説明

非接触給電機能付き什器

【課題】非接触受電機能を有する負荷機器が使用可能な場所を容易に変更でき、且つ、非接触送電機能を持たない既設の建屋に、非接触送電機能を容易に追加できる非接触給電機能付き什器を提供する。
【解決手段】収納棚A1は、地板11と天板12と側板13,13と背板14とで、前面が開口した箱形に形成され、内部の収納スペースが仕切板15で複数に仕切られている。各収納スペースには、所望の高さ位置に棚板16や引出トレー17が取り付けられている。一部の棚板16や背板14の一部には、非接触電力伝送により電力を供給する非接触給電部1が設けられている。棚板16には、それぞれ非接触受電機能を具備したHDDレコーダーB1、音響機器B2、FAX機能付き電話機B5などが載置され、棚板16に設けた非接触給電部1から非接触で電力が供給されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電機能付き什器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の床パネルや壁パネルや天井パネルの内側に非接触給電部を組み込み、非接触受電部を備えた負荷機器をパネル表面に取り付け、非接触給電部から負荷機器に給電する給電システムが提案されていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−159683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の給電システムでは、床パネルや壁パネルや天井パネルの内側に非接触給電部が予め組み込まれているため、負荷機器を使用できる場所が予め決まっており、非接触給電部が組み込まれていない場所では負荷機器を使用することができなかった。また、室内に置かれている什器(例えば収納家具など)の配置を変更したい場合に、非接触給電部がパネル内に組み込まれていると、什器の設置場所が制約されてしまい、レイアウト変更に柔軟に対応できないという問題もあった。また、非接触給電部が組み込まれていない既設の建物に、非接触給電部を追加しようとすると、上述の給電システムでは床や壁や天井を構成するパネル自体を交換しなければならず、既設の建物に容易に対応できないという問題もあった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、非接触受電機能を有する負荷機器が使える場所を容易に変更でき、且つ、非接触送電機能を持たない既設の建屋に、非接触送電機能を容易に追加できる非接触給電機能付き什器を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、建屋に固定的に或いは移動可能な状態で置かれて使用される非接触給電機能付き什器であって、電力を非接触で受ける非接触受電機能を具備した負荷機器が置かれる什器本体の部位に、負荷機器負荷機器に対して非接触電力伝送により電力を供給する非接触給電部が設けられたことを特徴とする。ここにおいて、建屋とは住宅や事務所や店舗などに使用される建築物(建物)のことを言う。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、非接触給電部は、什器本体の表面から露出しないように設けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、1乃至複数の棚板を有する収納家具からなる什器であって、上面に載置される負荷機器に電力を供給可能なように棚板又は天板の内部に非接触給電部が設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、流し台、作業台およびコンロ台を一体的に備えて台所に設置されるシステムキッチンからなる什器であって、作業台の天板内に非接触給電部が設けられたことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1つの発明において、非接触電力伝送により電力を供給する給電装置から電力を非接触で受ける非接触受電部を備え、非接触給電部は、非接触受電部が受けた電力を、負荷機器に非接触で供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、建屋内の所望の場所に非接触給電機能付き什器を置けば、その場所で什器本体に置かれた負荷機器に対して非接触給電を行うことができる。また、什器を置いた場所で非接触受電機能を有する負荷機器が使用できるから、什器の設置位置を変更することで、非接触受電機能を有する負荷機器が使用可能な場所を容易に変更できる。また、非接触給電部が組み込まれていない既設の建屋でも、非接触給電機能付き什器を設置することで、非接触給電機能の追加が容易に行えるという効果もある。
【0012】
請求項2の発明によれば、非接触給電部が什器本体の表面に露出していないので、感電の虞がなく、安全性が向上するとともに、外観の見栄えを良くできる。
【0013】
請求項3の発明によれば、非接触給電部を備えた棚板又は天板の上面に、非接触受電機能を有する負荷機器を載置すれば、負荷機器に電力を非接触で供給できるので、負荷機器の電源線を配線する手間が無くなり、負荷機器の設置作業を簡略化できる。また、棚板や天板に負荷機器を置くだけでよく、電源線の配線が不要になるから、配線数を減らして、配線が乱雑になるのを抑制することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、システムキッチンの作業台の天板に、非接触受電機能を有する負荷機器を載置すれば、この負荷機器に電力を非接触で供給することができるので、負荷機器の電源線を配線する必要が無く、電源線が調理作業の邪魔になることがない。また天板に負荷機器を置くだけでよく、電源線の配線が不要になるので、配線数を減らして、配線が乱雑になるのを抑制することができ、且つ、負荷機器の設置作業を簡略化できる。
【0015】
請求項5の発明によれば、什器自体が非接触受電部を備えており、給電装置から非接触で電力が供給されるので、非接触給電部に電力を供給するための電源線が不要になり、電源線を配線する手間が無くなるから、什器自体の設置作業を簡略化できる。また什器自体の電源線が不要になるから、配線数を減らして、配線が乱雑になるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1の収納棚の正面図である。
【図2】(a)(b)は同上の収納棚の概略的なブロック図である。
【図3】同上の収納棚の要部を拡大した斜視図である。
【図4】コンセントタップを用いて給電する場合の概略的なブロック図である。
【図5】実施形態2の間仕切り収納家具の外観斜視図である。
【図6】(a)(b)は実施形態3のシステムキッチンの外観斜視図である。
【図7】実施形態4のユニットバスの浴槽部分を示す外観斜視図である。
【図8】同上の他の形態を示す外観斜視図である。
【図9】(a)(b)は実施形態5のトイレ設備の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る非接触給電機能付き什器の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(実施形態1)
本発明の技術思想を、収納棚からなる什器に適用した実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
【0019】
図1は収納棚A1の外観図であり、収納棚A1は、地板11と天板12と左右の側板13,13と背板14とで、前面が開口した箱状に形成されている。収納棚A1の内側は仕切板15によって複数の収納スペースに分割されている。また、負荷機器としてHDDレコーダーB1や音響機器B2を収納する収納スペースSP1や、FAX機能付き電話機B5を収納する収納スペースSP2には、所望の高さ位置に棚板16が着脱自在に取り付けられ、棚板16上に負荷機器が載置されている。また、二次電池を内蔵した携帯電話B6(負荷機器)などを在宅時に置いておく収納スペースSP3には、引出トレー17がスライド自在に設けられている。引出トレー17には、携帯電話B6以外にも、例えば携帯型音楽プレーヤーのような携帯型の負荷機器を置いてもよく、引出トレー17に携帯型の負荷機器を置いている間に負荷機器の充電が行われる。
【0020】
ここにおいて、地板11、天板12、側板13、背板14、仕切板15、棚板16及び引出トレー17などから、収納棚A1の本体10(什器本体)が構成される。尚、以下の説明では個別の負荷機器(HDDレコーダー、音響機器、携帯電話など)について説明する場合はB1,B2,B5と表記し、負荷機器全体について説明する場合は負荷機器Bと表記する。
【0021】
図2(a)は収納棚A1及び負荷機器Bの概略的なブロック図であり、負荷機器Bは、電力を非接触で受ける非接触受電部3を備える。収納棚A1は、負荷機器Bに対して非接触伝送により電力を供給する非接触給電部1を備え、電源プラグ2を電源コンセント(図示せず)に接続すると、非接触給電部1に電力が供給され、非接触給電部1から負荷機器Bに非接触で給電される。また、二次電池を内蔵した携帯電話B6の場合は、非接触受電部3が非接触で電力供給を受け、内蔵する二次電池を充電する。
【0022】
ところで、非接触電力伝送の手法としては種々のものが提案されているが、本実施形態では例えば電磁誘導方式を採用している。すなわち、非接触給電部1では、一次コイル(図示せず)に高周波電流を印加することによって、高周波磁界を発生させている。そして、非接触受電部3が備える二次コイルを一次コイルに磁気的に結合させると、電磁誘導により二次コイルに電流が誘起されるので、非接触給電部1から電力を非接触で受け取ることができる。尚、非接触給電部1には、非接触電力伝送の手法として近年注目されている磁界共鳴方式や電界共鳴方式などの方式を採用することもでき、これらの方式を採用すれば1m程度の距離でも電力伝送が可能になる。
【0023】
上記の非接触給電部1は、図1に示すように、収納スペースSP1,SP2に取り付けられた棚板16や、収納スペースSP3に設けられたスライド式の引出トレー17や、背板14の要所に設けられている。各非接触給電部1には、本体10内に配線された電線(図示せず)を介して電源が供給されている。これらの非接触給電部1は、負荷機器Bが置かれる棚板16や引出トレー17や背板14の部位に、その表面から露出しないように設けられており、充電部分が表面に露出していないので、感電などの虞がなく、安全性が向上するとともに、外観の見栄えを良くできる。
【0024】
而して、非接触受電部3を備えた負荷機器Bが棚板16や引出トレー17に載置されると、棚板16又は引出トレー17内に設けられた非接触給電部1から負荷機器Bに非接触で電力が供給される。したがって、従来の収納棚のように、負荷機器Bの電源線を配線する必要は無く、配線数を減らすことで、配線の手間を少なくできるとともに、配線が乱雑になるのを防止できる。尚、図1に示す収納棚A1では一部の棚板16や背板14の一部に非接触給電部1が設けられているが、図1に示す非接触給電部1の配置は一例であり、これに限定されるものではない。全ての棚板16に非接触給電部1が設けられてもよいし、背板14の全体に非接触給電部1が設けられてもよい。また地板11、天板12、側板13又は仕切板15に非接触給電部1が設けられてもよい。すなわち、非接触受電部3を備えた負荷機器Bが置かれる本体10の部位に非接触給電部1が設けられていればよい。また、収納棚A1の一角にパソコン用の作業机が組み込まれている場合には、この作業机の天板に非接触給電部1を設け、作業机に設けた手元用照明やパソコンに非接触で電力を供給することができる。
【0025】
なお上記の説明では、負荷機器が非接触受電機能を備えるものとして説明を行ったが、従来からある電気機器(負荷機器)は、非接触受電機能を備えていないものが殆どであり、電源プラグを電源コンセントに接続して、電力供給を受けている。そこで、このような従来の負荷機器Dにも給電できるように、図3及び図4に示すようなコンセントタップCが使用される。
【0026】
このコンセントタップCは、図3に示すように、直方体状のタップ本体20の前面に、負荷機器Dの電源プラグPGが挿抜自在に接続されるコンセント部21を備えている。また、タップ本体20の内部には、図4に示すように、非接触給電部1から非接触電力伝送により供給された電力を受ける非接触受電部22が収納され、非接触受電部22が受け取った電力がコンセント部21に供給される。
【0027】
タップ本体20は、例えば両面テープ(図示せず)を用いて棚板16や背板14に貼着固定される。而して、コンセントタップCの非接触受電部22は、背板14又は棚板16内に設けられた非接触給電部1から非接触で電力の供給を受けて、コンセント部21に給電しており、コンセント部21に電源プラグPGを接続した負荷機器Dに給電することができる。また非接触受電部を備えていない携帯機器(携帯電話や携帯音楽プレーヤー)の場合、充電器を引出トレー17に置き、引出トレー17に配置したコンセントタップCに充電器の電源プラグを接続すればよく、充電器に携帯機器を装着することで充電が行われる。尚、図3では非接触給電部1が内部に設けられた背板14や棚板16にコンセントタップCが取り付けられているが、非接触給電部1が設けられた本体10の部位にコンセントタップCが取り付けられればよい。また、非接触給電部1が設けられた本体10の部位と離れた位置であっても、非接触給電部1から給電が可能な範囲内であれば、コンセントタップCを取り付けて使用することができる。
【0028】
尚、本実施形態では収納棚A1の電源プラグ2を電源コンセントに接続することによって、非接触給電部1に電源が供給されているが、図2(b)に示すように建屋内に設置される非接触給電装置Eから非接触で受電する非接触受電部4を収納棚A1に設けてもよい。この収納棚A1では、非接触給電装置Eから非接触で伝送された電力を、非接触受電部4が受電しているので、非接触給電部1に電力を供給するための電源線が不要になる。したがって、収納棚A1自体の電源線を配線する手間が無くなるから、収納棚A1の設置作業を簡略化できる。また収納棚A1自体の電源線が不要になるから、配線数を減らして、配線が乱雑になるのを防止できる。
【0029】
ところで、近年、誰にでも使い勝手のよいユニバーサルデザインの什器が求められており、上述のような収納棚A1においても、物を載せたままで高さ位置を間単に調整できる電動のパワーアシスト機構を棚板に設けることが検討されている。このようなパワーアシスト機構に、本体10に設けた非接触給電部1から給電すれば、パワーアシスト機構への配線が不要になるので、パワーアシスト機構が設けられた棚板の着脱が容易に行えるという利点がある。またパワーアシスト機構に電源線を介して給電する場合は、棚板が移動するので電源線に可撓性を有するものを使用する必要があり、電源線の位置も固定されていない。そのため、電源線が棚板に載せられた収納物の邪魔になる虞があるが、非接触給電部1で給電すれば、電源線が不要になるから、棚板に載置された収納物の邪魔になることもない。
【0030】
(実施形態2)
本発明の技術思想を、間仕切り収納家具からなる什器に適用した実施形態について、図5を参照して説明する。
【0031】
図5に間仕切り収納家具(以下、収納家具と略称す。)A2の外観斜視図を示す。この収納家具A2は、例えばリビングなどの比較的広い部屋内をテレビの鑑賞スペースに区切るために使用され、テレビの周辺機器などを収納するために使用される。
【0032】
収納家具A2は、上側から見た形状がL字形に形成されている。収納家具A2は、地板11と、天板12と、両側の側板13,13と、背板14とで、一面側が開口した箱形に形成されている。収納家具A2の内側は仕切板15によって複数の収納スペースに仕切られ、各々の収納スペースには、高さ位置が調節可能な棚板16が取り付けられている。ここにおいて、地板11、天板12、側板13、背板14、仕切板15及び棚板16などから、収納家具A2の本体10(什器本体)が構成される。
【0033】
収納家具A2の本体10には、実施形態1で説明したのと同様の非接触給電部1が設けられている。図5の例では、一部の棚板16に非接触給電部1が組み込まれるとともに、天板12の一部に非接触給電部1が組み込まれている。尚、非接触給電部1は、天板12或いは棚板16の表面から露出しないように設けられており、充電部分が表面に露出していないので、感電などの虞はなく、また外観の見栄えを良くできる。
【0034】
そして、棚板16には、負荷機器であるHDDレコーダB7やCDプレーヤーなどの音響機器B8が載置されており、棚板16内に組み込まれた非接触給電部1から、HDDレコーダーB7や音響機器B8に非接触で給電されるのである。また天板12には、負荷機器であるスタンド型の照明器具B9や携帯電話B6や携帯型のオーディオプレーヤB10が載置されており、非接触給電部1から照明器具B9や携帯電話B6やオーディオプレーヤB10に非接触で電力が給電される。携帯電話B6やオーディオプレーヤB10は、非接触給電部1から電力供給を受けると、内蔵のバッテリを充電し、オーディオプレーヤB10は満充電になると待機状態に切り替わる。
【0035】
上述のように、非接触受電部3を備えた負荷機器が棚板16や天板12に載置されると、棚板16や天板12に設けられた非接触給電部1から負荷機器に非接触で電力が供給される。したがって、従来の収納棚のように、負荷機器の電源線を配線する必要は無く、配線数を減らすことで、配線の手間を少なくできるとともに、配線が乱雑になるのを防止できる。特に天板12に負荷機器を載置する場合は、負荷機器の電線が目立って、外観の見栄えが悪いが、非接触で電力を伝送することによって、負荷機器の電源線を無くすことができるので、見栄えを良くできる。
【0036】
尚、図5に示す収納家具A2では、一部の棚板16や天板12の一部に非接触給電部1が設けられているが、図5に示す非接触給電部1の配置は一例であり、これに限定されるものではない。全ての棚板16に非接触給電部1が設けられてもよいし、天板12の全体に非接触給電部1が設けられてもよい。また地板11、側板13、背板14又は仕切板15に非接触給電部1が設けられてもよい。すなわち、非接触受電部3を備えた負荷機器が置かれる本体10の部位に非接触給電部1が設けられていればよい。また、収納家具A2に置かれる負荷機器も上記のものに限定されるものではなく、使用環境に合わせて必要な負荷機器を使用すればよい。例えばアロマテラピーを楽しみたい場合には、非接触受電部により電力供給を受けて、アロマオイルを加温するアロマポットを、天板12に置いてもよく、アロマポットの配線も無くなるから、アロマポットを好きな場所に置いて使用できる。
【0037】
ところで、上述の説明では負荷機器であるHDDレコーダB7、音響機器B8、照明器具B9、携帯電話B6、携帯型オーディオプレーヤB10が非接触受電機能を有しており、非接触給電部1から直接受電できるものとして説明を行っている。一方、従来からある電気機器(負荷機器)は、非接触受電機能を備えていないものが殆どであり、電源プラグを電源コンセントに接続して、電力供給を受けている。そこで、このような従来の負荷機器にも給電したい場合には、実施形態1で説明したコンセントタップCを使用すれば良く、この場合でも負荷機器の近くにコンセントタップCを設置することで、配線長を短くして、配線を纏まりよく行うことができる。
【0038】
また、本実施形態では収納家具A2の電源プラグ(図示せず)を電源コンセントに接続することによって、非接触給電部1に給電されているが、建屋内に設置される非接触給電装置から非接触で受電する非接触受電部を収納家具A2が備えてもよい。その場合は、非接触給電装置から非接触で伝送された電力を、収納家具A2の非接触受電部が受電しているので、非接触給電部1に電力を供給するための電源線が不要になる。したがって、収納家具A2自体の電源線を配線する手間が無くなるから、収納家具A2の設置作業を簡略化できる。また収納家具A2自体の電源線が不要になるから、配線数を減らして、配線が乱雑になるのを防止できる。
【0039】
(実施形態3)
本発明の技術思想を、システムキッチンからなる什器に適用した実施形態について図6を参照して説明する。
【0040】
図6(a)(b)にシステムキッチンA3の外観斜視図を示す。システムキッチンA3は、食材や食器や調理器具などを洗うための流し台18a、調理作業を行うための作業台18b、煮炊きを行うためのコンロ台18cを一体的に備えて台所に設置される。そして、作業台18bの天板には、実施形態1で説明した非接触給電部1が設けられている。尚、非接触給電部1は、天板の表面から露出しないように設けられており、充電部分が表面に露出していないので、水がかかるような場所でも安全性を確保でき、また外観の見栄えを良くできる。
【0041】
そして、作業台18bの天板には、負荷機器としてミキサーやジューサーなどの電動調理器具B11が載置されており、天板内に組み込まれた非接触給電部1から、電動調理器具B11に非接触で給電されるのである。このように、非接触受電部3を備えた電動調理器具B11が天板に載置されると、天板に設けられた非接触給電部1から非接触で電力が供給されるので、電動調理器具B11の電源線を接続する必要が無く、配線が調理作業の邪魔になることがない。また電動調理器具B11を天板に置くだけで使用でき、配線作業が不要になるので、電動調理器具B11の設置作業を簡略化できる。
【0042】
尚、非接触受電部を備えていない従来の電気機器を使用したい場合には、図6(b)に示すように実施形態1で説明したコンセントタップCを作業台18bの天板上に載置し、このコンセントタップCに電動調理器具B11の電源プラグPGを接続すればよい。この場合でも、非接触給電部1から受電可能な範囲内で、コンセントタップCの位置を動かすことができるので、電動調理器具B11の近くにコンセントタップCを配置することで、配線長を短くでき、纏まりよく配線することができる。
【0043】
(実施形態4)
本発明の技術思想を、ユニットバスからなる什器に適用した実施形態について図7及び図8を参照して説明する。
【0044】
図7はユニットバスの浴槽部分の外観斜視図であり、浴槽A4には、実施形態1で説明したのと同様の非接触給電部1が設けられている。この非接触給電部1は、浴槽A4の表面から露出しないように設けられており、充電部分が表面に露出していないので、水がかかるような場所でも安全性を確保でき、また外観の見栄えを良くできる。
【0045】
浴室内で使用される負荷機器としては例えば防水型の携帯テレビB12などがあり、非接触受電部を備えた携帯テレビB12に非接触給電部1から非接触で給電することによって、バッテリ切れを気にすることなく、長時間の視聴が可能になる。また携帯テレビB12に配線する必要がないので、非接触給電部1により非接触給電が可能な場所であれば、どこにでも携帯テレビB12を置いて視聴できる。
【0046】
尚、負荷機器としては、防水型のCDプレーヤのような音響機器を用いることもでき、音楽を楽しみながら入浴が行える。また浴槽掃除の省力化のために、電磁吸引力やエアーバキュームで浴槽の表面に張り付き、表面を走行しながら清掃を行う浴槽用の自動掃除機が検討されており、このような自動掃除機に非接触給電部1から非接触で電力を供給することも考えられる。
【0047】
また図8はユニットバスA5の内部を示した外観斜視図であり、ユニットバスA5の壁19内に非接触給電部1を組み込むようにしてもよい。壁19には、防水型の壁掛けテレビB13や、照明器具B14がスライド移動自在に取り付けられた鏡30が設置されている。壁掛けテレビB13や照明器具B14は、実施形態1で説明した非接触受電部3を備えており、壁19に組み込まれた非接触給電部1から壁掛けテレビB13や照明器具B14に非接触で電力が供給されるようになっている。
【0048】
このように、非接触受電部3を備えた負荷機器が、ユニットバスA5の壁19に設置されると、壁19内に設けられた非接触給電部1から負荷機器に非接触で電力が供給されるので、負荷機器に電源線を配線する必要が無く、負荷機器の設置作業が簡単に行える。また負荷機器には電源線が配線されていないので、負荷機器の位置を自由に変更できる。また非接触給電部1は、壁19の表面から露出しないように設けられており、充電部分が表面に露出していないので、水がかかるような場所でも安全性を確保でき、また外観の見栄えを良くできる。
【0049】
(実施形態5)
本発明の技術思想を、温水洗浄機能付き便器からなる什器に適用した実施形態について図9(a)(b)を参照して説明する。
【0050】
図9は温水洗浄機能付き便器(以下、便器と略称す。)A6の外観斜視図であり、便器A6は、便器本体31と、便座32と、弁蓋33とを備える。
【0051】
便器本体31の上面(ボウル部31aの周縁部)には、実施形態1で説明した非接触給電部1が設けられている。尚、非接触給電部1は、便器本体31の表面から露出しないように設けられており、充電部分が表面に露出していないので、水がかかるような場所でも安全性を確保でき、また外観の見栄えを良くできる。
【0052】
便座32には、便座を温めるヒータと、ヒータを加熱するヒータ加熱部と、実施形態1で説明した非接触受電部3が内蔵されている。ヒータ加熱部は、非接触受電部3が非接触で受けた電力により、ヒータを加熱している。
【0053】
便座32は、便器本体31に設けた軸部で枢支され、便座32に載置された状態と、起立した状態との間で回動自在となっている。また、便座32は便器本体31に着脱自在に取り付けられており、図9(b)に示すように便座32を便器本体31から取り外すことができる。ここで、便座32と便器本体31とを電気的に接続する電源線が無く、便座32を便器本体31から完全に分離することができるので、便座32を丸洗いすることができる。本実施形態では、便座32内のヒータ加熱部に、非接触電力伝送により給電しているので、便座32と便器本体31との間を電気的に接続するための電線や、給電用の電極を設ける必要がない。したがって、便座32を便器本体31から分離して便座32を洗うことができ、また便座32には電極などが露出していないので、水をかけて洗っても故障の原因となることはない。尚、便器本体31が陶器製の場合は非接触電力伝送の効率が低下するが、便器本体31が合成樹脂製であれば、数百Wとの高電力を非接触で伝送することができる。
【符号の説明】
【0054】
A1 収納棚(非接触受電機能付き什器)
1 非接触給電部
10 什器本体
11 地板
12 天板
13 側板
14 背板
15 仕切板
16 棚板
17 引出トレー
B1,B2,B5 負荷機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋に固定的に或いは移動可能な状態で置かれて使用される非接触給電機能付き什器であって、
電力を非接触で受ける非接触受電機能を具備した負荷機器が置かれる什器本体の部位に、前記負荷機器に対して非接触電力伝送により電力を供給する非接触給電部が設けられたことを特徴とする非接触給電機能付き什器。
【請求項2】
前記非接触給電部は、什器本体の表面から露出しないように設けられたことを特徴とする請求項1記載の非接触給電機能付き什器。
【請求項3】
1乃至複数の棚板を有する収納家具からなる什器であって、上面に載置される前記負荷機器に電力を供給可能なように棚板又は天板の内部に前記非接触給電部が設けられたことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の非接触給電機能付き什器。
【請求項4】
流し台、作業台およびコンロ台を一体的に備えて台所に設置されるシステムキッチンからなる什器であって、作業台の天板内に前記非接触給電部が設けられたことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の非接触給電機能付き什器。
【請求項5】
非接触電力伝送により電力を供給する給電装置から電力を非接触で受ける非接触受電部を備え、前記非接触給電部は、非接触受電部が受けた電力を、前記負荷機器に非接触で供給することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の非接触給電機能付き什器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−147513(P2011−147513A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9469(P2010−9469)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】