説明

静電容量型タッチセンサ

【課題】2箇所で触れた場合に各々の接触点の絶対位置座標を容易に検出可能で、且つ低コストで実現可能な静電容量型タッチセンサを提供する。
【解決手段】静電容量型タッチセンサ100は、検出領域90に行毎に配設された第1パッドを接続してなる複数の第1電極10と、複数の第1電極10に個別に通電可能に形成された第1引出線20と、複数の第1電極10に対して絶縁層を介し、検出領域90に列毎に配設された第2パッドを接続してなる複数の第2電極30と、複数の第2電極30に個別に通電可能に形成された第2引出線40と、複数の第1電極10と複数の第2電極30とに対して絶縁層を介し、検出領域90に配設された第3パッドを複数の第1電極10及び複数の第2電極30と交差するように接続してなる複数の第3電極50と、複数の第3電極50に個別に通電可能に形成された第3引出線60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電部材で形成され、行毎及び列毎に電気的に接続された所定の形状からなる複数のパッドを備えた静電容量の変化に応じて入力を検出する静電容量型タッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルは、需要が飛躍的に伸び、例えば、携帯電話や携帯用音楽端末やカーナビゲーション装置等に広く利用されている。また、現金自動預け払い機(ATM:Automated Teller Machine)や券売機等にも広く利用されている。従来、この種のタッチパネルに利用可能な技術として下記に出典を示す特許文献1−4に記載の技術がある。
【0003】
特許文献1には、電子デバイスに対する入力の検出に利用される容量検出システムに関して記載されている。当該容量検出システムは、X軸及びY軸に沿って形成された検出電極を備えて構成される。
【0004】
特許文献2には、マルチタッチ入力装置に関して記載されている。当該マルチタッチ入力装置にあっても、特許文献1と同様にX軸及びY軸に沿って形成された検出電極を備えて構成される。
【0005】
特許文献3には、複数の接触ポイントを同時に探知可能なマルチポイント・タッチスクリーンに関して記載されている。当該マルチポイント・タッチスクリーンは、静電容量の変化を検出する検出ポイントを行及び列毎に形成し、当該検出ポイント毎に検出電極が配線される。
【0006】
特許文献4には、複数の座標を検出可能なタッチパネル構造に関して記載されている。当該タッチパネル構造においては、タッチ座標検出部において3本以上のタッチ検出線が重なるようにタッチ検出線が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7030860号明細書
【特許文献2】特表2000−501526号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0097991号明細書
【特許文献4】特開平3−180922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1や特許文献2に記載の技術においては、X方向及びY方向に検出線が形成されているので、検出領域において同時に2箇所に触れた場合、これら2箇所の絶対位置を検出することは容易ではない。すなわち、同時に触れた2箇所の位置の座標を夫々(X1、Y1)及び(X2、Y2)とすると、2方向の検出線で検出しているので、同時に触れた2箇所の位置の座標が(X1、Y1)及び(X2、Y2)であるのか、或いは(X1、Y2)及び(X2、Y1)であるのかを特定することが容易でない。また、特許文献3に記載の技術においては、検出ポイントの数だけ検出電極を配線する必要があるため配線が複雑になると共に、製造コスト(材料費)が高くなってしまう。また、特許文献4に記載の技術においては、タッチ検出線が全て線状で構成されており、検出する方式の種別が不明である。
【0009】
本発明の目的は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、同時に2箇所に触れた場合であっても夫々の接触点の絶対位置を容易に検出可能で、且つ低コストで実現可能な静電容量型タッチセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る静電容量型タッチセンサ特徴構成は、透明導電部材で形成され、行毎及び列毎に電気的に接続された所定の形状からなる複数のパッドを備えた静電容量の変化に応じて入力を検出するために、前記静電容量の変化を検出する検出領域の第1パッドを前記行毎に線状の透明導電部材で接続して形成された複数の第1電極と、線状の透明導電部材を用いて前記複数の第1電極に個別に通電可能に形成された第1引出線と、前記複数の第1電極に対して絶縁層を介し、前記検出領域の第2パッドを前記列毎に線状の透明導電部材で接続して形成された複数の第2電極と、線状の透明導電部材を用いて前記複数の第2電極に個別に通電可能に形成された第2引出線と、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との夫々に対して絶縁層を介し、前記検出領域の第3パッドを前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極と交差するように線状の透明導電部材で接続して形成された複数の第3電極と、線状の透明導電部材を用いて前記複数の第3電極に個別に通電可能に形成された第3引出線と、を備える点にある。
【0011】
ここで、アスペクト比が2:3の画面に対応する、24箇所(4×6配列)の検出位置を有する静電容量型タッチセンサにおいて利用者(の指)が2箇所同時に触れた場合を考える。このような静電容量型センサが、横方向の電極6本と縦方向の電極4本とからなる場合、電極の本数は合計10本で構成することができるが、2箇所同時に触れた部位の絶対位置を特定することは容易ではない。すなわち、同時に触れた2箇所の位置の座標を夫々(X1、Y1)及び(X2、Y2)とすると、2方向の検出線で検出しているので、同時に触れた2箇所の位置の座標が(X1、Y1)及び(X2、Y2)であるのか、或いは(X1、Y2)及び(X2、Y1)であるのかを特定することが容易でない。また、上述の静電容量型センサが、夫々の検出位置(24箇所)に電極を設けた場合、2箇所同時に触れた部位の絶対位置の特定は容易であるが、電極は24本必要となる。
【0012】
本願特徴構成であれば、第3電極が第1電極及び第2電極に対して交差するように第1電極及び第2電極に対して斜めに備えられてあるので、2箇所同時に触れた部位の絶対位置を容易に特定することが可能となる。また、係る場合の電極は、横方向の第1電極6本と縦方向の第2電極4本と斜め方向の第3電極9本との合計19本で良い。したがって、上述の電極を24本用いる場合に比べて材料が少なくて良いため、低コストで実現することが可能となる。
【0013】
また、前記複数の第3電極は、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極とにより形成されたマトリクスの対角線上に配設されてあると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、第1電極、第2電極、及び第3電極を検出領域内に均一に形成することができるので、検出感度を高めることができる。
【0015】
また、前記第1パッド、前記第2パッド、及び前記第3パッドのうち少なくとも一つが、夫々のパッド間を接続する透明導電部材の線幅で形成されてあると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、第1パッド、第2パッド、及び第3パッドを夫々近づけることができる。したがって、第1パッド、第2パッド、及び第3パッドを緻密に構成することができるので、検出感度を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】静電容量型タッチセンサの平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】静電容量型タッチセンサの一部を展開した斜視図である。
【図4】静電容量型タッチセンサの検出形態について示す図である。
【図5】静電容量型タッチセンサの検出形態について示す図である。
【図6】その他の実施形態に係る静電容量型タッチセンサの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る静電容量型タッチセンサ100について説明する。本静電容量型タッチセンサ100は、透明導電部材で形成され、行毎及び列毎に電気的に接続された所定の形状からなる複数のパッドを備えた静電容量の変化に応じて入力を検出する機能を備えている。このような静電容量型タッチセンサ100は、例えばタッチパネルに利用される。このようなタッチパネルにあっては、詳細は後述するが、入力の有無の検出対象となる検出領域90に複数の検出電極が配設される。当該検出電極は、検出領域90において夫々が静電容量を形成する端子電極として機能するように配設される。
【0019】
このような通電状態にあるタッチパネルにおいて、利用者200がタッチパネルの検出領域90内の所定の部位に触れた場合には、当該触れた部位の静電容量に利用者200対大地間容量が結合された状態となり静電容量が変化するので、静電容量型タッチセンサ100に付設される演算部が当該静電容量の変化に基づいて利用者200が触れた部位を特定することが可能となる。
【0020】
図1は本実施形態に係る静電容量型タッチセンサ100の平面図であり、図2は図1のII−II線における断面図である。また、図3は静電容量型タッチセンサ100の一部を展開した斜視図である。このような静電容量型タッチセンサ100は、第1電極10、第1引出線20、第2電極30、第2引出線40、第3電極50、第3引出線60を有して構成される。本実施形態では、第1電極10は検出領域90に対して横方向に沿って配設され、第2電極30は検出領域90に対して縦方向に沿って配設される。また、第3電極50は検出領域90に対して斜め方向に沿って配設される場合の例として説明する。
【0021】
第1電極10は、静電容量の変化を検出する検出領域90の第1パッドを行毎に線状の透明導電部材で接続して形成される。静電容量の変化を検出する検出領域90とは、例えば利用者200が触れて入力を行うことが可能な領域である。第1パッドとは後述する第2パッド及び第3パッドと共に、上述の複数のパッドに相当する。この第1パッドは静電容量を検出するための電極に用いられ、検出領域90内に配設される。第1パッドの形状は特に限定されるものではないが、本実施形態においては、図1に示されるような平行四辺形で形成される。また、第1パッドは透明導電部材により形成される。透明導電材料とは透明な導電性の材料である。このようなものとしては、例えば酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)等の金属材料を用いることが可能である。線状の透明導電部材は透明な導電性の材料で、且つ線状のものである。これにおいても、上述の酸化インジウムスズ等を用いることが可能である。このような線は例えば10〜25ミクロン程度の細線で形成すると好適である。
【0022】
第1電極10は、図2に示されるように、このような透明な導電性の材料からなる第1パッドと線状の透明導電部材とを用いて支持基板80上に形成される。本実施形態では、支持基板80とはガラス基板が相当する。したがって、以下の実施形態では支持基板80はガラス基板80であるとして説明する。図1において、第1パッドは検出領域90の横方向に電気的に接続され、第1電極10が形成される。図1に例示される1本の第1電極10は4つの第1パッドを備えて構成される。第1電極10は、図1−図3に示されるように、複数の第1電極10からなる。図1−図3には第1電極10が6本図示されている。
【0023】
第1引出線20は、線状の透明導電部材を用いて複数の第1電極10に個別に通電可能に形成される。第1引出線20を形成する線状の透明導電部材は、上述の第1電極10の第1パッドを接続する線状の透明導電部材と同じ材料である。ここで、上述のように第1電極10は複数からなる。このため、第1引出線20は夫々の第1電極10に対して個別に通電可能に形成される。即ち、1本の第1電極10に対して1本の第1引出線20が接続されて形成される。したがって、第1引出線20は図1−図3に示されるように複数の第1引出線20からなる。図1−図3には第1引出線20は6本図示されている。また、第1引出線20と第1電極10とは図1−図3に示されるように同層内(即ち、同一平面内)に形成される。したがって、第1引出線20と第1電極10とは同一の工程により形成することが可能である。
【0024】
本実施形態では、ガラス基板80上に形成された第1電極10及び第1引出線20との鉛直方向上部には、絶縁部材からなる絶縁層70a(70)が積層される。この絶縁部材としては、例えばシリコン酸化物(SiO2)や有機ポリマー樹脂等の透明材料を用いることが可能である。したがって、第1電極10及び第1引出線20と、他の部材(例えば、後述する第2電極30及び第2引出線40や、第3電極50及び第3引出線60)との短絡を防止することができる。
【0025】
第2電極30は、複数の第1電極10に対して絶縁層70aを介し、検出領域90の第2パッドを列毎に線状の透明導電部材で接続して形成される。第2パッドとは、上述の第1パッドと同様に静電容量を検出するための電極に用いられ、検出領域90内に配設される。本実施形態では、第2パッドは第1パッドと同様に平行四辺形で形成される。また、第2電極30は上述の第1電極10と同様に透明導電部材を用いて形成される。また、第2電極30は第1電極10が形成された検出領域90の鉛直方向上部、即ち、上述の絶縁層70a上に形成される。図1−図3に示されるように第2電極30と第1電極10とは(第2電極30の第2パッドと第1電極10の第1パッドとは)マトリクスを形成するように配設される。したがって、絶縁層70aを介して第1電極10と第2電極30とが、検出領域90において一様に静電容量を形成することが可能となる。このため、利用者200(例えば利用者200の指200a及び200b)が検出領域70に触れた場合には、好適に静電容量の変化を検出することが可能となる。
【0026】
また、図1において、第2電極30を構成する第2パッドは縦方向に電気的に接続される。図1に例示される1本の第2電極30は6つの第2パッドを備えて構成される。上述のように第2電極30は透明導電部材で形成されるので、利用者200には目視では目立たなくすることができる。また、第2電極30は第1電極10と同様に複数の第2電極30からなる。図1には第2電極30が4本図示されている。
【0027】
第2引出線40は、線状の透明導電部材を用いて複数の第2電極30に個別に通電可能に形成される。第2引出線40を形成する線状の透明導電部材は、上述の第2電極30を形成する透明導電部材と同じ材料である。ここで、上述のように第2電極30は複数からなる。このため、第2引出線40は夫々の第2電極30に対して個別に通電可能に形成される。即ち、1本の第2電極30に対して1本の第2引出線40が接続されて形成される。したがって、第2引出線40は図1−図3に示されるように複数の第2引出線40からなる。図1−図3には第2引出線40は4本図示されている。また、第2引出線40と第2電極30とは図1−図3に示されるように同層内(即ち、同一平面内)に形成される。したがって、第2引出線40と第2電極30とは同一の工程により形成することが可能である。また、検出領域90外の領域においては、各引出線40、50、60を低抵抗の透明ではない金属材料で形成しても良いことはもちろんである。透明ではない金属材料として、例えば、AlやCrやAg等を用いることが可能である。
【0028】
第3電極50は、複数の第1電極10と複数の第2電極30との夫々に対して絶縁層70(70a及び70b)を介し、検出領域90の第3パッドを複数の第1電極10及び複数の第2電極30と交差するように線状の透明導電部材で接続して形成される。第3パッドとは、上述の第1パッド及び第2パッドと同様に静電容量を検出するための電極に用いられ、検出領域90内に配設される。本実施形態では、第3パッドは第1パッド及び第2パッドと同様に平行四辺形で形成される。また、第3電極50は、上述の第1電極10及び第2電極30と同様に、透明導電部材を用いて形成される。また、第3電極50は、第2電極30が形成された検出領域90の鉛直方向上部、即ち、上述の絶縁層70b上に形成される。ここで、上述のように第1電極10はガラス基板80の横方向に沿って形成され、第2電極30はガラス基板80の縦方向に沿って形成される。第1電極10及び第2電極30と交差するようにとは、上述のようにガラス基板80の横方向及び縦方向に対して角度を有していることを意味する。即ち、第3電極50はガラス基板80に対して斜め方向に沿って形成される。
【0029】
このように複数の第3電極50は、ガラス基板80に対して斜め方向に形成されるが、図1に示されるように、複数の第1電極10と複数の第2電極30とにより形成されたマトリクスの対角線となるように配設されると好適である。複数の第1電極10と複数の第2電極30とにより形成されたマトリクスとは、複数の第1電極10と複数の第2電極30とにより形成された格子状の形態である。第3電極50は、このような格子状の形態の対角に沿って形成される。したがって、絶縁層70bを介して第3電極50は、第1電極10又は第2電極30と、検出領域90において一様に静電容量を形成することが可能となる。このため、利用者200(例えば利用者200の指200a及び200b)が検出領域70に触れた場合には、好適に静電容量の変化を検出することが可能となる。
【0030】
上述のように、第3電極30を構成する第3パッドは複数の第1電極10と複数の第2電極30とにより形成されたマトリクスの対角線となるように電気的に接続される。図1に例示されるように、1本の第3電極50が有する第3パッドは、1つから4つまで夫々異なる。また、上述のように第3電極50は透明導電部材で形成されるので、利用者200には目視では目立たなくすることができる。また、第3電極50は、第1電極10及び第2電極30と同様に、複数の第3電極50からなる。図1には第3電極50が9本図示されている。
【0031】
第3引出線60は、線状の透明導電部材を用いて複数の第3電極50に個別に通電可能に形成される。第3引出線60を形成する線状の透明導電部材は、上述の第3電極50を形成する透明導電部材と同じ材料である。ここで、上述のように第3電極50は複数からなる。このため、第3引出線60は夫々の第3電極50に対して個別に通電可能に形成される。即ち、1本の第3電極50に対して1本の第3引出線60が接続されて形成される。したがって、第3引出線60は図1−図3に示されるように複数の第3引出線60からなる。図1−図3には第3引出線60は9本図示されている。また、第3引出線60と第3電極50とは図1−図3に示されるように同層内(即ち、同一平面内)に形成される。したがって、第3引出線60と第3電極50とは同一の工程により形成することが可能である。
【0032】
このように、静電容量型タッチセンサ100は、第3電極50及び第3引出線60/絶縁層70b/第2電極30及び第2引出線40/絶縁層70a/第1電極10及び第1引出線20/ガラス基板80の6層構造で形成される。また、ガラス基板80の下層には、利用者200が視認可能なボタン等の名称を明示するプレート(図示せず)が配設される。したがって、利用者200は所望するプレートの鉛直方向上部の検出領域90に触れることにより、入力を行うことが可能となる。なお、静電容量型タッチセンサ100は上述のように6層構造で形成されるが、最表面を絶縁層70cで覆うことも可能である。このように最表面を絶縁層70cで覆うことにより第3電極50及び第3引出線60の短絡を防止することが可能となる。
【0033】
本実施形態に係る一対の第1パッド、第2パッド、及び第3パッドは、図1に示されるように静電容量型タッチセンサ100を鉛直方向から見た場合、六角形となるように構成される。このように構成することにより、高密度で各パッドを配設することができるので、検出感度を高めることができる。
【0034】
次に、本静電容量型タッチセンサ100の検出形態について図を用いて説明する。図4は、利用者の指200a及び200bが、夫々同時に位置Aと位置Bとに触れた場合の例を示している。図4の上部には、利用者200の指200a及び200bが検出領域90に触れた場合の図が示され、下部には、利用者200の指200a及び200bが触れた位置に対応する各電極10、30、50、および各引出線20、40、60等が抽出された図が示されている。利用者200が検出領域90に触れた場合には、利用者200対大地間容量により第1電極10、第2電極30、及び第3電極50で検出される静電容量が変化する。本静電容量型タッチセンサ100は、まず、複数の第1引出線20を介して静電容量が変化した第1電極10を特定する。図4においては、利用者の指200aが第1電極10aの鉛直上方の検出領域90に触れ、利用者の指200bが第1電極10bの鉛直上方の検出領域90に触れている。このため、第1引出線20a及び20bの静電容量が変化する。したがって、静電容量型タッチセンサ100は第1引出線20a及び20bの静電容量の変化を検出する。
【0035】
次に、本静電容量型タッチセンサ100は、複数の第2引出線40を介して静電容量が変化した第2電極30を特定する。図4においては、利用者の指200aが第2電極30aの鉛直上方の検出領域90に触れ、利用者の指200bが第2電極30bの鉛直上方の検出領域90に触れている。このため、第2引出線40a及び40bの静電容量が変化する。したがって、静電容量型タッチセンサ100は、第2引出線40a及び40bの静電容量の変化を検出する。
【0036】
更に、本静電容量型タッチセンサ100は、複数の第3引出線60を介して静電容量が変化した第3電極50を特定する。図4においては、利用者の指200aが第3電極50aの鉛直上方の検出領域90に触れ、利用者の指200bが第3電極50bの鉛直上方の検出領域90に触れている。このため、第3引出線60a及び60bの静電容量が変化する。したがって、静電容量型タッチセンサ100は、第3引出線60a及び60bの静電容量の変化を検出する。
【0037】
静電容量型タッチセンサ100は、上述のように検出された静電容量の変化に基づいて、利用者200が触れた箇所を特定する。即ち、第1引出線20aと第2引出線40aと第3引出線60aとの交点に利用者200の指200aが触れたと特定し、第1引出線20bと第2引出線40bと第3引出線60bとの交点に利用者200の指200bが触れたと特定する。このようにして、本静電容量型タッチセンサ200は、検出領域90の同時に触れた複数の部位を特定することが可能となる。
【0038】
図5は、利用者の指200a及び200bが、図5に示される位置と異なる位置(位置C及び位置D)に同時に検出領域90に触れた場合の例を示している。図5の上部には、利用者200の指200a及び200bが検出領域90に触れた場合の図が示され、下部には、利用者200の指200a及び200bが触れた位置に対応する各電極10、30、50、および各引出線20、40、60等が抽出された図が示されている。係る場合であっても、静電容量型タッチセンサ100は、まず、複数の第1引出線20を介して静電容量が変化した第1電極10を特定する。図5においては、利用者の指200aが第1電極10bの鉛直上方の検出領域90に触れ、利用者の指200bが第1電極10aの鉛直上方の検出領域90に触れている。このため、第1引出線20a及び20bの静電容量が変化する。したがって、静電容量型タッチセンサ100は、第1引出線20a及び20bの静電容量の変化を検出する。
【0039】
次に、本静電容量型タッチセンサ100は、複数の第2引出線40を介して静電容量が変化した第2電極30を特定する。図5においては、利用者の指200aが第2電極30aの鉛直上方の検出領域90に触れ、利用者の指200bが第2電極30bの鉛直上方の検出領域90に触れている。このため、第2引出線40a及び40bの静電容量が変化する。したがって、静電容量型タッチセンサ100は、第2引出線40a及び40bの静電容量の変化を検出する。
【0040】
更に、本静電容量型タッチセンサ100は、複数の第3引出線60を介して静電容量が変化した第3電極50を特定する。図5においては、利用者の指200aが第3電極50bの鉛直上方の検出領域90に触れ、利用者の指200bが第3電極50aの鉛直上方の検出領域90に触れている。このため、第3引出線60a及び60bの静電容量が変化する。したがって、静電容量型タッチセンサ100は、第3引出線60a及び60bの静電容量の変化を検出する。
【0041】
静電容量型タッチセンサ100は、上述のように検出された静電容量の変化に基づいて、利用者200が触れた部位を特定する。即ち、第1引出線20bと第2引出線40aと第3引出線60bとの交点に利用者200の指200aが触れたと特定し、第1引出線20aと第2引出線40bと第3引出線60aとの交点に利用者200の指200bが触れたと特定する。このようにして、本静電容量型タッチセンサ200は、検出領域90の同時に触れた複数の部位を容易に特定することが可能となる。
【0042】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、静電容量型タッチセンサ100は、第3電極50及び第3引出線60/絶縁層70b/第2電極30及び第2引出線40/絶縁層70a/第1電極10及び第1引出線20/ガラス基板80の6層構造からなるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。即ち、第3電極50及び第3引出線60、第2電極30及び第2引出線40、第1電極10及び第1引出線20の夫々の層構成を適宜変更して構成することも当然に可能である。第3電極50及び第3引出線60、第2電極30及び第2引出線40、第1電極10及び第1引出線20の層構成を変更した場合であっても、静電容量型タッチセンサ100は好適に利用者200が検出領域90に同時に触れた部位を特定(検出)することは当然に可能である。
【0043】
上記実施形態では、一対の第1パッド、第2パッド、及び第3パッドは、静電容量型タッチセンサ100を鉛直方向から見た場合、六角形となるように構成されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。第1パッド、第2パッド、第3パッドのうち少なくとも一つが、夫々のパッド間を接続する透明導電部材の線幅で形成することも可能である。図6には、第3パッド間を接続する透明導電部材の線幅で形成された第3パッドを有する静電容量型タッチセンサ100の平面図が示される。即ち、第3電極50が第3パッド間を接続する透明導電部材の線幅で形成されている。このような第3パッドを用いて第3電極50を構成した場合であっても、利用者200が検出領域90の同時に触れた部位を特定することは当然に可能である。
【0044】
また、第1パッド、第2パッド、第3パッドのうち二つを、夫々のパッド間を接続する透明導電部材の線幅で形成することも可能であるし、第1パッド、第2パッド、第3パッドの全てを夫々のパッド間を接続する透明導電部材の線幅で形成することも可能である。
【0045】
上記実施形態では、第1電極10、第2電極30、及び第3電極50の本数を図示すると共に、夫々の電極が有するパッドの数も示した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。上記実施形態で示した数は例示であり、多くすることも可能であるし、少なくすることも可能である。
【0046】
上記実施形態では、各パッドの形状は平行四辺形であるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、図6に示されるように正方形で形成することも当然に可能であるし、菱形、長方形、台形、円形等の各種形状を用いて形成することも当然に可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、2箇所で触れた場合に各々の接触点の絶対位置座標を検出可能で、且つ低コストで実現可能な静電容量型タッチセンサに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
10:第1電極
20:第1引出線
30:第2電極
40:第2引出線
50:第3電極
60:第3引出線
90:検出領域
100:静電容量型タッチセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明導電部材で形成され、行毎及び列毎に電気的に接続された所定の形状からなる複数のパッドを備えた静電容量の変化に応じて入力を検出する静電容量型タッチセンサであって、
前記静電容量の変化を検出する検出領域の第1パッドを前記行毎に線状の透明導電部材で接続して形成された複数の第1電極と、
線状の透明導電部材を用いて前記複数の第1電極に個別に通電可能に形成された第1引出線と、
前記複数の第1電極に対して絶縁層を介し、前記検出領域の第2パッドを前記列毎に線状の透明導電部材で接続して形成された複数の第2電極と、
線状の透明導電部材を用いて前記複数の第2電極に個別に通電可能に形成された第2引出線と、
前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との夫々に対して絶縁層を介し、前記検出領域の第3パッドを前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極と交差するように線状の透明導電部材で接続して形成された複数の第3電極と、
線状の透明導電部材を用いて前記複数の第3電極に個別に通電可能に形成された第3引出線と、
を備えた静電容量型タッチセンサ。
【請求項2】
前記複数の第3電極は、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極とにより形成されたマトリクスの対角線となるように配設されてある請求項1に記載の静電容量型タッチセンサ。
【請求項3】
前記第1パッド、前記第2パッド、及び前記第3パッドのうち少なくとも一つが、夫々のパッド間を接続する透明導電部材の線幅で形成されてある請求項1又は2に記載の静電容量型タッチセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−18177(P2011−18177A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161959(P2009−161959)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】