説明

非接触IC媒体及び制御装置

【課題】 制御信号の受信回路の消費電力を、従来例に対して低下させ、従来例に比較して、内部のバッテリの長寿命化を可能とする非接触IC媒体を提供する。
【解決手段】 本発明の非接触IC媒体は、コイルと、該コイルが外部コイルと磁気結合し、該外部コイルの発生する交番磁界によりコイルに誘起される電圧を検出し制御信号を出力する制御回路と、該検出信号が入力されるとアンテナから応答信号を出力する送信回路とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(RADIO FREQUENCY IDENTIFICATION)システムに用いるICタグに関し、特に非接触で外部機器から情報を受け、該外部機器へ情報を送出する、バッテリを内蔵するアクティブ型の非接触ICタグまたはICカードなどの非接触IC媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアクティブ型の非接触IC媒体は、内部にバッテリが搭載されているため、内部にバッテリを有さず、外部から電源を供給されているときのみ動作するパッシブ型の非接触型のIC媒体に比較し、高い電力の電波を送信することができ、電波をパッシブ型より一定距離以上に発信することができる。このため、ICタグと、この非接触IC媒体に対応するリーダとが離れている場合にも、この非接触IC媒体は利用可能である。
しかしながら、バッテリに蓄えられる電気エネルギーの容量は無限ではなく、非接触IC媒体を長期間使用するためには、送受信が不要な期間において、送信回路を停止させて消費電力を抑制している。
すなわち、従来例においては、一定の間隔ごとに送信したり、振動などのセンサ情報に基づいて送信したりすることにより、消費電流を抑制している。
【0003】
しかし、非接触IC媒体が所定の制御信号を受け、この制御信号の受信タイミングに対応して、制御信号に対する応答信号を出力する用途がある。
このため、非特許文献1に記載されているように、制御信号を受信する回路のみを、待機状態にしておき、他の回路をスリープ状態にしておく必要がある。
【非特許文献1】http://savi.com/products/pr.rfid.echopoint.shtml(2004年7月12日アクセス)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1に示すICタグにあっては、制御信号を受信する回路を常に待機状態としておく必要があり、より長寿命化を考慮すると、制御信号の電波を受信する回路を構成する同調回路等の消費電力が無視できないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、制御信号の受信回路の消費電力を、従来例に対して低下させ、従来例に比較して、内部のバッテリの長寿命化を可能とする非接触IC媒体(ICタグ及びICカードなど)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の非接触IC媒体は、コイル(例えば、実施形態におけるコイル1)と、該コイルが外部コイルと磁気結合し、該外部コイルの発生する交番磁界によりコイルに誘起される電圧を検出し制御信号を出力する制御回路(例えば、実施形態における制御回路2)と、該検出信号が入力されるとアンテナから応答信号を出力する送信回路(例えば、実施形態における送信回路3)とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の非接触IC媒体は、前記交番磁界の周波数がLF(長波)帯(周波数30kHz〜300kHz,波長10km〜1km)であることを特徴とする。
これにより、本発明の非接触IC媒体は、上述したLF帯の交番磁界を使用することにより、他の通信(例えば、超音波及び赤外線)に比較して、待機時電流が少なく、低消費電力であり、長期間の使用に際しては優位である。
【0008】
本発明の非接触IC媒体は、前記制御回路が前記交番磁界に重畳されている制御データを抽出し、この制御データに対応する制御信号を出力することを特徴とする。
【0009】
本発明の非接触IC媒体は、前記交番磁界が入力されることにより、前記コイルに誘起される交流電圧を整流する給電部と、整流された電圧をバッテリに充電する充電部と
を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の非接触IC媒体制御装置は、非接触IC媒体に対して制御データを送信する制御装置であり、入力された命令に対応して制御データを生成する制御部と、前記制御データを所定の周波数の交番磁界に重畳して送信コイルから送信する制御信号送信部とを有し、前記送信コイルが前記非接触IC媒体の受信コイルと磁気結合することにより、前記制御データを非接触IC媒体に伝搬させることを特徴とする。
【0011】
本発明の非接触IC媒体制御装置は、前記交番磁界の周波数がLF帯であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、発明によれば、コイルを外部のコイルと磁気結合させ、この外部のコイルから制御データを重畳させた交番磁界を発生させることにより、このコイルに誘起される誘起電圧を検出して、重畳させた制御データを読み出し、この制御データに対応した制御を行うためため、受信部に同調回路等が必要なくなり、従来の非接触IC媒体に比較して制御情報の入力待ち受け状態において、消費電力を大幅に削減することが可能となる。
【0013】
また、発明によれば、コイルを外部のコイルと磁気結合させ、この外部のコイルから制御データを重畳させた交番磁界を発生させることにより、コイルに発生する交流電圧を整流して、バッテリに供給することにより、バッテリへの充電が行われるため、充電用の外部端子が無くとも、交番磁界で充電することにより、アクティブ型非接触IC媒体を半永久的に使用することが可能となる。
また、発明によれば、上述した交番磁界による充電が可能であるため、充電に用いる外部端子が必要なくなり、バッテリ内蔵のアクティブ型非接触IC媒体を完全に封止することが可能、すなわち耐環境性のシールドをすることとなり、例えば、温度及び湿度の測定に容易に対応させられ、また、食品や薬品への使用に対する衛生面を満足させるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態による非接触IC媒体及び非接触IC媒体制御装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の一構成例を示すブロック図である。以下、非接触IC媒体の一例としてICタグを用いて説明する。
この図において、ICタグ12は、コイル1,制御回路2,送信回路3,アンテナ4及びバッテリ6を有して構成されている。
コイル1は電磁結合している他のコイル(例えば、後述する励磁機器9のコイル10)の発生する交番磁界(交流磁場)が鎖交することにより、誘起電圧として所定の交流電圧を誘起する。
【0015】
制御回路2は、上記コイル1が接続されており、整流回路を内部に有し、上記交流電圧を整流してDC電圧とする。
ここで、上記交番磁界には、磁界の発生の有無により制御データが重畳されている。
そのため、制御回路2は、上記整流回路により、交番磁界をDC電圧とすることにより、制御データを抽出し、対応する制御信号を出力することとなる。
【0016】
送信回路3は、制御回路2からの制御信号により、所定の情報をアンテナ4を介して、受信機器7に対して送信する。
ここで、送信回路3は、例えば、UHF(Ultra High Frequency;極超短波、周波数300MHz〜3GMHz,波長10〜100cm)帯の周波数の電波を用いて、上記所定の情報の送信を行う。
また、送信回路3は送信機能のみではなく、受信機能を搭載して、受信機器7との間でデータの送受信を行う様に構成しても良い。
【0017】
バッテリ6は、制御回路2及び送信回路3へ駆動電力を供給するものであり、例えば小型及び薄型のボタン電池などを用いる。
また、受信機器7はアンテナ8を介して上記所定のデータを入力し、この所定のデータに基づいて各種処理、ICタグ12の識別番号の確認や、ICタグ12に搭載されているセンサの出力データの処理等を行う。
【0018】
励磁機器9は、ユーザが入力する命令を制御データに変換して、所定のLF帯の周波数、例えば、125kHzの交流電流に、上記制御データを重畳させ、コイル10にこの制御データの重畳された交流電流を流し、制御データの重畳された交番磁界を発生させる。
ここで、励磁機器9は、例えば、半径数cmのコイル10に対して、数百mA(約6V)の交流電流を供給する。(一方、ICタグ12のコイル1は半径数mm)
また、励磁機器9は、上記命令と制御データとの対応を示す制御テーブルを内部の記憶部に記憶しており、命令に対応した制御データを上記制御テーブルより読み出す。
【0019】
さらに、励磁機器9は、所定の周期単位(1周期または複数周期)に区切り、各周期単位毎において、交流電流を流すか否かにより、すなわち交流電流を流す期間を「1」とし、流さない期間を「0」として、交番磁界を発生させるか否かにより制御データを交番磁界に対して重畳させる。
上述したように、本発明においては、待機状態(スリープモード)を低消費電力化するため、所定の電波のキャリアを抽出する同調回路などの電力を消費する構成を無くし、所定の電圧を検出する電力を消費しない回路のみで制御データの検出を行うため、交番磁界を制御データを送信するキャリアとして用いる。
【0020】
次に、図1及び図2を参照して、上述した実施例におけるICタグ12及び励磁機器9(ICタグ制御装置)の動作を説明する。図2はICタグ12,励磁機器9及び受信機器7(例えば、ICタグ12のリーダ)相互の信号のやり取りを示すシーケンス図である。
ICタグ12を起動し、所定の情報、例えばICタグ12の識別番号,ICタグ12に搭載されたセンサの測定データ等を、ICタグ12から受信機器7へ送信させる場合の制御を以下に説明する。
【0021】
利用者が励磁機器9に対し、ICタグ12をスリープモードから動作モードに遷移させ、このICタグ12から識別番号を受信機器7へ送信する命令を入力する。
これにより、励磁機器9は、内部の制御テーブルからこの命令に対応した制御データを読み出し、この制御データを交流電流に重畳させ、この交流電流をコイル10へ流し、制御データ(ICタグ12のウェイクアップ信号及びスリープ信号などの制御信号等)が重畳された交番磁界を、コイル10に発生させる(ステップS1)。
このとき、励磁機器9は、図3に示すように、ウェイクアップ信号として、プリアンブルのフレームと、上記制御データのフレームと、受信先でフレームが正常に受信されたか否かを判定するFCS(Frame Check Seqence)のフレームとを各々生成して、交番磁界に重畳させる。
【0022】
次に、ICタグ12のコイル1は、上記コイル10と所定の距離以下に近づくと磁気結合し、交番磁界が内部を鎖交することにより、磁界の強度に対応した誘起電圧が誘起される。
そして、制御回路2は、上記誘起電圧を入力し、これを整流することで、重畳された制御データを抽出する。
このとき、制御回路2は、図3に示す同期フレームであるプリアンブルにより、上記制御データの読み出しタイミングの同期をとり、その後、このタイミングにより制御データを読み込み(制御データを抽出し)、FCSのフレームを用いて、受信した制御データのチェックする。
【0023】
すなわち、制御回路2は、FCSのフレームにより、制御データが正常に受信されたか否かを判定し、正常に受信されたことを検出すると、制御データの制御内容を記憶部におけるテーブルにより判定し、対応する処理の制御信号を出力する。
一方、制御回路2は、FCSのフレームにより制御データが正常に受信されていないことを検出すると、ウェイクアップの処理を行わず、スリープモードを継続する。
【0024】
例えば、制御回路2は上記テーブルに記憶された記憶制御データと、抽出した制御データを比較し、この制御データに対応する記憶制御データがICタグ12を起動状態とする制御(すなわちウェイクアップ及び識別番号送付の命令)であれば、送信回路3を起動させ(バッテリ6からの駆動電力の供給を開始させ)、ICタグ12の識別番号を、アンテナ4を介して受信機器7へ出力する(ステップS2)。
このとき、制御回路2がCPU等で構成されている場合、自身の動作クロックをスリープモード(数十〜数百KHz帯の低周波数)から通常動作モード(MHz帯の高周波数)へと切り替える処理を行う。
【0025】
そして、ICタグ12に搭載されているセンサ(温度,湿度測定など)の測定データを出力させる場合、利用者は励磁機器9にセンサのデータの出力命令を入力すると、励磁機器9は制御テーブルから制御データを読み出し、図3のフレームを交番磁界に重畳させてICタグ12に出力する。
これにより、ICタグ12において、制御回路2は、既に述べたように、制御データを抽出し、テーブルにより制御内容を判定し、制御データが指定するセンサの出力を読み込み、これを送信回路3を介して受信機器7へ出力する。
【0026】
また、このとき、ステップS2において、ユーザの処理により、励磁機器9からICタグ12に対して、バッテリ6の出力電圧値を出力させる制御データを送信すると、制御回路2はバッテリ6の電圧値を受信機器7へ送信するようにしてもよい。
これにより、ユーザは受信機器7の電圧値を確認することにより、バッテリ6の交換が必要か否かの判断を行うこととなる。
通常は、ICタグに励磁機器9からウェイクアップ信号を送信した際、ICタグから受信機器7に対して応答がなされない場合、バッテリ6の出力電圧が低下したとして、バッテリ6の交換が行われる。
そして、ユーザは、ICタグ12をスリープモードへ遷移させる命令を、励磁機器9へ入力する。
【0027】
これにより、励磁機器9は、入力される命令をテーブルを参照することにより制御データに変換し、ICタグ12に対して、スリープ処理を行うことを示す制御データを、交番磁界に重畳させて出力する(ステップS3)。
次に、制御回路2は、制御データを抽出して、スリープモードへの遷移処理を行うことを検出すると、送信回路3の動作を停止させ(バッテリ6からの駆動電力の供給を停止させ)る。
また、このとき、制御回路2がCPU等で構成されている場合、自身の動作クロックを通常動作モード(MHz帯の高周波数)からスリープモード(数十〜数百KHz帯の低周波数)へと切り替える処理を行う。
以上の処理により、ICタグ12は起動モードからスリープモードへ遷移する。
【0028】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態による非接触IC媒体及び非接触IC媒体制御装置を図面を参照して説明する。図4は第2の実施形態の一構成例を示すブロック図であり、第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付し、説明を省略する。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、バッテリ6を充電する充電回路5が設けられている点である。以下、第1の実施形態と同様に、非接触IC媒体の一例としてICタグを用いて説明する。
【0029】
この図において、ICタグ12は、コイル1,制御回路2,送信回路3,アンテナ4,充電回路5及びバッテリ6を有して構成されている。
コイル1は電磁結合している他のコイル(例えば、後述する励磁機器9のコイル10)の発生する交番磁界(交流磁場)が鎖交することにより、誘起電圧として所定の交流電圧を誘起する。
【0030】
制御回路2は、上記コイル1が接続されており、整流部2Aを内部に有し、上記交流電圧を整流してDC電圧とする。
ここで、上記交番磁界には、磁界の発生の有無により制御データが重畳されている。
そのため、制御回路2は、上記整流部により、交番磁界をDC電圧とすることにより、制御データを抽出し、対応する制御信号を出力することとなる。
充電回路5は、給電部5A及び充電部5Bとから構成されており、給電部5Aが制御回路2を介して入力される交流電圧を整流してDC電圧として充電部5Bへ出力し、充電部5Bが入力されるDC電圧をバッテリ6へ給電して、このバッテリ6への充電処理を行う。
【0031】
上述の構成において、制御回路2の整流部2Aと、充電回路5の給電部5A(整流機能を有す)とを別々の構成として記載したが、制御回路2の整流部2Aの整流した電流を、直接に充電回路5に上記スイッチのオン/オフにより供給してもよい。
また、非接触IC媒体(ICタグ12)かあるいは非接触IC媒体制御装置のどちらか/もしくは双方にLF信号を増幅するアンプ(図4におけるアンプ13,14)を設けたり、コイル10のサイズを、より大きくしたりしてもよい。
例えば、ICタグ12にアンプを設ける場合は、コイル1と制御回路2の間にアンプ13を挿入する。これで、ICタグ12の制御回路2での受信レベルとなる交番磁界の信号感度が向上する。
【0032】
他方、非接触IC媒体制御装置にアンプを設ける場合は、励磁機器9とコイル10との間にアンプ14を挿入する。
第1の実施形態で述べていたコイル10に供給する電流(数百mA)を数十Aという数値へ増加させて、より強力な磁界を発生できる。
これらアンプ13とアンプ14との挿入のどちらか、もしくは双方の挿入を行い、交番磁界による制御信号の送信到達可能な距離を延ばすことができる。
さらに、コイル10のサイズを、第1の実施形態において、半径数cmと説明したが、このコイル10を数十cmと拡大させることで、同様に制御信号の送信可能な距離を延ばせる。
【0033】
次に、図4及び図5を参照して、上述した実施例におけるICタグ12及び励磁機器9(ICタグ制御装置)の動作を説明する。図5はICタグ12,励磁機器9及び受信機器7(例えば、ICタグ12のリーダ)相互の信号のやり取りを示すシーケンス図である。
ICタグ12を起動し、所定の情報、例えばICタグ12の識別番号,ICタグ12に搭載されたセンサの測定データ等を、ICタグ12から受信機器7へ送信させる場合と、ICタグ12に充電を行う場合の制御を以下に説明する。
【0034】
利用者が励磁機器9に対し、ICタグ12をスリープモードから動作モードに遷移させ、このICタグ12から識別番号を受信機器7へ送信する命令を入力する。
これにより、励磁機器9は、内部の制御テーブルからこの命令に対応した制御データを読み出し、この制御データを交流電流に重畳させ、この交流電流をコイル10へ流し、制御データ(ICタグ12のウェイクアップ信号及びスリープ信号などの制御信号等)が重畳された交番磁界を、コイル10に発生させる(ステップS1)。
このとき、励磁機器9は、図3に示すように、ウェイクアップ信号として、プリアンブルのフレームと、上記制御データのフレームと、受信先でフレームが正常に受信されたか否かを判定するFCS(Frame Check Seqence)のフレームとを各々生成して、交番磁界に重畳させる。
【0035】
次に、ICタグ12のコイル1は、上記コイル10と所定の距離以下に近づくと磁気結合し、交番磁界が内部を鎖交することにより、磁界の強度に対応した誘起電圧が誘起される。
そして、制御回路2は、上記誘起電圧を入力し、これを整流部2Aにより整流することで、重畳された制御データを抽出する。
このとき、制御回路2は、図3に示す同期フレームであるプリアンブルにより、上記制御データの読み出しタイミングの同期をとり、その後、このタイミングにより制御データを読み込み(制御データを抽出し)、FCSのフレームを用いて、受信した制御データのチェックする。
【0036】
すなわち、制御回路2は、FCSのフレームにより、制御データが正常に受信されたか否かを判定し、正常に受信されたことを検出すると、制御データの制御内容を記憶部におけるテーブルにより判定し、対応する処理の制御信号を出力する。
一方、制御回路2は、FCSのフレームにより制御データが正常に受信されていないことを検出すると、ウェイクアップの処理を行わず、スリープモードを継続する。
【0037】
例えば、制御回路2は上記テーブルに記憶された記憶制御データと、抽出した制御データを比較し、この制御データに対応する記憶制御データがICタグ12を起動状態とする制御(すなわちウェイクアップ及び識別番号送付の命令)であれば、送信回路3を起動させ(バッテリ6からの駆動電力の供給を開始させ)、ICタグ12の識別番号を、アンテナ4を介して受信機器7へ出力する(ステップS2)。
このとき、制御回路2がCPU等で構成されている場合、自身の動作クロックをスリープモード(数十〜数百KHz帯の低周波数)から通常動作モード(MHz帯の高周波数)へと切り替える処理を行う。
【0038】
そして、ICタグ12に搭載されているセンサ(温度,湿度測定など)の測定データを出力させる場合、利用者は励磁機器9にセンサのデータの出力命令を入力すると、励磁機器9は制御テーブルから制御データを読み出し、図3のフレームを交番磁界に重畳させてICタグ12に出力する。
これにより、ICタグ12において、制御回路2は、既に述べたように、制御データを抽出し、テーブルにより制御内容を判定し、制御データが指定するセンサの出力を読み込み、これを送信回路3を介して受信機器7へ出力する。
【0039】
また、ステップS2において、ユーザの処理により、励磁機器9からICタグ12に対して、バッテリ6の出力電圧値を出力させる制御データを送信すると、制御回路2はバッテリ6の電圧値を受信機器7へ送信する。
次に、ユーザは、受信機器7の表示画面によりバッテリ6の電圧値を確認し、バッテリ6の電圧容量が低下していることを検出すると、ICタグ12に対する充電命令を励磁機器7に入力する。
これにより、励磁機器7はICタグ12に対して、充電処理を行うことを示す制御データを、交番磁界に重畳させて出力する(ステップS4)。
【0040】
そして、制御回路2は、充電回路5に対して、コイル1に誘起される誘起電圧(交流電圧)を充電回路5に対して供給する。
このとき、例えば、制御回路2は、制御データが充電処理を行うことを示す場合、制御信号により、コイル1と充電回路5との間のスイッチをオン状態とする。
これにより、充電回路5における給電部5Aがコイル1からの交流電圧を整流してDC電圧に変換する。
そして、充電回路5の充電部5Bは、上記DC電圧を、バッテリ6に対して充電可能な電圧レベルに変換して、バッテリ6へ給電して、バッテリ6に対する充電処理を行う。
【0041】
このとき、充電部5Bは、給電される電圧が充電に必要な電圧値以下であることを検出した場合、すなわち、コイル1に誘起される誘起電圧のレベルが低いことを検出した場合、充電電圧不足を示す検出データを制御回路2へ通知する。
そして、制御回路2は、上記充電電圧不足を示す検出データを入力すると、送信回路3を介して受信機器7に対して、励磁機器9をICタグ12に近づける処理を示すデータを出力する(ステップS5)。
これにより、受信機器7はユーザに対して励磁機器9をICタグ12に近づけることを促す表示を表示装置に出力する。
【0042】
また、充電部5Bはバッテリ6に対する充電電流を検出しており、充電電流があらかじめ設定された所定の電流値以下となると、充電の完了を検出して、充電が完了したことを示す検出データを制御回路2に対して通知する。
そして、制御回路2は、上記検出データを入力すると、送信回路3を介して、充電終了を示すデータを、受信機器7に対して出力する。
これにより、受信機器7は、表示装置にICタグ12のバッテリ6に対する充電処理が終了したことを示す表示を行う。
【0043】
次に、ユーザは、受信機器7の表示装置により、充電処理の終了を確認すると、励磁機器9に対し、ICタグ12における充電処理を終了させる命令を入力する。
これにより、励磁機器9は、ICタグ12に対して、充電の終了処理を行うことを示す制御データを、交番磁界に重畳させて出力する。
そして、制御回路2は、制御データを抽出して、充電の終了処理を行うことを検出すると、コイル1と充電回路5との間のスイッチをオフ状態とし、充電回路5の動作を停止させる。
【0044】
そして、制御回路2は、充電回路5の動作を停止させると、送信回路3を介して、充電回路5の動作停止を示すデータを、受信機器7に対して出力する。
これにより、受信機器7は、表示装置にICタグ12のバッテリ6に対する充電回路5が停止したことを示す表示を行う。
次に、ユーザは上記表示を確認すると、ICタグ12をスリープモードへ遷移させる命令を、励磁機器9へ入力する。
【0045】
そして、励磁機器9は、入力される命令をテーブルを参照することにより制御データに変換し、ICタグ12に対して、スリープ処理を行うことを示す制御データを、交番磁界に重畳させて出力する(ステップS5)。
次に、制御回路2は、制御データを抽出して、スリープモードへの遷移処理を行うことを検出すると、送信回路3の動作を停止させ(バッテリ6からの駆動電力の供給を停止させ)る。
また、このとき、制御回路2がCPU等で構成されている場合、自身の動作クロックを通常動作モード(MHz帯の高周波数)からスリープモード(数十〜数百KHz帯の低周波数)へと切り替える処理を行う。
以上の処理により、ICタグ12は起動モードからスリープモードへ遷移する。
【0046】
なお、図1及び図4における制御回路2の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、上述したICタグ12の各処理の制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0047】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態のICタグ12及びICタグ制御システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】図1のICタグ制御システムの動作例を示すシーケンス図である。
【図3】励磁機器7がICタグ12へ、交番磁界に重畳させて送信する制御データのフレームのフォーマットを示す概念図である。
【図4】本発明の第2の実施形態のICタグ12及びICタグ制御システムの一構成例を示すブロック図である。
【図5】図4のICタグ制御システムの動作例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0049】
1,10…コイル
2…制御回路
3…送信回路
4,8…アンテナ
5…充電回路
6…バッテリ
7…受信機器
9…励磁機器
12…ICタグ
13,14…アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
該コイルが外部コイルと磁気結合し、該外部コイルの発生する交番磁界によりコイルに誘起される電圧を検出し制御信号を出力する制御回路と、
該検出信号が入力されるとアンテナから応答信号を出力する送信回路と
を有することを特徴とする非接触IC媒体。
【請求項2】
前記交番磁界の周波数がLF帯であることを特徴とする請求項1記載の非接触IC媒体。
【請求項3】
前記制御回路が前記交番磁界に重畳されている制御データを抽出し、この制御データに対応する制御信号を出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非接触IC媒体。
【請求項4】
前記交番磁界が入力されることにより、前記コイルに誘起される交流電圧を整流する給電部と、
整流された電圧をバッテリに充電する充電部と
を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の非接触IC媒体。
【請求項5】
非接触IC媒体に対して制御データを送信する制御装置であり、
入力された命令に対応して制御データを生成する制御部と、
前記制御データを所定の周波数の交番磁界に重畳して送信コイルから送信する制御信号送信部と
を有し、
前記送信コイルが前記非接触IC媒体の受信コイルと磁気結合することにより、前記制御データをICタグに伝搬させることを特徴とする非接触IC媒体制御装置。
【請求項6】
前記交番磁界の周波数がLF帯であることを特徴とする請求項5記載の非接触IC媒体制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−72706(P2006−72706A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255426(P2004−255426)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】