非侵襲温度モニターデバイス
モニター・システムは少なくとも1つのセンサー(120)、好ましくは肌および周囲温度センサー(120)をハウジング(95)内に有する。モジュールは耐久性タイプと使い捨てタイプのいずれのタイプにも実施できる。ハウジング(95)に、着用者の肌に取付け易く且つ着用者の肌と整合する表面構造および形状を付与することによって体温測定の精度を高めることができる。モジュール(55)からのデータを得てこれを表示する(図示しない)レシーバを設けることができる。モジュール(55)は出力データを表示することもできる。出力データは着用者の生理的パラメータに関する検出データおよびコンテクスト・パラメータから導き出されるデータの双方を含み、構内受信者に直接的に、または商業ネットワークを介して遠隔の受信者に送信可能である。このシステムは多様な生理的および健康上の状態および事象の発生を推論し、予告し、これを出力データとして報告することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連続的に生理学的にモニターするためのデバイス、特に、主として被験者の体温に関連するデータを収集、記憶、処理および表示するためのデバイスに係わる。本発明はまた、温度およびその他の検知されたデータを利用することによってその他の身体的状態やその背景を誘導し、報告するための体温測定デバイスにも係わる。主として人間を対象とするが、獣医による診断やいわゆるペット・ケアのため動物にも適用できる。
【背景技術】
【0002】
体内温度は被験者の重要器官の温度である。被験者が高熱状態にあると体温が異常に高い状態となり、場合によってはタンパク質機能が回復不能に失われる変性に陥り、最終的には死に至ることがある。異常に低い体温は被験者を、体内での化学反応速度に影響してこれを停滞させ、呼吸または循環障害を招く恐れのある低体温状態に陥らせる。長年に亘って、正常またはベースライン体温の基準は98.6°Fまたは37°Cとされ、この温度において身体が安定しようとすると考えられてきた。しかし、研究の結果、正常な体温とは幅のある範囲であることが判明した。米国医師会によれば、被験者の体温は約97.8°Fまたは36.5℃乃至99°Fまたは37.2℃の幅を持つことができる。通常、身体はほぼ36.5−37.5℃の狭い範囲内に維持される。肌温度は一般に体内温度よりも2−3℃低いとされ、実際の数値は身体を囲む環境の周囲温度や血管運動神経の調子など多くの要因に左右される。被験者の具体的な正常またはベースライン測定温度は多様な要因に左右される。例えば、時刻、直前の行為、液体および食品の消費、測定場所および/または測定方法が検知される被験者の体温に影響することがある。また、類似の人口統計データを有する1群の被験者の正常体温は上記およびその他の要因、例えば、年齢、新陳代謝率、性別および疾病の有無に応じて異なることがある。
【0003】
充分な時間をかけて被験者の体温をモニターすることによって、特定の被験者の実際の正常体温または体温範囲を測定することができる。この重要な統計を知ることは、人体の組織および細胞に著しい損傷を与えかねない体温の両極端が起こるのを防止する上で重要である。さらに、体温上昇の結果として、特に乳児における発熱と関連する一時的なひきつけである発熱性発作を起こす恐れがある。発熱性発作は急激な発熱と関係があり、生後6ヶ月から6年までの幼児に起こる。発熱性発作は多くの場合、被験者に対する長期的または恒久的に損傷するという結果を招くことはないが、いかなる種類の発作にも見られるように発熱性発作に伴う身体的な損傷が残るリスクが存在する。
【0004】
真の体内温度は心臓からの動脈血の温度である。この特定の場所における測定には肺動脈カテーテル法が必要であるが、この方法が侵襲性であるだけに、多くの場合、妥当ではない。従って、被験者の血液温度に近似の結果をもたらす体温測定値は体内温度に最も近い部位で測定しなければならない。通常、そのような場所としては、口腔、腋の下、直腸、および鼓膜である。しかし、これらの部位のうち、どの部位で行う体温測定値も真の体内温度ではないから、測定部位によってエラーまたは偏差を含む。
【0005】
体温測定の精度に影響する要因の1つは、測定部位によって灌流量に差があるということである。灌流とは一般に、生活機能を行うために細胞が必要とする栄養成分の放出を指す。灌流は身体の種々の領域への栄養成分の放出および配分を行うのに必要な動脈血流量でもある。従って、灌流を、血液流量を示す要因、例えば、血液温度と相関させることができる。即ち、適切に灌流される領域には充分な血液が供給されるからである。
【0006】
人体の視床下部は身体を、生体機能の代謝平衡である恒常状態に維持しようとする。但し、この代謝平衡が周囲温度によって影響を受けると、視床下部が体温に関連する反応を起こすセットポイントがトリガーされ、その結果、身体部位への血流が減少することがある。血流が心臓やその他の重要器官から遠ざかるに従って、心臓から遠い特定の身体部位に対する周囲温度の影響が増大する。例えば、周囲温度が通常よりも低い場合、身体は重要器官の定常状態およびこれと関連する内部温度を維持するため、抹消血流を極度に減少させようとする。抹消血流の減少は灌流の減少と相関関係にあり、結果として肌温度が低下する。
【0007】
身体の種々の領域を通過する血液はそれぞれの領域に応じて体温の上昇および低下に相当する異なる温度変化率を示す。供給される血液の流量に応じて温度が変動するのに要する時間量は身体の検知部位に応じて著しくことなる。エラーまたは偏差も主として環境条件によって左右される。また、身体の部位はそれぞれの部位に固有の、測定結果に影響する誤差変数を有する。
【0008】
口腔体温は都合の良い非侵襲性の測定部位であり、特に投薬されている状態において体内温度と等価の結果が得られる測定部位として許容されている。舌には体内温度をそのまま反映する比較的多量の血流がある。しかし、咳き込んだり、物を飲んだり、食べたり、話したり、というような被験者の行為は検知される体温を低下させ、誤った結果を生む可能性がある。広く採用されているが、この体温測定法は測定デバイスが正しく配置され、患者の協力が得られることが前提となる。正確な測定値を得るのに必要な測定時間は3分間とされている。
【0009】
腋の下も体温測定に好都合な、非侵襲性の部位である。腋の下の温度は腋窩
で、即ち、腋窩と腕との2層の皮膚の間で外部的に測定することができる。測定の精度はこの身体部位における動脈にどの程度に近い部位で測定が行われるかに応じて異なる。腋窩部位は周囲温度によって悪影響を受けることがあり、極度に低温または高温の環境は誤った測定結果を生む。腋窩の形状も測定結果に影響する。窪んでいる腋窩は絶縁するのが困難であり、環境の周囲温度に曝され易い。この方法で測定された温度は口腔で測定された温度よりも0.3乃至0.4℃低くなる傾向がある。測定時間は口腔体温測定の場合と同様か、またはそれよりも長くなる。
【0010】
直腸温度は直腸内で測定される。所要時間が短く、通常、測定時間は1分間である。身体の動きが激しいため、測定誤差が大きくなり易い幼児の体温測定には特に重要である。しかし、測定部位としては最も不快感を伴う部位である。直腸は環境から充分に絶縁されており、測定結果は口腔または腋窩部位で測定される温度よりも被験者の体内温度に近似である。直腸で測定される体温は口腔測定で得られる体温よりも0.5乃至0.7℃高くなる傾向がある。
【0011】
直腸体温測定値は精度が比較的高いが、測定方法に難点がある。この方法は被験者に損傷を与える恐れがある。直腸への体温計の送入が感染や測定デバイスに関連する衛生状態および/またはその使用に起因する疾病のほか、デリケートな組織の穿孔を起こすかも知れないからである。また、直腸内に存在している物体が絶縁体として作用し、急激な体温の変化となって直ぐに反映されない場合があるから、直腸温度は口腔温度よりも熱の入力および損失に対する応答が遅い。
【0012】
耳にも体温測定に好適な部位が2つある。第1の部位は三半規管の外部である。三半規管は好都合な非侵襲性の部位ではあるが、環境条件および身体に対する環境条件の冷却作用に影響され易い。第2の部位は頭蓋骨の深い内部に位置して三半規管と同じ影響は受けない鼓膜である。鼓膜における体温測定も近年は広く採用される測定方法となっている。鼓膜温度は温度を制御する視床下部と血液供給を分け合うから、体内温度の比較的正確な反映である。温度変化が素早く且つ比較的正確に反映される。但し、鼓膜において体温を測定するには、長く、細い熱電対プローブを耳に挿入しなければならず、被験者に多大の不快感を与える。熱電対プローブは極めてデリケートな鼓膜に接触するか、または少なくとも近接したままでなければならないから、被験者の協力と損傷のリスクが前提となる。
【0013】
体温測定には多様なデバイスと方法が知られており、その多くは連続的な測定ではなく、固定的な測定を目的とするものである。最も正確な体温測定デバイスおよび方法は残念ながら最も侵襲性のものであり、例えば、肺動脈/熱希釈カテーテル、食道体温計、留置式膀胱および直腸体温計などである。肺動脈/熱希釈カテーテルは心臓の肺流出路の温度を連続的にモニターできるから、最も正確な体温測定方法である。しかし、これらの方法は侵襲性であり、実用的ではないから、非連続的な測定の場合においても、被験者の体温をもっと手軽に測定するデバイスが開発されている。
【0014】
長年に亘って、体温測定には水銀体温計や液体膨張式体温計が使用されているが、一部の原因として、測定精度が、体温計を正しく位置させ、測定者が示度数を正しく解釈するという前提条件下での測定時間に依存するから、このようなデバイスの精度には問題がある。このような精度上の欠点はデバイスを使用する際の測定部位の数が口腔、腋窩および直腸などに限られることにも原因がある。研究結果によると、水銀体温計の場合、正常な体温において0.5℃または0.9°F程度の誤差を伴い、被験者が高熱の状態にある場合にはこの誤差がもっと大きくなることが判明している。しかも、水銀体温計の使用に際しては、体温計が不注意から破損したり、廃棄されたりする恐れがある。液状水銀がこぼれると、滴状を呈する水銀が無臭、無色、毒性の蒸気を放出する。水銀は有毒であり、こぼした場合には拭い取ることが困難であるから、この種の体温計は今日では広く使用されてはおらず、測定部位によっては禁止されているのが実状である。この単純な測定手段には1回毎の測定値が記録されるだけであるから、被験者の連続的な体温推移を測定し、記録することができない。その都度の体温測定を長期に亘って行うことは、体温測定のたびに目を覚ましていなければならない患者にとって煩わしいことである。ディジタル体温計とも呼称される電子体温計は水銀体温計よりも精度が高いと考えられるが、水銀体温計よりはやや使い勝手がよいというだけで、機能性は本質的に水銀体温計と大差はない。
【0015】
使い捨て製品として設計された化学的体温計も体温計の1つである。この種の体温計の1例としては、Vicks Disposable Thermometer(ヴィックス使い捨て体温計)Model V920がある。この体温計は紙製のデバイスであって、その表面に活性化学物質がドット状に付加されている。ドットは体温測定値に応じて変色する。このデバイスは使い捨てであるから、同じデバイスを繰返し使用するうちに細菌などでデバイスが汚染される心配がないという点で有益である。しかし、経験に照らして、この種の体温測定片は明確性を欠き、精度が低く、一貫性がなく、擬陽性的な結果を示すことが少なくない。
【0016】
体温測定の分野で行われている開発の多くは使用者にとっての快適さと便宜性の改善を目指すものであり、例えば、可撓的に歯と口腔内側にフィットし、容易に顎に落ち着き、どの被験者にも適合するような湾曲したゴム製の付属物またはプローブを使用するというアイデアが開発されている。このような努力も非生産的である。1例として、幼児の体温を見慣れた形状のデバイスでモニターできるようにおしゃぶりに似たプローブを利用するアイデアがある。しかし、幼児の自然な且つ反射的な吸引動作が原因で、このデバイスはノイズを伴う不正確なものになる。従って、これらの改良は使用上の利便性を目指すものであって、技量や使用者のエラーとは関係なく、精度および一貫性の改善に関しては殆ど達成されていない。また、上記のデバイスはいずれも静的測定を目的とするものである。多くの場合、人間工学、安全性、利便性およびデータ保持性の観点から全く非実用的である。
【0017】
その他の新しい方法およびデバイスとして、体内温度の体液が排泄された直後、尿または腸の動きを感知するオムツがある。しかし、これは全く成り行き任せであり、適正な部位で且つ適正に予測しなければならず、冷却または温度上昇の前にピーク温度を検知して測定値を記録しなければならない。センサー/デバイスは汚れるから、製品の廃棄または洗浄も考察されている。
【0018】
赤外線放射体温計は被験者から放出される赤外線エネルギーを検知し、このエネルギーを電気信号に変換し、周囲温度に起因する偏差を補正した後これを体温測定値として表示する非侵襲性体温測定デバイスである。赤外線放射体温計はいろいろな部位で使用することができ、顕著な長所を有する。赤外線放射体温計は最近、肺動脈温度と密接に相関することが報告された側頭膜測定に利用することができ特に幼児のモニターにおいて良く知られている。特に、頻繁な読みを必要とする場合、測定者が人体の開口部や腋窩を利用することによって幼児を困惑させる必要が無いからである。赤外線放射体温計の主な短所はオペレータの技量に著しく左右されることである。使用方法が一貫していないと、一貫して正確な測定値を得ることは困難である。また、赤外線レンズの清浄度が測定結果に著しく影響する。また、赤外線放射体温計は被験者の肌体温測定値に対する周囲温度の影響を考慮しないのが普通である。
【0019】
多くの場合、コストと精度との間には常に二律背反の関係がある。この問題はこの分野、特に使い捨て製品の分野では深刻である。衛生上の観点から、使い捨て製品は益々脚光を浴びつつある。これは施設用として最も好適である。しかし使い捨てということは必然的に製品のコストを制限することになり、デバイスがこの制約を超えた機能を発揮することを困難にする。
【0020】
多くの状況において、体温示度数を、この示度数から推定または誘導されるデータ、診断およびその他の情報との組み合わせるならば、もし従来行われているような上述した周期的、静的測定ではなく連続的な測定が行われるなら、より有用且つ正確な結果が得られるであろう。連続的な測定を容易にするデバイスおよび方法が既に幾つか提案されている。
【0021】
肌は従来、測定が表層動脈に近い部位において行われる場合でも、体温測定に適した部位とは考えられなかった。その理由の1つとして、肌での体温測定は末梢機能のシャットダウン、肌からの乖離、動作、および環境によるおよび内部的(加湿)影響に起因する顕著なノイズに妨げられる。そうであっても、肌という部位は左程侵襲的ではなく、体温モニターを長期に亘って着用するには快適な部位となり得る。これらの体温モニターは衣類、オムツ、装着ベルトなどによって環境から保護することもできる。
【0022】
船井によって台湾と日本で製造され、種々の商品名でGranford MarketingとManagement Servicesによって販売されているWireless Thermometerはモニターすべき患者の衣類またはオムツに固定されるトランシーバデバイスとして機能する。センサーはクリップに取り付けられ、肌と直接接触させる。このデバイスは衣類またはオムツという物品を利用して肌とセンサーとの接触を維持する。センサーは体温を記録し、示度数をLCDスクリーン上に表示する。トランシーバは無線送信を介してレシーバと組み合わされており、レシーバは体温データを受信し、もし特定の温度閾値に達すると音声警報を発するようにプリセットすることができる。履歴データを記憶させる対策はなされていない。このような機能を提供する公知デバイスが数多く提案されている。
【0023】
2005年2月8日付Rubinstein米国特許第6,852,085号“Fever Alarm System(発熱アラーム・システム)”は連続的体温測定デバイスを開示している。このデバイスは体温を計算するため、肌温度および周囲室温を連続的に測定する2つのサーミスタを有するマイクロプロセッサを含む。第1サーミスタは肌の近傍に位置し、これを囲む環境から絶縁されている。第2サーミスタは周囲の空気に露出し、肌とは接触していない。このデバイスは肌温度と周囲の室温の双方を測定し、計算された結果を、無線周波数トランスミッタを介して表示ユニットへ送信し、表示ユニットは被験者の体温現在値を表示する。このデバイスは所定の温度閾値に達すると、トリガーされる調整可能なアラームをも含む。
【0024】
このデバイスは肌温度と周囲温度の双方を測定し、最初の結果が計算されるまでの30分間に亘って周囲室温の履歴を記録しなければならない。高熱状態にある被験者をモニターしている場合、周囲室温を考慮するために30分間遅延することは生死に係わる。このデバイスの出力は計算であり、被験者から検知された体温の実際の測定履歴に基づくものでもなく、この特定被験者の生理、生理的能力、行動および体内温度との相関関係に基づくものでもない。即ち、このデバイスは分析値の表形式データを記憶しているプログラム可能な読み出し専用メモリからこのような情報を得る。表形式データは、想定される特定の入力セットに対応して特定の出力を生成するデータ間マッピングによって誘導される。この検索テーブルに含まれるデータは長期に亘って予め得られた体温と肌/周囲温度との関係と、肌/周囲温度の相互関係および相互作用に関する実験データである。これらのデータは参照値の記憶という初期ステップを必要とし、特定被験者毎の入力とは無関係である。
【0025】
2003年9月11日付Pompeii米国特許公報第2003/69800号“Ambient and Perfusion Normalized Temperature Detector(周囲温度/血流温度正規化体温センサー)は成人の腋窩および/または鼓膜温度を赤外線センサーで測定することによって体内温度を推定する赤外線体温計を開示している。このデバイスは周囲温度に対する動脈内部温度から熱抵抗を介して体温測定部位への熱流量に基づく動脈熱平行方程式を利用して体内温度を計算する。動脈内部温度は周囲温度および感知される肌温度に基づいて計算される。Pompeii特許には赤外線体温計に関して上述した短所、即ち、方法とレンズ品質の点で問題がある。その上、Pompeii特許における計算は周囲温度の直接測定を利用しない。肌に対する周囲温度の作用は肌温度の測定結果に大きく影響するから、周囲温度は肌温度測定のための重要な要因である。周囲温度を考慮するため、Pompeii特許は80°Fを推定値とするセンサーの感知温度を周囲温度として利用することにより被験者の内部体温を計算する。しかし、センサーはこれを囲む周囲環境よりも低温または高温である場合があり、計算結果の精度に影響する。最終的な温度計算の精度は80°Fと実際のセンサー温度との差の20%を加減することによって改善することができる。
【0026】
具体的には、他の腋窩体温測定方法において肌温度と周囲温度との差はh/pcを概算することによって得られる重み付き係数として計算される。但し、hは皮膚組織と周囲温度との間のradiation view factorを含む経験によって得られる係数、pは灌流速度、cは血液比熱である。健常な被験者に関する常態でのh/pcの近似値は約30%の偏差に相当する少なくとも0.09乃至0.13の範囲に亘って変動する。Pompeii特許は平均約80°Fと推定される周囲温度が常にセンサーの温度と同じであると想定するのではなく、センサー温度が80°Fとは異なる場合には、Pompeii特許はセンサー温度を20%だけ重み付けする。例えば、もしセンサー温度が80°Fなら、計算に使用される周囲温度は修正されない。センサー温度が周囲温度に等しいと想定されるからである。しかし、センサー温度が80°Fから増減すると、体温の計算に使用される周囲温度が同じ方向に20%変動する。
【0027】
2005年2月24日付Fraden米国公報第US2005/0043631号“Medical Body Core Thermometer(医療用体内温度計)”は主として肌温度測定を目的とするデバイスを開示している。このデバイスはセンサー温度および周囲温度を考慮しながら肌温度を感知することによって体内温度を計算する。このデバイスは着用者の熱抵抗の関数として肌温度を測定する第1センサーを有する。Fraden特許は周囲温度を考慮してはいるが、肌温度の正確な測定値を計算する際の重要な要因である周囲温度を測定するようにはなっていない。Fraden特許は肌温度に近いと考えられる温度にデバイスを加熱する埋め込みヒータによる予熱技術を利用することによって計算から周囲温度を除外しようとしている。
【0028】
Fraden特許は周囲温度の影響を考慮するため、複数の肌温度測定値を必要とする方程式を利用する。この方程式は検知された周囲温度を必要とせず、周囲温度を測定することもない。Fradenデバイスは肌温度を求めるために少なくとも3つの温度測定値を必要とする。第1の測定値はデバイスを肌と接触させる前のデバイス自体の検知された温度である。第2の測定値はデバイスを肌に配置した際の初期肌温度測定値である。第3の測定値はデバイスを肌と接触させた後に変化した温度に相当する検知温度である。変化したこの温度測定値はデバイスによって肌に加えられる表面圧力のために増大する表皮灌流に関連する。具体的には、被験者の肌に表面圧力が加わると、圧力下にある肌の灌流はこの特定部位における血管が拡張することで増大する。その結果、この部位における血流が増大し、上手く行けば肌温度測定値の精度が向上する。
【0029】
Fradenデバイスで得られた複数の測定値に基づいて被験者の肌温度が計算される。体内温度は経験的に求められた定数と計算された肌温度を利用して計算される。測定部位への血流が増えることで肌温度の測定値が精度を増すであろうが、周囲温度が肌温度に影響することは間違いなく、計算結果は被験者の真の体内温度と一致しない。
【0030】
1991年9月24日付松村米国特許第5,050,612号“Device for Computer-Assisted Monitoring of the Body(コンピュータ援用身体モニターデバイス)は身体の一部位において肌表面温度をモニターして、肌表面において体内温度を推定する方法を開示している。松村特許の開示内容によれば、周囲温度は皮膚表面で測定される温度に影響を及ぼすが、松村特許の第1デバイスは肌温度センサーと絶縁材を使用するだけで周囲温度が肌温度測定値に影響を及ぼすのを防止できる。少なくとも4cm2の絶縁材を温度センサー手段と併用することによって肌を周囲温度から絶縁するから、肌温度を理論的には体内温度に近づけることができるというのである。松村特許はまた、周囲温度を測定するための第2センサーと第1センサー用の絶縁材よりも少量の絶縁材とを併用することによって肌を周囲環境から絶縁するが、この場合に必要な絶縁材は少量であることを開示している。
【0031】
第1および第2センサーによってデータを検知し、これを利用して被験者の体内温度を手動で計算する。ユーザーは肌温度および対応の周囲温度の記録を図表化することによって検索テーブルを作成する。松村特許によれば、肌温度と対応の周囲温度と相関させることによって体内温度を求めることができる。松村特許は体内温度を求める方法を開示してはおらず、にもかかわらず、検索テーブルを使用することによって測定温度と計算温度とを相関させることができるとしている。周囲温度の測定はデバイスの一部である絶縁材の量によっても影響される可能性がある。第1デバイスについては、松村特許はセンサーを環境から遮断するためセンサーの周りに配置する絶縁材の量を最小限4cm2としている。周囲センサーを装備した第2デバイスに関して、松村特許は具体性を欠き、絶縁材の必要量は第1デバイスに必要な量よりも少ないとだけ記述している。デバイスの装着に一貫性がなく、基準温度を図表化している最中に絶縁材がはずれたり、変化を起こしたりすれば、肌温度に対する周囲温度の影響も一貫性を欠くことになる。絶縁材は肌センサーを環境から遮断し、使用される絶縁材の量に基づいて温度が検知される。センサーデバイスを身体に装着するごとに絶縁材の量に変化が生ずれば、ユーザーが作成する図表の精度が影響を受ける。
【0032】
1985年4月9日付Ward米国特許第4,509,531号“個人用生理モニター”は糖尿病患者における低血糖状態の開始を検知するため皮膚の電気抵抗、温度またはこれら2つの値に現れる変化を検知する連続的生理モニターを開示している。デバイスを着用することで自動的に温度基準が設定される。ユーザーの肌温度は肌温度センサーによってモニターされ、測定される温度が温度基準より低ければアラームが鳴る。Ward特許は、周囲温度が被験者の肌温度測定値に影響を及ぼすことに言及しているが、周囲温度を考慮に入れる手段または方法を提供してはいない。
【0033】
1999年8月17日付Dogre Cuevas米国特許第5,938,619号“遠隔配置可能な受信アラーム・メカニズムを含む幼児用外部装着温度モニター送信デバイス”も肌温度変化と検知するデバイスを開示している。しかし、このデバイスは肌温度センサーを含んではいるものの、周囲温度を測定するメカニズムを提供してはいない。また、Dogre Cuevas特許は周囲温度が肌温度に影響を及ぼすものとして想定していない。
【0034】
被験者の体温を連続的に測定することは被験者の健康状態をモニターする上で有益であり、被験者の正常体温を正しく示度することを可能にする。被験者の正常体温を知っておけば、死活に係わる状態を回避または早期検知するのに有益である。間歇的および連続的な体温測定を可能にする体温測定デバイスは既に存在する。しかし、間歇的な体温測定デバイスは、ユーザーまたはヘルパーによって手動でモニターが行われない限り、被験者の正常体温をモニターして異常体温を素早く検出するには余り役立たない。また、連続測定を可能にする既存の体温計は、幼児、成人の別なく、被検者の動作、生理状態、オムツの状態など肌温度に影響を及ぼすような諸条件を考慮に入れていないから正確な測定結果を期待できない。
【0035】
さらにまた、公知デバイスの多くは体内温度の計算をこれに代わる条件下に得られた測定値、例えば、肌温度に基づいて行い、標準化された変換またはデータ表を利用することによって示度数値を有意義な出力温度と相関させる。
【0036】
従って、公知技術に欠けているものは、長期の着用を容易にし、被験者の実際の体内温度の正確な測定値を提供する連続的な体温測定値モニターデバイスである。また、公知技術に欠けているものとして、追加の環境に関連するパラメータおよび生理学的パラメータを利用することによって温度出力の精度を高めることができる多重センサーが挙げられる。このような体温測定値が得られるなら、これを利用することによって情報提供、診断などに有用な、被験者の行動および状態に関する情報を提供することができる。
【発明の開示】
【0037】
少なくとも温度モジュールを含む単一または多重コンポーネント方式のモニター・システムを提供する。モジュールは温度その他のデータを出力するためのディスプレイおよび種々の入力機能を備えることができる。モジュールは特に予め選択された好ましい部位の1つにおいて、着用者の肌にフィットし、これと相互作用するように寸法設定され、形状デザインされている。このデバイスを装着する第1の最も好ましい部位は臀部近傍の大腿動脈付近で脚の付け根に形成される谷部であり、好ましくは接着片を使用することによって固定する。モジュールは衣類やオムツに取り付けることもできるが、オムツまたは衣類内の限定された空間で作用させることが好ましい。ここに述べる使用法および実施態様は幼児にも成人にも適用できるが、乳児や老齢者または寝たきりの患者に最も好適である。
【0038】
多重コンポーネント方式のシステムは温度およびその他のデータ測定値を受信するレシーバ以外のモジュールを含む。生または誘導情報の提示には、肌および/または周囲温度現在値、誘導体内温度現在値、これらの現在値およびコンテクスト・データのすべてに関する温度トレンドが含まれる。
【0039】
データはモジュールによって収集され、処理されてレシーバに対して送信されるか、またはボードで一括処理される。このモジュールは直接通信またはその他の無線通信を介して、さらには構内、広域または国際コンピュータ・ネットワークを介して他のデバイスと交信することもできる。
【0040】
モジュールに公知の電子タグまたはその他のIDを設けることによって、レシーバがマルチユーザー環境において、個々の患者について離散的情報を検知し、表示することができる。このモジュールは第三者または他の連携デバイスと交信することもできる。
【0041】
このシステムは主として家庭用、特に乳児のモニターを目的とするものである。但し、このシステムは病院、養護施設またはその他の施設用として利用することもできる。例えば、簡単な接着パッチとして実施すれば、特に初診のため待合室にいる患者のための救急処置室用として、または初期生理検査用として、または待合室にいる患者の容態急変に対する処置の判断するために利用することができる。このモジュールはまた、特に体温や状態に好適な他の典型的な部位にアクセスできないか、またはそのような部位が不都合な場合、侵襲性が軽微な、使い勝手の良い体温または状態測定手段として外科手術中に使用することもできる。温度依存性の患者のための暖房手段の利用など、施術後もケアもこのシステムの出力を参考にして行うことができる。
【0042】
モジュールの形状およびハウジングの基本的な実施態様はデバイスの優れた機能を可能にする。本発明のデバイスは湾曲した、比較的薄いハウジングを有し、このハウジングは適当な空間と肌との界面を画定する多様な凸部および凹部を有する。デバイスは通常、特定の用途に合わせた形状の接着パッドによって取り付けられる。接着パッドは種々のパラメータを検知するためのすべてのまたは追加のセンサーまたは電極を支持または含むこともできる。
【0043】
モジュールのハウジング・コンポーネントは可撓性のウレタンまたはその他の低刺激性エラストマー材、例えば、ポリウレタン、ゴムまたはゴム・シリコン混合物などを成形加工することによって構成することが好ましいが、硬質のプラスチック材から構成することもできる。周囲温度センサーは肌とは反対側に位置するハウジングの上面に配置することが好ましく、肌温度センサーはハウジング下面からの突出部に沿って配置し、肌に密着させることが好ましい。ハウジングには、熱流束センサーの使用を容易にするためのオリフィスを設けることができる。
【0044】
実施態様としては耐久性を有するものが好ましいが、使い捨てまたは部分的使い捨ての実施態様が種々考えられる。使い捨ての場合、モジュール全体および取り付け材は比較的短期間に亘って使用された後、廃棄される。部分的使い捨ての実施態様では、主要または高コスト部品は耐久性のハウジングに収納され、ハウジングは追加部品と物理的電気的に一体化され、これらの追加部品が使い捨てである。使い捨ておよび部分的使い捨ての実施態様は短期使用を想定されたものであり、低コストである。実施態様によっては、予め耐用期間を具体的に定める場合がある。
【0045】
すべての実施態様に関連して、デバイスの動作を開始させるための種々の手順を説明する。デバイスおよびこれに付随するレシーバはそれぞれのユニットをオン・オフさせるか、または自動的に感知してオン・オフする、即ち、デバイスが使用に関連する状態を検知すると自動的に起動する公知の手段を含むことができる。デバイスにはまた、プログラムされた制御または指令下にデバイスによって、またはヘルパーによって供給される薬剤または栄養物を備えることもできる。
【0046】
レシーバは種々の情報を表示するためのものであり、本来の用途が温度測定システムとは無関係なタイマー付きラジオなどのような他のデバイスに組み込むことができる。レシーバは着用者の変化する状態に関する連続的な情報を提供し、測定されているデータ、測定されたデータおよびその他のデータおよびコンテクスト情報に基づいて誘導された情報をアイコン、アナログまたはディジタル表示することができる。変化の傾向および閾値に対応する変化を表示することもできる。種々の通信ネットワークを介してレシーバへ送信されるアラーム、警告およびメッセージはこのような予め選択された、または事象駆動型の閾値と合致すると同時に起動される。
【0047】
モジュールは少なくとも1つのセンサー、プロセッサおよび場合によってはセンサーからプロセッサへの出力の信号強度を適切なレベルに高めるための増幅器を含む。個々のユーザーの検知された体温データおよび/またはその他の関連情報を表すディジタル信号をプロセッサが利用して体温データ現在値、体温データの傾向、誘導データおよびコンテクスト・データを計算または生成する。すべてのデータまたは関連情報は、例えば、フラッシュメモリのようなメモリに記憶させることができる。離散クロック回路を設けることもできる。センサー入力チャンネルは必要に応じて多重化することができる。プロセッサは誘導体温およびその他の関連データを作成するのに必要な機能とアルゴリズムを含むようにプログラムおよび/または適応させることができる。レシーバはヘルパーに対して直接ディスプレイにまたはその他の情報手段に出力するか、または種々の技術に従ってネットワークまたはその他のデバイスへ電子送信することができる。
【0048】
作動中、肌温度センサーは肌温度を検知し、周囲温度センサーはオムツに囲まれた被験者の周囲環境に対応する温度を検知する。データ検知の正確さを助けるためモジュールは校正されている。特徴作成ステップでは、校正信号を含むか、または含まない温度データまたはその他のセンサー・データを入力とし、これらの信号の新たに組み合わせるか、または操作する。システムはデータ流れを検討・分析し、好ましくは複数のセンサーを使用することによってパターンおよび状態を識別する。これらの検知可能なパターンおよび状態はこれらのパターンおよび状態の直前に観察される状態およびパラメータと共に反復可能且つ定義可能な信号を形成し、このような信号を利用することによって将来の事象、挙動または状態を警告または予告することができる。このデータおよび結論は相関関係および予想を反映するグラフ、報告書またはその他の出力として提示される。
【0049】
このデバイスは第三者の上記被験者へ第三者の接近を誘導するのに有効なデータを検知することもできる。接近を検知する他の手段としては、公知の手段のほか、ここに開示するような、金属プレートの周囲キャパシタンスの周りに構成されたオッシレータを利用する接近センサーが含まれる。例えば、デバイスを人体に取り付けたり、他の物体をデバイスに近づけたりデバイスから遠ざけたりすることでプレートを囲む環境が変化すると、プレートのキャパシタンスが変化し、その結果、オッシレータの周波数が変化する。オッシレータの出力はプロセッサのカウンタ/タイマーに入力される。これによってデバイスは人またはその他の物体の存在を認知し、検知することができ、この存在は上記分析手段の一部として記録され、利用される。
【0050】
このデバイスは(i)デイ・ケアまたはその他の長期に亘る施設での管理における乳児および幼児のモニター、および(ii)最近益々重要性を増している、特に、施設などで介護されている人々に対する虐待や無視を検知または判断するための高齢患者のモニターに利用することが好ましい。
【実施例】
【0051】
図1に示すように、モニター・システムは単一コンポーネントまたは多重コンポーネント方式の態様に実施することができる。最も簡単な形式である単一コンポーネント実施態様の場合、温度モジュール55は温度などのデータを出力するためのディスプレイ86Aを含む。モジュール55は、公知の知識に従って、ここで述べる無線出力と同様の有線または無線送信を含む種々の入力機能を備えることができる。他の入力手段として、デバイス自体に設けられたボタン、ダイヤル、またはその他の操作手段も含まれる(図示しない)。この単一コンポーネント方式実施態様は、詳しくは後述する予め選択された複数の部位の1つの近傍で被験者の身体に接触するように配置する。それぞれのモジュールも概ね下記文献に記載されているセンサー・ユニットの構成素子およびコンポーネントから成る:2003年3月4日付Stivoric et al.の米国特許第6,527,711号“Wearable Human Physiological Data Sensors and Reporting System Therefor(着用可能な人体の生理的データ・センサーおよびその報告システム)”;2003年7月22日付Stivoric et al.米国特許第6,595,929号“System for Monitoring Health, Wellness and Fitness having a Method and Apparatus for Improved Measurement of Heat Flow(熱流量を正確に測定する方法およびデバイス有し、健康およびフィットネスをモニターするシステム)”;2003年8月12日付Teller et al.米国特許第6,605,038号“System for Monitoring Health, Wellness and Fitness having a Method and Apparatus for Improved Measurement of Heat Flow(熱流量を正確に測定する方法およびデバイス有し、健康およびフィットネスをモニターするシステム)”;Teller et al.同時係属米国特許出願第09/595,660号“System for Monitoring Health, Wellness and Figness(健康およびフィットネスをモニターするシステム)”;Teller et al.同時係属米国特許出願第09/923,181号“System for Monitoring Health, Wellness and Fitness(健康およびフィットネスをモニターするシステム)”;Stivoric et al.同時係属米国特許出願第10/227,575号“Apparatus for Detecting Human Physiological and Contextual Information(人の生理的およびコンテクスト情報を検知するデバイス)”;Teller et al. 同時係属米国特許出願第10/682,759号“Apparatus for Detecting, Receiving, Deriving and Displaying Human Physiological and Contextual Information(人の生理的およびコンテクスト情報を検知、受信、誘導および表示するデバイス)”;Andre et al.同時係属米国特許出願第10/682,293号“Method and Apparatus for Auto-Journaling of Continuous or Discrete Body Sates Utilizing Physiological and/or Contextual Parameters(生理的および/またはコンテクスト・パラメータを利用して連続的および離散的身体状態を自動記録する方法およびデバイス)”;Stivoric et al. 同時係属米国特許出願第10・0,889号“Method and Apparatus for Measuring Heart Related Parameters(心臓に関連するパラメータを測定する方法およびデバイス)”;およびStivoric et al. 同時係属米国特許出願第10/940,214号“System for Monitoring and Managing Body Weight and Other Physiological Conditions Including Iterative and Personalized Planning, Intervention and Reporting(反復的且つ個人別のプランニング、診療および報告を含む体重その他の生理的状態をモニター示、管理するシステム)”。これらの文献の内容はいずれも参考のため本願明細書中に引用する。
【0052】
単一コンポーネント方式実施態様においては、データ出力などすべての機能が温度モジュール55のハウジング内に収納されている。身体に接触させれば、部位に関係なくユーザーは体温を求めることができるが、最も好ましい形としては、温度モジュールを予め選択された部位の1つに配置する。この配置は単一コンポーネント方式実施態様の場合でも、多重コンポーネント方式実施態様の場合でも同様である。
【0053】
図1に示すモジュール55は複数の配置部位から選択された部位において着用者の身体に配置し、接触させる。デバイスの最も好ましい第1の配置部位は脚と胴部の臀部付近における大腿動脈の通路に近い部位との接合部によって形成される谷部に存在する。この大腿部はデバイスを脱落させかねない身体の動きから充分保護される部位であり、この部位を囲む肌はモジュール55の取り付けに寄与する。その他の取付け部位としては、鼠径部、腋窩、上腕、腿の内側、股下/鼠径部、耳および耳たぶの後ろ、ひたい、さらには上記鼓膜部位、足裏、手のひら、指、手首、眼角と鼻側部の間、胸郭、背中の背骨沿いの幾つかの部位が挙げられる。一般に、適切な部位とはモジュール55が絶縁構造および/または環境からの保護手段として衣類または肌またはこれら双方を利用し易い部位であり、これらは灌流が充分な部位である。また、詳しくは後述するように、その部位において適切な周囲温度が得られることが重要である。特に乳児または寝たきり成人の場合、乳児または寝たきり成人が眠っているマットレスの身体に対する絶縁機能を活用できるという点で背中部位が有益である。マットレスは外部からの影響およびノイズを最小限に抑制する。また、幼児が身体を動かしたり、転がったり、起立したりすると、詳しくは後述するように、幼児の状態および/位置が変化したかどうかを判断するのに利用できる示度数が現れる。Stivoric et al.米国特許出願第10/940,889号に詳述されているように、心拍、エネルギー消費などのような他の生理的パラメータを上記種々の部位において測定することができる。
【0054】
図1には乳児を示しているが、ここに述べるすべての用途および実施態様は幼児や成人にも等しく適用される。また、オムツ60など種々の着用物を使用することも乳児、幼児および成人においても同様である。大腿部位に関しては、特に体内温度調整系が未発達な乳児は肌において体内温度との優れた相関関係を提供することが観察されている。比較的年齢の高い乳児、幼児または成人において体温調整が発達した後でも、この部位は体内温度との優れた相関関係を提供するが、適正な皮膚灌流を確保し、肌温度センサーを周囲環境から保護し、検知された測定値を調整するために他のセンサー示度数を利用できるようにするため、詳しくは後述するように測定デバイスおよび測定方法にある程度の適応制御を採用しなければならない。
【0055】
従来、体内温度を測定する際に最も精度が低い部位の1つと考えられている。しかし、環境的、生理的および/または物理的活動が人体にどのように影響するかを評価する際に、他の標準的な体温測定方法を補助する有用な測定部位であると考えられる。精度は測定部位に隣接する皮膚および組織の灌流特性によって著しく影響される。温度測定のためのもう1つの部位は手首であるが、この部位は動脈系および静脈系の末梢シャットダウンやこの部位が活動性の高い部位であることから、極めて顕著な且つ複雑なノイズに悩まされる。
【0056】
同時に複数のモジュール55を身体に装着することによって検知されるパラメータおよびこれらのパラメータから誘導される出力の精度を高めることも考えられる。さらに、これら複数モジュールのそれぞれに異なるセンサーまたは機能を持たせ、それぞれのモジュールからのデータを、適当なプロセス機能を有する他のモジュールへ、または種々のモジュールからデータを収集し、処理する別設のレシーバへ送信することも考えられる。また、データを有効に送信する必要上、特定の処理を特定のモジュールにおいて行うことも考えられる。
【0057】
詳しくは後述すように、温度モジュール55は閉ざされた空間、例えば、オムツや衣類の内側で動作させることが好ましい。この閉ざされた空間は肌温度示度数に影響を及ぼす可能性がある周囲ノイズをフィルタする機能を果す。但し、実施態様によっては、種々の生理的パラメータ、例えば、行動を検知するためにモジュール55を利用する場合があり、このような検知の精度はデバイスの一部を周囲条件に露出させることによって高めることができる。実施態様によっては、閉ざされた空間を衣類やオムツの内側ではなく接着パッチの一部として画定することもできる。
【0058】
多重コンポーネント方式のシステムは連続的な体温測定値およびこれに関連する他の統計的データ、例えば、モジュール55から出力される処理済みデータなどを受信するレシーバのほかに、ディスプレイ86Aを備えるモジュール55を含み、データはこのモジュール55のディスプレイ86Aまたはレシーバのディスプレイ86Bに表示される。表示されるデータは肌および/または周囲温度現在値、誘導体内温度現在値、これらの現在値すべての傾向、およびコンテクスト・データを含む。ここにいうコンテクスト・データとは被験者の環境、周辺、場所および状態、例えば、大気環境、音響環境、周囲温度、周囲光、GPSデータ、湿度、高度、気圧などを指す。さらに具体的には、コンテクスト・データは身体の状態、例えば、身体の姿勢、身体の内外の事象や状態、例えば、オムツ内での排尿、モジュールの脱落、活動および休息期間、睡眠の性質および質、および絶縁機能を果す衣類やオムツの脱落などをも含む。
【0059】
モジュール55はまた一体部分として衣類やオムツに組み込むことも可能であり、その場合には、詳しくは後述するように、肌と正しく相互作用するようにモジュールに充分な圧力が加わるようにする。
【0060】
データはモジュール55によって収集され、処理され、例えば、赤外線、RF送信またはその他の公知の無線送信システム、および図19-21に関連して説明するような短距離無線送信による1次送信でレシーバへ送信される。レシーバは種々の形式、例えば、テーブルトップ・レシーバ85、手持ち式レシーバ65、臨床モニター・レシーバ70、パソコン75またはネックレース・レシーバ80、指輪型レシーバなどから選択することができ、受信データはヘッドウォーン・ディスプレイ、ヘッドアップ・ディスプレイ、車のダッシュボードまたはフロントガラスに形成されたディスプレイに表示されるか、モニターされる被験者の衣類またはヘルパーの衣類に直接表示されるか、冷蔵庫、電子レンジまたは従来型のオーブンのような家庭電化製品に表示され、Stivoric et al. 同時係属米国特許出願第09/923,181号に開示されているように、室温、室内光量、室内、腕時計またはアームバンドの音などのような制御可能な周囲条件に質的に反映させることができ、モジュール55に対して遠隔配置することができる。当業者には明らかなように、レシーバは環境的音声を検知するためのマイクロホンをも含むことができる。モジュール55とレシーバとの距離は採用する送信方式に応じて異なる。モジュールには他のデバイスとの直接通信、またはネットワークを介しての通信のため、広域無線チップまたはその他のCDMA相当物を設けることもできる。モジュールはそのデータを携帯電話内の広域無線チップまたは広域無線機能を含むその他のデバイスに送信し、このデータをさらに世界の何処へでも送信することができる。あるいは、モジュール55は多様なレシーバ形式のいずれか1つの機能を複合するレシーバまたはレシーバ群と交信することもできる。多重コンポーネント方式システムにおいて複数のレシーバを利用する場合、データは詳しくは図19−21に関連して後述するように、トランシーバ・コンポーネントのネットワークを介して中継されるか、システム中のそれぞれのレシーバに送信される。
【0061】
中間レシーバを利用することによって、システムの範囲を広げるか、または処理機能のための別の場所を提供する。この実施態様においては、
1次送信72はレシーバ85とモジュール55の間で、2次送信73はレシーバ85と追加のレシーバ、例えば、パソコン75との間で行われる。また、複数センサー、複数患者という環境においては、モジュール55に公知の電子タグまたはIDを設けることにより、レシーバが患者毎の別個の情報を検知、表示できるようにすることができる。モジュールはまた、着用者と関連のある第三者または着用者または着用者に移植されているその他のデバイス、例えば、義歯またはその内部とも交信し、電子的またはバイオ指紋手段によって着用者を識別することもできる。このような環境においては、追加のレシーバおよび複数の送信レベルを設け、適当なコード化または送信識別によって信号のオーバーラップまたは混同を防止する。Stivoric et al.同時係属米国特許出願第10/940,889号に記述されているようなマス・トリアージ・システム(集団優先順位選択システム)を採用することも可能であり、このシステムは位置感知も可能な自己回復ネットワークとして互いに隣接するモジュール間の交信を可能にもする。
【0062】
テーブル・トップ・レシーバ85は、図19−21に関連して後述するように、モジュール55と交信し、関連データを受信するための電気回路を内蔵するハウジングを有する。テーブル・トップ・レシーバ85は電池、熱流束、磁束、太陽熱発電、運動エネルギー束または周囲RF捕捉によって作動させ、付属のプラグをコンセントに挿入することによって作動させることもできる。レシーバとしては、好ましくは硬質プラスチックで形成された手持ちレシーバ65を採用することができる。但し、ハウジングは、手持ちレシーバ65の構成部分を破壊から保護し且つ/または所定の耐用期間を保証できるなら、耐久性、使い捨て、または生物分解性の材料で形成されていてもよい。臨床用モニター・レシーバ70は他のレシーバと同様に動作し、診療に利用される。ネックレス・レシーバ80は着用に適した軽量材料で形成され、キーホルダ、指輪、ブレスレットなどの形態を取ることができる。
【0063】
臨床モニター・レシーバ70およびパソコン75は連続的な生の、および誘導された温度測定値およびその他の関連データ、例えば、モジュール55からの体温現在値、体温の傾向およびコンテクスト・データなどのような処理済みデータを受信する。臨床モニター・レシーバ70およびパソコン75は連続測定される体温およびその他の関連データを処理して体温現在値、体温傾向およびコンテクスト・データを計算するためのプロセッサをも含むことができる。臨床モニター・レシーバ70はその他の患者状態のモニターに使用される第三者医療モニター設備との電気的接続を可能にする追加の機能をも含むことができる。これらのレシーバは、実際にはむしろデバイスの主要目的であるその他の目的にも使用することができる。
【0064】
レシーバはいずれも、詳しくは後述するように、モジュール55からの連続的な体温測定値およびその他の関連データ、例えば、体温現在値、体温傾向、認識されるパターン、誘導される状態およびコンテクスト・データのような処理済みデータを受信する。それぞれのレシーバは図19-21に関連して後述するよう方法に従ってディスプレイ86B上に関連データを表示する。
【0065】
モジュール55は有線または無線接続を介して他のタイプの生理的検知設備、例えば、グルコメータまたはBCGデバイスからデータを取得し、このデータをモジュール55が検知したパラメータに組み込み、および/または組み合わされて収集されたデータを処理および/またはレシーバに送信する能力をも備えることができる。デバイスには、不法にデバイスが開かれたり操作されたりするのを防止または少なくとも識別する改ざん防止機構または機能をも設けることができる。このことはモジュールを身体に取付けるのに利用されるカバー材または接着片にも適用できる。モジュールには、必要な指令に従って皮下または局所投与される薬剤を組み込むことも可能である。
【0066】
図2Aはデバイスの重要な機能を可能にするモジュール55の形状およびハウジングの基本的な実施態様を示す。一連の図面では、全体的な形状を無視して基本実施態様の主要な表面特徴を示すのが目的であり、これらの特徴は基本実施態様に共通である板ばねモジュール230はデュロメータ硬さが80A乃至90Aの可撓性または弾性の材料から成ることが好ましいが、それでもモジュールは剛性のデバイスとして作用する。図2A乃至2Dはデバイスの外観を示す板ばねモジュール230は上方ハウジング、第1長辺240、第2長辺245、第1短辺250および第2短辺255を有し、第1、第2長辺は湾曲形状を有する。第2短辺255寄りの部分は図2A乃至2Dに示すように第1短辺250寄りの部分が小さく、これにより、大腿部などのような身体部位への取り付けが容易になる。モジュールは上方ハウジング95の長手方向中央部243が両短辺250、255から延びる長手軸に沿って凹面を、両長辺240、245から延びる横方向中央部244に沿って扁平、凸状または両者の組み合わせの形状を呈する。さらに、上方ハウジング95の両端に長手方向の凸部246を形成する。これらの凸部246は横方向に扁平、凸面状または凹面状またはこれらの組み合わせ形状であってもよい。
【0067】
また、第1長辺240および第2長辺245は、当業者の選択に従って、板ばねモジュール230の側面260を下方ハウジング100に接続する境界を形成するエッジに沿って、且つ板ばね230の側面260を上方ハウジング95と接続する境界を形成するエッジに沿って面取りまたは丸みを施すことによって、板ばねモジュール230が肌に圧接されると肌が板ばねモジュール23の周りになじみ、身体の動きと同調して動機ながら、センサーの接触状態を維持する。このような面取りされたエッジについては図6Cとの関連においても説明する。面取りエッジの表面はその断面形状が面取りの長さに沿って扁平か、凸か、やや凹か、またはこれらを組み合わせた形状を呈する。
【0068】
下方ハウジング100長手方向中心部243も横方向中心部244もほぼ凸状である。但し、横方向中心部244の凸状面を、凸条によって分離された3つの比較的扁平な長手方向領域247、248、249によって形成することもできる。中央の長手方向領域248は必ずしも両短辺250、255間の全長に亘って延びている必要は無く、中央領域だけに限定されていてもよい。
【0069】
図2A-2Dに示すように、下方ハウジング100が着用者の身体と接触するように、板ばねモジュール230の形状は一様に湾曲している。図2Bに示すように、板ばねモジュール230の湾曲は下方ハウジング100が着用者の肌に圧力を加えることを可能にし、その結果、肌の灌流を増大させるだけでなく、チャ羽陽者の身体と下方ハウジング100との接触効果を高める。この相互作用は、特に長手方向中央部分243内の中央長手方向領域248において、肌とモジュールとの間に密着した、比較的絶縁された界面を形成し、その結果、モジュールの下方の肌に対する、比較的体内温度の近い新鮮血による灌流を増大または少なくもと停滞させない。この界面はモジュールの側縁と隣接するとともに、上方ハウジング95のレベルにおいてモジュールとオーバーラップする肌の褶曲によって容易に画定される。モジュールが配置される部位はモジュールの凸形状と咬合するようにくぼんでいるか、適当な形状に変形してモジュールを取り囲み、必要な界面を形成できる程度の柔軟である。モジュールの面またはエッジと接触する肌の褶曲に対して、丸みを持たせた、または面取りしたエッジは、着用感を損なわないようにデザインされており、凸湾曲および面取りは装着部位における利用可能なくぼみに押し入るように形成されており、特に四肢や胴体の褶曲の場合、皮膚表面だけでなく、装着を可能にし、装着部位の違和感を和らげ、快適にモジュールと圧接する、これらの領域の近傍およびその下の筋肉も考慮される。
【0070】
板ばねモジュール230の一様に湾曲した形状および第1および第2長辺240、245の面取りエッジは皮膚、脂肪および筋肉に対応し、案内して、快適に且つ目立たないように板ばねモジュール230の上方ハウジング95に重ね合わせる。特に乳児の場合、大腿部の褶曲は乳児が全身を伸ばしている時には大腿部の皮膚褶曲は凸面状を呈するが、自然状態、即ち、胎位では脚が胴部に向かって折り曲がる。その結果、モジュール55を受容するに充分な凹部を形成し、板ばねモジュール230の形状に鑑み、モジュール55はこの凹部への挿着に好適である。板ばねモジュール230のサイズは大腿部位への板ばねモジュール230の嵌合に影響しない。また、板ばねモジュール230の隅部、および両面のすべてのエッジまたは交差線もユーザーの着用感を高めるため面取りされているから、板ばねモジュール230が身体を徒に刺激することはない。
【0071】
板ばねモジュール230を形成する材料は図6Dに示す下方ハウジング100の肌温度センサー部を所要の接触部位に圧接させながら、着用者の動きの衝撃を吸収することができる。この吸収能力は、詳しくは後述するように、特にモジュール自体が剛性である場合、モジュールを身体に接着する伸張自在な弾性接着片を使用することによって補足することができる。板ばねモジュール230を形成する材料はまた、やや可撓性であって、しかも、板ばねモジュール230が長期間連続使用してもその形状を維持することを可能にするだけの形状記憶能力を持つことが要求される。板ばねモジュール230の下方ハウジング100の該当領域と着用者の肌との間に適正な界面接触が維持されるから、測定結果が脚の曲げ伸ばしや、腹筋の伸縮などのような動きに影響されることは殆どない。しかも、板ばねモジュール230の緩やかな湾曲が肌に密着し、身体の自然な形状に適合するから、身体の起伏に同調して動き、着用者の身体の動きや褶曲と共に動きながら、ばね作用を維持する。
【0072】
板ばねモジュール230は一体の、または別設の接着片を介して身体に取り付けられるが、接着片の形状や組成については詳しく後述する。いかなる接着片が適正であるかはケース・バイ・ケースであり、当業者の良く知る範囲内の問題であるが、例えば、肌の呼吸、肌からの水分や汗の移行を可能にする親水性材料;半透過性フィルム、ポリウレタン・フォーム、ハイドロゲル;3M Corporation and Tegadermが製造する、また3Mによっても製造されている「Microfoam」などを挙げることができる。これらの接着片を、臨海溶解温度が比較的低い感熱性ゲルと積層することによって、着用者の肌温度の影響下に、中間層が接触点を絶えず変化させるように作用してモジュールまたは接着片と肌との間の熱伝導率または適合性を高めるか、または制限するか、または選択的に制限するようにすることができる。モジュール自体に直接接着パッドを設けてもよい。
【0073】
モジュールへのアタッチメントは詳しくはStivoric et al.の同時係属米国特許出願第10/227,575号に開示されているように、非接着界面、例えば、唇状部にかぶせる、または嵌合させることによって周縁に固定されるカラーまたは可撓性の界面であってもよい。接着片はその接着性能が全面に亘って一様でなくてもよく、モジュールの肌界面とは反対側では肌界面における接着能力とは異なっていてもよい。場合によっては、それぞれの面において相違があってもよい。板ばねモジュールのセンサーと身体との密着性を高め、人体の動き、筋肉の相互作用およびこれらの組み合わせに対する応答性を高めるための伸縮性と弾性を可能にする適当な通気性材料から成る不織布接着片が特に好ましい。接着片は板ばねモジュール230の第1短辺250の一部と接触し、着用者の肌にまで達する。
【0074】
接着パッドは特定の用途に合わせて形成すればよいが、例えば、モジュールを縦方向または横方向にカバーし、モジュール自体からはみ出るウイング部分を有する取外し/交換自在な簡単な接着片や、複数の接着片、または種々の形状に従ってモジュールを肌に固定する複数の互いに連結された接着部またはスナップを使用することもできる。接着片は感知性能をさらに高めるため、ECG検知器または圧電ひずみ計用のセンサーや電極をも支持または内蔵することができる。接着片によって固定されているモジュールは加速度計におけるシャトルとして作用して検知可能な動きを呈する。この動きは加速度計と同様に動作および運動に関する基礎データを提供する。
【0075】
板ばねモジュール230はウエストバンドのような圧迫手段から受ける圧力によっても身体に密着保持することもできる。例えば、接着片は肌に接着する一方、接着片自体とも接着させ、ループ・バックさせ、取外し/交換自在なファスナで接着片どうしを互いに連結させるように構成することもできる。板ばねモジュール230は下着、ウエストバンドまたはその他の拘束手段にスナップ固定することができる。また、肌界面を形成するのに充分な圧力をモジュールに加えるように特別にデザインされたぴったりフィットする下着内にモジュールを固定することもできる。このような機能を発揮するように下着に特に高いフィット性を有する部位を設けるか、または適当な弾性材などを設けてもよい。接着片を使用せずに、モジュールを下着と一体化するか、高フィットネス部位の背後にモジュールを配置するだけにするか、スナップ固定するか、または収納することも考えられる。
【0076】
図3に示すように、板ばねモジュール230を着脱自在に構成することもできる。即ち、肌に圧接または接着すると肌に対して下向き圧力または高い安定性を生む一体的な可撓性ウィング231を設けることによって、着用者の肌との接触を維持しながら身体の動きと共にうごき、バウンドする複合的なばねを形成することができる。肌と圧接することで、身体の動きに起因する信号ノイズを軽減し、温度ウォーミングアップに要する時間を短縮することができる。
【0077】
板ばねモジュール230の寸法は着用者の年齢に応じて異なる。試験の結果、好ましいと判断された、比較的大きい板ばねモジュール230の寸法は、例えば、長さ13.25インチ、幅2.5インチ、厚さ0.25インチである。比較的小さい板ばねモジュール230の寸法は着用者の年齢やサイズにもよるが、1.5インチ´0.6125インチ´0.25インチである。板ばねモジュール230の寸法は埋め込まれる部品およびその他の制約に基づいて上記寸法とはかなり異なる場合がある。ここにいう制約とは、例えば、米国消費者製品安全委員会や規則順守監査局が定める規則、小部品に関する規則、3才未満幼児用玩具および製品に関する規則、16.C.F.R.Part 1501および1500.50−53に定められている安全規則などである。
【0078】
図4は着用者の身体に取付けられた状態で示すモジュール55の断面図である。モジュール55はモジュール55の上方ハウジング95に沿って配置された周囲温度センサー125とモジュール55の下方ハウジング100に沿って配置された肌温度センサー125を有する。モジュール55は必要に応じてモジュール55の一部と接触し且つこれをカバーするフォーム断熱材を含む。フォーム断熱材は外側取り付けフォームとして組み込まれ、上方フォーム支持体を含むことができる。上方フォーム支持体305はモジュール55の上方ハウジング95の一端と接触し、これに沿って延びる。もう1つの上方フォーム支持体305はモジュール55の上方ハウジング95の他端と接触し、これに沿って延びる。
【0079】
デバイスの保温範囲を広げて肌の灌流レベルを増大および/または維持するためのフォーム断熱材は下方フォーム支持体307として組み込むこともできる。下方フォーム支持体307はモジュール55の下方ハウジング100の一端と接触し、これに沿って延びる。もう1つの下方フォーム支持体307はモジュール55の下方ハウジング100の他端と接触し、これに沿って延びる。フォーム断熱材はこれらの領域のいずれか1つに、またはこれらの領域の組み合わせに配置することができる。
【0080】
モジュール55は上方接着片300や下方接着片298など、図4に示す多数の部位に配置された接着片によって固定される。上方接着片300はモジュール55を横切ってハウジング95の一端に沿って延び、上方フォーム支持体305と接触してこれをカバーする。上方接着片300は上方フォーム支持体305を越えてモジュール55の上方ハウジング95と直接接触することができる。
【0081】
下方接着片298はモジュール55を横切って下方ハウジング100の一端に沿って延び、下方フォーム支持体307と接触する。下方接着片298は肌とも接触し、温度測定のため、モジュール55を肌310に接着する。下方接着片は一方の面が下方フォーム支持体307に接着し、他方の面が着用者の肌に接着する両面接着片であってもよい(ウィングについても同じ)。接着片298、300はモジュール55が配置される身体の特定部位に合せて形成すればよい。接着片は可撓性であるから、着用者の身体が動いている時もモジュール55は身体に接着している。
【0082】
図5A乃至図5Cには、構造、製法および必要事項を考慮して、板ばねモジュール230の説明とほぼ対応するモジュール55の構造を略示する。モジュール55のハウジング・コンポーネントは可撓性ウレタンまたはその他の低アレルギー性の、非刺激性の弾性材、例えば、ポリウレタン、ゴム、ゴム‐シリコン混合物などを成形加工して構成することが好ましいが、剛性プラスチック材から構成することも可能である。周囲温度センサー120を上方ハウジング95に配置し、センサーカバー115によって保護する。周囲温度センサー120を充分大きく形成することによって、上方ハウジング95の全面がセンサーの作用面積となるようにしてもよいし、作用センサーを上方ハウジング95の一部、好ましくは着用者の肌から最も遠い上方ハウジングの頂点にだけ配置することによって、最大の熱偏差および/または肌温度センサーからの断熱を可能にしてもよい。但し、モジュール55をオムツまたは着用物品内に配置する限り、周囲温度センサー120は部屋または身体に近い環境の周囲温度を検知するのではない。検知するのは着用物品またはオムツ内に閉ざされた領域の温度である。実際の室温または身体の露出部分を囲む領域の温度を検知するための周囲温度センサーは、詳しくは多重モジュール実施態様または受信ユニットに関して詳しく後述するように、全く別の周囲センサーである。大抵の場合、周囲温度センサー120によって実際に感知されるこの閉ざされた領域の周囲温度は、システムの動作に関して後述するように、体内温度の誘導にも、ユーザーの状況またはユーザーに起こる事象の検知に特に有用である。
【0083】
図5Bに示すように、モジュール55は上方ハウジング95と対向する下方ハウジング100をも含む。肌温度センサー125は板ばねモジュール230の縦方向中心部248に対応する突出部110に沿った位置を占める。モジュール55の下方ハウジング100は着用者の肌に近接し、肌と接触する。突出部110に隣接する凹部107は板ばねモジュール230の両側部247、249に対応し、突出部110と肌との密着を可能にする。下方ハウジング100の表面は特に反復使用製品の場合、洗浄の必要上、平滑であることが好ましいが、表面のキメを細かく、または粗く形成することによって、死んだ皮膚細胞や体毛が存在しても着用者の肌に密着させるか、または接触面積を広くすることができる。即ち、体毛を包み込むように押圧することができ、接着と同時に、または接着後の肌の動きに伴って肌から死細胞が磨耗して清潔な界面状態が得られる。下方ハウジング表面の態様に拘わらず、極微針を使用することによって、活発に変動する皮下/表皮層を探査して皮膚表面に近接する部分のデータを収集する能力を高めることもできる。特に、限られた期間に亘って使用される後述する使い捨てパッチのように短期装着の場合、このような極微針や下方ハウジング表面のキメは極めて有益であり、角質層の断熱性による影響を軽減するため、センサーへの熱伝導を血液や神経終末/痛み受容器までには達しないが表皮層にまで、さらには、皮膚表面よりも正確に体温をセンサーへ伝導する可能性を有する間質層にまで達するようにすることができる。モジュール55の凸面、即ち、下方ハウジング100の突出部110は着用者の胴部および/または脚の位置、動作、状態、または身体の動きに関係なくモジュール55を肌に圧着させて、身体の動きに追随させることを可能にする。逆に、表面特徴は皮膚の起伏や褶曲、およびその下に存在する筋肉を案内してモジュールの形状に適合させることによって、着用者との高い密着度を維持すると共に周囲環境および周囲温度からのセンサーの隔離を助ける。
【0084】
図5Cはモジュール55の第2の実施態様を示し、ここでは細長い形状を呈するモジュール130の形態を有する。図5Aおよび5Bに関連して上述したように、モジュール130のハウジング・コンポーネントは、可撓性ウレタンまたは例えばゴムまたはゴム‐シリコン混合物のような弾性材料を成形加工して得ることが好ましいが、剛性プラスチック材料から形成してもよい。周囲温度センサー120は細長いモジュール130の上方ハウジング95の中央部に沿って配置され、必要に応じて、図5Aに関連して上述したように、センサーカバー115で保護することができる。細長いモジュール130は第1ウィング部分131および第2ウィング部分132をも有する。ウィング部分131、132はセンサーカバー115の両端に配置され、それぞれの長さおよび幅は装着される身体部位、接着条件および身体に加わる力に応じて、互いに同じか、または異なる寸法に設定すればよい。細長いモジュール130はその第1ウィング部分131および第2ウィング部分132の寸法を適宜変更することによって、乳児以外の着用者のサイズに合わせることができる。モジュールが装着される身体部位のほかに、年齢、体重、身体サイズなどのような着用者の特徴に合わせて第1および第2ウィング部分131、132のサイズを決めることにより、長時間着用する場合の優れた着用感に必要なフィットネスを達成する。この実施態様の変更例としてのウィング132’を鎖線で示した。この実施態様では、全体が可撓性且つ接着性の外面をも含むことができる。
【0085】
図6から明らかなように、周囲温度センサー120は上方ハウジング95の一部に沿って配置され、着用者の身体から遠く離れた位置を占める。周囲温度センサー120はセンサーカバー115で保護されている。モジュール55は上下ハウジング95、100内に挿着されるプリント回路盤140を含む中央部分を含み、この中央部分には後述するエレクトロニクス構成に対応する回路およびコンポーネントが内蔵されている。プリント回路盤140は恒久的に取り付けられた、または交換可能なバッテリー135の形態で電源を有する。バッテリー135としては、いわゆるコイン・セル、ペーパー・バッテリー、プラスチックフィルム・バッテリー、コンデンサ、RFIDコンポーネント、太陽電池など、当業者には周知のものを使用することができる。プリント回路盤140のバッテリー135およびコンポーネントは当業者には周知のように互いに且つセンサー120、125と公知の態様で電気的に接続する(図示しない)。プリント回路盤140はその一方の端縁の中央部に第1位置合せ切り込み155を、他方の端縁の中央部に第2位置合せ切り込み156を有する。
【0086】
モジュール55は図3Bに関連して上述したように、下方ハウジング100の外面突出部110に対応する凹部141をその内面に有するほぼ細長い下方ハウジング100を含む。下方ハウジング100はまたモジュール表面からほぼ垂直に延び、内壁部分149および外壁部分152を有する唇状部148をも含む。肌温度センサー125は下方ハウジング100の内面の凹部141にそって配置される。下方ハウジング100は位置合せピン支持突起150、151によって支持される位置合せピン145、146を有する。
【0087】
上方ハウジング95は肌の褶曲が周囲センサーに接触するのを防止する形状を利用して周囲センサーのデータの質を維持することができる。即ち、周囲センサーと接触すると、出力の測定精度を損なうからである。位置合せピン145、146は下方ハウジング100から遠ざかる方向に垂直に延び、プリント回路盤140の位置合せ切込み155、156を貫通する。プリント回路盤140の第1および第2位置合せ切込み155、156を貫通することによって、プリント回路盤140が下方ハウジング100に固定され、第1および第2位置合せピン145、146に対して横に移動するのを防止される。ハウジングは成形中の回路盤にソニック溶接するか、ハウジング内に挿入成形、植え込みまたは埋め込みするなど、当業者に周知の製造技術を利用することができる。
【0088】
図7Aには、板ばねモジュール230のハウジング形状とほぼ対応するモジュール55の第3実施態様を示す。上方ハウジング95および下方ハウジング100はこの実施態様では対称的であり、図5および6に関連して上述したように構成されている。この実施態様はStivoric et al.の米国特許第6,595,929号の開示内容とほぼ一致する熱流束をも含む。熱流束センサーは熱導管121を含み、上下ハウジング95、100の中央部分を貫通する環状オリフィス123と共に周囲空気オリフィス123のための導管を形成する。熱導管121は環状オリフィス123を囲み、上下ハウジング95、100のそれぞれの表面間に延びる。熱導管121の環状端の直ぐ近くに位置し、上方ハウジング95における熱導管121の少なくとも一部を周方向に囲むのがリング状の周囲温度センサー120である。
【0089】
図7Bに示すように、プリント回路盤140はハウジング95,100によって形成されるスペース内に介在し、熱インターフェース124によって熱導管121から断熱される。肌温度センサー125は周囲温度センサー120と同様にリング状であり、下方ハウジング100における環状熱導管121の開口を周方向に囲む。この実施態様においても、実施態様の異なる、または、追加的な外部センサーまたは電源を、当業者に周知の態様で且つ追加の周囲温度または肌温度センサー120の配置例を示す図7Cのように取り付けるか、または接着片と一体化することができる。必要に応じてマイクロホンなどのような音響センサー168をハウジングの肌側または周囲側に配置することによって泣き声、いびき、心拍、摂食、飲み行動、その他の環境雑音のような動作や音を検知することができる。配置または接着片300と一体化されているコンポーネント間に電気的交信が必要な場合、上方ハウジング95および接着片300にそれぞれ電気的接点122、122Aを設ける。接着片300にはモジュール55のオリフィス121に対応するオリフィス121Aを設けることによって周囲空気の通過を可能にする。図4に示したのと同様に上方ハウジング95および着用者の肌に接着片300を配置する。
【0090】
尚、単独で、または上記センサーと一緒に使用できる上記以外のタイプおよびカテゴリーのセンサーは多種に亘り、例えば、着用者の位置を確認するための相対位置センサーやGPS;空間内における方向性を確認するためのトルクおよび回転加速度センサー;血液化学センサー;間質液化学センサー;バイオインピーダンス・センサー;および幾つかのコンテクスト・センサー、例えば、花粉、湿度、オゾン、音響、着用者の身体およびその周囲の雑音に対するセンサーなど、およびこれらのセンサーの組み合わせのほか、着用者の生理的動向や、特定の身体状態および/または行動中にセンサーに提供する数値および/またはパターンによって着用者を識別できる別設のセンサー、即ち、デバイスを生体挙動軌跡・スキームに利用するセンサーをも利用することができる。このことは病院のような限られた空間内で複数の被験者に複数のセンサーを装着させる場合に特に重要である。たとえ2名の着用者を対象とする場合であっても、一方の着用者を他方の着用者から区別することは重要である。例えば、家族のうちの1名だけがデバイスを着用している場合、デバイスは着用者が誰であるかを自動的に理解するから、適正な個人化および/または精度を必要とする用途または相関のため製品からのデータを連携させる前に人口統計的情報などを含む必要はない。これと同様の生体動向軌跡を同じ着用者の異なる部位にも広げれば、着用者間の区別はできなくても、デバイスは装着部位を区別することができる。この部位の検出は後述するデータ処理に関する説明を参照すればさらに明らかになるであろう。
【0091】
図8はパッチ・モジュール314から成る使い捨て方式のモジュール55の第4実施態様を示す。可撓性部材としてのパッチは所要の部位に不快感を伴わないように接着し、しかも正確なデータを得るのに必要な形状であればよい。また、パッチ方式の実施態様は詳しくは後述するように、比較的耐久性の実施態様の特徴を含む場合と、耐久性のコンポーネントと使い捨てコンポーネントを併用する場合とがある。一般に、使い捨て方式の実施態様は耐久性方式の実施態様と比較して、板ばねモジュール230の形状とは一致しない。使い捨てパッチ・モジュール314は使い捨てパッチ・モジュール314と着用者の肌に接着するための接着パッチ・カバー315を含む。接着パッチ・カバー315は第1ウィング部分316および第2ウィング部分317を有し、接着パッチ・カバー315の中央部に孔を有する。使い捨てパッチ・モジュール314は、例えば、Power Paper社製の細長いペーパー・バッテリーのようなバッテリー135をも含む。バッテリー135は通常のアルカリ電池と同等の電気エネルギーを発生することができ、紙、プラスチックまたはその他の可撓性材料に直接プリントされた亜鉛陽極層および二酸化マンガン陰極層から成る。プラスチックフィルム・バッテリーまたはCymbet Corporation製のバッテリーでもよい。バッテリー135は電解質によって分離された2つの電極を有し、両電極が接続されると、回路が完成し、使い捨てパッチ・モジュール314に電流が流れる。バッテリー135は薄く、可撓性であるが、必ずしも交換可能ではなく充電可能であればよい。交換可能な実施態様はあるが、使い捨てというコンセプトにふさわしくない。この実施態様は完全に使い捨てである自己充足一体パッチとして構成することもできる。
【0092】
バッテリー135の上側は接着パッチ・カバー315と近接し、接触している。バッテリー135はその中央部分にこれを貫通し、バッテリー135と接着パッチ・カバー315が互いに接触すると接着パッチ・カバー315の孔と整合する孔をも有する。使い捨てパッチ・モジュール314のバッテリー135は上側321と対向する下側322をも有し、下側322は周囲センサー120および(図示しない)肌温度センサーを支持するプリント回路盤325と近接し、これと接触する。プリント回路盤325は周囲温度センサー120が配置される肌とは反対側の第1側327を有する。この回路盤をも可撓性とすることができる。周囲温度センサー120はプリント回路盤325の第1側327の中央部に配置され、ペーパー・バッテリー320および接着パッチ・カバー315の双方に形成されている孔を貫通する。肌温度センサー325は着用者の肌と対向し、プリント回路盤325の上側327とは反対側であるプリント回路盤325の下側328に配置される。使い捨てパッチ・モジュール314は上述した他の実施態様の場合と同様に、センサーを肌に圧接させるための圧縮材330をも含み、圧縮材330は肌センサーを正しい接触状態に保つため、密度分布が多様な材料で形成することができ、その上側331がプリント回路盤325の下側328と近接してこれと接触し、ほぼ円形を呈し、図7A−Cに示すオリフィス123とほぼ相関するプリント回路盤325の下側328に配置された(図示しない)肌温度センサーと整合する孔を中央部分に有する。圧縮材の下側332は肌界面335と近接してこれと接触する。肌界面335はほぼ円形を呈し、その上側336は圧縮材の下側332と近接してこれと接触する。肌界面335の下側337は、使い捨てパッチ・モジュール314を着用者の身体に装着すると、肌と近接してこれと接触する。肌界面335はその中央部分に孔を有し、(図示しない)肌温度センサーがこの孔を貫通して着用者の肌と接触する。
【0093】
バッテリーの使用に関しては、多様な代替手段があることも考察しなければならない。特にバッテリーが耐久性のコインまたはボタン・セルであり、ユニットが使い捨てである場合には、同じバッテリーをデバイスから取外し、再使用することができる。モジュールは、バッテリーを挿入できるように、または接着片を利用するか、または肌い自体からの圧力を利用してエッジに沿ったアンダーカットまたは開口内にバッテリーを保持するように設計することもできる。
【0094】
使い捨て実施態様に関して重要な問題は着用時間と着用条件である。劣化したデバイスはほかに故障がなくても不正確なデータしか提供しない。圧電歪み検知器や単なる電気化学可視インジケータを利用することで、耐用期間または性能限界に達したこと、ユニットを交換すべきであることをユーザーに警告することができる。ディスプレイの他の例として、熱‐化学的、光‐化学的およびバイオケミカル・ディスプレイがある。ディスプレイまたは検知器を接着片の一部または全体と一体化し、接着片に特別な画像をプリントすればよい。着用者の身体が動くと、接着片全体も動き、材料が損傷し、接着片表面にひびが入る恐れがあるから、温度示度数だけでなく、着用者の動作を明らかにする機械的、非電子的センサーをも設ける。これは基礎的な行動または動作検知器や不正交渉検知器などのような製品の寿命切れ検知に利用できる。
【0095】
第2の考察点は電力利用である。ここに説明するバッテリー利用実施態様は概ね好ましいが、ユニットを外部電源、例えば、示度数を読み、データを送信するのに充分な短時間に亘ってデバイスをどうさせることができる充分な電力を含むRFトランスミッションによって給電することも考えられる。但し、今日の段階では、このような実施態様は連続的および/または長期測定用としては不適当である。
【0096】
低コストの使い捨て製品がいずれもそうであるように、実用性に欠かせないのが部品数と複雑さの軽減である。例えば、バッテリーに導電性インクを使用するか、または導電性インクを接着片と一体化して電気接点として作用させる。また、スイッチおよびその他の制御手段を省略することが望ましい。自動起動のため、オン/オフ・スイッチを省略するもう1つの理由は親やヘルパーがデバイスをターン・オンするのを忘れる場合を想定してのことである。耐久性または半耐久性モジュールでは、肌温度センサーをパワーアップ検知器として利用することができるから、ユニットが身体に装着されると、肌温度センサーがターン・オンし、オン・オフ・スイッチは不要であり、ユニットが使用されていない時の節電効果が改善される。所定時間に亘って休止させ、極く限られた回数だけ測定を行うようにモジュールを設計することでバッテリーの電力消費を節約することができる。このような休止時間の長さはユーザーやヘルパーによって設定されるか、または観察される示度数に基づいて適宜に設定される。例えば、体温が高い場合には、測定する頻度が高くなる。デバイスを起動させる条件を自動的に感知する他の方法として、幾つかの状態を感知し、且つ幾つかの環境変化を検知することを挙げることができる。例えば、電気皮膚反応センサーおよび/または熱流束センサーを利用することによって、デバイスが身体に装着されるのを検知することができる。デバイスの温度が周囲温度であって体温ではない場合、周囲温度センサーと肌温度センサーは同じ温度を送信する。デバイスが身体に装着されると、温度示度数に差が現れ、これがユニットによって検知され、起動信号として利用される。動作検知器も身体への装着を示す信号を出力する。他の方法として、例えば、デバイスとレシーバとの接近または接触、またはデバイスに対する接着片の取り付けを利用する方法がある。バッテリーの挿着もデバイスを起動することができる。また、レシーバからデバイスを起動させる信号を発生させることも可能である。
【0097】
耐久型実施態様、使い捨て型実施態様または複合型実施態様と併せて、上述したように、複数のユニットを身体に取り付けることによってセンサー列を形成することができる。また、接着片またはウィングに配置されるアウトボード・センサーを利用すれば、単一のユニットにセンサー列を装備することもできる。これらのセンサーが物理的には完全に分離しているが単一ユニットと交信するという態様も可能である。
【0098】
既に述べたように、実施態様によっては、薬剤、栄養物、ビタミン、ハーブ、ミネラルなどの投与に利用できる。即ち、接着片またはモジュール自体が経皮貼付と同様の要領で薬剤を局所投与するように構成すればよい。このような機能はコーティングされた極微針を利用することによって実現することもできる。これに代わる方法として、特定の時間またはデバイスによる検知および処理によって所定の条件に合致すると判断されると薬剤を投与する機能を有する、例えば、Alza Corporation製のE-Trans経皮投薬システムのような、必要に応じて投薬するシステムの利用も考えられる。例えば、温度測定モジュールを、鎮痛剤を投与して解熱効果を助ける接着片と組み合わせることもできる。投薬の用量またはタイミングなどは着用者の身体からの反応/測定値および誘導値に従って制御することができる。この閉ループのセットポイントは製造段階でメーカーによって設定されるか、ユーザーまたはヘルパーによって設定される。閉ループを採用せず、ヘルパーがレシーバを介して指令を発し、肌に対して薬剤を投与させる場合もある。他の例として、所定時間だけ効力を発揮する薬剤、例えば、4時間鎮咳薬を睡眠時に投与させることも可能である。詳しくは後述するように、本発明のデバイスは睡眠の幾つかの特徴を検知することもできる。この場合、睡眠補助薬を投与して睡眠を助けるか、または夜半に不安な状態に陥る患者に適量の睡眠補助薬を投与する。また、完全に目覚める前に痛みを検知することができるから、鎮痛剤の投与が可能である。この場合、覚醒の前兆としてシステムが認識する生理的および/またはコンテクスト信号が検知されると、直ちに覚醒前投薬が行われる。これにより、ユーザーはより安静な睡眠時間を享受することができる。さらにまた、独断的な睡眠時間ではなく、真に生物学的な8時間睡眠を享受することもできる。本発明のデバイスを、生体自己制御による鼾や無呼吸睡眠の防止および/治療に利用することもできる。
【0099】
お漏らしや排便の条件、パラメータおよび/またはコンテクストを認識し、分類するという能力を利用する実施態様も考えられる。このような実施態様は幼児、成人の別なく、夜尿症の治療やトイレ訓練に有用である。例えば、上記のような事象が起こる期間中、本発明のデバイスを着用させれば、事象が起こる直前に測定され、誘導されるパラメータに関する知識ベースを構築する。これらのパラメータが差し迫っている事象を知らせる信号として作用し、アラームまたはその他の警報をトリガーする。これにより、親またはヘルパーは正しいトイレ習慣を身につけさせ、あるいは眠っている幼児または気付いていない成人を覚醒させ、トイレへ行かせることができる。
【0100】
接着片として生体活性包帯を傷ついた部位または縫合部位に装着すれば、例えば、組織再生に不可欠な血流をモニターしながら、治癒を促進する材料/ミネラル/物質を刺激することも可能である。この場合、接着片は負傷部位を保護する一方、治癒を促進するカバーとして機能し、治癒の過程が実際に進行し、成果を挙げているかどうかを本発明のデバイスが評価する。本発明のデバイスは組織または筋肉の再生に寄与する極めて穏やかな電気刺激をも提供する。
【0101】
皮フからの正常な水分および/または汗の中に存在する化学物質と反応し、感知されたパラメータに対応する色またはその他の可視フィードバックの形で結果を観察者に提示するように接着片を設計することができる。化学物質としては、ナトリウム、塩素、カリウムおよび体内のミネラルなどが挙げられる。例えば、嚢胞性線維症または物質使用障害のような潜在的な疾病が認識される。オムツに対して露出しているか、オムツの内側に接着されているか、または発作の際に尿に接触する身体部位にまで達している接着片には、下記のファクタに対する化学的検知手段を設けることができる:pH、比重、タンパク質、グルコース、ケトン、亜硝酸塩、白血球、ウロビリノゲン、血液、ビリルビン、アスコルビン酸、ビタミンC、および同様のミネラルおよび化合物。もし接着片に間質液を検査する極微針をも設ければ、種々の化学的、電気的または化学電気的技術によって下記のファクタに関するデータを採集および/または提示することができる:タンパク質、種々の栄養物、グルコース、ヒスタミン、体内ミネラル、pH、ナトリウム、pO2、pCO2、水和反応などのような体液状態、およびグルコースおよび物質使用に関するその他の状態フィードバック。このような接着片が、場合によっては特殊ゲルと一体化させた電極をも含み、弱電流を利用して皮フを介して微量の組織液を抽出し、組織液中のグルコース・レベルを分析することによって、グルコース・レベルの傾向を非侵襲的に検知し、追跡する技術を可能にする。本発明のモジュール55の第5実施態様は図9に示すようなディスク温度モジュール534である。ディスク温度モジュール534は円形ベース536、および円形ベース536から突出する円形突出部537を有するディスク534から成る。円形突出部537の直径は円形ベース536の直径よりも小さい。ディスク535の円形突出部537はディスプレイ86Aを含む面538を有する。任意のディスプレイ86Aは連続的に検知される温度測定値およびその他の関連する統計的データ、例えば、現時点温度、温度傾向、およびコンテクスト・データなどを可視的に提示する。周囲温度センサー120は面538に配置され、(図示しないが)肌温度センサーは着用者の肌に近接し、これと接触するようにディスク535の裏側に配置される。周囲温度センサー120はディスク535の面538のほぼ全体をカバーする。接着片はモジュール534の下側、即ち、肌側に配置される。詳しくは後述するように、モジュールを身体上に保持するため、接着片および/または断熱リングをも利用する。
【0102】
ディスク温度モジュール534は着脱自在なハンドル571をも含み、着脱自在なハンドル571の一端からハンドル突起570が延びている。ハンドル突起570を円形ベース536に設けた孔に嵌入させることによって着脱自在なハンドル571をディスク535の円形ベース536に連結し、予備温度測定を行う。この実施態様においては、ハンドル571をモジュール534に固定し、モジュールを所定の部位、例えば、患者の腋窩に配置するだけであって、接着はしない。静態的または予備的温度測定の後、ハンドルを取外す。次いで、モジュール534を身体に装着するか、または後刻または後日、再び静態的測定に使用する。ハンドル571は肌温度センサー125Aおよび/または周囲温度センサー120Aをも含む。ハンドルの肌温度センサー125Aはモジュールと連携させて従来型の口腔または腋窩体温計として利用され、静態的な体温測定を行う。また、デバイスの動作の定期的チェックは一定期間に亘って身体に装着した状態で使用した後、モジュールを再びハンドルに取り付け、口腔、直腸またはその他の温度を測定することにより、詳しくは後述するように、デバイスがその較正をチェックできるようにしてチェックする。このような較正のためにモジュールを取外す場合、あらたなウォームアップ時間が必要である。このようなあらたなウォームアップ時間を不要にする実施態様として、同様のハンドル、読取り手段または温度計を、一体化された温度計を有するモジュールと電子交信させることによって温度測定を行い、取外すことなくモジュールを更新する。
【0103】
さらに他の実施態様ではハンドル571および面538がディスプレイ86Aと一体化され、着脱自在なセンサー・ユニットがディスク535と接着片とから成る。この実施態様では、一体化されたハンドル571と面538がレシーバ・ユニットを構成し、着脱自在なディスクは肌に固定されるモジュールを構成する。この実施態様では、ハンドル/レシーバが同じ環境内に位置するなら、周囲温度センサー120Aを部屋の周囲温度の検知にも利用される。この実施態様は、最も基本的な形態においては実際の温度ではなく相対的な温度変化を測定するだけである。この実施態様では、基本温度は他のデバイスで測定される。このタイプの実施態様では、予め設定された基準に達すると、直ちに警告などの事象をトリガーするようにモジュールを予め設定する。このようなデバイスの利用例は熱および通気の欠乏が体温を危険なレベルにまで上昇させる防護服や消防士の耐火服である。ディスク温度モジュール534は平坦面572を有する円形の接着性裏張り545をも含み、平坦面572は円形接着性裏張り545の直径よりも直径が小さい突出部573と隣接する。突出部573はその周縁によって画定される中央部分に開口560を有する。平坦面572はこの平坦面572から延びる摘み565をも含む。
【0104】
ディスク535を接着性裏張り545の凹部560に挿入することによってディスク535を接着性裏張り545と咬合させることにより、接着性裏張り545の突出部573をディスク573の円形突出部537と接触させ、接着性裏張り/ディスク集合体550を形成することができる。接着性裏張り/ディスク集合体550を着用者の身体の適当な部位に配置する。着用者が身体からディスク温度モジュール534を取り外したければ、摘み565を引き上げて着用者の身体から接着性裏張り/ディスク集合体550の離脱を助ける。
【0105】
図10は自己充足モジュール445の形態を呈するモジュール55のだい6実施態様を示す。自己充足モジュール445は耐久性材料、好ましくは可撓性ウレタンまたは弾性材料、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工することによって形成される。あるいは、剛性プラスチック材料から自己充足モジュール445を形成することも可能である。自己充足モジュール445は、例えば、電気化学ディスプレイ450のような情報送信用のディスプレイを有する。電気化学ディスプレイ450はエレクトロクロミック染料を含有し、染料に電圧が印加されると色が変化する。染料から電圧が除かれた後も、変化した色はそのままである。所定の閾値に達すると電気化学ディスプレイ450が変化して画像を表示する。電気化学ディスプレイ450はその頂面に電気化学染料を含有する剥離可能な裏面粘着部材をも有し、閾値に達すると粘着剤が色または画像を変化させる。身体または自己充足モジュール445以外の場所に配置したければ、電気化学ディスプレイ450から裏面粘着部材を剥離する。この電気化学ディスプレイは特定タイプのユーザー、特定のフィードバック閾値またはユーザーの目的に適応させ、生後6ヶ月の乳児、消防士、または手術着など、それぞれの特定用途に合わせて提供することができる。
【0106】
図11A乃至11Gは折り返しクリップ・モジュール495の形態を呈する本発明の第7実施態様を示す。図11Aは第1部分510および第2部分515を有する折り返しクリップ・モジュール495を示す。図11Bおよび図11Cは折り返しクリップ・モジュール495の一実施例を示す。図11Bにおいて、折り返しクリップ・モジュール495は耐久性材料、好ましくは可撓性ウレタンまたは弾性材料、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工することによって形成された第1部分510を有する。第1部分は剛性プラスチックであってもよい。第1部分510はディスプレイ86Aが配置される円形面520をも有する。ディスプレイ86Aは連続的に検知される温度測定値のほか、例えば、現時点温度、温度傾向、コンテクスト・データなどのような処理済みデータを含む関連の統計データを可視的に表示する。
【0107】
折り返しクリップ・モジュール495の第1部分510は第1部分510の面520を折り返しクリップ・モジュール495の第2部分515に接続する幅の狭い延長部521を有する。折り返しクリップ・モジュール510の第2部分515は展性材料、好ましくは可撓性回路盤または可撓性ウレタンまたは弾性材、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工して形成される。図11Cに示すように、折り返しクリップ・モジュール495は着用者のオムツ60に取り付けるため、折り返しクリップ・モジュール495の第2部分515に隣接する延長部521において折返される。
【0108】
折り返しクリップ・モジュール495の他の実施態様を図11Dおよび11Eに示す。図11Dに示すように、折り返しクリップ・モジュール495は耐久性材料、好ましくは可撓性ウレタンまたは弾性材、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工することによって形成される。第1部分は剛性プラスチックであってもよい。第1部分510はディスプレイ86Aが配置される円形面520をも有する。ディスプレイ86Aは連続的に検知される温度測定値のほか、例えば、現時点温度、温度傾向、コンテクスト・データなどのような処理済みデータを含む関連の統計データを可視的に表示する。
【0109】
折り返しクリップ・モジュール495の第1部分510は第1部分510の面520を折り返しクリップ・モジュール495の第2部分515に接続する幅の狭い延長部521を有する。折り返しクリップ・モジュール510の第2部分515は展性材料、好ましくは可撓性回路盤または可撓性ウレタンまたは弾性材、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工して形成される。図11Eに示すように、折り返しクリップ・モジュール495は着用者のオムツ60に取り付けるため、位置決めヒンジ525において折返される。この実施態様は身体との正しい接触をさらに確実にするための、または衣類またはオムツに固定するための接着片と併用することもできる。はだに取り付ける接着片に関しては、接着片およびその取付けは図4−8に関連して説明したのと同様である。
【0110】
折り返しクリップ・モジュール495の上記いずれの実施態様においても、(図示しないが)周囲温度センサーは折り返しクリップ・モジュール495の第1部分510に沿って配置され、(図示しないが)肌温度センサーは折り返しクリップ・モジュールの第2部分515に沿って配置される。但し、周囲温度センサーおよび肌温度センサーを第2部分だけに配置し、可撓性部分とともに、または可撓性部分を残して、これを使い捨てとしてもよい。
【0111】
図11Fおよび11Gは着用者のオムツ60における折返しクリップ・モジュール495の取付け位置を示す。図11Fでは、折り返しクリップ・モジュールを、オムツ60の脚周りバンドに位置する第1取付け位置505に取り付けることができる。折り返しクリップ・モジュール495の第1部分はオムツ60の外側に位置し、第2部分515はオムツの内側に位置する。図11Gはオムツの胴回りバンドに位置する第2取り付け位置505に取付けられた折り返しクリップ・モジュール495を示す。図11Fに関連して述べたように、折り返しクリップ・モジュール495の第1部分515はオムツ60の外側に位置し、第2部分は内側に位置する。成人用の場合、このような取付け方法は他の衣類に併用することができる。また、この実施態様と併用されるハウジングは折り返しクリップ・モジュールから取外し可能であり、図7−9の実施態様と同様に、幾つかの機能および/または電源が使い捨て部分に配置され、耐久性のハウジングが再使用される。電源をモジュールが取り付けられる、または支持されるオムツまたは衣類内に電源を配置してもよい。
【0112】
図12はスタック・モニター・モジュール575である温度モニター・モジュールの第8実施態様を示す。スタック・門ター・モジュール575は第1側581および第2側(図示しない)を有する円形の扁平ディスクである第1部分580を含む。第1部分580の第1側581は着用者の環境の方へ向いている周囲温度センサー120を有する。第1部分580の第1側581はディスプレイ86Aをも有する。ディスプレイ86Aは連続的に検知される温度測定値のほか、例えば、現時点温度、温度傾向、コンテクスト・データなどのような処理済みデータを含む関連の統計データを可視的に表示する。電気的接続は図7および8を参照して説明したのと同様である。スタック・モニター・モジュール575の第2部分585は第1側586および第2側587を有する。第2部分585の第1側586はオムツ60を接触するように配置される。肌温度センサー125はスタック・モニター・モジュール575の第2部分585の第2側に配置され、着用者の肌と近接し、接触して着用者の肌温度を検知する。第2部分585の第2側587に配置される肌温度センサー125は単一のセンサーまたは一連お肌温度センサー125から成る多重センサー列である。第1部分580の(図示しない)第2側および第2部分585の第1側586はオムツ60と接触するように配置され、ピヤス連結を介して互に咬合している。オムツまたは下着には製造時に既に、デバイスを収容および/または位置決めするための、適当なラベルを付し、位置決めした孔、ポケット、アンダーカットなどが形成されている。
【0113】
図13はクリップ・モジュール475の形態を呈する本発明の第9実施態様を示す。クリップ・モジュール475は、オムツ60に取付けられた状態にあってもクリップ・モジュール475がその形状を維持できるように展性を有する可撓性材料から成る。クリップ・モジュール475は好ましくは可撓性ウレタンまたは弾性材料、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工することによって形成する。クリップ・モジュール475は肌温度センサー490が配置される内側クリップ部分480を有する。クリップ・モジュール475はまた周囲温度センサーが配置される外側クリップ部分485を有する。(図示しない)周囲温度センサーは外側クリップ部分485の全面が作用センサー面となるように充分広く寸法設定するか、または作用センサーを外側クリップ部分485の一部にだけ配置することができる。同様に、肌温度センサー490は内側クリップ部分480の全面が作用センサー面となるように充分広く寸法設定するか、または作用センサーを内側クリップ部分480の一部にだけ配置することができる。クリップ・モジュール475の内側クリップ部分480はオムツ60の胴回りバンドの下に配置される。栗プ・モジュール475は外側クリップ部分485がオムツ60の頂部に跨るように折り曲げられる。
【0114】
図14は背中に取り付けられるモジュール455であるモジュール55の第10実施態様と、着用者への取付け状態を示す。背中取り付けモジュール455は展性を有し、身体にぴったりするソフトな材料、好ましくはソフトな不織多層材料、但し、これらに代わる材料として可撓性のウレタンまたは弾性材料、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工することによって形成される。あるいは、上述した実施態様の場合には詰め物をするか、身体に接着される剛性プラスチック材料で形成することもできる。他のモジュールと同様に、背中取り付けモジュール450は左ウィング部分460および右ウィング部分455を含む(図示しない)ハウジングを有する。背中取り付けモジュール455の中央部分470は左右ウィング部分の間に位置する。背中取り付けモジュール455はオムツに形成されているポーチに滑り込ませるか、オムツ60と着用者の背中のくぼみとの間に配置することができる。モジュールを図14に鎖線で示すように背中の肩甲骨の間に接着してもよい。
【0115】
図15は指輪370の形状を呈するレシーバの第11実施態様を示す。指輪370はレシーバではあるが、上述したような自己充足シングル・モジュールでもある。ベース371は可撓性ウレタンまたは弾性材料、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工することによって形成されるが、剛性プラスチック材料から形成することもできる。ベース371は別設のモジュール55からのデータ受信に必要なすべてのコンポーネントを内蔵するか、またはモジュール55自体のコンポーネントをすべて内蔵し、指自体から体温示度数を読取る。モジュール55から受信された温度およびその他の関連データはベース371のディスプレイ86Bに表示される。ベース371は被験者の適当な指に装着される。レシーバとしての指輪370はユーザーにとって携帯に便利であり、移動を妨げることがないから、レシーバとしての指輪370への送信にモジュール55が採用する送信方法によって限定される範囲内の距離までなら、ユーザーは自由に移動することができる。図15に示す実施態様においては、ディスプレイ86Bがアナログ表示を採用しているが、いずれの実施態様においても、表示はディジタルでもアナログでもよく、電子表示でも電気-機械的表示であってもよい。表示は詳しくは後述するように即時的の場合と、または体温傾向を表示する累積表示の場合がある。図15に示すディスプレイ86Bの場合、ディスプレイは現時点の体温を相対スケールで表示する典型的な体温計である。このデバイスは女性用の排卵検知器または避妊用インジケータとして特に有用であり、例えば、30日間に亘ってピーク体温を表示して排卵の検知を助けることができ、この場合には30日間という連続しよう期間に合わせた電源を設ける。上述した排尿・排便を予知するための実施態様と同様に、月経開始直前の信号を検知し、差し迫った事象に関して警告を発するのに利用することもできる。月経の体験に乏しい女性に対して、予知と対応に関して習熟させ、教育するなど、多くの使用目的に有用である。閉経期の女性にも有用であり、体温示度数を参考に、閉経という重大な転換期を検知し、その特徴や傾向からこれを予知し、生活の変化に対応するのに利用することもできる。
【0116】
以上に述べた実施態様を、後述する回路およびプログラムと組み合わせることによってあらゆるタイプの患者および着用者を対象に使用することができる。例えば、オムツを着用しない成人の場合なら、下着にクリップ・モジュールを取り付ければよい。一般に、本発明のデバイスは適当な情報、アルゴリズムおよびフレキシビリティでプログラムすることによってそれぞれの着用者に適応させ、特定の用途に合わせて較正される。他の実施態様、特に上記使い捨て実施態様では、デバイスの機能を制限することによって複雑さとコストを軽減することができる。このことは最低限コストの実施態様を考案するか、デバイスの使用目的を絞り込んで用途の特殊化を強調することによって達成される。いずれの場合にも、詳しくは後述するように、デバイスの処理能力を低下させることおよび/または利用可能な機能を減らすことによって機能を制限することができる。それぞれのデバイスの機能範囲を、例えば、患者の体重に合わせて制限し、乳児、幼児および成人にそれぞれ異なるタイプのモニターデバイスが割当てられるようにすればよい。また、詳しくは後述するように、体重に適応する精緻な目盛を開発し、これを一連の体重別製品にプログラムすればよい。さらに、他の反応パラメータを求めることによって、実施態様を区別化し、初期の期間にトレーニングデバイスを着用させると、システムが特定のパラメータまたは特性に従って着用者を分類し、システムの出力によって、一連のデバイスのうち、どのデバイスが着用者に好適であるかを判定することができる。着用者のサイズに応じて異なる複数のモジュールを用意しているか、あるいは、接着タイプまたは衣類取付けタイプを用意しておけば、明確なサイズ入力がなくても、計算に組み込むことができる着用者サイズの推定値をモジュールに組み込んでおくことができる。
【0117】
典型的なレシーバ345およびディスプレイの例を図10に示す。ディスプレイは図1に関連して述べたレシーバのいずれか1つに組み込めばよい。現時点温度350はディスプレイに示され、モジュール55の検知された測定値から求められる被験者の最新計算温度である。温度の計算は図22を参照して後述する。レシーバ345のディスプレイは現在の曜日355、現在の月、現在の日付および現在の時刻のような応報をも含むことができる。レシーバ345の動作状態は電源スイッチ366によってコントロールされる。バッテリーまたは電源からレシーバ345への給電は電源ボタン366を押すなどの操作によって制御される。給電されると、レシーバ345がモジュール55からの信号を受信し始める。レシーバ345はモジュールからのフィードバック、例えば、外科手術用、防火用、生物学用または有害な衣服など息苦しい着衣で作業している場合の活動レベルや身体疲労に関して、アイコンやカラーに基づくインジケータのような簡単なフィードバックを表示する。その結果が閾値に達したことを指示することもある。表示は年代配列、日付配列などに分けることができる。
【0118】
温度の変化に伴い、ディスプレイは変化の傾向、例えば、走行距離計のように数字を上下させて温度の上昇または下降を示すアイコン、アナログまたはディジタル表示を提供する。画像またはアイコン出力は例えば睡眠、泣きおよび/または姿勢を組み入れることができる。図17には、現時点温度350がモジュール55の検知測定値から得られた被験者の最新誘導温度であることを示すアイコンが表示されている。現時点温度は摂氏または華氏モードで表示され、表示のために選択されるモードは温度目盛インジケータ380によって指示され、摂氏モードならCで、華氏モードならFで表示される。ディスプレイは姿勢インジケータ・アイコン430を含む。姿勢インジケータ・アイコン430は着用者の姿勢をアイコンで表す。姿勢インジケータ・アイコン430は被検者の或る姿勢を表す音声または図解またはアイコンであるか、または左をL、右をR、腹部をS、背中をBというようにアルファベット記号であってもよい。ディスプレイは行動インジケータ・テキスト435をも提供する。行動インジケータ・テキスト435は着用者の行動レベルに関する情報を提供し、着用者が眠っているか、覚醒しているか、または泣いているかを指示する。心拍インジケータ440は着用者の心拍数の測定値を提供する。心拍インジケータの代わりに、他のタイプのバイタルサイン状態の1つを表示するインジケータを採用することもできる。
【0119】
図18Aは、レシーバ345のディスプレイを示している。現時点温度350は、モジュール55の検出された測定値から見極めた、個体の最新の計算温度である。温度の計算は、図23に関して本明細書中でさらに説明する。現時点温度350は摂氏モード又は華氏モードで表示することができ、レシーバ345上のディスプレイに関して選択されたモードは、温度スケール・インジケータ380によって示され、摂氏の場合にはCと表示し、又は華氏の場合にはFと表示する。バッテリー・インジケータ385は、モジュール55のバッテリー又は選択された別の実施態様の電力レベルを示す。ボーダーラインの低温又は高温が検出されると、異常温度警告インジケータ・アイコン390が視覚的な警告を発する。高温警告インジケータ390は、異常温度警告テキスト395によって達成することができる。異常温度警告テキスト395は高温警告インジケータ390のテキスト形式である。ディスプレイ86Bは、触覚デバイス、モーター、電子刺激、又は視覚障害者が使用するための他の技術として提供することもできる。この技術の一例としては、NASAのJet Propulsion Laboratoryによって開発された移動点字状ディスプレイを形成するための読み取りピン・アレイが挙げられる。
【0120】
図18Bは、レシーバ345のディスプレイの第2実施態様を表す。ディスプレイは、図18Aに関して説明したように、現時点温度350、温度スケール・インジケータ380、及びバッテリー・インジケータ385を含む。加えて、ディスプレイは、急速シフト警告インジケータ・アイコン400を含む。このアイコンは、温度が、上昇温度又は下降温度の予めプログラミングされた度数だけ変化したときに、又は体調又はコンテクストにおいて他の急速な変化が生じたときに、使用者に警告を視覚的に発する。急速シフト警告400は、急速シフト警告400をテキスト形式に示す急速シフト警告テキスト405によって達成することができる。
【0121】
レシーバ345のディスプレイの第3実施態様が、図18Cに示されている。ディスプレイは、図18Aに関して説明したように、現時点温度350、現時点温度インジケータ380、及びバッテリー・インジケータ385を含む。ディスプレイはまた、前の温度を含む温度動向情報420を含む。温度動向情報は、モジュール55によって検出された前の温度を示す。前の温度の計算については、図22に関してさらに説明する。前の温度420は、連携する、前の温度の時間テキスト425を有する。このテキストは、前の温度420の検出時から現時点までの時間を示す。図18Cに示されたディスプレイはさらに、或る特定の時間にわたる温度のパターンのアイコン表示である温度動向インジケータ・アイコン410、及び温度動向インジケータ・アイコン410のテキスト表示である温度動向インジケータ・テキスト415を含む。具体的に注目すべきは、レシーバ、及び関連のディスプレイを、自宅、オフィス、又は健康管理施設などにおいて共通に見いだされる任意の他の器具内に組み込むことができる点である。これらの器具の一例としては、体重計、テレビ受像機、電話基地局又は送受話器、運動器具、血圧モニター、グルコメーター又は時計付きラジオが挙げられる。
【0122】
図19は、モジュール55の回路の電気的なブロック・ダイヤグラムである。モジュール55は、第1センサー610と第2センサー615とを含む。第1センサー610は、着用者上の肌配置領域における身体の肌温度を検出し、プロセッサ605に送るべき信号を発生させる。第2センサー615は、着用者の環境の周囲空気温度を検出する周囲温度センサーであり、そしてやはりプロセッサ605に送るべき信号を発生させる。第2センサー615によって発生させられる信号の性質に応じて、信号は増幅のために、増幅器635を通して送ることができる。第2センサー615によって発生させられる信号がプロセッサ605に送られると、信号は、プロセッサ605内部に含有されるアナログ−デジタル変換器によってデジタル信号に変換することができる。
【0123】
個々の使用者の検出された温度データ及び/又は他の関連情報を表すデジタル信号は、次いで、現時点温度データ及び温度データ動向を計算又は生成するために、プロセッサ605によって利用される。プロセッサ605は、計算された温度及びその他の関連データを形成するのに必要なユーティリティ及びアルゴリズムを含むように、プログラミング及び/又はその他の形式で適合される。
【0124】
言うまでもなく、プロセッサ605はプロセッサ又は処理デバイスの他の形態、例えばマイクロコントローラ、又は本明細書中に記載された機能を発揮するようにプログラミングできる任意の他のデバイスを含んでもよい。具体的に注目すべきは、回路をデバイスの使い捨て用途に最も適用できる最小限のコスト及び構成部分で実装することができる点である。この実施態様の場合、装置はプロセッサを備えておらず、本明細書中に記載された実施態様のいずれかに従って、高度に特異化された、予めプログラミングされた動作のための一連の不連続的な電気的構成部分及びゲート回路を備えている。この装置は、動作、バッテリー、キャパシタ、太陽の出力、RFID、又は当業者に知られている他の方法を含む任意の周知の手段を動力源とすることができる。別の選択肢は、測定される電位を直接に装置の動力とすることである。ディスプレイ・メカニズムは化学的であるか、LCD又はその他の低電力消費デバイスであってよい。電圧スパイクは、極めて低いトリクル放出を伴ってキャパシタを充電し;単純なLEDディスプレイは、キャパシタ内で充電能力を発揮する。別の実施態様の場合、単純なアナログ・ディスプレイはバッテリーを動力源とする。
【0125】
個々の使用者の検出又は処理されたデータ及び/又はその他の関連情報をメモリーに送ることができる。メモリーは、プロセッサ605内部に含有されたフラッシュメモリーであってよい。メモリーは、図20に示されたプロセッサ605の一部であってよく、或いは、図20に示されているメモリー656のような不連続要素であってもよい。プロセッサ605内にクロック回路が含まれていない限りにおいて、図20に示されているような結晶タイミング回路657が設けられている。具体的には、プロセッサ605がA/D変換器回路を含むことが考えられる。このようなものが含まれていない限りにおいて、A/D回路(図示せず)が必要とされることがある。センサー入力チャネルが必要に応じて多重化されてもよい。
【0126】
バッテリー620はモジュール55のための主電源であり、プロセッサ620にカップリングされている。プロセッサ620にはトランシーバ625がカップリングされており、トランシーバ625は、モジュール55と接続されたレシーバに信号を送信するように適合されている。トランシーバは、当業者に知られた無線送信の任意の形態、例えば赤外線又はRF送信によって、検出及び/又は処理されたデータをレシーバに通信する。検出及び/又は処理されたデータをレシーバに送信するために、プロセッサ605にはアンテナ603がさらにカップリングされている。信号品質を改善するために、オムツ、衣類又はストラップ内にアンテナ630がさらに取り付けられ、又は組み込まれてよい。
【0127】
図20は、モジュール55のスタンドアローン・バージョンの電気的なブロック・ダイヤグラムを示している。モジュール55のスタンドアローン・バージョンは、ユーザー入力手段655を提供する。ユーザー入力部655は、ユーザーによってマニュアル測定された初期温度測定値、又は着用者の特性、例えば年齢、体重、性別、又はモジュールの位置を含むことができる。モジュール55は第1センサー610及び第2センサー615を含む。第1センサー610は、着用者上の肌配置領域における身体の肌温度を検出し、プロセッサ605に送るべき信号を発生させる。第2センサー615は、着用者の環境の周囲空気温度を検出する周囲温度センサーであり、そしてやはりプロセッサ605に送るべき信号を発生させる。温度センサーは一般にサーミスターとして実装されるが、いかなる温度検知デバイスも適切である。これらのセンサーは一般に、標準的な自動SMT配置・ハンダ付け装置によって取り付けられた1%表面実装サーミスタを含む。センサー毎の1%R25誤差及び3%ベータ誤差は、各センサーが当該35℃領域の周囲で+/−0.5℃であることを意味する。或る特定の環境において、このことは結果として、2つのセンサーの間の読み取り温度において1℃の誤差をもたらすことがある。誤差を低減するために、センサーは、熱導電性であるがしかし電気的に絶縁性の流体、例えば3M Engineered Fluids Fluorinert及びNovec中に浸され、安定化を可能にされる。2つの温度設定点における同一の既知の条件下で2つのサーミスタを読み取ることにより、2つのサーミスタのR25とベータとの関係性を見極めることができる。
【0128】
0.1℃の互換性を有するより高価なサーミスタを組み込むこともできる。このことは、センサー間の誤差を10〜0.1℃だけ低減する。当業者によく知られるバッチ法を利用して、製造過程中にセンサーを一致させることも可能である。
【0129】
個々の使用者の検出された温度データ及び/又は他の関連情報を表すデジタル信号は、次いで、現時点温度データ及び温度データ動向を計算又は生成するために、プロセッサ605によって利用される。プロセッサ605は、計算された温度及びその他の関連データを形成するのに必要なユーティリティ及びアルゴリズムを含むように、プログラミング及び/又はその他の形式で適合される。プロセッサ605は、プロセッサ又は処理デバイスの他の形態、例えばマイクロコントローラ、又は本明細書中に記載された機能を発揮するようにプログラミングできる任意の他のデバイスを含んでもよい。
【0130】
バッテリー620はモジュール55のための主電源であり、プロセッサ620にカップリングされている。モジュール55は出力部86Aを備えている。多成分系がモジュール55を含み、モジュールは、現時点温度、温度動向、及びコンテクスト・データを視覚的表示するためのディスプレイ86Aを備えることができる。多くの非視覚的形態、例えば聴覚、触覚及び嗅覚的な形態で、警告を出すことができる。警告はコンピュータ・ネットワーク又は無線送信によって行うこともできる。
【0131】
図21A及び21Bは、モジュール55を組み込む多成分系の電気的なブロック・ダイヤグラムを示している。図22Aは、モジュール55のスタンドアローン・バージョンに関して図21に記載されているような成分のすべてを含有している。加えて、モジュール55はさらに、プロセッサ620にカップリングされたトランシーバ625を含む。トランシーバ625は、モジュール55と接続されたレシーバに信号を送信するように適合されている。トランシーバは、短距離無線送信、例えば赤外線又はRF送信によって、検出及び/又は処理されたデータをレシーバに通信する。検出及び/又は処理されたデータをレシーバに送信するために、プロセッサ605にはアンテナ603がさらにカップリングされている。
【0132】
図21Bは、モジュール55と接続して使用されるレシーバの回路を示す。ユーザー入力部680は、ユーザーによってマニュアル測定された初期温度測定値、又は着用者の特性、例えば年齢、体重を含むことができる。プロセッサ675は、モジュール55からの処理済データを、現時点データ、及び温度データ動向及びコンテクスト・データとして受信する。プロセッサ675は、計算された温度及びその他の関連データを形成するのに必要なユーティリティ及びアルゴリズムを含むように、プログラミング及び/又はその他の形式で適合することができる。個々の使用者の検出された温度データ及び/又は他の関連情報を表すデジタル信号を受信してプロセッサ675によって利用することにより、現時点温度データ、温度データ動向、及びコンテクスト・データを検出又は生成することができる。プロセッサ675は、プロセッサ又は処理デバイスの他の形態、例えばマイクロコントローラ、又は本明細書中に記載された機能を発揮するようにプログラミングできる任意の他のデバイスを含んでもよい。プロセッサ675にはAFレシーバ670がカップリングされており、AFレシーバ670は、モジュール55のトランシーバから信号を受信するように適合される。RFレシーバ670は、前述のように短距離無線送信によって処理済データを受信する。検出及び/又は処理されたデータをレシーバに送信するために、プロセッサ605にはアンテナ665がさらにカップリングされている。アンテナは、より長くするために、また送信品質のために、接着片内に組み込むことができる。送信手段は例えば、RF、IR、音響及びプロトコル、例えばEthernet, Bluetooth, 802.11、Zigbee及びGPRSを含むことができる。
【0133】
具体的に注目すべきは、プログラム可能なデバイス構成要件を一連の不連続な回路、論理ゲート又はアナログ成分として提供することにより、デバイスのコスト、重量又は複雑さを低減することができる。これらの構成要件は、Andre他の同時係属中の米国特許出願第09/682,293号明細書に記載されたアルゴリズム法によって開発することができる。このことは特に使い捨て実施態様に関して当てはまり、そしてより具体的には、上記等級付け又は分類されたデバイスに関して当てはまる。
【0134】
バッテリー620はレシーバーのための主電源であり、プロセッサ670にカップリングされている。バッテリー620は、誘導又は無線通信によって再充電することができる。別の実施態様としては、RFIDシステムが使用される。ユニットの内部電力保存は、RF信号によって電力がより完全に供給されるまで、データを記憶するのに十分であるに過ぎない。
【0135】
デバイスは、RFIDシステムとの関連において、ワンドが着用者上で振られるか又は着用者に近付けられると、リーダーにデータビットを送ることが可能になる。無線の機能とともに、受動的RFIDタグ、例えばステッカーを、家周辺の安全でない場所、例えば階段に配置することもできる。この実施態様の場合、着用者が、危険な場所を示すRFIDタグに接近すると警報を鳴らすか又はレシーバーに警報を送ることができる。このことは十分に電力供給された実施態様、又は外部電源を有する製品において実施することができる。
【0136】
これと代わる電力システム、例えばFirefly Power Technologies, Pittsburgh, Pennsylvaniaによって開発されたシステムは、給電用製品に関してわずかに変更を施した別の形である。このシステムの場合、周囲の磁場又はRF帯域幅を集めるか、或いは既知の一貫したRF帯域幅電力を所定の領域に与えることによって、キャパシタだけを有してバッテリーを有さないモジュールが、或る程度の電力容量が集められるまで、又は或る程度の時間が経過するまで、トリックル充電される。次いで、ユニットがパワーアップされ、必要な読み取り値が採取/記録され、そして次いで、データが目的地に達したという通知、又は次回にパワーアップ及び無線接続が開始されて確立されるまでフラッシュメモリー内に保持されるという通知とともに無線で伝えられる。次いでユニットはパワーダウンし、そして次のサイクル又は再充電を開始する。これとは別のAura Communication' LibertyLink チップは、弱い磁場気泡を形成し、約10MHzの低周波数で磁場を変調することにより送信する。
【0137】
図22は、温度測定モジュールの全体の動作を示す。肌温度センサーは最初に肌温度700を検出し、そして周囲温度センサーは最初に、個体の周囲温度に対応するオムツ温度705を検出する。モジュールに較正800を施すことにより、肌温度センサーによる肌温度の検出精度を助成する。1つの較正法は、デジタル温度測定デバイスによって着用者の温度測定を行うことを含む。この温度測定値はモジュールに自動的に転送される。着用者の初期温度がモジュールによって受信されると、ユニットは、着用者の初期開始温度に設定され、温度モジュールが着用者に接触している間に発生する相対変化の基準として、この温度を使用する。
【0138】
着用者の初期温度がベースライン較正によって受信されない場合、モジュールは、身体に配置された後、所定の時間にわたってモジュール自体を較正し、また、学習プロセス部分として経時的に計算値及び/又はアルゴリズムを適合又は改変することになる。このことはAndre他の同時係属中の米国特許出願第10/682,293号明細書及び上記の他のものに、より詳しく記載されている。この初期着用時間中、モジュールが較正される一方、特定の予期せぬ温度変化が、後で行われる特徴付けのために記憶される。同様の予期せぬ値が検出されるため、モジュールは、更なるコンテクスト分析のために分類された測定値の履歴を形成する。
【0139】
詳細に述べるならば、較正800は、2つの実施態様:センサー較正及び特定の着用者に対するシステムの個人化、のうちの一方を採用することができる。センサー較正の場合、個々のセンサーは、実験室調節値又はそれぞれが肌に当てつけられる前にデバイスから読み取られた最初の読み取り値を基準として、互いに較正される。好適なオフセット、及び任意には勾配、又は線形(又は非線形)関数が各センサーに関して選択される。個人化の場合、体内温度の二次読み取りが行われ、個人に対するデバイスの較正を目的として利用される。例えば親が子の温度を、子にモジュールを配置する前に求めることができる。この値を利用して、検出されたモジュール測定値と、他の手段によって記録された実際温度とを相関することにより、その子に関するアルゴリズムを個人化することができる。
【0140】
或いは、システムの更なる較正を可能にする検出可能な事象が発生することがある。一例としては、モジュールがセンサーの一部を有するようにオムツ内に配置される場合、またモジュール自体ではないにせよ、オムツ内に新鮮な状態で存在する尿の温度を検知するように配置される場合、周囲センサーによって検出されたこの尿の温度を利用して、モジュールを較正するのを助けることができる。
【0141】
しかしこのオムツが、幼児用であるか、小児用であるか、又は大人用であるかに関係なく、オムツにおいて行われるいかなる読み取りも、これらの事象の認識から恩恵を受け、また、温度を一時的に上昇させるオムツの化学反応により、オムツへの尿の導入中、しかし特に導入後にこのノイズをフィルターで取り除くことができる。付加的な情報が、経時的なシステムの精度を改善することができる。
【0142】
最後に、別の較正形態は、着用者の年齢、身長、体重、性別、及びその他のこのような個人的特性を、システム内に入力することである。これらの人口学的なファクターは、精度を改善し、そして、体重を具体的に参照して本明細書中により詳しく記載されるように、システム内への付加的な入力として役立つ。
【0143】
その識別されたユニットに関するデータベースをリセットするか又はクリアにすることなしに、2人以上の個人によって特定のモジュールが利用される限りにおいて、着用者の識別特性又は人口学的特性をユニット内、又パラメータ、設定値、優先又は値のユニット連携データベース内に埋め込むこともできる。それぞれの新しいユーザーの使用開始時における個人化時間を含む、温度データの連続的な測定によって、一組のセンサーは着用者のバイオメトリックスを自動認識し、従って生理学に基づく識別情報を積極的に提供することができる。加えて、この製品は、着用者から信号を送る前に、体内の埋め込み可能な識別チップと通信し、身体識別子を検出して組み込み、そしてこれを読み取りプロトコル/ヘッダー内に統合することもできる。
【0144】
特徴形成ステップ900は、入力として、温度データ又は任意のその他のセンサー・データを採用する。これらのデータは、較正された信号を含んでも含まなくてもよく、これらの信号の新しい組み合わせ又は操作、例えば[肌温度]3又は√[肌温度]を生み出す。これらはアルゴリズムの残りにおいて使用するために形成される。付加的な例は、STD、MEAN、MAX、MIN、VAR、及び第1の誘導体を含む。また、排尿に対する別の用語である失禁、又はセンサーの取り外しのような特徴を、単純な事象検出子を利用することによりそれら自体が形成される特徴として含むことができる。検出されたこれらの事象を次いで、回帰1200の部分として利用することができる。例えば、大腿部モジュール上の周囲側温度における鋭い上昇及びこれに続く徐々の下降という特定のデータ出力パターンを識別することにより、新鮮な温かい尿のアクティブな存在を検出し、次いで上昇の最大値を回帰への入力として使用する。この特徴は、幼児の排尿時には尿は体内温度であり、従って既知パラメータに対するデバイスの較正のための機会を提供することができるという事実に基づいて予測される。
【0145】
図23を参照すると、マルチ・モジュール実施態様において3つのセンサーを利用することにより、排尿失禁がグラフとして示されている。マルチ・モジュールは、左右の2つの大腿部モジュールと、1つの腋窩モジュールとを有する。全てのデータは、各モジュールの周囲温度センサー120から提供される。左大腿部センサー出力901と右大腿部センサー出力902とは比較的同様の曲線を描く。検出された温度におけるわずかな変化は、センサー較正の変動又は着用者のオムツ内部のわずかに異なる周囲環境に起因する場合がある。図23に関しては、センサーは、オムツの吸収性材料内に配置されてはおらず、失禁は間接的と考えられる。腋窩センサー出力903は、ラジカルに異なるプロフィールを提供し、そして失禁に関する情報は提供しない。時点T0とT1との間で、システムは温度ピークに対して正規化する出力901,902の温度プロフィールを有するウォームアップ相にある。線904によって識別される時点T1では、ピーク温度905を有する失禁が発生する。腋窩出力903の対応変化を伴わない大腿部出力901,902における特徴的な谷部906が、大腿部位における局在化事象を示す。谷部906の特定の形状は、オムツ内に体内温度で存在する尿の初期温かさ、及びこれに続くオムツ及び液体の冷却を表す。今冷めたばかりの尿が、着用者の身体近くに存在することにより再び温められるのに伴って、二次ピーク907が発生する。排尿のこの特徴は、反復可能且つ検出可能であり、そして本明細書中で言及されるパターン、コンテクスト、及び事象検出のタイプの一例である。図23Aは、直接的な失禁を示し、この場合には、センサーはオムツの吸収性材料内部に配置され、単一の大腿部周囲温度センサーを利用する。このグラフは、排尿又は失禁のより特徴的な検出例を提供する。線904’によって識別される時点T1では、ピーク温度905’を有する失禁が発生する。特徴的な谷部906’がここでもまた大腿部出力901’内に観察され、オムツ内に体内温度で存在する尿の初期温かさ、及びこれに続くオムツ及び液体の冷却を表す。今冷めたばかりの尿が、着用者の身体近くに存在することにより再び温められるのに伴って、二次ピーク907’がまた示される。特に注目すべきなのは、ピーク温度905’の直前の曲線の鋭い上昇又は勾配である。排尿のこのより独特な特徴は、反復可能且つ検出可能であり、そして本明細書中で言及されるパターン、コンテクスト、及び事象検出のタイプの一例である。モジュールは、尿と同様の影響をもたらす便の検出に関しても等しく適用可能である。
【0146】
複数のコンテクストが同時に観察される場合、いくつかの解決手段が可能である。1実施態様は、コンテクストのそれぞれの組み合わせをそれ自体のコンテクストと考えることである。別の実施態様は、どれが支配的であるかを選ぶためのコンテクストの階層順序を識別することである。
【0147】
図23は、或る特定のウォームアップを示しているが、より特徴的な出力が図23Bに示されている。図23Bに示すウォームアップ・プロフィールは図23ほど緩やかなものではない。注目すべき重要なことは、図23及び23Bに関して記載されたウォームアップ相が、各着用サイクル又は各使用サイクルに特徴的であることである。このウォームアップ相は標準的な特性を有し、標準コンテクストとして容易にモデル化することができる。単純な技術が存在し、これらの技術はこのようなウォームアップ曲線のために調節するように当業者によく知られている。これらは単純な指数モデルを含み、指数モデルにおいて、到来する信号は、モジュールが固定されてからの時間、並びに試行開始からの時間が回帰等式内への入力であるようなモデルに基づくファクターによって調節される。
【0148】
平滑化1000が、ノイズ値を平滑化するために、連続データの不連続的なエポックの動的及び/又は窓付きモデルを利用する。例えば30秒の窓を有するBlackmanスムーザーを用いて、生信号及び誘導特徴の両方におけるわずかな秒間変動を平滑化することができる。1実施態様の場合、各データポイントは、過去30秒間にわたってBlackman重み関数に従って平滑化される。時点1050よりも10秒前として時点1051を示す図24に示されたBlackman関数に従って、この関数は、現時点1050を最も高く重み付けし、そして次いで各前時点1051を、より少ない程度に重み付けする。所与の時点の関数は、重み付けされた記録値の和を重みの和でわり算することにより計算される。別の実施態様の場合、各30秒の窓の平均値が利用される。別の実施態様の場合、現在のパラメータを上回る値だけ逸脱するデータは無視される。さらに別の実施態様の場合、確率モデル、例えば動的確率ネットワークを使用して平滑化が行われる。この種々の平滑化を行うための正確且つ適切なアルゴリズムが文献に存在する。
【0149】
回帰1200は、所与のコンテクストに対応する推定体内温度を計算する等式である。これらの等式は極めて複雑であり得る。1つの割合単純な実施態様は下記の通りである:
推定体内温度=A*肌側温度+B*(肌側温度−周囲側温度)2+C
上記式中、A、B及びCは変数係数である。別の等式例は:
A*重量+B*back25ModDiff+C*SqBack25ModDiff+D*ModMidWaistS+E
であり、上記式中、
back25ModDiffは、過去25秒間にわたるモジュールの周囲センサーと肌センサーとの差の逆方向平均であり、SqBack25ModDiffは、過去25秒間にわたるモジュールの肌センサーと周囲センサーとの平均二乗差であり、ModMidWaistSは、モジュール皮膚温度であり、そしてEは一定のオフセットである。別の実施態様は、別個の等式を必要とするのではなく、等式を変更するために、認識されたコンテクスト又は特徴を利用することである。例えば、体内温度の変化ではなく、失禁によってもたらされたと考えられるオフセットを表す特徴WithinInsultが形成されると、ファクターD*WithinInsultを加えることが、誘導温度の精度を高める。このような実施態様は下記の通りである:
推定体内温度=A*肌側温度+B*(肌側温度−周囲側温度)2+
D*WithinInsult+E*warmUpEffect+C
【0150】
コンテクスト検出1100は、検出され考慮に入れられる着用者の体温調節特性に影響を与える事象、体調、及び活動を認識して組み入れる。例えば、初期の配置又は取り外し、排尿加熱及び冷却事象、物理的活動、及び休息によるウォームアップ曲線を全て検出することができる。これらのコンテクストは、テンプレート照合、ウェーブレット照合、決定木、動的ビリーフネット、ニューラルネット、支持ベクトルマシン、又はルールに基づく検出子を含む種々の技術のいずれかによって検出される。検出子のこのような1つの例は、肌側温度における鋭い上昇15分以内のいずれかの分と一致するウォームアップのための極めて単純なルールである。鋭い上昇は30分以内で1度を上回る変化として定義される。他のコンテクスト・フィルタリング、例えば乳児の徘徊、オムツの除去、脱衣、腕の持ち上げ、取り外しなどが必要となることもある。取り外し認識は、熱流束センサーを含むことにより高めることができる。この好ましい実施態様の場合、これらの検出子は確率的である。
【0151】
この好ましい実施態様の場合、重み付けステップ1300において、活性及び不活性の2つの主なコンテクストが利用される。この場合、確率的活動検出子、例えばナイーブBayesアルゴリズム又は動的ビリーフネットワークによって形成された、活性である確率の推定値が先ず形成される。これらはP(context|Data)として識別される。次いで、各等式からの予測は、関連コンテクストの確率によって重み付けされる。eq_active及びeq_restが体内温度を予測するための2つの等式である場合、:
P(active|Data)*eq_active+P(rest|Data)*eq_rest
が、体内温度の推定値のための等式である。
【0152】
別の実施態様は、元の温度信号の調節された値に対応する特徴を利用する。例えば、下落又は上昇が他のファクター、例えば失禁又は環境妨害によって説明される場合には、これを平滑化して、等式中に使用するためにより正確な信号を生成することができる。
【0153】
別の実施態様は、システム全体に対して動的ビリーフネットを利用することである。図24Aを参照すると、動的確率ネットワークの単純な構造が示されている。T1及びT2はタイムスライスを表す。C及びC’はそれぞれ時点T1及び時点T2の体内温度である。K及びk’は時点1及び時点2におけるコンテクストである。S及びs’は肌温度であり、そしてa及びa’は周囲温度である。矢印は因果関係を示す。上記システムの同時確率は、確率関数集合によって特定することができる:
P(c),P(c'|c),P(k),P(k'|k),P(s|k,c),P(a|k,c)
グラフィック・モデル文献の標準的な技術を用いて、所定の時間にわたって最もあり得そうな体内温度を計算することができるように、推断することができる。適切な数の許容されたコンテクストを選択し、標準的なトレーニング技術を用いて、平滑化及びコンテクスト検出を直接的に実施することができる。別の実施態様は、ただのP(s|k,c)の代わりに、P(s'|k,c,s,a)を利用することになる。このことは生センサーに時間依存性を導入し、これにより平滑化を改善することができる。
【0154】
回帰1200の計算上の観点はさらに、多くの従来のデバイスよりも正確且つ代表的な実際の着用者パラメータである出力データを形成する方法として精緻化される。多くの場合、従来のデバイス及びシステムは、蓄積平均データのデータベースを参照するために、測定されたデータの特定の観点を利用する。多くの場合、これは、個々のデータ及びリアルタイム精度の出現を提供するが、しかし実際に提示するのは重み付け平均に過ぎない。単純な例の場合、典型的なトレッドミルが使用者の体重の入力を可能にし、そして使用者の活動の時間及び速度を検出する。単位時間当たりのそれぞれの体重グラデーション点で、使用者の消費カロリーの平均値を有するデータベースが提供される。適切な体重範囲、活動時間、及び速度及び距離のような相対運動量の間には、単純な関係が形成される。本明細書中に記載されたこれらの実施態様は、平均又はその他の予め選択されたデータ文献を参照することなしに、使用者の実際の体調を誘導するのに必要な当該生理学的パラメータを実際に検出することに関する。具体的には、検出された1パラメータの値が、他の検出されたパラメータがどのように数学的に処理されるかに対して影響を与える数学的機能及び/又はアルゴリズムが提供される。1つの例は、2つの入力変数X及びYを有するシステムである。システムは、センサー及び関数KNNから検出されたデータ流を表す。KNNはK(変数)Nearest Neighborsの略語である。
【0155】
このアルゴリズムにおいて、当該実際値が既知であるデータ点集合が提供される。この例では、平面が多数の点を含有する。各点はOの値を有するので、各点x1,y1の値はO(x1,y1)である。これを現行のシステムに当てはめると、xは肌温度の検出値であってよく、Yは周囲温度の検出値であってよく、そしてOは、特定の測定値対に関して測定された直腸温度の真の値であることが可能である。定数Kが通常は小さな値として選択される。退化事例では、これは1であってよく、これにより、KNNはルックアップテーブルに退化されるが、しかしKは典型的には約3〜7となる。次に、システムに関して距離測定基準が選択される。退化事例では、全てのユニットは等しく処理されるが、しかし、Xが肌温度でありYが周囲温度であるシステムの場合、X方向における2点間距離はY方向におけるよりも著しく大きいことがある。このことは、例えば全てのX値を2で掛け算することにより説明することができる。次いで、貢献関数が選択される。例えば、O(x1,y1)に基づいて、近隣点X2,y2の値Oを予測しようとすると、X2,y2からx1,y1までの予測距離が重要な考察項目となる。X2,y2からx1,y1までの距離は、D(X2,y2,x1,y1)として確立され、そして、abs(X2−x1)+abs(y2−y1)として計算又は予測することができる。absは絶対値である。これはManhattan距離と呼ばれるが、しかし、KNN関数との関連において距離を計算又は予測する最も典型的な方法ではない。より具体的には、D(X2,y2,x1,y1)は、sqrt((X2−x1)*(X2−x1)+(y2−y1)*(y2−y1))と定義される。sqrtは平方根である。
【0156】
このシステムの場合、何らかの新しい点x’,y’に対応する正しい値を予測するためのアルゴリズムが開発されなければならない。このアルゴリズムは:x’,y’に対して最も接近するデータ空間内のK個の点を見いだすステップを含むことになる。これらの点をx1,y1からxk,ykと呼ぶ。次に、O(x’,y’)の値は、O(xn,yn)の加重平均として設定される。n=1〜Kであり、xn,ynの相対重量は1/D(x’,y’,xn,yn)2である。これは、データKNNが、予め選択されたデータのデータ空間をそのアルゴリズムのコアとしてどのように使用しているかの一例を示す。なお、KNNは、前の出力値を戻すためだけではなく、検知値X及びYが与えられた特に適切な新しく構成された出力値を戻すために、そのデータを使用する。各データ点の値Oは、このような予め選択されたデータベースから検索することができる。このようにしないことを選択して、また、本明細書に記載された計算を実際に行うことにより、この技術は、既知の点の間に存在するデータの非線形特徴を見いだす機会を提供する。K=1である場合、プロセスは、単に予め選択されたデータ集合又はルックアップテーブルからデータを検索するだけになる。しかし、K>1である場合、データ点のいずれかにそれら自体では存在しないデータに新事実を見いだす機会が、プロセスに提供される。
【0157】
検出された1パラメータの値が、他の検出パラメータがどのように数学的に処理されるかに対して影響を与える単純な象徴例は、Xが偶数であるならば、結果=X+Yであり、Xが基数であるならば、結果=X?Yである、ということである。この例において、Yは、Xの値に応じてラジカルに変化させられることに関与する。X=18でありY=9であるときには、その結果は27である。しかし、Xが1だけ増大する場合には、結果は10となる。なぜならばYがどのように使用されるかが急激に変化するからである。別の例としては、Yが偶数ならば、2で割算し、さもなければY=3*Y+1であり、そしてこのプロセスを、前の出力を使用してX回繰り返す。完了したら、Yの最終値を戻す。このことは、Xの値が、Yがどのように結果に影響を与えるかに実質的な差異をもたらす事例である。なぜならば、Yの増大又は縮小における停止場所が、Xの値によって極めて敏感に決定されるからである。より複雑な例を開発することもできるが、これらの例の本質は、条件文を利用したときに、固定された式、予め選択された値のデータベース、又はルックアップテーブルから、同じ結果を誘導することはできない。システムの別の重要な観点は、このような条件付き試験の結果が、それ自体が誘導の回答又は最終出力なのではなく、評価されるべき等式、或いは回答又は出力を生成する、実行されるべき手順であることである。他の例は、人工的なニューラルネットワーク、決定木、動的なビリーフネット、支持ベクトルマシン、及びルックアップテーブルを凌ぐポテンシャル関数の同じ質的改善を形成する階層的学習アルゴリズムを含む。
【0158】
生センサー値又は信号を入力として採用し、そして計算を行い、次いで所期出力を生成するものとしてアルゴリズムを見ることができるが、1つの好ましい実施態様の場合、生センサー値に適用される一連の誘導形としてアルゴリズムを見ることも有用である。各誘導形は、誘導チャネルと呼ばれる信号を生成する。生センサー値又は信号は、誘導チャネルではなく、チャネル、特に生チャネルとも呼ばれる。関数とも呼ばれるこれらの誘導形は、単純でも複雑でもよいが、しかし、生の値上の、可能であれば既存の誘導チャネル上のアルゴリズムに従って適用される。最初の誘導形はもちろん、入力として生センサー信号、及び他の利用可能なベースライン情報、例えば被検体に関してマニュアル入力されたデータ及び人口学的な情報だけを採用しなければならないが、しかし後続の誘導形は、入力として、前の誘導チャネルを採用することができる。なお、誘導形の適用順序から、所与の誘導チャネルを誘導するのに利用される特定のチャネルを容易に決定することができる。
【0159】
本発明の1観点は、複数の生理学的センサー及び/又はコンテクスト・センサーから受信されたデータから種々の変数に関する情報を生成するためにこれらのアルゴリズムを形成する精緻化されたアルゴリズム開発プロセスに関する。このような変数の一例としては、体温、休息値、活性値及び総値を含むエネルギー消費量、1日当たりのカロリー摂取量、床についた状態、睡眠開始、睡眠中断、覚醒、及び床から出た状態を含む睡眠状態、並びに運動、着座、自動車での移動、及び横臥を含む活動状態が挙げられ、そして、このような変数の値を生成するためのアルゴリズムは、上記実施態様における上記のもののいずれかの群を含む種々の付加的なセンサー、例えば加速度計、熱流束センサー、電気皮膚反応センサー、及び心拍センサーからのデータに基づくことができる。
【0160】
なお、することが計算できるいくつかのタイプのアルゴリズムがある。一例としては、これらは、使用者特性、連続的な測定値、継続的なコンテクスト、瞬間的な事象、及び累積的な状態を予測するアルゴリズムを含む。使用者特性は、着用者の永続的及び半永続的パラメータを含む。これらのパラメータは、体重、慎重、及び着用者の識別特性を含む。連続的な測定値の一例は、肌温度、体内温度及び近周囲温度、及び本明細書中で特定された関連コンテクストである。継続的なコンテクストは、或る特定の期間にわたって継続する挙動、例えば睡眠、運転、又はジョギングである。瞬間的な事象は、固定された時間に又は極めて短時間にわたって発生する事象、例えば幼児のオムツにおける排尿である。累積的な状態は、その人の体調が、以前の或る期間にわたる挙動から推論することができるような状態である。例えば或る人が36時間眠っておらず、10時間食べていなければ、その人は疲労していると考えられる。下記表1は、特定の人物特性、連続的な測定値、継続的な測定値、瞬間的な事象、及び累積的な状態の多数の例を示す。
【0161】
表1
人物特性 年齢、性別、体重、性別、運動能力、体調、疾患、身長、病気になり
やすさ、活動レベル、個々の検出値、利き手、代謝速度、身体組成、
原型的個体との類似性、遺伝因子
連続的な測定値 気分、心拍間隔の変化、呼吸、エネルギー消費、血糖レベル、ケトー
シス・レベル、心拍数、ストレス・レベル、疲労レベル、敏捷性レベ
ル、血圧、素早さ、強さ、耐久力、相互作用されやすさ、単位時間当
りの歩数、平静レベル、体位及び向き、清潔さ、気分又は情動、親し
みやすさ、カロリー摂取量、TEF、XEF、「イン・ザ・ゾーン」
にあること、活性エネルギー消費量、炭水化物摂取量、脂肪摂取量、
タンパク質摂取量、水分補給レベル、誠実さ、睡眠の質、睡眠状態、
意識レベル、投薬効果、投薬予測、水摂取量、アルコール摂取量、目
眩、痛み、快適さ、新しい刺激に対する残留処理力、アームバンドの
適正な使用、話題に対する関心、相対労作量、場所、血中アルコー
ル・レベル、性的刺激、白血球カウント、赤血球カウント、関心レベ
ル、注意力、栄養レベル、投薬レベル、痛みレベル
継続的な測定値 運動、睡眠、横臥、着座、起立、移動、走行、歩行、自転車走行、固
定自転車乗り、ロードバイク、重量上げ、エアロビック運動、アナロ
ビック運動、筋力増強運動、精神集中運動、激情期間、リラックス、
テレビ鑑賞、デスクワーク、REM検出器、食事、イン・ザ・ゾー
ン、制限可能な一般活動の検出、睡眠段階、熱ストレス、熱射病、教
示/学習の影響の受けやすさ、双極性代償不全、(使用者などによっ
て測定された心臓信号、活動レベルにおける) 異常事象、驚愕レベ
ル、高速道路での自動車運転、飛行機移動、ヘリコプター移動、倦怠
事象、スポーツ検出(フットボール、野球、サッカーなど)、勉強、読
書、中毒、薬物効果、性的リズム及び活動、オートバイ走行、マウン
テンバイク走行、モトクロス、スキー、スノーボード、使用者によっ
て定められた活動、継続中の痛み
瞬間的な事象 転倒、心臓麻痺、発作、睡眠覚醒事象、PVC、血糖異常、急性スト
レス又は失見当、突発事故、心臓不整脈、ショック、嘔吐、急速な失
血、服薬、嚥下、性的オーガズム、急性の痛み、排便、排尿、発汗の
開始、活動間の推移、横臥、うそをつくこと、真実を話すこと、笑い
累積的な状態 アルツハイマー病、衰弱又は転倒しやすさの増大、眠気、疲労、ケ
トーシスの存在、排卵、妊娠、疾患、病気、発熱、浮腫、貧血、流
感、高血圧、精神障害、急性脱水、低体温、イン・ザ・ゾーンである
こと、肉体的な能力の増大、負傷からの回復、疾患からの回復、リハ
リビリテーションからの回復、疾患のリスク、推定寿命
【0162】
言うまでもなく、このシステムは着用者の生理学的状態及びコンテクスト状態の自動的なジャーナリングを行う方法において利用することができる。このシステムは、使用者がどの活動に関わっていたか、どのような事象が発生したか、使用者の生理学的状態がどのように経時的に変化したか、そして、使用者がある特定の状態をいつ蒙ったか又は蒙ったらしいか、のジャーナルを自動的に生成することができる。例えば、システムは使用者の水分補給レベル、エネルギー消費レベル、睡眠レベル、及び一日全体を通しての機敏さレベルの記録に加えて、いつ使用者が運動したか、車を運転したか、眠ったか、熱ストレスの危険にあったか、又は食事したかの記録を生成することができる。これらの検出された状態を利用して、データ記録をタイムスタンプ又は事象スタンプし、分析又はデータ提示の或る特定のパラメータに変更を加え、また、或る特定の遅延時間フィードバック事象又はリアルタイム・フィードバック事象をトリガーすることができる。
【0163】
いくつかの実施態様の場合、生信号は先ず、後で行われる誘導に十分なチャネル内に要約することができ、そして効率的に記憶することができる。これらのチャネルは、誘導形、例えば合計、又は差の合計、及び平均を含む。なお、圧縮されたチャネル内にハイレート・データを要約することが、圧縮及び有用な特徴の記憶の両方にとって有用ではあるが、用途の正確な詳細に応じて、ハイレート・データのいくつか又は全てのセグメントを記憶することも有用である。1実施態様の場合、次いでこれらの要約チャネルを較正することにより、製造時の測定可能な僅かな差を考慮に入れ、そして好適なスケール及び正確なユニットで値をもたらす。例えば、製造過程中、僅かなオフセットを有するように特定の温度センサーが見極められると、このオフセットを適用することができ、その結果、温度を摂氏で表す誘導されたチャネルが生じる。
【0164】
ここに記載したものの目的上、誘導形又は関数は、これが、何らかのオフセットを一緒にその入力の重み付けされた組み合わせとして表される場合には、線形である。例えば、G及びHが2つの生チャネル又は誘導チャネルである場合、形態A*G+B*H+Cの全ての誘導形(A、B及びCは定数である)は、線形誘導形である。誘導形は、これが、一定のオフセットとともに入力の重み付けされた和として表すことができない場合には、その入力に関して非線形である。非線形誘導形の一例は、下記の通りであり、G>7である場合には、H*9を戻し、さもなければH*3.5+912を戻す。チャネルの計算に関与する全ての誘導形が線形である場合には、そのチャネルは線形誘導され、チャネルを形成するのに使用される誘導形のいずれかが非線形である場合には、そのチャネルは非線形誘導される。チャネルの値の変化が、誘導において実施された計算を変化させるならば、チャネルは誘導を非線形に媒介し、ほかの全ての入力を誘導定数に保つ。加えて、非線形関数が多数の入力を組み込むことができ、重み付けされた又は重み付けされない入力を一緒に加え、これらの合計は、非線形関数、例えばガウス曲線に対する独立変数として使用される。この場合、合計の小さな値及び大きい値の両方は、ゼロに近い値をもたらし、ガウスの「こぶ」の周りのいくらか狭い合計範囲は、正確な形状及びガウスのスケールに応じて、有意に高い値を戻すことになる。
【0165】
ここで図25を参照すると、アルゴリズムは、種々のセンサー700,705からセンサー・デバイスによって集められたセンサー・データ、及び個人の人口学的情報から誘導されたチャネルを、入力として採用することになる。アルゴリズムは重みを生成する1つ以上のコンテクスト検出子1100を含む。重みは、W1〜WNとして示され、着用者がいくつかの可能なコンテクストのそれぞれにある間に、1分間にわたって収集されるような所与の収集データ部分が収集された確率を表す。このようなコンテクストは、個人が休止時にあるか又は活動しているかを含むことができる。加えて、各コンテクストに関して、連続した予測が生チャネル又は誘導チャネルを入力として計算される場合に、回帰1200が提供される。個々の回帰は、種々の回帰等式又は方法のいずれかであってよく、これらは、例えば多変量線形又は多項式回帰、記憶に基づく方法、支持ベクトルマシン回帰、ニューラルネット、ガウス法、及び任意の手続き関数などを含む。各回帰は、アルゴリズムにおける当該パラメータの出力の推定値である。最後に、各コンテクストに対応する、A1〜ANとして示された各回帰アルゴリズム1200の出力と、重みW1〜WNとは、ポスト・プロセッサ1615内で組み合わされる。ポスト・プロセッサ1615は、図22においてボックス1300に関して記載された重み付け関数を実施し、そして、ボックス1400に示されたアルゴリズムによって測定又は予測された当該パラメータを出力する。一般にポスト・プロセッサ1615は、別個のコンテクスト予測を組み合わせる多くの方法のいずれかから成ることができる。これらの方法は前述のように、委員会法、ブースト法、投票法、一貫性チェック法、又はコンテクストに基づく再組み合わせ法を含む。
【0166】
加えて、他の目的、例えば本明細書中に記載されたセンサー・デバイスによって測定された信号のフィルタリング、クリーンアップ、及びノイズ低減のために、アルゴリズムを開発することができる。言うまでもなく、この方法を用いて開発される実際のアルゴリズム又は関数は、使用されるセンサー・デバイスの仕様、例えば特定のセンサー及びその配置、並びにセンサー・デバイスの構造全体及び幾何学的形状に高く依存することになる。こうして、1つのセンサー・デバイスを用いて開発されるアルゴリズムは、このアルゴリズムを形成するのに使用されるセンサー・デバイスと実質的には構造的に同一でないセンサー・デバイス上では、もし作業するとしても、同様に作業することはない。
【0167】
本発明の別の観点は、種々の不確実性を取り扱うための開発されたアルゴリズムの能力に関する。データ不確実性は、センサー・ノイズ及び生じ得るセンサーの故障を意味する。データ不確実性は、データを完全には信用することができない場合に生じる。このような条件下では、例えばもしセンサー、例えば加速度計が故障した場合、システムは、着用者が睡眠中又は休息中であると、又は動作がないと結論付けることがある。このような条件下では、データが悪いかどうか、又は結論を予測して形成するモデルが悪いかどうかを結論付けるのは、極めて難しい。用途がモデル及びデータ両方の不確実性に関与しているときには、データ及びモデルに関連する不確実性の相対規模を識別することが極めて重要である。知的システムならば、センサーが誤りデータを生成するように見えることを通告し、そして代替のアルゴリズムに切り換えることになるか、又はいくつかの事例の場合には、任意の予測値を形成する前にギャップを知的に埋めることができる。これらの修復技術のいずれも可能でない場合には、前述のように、間違っているらしいと見極められたアルゴリズムからの情報を戻すよりも、正確な値を戻すことができないという明白なステートメントを戻すことがしばしば著しく好ましい。センサーが故障したら、そしてデータ・チャネルがもはや信頼できくなったらそれを見極めることは、非自明な仕事である。なぜならば、故障したセンサーは他のセンサーのうちのいくつかと一致しているように見える読み取り値をもたらすことがあり、また、データはセンサーの正常な動作範囲内にあることもあるからである。さらに、結果又は警報状態のいずれかを表示する代わりに、システムは、生じ得るエラー状態をも識別する、使用者又は介護者への出力を提供することができるが、しかしなおも、何らかの実体的な出力を提供する。
【0168】
臨床的不確実性は、外見的には相反する結果を示すという条件を意味する。臨床的不確実性は、データから引かれる結論を確信することができない場合に生じる。例えば、温度センサー読み取り値及び/又は加速度計のうちの1つ、又はこれらの組み合わせが、着用者が動かないことを示し、休止している使用者という結論に導き、電気皮膚反応センサーは、極めて高い反応を提供し、活動的な使用者という結論に導き、熱流センサーは、着用者がまだ実質的な熱を分散していることを示し、活動的な使用者という結論に導き、そして心拍数センサーは、着用者の心拍数が上昇していることを示し、活動的な使用者という結論に導くことができる。より劣ったシステムは、センサー間で投票しようとし、又は種々の読み取り値を統合するために同様に根拠のない方法を用いようとするに過ぎない。本発明は、重要な同時確率に重み付けし、最もあり得る適切な結論を見極める。この結論は例えば、着用者が現時点で低動作活動、例えばエアロバイク乗りを行っているか、又は最近行ったことがあることであってよい。
【0169】
本発明の更なる観点によれば、センサー・デバイスを使用することにより、人の状態に関連するパラメータY、好ましくはセンサーによって直接的に測定することができない人の状態を自動的に測定、記憶及び/又は報告することができる。状態パラメータYの一例としては、とりわけ、体温、消費カロリー、エネルギー消費量、睡眠状態、水分補給レベル、ケトーシス・レベル、ショック、インスリン・レベル、肉体疲労及び熱中症が挙げられる。センサー・デバイスは、1つ又は2つ以上のセンサーのうちの特定のものの出力から成る生信号のベクトルを観察することができる。センサーは、このようなセンサーの全て又はこのようなセンサーの部分集合を含んでよい。上記のように、ここでも同じ潜在的な用語の問題となるが、チャネルと呼ばれる或る特定の信号を、生センサー信号のベクトルから同様に誘導することもできる。これらの生及び/又は誘導チャネルのうちの特定のもののベクトルX(ここは生・誘導チャネルXと呼ぶ)が、当該状態パラメータY、又はUと呼ばれるYの或る特定のインジケータの状態、事象及び/又はレベルに応じて、又はこれに対して敏感に、何らかの系統だった方法で変化することになる。UからYが得られるような、YとUとの関係がある。本発明によれば、第1アルゴリズム又は関数f1は、センサー・デバイスを使用して形成され、センサー・デバイスは、入力として生・誘導チャネルXを採用し、予測する出力を提供し、そして(i)状態パラメータY又はインジケータU、及び(ii)個人の他の状態パラメータZに条件付きで依存し、このことは符号
で表される。このアルゴリズム又は関数f1は下記のように表すこともできる:
【0170】
好ましい実施態様によれば、f1は、本明細書の別の箇所で記載されたアルゴリズム開発法を用いて開発される。アルゴリズム開発法は、データ、具体的には、センサー・デバイスによって収集された信号から誘導された生・誘導チャネルX、U又はY及びZに関連する検証可能な標準データを使用する。検証可能な標準データは、正しい答えであるように採用される方法、例えば高精密医療等級実験装置、及び収集データからアルゴリズムを生成するための技術を学習する種々の機械を使用して同時に測定される。アルゴリズム又は関数f1は、インジケータU又は状態パラメータYがいずれの場合にも存在する条件下で形成される。言うまでもなく、この方法を用いて開発される実際のアルゴリズム又は関数は、使用されるセンサー・デバイスの仕様、例えば特定のセンサー及びその配置、並びにセンサー・デバイスの構造全体及び幾何学的形状に高く依存することになる。こうして、1つのセンサー・デバイスで開発されるアルゴリズムは、このアルゴリズムを形成するのに使用されるセンサー・デバイスと実質的には構造的に同一でないセンサー・デバイス上では、もし作業するとしても、同様に作業することはなく、或いは少なくとも、既知の変換パラメータを用いて、デバイス間又はセンサー間で翻訳することができる。
【0171】
次に、生・誘導チャネルXを入力として採用し、予測する出力を提供し、そして、いずれの場合にも、Y又はU以外のf1によって出力されたいずれのものにも条件付きで依存し、そして、いずれの場合にも、Y又はUからは条件付きで独立し、このことは符号
によって示される。この考えによれば、1つ又は2つ以上のセンサーから生・誘導チャネルXのうちの特定のものが、非Y又は非U関連事象に由来する生・誘導チャネルの変化を釈明又はフィルター除去することを可能にする。関数f2のアルゴリズムは下記のように表すことができる:
【0172】
好ましくはf2はf1と同様に、上で参照したアルゴリズム開発によって開発される。しかし、f2はU又はYがいずれの事例にも存在しない条件下で開発され有効にされる。こうして、f2を形成するために使用される検証可能に正確なデータは、高精密医療等級実験装置を使用して測定されたZだけに関連するデータである。
【0173】
こうして、本発明のこの観点によれば、2つの関数が形成されたことになり、このうち一方の関数f1はU又はYに対して敏感であり、他方の関数f2はU又はYに対して敏感でない。言うまでもなく、いずれの場合にも、U又はYをもたらすf1とf2との関係がある。換言すれば、f3(f1,f2)=U又はf3(f1,f2)=Yとなるような関数f3が存在する。例えば、2つの関数(U=f1−f2又はY=f1−f2)によって生成されたデータを差し引くことにより得ることができる。YではなくUがf1とf2との関連から見極められる場合、次のステップは、YとUとの関係に基づいて、UからYを得ることに関与する。例えば、Yは、何らかのファクターでUを割算することによりYが得られるような、Uの固定パーセンテージであってよい。
【0174】
当業者には明らかなように、3つ以上のこのような関数(例えばf1、f2、f3、...f_n-1)を、上述のように、最後の関数f_nによって組み合わせることができる。一般に、本発明のこの観点は、当該パラメータを示すように、出力が互いに変化する関数の集合を組み合わせることを必要とする。やはり言うまでもなく、ここで用いられる条件付き依存又は独立は、正確というよりもむしろ適切であるように定義されることになる。
【0175】
今説明した方法を用いて、例えば、センサー・デバイスを使用して、幼児の体温、又は夜の睡眠中にベッド又はオムツをまさに濡らそうとしている事実、又は個人のカロリー消費量又は摂取量、例えばその人の一日のカロリー摂取量又は表1の他のデータを自動的に測定及び/又は報告することができる。
【0176】
本発明を利用することができる別の具体例は、個人が疲労している場合にそれを検出することに関する。このような検出は2つ以上の方法で実施することができる。第1の方法は、センサー・デバイスを使用し、そして、2関数(f1及びf2)アプローチを用いて、パラメータ、例えばカロリー摂取量、水分補給レベル、睡眠、ストレス、及びエネルギー消費レベルを正確に測定することにより、疲労の推定値を提供することに関与する。第2の方法は、図25との関連において説明した直接誘導アプローチを用いて、直接に疲労をモデル化しようとすることに関与する。この例は、着用者の生理学的状態を予測する複雑なアルゴリズム自体を入力として使用することにより、他のより複雑なアルゴリズムを形成できることを示す。本発明のこのような実施態様の1つの可能な用途は、緊急要員(例えば消防士、警察官、兵士)のためのものである。この場合、着用者は極限状態を蒙り、そして能力が極めて重要である。予備研究において、本発明の譲受人は、訓練を受けている消防士からのデータを分析し、較正センサー値の組み合わせによって、熱ストレスの妥当な測定が可能であることを見極めた。例えば、余りにも長い時間にわたって熱流束が余りにも低く、しかし肌温度は上昇し続ける場合、着用者は問題をかかえていると思われる。言うまでもなく、アルゴリズムは較正センサー値及び複雑な誘導アルゴリズムの両方を用いることができる。ここで図26を参照すると、或る程度制限された通気を有する耐火スーツを着用してトレーニング中の消防士の肌温度をグラフが表している。時点T0とT1との間の領域は、熱流束出力935として識別される出力を提供する熱流束センサーと、肌温度出力926として識別される出力を提供する肌温度センサーとを有するデバイスのベースライン又は標準読み取り値を示す。線921によって示される時点T1において、スーツが着用される。スーツの着用に費やされた労力が、熱流束出力925のピーク925Aによって反映されている。この場合スーツ内部の通気がないことの効果として、続いてすぐに出力925が下降することが示されている。肌温度出力926は、線922によって示された時点T2における練習開始までほとんど変化を示さない。熱流束出力925は下降し続ける一方、肌温度出力926は、線923で示した時点T3における練習終了を通して、一貫した線形の温度上昇を示す。時点T4、線924においてスーツが取り外される。スーツの取り外しに伴う熱流束出力における鋭いスパイク927が示される。出力925,926は、一貫したデータを提供する。データに対する予測は、外挿データ点によって行われる。最も重要なことには、パラメータ、例えば肌温度のターゲットが既知のものであると考えると、大惨事、例えば熱中症又は窒息の前に、警報を鳴らすことができる。二次データ・タイプ、例えば熱流束出力の使用は、示差事象が発生している又は発生していないという確認を提供するのに役立つ。図23に戻ると、腋窩センサーからの読み取り値は、大腿部位に見られるような温度変化の局在化の性質を示し、入浴中の患者のような示差事象を除外する。この能力に関する付加的な機能性は、検出された状態にシステムを適合させることに関連する。新しいパターン及びデータは、一旦分類されると、将来における類似又は関連する事象の予測可能性を改善するのに役立つ。状況を改善すると、予測クロックを容易にリセットするか又は新たに調節することができ、識別された事象を考慮に入れるが、しかしその事象前の時間のデータも評価し、事象タイプの新しい閾値識別子を形成する。
【0177】
ここで図27を参照すると、いくつかのセンサーの出力が、2つのモジュールに対して提供された出力1400からのデータと一緒に示されている。図27のデータは、図23と同様に、左右の大腿部センサー及び腋窩センサーから引き出されたものである。各センサーは、図23の説明と同様に、肌温度出力部と、周囲温度出力部とを有している。腋窩モジュールは従って、腋窩周囲温度出力903と腋窩肌温度出力951とを供給している。左大腿部モジュールは、左大腿部周囲温度出力901と左大腿部肌温度出力953とを供給する。右大腿部モジュールは、右大腿部周囲温度出力902と右大腿部肌温度出力952とを供給する。直腸センサーを設けることにより、それぞれの測定値が相関されるベースライン体内温度読み取り値を提供し、この読み取り値は、直腸センサー出力954によって示される。各大腿部モジュールの誘導温度出力は、左大腿部誘導温度出力956及び右大腿部誘導温度出力955として示されている。
【0178】
図27から、或る大まかな相関関係が引き出されるが、軽く見ただけでも明らかなように、検出された種々の肌温度及び周囲温度は、測定された直腸温度に対して直接的な相関関係をほとんど担わない。腋窩温度は具体的には、身体の運動及び活動によって影響を及ぼされる。身体の運動及び活動は、本明細書中により詳細に記載されるように、多くの活動に関連するコンテクスト測定において、この出力の使用の基礎を成す。図23と同様に、明白なウォームアップ期間は、グラフの最も左側に示される。加えて、ピーク905は、図23に関してより詳しく説明した失禁を示す。左大腿部誘導温度出力956及び右大腿部誘導温度出力955は、しかし、図27の最も右側に示したように、特にウォームアップ期間及び失禁からの回復が生じた後、測定直腸出力954と密接な相関関係を示す。
【0179】
前述のように、付加的なパラメータを加えることにより、誘導温度の精度を高めることができる。他のセンサー、例えば心拍数、電気皮膚反応、及び動作を適切に選択すれば、温度測定値なしに体内温度を予測することもできる。付加的なパラメータを使用することにより、明らかに欠陥のあるデータを排除し、そしてコンテクスト用途の為に適切なアルゴリズムを選択するのを助けることができる。しかし多くの場合、温度自体の誘導形内に、付加的なファクター又は係数として付加的なパラメータが組み込まれる。より具体的には、ここで図28を参照すると、体重の付加的なパラメータを前述の誘導形に加える効果が示されている。直腸温度データ出力954はここでもやはり、誘導測定値の相関のためのベースラインを提供する。単一のモジュール又は複数モジュールの組み合わせから、誘導温度出力957を求めることができる。いずれの場合にも、誘導温度出力957は、図28に示されたように、0.2℃よりも良好であり、より好ましくは0.177℃よりも良好な平均誤差以内で実際の直腸温度を追跡する上で極めて一貫している。臨床的または医学的な用途においては、0.5℃よりも良好な平均誤差を有する精度レベルが必要となる。温度の誘導において重量パラメータを加えるのに伴って、重量によって調節された誘導温度出力958は、0.155℃以内で実際の直腸温度出力954を反映する。その結果、一般には、誘導温度は10%改善される。これは専ら、この1つのパラメータを加えることに起因する。図28は精度の16%の改善を反映している。
【0180】
図29は、活動検出子として周囲温度センサーを使用することを示している。グラフは、5分間にわたって1秒のインターバルで周囲温度分散の出力を、患者Aに関しては左側に、そして患者Bに関しては右側に示している。患者Aは試験期間の大部分にわたって動いていない。患者Bは活動的である。経時的な患者Bの周期温度読み取り値のグラフは、身体領域近くで検知された、高くなった温度を示す。これは、オムツ又は衣服内部に含有されていない周囲温度センサーにも当てはまる。ピークの数及びこれらの量的な値は、患者の活動レベルの良好な洞察を可能にする。加速度計ほどには量的に性格ではないものの、質的には、周囲温度センサーは、着用者の身体の相対運動に関する有意なデータ量を提供する。このデータ量は、本明細書中により詳細に記載される多くの誘導形にとって有用であり得る。なお具体的には、デバイスの1実施態様は周囲温度だけを監視することにより、着用者の基本的な活動データを提供することができる。
【0181】
図30及び31はまた、コンテクスト及び活動レベルに関する情報の付加的なタイプを示している。これらの情報は、温度モジュールの使用及び関連の処理から誘導することができる。図面は両方とも2つのモジュールの出力を示す。一方は大腿部位に配置されており、他方は腰部位に配置されている。この特定の事例の場合、位置は測定にさほど重要ではない。大腿部肌温度出力981、大腿部周囲温度出力979、腰肌温度出力982、及び腰周囲温度出力978を、時間に対してグラフに示す。それぞれは、時点T1から時点T2までの当該相対期間を示す。図30の場合、それぞれ線976,977によって区切られた時点T1及びT2は、母親によって抱きかかえられている間の幼児患者の睡眠期間を示す。図31は線976A,977Aによって区切られた同様の期間を示す。この期間中、幼児は車のシートで寝ていた。睡眠期間中の4つ全てのセンサーからのデータの一貫性、並びにグラフ特性間の明確な差異の両方に注目することが重要である。図31における睡眠中の小児の体温は、ゆっくりと低下しており、このことは、一般的な邪魔されることのない睡眠と一致する。図30における睡眠中に抱きかかえられた小児は、しかし、この時間中に、比較的フラットな温度プロフィールを維持している。従って、幼児が抱きかかえられているかどうか、そしてその期間を見極めることが可能である。加えて、睡眠期間を検出して記録することもできる。
【0182】
デバイスは、適切なデータを検出することにより、上述のように患者に他の人が接近していることを誘導することもできる。しかし、他の方法を採用することにより、センサーの近くの身体の存在を検出することもできる。接近検出は目下、(i)調和された検出子を有する予め選択されたデバイスの存在を検出すること;又は(ii)ビデオカメラ又は動作センサーのような外部装置を使用すること、に関与する。或る人が物体に接近するとそれを好都合に知る方法は目下のところない。ここに開示されているものは、センサーから数フィート以内に有意な静電荷を保持し得る物体の動作を検出するようになっている。さらに、この検出は磁場に基づいているので、信号強度又は検出電荷と距離との関係は、強度=1/距離2と相関されることが知られている。人体はほとんどが水から形成されているので、ほとんどの固体無生物物体、例えば椅子が持たないような特性を有している。原理的には、このようなセンサーによって、動く猫や犬は人と間違えられるおそれがあるが、これらの動物は小児と比較しても、保持する電荷が著しく小さいので、センサーに対して同じ効果を発揮するために、動物はより接近しなければならない。
【0183】
このタイプの接近検出子は、銅板の周囲キャパシタンスの周りに構成されたR/Cオシレータを利用する、人体上へのデバイスの取り付け時、又はデバイス・アームバンドに対して他の物体を近付ける/遠ざける時のように、板を取り囲む環境が変化するのに伴って、板のキャパシタンスの変化は、オシレータの周波数を変化させる。次いでオシレータの出力をプロセッサのカウンタ/タイマー内に入力する。別の実施態様は、極めて高いゲート入力インピーダンスを有するFETトランジスタの入力に関連する短いアンテナを利用する。アンテナを取り囲む環境内の極めて僅かな変化でも、FET増幅器の出力に極めて検出可能な変化を引き起こす。回路が他の物体に向かって空気中を移動させられ、そして、物体がアンテナに接近させられると、出力の変化が検出される。動作を反映する電荷は、静電荷の性質であると考えられる。
【0184】
キャパシタンス及び上記の他の技術に加えて、電気皮膚反応、熱流束、音響及び動作を含む他のセンサーを利用して、このタイプの接近検出を可能にするか又は向上させることにより、より大きな信頼性、精度及び信頼度を持ってこれらのコンテクスト点を認識するのを助けることができる。
【0185】
上記の接近検出子は多くの用途を有することができる。これらは、コンピュータと相互作用するためにデバイスを使用して、スクリーン・セーバーが、最後にキーを叩いてから所定の時間経過後にではなく、操作者が立ち去ってからすぐにオンになり、着席すると、接触開始することなしに、正常のスクリーンに戻るようになることを含む。リモート・コントロール、明かりのスイッチ、電話、又は暗所に使用される他の物品のためのバックライトを、身体が存在する場合には活性化するとともに、これにより明かり又はデバイスを制御することができる。大人が存在するときにはロック解除又は開放旋回されるが、しかし子供しか近くにいないときにはそうならないように、チャイルド・プルーフ・ゲートを構成することができる。携帯電話又は他の通信デバイスは、使用者がこれを身に付けているか又は傍らに例えば寝室のランプに置いているどうかを承知していることもできる。デバイスは、2つの状態で2つの異なるモードを有するようにプログラミングすることにより、必要に応じて、電力を削減し、eメールをダウンロードすることなどができる。
【0186】
安全関連の実施態様は、人が酒、銃又は現金のキャビネットに近付くか又は開けたかどうかを知ることを含むことができる。監視のないプール又は海辺を含む危険な場所又は状況の近くにいる人々が検出される。キーホルダー又はその他の器具に埋め込まれたデバイスが、暗い駐車場又は建物の隅に人が近付いているかどうかを検出可能にする。自動車に関しては、デバイスは大人又は子供が運転席にいるかどうかを検出し、イグニッションを無効にすることができる。
【0187】
娯楽関連の多数の実施態様も考えられる。プレーヤーがスクリーンに向かって走るとズームインするが、プレーヤーがスクリーンから離れる方向に走ると、通常のビューにズームバックするか又はさらにズームアウトするようなビデオゲームが提供される。同様に、ビデオ以外のゲームの場合、二人のプレーヤーがボールでプレーする場合、そしてボールは彼等に接近すると、明るく輝き、しかし彼等から遠ざかると、それが別の人に到達するまで薄暗くなる。このシステムは、この効果を中断するようにボールをトリガーする大人のアプローチを検出することもできる。コンセプトを共有の遊び場におけるカラフルボール・ピットに広げる。ここでは、子供がこれらのピットを這い回り飛び回ると、ボールの塊が直接ひとりでに輝き、これに対してピットの他の側へ行ったボールは、別の子供のために輝くか、又は子供がそこにいないという理由から暗くなる。最後に、使用者の様式化画像の影を表示するビデオ壁を提供することができる。使用者がその手を壁に近付けると、ほぼ手のサイズの領域がその近くで暗くなるが、しかし、仮想ポインターになることもでき、或いは、ペイント・ディスペンサーがその壁上に絵を描くこともできる。このことを範囲拡大して、水の噴流を操作して制御することにより噴水を、その中で遊ぶ子供に応じて作ることも容易にでき、これにより、子供を追跡し、又は子供の近くにパターンを作ることができる。逆に、システムは子供が立ちはだかっている特定の噴流を止め、子供をその水噴流の追跡者にする。この場合にもやはり、これは子供だけのための特殊効果となり、この効果は大人の近くでは途絶える。
【0188】
図32は、特定の事象又は活動の検出を明確に示す別の図である。大腿部肌温度出力979及び大腿部周囲温度出力981を生成する単一の大腿部モジュールを利用する。この図では、患者のオムツは、時点T1において直腸データポイント991を収集するために取り外された。大腿部周囲温度出力981において、時点T1直前に特徴的な谷部992が生じ、大腿部肌温度センサー出力979が対応して変化しないことは、肌温度の変化なしに周囲条件が突然変化したことを示す。このパターンは識別可能且つ反復可能であり、システムが当該パラメータを観察することを学習すると、信頼性高く検出することができる。
【0189】
同様に、図33は休息と活動との区別を示す。図27及び29と関連した発見と一致して、周囲温度センサーの使用によって活動をモニタリングすることができる。この事例では、図27と一致して、患者には3つのモジュールが適用される。これらのモジュールは左右の大腿部及び腋窩に用いられる。出力は、左大腿部周囲温度出力901、右大腿部周囲温度出力902、及び腋窩周囲温度出力903を含む。時点T0と線993で示される時点T1との間の時間中、患者は活動的である。このことは周囲温度における概ねランダム且つ周期的な変化、並びにより大きい特徴の小さな中間ピークによって特徴付けられる。これらは、一連の中間ピーク1001’をさらに含むピーク1001によって例示される。時点T1において、患者は読み取り中、あまり動かないようになった。腋窩周囲温度出力903の時点T1直後の時間において、質的な値及び波形特性の両方の瞬間的な変化が注目される。大腿部出力に対応するグラフ全体を照らして見ると、これと同じ時間中の大腿部出力においていくつかの変化が明らかであるが、これらの変化ははっきりせず、顕著なものではない。しかし、注目できるのは、活動時間及び休息時間を、時間内の特定の識別可能な瞬間におけるこれら2つの界面と一緒に検出できることである。活動モニターは、着用者の転倒を検出し、親又は介護者に警報又は警告の音で知らせることもできる。
【0190】
本明細書中により詳細に記載されているような、デバイスの活動性モニタリング機能は、数多くの用途にとって有用であるが、これらは全体的には正確ではない。しかし、デバイスは、睡眠状態及び静止状態を見極め認識することができる。なぜならばセンサーは定常であり、近くで一緒に追跡しているからである。従って、総時間から不活動時間を差し引くことにより、所与の期間中、使用者がどれほど活動的であったかを報告するモニターを提供することもできる。加速度計を加えることにより、身体的活動性をより正確に測定することができる。しかし、温度センサーは、モニタリングのようなコンテクストをフィルタリングにより除去する能力を改善する。これらのコンテクストは、歩数計及びエネルギー消費モニターを含む、加速度計に基づく検出子において不正確さをもたらす。
【0191】
上記種々の検出能力のためのいくつかの重要な用途は:(i)託児所又は他の広域保育施設における幼児及び小児のモニタリング;(ii)保護施設又はその他の介護施設における重要になりつつある老親のモニタリング、である。両事例においても、被介護者の虐待及び無視の両方に対処すべき有意義な機会が持ち上がっている。加えてこれらの人々の家族及び/又は親が、特に適切な介護を観察又は実施するために物理的にその場にいない場合、提供されている介護のモニタリング及び評価の両方を行う能力に関して一定の関心を持っている。本明細書中に記載されたシステムを十分に利用して、信頼性の高い、そして不正防止された観察を患者に施すことができる一方、観察者は離れた場所から、進ちょく状況及び介護を追跡することができる。この追跡は、乳児モニター様式のレシーバと同じほど単純なデバイス、又は、Teller他の同時係属中の米国特許出願第09/595,660号明細書及び同第09/923,181号明細書の幅広い教示内容によるデバイスの出力を受信するための好適なネットワークに接続された任意のコンピュータ・デバイスを用いて行うことができる。ここに提供されたデータ及び誘導された情報の外挿により、例えば、排尿及び排便の性質及び頻度、対応するオムツ交換、歯痛、他人との密な交流時間、抱きかかえられている時間、睡眠時間、累積的不眠、活動時間、寝たきり患者の体位交換、揺すり又は他の虐待、過熱などを見極めることができる。給食パターンを認識し、そして次の給食のためにその時間を介護者に予測/警告することができるデバイスを提供することもできる。このことはデバイスの活動モニタリング能力を用いることにより達成することができ、これによりエネルギー消費量をおおまかに計算するか、又は単にタイミング・パターンを認識することができる。
【0192】
さらに、デバイスは、固有の識別タグを備えることができる。このタグは、無線又は他の近接関連送信を介して送信可能であってもよく、これにより、各モジュールは或る特定の周辺内にどの他のモジュールが来たかを検出して記録することができる。これは軍事、施設及び教育環境において適用することができる。このような環境においては、どこに人がいるかだけではなく、誰に人が接触したかを知ることが有用である。このことはまた生物又は化学テロ攻撃においても有用である。さらに、上記育児環境において、親又は介護者にとって、それぞれの子供の社会的な接触のレベル及びタイプを評価することが有用である場合がある。
【0193】
幼児及びその他のコミュニケーション能力のない子供及び大人に関して、デバイスを利用して、環境温度快適レベルを見極めることができる。これは、着用者が特定の部屋内で熱すぎるか又は冷たすぎるか、或いは着ている衣服が重すぎるか又は軽すぎるかを見極めることに関する。上記浴室トレーニング例と同様に、各着用者の特定の快適ゾーン、並びに、個人がそのような状態になっている間、なる前及び後に検出された付随的な生理学的又は感情的応答を見極めるために、学習期間が必要である。加えて、個人化前又はその代わりに使用するために、或る特定の一般化された快適温度ゾーンをデバイスによって提供することができる。最も極端な場合、デバイスは低体温及び高体温、震え、上記消防士の例に関して参照した該当レベルへの体内温度又は肌温度の上昇を検出することもできる。
【0194】
新しい親、新しい介護者、又は介護責任の変化を含む多くの状況において、未熟な監視しかない状況に幼児は置かれるおそれがある。幼児が泣くのは、主要なコミュニケーション手段である。残念ながら、幼児がなぜ泣いているのか多くの理由があるにもかかわらず、未熟な介護者はしばしば、問題をどう診断すればよいか途方に暮れる。デバイスは、データ及び/又は排除プロセスの検出、誘導を介して、なぜ幼児が泣いているのかを見極めるように適合することができる。このことは幼児にとって特に有用ではあるが、コミュニケーション能力のない大人及び老人にも明らかに適用可能である。
【0195】
システムは、着用者が温度検知を通して熱を有することを見極めることができる。システムは同様にオムツが汚れていることを見極めることができる。上述のような温度検知は、着用者があまりにも熱いか又は余りにも冷たいかに関する情報を提供することもできる。挙動パターンに基づいて多くのことを見極めることもできる。幼児は特に、規則的なスケジュールで食事し、給食のタイミングを検出及び/又は誘導し、そして報告することができる。加えて、これらの事象は、排卵、及びおねしょなどに関して示されたように、検出されたパターンに基づいて予測することができる。腸及び胃の音のためにマイクロフォン又はその他のオーディオ検出子を使用することによって、空腹を検出することもできる。最後に、不眠は、特に、不眠に関連する又は不眠によって影響される付加的パラメータ、例えば免疫応答、機敏さ及び社交術の変化が検出、認識又は誘導される場合に、予測又は検出することができるパターンに基づく別の挙動である。
【0196】
システムは、それぞれの着用者の日常の報告を作成する能力を備えてよい。これは、過去の長い期間にわたって着用者に起こったことに、親又は介護者がアクセスするために最も有用である一方、スケジュールを有する挙動又はパターン挙動を予測するものとして使用することもできる。このことは、例えば、最も予期される事象又は挙動を含む監視時間マップを提供されることになる新しい介護者又はベビーシッターにとって最も有用である。
【0197】
一貫した活動又はパターン活動を経時的に追跡する際に、パターン又は生理学的パラメータの変化を検出することができる。このことは、長い期間にわたって発生する小さな変化に特に当てはまる。このことは或る特定の疾患又は状態の検出又は診断の助けとなり得る。これは、検出された生理学的パラメータ、コンテクスト、誘導パラメータ、及び上記のものの組み合わせの間の相関を形成する上でも有用である。例えば、いくらかの時間後に、高い質の睡眠が、先立つ6時間以内に行われた有意な運動に相関されることが明らかとなってくることがある。従って、より著しい減量が、より良好な睡眠パターンに高く相関することが明らかになってくることがある。
【0198】
幼児が成長して成熟するにつれて、パターン内に変化が発生し、温度値が体内で変化する。温度調節系が十分には発達していない幼児は、温度プロフィールにおいて鋭い変動及びスパイクを示す。身体が成熟し、そして成長して脂肪を加えると、これらの温度変動はさほど鋭くはなくなる。この系は次いで、経時的なこれらの温度変動の持続的な記録に基づいて、成長の評価を可能にする。
【0199】
薬物投与のような多くの状況において、身体的治療又は妊娠中の女性の活動制限、所定の時間にわたる適正な手順のコンプライアンスが重要である。多くの事例では、個人でさえ、処方された手順又はプログラムの自身のコンプライアンスの質的性質を評価することはできない。他の事例では、医療従事者又は介護者は、患者のコンプライアンス・レベルを評価してモニタリングしなければならない。システムはこれらの評価を、重大な妨害なしに行うことを可能にし、その結果は信頼を伴う。この状況において、保険会社又は雇用者はこのシステムを使用して、着用者がプログラムに従う範囲又は或る特定の目標に達する範囲に関する報告を収集及び/又は生成することができる。これらの報告は次いで、保険会社又は雇用者に、分析のために送信することができる。
【0200】
本明細書中に記載された特徴及び機能性の多くは、或る特定のパラメータの検出;或る特定のコンテクスト、パラメータ又は結果の誘導、及び或る特定の事象及びコンテクストの適切な識別に基づく。システムがこれらの見極めを正確に行う能力は、試料のサイズ及び知識ベースに対して比例する。このことは、性質による特定の事象の検出、及び検出された信号、例えば排尿失禁の相互作用の両方に関して当てはまるが、見極めを行うより正確なアルゴリズムにも当てはまる。システムは具体的には、より大きいシステム、より具体的には、Tellerの同時係属中の米国特許出願第09/595,660号明細書によるシステムと通信するように適合される。このシステムは、識別された事象に先立つ信号をより正確に認識するために、相関されたデータ及び誘導形と一緒に、多数の着用者からの総合データを収集することを含んでよい。システム処理の変更形及び/又はアルゴリズムを次いで使用者のシステム及びモジュールに、更新として再送信することができる。
【0201】
任意のモニタリング・デバイスの2つの他の重要な観点、すなわち、ユニットの不具合の検出、及び外部ファクターによるシステム混乱の防止、に対処しなければならない。その適切な取り付け位置からのモジュールの取り外しに関しては、図34が、この事象に関連した容易に検出可能なパターン及びデータを示している。図33と同様に、患者には3つのモジュール、すなわち左右の大腿部及び腋窩モジュールが適用される。出力は左大腿部周囲温度出力901と右大腿部周囲温度出力902及び腋窩周囲温度出力903を含む。線1010によって示された時点T1において、腋窩センサーはピーク1002で取り外し状態になる。データ記録には、谷部1002’が瞬時に形成される。線1015によって示された時点T2において、右大腿部センサーがピーク1003で取り外し状態になり、データ内に谷部1003’が形成される。なお、波形1003’の形状は、取り外し波パターンにとってより典型的である。いずれの事象中にも左大腿部周囲温度出力901のような他のセンサーの対応変化がない、これらの突然の温度変化は、この不具合を信頼性高く一貫して識別し、そしてこの状況を改善するように介護者に通告することを可能にする。
【0202】
デバイスの付加的な機能性は、検知パラメータ、誘導パラメータ及びコンテクストを利用して、他のデバイスを制御することができる。例えばユーザーが余りにも冷たいとシステムが検知したら、システムは、使用者が位置する部屋の温度を上げるようにサーモスタットに対する信号を発生させることができる。さらに、システムは睡眠状態を検出して、このような時間中電話が鳴るのを防止するか、又は、明かり又はテレビをオフにすることができる。デバイスは、上記温度検知機能及び動作検出機能を介して、コンピュータ又はビデオゲーム・システムとの相互作用のためのポインティング・デバイスとして利用することもできる。システムはまた、バイオフィードバック分野で知られた信号又は方法を利用して、感情的又は生理的状態を検出するために、或いは、着用者による身ぶりを検出し、そしてバイオフィードバック又は検出されたこれらの身ぶりを用いて別のデバイスを制御するために、ビデオゲームと同様に利用することもできる。身ぶりは手足及び/又は全身の特定化された動作を含むことができる。制御されるデバイスは、舞台照明、プロジェクター、音楽・ダンスクラブのインタラクティブ型の照明を有する床、音楽デバイスは、ステージをベースとするデバイス、並びに、グループ又は個人のMP3プレーヤーを含んでよい。
【0203】
本発明の特定の実施態様を添付の図面に示し、前述の詳細な説明において説明してきたが、本発明は開示された実施態様だけに限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲において特定したように、数多くの配置替え、変更及び置換を施すことが可能であることをさらに理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】体温測定モジュールを種々のレシーバと併用するシステムの説明図である。
【図2A】体温測定モジュールのコア板ばね実施例の頂面図である。
【図2B】体温測定モジュールのコア板ばね実施例の側面図である。
【図2C】体温測定モジュールのコア板ばね実施例の端面図である。
【図2D】体温測定モジュールのコア板ばね実施例の底面図である。
【図3】体温測定モジュールのコア板ばねの他の実施例の斜視図である。
【図4】利用者の身体に装着された体温測定モジュールの断面図である。
【図5A】体温測定モジュールの好ましい実施例の頂面から見た斜視図である。
【図5B】体温測定モジュールの好ましい実施例の底面から見た斜視図である。
【図5C】体温測定モジュールの第2実施例の頂面図である。
【図6】体温測定モジュールの好ましい実施例の分解図である。
【図7A】体温測定モジュールの第3実施例の底面側から見た斜視図である。
【図7B】体温測定モジュールの第3実施例の断面図である。
【図7C】利用者の身体に体温測定モジュールの第3実施例を装着するための接着片の頂面図である。
【図8】体温測定モジュールの第4実施例の分解図である。
【図9】着脱自在なハンドルを有する体温測定モジュールの第5実施例の3つの局面を示す頂面図である。
【図10】体温測定モジュールの第6実施例の斜視図である。
【図11A】体温測定モジュールの第7実施例の5つの局面を示す説明図である。
【図11B】体温測定モジュールの第7実施例の5つの局面を示す説明図である。
【図11C】体温測定モジュールの第7実施例の5つの局面を示す説明図である。
【図11D】体温測定モジュールの第7実施例の5つの局面を示す説明図である。
【図11E】体温測定モジュールの第7実施例の5つの局面を示す説明図である。
【図11F】体温測定モジュールの第7実施例の5つの局面を示す説明図である。
【図12】体温測定モジュールの第8実施例の説明図である。
【図13】体温測定モジュールの第9実施例の説明図である。
【図14】体温測定モジュールの第10実施例の説明図である。
【図15】体温測定モジュールの第11実施例の説明図である。
【図16】レシーバの第1実施例を示すダイヤグラムである。
【図17】受信ディスプレイを示すダイヤグラムである。
【図18A】受信ディスプレイの追加ダイヤグラムである。
【図18B】受信ディスプレイの追加ダイヤグラムである。
【図18C】受信ディスプレイの追加ダイヤグラムである。
【図19】体温測定モジュールにおける回路の第1実施例を示すブロックダイヤグラムである。
【図20】体温測定モジュールにおける回路の第2実施例を示すブロックダイヤグラムである。
【図21A】レシーバを含む体温測定モジュールにおける回路の第3実施例を示すブロックダイヤグラムである。
【図21B】レシーバを含む体温測定モジュールにおける回路の第3実施例を示すブロックダイヤグラムである。
【図22】体温測定モジュールの動作を説明するロジックダイヤグラムである。
【図23】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図23A】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図23B】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図24】体温測定モジュールの動作に利用される論理の特徴を示すダイヤグラムである。
【図24B】体温測定モジュールの動作に利用される論理の特徴を示すダイヤグラムである。
【図25】体温測定モジュールの動作に利用される論理の特徴を示すダイヤグラムである。
【図26】体温測定モジュールの出力を示すグラフである
【図27】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図28】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図29】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図30】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図31】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図32】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図33】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図34】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は連続的に生理学的にモニターするためのデバイス、特に、主として被験者の体温に関連するデータを収集、記憶、処理および表示するためのデバイスに係わる。本発明はまた、温度およびその他の検知されたデータを利用することによってその他の身体的状態やその背景を誘導し、報告するための体温測定デバイスにも係わる。主として人間を対象とするが、獣医による診断やいわゆるペット・ケアのため動物にも適用できる。
【背景技術】
【0002】
体内温度は被験者の重要器官の温度である。被験者が高熱状態にあると体温が異常に高い状態となり、場合によってはタンパク質機能が回復不能に失われる変性に陥り、最終的には死に至ることがある。異常に低い体温は被験者を、体内での化学反応速度に影響してこれを停滞させ、呼吸または循環障害を招く恐れのある低体温状態に陥らせる。長年に亘って、正常またはベースライン体温の基準は98.6°Fまたは37°Cとされ、この温度において身体が安定しようとすると考えられてきた。しかし、研究の結果、正常な体温とは幅のある範囲であることが判明した。米国医師会によれば、被験者の体温は約97.8°Fまたは36.5℃乃至99°Fまたは37.2℃の幅を持つことができる。通常、身体はほぼ36.5−37.5℃の狭い範囲内に維持される。肌温度は一般に体内温度よりも2−3℃低いとされ、実際の数値は身体を囲む環境の周囲温度や血管運動神経の調子など多くの要因に左右される。被験者の具体的な正常またはベースライン測定温度は多様な要因に左右される。例えば、時刻、直前の行為、液体および食品の消費、測定場所および/または測定方法が検知される被験者の体温に影響することがある。また、類似の人口統計データを有する1群の被験者の正常体温は上記およびその他の要因、例えば、年齢、新陳代謝率、性別および疾病の有無に応じて異なることがある。
【0003】
充分な時間をかけて被験者の体温をモニターすることによって、特定の被験者の実際の正常体温または体温範囲を測定することができる。この重要な統計を知ることは、人体の組織および細胞に著しい損傷を与えかねない体温の両極端が起こるのを防止する上で重要である。さらに、体温上昇の結果として、特に乳児における発熱と関連する一時的なひきつけである発熱性発作を起こす恐れがある。発熱性発作は急激な発熱と関係があり、生後6ヶ月から6年までの幼児に起こる。発熱性発作は多くの場合、被験者に対する長期的または恒久的に損傷するという結果を招くことはないが、いかなる種類の発作にも見られるように発熱性発作に伴う身体的な損傷が残るリスクが存在する。
【0004】
真の体内温度は心臓からの動脈血の温度である。この特定の場所における測定には肺動脈カテーテル法が必要であるが、この方法が侵襲性であるだけに、多くの場合、妥当ではない。従って、被験者の血液温度に近似の結果をもたらす体温測定値は体内温度に最も近い部位で測定しなければならない。通常、そのような場所としては、口腔、腋の下、直腸、および鼓膜である。しかし、これらの部位のうち、どの部位で行う体温測定値も真の体内温度ではないから、測定部位によってエラーまたは偏差を含む。
【0005】
体温測定の精度に影響する要因の1つは、測定部位によって灌流量に差があるということである。灌流とは一般に、生活機能を行うために細胞が必要とする栄養成分の放出を指す。灌流は身体の種々の領域への栄養成分の放出および配分を行うのに必要な動脈血流量でもある。従って、灌流を、血液流量を示す要因、例えば、血液温度と相関させることができる。即ち、適切に灌流される領域には充分な血液が供給されるからである。
【0006】
人体の視床下部は身体を、生体機能の代謝平衡である恒常状態に維持しようとする。但し、この代謝平衡が周囲温度によって影響を受けると、視床下部が体温に関連する反応を起こすセットポイントがトリガーされ、その結果、身体部位への血流が減少することがある。血流が心臓やその他の重要器官から遠ざかるに従って、心臓から遠い特定の身体部位に対する周囲温度の影響が増大する。例えば、周囲温度が通常よりも低い場合、身体は重要器官の定常状態およびこれと関連する内部温度を維持するため、抹消血流を極度に減少させようとする。抹消血流の減少は灌流の減少と相関関係にあり、結果として肌温度が低下する。
【0007】
身体の種々の領域を通過する血液はそれぞれの領域に応じて体温の上昇および低下に相当する異なる温度変化率を示す。供給される血液の流量に応じて温度が変動するのに要する時間量は身体の検知部位に応じて著しくことなる。エラーまたは偏差も主として環境条件によって左右される。また、身体の部位はそれぞれの部位に固有の、測定結果に影響する誤差変数を有する。
【0008】
口腔体温は都合の良い非侵襲性の測定部位であり、特に投薬されている状態において体内温度と等価の結果が得られる測定部位として許容されている。舌には体内温度をそのまま反映する比較的多量の血流がある。しかし、咳き込んだり、物を飲んだり、食べたり、話したり、というような被験者の行為は検知される体温を低下させ、誤った結果を生む可能性がある。広く採用されているが、この体温測定法は測定デバイスが正しく配置され、患者の協力が得られることが前提となる。正確な測定値を得るのに必要な測定時間は3分間とされている。
【0009】
腋の下も体温測定に好都合な、非侵襲性の部位である。腋の下の温度は腋窩
で、即ち、腋窩と腕との2層の皮膚の間で外部的に測定することができる。測定の精度はこの身体部位における動脈にどの程度に近い部位で測定が行われるかに応じて異なる。腋窩部位は周囲温度によって悪影響を受けることがあり、極度に低温または高温の環境は誤った測定結果を生む。腋窩の形状も測定結果に影響する。窪んでいる腋窩は絶縁するのが困難であり、環境の周囲温度に曝され易い。この方法で測定された温度は口腔で測定された温度よりも0.3乃至0.4℃低くなる傾向がある。測定時間は口腔体温測定の場合と同様か、またはそれよりも長くなる。
【0010】
直腸温度は直腸内で測定される。所要時間が短く、通常、測定時間は1分間である。身体の動きが激しいため、測定誤差が大きくなり易い幼児の体温測定には特に重要である。しかし、測定部位としては最も不快感を伴う部位である。直腸は環境から充分に絶縁されており、測定結果は口腔または腋窩部位で測定される温度よりも被験者の体内温度に近似である。直腸で測定される体温は口腔測定で得られる体温よりも0.5乃至0.7℃高くなる傾向がある。
【0011】
直腸体温測定値は精度が比較的高いが、測定方法に難点がある。この方法は被験者に損傷を与える恐れがある。直腸への体温計の送入が感染や測定デバイスに関連する衛生状態および/またはその使用に起因する疾病のほか、デリケートな組織の穿孔を起こすかも知れないからである。また、直腸内に存在している物体が絶縁体として作用し、急激な体温の変化となって直ぐに反映されない場合があるから、直腸温度は口腔温度よりも熱の入力および損失に対する応答が遅い。
【0012】
耳にも体温測定に好適な部位が2つある。第1の部位は三半規管の外部である。三半規管は好都合な非侵襲性の部位ではあるが、環境条件および身体に対する環境条件の冷却作用に影響され易い。第2の部位は頭蓋骨の深い内部に位置して三半規管と同じ影響は受けない鼓膜である。鼓膜における体温測定も近年は広く採用される測定方法となっている。鼓膜温度は温度を制御する視床下部と血液供給を分け合うから、体内温度の比較的正確な反映である。温度変化が素早く且つ比較的正確に反映される。但し、鼓膜において体温を測定するには、長く、細い熱電対プローブを耳に挿入しなければならず、被験者に多大の不快感を与える。熱電対プローブは極めてデリケートな鼓膜に接触するか、または少なくとも近接したままでなければならないから、被験者の協力と損傷のリスクが前提となる。
【0013】
体温測定には多様なデバイスと方法が知られており、その多くは連続的な測定ではなく、固定的な測定を目的とするものである。最も正確な体温測定デバイスおよび方法は残念ながら最も侵襲性のものであり、例えば、肺動脈/熱希釈カテーテル、食道体温計、留置式膀胱および直腸体温計などである。肺動脈/熱希釈カテーテルは心臓の肺流出路の温度を連続的にモニターできるから、最も正確な体温測定方法である。しかし、これらの方法は侵襲性であり、実用的ではないから、非連続的な測定の場合においても、被験者の体温をもっと手軽に測定するデバイスが開発されている。
【0014】
長年に亘って、体温測定には水銀体温計や液体膨張式体温計が使用されているが、一部の原因として、測定精度が、体温計を正しく位置させ、測定者が示度数を正しく解釈するという前提条件下での測定時間に依存するから、このようなデバイスの精度には問題がある。このような精度上の欠点はデバイスを使用する際の測定部位の数が口腔、腋窩および直腸などに限られることにも原因がある。研究結果によると、水銀体温計の場合、正常な体温において0.5℃または0.9°F程度の誤差を伴い、被験者が高熱の状態にある場合にはこの誤差がもっと大きくなることが判明している。しかも、水銀体温計の使用に際しては、体温計が不注意から破損したり、廃棄されたりする恐れがある。液状水銀がこぼれると、滴状を呈する水銀が無臭、無色、毒性の蒸気を放出する。水銀は有毒であり、こぼした場合には拭い取ることが困難であるから、この種の体温計は今日では広く使用されてはおらず、測定部位によっては禁止されているのが実状である。この単純な測定手段には1回毎の測定値が記録されるだけであるから、被験者の連続的な体温推移を測定し、記録することができない。その都度の体温測定を長期に亘って行うことは、体温測定のたびに目を覚ましていなければならない患者にとって煩わしいことである。ディジタル体温計とも呼称される電子体温計は水銀体温計よりも精度が高いと考えられるが、水銀体温計よりはやや使い勝手がよいというだけで、機能性は本質的に水銀体温計と大差はない。
【0015】
使い捨て製品として設計された化学的体温計も体温計の1つである。この種の体温計の1例としては、Vicks Disposable Thermometer(ヴィックス使い捨て体温計)Model V920がある。この体温計は紙製のデバイスであって、その表面に活性化学物質がドット状に付加されている。ドットは体温測定値に応じて変色する。このデバイスは使い捨てであるから、同じデバイスを繰返し使用するうちに細菌などでデバイスが汚染される心配がないという点で有益である。しかし、経験に照らして、この種の体温測定片は明確性を欠き、精度が低く、一貫性がなく、擬陽性的な結果を示すことが少なくない。
【0016】
体温測定の分野で行われている開発の多くは使用者にとっての快適さと便宜性の改善を目指すものであり、例えば、可撓的に歯と口腔内側にフィットし、容易に顎に落ち着き、どの被験者にも適合するような湾曲したゴム製の付属物またはプローブを使用するというアイデアが開発されている。このような努力も非生産的である。1例として、幼児の体温を見慣れた形状のデバイスでモニターできるようにおしゃぶりに似たプローブを利用するアイデアがある。しかし、幼児の自然な且つ反射的な吸引動作が原因で、このデバイスはノイズを伴う不正確なものになる。従って、これらの改良は使用上の利便性を目指すものであって、技量や使用者のエラーとは関係なく、精度および一貫性の改善に関しては殆ど達成されていない。また、上記のデバイスはいずれも静的測定を目的とするものである。多くの場合、人間工学、安全性、利便性およびデータ保持性の観点から全く非実用的である。
【0017】
その他の新しい方法およびデバイスとして、体内温度の体液が排泄された直後、尿または腸の動きを感知するオムツがある。しかし、これは全く成り行き任せであり、適正な部位で且つ適正に予測しなければならず、冷却または温度上昇の前にピーク温度を検知して測定値を記録しなければならない。センサー/デバイスは汚れるから、製品の廃棄または洗浄も考察されている。
【0018】
赤外線放射体温計は被験者から放出される赤外線エネルギーを検知し、このエネルギーを電気信号に変換し、周囲温度に起因する偏差を補正した後これを体温測定値として表示する非侵襲性体温測定デバイスである。赤外線放射体温計はいろいろな部位で使用することができ、顕著な長所を有する。赤外線放射体温計は最近、肺動脈温度と密接に相関することが報告された側頭膜測定に利用することができ特に幼児のモニターにおいて良く知られている。特に、頻繁な読みを必要とする場合、測定者が人体の開口部や腋窩を利用することによって幼児を困惑させる必要が無いからである。赤外線放射体温計の主な短所はオペレータの技量に著しく左右されることである。使用方法が一貫していないと、一貫して正確な測定値を得ることは困難である。また、赤外線レンズの清浄度が測定結果に著しく影響する。また、赤外線放射体温計は被験者の肌体温測定値に対する周囲温度の影響を考慮しないのが普通である。
【0019】
多くの場合、コストと精度との間には常に二律背反の関係がある。この問題はこの分野、特に使い捨て製品の分野では深刻である。衛生上の観点から、使い捨て製品は益々脚光を浴びつつある。これは施設用として最も好適である。しかし使い捨てということは必然的に製品のコストを制限することになり、デバイスがこの制約を超えた機能を発揮することを困難にする。
【0020】
多くの状況において、体温示度数を、この示度数から推定または誘導されるデータ、診断およびその他の情報との組み合わせるならば、もし従来行われているような上述した周期的、静的測定ではなく連続的な測定が行われるなら、より有用且つ正確な結果が得られるであろう。連続的な測定を容易にするデバイスおよび方法が既に幾つか提案されている。
【0021】
肌は従来、測定が表層動脈に近い部位において行われる場合でも、体温測定に適した部位とは考えられなかった。その理由の1つとして、肌での体温測定は末梢機能のシャットダウン、肌からの乖離、動作、および環境によるおよび内部的(加湿)影響に起因する顕著なノイズに妨げられる。そうであっても、肌という部位は左程侵襲的ではなく、体温モニターを長期に亘って着用するには快適な部位となり得る。これらの体温モニターは衣類、オムツ、装着ベルトなどによって環境から保護することもできる。
【0022】
船井によって台湾と日本で製造され、種々の商品名でGranford MarketingとManagement Servicesによって販売されているWireless Thermometerはモニターすべき患者の衣類またはオムツに固定されるトランシーバデバイスとして機能する。センサーはクリップに取り付けられ、肌と直接接触させる。このデバイスは衣類またはオムツという物品を利用して肌とセンサーとの接触を維持する。センサーは体温を記録し、示度数をLCDスクリーン上に表示する。トランシーバは無線送信を介してレシーバと組み合わされており、レシーバは体温データを受信し、もし特定の温度閾値に達すると音声警報を発するようにプリセットすることができる。履歴データを記憶させる対策はなされていない。このような機能を提供する公知デバイスが数多く提案されている。
【0023】
2005年2月8日付Rubinstein米国特許第6,852,085号“Fever Alarm System(発熱アラーム・システム)”は連続的体温測定デバイスを開示している。このデバイスは体温を計算するため、肌温度および周囲室温を連続的に測定する2つのサーミスタを有するマイクロプロセッサを含む。第1サーミスタは肌の近傍に位置し、これを囲む環境から絶縁されている。第2サーミスタは周囲の空気に露出し、肌とは接触していない。このデバイスは肌温度と周囲の室温の双方を測定し、計算された結果を、無線周波数トランスミッタを介して表示ユニットへ送信し、表示ユニットは被験者の体温現在値を表示する。このデバイスは所定の温度閾値に達すると、トリガーされる調整可能なアラームをも含む。
【0024】
このデバイスは肌温度と周囲温度の双方を測定し、最初の結果が計算されるまでの30分間に亘って周囲室温の履歴を記録しなければならない。高熱状態にある被験者をモニターしている場合、周囲室温を考慮するために30分間遅延することは生死に係わる。このデバイスの出力は計算であり、被験者から検知された体温の実際の測定履歴に基づくものでもなく、この特定被験者の生理、生理的能力、行動および体内温度との相関関係に基づくものでもない。即ち、このデバイスは分析値の表形式データを記憶しているプログラム可能な読み出し専用メモリからこのような情報を得る。表形式データは、想定される特定の入力セットに対応して特定の出力を生成するデータ間マッピングによって誘導される。この検索テーブルに含まれるデータは長期に亘って予め得られた体温と肌/周囲温度との関係と、肌/周囲温度の相互関係および相互作用に関する実験データである。これらのデータは参照値の記憶という初期ステップを必要とし、特定被験者毎の入力とは無関係である。
【0025】
2003年9月11日付Pompeii米国特許公報第2003/69800号“Ambient and Perfusion Normalized Temperature Detector(周囲温度/血流温度正規化体温センサー)は成人の腋窩および/または鼓膜温度を赤外線センサーで測定することによって体内温度を推定する赤外線体温計を開示している。このデバイスは周囲温度に対する動脈内部温度から熱抵抗を介して体温測定部位への熱流量に基づく動脈熱平行方程式を利用して体内温度を計算する。動脈内部温度は周囲温度および感知される肌温度に基づいて計算される。Pompeii特許には赤外線体温計に関して上述した短所、即ち、方法とレンズ品質の点で問題がある。その上、Pompeii特許における計算は周囲温度の直接測定を利用しない。肌に対する周囲温度の作用は肌温度の測定結果に大きく影響するから、周囲温度は肌温度測定のための重要な要因である。周囲温度を考慮するため、Pompeii特許は80°Fを推定値とするセンサーの感知温度を周囲温度として利用することにより被験者の内部体温を計算する。しかし、センサーはこれを囲む周囲環境よりも低温または高温である場合があり、計算結果の精度に影響する。最終的な温度計算の精度は80°Fと実際のセンサー温度との差の20%を加減することによって改善することができる。
【0026】
具体的には、他の腋窩体温測定方法において肌温度と周囲温度との差はh/pcを概算することによって得られる重み付き係数として計算される。但し、hは皮膚組織と周囲温度との間のradiation view factorを含む経験によって得られる係数、pは灌流速度、cは血液比熱である。健常な被験者に関する常態でのh/pcの近似値は約30%の偏差に相当する少なくとも0.09乃至0.13の範囲に亘って変動する。Pompeii特許は平均約80°Fと推定される周囲温度が常にセンサーの温度と同じであると想定するのではなく、センサー温度が80°Fとは異なる場合には、Pompeii特許はセンサー温度を20%だけ重み付けする。例えば、もしセンサー温度が80°Fなら、計算に使用される周囲温度は修正されない。センサー温度が周囲温度に等しいと想定されるからである。しかし、センサー温度が80°Fから増減すると、体温の計算に使用される周囲温度が同じ方向に20%変動する。
【0027】
2005年2月24日付Fraden米国公報第US2005/0043631号“Medical Body Core Thermometer(医療用体内温度計)”は主として肌温度測定を目的とするデバイスを開示している。このデバイスはセンサー温度および周囲温度を考慮しながら肌温度を感知することによって体内温度を計算する。このデバイスは着用者の熱抵抗の関数として肌温度を測定する第1センサーを有する。Fraden特許は周囲温度を考慮してはいるが、肌温度の正確な測定値を計算する際の重要な要因である周囲温度を測定するようにはなっていない。Fraden特許は肌温度に近いと考えられる温度にデバイスを加熱する埋め込みヒータによる予熱技術を利用することによって計算から周囲温度を除外しようとしている。
【0028】
Fraden特許は周囲温度の影響を考慮するため、複数の肌温度測定値を必要とする方程式を利用する。この方程式は検知された周囲温度を必要とせず、周囲温度を測定することもない。Fradenデバイスは肌温度を求めるために少なくとも3つの温度測定値を必要とする。第1の測定値はデバイスを肌と接触させる前のデバイス自体の検知された温度である。第2の測定値はデバイスを肌に配置した際の初期肌温度測定値である。第3の測定値はデバイスを肌と接触させた後に変化した温度に相当する検知温度である。変化したこの温度測定値はデバイスによって肌に加えられる表面圧力のために増大する表皮灌流に関連する。具体的には、被験者の肌に表面圧力が加わると、圧力下にある肌の灌流はこの特定部位における血管が拡張することで増大する。その結果、この部位における血流が増大し、上手く行けば肌温度測定値の精度が向上する。
【0029】
Fradenデバイスで得られた複数の測定値に基づいて被験者の肌温度が計算される。体内温度は経験的に求められた定数と計算された肌温度を利用して計算される。測定部位への血流が増えることで肌温度の測定値が精度を増すであろうが、周囲温度が肌温度に影響することは間違いなく、計算結果は被験者の真の体内温度と一致しない。
【0030】
1991年9月24日付松村米国特許第5,050,612号“Device for Computer-Assisted Monitoring of the Body(コンピュータ援用身体モニターデバイス)は身体の一部位において肌表面温度をモニターして、肌表面において体内温度を推定する方法を開示している。松村特許の開示内容によれば、周囲温度は皮膚表面で測定される温度に影響を及ぼすが、松村特許の第1デバイスは肌温度センサーと絶縁材を使用するだけで周囲温度が肌温度測定値に影響を及ぼすのを防止できる。少なくとも4cm2の絶縁材を温度センサー手段と併用することによって肌を周囲温度から絶縁するから、肌温度を理論的には体内温度に近づけることができるというのである。松村特許はまた、周囲温度を測定するための第2センサーと第1センサー用の絶縁材よりも少量の絶縁材とを併用することによって肌を周囲環境から絶縁するが、この場合に必要な絶縁材は少量であることを開示している。
【0031】
第1および第2センサーによってデータを検知し、これを利用して被験者の体内温度を手動で計算する。ユーザーは肌温度および対応の周囲温度の記録を図表化することによって検索テーブルを作成する。松村特許によれば、肌温度と対応の周囲温度と相関させることによって体内温度を求めることができる。松村特許は体内温度を求める方法を開示してはおらず、にもかかわらず、検索テーブルを使用することによって測定温度と計算温度とを相関させることができるとしている。周囲温度の測定はデバイスの一部である絶縁材の量によっても影響される可能性がある。第1デバイスについては、松村特許はセンサーを環境から遮断するためセンサーの周りに配置する絶縁材の量を最小限4cm2としている。周囲センサーを装備した第2デバイスに関して、松村特許は具体性を欠き、絶縁材の必要量は第1デバイスに必要な量よりも少ないとだけ記述している。デバイスの装着に一貫性がなく、基準温度を図表化している最中に絶縁材がはずれたり、変化を起こしたりすれば、肌温度に対する周囲温度の影響も一貫性を欠くことになる。絶縁材は肌センサーを環境から遮断し、使用される絶縁材の量に基づいて温度が検知される。センサーデバイスを身体に装着するごとに絶縁材の量に変化が生ずれば、ユーザーが作成する図表の精度が影響を受ける。
【0032】
1985年4月9日付Ward米国特許第4,509,531号“個人用生理モニター”は糖尿病患者における低血糖状態の開始を検知するため皮膚の電気抵抗、温度またはこれら2つの値に現れる変化を検知する連続的生理モニターを開示している。デバイスを着用することで自動的に温度基準が設定される。ユーザーの肌温度は肌温度センサーによってモニターされ、測定される温度が温度基準より低ければアラームが鳴る。Ward特許は、周囲温度が被験者の肌温度測定値に影響を及ぼすことに言及しているが、周囲温度を考慮に入れる手段または方法を提供してはいない。
【0033】
1999年8月17日付Dogre Cuevas米国特許第5,938,619号“遠隔配置可能な受信アラーム・メカニズムを含む幼児用外部装着温度モニター送信デバイス”も肌温度変化と検知するデバイスを開示している。しかし、このデバイスは肌温度センサーを含んではいるものの、周囲温度を測定するメカニズムを提供してはいない。また、Dogre Cuevas特許は周囲温度が肌温度に影響を及ぼすものとして想定していない。
【0034】
被験者の体温を連続的に測定することは被験者の健康状態をモニターする上で有益であり、被験者の正常体温を正しく示度することを可能にする。被験者の正常体温を知っておけば、死活に係わる状態を回避または早期検知するのに有益である。間歇的および連続的な体温測定を可能にする体温測定デバイスは既に存在する。しかし、間歇的な体温測定デバイスは、ユーザーまたはヘルパーによって手動でモニターが行われない限り、被験者の正常体温をモニターして異常体温を素早く検出するには余り役立たない。また、連続測定を可能にする既存の体温計は、幼児、成人の別なく、被検者の動作、生理状態、オムツの状態など肌温度に影響を及ぼすような諸条件を考慮に入れていないから正確な測定結果を期待できない。
【0035】
さらにまた、公知デバイスの多くは体内温度の計算をこれに代わる条件下に得られた測定値、例えば、肌温度に基づいて行い、標準化された変換またはデータ表を利用することによって示度数値を有意義な出力温度と相関させる。
【0036】
従って、公知技術に欠けているものは、長期の着用を容易にし、被験者の実際の体内温度の正確な測定値を提供する連続的な体温測定値モニターデバイスである。また、公知技術に欠けているものとして、追加の環境に関連するパラメータおよび生理学的パラメータを利用することによって温度出力の精度を高めることができる多重センサーが挙げられる。このような体温測定値が得られるなら、これを利用することによって情報提供、診断などに有用な、被験者の行動および状態に関する情報を提供することができる。
【発明の開示】
【0037】
少なくとも温度モジュールを含む単一または多重コンポーネント方式のモニター・システムを提供する。モジュールは温度その他のデータを出力するためのディスプレイおよび種々の入力機能を備えることができる。モジュールは特に予め選択された好ましい部位の1つにおいて、着用者の肌にフィットし、これと相互作用するように寸法設定され、形状デザインされている。このデバイスを装着する第1の最も好ましい部位は臀部近傍の大腿動脈付近で脚の付け根に形成される谷部であり、好ましくは接着片を使用することによって固定する。モジュールは衣類やオムツに取り付けることもできるが、オムツまたは衣類内の限定された空間で作用させることが好ましい。ここに述べる使用法および実施態様は幼児にも成人にも適用できるが、乳児や老齢者または寝たきりの患者に最も好適である。
【0038】
多重コンポーネント方式のシステムは温度およびその他のデータ測定値を受信するレシーバ以外のモジュールを含む。生または誘導情報の提示には、肌および/または周囲温度現在値、誘導体内温度現在値、これらの現在値およびコンテクスト・データのすべてに関する温度トレンドが含まれる。
【0039】
データはモジュールによって収集され、処理されてレシーバに対して送信されるか、またはボードで一括処理される。このモジュールは直接通信またはその他の無線通信を介して、さらには構内、広域または国際コンピュータ・ネットワークを介して他のデバイスと交信することもできる。
【0040】
モジュールに公知の電子タグまたはその他のIDを設けることによって、レシーバがマルチユーザー環境において、個々の患者について離散的情報を検知し、表示することができる。このモジュールは第三者または他の連携デバイスと交信することもできる。
【0041】
このシステムは主として家庭用、特に乳児のモニターを目的とするものである。但し、このシステムは病院、養護施設またはその他の施設用として利用することもできる。例えば、簡単な接着パッチとして実施すれば、特に初診のため待合室にいる患者のための救急処置室用として、または初期生理検査用として、または待合室にいる患者の容態急変に対する処置の判断するために利用することができる。このモジュールはまた、特に体温や状態に好適な他の典型的な部位にアクセスできないか、またはそのような部位が不都合な場合、侵襲性が軽微な、使い勝手の良い体温または状態測定手段として外科手術中に使用することもできる。温度依存性の患者のための暖房手段の利用など、施術後もケアもこのシステムの出力を参考にして行うことができる。
【0042】
モジュールの形状およびハウジングの基本的な実施態様はデバイスの優れた機能を可能にする。本発明のデバイスは湾曲した、比較的薄いハウジングを有し、このハウジングは適当な空間と肌との界面を画定する多様な凸部および凹部を有する。デバイスは通常、特定の用途に合わせた形状の接着パッドによって取り付けられる。接着パッドは種々のパラメータを検知するためのすべてのまたは追加のセンサーまたは電極を支持または含むこともできる。
【0043】
モジュールのハウジング・コンポーネントは可撓性のウレタンまたはその他の低刺激性エラストマー材、例えば、ポリウレタン、ゴムまたはゴム・シリコン混合物などを成形加工することによって構成することが好ましいが、硬質のプラスチック材から構成することもできる。周囲温度センサーは肌とは反対側に位置するハウジングの上面に配置することが好ましく、肌温度センサーはハウジング下面からの突出部に沿って配置し、肌に密着させることが好ましい。ハウジングには、熱流束センサーの使用を容易にするためのオリフィスを設けることができる。
【0044】
実施態様としては耐久性を有するものが好ましいが、使い捨てまたは部分的使い捨ての実施態様が種々考えられる。使い捨ての場合、モジュール全体および取り付け材は比較的短期間に亘って使用された後、廃棄される。部分的使い捨ての実施態様では、主要または高コスト部品は耐久性のハウジングに収納され、ハウジングは追加部品と物理的電気的に一体化され、これらの追加部品が使い捨てである。使い捨ておよび部分的使い捨ての実施態様は短期使用を想定されたものであり、低コストである。実施態様によっては、予め耐用期間を具体的に定める場合がある。
【0045】
すべての実施態様に関連して、デバイスの動作を開始させるための種々の手順を説明する。デバイスおよびこれに付随するレシーバはそれぞれのユニットをオン・オフさせるか、または自動的に感知してオン・オフする、即ち、デバイスが使用に関連する状態を検知すると自動的に起動する公知の手段を含むことができる。デバイスにはまた、プログラムされた制御または指令下にデバイスによって、またはヘルパーによって供給される薬剤または栄養物を備えることもできる。
【0046】
レシーバは種々の情報を表示するためのものであり、本来の用途が温度測定システムとは無関係なタイマー付きラジオなどのような他のデバイスに組み込むことができる。レシーバは着用者の変化する状態に関する連続的な情報を提供し、測定されているデータ、測定されたデータおよびその他のデータおよびコンテクスト情報に基づいて誘導された情報をアイコン、アナログまたはディジタル表示することができる。変化の傾向および閾値に対応する変化を表示することもできる。種々の通信ネットワークを介してレシーバへ送信されるアラーム、警告およびメッセージはこのような予め選択された、または事象駆動型の閾値と合致すると同時に起動される。
【0047】
モジュールは少なくとも1つのセンサー、プロセッサおよび場合によってはセンサーからプロセッサへの出力の信号強度を適切なレベルに高めるための増幅器を含む。個々のユーザーの検知された体温データおよび/またはその他の関連情報を表すディジタル信号をプロセッサが利用して体温データ現在値、体温データの傾向、誘導データおよびコンテクスト・データを計算または生成する。すべてのデータまたは関連情報は、例えば、フラッシュメモリのようなメモリに記憶させることができる。離散クロック回路を設けることもできる。センサー入力チャンネルは必要に応じて多重化することができる。プロセッサは誘導体温およびその他の関連データを作成するのに必要な機能とアルゴリズムを含むようにプログラムおよび/または適応させることができる。レシーバはヘルパーに対して直接ディスプレイにまたはその他の情報手段に出力するか、または種々の技術に従ってネットワークまたはその他のデバイスへ電子送信することができる。
【0048】
作動中、肌温度センサーは肌温度を検知し、周囲温度センサーはオムツに囲まれた被験者の周囲環境に対応する温度を検知する。データ検知の正確さを助けるためモジュールは校正されている。特徴作成ステップでは、校正信号を含むか、または含まない温度データまたはその他のセンサー・データを入力とし、これらの信号の新たに組み合わせるか、または操作する。システムはデータ流れを検討・分析し、好ましくは複数のセンサーを使用することによってパターンおよび状態を識別する。これらの検知可能なパターンおよび状態はこれらのパターンおよび状態の直前に観察される状態およびパラメータと共に反復可能且つ定義可能な信号を形成し、このような信号を利用することによって将来の事象、挙動または状態を警告または予告することができる。このデータおよび結論は相関関係および予想を反映するグラフ、報告書またはその他の出力として提示される。
【0049】
このデバイスは第三者の上記被験者へ第三者の接近を誘導するのに有効なデータを検知することもできる。接近を検知する他の手段としては、公知の手段のほか、ここに開示するような、金属プレートの周囲キャパシタンスの周りに構成されたオッシレータを利用する接近センサーが含まれる。例えば、デバイスを人体に取り付けたり、他の物体をデバイスに近づけたりデバイスから遠ざけたりすることでプレートを囲む環境が変化すると、プレートのキャパシタンスが変化し、その結果、オッシレータの周波数が変化する。オッシレータの出力はプロセッサのカウンタ/タイマーに入力される。これによってデバイスは人またはその他の物体の存在を認知し、検知することができ、この存在は上記分析手段の一部として記録され、利用される。
【0050】
このデバイスは(i)デイ・ケアまたはその他の長期に亘る施設での管理における乳児および幼児のモニター、および(ii)最近益々重要性を増している、特に、施設などで介護されている人々に対する虐待や無視を検知または判断するための高齢患者のモニターに利用することが好ましい。
【実施例】
【0051】
図1に示すように、モニター・システムは単一コンポーネントまたは多重コンポーネント方式の態様に実施することができる。最も簡単な形式である単一コンポーネント実施態様の場合、温度モジュール55は温度などのデータを出力するためのディスプレイ86Aを含む。モジュール55は、公知の知識に従って、ここで述べる無線出力と同様の有線または無線送信を含む種々の入力機能を備えることができる。他の入力手段として、デバイス自体に設けられたボタン、ダイヤル、またはその他の操作手段も含まれる(図示しない)。この単一コンポーネント方式実施態様は、詳しくは後述する予め選択された複数の部位の1つの近傍で被験者の身体に接触するように配置する。それぞれのモジュールも概ね下記文献に記載されているセンサー・ユニットの構成素子およびコンポーネントから成る:2003年3月4日付Stivoric et al.の米国特許第6,527,711号“Wearable Human Physiological Data Sensors and Reporting System Therefor(着用可能な人体の生理的データ・センサーおよびその報告システム)”;2003年7月22日付Stivoric et al.米国特許第6,595,929号“System for Monitoring Health, Wellness and Fitness having a Method and Apparatus for Improved Measurement of Heat Flow(熱流量を正確に測定する方法およびデバイス有し、健康およびフィットネスをモニターするシステム)”;2003年8月12日付Teller et al.米国特許第6,605,038号“System for Monitoring Health, Wellness and Fitness having a Method and Apparatus for Improved Measurement of Heat Flow(熱流量を正確に測定する方法およびデバイス有し、健康およびフィットネスをモニターするシステム)”;Teller et al.同時係属米国特許出願第09/595,660号“System for Monitoring Health, Wellness and Figness(健康およびフィットネスをモニターするシステム)”;Teller et al.同時係属米国特許出願第09/923,181号“System for Monitoring Health, Wellness and Fitness(健康およびフィットネスをモニターするシステム)”;Stivoric et al.同時係属米国特許出願第10/227,575号“Apparatus for Detecting Human Physiological and Contextual Information(人の生理的およびコンテクスト情報を検知するデバイス)”;Teller et al. 同時係属米国特許出願第10/682,759号“Apparatus for Detecting, Receiving, Deriving and Displaying Human Physiological and Contextual Information(人の生理的およびコンテクスト情報を検知、受信、誘導および表示するデバイス)”;Andre et al.同時係属米国特許出願第10/682,293号“Method and Apparatus for Auto-Journaling of Continuous or Discrete Body Sates Utilizing Physiological and/or Contextual Parameters(生理的および/またはコンテクスト・パラメータを利用して連続的および離散的身体状態を自動記録する方法およびデバイス)”;Stivoric et al. 同時係属米国特許出願第10・0,889号“Method and Apparatus for Measuring Heart Related Parameters(心臓に関連するパラメータを測定する方法およびデバイス)”;およびStivoric et al. 同時係属米国特許出願第10/940,214号“System for Monitoring and Managing Body Weight and Other Physiological Conditions Including Iterative and Personalized Planning, Intervention and Reporting(反復的且つ個人別のプランニング、診療および報告を含む体重その他の生理的状態をモニター示、管理するシステム)”。これらの文献の内容はいずれも参考のため本願明細書中に引用する。
【0052】
単一コンポーネント方式実施態様においては、データ出力などすべての機能が温度モジュール55のハウジング内に収納されている。身体に接触させれば、部位に関係なくユーザーは体温を求めることができるが、最も好ましい形としては、温度モジュールを予め選択された部位の1つに配置する。この配置は単一コンポーネント方式実施態様の場合でも、多重コンポーネント方式実施態様の場合でも同様である。
【0053】
図1に示すモジュール55は複数の配置部位から選択された部位において着用者の身体に配置し、接触させる。デバイスの最も好ましい第1の配置部位は脚と胴部の臀部付近における大腿動脈の通路に近い部位との接合部によって形成される谷部に存在する。この大腿部はデバイスを脱落させかねない身体の動きから充分保護される部位であり、この部位を囲む肌はモジュール55の取り付けに寄与する。その他の取付け部位としては、鼠径部、腋窩、上腕、腿の内側、股下/鼠径部、耳および耳たぶの後ろ、ひたい、さらには上記鼓膜部位、足裏、手のひら、指、手首、眼角と鼻側部の間、胸郭、背中の背骨沿いの幾つかの部位が挙げられる。一般に、適切な部位とはモジュール55が絶縁構造および/または環境からの保護手段として衣類または肌またはこれら双方を利用し易い部位であり、これらは灌流が充分な部位である。また、詳しくは後述するように、その部位において適切な周囲温度が得られることが重要である。特に乳児または寝たきり成人の場合、乳児または寝たきり成人が眠っているマットレスの身体に対する絶縁機能を活用できるという点で背中部位が有益である。マットレスは外部からの影響およびノイズを最小限に抑制する。また、幼児が身体を動かしたり、転がったり、起立したりすると、詳しくは後述するように、幼児の状態および/位置が変化したかどうかを判断するのに利用できる示度数が現れる。Stivoric et al.米国特許出願第10/940,889号に詳述されているように、心拍、エネルギー消費などのような他の生理的パラメータを上記種々の部位において測定することができる。
【0054】
図1には乳児を示しているが、ここに述べるすべての用途および実施態様は幼児や成人にも等しく適用される。また、オムツ60など種々の着用物を使用することも乳児、幼児および成人においても同様である。大腿部位に関しては、特に体内温度調整系が未発達な乳児は肌において体内温度との優れた相関関係を提供することが観察されている。比較的年齢の高い乳児、幼児または成人において体温調整が発達した後でも、この部位は体内温度との優れた相関関係を提供するが、適正な皮膚灌流を確保し、肌温度センサーを周囲環境から保護し、検知された測定値を調整するために他のセンサー示度数を利用できるようにするため、詳しくは後述するように測定デバイスおよび測定方法にある程度の適応制御を採用しなければならない。
【0055】
従来、体内温度を測定する際に最も精度が低い部位の1つと考えられている。しかし、環境的、生理的および/または物理的活動が人体にどのように影響するかを評価する際に、他の標準的な体温測定方法を補助する有用な測定部位であると考えられる。精度は測定部位に隣接する皮膚および組織の灌流特性によって著しく影響される。温度測定のためのもう1つの部位は手首であるが、この部位は動脈系および静脈系の末梢シャットダウンやこの部位が活動性の高い部位であることから、極めて顕著な且つ複雑なノイズに悩まされる。
【0056】
同時に複数のモジュール55を身体に装着することによって検知されるパラメータおよびこれらのパラメータから誘導される出力の精度を高めることも考えられる。さらに、これら複数モジュールのそれぞれに異なるセンサーまたは機能を持たせ、それぞれのモジュールからのデータを、適当なプロセス機能を有する他のモジュールへ、または種々のモジュールからデータを収集し、処理する別設のレシーバへ送信することも考えられる。また、データを有効に送信する必要上、特定の処理を特定のモジュールにおいて行うことも考えられる。
【0057】
詳しくは後述すように、温度モジュール55は閉ざされた空間、例えば、オムツや衣類の内側で動作させることが好ましい。この閉ざされた空間は肌温度示度数に影響を及ぼす可能性がある周囲ノイズをフィルタする機能を果す。但し、実施態様によっては、種々の生理的パラメータ、例えば、行動を検知するためにモジュール55を利用する場合があり、このような検知の精度はデバイスの一部を周囲条件に露出させることによって高めることができる。実施態様によっては、閉ざされた空間を衣類やオムツの内側ではなく接着パッチの一部として画定することもできる。
【0058】
多重コンポーネント方式のシステムは連続的な体温測定値およびこれに関連する他の統計的データ、例えば、モジュール55から出力される処理済みデータなどを受信するレシーバのほかに、ディスプレイ86Aを備えるモジュール55を含み、データはこのモジュール55のディスプレイ86Aまたはレシーバのディスプレイ86Bに表示される。表示されるデータは肌および/または周囲温度現在値、誘導体内温度現在値、これらの現在値すべての傾向、およびコンテクスト・データを含む。ここにいうコンテクスト・データとは被験者の環境、周辺、場所および状態、例えば、大気環境、音響環境、周囲温度、周囲光、GPSデータ、湿度、高度、気圧などを指す。さらに具体的には、コンテクスト・データは身体の状態、例えば、身体の姿勢、身体の内外の事象や状態、例えば、オムツ内での排尿、モジュールの脱落、活動および休息期間、睡眠の性質および質、および絶縁機能を果す衣類やオムツの脱落などをも含む。
【0059】
モジュール55はまた一体部分として衣類やオムツに組み込むことも可能であり、その場合には、詳しくは後述するように、肌と正しく相互作用するようにモジュールに充分な圧力が加わるようにする。
【0060】
データはモジュール55によって収集され、処理され、例えば、赤外線、RF送信またはその他の公知の無線送信システム、および図19-21に関連して説明するような短距離無線送信による1次送信でレシーバへ送信される。レシーバは種々の形式、例えば、テーブルトップ・レシーバ85、手持ち式レシーバ65、臨床モニター・レシーバ70、パソコン75またはネックレース・レシーバ80、指輪型レシーバなどから選択することができ、受信データはヘッドウォーン・ディスプレイ、ヘッドアップ・ディスプレイ、車のダッシュボードまたはフロントガラスに形成されたディスプレイに表示されるか、モニターされる被験者の衣類またはヘルパーの衣類に直接表示されるか、冷蔵庫、電子レンジまたは従来型のオーブンのような家庭電化製品に表示され、Stivoric et al. 同時係属米国特許出願第09/923,181号に開示されているように、室温、室内光量、室内、腕時計またはアームバンドの音などのような制御可能な周囲条件に質的に反映させることができ、モジュール55に対して遠隔配置することができる。当業者には明らかなように、レシーバは環境的音声を検知するためのマイクロホンをも含むことができる。モジュール55とレシーバとの距離は採用する送信方式に応じて異なる。モジュールには他のデバイスとの直接通信、またはネットワークを介しての通信のため、広域無線チップまたはその他のCDMA相当物を設けることもできる。モジュールはそのデータを携帯電話内の広域無線チップまたは広域無線機能を含むその他のデバイスに送信し、このデータをさらに世界の何処へでも送信することができる。あるいは、モジュール55は多様なレシーバ形式のいずれか1つの機能を複合するレシーバまたはレシーバ群と交信することもできる。多重コンポーネント方式システムにおいて複数のレシーバを利用する場合、データは詳しくは図19−21に関連して後述するように、トランシーバ・コンポーネントのネットワークを介して中継されるか、システム中のそれぞれのレシーバに送信される。
【0061】
中間レシーバを利用することによって、システムの範囲を広げるか、または処理機能のための別の場所を提供する。この実施態様においては、
1次送信72はレシーバ85とモジュール55の間で、2次送信73はレシーバ85と追加のレシーバ、例えば、パソコン75との間で行われる。また、複数センサー、複数患者という環境においては、モジュール55に公知の電子タグまたはIDを設けることにより、レシーバが患者毎の別個の情報を検知、表示できるようにすることができる。モジュールはまた、着用者と関連のある第三者または着用者または着用者に移植されているその他のデバイス、例えば、義歯またはその内部とも交信し、電子的またはバイオ指紋手段によって着用者を識別することもできる。このような環境においては、追加のレシーバおよび複数の送信レベルを設け、適当なコード化または送信識別によって信号のオーバーラップまたは混同を防止する。Stivoric et al.同時係属米国特許出願第10/940,889号に記述されているようなマス・トリアージ・システム(集団優先順位選択システム)を採用することも可能であり、このシステムは位置感知も可能な自己回復ネットワークとして互いに隣接するモジュール間の交信を可能にもする。
【0062】
テーブル・トップ・レシーバ85は、図19−21に関連して後述するように、モジュール55と交信し、関連データを受信するための電気回路を内蔵するハウジングを有する。テーブル・トップ・レシーバ85は電池、熱流束、磁束、太陽熱発電、運動エネルギー束または周囲RF捕捉によって作動させ、付属のプラグをコンセントに挿入することによって作動させることもできる。レシーバとしては、好ましくは硬質プラスチックで形成された手持ちレシーバ65を採用することができる。但し、ハウジングは、手持ちレシーバ65の構成部分を破壊から保護し且つ/または所定の耐用期間を保証できるなら、耐久性、使い捨て、または生物分解性の材料で形成されていてもよい。臨床用モニター・レシーバ70は他のレシーバと同様に動作し、診療に利用される。ネックレス・レシーバ80は着用に適した軽量材料で形成され、キーホルダ、指輪、ブレスレットなどの形態を取ることができる。
【0063】
臨床モニター・レシーバ70およびパソコン75は連続的な生の、および誘導された温度測定値およびその他の関連データ、例えば、モジュール55からの体温現在値、体温の傾向およびコンテクスト・データなどのような処理済みデータを受信する。臨床モニター・レシーバ70およびパソコン75は連続測定される体温およびその他の関連データを処理して体温現在値、体温傾向およびコンテクスト・データを計算するためのプロセッサをも含むことができる。臨床モニター・レシーバ70はその他の患者状態のモニターに使用される第三者医療モニター設備との電気的接続を可能にする追加の機能をも含むことができる。これらのレシーバは、実際にはむしろデバイスの主要目的であるその他の目的にも使用することができる。
【0064】
レシーバはいずれも、詳しくは後述するように、モジュール55からの連続的な体温測定値およびその他の関連データ、例えば、体温現在値、体温傾向、認識されるパターン、誘導される状態およびコンテクスト・データのような処理済みデータを受信する。それぞれのレシーバは図19-21に関連して後述するよう方法に従ってディスプレイ86B上に関連データを表示する。
【0065】
モジュール55は有線または無線接続を介して他のタイプの生理的検知設備、例えば、グルコメータまたはBCGデバイスからデータを取得し、このデータをモジュール55が検知したパラメータに組み込み、および/または組み合わされて収集されたデータを処理および/またはレシーバに送信する能力をも備えることができる。デバイスには、不法にデバイスが開かれたり操作されたりするのを防止または少なくとも識別する改ざん防止機構または機能をも設けることができる。このことはモジュールを身体に取付けるのに利用されるカバー材または接着片にも適用できる。モジュールには、必要な指令に従って皮下または局所投与される薬剤を組み込むことも可能である。
【0066】
図2Aはデバイスの重要な機能を可能にするモジュール55の形状およびハウジングの基本的な実施態様を示す。一連の図面では、全体的な形状を無視して基本実施態様の主要な表面特徴を示すのが目的であり、これらの特徴は基本実施態様に共通である板ばねモジュール230はデュロメータ硬さが80A乃至90Aの可撓性または弾性の材料から成ることが好ましいが、それでもモジュールは剛性のデバイスとして作用する。図2A乃至2Dはデバイスの外観を示す板ばねモジュール230は上方ハウジング、第1長辺240、第2長辺245、第1短辺250および第2短辺255を有し、第1、第2長辺は湾曲形状を有する。第2短辺255寄りの部分は図2A乃至2Dに示すように第1短辺250寄りの部分が小さく、これにより、大腿部などのような身体部位への取り付けが容易になる。モジュールは上方ハウジング95の長手方向中央部243が両短辺250、255から延びる長手軸に沿って凹面を、両長辺240、245から延びる横方向中央部244に沿って扁平、凸状または両者の組み合わせの形状を呈する。さらに、上方ハウジング95の両端に長手方向の凸部246を形成する。これらの凸部246は横方向に扁平、凸面状または凹面状またはこれらの組み合わせ形状であってもよい。
【0067】
また、第1長辺240および第2長辺245は、当業者の選択に従って、板ばねモジュール230の側面260を下方ハウジング100に接続する境界を形成するエッジに沿って、且つ板ばね230の側面260を上方ハウジング95と接続する境界を形成するエッジに沿って面取りまたは丸みを施すことによって、板ばねモジュール230が肌に圧接されると肌が板ばねモジュール23の周りになじみ、身体の動きと同調して動機ながら、センサーの接触状態を維持する。このような面取りされたエッジについては図6Cとの関連においても説明する。面取りエッジの表面はその断面形状が面取りの長さに沿って扁平か、凸か、やや凹か、またはこれらを組み合わせた形状を呈する。
【0068】
下方ハウジング100長手方向中心部243も横方向中心部244もほぼ凸状である。但し、横方向中心部244の凸状面を、凸条によって分離された3つの比較的扁平な長手方向領域247、248、249によって形成することもできる。中央の長手方向領域248は必ずしも両短辺250、255間の全長に亘って延びている必要は無く、中央領域だけに限定されていてもよい。
【0069】
図2A-2Dに示すように、下方ハウジング100が着用者の身体と接触するように、板ばねモジュール230の形状は一様に湾曲している。図2Bに示すように、板ばねモジュール230の湾曲は下方ハウジング100が着用者の肌に圧力を加えることを可能にし、その結果、肌の灌流を増大させるだけでなく、チャ羽陽者の身体と下方ハウジング100との接触効果を高める。この相互作用は、特に長手方向中央部分243内の中央長手方向領域248において、肌とモジュールとの間に密着した、比較的絶縁された界面を形成し、その結果、モジュールの下方の肌に対する、比較的体内温度の近い新鮮血による灌流を増大または少なくもと停滞させない。この界面はモジュールの側縁と隣接するとともに、上方ハウジング95のレベルにおいてモジュールとオーバーラップする肌の褶曲によって容易に画定される。モジュールが配置される部位はモジュールの凸形状と咬合するようにくぼんでいるか、適当な形状に変形してモジュールを取り囲み、必要な界面を形成できる程度の柔軟である。モジュールの面またはエッジと接触する肌の褶曲に対して、丸みを持たせた、または面取りしたエッジは、着用感を損なわないようにデザインされており、凸湾曲および面取りは装着部位における利用可能なくぼみに押し入るように形成されており、特に四肢や胴体の褶曲の場合、皮膚表面だけでなく、装着を可能にし、装着部位の違和感を和らげ、快適にモジュールと圧接する、これらの領域の近傍およびその下の筋肉も考慮される。
【0070】
板ばねモジュール230の一様に湾曲した形状および第1および第2長辺240、245の面取りエッジは皮膚、脂肪および筋肉に対応し、案内して、快適に且つ目立たないように板ばねモジュール230の上方ハウジング95に重ね合わせる。特に乳児の場合、大腿部の褶曲は乳児が全身を伸ばしている時には大腿部の皮膚褶曲は凸面状を呈するが、自然状態、即ち、胎位では脚が胴部に向かって折り曲がる。その結果、モジュール55を受容するに充分な凹部を形成し、板ばねモジュール230の形状に鑑み、モジュール55はこの凹部への挿着に好適である。板ばねモジュール230のサイズは大腿部位への板ばねモジュール230の嵌合に影響しない。また、板ばねモジュール230の隅部、および両面のすべてのエッジまたは交差線もユーザーの着用感を高めるため面取りされているから、板ばねモジュール230が身体を徒に刺激することはない。
【0071】
板ばねモジュール230を形成する材料は図6Dに示す下方ハウジング100の肌温度センサー部を所要の接触部位に圧接させながら、着用者の動きの衝撃を吸収することができる。この吸収能力は、詳しくは後述するように、特にモジュール自体が剛性である場合、モジュールを身体に接着する伸張自在な弾性接着片を使用することによって補足することができる。板ばねモジュール230を形成する材料はまた、やや可撓性であって、しかも、板ばねモジュール230が長期間連続使用してもその形状を維持することを可能にするだけの形状記憶能力を持つことが要求される。板ばねモジュール230の下方ハウジング100の該当領域と着用者の肌との間に適正な界面接触が維持されるから、測定結果が脚の曲げ伸ばしや、腹筋の伸縮などのような動きに影響されることは殆どない。しかも、板ばねモジュール230の緩やかな湾曲が肌に密着し、身体の自然な形状に適合するから、身体の起伏に同調して動き、着用者の身体の動きや褶曲と共に動きながら、ばね作用を維持する。
【0072】
板ばねモジュール230は一体の、または別設の接着片を介して身体に取り付けられるが、接着片の形状や組成については詳しく後述する。いかなる接着片が適正であるかはケース・バイ・ケースであり、当業者の良く知る範囲内の問題であるが、例えば、肌の呼吸、肌からの水分や汗の移行を可能にする親水性材料;半透過性フィルム、ポリウレタン・フォーム、ハイドロゲル;3M Corporation and Tegadermが製造する、また3Mによっても製造されている「Microfoam」などを挙げることができる。これらの接着片を、臨海溶解温度が比較的低い感熱性ゲルと積層することによって、着用者の肌温度の影響下に、中間層が接触点を絶えず変化させるように作用してモジュールまたは接着片と肌との間の熱伝導率または適合性を高めるか、または制限するか、または選択的に制限するようにすることができる。モジュール自体に直接接着パッドを設けてもよい。
【0073】
モジュールへのアタッチメントは詳しくはStivoric et al.の同時係属米国特許出願第10/227,575号に開示されているように、非接着界面、例えば、唇状部にかぶせる、または嵌合させることによって周縁に固定されるカラーまたは可撓性の界面であってもよい。接着片はその接着性能が全面に亘って一様でなくてもよく、モジュールの肌界面とは反対側では肌界面における接着能力とは異なっていてもよい。場合によっては、それぞれの面において相違があってもよい。板ばねモジュールのセンサーと身体との密着性を高め、人体の動き、筋肉の相互作用およびこれらの組み合わせに対する応答性を高めるための伸縮性と弾性を可能にする適当な通気性材料から成る不織布接着片が特に好ましい。接着片は板ばねモジュール230の第1短辺250の一部と接触し、着用者の肌にまで達する。
【0074】
接着パッドは特定の用途に合わせて形成すればよいが、例えば、モジュールを縦方向または横方向にカバーし、モジュール自体からはみ出るウイング部分を有する取外し/交換自在な簡単な接着片や、複数の接着片、または種々の形状に従ってモジュールを肌に固定する複数の互いに連結された接着部またはスナップを使用することもできる。接着片は感知性能をさらに高めるため、ECG検知器または圧電ひずみ計用のセンサーや電極をも支持または内蔵することができる。接着片によって固定されているモジュールは加速度計におけるシャトルとして作用して検知可能な動きを呈する。この動きは加速度計と同様に動作および運動に関する基礎データを提供する。
【0075】
板ばねモジュール230はウエストバンドのような圧迫手段から受ける圧力によっても身体に密着保持することもできる。例えば、接着片は肌に接着する一方、接着片自体とも接着させ、ループ・バックさせ、取外し/交換自在なファスナで接着片どうしを互いに連結させるように構成することもできる。板ばねモジュール230は下着、ウエストバンドまたはその他の拘束手段にスナップ固定することができる。また、肌界面を形成するのに充分な圧力をモジュールに加えるように特別にデザインされたぴったりフィットする下着内にモジュールを固定することもできる。このような機能を発揮するように下着に特に高いフィット性を有する部位を設けるか、または適当な弾性材などを設けてもよい。接着片を使用せずに、モジュールを下着と一体化するか、高フィットネス部位の背後にモジュールを配置するだけにするか、スナップ固定するか、または収納することも考えられる。
【0076】
図3に示すように、板ばねモジュール230を着脱自在に構成することもできる。即ち、肌に圧接または接着すると肌に対して下向き圧力または高い安定性を生む一体的な可撓性ウィング231を設けることによって、着用者の肌との接触を維持しながら身体の動きと共にうごき、バウンドする複合的なばねを形成することができる。肌と圧接することで、身体の動きに起因する信号ノイズを軽減し、温度ウォーミングアップに要する時間を短縮することができる。
【0077】
板ばねモジュール230の寸法は着用者の年齢に応じて異なる。試験の結果、好ましいと判断された、比較的大きい板ばねモジュール230の寸法は、例えば、長さ13.25インチ、幅2.5インチ、厚さ0.25インチである。比較的小さい板ばねモジュール230の寸法は着用者の年齢やサイズにもよるが、1.5インチ´0.6125インチ´0.25インチである。板ばねモジュール230の寸法は埋め込まれる部品およびその他の制約に基づいて上記寸法とはかなり異なる場合がある。ここにいう制約とは、例えば、米国消費者製品安全委員会や規則順守監査局が定める規則、小部品に関する規則、3才未満幼児用玩具および製品に関する規則、16.C.F.R.Part 1501および1500.50−53に定められている安全規則などである。
【0078】
図4は着用者の身体に取付けられた状態で示すモジュール55の断面図である。モジュール55はモジュール55の上方ハウジング95に沿って配置された周囲温度センサー125とモジュール55の下方ハウジング100に沿って配置された肌温度センサー125を有する。モジュール55は必要に応じてモジュール55の一部と接触し且つこれをカバーするフォーム断熱材を含む。フォーム断熱材は外側取り付けフォームとして組み込まれ、上方フォーム支持体を含むことができる。上方フォーム支持体305はモジュール55の上方ハウジング95の一端と接触し、これに沿って延びる。もう1つの上方フォーム支持体305はモジュール55の上方ハウジング95の他端と接触し、これに沿って延びる。
【0079】
デバイスの保温範囲を広げて肌の灌流レベルを増大および/または維持するためのフォーム断熱材は下方フォーム支持体307として組み込むこともできる。下方フォーム支持体307はモジュール55の下方ハウジング100の一端と接触し、これに沿って延びる。もう1つの下方フォーム支持体307はモジュール55の下方ハウジング100の他端と接触し、これに沿って延びる。フォーム断熱材はこれらの領域のいずれか1つに、またはこれらの領域の組み合わせに配置することができる。
【0080】
モジュール55は上方接着片300や下方接着片298など、図4に示す多数の部位に配置された接着片によって固定される。上方接着片300はモジュール55を横切ってハウジング95の一端に沿って延び、上方フォーム支持体305と接触してこれをカバーする。上方接着片300は上方フォーム支持体305を越えてモジュール55の上方ハウジング95と直接接触することができる。
【0081】
下方接着片298はモジュール55を横切って下方ハウジング100の一端に沿って延び、下方フォーム支持体307と接触する。下方接着片298は肌とも接触し、温度測定のため、モジュール55を肌310に接着する。下方接着片は一方の面が下方フォーム支持体307に接着し、他方の面が着用者の肌に接着する両面接着片であってもよい(ウィングについても同じ)。接着片298、300はモジュール55が配置される身体の特定部位に合せて形成すればよい。接着片は可撓性であるから、着用者の身体が動いている時もモジュール55は身体に接着している。
【0082】
図5A乃至図5Cには、構造、製法および必要事項を考慮して、板ばねモジュール230の説明とほぼ対応するモジュール55の構造を略示する。モジュール55のハウジング・コンポーネントは可撓性ウレタンまたはその他の低アレルギー性の、非刺激性の弾性材、例えば、ポリウレタン、ゴム、ゴム‐シリコン混合物などを成形加工して構成することが好ましいが、剛性プラスチック材から構成することも可能である。周囲温度センサー120を上方ハウジング95に配置し、センサーカバー115によって保護する。周囲温度センサー120を充分大きく形成することによって、上方ハウジング95の全面がセンサーの作用面積となるようにしてもよいし、作用センサーを上方ハウジング95の一部、好ましくは着用者の肌から最も遠い上方ハウジングの頂点にだけ配置することによって、最大の熱偏差および/または肌温度センサーからの断熱を可能にしてもよい。但し、モジュール55をオムツまたは着用物品内に配置する限り、周囲温度センサー120は部屋または身体に近い環境の周囲温度を検知するのではない。検知するのは着用物品またはオムツ内に閉ざされた領域の温度である。実際の室温または身体の露出部分を囲む領域の温度を検知するための周囲温度センサーは、詳しくは多重モジュール実施態様または受信ユニットに関して詳しく後述するように、全く別の周囲センサーである。大抵の場合、周囲温度センサー120によって実際に感知されるこの閉ざされた領域の周囲温度は、システムの動作に関して後述するように、体内温度の誘導にも、ユーザーの状況またはユーザーに起こる事象の検知に特に有用である。
【0083】
図5Bに示すように、モジュール55は上方ハウジング95と対向する下方ハウジング100をも含む。肌温度センサー125は板ばねモジュール230の縦方向中心部248に対応する突出部110に沿った位置を占める。モジュール55の下方ハウジング100は着用者の肌に近接し、肌と接触する。突出部110に隣接する凹部107は板ばねモジュール230の両側部247、249に対応し、突出部110と肌との密着を可能にする。下方ハウジング100の表面は特に反復使用製品の場合、洗浄の必要上、平滑であることが好ましいが、表面のキメを細かく、または粗く形成することによって、死んだ皮膚細胞や体毛が存在しても着用者の肌に密着させるか、または接触面積を広くすることができる。即ち、体毛を包み込むように押圧することができ、接着と同時に、または接着後の肌の動きに伴って肌から死細胞が磨耗して清潔な界面状態が得られる。下方ハウジング表面の態様に拘わらず、極微針を使用することによって、活発に変動する皮下/表皮層を探査して皮膚表面に近接する部分のデータを収集する能力を高めることもできる。特に、限られた期間に亘って使用される後述する使い捨てパッチのように短期装着の場合、このような極微針や下方ハウジング表面のキメは極めて有益であり、角質層の断熱性による影響を軽減するため、センサーへの熱伝導を血液や神経終末/痛み受容器までには達しないが表皮層にまで、さらには、皮膚表面よりも正確に体温をセンサーへ伝導する可能性を有する間質層にまで達するようにすることができる。モジュール55の凸面、即ち、下方ハウジング100の突出部110は着用者の胴部および/または脚の位置、動作、状態、または身体の動きに関係なくモジュール55を肌に圧着させて、身体の動きに追随させることを可能にする。逆に、表面特徴は皮膚の起伏や褶曲、およびその下に存在する筋肉を案内してモジュールの形状に適合させることによって、着用者との高い密着度を維持すると共に周囲環境および周囲温度からのセンサーの隔離を助ける。
【0084】
図5Cはモジュール55の第2の実施態様を示し、ここでは細長い形状を呈するモジュール130の形態を有する。図5Aおよび5Bに関連して上述したように、モジュール130のハウジング・コンポーネントは、可撓性ウレタンまたは例えばゴムまたはゴム‐シリコン混合物のような弾性材料を成形加工して得ることが好ましいが、剛性プラスチック材料から形成してもよい。周囲温度センサー120は細長いモジュール130の上方ハウジング95の中央部に沿って配置され、必要に応じて、図5Aに関連して上述したように、センサーカバー115で保護することができる。細長いモジュール130は第1ウィング部分131および第2ウィング部分132をも有する。ウィング部分131、132はセンサーカバー115の両端に配置され、それぞれの長さおよび幅は装着される身体部位、接着条件および身体に加わる力に応じて、互いに同じか、または異なる寸法に設定すればよい。細長いモジュール130はその第1ウィング部分131および第2ウィング部分132の寸法を適宜変更することによって、乳児以外の着用者のサイズに合わせることができる。モジュールが装着される身体部位のほかに、年齢、体重、身体サイズなどのような着用者の特徴に合わせて第1および第2ウィング部分131、132のサイズを決めることにより、長時間着用する場合の優れた着用感に必要なフィットネスを達成する。この実施態様の変更例としてのウィング132’を鎖線で示した。この実施態様では、全体が可撓性且つ接着性の外面をも含むことができる。
【0085】
図6から明らかなように、周囲温度センサー120は上方ハウジング95の一部に沿って配置され、着用者の身体から遠く離れた位置を占める。周囲温度センサー120はセンサーカバー115で保護されている。モジュール55は上下ハウジング95、100内に挿着されるプリント回路盤140を含む中央部分を含み、この中央部分には後述するエレクトロニクス構成に対応する回路およびコンポーネントが内蔵されている。プリント回路盤140は恒久的に取り付けられた、または交換可能なバッテリー135の形態で電源を有する。バッテリー135としては、いわゆるコイン・セル、ペーパー・バッテリー、プラスチックフィルム・バッテリー、コンデンサ、RFIDコンポーネント、太陽電池など、当業者には周知のものを使用することができる。プリント回路盤140のバッテリー135およびコンポーネントは当業者には周知のように互いに且つセンサー120、125と公知の態様で電気的に接続する(図示しない)。プリント回路盤140はその一方の端縁の中央部に第1位置合せ切り込み155を、他方の端縁の中央部に第2位置合せ切り込み156を有する。
【0086】
モジュール55は図3Bに関連して上述したように、下方ハウジング100の外面突出部110に対応する凹部141をその内面に有するほぼ細長い下方ハウジング100を含む。下方ハウジング100はまたモジュール表面からほぼ垂直に延び、内壁部分149および外壁部分152を有する唇状部148をも含む。肌温度センサー125は下方ハウジング100の内面の凹部141にそって配置される。下方ハウジング100は位置合せピン支持突起150、151によって支持される位置合せピン145、146を有する。
【0087】
上方ハウジング95は肌の褶曲が周囲センサーに接触するのを防止する形状を利用して周囲センサーのデータの質を維持することができる。即ち、周囲センサーと接触すると、出力の測定精度を損なうからである。位置合せピン145、146は下方ハウジング100から遠ざかる方向に垂直に延び、プリント回路盤140の位置合せ切込み155、156を貫通する。プリント回路盤140の第1および第2位置合せ切込み155、156を貫通することによって、プリント回路盤140が下方ハウジング100に固定され、第1および第2位置合せピン145、146に対して横に移動するのを防止される。ハウジングは成形中の回路盤にソニック溶接するか、ハウジング内に挿入成形、植え込みまたは埋め込みするなど、当業者に周知の製造技術を利用することができる。
【0088】
図7Aには、板ばねモジュール230のハウジング形状とほぼ対応するモジュール55の第3実施態様を示す。上方ハウジング95および下方ハウジング100はこの実施態様では対称的であり、図5および6に関連して上述したように構成されている。この実施態様はStivoric et al.の米国特許第6,595,929号の開示内容とほぼ一致する熱流束をも含む。熱流束センサーは熱導管121を含み、上下ハウジング95、100の中央部分を貫通する環状オリフィス123と共に周囲空気オリフィス123のための導管を形成する。熱導管121は環状オリフィス123を囲み、上下ハウジング95、100のそれぞれの表面間に延びる。熱導管121の環状端の直ぐ近くに位置し、上方ハウジング95における熱導管121の少なくとも一部を周方向に囲むのがリング状の周囲温度センサー120である。
【0089】
図7Bに示すように、プリント回路盤140はハウジング95,100によって形成されるスペース内に介在し、熱インターフェース124によって熱導管121から断熱される。肌温度センサー125は周囲温度センサー120と同様にリング状であり、下方ハウジング100における環状熱導管121の開口を周方向に囲む。この実施態様においても、実施態様の異なる、または、追加的な外部センサーまたは電源を、当業者に周知の態様で且つ追加の周囲温度または肌温度センサー120の配置例を示す図7Cのように取り付けるか、または接着片と一体化することができる。必要に応じてマイクロホンなどのような音響センサー168をハウジングの肌側または周囲側に配置することによって泣き声、いびき、心拍、摂食、飲み行動、その他の環境雑音のような動作や音を検知することができる。配置または接着片300と一体化されているコンポーネント間に電気的交信が必要な場合、上方ハウジング95および接着片300にそれぞれ電気的接点122、122Aを設ける。接着片300にはモジュール55のオリフィス121に対応するオリフィス121Aを設けることによって周囲空気の通過を可能にする。図4に示したのと同様に上方ハウジング95および着用者の肌に接着片300を配置する。
【0090】
尚、単独で、または上記センサーと一緒に使用できる上記以外のタイプおよびカテゴリーのセンサーは多種に亘り、例えば、着用者の位置を確認するための相対位置センサーやGPS;空間内における方向性を確認するためのトルクおよび回転加速度センサー;血液化学センサー;間質液化学センサー;バイオインピーダンス・センサー;および幾つかのコンテクスト・センサー、例えば、花粉、湿度、オゾン、音響、着用者の身体およびその周囲の雑音に対するセンサーなど、およびこれらのセンサーの組み合わせのほか、着用者の生理的動向や、特定の身体状態および/または行動中にセンサーに提供する数値および/またはパターンによって着用者を識別できる別設のセンサー、即ち、デバイスを生体挙動軌跡・スキームに利用するセンサーをも利用することができる。このことは病院のような限られた空間内で複数の被験者に複数のセンサーを装着させる場合に特に重要である。たとえ2名の着用者を対象とする場合であっても、一方の着用者を他方の着用者から区別することは重要である。例えば、家族のうちの1名だけがデバイスを着用している場合、デバイスは着用者が誰であるかを自動的に理解するから、適正な個人化および/または精度を必要とする用途または相関のため製品からのデータを連携させる前に人口統計的情報などを含む必要はない。これと同様の生体動向軌跡を同じ着用者の異なる部位にも広げれば、着用者間の区別はできなくても、デバイスは装着部位を区別することができる。この部位の検出は後述するデータ処理に関する説明を参照すればさらに明らかになるであろう。
【0091】
図8はパッチ・モジュール314から成る使い捨て方式のモジュール55の第4実施態様を示す。可撓性部材としてのパッチは所要の部位に不快感を伴わないように接着し、しかも正確なデータを得るのに必要な形状であればよい。また、パッチ方式の実施態様は詳しくは後述するように、比較的耐久性の実施態様の特徴を含む場合と、耐久性のコンポーネントと使い捨てコンポーネントを併用する場合とがある。一般に、使い捨て方式の実施態様は耐久性方式の実施態様と比較して、板ばねモジュール230の形状とは一致しない。使い捨てパッチ・モジュール314は使い捨てパッチ・モジュール314と着用者の肌に接着するための接着パッチ・カバー315を含む。接着パッチ・カバー315は第1ウィング部分316および第2ウィング部分317を有し、接着パッチ・カバー315の中央部に孔を有する。使い捨てパッチ・モジュール314は、例えば、Power Paper社製の細長いペーパー・バッテリーのようなバッテリー135をも含む。バッテリー135は通常のアルカリ電池と同等の電気エネルギーを発生することができ、紙、プラスチックまたはその他の可撓性材料に直接プリントされた亜鉛陽極層および二酸化マンガン陰極層から成る。プラスチックフィルム・バッテリーまたはCymbet Corporation製のバッテリーでもよい。バッテリー135は電解質によって分離された2つの電極を有し、両電極が接続されると、回路が完成し、使い捨てパッチ・モジュール314に電流が流れる。バッテリー135は薄く、可撓性であるが、必ずしも交換可能ではなく充電可能であればよい。交換可能な実施態様はあるが、使い捨てというコンセプトにふさわしくない。この実施態様は完全に使い捨てである自己充足一体パッチとして構成することもできる。
【0092】
バッテリー135の上側は接着パッチ・カバー315と近接し、接触している。バッテリー135はその中央部分にこれを貫通し、バッテリー135と接着パッチ・カバー315が互いに接触すると接着パッチ・カバー315の孔と整合する孔をも有する。使い捨てパッチ・モジュール314のバッテリー135は上側321と対向する下側322をも有し、下側322は周囲センサー120および(図示しない)肌温度センサーを支持するプリント回路盤325と近接し、これと接触する。プリント回路盤325は周囲温度センサー120が配置される肌とは反対側の第1側327を有する。この回路盤をも可撓性とすることができる。周囲温度センサー120はプリント回路盤325の第1側327の中央部に配置され、ペーパー・バッテリー320および接着パッチ・カバー315の双方に形成されている孔を貫通する。肌温度センサー325は着用者の肌と対向し、プリント回路盤325の上側327とは反対側であるプリント回路盤325の下側328に配置される。使い捨てパッチ・モジュール314は上述した他の実施態様の場合と同様に、センサーを肌に圧接させるための圧縮材330をも含み、圧縮材330は肌センサーを正しい接触状態に保つため、密度分布が多様な材料で形成することができ、その上側331がプリント回路盤325の下側328と近接してこれと接触し、ほぼ円形を呈し、図7A−Cに示すオリフィス123とほぼ相関するプリント回路盤325の下側328に配置された(図示しない)肌温度センサーと整合する孔を中央部分に有する。圧縮材の下側332は肌界面335と近接してこれと接触する。肌界面335はほぼ円形を呈し、その上側336は圧縮材の下側332と近接してこれと接触する。肌界面335の下側337は、使い捨てパッチ・モジュール314を着用者の身体に装着すると、肌と近接してこれと接触する。肌界面335はその中央部分に孔を有し、(図示しない)肌温度センサーがこの孔を貫通して着用者の肌と接触する。
【0093】
バッテリーの使用に関しては、多様な代替手段があることも考察しなければならない。特にバッテリーが耐久性のコインまたはボタン・セルであり、ユニットが使い捨てである場合には、同じバッテリーをデバイスから取外し、再使用することができる。モジュールは、バッテリーを挿入できるように、または接着片を利用するか、または肌い自体からの圧力を利用してエッジに沿ったアンダーカットまたは開口内にバッテリーを保持するように設計することもできる。
【0094】
使い捨て実施態様に関して重要な問題は着用時間と着用条件である。劣化したデバイスはほかに故障がなくても不正確なデータしか提供しない。圧電歪み検知器や単なる電気化学可視インジケータを利用することで、耐用期間または性能限界に達したこと、ユニットを交換すべきであることをユーザーに警告することができる。ディスプレイの他の例として、熱‐化学的、光‐化学的およびバイオケミカル・ディスプレイがある。ディスプレイまたは検知器を接着片の一部または全体と一体化し、接着片に特別な画像をプリントすればよい。着用者の身体が動くと、接着片全体も動き、材料が損傷し、接着片表面にひびが入る恐れがあるから、温度示度数だけでなく、着用者の動作を明らかにする機械的、非電子的センサーをも設ける。これは基礎的な行動または動作検知器や不正交渉検知器などのような製品の寿命切れ検知に利用できる。
【0095】
第2の考察点は電力利用である。ここに説明するバッテリー利用実施態様は概ね好ましいが、ユニットを外部電源、例えば、示度数を読み、データを送信するのに充分な短時間に亘ってデバイスをどうさせることができる充分な電力を含むRFトランスミッションによって給電することも考えられる。但し、今日の段階では、このような実施態様は連続的および/または長期測定用としては不適当である。
【0096】
低コストの使い捨て製品がいずれもそうであるように、実用性に欠かせないのが部品数と複雑さの軽減である。例えば、バッテリーに導電性インクを使用するか、または導電性インクを接着片と一体化して電気接点として作用させる。また、スイッチおよびその他の制御手段を省略することが望ましい。自動起動のため、オン/オフ・スイッチを省略するもう1つの理由は親やヘルパーがデバイスをターン・オンするのを忘れる場合を想定してのことである。耐久性または半耐久性モジュールでは、肌温度センサーをパワーアップ検知器として利用することができるから、ユニットが身体に装着されると、肌温度センサーがターン・オンし、オン・オフ・スイッチは不要であり、ユニットが使用されていない時の節電効果が改善される。所定時間に亘って休止させ、極く限られた回数だけ測定を行うようにモジュールを設計することでバッテリーの電力消費を節約することができる。このような休止時間の長さはユーザーやヘルパーによって設定されるか、または観察される示度数に基づいて適宜に設定される。例えば、体温が高い場合には、測定する頻度が高くなる。デバイスを起動させる条件を自動的に感知する他の方法として、幾つかの状態を感知し、且つ幾つかの環境変化を検知することを挙げることができる。例えば、電気皮膚反応センサーおよび/または熱流束センサーを利用することによって、デバイスが身体に装着されるのを検知することができる。デバイスの温度が周囲温度であって体温ではない場合、周囲温度センサーと肌温度センサーは同じ温度を送信する。デバイスが身体に装着されると、温度示度数に差が現れ、これがユニットによって検知され、起動信号として利用される。動作検知器も身体への装着を示す信号を出力する。他の方法として、例えば、デバイスとレシーバとの接近または接触、またはデバイスに対する接着片の取り付けを利用する方法がある。バッテリーの挿着もデバイスを起動することができる。また、レシーバからデバイスを起動させる信号を発生させることも可能である。
【0097】
耐久型実施態様、使い捨て型実施態様または複合型実施態様と併せて、上述したように、複数のユニットを身体に取り付けることによってセンサー列を形成することができる。また、接着片またはウィングに配置されるアウトボード・センサーを利用すれば、単一のユニットにセンサー列を装備することもできる。これらのセンサーが物理的には完全に分離しているが単一ユニットと交信するという態様も可能である。
【0098】
既に述べたように、実施態様によっては、薬剤、栄養物、ビタミン、ハーブ、ミネラルなどの投与に利用できる。即ち、接着片またはモジュール自体が経皮貼付と同様の要領で薬剤を局所投与するように構成すればよい。このような機能はコーティングされた極微針を利用することによって実現することもできる。これに代わる方法として、特定の時間またはデバイスによる検知および処理によって所定の条件に合致すると判断されると薬剤を投与する機能を有する、例えば、Alza Corporation製のE-Trans経皮投薬システムのような、必要に応じて投薬するシステムの利用も考えられる。例えば、温度測定モジュールを、鎮痛剤を投与して解熱効果を助ける接着片と組み合わせることもできる。投薬の用量またはタイミングなどは着用者の身体からの反応/測定値および誘導値に従って制御することができる。この閉ループのセットポイントは製造段階でメーカーによって設定されるか、ユーザーまたはヘルパーによって設定される。閉ループを採用せず、ヘルパーがレシーバを介して指令を発し、肌に対して薬剤を投与させる場合もある。他の例として、所定時間だけ効力を発揮する薬剤、例えば、4時間鎮咳薬を睡眠時に投与させることも可能である。詳しくは後述するように、本発明のデバイスは睡眠の幾つかの特徴を検知することもできる。この場合、睡眠補助薬を投与して睡眠を助けるか、または夜半に不安な状態に陥る患者に適量の睡眠補助薬を投与する。また、完全に目覚める前に痛みを検知することができるから、鎮痛剤の投与が可能である。この場合、覚醒の前兆としてシステムが認識する生理的および/またはコンテクスト信号が検知されると、直ちに覚醒前投薬が行われる。これにより、ユーザーはより安静な睡眠時間を享受することができる。さらにまた、独断的な睡眠時間ではなく、真に生物学的な8時間睡眠を享受することもできる。本発明のデバイスを、生体自己制御による鼾や無呼吸睡眠の防止および/治療に利用することもできる。
【0099】
お漏らしや排便の条件、パラメータおよび/またはコンテクストを認識し、分類するという能力を利用する実施態様も考えられる。このような実施態様は幼児、成人の別なく、夜尿症の治療やトイレ訓練に有用である。例えば、上記のような事象が起こる期間中、本発明のデバイスを着用させれば、事象が起こる直前に測定され、誘導されるパラメータに関する知識ベースを構築する。これらのパラメータが差し迫っている事象を知らせる信号として作用し、アラームまたはその他の警報をトリガーする。これにより、親またはヘルパーは正しいトイレ習慣を身につけさせ、あるいは眠っている幼児または気付いていない成人を覚醒させ、トイレへ行かせることができる。
【0100】
接着片として生体活性包帯を傷ついた部位または縫合部位に装着すれば、例えば、組織再生に不可欠な血流をモニターしながら、治癒を促進する材料/ミネラル/物質を刺激することも可能である。この場合、接着片は負傷部位を保護する一方、治癒を促進するカバーとして機能し、治癒の過程が実際に進行し、成果を挙げているかどうかを本発明のデバイスが評価する。本発明のデバイスは組織または筋肉の再生に寄与する極めて穏やかな電気刺激をも提供する。
【0101】
皮フからの正常な水分および/または汗の中に存在する化学物質と反応し、感知されたパラメータに対応する色またはその他の可視フィードバックの形で結果を観察者に提示するように接着片を設計することができる。化学物質としては、ナトリウム、塩素、カリウムおよび体内のミネラルなどが挙げられる。例えば、嚢胞性線維症または物質使用障害のような潜在的な疾病が認識される。オムツに対して露出しているか、オムツの内側に接着されているか、または発作の際に尿に接触する身体部位にまで達している接着片には、下記のファクタに対する化学的検知手段を設けることができる:pH、比重、タンパク質、グルコース、ケトン、亜硝酸塩、白血球、ウロビリノゲン、血液、ビリルビン、アスコルビン酸、ビタミンC、および同様のミネラルおよび化合物。もし接着片に間質液を検査する極微針をも設ければ、種々の化学的、電気的または化学電気的技術によって下記のファクタに関するデータを採集および/または提示することができる:タンパク質、種々の栄養物、グルコース、ヒスタミン、体内ミネラル、pH、ナトリウム、pO2、pCO2、水和反応などのような体液状態、およびグルコースおよび物質使用に関するその他の状態フィードバック。このような接着片が、場合によっては特殊ゲルと一体化させた電極をも含み、弱電流を利用して皮フを介して微量の組織液を抽出し、組織液中のグルコース・レベルを分析することによって、グルコース・レベルの傾向を非侵襲的に検知し、追跡する技術を可能にする。本発明のモジュール55の第5実施態様は図9に示すようなディスク温度モジュール534である。ディスク温度モジュール534は円形ベース536、および円形ベース536から突出する円形突出部537を有するディスク534から成る。円形突出部537の直径は円形ベース536の直径よりも小さい。ディスク535の円形突出部537はディスプレイ86Aを含む面538を有する。任意のディスプレイ86Aは連続的に検知される温度測定値およびその他の関連する統計的データ、例えば、現時点温度、温度傾向、およびコンテクスト・データなどを可視的に提示する。周囲温度センサー120は面538に配置され、(図示しないが)肌温度センサーは着用者の肌に近接し、これと接触するようにディスク535の裏側に配置される。周囲温度センサー120はディスク535の面538のほぼ全体をカバーする。接着片はモジュール534の下側、即ち、肌側に配置される。詳しくは後述するように、モジュールを身体上に保持するため、接着片および/または断熱リングをも利用する。
【0102】
ディスク温度モジュール534は着脱自在なハンドル571をも含み、着脱自在なハンドル571の一端からハンドル突起570が延びている。ハンドル突起570を円形ベース536に設けた孔に嵌入させることによって着脱自在なハンドル571をディスク535の円形ベース536に連結し、予備温度測定を行う。この実施態様においては、ハンドル571をモジュール534に固定し、モジュールを所定の部位、例えば、患者の腋窩に配置するだけであって、接着はしない。静態的または予備的温度測定の後、ハンドルを取外す。次いで、モジュール534を身体に装着するか、または後刻または後日、再び静態的測定に使用する。ハンドル571は肌温度センサー125Aおよび/または周囲温度センサー120Aをも含む。ハンドルの肌温度センサー125Aはモジュールと連携させて従来型の口腔または腋窩体温計として利用され、静態的な体温測定を行う。また、デバイスの動作の定期的チェックは一定期間に亘って身体に装着した状態で使用した後、モジュールを再びハンドルに取り付け、口腔、直腸またはその他の温度を測定することにより、詳しくは後述するように、デバイスがその較正をチェックできるようにしてチェックする。このような較正のためにモジュールを取外す場合、あらたなウォームアップ時間が必要である。このようなあらたなウォームアップ時間を不要にする実施態様として、同様のハンドル、読取り手段または温度計を、一体化された温度計を有するモジュールと電子交信させることによって温度測定を行い、取外すことなくモジュールを更新する。
【0103】
さらに他の実施態様ではハンドル571および面538がディスプレイ86Aと一体化され、着脱自在なセンサー・ユニットがディスク535と接着片とから成る。この実施態様では、一体化されたハンドル571と面538がレシーバ・ユニットを構成し、着脱自在なディスクは肌に固定されるモジュールを構成する。この実施態様では、ハンドル/レシーバが同じ環境内に位置するなら、周囲温度センサー120Aを部屋の周囲温度の検知にも利用される。この実施態様は、最も基本的な形態においては実際の温度ではなく相対的な温度変化を測定するだけである。この実施態様では、基本温度は他のデバイスで測定される。このタイプの実施態様では、予め設定された基準に達すると、直ちに警告などの事象をトリガーするようにモジュールを予め設定する。このようなデバイスの利用例は熱および通気の欠乏が体温を危険なレベルにまで上昇させる防護服や消防士の耐火服である。ディスク温度モジュール534は平坦面572を有する円形の接着性裏張り545をも含み、平坦面572は円形接着性裏張り545の直径よりも直径が小さい突出部573と隣接する。突出部573はその周縁によって画定される中央部分に開口560を有する。平坦面572はこの平坦面572から延びる摘み565をも含む。
【0104】
ディスク535を接着性裏張り545の凹部560に挿入することによってディスク535を接着性裏張り545と咬合させることにより、接着性裏張り545の突出部573をディスク573の円形突出部537と接触させ、接着性裏張り/ディスク集合体550を形成することができる。接着性裏張り/ディスク集合体550を着用者の身体の適当な部位に配置する。着用者が身体からディスク温度モジュール534を取り外したければ、摘み565を引き上げて着用者の身体から接着性裏張り/ディスク集合体550の離脱を助ける。
【0105】
図10は自己充足モジュール445の形態を呈するモジュール55のだい6実施態様を示す。自己充足モジュール445は耐久性材料、好ましくは可撓性ウレタンまたは弾性材料、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工することによって形成される。あるいは、剛性プラスチック材料から自己充足モジュール445を形成することも可能である。自己充足モジュール445は、例えば、電気化学ディスプレイ450のような情報送信用のディスプレイを有する。電気化学ディスプレイ450はエレクトロクロミック染料を含有し、染料に電圧が印加されると色が変化する。染料から電圧が除かれた後も、変化した色はそのままである。所定の閾値に達すると電気化学ディスプレイ450が変化して画像を表示する。電気化学ディスプレイ450はその頂面に電気化学染料を含有する剥離可能な裏面粘着部材をも有し、閾値に達すると粘着剤が色または画像を変化させる。身体または自己充足モジュール445以外の場所に配置したければ、電気化学ディスプレイ450から裏面粘着部材を剥離する。この電気化学ディスプレイは特定タイプのユーザー、特定のフィードバック閾値またはユーザーの目的に適応させ、生後6ヶ月の乳児、消防士、または手術着など、それぞれの特定用途に合わせて提供することができる。
【0106】
図11A乃至11Gは折り返しクリップ・モジュール495の形態を呈する本発明の第7実施態様を示す。図11Aは第1部分510および第2部分515を有する折り返しクリップ・モジュール495を示す。図11Bおよび図11Cは折り返しクリップ・モジュール495の一実施例を示す。図11Bにおいて、折り返しクリップ・モジュール495は耐久性材料、好ましくは可撓性ウレタンまたは弾性材料、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工することによって形成された第1部分510を有する。第1部分は剛性プラスチックであってもよい。第1部分510はディスプレイ86Aが配置される円形面520をも有する。ディスプレイ86Aは連続的に検知される温度測定値のほか、例えば、現時点温度、温度傾向、コンテクスト・データなどのような処理済みデータを含む関連の統計データを可視的に表示する。
【0107】
折り返しクリップ・モジュール495の第1部分510は第1部分510の面520を折り返しクリップ・モジュール495の第2部分515に接続する幅の狭い延長部521を有する。折り返しクリップ・モジュール510の第2部分515は展性材料、好ましくは可撓性回路盤または可撓性ウレタンまたは弾性材、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工して形成される。図11Cに示すように、折り返しクリップ・モジュール495は着用者のオムツ60に取り付けるため、折り返しクリップ・モジュール495の第2部分515に隣接する延長部521において折返される。
【0108】
折り返しクリップ・モジュール495の他の実施態様を図11Dおよび11Eに示す。図11Dに示すように、折り返しクリップ・モジュール495は耐久性材料、好ましくは可撓性ウレタンまたは弾性材、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工することによって形成される。第1部分は剛性プラスチックであってもよい。第1部分510はディスプレイ86Aが配置される円形面520をも有する。ディスプレイ86Aは連続的に検知される温度測定値のほか、例えば、現時点温度、温度傾向、コンテクスト・データなどのような処理済みデータを含む関連の統計データを可視的に表示する。
【0109】
折り返しクリップ・モジュール495の第1部分510は第1部分510の面520を折り返しクリップ・モジュール495の第2部分515に接続する幅の狭い延長部521を有する。折り返しクリップ・モジュール510の第2部分515は展性材料、好ましくは可撓性回路盤または可撓性ウレタンまたは弾性材、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工して形成される。図11Eに示すように、折り返しクリップ・モジュール495は着用者のオムツ60に取り付けるため、位置決めヒンジ525において折返される。この実施態様は身体との正しい接触をさらに確実にするための、または衣類またはオムツに固定するための接着片と併用することもできる。はだに取り付ける接着片に関しては、接着片およびその取付けは図4−8に関連して説明したのと同様である。
【0110】
折り返しクリップ・モジュール495の上記いずれの実施態様においても、(図示しないが)周囲温度センサーは折り返しクリップ・モジュール495の第1部分510に沿って配置され、(図示しないが)肌温度センサーは折り返しクリップ・モジュールの第2部分515に沿って配置される。但し、周囲温度センサーおよび肌温度センサーを第2部分だけに配置し、可撓性部分とともに、または可撓性部分を残して、これを使い捨てとしてもよい。
【0111】
図11Fおよび11Gは着用者のオムツ60における折返しクリップ・モジュール495の取付け位置を示す。図11Fでは、折り返しクリップ・モジュールを、オムツ60の脚周りバンドに位置する第1取付け位置505に取り付けることができる。折り返しクリップ・モジュール495の第1部分はオムツ60の外側に位置し、第2部分515はオムツの内側に位置する。図11Gはオムツの胴回りバンドに位置する第2取り付け位置505に取付けられた折り返しクリップ・モジュール495を示す。図11Fに関連して述べたように、折り返しクリップ・モジュール495の第1部分515はオムツ60の外側に位置し、第2部分は内側に位置する。成人用の場合、このような取付け方法は他の衣類に併用することができる。また、この実施態様と併用されるハウジングは折り返しクリップ・モジュールから取外し可能であり、図7−9の実施態様と同様に、幾つかの機能および/または電源が使い捨て部分に配置され、耐久性のハウジングが再使用される。電源をモジュールが取り付けられる、または支持されるオムツまたは衣類内に電源を配置してもよい。
【0112】
図12はスタック・モニター・モジュール575である温度モニター・モジュールの第8実施態様を示す。スタック・門ター・モジュール575は第1側581および第2側(図示しない)を有する円形の扁平ディスクである第1部分580を含む。第1部分580の第1側581は着用者の環境の方へ向いている周囲温度センサー120を有する。第1部分580の第1側581はディスプレイ86Aをも有する。ディスプレイ86Aは連続的に検知される温度測定値のほか、例えば、現時点温度、温度傾向、コンテクスト・データなどのような処理済みデータを含む関連の統計データを可視的に表示する。電気的接続は図7および8を参照して説明したのと同様である。スタック・モニター・モジュール575の第2部分585は第1側586および第2側587を有する。第2部分585の第1側586はオムツ60を接触するように配置される。肌温度センサー125はスタック・モニター・モジュール575の第2部分585の第2側に配置され、着用者の肌と近接し、接触して着用者の肌温度を検知する。第2部分585の第2側587に配置される肌温度センサー125は単一のセンサーまたは一連お肌温度センサー125から成る多重センサー列である。第1部分580の(図示しない)第2側および第2部分585の第1側586はオムツ60と接触するように配置され、ピヤス連結を介して互に咬合している。オムツまたは下着には製造時に既に、デバイスを収容および/または位置決めするための、適当なラベルを付し、位置決めした孔、ポケット、アンダーカットなどが形成されている。
【0113】
図13はクリップ・モジュール475の形態を呈する本発明の第9実施態様を示す。クリップ・モジュール475は、オムツ60に取付けられた状態にあってもクリップ・モジュール475がその形状を維持できるように展性を有する可撓性材料から成る。クリップ・モジュール475は好ましくは可撓性ウレタンまたは弾性材料、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工することによって形成する。クリップ・モジュール475は肌温度センサー490が配置される内側クリップ部分480を有する。クリップ・モジュール475はまた周囲温度センサーが配置される外側クリップ部分485を有する。(図示しない)周囲温度センサーは外側クリップ部分485の全面が作用センサー面となるように充分広く寸法設定するか、または作用センサーを外側クリップ部分485の一部にだけ配置することができる。同様に、肌温度センサー490は内側クリップ部分480の全面が作用センサー面となるように充分広く寸法設定するか、または作用センサーを内側クリップ部分480の一部にだけ配置することができる。クリップ・モジュール475の内側クリップ部分480はオムツ60の胴回りバンドの下に配置される。栗プ・モジュール475は外側クリップ部分485がオムツ60の頂部に跨るように折り曲げられる。
【0114】
図14は背中に取り付けられるモジュール455であるモジュール55の第10実施態様と、着用者への取付け状態を示す。背中取り付けモジュール455は展性を有し、身体にぴったりするソフトな材料、好ましくはソフトな不織多層材料、但し、これらに代わる材料として可撓性のウレタンまたは弾性材料、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工することによって形成される。あるいは、上述した実施態様の場合には詰め物をするか、身体に接着される剛性プラスチック材料で形成することもできる。他のモジュールと同様に、背中取り付けモジュール450は左ウィング部分460および右ウィング部分455を含む(図示しない)ハウジングを有する。背中取り付けモジュール455の中央部分470は左右ウィング部分の間に位置する。背中取り付けモジュール455はオムツに形成されているポーチに滑り込ませるか、オムツ60と着用者の背中のくぼみとの間に配置することができる。モジュールを図14に鎖線で示すように背中の肩甲骨の間に接着してもよい。
【0115】
図15は指輪370の形状を呈するレシーバの第11実施態様を示す。指輪370はレシーバではあるが、上述したような自己充足シングル・モジュールでもある。ベース371は可撓性ウレタンまたは弾性材料、例えば、ゴムまたはゴム‐シリコン混合物を成形加工することによって形成されるが、剛性プラスチック材料から形成することもできる。ベース371は別設のモジュール55からのデータ受信に必要なすべてのコンポーネントを内蔵するか、またはモジュール55自体のコンポーネントをすべて内蔵し、指自体から体温示度数を読取る。モジュール55から受信された温度およびその他の関連データはベース371のディスプレイ86Bに表示される。ベース371は被験者の適当な指に装着される。レシーバとしての指輪370はユーザーにとって携帯に便利であり、移動を妨げることがないから、レシーバとしての指輪370への送信にモジュール55が採用する送信方法によって限定される範囲内の距離までなら、ユーザーは自由に移動することができる。図15に示す実施態様においては、ディスプレイ86Bがアナログ表示を採用しているが、いずれの実施態様においても、表示はディジタルでもアナログでもよく、電子表示でも電気-機械的表示であってもよい。表示は詳しくは後述するように即時的の場合と、または体温傾向を表示する累積表示の場合がある。図15に示すディスプレイ86Bの場合、ディスプレイは現時点の体温を相対スケールで表示する典型的な体温計である。このデバイスは女性用の排卵検知器または避妊用インジケータとして特に有用であり、例えば、30日間に亘ってピーク体温を表示して排卵の検知を助けることができ、この場合には30日間という連続しよう期間に合わせた電源を設ける。上述した排尿・排便を予知するための実施態様と同様に、月経開始直前の信号を検知し、差し迫った事象に関して警告を発するのに利用することもできる。月経の体験に乏しい女性に対して、予知と対応に関して習熟させ、教育するなど、多くの使用目的に有用である。閉経期の女性にも有用であり、体温示度数を参考に、閉経という重大な転換期を検知し、その特徴や傾向からこれを予知し、生活の変化に対応するのに利用することもできる。
【0116】
以上に述べた実施態様を、後述する回路およびプログラムと組み合わせることによってあらゆるタイプの患者および着用者を対象に使用することができる。例えば、オムツを着用しない成人の場合なら、下着にクリップ・モジュールを取り付ければよい。一般に、本発明のデバイスは適当な情報、アルゴリズムおよびフレキシビリティでプログラムすることによってそれぞれの着用者に適応させ、特定の用途に合わせて較正される。他の実施態様、特に上記使い捨て実施態様では、デバイスの機能を制限することによって複雑さとコストを軽減することができる。このことは最低限コストの実施態様を考案するか、デバイスの使用目的を絞り込んで用途の特殊化を強調することによって達成される。いずれの場合にも、詳しくは後述するように、デバイスの処理能力を低下させることおよび/または利用可能な機能を減らすことによって機能を制限することができる。それぞれのデバイスの機能範囲を、例えば、患者の体重に合わせて制限し、乳児、幼児および成人にそれぞれ異なるタイプのモニターデバイスが割当てられるようにすればよい。また、詳しくは後述するように、体重に適応する精緻な目盛を開発し、これを一連の体重別製品にプログラムすればよい。さらに、他の反応パラメータを求めることによって、実施態様を区別化し、初期の期間にトレーニングデバイスを着用させると、システムが特定のパラメータまたは特性に従って着用者を分類し、システムの出力によって、一連のデバイスのうち、どのデバイスが着用者に好適であるかを判定することができる。着用者のサイズに応じて異なる複数のモジュールを用意しているか、あるいは、接着タイプまたは衣類取付けタイプを用意しておけば、明確なサイズ入力がなくても、計算に組み込むことができる着用者サイズの推定値をモジュールに組み込んでおくことができる。
【0117】
典型的なレシーバ345およびディスプレイの例を図10に示す。ディスプレイは図1に関連して述べたレシーバのいずれか1つに組み込めばよい。現時点温度350はディスプレイに示され、モジュール55の検知された測定値から求められる被験者の最新計算温度である。温度の計算は図22を参照して後述する。レシーバ345のディスプレイは現在の曜日355、現在の月、現在の日付および現在の時刻のような応報をも含むことができる。レシーバ345の動作状態は電源スイッチ366によってコントロールされる。バッテリーまたは電源からレシーバ345への給電は電源ボタン366を押すなどの操作によって制御される。給電されると、レシーバ345がモジュール55からの信号を受信し始める。レシーバ345はモジュールからのフィードバック、例えば、外科手術用、防火用、生物学用または有害な衣服など息苦しい着衣で作業している場合の活動レベルや身体疲労に関して、アイコンやカラーに基づくインジケータのような簡単なフィードバックを表示する。その結果が閾値に達したことを指示することもある。表示は年代配列、日付配列などに分けることができる。
【0118】
温度の変化に伴い、ディスプレイは変化の傾向、例えば、走行距離計のように数字を上下させて温度の上昇または下降を示すアイコン、アナログまたはディジタル表示を提供する。画像またはアイコン出力は例えば睡眠、泣きおよび/または姿勢を組み入れることができる。図17には、現時点温度350がモジュール55の検知測定値から得られた被験者の最新誘導温度であることを示すアイコンが表示されている。現時点温度は摂氏または華氏モードで表示され、表示のために選択されるモードは温度目盛インジケータ380によって指示され、摂氏モードならCで、華氏モードならFで表示される。ディスプレイは姿勢インジケータ・アイコン430を含む。姿勢インジケータ・アイコン430は着用者の姿勢をアイコンで表す。姿勢インジケータ・アイコン430は被検者の或る姿勢を表す音声または図解またはアイコンであるか、または左をL、右をR、腹部をS、背中をBというようにアルファベット記号であってもよい。ディスプレイは行動インジケータ・テキスト435をも提供する。行動インジケータ・テキスト435は着用者の行動レベルに関する情報を提供し、着用者が眠っているか、覚醒しているか、または泣いているかを指示する。心拍インジケータ440は着用者の心拍数の測定値を提供する。心拍インジケータの代わりに、他のタイプのバイタルサイン状態の1つを表示するインジケータを採用することもできる。
【0119】
図18Aは、レシーバ345のディスプレイを示している。現時点温度350は、モジュール55の検出された測定値から見極めた、個体の最新の計算温度である。温度の計算は、図23に関して本明細書中でさらに説明する。現時点温度350は摂氏モード又は華氏モードで表示することができ、レシーバ345上のディスプレイに関して選択されたモードは、温度スケール・インジケータ380によって示され、摂氏の場合にはCと表示し、又は華氏の場合にはFと表示する。バッテリー・インジケータ385は、モジュール55のバッテリー又は選択された別の実施態様の電力レベルを示す。ボーダーラインの低温又は高温が検出されると、異常温度警告インジケータ・アイコン390が視覚的な警告を発する。高温警告インジケータ390は、異常温度警告テキスト395によって達成することができる。異常温度警告テキスト395は高温警告インジケータ390のテキスト形式である。ディスプレイ86Bは、触覚デバイス、モーター、電子刺激、又は視覚障害者が使用するための他の技術として提供することもできる。この技術の一例としては、NASAのJet Propulsion Laboratoryによって開発された移動点字状ディスプレイを形成するための読み取りピン・アレイが挙げられる。
【0120】
図18Bは、レシーバ345のディスプレイの第2実施態様を表す。ディスプレイは、図18Aに関して説明したように、現時点温度350、温度スケール・インジケータ380、及びバッテリー・インジケータ385を含む。加えて、ディスプレイは、急速シフト警告インジケータ・アイコン400を含む。このアイコンは、温度が、上昇温度又は下降温度の予めプログラミングされた度数だけ変化したときに、又は体調又はコンテクストにおいて他の急速な変化が生じたときに、使用者に警告を視覚的に発する。急速シフト警告400は、急速シフト警告400をテキスト形式に示す急速シフト警告テキスト405によって達成することができる。
【0121】
レシーバ345のディスプレイの第3実施態様が、図18Cに示されている。ディスプレイは、図18Aに関して説明したように、現時点温度350、現時点温度インジケータ380、及びバッテリー・インジケータ385を含む。ディスプレイはまた、前の温度を含む温度動向情報420を含む。温度動向情報は、モジュール55によって検出された前の温度を示す。前の温度の計算については、図22に関してさらに説明する。前の温度420は、連携する、前の温度の時間テキスト425を有する。このテキストは、前の温度420の検出時から現時点までの時間を示す。図18Cに示されたディスプレイはさらに、或る特定の時間にわたる温度のパターンのアイコン表示である温度動向インジケータ・アイコン410、及び温度動向インジケータ・アイコン410のテキスト表示である温度動向インジケータ・テキスト415を含む。具体的に注目すべきは、レシーバ、及び関連のディスプレイを、自宅、オフィス、又は健康管理施設などにおいて共通に見いだされる任意の他の器具内に組み込むことができる点である。これらの器具の一例としては、体重計、テレビ受像機、電話基地局又は送受話器、運動器具、血圧モニター、グルコメーター又は時計付きラジオが挙げられる。
【0122】
図19は、モジュール55の回路の電気的なブロック・ダイヤグラムである。モジュール55は、第1センサー610と第2センサー615とを含む。第1センサー610は、着用者上の肌配置領域における身体の肌温度を検出し、プロセッサ605に送るべき信号を発生させる。第2センサー615は、着用者の環境の周囲空気温度を検出する周囲温度センサーであり、そしてやはりプロセッサ605に送るべき信号を発生させる。第2センサー615によって発生させられる信号の性質に応じて、信号は増幅のために、増幅器635を通して送ることができる。第2センサー615によって発生させられる信号がプロセッサ605に送られると、信号は、プロセッサ605内部に含有されるアナログ−デジタル変換器によってデジタル信号に変換することができる。
【0123】
個々の使用者の検出された温度データ及び/又は他の関連情報を表すデジタル信号は、次いで、現時点温度データ及び温度データ動向を計算又は生成するために、プロセッサ605によって利用される。プロセッサ605は、計算された温度及びその他の関連データを形成するのに必要なユーティリティ及びアルゴリズムを含むように、プログラミング及び/又はその他の形式で適合される。
【0124】
言うまでもなく、プロセッサ605はプロセッサ又は処理デバイスの他の形態、例えばマイクロコントローラ、又は本明細書中に記載された機能を発揮するようにプログラミングできる任意の他のデバイスを含んでもよい。具体的に注目すべきは、回路をデバイスの使い捨て用途に最も適用できる最小限のコスト及び構成部分で実装することができる点である。この実施態様の場合、装置はプロセッサを備えておらず、本明細書中に記載された実施態様のいずれかに従って、高度に特異化された、予めプログラミングされた動作のための一連の不連続的な電気的構成部分及びゲート回路を備えている。この装置は、動作、バッテリー、キャパシタ、太陽の出力、RFID、又は当業者に知られている他の方法を含む任意の周知の手段を動力源とすることができる。別の選択肢は、測定される電位を直接に装置の動力とすることである。ディスプレイ・メカニズムは化学的であるか、LCD又はその他の低電力消費デバイスであってよい。電圧スパイクは、極めて低いトリクル放出を伴ってキャパシタを充電し;単純なLEDディスプレイは、キャパシタ内で充電能力を発揮する。別の実施態様の場合、単純なアナログ・ディスプレイはバッテリーを動力源とする。
【0125】
個々の使用者の検出又は処理されたデータ及び/又はその他の関連情報をメモリーに送ることができる。メモリーは、プロセッサ605内部に含有されたフラッシュメモリーであってよい。メモリーは、図20に示されたプロセッサ605の一部であってよく、或いは、図20に示されているメモリー656のような不連続要素であってもよい。プロセッサ605内にクロック回路が含まれていない限りにおいて、図20に示されているような結晶タイミング回路657が設けられている。具体的には、プロセッサ605がA/D変換器回路を含むことが考えられる。このようなものが含まれていない限りにおいて、A/D回路(図示せず)が必要とされることがある。センサー入力チャネルが必要に応じて多重化されてもよい。
【0126】
バッテリー620はモジュール55のための主電源であり、プロセッサ620にカップリングされている。プロセッサ620にはトランシーバ625がカップリングされており、トランシーバ625は、モジュール55と接続されたレシーバに信号を送信するように適合されている。トランシーバは、当業者に知られた無線送信の任意の形態、例えば赤外線又はRF送信によって、検出及び/又は処理されたデータをレシーバに通信する。検出及び/又は処理されたデータをレシーバに送信するために、プロセッサ605にはアンテナ603がさらにカップリングされている。信号品質を改善するために、オムツ、衣類又はストラップ内にアンテナ630がさらに取り付けられ、又は組み込まれてよい。
【0127】
図20は、モジュール55のスタンドアローン・バージョンの電気的なブロック・ダイヤグラムを示している。モジュール55のスタンドアローン・バージョンは、ユーザー入力手段655を提供する。ユーザー入力部655は、ユーザーによってマニュアル測定された初期温度測定値、又は着用者の特性、例えば年齢、体重、性別、又はモジュールの位置を含むことができる。モジュール55は第1センサー610及び第2センサー615を含む。第1センサー610は、着用者上の肌配置領域における身体の肌温度を検出し、プロセッサ605に送るべき信号を発生させる。第2センサー615は、着用者の環境の周囲空気温度を検出する周囲温度センサーであり、そしてやはりプロセッサ605に送るべき信号を発生させる。温度センサーは一般にサーミスターとして実装されるが、いかなる温度検知デバイスも適切である。これらのセンサーは一般に、標準的な自動SMT配置・ハンダ付け装置によって取り付けられた1%表面実装サーミスタを含む。センサー毎の1%R25誤差及び3%ベータ誤差は、各センサーが当該35℃領域の周囲で+/−0.5℃であることを意味する。或る特定の環境において、このことは結果として、2つのセンサーの間の読み取り温度において1℃の誤差をもたらすことがある。誤差を低減するために、センサーは、熱導電性であるがしかし電気的に絶縁性の流体、例えば3M Engineered Fluids Fluorinert及びNovec中に浸され、安定化を可能にされる。2つの温度設定点における同一の既知の条件下で2つのサーミスタを読み取ることにより、2つのサーミスタのR25とベータとの関係性を見極めることができる。
【0128】
0.1℃の互換性を有するより高価なサーミスタを組み込むこともできる。このことは、センサー間の誤差を10〜0.1℃だけ低減する。当業者によく知られるバッチ法を利用して、製造過程中にセンサーを一致させることも可能である。
【0129】
個々の使用者の検出された温度データ及び/又は他の関連情報を表すデジタル信号は、次いで、現時点温度データ及び温度データ動向を計算又は生成するために、プロセッサ605によって利用される。プロセッサ605は、計算された温度及びその他の関連データを形成するのに必要なユーティリティ及びアルゴリズムを含むように、プログラミング及び/又はその他の形式で適合される。プロセッサ605は、プロセッサ又は処理デバイスの他の形態、例えばマイクロコントローラ、又は本明細書中に記載された機能を発揮するようにプログラミングできる任意の他のデバイスを含んでもよい。
【0130】
バッテリー620はモジュール55のための主電源であり、プロセッサ620にカップリングされている。モジュール55は出力部86Aを備えている。多成分系がモジュール55を含み、モジュールは、現時点温度、温度動向、及びコンテクスト・データを視覚的表示するためのディスプレイ86Aを備えることができる。多くの非視覚的形態、例えば聴覚、触覚及び嗅覚的な形態で、警告を出すことができる。警告はコンピュータ・ネットワーク又は無線送信によって行うこともできる。
【0131】
図21A及び21Bは、モジュール55を組み込む多成分系の電気的なブロック・ダイヤグラムを示している。図22Aは、モジュール55のスタンドアローン・バージョンに関して図21に記載されているような成分のすべてを含有している。加えて、モジュール55はさらに、プロセッサ620にカップリングされたトランシーバ625を含む。トランシーバ625は、モジュール55と接続されたレシーバに信号を送信するように適合されている。トランシーバは、短距離無線送信、例えば赤外線又はRF送信によって、検出及び/又は処理されたデータをレシーバに通信する。検出及び/又は処理されたデータをレシーバに送信するために、プロセッサ605にはアンテナ603がさらにカップリングされている。
【0132】
図21Bは、モジュール55と接続して使用されるレシーバの回路を示す。ユーザー入力部680は、ユーザーによってマニュアル測定された初期温度測定値、又は着用者の特性、例えば年齢、体重を含むことができる。プロセッサ675は、モジュール55からの処理済データを、現時点データ、及び温度データ動向及びコンテクスト・データとして受信する。プロセッサ675は、計算された温度及びその他の関連データを形成するのに必要なユーティリティ及びアルゴリズムを含むように、プログラミング及び/又はその他の形式で適合することができる。個々の使用者の検出された温度データ及び/又は他の関連情報を表すデジタル信号を受信してプロセッサ675によって利用することにより、現時点温度データ、温度データ動向、及びコンテクスト・データを検出又は生成することができる。プロセッサ675は、プロセッサ又は処理デバイスの他の形態、例えばマイクロコントローラ、又は本明細書中に記載された機能を発揮するようにプログラミングできる任意の他のデバイスを含んでもよい。プロセッサ675にはAFレシーバ670がカップリングされており、AFレシーバ670は、モジュール55のトランシーバから信号を受信するように適合される。RFレシーバ670は、前述のように短距離無線送信によって処理済データを受信する。検出及び/又は処理されたデータをレシーバに送信するために、プロセッサ605にはアンテナ665がさらにカップリングされている。アンテナは、より長くするために、また送信品質のために、接着片内に組み込むことができる。送信手段は例えば、RF、IR、音響及びプロトコル、例えばEthernet, Bluetooth, 802.11、Zigbee及びGPRSを含むことができる。
【0133】
具体的に注目すべきは、プログラム可能なデバイス構成要件を一連の不連続な回路、論理ゲート又はアナログ成分として提供することにより、デバイスのコスト、重量又は複雑さを低減することができる。これらの構成要件は、Andre他の同時係属中の米国特許出願第09/682,293号明細書に記載されたアルゴリズム法によって開発することができる。このことは特に使い捨て実施態様に関して当てはまり、そしてより具体的には、上記等級付け又は分類されたデバイスに関して当てはまる。
【0134】
バッテリー620はレシーバーのための主電源であり、プロセッサ670にカップリングされている。バッテリー620は、誘導又は無線通信によって再充電することができる。別の実施態様としては、RFIDシステムが使用される。ユニットの内部電力保存は、RF信号によって電力がより完全に供給されるまで、データを記憶するのに十分であるに過ぎない。
【0135】
デバイスは、RFIDシステムとの関連において、ワンドが着用者上で振られるか又は着用者に近付けられると、リーダーにデータビットを送ることが可能になる。無線の機能とともに、受動的RFIDタグ、例えばステッカーを、家周辺の安全でない場所、例えば階段に配置することもできる。この実施態様の場合、着用者が、危険な場所を示すRFIDタグに接近すると警報を鳴らすか又はレシーバーに警報を送ることができる。このことは十分に電力供給された実施態様、又は外部電源を有する製品において実施することができる。
【0136】
これと代わる電力システム、例えばFirefly Power Technologies, Pittsburgh, Pennsylvaniaによって開発されたシステムは、給電用製品に関してわずかに変更を施した別の形である。このシステムの場合、周囲の磁場又はRF帯域幅を集めるか、或いは既知の一貫したRF帯域幅電力を所定の領域に与えることによって、キャパシタだけを有してバッテリーを有さないモジュールが、或る程度の電力容量が集められるまで、又は或る程度の時間が経過するまで、トリックル充電される。次いで、ユニットがパワーアップされ、必要な読み取り値が採取/記録され、そして次いで、データが目的地に達したという通知、又は次回にパワーアップ及び無線接続が開始されて確立されるまでフラッシュメモリー内に保持されるという通知とともに無線で伝えられる。次いでユニットはパワーダウンし、そして次のサイクル又は再充電を開始する。これとは別のAura Communication' LibertyLink チップは、弱い磁場気泡を形成し、約10MHzの低周波数で磁場を変調することにより送信する。
【0137】
図22は、温度測定モジュールの全体の動作を示す。肌温度センサーは最初に肌温度700を検出し、そして周囲温度センサーは最初に、個体の周囲温度に対応するオムツ温度705を検出する。モジュールに較正800を施すことにより、肌温度センサーによる肌温度の検出精度を助成する。1つの較正法は、デジタル温度測定デバイスによって着用者の温度測定を行うことを含む。この温度測定値はモジュールに自動的に転送される。着用者の初期温度がモジュールによって受信されると、ユニットは、着用者の初期開始温度に設定され、温度モジュールが着用者に接触している間に発生する相対変化の基準として、この温度を使用する。
【0138】
着用者の初期温度がベースライン較正によって受信されない場合、モジュールは、身体に配置された後、所定の時間にわたってモジュール自体を較正し、また、学習プロセス部分として経時的に計算値及び/又はアルゴリズムを適合又は改変することになる。このことはAndre他の同時係属中の米国特許出願第10/682,293号明細書及び上記の他のものに、より詳しく記載されている。この初期着用時間中、モジュールが較正される一方、特定の予期せぬ温度変化が、後で行われる特徴付けのために記憶される。同様の予期せぬ値が検出されるため、モジュールは、更なるコンテクスト分析のために分類された測定値の履歴を形成する。
【0139】
詳細に述べるならば、較正800は、2つの実施態様:センサー較正及び特定の着用者に対するシステムの個人化、のうちの一方を採用することができる。センサー較正の場合、個々のセンサーは、実験室調節値又はそれぞれが肌に当てつけられる前にデバイスから読み取られた最初の読み取り値を基準として、互いに較正される。好適なオフセット、及び任意には勾配、又は線形(又は非線形)関数が各センサーに関して選択される。個人化の場合、体内温度の二次読み取りが行われ、個人に対するデバイスの較正を目的として利用される。例えば親が子の温度を、子にモジュールを配置する前に求めることができる。この値を利用して、検出されたモジュール測定値と、他の手段によって記録された実際温度とを相関することにより、その子に関するアルゴリズムを個人化することができる。
【0140】
或いは、システムの更なる較正を可能にする検出可能な事象が発生することがある。一例としては、モジュールがセンサーの一部を有するようにオムツ内に配置される場合、またモジュール自体ではないにせよ、オムツ内に新鮮な状態で存在する尿の温度を検知するように配置される場合、周囲センサーによって検出されたこの尿の温度を利用して、モジュールを較正するのを助けることができる。
【0141】
しかしこのオムツが、幼児用であるか、小児用であるか、又は大人用であるかに関係なく、オムツにおいて行われるいかなる読み取りも、これらの事象の認識から恩恵を受け、また、温度を一時的に上昇させるオムツの化学反応により、オムツへの尿の導入中、しかし特に導入後にこのノイズをフィルターで取り除くことができる。付加的な情報が、経時的なシステムの精度を改善することができる。
【0142】
最後に、別の較正形態は、着用者の年齢、身長、体重、性別、及びその他のこのような個人的特性を、システム内に入力することである。これらの人口学的なファクターは、精度を改善し、そして、体重を具体的に参照して本明細書中により詳しく記載されるように、システム内への付加的な入力として役立つ。
【0143】
その識別されたユニットに関するデータベースをリセットするか又はクリアにすることなしに、2人以上の個人によって特定のモジュールが利用される限りにおいて、着用者の識別特性又は人口学的特性をユニット内、又パラメータ、設定値、優先又は値のユニット連携データベース内に埋め込むこともできる。それぞれの新しいユーザーの使用開始時における個人化時間を含む、温度データの連続的な測定によって、一組のセンサーは着用者のバイオメトリックスを自動認識し、従って生理学に基づく識別情報を積極的に提供することができる。加えて、この製品は、着用者から信号を送る前に、体内の埋め込み可能な識別チップと通信し、身体識別子を検出して組み込み、そしてこれを読み取りプロトコル/ヘッダー内に統合することもできる。
【0144】
特徴形成ステップ900は、入力として、温度データ又は任意のその他のセンサー・データを採用する。これらのデータは、較正された信号を含んでも含まなくてもよく、これらの信号の新しい組み合わせ又は操作、例えば[肌温度]3又は√[肌温度]を生み出す。これらはアルゴリズムの残りにおいて使用するために形成される。付加的な例は、STD、MEAN、MAX、MIN、VAR、及び第1の誘導体を含む。また、排尿に対する別の用語である失禁、又はセンサーの取り外しのような特徴を、単純な事象検出子を利用することによりそれら自体が形成される特徴として含むことができる。検出されたこれらの事象を次いで、回帰1200の部分として利用することができる。例えば、大腿部モジュール上の周囲側温度における鋭い上昇及びこれに続く徐々の下降という特定のデータ出力パターンを識別することにより、新鮮な温かい尿のアクティブな存在を検出し、次いで上昇の最大値を回帰への入力として使用する。この特徴は、幼児の排尿時には尿は体内温度であり、従って既知パラメータに対するデバイスの較正のための機会を提供することができるという事実に基づいて予測される。
【0145】
図23を参照すると、マルチ・モジュール実施態様において3つのセンサーを利用することにより、排尿失禁がグラフとして示されている。マルチ・モジュールは、左右の2つの大腿部モジュールと、1つの腋窩モジュールとを有する。全てのデータは、各モジュールの周囲温度センサー120から提供される。左大腿部センサー出力901と右大腿部センサー出力902とは比較的同様の曲線を描く。検出された温度におけるわずかな変化は、センサー較正の変動又は着用者のオムツ内部のわずかに異なる周囲環境に起因する場合がある。図23に関しては、センサーは、オムツの吸収性材料内に配置されてはおらず、失禁は間接的と考えられる。腋窩センサー出力903は、ラジカルに異なるプロフィールを提供し、そして失禁に関する情報は提供しない。時点T0とT1との間で、システムは温度ピークに対して正規化する出力901,902の温度プロフィールを有するウォームアップ相にある。線904によって識別される時点T1では、ピーク温度905を有する失禁が発生する。腋窩出力903の対応変化を伴わない大腿部出力901,902における特徴的な谷部906が、大腿部位における局在化事象を示す。谷部906の特定の形状は、オムツ内に体内温度で存在する尿の初期温かさ、及びこれに続くオムツ及び液体の冷却を表す。今冷めたばかりの尿が、着用者の身体近くに存在することにより再び温められるのに伴って、二次ピーク907が発生する。排尿のこの特徴は、反復可能且つ検出可能であり、そして本明細書中で言及されるパターン、コンテクスト、及び事象検出のタイプの一例である。図23Aは、直接的な失禁を示し、この場合には、センサーはオムツの吸収性材料内部に配置され、単一の大腿部周囲温度センサーを利用する。このグラフは、排尿又は失禁のより特徴的な検出例を提供する。線904’によって識別される時点T1では、ピーク温度905’を有する失禁が発生する。特徴的な谷部906’がここでもまた大腿部出力901’内に観察され、オムツ内に体内温度で存在する尿の初期温かさ、及びこれに続くオムツ及び液体の冷却を表す。今冷めたばかりの尿が、着用者の身体近くに存在することにより再び温められるのに伴って、二次ピーク907’がまた示される。特に注目すべきなのは、ピーク温度905’の直前の曲線の鋭い上昇又は勾配である。排尿のこのより独特な特徴は、反復可能且つ検出可能であり、そして本明細書中で言及されるパターン、コンテクスト、及び事象検出のタイプの一例である。モジュールは、尿と同様の影響をもたらす便の検出に関しても等しく適用可能である。
【0146】
複数のコンテクストが同時に観察される場合、いくつかの解決手段が可能である。1実施態様は、コンテクストのそれぞれの組み合わせをそれ自体のコンテクストと考えることである。別の実施態様は、どれが支配的であるかを選ぶためのコンテクストの階層順序を識別することである。
【0147】
図23は、或る特定のウォームアップを示しているが、より特徴的な出力が図23Bに示されている。図23Bに示すウォームアップ・プロフィールは図23ほど緩やかなものではない。注目すべき重要なことは、図23及び23Bに関して記載されたウォームアップ相が、各着用サイクル又は各使用サイクルに特徴的であることである。このウォームアップ相は標準的な特性を有し、標準コンテクストとして容易にモデル化することができる。単純な技術が存在し、これらの技術はこのようなウォームアップ曲線のために調節するように当業者によく知られている。これらは単純な指数モデルを含み、指数モデルにおいて、到来する信号は、モジュールが固定されてからの時間、並びに試行開始からの時間が回帰等式内への入力であるようなモデルに基づくファクターによって調節される。
【0148】
平滑化1000が、ノイズ値を平滑化するために、連続データの不連続的なエポックの動的及び/又は窓付きモデルを利用する。例えば30秒の窓を有するBlackmanスムーザーを用いて、生信号及び誘導特徴の両方におけるわずかな秒間変動を平滑化することができる。1実施態様の場合、各データポイントは、過去30秒間にわたってBlackman重み関数に従って平滑化される。時点1050よりも10秒前として時点1051を示す図24に示されたBlackman関数に従って、この関数は、現時点1050を最も高く重み付けし、そして次いで各前時点1051を、より少ない程度に重み付けする。所与の時点の関数は、重み付けされた記録値の和を重みの和でわり算することにより計算される。別の実施態様の場合、各30秒の窓の平均値が利用される。別の実施態様の場合、現在のパラメータを上回る値だけ逸脱するデータは無視される。さらに別の実施態様の場合、確率モデル、例えば動的確率ネットワークを使用して平滑化が行われる。この種々の平滑化を行うための正確且つ適切なアルゴリズムが文献に存在する。
【0149】
回帰1200は、所与のコンテクストに対応する推定体内温度を計算する等式である。これらの等式は極めて複雑であり得る。1つの割合単純な実施態様は下記の通りである:
推定体内温度=A*肌側温度+B*(肌側温度−周囲側温度)2+C
上記式中、A、B及びCは変数係数である。別の等式例は:
A*重量+B*back25ModDiff+C*SqBack25ModDiff+D*ModMidWaistS+E
であり、上記式中、
back25ModDiffは、過去25秒間にわたるモジュールの周囲センサーと肌センサーとの差の逆方向平均であり、SqBack25ModDiffは、過去25秒間にわたるモジュールの肌センサーと周囲センサーとの平均二乗差であり、ModMidWaistSは、モジュール皮膚温度であり、そしてEは一定のオフセットである。別の実施態様は、別個の等式を必要とするのではなく、等式を変更するために、認識されたコンテクスト又は特徴を利用することである。例えば、体内温度の変化ではなく、失禁によってもたらされたと考えられるオフセットを表す特徴WithinInsultが形成されると、ファクターD*WithinInsultを加えることが、誘導温度の精度を高める。このような実施態様は下記の通りである:
推定体内温度=A*肌側温度+B*(肌側温度−周囲側温度)2+
D*WithinInsult+E*warmUpEffect+C
【0150】
コンテクスト検出1100は、検出され考慮に入れられる着用者の体温調節特性に影響を与える事象、体調、及び活動を認識して組み入れる。例えば、初期の配置又は取り外し、排尿加熱及び冷却事象、物理的活動、及び休息によるウォームアップ曲線を全て検出することができる。これらのコンテクストは、テンプレート照合、ウェーブレット照合、決定木、動的ビリーフネット、ニューラルネット、支持ベクトルマシン、又はルールに基づく検出子を含む種々の技術のいずれかによって検出される。検出子のこのような1つの例は、肌側温度における鋭い上昇15分以内のいずれかの分と一致するウォームアップのための極めて単純なルールである。鋭い上昇は30分以内で1度を上回る変化として定義される。他のコンテクスト・フィルタリング、例えば乳児の徘徊、オムツの除去、脱衣、腕の持ち上げ、取り外しなどが必要となることもある。取り外し認識は、熱流束センサーを含むことにより高めることができる。この好ましい実施態様の場合、これらの検出子は確率的である。
【0151】
この好ましい実施態様の場合、重み付けステップ1300において、活性及び不活性の2つの主なコンテクストが利用される。この場合、確率的活動検出子、例えばナイーブBayesアルゴリズム又は動的ビリーフネットワークによって形成された、活性である確率の推定値が先ず形成される。これらはP(context|Data)として識別される。次いで、各等式からの予測は、関連コンテクストの確率によって重み付けされる。eq_active及びeq_restが体内温度を予測するための2つの等式である場合、:
P(active|Data)*eq_active+P(rest|Data)*eq_rest
が、体内温度の推定値のための等式である。
【0152】
別の実施態様は、元の温度信号の調節された値に対応する特徴を利用する。例えば、下落又は上昇が他のファクター、例えば失禁又は環境妨害によって説明される場合には、これを平滑化して、等式中に使用するためにより正確な信号を生成することができる。
【0153】
別の実施態様は、システム全体に対して動的ビリーフネットを利用することである。図24Aを参照すると、動的確率ネットワークの単純な構造が示されている。T1及びT2はタイムスライスを表す。C及びC’はそれぞれ時点T1及び時点T2の体内温度である。K及びk’は時点1及び時点2におけるコンテクストである。S及びs’は肌温度であり、そしてa及びa’は周囲温度である。矢印は因果関係を示す。上記システムの同時確率は、確率関数集合によって特定することができる:
P(c),P(c'|c),P(k),P(k'|k),P(s|k,c),P(a|k,c)
グラフィック・モデル文献の標準的な技術を用いて、所定の時間にわたって最もあり得そうな体内温度を計算することができるように、推断することができる。適切な数の許容されたコンテクストを選択し、標準的なトレーニング技術を用いて、平滑化及びコンテクスト検出を直接的に実施することができる。別の実施態様は、ただのP(s|k,c)の代わりに、P(s'|k,c,s,a)を利用することになる。このことは生センサーに時間依存性を導入し、これにより平滑化を改善することができる。
【0154】
回帰1200の計算上の観点はさらに、多くの従来のデバイスよりも正確且つ代表的な実際の着用者パラメータである出力データを形成する方法として精緻化される。多くの場合、従来のデバイス及びシステムは、蓄積平均データのデータベースを参照するために、測定されたデータの特定の観点を利用する。多くの場合、これは、個々のデータ及びリアルタイム精度の出現を提供するが、しかし実際に提示するのは重み付け平均に過ぎない。単純な例の場合、典型的なトレッドミルが使用者の体重の入力を可能にし、そして使用者の活動の時間及び速度を検出する。単位時間当たりのそれぞれの体重グラデーション点で、使用者の消費カロリーの平均値を有するデータベースが提供される。適切な体重範囲、活動時間、及び速度及び距離のような相対運動量の間には、単純な関係が形成される。本明細書中に記載されたこれらの実施態様は、平均又はその他の予め選択されたデータ文献を参照することなしに、使用者の実際の体調を誘導するのに必要な当該生理学的パラメータを実際に検出することに関する。具体的には、検出された1パラメータの値が、他の検出されたパラメータがどのように数学的に処理されるかに対して影響を与える数学的機能及び/又はアルゴリズムが提供される。1つの例は、2つの入力変数X及びYを有するシステムである。システムは、センサー及び関数KNNから検出されたデータ流を表す。KNNはK(変数)Nearest Neighborsの略語である。
【0155】
このアルゴリズムにおいて、当該実際値が既知であるデータ点集合が提供される。この例では、平面が多数の点を含有する。各点はOの値を有するので、各点x1,y1の値はO(x1,y1)である。これを現行のシステムに当てはめると、xは肌温度の検出値であってよく、Yは周囲温度の検出値であってよく、そしてOは、特定の測定値対に関して測定された直腸温度の真の値であることが可能である。定数Kが通常は小さな値として選択される。退化事例では、これは1であってよく、これにより、KNNはルックアップテーブルに退化されるが、しかしKは典型的には約3〜7となる。次に、システムに関して距離測定基準が選択される。退化事例では、全てのユニットは等しく処理されるが、しかし、Xが肌温度でありYが周囲温度であるシステムの場合、X方向における2点間距離はY方向におけるよりも著しく大きいことがある。このことは、例えば全てのX値を2で掛け算することにより説明することができる。次いで、貢献関数が選択される。例えば、O(x1,y1)に基づいて、近隣点X2,y2の値Oを予測しようとすると、X2,y2からx1,y1までの予測距離が重要な考察項目となる。X2,y2からx1,y1までの距離は、D(X2,y2,x1,y1)として確立され、そして、abs(X2−x1)+abs(y2−y1)として計算又は予測することができる。absは絶対値である。これはManhattan距離と呼ばれるが、しかし、KNN関数との関連において距離を計算又は予測する最も典型的な方法ではない。より具体的には、D(X2,y2,x1,y1)は、sqrt((X2−x1)*(X2−x1)+(y2−y1)*(y2−y1))と定義される。sqrtは平方根である。
【0156】
このシステムの場合、何らかの新しい点x’,y’に対応する正しい値を予測するためのアルゴリズムが開発されなければならない。このアルゴリズムは:x’,y’に対して最も接近するデータ空間内のK個の点を見いだすステップを含むことになる。これらの点をx1,y1からxk,ykと呼ぶ。次に、O(x’,y’)の値は、O(xn,yn)の加重平均として設定される。n=1〜Kであり、xn,ynの相対重量は1/D(x’,y’,xn,yn)2である。これは、データKNNが、予め選択されたデータのデータ空間をそのアルゴリズムのコアとしてどのように使用しているかの一例を示す。なお、KNNは、前の出力値を戻すためだけではなく、検知値X及びYが与えられた特に適切な新しく構成された出力値を戻すために、そのデータを使用する。各データ点の値Oは、このような予め選択されたデータベースから検索することができる。このようにしないことを選択して、また、本明細書に記載された計算を実際に行うことにより、この技術は、既知の点の間に存在するデータの非線形特徴を見いだす機会を提供する。K=1である場合、プロセスは、単に予め選択されたデータ集合又はルックアップテーブルからデータを検索するだけになる。しかし、K>1である場合、データ点のいずれかにそれら自体では存在しないデータに新事実を見いだす機会が、プロセスに提供される。
【0157】
検出された1パラメータの値が、他の検出パラメータがどのように数学的に処理されるかに対して影響を与える単純な象徴例は、Xが偶数であるならば、結果=X+Yであり、Xが基数であるならば、結果=X?Yである、ということである。この例において、Yは、Xの値に応じてラジカルに変化させられることに関与する。X=18でありY=9であるときには、その結果は27である。しかし、Xが1だけ増大する場合には、結果は10となる。なぜならばYがどのように使用されるかが急激に変化するからである。別の例としては、Yが偶数ならば、2で割算し、さもなければY=3*Y+1であり、そしてこのプロセスを、前の出力を使用してX回繰り返す。完了したら、Yの最終値を戻す。このことは、Xの値が、Yがどのように結果に影響を与えるかに実質的な差異をもたらす事例である。なぜならば、Yの増大又は縮小における停止場所が、Xの値によって極めて敏感に決定されるからである。より複雑な例を開発することもできるが、これらの例の本質は、条件文を利用したときに、固定された式、予め選択された値のデータベース、又はルックアップテーブルから、同じ結果を誘導することはできない。システムの別の重要な観点は、このような条件付き試験の結果が、それ自体が誘導の回答又は最終出力なのではなく、評価されるべき等式、或いは回答又は出力を生成する、実行されるべき手順であることである。他の例は、人工的なニューラルネットワーク、決定木、動的なビリーフネット、支持ベクトルマシン、及びルックアップテーブルを凌ぐポテンシャル関数の同じ質的改善を形成する階層的学習アルゴリズムを含む。
【0158】
生センサー値又は信号を入力として採用し、そして計算を行い、次いで所期出力を生成するものとしてアルゴリズムを見ることができるが、1つの好ましい実施態様の場合、生センサー値に適用される一連の誘導形としてアルゴリズムを見ることも有用である。各誘導形は、誘導チャネルと呼ばれる信号を生成する。生センサー値又は信号は、誘導チャネルではなく、チャネル、特に生チャネルとも呼ばれる。関数とも呼ばれるこれらの誘導形は、単純でも複雑でもよいが、しかし、生の値上の、可能であれば既存の誘導チャネル上のアルゴリズムに従って適用される。最初の誘導形はもちろん、入力として生センサー信号、及び他の利用可能なベースライン情報、例えば被検体に関してマニュアル入力されたデータ及び人口学的な情報だけを採用しなければならないが、しかし後続の誘導形は、入力として、前の誘導チャネルを採用することができる。なお、誘導形の適用順序から、所与の誘導チャネルを誘導するのに利用される特定のチャネルを容易に決定することができる。
【0159】
本発明の1観点は、複数の生理学的センサー及び/又はコンテクスト・センサーから受信されたデータから種々の変数に関する情報を生成するためにこれらのアルゴリズムを形成する精緻化されたアルゴリズム開発プロセスに関する。このような変数の一例としては、体温、休息値、活性値及び総値を含むエネルギー消費量、1日当たりのカロリー摂取量、床についた状態、睡眠開始、睡眠中断、覚醒、及び床から出た状態を含む睡眠状態、並びに運動、着座、自動車での移動、及び横臥を含む活動状態が挙げられ、そして、このような変数の値を生成するためのアルゴリズムは、上記実施態様における上記のもののいずれかの群を含む種々の付加的なセンサー、例えば加速度計、熱流束センサー、電気皮膚反応センサー、及び心拍センサーからのデータに基づくことができる。
【0160】
なお、することが計算できるいくつかのタイプのアルゴリズムがある。一例としては、これらは、使用者特性、連続的な測定値、継続的なコンテクスト、瞬間的な事象、及び累積的な状態を予測するアルゴリズムを含む。使用者特性は、着用者の永続的及び半永続的パラメータを含む。これらのパラメータは、体重、慎重、及び着用者の識別特性を含む。連続的な測定値の一例は、肌温度、体内温度及び近周囲温度、及び本明細書中で特定された関連コンテクストである。継続的なコンテクストは、或る特定の期間にわたって継続する挙動、例えば睡眠、運転、又はジョギングである。瞬間的な事象は、固定された時間に又は極めて短時間にわたって発生する事象、例えば幼児のオムツにおける排尿である。累積的な状態は、その人の体調が、以前の或る期間にわたる挙動から推論することができるような状態である。例えば或る人が36時間眠っておらず、10時間食べていなければ、その人は疲労していると考えられる。下記表1は、特定の人物特性、連続的な測定値、継続的な測定値、瞬間的な事象、及び累積的な状態の多数の例を示す。
【0161】
表1
人物特性 年齢、性別、体重、性別、運動能力、体調、疾患、身長、病気になり
やすさ、活動レベル、個々の検出値、利き手、代謝速度、身体組成、
原型的個体との類似性、遺伝因子
連続的な測定値 気分、心拍間隔の変化、呼吸、エネルギー消費、血糖レベル、ケトー
シス・レベル、心拍数、ストレス・レベル、疲労レベル、敏捷性レベ
ル、血圧、素早さ、強さ、耐久力、相互作用されやすさ、単位時間当
りの歩数、平静レベル、体位及び向き、清潔さ、気分又は情動、親し
みやすさ、カロリー摂取量、TEF、XEF、「イン・ザ・ゾーン」
にあること、活性エネルギー消費量、炭水化物摂取量、脂肪摂取量、
タンパク質摂取量、水分補給レベル、誠実さ、睡眠の質、睡眠状態、
意識レベル、投薬効果、投薬予測、水摂取量、アルコール摂取量、目
眩、痛み、快適さ、新しい刺激に対する残留処理力、アームバンドの
適正な使用、話題に対する関心、相対労作量、場所、血中アルコー
ル・レベル、性的刺激、白血球カウント、赤血球カウント、関心レベ
ル、注意力、栄養レベル、投薬レベル、痛みレベル
継続的な測定値 運動、睡眠、横臥、着座、起立、移動、走行、歩行、自転車走行、固
定自転車乗り、ロードバイク、重量上げ、エアロビック運動、アナロ
ビック運動、筋力増強運動、精神集中運動、激情期間、リラックス、
テレビ鑑賞、デスクワーク、REM検出器、食事、イン・ザ・ゾー
ン、制限可能な一般活動の検出、睡眠段階、熱ストレス、熱射病、教
示/学習の影響の受けやすさ、双極性代償不全、(使用者などによっ
て測定された心臓信号、活動レベルにおける) 異常事象、驚愕レベ
ル、高速道路での自動車運転、飛行機移動、ヘリコプター移動、倦怠
事象、スポーツ検出(フットボール、野球、サッカーなど)、勉強、読
書、中毒、薬物効果、性的リズム及び活動、オートバイ走行、マウン
テンバイク走行、モトクロス、スキー、スノーボード、使用者によっ
て定められた活動、継続中の痛み
瞬間的な事象 転倒、心臓麻痺、発作、睡眠覚醒事象、PVC、血糖異常、急性スト
レス又は失見当、突発事故、心臓不整脈、ショック、嘔吐、急速な失
血、服薬、嚥下、性的オーガズム、急性の痛み、排便、排尿、発汗の
開始、活動間の推移、横臥、うそをつくこと、真実を話すこと、笑い
累積的な状態 アルツハイマー病、衰弱又は転倒しやすさの増大、眠気、疲労、ケ
トーシスの存在、排卵、妊娠、疾患、病気、発熱、浮腫、貧血、流
感、高血圧、精神障害、急性脱水、低体温、イン・ザ・ゾーンである
こと、肉体的な能力の増大、負傷からの回復、疾患からの回復、リハ
リビリテーションからの回復、疾患のリスク、推定寿命
【0162】
言うまでもなく、このシステムは着用者の生理学的状態及びコンテクスト状態の自動的なジャーナリングを行う方法において利用することができる。このシステムは、使用者がどの活動に関わっていたか、どのような事象が発生したか、使用者の生理学的状態がどのように経時的に変化したか、そして、使用者がある特定の状態をいつ蒙ったか又は蒙ったらしいか、のジャーナルを自動的に生成することができる。例えば、システムは使用者の水分補給レベル、エネルギー消費レベル、睡眠レベル、及び一日全体を通しての機敏さレベルの記録に加えて、いつ使用者が運動したか、車を運転したか、眠ったか、熱ストレスの危険にあったか、又は食事したかの記録を生成することができる。これらの検出された状態を利用して、データ記録をタイムスタンプ又は事象スタンプし、分析又はデータ提示の或る特定のパラメータに変更を加え、また、或る特定の遅延時間フィードバック事象又はリアルタイム・フィードバック事象をトリガーすることができる。
【0163】
いくつかの実施態様の場合、生信号は先ず、後で行われる誘導に十分なチャネル内に要約することができ、そして効率的に記憶することができる。これらのチャネルは、誘導形、例えば合計、又は差の合計、及び平均を含む。なお、圧縮されたチャネル内にハイレート・データを要約することが、圧縮及び有用な特徴の記憶の両方にとって有用ではあるが、用途の正確な詳細に応じて、ハイレート・データのいくつか又は全てのセグメントを記憶することも有用である。1実施態様の場合、次いでこれらの要約チャネルを較正することにより、製造時の測定可能な僅かな差を考慮に入れ、そして好適なスケール及び正確なユニットで値をもたらす。例えば、製造過程中、僅かなオフセットを有するように特定の温度センサーが見極められると、このオフセットを適用することができ、その結果、温度を摂氏で表す誘導されたチャネルが生じる。
【0164】
ここに記載したものの目的上、誘導形又は関数は、これが、何らかのオフセットを一緒にその入力の重み付けされた組み合わせとして表される場合には、線形である。例えば、G及びHが2つの生チャネル又は誘導チャネルである場合、形態A*G+B*H+Cの全ての誘導形(A、B及びCは定数である)は、線形誘導形である。誘導形は、これが、一定のオフセットとともに入力の重み付けされた和として表すことができない場合には、その入力に関して非線形である。非線形誘導形の一例は、下記の通りであり、G>7である場合には、H*9を戻し、さもなければH*3.5+912を戻す。チャネルの計算に関与する全ての誘導形が線形である場合には、そのチャネルは線形誘導され、チャネルを形成するのに使用される誘導形のいずれかが非線形である場合には、そのチャネルは非線形誘導される。チャネルの値の変化が、誘導において実施された計算を変化させるならば、チャネルは誘導を非線形に媒介し、ほかの全ての入力を誘導定数に保つ。加えて、非線形関数が多数の入力を組み込むことができ、重み付けされた又は重み付けされない入力を一緒に加え、これらの合計は、非線形関数、例えばガウス曲線に対する独立変数として使用される。この場合、合計の小さな値及び大きい値の両方は、ゼロに近い値をもたらし、ガウスの「こぶ」の周りのいくらか狭い合計範囲は、正確な形状及びガウスのスケールに応じて、有意に高い値を戻すことになる。
【0165】
ここで図25を参照すると、アルゴリズムは、種々のセンサー700,705からセンサー・デバイスによって集められたセンサー・データ、及び個人の人口学的情報から誘導されたチャネルを、入力として採用することになる。アルゴリズムは重みを生成する1つ以上のコンテクスト検出子1100を含む。重みは、W1〜WNとして示され、着用者がいくつかの可能なコンテクストのそれぞれにある間に、1分間にわたって収集されるような所与の収集データ部分が収集された確率を表す。このようなコンテクストは、個人が休止時にあるか又は活動しているかを含むことができる。加えて、各コンテクストに関して、連続した予測が生チャネル又は誘導チャネルを入力として計算される場合に、回帰1200が提供される。個々の回帰は、種々の回帰等式又は方法のいずれかであってよく、これらは、例えば多変量線形又は多項式回帰、記憶に基づく方法、支持ベクトルマシン回帰、ニューラルネット、ガウス法、及び任意の手続き関数などを含む。各回帰は、アルゴリズムにおける当該パラメータの出力の推定値である。最後に、各コンテクストに対応する、A1〜ANとして示された各回帰アルゴリズム1200の出力と、重みW1〜WNとは、ポスト・プロセッサ1615内で組み合わされる。ポスト・プロセッサ1615は、図22においてボックス1300に関して記載された重み付け関数を実施し、そして、ボックス1400に示されたアルゴリズムによって測定又は予測された当該パラメータを出力する。一般にポスト・プロセッサ1615は、別個のコンテクスト予測を組み合わせる多くの方法のいずれかから成ることができる。これらの方法は前述のように、委員会法、ブースト法、投票法、一貫性チェック法、又はコンテクストに基づく再組み合わせ法を含む。
【0166】
加えて、他の目的、例えば本明細書中に記載されたセンサー・デバイスによって測定された信号のフィルタリング、クリーンアップ、及びノイズ低減のために、アルゴリズムを開発することができる。言うまでもなく、この方法を用いて開発される実際のアルゴリズム又は関数は、使用されるセンサー・デバイスの仕様、例えば特定のセンサー及びその配置、並びにセンサー・デバイスの構造全体及び幾何学的形状に高く依存することになる。こうして、1つのセンサー・デバイスを用いて開発されるアルゴリズムは、このアルゴリズムを形成するのに使用されるセンサー・デバイスと実質的には構造的に同一でないセンサー・デバイス上では、もし作業するとしても、同様に作業することはない。
【0167】
本発明の別の観点は、種々の不確実性を取り扱うための開発されたアルゴリズムの能力に関する。データ不確実性は、センサー・ノイズ及び生じ得るセンサーの故障を意味する。データ不確実性は、データを完全には信用することができない場合に生じる。このような条件下では、例えばもしセンサー、例えば加速度計が故障した場合、システムは、着用者が睡眠中又は休息中であると、又は動作がないと結論付けることがある。このような条件下では、データが悪いかどうか、又は結論を予測して形成するモデルが悪いかどうかを結論付けるのは、極めて難しい。用途がモデル及びデータ両方の不確実性に関与しているときには、データ及びモデルに関連する不確実性の相対規模を識別することが極めて重要である。知的システムならば、センサーが誤りデータを生成するように見えることを通告し、そして代替のアルゴリズムに切り換えることになるか、又はいくつかの事例の場合には、任意の予測値を形成する前にギャップを知的に埋めることができる。これらの修復技術のいずれも可能でない場合には、前述のように、間違っているらしいと見極められたアルゴリズムからの情報を戻すよりも、正確な値を戻すことができないという明白なステートメントを戻すことがしばしば著しく好ましい。センサーが故障したら、そしてデータ・チャネルがもはや信頼できくなったらそれを見極めることは、非自明な仕事である。なぜならば、故障したセンサーは他のセンサーのうちのいくつかと一致しているように見える読み取り値をもたらすことがあり、また、データはセンサーの正常な動作範囲内にあることもあるからである。さらに、結果又は警報状態のいずれかを表示する代わりに、システムは、生じ得るエラー状態をも識別する、使用者又は介護者への出力を提供することができるが、しかしなおも、何らかの実体的な出力を提供する。
【0168】
臨床的不確実性は、外見的には相反する結果を示すという条件を意味する。臨床的不確実性は、データから引かれる結論を確信することができない場合に生じる。例えば、温度センサー読み取り値及び/又は加速度計のうちの1つ、又はこれらの組み合わせが、着用者が動かないことを示し、休止している使用者という結論に導き、電気皮膚反応センサーは、極めて高い反応を提供し、活動的な使用者という結論に導き、熱流センサーは、着用者がまだ実質的な熱を分散していることを示し、活動的な使用者という結論に導き、そして心拍数センサーは、着用者の心拍数が上昇していることを示し、活動的な使用者という結論に導くことができる。より劣ったシステムは、センサー間で投票しようとし、又は種々の読み取り値を統合するために同様に根拠のない方法を用いようとするに過ぎない。本発明は、重要な同時確率に重み付けし、最もあり得る適切な結論を見極める。この結論は例えば、着用者が現時点で低動作活動、例えばエアロバイク乗りを行っているか、又は最近行ったことがあることであってよい。
【0169】
本発明の更なる観点によれば、センサー・デバイスを使用することにより、人の状態に関連するパラメータY、好ましくはセンサーによって直接的に測定することができない人の状態を自動的に測定、記憶及び/又は報告することができる。状態パラメータYの一例としては、とりわけ、体温、消費カロリー、エネルギー消費量、睡眠状態、水分補給レベル、ケトーシス・レベル、ショック、インスリン・レベル、肉体疲労及び熱中症が挙げられる。センサー・デバイスは、1つ又は2つ以上のセンサーのうちの特定のものの出力から成る生信号のベクトルを観察することができる。センサーは、このようなセンサーの全て又はこのようなセンサーの部分集合を含んでよい。上記のように、ここでも同じ潜在的な用語の問題となるが、チャネルと呼ばれる或る特定の信号を、生センサー信号のベクトルから同様に誘導することもできる。これらの生及び/又は誘導チャネルのうちの特定のもののベクトルX(ここは生・誘導チャネルXと呼ぶ)が、当該状態パラメータY、又はUと呼ばれるYの或る特定のインジケータの状態、事象及び/又はレベルに応じて、又はこれに対して敏感に、何らかの系統だった方法で変化することになる。UからYが得られるような、YとUとの関係がある。本発明によれば、第1アルゴリズム又は関数f1は、センサー・デバイスを使用して形成され、センサー・デバイスは、入力として生・誘導チャネルXを採用し、予測する出力を提供し、そして(i)状態パラメータY又はインジケータU、及び(ii)個人の他の状態パラメータZに条件付きで依存し、このことは符号
で表される。このアルゴリズム又は関数f1は下記のように表すこともできる:
【0170】
好ましい実施態様によれば、f1は、本明細書の別の箇所で記載されたアルゴリズム開発法を用いて開発される。アルゴリズム開発法は、データ、具体的には、センサー・デバイスによって収集された信号から誘導された生・誘導チャネルX、U又はY及びZに関連する検証可能な標準データを使用する。検証可能な標準データは、正しい答えであるように採用される方法、例えば高精密医療等級実験装置、及び収集データからアルゴリズムを生成するための技術を学習する種々の機械を使用して同時に測定される。アルゴリズム又は関数f1は、インジケータU又は状態パラメータYがいずれの場合にも存在する条件下で形成される。言うまでもなく、この方法を用いて開発される実際のアルゴリズム又は関数は、使用されるセンサー・デバイスの仕様、例えば特定のセンサー及びその配置、並びにセンサー・デバイスの構造全体及び幾何学的形状に高く依存することになる。こうして、1つのセンサー・デバイスで開発されるアルゴリズムは、このアルゴリズムを形成するのに使用されるセンサー・デバイスと実質的には構造的に同一でないセンサー・デバイス上では、もし作業するとしても、同様に作業することはなく、或いは少なくとも、既知の変換パラメータを用いて、デバイス間又はセンサー間で翻訳することができる。
【0171】
次に、生・誘導チャネルXを入力として採用し、予測する出力を提供し、そして、いずれの場合にも、Y又はU以外のf1によって出力されたいずれのものにも条件付きで依存し、そして、いずれの場合にも、Y又はUからは条件付きで独立し、このことは符号
によって示される。この考えによれば、1つ又は2つ以上のセンサーから生・誘導チャネルXのうちの特定のものが、非Y又は非U関連事象に由来する生・誘導チャネルの変化を釈明又はフィルター除去することを可能にする。関数f2のアルゴリズムは下記のように表すことができる:
【0172】
好ましくはf2はf1と同様に、上で参照したアルゴリズム開発によって開発される。しかし、f2はU又はYがいずれの事例にも存在しない条件下で開発され有効にされる。こうして、f2を形成するために使用される検証可能に正確なデータは、高精密医療等級実験装置を使用して測定されたZだけに関連するデータである。
【0173】
こうして、本発明のこの観点によれば、2つの関数が形成されたことになり、このうち一方の関数f1はU又はYに対して敏感であり、他方の関数f2はU又はYに対して敏感でない。言うまでもなく、いずれの場合にも、U又はYをもたらすf1とf2との関係がある。換言すれば、f3(f1,f2)=U又はf3(f1,f2)=Yとなるような関数f3が存在する。例えば、2つの関数(U=f1−f2又はY=f1−f2)によって生成されたデータを差し引くことにより得ることができる。YではなくUがf1とf2との関連から見極められる場合、次のステップは、YとUとの関係に基づいて、UからYを得ることに関与する。例えば、Yは、何らかのファクターでUを割算することによりYが得られるような、Uの固定パーセンテージであってよい。
【0174】
当業者には明らかなように、3つ以上のこのような関数(例えばf1、f2、f3、...f_n-1)を、上述のように、最後の関数f_nによって組み合わせることができる。一般に、本発明のこの観点は、当該パラメータを示すように、出力が互いに変化する関数の集合を組み合わせることを必要とする。やはり言うまでもなく、ここで用いられる条件付き依存又は独立は、正確というよりもむしろ適切であるように定義されることになる。
【0175】
今説明した方法を用いて、例えば、センサー・デバイスを使用して、幼児の体温、又は夜の睡眠中にベッド又はオムツをまさに濡らそうとしている事実、又は個人のカロリー消費量又は摂取量、例えばその人の一日のカロリー摂取量又は表1の他のデータを自動的に測定及び/又は報告することができる。
【0176】
本発明を利用することができる別の具体例は、個人が疲労している場合にそれを検出することに関する。このような検出は2つ以上の方法で実施することができる。第1の方法は、センサー・デバイスを使用し、そして、2関数(f1及びf2)アプローチを用いて、パラメータ、例えばカロリー摂取量、水分補給レベル、睡眠、ストレス、及びエネルギー消費レベルを正確に測定することにより、疲労の推定値を提供することに関与する。第2の方法は、図25との関連において説明した直接誘導アプローチを用いて、直接に疲労をモデル化しようとすることに関与する。この例は、着用者の生理学的状態を予測する複雑なアルゴリズム自体を入力として使用することにより、他のより複雑なアルゴリズムを形成できることを示す。本発明のこのような実施態様の1つの可能な用途は、緊急要員(例えば消防士、警察官、兵士)のためのものである。この場合、着用者は極限状態を蒙り、そして能力が極めて重要である。予備研究において、本発明の譲受人は、訓練を受けている消防士からのデータを分析し、較正センサー値の組み合わせによって、熱ストレスの妥当な測定が可能であることを見極めた。例えば、余りにも長い時間にわたって熱流束が余りにも低く、しかし肌温度は上昇し続ける場合、着用者は問題をかかえていると思われる。言うまでもなく、アルゴリズムは較正センサー値及び複雑な誘導アルゴリズムの両方を用いることができる。ここで図26を参照すると、或る程度制限された通気を有する耐火スーツを着用してトレーニング中の消防士の肌温度をグラフが表している。時点T0とT1との間の領域は、熱流束出力935として識別される出力を提供する熱流束センサーと、肌温度出力926として識別される出力を提供する肌温度センサーとを有するデバイスのベースライン又は標準読み取り値を示す。線921によって示される時点T1において、スーツが着用される。スーツの着用に費やされた労力が、熱流束出力925のピーク925Aによって反映されている。この場合スーツ内部の通気がないことの効果として、続いてすぐに出力925が下降することが示されている。肌温度出力926は、線922によって示された時点T2における練習開始までほとんど変化を示さない。熱流束出力925は下降し続ける一方、肌温度出力926は、線923で示した時点T3における練習終了を通して、一貫した線形の温度上昇を示す。時点T4、線924においてスーツが取り外される。スーツの取り外しに伴う熱流束出力における鋭いスパイク927が示される。出力925,926は、一貫したデータを提供する。データに対する予測は、外挿データ点によって行われる。最も重要なことには、パラメータ、例えば肌温度のターゲットが既知のものであると考えると、大惨事、例えば熱中症又は窒息の前に、警報を鳴らすことができる。二次データ・タイプ、例えば熱流束出力の使用は、示差事象が発生している又は発生していないという確認を提供するのに役立つ。図23に戻ると、腋窩センサーからの読み取り値は、大腿部位に見られるような温度変化の局在化の性質を示し、入浴中の患者のような示差事象を除外する。この能力に関する付加的な機能性は、検出された状態にシステムを適合させることに関連する。新しいパターン及びデータは、一旦分類されると、将来における類似又は関連する事象の予測可能性を改善するのに役立つ。状況を改善すると、予測クロックを容易にリセットするか又は新たに調節することができ、識別された事象を考慮に入れるが、しかしその事象前の時間のデータも評価し、事象タイプの新しい閾値識別子を形成する。
【0177】
ここで図27を参照すると、いくつかのセンサーの出力が、2つのモジュールに対して提供された出力1400からのデータと一緒に示されている。図27のデータは、図23と同様に、左右の大腿部センサー及び腋窩センサーから引き出されたものである。各センサーは、図23の説明と同様に、肌温度出力部と、周囲温度出力部とを有している。腋窩モジュールは従って、腋窩周囲温度出力903と腋窩肌温度出力951とを供給している。左大腿部モジュールは、左大腿部周囲温度出力901と左大腿部肌温度出力953とを供給する。右大腿部モジュールは、右大腿部周囲温度出力902と右大腿部肌温度出力952とを供給する。直腸センサーを設けることにより、それぞれの測定値が相関されるベースライン体内温度読み取り値を提供し、この読み取り値は、直腸センサー出力954によって示される。各大腿部モジュールの誘導温度出力は、左大腿部誘導温度出力956及び右大腿部誘導温度出力955として示されている。
【0178】
図27から、或る大まかな相関関係が引き出されるが、軽く見ただけでも明らかなように、検出された種々の肌温度及び周囲温度は、測定された直腸温度に対して直接的な相関関係をほとんど担わない。腋窩温度は具体的には、身体の運動及び活動によって影響を及ぼされる。身体の運動及び活動は、本明細書中により詳細に記載されるように、多くの活動に関連するコンテクスト測定において、この出力の使用の基礎を成す。図23と同様に、明白なウォームアップ期間は、グラフの最も左側に示される。加えて、ピーク905は、図23に関してより詳しく説明した失禁を示す。左大腿部誘導温度出力956及び右大腿部誘導温度出力955は、しかし、図27の最も右側に示したように、特にウォームアップ期間及び失禁からの回復が生じた後、測定直腸出力954と密接な相関関係を示す。
【0179】
前述のように、付加的なパラメータを加えることにより、誘導温度の精度を高めることができる。他のセンサー、例えば心拍数、電気皮膚反応、及び動作を適切に選択すれば、温度測定値なしに体内温度を予測することもできる。付加的なパラメータを使用することにより、明らかに欠陥のあるデータを排除し、そしてコンテクスト用途の為に適切なアルゴリズムを選択するのを助けることができる。しかし多くの場合、温度自体の誘導形内に、付加的なファクター又は係数として付加的なパラメータが組み込まれる。より具体的には、ここで図28を参照すると、体重の付加的なパラメータを前述の誘導形に加える効果が示されている。直腸温度データ出力954はここでもやはり、誘導測定値の相関のためのベースラインを提供する。単一のモジュール又は複数モジュールの組み合わせから、誘導温度出力957を求めることができる。いずれの場合にも、誘導温度出力957は、図28に示されたように、0.2℃よりも良好であり、より好ましくは0.177℃よりも良好な平均誤差以内で実際の直腸温度を追跡する上で極めて一貫している。臨床的または医学的な用途においては、0.5℃よりも良好な平均誤差を有する精度レベルが必要となる。温度の誘導において重量パラメータを加えるのに伴って、重量によって調節された誘導温度出力958は、0.155℃以内で実際の直腸温度出力954を反映する。その結果、一般には、誘導温度は10%改善される。これは専ら、この1つのパラメータを加えることに起因する。図28は精度の16%の改善を反映している。
【0180】
図29は、活動検出子として周囲温度センサーを使用することを示している。グラフは、5分間にわたって1秒のインターバルで周囲温度分散の出力を、患者Aに関しては左側に、そして患者Bに関しては右側に示している。患者Aは試験期間の大部分にわたって動いていない。患者Bは活動的である。経時的な患者Bの周期温度読み取り値のグラフは、身体領域近くで検知された、高くなった温度を示す。これは、オムツ又は衣服内部に含有されていない周囲温度センサーにも当てはまる。ピークの数及びこれらの量的な値は、患者の活動レベルの良好な洞察を可能にする。加速度計ほどには量的に性格ではないものの、質的には、周囲温度センサーは、着用者の身体の相対運動に関する有意なデータ量を提供する。このデータ量は、本明細書中により詳細に記載される多くの誘導形にとって有用であり得る。なお具体的には、デバイスの1実施態様は周囲温度だけを監視することにより、着用者の基本的な活動データを提供することができる。
【0181】
図30及び31はまた、コンテクスト及び活動レベルに関する情報の付加的なタイプを示している。これらの情報は、温度モジュールの使用及び関連の処理から誘導することができる。図面は両方とも2つのモジュールの出力を示す。一方は大腿部位に配置されており、他方は腰部位に配置されている。この特定の事例の場合、位置は測定にさほど重要ではない。大腿部肌温度出力981、大腿部周囲温度出力979、腰肌温度出力982、及び腰周囲温度出力978を、時間に対してグラフに示す。それぞれは、時点T1から時点T2までの当該相対期間を示す。図30の場合、それぞれ線976,977によって区切られた時点T1及びT2は、母親によって抱きかかえられている間の幼児患者の睡眠期間を示す。図31は線976A,977Aによって区切られた同様の期間を示す。この期間中、幼児は車のシートで寝ていた。睡眠期間中の4つ全てのセンサーからのデータの一貫性、並びにグラフ特性間の明確な差異の両方に注目することが重要である。図31における睡眠中の小児の体温は、ゆっくりと低下しており、このことは、一般的な邪魔されることのない睡眠と一致する。図30における睡眠中に抱きかかえられた小児は、しかし、この時間中に、比較的フラットな温度プロフィールを維持している。従って、幼児が抱きかかえられているかどうか、そしてその期間を見極めることが可能である。加えて、睡眠期間を検出して記録することもできる。
【0182】
デバイスは、適切なデータを検出することにより、上述のように患者に他の人が接近していることを誘導することもできる。しかし、他の方法を採用することにより、センサーの近くの身体の存在を検出することもできる。接近検出は目下、(i)調和された検出子を有する予め選択されたデバイスの存在を検出すること;又は(ii)ビデオカメラ又は動作センサーのような外部装置を使用すること、に関与する。或る人が物体に接近するとそれを好都合に知る方法は目下のところない。ここに開示されているものは、センサーから数フィート以内に有意な静電荷を保持し得る物体の動作を検出するようになっている。さらに、この検出は磁場に基づいているので、信号強度又は検出電荷と距離との関係は、強度=1/距離2と相関されることが知られている。人体はほとんどが水から形成されているので、ほとんどの固体無生物物体、例えば椅子が持たないような特性を有している。原理的には、このようなセンサーによって、動く猫や犬は人と間違えられるおそれがあるが、これらの動物は小児と比較しても、保持する電荷が著しく小さいので、センサーに対して同じ効果を発揮するために、動物はより接近しなければならない。
【0183】
このタイプの接近検出子は、銅板の周囲キャパシタンスの周りに構成されたR/Cオシレータを利用する、人体上へのデバイスの取り付け時、又はデバイス・アームバンドに対して他の物体を近付ける/遠ざける時のように、板を取り囲む環境が変化するのに伴って、板のキャパシタンスの変化は、オシレータの周波数を変化させる。次いでオシレータの出力をプロセッサのカウンタ/タイマー内に入力する。別の実施態様は、極めて高いゲート入力インピーダンスを有するFETトランジスタの入力に関連する短いアンテナを利用する。アンテナを取り囲む環境内の極めて僅かな変化でも、FET増幅器の出力に極めて検出可能な変化を引き起こす。回路が他の物体に向かって空気中を移動させられ、そして、物体がアンテナに接近させられると、出力の変化が検出される。動作を反映する電荷は、静電荷の性質であると考えられる。
【0184】
キャパシタンス及び上記の他の技術に加えて、電気皮膚反応、熱流束、音響及び動作を含む他のセンサーを利用して、このタイプの接近検出を可能にするか又は向上させることにより、より大きな信頼性、精度及び信頼度を持ってこれらのコンテクスト点を認識するのを助けることができる。
【0185】
上記の接近検出子は多くの用途を有することができる。これらは、コンピュータと相互作用するためにデバイスを使用して、スクリーン・セーバーが、最後にキーを叩いてから所定の時間経過後にではなく、操作者が立ち去ってからすぐにオンになり、着席すると、接触開始することなしに、正常のスクリーンに戻るようになることを含む。リモート・コントロール、明かりのスイッチ、電話、又は暗所に使用される他の物品のためのバックライトを、身体が存在する場合には活性化するとともに、これにより明かり又はデバイスを制御することができる。大人が存在するときにはロック解除又は開放旋回されるが、しかし子供しか近くにいないときにはそうならないように、チャイルド・プルーフ・ゲートを構成することができる。携帯電話又は他の通信デバイスは、使用者がこれを身に付けているか又は傍らに例えば寝室のランプに置いているどうかを承知していることもできる。デバイスは、2つの状態で2つの異なるモードを有するようにプログラミングすることにより、必要に応じて、電力を削減し、eメールをダウンロードすることなどができる。
【0186】
安全関連の実施態様は、人が酒、銃又は現金のキャビネットに近付くか又は開けたかどうかを知ることを含むことができる。監視のないプール又は海辺を含む危険な場所又は状況の近くにいる人々が検出される。キーホルダー又はその他の器具に埋め込まれたデバイスが、暗い駐車場又は建物の隅に人が近付いているかどうかを検出可能にする。自動車に関しては、デバイスは大人又は子供が運転席にいるかどうかを検出し、イグニッションを無効にすることができる。
【0187】
娯楽関連の多数の実施態様も考えられる。プレーヤーがスクリーンに向かって走るとズームインするが、プレーヤーがスクリーンから離れる方向に走ると、通常のビューにズームバックするか又はさらにズームアウトするようなビデオゲームが提供される。同様に、ビデオ以外のゲームの場合、二人のプレーヤーがボールでプレーする場合、そしてボールは彼等に接近すると、明るく輝き、しかし彼等から遠ざかると、それが別の人に到達するまで薄暗くなる。このシステムは、この効果を中断するようにボールをトリガーする大人のアプローチを検出することもできる。コンセプトを共有の遊び場におけるカラフルボール・ピットに広げる。ここでは、子供がこれらのピットを這い回り飛び回ると、ボールの塊が直接ひとりでに輝き、これに対してピットの他の側へ行ったボールは、別の子供のために輝くか、又は子供がそこにいないという理由から暗くなる。最後に、使用者の様式化画像の影を表示するビデオ壁を提供することができる。使用者がその手を壁に近付けると、ほぼ手のサイズの領域がその近くで暗くなるが、しかし、仮想ポインターになることもでき、或いは、ペイント・ディスペンサーがその壁上に絵を描くこともできる。このことを範囲拡大して、水の噴流を操作して制御することにより噴水を、その中で遊ぶ子供に応じて作ることも容易にでき、これにより、子供を追跡し、又は子供の近くにパターンを作ることができる。逆に、システムは子供が立ちはだかっている特定の噴流を止め、子供をその水噴流の追跡者にする。この場合にもやはり、これは子供だけのための特殊効果となり、この効果は大人の近くでは途絶える。
【0188】
図32は、特定の事象又は活動の検出を明確に示す別の図である。大腿部肌温度出力979及び大腿部周囲温度出力981を生成する単一の大腿部モジュールを利用する。この図では、患者のオムツは、時点T1において直腸データポイント991を収集するために取り外された。大腿部周囲温度出力981において、時点T1直前に特徴的な谷部992が生じ、大腿部肌温度センサー出力979が対応して変化しないことは、肌温度の変化なしに周囲条件が突然変化したことを示す。このパターンは識別可能且つ反復可能であり、システムが当該パラメータを観察することを学習すると、信頼性高く検出することができる。
【0189】
同様に、図33は休息と活動との区別を示す。図27及び29と関連した発見と一致して、周囲温度センサーの使用によって活動をモニタリングすることができる。この事例では、図27と一致して、患者には3つのモジュールが適用される。これらのモジュールは左右の大腿部及び腋窩に用いられる。出力は、左大腿部周囲温度出力901、右大腿部周囲温度出力902、及び腋窩周囲温度出力903を含む。時点T0と線993で示される時点T1との間の時間中、患者は活動的である。このことは周囲温度における概ねランダム且つ周期的な変化、並びにより大きい特徴の小さな中間ピークによって特徴付けられる。これらは、一連の中間ピーク1001’をさらに含むピーク1001によって例示される。時点T1において、患者は読み取り中、あまり動かないようになった。腋窩周囲温度出力903の時点T1直後の時間において、質的な値及び波形特性の両方の瞬間的な変化が注目される。大腿部出力に対応するグラフ全体を照らして見ると、これと同じ時間中の大腿部出力においていくつかの変化が明らかであるが、これらの変化ははっきりせず、顕著なものではない。しかし、注目できるのは、活動時間及び休息時間を、時間内の特定の識別可能な瞬間におけるこれら2つの界面と一緒に検出できることである。活動モニターは、着用者の転倒を検出し、親又は介護者に警報又は警告の音で知らせることもできる。
【0190】
本明細書中により詳細に記載されているような、デバイスの活動性モニタリング機能は、数多くの用途にとって有用であるが、これらは全体的には正確ではない。しかし、デバイスは、睡眠状態及び静止状態を見極め認識することができる。なぜならばセンサーは定常であり、近くで一緒に追跡しているからである。従って、総時間から不活動時間を差し引くことにより、所与の期間中、使用者がどれほど活動的であったかを報告するモニターを提供することもできる。加速度計を加えることにより、身体的活動性をより正確に測定することができる。しかし、温度センサーは、モニタリングのようなコンテクストをフィルタリングにより除去する能力を改善する。これらのコンテクストは、歩数計及びエネルギー消費モニターを含む、加速度計に基づく検出子において不正確さをもたらす。
【0191】
上記種々の検出能力のためのいくつかの重要な用途は:(i)託児所又は他の広域保育施設における幼児及び小児のモニタリング;(ii)保護施設又はその他の介護施設における重要になりつつある老親のモニタリング、である。両事例においても、被介護者の虐待及び無視の両方に対処すべき有意義な機会が持ち上がっている。加えてこれらの人々の家族及び/又は親が、特に適切な介護を観察又は実施するために物理的にその場にいない場合、提供されている介護のモニタリング及び評価の両方を行う能力に関して一定の関心を持っている。本明細書中に記載されたシステムを十分に利用して、信頼性の高い、そして不正防止された観察を患者に施すことができる一方、観察者は離れた場所から、進ちょく状況及び介護を追跡することができる。この追跡は、乳児モニター様式のレシーバと同じほど単純なデバイス、又は、Teller他の同時係属中の米国特許出願第09/595,660号明細書及び同第09/923,181号明細書の幅広い教示内容によるデバイスの出力を受信するための好適なネットワークに接続された任意のコンピュータ・デバイスを用いて行うことができる。ここに提供されたデータ及び誘導された情報の外挿により、例えば、排尿及び排便の性質及び頻度、対応するオムツ交換、歯痛、他人との密な交流時間、抱きかかえられている時間、睡眠時間、累積的不眠、活動時間、寝たきり患者の体位交換、揺すり又は他の虐待、過熱などを見極めることができる。給食パターンを認識し、そして次の給食のためにその時間を介護者に予測/警告することができるデバイスを提供することもできる。このことはデバイスの活動モニタリング能力を用いることにより達成することができ、これによりエネルギー消費量をおおまかに計算するか、又は単にタイミング・パターンを認識することができる。
【0192】
さらに、デバイスは、固有の識別タグを備えることができる。このタグは、無線又は他の近接関連送信を介して送信可能であってもよく、これにより、各モジュールは或る特定の周辺内にどの他のモジュールが来たかを検出して記録することができる。これは軍事、施設及び教育環境において適用することができる。このような環境においては、どこに人がいるかだけではなく、誰に人が接触したかを知ることが有用である。このことはまた生物又は化学テロ攻撃においても有用である。さらに、上記育児環境において、親又は介護者にとって、それぞれの子供の社会的な接触のレベル及びタイプを評価することが有用である場合がある。
【0193】
幼児及びその他のコミュニケーション能力のない子供及び大人に関して、デバイスを利用して、環境温度快適レベルを見極めることができる。これは、着用者が特定の部屋内で熱すぎるか又は冷たすぎるか、或いは着ている衣服が重すぎるか又は軽すぎるかを見極めることに関する。上記浴室トレーニング例と同様に、各着用者の特定の快適ゾーン、並びに、個人がそのような状態になっている間、なる前及び後に検出された付随的な生理学的又は感情的応答を見極めるために、学習期間が必要である。加えて、個人化前又はその代わりに使用するために、或る特定の一般化された快適温度ゾーンをデバイスによって提供することができる。最も極端な場合、デバイスは低体温及び高体温、震え、上記消防士の例に関して参照した該当レベルへの体内温度又は肌温度の上昇を検出することもできる。
【0194】
新しい親、新しい介護者、又は介護責任の変化を含む多くの状況において、未熟な監視しかない状況に幼児は置かれるおそれがある。幼児が泣くのは、主要なコミュニケーション手段である。残念ながら、幼児がなぜ泣いているのか多くの理由があるにもかかわらず、未熟な介護者はしばしば、問題をどう診断すればよいか途方に暮れる。デバイスは、データ及び/又は排除プロセスの検出、誘導を介して、なぜ幼児が泣いているのかを見極めるように適合することができる。このことは幼児にとって特に有用ではあるが、コミュニケーション能力のない大人及び老人にも明らかに適用可能である。
【0195】
システムは、着用者が温度検知を通して熱を有することを見極めることができる。システムは同様にオムツが汚れていることを見極めることができる。上述のような温度検知は、着用者があまりにも熱いか又は余りにも冷たいかに関する情報を提供することもできる。挙動パターンに基づいて多くのことを見極めることもできる。幼児は特に、規則的なスケジュールで食事し、給食のタイミングを検出及び/又は誘導し、そして報告することができる。加えて、これらの事象は、排卵、及びおねしょなどに関して示されたように、検出されたパターンに基づいて予測することができる。腸及び胃の音のためにマイクロフォン又はその他のオーディオ検出子を使用することによって、空腹を検出することもできる。最後に、不眠は、特に、不眠に関連する又は不眠によって影響される付加的パラメータ、例えば免疫応答、機敏さ及び社交術の変化が検出、認識又は誘導される場合に、予測又は検出することができるパターンに基づく別の挙動である。
【0196】
システムは、それぞれの着用者の日常の報告を作成する能力を備えてよい。これは、過去の長い期間にわたって着用者に起こったことに、親又は介護者がアクセスするために最も有用である一方、スケジュールを有する挙動又はパターン挙動を予測するものとして使用することもできる。このことは、例えば、最も予期される事象又は挙動を含む監視時間マップを提供されることになる新しい介護者又はベビーシッターにとって最も有用である。
【0197】
一貫した活動又はパターン活動を経時的に追跡する際に、パターン又は生理学的パラメータの変化を検出することができる。このことは、長い期間にわたって発生する小さな変化に特に当てはまる。このことは或る特定の疾患又は状態の検出又は診断の助けとなり得る。これは、検出された生理学的パラメータ、コンテクスト、誘導パラメータ、及び上記のものの組み合わせの間の相関を形成する上でも有用である。例えば、いくらかの時間後に、高い質の睡眠が、先立つ6時間以内に行われた有意な運動に相関されることが明らかとなってくることがある。従って、より著しい減量が、より良好な睡眠パターンに高く相関することが明らかになってくることがある。
【0198】
幼児が成長して成熟するにつれて、パターン内に変化が発生し、温度値が体内で変化する。温度調節系が十分には発達していない幼児は、温度プロフィールにおいて鋭い変動及びスパイクを示す。身体が成熟し、そして成長して脂肪を加えると、これらの温度変動はさほど鋭くはなくなる。この系は次いで、経時的なこれらの温度変動の持続的な記録に基づいて、成長の評価を可能にする。
【0199】
薬物投与のような多くの状況において、身体的治療又は妊娠中の女性の活動制限、所定の時間にわたる適正な手順のコンプライアンスが重要である。多くの事例では、個人でさえ、処方された手順又はプログラムの自身のコンプライアンスの質的性質を評価することはできない。他の事例では、医療従事者又は介護者は、患者のコンプライアンス・レベルを評価してモニタリングしなければならない。システムはこれらの評価を、重大な妨害なしに行うことを可能にし、その結果は信頼を伴う。この状況において、保険会社又は雇用者はこのシステムを使用して、着用者がプログラムに従う範囲又は或る特定の目標に達する範囲に関する報告を収集及び/又は生成することができる。これらの報告は次いで、保険会社又は雇用者に、分析のために送信することができる。
【0200】
本明細書中に記載された特徴及び機能性の多くは、或る特定のパラメータの検出;或る特定のコンテクスト、パラメータ又は結果の誘導、及び或る特定の事象及びコンテクストの適切な識別に基づく。システムがこれらの見極めを正確に行う能力は、試料のサイズ及び知識ベースに対して比例する。このことは、性質による特定の事象の検出、及び検出された信号、例えば排尿失禁の相互作用の両方に関して当てはまるが、見極めを行うより正確なアルゴリズムにも当てはまる。システムは具体的には、より大きいシステム、より具体的には、Tellerの同時係属中の米国特許出願第09/595,660号明細書によるシステムと通信するように適合される。このシステムは、識別された事象に先立つ信号をより正確に認識するために、相関されたデータ及び誘導形と一緒に、多数の着用者からの総合データを収集することを含んでよい。システム処理の変更形及び/又はアルゴリズムを次いで使用者のシステム及びモジュールに、更新として再送信することができる。
【0201】
任意のモニタリング・デバイスの2つの他の重要な観点、すなわち、ユニットの不具合の検出、及び外部ファクターによるシステム混乱の防止、に対処しなければならない。その適切な取り付け位置からのモジュールの取り外しに関しては、図34が、この事象に関連した容易に検出可能なパターン及びデータを示している。図33と同様に、患者には3つのモジュール、すなわち左右の大腿部及び腋窩モジュールが適用される。出力は左大腿部周囲温度出力901と右大腿部周囲温度出力902及び腋窩周囲温度出力903を含む。線1010によって示された時点T1において、腋窩センサーはピーク1002で取り外し状態になる。データ記録には、谷部1002’が瞬時に形成される。線1015によって示された時点T2において、右大腿部センサーがピーク1003で取り外し状態になり、データ内に谷部1003’が形成される。なお、波形1003’の形状は、取り外し波パターンにとってより典型的である。いずれの事象中にも左大腿部周囲温度出力901のような他のセンサーの対応変化がない、これらの突然の温度変化は、この不具合を信頼性高く一貫して識別し、そしてこの状況を改善するように介護者に通告することを可能にする。
【0202】
デバイスの付加的な機能性は、検知パラメータ、誘導パラメータ及びコンテクストを利用して、他のデバイスを制御することができる。例えばユーザーが余りにも冷たいとシステムが検知したら、システムは、使用者が位置する部屋の温度を上げるようにサーモスタットに対する信号を発生させることができる。さらに、システムは睡眠状態を検出して、このような時間中電話が鳴るのを防止するか、又は、明かり又はテレビをオフにすることができる。デバイスは、上記温度検知機能及び動作検出機能を介して、コンピュータ又はビデオゲーム・システムとの相互作用のためのポインティング・デバイスとして利用することもできる。システムはまた、バイオフィードバック分野で知られた信号又は方法を利用して、感情的又は生理的状態を検出するために、或いは、着用者による身ぶりを検出し、そしてバイオフィードバック又は検出されたこれらの身ぶりを用いて別のデバイスを制御するために、ビデオゲームと同様に利用することもできる。身ぶりは手足及び/又は全身の特定化された動作を含むことができる。制御されるデバイスは、舞台照明、プロジェクター、音楽・ダンスクラブのインタラクティブ型の照明を有する床、音楽デバイスは、ステージをベースとするデバイス、並びに、グループ又は個人のMP3プレーヤーを含んでよい。
【0203】
本発明の特定の実施態様を添付の図面に示し、前述の詳細な説明において説明してきたが、本発明は開示された実施態様だけに限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲において特定したように、数多くの配置替え、変更及び置換を施すことが可能であることをさらに理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】体温測定モジュールを種々のレシーバと併用するシステムの説明図である。
【図2A】体温測定モジュールのコア板ばね実施例の頂面図である。
【図2B】体温測定モジュールのコア板ばね実施例の側面図である。
【図2C】体温測定モジュールのコア板ばね実施例の端面図である。
【図2D】体温測定モジュールのコア板ばね実施例の底面図である。
【図3】体温測定モジュールのコア板ばねの他の実施例の斜視図である。
【図4】利用者の身体に装着された体温測定モジュールの断面図である。
【図5A】体温測定モジュールの好ましい実施例の頂面から見た斜視図である。
【図5B】体温測定モジュールの好ましい実施例の底面から見た斜視図である。
【図5C】体温測定モジュールの第2実施例の頂面図である。
【図6】体温測定モジュールの好ましい実施例の分解図である。
【図7A】体温測定モジュールの第3実施例の底面側から見た斜視図である。
【図7B】体温測定モジュールの第3実施例の断面図である。
【図7C】利用者の身体に体温測定モジュールの第3実施例を装着するための接着片の頂面図である。
【図8】体温測定モジュールの第4実施例の分解図である。
【図9】着脱自在なハンドルを有する体温測定モジュールの第5実施例の3つの局面を示す頂面図である。
【図10】体温測定モジュールの第6実施例の斜視図である。
【図11A】体温測定モジュールの第7実施例の5つの局面を示す説明図である。
【図11B】体温測定モジュールの第7実施例の5つの局面を示す説明図である。
【図11C】体温測定モジュールの第7実施例の5つの局面を示す説明図である。
【図11D】体温測定モジュールの第7実施例の5つの局面を示す説明図である。
【図11E】体温測定モジュールの第7実施例の5つの局面を示す説明図である。
【図11F】体温測定モジュールの第7実施例の5つの局面を示す説明図である。
【図12】体温測定モジュールの第8実施例の説明図である。
【図13】体温測定モジュールの第9実施例の説明図である。
【図14】体温測定モジュールの第10実施例の説明図である。
【図15】体温測定モジュールの第11実施例の説明図である。
【図16】レシーバの第1実施例を示すダイヤグラムである。
【図17】受信ディスプレイを示すダイヤグラムである。
【図18A】受信ディスプレイの追加ダイヤグラムである。
【図18B】受信ディスプレイの追加ダイヤグラムである。
【図18C】受信ディスプレイの追加ダイヤグラムである。
【図19】体温測定モジュールにおける回路の第1実施例を示すブロックダイヤグラムである。
【図20】体温測定モジュールにおける回路の第2実施例を示すブロックダイヤグラムである。
【図21A】レシーバを含む体温測定モジュールにおける回路の第3実施例を示すブロックダイヤグラムである。
【図21B】レシーバを含む体温測定モジュールにおける回路の第3実施例を示すブロックダイヤグラムである。
【図22】体温測定モジュールの動作を説明するロジックダイヤグラムである。
【図23】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図23A】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図23B】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図24】体温測定モジュールの動作に利用される論理の特徴を示すダイヤグラムである。
【図24B】体温測定モジュールの動作に利用される論理の特徴を示すダイヤグラムである。
【図25】体温測定モジュールの動作に利用される論理の特徴を示すダイヤグラムである。
【図26】体温測定モジュールの出力を示すグラフである
【図27】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図28】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図29】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図30】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図31】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図32】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図33】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【図34】体温測定モジュールの出力を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の状態パラメータをモニターするためのデバイスにおいて、
着用者の肌との絶縁界面を画定する肌界面を有するハウジングと;
前記ハウジング内の前記肌界面に設けられ、前記着用者の肌と直接熱接触して、前記着用者の肌温度を検知し、この肌温度を示すデータを生成する肌温度センサーと;
前記ハウジングの他方の面に設けられ、ハウジングを囲む閉鎖された空間内の温度条件を検知し、この温度条件を示すデータを生成する周囲温度センサーと;
前記ハウジング内に設けられた前記両センサーと電子交信可能な関係にあり、前記両温度を示すデータの少なくとも一部を受信し、このデータ部分から誘導される体内温度パラメータを生成するプロセッサ
から成ることを特徴とする前記デバイス。
【請求項2】
前記ハウジングが凸面状を呈する肌界面および凹面状を呈する外気側の面をも含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記周囲温度センサーを、前記凹面状を呈する外気側の面に設けたことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記肌界面が長手方向軸に沿った突出部と、前記突出部の近傍に位置する少なくとも1部位の凹部を有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記両温度センサーが少なくとも1つのサーミスタを含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
熱流束センサーをも含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ハウジングが前記熱流束センサーの近傍に、前記肌界面から外気側の面まで延びるオリフィスをも含むことを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ハウジングを前記着用者の肌に固定するための接着パッドをも含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記接着パッドが少なくとも1つのセンサーを含むことを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記接着パッドが前記ハウジングとの電子交信のための少なくとも1つの電気接点をも含むことを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記閉鎖空間がオムツによって画定されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記閉鎖空間が着衣によって画定されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
電気皮膚反応センサーと心拍センサーのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記プロセッサと電子交信できるように着用者の身体に間接的に取り付けたセンサーをも含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記誘導された体内温度パラメータが着用者の体内温度であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記誘導された体内温度パラメータが事象であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記事象が排尿と排便のいずれかであることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記プロセッサが前記事象の直前に前記事象に関連する信号を認識することを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記プロセッサが前記信号を認識すると直ちに通告を発することを特徴とする請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記誘導された体内温度パラメータが体調であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記プロセッサが前記体調の発現直前に信号を認識することを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記プロセッサが前記信号を認識すると直ちに通告を発することを特徴とする請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記誘導された体内温度パラメータが行為であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
前記プロセッサが前記行為の開始直前に信号を認識することを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記プロセッサが、前記信号を認識すると直ちに通告を発することを特徴とする請求項22に記載のデバイス。
【請求項26】
前記センサーのそれぞれがセンサー列を含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項27】
前記着用者が追加の生理学的情報および追加の人口学的情報のいずれか一方を入力するための入力手段をも含み、前記追加の情報が前記誘導された体内温度パラメータを生成するための入力を含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項28】
前記ハウジングを前記着用者の大腿部に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項29】
前記ハウジングを、鼠径部、腋の下、上腕、腿の内側、股下/股間、上記鼓膜位置と関連する耳および耳たぶの背後、ひたい、足の裏、手のひら、指、手首、眼角と鼻側部の間、胸郭、および背中の背骨沿い位置のうちの少なくとも1つに取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項30】
前記ハウジングが着用者の肌に圧力を加えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項31】
前記誘導された体内温度パラメータを利用することにより、排卵、月経および一過性熱感の1つを予告することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項32】
前記誘導された体内温度パラメータを利用することにより、身体からのハウジングの脱落を検知することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項33】
前記デバイスの少なくとも一部が使い捨てであることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項34】
デバイス全体が使い捨てであることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項35】
前記デバイスがオムツまたは衣類に固定されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項36】
体調パラメータをモニターするためのデバイスにおいて、
肌界面を有するモジュール・ハウジングと;
前記ハウジング内の前記肌界面に、着用者の肌と直接熱接触するように取り付けられ、前記着用者の肌温度を検知し、この肌温度を示すデータを生成する肌温度センサーと;
前記ハウジングの他方の面に設けられ、前記ハウジングを囲む閉鎖された空間内の温度条件を検知し、この温度条件を示すデータを生成する周囲温度センサーと;
前記ハウジング内に設けられた前記両センサーと電子交信可能であり、(i)前記温度を示す前記データの少なくとも一部を受信し、(ii)前記着用者の前記温度を示す前記データの少なくとも一部を受信ユニットへ送信する第1プロセッサと;
前記受信ユニットから成り、
前記受信ユニットが
前記着用者の前記温度を示す前記送信されたデータを受信するためのレシーバと;
前記着用者の誘導された体内温度に基づくパラメータを生成するための第2プロセッサと;
前記着用者の前記誘導された体内温度に基づくパラメータを伝達するためのデータ出力手段から成ることを特徴とする前記デバイス。
【請求項37】
前記レシーバと前記モジュールが互いに固定されていることを特徴とする請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
前記データ出力手段が画像ディスプレイ、オーディオ・ディスプレイ,触知信号発生器およびブライユ・ディスプレイのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項36に記載のデバイス。
【請求項39】
前記レシーバが追加の温度センサーをも含むことを特徴とする請求項36に記載のデバイス。
【請求項40】
前記データ出力手段が事象、行為および体調のいずれか1つの表示内容を提供することを特徴とする請求項36に記載のデバイス。
【請求項41】
前記表示内容が近い将来の事象、行為および体調の予告であることを特徴とする請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
体調パラメータをモニターするためのデバイスにおいて、
別の温度条件を検知し、この温度条件を示すデータを生成するための少なくとも1つの周囲温度センサーと;
前記少なくとも1つのセンサーと電子交信関係にあり、(i)前記温度を示す前記データの少なくとも一部を受信し、(ii)前記着用者の体調、行為および前記着用者に関連する事象のうちの少なくとも1つを含むパラメータを誘導するプロセッサから成ることを特徴とする前記デバイス。
【請求項43】
前記事象が排尿および排便のいずれかであることを特徴とする請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
前記プロセッサが前記事象に関連する信号を前記事象の直前に認識することを特徴とする請求項42に記載のデバイス。
【請求項45】
前記プロセッサが前記信号を認識すると直ちに通告を発することを特徴とする請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記プロセッサが前記体調の発現直前に信号を認識することを特徴とする請求項42に記載のデバイス。
【請求項47】
前記プロセッサが前記信号を認識すると直ちに通告を発することを特徴とする請求項46に記載のデバイス。
【請求項48】
前記誘導された体内温度パラメータが行為であることを特徴とする請求項42に記載のデバイス。
【請求項49】
前記プロセッサが前記行為の開始直前に信号を認識することを特徴とする請求項48に記載のデバイス。
【請求項50】
前記プロセッサが前記信号を認識すると直ちに通告を発することを特徴とする請求項49に記載のデバイス。
【請求項1】
人体の状態パラメータをモニターするためのデバイスにおいて、
着用者の肌との絶縁界面を画定する肌界面を有するハウジングと;
前記ハウジング内の前記肌界面に設けられ、前記着用者の肌と直接熱接触して、前記着用者の肌温度を検知し、この肌温度を示すデータを生成する肌温度センサーと;
前記ハウジングの他方の面に設けられ、ハウジングを囲む閉鎖された空間内の温度条件を検知し、この温度条件を示すデータを生成する周囲温度センサーと;
前記ハウジング内に設けられた前記両センサーと電子交信可能な関係にあり、前記両温度を示すデータの少なくとも一部を受信し、このデータ部分から誘導される体内温度パラメータを生成するプロセッサ
から成ることを特徴とする前記デバイス。
【請求項2】
前記ハウジングが凸面状を呈する肌界面および凹面状を呈する外気側の面をも含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記周囲温度センサーを、前記凹面状を呈する外気側の面に設けたことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記肌界面が長手方向軸に沿った突出部と、前記突出部の近傍に位置する少なくとも1部位の凹部を有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記両温度センサーが少なくとも1つのサーミスタを含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
熱流束センサーをも含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ハウジングが前記熱流束センサーの近傍に、前記肌界面から外気側の面まで延びるオリフィスをも含むことを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ハウジングを前記着用者の肌に固定するための接着パッドをも含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記接着パッドが少なくとも1つのセンサーを含むことを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記接着パッドが前記ハウジングとの電子交信のための少なくとも1つの電気接点をも含むことを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記閉鎖空間がオムツによって画定されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記閉鎖空間が着衣によって画定されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
電気皮膚反応センサーと心拍センサーのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記プロセッサと電子交信できるように着用者の身体に間接的に取り付けたセンサーをも含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記誘導された体内温度パラメータが着用者の体内温度であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記誘導された体内温度パラメータが事象であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記事象が排尿と排便のいずれかであることを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記プロセッサが前記事象の直前に前記事象に関連する信号を認識することを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記プロセッサが前記信号を認識すると直ちに通告を発することを特徴とする請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記誘導された体内温度パラメータが体調であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記プロセッサが前記体調の発現直前に信号を認識することを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記プロセッサが前記信号を認識すると直ちに通告を発することを特徴とする請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記誘導された体内温度パラメータが行為であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
前記プロセッサが前記行為の開始直前に信号を認識することを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記プロセッサが、前記信号を認識すると直ちに通告を発することを特徴とする請求項22に記載のデバイス。
【請求項26】
前記センサーのそれぞれがセンサー列を含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項27】
前記着用者が追加の生理学的情報および追加の人口学的情報のいずれか一方を入力するための入力手段をも含み、前記追加の情報が前記誘導された体内温度パラメータを生成するための入力を含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項28】
前記ハウジングを前記着用者の大腿部に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項29】
前記ハウジングを、鼠径部、腋の下、上腕、腿の内側、股下/股間、上記鼓膜位置と関連する耳および耳たぶの背後、ひたい、足の裏、手のひら、指、手首、眼角と鼻側部の間、胸郭、および背中の背骨沿い位置のうちの少なくとも1つに取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項30】
前記ハウジングが着用者の肌に圧力を加えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項31】
前記誘導された体内温度パラメータを利用することにより、排卵、月経および一過性熱感の1つを予告することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項32】
前記誘導された体内温度パラメータを利用することにより、身体からのハウジングの脱落を検知することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項33】
前記デバイスの少なくとも一部が使い捨てであることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項34】
デバイス全体が使い捨てであることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項35】
前記デバイスがオムツまたは衣類に固定されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項36】
体調パラメータをモニターするためのデバイスにおいて、
肌界面を有するモジュール・ハウジングと;
前記ハウジング内の前記肌界面に、着用者の肌と直接熱接触するように取り付けられ、前記着用者の肌温度を検知し、この肌温度を示すデータを生成する肌温度センサーと;
前記ハウジングの他方の面に設けられ、前記ハウジングを囲む閉鎖された空間内の温度条件を検知し、この温度条件を示すデータを生成する周囲温度センサーと;
前記ハウジング内に設けられた前記両センサーと電子交信可能であり、(i)前記温度を示す前記データの少なくとも一部を受信し、(ii)前記着用者の前記温度を示す前記データの少なくとも一部を受信ユニットへ送信する第1プロセッサと;
前記受信ユニットから成り、
前記受信ユニットが
前記着用者の前記温度を示す前記送信されたデータを受信するためのレシーバと;
前記着用者の誘導された体内温度に基づくパラメータを生成するための第2プロセッサと;
前記着用者の前記誘導された体内温度に基づくパラメータを伝達するためのデータ出力手段から成ることを特徴とする前記デバイス。
【請求項37】
前記レシーバと前記モジュールが互いに固定されていることを特徴とする請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
前記データ出力手段が画像ディスプレイ、オーディオ・ディスプレイ,触知信号発生器およびブライユ・ディスプレイのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項36に記載のデバイス。
【請求項39】
前記レシーバが追加の温度センサーをも含むことを特徴とする請求項36に記載のデバイス。
【請求項40】
前記データ出力手段が事象、行為および体調のいずれか1つの表示内容を提供することを特徴とする請求項36に記載のデバイス。
【請求項41】
前記表示内容が近い将来の事象、行為および体調の予告であることを特徴とする請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
体調パラメータをモニターするためのデバイスにおいて、
別の温度条件を検知し、この温度条件を示すデータを生成するための少なくとも1つの周囲温度センサーと;
前記少なくとも1つのセンサーと電子交信関係にあり、(i)前記温度を示す前記データの少なくとも一部を受信し、(ii)前記着用者の体調、行為および前記着用者に関連する事象のうちの少なくとも1つを含むパラメータを誘導するプロセッサから成ることを特徴とする前記デバイス。
【請求項43】
前記事象が排尿および排便のいずれかであることを特徴とする請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
前記プロセッサが前記事象に関連する信号を前記事象の直前に認識することを特徴とする請求項42に記載のデバイス。
【請求項45】
前記プロセッサが前記信号を認識すると直ちに通告を発することを特徴とする請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記プロセッサが前記体調の発現直前に信号を認識することを特徴とする請求項42に記載のデバイス。
【請求項47】
前記プロセッサが前記信号を認識すると直ちに通告を発することを特徴とする請求項46に記載のデバイス。
【請求項48】
前記誘導された体内温度パラメータが行為であることを特徴とする請求項42に記載のデバイス。
【請求項49】
前記プロセッサが前記行為の開始直前に信号を認識することを特徴とする請求項48に記載のデバイス。
【請求項50】
前記プロセッサが前記信号を認識すると直ちに通告を発することを特徴とする請求項49に記載のデバイス。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公表番号】特表2007−530154(P2007−530154A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505091(P2007−505091)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/009476
【国際公開番号】WO2005/092177
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
2.Bluetooth
3.ZIGBEE
【出願人】(501058168)ボディーメディア インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/009476
【国際公開番号】WO2005/092177
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
2.Bluetooth
3.ZIGBEE
【出願人】(501058168)ボディーメディア インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]