説明

非接触IC媒体及び非接触IC付き冊子

【課題】近赤外線モニタを用いてもアンテナのパターンが視認されることのない非接触IC媒体を提供すること。
【解決手段】アンテナと該アンテナに電気的に接続されたICと、該アンテナ及びICチップを挟み込んで貼り合わされた第一の基材及び第二の基材とを備え、第一の基材及び第二の基材の少なくとも一方の基材の一面を覆い、少なくとも800以上950nm以下の赤外線波長領域で光吸収性を有する赤外線吸収層が設けられていることを特徴とする非接触IC媒体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触IC媒体等に用いられるアンテナシートとそれを用いた冊子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一方、近年では個人情報等をデジタルデータとしてIC(集積回路)に記憶し、リーダ/ライタで読み書きできるように冊子内にICチップを埋め込んだものが開発され、特に電子パスポートの形態では各国で採用されるようになってきている。冊子に埋め込む形態としては、冊子カバーに添付した形態や、ページの間にICチップを含むインレットを挟み込み、両側のページを接着した形態が提案されている(特許文献1)。
【0003】
ICチップを含むインレットは、パスポートに限らず非接触でICチップに読み書きするための非接触IC媒体の最小単位であり、信号を送受信するためのアンテナと、アンテナに接続したICチップを備えている。インレットは、ICチップ及びアンテナを保護するために、樹脂等からなる基材で挟持されていることが一般的である(特許文献2)。
【0004】
このようなインレットに用いるアンテナパターンの検査には約800〜950nm波長の近赤外線モニタを用いた外観検査装置が用いられている。アンテナには金属材料が用いられ、近赤外線領域においては一般的な基材材料は光透過性を持つため、可視域で不透明な保護基材を設けた場合であっても近赤外線光源からインレットを透過した光を検出し、画像パターンを確認することでアンテナパターンの欠陥の有無等を検査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−88569号公報
【特許文献2】特開2005−63209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように非接触IC媒体を赤外線モニタで確認することで、アンテナパターンや、ICチップの配置位置が視認できてしまうため、模倣・偽造品が容易に製造されてしまうおそれがあった。
【0007】
そこで本願発明では、近赤外線モニタを用いてもアンテナのパターンが視認されることのない非接触IC媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために為された請求項1に係る発明は、アンテナと該アンテナに電気的に接続されたICと、該アンテナ及びICチップを挟み込んで貼り合わされた第一の基材及び第二の基材とを備え、第一の基材及び第二の基材の少なくとも一方の基材の一面を覆い、少なくとも800以上950nm以下の赤外線波長領域で光吸収性を有する赤外線吸収層が設けられていることを特徴とする非接触IC媒体である。
また請求項2に係る発明は、前記赤外線吸収層は、950nmより大きく1400nm以下の波長の少なくとも一部の領域で、光透過性を有することを特徴とする請求項1に記載の非接触IC媒体である。
また請求項3に係る発明は、前記非接触IC媒体は、第一の基材に貼り合わされたカバー材を有し、該カバー材と該第一の基材の間に赤外線吸収層を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触IC媒体である。
また請求項4に係る発明は、前記第一の基材の基材及びカバー材が、赤外線吸収材料を含む赤外線吸収層兼接着層により貼り合わされていることを特徴とする請求項3に記載の非接触IC媒体である。
また請求項5に係る発明は、前記第一の基材と前記第二の基材の間に赤外線吸収層を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触IC媒体である。
また請求項6に係る発明は、前記アンテナが、アルミニウムからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の非接触IC媒体である。
また請求項7に係る発明は、前記赤外線吸収層が、赤外線吸収材料としてフタロシアニン系材料を含むことを特徴とする1乃至6のいずれかに記載の非接触IC媒体である。
また請求項8に係る発明は、請求項3又は4に記載の非接触IC媒体を冊子体のカバーに用いたことを特徴とする非接触IC付き冊子である。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の構成によれば、ICチップに接続されたアンテナのパターンを赤外線から隠蔽するために、800以上950nm以下の赤外線波長領域で光吸収性を有する赤外線吸収層が設けられているので、赤外線モニタによってもアンテナが視認されることがない。
【0010】
また本願発明の第二の構成によれば、前記赤外線吸収層は、950nmより大きく1400nm以下の波長の少なくとも一部の領域で、光透過性を有するので、当該波長領域の光を透過するようなフィルタを用いた赤外線モニタによりアンテナの外観検査をすることにより、通常の赤外線モニタでは視認させず、かつ赤外線吸収層形成後でもアンテナのパ外観検査が可能となる。
【0011】
また本願発明の第三の構成によれば、第一の基材に貼り合わされたカバー材を有し、該カバー材と該第一の基材の間に赤外線吸収層を配置したことで、インレットの状態での赤外線モニタでの検査後、カバー材と貼り合わせることで、品質の高い非接触IC媒体とすることが可能である。
【0012】
また本願発明の第四の構成によれば、アンテナがアルミニウムにより形成されているので、X線検査によってアンテナパターンが視認されることがなく、セキュリティが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る非接触IC媒体の模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るインレットの模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る非接触IC媒体の模式図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る非接触IC媒体の模式図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る非接触IC付き冊子の模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る非接触IC媒体の製造工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の非接触IC媒体の一実施形態を示す模式図である。図1の非接触IC媒体では、第一の基材13の一面上に、電磁波信号を送受信するためのアンテナ11と、アンテナ11と電気的に接続されたICチップからなるインレットを備えている。次に第二の基材14が第一の基材13に貼り合わされており、アンテナ11は第一の基材及び第二の基材の間に固定されている。さらに第一の基材の他面には、近赤外線波長領域で光吸収性を有する赤外線吸収層15が第一の基材の全面を覆うように設けられている。当該実施形態では、赤外線吸収層15は、赤外線吸収剤を含む接着層であり、第一の基材と、カバー材16とが当該赤外線吸収層兼接着層により貼り合わされている。
【0015】
図1の非接触IC媒体では、第一の基材13の他面(アンテナ形成面の反対面)に赤外線吸収層が設けられているので、赤外線光源からの光を吸収し、赤外線モニタによって、アンテナのパターン及びICチップが視認されることはない。以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0016】
アンテナ11及びICチップ12からなるインレットは、第一の基材上に直接アンテナのパターンを設けても良いし、アンテナのパターンを形成したアンテナシートを別途設け、これを第一及び第二の基材で挟持しても良い。
【0017】
図2に、アンテナシート上にアンテナのパターンを設けたインレット20の例を示す。図2の構成例では、アンテナシート201の一面にアンテナのパターン11が設けられ、パターンの交差部分では接続用のビア205を設けて他面のジャンパー線202で電気的に接続している。アンテナシート201としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム基材、ポリイミド基材、アクリル系基材、塩化ビニル系基材を用いることができる。また、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックを用いた硬質基材を用いることもできる。また紙基材を用いてもよい。
【0018】
アンテナ11の材料としては、アルミニウム、銅、金、銀、等の公知の金属材料、導電性材料を用いることができる。特にアルミニウムであれば、X線を用いた検査がなされた場合であっても、X線領域での透過率が高い。このため赤外線吸収層がX線吸収能を持たない場合にも薄膜ではアンテナのパターン自体が視認されず、セキュリティ的に好ましい。
アンテナ11のパターンは、エッチング法、メッキ法、印刷法またはパターン蒸着法により形成することができる。エッチング法はアンテナ基材上にアルミ、銅などの金属箔を貼り合せ、またはアルミ、銅などの金属薄膜を蒸着法、スパッタリング法などにより形成し、金属箔・金属薄膜上にマスクパターンを形成し、エッチングによりアンテナ形状にパターニングする方法である。印刷法は、導電性インキを印刷する方法であり、微細パターニングできる方法であれば特に限定するものではないが、スクリーン印刷法を好適に用いることができる。アンテナ基材として紙基材を用いる場合、アンテナの形成法としては印刷法を好適に用いることができる。メッキ法は、触媒層をパターニング形成し、その後電解または無電解メッキにより、形成する方法である。パターン蒸着法は、開口部を有するマスクを用い、パターン状に蒸着法又はスパッタリング法等により、アンテナパターンを形成する方法である。裏面にジャンパー線202を設ける代りに、アンテナパターンの交差する部分に絶縁基材と導電部材からなる配線を用いて貼り合せ、配線の端部をアンテナと導通させることにより交差させるようにしても良い。
【0019】
また別のアンテナ形成方法としては、基材の一方又はアンテナシート上に銅線等の金属線をコイル状に固着配置してアンテナを形成しても良い。アンテナの巻き数、形状などは、通信周波数、その他の特性に応じて適宜設定することができる。この構成は特に片面にアンテナ・配線を形成する場合に好適に用いることができる。なお、
【0020】
ICチップとアンテナ11との接続はアンテナの終端とICチップに接続するバンプまたは接続パッド206と溶接や接着剤で貼り合せることにより接続できる。第一の基材13と第二の基材14側に突出するICチップの厚みを緩和するために、アンテナシートに開口を設け、そこにICチップを配置するようにしても良い。接着剤としては導電性の接着剤を好適に用いることができる。また、後述するように第一の基材又は第二の基材のICチップ実装領域に開口を設けた場合には、基材を貼り合わせた後にICチップを実装しても良い。
【0021】
第一の基材13と第二の基材14の間にインレット20を挟みこみ、両基材とインレットを貼り合わせて一体化することで、インレットを保護し、インレイとして種々の媒体に添付して用いることができる。例えば、後述する冊子体に適用可能な程度の柔軟性を有する所望の厚さのインレイとすることができる。両基材の貼り合わせは、 第一の基材及び第二の基材貼り合わせ面にヒートシール材の接着層を形成し、ラミネートにより行うことができる。またインレットとして基材13上に直接アンテナ11のパターンが設けられている場合には、別途状の接着層フィルムを設け、第一の基材13と第二の基材14との間に接着層フィルムを挟んでラミネートしても良い。
【0022】
基材13、14の材料としては、例えば、絶縁性のプラスティックフィルム(PET-G:非結晶コポリエステル、PVC:塩化ビニル樹脂等)や絶縁性の合成紙(PPG社製のポリオレフィン系合成紙 商品名「Teslin」(登録商標)、あるいはユポ・コーポレーション製のポリプロピレン系合成紙 商品名「YUPO」(登録商標))等の多孔質性基材等を採用可能である。この中でも、冊子体を構成する紙の部材等と良好に接着可能である等の理由から、多孔質性基材がより好ましい。基材13、14の厚さは、例えば、約100μm〜約1000μm程度のものを用いることができる。この中でも、冊子体に適用する場合は、約100μm〜約500μmの範囲内がより好ましい。
【0023】
また基材13、14のICチップ該当位置に開口又は非貫通のざぐり穴を設け、ICチップの厚みを緩和するようにしても良い。開口又はざぐり穴は基材の一方のみに設けても良いし、両方の基材に設けても良い。ICチップ12への応力を緩和し、加重時のICチップの物理的な破壊を防ぐことができる。
【0024】
赤外線吸収層15は、少なくともアンテナパターンの領域を覆うように、少なくとも第一の基材又は第二の基材の内側/外側に設けられる。散乱光・反射光の検出を考慮して第一の基材及び第二の基材の両方に赤外線吸収層を設けても良い。この場合はアンテナとICチップが赤外線吸収層に挟まれた構成となる。基材の外側(インレットが設けられる側と反対の面)に設ける場合、図1のように第一の基材13とさらに別の基材であるカバー材16との間に設けることが好ましい。この構成では、赤外線吸収層を設ける前の基材を貼り合わせたインレイの状態では従来の赤外線モニタによるアンテナの検査が可能となるので、基材の貼り合わせ(ラミネート)工程でのアンテナ形状のゆがみ・変形、断線、ショートなどを赤外線モニタで確認することが可能である。
【0025】
また別の実施形態としては、図3に示すように、第一の基材13と第二の基材14の間に挟むように設けても良い。図3(A)ではざぐり穴を設けた第二の基材とインレットとの間に赤外線吸収層15を設けている。図3(B)では、第一の基材13上の全面に赤外線吸収層15を設け、インレット及び第二の基材を積層している。
【0026】
赤外線吸収層15を構成する赤外線吸収材料としては、カーボンブラック、フタロシアニン系顔料、酸化鉄、アルミ粉等、少なくとも800〜950nm波長の近赤外線領域で吸収を持つものであれば効果があるが、通信特性に影響を与えないために電磁気的な応答の少ない材料が好ましい。上記の例ではカーボンブラック、フタロシアニン系顔料が該当する。また、可視光域でも強い吸収を持つカーボンブラックが遊離した場合には添付する媒体の視認性に影響を及ぼす可能性があるため、これよりも可視光域での吸収が少ないフタロシアニン系顔料がより好ましい。赤外線吸収材料は、接着剤に混合し、赤外線吸収層兼接着層とすることができる。図1では、赤外線吸収材料を混合した接着剤で第一の基材13とカバー材16を貼り合わせている。赤外線吸収材料を接着材に混合する場合、赤外線吸収材料の割合は重量比で1%以上40%以下程度が好ましい。1%を下回ると赤外線吸収効果が低下し、赤外線モニタに対する十分な隠蔽効果が得られない。好ましくは赤外線吸収層15が、800〜950nmの波長域において透過率が5%以下となるようにする。また赤外線吸収材料の割合が40%を超えると、接着層の接着強度が低下し、剥離のおそれがある。接着剤としては、PVA系、ポリウレタン系、酢酸ビニル系等公知の接着剤を適宜用いることができる。接着層は、ホットメルト接着材を用いた加圧接着、ロールコート、ノズルジェット、スクリーン印刷、グラビア印刷等の塗工により塗布接着などにより用いることができる。
【0027】
さらに、赤外線吸収層15の近赤外線領域のうち、一般的な赤外線モニタではフィルタによりカットされている波長で、光を透過するようにすれば、図3の構成のように、第一の基材13と第二の基材14を貼り合わせた後では通常の赤外線モニタでのアンテナ形状の検査をすることができないが構成でも貼り合わせ後の検査が可能となる。すなわち、赤外線吸収層15が950〜1400nmの波長の少なくとも一部で50%以上の透過率を有するように赤外線吸収材料を選択し、赤外線モニタのバンドパスフィルタの帯域が当該波長を含むようにする。このような赤外線吸収材料の例としては、950〜1400nmの波長領域の一部で特異的な透過帯を持つか、あるいは800〜950nm波長の近赤外線領域のみで急峻な吸収を持つフタロシアニン系顔料(例えばイモニウム系化合物)を用いることができる。
【0028】
また、別の実施形態としては、図4に示すように、赤外線吸収材料を含む赤外線吸収層15と接着層17を別途設けても良い。図4(A)のようにカバー材16の貼り合わせ面に赤外線吸収層15を設けておき、第一の基材とカバー材とを接着層を介して貼り合わせて形成することができる。また、図4(B)のように第一の基材13のカバー材16との貼り合わせ面に赤外線吸収層15を設けておき、カバー材と第一の基材とを接着層を介して貼り合わせて形成することができる。これらの構成によれば、カバー材と第一の基材の間に赤外線吸収層を配置したことで、インレットの状態での赤外線モニタでの検査後、カバー材と貼り合わせることができるので、品質の高い非接触IC媒体とすることが可能である。
【0029】
本発明に用いるカバー材は、赤外線吸収層15を挟んで第一の基材13に貼り合わせられるものであれば特に制限はない。例えば、他の基材同様に絶縁性のプラスティックフィルムを用いても良いし、後述するように冊子体のカバーとして機能するように、布クロス、厚紙、皮、合皮等を適宜用いることができる。
【0030】
次に非接触IC媒体は、冊子体と組み合わせることで、IC付き冊子とすることができる。図5に本発明の実施形態に係るIC付き冊子の一様態を示す。図5に示すIC付き冊子30では、第一及び第二の基材で挟んだインレット10を、冊子の表紙及び裏表紙を構成する表紙部材31の一方と、当該一方の表紙部材31に貼り付けられる内貼り用紙32との間に挟みこんだ状態で接着されている。表紙と裏表紙との間には、複数の本文用紙33が綴じ込まれており、パスポート、通帳、手帳、書籍等の各種用途に使用可能である。また非接触IC媒体10を冊子体の表紙部材31の一方の面に取り付けるようにしてもよい。この場合、表紙部材31の外側の面ではなく内側の面(表紙部材31が本文用紙33に接する面)に、非接触IC媒体10を取り付けることが望ましい。このような構成とすることで、冊子に加わる外部の衝撃から非接触IC媒体を保護することができる。
【0031】
また、別の構成としては、非接触IC媒体10を冊子の本文用紙のいずれかのページに取り付けるようにしてもよい。例えば、本文用紙33の所定のページを他のページよりも面積を大きくし、その所定のページが他のページと同じ面積となるように折り畳み、その折り畳んだことにより形成される空間内に非接触IC媒体10を収納するようにしてもよい。この場合、折り畳んだ部分は、のり付けしたり縫い合わせたりすることにより封止する。また例えばパスポートの場合は、個人情報を記載したデータページにインレットを備えるようにしても良い。
【0032】
特に前述のカバー材をIC付き冊子の表紙部材31として用いれば、当該非接触IC媒体に綴じた本文用紙を貼着あるいは綴じて一体化することができるため、非接触IC付き冊子の製造が容易である。図6はこのような非接触IC媒体及びIC付き冊子の製造工程を示す模式図である。図6の非接触IC媒体は、複数のアンテナ及びICチップからなるインレット20を第一の基材上に多面付けし、第一の基材と第二の基材との間に貼り合わせたインレイシート41と、当該インレイシートと接着層16を介して貼り合わせたカバー材42からなる。このようなシート状の非接触IC媒体を個々の冊子サイズに裁断することで、各冊子のIC付きカバーとすることができ、これに本文用紙を取り付けることで非接触IC付き冊子ができる。この製造工程によれば、カバー材42あるいはインレイシート41の全面に接着層を設け、貼り合わせてから裁断するので、各冊子の基材とカバー材のサイズが一致しており、厚みの均一な表紙ができる。また接着層を赤外線吸収材料を含む赤外線吸収層兼接着層とすれば、工程を増やすことなくセキュリティ性を向上させたIC付き冊子を製造することができる。なお、インレイシートは必要に応じて冊子の背の部分に開口を設けて、背の折り曲げ時の反発を低減させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0033】
10・・・非接触IC媒体
11・・・アンテナ
12・・・ICチップ
13・・・第一の基材
14・・・第二の基材
15・・・赤外線吸収層
16・・・カバー材
17・・・接着層
20・・・インレット
201・・アンテナシート
202・・ジャンパー線
205・・ビア
206・・接続パッド
30・・・IC付き冊子
31・・・表紙部材
32・・・内貼り用紙
33・・・本文用紙
40・・・インレットが多面付けされた非接触IC媒体
41・・・インレイシート
42・・・カバー材(シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと該アンテナに電気的に接続されたICと、該アンテナ及びICチップを挟み込んで貼り合わされた第一の基材及び第二の基材とを備え、
第一の基材及び第二の基材の少なくとも一方の基材の一面を覆い、少なくとも800以上950nm以下の赤外線波長領域で光吸収性を有する赤外線吸収層が設けられていることを特徴とする非接触IC媒体。
【請求項2】
前記赤外線吸収層は、950nmより大きく1400nm以下の波長の少なくとも一部の領域で、光透過性を有することを特徴とする請求項1に記載の非接触IC媒体。
【請求項3】
前記非接触IC媒体は、第一の基材に貼り合わされたカバー材を有し、該カバー材と該第一の基材の間に赤外線吸収層を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触IC媒体。
【請求項4】
前記第一の基材の基材及びカバー材が、赤外線吸収材料を含む赤外線吸収層兼接着層により貼り合わされていることを特徴とする請求項3に記載の非接触IC媒体。
【請求項5】
前記第一の基材と前記第二の基材の間に赤外線吸収層を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触IC媒体。
【請求項6】
前記アンテナが、アルミニウムからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の非接触IC媒体。
【請求項7】
前記赤外線吸収層は、赤外線吸収材料としてフタロシアニン系材料を含むことを特徴とする1乃至6のいずれかに記載の非接触IC媒体。
【請求項8】
請求項3又は4に記載の非接触IC媒体を冊子体のカバーに用いたことを特徴とする非接触IC付き冊子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−35486(P2012−35486A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176988(P2010−176988)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】