説明

静電荷像現像剤評価方法及び評価装置

【課題】現像剤の流動性を加味した現像剤帯電能を高精度に評価することができる静電荷像現像剤評価方法を提供すること。
【解決手段】内部にマグネットを有する現像ローラ上に担持された現像剤を、板状規制部材によって現像剤層厚を規制し、次いで、当該規制後の現像剤層中の現像剤を吸引して吸引電荷量より現像剤電荷量Qを測定すると共に、吸引された現像剤量より現像剤搬送量Wを測定し、前記現像剤電荷量Qと、前記現像剤搬送量Wと、を用いて現像剤の帯電特性及び搬送特性を評価することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤帯電能を高精度に評価することができる静電荷像現像剤評価方法及び静電荷像現像剤評価装置、並びに高画質が安定して得られるキャリア及び該キャリアの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンタなどの画質は、高画質化が進み、最近では細かいドットの再現性が非常に重要になって来ている。このドットの再現性は、トナーや現像剤(トナーとキャリアとからなる)の流動性および帯電量が非常に重要になり、しっかりした電荷量をもつトナー層または現像剤層を細かい静電潜像部に均一且つ安定して供給することが必要になる。
また、高画質化が進むにつれて、それに用いられるトナーにおいては、小粒径化、高機能化が進んでいる。そのため、トナーの構造が複雑になり、従来と比較して細かい作製時の制御が必要となってきている。
さらに、現像剤を構成するキャリアにおいても、高画質化を達成するために小粒径化が進み、キャリア付着などの問題が生じないように磁性材料やコート剤の検討が進んでいる。特に、現像剤の流動性はドット再現性をはじめ、全ての画像品質に影響を与えるため、評価の面では個人差のない、精度の高い評価法が必要とされ、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば特許文献1(特開2002−189348号公報)では、現像ローラにより金属等の導電性材料からなるドラムなどにトナーを現像し、その導電性材料からなるドラムに付着したトナーからトナーの帯電量や搬送量を測定する方法が開示されている。この特許文献1に開示された方法では、現像前の現像条件の影響を受けないトナー帯電量の測定が出来ないため問題となる。
また、特許文献2(特公平05−52901号公報)では、垂直に立てた平行な対向電極板間に下向きの気流および電圧を印加し、その電極間にトナーとキャリアからなる混合物を供給し、キャリアが電極に付着しない条件で評価し、電極に付着したトナーパターンやトナー付着位置等からトナー帯電特性を評価する方法が開示されている。さらに、特許文献3(特開2006−163149号公報)では、走査型プローブ顕微鏡の表面電位測定モードを用いて評価し、接触帯電後のトナー粒子の表面電位が接触帯電前の表面電位に比べて正又は負に1000mV以上変化するトナーが提案されている。これら特許文献2〜3に開示された発明では、電子写真プロセス条件を考慮した帯電条件をトナーに付与していないので、測定したトナー帯電量は実際の電子写真プロセスに対応した値にはならず、プロセス上での現象解析等には使用できない評価値となり、問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、複写機やプリンタなどの電子写真方式の画像形成装置における現像部の現像ローラ上の現像剤層の搬送量(現像剤搬送量)Wおよび現像剤電荷量Qを測定し、現像剤の流動性を加味した現像剤帯電能を高精度に評価することができる静電荷像現像剤評価方法および静電荷像現像剤評価装置を提供することを目的とする。また本発明は、現像剤層の搬送量および帯電量が良好になるようにし、いつでも画像ムラがなく、ドット再現性の良い高画質が安定して得られるキャリア及び該キャリアの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
記課題を解決するために本発明に係る静電荷像現像剤評価方法および静電荷像現像剤評価装置、並びにキャリア及び該キャリアの製造方法は、具体的には下記(1)〜(15)に記載の技術的特徴を有する。
【0006】
(1):内部にマグネットを有する現像ローラ上に担持された現像剤を、板状規制部材によって現像剤層厚を規制し、次いで、当該規制後の現像剤層中の現像剤を吸引して吸引電荷量より現像剤電荷量Qを測定すると共に、吸引された現像剤量より現像剤搬送量Wを測定し、前記現像剤電荷量Qと、前記現像剤搬送量Wと、を用いて現像剤の帯電特性及び搬送特性を評価することを特徴とする静電荷像現像剤評価方法である。
【0007】
(2):前記現像剤電荷量Qと、前記現像剤搬送量Wと、を用いて下記式(1)より現像剤帯電能Cを算出して、現像剤の帯電特性及び搬送特性を評価することを特徴とする上記(1)に記載の静電荷像現像剤評価方法である。
C=Q/W 式(1)
【0008】
(3):前記現像剤電荷量Q及び前記現像剤搬送量Wは、前記現像ローラと前記板状規制部材との間に形成されるギャップをギャップ位置制御手段により変化させて測定することを特徴とする上記(2)に記載の静電荷像現像剤評価方法である。
【0009】
(4):ステッピングモータ及びロードセルを有するギャップ位置制御手段により、前記現像ローラと前記板状規制部材との間に形成されるギャップを制御し、
ロードセルによりそのときの前記板状規制部材にかかる圧力を測定することを特徴とする上記(1)に記載の静電荷像現像剤評価方法である。
【0010】
(5):前記現像ローラと前記板状規制部材との間に形成されるギャップが、0.1〜0.5mmであることを特徴とする上記(1)に記載の静電荷像現像剤評価方法である。
【0011】
(6):前記現像剤を吸引する現像剤吸引手段の吸込み口の面積は、4〜20mmであり、
前記現像剤を吸引し、前記現像剤吸引手段内壁部の吸込み口から該吸込み口よりも下流側に設けられてなるフィルタまでの間で発生する吸引電荷量により前記現像剤電荷量Qを測定することを特徴とする上記(1)に記載の静電荷像現像剤評価方法である。
【0012】
(7):前記現像剤を吸引する現像剤吸引手段の吸引速度が30〜80〔l/min〕であることを特徴とする上記(1)に記載の静電荷像現像剤評価方法である。
【0013】
(8):1回の吸引により搬送される前記現像剤搬送量Wが0.005〜0.05gであることを特徴とする上記(1)に記載の静電荷像現像剤評価方法である。
【0014】
(9):前記現像剤を吸引する現像剤吸引手段が、前記現像ローラの円周方向における感光体接触位置に近接乃至当接されてなり、その付近の現像ローラ内部の主磁極磁束密度が現像ローラ表面上で800〜2000Gであることを特徴とする上記(1)に記載の静電荷像現像剤評価方法である。
【0015】
(10):前記現像剤帯電能Cが−1.8〜−8.5μC/gであるか否かで現像剤を評価することを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像剤評価方法である。
【0016】
(11):電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像剤を評価する静電荷像現像剤評価装置であって、内部にマグネットを有する現像ローラと、該現像ローラに担持された現像剤を所定の層厚に規制する板状規制部材と、該板状規制部材により規制された現像剤層の表面に近接乃至当接して現像剤を吸引する現像剤吸引手段と、該現像剤吸引手段で吸引された現像剤の吸引電荷量より現像剤電荷量Qを測定する現像剤電荷量測定手段と、前記現像剤吸引手段の前記現像ローラに対する位置を高精度に制御する位置制御手段と、前記現像ローラと前記板状規制部材との間に形成されるギャップを任意に制御するギャップ制御手段と、前記現像剤吸引手段で吸引された現像剤搬送量Wを測定する現像剤搬送量測定手段と、を備え、前記現像剤電荷量Qと、前記現像剤搬送量Wと、を用いて現像剤の帯電特性及び搬送特性を評価することを特徴とする静電荷像現像剤評価装置である。
【0017】
(12):前記位置制御手段の精度が1〜20μmであることを特徴とする上記(11)に記載の静電荷像現像剤評価装置である。
【0018】
(13):体積平均粒径が20〜65μmのキャリアを用いて評価することを特徴とする上記(11)に記載の静電荷像現像剤評価装置である。
【0019】
(14):上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の静電荷像現像剤評価方法を用いて、キャリアとトナーとを含む現像剤の帯電特性及び搬送特性を評価して、キャリアを製造することを特徴とするキャリア製造方法である。
【0020】
(15):請上記(14)に記載のキャリアの製造方法により製造されたことを特徴とするキャリアである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、現像剤の流動性を加味した現像剤帯電能を高精度に評価することができる静電荷像現像剤評価方法および静電荷像現像剤評価装置を提供することができる。
また本発明によれば、現像剤層の搬送量および帯電量が良好になり、画像ムラがなく、ドット再現性の良い高画質が安定して得られるキャリア及び該キャリアの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る静電荷像現像剤評価装置の一実施の形態における構成を示す概略図である。
【図2】本発明に係る静電荷像現像剤評価装置の一実施の形態における制御機構の構成を示す概略図である。
【図3】現像剤帯電能Cの測定結果を示すグラフである。
【図4】現像剤搬送量Wの測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明にかかる静電荷像現像剤評価方法は、内部にマグネットを有する現像ローラ上に担持された現像剤を、板状規制部材によって現像剤層厚を規制し、次いで、当該規制後の現像剤層中の現像剤を吸引して吸引電荷量より現像剤電荷量Qを測定すると共に、吸引された現像剤量より現像剤搬送量Wを測定し、前記現像剤電荷量Qと、前記現像剤搬送量Wと、を用いて現像剤の帯電特性及び搬送特性を評価することを特徴とする。
また本発明にかかる静電荷像現像剤評価装置は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像剤を評価するものであって、内部にマグネットを有する現像ローラと、該現像ローラに担持された現像剤を所定の層厚に規制する板状規制部材と、該板状規制部材により規制された現像剤層の表面に近接乃至当接して現像剤を吸引する現像剤吸引手段と、該現像剤吸引手段で吸引された現像剤の吸引電荷量より現像剤電荷量Qを測定する現像剤電荷量測定手段と、前記現像剤吸引手段の前記現像ローラに対する位置を高精度に制御する位置制御手段と、前記現像ローラと前記板状規制部材との間に形成されるギャップを任意に制御するギャップ制御手段と、前記現像剤吸引手段で吸引された現像剤搬送量Wを測定する現像剤搬送量測定手段と、を備え、前記現像剤電荷量Qと、前記現像剤搬送量Wと、を用いて現像剤の帯電特性及び搬送特性を評価することを特徴とする。
【0024】
次に、本発明に係る静電荷像現像剤評価方法及び静電荷像現像剤評価装置についてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0025】
本発明の静電荷像現像剤評価装置は図1のように吸引手段1、電荷量測定手段としてのクーロンメータ2および高精度移動ステージ3から成り、内部にマグネットを有する現像ローラ4上にその磁力により担持されることで形成される現像剤層の表面の任意な位置で現像剤層を吸引手段1により吸引する。このときに現像剤を吸引することにより吸引手段1の内壁部に発生する吸引電荷量を測定して現像剤電荷量Qを測定する。
【0026】
現像剤を吸引する現像剤吸引手段1(以下、単に吸引手段1とも称する。)の吸引速度は30〜80〔l/min〕であることが好ましく、吸引速度が30〔l/min〕未満の場合には現像ローラ4表面に現像剤が残ってしまい正確な測定が出来ない。また、吸引速度が80〔l/min〕より大きい場合には他の場所の余分な場所の現像剤を吸引してしまうので、正確な分布状態が評価出来ず問題となる。
【0027】
現像剤を吸引する吸引手段1の吸込み口の面積は4〜20mmが適していて、吸込み口の面積が4mm未満の場合には吸引する現像剤量が少ないため、バラツキが大きくなり、正確な評価が難しくなる。吸込み口の面積が20mmより大きい場合には局所的な評価が難しくなり、問題となる。
【0028】
1回の吸引現像剤搬送量は0.005〜0.05gであり、0.005gより小さい場合には吸引電荷量変化が小さくなり正確な評価が難しくなる。0.05gより大きい場合にはその部分の現像ローラ4上の現像剤を全て吸引することが難しくなる。
【0029】
吸引時の電荷量測定は現像剤電荷量測定手段としてのクーロンメータ2を用いて行なう。測定は10−12C以上の電荷量が測定できるクーロンメータが必要である。このとき、測定する前に放電させて、吸引前後の電荷量が正確に評価できるようにすることが好ましく、測定された電荷量(現像剤電荷量Q)はPCにデータとして取り込まれる。
【0030】
現像剤電荷量測定手段2と現像剤吸引手段1は高精度移動ステージ3上に設置され、その高精度移動ステージ3を、ボールネジ9を用いた駆動方式で高精度に任意の現像ローラ4位置に駆動する。換言すると、位置制御手段により高精度移動ステージ3上に設置された現像剤吸引手段1の、現像剤ローラ4との相対位置が任意かつ高精度に制御されてなる。
【0031】
本発明では、高精度移動ステージ3の駆動精度は1〜20μmであることが好ましい。駆動精度が1μm未満の場合、スキャン速度が遅くなり、測定時間を多く要するという問題が生じる。駆動精度が20μmより大きい場合には、スキャン方向の位置精度が悪くなり、現像ローラ4上での現像剤帯電搬送特性の分布評価の正確度が低下する。
【0032】
現像ローラ4上での現像剤の搬送性を考慮した帯電特性の評価は、現像剤吸引時の現像剤電荷量Qと、吸引時に吸引手段1の吸込み口の下流側にフィルタ1aを設けてそのフィルタ1a上に留まった現像剤量を評価して得られた現像剤搬送量Wとにより現像剤帯電能Cを下記式(1)から算出し評価する。なお、フィルタ1aはコスト面、メンテナンス面から交換可能な構成であることが好ましい。
【0033】
C=Q/W 式(1)
【0034】
現像剤の帯電能Cが優れている場合には、現像剤搬送量Wに対する現像剤電荷量Qが大きくなる。また、現像剤の帯電能Cが劣っている場合には、現像剤搬送量Wに対する現像剤電荷量Qが小さくなる。現像剤電荷量Qは主にトナーとキャリアとの摩擦により発生するもので、トナー電荷量とキャリア電荷量を総合的に加算した値からなる。通常、トナーとキャリアとは異なる極性を持つため、現像電荷量Qの変動によりキャリアに対するトナー電荷量の大きさ、つまりトナー帯電性能を評価することが可能となる。後述する実施例に示すように評価した結果、測定した現像剤電荷量Qおよび現像剤搬送量Wを用いて式(1)により現像剤帯電能Cが−1.8〜−8.5μC/gである場合に良好な画像品質および搬送特性を満足することが分かった。
【0035】
さらに、本発明では板状規制部材5と現像ローラ4との間のギャップを変化させて測定した現像剤電荷量Qおよび現像剤搬送量Wを用いて式(1)により現像剤の帯電能Cを評価し、帯電能Cの変化を評価し、高精度な評価を実現する。板状規制部材5と現像ローラ4との間のギャップを任意の距離で近づけたり離したりするギャップ制御手段は少なくともステッピングモータ7およびロードセル8を用いて構成し、ステッピングモータ7により板状規制部材5と現像ローラ4間のギャップを制御し、ロードセル8によりそのときの板状規制部材5にかかる圧接力を測定するようにし、PCから任意のギャップに制御できるようにする。その一例を図2に示すが、図示の構成例ではステッピングモータ7による回転力を、ボールネジ9を用いて上下方向の駆動力に変換し、梃子の作用を利用してシャフトの先端の板状規制部材5と現像ローラ4との間のギャップを制御できるようにした。板状規制部材5と現像ローラ4とのギャップは0.1〜0.5mmで制御し、この範囲内での現像剤帯電能の評価を行なうことで、現像ローラ4上に担持された現像剤が形成する現像剤層が所望の層厚に規制されるため好ましい。ギャップが0.1mmより低い場合には、現像剤の搬送量が低くなり、実用的な測定条件とは異なり問題となる。ギャップが0.5mmより高い場合には、帯電性能や搬送性能に飽和現象が生じ、今回の評価条件としては適用できない。
【0036】
現像ローラ4上での現像剤の搬送性の評価は、吸引時に吸引手段1の吸込み口の下流側に交換可能なフィルタ1aを設けてそのフィルタ1a上に留まった現像剤量を測定し、吸引前後のフィルタ1aの重量の変化として評価して行ない、現像剤搬送量Wを算出し評価する。即ち、現像剤搬送量測定手段により、下記式(2)を用いて吸引前後のフィルタ重量の差分を測定することで現像剤搬送量Wが得られる。
【0037】
W=フィルタ重量(吸引後)−フィルタ重量(吸引前) 式(2)
【0038】
現像剤の流動性が良く搬送性が優れている場合には、現像剤搬送量Wが大きくなる。また、現像剤の搬送性が劣っている場合には、現像剤搬送量Wが小さくなる。つまり、高画質を実現させるためには、現像剤の帯電能および搬送性とも良好な条件にする必要があり、現像剤の帯電能Cおよび現像剤搬送量Wを大きくする必要がある。具体的には、実施例に述べる。
【0039】
その現像剤帯電搬送特性の評価から、現像剤の流動性や帯電性を判断した後、現像剤の現像ローラ4上の現像剤帯電搬送特性が劣っている場合には、トナーやキャリアの処方や作製条件を変化させる必要がある。特に、トナーに関してはトナー層の表面処理との関係で粉体特性が非常に敏感で、表面状態の変化に応じて粉体特性が大きく変化し、それに合わせて帯電性が大きく変化する。また、それに合わせて現像条件を変化させる必要がある。つまり、高画質の状態を維持するために、現像剤を安定して現像ローラ4上に搬送させ、帯電させる必要がある。現像条件には色々な条件があるが、最も現像剤層の状態を変化させることが出来るのが、板状規制部材5の条件である。例えば、板状規制部材5と現像ローラ4とのギャップを変化させる。それが難しい場合には、供給条件を変化させる。供給用の撹拌羽根(不図示)がある場合には、撹拌羽根の回転数を変化させたり、撹拌羽根と現像ローラ4とのギャップを狭めたりする。他には、現像ローラ4内部のマグネットの磁極配列を変えたり、トナー濃度を変化したりすることも可能である。現像条件は微妙であるので、どの条件を変化させるにしても、微細な制御が必要である。そのため、多数毎ランニング時でも変化が小さい安定した現像条件を求める必要がある。今回、板状規制部材5と現像ローラ4との間のギャップを変化させて測定する理由はここにある。つまり、ギャップの変化に対して現像剤帯電搬送特性がどのように変化するのか正確に評価する必要がある。また、2成分系現像の場合にはギャップを制御する機構を用いれば、帯電能Cの値により板状規制部5と現像ローラ4との間のギャップを制御することにより、安定した現像を実現できる。
【0040】
本発明では、実際の現像時に近い条件での現像剤の帯電搬送特性を評価するもので、吸引手段1は実際の感光体が現像ローラ4に対向する位置に配置される。そのため、現像ローラ4の内部にあるマグネットによる磁界の影響を受けた現像剤の帯電搬送特性の評価が可能となる。吸引手段1の先端の吸込み口は現像ローラ4の円周方向の感光体接触位置に当接乃至近接されてなり、好ましくは当接され(押し当てられ)、その部分の現像ローラ4の内部の主磁極磁束密度が(現像ローラ4表面上で)800〜2000Gである。この主磁極磁束密度(現像ローラ4表面上で)は現像特性との関係で決まり、800Gより小さい場合には十分に現像が出来ず問題となり、2000Gより大きい場合には感光体への接触影響や回転駆動の面で問題点が出てくる。
【0041】
本発明にかかる静電荷像現像剤評価装置の測定に用いる現像剤は、高画質の現像を可能にするため、トナーの重量平均粒径が4〜10μmであることが好ましく、さらに好ましくは5〜7μmである。重量平均粒径4μm未満では長期間の使用でのトナー飛散による機内の汚れ、低湿環境下での画像濃度低下、感光体クリーニング不良等という問題が生じやすく、人体への影響も懸念される。重量平均粒径が10μmを超える場合では100μm以下の微小スポットの解像度が充分でなく非画像部への飛び散りも多く画像品位が劣る傾向となる。
【0042】
一方、キャリアの重量平均粒径は20〜65μmである。重量平均粒径が20〜65μmの範囲にあると、現像機内部のトナー濃度が2〜10重量%の範囲内において、トナーの帯電量をより均一にすることができる。20μmより小さくさるとキャリア粒子の感光体上への付着等が生じやすく、さらにトナーとの撹拌効率が悪くなりトナーの均一な帯電量が得られにくくなる。逆に、キャリアの平均粒径が65μmを超える場合では、細かい画像再現性が悪くなり、高画質は得られない。
【0043】
これらのトナーおよびキャリアを使って現像剤を作製し、画像形成を行なう。
トナーおよび静電荷像現像用現像剤(トナーとキャリアとの混合物)の詳細を以下に示す。
【0044】
<トナー>
本発明で用いるトナーは、樹脂と、着色剤としての顔料とを含有し、その他必要に応じて離型剤、電荷制御剤、添加剤など従来において周知慣用のものを含有してもよい。
【0045】
樹脂としては、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等がある。
【0046】
ビニル樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等がある。
【0047】
ポリエステル樹脂としては以下のA群に示したような2価のアルコールと、B群に示したような二塩基酸塩からなるものであり、さらにC群に示したような3価以上のアルコールあるいはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
【0048】
A群:エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等。
【0049】
B群:マレイン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、またはこれらの酸無水物または低級アルコールのエステル等。
【0050】
C群:グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール、トリメリト酸、ピロメリト酸等の3価以上のカルボン酸等。
【0051】
ポリオール樹脂としては、エポキシ樹脂と2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物、もしくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるものなどがある。
【0052】
本発明で用いる顔料としては以下のものが用いられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等がある。
これらは1種または2種以上を使用することができる。
【0053】
特にカラートナーにおいては、良好な顔料の均一分散が必須となり、顔料を直接大量の樹脂中に投入するのではなく、一度高濃度に顔料を分散させたマスターバッチを作製し、それを希釈する形で投入する方式が用いられている。この場合、一般的には、分散性を助けるために溶剤が使用されていたが、環境等の問題があり、本発明では水を使用して分散させた。水を使用する場合、マスターバッチ中の残水分が問題にならないように、温度コントロールが重要になる。
【0054】
本発明においては、トナーには電荷制御剤をトナー粒子内部に配合(内添)してなることが好ましい。しかし、トナー粒子(トナー母体粒子)と混合(外添)して用いても良い。電荷制御剤によって、現像システムに応じた最適の電荷量コントロールが可能となり、特に本発明では、粒度分布と電荷量とのバランスを更に安定したものとすることが可能である。
【0055】
トナーを正電荷性に制御するものとして、ニグロシンおよび四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料、イミダゾール金属錯体や塩類を、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。また、トナーを負電荷性に制御するものとしてサリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられる。
【0056】
また、本発明におけるトナーではオイルレス定着を実現し、定着時のオフセット防止のために離型剤を内添することが好ましい。
離型剤としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキルリン酸エステル等がある。これら離型剤の融点は65〜90℃であることが好ましい。この範囲より低い場合には、トナーの保存時のブロッキングが発生しやすくなり、この範囲より高い場合には定着ローラ温度が低い領域でオフセットが発生しやすくなる場合がある。
【0057】
添加剤としてはSi、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物が挙げられる。これらのうち二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、アルミナの微粒子が好適に用いられる。
【0058】
本発明に用いられるトナーを作製する方法としては、粉砕法、重合法(懸濁重合、乳化重合分散重合、乳化凝集、乳化会合等)等があるが、これらの作製法に限るものではない。粉砕法の一例としては、まず、前述した樹脂、着色剤としての顔料または染料、電荷制御剤、離型剤、その他の添加剤等を混合機により充分に混合した後、混練機により混練する。圧延冷却後、混練物を粗粉砕し、更に微粉砕機により微粉砕し、分級機により所定の粒度に分級する。その後、粒子表面を表面処理して、トナーを得る。また、重合法の一例としては、モノマーに着色剤及び電荷制御剤等を添加したモノマー組成物を水系の媒体中で懸濁し重合させることでトナー粒子を得る。トナー粒子表面には、添加剤を付着または固着させる。また、カプセル化したトナーでも良い。
【0059】
また、磁性トナーとする場合には、トナー粒子の中に磁性体の微粒子を内添すれば良い。磁性体としては、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル、コバルト、それらの合金などの強磁性体等が考えられる。
【0060】
<静電荷像現像用現像剤(二成分現像剤)>
現像剤として使用する場合は、上述したトナーと磁性キャリアとを所定の混合比率で混合することによって二成分現像剤とする。キャリアとしては公知のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉、マグネタイト粉の如き磁性粒子あるいはこれら磁性粒子の表面をフッ素系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂等で処理したもの、あるいは磁性粒子が樹脂中に分散されている磁性粒子分散樹脂粒子等が挙げられる。
【0061】
以上のようにして得られた静電荷像現像用現像剤を2成分系現像方式に用いる場合には、マグネットローラ4bを内部に有し、現像スリーブ4aを外部に有する現像ローラ4を用いる現像方式が好ましい。現像剤の搬送には、スリーブ回転、マグネット回転、並びにスリーブ及びマグネット両回転方式が存在し、どの方式にも適している。搬送性を上げるために現像スリーブ4aの表面に溝等の加工を行なってもよい。
現像剤規制部材5としてはブレードを用いて行なう。
【0062】
本発明にかかる静電荷像現像剤評価方法の特徴は、下記(I)〜(IV)のようになり、抜き取り試料をそのまま迅速に、簡単に測定できるため、個人差の無い、精度の高い測定が出来ることにある。
(I)非破壊検査である。
(II)試料をそのまま測定できる。
(III)短時間で測定できる。
(IV)誰にでも簡単に測定できる。
【0063】
そのため、製造ラインでの計測も可能であり、製造工程の中での各工程間に設置して、工程途中での品質評価ができる。例えば、トナーとキャリアとの混合工程を経た後、次工程へ粉体試料を搬送する途中に、試料抜取り・測定ゾーンを設けておき、あるタイミングでシャッターを開閉して、一定量の試料を測定装置のホッパー部へ搬送する。その後、そのまま上述した本発明にかかる静電荷像現像剤評価方法にて測定する。または、別の容器でトナー採取し、別の場所にある発明にかかる静電荷像現像剤評価装置へ持っていき、試料ステージへのせて本発明にかかる静電荷像現像剤評価方法にて測定する。測定し終わったトナーは、元の試料の中に戻す。評価の結果、その数値が予め定めた設定範囲を外れていた場合、試料を充填工程へは回さず、トナーおよびキャリアの再処理工程へ回す。これらの仕組みは、混合工程の後にある充填前の検査等に適用できる。また、これらの機能をもった静電荷像現像剤評価装置を単独に開発段階の評価装置として使うことも可能である。
【0064】
以上のようにして製造され、評価されて得られた現像剤のうち、現像剤帯電能Cが−1.8〜−8.5μC/gである現像剤は、帯電特性および搬送性能に優れるものであることから、電子写真方式の画像形成装置に用いられるに好ましい。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。静電荷像現像剤評価装置の吸引条件及び駆動条件は以下のようになり、トナーの種類および板状規制部材と現像ローラとの間のギャップを変えて現像剤搬送量W、現像剤電荷量Qおよび現像剤帯電能Cを評価した。また、板状規制部材にかかる圧力を測定した。キャリアの構成は以下のようにし、キャリア100重量部に対しトナー7重量部を容器が転動して攪拌される型式のターブラミキサーを用いて均一混合させて現像剤を作製した。
【0066】
《吸引条件》
・吸引速度:60 l/min
・吸引時間:2sec
・吸込み口の形:3×3mm
《駆動条件》
・駆動精度:10μm
・吸引場所:現像ローラ中央部(長さ方向)
・現像ローラと吸込み口間距離:0mm
【0067】
今回は以下の現像剤層形成条件で現像ローラ上に現像剤層を形成し、現像剤搬送量W,現像剤電荷量Qおよび現像剤帯電能Cを評価した。
【0068】
《現像剤層形成条件》
・現像ローラ構成:円筒スリーブ+マグネットローラ
・スリーブ材質:アルミ
・主極磁束密度:1300G
・磁極数:6
・現像ローラ速度:100mm/s
・現像ローラ回転回数:5回転
・規制方式:ドクターブレード(メタル)
・規制部材ギャップ:0.1〜0.4mm
・供給方式:撹拌羽根
・供給撹拌羽根速度:100mm/s
【0069】
《キャリアの構成》
次に、評価に用いたキャリアの具体的な作製例について説明する。本発明で用いるキャリアは、これらの例に限定されるものではない。なお、以下の配合における部数は全て重量部である。
【0070】
Fe、CuO、及びZnOからなる混合物を、湿式ボールミルを用いて粉砕物の粒子径が1μm以下になるように粉砕した。このようにして得られた粉砕物にポリビニルアルコールを添加し、次いで、スプレードライヤーにより造粒を行った。この造粒物を電気炉で焼成した後、解砕し、分級し、粒度調整して芯材を得た。この芯材の成分分析を行ったところ、Feが46mol%、CuOが27mol%、ZnOが27mol%であった。
【0071】
次に、
アクリル樹脂溶液(固形分50wt%) 21.0部
グアナミン溶液(固形分70wt%) 6.4部
アルミナ粒子[0.3μm、固有抵抗1014(Ω・cm)] 7.6部
シリコン樹脂溶液 65.0部
[固形分23wt%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
アミノシラン 1.0部
[固形分100wt%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
トルエン 60部
ブチルセロソルブ 60部
をホモミキサーで10分間分散し、アルミナ粒子を含むアクリル樹脂及びシリコン樹脂のブレンド被覆膜形成溶液を得た。
【0072】
次に、芯材に対して上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるようにスピラコーター(岡田精工社製)により塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成した。冷却後、フェライト粉バルクを目開き106μmの篩を用いて解砕し、重量平均粒径35μmを有するキャリアを得た。結着樹脂膜厚測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。
【0073】
―実施例1―
〔原材料処方〕
・樹脂 :ポリエステル樹脂 100部
(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物テレフタル酸、コハク酸誘導体から合成されたポリエステル)
・着色剤 :銅フタロシアニンブルー顔料 4部
(C.I.ピグメントブルー15:3、LionolBlue FG−7351;東洋インキ社製)
・帯電制御剤:サルチル酸亜鉛塩 5部
(ボントロンE84;オリエント化学社製)
【0074】
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機によりバレル温度110℃混練機回転数100rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、平均粒径が6.8μmの粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子(トナー母体粒子)100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
【0075】
〔添加剤処方、混合条件〕
添加剤 ・シリカ微粉末 1.5部
(R972;日本アエロジル社製)
・酸化チタン微粉末 0.3部
(MT−150A;テイカ社製)
混合回転数 2200rpm
混合時間 120sec
混合機 Qミキサー
【0076】
以上のようにトナーを作製した後、本発明にかかる静電荷像現像剤評価方法により板状規制部材と現像ローラとの間のギャップを変化させて、現像ローラ上の現像剤搬送量W,現像剤電荷量Qおよび現像剤帯電能Cを評価した結果、下記表1および図3,4のようになり、現像剤帯電搬送特性が優れていることが分かった。
【0077】
なお、下記表1に記載のドット再現性と、2万枚ランニング時現像部トナー搬送性の評価は以下の方法および基準に従い行った。また、後述する実施例2〜4および比較例についても同様である。
【0078】
<ドット再現性>
画像上のドットの再現性を評価するもので、以下の5段階評価(段階見本を使用)で評価した。
〔評価基準〕
ランク1:チリやボソツキまたは太りが全てのドットに見られる。
ランク2:チリやボソツキまたは太りが50%位のドットに見られる。
ランク3:チリやボソツキまたは太りが25%位のドットに見られる。
ランク4:チリやボソツキまたは太りが10%位のドットに見られる。
ランク5:チリやボソツキまたは太りが全く見られない。
【0079】
<2万枚ランニング時現像部トナー搬送性>
2万枚ランニング時での現像部でのトナー搬送性を評価するもので、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:初期に比べてトナー濃度の変化が2%未満
×:初期に比べてトナー濃度の変化が2%以上
【0080】
【表1】

【0081】
―実施例2―
〔原材料処方〕
・樹脂 :ポリエステル樹脂 100部
(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物テレフタル酸、コハク酸誘導体から合成されたポリエステル)
・着色剤 :マゼンタ顔料 4部
(C.I.ピグメントレッド122、Hostaperm Pink E;クラリアント社製)
・帯電制御剤:サルチル酸亜鉛塩 5部
(ボントロンE84、オリエント化学)
・離型剤 :低分子量ポリエチレン 5部
【0082】
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機によりバレル温度100℃混練機回転数100rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、平均粒径が6.2μmの粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子(トナー母体粒子)100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
【0083】
〔添加剤処方、混合条件〕
添加剤 ・シリカ微粉末 1.5部
(R972;日本アエロジル社製)
・酸化チタン微粉末 0.3部
(MT−150A;テイカ社製)
混合回転数 2200rpm
混合時間 120sec
混合機 Qミキサー
【0084】
以上のようにトナーを作製した後、本発明にかかる静電荷像現像剤評価方法により板状規制部材と現像ローラとの間のギャップを変化させて、現像ローラ上の現像剤搬送量W,現像剤電荷量Qおよび現像剤帯電能Cを評価した結果、表1および図3,4のようになり、現像剤帯電搬送特性が優れていることが分かった。
【0085】
―実施例3―
〔トナーバインダーの合成〕
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、イソフタル酸276部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧,230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188部と2時間反応を行い、イソシアネート含有プレポリマーIを得た。次いでプレポリマーI 267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステルIを得た。上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステルAを得た。ウレア変性ポリエステルI 200部と変性されていないポリエステルA800部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000部に溶解、混合し、トナーバインダーIの酢酸エチル/MEK溶液を得た。一部減圧乾燥し、トナーバインダーIを単離した。分析の結果Tgは62℃であった。
【0086】
〔原材料処方1〕
・トナーバインダーIの酢酸エチル/MEK溶液 240部
・ペンタエリスリトールテトラベヘネート(溶融粘度25cp) 20部
・カーボンブラック(#44;三菱化学社製) 7部
【0087】
上記原材料処方1に記載の原材料をビーカー内で、60℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させてトナー材料溶液を作製した。
【0088】
〔原材料処方2〕
・イオン交換水 706部
・ハイドロキシアパタイト10%懸濁液 294部
(日本化学工業(株)製スーパタイト10)
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.2部
【0089】
次いで、ビーカー内に上記原材料処方2に記載の原材料を入れ均一に溶解した。その後60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで11000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。ついでこの混合液を攪拌棒および温度計付のフラスコに移し、30℃まで昇温して減圧下で溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、トナー母体粒子を得た。体積平均粒径は5.8μmであった。このトナー母体粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを得た。
【0090】
〔添加剤処方、混合条件〕
添加剤 ・シリカ微粉末 1.5部
(R972;日本アエロジル社製)
・酸化チタン微粉末 0.3部
(MT−150A;テイカ社製)
混合回転数 2200rpm
混合時間 120sec
混合機 Qミキサー
【0091】
以上のようにトナーを作製した後、本発明にかかる静電荷像現像剤評価方法により板状規制部材と現像ローラとの間のギャップを変化させて、現像ローラ上の現像剤搬送量W,現像剤電荷量Qおよび現像剤帯電能Cを評価した結果、表1および図3,4のようになり、現像剤帯電搬送特性が優れていることが分かった。
【0092】
―実施例4―
〔トナーバインダーの合成〕
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、イソフタル酸276部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧,230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188部と2時間反応を行い、イソシアネート含有プレポリマーIを得た。次いでプレポリマーI 267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステルIを得た。上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステルAを得た。ウレア変性ポリエステルI 200部と変性されていないポリエステルA800部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000部に溶解、混合し、トナーバインダーIの酢酸エチル/MEK溶液を得た。一部減圧乾燥し、トナーバインダーIを単離した。分析の結果Tgは62℃であった。
【0093】
〔原材料処方3〕
・トナーバインダーIの酢酸エチル/MEK溶液 240部
・ペンタエリスリトールテトラベヘネート(溶融粘度25cps) 20部
・カーボンブラック(#44;三菱化学社製) 7部
・カルナウバワックス 10部
【0094】
上記原材料処方3に記載の原材料をビーカー内で、60℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させてトナー材料溶液を作製した。
【0095】
〔原材料処方4〕
・イオン交換水 706部
・ハイドロキシアパタイト10%懸濁液 294部
(日本化学工業(株)製スーパタイト10)
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.2部
【0096】
次いで、ビーカー内に上記原材料書法4に記載の原材料を入れ均一に溶解した。その後60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。ついでこの混合液を攪拌棒および温度計付のフラスコに移し、30℃まで昇温して減圧下で溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、トナー母体粒子を得た。体積平均粒径は5.4μmであった。このトナー母体粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを得た。
【0097】
〔添加剤処方、混合条件〕
添加剤 ・シリカ微粉末 1.5部
(R972;日本アエロジル社製)
・酸化チタン微粉末 0.3部
(MT−150A;テイカ社製)
混合回転数 2200rpm
混合時間 120sec
混合機 Qミキサー
【0098】
以上のようにトナーを作製した後、本発明にかかる静電荷像現像剤評価方法により板状規制部材と現像ローラとの間のギャップを変化させて、現像ローラ上の現像剤搬送量W,現像剤電荷量Qおよび現像剤帯電能Cを評価した結果、表1および図3,4のようになり、現像剤帯電搬送特性が優れていることが分かった。
【0099】
―比較例1―
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.8μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子(トナー母体粒子)100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
【0100】
〔添加剤処方、混合条件〕
添加剤 ・シリカ微粉末 0.5部
(R972;日本アエロジル社製)
・酸化チタン微粉末 0.3部
(MT−150A;テイカ社製)
混合回転数 2200rpm
混合時間 120sec
混合機 Qミキサー
【0101】
以上のようにトナーを作製した後、本発明にかかる静電荷像現像剤評価方法により板状規制部材と現像ローラとの間のギャップを変化させて、現像ローラ上の現像剤搬送量W,現像剤電荷量Qおよび現像剤帯電能Cを評価した結果、表1および図3,4のようになり、現像剤帯電搬送特性が劣っていることが分かった。
【0102】
以上より明らかなように、本発明では、板状規制部材を通過した後の現像ローラ上の現像剤層を吸引することにより現像剤電荷量を測定し、現像剤帯電能を総合的に高精度で評価し、さらに規制部材と現像ローラとの間のギャップを変化させ現像剤電荷量の変化からトナー帯電能の安定性を高精度に調べ、画像濃度ムラや地肌汚れなどの無い、トナードット再現性の良い、長期安定性に優れている現像剤を提供することができる。それにより、画像ムラのない粒状性の良い高画質が安定して得られる。
即ち、本発明の静電荷像現像剤の評価方法で帯電特性および搬送特性を評価することにより、いつでも安定した画像ムラのない、ドット再現性の良い高画質が得られる現像剤の評価が可能となり、また、これを製造することができることがわかった。
【符号の説明】
【0103】
1 吸引手段
1a フィルタ
2 クーロンメータ
3 高精度移動ステージ
4 現像ローラ
4a 現像スリーブ
4b マグネットローラ
5 板状規制部材
6 現像ホッパー
7 ステッピングモータ
8 ロードセル
9 ボールネジ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2002−189348号公報
【特許文献2】特公平05−52901号公報
【特許文献3】特開2006−163149号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にマグネットを有する現像ローラ上に担持された現像剤を、板状規制部材によって現像剤層厚を規制し、
次いで、当該規制後の現像剤層中の現像剤を吸引して吸引電荷量より現像剤電荷量Qを測定すると共に、吸引された現像剤量より現像剤搬送量Wを測定し、
前記現像剤電荷量Qと、前記現像剤搬送量Wと、を用いて現像剤の帯電特性及び搬送特性を評価することを特徴とする静電荷像現像剤評価方法。
【請求項2】
前記現像剤電荷量Qと、前記現像剤搬送量Wと、を用いて下記式(1)より現像剤帯電能Cを算出して、現像剤の帯電特性及び搬送特性を評価することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像剤評価方法。
C=Q/W 式(1)
【請求項3】
前記現像剤電荷量Q及び前記現像剤搬送量Wは、前記現像ローラと前記板状規制部材との間に形成されるギャップをギャップ位置制御手段により変化させて測定することを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像剤評価方法。
【請求項4】
ステッピングモータ及びロードセルを有するギャップ位置制御手段により、前記現像ローラと前記板状規制部材との間に形成されるギャップを制御し、
ロードセルによりそのときの前記板状規制部材にかかる圧力を測定することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像剤評価方法。
【請求項5】
前記現像ローラと前記板状規制部材との間に形成されるギャップが、0.1〜0.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像剤評価方法。
【請求項6】
前記現像剤を吸引する現像剤吸引手段の吸込み口の面積は、4〜20mmであり、
前記現像剤を吸引し、前記現像剤吸引手段内壁部の吸込み口から該吸込み口よりも下流側に設けられてなるフィルタまでの間で発生する吸引電荷量により前記現像剤電荷量Qを測定することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像剤評価方法。
【請求項7】
前記現像剤を吸引する現像剤吸引手段の吸引速度が30〜80〔l/min〕であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像剤評価方法。
【請求項8】
1回の吸引により搬送される前記現像剤搬送量Wが0.005〜0.05gであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像剤評価方法。
【請求項9】
前記現像剤を吸引する現像剤吸引手段が、前記現像ローラの円周方向における感光体接触位置に近接乃至当接されてなり、その付近の現像ローラ内部の主磁極磁束密度が現像ローラ表面上で800〜2000Gであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像剤評価方法。
【請求項10】
前記現像剤帯電能Cが−1.8〜−8.5μC/gであるか否かで現像剤を評価することを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像剤評価方法。
【請求項11】
電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像剤を評価する静電荷像現像剤評価装置であって、
内部にマグネットを有する現像ローラと、
該現像ローラに担持された現像剤を所定の層厚に規制する板状規制部材と、
該板状規制部材により規制された現像剤層の表面に近接乃至当接して現像剤を吸引する現像剤吸引手段と、
該現像剤吸引手段で吸引された現像剤の吸引電荷量より現像剤電荷量Qを測定する現像剤電荷量測定手段と、
前記現像剤吸引手段の前記現像ローラに対する位置を高精度に制御する位置制御手段と、
前記現像ローラと前記板状規制部材との間に形成されるギャップを任意に制御するギャップ制御手段と、
前記現像剤吸引手段で吸引された現像剤搬送量Wを測定する現像剤搬送量測定手段と、を備え、
前記現像剤電荷量Qと、前記現像剤搬送量Wと、を用いて現像剤の帯電特性及び搬送特性を評価することを特徴とする静電荷像現像剤評価装置。
【請求項12】
前記位置制御手段の精度が1〜20μmであることを特徴とする請求項11に記載の静電荷像現像剤評価装置。
【請求項13】
体積平均粒径が20〜65μmのキャリアを用いて評価することを特徴とする請求項11に記載の静電荷像現像剤評価装置。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の静電荷像現像剤評価方法を用いて、キャリアとトナーとを含む現像剤の帯電特性及び搬送特性を評価して、キャリアを製造することを特徴とするキャリア製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載のキャリアの製造方法により製造されたことを特徴とするキャリア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−58669(P2012−58669A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204401(P2010−204401)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】