説明

非常用燃料電池発電装置及びその運転方法

【課題】重要負荷に電力行給が行われない危険な状況を極力回避し得る非常用燃料電池発電装置及びその運転方法を提供する。
【解決手段】燃料電池の起動・停止指令を発する制御部、及び各種の異常を検出する異常検出手段とを備え、制御部は異常検出手段からの異常検出信号を受けた場合、燃料電池が停止中には起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、燃料電池の起動中或いは運転中には発電停止指令を発して該燃料電池を停止した後起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、該燃料電池が起動禁止状態となった後、第1の所定時間の経過後に当該制御部が一旦前記異常検出手段をリセットして第2の所定時間の経過後に異常検出手段から再度異常検出信号を受けた場合、起動禁止状態を継続し、異常検出信号を受けない場合、燃料電池の起動禁止状態をリセットする機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号機管理システム等に代表される重要電力負荷に対する商用電源からの電力供給が停電等により停止された際、燃料電池を起動し、発電した電力を当該重要負荷に供給する非常用燃料電池発電装置及びその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交通信号機管理システム等に代表される重要電力負荷、即ち電力供給の遮断により安全上重大な支障が発生すると予想されるような電力負荷に対しては、その重要性から商用電力の供給が停電等により停止された際に、これに替わって非常用電力を供給する非常用電力供給手段を備えていることが望ましい。
【0003】
これまでこのような非常用電力供給手段としてはディーゼルエンジン等の内燃機関を用いた発電設備が使用されてきたが、ディーゼルエンジン等の内燃機関を用いた発電設備では運転時に公害物質を排出することや、運転時の騒音値が大きい等の問題が存在したていた。
【0004】
燃料電池は電気化学的発電装置であるから、発電時に排出されるのは水と熱だけでクリーン環境を維持できる発電装置であり、且つ運転に伴う騒音も小さいなどの特徴を有している。また、発電規模に左右されない発電効率が維持され、ディーゼルエンジン等の内燃機関と比較し、装置が小型であっても発電効率の面からも有利である。
【0005】
近年の燃料電池開発の進歩に伴い、上記のような非常用発電装置にこのような燃料電池
を用いた発電装置が提案され、その運用方法が検討されている。特に、固体高分子型燃料電池はその作動温度が他の燃料電池と比較して低く、起動時間が短いという特徴を有し、更に、水素ガスを燃料とする固体高分子型燃料電池は、燃料を改質する必要がなく、極めて迅速な起動が可能であり、非常用燃料電池発電装置として適しているとして注目されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記非常用燃料電池発電装置は、商用電力の遮断を検出して該燃料電池発電装置を起動し、商用電力の復帰を検出して発電システムを停止する制御装置を備えている。非常用燃料電池発電装置には、燃料電池本体の異常検出手段の他にも燃料電池が収容されている室内或いは筐体内に可燃性ガス検出手段、燃料である水素ガス供給圧力の検出手段、水素ガスの遮断を行う遮断弁駆動用ガスの供給ガス圧検出手段、水素ガス容器の水素ガス圧検出手段、筐体の換気装置運転検出手段、衝撃、加速度或いは地震検出手段等、燃料電池発電装置の運転状態を監視する各種異常検出手段を備えているのが一般的である。
【0007】
これら異常検出手段が、異常或いは予め定められた値以上、或いは予め定められた値以下を検出した時には制御装置に異常検出信号を発信し、制御装置は異常検出の種類を識別すると共に、燃料電池装置が停止中には起動禁止制御を選択し、起動中或いは運転中においては燃料電池の発電を停止する制御を選択して燃料電池の発電を停止させた後、起動禁止制御を選択すると共に、外部に対して異常の発生及び種類を通報するように構成されている。
【0008】
燃料電池発電装置の保全のため、上記のような異常検出手段を設けているのであるが、これらの検出手段が誤動作を起すことも考えられる。更に、異常検出手段が異常検出信号を発信していないにもかかわらず、周辺機器からの電磁波障害によって、制御装置が誤動作することも考えられる。特に、本非常用燃料電池発電装置が交通管理システムへの電力供給用として使用される場合には、その性格上、交通信号が敷設されている交差点等に設置される事が多いと予測され、近年問題となっている違法送受信機による電磁波ノイズによる障害が懸念される。
【0009】
また、衝撃,加速度或いは地震検出手段、状態(例えば傾き)検出手段は一旦動作して、制御部に異常信号を発令したとしても、所定時間経過後には既にその原因が排除されている場合も十分想定できる。
【0010】
このような非常用燃料電池発電装置が、重要負荷の電力供給という重大な任務を負っていることを考慮すると、運転可能な状態である限り運転を継続することが肝要である。異常検出手段により異常が検出され、異常信号が外部に発令されて、その発令を受けて作業員が現地に赴き、適切な処置を行うまで非常用燃料電池発電装置を停止することになり、それまで重要負荷に電力供給が行われないことになり危険な状況に至る虞がある。従来の非常用燃料電池発電装置においては、このような状況に対処する十分な対策が考慮されていなかった。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、異常検出手段から異常信号が発令され、その発令を受けて作業員が現地に赴き、適切な処置を行うまで燃料電池発電装置を停止することになり、重要負荷に電力行給が行われない危険な状況を極力回避し得る非常用燃料電池発電装置及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、燃料電池を備え、外部負荷に対して商用電力の供給が停止した場合に、電力を供給する非常用燃料電池発電装置であって、前記燃料電池の起動・停止指令を発する制御部、及び各種の異常を検出する異常検出手段とを備え、前記制御部は前記異常検出手段からの異常検出信号を受けた場合、前記燃料電池が停止中には起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、前記燃料電池の起動中或いは運転中には発電停止指令を発して該燃料電池を停止した後起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、該燃料電池が起動禁止状態となった後、第1の所定時間の経過後に当該制御部が一旦前記異常検出手段をリセットして第2の所定時間の経過後に前記異常検出手段から再度異常検出信号を受けた場合、起動禁止状態を継続し、異常検出信号を受けない場合、前記燃料電池の起動禁止状態をリセットする機能を有することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の非常用燃料電池発電装置において、前記外部負荷が、交通管理システムであることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の非常用燃料電池発電装置において、前記燃料電池が固体高分子型燃料電池であることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、燃料電池を備え、外部負荷に対して商用電力の供給が停止した場合に、電力を供給する非常用燃料電池発電装置の運転方法であって、各種の異常を検出する異常検出手段からの異常検出信号を受けた場合、前記燃料電池が停止中には起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、前記燃料電池の起動中或いは運転中には発電停止指令を発して該燃料電池を停止した後起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、該燃料電池が起動禁止状態となった後、第1の所定時間の経過後に当該制御部が一旦前記異常検出手段をリセットして、第2の所定時間の経過後に前記異常検出手段から再度異常検出信号を受けた場合、起動禁止状態を継続し、異常検出信号を受けない場合、前記燃料電池の起動禁止状態をリセットすることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の非常用燃料電池発電装置の運転方法において、前記外部負荷が、交通管理システムであることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の非常用燃料電池発電装置の運転方法において、前記燃料電池が固体高分子型燃料電池であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、制御部は前記異常検出手段からの異常検出信号を受けた場合、前記燃料電池が停止中には起動不可指令を発して燃料電池を起動禁止状態とし、燃料電池の起動中或いは運転中には発電停止指令を発して燃料電池を停止した後起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、該燃料電池が起動禁止状態となった後、第1の所定時間の経過後に当該制御部が一旦異常検出手段をリセットして、第2の所定時間の経過後に前記異常検出手段から再度異常検出信号を受けた場合、起動禁止状態を継続し、異常検出信号を受けない場合、前記燃料電池の起動禁止状態をリセットする機能を有するので、リセットされた時点で商用電力の供給がなされていない場合には、該燃料電池を再起動する機能を有するので、外部負荷に電力行給が行われない危険な状況を極力回避し得る非常用燃料電池発電装置を提供できる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、外部負荷が交通管理システムであるので、特に交通渋滞、或いは交差点における危険な状態を防止する交通信号機の点滅システムに極力電力を供給できる非常用燃料電池発電装置を提供できる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、燃料電池が固体高分子型燃料電池、特に燃料を改善する必要がなく、極めて迅速な起動が可能な水素ガスを燃料とする固体高分子型燃料電池を用いることにより、低い作動温度で、且つ起動時間が短い非常用燃料電池発電装置を提供できる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、各種の異常を検出する異常検出手段からの異常検出信号を受けた場合、前記燃料電池が停止中には起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、前記燃料電池の起動中或いは運転中には発電停止指令を発して該燃料電池を停止した後起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、該燃料電池が起動禁止状態となった後、第1の所定時間の経過後に制御部が一旦前記異常検出手段をリセットして第2の所定時間の経過後に前記異常検出手段から再度異常検出信号を受けた場合、起動禁止状態を継続し、異常検出信号を受けない場合、前記燃料電池の起動禁止状態をリセットするので、リセットした時点で商用電力が供給されていない場合には、該燃料電池を再起動するので、外部負荷に電力行給が行われない危険な状況を極力回避し得る非常用燃料電池発電装置の運転方法を提供できる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、外部負荷が交通管理システムであるので、特に交通渋滞、或いは交差点における危険な状態を防止する交通信号機の点滅システムに極力電力を供給できる非常用燃料電池発電装置の運転方法を提供できる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、燃料電池が固体高分子燃料電池、特に燃料を改善する必要がなく、極めて迅速な起動が可能な水素ガスを燃料とする固体高分子型燃料電池を用いることにより、低い作動温度で、且つ起動時間が短い非常用燃料電池発電装置の運転方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る非常用燃料電池発電装置のシステム構成を示す図である。本非常用燃料電池発電装置は、燃料電池筐体10内に燃料電池11、CPUを具備する制御部12、インバータ制御盤13、及び換気ファン14が収納されている。また、燃料電池筐体10内には、可燃ガスの漏れを検出する可燃ガスセンサ15、衝撃、加速度及び地震を検出する感震器16、状態(例えば傾き)を検出する状態センサ17が設置されて、その検出信号は制御部12に入力される。
【0025】
20は水素ガスを収容する水素ボンベ、21は窒素ガスを収容する窒素ボンベであり、水素ボンベ20から配管24を通り、遮断弁22、レギュレータ23を経由して圧力の調整された水素ガスが燃料電池11に供給されるようになっている。遮断弁22は窒素ボンベ21からの窒素ガス圧により操作される遮断弁であり、窒素ボンベ21から配管25を通りレギュレータ26を経由して圧力の調整された窒素ガスが供給されて、開閉される。
【0026】
27は窒素ボンベ21の窒素ガス圧(遮断弁22の駆動ガス圧)を検出する圧力センサ、28は水素ボンベ20の水素ガス圧を検出する圧力センサ、29は燃料電池11に供給される水素のガス圧を検出する圧力センサである。圧力センサ27、圧力センサ28、及び圧力センサ29の圧力検出信号は制御部12に入力される。制御部12は、圧力センサ27、圧力センサ28、圧力センサ29、可燃ガスセンサ15、感震器16、状態センサ17で検出された各種検出信号から異常か否かを検出し燃料電池11の起動・停止指令を発する。また、制御部12は換気ファン14を起動し、燃料電池筐体10内の換気を行う。燃料電池11で発電された直流電力は、インバータ制御盤13の制御によりインバータ(図示せず)により所定周波数の交流電力に変換され、外部負荷(交通管理システム等の重要負荷等)30に供給される。
【0027】
外部負荷30には図示しない商用電源から電力が供給されるようになっており、停電等で該商用電源から電力が供給されなくなった場合、制御部12は燃料電池11を起動し、上記のようにインバータで交流電力に変換し、外部負荷30に供給されるようになっている。
【0028】
制御部12は、圧力センサ27からの窒素ガス圧検出信号、圧力センサ28からの水素ガス圧検出信号、圧力センサ29からの燃料電池11に供給される水素ガス圧検出信号、可燃ガスセンサ15からの可燃ガス検出信号、感震器16からの衝撃・加速度・地震検出信号、状態センサ17からの状態検出信号を受けて、異常か否かを判断し、異常と判断した場合は、燃料電池11が停止中であれば起動禁止状態とし、燃料電池11が起動中或いは運転中であれば停止させた後、起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、該燃料電池が起動禁止状態となった後、第1の所定時間の経過後に異常検出をリセットして第2の所定時間の経過後に再度異常か否かを判断し異常と判断した場合、燃料電池11起動禁止状態とし、異常判断しない場合、燃料電池11の起動禁止状態をリセットし、リセットした時点で商用電力遮断が検出された場合には再起動を行う。
【0029】
図2は制御部12の上記制御処理フローを示す図である。図示するように、制御部12は異常を検出するために、各種信号(図示せず)から燃料電池11の本体の異常を検出する燃料電池本体異常検出手段101、可燃ガスセンサ15の出力から可燃ガスの漏れを検出する可燃ガス検出手段102、感震器16の出力から衝撃・加速度・地震を検出する衝撃・加速度・地震検出手段103、状態センサ17の出力から状態(傾き)を検出する状態(傾き)検出手段104、圧力センサ28の出力から水素ボンベの水素ガス圧を検出する水素ボンベ圧力低検出手段105、圧力センサ29の出力から水素供給圧力高・低を検出する水素供給圧力高・低検出手段106、圧力センサ27の出力から遮断弁22を駆動する窒素ガス圧の低下を検出する弁駆動用ガス圧力低検出手段107、換気ファン14の運転を検出する換気装置運転検出手段108を備えている。
【0030】
上記検出手段により、異常検出を検出し(ステップST1)、続いて異常の種類認識し(ステップST2)、外部警報発信を行う(ステップST3)。次に第1の所定時間をセットしたタイマーIの計測を開始し(ステップST4)、燃料電池11が起動中か又は運転中かを判断し(ステップST5)、起動中又は運転中であったら燃料電池11の発電停止指令を発し(ステップST6)、燃料電池11による発電を停止し(ステップST7)し、燃料電池11の起動不可指令を発する(ステップST8)。また、前記ステップST5において、起動中又は運転中でなかった(停止中)場合も燃料電池11の起動不可指令を発する(ステップST8)し、燃料電池11を起動禁止状態とする。
【0031】
続いて前記タイマーIにセットした所定時間が経過したか否かを判断し(ステップST9)、経過したら異常検出手段(手段101〜108)及びタイマーIをリセットし、第2の所定時間をセットしたタイマーIIの計測を開始する(ステップST10)。続いてタイマーIIにセットした第2の所定時間が経過したか否かを判断し(ステップST11)、経過したらタイマーIIをリセットする(ステップST12)。続いて異常検出かを判断し(ステップST13)、異常を検出したら燃料電池11の起動不可指令を発し(ステップST14)、異常を検出しなかったら燃料電池の起動禁止状態をリセットする(ステップST15)。
【0032】
制御部12は、上記のように燃料電池11の起動中或いは運転中に異常検出信号を受けた場合は、発電停止指令を発して燃料電池11の発電を停止してから燃料電池11の起動不可(起動禁止)指令を発し、燃料電池11の停止中に異常検出信号を受けた場合は、直ちに燃料電池11の起動不可(起動禁止)指令を発し、タイマーIにセットされた第1の所定時間が経過したらすべての異常検出手段をリセットすると共に、第2の所定時間をセットしたタイマーIIの計測を開始し、該第2の所定時間が経過し後、異常検出信号を受けた場合は燃料電池11の起動不可指令を発し、異常検出信号を受けない場合は燃料電池の起動禁止状態をリセットする。
【0033】
上記のように燃料電池11の起動中或いは運転中或いは停止時において、制御部12が異常検出手段(手段101〜108)から異常検出信号を受けて、燃料電池11が停止中では起動禁止とし、起動中或いは運転中では燃料電池11が停止し、その後に全ての異常検出手段をリセットし、再度同じ異常信号が検出された場合は、これらの異常検出手段が誤動作でないことを確認できる。
【0034】
また、全ての異常検出手段をリセットし、再度同じ異常信号が検出されない場合は、本当の異常か、異常検出手段の誤動作であるか、周辺機器からの電磁波障害或いは違法送受信機による電磁波ノイズによる障害によって制御部12が誤動作したことが推定できる。
【0035】
また、衝撃・加速度・地震検出手段103、状態(傾き)検出手段は一旦作動して、制御部12に信号を発令したとしても、タイマーIにセットした所定の時間の経過後にこれをリセットして、再度同じ異常検出信号が発令されない場合には既にその原因が排除されている場合も十分想定できる。
【0036】
非常用燃料電池発電装置を上記のように構成することにより、異常警報が外部に発令され、その発令を受けて作業員が現地に赴き、適切な処置を行うまで、交通管理システム等の重要な外部負荷30に電力の供給が行われない状況を極力回避し得る非常用燃料電池発電装置を実現できる。
【0037】
外部負荷30が交通管理システムの場合は、特に交通信号機の点滅システムは、その停止状態が継続することにより交通渋滞、或いは交差点における危険な状態を招くことになり、逸速い復旧が望まれる。燃料電池本体異常検出手段101で燃料電池11本体の異常、或いは可燃ガス検出手段102で可燃ガスのガス漏れ等が検出され、燃料電池11の発電を復帰させることが危険な場合はやむえないものの、検出手段の誤動作、或いは電磁波障害による停止の場合には、異常検出手段を一旦リセットして再検出を試みその結果によって、再度異常が検出されない場合なは、制御部12から燃料電池11に再起動をかけることにより、交通信号機点滅システムに極力電力を供給できる。
【0038】
燃料電池11に、固体高分子型燃料電池を使用することにより、この固体高分子型燃料電池はその作動温度が他の燃料電池と比較して低く、起動時間が短いという特徴を有し、更に、水素ガスを燃料とする固体高分子型燃料電池は、燃料を改善する必要がなく、極めて迅速な起動が可能であるから、非常用燃料電池発電装置の燃料電池として適している。
【0039】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る非常用燃料電池発電装置のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明に係る非常用燃料電池発電装置の制御部の制御処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0041】
10 燃料電池筐体
11 燃料電池
12 制御部
13 インバータ制御盤
14 換気ファン
15 可燃ガスセンサ
16 感震器
17 状態(傾き)センサ
20 水素ボンベ
21 窒素ボンベ
22 遮断弁
23 レギュレータ
24 配管
25 配管
26 レギュレータ
27 圧力センサ
28 圧力センサ
29 圧力センサ
30 外部負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を備え、外部負荷に対して商用電力の供給が停止した場合に、電力を供給する非常用燃料電池発電装置であって、
前記燃料電池の起動・停止指令を発する制御部、及び各種の異常を検出する異常検出手段とを備え、
前記制御部は前記異常検出手段からの異常検出信号を受けた場合、前記燃料電池が停止中には起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、前記燃料電池の起動中或いは運転中には発電停止指令を発して該燃料電池を停止した後起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、該燃料電池が起動禁止状態となった後、第1の所定時間の経過後に当該制御部が一旦前記異常検出手段をリセットして第2の所定時間の経過後に前記異常検出手段から再度異常検出信号を受けた場合、起動禁止状態を継続し、異常検出信号を受けない場合、前記燃料電池の起動禁止状態をリセットする機能を有することを特徴とする非常用燃料電池発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非常用燃料電池発電装置において、
前記外部負荷が、交通管理システムであることを特徴とする非常用燃料電池発電装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の非常用燃料電池発電装置において、
前記燃料電池が固体高分子型燃料電池であることを特徴とする非常用燃料電池発電装置。
【請求項4】
燃料電池を備え、外部負荷に対して商用電力の供給が停止した場合に、電力を供給する非常用燃料電池発電装置の運転方法であって、
各種の異常を検出する異常検出手段からの異常検出信号を受けた場合、前記燃料電池が停止中には起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、前記燃料電池の起動中或いは運転中には発電停止指令を発して該燃料電池を停止した後起動不可指令を発して該燃料電池を起動禁止状態とし、該燃料電池が起動禁止状態となった後、第1の所定時間の経過後に当該制御部が一旦前記異常検出手段をリセットして第2の所定時間の経過後に前記異常検出手段から再度異常検出信号を受けた場合、起動禁止状態を継続し、異常検出信号を受けない場合、前記燃料電池の起動禁止状態をリセットする機能を有することを特徴とする非常用燃料電池発電装置の運転方法。
【請求項5】
請求項4に記載の非常用燃料電池発電装置の運転方法において、
前記外部負荷が、交通管理システムであることを特徴とする非常用燃料電池発電装置の運転方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の非常用燃料電池発電装置の運転方法において、
前記燃料電池が固体高分子型燃料電池であることを特徴とする非常用燃料電池発電装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−278174(P2006−278174A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96510(P2005−96510)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】