1,d2を有する開口部25を備えたことを特徴としている(図4は、2種類の開口径を有する穴開き部材の場合を示している)。
【0056】
このような構成とすることにより、単一の共鳴周波数付近でのみ効果を発揮するヘルムホルツ型の共鳴構造を、異なる複数の周波数に対して効果が発揮できる構成とすることができるので、より広帯域にわたり吸音特性を向上させることが可能となる。
【0057】
なお、穴開き板21aの開口部25の配置や個数については、図示したものに限定されるものではない。また、異なる開口径の種類についても、図4では二種類しか示していないが、三種類またはそれ以上の複数の開口径を有する開口部の組合せとしても構わない。
【0058】
[第2の実施形態]
本発明に係る静止誘導電器の第2の実施形態について、第1の実施形態と同様に変圧器を例に挙げ、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る変圧器に適用される低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、図を参照して、本実施形態の低周波吸音部材の構成について説明する。なお、前述した実施形態で参照した図面と同一または類似の部分については、同一の符号を付して説明は省略する。
【0059】
図において、音源側(図の上側)から順に穴開き部材21、多孔質または連続気泡硬質発泡体の吸音材22、および繊維状吸音材23が重ね合わせて遮音板24に取り付けられている。穴開き部材21は、基板21bに両端開放のパイプ状の開口筒32を貫通させて形成されている。この開口筒32の開口径および長さは、騒音低減の対象となる音波の共鳴周波数によって適宜決定される。
【0060】
音源側から伝播した音波は、まず穴開き部材21と穴開き部材21背後の吸音材22、23で構成された部分で形成されたヘルムホルツ型消音器の共鳴効果により、穴開き部材21の開口筒32の開口径、長さ、背後層および作用範囲で決定される共鳴周波数の騒音が低減される。
【0061】
さらに、多孔質または連続気泡硬質発泡体からなる吸音材22と繊維状吸音材23とで二重構成とした吸音材自身の吸音効果の組合せ効果により、単体の吸音材で得られる吸音効果と比較して、より広帯域かつ効果的に吸音特性を向上させることができる。
【0062】
また、穴開き部材21は基板21bに開口筒32を貫通させて開口部を形成したことで、共鳴に必要な開口部長さに対して、穴開き部材21の基板21bの板厚を薄くすることができるので、吸音性能を確保しつつ、より軽量な吸音構造を実現することができる。
【0063】
また、本構成の変形例として、図6に示すように、吸音材23と遮音板24との間に空気層26を設けてもよい。
【0064】
以上のような構成により、より低周波数領域の吸音特性に優れ、かつ軽量な吸音構造を実現することができる。
【0065】
なお、開口筒32の個数や配置については、必ずしも図示したものと一致している必要はなく、対象となる周波数や吸音部材の大きさに合わせて適宜決定すればよい。
【0066】
次に、第2の実施形態の変形例について、図7を参照して説明する。図7は本変形例の低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、図において、異なる周波数に共鳴するように調整された、複数の異なる径の開口を有する開口筒32a、32bを基板21bに貫通させて穴開き部材21を形成して、図5に示した例と同様に吸音材22、23と重ね合わせて遮音板24に取り付けたことを特徴としている。
【0067】
このような構成とすることにより、単一の共鳴周波数付近でのみ効果を発揮するヘルムホルツ型の共鳴構成を、異なる複数の周波数に対して効果を発揮できる構成とすることができるので、より広帯域の音波に対して吸音特性を向上させることが可能となる。
【0068】
なお、開口筒の配置や個数については、図示したものに限定されるものではない。
【0069】
また、異なる開口径の開口筒の種類については、図7では大小二種類しか示していないが、三種類またはそれ以上の複数の組合せとしても構わない。
【0070】
また、図示していないが、吸音材23と遮音板24の間に図6に示したような空気層を設けても構わない。
【0071】
次に、第2の実施形態のさらに別の変形例について、図8を参照して説明する。図8は、本変形例の低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、異なる周波数に共鳴するように調整された、複数の異なる開口長さが形成された開口筒33a、33bを基板21bに貫通させて穴開き部材21を形成し、吸音材22,23と重ね合わせて低周波吸音部材を形成して遮音板24に取り付けたことを特徴としている。
【0072】
このような構成とすることにより、単一の共鳴周波数付近でのみ効果を発揮するヘルムホルツ型の共鳴構成を、異なる複数の周波数において効果を発揮できる構成とすることができるので、より広帯域の音波に対して吸音特性を向上させることが可能となる。
【0073】
なお、開口筒の配置や個数については、図示したものに限定されるものではない。また、異なる開口長さの開口筒の種類についても、図8では長短二種類しか示していないが、三種類またはそれ以上の複数の組合せとしても構わない。
【0074】
また、開口筒の開口径についても、図8では1種類のみ示されているが、複数の異なる開口径の開口筒の組合せとしても良い。
【0075】
また、図示していないが、吸音材23と遮音板24の間に図6に示す空気層と同様の空気層を設けても構わない。
【0076】
[第3の実施形態]
本発明の静止誘導電器の第3の実施形態について、前述した実施形態と同様に、変圧器を例に挙げ、図9を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る変圧器における低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、図を参照して、本実施形態の低周波吸音部材の構成を説明する。なお、前述した実施形態で参照した図面と同一または類似の部分については、同一の符号を付して説明は省略する。
【0077】
図9において、音源側(図の上側)から順に穴開き板21a、多孔質または連続気泡硬質発泡体からなる吸音材22、および繊維状吸音材23が重ねて設置され、さらに、吸音材22と繊維状吸音材23を覆うように箱状の筐体34が設けられ、パネル状の低周波吸音部材を形成している。また、穴開き板21aには開口部25が形成されている。この開口部25の開口径および開口部25の長さは、対象とする音波の共鳴周波数によって適宜決定されるものである。このパネル状の低周波吸音部材は、同様の構成のもの複数枚を面方向に並べて静止誘導電機の低周波吸音部材とする。
【0078】
低周波吸音部材を複数枚のパネル状としたことにより、取扱いが容易になるとともに、可搬性、保管性にも優れた吸音構造とすることが可能となる。
【0079】
なお、穴開き板21aの開口径、開口長さおよび個数については、必ずしも図示したものに限らない。また、上記実施形態においては、予め吸音対象となる音の周波数と共鳴するように調整された板厚を有する基板に(1)式を満足するよう開口径を有する開口部を形成した穴開き部材を用いたが、基板の板厚を薄くして、(1)式を満足するように内径および長さが調整された円筒状部材を、前記基板を貫通させて形成した穴開き部材に配置するようにしても良い。
【0080】
また、図示していないが、吸音材23と筐体34の間に空気層を設けても良い。
【0081】
次に、第3の実施形態の変形例について、図10を参照して説明する。図10は、本変形例の低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、図において、筐体34内部には開口部25の配置に合わせて仕切り板35が設けられている。
【0082】
このような構成とした場合、仕切り板35の位置を適宜変更することで、穴開き板21aの背後層に相当する容積を容易に変化させることができる。背後層の容積は、前述した式(1)から明らかなように、ヘルムホルツ型消音器の共鳴周波数に対応して形成されている。
【0083】
したがって、共鳴周波数を決定する際の構成要因が一つ増えることになり、吸音したい音波の周波数に合わせることが容易になり、より効果的な吸音構造を実現することができる。
【0084】
なお、穴開き板21aの開口部25の開口径、開口部長さおよび個数については、必ずしも図示したものに限らない。また、開口部25については単純な開口の代わりに開口筒としても良い。
【0085】
また、図示していないが、吸音材23と筐体34の間に空気層を設けても良い。
【0086】
なお、本実施例では、穴開き部材として第1の実施形態に示した開口部が設けられた穴開き板を用いたが、第2の実施形態に示したような基板に開口筒を貫通させて開口部を形成した穴開き部材を用いても良い。
【0087】
[他の実施形態]
以上説明した実施形態は単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。たとえば、異なる種類の実施形態の特徴を種々に組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0088】
1 … 静止誘導電器本体
2 … 防音構造物
3 … 多孔質吸音材
4 … 遮音壁
5 … 低周波吸音部材
6 … 皮膜
7 … 多孔質体層
8 … 金属多孔質吸音板(連続気泡発泡材)
9 … 繊維状吸音材
10 … 空気層
11 … 防音壁
12 … 防音筒
13a… 吸音板
13b… 遮音板
14 … 空洞部
21 … 穴開き部材
21a… 穴開き板
21b… 基板
22 … 多孔質吸音材
23 … 繊維状吸音材
24 … 遮音板
25 … 開口部
26 … 空気層
30 … 共鳴作用範囲
31 … 低周波吸音部材
32、32a、32b、33a、33b … 開口筒
34 … 筐体
35 … 仕切り板
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、変圧器やリアクトルに代表される静止誘導電器と、静止誘導電器を覆ってその静止誘導電器から発生する低周波騒音を低減する低周波吸音壁に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器やリアクトルなどの静止誘導電器においては、静止誘導電器本体から電源周波数に基づく騒音が発生することが知られており、特に100〜200Hzの低周波数領域の騒音が問題となることが多い。低周波数領域の騒音を低減する手段としては、一般に鋼板を用いて構成された防音タンク等の防音構造物を、静止誘導電器本体を包囲するように設置することが多い。
【0003】
図11は、一般的な低騒音化構造を有する静止誘導電器の概略構成を示す立断面図であり、図11を参照して、静止誘導電器の一般的な騒音低減手段について説明する。
【0004】
防音構造物2は、静止誘導電器本体1の周囲を囲むように設けられた防音構造物であって、鋼板等の金属製のパネルからなる遮音壁4で静止誘導電器本体1を覆うように組み合わせて構成されている。
【0005】
また、多孔質吸音材3は、防音構造物2の内部において、ビルドアップによる騒音レベルの増加を防ぐため、遮音壁4の内面に設置されている。
【0006】
このように構成することにより、静止誘導電器本体1から発生した騒音は、防音構造物2を構成する遮音壁4の透過損失および多孔質吸音材3による吸音効果により低減されるので、静止誘導電器の騒音を低減させることができる。
【0007】
上記のように、防音構造物2の内部において、ビルドアップによる騒音レベルの増加を防ぐために用いられる多孔質吸音材3およびその構成方法に対して、性能向上を目的とした様々な提案が行われている。
【0008】
例えば、静止誘導電器から発生する代表的な騒音の特徴周波数域である100Hz〜200Hzの低周波数領域の騒音に対する吸音材の吸音特性を向上させるために、皮膜とグラスウール等の多孔質層を組み合わせた低周波吸音部材が用いられることが多い。
【0009】
上記の構成について、図12を参照して説明する。図12は、低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、図において、低周波吸音部材5は、厚さが50μm程度で面密度が0.68〜0.78kg/m2、または、1.75〜1.85kg/m2のシリコン系の樹脂からなる皮膜6と、皮膜6の背面側に積層されるグラスウール(密度32kg/m3)からなる多孔質体層7とを備え、低周波数領域の騒音に対して効果が得られるよう構成されている。
【0010】
このように構成された低周波吸音部材5を、静止誘導電器本体1を収納する鋼板等の金属製の遮音壁4の内面、または静止誘導電器本体1が設置された床面に配置する。
【0011】
このような構成の静止誘導電器の防音構造においては、皮膜6の面密度を上記のようにすることにより、低周波吸音部材5の吸音率のピーク周波数を低周波数領域側にシフトすることができるとともに、200Hz付近の低周波数領域における吸音率も向上させることができる。
【0012】
また、400Hz以下、特に120Hz以下の低周波数領域の騒音に対する吸音効果を向上させるため、多孔質吸音板および繊維状吸音材等を組み合わせた低周波吸音部材が用いられることもある。
【0013】
この場合に用いられている低周波吸音部材の構成について、図13を参照して説明する。
【0014】
発生音源側(図の上側)から厚さ3mm〜12mmの金属多孔質吸音板8、厚さ30mm〜100mmの繊維状吸音材9、厚さ30mm〜100mmの空気層10および厚さ30mm〜100mmの繊維状吸音材9が順に配置されている。また、繊維状吸音材9の背面側には図示しない遮音板が更に配置されることもある。
【0015】
以上のような構成の吸音構造においては、金属多孔質吸音板8と繊維状吸音材9とを組み合わせることにより、それぞれ単体で用いる場合よりも、高い吸音率を得ることができるとともに、静止誘導電器本体1から発生する騒音の特徴周波数である120Hz以下の低周波数領域での高い吸音率を得ることが可能となる。
【0016】
また、消音器の原理を応用した防音壁を用いた静止誘導電器の例として、例えば、連続気泡硬質発泡材からなる棒状の吸音板をその軸方向の中心部にその長手方向に沿う凸部曲面を有する形状に形成し、この吸音板の幅方向の両端部に遮音板の両端部に合わせて防音筒を構成し、この防音筒の吸音板側を騒音発生源側に向けると共に、この防音筒を互いに密接あるいは所定の間隔をおいて配列した防音壁を用いた静止誘導電器がある。
【0017】
ここで用いられている防音壁の構成について、図14および図15を参照して説明する。
【0018】
図において、11は防音壁、12は防音筒、13aは防音筒を構成するアルミニウム発泡材からなる吸音板、13bはアルミニウム平板からなる遮音板である。
【0019】
防音壁11を構成する防音筒12は、幅方向の中心部にその長手方向に沿う凸曲面部を有する形状に形成され、かつ連続気泡硬質発泡材からなる吸音板13aの両端部と遮音板13bを結合して吸音板13aと遮音板13bとで空洞部14を形成した筒状構成になっている。
【0020】
この吸音板13aにおける音波の入射位置によって防音筒12の空洞部14の空気層の厚さに対応する周波数の音波を高吸音率で吸音することができる。
【0021】
このような防音筒は広範囲の周波数を有する音波に対して高吸音性能を有することになる。また、上記したように吸音板13aは凸曲面部を有する形状に形成されているので、この吸音板に対して任意の角度をなして入射する音波を高吸音率で吸音することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2007−324388号公報
【特許文献2】特開平10−183813号公報
【特許文献3】特開平3−228905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
以上は、いずれも、静止誘導電器の騒音で問題となる低周波数領域の吸音効果を高めることを目的としている。
【0024】
ここで、吸音材のみの組合せで低周波領域の騒音低減を行おうとした場合、例えばグラスウールを用いた場合は、その吸音特性の問題から、空気層を大きくとる必要があるなど、どうしても全体的な厚みが大きくなってしまい、現実的な機器に適用する場合に支障となる場合が多い。
【0025】
ここで、特定の周波数に対して効果を発揮する代表的な消音装置のひとつとして、共鳴型消音装置について説明する。
【0026】
共鳴型消音装置のひとつであるヘルムホルツ型消音器の共鳴周波数fは、(1)式で求められる(但し開口部の形状が丸穴の場合)。
【0027】
f={c/(2π)}√[S/{V(L+0.8d)}] … (1)
ここで、cは媒質の音速、Sは消音器の開口面積、Vは消音器の容積、Lは開口部の長さ(首長さ)、dは開口部の直径である。
【0028】
例えば、静止誘導電器の代表的な機器として、変圧器を例に挙げると、発生する音の主要周波数は電源周波数の2倍の周波数およびその倍調波成分であることから、発生する騒音の特徴周波数は既知の値となる。したがって、消音器の共鳴周波数を予め発生騒音の特徴周波数に一致させるように構成することにより、消音器による騒音の低減が可能となる。
【0029】
本発明の実施形態においては、上述したように、変圧器やリアクトル等に代表される静止誘導電器の発生騒音における特徴周波数に着目し、特に低周波数領域の騒音を効果的に低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記の課題を解決するため、本発明の実施形態に係る静止誘導電器においては、特定の特徴周波数を有する騒音を発生する静止誘導電器本体と、前記特徴周波数の騒音と共鳴するように開口径および開口長が形成された開口部を備えて前記静止誘導電器本体を覆う穴開き部材と、前記穴開き部材を覆い、多孔質材または連続気泡体のいずれかで構成された連続気泡発泡材と、前記穴開き部材を覆う繊維状吸音材と、前記連続気泡発泡材および繊維状吸音材を覆う遮音板と、を有することを特徴とする。
【0031】
このような構成にすることにより、異なる吸音特性を有する吸音材の組み合わせによる低周波数領域における騒音低減性能の向上とともに、穴開き部材と連続気泡硬質発泡材と、繊維状吸音材とで構成された低周波吸音部材による共鳴効果により、低周波数領域の騒音をより効果的に低減することができる。
【0032】
また、本発明の実施形態に係る静止誘導電器においては、前記した低周波吸音部材として、異なる周波数に対して共鳴効果が得られるように、複数の異なる開口径が形成された開口部を備えた穴開き部材を用いて低周波吸音部材を形成したことを特徴としている。
【0033】
このような構成にすることにより、異なる周波数成分を有する騒音に対しても、特徴周波数に共鳴するように穴開き部材の開口径を設定することで、騒音低減効果を向上させることができる。
【0034】
また、本発明の実施形態に係る静止誘導電器においては、前記した低周波吸音部材として、多孔質材または連続気泡体のいずれかで構成された連続気泡硬質発泡材として、アルミニウムや鉄等の金属材料を用いたことを特徴としている。
【0035】
このような構成にすることにより、例えば油中で用いられる場合においても耐環境性に優れた低周波吸音構造を実現することができる。
【0036】
また、本発明の実施形態に係る静止誘導電器においては、前記した低周波吸音部材として、内径および長さが調整された円筒状部材を、基板を貫通させて配置しても良い。
【0037】
なお、円筒状部材は、複数の長さの異なる寸法のものを配置することで、穴開き部材の板厚を薄くすることができるとともに、複数の周波数成分に対して、共鳴効果を発揮することができるので、より軽量で吸音効果の大きな低周波吸音構造を実現することができる。
【0038】
また、本発明の実施形態に係る静止誘導電器においては、前記した低周波吸音部材において、低周波吸音部材を、箱状の筐体に収納して、パネル状の構成としたことを特徴としている。
【0039】
このような構成にすることにより、騒音低減の対象となる特定部分への設置が容易になり、防音対策工事等の作業性を向上することができる。
【0040】
また、本発明の実施形態に係る静止誘導電器においては、前記の低周波吸音部材において、箱状の筐体に収納してパネル状に構成したパネル状吸音部材の開口部に対して複数の共鳴箱を形成するように箱状の筐体部に仕切りを設けたことを特徴としている。
【0041】
このような構成にすることにより、開口径、開口長さおよび筐体背後体積により決定される共鳴周波数の自由度が増えるので、より理想的な設計が可能となり、より吸音効果の大きな低周波吸音構造を実現することができる。
【0042】
さらに、本発明の実施形態に係る低周波吸音壁においては、特定の特徴周波数を有する騒音を発生する静止誘導電器本体を覆う低周波吸音壁であって、前記特徴周波数の騒音と共鳴するように開口径および開口長が形成された開口部を備えて前記静止誘導電器本体を覆う穴開き部材と、前記穴開き部材を覆い、多孔質材または連続気泡体のいずれかで構成された連続気泡発泡材と、前記穴開き部材を覆う繊維状吸音材と、前記連続気泡発泡材および繊維状吸音材を覆う遮音板と、を有することを特徴とする。
【0043】
このような構成にすることにより、異なる吸音特性を有する吸音材の組み合わせによる低周波数領域における騒音低減性能の向上とともに、穴開き部材と連続気泡硬質発泡材と、繊維状吸音材とで構成された低周波吸音部材による共鳴効果により、低周波数領域の騒音をより効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造を示す縦断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態の変形例に係る変圧器の低周波吸音構造を示す縦断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造(穴開き部材)を示す正面図。
【図4】本発明の第1の実施形態における穴開き部材の変形例を示す正面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造を示す縦断面図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造の変形例を示す縦断面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造の変形例を示す縦断面図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造の変形例を示す縦断面図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造を示す縦断面図。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る変圧器の低周波吸音構造の変形例を示す縦断面図。
【図11】従来における変圧器の防音構造を示す立断面図。
【図12】従来における低周波吸音構造を示す縦断面図。
【図13】従来における低周波吸音構造を示す縦断面図。
【図14】従来における低周波吸音構造を示す側面図。
【図15】従来における低周波吸音構造を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明に係る静止誘導電器の実施形態について、変圧器を例に挙げ、図面を参照して説明する。
【0046】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について、図1および図3を参照して説明する。図1は、本実施形態の変圧器における低周波吸音構造を形成する低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、図3は、図1における穴開き部材を音源側から見た正面図である。
【0047】
以下、図を参照して、本実施形態における低周波吸音部材の構成について説明する。
【0048】
音源側(図の上側)から順に所定の開口径d1を有する開口部25が所定の間隔pで設けられた穴開き部材である穴開き板21a、グラスウール、ロックウール、アルミニウム繊維材料などの多孔質材またはウレタン、ポリエチレン、アルミニウム発泡材等の連続気泡硬質発泡材からなる吸音材22、および、吸音材22とは吸音特性の異なる繊維状吸音材23が重ね合わせて形成された低周波吸音部材31が、遮音板24の内面に取り付けられている。
【0049】
音源側から伝播した音波は、まず、穴開き板21aと穴開き板21a背後の吸音材22、23で形成されたヘルムホルツ型消音器の共鳴効果により、穴開き部材21の開口部25の開口径d1、板厚、背後層および作用範囲で決定される共鳴周波数成分の騒音が低減される。
【0050】
さらに、多孔質材または連続気泡硬質発泡材からなる吸音材22と、吸音材22とは吸音特性の異なる繊維状吸音材23とで二重構造とした吸音材自身の吸音効果の組合せ効果により、単体の吸音材で得られる吸音効果と比較して、より広帯域かつ効果的に吸音特性を向上させることができる。
【0051】
ここで、多孔質材または連続気泡硬質発泡材からなる吸音材22としては、アルミニウム等の金属材料を用いると、吸湿等による性能低下の影響が比較的小さく、環境の変化に対して安定的な効果を得ることができ、また、リサイクルも比較的容易である。
【0052】
次に、第1の実施形態の変形例について、図2を参照して説明する。図2は、本変形例で用いられる低周波吸音部材の縦断面図である。
【0053】
図2においては、低周波吸音部材31と遮音板24との間には空気層26が設けられている。本変形例においては、このような構成にすることにより、さらに低周波数領域の吸音特性に優れた吸音構造を実現することができる。
【0054】
なお、穴開き板21aの開口部25の数や配置については、図3に示したものに限定されるものではない。また、吸音構造を構成する多孔質材または連続気泡硬質発泡材および繊維状吸音材の厚さについては、穴開き板21aの板厚と開口部25の開口径d1、開口部25の作用範囲および低減の対象となる周波数で決定される寸法の範囲内で、適宜決定すれば良い。
【0055】
次に、第1の実施形態のさらに別の変形例について、図4を参照して説明する。 図4は、図3に示した穴開き板21aの変形例を示すものである。本変形例の低周波吸音部材31においては、穴開き板21aは、複数の異なる周波数に対して共鳴するように調整された、複数の異なる開口径d1,d2を有する開口部25を備えたことを特徴としている(図4は、2種類の開口径を有する穴開き部材の場合を示している)。
【0056】
このような構成とすることにより、単一の共鳴周波数付近でのみ効果を発揮するヘルムホルツ型の共鳴構造を、異なる複数の周波数に対して効果が発揮できる構成とすることができるので、より広帯域にわたり吸音特性を向上させることが可能となる。
【0057】
なお、穴開き板21aの開口部25の配置や個数については、図示したものに限定されるものではない。また、異なる開口径の種類についても、図4では二種類しか示していないが、三種類またはそれ以上の複数の開口径を有する開口部の組合せとしても構わない。
【0058】
[第2の実施形態]
本発明に係る静止誘導電器の第2の実施形態について、第1の実施形態と同様に変圧器を例に挙げ、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る変圧器に適用される低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、図を参照して、本実施形態の低周波吸音部材の構成について説明する。なお、前述した実施形態で参照した図面と同一または類似の部分については、同一の符号を付して説明は省略する。
【0059】
図において、音源側(図の上側)から順に穴開き部材21、多孔質または連続気泡硬質発泡体の吸音材22、および繊維状吸音材23が重ね合わせて遮音板24に取り付けられている。穴開き部材21は、基板21bに両端開放のパイプ状の開口筒32を貫通させて形成されている。この開口筒32の開口径および長さは、騒音低減の対象となる音波の共鳴周波数によって適宜決定される。
【0060】
音源側から伝播した音波は、まず穴開き部材21と穴開き部材21背後の吸音材22、23で構成された部分で形成されたヘルムホルツ型消音器の共鳴効果により、穴開き部材21の開口筒32の開口径、長さ、背後層および作用範囲で決定される共鳴周波数の騒音が低減される。
【0061】
さらに、多孔質または連続気泡硬質発泡体からなる吸音材22と繊維状吸音材23とで二重構成とした吸音材自身の吸音効果の組合せ効果により、単体の吸音材で得られる吸音効果と比較して、より広帯域かつ効果的に吸音特性を向上させることができる。
【0062】
また、穴開き部材21は基板21bに開口筒32を貫通させて開口部を形成したことで、共鳴に必要な開口部長さに対して、穴開き部材21の基板21bの板厚を薄くすることができるので、吸音性能を確保しつつ、より軽量な吸音構造を実現することができる。
【0063】
また、本構成の変形例として、図6に示すように、吸音材23と遮音板24との間に空気層26を設けてもよい。
【0064】
以上のような構成により、より低周波数領域の吸音特性に優れ、かつ軽量な吸音構造を実現することができる。
【0065】
なお、開口筒32の個数や配置については、必ずしも図示したものと一致している必要はなく、対象となる周波数や吸音部材の大きさに合わせて適宜決定すればよい。
【0066】
次に、第2の実施形態の変形例について、図7を参照して説明する。図7は本変形例の低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、図において、異なる周波数に共鳴するように調整された、複数の異なる径の開口を有する開口筒32a、32bを基板21bに貫通させて穴開き部材21を形成して、図5に示した例と同様に吸音材22、23と重ね合わせて遮音板24に取り付けたことを特徴としている。
【0067】
このような構成とすることにより、単一の共鳴周波数付近でのみ効果を発揮するヘルムホルツ型の共鳴構成を、異なる複数の周波数に対して効果を発揮できる構成とすることができるので、より広帯域の音波に対して吸音特性を向上させることが可能となる。
【0068】
なお、開口筒の配置や個数については、図示したものに限定されるものではない。
【0069】
また、異なる開口径の開口筒の種類については、図7では大小二種類しか示していないが、三種類またはそれ以上の複数の組合せとしても構わない。
【0070】
また、図示していないが、吸音材23と遮音板24の間に図6に示したような空気層を設けても構わない。
【0071】
次に、第2の実施形態のさらに別の変形例について、図8を参照して説明する。図8は、本変形例の低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、異なる周波数に共鳴するように調整された、複数の異なる開口長さが形成された開口筒33a、33bを基板21bに貫通させて穴開き部材21を形成し、吸音材22,23と重ね合わせて低周波吸音部材を形成して遮音板24に取り付けたことを特徴としている。
【0072】
このような構成とすることにより、単一の共鳴周波数付近でのみ効果を発揮するヘルムホルツ型の共鳴構成を、異なる複数の周波数において効果を発揮できる構成とすることができるので、より広帯域の音波に対して吸音特性を向上させることが可能となる。
【0073】
なお、開口筒の配置や個数については、図示したものに限定されるものではない。また、異なる開口長さの開口筒の種類についても、図8では長短二種類しか示していないが、三種類またはそれ以上の複数の組合せとしても構わない。
【0074】
また、開口筒の開口径についても、図8では1種類のみ示されているが、複数の異なる開口径の開口筒の組合せとしても良い。
【0075】
また、図示していないが、吸音材23と遮音板24の間に図6に示す空気層と同様の空気層を設けても構わない。
【0076】
[第3の実施形態]
本発明の静止誘導電器の第3の実施形態について、前述した実施形態と同様に、変圧器を例に挙げ、図9を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る変圧器における低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、図を参照して、本実施形態の低周波吸音部材の構成を説明する。なお、前述した実施形態で参照した図面と同一または類似の部分については、同一の符号を付して説明は省略する。
【0077】
図9において、音源側(図の上側)から順に穴開き板21a、多孔質または連続気泡硬質発泡体からなる吸音材22、および繊維状吸音材23が重ねて設置され、さらに、吸音材22と繊維状吸音材23を覆うように箱状の筐体34が設けられ、パネル状の低周波吸音部材を形成している。また、穴開き板21aには開口部25が形成されている。この開口部25の開口径および開口部25の長さは、対象とする音波の共鳴周波数によって適宜決定されるものである。このパネル状の低周波吸音部材は、同様の構成のもの複数枚を面方向に並べて静止誘導電機の低周波吸音部材とする。
【0078】
低周波吸音部材を複数枚のパネル状としたことにより、取扱いが容易になるとともに、可搬性、保管性にも優れた吸音構造とすることが可能となる。
【0079】
なお、穴開き板21aの開口径、開口長さおよび個数については、必ずしも図示したものに限らない。また、上記実施形態においては、予め吸音対象となる音の周波数と共鳴するように調整された板厚を有する基板に(1)式を満足するよう開口径を有する開口部を形成した穴開き部材を用いたが、基板の板厚を薄くして、(1)式を満足するように内径および長さが調整された円筒状部材を、前記基板を貫通させて形成した穴開き部材に配置するようにしても良い。
【0080】
また、図示していないが、吸音材23と筐体34の間に空気層を設けても良い。
【0081】
次に、第3の実施形態の変形例について、図10を参照して説明する。図10は、本変形例の低周波吸音部材の構成を示す縦断面図であり、図において、筐体34内部には開口部25の配置に合わせて仕切り板35が設けられている。
【0082】
このような構成とした場合、仕切り板35の位置を適宜変更することで、穴開き板21aの背後層に相当する容積を容易に変化させることができる。背後層の容積は、前述した式(1)から明らかなように、ヘルムホルツ型消音器の共鳴周波数に対応して形成されている。
【0083】
したがって、共鳴周波数を決定する際の構成要因が一つ増えることになり、吸音したい音波の周波数に合わせることが容易になり、より効果的な吸音構造を実現することができる。
【0084】
なお、穴開き板21aの開口部25の開口径、開口部長さおよび個数については、必ずしも図示したものに限らない。また、開口部25については単純な開口の代わりに開口筒としても良い。
【0085】
また、図示していないが、吸音材23と筐体34の間に空気層を設けても良い。
【0086】
なお、本実施例では、穴開き部材として第1の実施形態に示した開口部が設けられた穴開き板を用いたが、第2の実施形態に示したような基板に開口筒を貫通させて開口部を形成した穴開き部材を用いても良い。
【0087】
[他の実施形態]
以上説明した実施形態は単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。たとえば、異なる種類の実施形態の特徴を種々に組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0088】
1 … 静止誘導電器本体
2 … 防音構造物
3 … 多孔質吸音材
4 … 遮音壁
5 … 低周波吸音部材
6 … 皮膜
7 … 多孔質体層
8 … 金属多孔質吸音板(連続気泡発泡材)
9 … 繊維状吸音材
10 … 空気層
11 … 防音壁
12 … 防音筒
13a… 吸音板
13b… 遮音板
14 … 空洞部
21 … 穴開き部材
21a… 穴開き板
21b… 基板
22 … 多孔質吸音材
23 … 繊維状吸音材
24 … 遮音板
25 … 開口部
26 … 空気層
30 … 共鳴作用範囲
31 … 低周波吸音部材
32、32a、32b、33a、33b … 開口筒
34 … 筐体
35 … 仕切り板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の特徴周波数を有する騒音を発生する静止誘導電器本体と、
前記特徴周波数の騒音と共鳴するように開口径および開口長が形成された開口部を備えて前記静止誘導電器本体を覆う穴開き部材と、
前記穴開き部材を覆い、多孔質材または連続気泡体のいずれかで構成された連続気泡発泡材と、
前記穴開き部材を覆う繊維状吸音材と、
前記連続気泡発泡材および繊維状吸音材を覆う遮音板と、
を有することを特徴とする、静止誘導電器。
【請求項2】
穴開き部材は、複数の異なる開口径を有する開口部が形成された穴開き板であることを特徴とする、請求項1に記載の静止誘導電器。
【請求項3】
穴開き部材は、基板に低減の対象となる騒音の特徴周波数と共鳴するように調整された開口径および開口長さを有する開口筒を貫通させて開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静止誘導電器。
【請求項4】
円筒部材は、口径が複数の異なる寸法に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の静止誘導電器。
【請求項5】
円筒部材は、長さが複数の異なる寸法に形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の静止誘導電器。
【請求項6】
低周波吸音部材は、箱状の筐体に納められた複数のパネル状吸音部材を組合せて構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の静止誘導電器。
【請求項7】
パネル状に構成した低周波吸音部材は、開口部の長さ方向に沿って複数の仕切りが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の静止誘導電器。
【請求項8】
多孔質材または連続気泡体の素材として、金属材料を用いたことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の静止誘導電器。
【請求項9】
特定の特徴周波数を有する騒音を発生する静止誘導電器本体を覆う低周波吸音壁であって、
前記特徴周波数の騒音と共鳴するように開口径および開口長が形成された開口部を備えて前記静止誘導電器本体を覆う穴開き部材と、
前記穴開き部材を覆い、多孔質材または連続気泡体のいずれかで構成された連続気泡発泡材と、
前記穴開き部材を覆う繊維状吸音材と、
前記連続気泡発泡材および繊維状吸音材を覆う遮音板と、
を有することを特徴とする、低周波吸音壁。
【請求項1】
特定の特徴周波数を有する騒音を発生する静止誘導電器本体と、
前記特徴周波数の騒音と共鳴するように開口径および開口長が形成された開口部を備えて前記静止誘導電器本体を覆う穴開き部材と、
前記穴開き部材を覆い、多孔質材または連続気泡体のいずれかで構成された連続気泡発泡材と、
前記穴開き部材を覆う繊維状吸音材と、
前記連続気泡発泡材および繊維状吸音材を覆う遮音板と、
を有することを特徴とする、静止誘導電器。
【請求項2】
穴開き部材は、複数の異なる開口径を有する開口部が形成された穴開き板であることを特徴とする、請求項1に記載の静止誘導電器。
【請求項3】
穴開き部材は、基板に低減の対象となる騒音の特徴周波数と共鳴するように調整された開口径および開口長さを有する開口筒を貫通させて開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静止誘導電器。
【請求項4】
円筒部材は、口径が複数の異なる寸法に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の静止誘導電器。
【請求項5】
円筒部材は、長さが複数の異なる寸法に形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の静止誘導電器。
【請求項6】
低周波吸音部材は、箱状の筐体に納められた複数のパネル状吸音部材を組合せて構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の静止誘導電器。
【請求項7】
パネル状に構成した低周波吸音部材は、開口部の長さ方向に沿って複数の仕切りが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の静止誘導電器。
【請求項8】
多孔質材または連続気泡体の素材として、金属材料を用いたことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の静止誘導電器。
【請求項9】
特定の特徴周波数を有する騒音を発生する静止誘導電器本体を覆う低周波吸音壁であって、
前記特徴周波数の騒音と共鳴するように開口径および開口長が形成された開口部を備えて前記静止誘導電器本体を覆う穴開き部材と、
前記穴開き部材を覆い、多孔質材または連続気泡体のいずれかで構成された連続気泡発泡材と、
前記穴開き部材を覆う繊維状吸音材と、
前記連続気泡発泡材および繊維状吸音材を覆う遮音板と、
を有することを特徴とする、低周波吸音壁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−123293(P2012−123293A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275517(P2010−275517)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]