説明

非対称性複合電極支持構造体

【課題】非対称性支持構造体および関連するこれらの構造体を体内領域に配置する方法を提供する。
【解決手段】複合電極支持構造体(20(a))は、軸方向または半径方向、あるいはその両方向に非対称性の幾何図形的配列を有する。非対称性支持構造体を遠位ハブ(24)および近位基部(26)間を伸長するスプライン構成要素(51、58)から組み立てる。スプライン構成要素(51、58)を遠位ハブ(24)の周りに半径方向非対称性に、円周上に間隔をあけて配置し、構造体の一領域におけるスプライン構成要素の密度を別の領域よりも大きくする。スプライン構成要素(51、58)を、その長さに沿って軸方向非対称性に予備成形し、遠位領域の幾何図形的配列を近位領域と異なるようにし得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、心臓状態の診断および治療のため、心臓の内部領域に配置した複合電極構造体に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
(発明の要約)
発明は、非対称性支持構造体および関連するこれらの構造体を体内領域に配置する方法を提供する。構造物は、診断および治療用構成要素、例えば、電気事象を検知して組織をマップするか、または組織の電気特性(例えば、インピーダンス)を検知する電極、あるいは他の治療技術様式のものを支持することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の一局面は、半径方向に非対称性の支持構造体を提供する。好ましい一実施態様において、構造体は、ハブと基部間に伸長するスプライン構成要素を有する。スプライン構成要素は、ハブ軸を中心として円周上に間隔をあけて配置してあり、隣接するスプライン構成要素間の角度差を限定する。発明のこの局面に従って、二つの角度差は、少なくとも20°あり、ハブ軸を中心として半径方向に非対称性の幾何図形的配列を生ずる。半径方向非対称性のため、構造体は、隣接するスプライン構成要素が第二領域におけるよりも半径方向に共に接近して位置する第一領域を有する。半径方向非対称性構造体は、スプライン構成要素間の円周間隔を変え、これによって、構造体の周縁部を中心とする診断用または治療用構成要素の密度を変更できるようにする。
【0004】
発明の別の局面は、体腔内部に配置する構造体を提供するもので、軸を有する遠位ハブ、近位基部、およびハブと基部間を伸長するスプライン構成要素を有する。スプライン構成要素は、ハブ軸を中心として円周上に間隔をあけて存在し、隣接するスプライン構成要素間の角度差を限定する。スプライン構成要素は、体腔内部で組織と接触できるようになっている。構造体は、少なくとも二本の隣接するスプライン構成要素間の角度差を可変的に調整するメカニズムを有する。
【0005】
発明の別の局面は、軸方向非対称性支持構造体を提供する。好ましい一実施態様において、構造体は、ハブと基部間に細長い軸に沿って伸長するスプライン構成要素を有する。スプライン構成要素は、ハブと基部間に幾何図形的中心点を有する。発明のこの局面に従って、スプライン構成要素は、予備成形した塑性復元力を有し、通常、スプライン構成要素を、幾何図形的中心点を中心に非対称性の細長い軸に沿った形に付勢する。それによって、スプライン構成要素は、細長い軸に沿って軸方向非対称性幾何図形的配列を有する。
【0006】
発明の別の局面は、半径方向および軸方向の両方向に非対称性の支持構造体を提供する。好ましい一実施態様において、支持構造体は、上述のように、半径方向および軸方向の両方向に非対称性のスプライン構成要素からなる。
【0007】
すなわち、本発明は以下を特徴とする。
1.体腔内部での展開のための構造体であって、
軸を有する遠位ハブと、
近位の基部と、
複数のスプライン要素であって、該スプライン要素は、該ハブ軸の周りで周囲方向に間隔をおいて該ハブと基部との間で延びて、隣接するスプライン要素間で角度の間隔を規定し、該スプライン要素は、該体腔内部の組織に接触するように適合され、該角度の間隔のうちの2つは少なくとも20°異なり、該ハブ軸周りで半径方向の非対称の形態を形成する、スプライン要素と、
を有する構造体。
2.体腔内部での展開のための構造体であって、
軸を有する遠位ハブと、
近位の基部と、
複数のスプライン要素であって、該スプライン要素は、該ハブ軸の周りで周囲方向に間隔をおいて、該ハブと基部との間で延びて隣接するスプライン要素間で角度の間隔を規定し、該スプライン要素は、体腔内部の組織に接触するように適合されているスプライン要素と、
少なくとも2つの隣接するスプライン要素間の該角度の間隔を可変的に調整する機構と、
を有する構造体。
3.前記スプライン要素のうちの少なくとも1つによって保持される電極を有する、項目1又は2に記載の構造体。
4.前記スプライン要素のうちの少なくとも1つが電極を有さない、項目3に記載の構造体。
5.前記スプライン要素のうちの少なくとも1つが記憶弾性材料から形成されている、項目1、又は2に記載の構造体。
6.前記記憶弾性材料が、ニッケルチタン又はその合金を含む、項目5に記載の構造体。
7.電極支持構造体であって、
軸および該軸周りに配置された側壁を有するハブを有し、該ハブは隣接するスロット間に角度の間隔を規定し、該軸周りで周囲に間隔をおいたスロット、および該スロットに受け入れられ、スロットによって保持されるスプライン要素を有し、
該角度の間隔のうちの2つは少なくとも20°異なり、該ハブ軸周りで半径方向に非対称な幾何学的形状を形成する、構造体。
8.各スロットが前記ハブを通って前記軸を横切って延びる、項目7に記載の構造体。
9.前記スプライン要素の対向する一対が、中間部材によってそれぞれ一体に結合し、該中間部材は、該対向するスプライン要素が該スロットを離れて半径方向に広がる間、スロットを通して通過し、該中間部材は該スロットの移動に対してスロット内に制限される、項目8に記載の構造体。
10.前記スプライン要素のうちの少なくとも1つによって保持される電極を有する、項目7、8又は9に記載の構造体。
11.前記スプライン要素が基部によって制限される末端を有する、項目7に記載の構造体。
12.前記スプライン要素のうちの少なくとも1つが記憶弾性材料から形成されている、項目7、8又は9に記載の構造体。
13.電極支持構造体であって、
軸および該軸周りに配置された側壁を有するハブであって、スロットを有するハブと、
該スロットに受け入れられ、該スロットによって保持されるスプライン要素であって、該スプライン要素は該ハブから間隔を空けた末端を有し、該ハブと該末端との間の幾何学的中間点を有するスプライン要素と、を有し、
該スプライン要素は、該スプライン要素を通常ある形状に付勢する予備形成の記憶を有し、該形状は可撓性スプライン要素の幾何学的中間点について非対称である、電極支持構造体。
14.それぞれのスプライン要素は、それぞれのスプライン要素を長手軸に沿った形状に通常付勢する予備記憶を有し、該形状はそれぞれの幾何学的中間点について非対称である、項目13に記載の電極構造体。
15.各スプライン要素は記録弾性材料から形成されている、項目14に記載の電極構造体。
16.電極支持アセンブリであって、軸の周囲に延びる第1領域および該第1領域から軸周りに離れた第2領域を有する、軸を有する構造体、ならびに複数の電極を有し、該第1領域は該第2領域より多い数の電極を保持する、電極支持アセンブリ。
17.電極支持アセンブリであって、軸周りに延びる第1領域および該第1領域から軸周りに離れた第2領域を有する、軸を有する構造体を有し、該第1領域は電極を有し、該第2領域は電極を有さない、電極支持アセンブリ。
18.前記電極は該構造体の軸に沿って軸方向に間隔をおいて、第1領域によって保持される、項目16又は17記載のアセンブリ。
19.前記第1領域によって保持される電極は、直径および長さを有し、
軸方向に離れた間隔は、該電極の最小直径の3倍、又は該電極の最大長さの2倍のいずれかに、等しいか又はそれより小さい間隔を有する、項目18に記載のアセンブリ。
20.前記電極が、前記構造体の軸に沿って測定された軸方向に間隔を空けた間隔で、かつ該構造体の軸周りで測定された周囲方向に間隔を空けた間隔で、前記第1領域に保持されている、項目16又は17に記載のアセンブリ。
21.前記第1領域により保持される前記電極が、直径および長さを有し、
前記軸方向に離れた間隔および前記周囲方向に離れた間隔が、該電極の最小直径の3倍、または該電極の最大長さの2倍のうちのいずれかに、等しいかまたはそれより小さい間隔を有する、項目20に記載のアセンブリ。
22.前記電極が、前記構造体の前記軸の周りで半径方向に離れた間隔で、前記第1領域により保持され、
前記システムが、該半径方向に離れた間隔のうちの少なくとも1つを可変的に調整するための機構をさらに有する、項目16または17に記載のシステム。
23.組織を剥離するためのシステムであって、
組織と接触して身体領域内で展開するために適合された、軸を有する構造体であって、該構造体は、該軸の周りに延びる第1領域、および該軸の周りで該第1の弓形領域から間隔を空けた第2領域を有し、該第1領域は、第1の数の電極を保持し、該第二の領域は、該第1の数の電極より少ない第2の数の電極を保持する、構造体と、
剥離エネルギーの供給源と、
制御器であって、該第1の数の電極を該供給源に接続し、そして剥離エネルギーを伝達するように該第1の数の電極を調整する、制御器と、
を有する、システム。
24.組織を剥離するためのシステムであって、
組織と接触して身体領域内で展開するように適合された、軸を有する構造体であって、該構造体は、該軸の周りに延びる第1領域、および該軸の周りで該第1領域から間隔を空けた第2領域を有し、該第1領域は、第1の数の電極を保持し、該第2領域は電極を有さない、構造体と、
剥離エネルギーの供給源と、
制御器であって、該第1の数の電極を該供給源に接続し、そして剥離エネルギーを伝達するように該第1の数の電極を調整する、制御器と、
を有する、システム。
25.前記第1の数の電極が、前記構造体の前記軸に沿って軸方向に離れた間隔で前記第1領域により保持されている、項目23または24に記載のシステム。
26.前記制御器が、剥離エネルギーを同時に伝達して連続的な病変パターンを作製するように、前記第1の数の電極を調整する、項目25に記載のシステム。
27.前記第1の数の電極が、前記構造体の前記軸に沿って測定される軸方向に離れた間隔で、かつ該構造体の該軸の周りで測定される周囲方向に離れた間隔で、前記第1領域により保持されている、項目23または24に記載のシステム。
28.電極支持アセンブリであって、
軸を有する構造体であって、該構造体は、該軸の周りに延びる第1領域、および該軸の周りで該第1領域から間隔を空けた第2領域を有する、構造体と、
該第1領域により保持される第1の電極のアレイであって、該第1のアレイは、第1の電極密度を確立する、第1の電極のアレイと、
該第2領域により保持される第2の電極のアレイであって、該第2のアレイは、該第1の電極密度とは異なる第2の電極密度を確立する、第2の電極のアレイと、
を有する、電極支持アセンブリ。
29.前記電極が、前記構造体の前記軸に沿って軸方向に離れた間隔で、前記第1のアレイおよび前記第2のアレイのうちの一方により保持されている、項目28に記載のアセンブリ。
30.前記一方のアレイの電極が、直径および長さを有し、
前記軸方向に離れた間隔が、該電極の最小直径の3倍、または該電極の最大長さの2倍のうちのいずれかに、等しいかまたはそれより小さい間隔を含む、項目29に記載のアセンブリ。
31.前記電極が、前記構造体の前記軸に沿って測定される軸方向に離れた間隔で、かつ該構造体の該軸の周りで測定される周囲方向に離れた間隔で、前記第1のアレイおよび前記第2のアレイのうちの一方により保持されている、項目28に記載のアセンブリ。
32.組織を剥離するためのシステムであって、
身体領域内で展開するために適合された、軸を有する構造体であって、該構造体は、該軸の周りに延びる第1領域、および該軸の周りで該第1領域から間隔を空けた第2領域を有する、構造体と、
該第1領域により保持される第1の電極のアレイであって、該第1のアレイは、第1の電極密度を確立する、第1の電極アレイと、
該第2領域により保持される第2の電極のアレイであって、該第2のアレイは、該第1の電極密度とは異なる第2の電極密度を確立する、第2の電極のアレイと、
剥離エネルギーの供給源と、
制御器であって、少なくとも該第1の電極のアレイを該供給源に接続し、そして剥離エネルギーを伝達するように少なくとも該第1のアレイを調整する、制御器と、
を有する、システム。
33.前記第1の電極のアレイが、前記構造体の前記軸に沿って軸方向に離れた間隔で、前記第1領域により保持されている、項目32に記載のシステム。
34.前記第1のアレイの電極が、直径および長さを有し、
前記軸方向に離れた間隔が、該電極の最小直径の3倍、または該電極の最大長さの2倍のうちのいずれかに、等しいかまたはそれより小さい間隔を有する、項目33に記載のシステム。
35.内部身体領域の内側の組織と接触するように適合された構造体であって、該構造体は、組織の接触に影響を与える物理的性質を有する、構造体と、
該構造体の該物理的性質を独特に識別する識別コードと、
該構造体に関連して取り付けられた識別素子であって、該識別コードを保持し、そして該識別コードを表す出力を提供するように適合されている、識別素子と、
を有する、システム。
36.内部身体領域の内側の組織と接触するように適合された構造体であって、該構造体は、組織の接触に影響を与える物理的性質を有する、構造体と、
該構造体により保持される少なくとも1つの電極であって、該電極は、物理的性質を有する、電極と、
該構造体の該物理的性質と、該電極の該物理的性質との両方を、独特に識別する識別コードと、
該構造体に関連して取り付けられた識別素子であって、該識別コードを保持し、そして該識別コードを表す出力を提供するように適合されている、識別素子と、
を有する、システム。
37.前記構造体の前記物理的性質が、該構造体のサイズを含み、
前記識別コードが、該構造体のサイズを識別する、項目35または36に記載のシステム。
38.前記構造体の前記物理的性質が、該構造体の形状を含み、
前記識別コードが、該構造体の形状を識別する、項目35または36に記載のシステム。
39.前記構造体が、幾何学的中間点を有し、
前記形状が、該構造体の該幾何学的中間点について非対称であり、そして
前記識別コードが、該構造体の該非対称性を識別する、項目38に記載のシステム。
40.前記構造体が、幾何学的中間点を有し、
前記形状が、該構造体の該幾何学的中間点について対称であり、
前記識別コードが、該構造体の対称性を識別する、項目38に記載のシステム。
41.前記構造体の前記物理的性質が、該構造体の剛性値を有し、
前記識別コードが、該構造体の該剛性値を識別する、項目35または36に記載のシステム。
42.前記少なくとも1つの電極が、ある数の電極を含み、
該電極の前記物理的性質が、該電極の数を含み、そして
前記識別コードが、該電極の数を識別する、項目36に記載のシステム。
43.前記少なくとも1つの電極が、前記構造体上に所定の分布パターンで配置されたある数の電極を含み、
該電極の前記物理的性質が、該分布パターンを含み、そして
前記識別コードが、該分布パターンを識別する、項目36に記載のシステム。
44.内部身体領域の内側の組織と接触するように適合された構造体であって、該構造体は、該組織の接触に影響を与える物理的性質を有する、構造体と、
該構造体により保持される少なくとも1つの電極であって、該電極は、機能的性質を有する、電極と、
該構造体の該物理的性質と、該電極の該機能的性質との両方を独特に識別する、識別コードと、
該構造体に関連して取り付けられた識別素子であって、該識別コードを保持し、そして該識別コードを表す出力を提供するように適合されている、識別素子と、
を有する、システム。
45.前記電極の前記機能的性質が、診断能力を含み、そして
前記コードが、該診断能力を識別する、項目44に記載のシステム。
46.前記診断能力が、組織内の電気事象を感知することを包含する、項目45に記載のシステム。
47.前記診断能力が、心組織のペーシングを含む、項目45に記載のシステム。
48.前記電極の前記機能的性質が、治療能力を含み、そして
前記識別コードが、該治療能力を識別する、項目44に記載のシステム。
49.前記治療能力が、電気エネルギーを伝達して組織病変を形成することを含む、項目48に記載のシステム。
50.内部身体領域の内側の組織と接触するように適合された構造体であって、該構造体は、組織の接触に影響を与える物理的性質を示す、ある数の可撓性スプライン要素のアセンブリを備える、構造体と、
該構造体の該物理的性質を独特に識別する識別コードと、
該構造体に関連して取り付けられた識別素子であって、該識別コードを保持し、そして該識別コードを表す出力を提供するように適合されている、識別素子と、
を有するシステム。
51.内部身体領域の内側の組織と接触するように適合された構造体であって、該構造体は、組織の接触に影響を与える物理的性質を示す可撓性スプライン要素のアセンブリを備える、構造体と、
該可撓性スプライン要素により保持される電極のアレイであって、該アレイは、物理的性質を有する、電極のアレイと、
該構造体の該物理的性質および該アレイの該物理的性質を独特に識別する識別コードと、
該構造体に関連して取り付けられた識別素子であって、該識別コードを保持し、そして該識別コードを表す出力を提供するように適合されている、識別素子と、
を有するシステム。
52.前記可撓性スプライン要素のアセンブリが、所定の形状を有し、
前記構造体の前記物理的性質が、該所定の形状を含み、そして
前記識別コードが、該所定の形状を識別する、項目50または52に記載のシステム。
53.前記形状が、幾何学的中間点を有し、
該形状が、該幾何学的中間点について対称であり、そして
前記識別コードが、該形状の対称性を識別する、項目52に記載のシステム。
54.前記形状が、幾何学的中間点を有し、
該形状が、該幾何学的中間点について非対称であり、そして
前記識別コードが、該形状の非対称性を識別する、項目52に記載のシステム。
55.前記可撓性スプライン要素のアセンブリが、サイズを有し、
前記構造体の前記物理的性質が、該サイズを含み、そして
前記識別コードが、該サイズを識別する、項目50または51に記載のシステム。
56.前記可撓性スプライン要素のアセンブリが、軸を有し、そして該軸の周りに可撓性スプライン要素の所定の分布パターンを有し、
前記構造体の前記物理的性質が、該所定の分布パターンを含み、そして
前記識別コードが、該分布パターンを識別する、
項目50または51に記載のシステム。
57.前記分布パターンが、前記可撓性スプライン要素の、前記軸の周りでの半径方向の対称的な間隔を含み、そして
前記識別コードが、該可撓性スプライン要素の該半径方向の対称的な間隔を識別する、項目56に記載のシステム。
58.前記分布パタンーが、前記可撓性スプライン要素の、前記軸の周りで半径方向の非対称な間隔を含み、そして
前記識別コードが、該可撓性スプライン要素の該半径方向の非対称な間隔を識別する、項目56に記載のシステム。
59.前記可撓性スプライン要素のアセンブリが、ある数の可撓性スプライン要素を含み、
前記構造体の前記物理的性質が、該可撓性スプライン要素の数を含み、そして
前記識別コードが、該可撓性スプライン要素の数を識別する、項目50または51に記載のシステム。
60.前記電極のアレイが、ある数の電極を含み、
前記アレイの前記物理的性質が、該電極の数を含み、そして
前記識別コードが、該電極の数を識別する、項目50または51に記載のシステム。
61.前記構造体により保持される前記少なくとも1つの電極が、機能的性質を有し、そして
前記識別コードが、該電極の該機能的性質を独特に識別する、項目50または51に記載のシステム。
62.前記電極の前記機能的性質が、診断能力を含み、そして
前記コードが、該診断能力を識別する、項目61に記載のシステム。
63.前記診断能力が、組織内の電気事象を感知することを含む、項目62に記載のシステム。
64.前記診断能力が、心組織のペーシングを含む、項目62に記載のシステム。
65.前記電極の前記機能的性質が、治療能力を含み、そして
前記識別コードが、該治療能力を識別する、項目61に記載のシステム。
66.前記治療能力が、電気エネルギーを伝達して組織病変を形成することを含む、項目65に記載のシステム。
67.心臓の内部領域内で電極を展開するためのシステムであって、
多電極構造体のファミリーであって、使用者によって個々に選択可能な少なくとも第1の電極支持構造体および第2の電極支持構造体を備え、各構造体は、複数の電極を保持しており、
該第1の電極支持構造体は、組織の接触に影響を与える第1の物理的性質を有し、
該第2の電極支持構造体は、組織の接触に影響を与える、該第1の物理的性質とは異なる第2の物理的性質を有する、
多電極構造体のファミリーと、
識別コードのファミリーであって、該識別コードのファミリーは、第1の識別コードおよび第2の識別コードを有し、該第1の識別コードは、該第1の構造体の該第1の物理的性質を独特に識別し、そして該第2の識別コードは、該第1の識別コードとは異なり、該第2の構造体の該第2の物理的性質を独特に識別する、識別コードのファミリーと、
各構造体に関連して取り付けられた識別素子であって、それぞれの識別コードを保持し、そして該それぞれの識別コードを表す出力を提供するように適合されている、識別素子と、
を有する、システム。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、配置状態にあるとき、軸方向および半径方向の両方向に対称性の電極支持アセンブリを有する複合電極プローブの側面図である。
【図2】図2は、図1に示す電極支持アセンブリの端面図で半径方向対称性を示す。
【図3】図3は、図1に示すプローブの遠位末端部を部分的に切り欠いた拡大横断図で、スライド外スリーブ内に折りたたんだ状態の関連電極支持アセンブリを示す。
【図4】図4は、配置状態のとき、軸方向に対称であるが、半径方向に非対称の電極支持アセンブリを有する複合電極プローブの側面図である。
【図5】図5は、図4に示す電極支持アセンブリの端面図で、半径方向非対称性を示す。
【図6】図6は、半径方向に非対称のもう一つの電極支持アセンブリの端面図である。
【図7】図7は、配置状態のとき、半径方向対称性で、軸方向非対称性の電極支持アセンブリを有する複合電極プローブの側面図である。
【図8】図8は、図7に示す半径方向対称性電極支持アセンブリの端面図である。
【図9】図9は、もう一つの軸方向非対称性電極支持アセンブリの側面図である。
【図10】図10は、配置状態のとき、軸方向および放射方向の両方向に非対称の電極支持アセンブリを有する複合電極プローブの側面図である。
【図11】図11は、図10に示す半径方向非対称性の電極支持アセンブリの端面図である
【図12】図12は、軸方向非対称性の二つのスプライン構成要素を有するフープ様スプライン体の側面図である。
【図13】図13は、図12に示すスプライン体に関連して使用する末端キャップの横断平面図で、末端キャップは、スプライン構成要素に半径方向非対称性パターンを提供する。
【図14】図14は、図13に示すスプライン体を取り付けた末端キャップを図13の線14-14に沿って切った横断側面図である。
【図15】図15は、図13に示す末端キャップに3個のスプライン体を半径方向非対称性形態に取り付けた外側面図である。
【図16】図16は、半径方向非対称幾何図形的配列に三つの軸方向非対称性スプライン体から形成した複合電極アセンブリの組立分解斜視図である。
【図17】図17は、図16に示す複合電極アセンブリを形成するために図13〜図15に示す末端キャップに関連して使用する基部の斜視図である。
【図18】図18は、スプライン構成要素と末端キャップ間で好ましい角度関係を示す図13〜図15に示す末端キャップの側横断面図である。
【図19】図19は、組織と接触する図16に示す複合電極アセンブリの側面図である。
【図20】図20は、システムの略図である。
【図21】図21は、配置状態のとき、半径方向非対称性の電極支持アセンブリをもつ複合電極プローブの端面図で、非対称性機械特性も有する。
【図22】図22は、図21に示す電極支持アセンブリの側面図である。
【図23】図23は、二つの柔軟性スプライン構成要素の遠位領域を共に接合する遠位ハブアセンブリの斜視側面図であり、一本の柔軟な管により網状整合で保持する。
【図24】図24は、図23に示す遠位ハブアセンブリのアセンブリの斜視側面図である。
【図25】図25は、図23に示す遠位ハブアセンブリのアセンブリの斜視側面図である。
【図26】図26は、図23に示す遠位ハブアセンブリのアセンブリの斜視側面図である。
【図27】図27は、二つの柔軟性スプライン構成要素の遠位領域を共に接合する遠位ハブアセンブリの斜視側面図で、スプラインは、弾性密閉材内に被包した一本の柔軟性管を通る。
【図28】図28は、図28に示す遠位ハブアセンブリのアセンブリ斜視側面図である。
【図29】図29は、完全な半径方向非対称性軸方向対称性支持アセンブリの斜視側面図で、非対称性機械特性を有し、単一シート材から切断したものである。
【図30】図30Aおよび図30Bは、単一シート材を切断して製造した図29に示す支持アセンブリの平面図である。
【図31】図31は、長病変パターンを作製する目的で、左心房に半径方向非対称性および軸方向対称性の複合電極支持アセンブリ翼廊型配置を示す心臓内部を説明する斜視略図である。
【図32】図32は、組織の長病変パターンを示す略図で、図31に示す支持アセンブリが保持する電極が付加的加熱作用により惹起する。
【図33】図33は、組織の分節状の病変パターンを示す略図で、複合電極が付加的加熱作用無しで惹起する。
【図34】図34は、組織中の複合性長病変パターンを示す略図で、図31に示す支持アセンブリが保持する電極が付加的加熱作用により惹起する。
【図35】図35は、組織中の大病変パターンを示す略図である。
【図36】図36は、大病変パターンを作製する目的で、左心房に半径方向非対称性および軸方向対称性の複合電極支持アセンブリの配置を示す心臓内部を説明する斜視略図である。
【図37】図37は、図36に示す支持アセンブリが保持する電極が付加的加熱作用により惹起する組織中の大病変パターンを示す略図である。
【図38】図38Aおよび図38Bは、心チャンバーとして示す本体領域内の非対称性複合電極構造体の配置を説明する側断面略図である。
【図39】図39は、システムの略図である。
【図40】図40は、システムの略図である。
【図41】図41は、システムの略図である。
【図42】図42は、構造体の幾何学的配置を半径方向対称性(図42)から異なる半径方向非対称性幾何図形的配列(図43および図44)へ変えるスライド塑性復元力ワイヤを有する電極を支持する構造体の側面図である。
【図43】図43は、構造体の幾何学的配置を半径方向対称性(図42)から異なる半径方向非対称性幾何図形的配列(図43および図44)へ変えるスライド塑性復元力ワイヤを有する電極を支持する構造体の側面図である。
【図44】図44は、構造体の幾何学的配置を半径方向対称性(図42)から異なる半径方向非対称性幾何図形的配列(図43および図44)へ変えるスライド塑性復元力ワイヤを有する電極を支持する構造体の側面図である。
【図45】図45は、図42に示す構造体で有用な支持スプラインの線図で、温度活性化塑性復元力ワイヤを有し、構造体の幾何図形的配列を半径方向対称性(図42)から異なる半径方向非対称性幾何図形的配列(図43および図44)へ変化させる。
【図46】図46は、電極を支持する一構造体を示す略側断面図で、整列したスライドプレートを有し、構造体の幾何図形的配列を半径方向対称性から異なる半径方向非対称性幾何図形的配列へ変化させる。
【図47】図47は、図46に示す構造体の平面斜視図で、半径方向対称性幾何図形的配列置を生ずるため、プレートを広げたものである。
【図48】図48は、図46に示す構造体の平面斜視図で、半径方向非対称性幾何図形的配列を生ずるため、プレートを共に積み重ねたものである。
【図49】図49は、構造体の幾何図形的配列を半径方向対称性から異なる半径方向非対称性幾何図形的配列へ変化させる弾性ジョイントおよび可動性配列のウェブを有する電極を支持する一構造体を示す平面斜視図で、可動性くさびが弾性ジョイント付近へ完全に前進し、半径方向対称性幾何図形的配列を生ずる構造体を示す。
【図50】図50は、図49に示す構造体の平面斜視図で、可動性くさびが弾性ジョイントから完全に退縮し、半径方向非対称性幾何図形的配列を生じたものである。
【図51】図51は、構造体の一領域において半径方向非対称性幾何図形的配列に配置したスプライン構成要素からなる電極を支持する一構造体を示す略側面図で、他方の領域には、スプライン構成要素がない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(好適な実施形態の詳細な説明)
I.動径方向および軸方向に対称な多電極プローブ
図1は、多電極プローブ10(1)を示す。プローブ10(1)は、近位端14および遠位端16を有する可撓性のあるカテーテル管12を含む。近位端14は、取り付けられたハンドル18を保持する。遠位端16は、図1の側面図および図2の端面図に示される電極支持アセンブリ20(1)を保持する。
【0010】
図1および図2に示すように、支持アセンブリ20(1)は、可撓性のあるスプライン要素22(1)のアレイを含む。各スプライン要素22(1)は、好ましくは、弾性のある不活性ワイヤまたはプラスチックからなる可撓性のあるボディを含む。ニッケルチタンなどの弾性記憶材料が使用され得る。弾性のある射出成形プラスチックまたはステンレススチールもまた、使用され得る。
【0011】
スプライン要素22(1)は、遠位ハブ24と基部26との間に長手方向に延びる。基部26は、カテーテル管12の遠位端16により保持される。図1および図2に示すように、各スプライン22(1)は凸状バイアスで予め形成され、主中心軸36を中心に広げられる、通常は開いている3次元バスケット構造を作り出す。
【0012】
プローブ10(1)はまた、各スプライン22(1)に1つずつ電極回路アセンブリ28を含む。各回路アセンブリ28は、多数の電極30のアレイを含む。電極30は、カテーテル管12を通って延びる信号ワイヤ34により、ハンドル18が保持する外部コネクタ32に電気的に接続される(図1参照)。
【0013】
プローブ10(1)において、可撓性のあるスプライン要素22(1)の幾何学的形状は、主軸36を中心に動径方向に対称である。即ち、遠位ハブ24から見ると、図2に示すように、スプライン要素22は、アーチ形または放射状のほぼ等しい間隔で、主軸36から均一に放射状に広がる。
【0014】
図1および図2では、動径方向に対称な8つのスプライン要素22(1)があり、これらのスプライン要素22(1)の各々は、円周上で約45°ずつ分離される。完全に約360°であるスプライン要素22(1)のこの均一で等しい円周上の間隔が、本明細書で「動径方向に対称」であると呼んでいる構造体を形成する。
【0015】
プローブ10(1)の可撓性のあるスプライン要素22(1)の幾何学的形状はまた、主軸36に沿って軸方向に対称である。即ち、側面から見ると、図1に示すように、電極30により占有される各スプラインアセンブリ22(1)の近位領域38および遠位領域40は、主軸36に沿って本質的に同一の曲線状の幾何学的形状を有する。従って、スプラインアセンブリ22(1)自体が、主軸36に沿った、スプラインアセンブリ22(1)の幾何学的形状の中間点42で屈曲されると、スプラインアセンブリ22(1)の近位領域38および遠位領域40は、実質的に互いの上にある。スプライン要素22の、電極を有する近位領域38と遠位領域40と間のこの対称度が、本明細書で「軸方向に対称」であると呼んでいる構造体を形成する。
【0016】
図3に示すように、示された好適な実施形態では、プローブ10(1)は、カテーテル管12の周りに保持される外側シース44を含む。シース44は、カテーテル管12の外径よりも大きい内径を有する。従って、シース44は、カテーテル管12に沿って摺動する。
【0017】
図3に示すように、前方に移動(図3の矢印41)されると、摺動可能なシース44が、電極支持アセンブリ20(1)の上で完全に前進される。この位置において、摺動可能なシース44は、支持アセンブリ20(1)を圧縮して潰し、静脈または動脈を通して体内の意図された治療部位に導入するための低い輪郭にする。
【0018】
図1に示すように、後方に移動(図3の矢印43)されると、摺動可能なシース44は、支持アセンブリ20(1)から離れるように引っ込められる。これにより、圧縮力が除去される。この自由にされた支持アセンブリ20(1)は、開いて、その3次元の形状をとる。
【0019】
プローブ10(1)の支持アセンブリ20(1)は、(図1に示すように)使用のために展開されると(これは、好適な実施形態では、心腔内部である)、電極30を心内膜に接触させた状態で保持する。動径方向の対称性のため、電極30のパターン密度は、電極−組織の接触が起こる場所ではどこでも、ほぼ同じである。従って、電極30が接する心内膜の単位面積当たりの電極数は、チャンバ全体を通してほぼ等しい。
II.軸方向に対称な/動形方向に非対称な多電極プローブ
図4および図5は、図1に示される支持アセンブリ20(1)の態様でカテーテル管12の遠位端16に取り付けられ得る多電極支持アセンブリ20(2)を示す。支持アセンブリ20(1)と同様に、支持アセンブリ20(2)は、遠位ハブ24と基部26との間に長手方向に延びる可撓性のあるスプライン要素22(2)のアレイを含む。
【0020】
以下に説明される理由により、アセンブリ20(2)が動径方向に非対称性であるため、スプライン要素22(2)のすべてが、電極30を有する必要はない。従って、図4および図5に示すように、電極回路アセンブリ28(2)は、すべてのスプライン要素22(2)の上にあるわけではない。信号ワイヤ34は、存在する電極30を、外部コネクタ32に電気的に接続する。
【0021】
図4に示すように、アセンブリ20(2)の可撓性のあるスプライン要素22(2)の幾何学的形状は、図1に示されるスプライン要素22(1)のアレイが軸方向に対称であるという理由と同じ理由により、軸方向という意味では対称である。図4は、主軸36に沿って本質的に同じ曲線状の幾何学的形状を有するように電極30により占有されるまたは占有されることが可能な各スプラインアセンブリ22(2)の近位領域38および遠位領域40を示す。
【0022】
しかし、アセンブリ20(1)とは異なり、アセンブリ20(2)の可撓性のあるスプライン要素22(2)の幾何学的形状は、動径方向という意味では非対称である。即ち、遠位ハブ24から見ると、図5に示すように、スプライン要素22(2)は、円周上でほぼ等しい間隔で主軸36から放射状に広がっていない。その代わりに(図5に示すように)、円周上で他の隣接するスプライン要素22(2)よりも大きく間隔があけられた少なくとも幾つかの隣接するスプライン要素22(2)がある。本明細書において説明されるように、スプライン要素のアセンブリは、アセンブリの2つの隣接するスプライン要素の間で測定される最大角度(図5において示される角度α)が、他の2つの隣接するスプライン要素の間で測定される最小角度(図5において示される角度β)よりも、20°よりも大きく超えるとき、スプライン要素のアセンブリは、「動径方向に非対称」であると定義される。
【0023】
図5に示されるこの特定の構成は、S1〜S10で示される10個のスプライン要素22(2)を含む。図5に示される非対称の構成は、5つの隣接するスプライン要素22(2)(S1〜S5)の第1の個別のグループ46と、5つの隣接するスプライン要素22(2)(S6〜S10)の第2の個別のグループ48とを含む。これらのグループ46および48は、互いに反対側に配置されるように示され、グループ46および48の各々は、約90°の弧を占める。グループ46および48の各グループ内で、隣接するスプライン要素S1〜S5およびS6〜S10は、円周上で約22°(角度βを含む)の等間隔に間隔があけられる。しかし、グループ46と48との間の境界を示すスプライン要素S1/S10およびS5/S6は、円周上で約90°(角度αを含む)のより大きい間隔があけられる。円周上でのスプライン要素22(2)のこの不均一な間隔(角度α−角度βが、約68°である(即ち、20°を超える))は、本明細書において「動径方向に非対称」であると呼んでいる構造体の1つの種類を例示する。図4に示される動径方向に非対称な特定の幾何学的形状では、スプラインS1〜S5は電極30を保持するが、スプラインS6〜S10は電極30を保持しない。
【0024】
他の種類の構造体もまた、動径方向に非対称であり得る。例えば、図6は、図5に示される動径方向に非対称な幾何学的形状とは異なる動径方向に非対称な幾何学的形状に配置された8つのスプライン要素S1〜S8を示す。図6において、スプラインアセンブリS1〜S3(グループ46)およびS5〜S7(グループ48)はそれぞれ、円周上で約60°の弧にわたって30°の等間隔に間隔があけられる。しかし、隣接するスプラインアセンブリS3/S4、S4/S5、S7/S8およびS1/S8はそれぞれ、円周上で約60°よりも大きい間隔があけられる。図6において、スプラインアセンブリS1〜S3は電極30を保持するが、残りのスプラインアセンブリS4〜S8は電極30を保持しない。
【0025】
スプラインアセンブリ22(2)のグループ46および48が(図5および図6に示すように)互いに反対側になるように間隔があけられていなくてもよく、且つ、任意の所定のグループ46および48のスプラインアセンブリ22(2)が等間隔に間隔があけられていなくてもよいこともまた、認識されるはずである。任意の2つのスプライン要素間のアーチ形の間隔が、他の任意の2つのスプライン要素間のアーチ形の間隔と大きく異なる場合はいつでも、動径方向に非対称な構造体が形成される。さらに、スプラインアセンブリのすべてまたは幾つかへの電極30の装着は、変えられ得る。アセンブリ20(2)に対する特定の機能的要求が、スプライン要素22(2)のために選択された特定の動径方向に非対称な幾何学的形状と、スプライン要素22(2)のすべてまたは幾つかへの電極30の特定の配置とを左右する。
【0026】
さらなる例示として、図51は、動径方向に非対称なスプラインアセンブリ264を示す。スプラインアセンブリ264は、アセンブリ264の1つの領域において密に間隔があけられた関係で配置されるスプライン要素266のアレイを含む。スプライン要素266は、電極268を保持する。アセンブリ264の残りには、スプライン要素が無く、従って、電極が無い。
【0027】
この構成において、スプライン要素264は、スプライン要素264を外側に屈曲した状態に向かってバイアスする弾性記憶を含む。従って、弾性記憶は、組織に対して外方向の力を与え、密な接触を容易にする。
【0028】
代替的に、または、弾性記憶と組み合わせて、アセンブリ264は、遠位ハブ270に取り付けられたプルワイヤ272を含み得、この遠位ハブ270から、すべてのスプライン要素266が放射状に広がる。ワイヤ272を引っ張ることにより、スプライン要素266が組織に向かって外方向に曲げられ、スプライン要素266に接する組織に対する力を作り出す。
A.可変の動径方向の非対称性を有する構造体
図42〜図44は、スプライン要素(192(1)、192(2)および192(3)で示される)の円周上での間隔が、展開前または展開中のいずれかに医師により変えられることを可能にする支持アセンブリ190を示す。従って、支持アセンブリ190の動径方向の幾何学的形状は、展開前および展開中に、動径方向に対称な幾何学的形状(図42に図示)から様々な異なる非対称な幾何学的形状(図43および図44に図示)に調節可能である。
【0029】
可変の動径方向の幾何学的形状を提供する方法には様々なものがある。図42〜図44に示される実施形態では、少なくとも1つのスプライン要素(192(1)で示される)が、内部管腔200を含む外部スリーブ196により囲まれる。スリーブ196は、カテーテル管12を通って延びる。管腔200は、摺動ワイヤ194(図42参照)を収容し、摺動ワイヤ194は、曲線198を規定するその遠位端に弾性記憶を有する。
【0030】
湾曲した遠位ワイヤ端198は、カテーテル管12内に閉じ込められると、ほぼ直線状の幾何学的形状になるように付勢される。図43に示すように、遠位ワイヤ端198の弾性記憶は、管腔200においてカテーテル管12を超えてスプライン要素192(1)に沿って前進されると、スプライン要素192(1)を曲線198に沿って屈曲させる。
【0031】
ワイヤ194はまた、管腔200内で回転され得る。図43と図44との比較に示すように、ワイヤ194を管腔200内で回転させることより曲線198の向きが変わり、それにより、スプライン要素192(1)に沿って屈曲の方向が変えられる。スプライン要素192(1)を、構造体190の軸に直交してスプライン要素192(2)の方に屈曲させるように曲線198を調節することにより(図43参照)、スプライン要素192(1)とそれに近接するスプライン要素192(2)との間の円周上の間隔が、変えられる。逆に、スプライン要素192(1)を、構造体190の軸に直交してスプライン要素192(3)の方に屈曲させるように曲線198を調節することにより(図44参照)、スプライン要素192(1)とそれに隣接するスプライン要素192(3)との間の円周上の間隔が、変えられる。
【0032】
従って、ワイヤ194の導入前には動径方向に対称であった、スプライン要素192(1)、192(2)および192(3)の円周上でのパターン(図42参照)は、ワイヤ194を導入してスプライン要素192(1)内で回転させると、動径方向に非対称になる。ワイヤ192(1)を回転させて曲線198(図43および図44参照)の直交の向きを変えることにより、構造体190の動径方向の非対称性の性質も変えられる。
【0033】
図45に示すように、曲線198の形成は、スプライン要素192のうちの1つ以上のスプライン要素192内に、2つの温度作動式記憶エレメント202Aおよび202Bを提供することにより、インサイチュで電気的に達成され得る(図45は、図42に示される構造体のスプライン要素192(1)のエレメント202Aおよび202Bを示す)。
【0034】
エレメント202AおよびBは、例えば、ニッケルチタン合金のワイヤまたは平坦なストリップからなり得る。エレメント202AおよびBの各々は、アニールされ、予め設定された湾曲形状にされる。エレメント202AおよびBは、冷却され、直線状にされて、スプライン要素の通常の幾何学的形状に従う形状にされる。
【0035】
エレメント202は、電源205に接続される。エレメント202Aまたは202Bのうちの選択されたエレメントを流れる電流は、選択されたエレメント202Aまたは202Bを加熱し、そのエレメントを、そのアニールされた湾曲形状に戻す。電流フローの妨害は、エレメント202AおよびBが冷却されてその冷却された直線状の幾何学的形状に戻ることを可能にする。ジョイスティック制御204は、電流フローを、エレメント202AおよびBのうちの選択されたエレメントに向ける。
【0036】
以前に説明されたように、エレメント202Aによる電流の導通前には動径方向に対称であった、スプライン要素192(1)、192(2)および192(3)の円周上のパターンは、エレメント202Aが電流フローにより加熱され、(図43に示すように)関連するスプライン要素192(1)が、構造体の軸に直交する1つの方向に屈曲され再配向されると、動径方向に非対称になる。エレメント202Bによる電流の導通により、(図44に示すように)関連するスプライン要素192(1)が、構造体の軸に直交する別の方向に屈曲され再配向される。ジョイスティック204の使用により、エレメント202Aまたは202Bのうちのどちらのエレメントが加熱されるかが選択され、それに応じて、構造体190の動径方向の非対称性の性質が調節され得る。
【0037】
図46〜図48は、可変の動径方向の非対称性を有する支持アセンブリ206を作り出す別の代替の方法を示す。本実施形態では、支持アセンブリ206は、カテーテル管12の遠位端16に取り付けられた基部208を含む。基部208は、移動可能なプレート210、212、214および216のアレイを含む。プレート210、212、212、214および216は、好ましくは、ステンレススチールまたは他の化学的に不活性な金属からなる。プレートの移動は、プレート216が隣接するプレート214の上で摺動可能であり、プレート214が次の隣接するプレート212の上で摺動可能であり、そして、プレート212が次の隣接するプレート210の上で摺動可能であるようにされる。プレート210は基部216に固定され、移動しない。
【0038】
プレート210、212、214および216は、アクチュエータ218に接続され、アクチュエータ218は、心棒220を中心に回転する。アクチュエータ218の回転により、プレート212、214および216は、固定プレート210に関して移動する。
【0039】
具体的には、アクチュエータ218の反時計回りの回転により、移動可能なプレート212、214および216は、互いの上で摺動して、固定プレート210に向かって移動する。この動きにより、プレートが互いの方に移動するため、図48に示すように、各プレート間の円周上の間隔が低減され、互いの上に積み重なる。
【0040】
アクチュエータ218の時計回りの回転により、移動可能なプレート212、214および216が互いの上で摺動し、固定プレート210から離れる。この動きにより、プレートが互いに離れるため、図47に示すように、各プレート間の円周上の間隔が大きくなる。
【0041】
好適な実施形態では、ばねエレメント222が、固定プレート210を、移動可能なプレート212、214および216の各々に接続する。ばねエレメント22は、通常、プレート212、214および216を、固定プレート210に向かって付勢する。それにより、ばねエレメント22は、アクチュエータ218に応答して行われる、プレート212、214および216の、プレート210に向かう移動およびプレート210から離れる移動を、より均一にする。
【0042】
アクチュエータ218は、ベベルギア表面228を有する。ギア表面228は、第2のアクチュエータ232上のベベルギア表面230を備えた網状である。これは、心棒234の周囲の回転のために備えられている。心棒234は一般に、心棒220に対して垂直である。
【0043】
ワイヤー236は、第2のアクチュエータ232と制御要素238とをつなぎ、カテーテルチューブ12の隣接するハンドル18内に備えられることが意図される。医師による制御要素238の右回りまたは左回りの回転によって、ワイヤー236を引っ張る。ワイヤーの伸長によって、第2の制御要素232を、心棒234の回りを、制御要素238と同じ方向で回転させる。ギア表面228および230は、第2のアクチュエータ232の回転をその心棒220の周囲のアクチュエータ218の回転に伝え、それによって、回転の方向に依存して上記のように、プレート210、212、214、および216の作動機構に影響を与える。
【0044】
スプライン(spline)要素224は、210、212、214、および216プレートのそれぞれの外面に取り付けられている。他のスプライン要素226は、基部208にしっかりと留められている。スプライン要素224は、プレート210、212、214、および216から遠位のハブ(hub)226にまで伸びている(図46に示す)。
【0045】
図47に示すように、プレート210、212、214、および216は、それらが完全に伸びた状態であり、構造体206は、放射状に対称な結合構造を有する。アクチュエータ218の左回りの回転に応答する、プレート210に対するプレート212、214、および216の作動機構は、スプライン226との間の周囲の空間を変化させることなく、スプライン224との間の周囲の空間を縮小する。図48に示すように、プレート210、212、214、および216がそれらが完全に伸びた形態からそれらが完全に収縮した状態に移行する場合、構造体206は、放射状に対称な結合構造を有する。
【0046】
上記のように、構造体206は、スプライン要素224および226の放射状に対称なパターンを例示し、これは、医師によるアクチュエータ218の操作によって変化する方法で、放射状に対称になることを生じ得る。
【0047】
図49および50は、可変性の放射状の対称性を有する支持アセンブリ240の別の実施態様を示す。支持アセンブリ240は、カテーテルチューブ12の離れた末端16を備えた基部242を有する。基部242は、スプライン244および245の第1および第2の配置を有する。これは、図46に示す様式で、基部から遠位のハブまで放射状である(示さない)。
【0048】
スプライン245の近位の末端は、基部242に対して固定された様式でしっかりと留められている。しかし、スプライン244のそれぞれの近位の末端は、スプラインの軸に対して直交する順応性のある作動機構で備え付けられている。例示される実施態様において、スプライン244の近位の末端は、基部242で支えられている順応性のある中央の接合部252から放射状に伸びているアーム250に連結されている。順応性のある接合部252は、ニッケル、チタン、ステンレス鋼、または順応性ポリマー製であり得る。順応性の接合部252は、図50に示すように、最初に、周囲の空間の関係に対して、スプライン244を斜めに伸ばしている。
【0049】
最初に、可動性のスプライン244の周囲の空間の関係は、他のスプライン245の固定された周囲の空間の関係よりも互いに接近している。それによって、支持アセンブリ240は、放射状に対称な結合構造を示す。
【0050】
ウエッジ(wedge)254の配置は、基部242内の軸に沿って可動性のアクチュエータ256上に備え付けられる。ウエッジ254のそれぞれは、正反対に間隔をあけた、先細のウエッジ表面262を有する。表面262は、好ましくは、TEFLONのようなプラスチック物質でつるつるしたコーティングでコートされる。
【0051】
アクチュエータ256は、コントロールシャフト258に取り付けられている。シャフト258は、カテーテルチューブ12まで伸び、そしてカテーテルチューブ12が備えている隣接するハンドル18内に収容されている、押す−引くコントロールレバーに連結されている。コントロールレバー260を押すことによって、スプラインの配置に対して基部242内でアクチュエータ256を前進させる。コントロールレバー260を引くことによって、遠くのスプラインの配置から基部242内にアクチュエータ256を引っ込める。
【0052】
図49に示すように、スプラインの配置へのアクチュエータ256の前進は、適切なスプライン244間の空間へ前進する構成部分として、ウエッジ254を移動させる。先細のウエッジの表面262は、適切なスプライン244に対して押され、接合部252の順応性を克服する。ウエッジの表面262は、スプライン244を別個に前向きに押し出す。図49に示すように、前向きに押し出されたアクチュエータ256は、それによって、スプライン244との間の周囲の空間の範囲を確立する。これは、通常の最初の周囲の空間より大きい。アクチュエータ256の前進は、その範囲内での所望の周囲の空間の関係が確立されると、停止される。
【0053】
アクチュエータ256の前進は、他のスプライン245間の周囲の空間に影響を与えない。アクチュエータ256が完全に前進している場合(図49を参照のこと)、スプライン244はスプライン245と一般に同じ距離で、周囲の空間をあけている。それによって、放射状に対称な結合構造が確立される。
【0054】
スプラインの配置からのアクチュエータ256の収縮は、近隣のスプライン間の空間の外側に前進する構成部分として、ウエッジ254を移動させる。図50に示すように、接合部252の順応性によって、接合部252によって確立された最初の周囲の空間に到達するまで、減少した周囲の空間の範囲内で、隣接するスプライン244をさらにともに動かす。
【0055】
他の上記の実施態様におけるように、アセンブリ240は、スプライン要素244および245の放射状に対称なパターンを、アクチュエータ256の操作によって放射状の対称性を可変にさせ得る方法を示す。
B.放射状に対称な構造体の使用
例えば、心臓のチャンバーの内部に配備する場合、放射状に対称な支持アセンブリ20(2)は、電極のパターンの密度を変化させながら、心内膜に対する接触において電極30を保持する。すなわち、電極30によって接触される心内膜の単位面積当たりの電極30の数は、グループ46が心臓のチャンバーの他の領域内よりも組織と接触する場合(組織と接触している電極30が存在しない場合)、より密集している。
【0056】
図4および5に示す好ましい配置において、アセンブリ20(2)は、複数の電極30とスプラインアセンブリ22(2)の1つの別のグループ46のみとの会合による、高密度の一方向の感知を提供する。この配置において、電極30と接触していない残りのスプラインアセンブリ22(2)は、組織と接触しているグループ46の電極30を支持および安定させるように作用する。
【0057】
放射状に対称な構造体は、可能性のある高密度のマッピング、または局在化した領域内での電気的特性の派生、または局在化した領域での整調を、スプライン要素22または電極のシグナルワイヤー34の総数を過度に増大させることなく行う。組織の電気的特性(例えば、組織のインピータンス)を導くためのシステムおよび方法は、例えば、Panescuらの米国特許第5,494,042号(本明細書中で参考として援用される)に開示されている。電気的特性は、1つ以上の電極から組織に電気的エネルギーを伝達すること、および生じる組織を通る電気的エネルギーの流れを感知することによって導かれる。
III.放射状に対称な/軸に対して非対称な複数の電極プローブ
図7および8は、複数の電極支持アセンブリ20(3)を示し、これは、放射状に対称であるが軸にそって非対称である。アセンブリ20(3)は、図1に示すように、アセンブリ20(1)の支持様式でカテーテルチューブ12の遠位の末端16に取り付けられ得る。
【0058】
電極支持アセンブリ20(3)は、可撓性のスプライン要素22(3)の配置を有し、これは、遠位のハブ24と基部26との間に縦方向に伸びている。スプライン要素22(3)は、電極の回線アセンブリ28(3)を有し、それぞれが、すでに図1を参照して記載したように、外部の連結器32にシグナルワイヤーで連結されている複数の電極30の配置を備えている。
【0059】
図7および8に示す可撓性のスプライン要素22(3)の結合構造は、アセンブリ20(1)のスプライン要素22(1)の配置が明らかに対称であるのと同じ理由で、明らかに対称である。図8に示すように、スプライン要素22は、一般に同じ弓形または周囲の間隔で、主軸36から均一に放射状に伸びている。図7および8において、8個の放射状に対称なスプライン要素22(3)が存在し、それぞれが約45°で周囲を分離している。
【0060】
しかし、アセンブリ20(1)および20(2)とは異なり、アセンブリ20(3)の可撓性のスプライン要素22(3)の結合構造は、軸方向で非対称である。横から見た場合、図7に示すように、近位の電極保持領域38は、一般には、遠位の電極保持領域40と対称ではない。図7に示す配置において、スプライン要素22(3)は、基部26から実質的に垂直方向に外に向かって開いており、これによって、お椀様の近位領域38を提供する。対照的に、スプライン要素22(3)は、顕著に小さい鋭角で遠位のハブ24から外側に伸び、これによって、近位領域38よりも小さい平均直径を有する、先細の円錐の遠位領域40を提供する。従って、主軸36に沿ってその幾何学的中点42でそれ自体を湾曲させ、所定のスプラインアセンブリ22(3)の近位および遠位領域38および40は、互いに重ならない。これによって、スプライン要素22(3)の主軸36に沿う電極を保有する領域38と40との間で対称性を欠いており、この明細書が「軸に対して非対称である」と呼ぶ構造体を形成している。
【0061】
多くの他の軸に対して非対称である構造体が、形成され得る。図9は、スプライン要素22(3)がJ型であることを示す。J型のスプライン要素52の正反対の対は、遠位のハブ24から伸びており、別のJ型要素52の他の末端56に、それぞれのJ型要素52の一方の末端54が面している。J型要素52のこの逆の配置は、第2の軸50に沿って延長された非対称の膨らみを有する電極支持アセンブリ58を形成する。これは、主軸36に対して垂直ではない角度で伸びている。要素52の逆の配置もまた、スプライン要素のなかで異なる軸非対称性を作成する。図9の底部を占有するとして示されるスプライン要素52の軸対称性は、図9の上部を占有するとして示されるスプライン要素52の軸対称性とは異なる。
【0062】
軸に対して対称なスプライン要素22(3)は、任意の所望の通常の斜め方向の曲線の形状をとるように、記憶した順応性のある物質から予め形成され得る。好ましくは、アセンブリ20(3)についての軸方向の非対称の結合構造体は、その使用においてアセンブリ20(3)が占有するボディーチャンバーの予想される内部の輪郭に沿うように選択される。
【0063】
軸に対して非対称の結合構造体の使用は、心臓内の複数の電極構造体について配備するために、特に十分に適応される。これは、心室の内部の輪郭が心房の内部の輪郭とは異なることが原因である。さらに、心房および心室のいずれも、軸に対して対称ではない。種々の軸に対して非対称の形状を有する電極支持アセンブリを提供する能力によって、心房での使用のために作られた配置を分けること、および心室での使用のための作られた配置を別に分けることが可能である。
【0064】
軸に対して非対称な支持アセンブリ20(3)が均一に崩壊することを確実にするため(または、本明細書中に記載される型の、その様式の、任意の通常の開いた予め形成された支持アセンブリのために)、所望される場合は、(例えば、移動鎧装44の使用によって)構造体を形成する各スプライン要素の直線的な長さを本質的に等しくしなければならない。
【0065】
例えば、心臓のチャンバーの内部に配備される場合、プローブ10(3)の軸に対して非対称な支持アセンブリ20(3)が、心内膜に対する密接な接触において電極30を保持する。支持アセンブリ20(3)が放射状に対称であり、そして各スプライン要素2(3)が電極30を備えているので、チャンバーを通じて均一な電極パターンが確立される。さらに、支持アセンブリ20(3)の軸に対する対称性が、予想されるチャンバーの内部の非対称性の輪郭に一般的に適合するように故意に作られるので、支持アセンブリ20(3)はチャンバーに対して良好に沿う。軸に対して非対称なアセンブリ20(3)は、より安定なそしてより均一に並べられた、電極30と組織との間の接触を提供する。軸に対して非対称なアセンブリ20(3)は、拍動している動的な環境においてそれに対してかかる天然の収縮、拡大、およびねじれる力に応答してチャンバー内で変化または移動しにくい。
IV.放射状および軸に対して非対称な複数の電極プローブ
図10および11は、複数の電極支持アセンブリ20(4)を示す。これは、放射状および軸方向の両方に非対称である。電極支持アセンブリ20(4)は、カテーテルチューブ12の遠位末端16に備えられ得、まさに、図1に示すアセンブリ20(1)のようである。
【0066】
アセンブリ20(4)は、遠位のハブ24と基部26との間に縦方向に伸びている可撓性のスプライン要素22(4)の配置を有する。スプライン要素22(4)は、ハンドル18上の外部接続機にシグナルワイヤーによって連結されている複数の電極30を提供する。
【0067】
図10および11に示す可撓性のスプライン要素22(4)の結合構造体は、スプライン要素22(2)の配置(図5を参照のこと)が放射状に非対称であるのと同じ理由で、放射状に非対称である。図11に示すように、8個のスプラインアセンブリS1〜S8が、4つのスプラインアセンブリの2つの異なるグループ46および48においてそれぞれ配置される。各グループ46および48は、約90°の角度で間隔を空けており、各グループ46および48におけるスプラインは、それぞれ約30°(最小角βに対応する)で等しく周囲を分けている。グループ46および48は、それ自体は約90°(最大角αに対応する)によって周囲を分けている。放射状に非対称の基準は、角α−角βが約60°、すなわち、20°より大きいので、満たされている。
【0068】
図11にさらに示すように、グループ46のスプラインS1〜S4は電極30を有している。グループ48のスプラインS5〜S8は、電極30を有さず、そして上記のように支持機能を提供する。なお、使用の間に必要とされる電極の感知機能に従って、電極30が1つ以上のさらなるスプラインに取り付けられ得ることが理解されるはずである。
【0069】
図10および11に示す、可撓性のスプライン要素22(4)の結合構造体もまた、図8および9に示すスプライン要素が軸について非対称であるのと同じ理由で、軸について非対称である。
【0070】
例えば、心臓のチャンバーの内部に配備される場合、プローブ10(3)の支持アセンブリ20(4)は、チャンバーを通じて不均一な電極パターン密度を確立する。従って、アセンブリ20(4)は、局在化した領域での電気的特性のマッピング、もしくは派生、または局在化した領域内での速度について、グループ46中の電極30で局在化した高い電気的密度を提供するが、電極を含まない他のスプラインアセンブリ(すなわち、グループ48)は、支持および安定を提供する。局在化した高い密度によって、スプラインアセンブリが互いに接近する場合、スプラインアセンブリ間に偶然入る電気的事象に手を加える必要はほとんどない。
【0071】
さらに、支持アセンブリ20(4)の軸非対称性は、予想されるチャンバーの内部の非対称性の輪郭に良好に適合する。従って、軸に対して非対称な支持アセンブリ20(4)は、安定なそして均一に並べられた、高密度の電極30と組織との間の接触の維持を補助する。これにより、組織と電極との間の接触の欠失(これは、人工品の移動および意図される機能の崩壊を生じ得る)が最小になる。接触がさらに変動しないので、医師は、1回の拍動の間に1つの部位から得られる情報が次の拍動において同じ部位から生じることをより確実にし得る。
【0072】
軸方向の非対称性構造体20(4)の、および票的された部位の予想される輪郭に適合する他の非対称性構造体の、緊密な接触を維持する能力はまた、外傷の危険性を最小にする。心内膜ならびに心臓の肉柱および腱を通過するおよびそれらに対する報告された電極支持構造体の作動機構および移動は、外傷が十分に重篤である場合、穿孔または心タンポナーゼを導き得る。あまり重篤ではない外傷は、なお、局所的に組織を損傷し得る、血餅の形成および塞栓症の可能性を増大する。
VI.非対称性機械的特性
図21および図22は、複合電極支持構造体104を示す。この構造体は、図4および図5に示す支持構造体20(2)に関して述べた理由のため、軸方向対称性だが、放射方向非対称性である。図21および図22に示す特定配置は、S1〜S10で示す10本のスプライン構成要素を有する。図21に示す非対称性配置は、8本の隣接するスプライン構成要素S1〜S8の第一離散群106および2本の隣接するスプライン構成要素S9とS10の第二離散群108からなる。第一群106内では、隣接するスプライン構成要素S1〜S8は、約22°(角βを有する)で等間隔に離して円周上に配置してある。第二群108内では、隣接するスプライン構成要素S9とS10は、約40°離して配置してある。二つの群106および108は、それら自体を約70℃離して配置してある。従って、角度αは約70°で、角度αから角度βをひいた差が20°より大きいため、この明細書の半径方向非対称性の説明と合う。
【0073】
図21および図22に示す特定の半径方向非対称性幾何図形的配列において、スプラインS1〜S8は、電極110を保持するが、スプラインS9とS10は、保持しない。
【0074】
さらに、図21および図22に示すように、第一群106のスプラインS1〜S8は、第二群108のスプラインS9とS10より異なる機械特性を有する。特に、各スプラインS9とS10は、スプラインS1〜S8のそれぞれより、横方向に広くなっている。従って、スプラインS9とS10は、個々のスプラインS1〜S8よりも固い。
【0075】
スプラインS1〜S10の「剛性」度は、スプライン半径方向性剛性関数Srの項で表記し得る。Srは、構造体104の軸に垂直な所定スプラインに適用した半径方向力(Fr)および、半径方向力に反応して構造体104の軸方向に偏向した所定スプラインの半径方向距離(Dr)間の比率を表す。すなわち、Sr=Fr/Drである。
【0076】
所定スプラインのスプライン半径方向力関数Srを、所定スプライン22以外のすべてのスプラインに圧力を加え制限するシリンダー内に構造体104を設置することにより測定し得る。このスプラインは、シリンダーの窓を通って突出している。ピンは、所定スプラインの中央部分と垂直に力を加える。ピンに連結した変換器は、構造体104のスプラインの通常静止位置からの半径方向偏向 Drの連続点でスプラインに働く半径方向力Frを測定する。半径方向の力Frは、与えられたスプラインの半径方向距離Drの関数としてプロットされ得る。得られるプロットの傾斜は、所定スプラインに対する半径方向剛性関数Srである。関数Srは、偏向単位(例えば、インチ)当りの力単位(例えば、グラム)の項で表記したものである。
【0077】
Sr値が低い程、半径剛性値が低いことを示し、組織に損傷を与えることなく、変形し、また心内膜の外形に沿って親密接触を生ずる能力が優れていることを示す。
【0078】
従って、支持構造体104の幾何図形的配列は、接近した間隔のスプライン構成要素S1〜S8の一群106を示す。これらのスプラインは、これより間隔の広いスプライン構成要素S9とS10(これらは個々に、スプライン構成要素S1〜S8より高い半径方向剛性値Srを示す)の他群108より柔軟性(例えば、個々に低い半径方向剛性値Srを有する)がある。
【0079】
より柔軟性のあるスプラインS1〜S8の群106は、電極110を有し、また、柔軟性が高いため、電極を保持しないスプラインS9とS10の群108よりも組織に対して適合性がある。他方、スプラインS9とS10の柔軟性の低い群108は、個々に組織に対してより大きな力を伝え、その結果、他方の柔軟性のあるスプラインS1〜S8およびこれらの電極110を親密組織接触するようにする。しかし、第二群108のスプライン構成要素S9とS10の組織接触力(Fc)が相対的に大きな表面積(Ac)にかかるので、組織圧関数Tpは減少する。このとき、Tpは、次のように表示される。Tp=Fc/Ac
量Tpは、組織傷害性の一決定因子である。局在化小領域にかかる接触力によって起こる外傷を、同じ接触力をより大きな面積に分散することにより介在し、それにより、接触圧を少なくし得る。
【0080】
従って、図21および図22に示す構造体104は、異なる組織接触領域において非対称性機械特性を提供する。非対称性機械特性は、外傷を最小限にするように、高密度電極110と組織間のバランスのとれた親密接触を確立し、維持するのに役立つ。
VII.非対称性剥離構造体
A.長病変
前述の基準表に示すように、半径方向に非対称の電極構造体は、心臓の心房領域での診断または治療的使用によく適している。これは、異常的不規則性心臓律動、いわゆる心房細動を引き起こす解剖学的傷害が左または右心房内の解剖学的標認点に関して公知であるためである。それにより、スプライン密度を集結させてこれらの公知の傷害物と接触させ、結果的に局在性剥離を実施し得る。
【0081】
図31において、中隔(S)の伏在裂孔を通過して右心房(RA)から左心房(LA)への袖廊式配置を示す。このとき、半径方向に非対称の支持構造体142は、使用位置にある。前述の基準表と一致して、左心房を占有する構造体142は、軸方向対称性である。
【0082】
構造体142の半径方向により接近した間隔の縦スプライン154は、整列した複合電極156を保持する。電極156は、剥離エネルギーの送信器として働く。その少ない近接半径方向の間隔を置いた縦スプライン155は電極156を保持しない
電極156を単極モードで作動するのが好ましく、このモードにおいて、電極156が伝達する無線周波数剥離エネルギーを外部取り付けの中性パッチ電極158から患者の皮膚に戻す。あるいは、電極156を双極性モードで作動し得る。この場合、一種以上の電極156が発した剥離エネルギーはスプライン154上の隣接する電極158に戻る。
【0083】
図31に示す電極156のサイズおよび間隔は、目的に合わせて配置したもので、組織中の連続性長病変パターンを惹起する。図32は、組織Tの代表的な一連続性長病変パターン160を示すもので、心房性細動の治療に適している。連続性長病変パターン160は、RF剥離エネルギーを単極モードで隣接する電極156に同時に加えたとき、付加的加熱作用のため形成したもので、提供したサイズおよび間隔必要条件を観察する。付加的加熱作用は、間隔をあけた隣接する電極156にまたがる病変パターン160を惹起するため、図32に示す所望の細長く伸びた幾何図形的配列を生ずる。また、付加的加熱作用は、電極156を電極156の双極モードで同時に作動したときに発生し、再び、提供したサイズおよび間隔必要条件を観察する。間隔をあけて配置した電極156間の付加的加熱作用は、電極156と接触する組織の所望治療加熱作用を増強するだろう。付加的作用は、エネルギーが個々に組織へ伝わるように調整するか、または間隔を十分あけて付加的加熱作用を防止する場合には、さもなければ電極156が組織を加熱するような温度より高い温度に隣接する電極および電極間を加熱する。
【0084】
電極156間の間隔が電極156最小径の三倍または三倍以下のとき、電極156が分節間の双極性または単極性で中性パッチ電極にエネルギーを同時放出すると、付加的加熱作用のため、図32に示す細長い連続性病変パターン160を生ずる。逆に、電極156間の間隔が電極156最小径の約5倍以上のとき、電極156が分節間で双極性または単極性で中性パッチ電極にエネルギーを同時放出すると、付加的加熱作用を生じない。そのかわりに、電極28がエネルギーを同時放出すると、図33に示すように、接触組織領域Tに細長い分節性または断続性病変パターンを生ずる。
【0085】
あるいは、接触組織領域に沿う電極156間の間隔が最長電極156の二倍または二倍以下のとき、電極156が電極156間の双極性または単極性のどちらかのエネルギーを中性パッチ電極へ同時適用すると、同様に付加的加熱作用のため、細長い連続性病変パターン160(図32)を生ずる。逆に、接触組織領域に沿う電極156間の間隔が最長電極156の三倍以上のとき、電極156が電極156間に双極性または単極性のどちらかのエネルギーを中性パッチ電極へ同時適用すると、付加的加熱作用のため、組織Tに細長い分節性または断続性病変パターン162(図33)を生ずる。
【0086】
また、図31に示す実施態様において、半径方向非対称性構造体142は、周期ブリッジスプライン164を有する。ブリッジスプライン164は、隣接する縦スプライン154にはんだ付けするか、さもなければ、固定する。ブリッジスプライン164は電極166を保持するか、さもなければ、導電性材に暴露して剥離エネルギーを伝えるように作られている。剥離エネルギーの伝達によって、ブリッジスプライン166は、組織Tに横長の病変パターン168(図34に示す)を惹起し、隣接するスプライン154が惹起した縦長の病変パターン160と交差する。横病変168は、縦病変160と連結して、開胸外科的迷路操作中に切開して形成するパターンに匹敵する複合病変パターンを惹起する。
【0087】
電極構成要素156を様々な方法で組み立て得る。これらは、例えば、スプライン構成要素154に沿って、間隔をあけて分節状に配置した、一般的に剛性の複合電極構成要素からなる。分節状電極は、それぞれ白金のような導電性材の固体リングを有し、スプライン構成要素154の周囲に圧力で固定され得る。あるいは、電極部分は、白金ーイリジウムまたは金などの導電性資材を有し、これらをスプライン構成要素154に在来の被覆法またはイオンビーム補助沈着(IBAD)工程を使用して被覆する。好ましい一実施態様において、間隔をあけて密に巻いた長いらせん形コイルをスプライン構成要素154の周囲に巻き付けて、一般的に柔軟性のある電極156の列を形成する。コイルは、銅合金、白金またはステンレス鋼のような導電性材でできている。さらに、コイルの導電性材を白金ーイリジウムまたは金で被覆してその導電性および生物適合性を改善し得る。
B.大病変
心室性頻脈(VT)基質を消失させるには、貫入の深さが1.5cm以上、幅が2.0cm以上で、病変容量が少なくとも1cm3の著明に大きな病変が必要と考える。また、深さが浅く、相対的に大きな表面積を有する病変を作製する必要がある。図35は、組織T中の一般的に大きな表面積病変144の幾何図形的配列を例として示す。
【0088】
また、半径方向非対称性電極構造体は、心臓の心室領域に大病変を作製するのによく適している。図36は、左心室内で使用するために設置した代表的な半径方向非対称性支持構造体146を示す。前述の基準表と一致して、左心室を占有する構造体146は、軸方向に対称である。
【0089】
構造体146のさらに半径方向に間隔が密の縦スプライン148は、整列した複合電極150を保持する。電極150は、剥離エネルギーの伝達因子として働く。半径方向に間隔の密接度が低い縦スプライン149は、電極150を保持しない。
【0090】
電極150は、単極モードですべて同時に作動するのが好ましく、無線周波数剥離エネルギーを集約的に伝達し、外部に取り付けた中性パッチ電極166から患者の皮膚に戻す。
【0091】
図36に示す電極150のサイズおよび間隔は、図31で述べたのと同じ方法で目的に合わせて設定したものであり、前述のように付加的加熱作用のため、組織に連続性病変パターンを作製する。図36に示す配置において、付加的加熱作用に導電的なサイズと間隔の関係を、各スプライン148に沿う縦方向および各スプライン148間の半径方向の両方向について隣接する電極150間で確立する。結果(図38に示すように)として、付加的加熱は、各スプライン148に沿って隣接する電極150間を広げるだけでなく、異なる隣接スプライン148上の隣接する電極間も広げ、それによって、図35に示すような組織Tに連続性大病変パターン144を作製する。
【0092】
好ましくは(図36に示すように)、大病変144を作製する複合電極150の所定の密接間隔パターンが構造体146の遠位ハブ24付近に集合することである。この点でスプライン148(および、従って電極150間)間で必要とする密な半径方向間隔を最適に維持し得る。さらに、遠位ハブ24付近のこの領域のスプライン148を弾性塑性復元力により予備成形し、一般に半径方向バイアスを提供し得る。このバイアスは、スプライン148を互いに推進する。
VIII.代表的な好ましい構築
図12〜図17は、電極支持構造体60(図16に完全組み立て図を示す)の好ましい実施態様を示す。この構造体は、半径方向および軸方向の両方向に非対称性の幾何図形的配列に配置したスプライン構成要素62からなる。
【0093】
図12に示すように、構造体60は、一体化スプライン本体64を有するもので、二つの軸方向に非対称性のスプライン構成要素62を共に接合して形成する。各本本体64は、中間部66を有し、そこからスプライン構成要素62は、対置脚部対として伸長する。この配置において、本体64は、一般的に偏ったフープのような形状になっている(図12を参照のこと)。中間部66は、予備成形戻り止めを有し、その機能は、以降に述べる。
【0094】
フープ様本体64は、上記のニッケルチタニウムのような弾力のある不活性塑性復元力ワイヤからできているのが好ましい。本体64は、直線的横断面を有し、縦軸を中心とするねじりに対して抵抗性が増加するようにするのが好ましい。スプライン構成要素62は、中間部66の反対側に所望の軸方向非対称形に予備成形する。軸方向非対称形は、一般的に前述し、図9に述べる形に従う。
【0095】
遠位ハブ24は、末端キャップ68の形式をとる(図13〜図15を参照)。末端キャップ68は、一般的に筒状の側壁70および曲線的な末端壁72を有する。縦長のボア74(図13および図14)は、キャップ68の中心を通って伸びる。
【0096】
スロット76A、76Bおよび76Cは、中央ボア74を直径方向に交差して、キャップ68から伸長する。ハブ68において、スロット76A-Cは、約60℃の弓状分節内に、通常、円周上に等しく間隔をあけて配置してある。各スロット76A-Cの軸は、中央ボア74を通って直径方向に伸長する。これは、キャップ68の直径方向側にスロット76A-Cの二つの90°分節82および84を提供する。スロットは、各分節82および84内に約45°で円周上に分離している。分節82および84は、約90°で分かれている。もちろん、スロット76A-Cを末端キャップ68の周りの円周上に他の非均一性方法で間隔をあけて形成し得る。2,3またはそれ以上のスロットが所望の非対象幾何学を達せいするために設けられ得る。
【0097】
スロット76A-Cもまたボア軸78に沿って縦方向に間隔をあけて配置する。図15が最も良く示すように、スロット76Aは、末端壁72に最も接近している。スロット76Cは末端壁72から最も遠い。中間スロット76Bは、スロット76Aおよび76C間に間隔をあけて配置したものである。この間隔は、スプライン構成要素が妨害無しにハブ68を通過できるようにする。
【0098】
例証した、好ましい実施態様において、キャップ68は、ステンレス鋼のような不活性機械加工金属でできている。ボア74およびスロット76A-Cは、在来のEDM技術により形成するのが好ましい。なお、他の金属製または成形プラスチック材を使用して、キャップ68および関連の開口部を形成し得る。
【0099】
フープ様本体64のスプライン脚部62をスロット76A-Cから中間本体分66がボア74に入るまで挿入し得る(図14を参照)。中間部分66の戻り止めは、ボア74にパチンとはまり込む。これは、本体64を末端キャップ68に固定し、非対称性スプライン脚部62の対置対は、ぞれぞれのスロット76A-Cから離れて四方に広がる。三本のスロット76A-Cに三本のフープ様本体64を逐次挿入して、スプライン構成要素62を図16に示す放射状パターンに方向付けて、固定する。三次元支持アセンブリ60が結果として生じ(図16に示す)、半径方向および軸方向の両方向に非対称性の幾何図形的配列をもつ。
【0100】
複合電極30を、1994年3月4日に提出し、出願中の米国出願シリアル番号08/206,414に示す方法で、一本以上のスプライン構成要素62に取付け得る。これを、本明細書において参照文献により加える。好ましい実施態様において、電極30を、前述し、図10および図11に示す方法で、分節84ではなく、分節82のスプライン構成要素62上に提供する。
【0101】
例証し、好ましい実施態様において、末端スロット76の下面86を曲線状にする(図14参照)。曲線状下面86は、スプライン構成要素62が、規定量、曲がるか、偏向したとき、これらのスプラインと接触する(図14に示す)。下方スロット面86の湾曲は、スプラインがこの量曲がったとき、スプライン構成要素62を助けて支持し、スプラインが最小曲げ半径を超えて偏向しないように選択する。曲げ半径は、上記の故障モード応力がスプライン構成要素62で最も発現しそうな半径を選択したもので、スライドシース44が図3に示す方法でスプライン構成要素62を最も圧縮し、最も崩壊させやすい。
【0102】
支持構造体60において、基部26は、アンカー部品88および交合固定リング90を有する(図16および図17を参照)。アンカー部品88は、干渉摩擦適合性によりカテーテル管12の遠位末端部16に適合する。固定リング90は、円周上に間隔をあけて配置した一連のグローブ92を有する。このグローブに、スプライン脚部62の固定しない近位末端部が適合する。固定リング90は、アンカー部品88周囲に適合して、グローブ92の内部表面と、アンカー部品88の外部表面間にあるスプライン脚部62の固定しない末端部を捕獲する(図17を参照)。
【0103】
アンカー部品88/固定リング90アセンブリは、スプライン構成要素62を非対称に半径方向に間隔をあけた配置に保持し、その間、スプライン構成要素の予備成形形は、スプラインを所望の軸方向非対称性柔軟性状態に保持する。
【0104】
フープ様本体64溝付末端キャップ68およびアンカー部品88/固定リング90アセンブリは、非対称性電極支持アセンブリ58を形成するのに必要な構成要素部品数を最小限にするので、生産有効性を提供する。 溝付キャップ68は、円周上に整列し、スプライン構成要素62を円周方向および縦方向の両方向に安定化する。また、本体64を溝付キャップ68に取り付ける、一連の挿入およびスナップ固定工程は、アセンブリ工程を著明に簡素化する。
【0105】
好ましい構造体60は、相対的に、大きな遠位表面積および小さい偏向力を生じ、これにより、組織にかかる総合的圧力値を減少させる。図18に示すように、好ましい実施態様のスプライン構成要素62は、キャップ68の軸を約45°以上、(図18のスプライン境界線62Aによって示される)、約110°以下の角度Xで通過して伸びる(図18のスプライン境界線62Cにより示すように)。角度Xは、約80°〜100°が好ましい。例証の好ましい実施態様(図18のスプライン境界線62Bにより示すように)において、角度Xは約90°である(すなわち、スプライン境界線62Cは、一般的にキャップ48の軸と垂直に伸びる)。
【0106】
図19に示すように、キャップ68が課す角度Xは、拡大したドーム形の遠位表面積94を有する構造体60を作製する。表面積94は、心臓が鼓動するときの心内膜組織に親密に従う。キャップ68の溝付構造は、キャップ68の遠位末端と非常に接近した最遠位スプライン構成要素62の位置設定を可能にする。結果(図19を参照)として、構造体60を使用のため完全に配置したとき、キャップ68は、得られた構造体60の包絡線を超える最小距離だけ突出する。実際は、キャップ68は、実質的に遠位表面積94の包絡線内にある。
【0107】
キャップ68が可能にする遠位幾何図形的配列は、相対的に平滑な表面積94を作製し、これは、有意に心内膜組織へ伸長し得る主要突起物と本質的に関係しない。表面積94の輪郭線は、実質的に一定の弓形に沿って、末端キャップ68と交差する一スプライン62から向かい合うスプライン62へ広がる。末端キャップ68は、心内膜を突き出し鈍端組織外傷の原因となる外側部分が生理学的有意に突出のない表面94を示す。従って、キャップ68の周りに広がる輪郭面94は、使用中に心内膜組織を損傷する可能性を最小限にする。
【0108】
輪郭表面94は、心室基部で心臓頂部の組織に接近し、組織との親密接触を可能にする。梗塞した心組織の約6〜8%が頂部内に認められる。従って、この領域への非外傷的接近方法はかなりの診断的有益性を提供する。
【0109】
しかも、この輪郭表面94に沿った末端キャップ68の整列は、末端キャップ68自体を電極としての使用を可能にする。輪郭表面94および非突起末端キャップ68は、医師がこの構造体60を配置できるようにし、電極として末端キャップ68を使用して心臓の頂部から心電図信号を得ることができる。再度、かなりの診断的有益性が生ずる。
【0110】
さらに、図16〜図19に示す構築の有益性についての詳細は、1995年10月13日に提出した題名「最適生体力学的特性を有する複合支持構造体」で出願中の米国出願シリアル番号08/557,790に認められ、これは参照文献により本明細書において加える。
【0111】
図23〜図26は、柔軟性スプラインワイヤ114と116を共に接合する遠位ハブ112の択一的実施態様を示す。機械の溝付ハブ24(図13〜図15に示す)の代わりに、遠位ハブ112は、長さの短い弾力性小径プラスチック管114を有し、二本のスプラインワイヤ116および118の相互輪状末端部を共にぴったりと締める。
【0112】
管は、弾性塑性復元力を有する不活性プラスチック材で出来ていて、通常、管ボア115をプリセット内部直径方向へ押し出す。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン材、またはTEFLON、プラスチックおよびKEVLARプラスチックでできた複合体(例えば、二枚のTEFLONプラスチック層間にはさんだKEVLARプラスチックの三重ラミネート)を使用し得る。スプラインワイヤ116と118は、前述のように、金属またはプラスチックであり得る。NITINOL材でできた金属ワイヤは、この使用によく適合する。
【0113】
管114は、所望の長さに予備切断したものである。図24に示すように、第一スプラインワイヤ116は、それ自体を曲げ、ループ120として管114のボア115を通す。間のボア115の内径は、曲げられたワイヤ116に係合するように選択される。管114は、形成したループ120から離れて位置する。
【0114】
図25に示すように、第二スプラインワイヤ118は、管114のボア115を通さないで、形成したループ120を末端から通す。スプラインワイヤ118は、ループ120内でそれ自体を曲げて、第二ループ122を形成する。これによって、第一ループ120とかみ合うか、または「編み込む」。さらに、長いスプラインワイヤもまた、同じ様式でループ120を通し、これを折り戻して、第一ループで相互に織り込んだループの整合を形成する。
【0115】
図26に示すように、次に、管114を、ネクタイの結び目のように、ループになった第一スプラインワイヤ116に沿って上方へスライドする(図26の矢印117を参照)。管144は、ループ120と122の編み込み整合を圧迫する。管114の弾性塑性復元力は、その遠位末端部で力を発し、編み込み整合したループ120と122を共にぴったりと保持する。管114に従属するスプラインワイヤ116と118の固定しない脚部を親密操作して、所望の半径方向にし得る。これらの脚部は、いったん所望方向に配置すると、前述の方法でアンカー88に連結し得る。電極を同様に前述の方法で、スプラインの固定しない脚部に取付け得る。
【0116】
図27は、遠位ハブ124の別の択一的実施態様を示す。ハブ124は、穿孔性材を有し、これに穴をあけて、スプラインワイヤ130を末端部から通し得る。
【0117】
例証および好ましい実施態様において、ハブ124を、例えば、固いポリカーボネート材または金属材の予備切断した短い剛性管126で形成する。通過スロット127に管126を通す穴をあけ、スプラインワイヤ130の通路を提供する。また、図27に示すように、管126を、例えば、シリコンゴムまたは軟ウレタン材のような弾性エラストマー密閉材128により被包する。
【0118】
一実施態様において、密閉材128が硬化したとき、個々の長さのスプラインワイヤ130を末端から被包管のスロット127に打ち込み、穴をあける(図28に矢印131で示すように)。スプラインワイヤ130は、弾性密閉材128に穴をあけてスロット127を通過できるようにする。好ましくは、弾性密閉材127は、透明または半透明で、密閉材を通してスロット127が見えるようにする。
【0119】
多種多様の長さのワイヤー130を所望の方向へ被包材128および管126に通して、所望数の従属スプライン脚部対を形成する。一度通すと、従属スプライン脚部を、前述の方法で取り付けたアンカー88および電極に対して固定する。
【0120】
あるいは、スプラインワイヤ130を、資材128により被包する前に、管126のスロット127に通し得る。この実施態様において、スロット127にスプラインワイヤ130を通した後、エラストマー材128を被覆または浸積により適用する。
【0121】
図29は、支持アセンブリ132の択一的実施態様を示す。支持アセンブリ132は、ハブ24を構成する中央ウェブ136から円周上に間隔をあけて四方に広がるスプライン構成要素134を有する。
【0122】
図29に示すように、支持アセンブリ132は、前に示した図21および図22の型のもので、軸方向に対称だが、半径方向に非対称である。また、支持アセンブリ132は、図21と図22ですでに述べたように、非対称性機械特性を有する。
【0123】
特に、アセンブリ132は、S1〜S7で示す七本のスプライン構成要素134を有し、これらを、中心ウェブ136の周りに二つの離散群106および108で配置している。群106は、五本の隣接するスプライン構成要素S1〜S5からなり、第二群108は、二本の隣接するスプライン構成要素S6〜S7からなる。これにより、半径方向に非対称性の構造体を提供し、このとき、最小角度β(約36°)と最大角度α(約60°)間の差は、20°以上である。
【0124】
さらに(図21および図22に示す構造体104と類似した)、各スプラインS6とS7(群108の)は、各スプラインS1〜S5(群106の)よりも、横方向に広く、従って、個々のスプラインS1〜S5よりも固い。これにより、図21および図22の構造体104に関して前述した物理的性質の非対称性を提供する。
【0125】
図30Aに示すように、スプライン構成要素134およびウェブ136は、単一シート材138で機械加工したものである。例証の実施態様において、シート138は、厚さ約0.004インチのニッケルチタニウム原料からなる。押し出し成形または鋳造プラスチックまたはステンレス鋼のような他の資材を使用してシートにし得る。
【0126】
また、図30Aに示すように、円周上に間隔をあけて配置したパイ形分節140を、まず、シート138から切断し、所望の幅および円周上間隔を有し、末梢リム141に取り付けたスプライン構成要素138を後に残す。次に、リム141を、図30Bに示すスプライン構成要素から切り取る。レーザー切断または、EDMのような別の精確な機械による切断技術をこの目的に使用し得る。
【0127】
スプライン構成要素138の一末端をウェブ136に連結し、ウェブからスポークのように四方に広げる。スプライン構成要素138の固定しない末端部を前述の方法でアンカー88に連結し、電極を取付ける。
【符号の説明】
【0128】
10 多電極プローブ
12 カテーテル管
14 プローブの近位端
16 プローブの遠位端
18 ハンドル
20 電極支持アセンブリ
22 スプライン要素
36 主中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内領域内で展開のためのアセンブリであって、
軸の周りで間隔のあいた関係で配置され、内皮組織に接触するために突状の外形で配置されるように構成される複数のスプライン要素であって、該スプライン要素は、該軸周りに配置され、該軸に沿ってほぼ長手方向に延び、該スプライン要素はバスケット構造を形成する、複数のスプライン要素を有し、
該複数のスプライン要素は、第1の断面機械特性を示す支持構造を有する第1のスプライン要素と、第2の断面機械特性を示す支持構造を有する第2のスプライン要素と、を有し、該第2の断面機械特性は、該第1の断面機械特性とは異なる、アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のスプライン要素は、前記第2のスプライン要素から前記軸を横切ってほぼ直径方向に離れている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のスプライン要素によって実施される治療要素および診断要素の少なくとも1つをさらに有する、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記治療要素および診断要素の少なくとも1つが電極を含む、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記電極が電気的エネルギーを伝達するように適合される、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記電極が電気信号を伝達または検知するように適合される、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記第2のスプライン要素が治療要素および診断要素から離れている、請求項1〜6のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記第1のスプライン要素および第2のスプライン要素が突状の付勢に予め形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記第1のスプライン要素が前記第2のスプライン要素に近位領域および遠位領域で固定されている、請求項1〜8のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記第1のスプライン要素が第1の幅を有し、前記第2のスプライン要素が該第1の幅よりも大きい第2の幅を有する、請求項1〜9のいずれかに記載のアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【公開番号】特開2010−57943(P2010−57943A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253525(P2009−253525)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【分割の表示】特願平10−520647の分割
【原出願日】平成9年10月27日(1997.10.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】