説明

非接触電力伝送回路

【課題】待機電力を低減することができる非接触電力伝送回路を提供する。
【解決手段】共振回路11は、受電装置2に電力を伝送する電力伝送用コイルT1と、電力伝送用コイルT1と共振する共振コンデンサC4とを含む。スイッチング素子FETは、オン・オフを繰り返すことで共振回路11を共振させる。駆動回路12は、電力伝送用コイルT1の電圧に基づいて、受電装置2が載置部に載置しているか否かを検出し、受電装置2が載置されていないことを検出した場合、受電装置2が載置されている場合に比べて、スイッチング素子FETのオンする期間が短くなるように、スイッチング素子FETを駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置部に載置された受電装置に非接触で電力を伝送する非接触電力伝送回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、受電装置に電力を伝送する電力伝送用コイル及びこの電力伝送用コイルと共振する共振コイルを含む共振回路と、この共振回路を共振させるスイッチング素子と、このスイッチング素子を駆動する駆動回路とを備え、載置部に載置された受電装置に非接触で電力を伝送し、受電装置を充電する非接触電力伝送回路が知られている(例えば特許文献1、2)。
【0003】
このような、非接触電力伝送回路においては、受電装置が載置部に載置されていない場合、載置されている場合に比べて電力伝送用コイルのインダクタンスが小さくなるため、電力伝送用コイルに流れる電流が増大する結果、待機電力が増大するという課題がある。
【0004】
しかしながら、引用文献1は、共振回路を安定発振させることを目的とするものであり、また、引用文献2は、回路の小型化を目的とするものであり、いずれの引用文献も待機電力を低減することを目的とはしていない。
【0005】
そこで、特許文献3では、1次コイルを含む送電装置と、2次コイルを含む受電装置とを備える非接触電力伝送装置であって、給電手段が一次コイルに給電を開始する直後に、1次コイルの自己インダクタンスの変化を検出し、この変化の検出値が所定値以下の場合に、給電手段の給電を停止し、検出値が所定値以上の場合に給電手段の給電を継続する非接触電力伝送装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献4では、商用電源から整流回路を介して電磁トランスに入力される入力電流を検出し、この入力電流が設定値以下の時は制御手段によりスイッチング手段を間欠的に動作させて非充電時における充電器側の電力消費を抑制することにより待機電力の低減を可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3416863号公報
【特許文献2】特許第3363341号公報
【特許文献3】特開2008−236916号公報
【特許文献4】特開2000−166129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3では、1次コイルとキャパシタとにより直列共振回路が構成されているが、この直列共振回路はスイッチング素子のオン・オフ動作により共振されるものではないため、本願発明とは発振の原理が全く異なっている。
【0009】
また、引用文献4では、一次側給電用コイルにスイッチング素子が接続されているが、このスイッチング素子は、一次側給電用コイルを発振させていないため、本願発明とは発振の原理が全く異なっている。また、引用文献4では、商用電源から整流回路を介して電磁トランスに入力される入力電流を検出することで、充電・非充電の検出が行われている
が、入力電流は商用電源の影響を受け不安定であるため、充電・非充電の検出を精度良く行うことができないという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、待機電力を低減することができる非接触電力伝送回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による非接触電力伝送回路は、載置部に載置された受電装置に非接触で電力を伝送する非接触電力伝送回路であって、前記受電装置に電力を伝送する電力伝送用コイル及び前記電力伝送用コイルと共振する共振コンデンサを含む共振回路と、オン・オフを繰り返すことで前記共振回路を共振させるスイッチング素子と、前記電力伝送用コイルの電圧に基づいて、前記受電装置が前記載置部に載置しているか否かを検出し、前記受電装置が載置されていないことを検出した場合、前記受電装置が載置されている場合に比べて、前記スイッチング素子のオンする期間が短くなるように、前記スイッチング素子を駆動する駆動回路とを備え、前記駆動回路は、前記電力伝送用コイルの電圧に基づいて、前記スイッチング素子を繰り返しオン・オフし、前記共振回路を自励発振させる自励発振回路と、前記受電装置が載置されていないことを検出した場合、前記自励発振回路を間欠駆動させる間欠駆動回路とを備え、前記間欠駆動回路は、前記スイッチング素子の制御端子に接続され、前記スイッチング素子をターンオフさせる第1のトランジスタと、前記共振回路及び前記第1のトランジスタの制御端子間に接続されたダイオードと、前記第1のトランジスタの制御端子に接続され、前記電力伝送用コイルの電圧で充電される第1のコンデンサとを備え、前記自励発振回路は、前記スイッチング素子をターンオフさせる第2のトランジスタと、前記第2のトランジスタの制御端子に接続された第2のコンデンサとを備え、前記第2のトランジスタは、前記第1のトランジスタと共用され、前記第2のコンデンサは、前記第1のコンデンサと共用されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、電力伝送用コイルは、スイッチング素子のオン・オフにより共振コンデンサと共振し、受電装置に非接触で電力を伝送する。駆動回路は、電力伝送用コイルの電圧を基に、受電装置が載置されているか否かを検出する。そして、駆動回路は、受電装置が載置されていないことを検出した場合、受電装置が載置されている場合に比べ、スイッチング素子のオンする期間が短くなるように、スイッチング素子を駆動させる。
【0013】
そのため、電力伝送用コイルに流れる電流が減少し、電源側からの入力電流が低下し、受電装置が載置されていない場合の消費電力である待機電力を低減することができる。また、電力伝送用コイルの電圧に基づいて、受電装置が載置されているか否かの検出が行われているため、別巻線を設けなくても、簡便な回路構成により当該検出を行うことができる。更に、受電装置が載置されている場合とされていない場合とでは、電力伝送用コイルの電圧が顕著に相違するため、受電装置が載置されているか否かの検出を精度良く行うことができる。
【0014】
また、この構成によれば、受電装置が載置されていない場合、自励発振回路が間欠駆動される。したがって、自励発振回路が駆動していない期間はスイッチング素子がオフされることになり、これにより、待機電力を低減することができる。
【0015】
また、この構成によれば、間欠駆動回路は、第1のトランジスタ、及び第1のコンデンサというように、簡便な回路で構成されているため、回路規模をほとんど増やすことなく、待機電力を低減させることができる。
【0016】
そして、この構成によれば、第1及び第2のトランジスタと、第1及び第2のコンデンサとが共用されているため、部品点数を削減して低コスト化、回路規模の縮小化を図ることができると同時に、待機電力を低減させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、駆動回路は、受電装置が載置されていないことを検出した場合、スイッチング素子のオンする期間が短くなるように、スイッチング素子を駆動させるため、電力伝送用コイルに流れる電流が減少し、電源側からの入力電流が低下し、受電装置が載置されていない場合の消費電力である待機電力を低減することができる。
【0018】
そして、本発明によれば、第1及び第2のトランジスタと、第1及び第2のコンデンサとが共用されているため、部品点数を削減して低コスト化、回路規模の縮小化を図ることができると同時に、待機電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1による非接触電力伝送回路が適用される充電システムの回路図を示している。
【図2】(a)は載置部に受電装置が載置されている場合の電力伝送用コイル及び共振コンデンサの接続点の電圧の波形図を示し、(b)は載置部に受電装置が載置されていない場合の電力伝送用コイル及び共振コンデンサの接続点の電圧の波形図を示している。
【図3】(a)は載置部に受電装置が載置されている場合の電力伝送用コイル及び共振コンデンサの接続点の電圧の波形図を示し、(b)は載置部に受電装置が載置されていない場合の電力伝送用コイル及び共振コンデンサの接続点の電圧の波形図を示している。
【図4】本発明の実施の形態2による非接触電力伝送回路が適用される充電システムの回路図を示している。
【図5】(a)は受電装置が載置されている場合にマイコン部から出力されるPWM信号を示し、(b)は受電装置が載置されていない場合にマイコン部から出力されるPWM信号を示している。
【図6】実施の形態3による非接触電力伝送回路が適用された充電システムの回路図を示している。
【図7】実施の形態4による非接触電力伝送回路が適用された充電システムの回路図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による非接触電力伝送回路が適用される充電システムの回路図を示している。この充電システムは、非接触電力伝送回路1と受電装置2とを備えている。非接触電力伝送回路1は、受電装置2を載置するための載置部(図略)が筐体に設けられ、この載置部に載置される受電装置2に非接触で電力を伝送することで、受電装置2を充電する充電回路である。受電装置2としては、例えば、電動歯ブラシ、携帯電話、ノートブックパソコン、電気カミソリ、電動工具等の充電可能な電気機器が採用される。
【0021】
非接触電力伝送回路1は、共振回路11、スイッチング素子FET、駆動回路12、バイアス回路13、コンデンサC1、及び電源部14を備えている。
【0022】
共振回路11は、受電装置2に電力を伝送する電力伝送用コイルT1と、電力伝送用コイルT1と共振する共振コンデンサC4とを含む。電力伝送用コイルT1及び共振コンデンサC4は並列接続されている。電力伝送用コイルT1は、載置部に受電装置2が載置されると、受電コイルT2と磁気結合し、受電コイルT2を介して受電装置2に電力を伝送する。
【0023】
ここで、電力伝送用コイルT1は、スイッチング素子FETがオフすると共振コンデンサC4との共振を開始し、磁気結合された帰還コイルT3に位相が180度ずれた共振電圧を伝達し、再びスイッチング素子FETをオンさせる。
【0024】
また、共振回路11は、並列接続されたダイオードD2及び抵抗R5を介してスイッチング素子FETに接続されている。ダイオードD2はアノードが共振コンデンサC4及び電力伝送用コイルT1に接続され、カソードがスイッチング素子FETのドレインに接続されている。
【0025】
スイッチング素子FETは、オン・オフを繰り返すことで共振回路11を共振させる。スイッチング素子FETとしては、例えば、nチャネル型の電界効果型のトランジスタが採用されている。スイッチング素子FETは、制御端子であるゲートが抵抗R3を介して帰還コイルT3に接続されている。
【0026】
また、スイッチング素子FETは、ドレインが抵抗R5を介して電力伝送用コイルT1に接続されると共に、ダイオードD2を介して共振コンデンサC4に接続されている。更に、スイッチング素子FETは、ソースが抵抗R7を介して接地されている。なお、スイッチング素子FETとしては、例えばpチャネル型の電界効果型のトランジスタを採用してもよい。
【0027】
駆動回路12は、電力伝送用コイルT1の電圧に基づいて、受電装置2が載置部に載置しているか否かを検出し、受電装置2が載置されていないことを検出した場合、受電装置2が載置されている場合に比べて、スイッチング素子FETのオンする期間が短くなるように、スイッチング素子FETを駆動する。
【0028】
ここで、駆動回路12は、自励発振回路121及び間欠駆動回路122を備えている。自励発振回路121は、電力伝送用コイルT1の電圧に基づいて、スイッチング素子FETを繰り返しオン・オフし、共振回路11を自励発振させる。間欠駆動回路122は、受電装置2が載置されていないことを検出した場合、自励発振回路121を間欠駆動させる。
【0029】
自励発振回路121は、トランジスタTR2、コンデンサC5、抵抗R6,R7、帰還コイルT3、及び抵抗R3を備えている。
【0030】
トランジスタTR2は、例えばnpnのバイポーラトランジスタにより構成され、エミッタが接地され、コレクタがスイッチング素子FETのゲートに接続されている。また、トランジスタTR2は、ベース・エミッタ間にコンデンサC5が並列接続され、ベースが抵抗R6を介して抵抗R7に接続されている。なお、トランジスタTR2としては、npnのバイポーラトランジスタに限定されず、pnpのバイポーラトランジスタを採用してもよいし、電界効果型のトランジスタを採用してもよい。
【0031】
コンデンサC5は、スイッチング素子FETのドレイン電流Idによって充電され、充電電圧がトランジスタTR2のスレショルド電圧(例えば0.6V)を超えると、トランジスタTR2をオンする。これにより、スイッチング素子FETのゲート電圧がグラウンドレベルに低下し、トランジスタTR2はスイッチング素子FETをターンオフさせる。
【0032】
一方、コンデンサC5は、トランジスタTR2がオンすると、抵抗R6,R7に電荷を放電し、充電電圧がトランジスタTR2のスレショルド電圧を下回ると、トランジスタTR2をオフする。すなわち、コンデンサC5は、トランジスタTR2を、コンデンサC5、抵抗R6,R7で定まる時定数にしたがって、オン・オフさせる。
【0033】
帰還コイルT3は、電力伝送用コイルT1と極性が逆となるように磁気結合され、電力伝送用コイルT1から伝達される共振電圧を、抵抗R3を介してスイッチング素子FETのゲートに出力し、スイッチング素子FETをターンオンさせる。
【0034】
バイアス回路13は、抵抗R1及びコンデンサC2を備え、コンデンサC1から出力される電圧に基づいて、スイッチング素子FETのバイアス電圧を生成し、帰還コイルT3及び抵抗R3を介してスイッチング素子FETのゲートに出力する。
【0035】
電源部14は、例えば電源回路により構成され、例えば100Vの商用電圧を5Vの直流の電圧に変換する。コンデンサC1は、例えば電解コンデンサから構成され、電源部14から出力された電圧を平滑化する。
【0036】
間欠駆動回路122は、スイッチング素子FETのゲートに接続され、スイッチング素子FETをターンオフさせるトランジスタTR1(第1のトランジスタ)と、共振回路11の電圧を分圧し、トランジスタTR1の制御端子であるベースに出力する抵抗R2,R4(分圧抵抗)と、共振回路11及び抵抗R2間に接続されたダイオードD1と、トランジスタTR1のベースに接続され、抵抗R2,R4により分圧された電圧Vbで充電されるコンデンサC3(第1のコンデンサ)とを備えている。
【0037】
トランジスタTR1は、例えばnpnのバイポーラトランジスタにより構成されている。そして、トランジスタTR1は、ベースが抵抗R2及びダイオードD1を介して、電力伝送用コイルT1に接続されている。なお、ダイオードD1により、間欠駆動回路122から共振回路11への電流の流入が防止され、共振回路11による共振が不安定になることの防止が図られている。
【0038】
また、トランジスタTR1は、ベース・エミッタ間に抵抗R4が接続され、エミッタが接地されている。なお、トランジスタTR1としては、npnのバイポーラトランジスタに限定されず、pnpのバイポーラトランジスタを採用してもよいし、電界効果型のトランジスタを採用してもよい。
【0039】
コンデンサC3は、トランジスタTR1のベース・エミッタ間に接続され、電圧Vbによって充電され、充電電圧がトランジスタTR1のスレショルド電圧(例えば0.6V)を超えると、トランジスタTR1をオンさせる。これにより、スイッチング素子FETがターンオフし、自励発振回路121は、コンデンサC5にドレイン電流Idが供給されなくなり、自励発振を停止する。
【0040】
一方、コンデンサC3は、トランジスタTR1をオンし、スイッチング素子FETをターンオフさせると、電荷を抵抗R4に放電し、充電電圧がトランジスタTR1のスレショルド電圧を下回ると、トランジスタTR1をオフする。
【0041】
すなわち、トランジスタTR1は、抵抗R4とコンデンサC3で定まる時定数に従って、オン・オフを繰り返すことになる。なお、この時定数は、トランジスタTR2をオン・オフさせるコンデンサC5及び抵抗R6,R7の時定数よりも遙かに大きい。
【0042】
図2(a)、図3(a)は載置部に受電装置2が載置されている場合の電圧Vdの波形図を示し、図2(b)、図3(b)は、載置部に受電装置2が載置されていない場合の電圧Vdの波形図を示している。図2(a)、(b)において、縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示している。なお、図2(a)、(b)は、図3(a)、(b)の波形を拡大して示している。つまり、図2(a)、(b)の波形は、図3(a)、(b)の2周期分の波形を拡大して示した波形である。また、図3(a)、(b)において、上側に示す波形は電圧Vdを示し、下側に示す波形はトランジスタTR2のベース・エミッタ間の電圧Vcを示している。
【0043】
図2(b)に示すように、載置部に受電装置2が載置されていない場合、図2(a)に示す受電装置2が載置されている場合に比べて、電力伝送用コイルT1の電圧の振幅が大きくなり、電圧Vdの振幅が大きくなっていることが分かる。これは、載置部に受電装置2が載置されていない場合、載置されている場合に比べて、電力伝送用コイルT1の自己インダクタンスが小さくなるからである。
【0044】
そのため、載置部に受電装置2が載置されていない場合は、電圧Vbも増大し、電圧VbがトランジスタTR1のスレショルド電圧を超えることが可能となり、トランジスタTR1は、抵抗R4、コンデンサC3により定まる時定数にしたがって、オン・オフを繰り返すことができる。その結果、自励発振回路121は、間欠駆動回路122がスイッチング素子FETをオンさせている期間は、図3(b)の期間TM1に示すように、共振回路11を自励発振させることができるが、間欠駆動回路122がスイッチング素子FETをオフさせている期間は、図3(b)の期間TM2に示すように共振回路11を自励発振させることができなくなる。
【0045】
一方、載置部に受電装置2が載置されている場合、受電装置2が載置されていない場合に比べて電圧Vbは低くなるため、電圧VbはトランジスタTR1のスレショルド電圧を超えることができなくなり、トランジスタTR1はスイッチング素子FETをターンオフさせることができなくなる。これにより、自励発振回路121は、図3(a)に示すように、間欠駆動回路122の影響を受けることなく、共振回路11を自励発振させることができる。
【0046】
なお、間欠駆動回路122を構成する各回路素子の回路定数は、載置部に受電装置2が載置されている場合は、電圧VbがトランジスタTR1のスレショルド電圧を超えることができず、載置部に受電装置2が載置されていない場合は、電圧VbがトランジスタTR1のスレショルド電圧を超えることができるような値に設定されている。
【0047】
図1に戻り、受電装置2は、受電コイルT2、ダイオードD3、コンデンサC6,C7、及び二次電池BAを備えている。受電コイルT2は、電力伝送用コイルT1と磁気結合され、電力伝送用コイルT1から伝送される電力を受ける。コンデンサC6は、パワーをより多く受電するために設けられた整合用のコンデンサである。コンデンサC7は、受電コイルT2で発生した電圧を平滑化する。ダイオードD3は、受電コイルT2に発生した電圧を整流する。これにより、二次電池BAには直流電圧が印加され、二次電池BAはこの直流電圧により充電される。二次電池BAとしては、例えばリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、又は鉛蓄電池等の種々の二次電池を採用することができる。
【0048】
次に、図1に示す非接触電力伝送回路1の動作について説明する。電源部14により直流電圧の入力が開始されると、この直流電圧が抵抗R1、帰還コイルT3、及び抵抗R3を介してスイッチング素子FETのゲート容量を充電し、スイッチング素子FETをオンする。
【0049】
スイッチング素子FETがオンすると、共振コンデンサC4−ダイオードD2−スイッチング素子FET−抵抗R7に向けて電流が流れると共に、電力伝送用コイルT1−ダイオードD2−スイッチング素子FET−抵抗R7間に向けて電流が流れて、ドレイン電流Idが流れる。
【0050】
ドレイン電流Idが流れると、抵抗R7の電圧が上昇し、抵抗R6を介してコンデンサC5が充電され、トランジスタTR2がオンする。
【0051】
トランジスタTR2がオンすると、スイッチング素子FETがターンオフし、電力伝送用コイルT1に流れていた電流が共振コンデンサC4に流れ、共振回路11で共振が開始される。
【0052】
共振回路11で共振が開始されると、図2(a)、(b)の時刻TA1に示すように、電圧Vdが上に凸のカーブを描いて変化した後、時刻TA2に示すように下に凸のカーブを描いて変化する。ここで、帰還コイルT3には、電圧Vdと位相が180度ずれた電圧が印加されるため、時刻TA1から時刻TA2までの期間では、スイッチング素子FETはオフを維持する。また、共振回路11で共振が開始されると、コンデンサC5は、ドレイン電流Idによる充電が停止されるため、抵抗R6,R7への電荷の放電を開始する。
【0053】
そして、時刻TA2から時刻TA3までの期間において、帰還コイルT3にはプラスの電圧が生じ、これにより、スイッチング素子FETは再びオンされる。以上のようにして、自励発振回路121は、スイッチング素子FETを繰り返しオン・オフさせることで、共振回路11を共振させ、受電装置2に電力を伝達する。
【0054】
載置部に受電装置2が載置されていない場合は載置されている場合に比べて、図2(b)に示すように、電圧Vdの振幅が増大するため、間欠駆動回路122は、トランジスタTR1をオンさせ、スイッチング素子FETをターンオフさせることが可能となる。
【0055】
スイッチング素子FETがターンオフすると、共振回路11の共振はやがて停止し、図3(b)の期間TM2に示すように、自励発振回路121は共振回路11を共振させることができなくなる。
【0056】
また、スイッチング素子FETがターンオフすると、コンデンサC3は、抵抗R4への放電を開始し、やがて、トランジスタTR1をオフさせ、スイッチング素子FETが、再度ターンオンし、自励発振回路121は、図3(b)の期間TM1に示すように、再度、共振回路11を共振させる。したがって、コンデンサC3及び抵抗R4の時定数によって、図3(b)に示す期間TM2を定めることが可能となり、期間TM2において共振回路11の発振を停止させることができる。
【0057】
このように、本実施の形態による非接触電力伝送回路1によれば、電力伝送用コイルT1は、スイッチング素子FETのオン・オフにより共振コンデンサC4と共振し、受電装置2に非接触で電力を伝送する。ここで、受電装置2が載置されていない場合、間欠駆動回路122は、自励発振回路121を間欠駆動させる。したがって、自励発振回路121が駆動していない期間はスイッチング素子FETがオフされることになり、これにより、電力伝送用コイルT1に流れる電流が減少し、電源部14からの入力電流が減少し、待機電力を低減することができる。
【0058】
また、電力伝送用コイルT1の電圧に基づいて、受電装置2が載置されているか否かの検出が行われているため、別巻線を設けなくても、簡便な回路構成により当該検出を行うことができる。更に、受電装置2が載置されている場合とされていない場合とでは、電力伝送用コイルT1の電圧が顕著に相違するため、受電装置2が載置されているか否かの検出を精度良く行うことができる。
【0059】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2による非接触電力伝送回路が適用される充電システムの回路図を示している。本実施の形態における非接触電力伝送回路は、共振回路11を他励発振させることを特徴とする。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同一のものは説明を省略する。
【0060】
図4に示すように、駆動回路12は、マイコン部100、ダイオードD1、抵抗R2,R4、及びコンデンサC3を備えている。
【0061】
マイコン部100は、CPU、ROM、RAM、及び専用のハードウエア回路等を備え、ROMに記憶された制御プログラムを実行することで、PWM出力ポートP3からスイッチング素子FETのゲートにPWM信号を出力し、スイッチング素子FETをオン・オフさせる。なお、VCCポートP2には、電源部14から出力される電圧である5Vの駆動電圧VCCが入力される。
【0062】
ここで、マイコン部100は、AD入力ポートP1とグラウンドポートP4との間にコンデンサC3が接続され、AD入力ポートP1に入力される電圧VbをAD変換し、AD変換した電圧Vbの値が予め定められた規定値よりも大きい場合、載置部に受電装置2が載置されていないことを検出する。そして、マイコン部100は、受電装置2が載置されていないことを検出した場合、PWM信号のデューティー比を受電装置2が載置されている場合のデューティー比よりも小さくし、スイッチング素子FETがオンする期間を短くする。ここで、規定値としては、受電装置2が載置された場合に、AD入力ポートP1に入力されることが想定される電圧Vbの値を採用すればよい。
【0063】
一方、マイコン部100は、電圧Vbが規定値以下の場合、載置部に受電装置2が載置されていることを検出し、PWM信号のデューティー比を受電装置2が載置されていない場合のデューティー比よりも大きくする。
【0064】
図5(a)は受電装置2が載置されている場合にマイコン部100から出力されるPWM信号を示し、図5(b)は受電装置2が載置されていない場合にマイコン部100から出力されるPWM信号を示している。図5(a)、(b)に示すように、マイコン部100は、受電装置2が載置されていない場合、受電装置2が載置されている場合に比べてデューティー比の小さなPWM信号を出力していることが分かる。
【0065】
ここで、受電装置2が載置されている場合のPWM信号のデューティー比としては、受電装置2を充電するうえで好ましい電力を得ることが予め定められた値を採用することができる。また、受電装置2が載置されていない場合のPWM信号のデューティー比としては、受電装置2が載置されているか否かの検出を行うことが可能な値であって、スイッチング素子FETのオフ期間をできるだけ増大させることが可能な予め定められた値を採用することができる。
【0066】
抵抗R2,R4は、実施の形態1と同様、電圧Vdを分圧する分圧抵抗であり、分圧した電圧VbをAD入力ポートP1に入力する。PWM出力ポートP3とスイッチング素子FETのゲートとの間には抵抗R8が接続されている。
【0067】
次に、図4に示す非接触電力伝送回路1の動作について説明する。受電装置2が載置部に載置されていない場合、電圧Vbが規定値より大きくなるため、マイコン部100は、受電装置2が載置されていないことを検出し、図5(b)に示すデューティー比の低いPWM信号を出力する。このPWM信号によって、スイッチング素子FETがオン・オフし、共振回路11はスイッチング素子FETのオン期間にエネルギーを蓄え、スイッチング素子FETのオフ期間に蓄えたエネルギーで共振し、受電装置2に電力を伝送する。よって、スイッチング素子FETは、受電装置2が載置部に載置されていない場合は載置されている場合に比べて、オン時間が短くなり、待機電力を低減することが可能となる。
【0068】
一方、受電装置2が載置部に載置されると、電圧Vbは規定値以下となるため、マイコン部100は、受電装置2が載置部に載置されていることを検出し、図5(a)に示すデューティー比の高いPWM信号を出力する。よって、スイッチング素子FETは、受電装置2が載置部に載置されている場合は、載置されていない場合に比べて、オン時間が長くなり、受電装置2を充電するうえで十分な電力を受電装置2に伝送することが可能となる。
【0069】
なお、上記説明では、受電装置2が載置部に載置されていない場合、PWM信号のデューティー比を低くして待機電力の低減を図ったが、受電装置2が載置部に載置されていない場合、PWM信号の出力を停止させてもよい。これにより、待機電力の更なる低減を図ることができる。
【0070】
但し、PWM信号の出力を完全に停止すると、共振回路11が共振しなくなり、マイコン部100は、受電装置2が載置されたか否かの検出を行うことができなくなってしまう。
【0071】
そこで、マイコン部100は、PWM信号を間欠的に出力することで、受電装置2が載置されたか否かの検出を行うようにしてもよい。ここで、マイコン部100は、例えば、1秒あたり、0.2秒だけ、PWM信号を出力するようにして、PWM信号を間欠的に出力する等すればよい。
【0072】
このように、本実施の形態による非接触電力伝送回路1によれば、受電装置2が載置されていない場合は、PWM信号のデューティー比が低くされているため、待機電力を低減することができる。
【0073】
(実施の形態3)
実施の形態3による非接触電力伝送回路1は、実施の形態1の非接触電力伝送回路1において、更に定電圧ダイオードを設けたことを特徴とする。図6は、実施の形態3による非接触電力伝送回路1が適用された充電システムの回路図を示している。なお、本実施の形態において、実施の形態1、2と同一のものは説明を省略する。
【0074】
図6に示すように、抵抗R2とダイオードD1との間に定電圧ダイオードZ1が設けられている。この定電圧ダイオードZ1は、例えばツェナーダイオードにより構成され、アノードが抵抗R2に接続され、カソードがダイオードD1に接続されている。
【0075】
そして、定電圧ダイオードZ1は、アノードに対してカソードの電圧が所定の値より大きくなると、共振回路11から抵抗R4に電流を流し、所定の値以下の場合は、電流を流さない。これにより、定電圧ダイオードZ1において、アノードに対してカソードの電圧が所定の値より高い場合に、間欠駆動回路122を動作させることが可能となり、受電装置2が載置されているか否かの誤検出を低下させることが可能となる。なお、所定の値としては、非接触電力伝送回路1が取り扱う電圧の大きさから誤検出を防止することが可能な値を採用することが好ましく、例えば6.2V程度の値を採用することができる。
【0076】
(実施の形態4)
図7は、実施の形態4による非接触電力伝送回路1が適用された充電システムの回路図を示している。なお、本実施の形態において、実施の形態1〜3と同一のものは説明を省略する。実施の形態4による非接触電力伝送回路1は、実施の形態1による非接触電力伝送回路1において、自励発振回路121と間欠駆動回路122とを共用したことを特徴とする。
【0077】
具体的には、図1に示すトランジスタTR1が、トランジスタTR2と共用され、コンデンサC3がコンデンサC5と共用され、抵抗R4が省かれている。
【0078】
図7に示すように、駆動回路12は、ダイオードD1、抵抗R2,R3、帰還コイルT3、トランジスタTR2、及びコンデンサC5を備えている。ダイオードD1はアノードが共振回路11に接続され、カソードが抵抗R2を介してトランジスタTR2のベースに接続されている。
【0079】
これにより、受電装置2が載置されていない場合は、受電装置2が載置されている場合に比べて電圧Vdが高くなって電圧Vcが高くなり、トランジスタTR2のベースにバイアス電圧がかかることになる。そのため、受電装置2が載置されていない場合、トランジスタTR2は、スイッチング素子FETがオンしてからターンオフするまでの時間を短くすることができる。これにより、受電装置2が載置されていない場合、スイッチング素子FETがオンする時間を短くすることができ、待機電力を低減させることができる。
【0080】
具体的には、受電装置2が載置されている場合は、電圧Vcが例えば0.2Vとなり、受電装置2が載置されていない場合は、電圧Vcが例えば0.4Vとなるように、抵抗R2,R6,R7、コンデンサC5等の非接触電力伝送回路1を構成する各回路素子の回路定数が定められている。
【0081】
また、受電装置2が載置されていない場合に、電圧Vcが、トランジスタTR2のスレショルド電圧(例えば0.6V)以上となるように、非接触電力伝送回路1を構成する各回路素子の回路定数を定めても良い。これにより、共振回路11を間欠発振させて、待機電力を低減することが可能となる。
【0082】
このように、本実施の形態による非接触電力伝送回路1によれば、トランジスタTR1及びトランジスタTR2と、コンデンサC3及びコンデンサC5とが共用されているため、部品点数を削減して低コスト化、回路規模の縮小化を図ることができると同時に、待機電力を低減させることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 非接触電力伝送回路
2 受電装置
11 共振回路
12 駆動回路
13 バイアス回路
14 電源部
100 マイコン部
121 自励発振回路
122 間欠駆動回路
C4 共振コンデンサ
FET スイッチング素子
T1 電力伝送用コイル
T2 受電コイル
T3 帰還コイル
R2,R4 抵抗(分圧抵抗)
Z1 定電圧ダイオード
TR1 トランジスタ(第1のトランジスタ)
TR2 トランジスタ(第2のトランジスタ)
C3 コンデンサ(第1のコンデンサ)
C5 コンデンサ(第2のコンデンサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置部に載置された受電装置に非接触で電力を伝送する非接触電力伝送回路であって、
前記受電装置に電力を伝送する電力伝送用コイル及び前記電力伝送用コイルと共振する共振コンデンサを含む共振回路と、
オン・オフを繰り返すことで前記共振回路を共振させるスイッチング素子と、
前記電力伝送用コイルの電圧に基づいて、前記受電装置が前記載置部に載置しているか否かを検出し、前記受電装置が載置されていないことを検出した場合、前記受電装置が載置されている場合に比べて、前記スイッチング素子のオンする期間が短くなるように、前記スイッチング素子を駆動する駆動回路とを備え、
前記駆動回路は、
前記電力伝送用コイルの電圧に基づいて、前記スイッチング素子を繰り返しオン・オフし、前記共振回路を自励発振させる自励発振回路と、
前記受電装置が載置されていないことを検出した場合、前記自励発振回路を間欠駆動させる間欠駆動回路とを備え、
前記間欠駆動回路は、
前記スイッチング素子の制御端子に接続され、前記スイッチング素子をターンオフさせる第1のトランジスタと、
前記共振回路及び前記第1のトランジスタの制御端子間に接続されたダイオードと、
前記第1のトランジスタの制御端子に接続され、前記電力伝送用コイルの電圧で充電される第1のコンデンサとを備え、
前記自励発振回路は、
前記スイッチング素子をターンオフさせる第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタの制御端子に接続された第2のコンデンサとを備え、
前記第2のトランジスタは、前記第1のトランジスタと共用され、
前記第2のコンデンサは、前記第1のコンデンサと共用されている非接触電力伝送回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−188742(P2011−188742A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132841(P2011−132841)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【分割の表示】特願2009−2823(P2009−2823)の分割
【原出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】