説明

静電入力装置

【課題】被検出体が異なっても正確なz座標を検出できる静電入力装置を提供する。
【解決手段】被検出体が接触又は近接する入力操作面105aとの間で静電容量を形成する検出電極110を備えた入力部100と、入力操作面105aと検出電極110の距離を検出電極110の法線方向であるz方向に変化させる駆動部であるアクチュエータ120と、このアクチュエータ120により所定のタイミングで入力操作面105aと検出電極110の距離を変化させ、変化の時のそれぞれの静電容量を検出し、検出された静電容量に基づいて、被検出体のz方向の座標を算出する制御部300と、を有して静電入力装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量の変化量を利用して入力操作面から被検出体の距離を求めることにより、被検出体の3次元座標の検出を可能とする入力装置がある。被検出体が近接したことに基づく静電容量の変化量を検出する変化量検出手段と、変化量検出手段によって検出された静電容量の変化量に基づいて、変化量検出手段に相当する入力操作平面上の座標を被検出体のx座標およびy座標として検出すると共に、入力操作面から被検出体までの距離を被検出体のz座標として検出する座標検出手段とを備えた静電入力装置がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
この装置は、座標検出手段において、変化量検出手段によって検出された静電容量の変化量を予め定められた閾値と比較し、閾値よりも大きい静電容量の変化量が検出された変化量検出手段に相当する入力操作平面上の座標を被検出体のx座標およびy座標として検出する。また、閾値よりも大きい静電容量の変化量が検出された変化量検出手段における静電容量の変化量が大きいほど、入力操作面から被検出体までの距離が小さいと判定し、被検出体のz座標として検出する。このような構成によれば、被検出体の位置を3次元座標として検出することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−65730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記示したような従来の静電入力装置は、被検出体が操作者の指である場合には、人によって静電容量値が異なるため、入力操作面から同じ近接位置であってもz座標は異なる。このため、静電容量値が極端に異なる場合か、近接操作による距離(z座標)が遠いのかの判定ができず、感度を上げることでz座標の絶対位置が変化してしまうという問題があった。また、全てのユーザに対し、正確なz座標を検出できるようにする必要がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、被検出体が異なっても正確なz座標を検出できる静電入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、上記目的を達成するために、被検出体が接触又は近接する入力操作面との間で静電容量を形成する検出電極を備えた入力部と、前記入力操作面と前記検出電極の距離を前記検出電極の法線方向であるz方向に変化させる駆動部と、前記駆動部により所定のタイミングで前記入力操作面と前記検出電極の距離を変化させ、前記変化の時のそれぞれの静電容量を検出し、前記検出された静電容量に基づいて、前記被検出体の前記z方向の座標を算出する制御部と、を有することを特徴とする静電入力装置を提供する。
【0008】
[2]前記制御部は、前記入力操作面と前記検出電極の距離を所定量だけ前記駆動部により変化させ、その変化の前後におけるそれぞれの静電容量を検出し、前記所定量及び前記変化の前後におけるそれぞれの静電容量に基づいて、前記被検出体の前記z方向の座標を算出することを特徴とする上記[1]に記載の静電入力装置であってもよい。
【0009】
[3]また、前記入力部は、x、y位置の検出が可能な2次元入力機能を付加したことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の静電入力装置であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被検出体が異なっても正確なz座標を検出できる静電入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る静電入力装置の入力部の構成、及び、全体ブロック構成図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る静電入力装置の入力部における被検出体である指と検出電極の距離rと静電容量Cとの関係を示す関係図である。
【図3】図3(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る静電入力装置において、検出電極が初期状態の位置で被検出体(指)がタッチされた状態を説明する断面図、図3(b)は、被検出体(指)がタッチされたままの状態で、入力操作面と検出電極の距離が変化した状態を説明する断面図、図3(c)は、検出電極が初期状態の位置に戻り、被検出体(指)が入力操作面に近接した状態でz座標の検出を行なう場合を説明する断面図である。
【図4】図4(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る静電入力装置において、検出電極が初期状態の位置で被検出体(指)が近接した状態を説明する断面図、図4(b)は、被検出体(指)が近接した状態を維持した状態において入力操作面と検出電極の距離が変化した状態を説明する断面図、図4(c)は、検出電極が初期状態の位置に戻り、被検出体(指)が入力操作面に近接した状態でz座標の検出を行なう場合を説明する断面図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施の形態に係る静電入力装置であって、x、y、の座標と、z方向の距離(座標)も検出できる静電入力装置の全体概略構成図である。
【図6】図6(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る静電入力装置であって、複数の可動部を有する触覚ディスプレイ装置への適用例を示す断面図、図6(b)は、可動部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
(静電入力装置10の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る静電入力装置の入力部の構成、及び、全体ブロック構成図である。本発明の第1の実施の形態に係る静電入力装置10は、被検出体が接触又は近接する入力操作面105aとの間で静電容量を形成する検出電極110を備えた入力部100と、入力操作面105aと検出電極110の距離を検出電極110の法線方向であるz方向に変化させる駆動部であるアクチュエータ120と、このアクチュエータ120により所定のタイミングで入力操作面105aと検出電極110の距離を変化させ、変化の時のそれぞれの静電容量を検出し、検出された静電容量に基づいて、被検出体のz方向の座標を算出する制御部300と、を有して構成されている。
【0013】
静電入力装置10は、入力操作面105aと検出電極110の距離を所定量だけ駆動部であるアクチュエータ120により変化させ、その変化の前後におけるそれぞれの静電容量を検出し、所定量及びこの変化の前後におけるそれぞれの静電容量に基づいて、被検出体のz方向の座標を算出するものである。このz方向の座標検出機能により、入力操作面105aからの被検出体の距離(高さ)を種々の機器に入力できる入力機能を有する。
【0014】
実施の形態において、入力操作面105aへの操作としては、被検出体の入力操作面105aへのタッチ(接触)操作又は入力操作面105aの法線方向であるz方向の所定の距離(z座標)に位置する近接操作が挙げられる。また、入力操作面105aの面内方向への移動操作、すなわち、2次元(x、y方向)方向への移動操作も含まれる。
【0015】
入力部100は、図1に示すように、例えばパネル50に装着される。この入力部100は、タッチ操作等を行なうタッチ面である入力操作面105aを表面に有するタッチパネル105と、入力操作面105aと略平行に配置される検出電極110を有している。入力操作面105aと検出電極110の間の距離dを変化させるため、タッチパネル105の裏面にはアクチュエータ120が固定され、接続アダプタ125を介して電極ベース115が初期位置として所定の距離rとなる位置に配置されている。
【0016】
タッチパネル105は、被検出体である例えば操作者の指70が入力操作面105aに押圧されるパネル状のものであって、樹脂またはガラス等で形成されている。このタッチパネル105は、図1に示すように、スナップフィット等の固定手段によりパネル50に装着されるが、他の固定手段、例えば、ネジ固定、接着による固定等であってもよい。なお、被検出体としては、上記示した指のほか、導電性を有するペン等種々のものが適用可能である。
【0017】
アクチュエータ120は、上記したように、入力操作面105aと検出電極110の間の距離rを変化させるため、積層型のピエゾ素子(電歪素子)が使用できる。印加する電圧を変化させることによって、入力操作面105aと検出電極110の間の距離rを変化させて所定の距離に設定することができる。なお、積層型のピエゾ素子は、ある程度の変化量を得るのに積層数を要するので、図1に示すように、長尺状とし、所定の距離の付近に検出電極110を配置するための接続アダプタ125を使用している。なお、アクチュエータ120に電圧を印加しない初期状態では、入力操作面105aと検出電極110の間の距離は、初期位置であるr=rとなるように設定されている。
【0018】
上記のアクチュエータ120は、ピエゾ素子には限られず、例えば、モータ、ソレノイド等の駆動素子でも使用可能である。また、アクチュエータ120は、入力操作面105aと検出電極110の距離を検出電極110の法線方向であるz方向に変化させる駆動部として機能すればよく、少なくともz方向に変化させる成分を発生させるよう機能すればよい。
【0019】
検出電極110は、樹脂またはガラス等の電極ベース115の上に銅等により、所定の面積でパターンが形成された電極である。この検出電極110の表面と入力操作面105aにタッチされた指70との間で、所定の静電容量を持つコンデンサが形成される。アクチュエータ120により、距離rが変化することで、指70との間で形成される静電容量を変化させることができる。
【0020】
図1に示すように、上記説明した検出電極110は、検出部200と接続されている。検出部200は、検出電極110の距離が変化した時のそれぞれの静電容量を検出する。この静電容量の検出は、後述する制御部300により、所定のタイミングで行なわれる。
【0021】
制御部300は、内部にCPU、メモリ等を有し、所定のプログラムにより種々の制御を行なう。制御部300は、検出部200に接続されて検出された静電容量が入力されると共に、ドライバ回路220を介してアクチュエータ120を駆動制御する。これにより、所定のタイミングで入力操作面105aと検出電極110の距離を変化させ、変化の時のそれぞれの静電容量を検出し、検出された静電容量に基づいて、被検出体のz方向の座標を算出する。
【0022】
検出部200は、検出電極110に形成される静電容量を検出するものである。例えば、LC共振の原理を利用して測定する方法がある。その際のLの値は既知のCと共振させ測定しておく。また、特定の周波数の信号源を使用して既知の容量と既知の抵抗を使用しブリッジ回路を構成しディップ周波数を測定し、算術計算で求める方法もある。その他、種々の方法が使用でき、また、市販の静電容量計、LCRメータ等を使用することもできる。
【0023】
ドライバ回路220は、制御部300からの制御信号に従ってアクチュエータ120に電圧を印加して駆動制御するものである。アクチュエータ120がピエゾ素子の場合は、高電圧の印加により駆動制御するので、昇圧回路等を含むことが好ましい。
【0024】
(検出された静電容量によるz座標の算出)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る静電入力装置の入力部における被検出体である指と検出電極の距離rと静電容量Cとの関係を示す関係図である。高さ方向(z軸)の距離rに対する静電容量の変化の関数をC(r)とする。静電容量は、センサの電界を指で遮ることで変化し、その大きさはセンサから指70までの距離rの2乗に反比例する。従って、C(r)は、図2に示す様なグラフとなり、下記の式でモデル化して算出できる。
C(r)=a/r・・・・・(A)
ここで、aは、被検出体(指)の容量の係数であり、人により変化する値である。
rは、検出電極110から指までの距離、とする。
検出電極が初期状態の位置において、被検出体と検出電極110の間の距離をr=rとすると、
C(r)=a/r・・・・・(B)
また、初期状態から検出電極をΔrだけ変化させてrとすると、
C(r)=a/r=a/(r+Δr)・・・・・(C)
この2式(B)と(C)を連立させてrを消去すると、指の容量の係数aは、検出電極の初期位置において測定された静電容量C(r)、初期状態から検出電極をΔrだけ変化させて測定された静電容量C(r)による関数Fa{C(r)、C(r)、Δr}として算出される。
モデル決定後は、入力操作面105aから指までの距離(高さ)rは、関数Fa{C(r)、C(r)、Δr}を用いて、

が求まる。
【0025】
上記説明したモデル決定においては、指の容量の係数aが、関数Fa{C(r)、C(r)、Δr}として算出される。すなわち、検出電極の変化量Δrと測定された静電容量C(r)、C(r)により指の容量の係数aが算出され、この算出された指の容量の係数aを用いて入力操作面105aから指までの高さが求まることとなる。従って、被検出体(指)が異なっても正確なz座標を検出できる。また、算出の途中で検出電極110の初期状態におけるrが消去されるので、製造誤差あるいは組立て誤差を含むrを算出式に含める必要がなく、被検出体(指)の正確なz座標を検出できる。
【0026】
(被検出体のz座標検出)
図3(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る静電入力装置において、検出電極が初期状態の位置で被検出体(指)がタッチされた状態を説明する断面図、図3(b)は、被検出体(指)がタッチされたままの状態で、入力操作面と検出電極の距離が変化した状態を説明する断面図、図3(c)は、検出電極が初期状態の位置に戻り、被検出体(指)が入力操作面に近接した状態でz座標の検出を行なう場合を説明する断面図である。
【0027】
図3(a)〜(c)に示すように、検出電極が初期状態の位置で指70を入力操作面105aにタッチし、そのタッチした状態で制御部300は、ドライバ回路220を介してアクチュエータ120を駆動制御して、入力操作面105aと検出電極110の間の距離を変化させる。すなわち、検出電極110の位置を初期状態の位置rから位置rまでΔrだけ変化させる。この変化の前後の状態から、「検出された静電容量によるz座標の算出」の項で説明した関数Fa{C(r)、C(r)、Δr}を用いて、図3(c)に示す指70と検出電極110の間の距離rを求める。
【0028】
図4(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る静電入力装置において、検出電極が初期状態の位置で被検出体(指)が近接した状態を説明する断面図、図4(b)は、被検出体(指)が近接した状態を維持した状態において入力操作面と検出電極の距離が変化した状態を説明する断面図、図4(c)は、検出電極が初期状態の位置に戻り、被検出体(指)が入力操作面に近接した状態でz座標の検出を行なう場合を説明する断面図である。
【0029】
図3(a)〜(c)では関数Faの算出では指70が入力操作面105aにタッチされた状態としたが、この測定例では、指70が入力操作面105aにタッチせずに近接した状態である。図4(a)〜(c)に示すように、検出電極が初期状態の位置で指70を入力操作面105aに検出電極110から位置rまで近接させ、その近接した状態で制御部300は、ドライバ回路220を介してアクチュエータ120を駆動制御して、入力操作面105aと検出電極110の間の距離を変化させる。すなわち、検出電極110の位置rを位置rまでΔrだけ変化させる。この変化の前後の状態から、「検出された静電容量によるz座標の算出」の項で説明した関数Fa{C(r)、C(r)、Δr}を用いて、図4(c)に示す指70と検出電極110の間の距離rを求める。
【0030】
(第2の実施の形態)
(静電入力装置11の構成)
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る静電入力装置であって、x、y座標と、z方向の距離(座標)も検出できる静電入力装置の全体概略構成図である。第2の実施の形態は、入力操作面105aの面内方向への移動操作、すなわち、2次元(x、y方向)方向への移動操作によるx、y位置の検出も可能な静電入力装置11である。
【0031】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態で示したz方向の位置検出を行なう入力部100に、x、y位置の検出が可能な2次元入力機能を付加した静電入力装置である。図示は省略するが、後述するx、yのそれぞれの位置に対応して、第1の実施の形態で示した検出電極110、アクチュエータ120、ドライバ回路220がそれぞれ設けられている。また、検出部200、制御部300は、後述するx、yの位置において順次静電容量を読み出す方式としているので、共通化して使用する構成とすることができる。
【0032】
静電入力装置11は、例えば、図5に示すように、タッチパネル105と、複数のセンサワイヤ111と、検出部210等を備えて概略構成されている。
【0033】
タッチパネル105は、例えば、上部にガラス平板を備え、そのガラス平板の下に複数のセンサワイヤ111が設けられている。
【0034】
センサワイヤ111は、例えば、図5の紙面の縦方向および横方向に沿って並んでいる。本実施の形態では、図5の紙面の横方向をx軸、縦方向をy軸とし、タッチパネル105の左上を原点としている。x軸方向には、図5に示すように、m個のセンサワイヤ111が等間隔で並んでいる。このmは、例えば、正の整数である。m個のセンサワイヤ111は、例えば、検出部210に電気的に接続されている。また、y軸方向には、図5に示すように、n個のセンサワイヤ111が等間隔で並んでいる。このnは、例えば、正の整数である。n個のセンサワイヤ111は、例えば、検出部210に電気的に接続されている。なお、x軸およびy軸に沿って並ぶセンサワイヤ111の間隔は、一例として、3mmである。
【0035】
以下において、x軸の座標は、xに下付きの数字(1〜m)を付して、左から右に向かってx〜xと示すものとする。また、y軸の座標は、yに下付きの数字(1〜n)を付して、上から下に向かってy〜yと示すものとする。
【0036】
x軸に沿って並べられたセンサワイヤ111は、例えば、図5に示すように、y軸に沿って並べられたセンサワイヤ111よりも入力操作面105aに近い層に形成されている。また、x軸に沿って並べられたセンサワイヤ111は、例えば、y軸に沿って並べられたセンサワイヤ111と電気的に絶縁されている。
【0037】
検出部210は、例えば、各センサワイヤ111に電流を供給する。この電流の供給は、例えば、検出部210が備えるクロック生成部210aが生成するクロック信号に合わせて、順番に行われる。検出部210は、例えば、供給した電流に基づいて静電容量を順次検出するように構成されている。
【0038】
具体的には、検出部210は、xのセンサワイヤ111〜xのセンサワイヤ111、yのセンサワイヤ111〜yのセンサワイヤ111の順番に順次静電容量を読み出すように構成されている。検出部210は、例えば、読み出した各センサワイヤ111の静電容量の値(静電容量値)に基づいて、座標値(xの静電容量値、xの静電容量値、・・・、xの静電容量値、yの静電容量値、yの静電容量値、・・・、yの静電容量値、t)を生成し、検出信号として出力するように構成されている。
【0039】
上記説明したx、yの位置検出と独立に、第1の実施の形態で示したz方向の位置検出を行なうことにより、3次元の位置検出が可能となる。これにより、被検出体の3次元の位置検出値を3次元の入力値として入力可能な静電入力装置11が提供できる。
【0040】
(第3の実施の形態、触覚ディスプレイ装置への適用例)
図6(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る静電入力装置であって、複数の可動部を有する触覚ディスプレイ装置への適用例を示す断面図、図6(b)は、可動部の拡大断面図である。
【0041】
図6(a)に示すように、各可動部150にそれぞれ第1の実施の形態で示した静電入力装置10を配置し、各可動部150により上下に移動させることで操作面に凹凸を形成する。この凹凸を形成する可動部150を共通化することで、凹凸面上であっても被検出体である指のz座標を正確に検出できる触覚ディスプレイ装置が可能となる。なお、可動部150は、従来から使用される公知の駆動手段、例えば、ソレノイド、モータ、圧電素子等が使用可能である。また、可動部150の上に配置される静電入力装置10は第1の実施の形態で示したので説明を省略する。
【0042】
この構成によれば、例えば、図形や操作メニューが凹凸面により表示される触覚ディスプレイとして機能する。また、被検出体のz座標あるいは3次元の位置座標を検出できるので、これらの座標値を入力可能な静電入力装置としても機能する。従って、操作者は、表示手段によって視覚的、触覚的に図形や操作メニュー等を把握することができると共に、z座標あるいは3次元の位置座標の入力が可能な触覚ディスプレイ装置が可能となる。
【0043】
(本発明の実施の形態の効果)
本発明の実施の形態によれば、次のような効果を有する。
(1)第1の実施の形態では、入力操作面105aと検出電極110の距離を可変として構成し、入力操作面105aと検出電極110の異なる距離に対応してそれぞれ静電容量を検出する。検出電極110の変化量Δr、検出電極110の移動前の静電容量、および、検出電極110の移動後の静電容量に基づいて被検出体(指)の容量の係数aが算出できる。これにより、被検出体(指)により異なる容量の係数aの影響を受けることなく、正確なz座標を検出できる。
(2)また、上記説明した算出の途中で、検出電極110の初期状態におけるrが消去されるので、製造誤差あるいは組立て誤差を含むrを算出式に含める必要がなく、被検出体(指)のより正確なz座標を検出できる。
(3)被検出体(指)が入力操作面105aにタッチしている状態でも、タッチせずに入力操作面105aから離間した近接状態であっても、被検出体のz座標が検出可能である。
(4)第2の実施の形態では、第1の実施の形態による効果に加え、x、yの位置検出と独立に、第1の実施の形態で示したz方向の位置検出を行なうことにより、3次元の位置検出が可能となる。これにより、被検出体の3次元の位置検出値を3次元の入力値として入力可能な静電入力装置11が提供できる。
(5)第3の実施の形態では、第1の実施の形態による効果に加え、表示手段によって視覚的、触覚的に図形や操作メニュー等を把握することができると共に、z座標あるいは3次元の位置座標の入力が可能な触覚ディスプレイ装置が可能となる。
【0044】
以上、本発明に好適な実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で種々の変形、応用が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10…静電入力装置
50…パネル
70…指
100…入力部
105…タッチパネル
105a…入力操作面
110…検出電極
111…センサワイヤ
115…電極ベース
116…電極ベース
120…アクチュエータ
125…接続アダプタ
150…可動部
200…検出部
210…検出部
220…ドライバ回路
300…制御部
500…触覚ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出体が接触又は近接する入力操作面との間で静電容量を形成する検出電極を備えた入力部と、
前記入力操作面と前記検出電極の距離を前記検出電極の法線方向であるz方向に変化させる駆動部と、
前記駆動部により所定のタイミングで前記入力操作面と前記検出電極の距離を変化させ、前記変化の時のそれぞれの静電容量を検出し、前記検出された静電容量に基づいて、前記被検出体の前記z方向の座標を算出する制御部と、
を有することを特徴とする静電入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記入力操作面と前記検出電極の距離を所定量だけ前記駆動部により変化させ、その変化の前後におけるそれぞれの静電容量を検出し、前記所定量及び前記変化の前後におけるそれぞれの静電容量に基づいて、前記被検出体の前記z方向の座標を算出することを特徴とする請求項1に記載の静電入力装置。
【請求項3】
前記入力部は、x、y位置の検出が可能な2次元入力機能を付加したことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−3639(P2013−3639A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131045(P2011−131045)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】