非侵襲尿量推定センサユニット、非侵襲尿量推定装置及び排尿管理システム

【課題】少蓄尿量から多蓄尿量まで広い範囲にわたって高精度で蓄尿量の推定を可能にした非侵襲蓄尿量推定センサユニット、非侵襲蓄尿量推定装置を提供する。さらに、この非侵襲蓄尿量推定装置を利用して、簡易に患者の蓄尿/非尿管理を行う排尿管理システムを提供する。
【解決手段】非侵襲蓄尿量推定センサユニット21は、超音波振動子による複数のセンサ22からなり、各センサが膀胱形状を検出できるような配列と超音波出射角度に設定されたセンサ群23を有して成る。非侵襲蓄尿量推定装置は、この非侵襲蓄尿量推定センサユニット21と、このセンサユニット21から発振させた超音波の膀胱壁からの反射超音波を検出して膀胱の立体形状を測定し、尿量を推定する処理部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非侵襲尿量推定センサユニット、非侵襲尿量推定装置及び排尿管理システムに関する。特に、排尿障害や尿失禁の患者に対して、膀胱の形状を測定して膀胱に溜まった尿量(蓄尿、残尿量)、その他の情報を含む尿管理情報を事前に検知し、この尿管理情報に基き患者の蓄尿/排尿管理を行い、診断、治療に役立てる場合に適用して好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄尿量推定装置として、特許文献1に示す超音波尿量センサや、特許文献2に示す超音波を用いた蓄尿量センサ等が知られている。特許文献1の超音波尿量センサは、「ゆりりん」という商品名にて携帯用尿量モニタ装置として市販されている。
【0003】
特許文献1に示された超音波尿量センサ1は、図27及び図28に示すように、超音波を膀胱壁面に向けて発振する4つの超音波発振素子、すなわちセンサ2を縦方向に配列したプローブ(探触子)3を備えて構成される。各センサ2は、センサ角度が縦方向のみに向けて配置される。このプローブ3は、下腹部の表面に装着され、4つのセンサ2からの超音波4を膀胱5側に照射し、膀胱5の前壁5A及び後壁5Bからの反射エコーを検出、処理して膀胱5の拡張を検知して蓄尿量を検知している。図27は、断面で見た超音波4の出射状態を示し、このときの膀胱容量、つまり蓄尿量が200cc程度を示している。図28は、膀胱5の拡張状態を大よその膀胱容量50cc程度、350cc程度、600cc程度で示している。符号6は恥骨、符号7は腹膜を示す。
【0004】
特許文献2に示された蓄尿量センサ11は、図24〜図26に示すように、超音波発振素子、すなわちセンサ12を縦横2次元的に配列したプローブ(探触子)13を備えて構成される。本例のプローブ13は、図24に示すように、縦4×横3の合計12個のセンサ12[(1)〜(12)]が配列され、互いに異なる方向を向いて配置される。このプローブ13は、下腹部の表面に装着され、各センサ12からの超音波14が恥骨16と腹膜17の間の限られた隙間18を透過して、膀胱15の前壁15Aの近傍に対応する部分で交差して立体的に広がり、膀胱15の後壁15Bへ指向する。この蓄尿量センサ11では、交差後に立体的に広がる超音波14を利用することにより、膀胱15の立体形状がより正確に測定でき、蓄尿量をより正確に検知することができる。このプローブ13においても、基本的に、前述と同様に、出射した超音波14の膀胱15の前壁15A及び後壁15Bからの反射エコーを検出、処理している。図15は、断面で見た超音波14の出射状態を示し、このときの膀胱容量、つまり蓄尿量が200cc程度を示している。図25は、膀胱5の拡張状態を膀胱容量で50cc、350cc、600ccで示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2005/099582号公報
【特許文献2】WO2006/115278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図27及び図28に示す超音波尿量センサ1では、センサ角度が縦方向のみであり、膀胱の横の広がりを捉えられず、段階的な尿量の推定しかできない。
【0007】
図25及び図26に示す蓄尿量センサ11では、超音波14が膀胱前壁15Aの近傍に対応する部分で交差して広がり、後壁15Bへ指向する。このため、後壁15Bにおいては広範囲な測定が可能であるが、前壁15A部分の測定情報が少なく、蓄尿量が多いときの推定がし難い。つまり、図26で示す膀胱膨張時の前壁15Aの左右の領域(破線図示)19が測定不能となる。この場合も、膀胱5を球形と仮定して尿量を推定しているため実際の膀胱形状と異なり、測定精度に問題があり、少蓄尿量(50cc程度)を測定することが不可能である。特にセンサ12[(1)〜(3)]のセンサ角度が大きいため、皮膚や脂肪層における減衰の影響を受け易い。
【0008】
本発明は、上述の点に鑑み、少尿量から多尿量まで広い範囲にわたって高精度で蓄尿量、排尿量の推定を可能にした非侵襲尿量推定装置、及びこの非侵襲尿量推定装置に適用される非侵襲尿量推定センサユニット(いわゆる探触子)を提供するものである。
本発明は、上記非侵襲尿量推定装置を利用して患者の蓄尿/排尿管理を可能にした排尿管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る非侵襲尿量推定センサユニットは、超音波振動による複数のセンサからなり、各センサが膀胱形状を検出できるような配列と超音波出射角度に設定されたセンサ群を有して構成される。
【0010】
本発明に係る非侵襲尿量推定センサユニットのセンサ群の好ましい形態は、超音波が2次元的な広がりをもって出射され、膀胱底部の形状を検出する複数のセンサからなる第1のセンサ部を有する。さらに、3次元的な広がりをもって出射され、膀胱の拡張高さを検出する複数のセンサからなる第2のセンサ部を有する。
【0011】
本発明の非侵襲尿量推定センサユニットでは、上記センサ群により、膀胱底部の形状変化と、ドーム状に膨らんだ膀胱の高さを捉えることができ、実際に近い膀胱形状が捉えられる。
【0012】
本発明に係る非侵襲尿量推定装置は、上記の非侵襲尿量推定センサユニットを備える。さらに、本発明は、この非侵襲尿量推定センサユニットのセンサ群の各センサから発振させた超音波の膀胱壁からの反射超音波を検出し、演算して膀胱の立体形状を測定して尿量を推定する処理部を備えて構成される。
【0013】
本発明の非侵襲尿量推定装置では、非侵襲尿量推定センサユニットにより膀胱底部の形状変化と、ドーム状に膨らんだ膀胱の高さを捉えることができる。これにより、膀胱の実際に近い立体形状が測定され、膀胱容量を少容量から多容量まで連続的に計測(推定)することができる。
【0014】
本発明に係る排尿管理システムは、上記の非侵襲尿量推定センサユニットと、この非侵襲尿量推定センサユニットのセンサ群の各センサから発振させた超音波の膀胱壁からの反射超音波を検出し、演算して膀胱の立体形状を測定して尿量を推定する処理部とを有した非侵襲尿量推定装置を有する。また、非侵襲尿量推定装置からの計測データを処理し保存するデータ処理・データ保存装置を有する。本発明では、この非侵襲尿量推定装置と、データ処理・データ保存装置とで排尿データ記録装置が構成される。さらに、本発明は、この排尿データ記録装置と共に、排尿データ記録装置から送られた排尿時刻、排尿量を含む排尿情報を解析して、診断情報と排尿日誌を含む尿管理情報を得、かつ保存する排尿データ解析装置とを備える。診断情報は、排尿データ記録装置から送られる排尿情報を解析して得られた連続計測による尿流量曲線データ及び少量時の精度を確保することで得られる残尿量を含む。そして、尿管理情報を基に患者の蓄尿/排尿管理を行う。
【0015】
本発明の排尿管理システムでは、非侵襲尿量推定センサユニットと処理部を有する、いわゆる上記の非侵襲尿量推定装置を用いて、患者側で排尿情報が記録される。この排尿情報に基いて、病院などの施設側で、尿流量、排尿時間、残尿量などの患者の診断/治療に有用な尿管理情報が算出され、患者の蓄尿/排尿管理がなされる。
【0016】
本発明に係る非侵襲尿量推定装置は、上記の非侵襲尿量推定センサユニットを備える。特に、本発明は、センサ群が、膀胱の底部に出射するセンサ数を最も多くし、底辺側から頂部に向かって複数段のセンサ行を有するように、超音波振動子による複数のセンサが2次元的に配列されて成る非侵襲尿量推定センサユニットを備える。さらに、本発明は、非侵襲尿量推定センサユニットのセンサ群の各センサから発振させた超音波の膀胱壁からの反射超音波を検出し、演算して膀胱体積を求めて尿量を推定する処理部を備える。
【0017】
処理部では、各センサで受信する膀胱前後壁の位置情報となるAモード波形に基き、円錐台近似法で膀胱体積を計算する演算部を有する。
【0018】
演算部では、縦方向の各段のセンサ行に配置された縦方向に異なる角度がついた複数のセンサでのAモードの受信波形により、各センサから得られる各膀胱高さにおける膀胱の奥行きDを計測する。恥骨上部に対応する最下段の複数のセンサで膀胱の基準面となる水平断面積Sと基準面での膀胱の奥行きDを計測する。基準面の水平断面積Sと基準面での奥行きD、および各膀胱高さでの奥行きDを用いて、数1により計算して各膀胱高さ位置における膀胱の水平断面積Sを求める。
【数1】

各膀胱高さの差分で規程される各高さΔhで切断した各膀胱の円錐台体積Vを、夫々の底面と上面の水平断面積S、Si+1と高さΔhから数2により計算して求める。
【数2】

恥骨に隠れる膀胱底部は半球体積と推定し、膀胱最上部は円錐体積と推定し、各円錐台体積、前記半球体積および前記円錐体積を積算して全体の膀胱体積を算出する。
【0019】
本発明の非侵襲尿量推定装置では、膀胱体積を円錐台近似法で求めて、尿量を推定する処理部を備えることにより、より実尿量に近い尿量を推定することができる。
【0020】
本発明に係る排尿管理システムは、上記の円錐台近似法による膀胱体積を求めて尿量を推定する非侵襲尿量推定装置と、非侵襲尿量推定装置からの計測データを処理し保存するデータ処理・データ保存装置とを有する排尿データ記録装置を備える。さらに、本発明は、排尿データ記録装置から送られた排尿時刻、排尿量を含む排尿情報を解析して、診断情報と排尿日誌を含む尿管理情報を得、かつ保存する排尿データ解析装置を備える。診断情報は、排尿データ記録装置から送られる排尿情報を解析して得られた、連続計測による尿流量曲線データ及び少量時の精度を確保することで得られる残尿量を含む。この得られた尿管理情報を基に患者の蓄尿/排尿管理を行う。
【0021】
本発明の排尿管理システムでは、円錐台近似法による膀胱体積を求めて尿量を推定する非侵襲尿量推定装置を備えるので、より正確な尿管理情報を算出して患者の蓄尿/排尿管理がなされる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る非侵襲尿量推定センサユニットによれば、収縮した膀胱から膨らんだ膀胱に至る広範囲の実際に近い膀胱形状を捉えることができる。この非侵襲尿量推定センサユニットは、患者の体位によらず、的確に膀胱形状の測定を可能にする。
【0023】
本発明に係る非侵襲尿量推定装置によれば、少尿量から多尿量まで広い範囲にわたって高精度で尿量を推定することができる。
【0024】
本発明に係る排尿管理システムによれば、本発明の非侵襲尿量推定センサユニット及び処理部を有する非侵襲尿量推定装置を適用して、患者の蓄尿/排尿管理を行うことができる。この蓄尿/排尿管理された尿管理情報は、排尿障害患者の診断/治療に適用することができる。
【0025】
本発明に係る非侵襲尿量推定装置によれば、膀胱体積を円錐台近似法で求めて、尿量を推定する処理部を備えるので、少尿量から多尿量まで広い範囲にわたって、より高精度に実尿量に近い尿量を推定することができる。
【0026】
本発明に係る排尿管理システムによれば、膀胱体積を円錐台近似法で求めて尿量を推定する処理部を備え、より正確な尿管理情報を算出することができるので、さらに適切な患者の蓄尿/排尿管理の実用化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る非侵襲尿量推定センサユニットの一実施の形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の非侵襲尿量推定センサユニットによる少尿量時の膀胱形状の測定範囲を示す概略断面図である。
【図3】本発明の非侵襲尿量推定センサユニットによる少尿量時の膀胱形状の測定範囲を示す概略平面図である。
【図4】本発明の非侵襲尿量推定センサユニットによる通常尿量時の膀胱形状の測定範囲を示す概略断面図である。
【図5】本発明の非侵襲尿量推定センサユニットによる通常尿量時の膀胱形状の測定範囲を示す概略平面図である。
【図6】本発明の非侵襲尿量推定センサユニットによる多尿量時の膀胱形状の測定範囲を示す概略断面図である。
【図7】本発明の非侵襲尿量推定センサユニットによる多尿量時の膀胱形状の測定範囲を示す概略平面図である。
【図8】本発明による非侵襲尿量推定センサユニットの処理部の一例回を示す回路構成図である。
【図9】膀胱の形状変化の測定に用いた超音波探触子の使用状態図である。
【図10】膀胱の形状変化を示す超音波の反射エコー画像を示す画像図である。
【図11】本発明により排尿管理システムの概略構成図である。
【図12】測定した実排尿量から算出した測定尿流量と時間の関係を示すグラフである。
【図13】従来の尿流量測定装置にて測定を基に算出した膀胱の実蓄尿量曲線と、本発明の非侵襲蓄尿量推定装置により得られた膀胱の推定蓄尿量曲線とを比較したグラフである。
【図14】A,B 膀胱エコー画像を示す水平断面図及び矢状断面図である。
【図15】超音波振動子によるAモードは波形図である。
【図16】A,B 本発明の膀胱体積計算方法の説明に供する、水平に並べた複数のセンサからの超音波の軌跡状態を示す水平断面図、及び縦に並べた複数のセンサからの超音波の軌跡状態を示す矢状断面図である。
【図17】円錐台近似法の説明に供する膀胱の分解者静状態を示す斜視図である。
【図18】本発明の膀胱体積計算方法の説明に供する腹部のCT画像図である。
【図19】恥骨上部及び最大水平断面を基準として推定された膀胱体積と実体積を示すグラフである。
【図20】本発明の膀胱体積計算方法に適用されるセンサユニットの具体例を用いたときの測定範囲を示す水平断面図である。
【図21】本発明の膀胱体積計算方法に適用されるセンサユニットの具体例を用いたときの測定範囲を示す矢状断面図である。
【図22】本発明の膀胱体積計算方法の説明に要するセンサユニットの全センサから得られる膀胱のAモード波形を示す波形図である。
【図23】本発明の膀胱体積計算方法で得られた推定尿量と実排尿量を示すグラフである。
【図24】従来の一例に係る超音波尿量センサを示す概略斜視図である。
【図25】従来の一例に係る超音波尿量センサ及び膀胱尿量の測定を範囲を示す概略断面図である。
【図26】従来の一例に係る超音波尿量センサ及び膀胱尿量の測定を範囲を示す概略平面図である。
【図27】従来の他の例に係る超音波尿量センサ及び膀胱尿量の測定を範囲を示す概略断面図である。
【図28】従来の他の例に係る超音波尿量センサ及び膀胱尿量の測定を範囲を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
先ず、蓄尿量に伴う膀胱形状の変化について説明する。図9及び図10A〜Cに、膀胱形状の変化を示す。図10Aは、蓄尿量が少ない例えば78cc程度のときの膀胱45の形状を示す。図10Bは、蓄尿量が中程度の例えば286cc程度ときの膀胱45の形状を示す。図10Cは、蓄尿量が多い例えば532cc程度のときの膀胱45の形状を示す。図10の膀胱形状を示す反射エコー画像は、図9に示す超音波43が縦方向に広がる超音波探触子41(矢状断)と、超音波43が横方向に広がる超音波探触子42(水平断)にて観察した。図10A〜Cのいずれも、上段画像は超音波探触子41による膀胱が縦方向に膨らむ反射エコー画像であり、下段画像は、超音波探触子42による膀胱の底部形状の反射エコー画像である。図9の符号46は恥骨を示す。
【0030】
図10A〜Cの膀胱画像から明らかなように、膀胱は、まず底部が扁平形状に膨らみ、尿量の増加に伴って上部が腹膜を押し上げてドーム状に膨らむ。すなわち、膀胱45は、拡張時、まず底部が膨らみ、尿量の増加に伴って上部がドーム状に膨らむ。また、膀胱45の収縮時は、その逆の変化を生じる。本発明に係る非侵襲尿量推定センサユニットの実施の形態は、このような膀胱形状の変化に対応できるように構成される。
【0031】
図1に、本発明に係る非侵襲尿量推定センサユニットの一実施の形態を示す。本実施の形態に係る非侵襲尿量推定センサユニット21は、超音波振動による複数のセンサ22[(1)〜(12)]からなり、各センサ22が膀胱形状を検出できるような配列と超音波出射角度に設定されたセンサ群23を有して構成される。さらに詳細に説明する。本実施の形態に係る非侵襲尿量推定センサユニット21は、超音波振動子による複数のセンサ22[(1)〜(12)]が2次元的に配列され、膀胱25側に向かって超音波24を立体的に放射状に出射するセンサ群23を有する(図2、図3参照)。センサ群23は、膀胱底部に出射するセンサ数を最も多くし、底辺側から頂部に向かって複数段のセンサ行221〜224を有するように構成される。センサ行とは、水平ラインに沿って複数のセンサが配列されたものを指す。センサ22が支持される支持部29としては、三角形状であっても、四角形状、その他の形状、さらに各センサ行が独立であっても良い。
【0032】
本実施の形態では、三角形状をなす支持部29の面29aに臨むように、夫々複数のセンサ22が水平ラインに沿って配列された4段のセンサ行221〜224を支持部29に順次支持してセンサ群が構成される。センサ行224〜センサ行221」は、底辺側から頂部側に向かって配列される。センサ行224は、膀胱底部に出射する5個のセンサ22[(8)〜(12)]を水平ラインに沿って配列して構成される。センサ行223は、3個のセンサ22[(5)〜(7)]を水平ラインに沿って配列して構成される。センサ行222は、2個のセンサ22[(3)〜(4)]を水平ラインに沿って配列して構成される。センサ行221は、2個のセンサ22[(1)〜(2)]を水平ラインに沿って配列して構成される。頂部側の1段目のセンサ行221は、2個のセンサ22[(1)〜(2)]が近接して配列される。2段目のセンサ行222は、2個のセンサ22[(3)〜(4)]が1個分空けるように離れて配列される。3段目のセンサ行は、3個のセンサ22[(5)〜(7)]が近接して配列される。底辺側の4段目のセンサ行224は、5個のセンサ22[(8)〜(12)]が近接して配列される。各センサ行221〜224では、三角形状をなす支持部の頂部を通る垂直線に対して対称となるようにセンサ22が配列される。
【0033】
センサ群23の各センサ22は、それぞれ膀胱形状の変化に対応できるように、上記の配置と共に、センサ角度、すなわち超音波24の出射方向が選定される。すなわち、各センサ22は、膀胱底部の形状変化、及び膀胱の膨張の高さ変化を捉えるように、互いに異なる方向を向いて配置される。センサ群23では、各センサ22からの超音波24が、図2、図4、図6に示すように、膀胱形状に応じて腹膜27と恥骨26間の限られた隙間28を通過して立体的に放射状に発振し、膀胱壁からのより広い範囲の反射超音波(反射エコー)を捉えるようになされる。
【0034】
底辺側の4段目のセンサ行224では、図3に示すように、平面から見て中央のセンサ22(10)からの超音波24を挟んで左右のセンサ22[(8),(9),(11),(12)]からの超音波24が対称的に広がるようになる。これにより、図2に示すように、縦断面から見てセンサ22[(8)〜(12)]からの超音波24が少蓄尿量時の膀胱形状を検知できるように縦方向に広がるようになる。
【0035】
3段目のセンサ行223も同様に、図3に示すように、平面から見て中央のセンサ22(6)からの超音波24を挟んで左右のセンサ22[(5),(7)]からの超音波24が対称的に広がるようになる。これにより、図2に示すように、縦断面から見てセンサ22[(5)〜(7)]からの超音波24が膀胱形状を検知できるように縦方向に広がるようになる。
【0036】
2段目のセンサ行222では、図3に示すように、平面から見て2つのセンサ22[(3),(4)]からの超音波24が交差した後広がるようになる。これにより、図2に示すように、縦断面から見てセンサ22[(3),(4)]からの超音波24が膀胱形状を検知できるように縦方向に広がるようになる。
【0037】
頂部側の1段目のセンサ行221では、平面から見て中心線を挟んで左右のセンサ22[(1),(2)]からの超音波24が対称的に広がるようになる。これにより、図2に示すように、縦断面から見てセンサ22[(1),(2)]からの超音波24が膀胱形状を検知できるように縦方向に広がるようになる。
【0038】
センサ22において、平面から見たときの超音波出射角θ1は、最大で12.5度程度(図3参照)、縦断面から見たときの超音波出射角θ2は、最大で10度程度(図2参照)とすることができる。最大で12.5度程度とした理由は、皮膚への超音波侵入角度を大きくすると反射による減衰が発生するためである。
【0039】
センサ群23では、底辺側の4段目のセンサ行224の各センサ22[(8)〜(12)]から出射した超音波24により、主として膀胱底部側の形状変化を捉える。底辺側の4段目のセンサ行224を除く、他のセンサ行221〜223のセンサ22[(1)〜(7)]から出射した超音波24により、主として膀胱25の膨張の高さを捉える。
【0040】
各センサ22は、圧電素子の両面に電極を形成し、両電極間に電圧を印加することにより圧電素子が振動して超音波を発信し、逆に超音波を受信したときには両電極間から電圧が誘起されるように構成される。センサ22は、例えば円形の薄板状に形成される。各センサ22は、支持部29上において、角度が自在に可変設定できるように支持される。
【0041】
センサ22は、音響インピーダンスの差による超音波の大きな反射を防ぐために、整合層の役割を持つ充填材に埋め込まれる。非侵襲尿量推定センサユニット21を下腹部表面に装着する際は、非侵襲尿量推定センサユニット21と下腹部表面との間に空気が存在しないように例えばエコージェルを介して装着される。
【0042】
非侵襲尿量推定センサユニット21は、各センサ22[(1)〜(12)]を順次に走査しながら1つずつ超音波を発信させるAモード型で使用する。膀胱形状測定の場合、センサ22としては、1MHz〜5MHz程度の超音波が出射するセンサであればよい。
【0043】
本実施の形態の非侵襲尿量推定センサユニット21では、下腹部に取り付けて各センサ22[(1)〜(12)]を順次駆動させる。そうすると、各センサ22から発信した超音波のうち、膀胱の膨らみに応じて、腹膜27と恥骨26間の隙間28を透過した超音波が膀胱25側に照射される(例えば、図2、図3参照)。そして、膀胱25の前壁及び後壁で反射した超音波が出射時と同じセンサ22で受信され、センサ22より膀胱5の前壁及び後壁の位置に対応した受信信号が検出される。
【0044】
本実施の形態に係る非侵襲尿量推定センサユニット21によれば、センサ群23内の主として第1のセンサ部である4段目のセンサ行224のセンサ22[(8)〜(12)]から2次元的な広がりを持って超音波が出射される。この4段目のセンサ行224のセンサ22[(8)〜(12)]により膀胱底部の形状に対応した前壁、後壁の位置検出ができる。すなわち、結果として膀胱底部の形状が検出される。4段目のセンサ行224からの超音波の広がりは、主として2次元的な広がりであるが、より詳しくは、縦方向に広がる3次元的の広がりを持つ。センサ群23内の主として第2のセンサ部である1段目、2段目、3段目の各センサ行221〜223のセンサ22[(1)〜(7)]から3次元的な広がりを持って超音波が出射される。この1段目、2段目、3段目の各センサ行221〜223のセンサ22[(1)〜(7)]により拡張した膀胱の形状に対応した前壁、後壁の位置検出ができる。すなわち、結果として膀胱の拡張高さが検出される。
【0045】
従って、センサ群23により、排尿後の収縮した状態、蓄尿されて拡張した状態の実際に近い膀胱形状を捉えることができる。この非侵襲尿量推定センサユニット21は、患者の体位によらず、的確に膀胱形状の測定を可能にする。
【0046】
次に、図8を用いて、本発明に係るこの非侵襲尿量推定装置を説明する。本実施の形態に係る非侵襲尿量推定装置30は、上記の非侵襲尿量推定センサユニット21と、処理部31とを備えて構成される。処理部31では、センサユニット21のセンサ群23の各センサ22から発振させた超音波24の膀胱壁からの反射超音波(反射エコー)を検出し、演算処理して膀胱25の立体形状を測定して尿量を推定する。
【0047】
図8は処理部31の一例を示す。処理部31は、膀胱形状を測定する膀胱形状測定部32と、膀胱形状測定部32で得られた膀胱形状から蓄尿量を推定する尿量推定部33を備える。膀胱形状測定部32は、発信制御部45と、信号処理部46とで構成される。発信制御部45では、複数のセンサ22を順次に発信させる。信号処理部46では、膀胱25の前壁25A及び後壁25Bで反射した反射超音波をセンサ22で受信し、得られた受信信号から膀胱の前壁25A及び後壁25Bの位置を演算して膀胱25の立体形状を計測する。
【0048】
各センサ22[(1)〜(12)]は、マルチプレクサ51を介して超音波発信アンプ52及び超音波受信アンプ53に接続される。超音波発信アンプ52には、複数のセンサ22に順次にパルス信号を出力するパルス発信回路54が接続される。パルス発信回路54にはパルス制御回路55が接続され、パルス信号のパルス幅、振幅、周期、発信回数、パルス列の周期などを制御する。超音波発信アンプ52は、パルス発信回路54からの信号を増幅して、超音波を発信するに十分な電気エネルギーを高める機能を有する。超音波受信アンプ53は、受信された微弱な電気信号を増幅する機能を有する。マルチプレクサ51は、センサ22と超音波発信アンプ52及び超音波受信アンプ53との間にあって、それぞれのセンサ22とアンプ52、53の間を順次接続し、1台のアンプで全てのセンサ22を順次動作させる機能を有する。
【0049】
超音波受信アンプ53及びパルス発信回路54は、信号処理回路56に接続される。信号処理回路56では、パルス発信回路54の発信信号と同期して超音波受信アンプ53からの受信信号をA/D変換する。A/D変換された受信信号データから膀胱25の前壁25Aの位置と後壁25Bの位置を演算し、膀胱壁面のマッピングを行う。同様の動作を全てのセンサ22の発信信号と受信信号に対して行うことにより、膀胱22の立体形状を確定する。
【0050】
尿量推定部(すなわち尿量推定回路)33は信号処理回路56で得られた膀胱25の立体形状のデータから演算して膀胱尿量を推定する。
【0051】
次に、処理部31を備えた非侵襲尿量推定装置30を用いて、膀胱の形状及びそれに基く尿量の計測(推定)について説明する。
【0052】
非侵襲尿量推定センサユニット21が、底辺側の4段目のセンサ行224が下側に来るように、下腹部の表面に装着される。処理部31では、パルス制御回路55からの制御信号に基いてパルス発信回路54からパルス信号が出力され、超音波発信アンプ52を通じてセンサ群23の複数のセンサ22から順次に超音波24が出射する。各センサ22からは所要時間おきに、例えば1秒毎に超音波が発信される。膀胱25の膨らみに応じて腹膜27と恥骨26の隙間28を通過した超音波24が膀胱25側に照射される。超音波24は、膀胱25の前壁25Aと後壁25Bで反射され、同じセンサ22で受信される。信号処理回路56において、パルス発信回路54の発信信号と同期して超音波受信アンプ53からの受信信号をA/D変換する。A/D変換された受信信号データから膀胱25の前壁25A及び後壁25Bの位置が演算され、膀胱の立体形状が測定される。
【0053】
次に、この膀胱25の立体形状のデータから尿量推定回路33において、蓄尿量、あるいは排尿量等の尿量が計測(推定)される。
【0054】
図2及び図3は、少量時の尿量(残尿量を含む)の計測を示す。尿量が少量(50cc以下)のときは、センサ群23のうち、底辺側の4段目のセンサ行224の5個のセンサ22[(8)〜(12)]からの超音波24が、腹膜27と恥骨26間の隙間28を透過して膀胱25側に立体的に放射状に出射される。この5個のセンサ22[(8)〜(12)]から出射された超音波24が、膀胱底部の形状変化を捉える。これにより、50cc以下の少尿量を高精度で計測(推定)可能となる。
【0055】
図4及び図5は、通常量時の尿量(排尿感量を含む)の計測を示す。尿量が通常量のときは、センサ群23のうち、4段目及び3段目のセンサ行224及び223の8個のセンサ22[(5)〜(12)]からの超音波24が、腹膜27と恥骨26間の隙間28を透過して膀胱25側に立体的に放射状に出射される。この8個のセンサ22[(5)〜(12)]から出射されたた超音波24が、膀胱底部からドーム状に膨らんだ膀胱の上部を含む形状変化を捉える。これにより、200cc程度の通常尿量を高精度で計測(推定)することができる。
【0056】
図6及び図7は、多量時(排尿障害など)の尿量の計測を示す。尿量が多量のときは、センサ群23のうち、1段目から4段目のセンサ行221〜224の12個のセンサ22[(1)〜(12)]からの超音波24が、腹膜27と恥骨26間の隙間28を透過して膀胱25側に立体的に放射状に出射される。この12個のセンサ22[(1)〜(12)]から出射された超音波24が、膀胱底部から大きくドーム状に膨らんだ膀胱の上部を含む形状変化を捉える。これにより、500cc程度の多尿量を高精度で計測(推定)することができる。
【0057】
本実施の形態に係る非侵襲尿量推定装置30によれば、センサ群23の構成を次のような構成とした。すなわち、底辺側にセンサ数を集中し、底辺側の4段目のセンサ行224で膀胱底部の形状を捉え、その他の1段目〜3段目のセンサ行221〜223で膀胱のドーム状に膨らむ高さを捉える構成とした。このようなセンサ群23により、膀胱25の拡張時及び収縮時の立体形状変化を効率よく捉え、さらに膀胱底部の形状をより細密に捉えることができる。従って、従来得られなかった50cc以下の残尿量を計測することが可能になる。本実施の形態の非侵襲尿量推定装置30では、膀胱容量、つまり蓄尿量を約50cc程度〜500cc程度までの広い範囲にわたって連続的に高精度に計測することができる。患者の体位などの測定状況による計測値の変動が生じ難い。非侵襲尿量推定装置30は、小型、軽量に構成することができ、可搬性に優れる。尿量もリアルタイムで計測することができる。
【0058】
本発明は、上述した非侵襲尿量推定装置30を利用して得た排尿情報より診断情報、排尿日誌を自動記録して、患者の蓄尿/排尿を管理する排尿管理システムを実現することができる。患者の診断情報とは、最大尿流量、残尿量、尿流量曲線などの情報である。患者の排尿日誌とは、排尿回数、排尿量、排尿時刻などの情報である。これらの情報は、排尿障害を有する患者の診断/治療に関する最も基礎的な情報(データ)であり、正確に把握することが要求される。
【0059】
本発明に係る排尿管理システム51は、図11に示すように、排尿データ記録装置52と、この排尿データ記録装置52からの排尿データ54を解析し、診断情報及び排尿日誌などの患者の尿管理データを得るための排尿データ解析装置53を備える。排尿データ記録装置52は、上述の非侵襲尿量推定装置30と、時計装置60と、非侵襲尿量推定装置30からの計測データを処理するデータ処理装置61及びデータ保存装置62を備える。この排尿データ記録装置52は、例えば、時計機能、データ処理機能及びデータ保存機能を有するマイコン63と非侵襲尿量推定装置30を備えて、小型、軽量、可搬な装置として構成される。排尿データ解析装置は、データ処理装置に送られる時系列のデータにより、連続計測による尿流量曲線データを取得できる尿流量曲線データ取得機能を有する。また、少量時の精度を確保することで得られる残尿量を取得する残尿量計測機能を有する。
【0060】
センサユニット21及び処理部31を備えた非侵襲尿量推定装置30と、上記機能を有するマイコン63とを含む排尿データ記録装置52は、必要に応じて患者宅、あるいは患者が入居している介護施設、患者が入院している病院などの施設に貸出される。排尿データ解析装置53は、例えば病院、その他などの排尿データを管理する管理センターなどに設置される。
【0061】
本発明に係る排尿管理システム51では、貸出された排尿データ記録装置52を用いて、患者の排尿時刻、尿量などの排尿情報(いわゆる排尿データ)を記録する。データ保持装置62あるいはマイコンのデータ保持機能に保持された排尿データ54は、例えば無線あるいはUSBメモリなどにより、排尿データ解析装置53に送られる。排尿データ解析装置53では、送られた排尿データ54をプログラムされたパーソナルコンピュータで解析して、最大尿流量、残尿量、尿流量曲線及び排尿に要した排尿時間などの診断情報を得る。診断情報は、排尿データ記録装置から送られる排尿情報を解析して得られた、連続計測による尿流量曲線データ及び少量時の精度を確保することで得られる残尿量を含む。また同時に排尿回数、排尿量、排尿時刻(日時)などの項目を有する排尿日誌を得る。排尿データ解析装置53では、これらの患者の尿管理(つまり診断/治療)に必要な質の高い尿管理情報が得られ、同時にこの尿管理情報が保存される。
【0062】
患者の主治医は、排尿データ解析装置53から患者の尿管理情報64を得て、患者の診断/治療に役立てることができる。
【0063】
図13に、実蓄尿量と、本実施の形態の非侵襲尿量推定装置30を用いて推定した推定蓄尿量を示す。実蓄尿量とは、尿流量測定装置にて測定した実排尿量データの最終排尿量からその時間の排尿量を減算し、超音波診断装置などにて残尿が確認された場合は残尿量を加算して求めたものである。すなわち、膀胱の排尿時の実蓄尿量を示す。マーカーaは残尿のない場合の実蓄尿量を示し、マーカーbは演算されたデータに個人差を考慮して補正した推定蓄尿量を示す。図12から時間に対する蓄尿量の変化の傾向が両マーカー曲線a、b共に一致していることが認められる。
【0064】
図12に、実排尿量と尿流量の関係を示す。曲線cが実排尿量を示し、曲線dが尿流量を示す。実排尿量(曲線c)は、尿流量測定装置にて実排尿量を1秒毎に測定して得たものである。尿流量(曲線d)は、尿流量測定装置にて測定した1秒ごとの実排尿量データより算出し、
(尿流量)=(その時刻の実排尿量)−(1秒後の実排尿量)
を移動平均処理して求めたものである。
図13で説明したように、本実施の形態の非侵襲尿量推定装置30で得られた推定蓄尿量と尿流量測定装置にて測定した実蓄尿量の傾向が一致する。このことから、本実施の形態の非侵襲尿量推定装置30を利用することにより、尿流量測定ウロフロメトリー検査と同様の、すなわち重要な尿流量曲線、排尿量、残尿量のデータを例えば、自宅のトイレにて被験者に気分的な負担を与えることなく求めることができる。
【0065】
本実施の形態に係る排尿管理システム51によれば、自宅療養あるいは介護施設、病院などの施設に入っている患者の診断情報、排尿日誌などの有用な尿管理情報を、患者に負担なく且つ簡易に作成することが可能になる。そして、患者の主治医はこの尿管理情報によって、患者の蓄尿/排尿を管理することができる。これによって、排尿障害治療のレベルアップをもたらし、患者のQOL(Quality of Life)向上に確実に貢献すると共に、
オムツ費用などの削減など医療経済にも有用ならしめる。
【0066】
上述の非侵襲尿量推定装置30は、排尿障害や尿失禁の患者に対して、膀胱に溜まった蓄尿量を事前に感知し、本人または介護者、看護室等に知らせて排尿を促す場合にも適用できる。この場合は、図8の処理部において、尿量推定部、すなわち尿量推定回路33に、排尿が必要か否かを判定する判定する判定回路を含ませる。この尿量推定回路33の後段に蓄尿量に応じて排尿の必要を知らせる通報手段を接続する。通報手段としては、音(音声を含む)、光、振動などによる警報手段、あるいはランプ表示手段で構成することができる。尿量推定回路33で尿量が危険値に達したときには、通知手段を通して患者本人あるいは介護人、あるいは看護室に知らせて、失禁を含む排尿障害を未然に防ぐことができる。
【0067】
次に、より簡易にかつ精度よく蓄尿量を推定できる膀胱体積計算方法について説明する。
【0068】
一般に膀胱内の尿量を測定するためには、尿道カテーテルや超音波による検査が行われている。特に非侵襲な方法として超音波による経腹超音波法が医療現場でも広く利用されている。しかし、それらの多くは、超音波診断装置を使ったBモード法であり、計算精度を上げるためには、個人の膀胱形状を観察し、夫々に対して異なった補正係数を与える必要がある。また、患者や介護者が自宅で簡易に膀胱内の尿量を測定し、排尿管理を行うことは困難である。
【0069】
一方、前述したセンサユニット21を用いた図8の尿量推定部33の例では、膀胱形状をAモード法で計測し、排尿管理を行っている。このときの膀胱体積計算法は、各センサ22から得た膀胱の前壁及び後壁間の距離を積算して体積を算出し、尿量を推定するもので、個人ごとに補正係数を設定する必要がある。
【0070】
本発明に係る膀胱体積計算方法は、少数のセンサ(超音波振動子)からAモード法によって、膀胱形状の情報を効率よく得て、膀胱の形状変化に対応し、かつ個人毎の補正係数を設定することなく、膀胱の体積を計算する方法である。本膀胱体積計算方法は、膀胱を円錐台の集合に近似して体積を推定する円錐台近似法である。即ち、本膀胱体積計算方法は、三角形状のセンサユニット21を用いた場合、その底辺に配置した5個のセンサ22を用いて、膀胱の基準断面積を計測し、他の7個のセンサ22を含めた情報から膀胱高さや奥行きを計測し、円錐台の集合に近似して体積を推定する。膀胱の基準断面積は、恥骨上部に対応する位置での膀胱の水平断面積とし、上記底辺の5個のセンサの情報から計測される。
【0071】
以下に詳述する。膀胱は、蓄尿量の増加に伴い、腹膜を押し上げて膨張する。因みに、残尿量を測定する際、最も広く使用されているのが経腹超音波法である。経腹超音波法では、超音波プローブを下腹部に当て、腹膜と恥骨の隙間より水平断面と矢状断面の2種類のBモード画像を取得する。この水平断面での長径W、矢状断面での頭尾径H、矢状断面での腹背径Dから膀胱を楕円球に近似して数3により算出する(図14A,B参照)。
【0072】
【数3】

しかし、この方法では、膀胱の変形等により、18%程度の誤差が生じる。
【0073】
これに対して、本発明に係る膀胱体積計算方法は、Aモード計測にて膀胱体積を推定する。図15に、センサ(超音波振動子)で取得した膀胱のAモード波形を示す。本発明では、夫々のセンサから、図示のような受信波形(Aモード波形)を得て、膀胱の前壁位置及び後壁位置を計測する。得られた膀胱情報から膀胱を円錐台の集合に近似して膀胱の体積を推定する円錐台近似法を提案する。
【0074】
各円錐台の体積を計算するためには、数4に示すように、それぞれの底面と上面の面積、さらに高さが必要である。
【0075】
【数4】

【0076】
底面と上面の面積を求めるためには、図16Aに示すように、センサユニット71の水平に並べた複数のセンサ72で得られた膀胱壁情報から三角形の重ね合わせに近似して面積Sを求める。また、高さを求めるためには、図16Bに示すように、縦に位置したセンサ72によって、膀胱の各高さΔhが求められる。例えば、図16Bのように縦に位置した複数のセンサ72からの超音波が平行に発振する場合には、縦に位置した複数のセンサ72の間隔によって、膀胱の高さΔhを求める。さらに、夫々の高さにおける奥行きDも計測する。ここで、夫々の底面と上面の面積を少ないセンサにて計算するために、図17に示すように、ある1つの基準面の水平断面積と各基準面からの高さでの奥行きを利用して、数5により計算する。図16A,Bにおいて、73は膀胱、74は恥骨を示す。
【0077】
【数5】

【0078】
また、図17に示すように、センサ72の外にあって観測できない膀胱体積に関しては、膀胱上部73Aを円錐と仮定し、恥骨に隠れる膀胱底部73Bを半球と仮定する。そして、これらの各円錐台の膀胱部分73C、膀胱上部73A及び膀胱底部73Bの体積を積算して数6により全体の膀胱体積Vcalを算出する。73は全体の膀胱を示す。
【0079】
【数6】

【0080】
次に、恥骨上部に対応する位置の膀胱の水平断面積を、基準面に設定した理由について説明する。円錐台近似法を用いる場合、数5により各膀胱高さにおける奥行きの比から、夫々の水平断面積を推定するため、膀胱のどの高さの水平断面を基準とするかが重要となる。基準面となる水平断面積Sを求めるため、CT画像を利用した検討を行った。
【0081】
図18に、男性患者(患者A)の腹部CT画像を示す。符号73は膀胱を示す。骨盤内の膀胱底部(f)0mmから膀胱上部(a)30mmまで6mm間隔で膀胱73の水平断面を観察した。膀胱73の水平断面の形状は、徐々に変化させながら主に腹部にせり出すように膨張し、膀胱中間部(c)18mmで最大面積となった後、僅かに収縮し、膀胱上部(a)に達している。このCT画像から、画像解析ソフトScion-imageを用いて基準となる面積及び各水平断面における奥行きを計測し、実際の膀胱体積と比較する。基準となる水平断面として、腹膜や体位等の影響が少ないと考えられる恥骨上部の水平断面Spubic(e)と、経腹超音波法等で利用される最大水平断面Smax(c)の2種類について、夫々の膀胱体積Vcalを計算し、実体積Vtrueと比較する。
【0082】
表1に計算結果を示す。男性患者(患者A)に加え、女性患者(患者B)についても同様の方法で膀胱体積の計算を行った。いずれの場合も、恥骨上部の水平断面Spubicを基準とした方が、誤差が少ない結果となった。本発明では、この表1の結果から恥骨上部の水平断面Spubicを基準面とするものである。
【0083】
【表1】

【0084】
次に、本発明の円錐台近似法による膀胱体積計算方法の妥当性について検証する。本方法の妥当性を確かめるため、エコー画像による検証を行った。健常者の異なる尿量の膀胱について、超音波診断装置を用いて膀胱の異なる高さでの水平断面エコー画像を撮影し、上記CT画像と同様にして、恥骨上部の水平断面Spubic、及び最大水平断面Smaxの2つを基準として本方法を適応し、膀胱体積を計算した。
【0085】
81mlから454mlの異なる尿量膀胱19例を測定し、1つの膀胱に対し6〜12枚程度のエコー画像を取得した。被験者は仰臥位にてエコー画像取得後、5分以内に排尿を行い、排尿量を測定した。排尿後、再び超音波診断装置にて残尿検査を行い、残尿がないことを確認している。測定した排尿量は、撮影したエコー画像における膀胱の実体積とほぼ等しい。
【0086】
図19に、膀胱の実体積Vtrueと、恥骨上部を基準として計算した膀胱体積Vpubic、及び最大水平断面を基準として計算した膀胱体積Vmaxを示す。図中の実線は実体積と計算された体積が一致する直線である。◆印はVpubic、◇印はVmaxである。この図19から、実体積と計算された体積は、よく一致していることが分かる。すなわち、膀胱を円錐台に近似する本膀胱体積計算方法は、膀胱体積を精度よく推定することができることを示唆している。恥骨上部の水平断面を基準とする場合(◆印)は、更に精度がよい。
【0087】
表2に、夫々の平均絶対誤差と標準偏差を示す。恥骨上部の水平断面を基準とした場合の誤差率10.4%に対して、最大水平断面を基準とした場合は、18.1%と誤差が大きい。つまり、エコー画像による検討においても、本膀胱体積計算方法を適応する際、恥骨上部の水平断面を基準とする方が、精度のよい体積計算ができることが確認できる。
【0088】
【表2】

【0089】
本発明では、本膀胱体積計算方法が適用されるセンサユニットとして、センサ数の少ない前述の図1に示すセンサユニット21を用いることができる。図20及び図21に、本膀胱体積計算方法が適用されるセンサユニット21の角度θ1、θ2を特定した一具体例、特に各センサ22から発振される超音波の軌跡の一例を示す。センサユニット21は、前述の図1に示すように、12個の超音波振動子によるセンサ22(1)〜22(12)が三角形状をなすように配置されている。各センサ22(1)〜22(12)は、それぞれ異なる角度θ1、θ2を付けて配置される。25は膀胱、26は恥骨、27は腹膜を示す。
【0090】
θ1に関しては、センサ22(8)及び22(12)が7.5°、センサ22(9)及び22(11)が5°センサ22(6)及び22(10)が0°である。さらに、センサ22(5)及び22(7)が5°、センサ22(4)及び22(3)が7.5°、センサ22(1)及び22(2)が7.5°である。
【0091】
θ2に関しては、センサ22(1)が5°、センサ22(2)が10°、センサ22(3)が5°、センサ22(4)が12.5°である。センサ22(5)〜22(7)が10°、センサ22(8)〜22(12)が5°である。
【0092】
なお、図20及び図21に示す各センサ22の角度θ1、θ2は、一具体例に過ぎず、前述のθ1の最大が12.5°程度、θ2の最大が10°程度の範囲内で、センサユニットの設計に応じて適宜変更し得る。また、図1のセンサユニット21のセンサ22の個数、配置も、後述するように、センサユニットの設計に応じて適宜変更し得る。
【0093】
センサ22(1)〜22(12)の周波数は3MHz、直径は10mmとした。センサユニット21は、駆動ドライバに接続され、駆動ドライバにより12個のセンサ22に順次パルス信号を与えて超音波を発信し、同じセンサ22にて受信した反射波のエネルギーレベルを保存する。三角形状の最下段に横一列に配置された5個のセンサ22(8)〜22(12)が、放射状に超音波を発振・受信し、恥骨上部に対応する位置の膀胱の水平断面を捉える。センサ22(1)〜22(7)は、高さ方向に異なる角度θ2を付けて縦に配置されており、膀胱の高さ情報と、夫々の高さにおける奥行き情報を捉える。また、センサ22(5)〜22(7)は、最下段の5個のセンサ22(8)〜22(12)が膀胱後壁の大きな変形等で水平断面を捉えられなかった際に、最下段のセンサ22(8)〜22(12)とは異なる角度で水平断面積を捉えるセンサとしても用いられる。これらのセンサ22によって、膀胱の円錐台近似を可能にする。
【0094】
膀胱体積を各円錐台体積の集合として捉える際の各円錐台の高さΔhは、基準面からの各膀胱高さh、hi+1、hi+2、hi+3、・・としたとき、各膀胱高さの差分で規定される。つまり、各Δhは、(hi+1)―(h)=Δh、(hi+2)−(hi+1)=Δh、(hi+3)−(hi+2)=Δh、・・・となる。
【0095】
ここで、膀胱の各高さΔh(数4のΔhに相当)は、一例として次のように規定することができる。図21に示すように、先ず、4段目のセンサ22[(8)〜(12)]から5°の角度で発振されて膀胱25を前壁及び後壁を横切る超音波の軌跡を基準線とする。次に、例えばセンサ22[(5)〜(7)]から10°の角度で発振されて膀胱25を前壁及び後壁を横切る超音波の軌跡と、膀胱25の後壁との交点を基準にして、この交点から基準線と平行する5°の角度で延長する延長線を求める。この延長線と上記基準線との間の高さがΔhとなる。同様に、センサ22(4)から12.5°の角度で発振されて膀胱25を前壁及び後壁を横切る超音波の軌跡と、膀胱25の後壁との交点を基準にして、この交点から基準線と平行する5°の角度で延長する線を求める。同様にして、センサ22(3)から5°角度で発振されて膀胱25を前壁及び後壁を横切る超音波の軌跡による線を求める。この線は基準線と平行する。同様にして、センサ22(2)から10°の角度で発振されて膀胱25を前壁及び後壁を横切る超音波の軌跡と、膀胱25の後壁との交点を基準にして、この交点から基準線と平行する5°の角度で延長する線を求める。同様にして、センサ22(1)から5°角度で発振されて膀胱25を前壁及び後壁を横切る超音波の軌跡による線を求める。この線は基準線と平行する。膀胱の各高さΔhは、最下段のセンサからの超音波軌跡を基準線として、この基準線と縦方向に配列された各センサからの超音波で得られる基準線と平行する各線との相互に隣り合う線間の間隔で規定される。
【0096】
膀胱の各高さΔhの設定の方法は、上例の他に、例えば超音波と膀胱前壁との交点を基準に、この交点から基準線と平行する延長線を求めるようにして、Δhを設定する方法等、種々の設定方法が考えられる。このΔhは、少なくとも、角度の異なる各センサ22からの超音波に基いて求められるものである。
【0097】
本発明の膀胱体積計算方法の臨床における有用性を検証した。検証は、健常者9名(男性5名、女性4名)の膀胱61例について、図20及び図21のセンサユニット21にて測定を行い、円錐台近似法で膀胱体積を計算した。センサユニット21には音響結合剤であるエコーゲルを塗布し、仰臥位の被験者の腹部に、三角形状の底辺側が恥骨26上部から膀胱25を捉えられるようにセンサユニット21を装着した。図22にセンサユニット21の12個の全センサ22にて得られる受信波形(Aモード波形)を示す。
【0098】
この受信波形にて得られる膀胱壁情報から膀胱体積を計算する。また、計算した膀胱体積と比較検証するために、センサユニット21にて測定後、5分以内に尿流量測定装置に排尿し、実排尿量を測定した。その後、超音波診断装置にて残尿がないことを確認した。すなわち、実排尿量は、排尿直前の膀胱内の実尿量とほぼ等しい。図23に、膀胱内の実尿量と、センサユニット21の受信波形から円錐台近似法にて膀胱体積を算出し、推定した尿量とを示す。測定した実尿量の範囲44ml〜506mlにおいて、実尿量と推定尿量は良く一致しており、相関係数γは0.96であった。
【0099】
実尿量44mlから506mlの膀胱について、円錐台近似法で得た尿量推定との平均絶対誤差は14%、標準偏差は20.8であった。この結果、本膀胱体積計算方法の有用性が確認された。
【0100】
上述の円錐台近似法による本膀胱体積計算方法は、センサユニットのセンサ総数、各段の配置数に拘わらず成り立つものである。本方法が適用されるセンサユニットのセンサは、の12個に限らず、必要に応じて適宜設定することができる。センサユニットの形状としては、膀胱底部形状を捉えるX方向(底辺部)と頂部を捉えるY方向にセンサを配置した逆T字型とすることができる。
【0101】
次に、上述の本膀胱体積計算方法を用いた本発明に係る非侵襲尿量推定装置の他の実施の形態を説明する。本実施の形態では、センサユニットとして前述の図1に示すセンサユニット21が用いられる。本実施の形態に係る非侵襲尿量推定装置は、センサユニット21と、このセンサユニット21のセンサ群の各センサから発振させた超音波の膀胱壁からの反射超音波を検出し、演算して膀胱体積を求め尿量を推定する処理部とを備える。図示しないが、この処理部では、センサユニット21の各センサ22[(1)〜(12)]で受信する膀胱の前壁及び後壁の位置情報となる受診波形、すなわちAモード波形に基いて円錐台近似法で膀胱体積を計算する演算部を有する。
【0102】
この演算部では、次のような計算(演算)が行われる。センサユニット21の縦方向の各段のセンサ行221〜224の複数のセンサ22でのAモードの受信波形により各膀胱高さにおける膀胱の奥行きDを計測する。各膀胱高さとは、下記基準面からの各膀胱高さに相当する。恥骨上に対応する最下段の5個のセンサ22[(8)〜(12)]で膀胱の基準面となる水平断面積Sと基準面での膀胱の奥行きDを計測する。基準面の水平断面積Sと、各膀胱高さでの奥行きDを用いて、上述の[数5]により計算して各膀胱高さ位置における膀胱の水平断面積Sを求める。各膀胱高さの差分で規定される各高さΔhで切断した各膀胱の円錐台体積Viを、夫々の底面と上面の水平断面積Si、Si+1と高さΔhとから上述の[数4]によりに計算して求める。恥骨に隠れる膀胱底部は半球体積と推定し、膀胱最上部は円錐体積と推定して、この半球体積及び円錐体積を計算して求める。そして、各円錐台体積、半球体積及び円錐体積を積算して全体の膀胱体積を算出する。
本実施の形態に係る非侵襲尿量推定装置によれば、膀胱体積を円錐台近似法で求めて、尿量を推定する処理部を備えることにより、少尿量から多尿量まで広い範囲にわたって、より高精度に実尿量に近い尿量を推定することができる。
【0103】
次に、かかる膀胱体積計算方法を適用した非侵襲尿量推定装置を備えた本発明に係る排尿管理システムの他の実施の形態について説明する。本排尿管理システムは、図11のブロック構成と同様に、上記の本膀胱体積計算方法を適用した非侵襲尿量推定装置と、この非侵襲尿量推定装置からの計測データを処理し保存するデータ処理・データ保存装置を有する排尿データ記録装置を備える。さらに、本排尿管理システムは、排尿データ記録装置から送られた排尿時刻、排尿量を含む排尿情報を解析して、診断情報と排尿日誌を含む尿管理情報を得、かつ保存する排尿データ解析装置を備える。非侵襲尿量推定装置は、上記したセンサユニット21及び処理部を有する。排尿データ記録装置には、時計装置も有する。
【0104】
前述と同様に、診断情報は、排尿データ記録装置から送られる排尿情報を解析して得られた、連続計測による尿流量曲線データ、少量時の精度を確保することで得られる残尿量、最大尿流量、排尿に要した排尿時間などを含む。排尿日誌は、排尿回数、排尿量、排尿時刻(日時)などの項目を有する
排尿データ解析装置は、データ処理装置に送られる時系列のデータにより、連続計測による尿流量曲線データを取得できる尿流量曲線データ取得機能を有する。また、少量時の精度を確保することで得られる残尿量を取得する残尿量計測機能を有する。
【0105】
本排尿管理システムでは、上述の図11を用いて説明したと同様にして、排尿データ解析装置からの排尿管理情報に基づいて、患者の蓄尿/排尿管理が行われる。
【0106】
本実施の形態に係る排尿管理システムによれば、膀胱体積を円錐台近似法で求めて尿量を推定する処理部を備え、より正確な尿管理情報を算出することができるので、さらに適切な患者の蓄尿/排尿管理の実用化を図ることができる。
【0107】
上述した円錐台近似法により膀胱体積を推定する非侵襲尿量推定装置を適用することにより、有用な情報を加えた排尿日誌の自動記録を自宅で簡単に、しかも患者に負担なく作成することが可能になる。本膀胱体積計算方法は、前述した排尿管理システムの更なる実用化を促進させることができる。
【符号の説明】
【0108】
21・・非侵襲尿量推定センサユニット、22・・センサ、23・・センサ群、24・・超音波、25・膀胱、26・・恥骨、27・・腹膜、28・・隙間、30・・非侵襲尿量推定センサユニット装置、31・・処理部、32・・膀胱形状測定部、33・・尿量推定部、45・・発信制御部、46・・信号処理部、51・・マルチプレクサ、52・・超音波発信アンプ、53・・超音波受信アンプ、54・・パルス発信回路、55・・パルス制御回路、56・・信号処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子による複数のセンサからなり、各センサが膀胱形状を検出できるような配列と超音波出射角度に設定されたセンサ群を有する
非侵襲尿量推定センサユニット。
【請求項2】
前記センサ群は、
超音波が2次元的な広がりをもって出射され、膀胱底部の形状を検出する複数のセンサからなる第1のセンサ部と、
3次元的な広がりをもって出射され、膀胱の拡張高さを検出する複数のセンサからなる第2のセンサ部と
を有する請求項1記載の非侵襲尿量推定センサユニット。
【請求項3】
前記第1のセンサ部内の一部のセンサの超音波出射面が2次元的な広がり面に対して所要の角度傾いている
請求項2記載の非侵襲尿量推定センサユニット。
【請求項4】
前記センサ群は、
膀胱の底部に出射するセンサ数を最も多くし、底辺側から頂部に向かって複数段のセンサ行を有するように、超音波振動子による複数のセンサが2次元的に配列されて成る
請求項3記載の非侵襲尿量推定センサユニット。
【請求項5】
前記底辺側のセンサ行の各センサから出射した超音波により、主として膀胱底部側の形状変化を捉え、
前記底辺側のセンサ行を除く他のセンサ行の各センサから出射した超音波により、主として膀胱の膨張の高さを捉える
請求項4記載の非侵襲尿量推定センサユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の非侵襲尿量推定センサユニットと、
前記非侵襲尿量推定センサユニットのセンサ群の各センサから発振させた超音波の膀胱壁からの反射超音波を検出し、演算して膀胱の立体形状を測定して尿量を推定する処理部と
を備える
非侵襲尿量推定装置。
【請求項7】
前記処理部は、
前記センサ群の各センサを順次発信させる発信制御部と、
膀胱の前壁及び後壁で反射した超音波を前記センサで受信し、得られた受信信号から膀胱の前壁及び後壁の位置を演算し膀胱の立体形状を測定する信号処理部と、
前記信号処理部で得られた膀胱の立体形状から尿量を推定する尿量推定部と
を有する請求項6記載の非侵襲尿量推定装置。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれかに記載の非侵襲尿量推定センサユニットと、
前記非侵襲尿量推定センサユニットのセンサ群の各センサから発振させた超音波の膀胱壁からの反射超音波を検出し、演算して膀胱の立体形状を測定して尿量を推定する処理部を有する非侵襲尿量推定装置と、
前記非侵襲尿量推定装置からの計測データを処理し保存するデータ処理・データ保存装置と
を有する排尿データ記録装置と、
前記排尿データ記録装置から送られた排尿時刻、排尿量を含む排尿情報を解析して、連続計測による尿流量曲線データ及び少量時の精度を確保することで得られる残尿量を含む診断情報と排尿日誌を含む尿管理情報を得、かつ保存する排尿データ解析装置と
を備え、
前記尿管理情報を基に患者の蓄尿/排尿管理を行う
排尿管理システム。
【請求項9】
前記処理部は、
前記センサ群の各センサを順次発信させる発信制御部と、
膀胱の前壁及び後壁で反射した超音波を前記センサで受信し、得られた受信信号の時間差から膀胱の前壁及び後壁の位置を演算し膀胱の立体形状を測定する信号処理部と、
前記信号処理部で得られた膀胱の立体形状から尿量を推定する尿量推定部と
を有し、
前記尿量推定部を通じて排尿時刻、排尿量を含む排尿情報を得る
請求項8記載の排尿管理システム。
【請求項10】
請求項4に記載の非侵襲尿量推定センサユニットと、
前記非侵襲尿量推定センサユニットのセンサ群の各センサから発振させた超音波の膀胱壁からの反射超音波を検出し、演算して膀胱体積を求めて尿量を推定する処理部と
を備え、
前記処理部では、各センサで受信する膀胱前後壁の位置情報となるAモード波形に基き、円錐台近似法で膀胱体積を計算する演算部を有し、
前記演算部では、
縦方向の各段のセンサ行に配置された縦方向に異なる角度がついた複数のセンサでのAモードの受信波形により、各センサから得られる各膀胱高さにおける膀胱の奥行きDを計測し、
恥骨上部に対応する最下段の複数のセンサで膀胱の基準面となる水平断面積Sと基準面での膀胱の奥行きDを計測し、前記基準面の水平断面積Sと基準面での奥行きD、および各膀胱高さでの奥行きDを用いて、数7により計算して各膀胱高さ位置における膀胱の水平断面積Sを求め、
【数7】

前記各膀胱高さの差分で規定される各高さΔhで切断した各膀胱の円錐台体積Vを、夫々の底面と上面の水平断面積S、Si+1と高さΔhから数8により計算して求め、
【数8】

前記恥骨に隠れる膀胱底部は半球体積と推定し、膀胱最上部は円錐体積と推定し、
前記各円錐台体積、前記半球体積および前記円錐体積を積算して全体の膀胱体積を算出する
非侵襲尿量推定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の非侵襲尿量推定装置と、
前記非侵襲尿量推定装置からの計測データを処理し保存するデータ処理・データ保存装置と
を有する排尿データ記録装置と、
前記排尿データ記録装置から送られた排尿時刻、排尿量を含む排尿情報を解析して、連続計測による尿流量曲線データ及び少量時の精度を確保することで得られる残尿量を含む診断情報と排尿日誌を含む尿管理情報を得、かつ保存する排尿データ解析装置と
を備え、
前記尿管理情報を基に患者の蓄尿/排尿管理を行う
排尿管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図10】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−183142(P2011−183142A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200206(P2010−200206)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20〜22年度、文部科学省、都市エリア産学官連携促進事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504205521)国立大学法人 長崎大学 (226)
【出願人】(308030787)サイエンスリサーチ株式会社 (3)
【出願人】(596102528)株式会社オンガエンジニアリング (2)
【Fターム(参考)】