説明

非常用電源機能を備えたポータブル電源システム

【課題】停電時の非常用電源としての機能を充分に発揮できながら、蓄電された電力を通常時においても有効活用できる、電源システムを提供する。
【解決手段】停電時に蓄電電力が負荷9に供給されるようになされている。また、蓄電装置1は、接続を解除することで持ち運び可能なポータブル性を備えたものからなっていて、接続解除状態において放電用接続部8に電気機器を接続することで蓄電電力を供給できるようになっている。更に、通常時、一部の時間、蓄電電力が負荷9に供給されるようになされていると共に、蓄電電力のうちの一部のみが負荷9に供給されるようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常用電源機能を備えたポータブル電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置が、商用電源と、商用電源からの電力供給を受けるようになされた照明等の一部の特定の負荷とに接続され、停電時に、該負荷に蓄電電力を供給し、復旧後、負荷への蓄電電力の供給を停止すると共に、商用電源からの電力の供給を受けて充電されるようになされた、非常用電源機能を備えた電源システムは、従来より提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−252117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の電源システムでは、蓄電装置を、停電時の非常用電源として用いる構成となっているだけで、蓄電された電力を通常時にその他の用途に有効活用するというようなことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、停電時の非常用電源としての機能を充分に発揮することができながら、蓄電された電力を通常時においても有効活用することができる、電源システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、商用電源に接続される充電用接続部を備えて系統電力を蓄電することができるようになされた蓄電装置と、
該蓄電装置の放電用接続部と負荷とを接続して蓄電電力を該負荷に供給するか、商用電源と該負荷とを接続して系統電力を該負荷に供給するかの切換えを行う切換えスイッチと、
停電検知装置と、
制御装置と、
が備えられ、
前記停電検知装置が停電を検知したとき、その検知信号に基づいて、前記制御装置が、前記切換えスイッチに、前記負荷に対する電力供給を系統電力供給から蓄電電力供給に切り換えさせる制御を行い、蓄電電力が該負荷に供給されるようになされており、
前記蓄電装置は、その充電用接続部と商用電源との接続が解除可能であると共に、放電用接続部と前記切換えスイッチとの接続が解除可能で、これら接続を解除することにより持ち運び可能なポータブル性を備えたものからなっており、該接続解除状態において、放電用接続部に電気機器を接続することにより、該電気機器に蓄電電力を供給することができるようになされており、かつ、
前記制御装置は、前記停電検知装置が停電を検知しない通常時において、前記切換えスイッチに、一部の時間、前記負荷に対する電力供給を蓄電電力供給に保持し、他の一部の時間又は他の全部の時間、前記負荷に対する電力供給を系統電力供給に保持する切換えを行わせる制御を行うと共に、蓄電装置に蓄電されている電力のうちの一部のみが負荷に対する蓄電電力供給に使用されるようにする制御を行うようになされていることを特徴とする、非常用電源機能を備えたポータブル電源システムによって解決される(第1発明)。
【0007】
このシステムでは、停電検知装置が停電を検知したとき、その検知信号に基づいて、制御装置が、切換えスイッチに、負荷に対する電力供給を系統電力供給から蓄電電力供給に切り換えさせる制御を行い、蓄電電力が負荷に供給されるようになされているので、停電時の非常用電源としての機能を充分に発揮することができる。
【0008】
のみならず、蓄電装置は、その充電用接続部と商用電源との接続が解除可能であると共に、放電用接続部と前記切換えスイッチとの接続が解除可能で、これら接続を解除することにより、持ち運び可能なポータブル性を備えたものからなっており、該接続解除状態において、放電用接続部に電気機器を接続することにより、該電気機器に蓄電電力を供給することができるようになされているので、通常時に、充電用接続部と商用電源との接続を解除すると共に、放電用接続部と切換えスイッチとの接続を解除し、好みのところに持ち運んで、放電用接続部に電気機器を接続することで、電気機器に蓄電電力を供給して使用することができ、蓄電された電力を通常時においても有効活用することができる。
【0009】
しかも、本発明では、制御装置は、停電検知装置が停電を検知しない通常時において、切換えスイッチに、一部の時間、前記負荷に対する電力供給を蓄電電力供給に保持する切換えを行わせる制御を行うようになされているので、蓄電された電力を、通常時において、ポータブル用途以外に、より一層有効活用することができ、
加えて、その場合に、制御装置は、蓄電装置に蓄電されている電力のうちの一部のみが負荷に対する蓄電電力供給に使用されるようにする制御を行うようになされているので、停電検知装置が停電を検知したとき、蓄電装置には必ず電力が残っており、蓄電電力を確実に負荷に供給することができて、停電時の非常用電源としての機能が損なわれてしまうこともない。
【0010】
第1発明において、前記制御装置が、深夜電力を前記蓄電装置に蓄電する制御を行うようになされている場合は(第2発明)、蓄電装置が電気料金の相対的に高価な昼間に充電を行ってしまうのを防ぐことができて、充電コストを低く抑えることができる。
【0011】
第1,第2発明において、太陽電池が備えられ、前記制御装置が、太陽光発電電力を前記蓄電装置に蓄電する制御を行うようになされている場合(第3発明)、及び、第1〜第3発明において、太陽電池が備えられ、前記制御装置が、太陽光発電電力を負荷に供給する制御を行うようになされている場合(第4発明)は、二酸化炭素排出量を削減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のとおりのものであるから、停電時の非常用電源としての機能を充分に発揮することができながら、蓄電された電力を、通常時においても、ポータブル用途に有効活用することができると共に、ポータブル用途以外の用途にも、有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態のシステムの全体構成を示す説明図である。
【図2】図(イ)及び図(ロ)はそれぞれ制御のタイムスケジュールを示す図である。
【図3】図(イ)及び図(ロ)はそれぞれ、システムの作動状態を示す説明図である。
【図4】図(イ)及び図(ロ)はそれぞれ、システムの作動状態を示す説明図である。
【図5】図(ホ)は、システムの作動状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に示す実施形態のシステム構成において、1は蓄電装置、2は切換えスイッチ、3は停電検知装置、4は制御装置、9は特定の負荷である。
【0016】
蓄電装置1は、分電盤5を通じて商用電源6に接続される充電用接続部7を備えて、系統電力を蓄電することができるようになされている。
【0017】
切換えスイッチ2は、蓄電装置1の放電用接続部8と負荷9を接続して蓄電電力を該負荷に供給するか、商用電源6と該負荷9とを接続して系統電力を該負荷9に供給するかの切換えを行うものであり、制御装置4による制御を受けて切換えが行われるようになされている。
【0018】
制御装置4は、停電検知装置3が停電を検知したとき、その検知信号に基づいて、図4(ニ)に示すように、切換えスイッチ2に、負荷に対する電力供給を系統電力供給から蓄電電力供給に切り換えさせる制御を行い、そのような制御により、蓄電電力が該負荷9に供給されるようになされている。
【0019】
そして、上記の蓄電装置1は、その充電用接続部7と分電盤5との接続を解除することができるようになっていると共に、放電用接続部8と切換えスイッチ2との接続も解除することができるようになっていて、これら接続を解除することにより持ち運びのできる、ポータブル性を備えたものからなっていて、図5(ホ)に示すように、そのような接続解除状態において、放電用接続部8に電気機器11を接続することにより、該電気機器11に蓄電電力を供給することができるようになされている。
【0020】
また、本実施形態のシステムには、太陽電池10が備えられ、該太陽電池10が発電した電力を、売電したり、図3(ロ)に示すように、蓄電装置1に蓄電したり、負荷9に供給したりすることができるようになされている。また、同システムでは、図3(イ)に示すように、蓄電装置1の充電を、深夜電力を利用して行うようになされている。
【0021】
そしてまた、本実施形態のシステムでは、停電検知装置3が停電を検知しない通常時において、切換えスイッチ2に、一部の時間、負荷9に対する電力供給を図4(ハ)に示すように蓄電電力供給に保持し、他の一部の時間又は他の全部の時間、負荷9に対する電力供給を系統電力供給に保持する切換えを行わせる制御が行われるようになされている。制御は、本実施形態では、上記の制御装置4の一部分を構成するものとして備えられているHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)によって行われるようになされており、該HEMSは、上記の通常時において、例えば、図2(イ)(ロ)に示すようなタイムスケジュールでシステムを制御するようになされている。
【0022】
そして、上記の制御装置4の一部を構成しているHEMSは、通常時において、蓄電装置1に蓄電されている電力のうちの一部のみが負荷9に対する蓄電電力供給に使用されるようにする制御を行うようになされている。具体的には、例えば、蓄電装置1の蓄電容量が2kWhであった場合に、通常時において1kWh分を負荷9に対する蓄電電力供給に使用し、残る1kWhは停電時のために蓄電されておくというような制御が行われるようになされていてもよい。ちなみに、停電時に、1kWh分の蓄電電力があれば、携帯電話の充電は約83時間(約40台分)、テレビの視聴は8〜9時間、リビング照明の点灯は10〜11時間、冷蔵庫の稼働は約32時間、それぞれ行うことができる。また、停電時は携帯電話の充電だけできればよいというような場合は200W残し、停電時はテレビやリビング照明を5時間利用したいというような場合は1000W残しておくというような制御が行われていてもよく、都合や好みに応じて任意に設定することができるようになされていてよい。
【符号の説明】
【0023】
1…蓄電装置
2…切換えスイッチ
3…停電検知装置
4…制御装置
6…商用電源
7…充電用接続部
8…放電用接続部
9…負荷
10…太陽電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源に接続される充電用接続部を備えて系統電力を蓄電することができるようになされた蓄電装置と、
該蓄電装置の放電用接続部と負荷とを接続して蓄電電力を該負荷に供給するか、商用電源と該負荷とを接続して系統電力を該負荷に供給するかの切換えを行う切換えスイッチと、
停電検知装置と、
制御装置と、
が備えられ、
前記停電検知装置が停電を検知したとき、その検知信号に基づいて、前記制御装置が、前記切換えスイッチに、前記負荷に対する電力供給を系統電力供給から蓄電電力供給に切り換えさせる制御を行い、蓄電電力が該負荷に供給されるようになされており、
前記蓄電装置は、その充電用接続部と商用電源との接続が解除可能であると共に、放電用接続部と前記切換えスイッチとの接続が解除可能で、これら接続を解除することにより持ち運び可能なポータブル性を備えたものからなっており、該接続解除状態において、放電用接続部に電気機器を接続することにより、該電気機器に蓄電電力を供給することができるようになされており、かつ、
前記制御装置は、前記停電検知装置が停電を検知しない通常時において、前記切換えスイッチに、一部の時間、前記負荷に対する電力供給を蓄電電力供給に保持し、他の一部の時間又は他の全部の時間、前記負荷に対する電力供給を系統電力供給に保持する切換えを行わせる制御を行うと共に、蓄電装置に蓄電されている電力のうちの一部のみが負荷に対する蓄電電力供給に使用されるようにする制御を行うようになされていることを特徴とする、非常用電源機能を備えたポータブル電源システム。
【請求項2】
前記制御装置は、深夜電力を前記蓄電装置に蓄電する制御を行うようになされている請求項1に記載の、非常用電源機能を備えたポータブル電源システム。
【請求項3】
太陽電池が備えられ、前記制御装置が、太陽光発電電力を前記蓄電装置に蓄電する制御を行うようになされている請求項1又は2に記載の、非常用電源機能を備えたポータブル電源システム。
【請求項4】
太陽電池が備えられ、前記制御装置が、太陽光発電電力を負荷に供給する制御を行うようになされている請求項1に記載の、非常用電源機能を備えたポータブル電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−130149(P2012−130149A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278888(P2010−278888)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】