非晶質エファビレンツ及びその製造
エファビレンツを少なくとも一つの溶解性強化ポリマーと共に含有する生体利用性を改良されたエファビレンツ組成物を記載する。生物学的に改良された生成物を製造するのに記載した方法は、溶媒噴霧乾燥を備える。この方法の一態様は、混合物をからなるエファビレンツ、溶解性強化ポリマー及び単一溶媒、溶媒混合物または溶媒/非溶媒混合物を備える混合物を用意し、次いで該混合物を蒸発して非晶質エファビレンツを形成する工程を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2005年7月28日に出願した、米国特許出願番号60/703,374の利益を主張し、その内容は本願明細書に引用したものとする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、非晶質エファビレンツを含有する組成物及び非晶質エファビレンツの製造方法を対象とする。より詳細には、本発明は、少なくとも一つの溶解性強化ポリマーを利用する非晶質エファビレンツの組成物並びに製造方法に関する。一つの実施形態によれば、エファビレンツをポリマー含有溶媒に溶解する。さらに別の実施形態では、ポリマー用の溶媒/非溶媒混合物を使用する。非晶質エファビレンツ組成物は、該組成物に適したあらゆる方法によって製造することができる。必要に応じて、溶媒を組成物から除去して非晶質エファビレンツ組成物を生成することができる。本発明の一つの更なる成果においては、エファビレンツ・ポリマー溶媒(または溶媒/非溶媒の混合物)を噴霧乾燥してエファビレンツを優れた生体利用性を示す形態で生成する。生体増強エファビレンツ組成物は、当業者によって認識されるような噴霧乾燥以外の方法によって調製することができる。かかる方法は、これに限定するものではないが、溶融押出、噴霧凝固、造粒及び凍結乾燥を含む。本発明の特定の実施形態によれば、相当部分のエファビレンツを非晶質状態で供与する。本発明のある実施形態によれば、エファビレンツを非晶質状態に略完全に変換する。本発明の一つの好ましい実施形態においては、エファビレンツを完全に非晶質状態に変換する。
【0003】
エファビレンツは、(S)−6−クロロ−4−(シクロプロピルエチニル)−1,4−ジヒドロ−4−(トリフルオロメチル)−2H−3,1−ベンゾオキサジン−2−オンである。これは、HIV−1逆転写酵素の抗ヌクレオシド阻害剤(NNRTI)として有用なベンゾオキサジノンであり、子供及び成人のHIV−1感染の治療用の他の抗レトロウィルス薬剤と組合わせて使用することができる。エファビレンツの合成方法は、米国特許5,519,021号公報、5,663,169号公報、5,665,720号公報及び5,811,423号公報において開示され、その開示を参照してここに援用する。
【0004】
エファビレンツは、50mg,100mg,200mg及び600mgの有効量を有する投薬形態で現在利用可能である。かかる投薬形態は、微結晶質形状のエファビレンツと、錠剤の崩壊及び溶解を助けるクロスカルメロースナトリウムのような一つ以上の崩壊剤とを含有する。国際公開第99/64405号公報に記載されてているように、結晶質エファビレンツは、粉体X線回折(PXRD)及び示差走査熱量測定(DSC)によって特徴づけ得るいくつかの物理的形態で存在する。
【0005】
結晶質形状の化合物と比較して、優れた生体利用性を示すエファビレンツを生成する方法を提供することが望ましい。結晶質エファビレンツの相当部分を非晶質に変換することによって、水溶性及び生体利用性が増強される。その上、非晶質固体として存在するエファビレンツは、活性成分及び完成品の両方の製造を容易にすることができ、投薬形態のサイズを減じた使用を可能にする。さらに、エファビレンツを備える粒子の性質の選択的なカスタマイズは、薬剤生成及び薬物送達に対して興味深い機会を提供することができる。個々の粒子の形態が密度、残留溶媒含量及び流動性のような大部分の粉末特性に直接影響を与えるので、該形態がこの研究において中心的な役割を果たす。更に、粒子形状及び内部構造を変える技術は、薬物放出速度、溶解性及び生体利用性のような薬物動態学的性質に非常に影響を及ぼすことができる。このように、粒子形態を設計する能力は、製造プロセス及び製品特性に関して重大な関係がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、非晶質エファビレンツを製造する組成物及び方法を提供する。エファビレンツの固形分散体と、少なくとも一つの溶解性強化ポリマーとを備え、前記分散体中のエファビレンツが実質的に非晶質である組成物が本発明のある実施形態において付与される。本発明の一つの態様では、結晶質エファビレンツを非晶質状態への変換を記載する。この変換を生成する一つの方法は、溶媒噴霧乾燥による。この変換を達成する他の技術としては、これに限定するものではないが、フラッシュ溶媒蒸発、溶融凝固噴霧、凍結乾燥及び溶融押出である。これらの方法は、単一の溶解性強化ポリマーまたはポリマー混合物を使用することができる。エファビレンツの非晶質変換程度は、限定するものではないが、ポリマーの種類及び量並びに処理条件等を含む様々な要因に依存する。本発明のある態様によれば、単一の有機溶媒、溶媒混合物、溶媒または非溶媒混合物を使用することができる。
【0007】
一つの態様では、本発明は、非晶質エファビレンツを具える噴霧乾燥粉末または顆粒生成物に関するものである。更に、ある実施形態に従って製造した粉末は、従来の方法によって製造したものと較べ、粒子形態及び大きさの変化によって通常残留溶媒含量が低く、タップ密度が高い。薬剤を生成するのに適用する場合、複数ポリマーの系を使用して粒子形態だけでなく、有効成分の薬物動態学的性質も変えることができる。
【0008】
本発明の一つの態様は、溶媒または溶媒混合物中にエファビレンツ及び溶解性強化ポリマーを含有する組成物から調製した非晶質エファビレンツからなる。この溶媒または溶媒混合物は、ポリマーが可溶な一つ以上の溶媒からなる。「可溶」の用語は、ポリマーと溶媒分子間力がポリマー分子間の競合する分子間力及び分子内力より大きいことを意味する。説明を簡単にするため、この溶媒を単に「溶媒」という。溶媒混合物が溶媒を含有する組成物も開示するが、逆もまた真実である。ポリマー及び溶媒分子間力は、ポリマー分子間の分子外力及び分子内力未満である。この第二の溶媒を「非溶媒」とする。ポリマーは、非溶媒内で膨張し得るが、溶解しない。本発明の一つの実施形態によれば、溶解性強化ポリマー及び適切な溶媒/非溶媒の混合物を提供する。さらに、溶媒は非溶媒より低い沸点を有する。好ましくは、溶媒及び非溶媒は混和性である。非溶媒に対する溶媒の比率は、ポリマーを溶媒系内で「溶解」したと考慮し得るようなものである。
【0009】
独特の粒子物性は、溶媒/非溶媒の混合物を蒸発させることによって得ることができる。例えば、かかる蒸発は、供給溶液の噴霧乾燥または造粒プロセスの間に起こすことができる。溶媒の混合物を含む噴霧液滴は、蒸発による総溶媒組成の変化を生じることになる。この方法は、液滴を生成または霧化する方法と無関係であること明らかである。まず最初に、ポリマーは、溶媒の十分な量により、溶解状態で存在する。これが蒸発する(溶媒が非溶媒より低い温度で沸騰する)と、液滴内の非溶媒の濃度が増大する。最終的には、溶媒組成物は、ポリマーを溶液内で保持するには不十分になる。この際、ポリマーが溶液から崩壊する。このポリマー構造の変化が、液滴の蒸発力学を変更して最終粉末物性に影響を与える粒子形態を生成することができる。
【0010】
溶媒/非溶媒混合物系の使用は、溶媒のみの系で得られる利益を超えた追加の利益を供与することを見出した。この溶媒/非溶媒の取扱いは、低い残留溶媒含量及び小さな粒径の噴霧乾燥粉末を生成することができる。この設計された粒子形態の更なる結果は、原料粉末密度の増加である。増加した粉末密度は、多くの用途ために重要な性質である。ポリマー崩壊の程度、従って噴霧乾燥粉末物性に対する正味の効果は、非溶媒に対する溶媒の初期比率、ポリマー化学構造及びポリマー分子量のようなポリマー溶媒和要因に依存する。残留溶媒含量を減じ、密度を増大することに加えて、粒子の形態だけでなく、エファビレンツの形態に影響を及ぼすためには、主要なポリマーを溶媒/非溶媒系と組合わせることができ、それによってエファビレンツ負荷、結晶化度、溶解性、安定性及び放出性に影響を及ぼす。
【0011】
付加ポリマーの存在は、第一ポリマー及び溶媒系との相互作用によって、最終的な粒子形態に関与することができる。かかる付加ポリマーはまた、有効成分の特別な放出性を創出し得るのに有利である。例えば、粒子形態、従って残留溶媒含量及び原料粉末密度に影響を及ぼすためには、主要なポリマーを溶媒/非溶媒系と組合わせることができる。付加重合補助剤を加えて追加の目的を満たす、すなわち有効成分の再結晶を抑制し、有効成分濃度を最大にし、溶解速度を増強/延期/遅延することができる。これらの機能性を達成するために、補助剤の溶解性を主ポリマー用に選択した混合溶媒に適当に適合させることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
「備える」の用語は、「基本的になる」及び「からなる」の比較的制限する用語を包含する。
【0013】
ここで用いる全ての%、比率及び割合は、別段の定めがない限り重量による。
【0014】
ここで用いる「固体分散系」の用語は、少なくとも二つの成分を備え、一つの成分が他の成分または他の複数の成分の全体にわたって均一分散する固体状態の系をいう。「固体分散系」の用語は、他の相内に分散した一つの相の、完全な結晶、完全な非晶質または中間のいずれかの状態で、通常直径が約1μm未満の小粒子を有する系を含む。
【0015】
ここで用いる「固溶体」の用語は、系が全体で化学的及び物理的に均一及び均質であるような一つの成分が他の成分の全体にわたって分子的に分散されたタイプの固体分散系をいう。これらの系は、熱分析またはX線回折によって証明されたように、その結晶または微結晶性の状態での相当な量の有効成分を含まない。
【0016】
「溶解性強化ポリマー」の用語は、溶解性強化ポリマーなしのコントロール組成物と比較して、その存在の結果として、以下の性質の少なくとも一つを有するポリマーをいう。
a)少なくとも約25%の初期放出の増加
b)少なくとも約25%の放出範囲の増加
c)少なくとも約25%の最大血漿濃度の増加
d)少なくとも約25%のAUC0−8の増加。
【0017】
後述の記載は、エファビレンツを含有する噴霧乾燥組成物の調製に主として指向するが、本発明はエファビレンツ噴霧乾燥組成物に限定するものでない。本発明の範囲は、非晶質状態にエファビレンツを変換し、改良した生体利用性に対応するのにも役立つところのここに記載した他の方法を含む。これらの方法は、限定するものでなく、溶融押出、噴霧凝固、造粒及び凍結乾燥を含む。
【0018】
一つ以上の溶解性強化ポリマーと組合わせた非晶質エファビレンツ以外の組成物の状況に置いた条件はない。「組合わせ」の用語は、限定するものではないが、ブレンド、混ぜ合わせ、溶解、押出、破砕、溶融、混練り、混合、篩かけ、懸濁、噴霧、撹拌及びこれらと他の方法との組合せを含む。他の技術は、当業者によって認識することができる。
【0019】
一つの実施形態によれば、本発明は、エファビレンツ及びポリマーを含有する混合物を単一溶媒、溶媒混合物または溶媒とポリマー用の非溶媒との混合物内で供与し、該混合物を噴霧乾燥して噴霧乾燥組成物を形成することによる噴霧乾燥組成物の製造方法に関する。
【0020】
本発明の一つの態様によれば、ポリマー、いわゆる主ポリマーと、適切な溶媒または溶媒混合物とを備えるポリマー系が供与される。これは、ポリマーが可溶な溶媒を備える。ポリマー溶解性を規定する指針は、下記の膨張係数(α)によって提供される。
【数1】
ここで、r−2は主鎖間の平均平方距離、r0−2は非摂動寸法である。(数1は、引力中心の周りの平均回転半径の平均半径(s−2)、対応する非摂動寸法(s0−2)を用いて類似した方法で分岐鎖ポリマーを示すことができる。)ポリマー溶解度は、αが1またはそれ以上の場合に得られ、この状態を満たす溶媒は「良溶媒」、または、簡単に、「溶媒」と称する。ポリマーと溶媒の分子間力がポリマー同士の分子間力より大きいので、溶媒は、ポリマー分子を溶解(または膨張)する。光散乱検出器(例えば、TripleDetectorArray、Viscotek Corp.)のような光散乱方法を用いて、数1で現される変数を求めることができる。かかる概念は、MalcolmP.Stevens著のPolymerChemistry,AnIntroductionに規定され、ここに援用する。
【0021】
αが1に等しい場合、ポリマーと溶媒の分子間力及びポリマー同士の分子間力が釣り合う特別な状況が存在する。この状況が可能な溶媒をθ溶媒という。本発明の脈絡内で、溶媒は、αが1又はそれ以上に略等しい時に「良溶媒」と考えられる。単に温度を変えることによって良溶媒を非溶媒に変換することができるように、温度がαに影響を及ぼすことを認識する。
【0022】
本発明のさらにもう一つの実施形態において、溶媒混合物もある溶媒を含み、その逆も言える。ポリマー同士の分子間力が、ポリマーと溶媒の分子間力を支配する。この場合、αは1未満であり、ポリマーが崩壊状態で存在するため、溶媒を「非溶媒」という。本発明の一つの実施形態によれば、一つのポリマーを適当な溶媒/非溶媒の混合物と共に提供する。溶媒/非溶媒の混合物は、ポリマーを溶媒系内に「溶解」したとみなし得るようなポリマーの溶媒和状態を維持する。さらに、溶媒は非溶媒より低い沸点を有する。(共沸混合物を形成する溶媒/非溶媒の対は、この評価基準を満たさない。)溶媒及び非溶媒が混和性であるのが好ましい。
【0023】
溶媒/非溶媒混合物を蒸発させることによって独特の粒子物性を生成することができる。例えば、この蒸発は、供給溶液の噴霧乾燥または造粒プロセスの間に生起することができる。溶媒の混合物を含む霧化液滴は、蒸発により総溶媒組成に変化を受けることになる。本方法は、液滴を発生または霧化することから独立すること明らかである。まず最初に、ポリマーが十分な量の溶媒により溶存状態にある。これが蒸発(溶媒は非溶媒より低い温度で沸騰)すると、液滴内の非溶媒の濃度は増大する。最終的には、溶媒組成は、ポリマーを溶液中に維持するには不十分である。この場合、ポリマーが崩壊し及び溶液から沈殿する。このポリマー構造の変化は液滴の蒸発力学を変更して、最終的な粉末物性に影響を与える粒子形態を生成することができる。適切なポリマー/溶媒/非溶媒の組合せの例としては、これに限定するものではないが、ポリビニルピロリドン/ジクロロメタン/アセトン、ポリビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体/アセトン/ヘキサン及びエチルセルロース/アセトン/水が挙げられる。
【0024】
独特な粒子構成は、非溶媒濃度が臨界値を超える際のポリマーの析出によって生成される。この臨界比Rcを、下記
【数2】
のように規定することができ、ポリマー崩壊が発生する前の非溶媒の最大比率である。所定の系に関する比率Rcは、溶液濁度の相当な増加を生ずる各成分の質量分率を同定することによって、実験的に求めることができる。Rc値をある系で同定することができる場合、かかる系は溶媒/非溶媒の混合物を備える。Rcが0.80と等しい一例は、約10%(w/w)ポリビニルピロリドン、18%(w/w)ジクロロメタン及び72%(w/w)アセトンからなる溶液である。通常、ポリマー系を、該系に関するRc値以下である溶媒/非溶媒の混合物で使用することになる。粒子形態/大きさ並びにエファビレンツの結晶化度、溶解度、生体利用性および/または放出性を制御するために、一層複雑なポリマー/溶媒系を調製することが有利な場合がある。
【0025】
他の実施形態に従う本発明は、噴霧乾燥粉末の密度を増大する方法を提供する。一般的に、噴霧乾燥は、ある程度の内部空隙を有する球状粒子を生ずる。この空隙は、質量なしに粒子の嵩を増加し、低比重材料を生成する。使用液/分散体に非溶媒を加えることは粒径及び形態を変更し、密度の増加に至る。粒子は、溶媒のみを用いて調製したものと比較して、より小さく、しわが寄り、くぼんで、および/または崩壊する場合がある。また、溶媒/非溶媒系が平均粒径を減らして、よりよく粉末を包み込むことを可能にする。更に、粉末流動及び粉末同士の混合性が高められる。
【0026】
ある態様に従う本発明は、噴霧乾燥粉末及び粒状材料の二次的乾燥の必要性を減少または除去する方法を提供する。これら生成物はしばしば残留溶媒を含むので、より乾燥した生成物を製造することが望ましいかまたは必要である。高い残留溶媒含量は、処方または処理制限に起因する可能性がある。一般的処理は、噴霧乾燥した固体を溶解する溶媒を使用することである。この際、溶媒を肌焼きにより噴霧乾燥粉末または顆粒状ビーズの内部に閉じ込めることができる。処理する材料に対する高沸点非溶媒と低沸点溶媒の意図的な組合せは、処理ポリマーに対する非溶媒の(複数の)作用により比較的低い残留溶媒の生成物を生成することができる。
【0027】
本発明は、溶媒または溶媒/非溶媒の混合物を有するポリマー系の選択により水溶解度を高め、また有効成分の放出性を変える方法を更に提供することができる。一つ(以上)のポリマーが溶媒/非溶媒と共に作用して新規の粒子形態を生成するようにポリマー系を選択する。追加のポリマーを所要に応じて添加して、エファビレンツの溶解性及び放出性並びに粒子形態に影響を及ぼすことができる。強化された溶解性は、優れた湿潤性、非晶質の薬物形態の生成、再結晶に対する安定化および/または共溶媒和効果を含む多くの要因(これに限定するものではない)により達成することができる。この際、エファビレンツの超飽和溶液を発生する。「改良された放出」は、有効成分を放出する時間枠を変える、すなわち、即時、遅延、延長されることをいう。かかる改良された放出は、機能性ポリマーを適切な溶媒/非溶媒の混合物に適合させることによって生成される。
【0028】
本発明の方法に用いるに適した溶媒及び非溶媒は、主要なポリマーが溶媒の場合可溶で、非溶媒の場合不溶にするあらゆる有機化合物(水を含む)とすることができる。溶媒/非溶媒の選択及び比率は、主要なポリマーの選択に依存する。したがって、溶媒または非溶媒としての有機化合物の同定は、主要なポリマーに依存する。それ故、ある系の溶媒は、他方では非溶媒になる場合がある。特に有用な溶媒及び非溶媒は、これに限定するものではないが、酢酸、アセトン、アセトニトリル、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブチルアセテート、ter−ブチルメチルエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1−2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、1−2−ジメトキシエタン、N−N−ジメチルアセトアミド、N−N−ジメチルホルムアミド、1−4−ジオキサン、エタノール、2−エトキシエタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、エチルエーテル、蟻酸エチル、ホルムアミド、蟻酸、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メタノール、メチルアセテート、2−メトキシエタノール、3−メチル−1−ブタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1−プロパノール、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ペンタン、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸プロピル、ピリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラリン、1−2−2−トリクロロエテン、トルエン、水及びキシレンである。溶媒の混合物及び非溶媒の混合物も使用することができる。特定の実施形態によれば、共沸組成(一つの共通温度で沸騰する)での溶媒の混合物は、溶媒または非溶媒のいずれかを備えることができるが、溶媒/非溶媒の混合物でない。
【0029】
本発明の混合物での使用に適した溶解性強化ポリマーは、結晶エファビレンツの少なくとも一部を非晶質状態に変換すべきである。溶媒/非溶媒の混合物を用いる実施形態によれば、少なくとも一つのポリマーは、溶媒に可溶で、非溶媒に不溶とすべきである。有用なポリマーの具体的な例は、これに限定するものではないが、脂肪族ポリエステル類(例えばポリD−ラクチド)、炭水化物類(例えばスクロース)、カルボキシアルキルセルロース類(例えばカルボキシメチルセルロース)、アルキルセルロース類(例えばエチルセルロース)、ゼラチン類、ヒドロキシアルキルセルロース類(例えばヒドロキシメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類(例えばヒドロキシエチルメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート)、ポリアミン類(例えばキトサン)、ポリエチレングリコール類(例えばPEG8000、PEG20000)、メタクリル酸ポリマー及びコポリマー(例えばポリマーのオイドラギット種)、N−ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー(例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体)、ビニルラクタムのホモポリマー及びコポリマー、澱粉、多糖類(例えばアルギン酸)、ポリグリコール類(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ポリビニルエステル類(例えばポリビニルアセテート)及び精製/変性セラックからなる。混合物中に存在するポリマーの量は、該混合物の重量で、約1%〜95%、特に約5%〜90%の範囲とすることができ、またある実施形態では約25%〜75重量%とすることができる。ポリマーの混合物も使用することができる。
【0030】
噴霧乾燥混合物は有効成分としてエファビレンツを含む。混合物は、有効成分の所望投与量に応じて、約1%〜95%の有効成分、より詳細には約20%〜80%の有効成分を含むことができる。エファビレンツ対ポリマーの重量比は、通常約95%エファビレンツ:5%総ポリマー〜約5%エファビレンツ:95%総ポリマー、特に約70%エファビレンツ:30%総ポリマー〜約30%エファビレンツ:70%総ポリマー、及び特定の態様では約60%エファビレンツ:約40%エファビレンツ〜40%総ポリマー:60%総ポリマーである。
【0031】
本発明の組成物は、少なくともエファビレンツの一部が非晶質状態である組成物を生成する。「非晶質」の用語は、非結晶状態の化合物をいう。言い換えれば、非晶質化合物は、広範囲で、明確な結晶構造を欠くものである。本発明のある実施形態によれば、組成物中の少なくともいくらか、とりわけ少なくとも約10%、少なくとも約25%または少なくとも約40%のエファビレンツが非晶質である。他の実施形態において、組成物中の化合物の少なくとも大部分が非晶質である。ここで用いるような化合物の「大部分」の用語は、組成物中の化合物の少なくとも約50%が結晶形よりむしろ非晶質の形態であることを意味する。さらに詳しくは、組成物中の化合物が実質的に非晶質であることができる。ここで用いるような「実質的に非晶質」は結晶形態の化合物の量が約25%を超えないことを意味する(すなわち、約75%を超える化合物が非晶質の形態である)。本発明の特定の実施形態によれば、組成物中の化合物が、「ほぼ完全に非晶質」であり、これは結晶形態の薬物の量が約10%(すなわち、約90%を超える化合物が非晶質である)を超えないことを意味する。薬物の結晶形がX線回折または熱分析のような従来技術を用いて検出可能でないことを意味する「完全に非晶質」であると組成物中の化合物がみなされる組成物を提供する。完全に非晶質としての組成物の参照は、薬物の結晶形の極微量(約1%未満)からなる組成物を除外しない。
【0032】
非晶質材料は、いくつかの予測可能な性質、例えば結晶形を特徴づける示差走査熱量測定で測定されるような吸熱溶解性を欠いている。結晶形薬物の量を、粉体X線回折(PXRD)、示差走査熱量測定(DSC)または他のいずれかの標準定量分析によって測定することができる。組成物中に存在する結晶エファビレンツの量を、当業者に既知の他の標準測定によって検出することができる。このような性質の測定は、機器種類及び感度に依存し得ることが認識される。
【0033】
エファビレンツを非晶質の形態で提供することによって、本発明に係る噴霧乾燥生成物は、主として結晶形態成分を含有する生成物と比較して、エファビレンツの増強された生体利用性を提供する。また、有効成分の増強された生体利用性は、該有効成分の投与サイズ及び投与量の減少に至る。本出願人はまた、薬物放出速度を処理溶媒溶液内に加えるポリマーの適当な選択により制御できることを認識した。本発明のある実施形態において、処理は噴霧乾燥である。
【0034】
また、噴霧乾燥混合物は、組成物の性質を変性し得る追加の重合性物質を含むことができる。例えば、あるポリマーを含有させて粒子形態/サイズ並びに有効成分の生体利用性及び活性成分の放出性を制御することができる。また、追加のポリマーを混合物に含めて有効成分の更なる再結晶を抑制し、有効成分の濃度を最大化し、溶解速度を更に改良/遅延/遅滞することができる。この系内に添加し得る追加のポリマーは特に限定されない。
【0035】
噴霧乾燥すべき混合物は、該混合物の総重量に対し通常総溶媒または溶媒/非溶媒約40%〜99.9重量%、とりわけ総溶媒または溶媒/非溶媒約80%〜95重量%を含有する。溶媒/非溶媒の混合物を使用する場合、臨界比Rcを約0.01〜0.99、とりわけ約0.3〜0.8、特に約0.1〜0.9で変更することができる。
【0036】
溶媒、ポリマー及びエファビレンツに加えて、噴霧乾燥すべき混合物は、該混合物の性能、取扱いまたは処理を改善するための他の成分を含むこともできる。あるいは、かかる成分をすでに調製したエファビレンツ・ポリマー内に、タンブル混合及び造粒技術を含むがこれに限定するものではない方法によって混合することができる。典型的な成分は、これに限定するものではないが、界面活性剤、pH調節剤、充填剤、錯化剤、可溶化剤、色素、潤滑剤、流動促進剤、風味剤、可塑剤、味覚マスキング剤等を含み、慣習的な目的及び典型的量で使用することができる。
【0037】
本発明の方法に用いる噴霧乾燥装置は、様々な市販の装置のいずれかとすることができる。特定の噴霧乾燥装置の例としては、Niro Inc.(例えばSD−Micro(登録商標)、PSD(登録商標)−1、PSD(登録商標)−2等)によって製造された噴霧乾燥器、the Mini Spray Dryer(Buchi Labortechnik AG)、Spray Drying Systems,Inc.(例えばモデル30,48,72)、及びSSP Pvt Ltd.によって製造された噴霧乾燥器である。
【0038】
噴霧乾燥処理及び噴霧乾燥装置は、一般にPerry’s Chemical Engineers Handbook, 第6版(R.H.ペリー、D.W.グリーン、J.O.マロニー、編集)マグロウヒルブック社1984、20−54〜20−57に記述されている。噴霧乾燥処理及び装置に関する更なる詳細が、Marshall“AtomizationandSprayDrying,”50Chem.Eng.Prog.Monogr.Series2(1954)によって概説される。これら文献の内容を、本願明細書に援用する。
【0039】
「噴霧乾燥」の用語は、従来使用され、一般に溶媒の液滴からの蒸発用の強い駆動力がある容器(噴霧乾燥装置)内で液体混合物を小さい液滴に破壊し、溶媒を該混合物から急速に除去することを含む処理をいう。霧化技術は、二流体及び加圧ノズルと、回転式噴霧器とを具える。溶媒蒸発用の強い駆動力は、一般に噴霧乾燥装置内の溶媒の分圧を乾燥液滴の温度で該溶媒の蒸気圧以下に維持することによって供与される。これは、(1)噴霧乾燥装置内の圧力を部分真空で保持、(2)液滴を暖かい乾燥ガスと混合、または(3)両方のいずれかによって達成することができる。
【0040】
一般に、乾燥ガスの温度及び流速、並びに噴霧乾燥器の設計を、ポリマー/活性溶液の液滴が装置の壁面に到達してほぼ固体となる時間により十分に乾燥し、またこれらが微粉末を形成し装置壁面に貼着しないように選択する。また、生成物を装置壁に集め、次いで手動、空気作用、機械的または他の手段で材料を除去することによって回収するように、噴霧乾燥器を操作することができる。好ましい乾燥レベルを達成するための実際の延べ時間は、液滴の大きさ、調製及び噴霧乾燥器操作に依存する。凝固に続いて、固形粉末を噴霧乾燥室内に5〜60秒間留まらせて、溶媒を固形粉末から更に蒸発させることができる。乾燥機に存在する固体分散体の最終的な溶媒含量は、生成物の安定性を改善するために、低くすべきである。一般に、噴霧乾燥組成物の残留溶媒含量は、約10重量%未満、好ましくは約2重量%未満とすべきである。ある実施形態によれば、残留溶媒含量は、医薬品規制整合化国際会議(ICH)ガイダンスに記載された許容値内である。本発明のある態様によれば通常要求されないが、非溶媒の存在が低い残留溶媒含量の噴霧乾燥粉末を生成するので、本発明のある実施形態によれば噴霧乾燥組成物に更なる乾燥を施して残留溶媒をさらに低いレベルに下げるのが有用な場合がある。溶媒レベルを更に低下させる方法は、限定するものではないが、流動床乾燥、赤外線乾燥、タンブル乾燥、真空乾燥並びにこれらと他の方法との組合せがある。特定の噴霧乾燥処理に関する付加詳細を、実施例において更に詳細に説明する。しかしながら、粉末を噴霧乾燥する操作条件は当業界で周知で、当業者によって容易に調整することができる。さらに、実施例は、実験室規模の噴霧乾燥器によって得られた結果を説明する。当業者は、生産規模ユニットで同様の結果を得るために修正すべき変数を容易に認識する。
【0041】
上述したように、本発明は、噴霧乾燥によって生成した非晶質エファビレンツに限定されない。噴霧乾燥に加えて、本発明の組成物は、限定するものではないが、押出し、球形化及び噴霧凝固を含む他の方法によって調製することができる。
【0042】
押出しは、オリフィスまたは所定の開口を介して流れるまで圧力を湿ったまたは溶融した組成物にかける周知の方法である。押出し可能な長さは、押出すべき材料の物理的性質、押出し方法及び押出し後の粒子の取扱い方法によって変わる。スクリュー、篩及びバスケット、ロール及びラム押出し機のような種々のタイプの押出し装置を使用することができる。
【0043】
溶融押出においては、溶媒及び添加剤の含有の有無にかかわらず諸成分を連続法によって溶融、押出すことができる。かかる方法は当業者によって確立され、周知である。
【0044】
球形化は、材料を最小の表面積対体積比を有する形状の球に変換する方法である。一般に、球形化は湿った押出粒子から始まる。押出粒子を即座に均一な長さに破壊し、球形に徐々に変換する。更に、混合器から液体または素材のいずれかの添加を必要とする粉末状の原料を、空気補助の球形化器中で処理することができる。
【0045】
噴霧凝固は、一般に材料の構造を変えて液体から自由流動粉末を得、サイズが約0.25〜2.0mmの範囲であるペレットを提供するのに用いる方法である。噴霧凝固は、他の添加剤のホットメルト中で興味ある物質を溶融、分散または溶解し得ることを含む。次いで、溶融混合物を、温度が処方成分の融点以下である空気室内に噴霧して、球状凝固ペレットを得る。使用する冷却空気の温度は、生成物の凝固点に依存する。粒子は、凝固融成物から形成された固形の結合によって保持される。ほとんどの噴霧凝固方法では溶媒蒸発がないために、粒子は一般に非多孔性で、強固であり、撹拌で影響を受けない。最終的な凝固生成物の特性は、一つには用いた添加剤の性質に依存する。供給速度及び入口/出口温度を調整して霧化液滴の凝固を確実にする。供給物は、均質性を確保するに十分な粘度を有する必要がある。溶融供給物の粉末への変換は、単一の連続工程である。適当な噴霧化及び制御された冷却率が、高表面積で均一及び均質な凝固ペレットを得るために重要である。これらパラメータの調整は、当業者によって容易に達成される。
【0046】
噴霧凝固方法は、溶媒を使用しない以外、噴霧乾燥と類似している。その代わりに、有効成分を溶融処理可能なポリマーからなるマトリックス内に分散および/または溶融する。噴霧凝固は、均一で、高速な処理であり、生成物がいかなる装置表面と接触する前に完了する。室温で固体であり、分解することなく溶融する大部分の有効成分及び添加剤が、この方法に適している。
【0047】
冷たい入口空気で作動する従来の噴霧乾燥器が、噴霧凝固に使用された。溶融物の噴霧化のいくつかの方法、例えば圧力または空気圧若しくは遠心の噴霧化を使用することができる。噴霧凝固技術の当業者には、マトリックス材料、粘度のようないくつかの形態並びに、温度、噴霧化及び冷却率のような処理要因が、噴霧凝固ペレットの品質(形態、粒径分布、多型及び溶解特性)に影響を及ぼすことが周知である。噴霧凝固粒子を、錠剤造粒の形態、カプセル化形態に使用でき、または液懸濁液の形態で組み入れることができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態に従って製造したエファビレンツは、固溶体または固体分散体のような固体形態で存在する時、改良された生体利用性を示す。エファビレンツは、かかる組成物内に、該組成物の約5重量%超、とりわけ約10%超、場合によっては約25%、40%、50%またはさらに75%超のレベルで存在させることができ、該化合物の結晶形と比較してもなお、改良された生体利用性を示す。
【0049】
あるポリマーは、組成物内のポリマーの存在が様々な条件下でエファビレンツの溶解性を改良する点で、溶解性強化ポリマーとして機能する。溶解性強化ポリマーは、組成物内に存在する結果として、溶解性強化ポリマーなしのコントロール組成物または結晶形の薬物を含有する組成物と比較して、以下の性質の少なくとも一つを提供する。
a)少なくとも約25%、とりわけ少なくとも約100%、ある実施形態では少なくとも約200%の初期放出の増加
b)少なくとも約25%、とりわけ少なくとも約100%、ある実施形態では少なくとも約200%の放出範囲の増加
c)少なくとも約25%、とりわけ少なくとも約100%、ある実施形態では少なくとも約200%の最大血漿濃度の増加
d)少なくとも約25%、とりわけ少なくとも約100%、ある実施形態では少なくとも約200%のAUC0−8の増加。
【0050】
初期放出は、標準溶解試験方法に従って15分後に放出された薬物の%をいう。放出範囲は、上記と同じ標準溶解試験方法に従って240分後に放出された薬物の%をいう。
【0051】
本発明の特定の実施形態によれば、ポリマーと、ここに記載したような溶媒/非溶媒系から噴霧乾燥した非晶質エファビレンツとを備える系からなる組成物は、同じポリマーと、非溶媒なしの同じ溶媒から同様の状況下で噴霧乾燥したエファビレンツとを備える系からなるコントロール組成物と比べて、ある時点で放出された有効成分の%が少なくとも約25%、とりわけ少なくとも約50%、ある場合には少なくとも約100%より大きい溶解分布を示す。これらの許容値が、約120分以内、とりわけ約60分以内、さらにより詳しくは約30分以内に得られるのが好ましい。溶解分布は、USP装置II(パドル)(VK7010(登録商標)、Varian Inc.)を使用して浴温37°C及びパドル速度100回転数/分で240分間で求めることができる。
【0052】
本発明の特定の実施形態によれば、ポリマーと、ここに記載したような溶媒/非溶媒系から噴霧乾燥した非晶質エファビレンツとを備える系からなる組成物は、同じポリマーと、非溶媒なしの同じ溶媒から同様の状況下で噴霧乾燥したエファビレンツとを備える系からなるコントロール組成物と比べて、少なくとも約25%、とりわけ少なくとも約50%、ある場合には少なくとも100%より大きい嵩密度またはタップ密度の増加を示す。
【0053】
一般に、溶媒/非溶媒系からなるエファビレンツ組成物は、粒径が減ずるようになる。本発明の特定の実施形態によれば、ポリマーと、ここに記載したような溶媒/非溶媒系から噴霧乾燥した非晶質エファビレンツとを備える系からなる組成物は、同じポリマーと、非溶媒なしの同じ溶媒から同様の状況下で噴霧乾燥したエファビレンツとを備える系からなるコントロール組成物と比べて、少なくとも約50%、とりわけ少なくとも100%、ある場合には少なくとも約300%のオーダーで粒径の低減を生じる。
【0054】
本発明の組成物は、口腔、経皮、静脈内、鼻、経口、肺、直腸、皮下、舌下及び膣を含むが、これに限定することもない多種多様なルートで送達することができる。一般に、経口ルートが好ましい。
【0055】
本発明の組成物を、多くの形態で供与することができる。代表的な形態は、パウダー、顆粒及び多粒子である。これらの形態を、直接カプセルに加えるか、圧縮して錠剤、カプセルまたはピルを生成するか、水または他の液体の添加により再構成してペースト、スラリー、軟膏、懸濁液または溶液を形成することができる。様々な添加剤を、本発明の組成物と混合するか、粉砕するかまたは顆粒化して、上記の投薬形に適した材料を形成することができる。
【0056】
本発明の組成物は、液体媒質中の粒子懸濁液として送達するように、様々な形態で調製することができる。かかる懸濁液は製造時に液体またはペーストとして処方するか、または、乾燥粉末として後で添加するが経口投与前の液体、一般に水で処方することができる。かかる懸濁液を構成する粉末を、小袋(sachet)または経口パウダー組成(OPC)と呼ぶことが多い。このような投薬形態を、あらゆる既知の方法により、調製及び再構築することができる。
【0057】
経口の、固形投与薬剤の噴霧乾燥粉末は、一般に約0.5μm〜500μmの平均粒径を有し、通常溶液から1%以上、とりわけ約2%〜50%、さらには約3%〜30%の全固体濃度で調製される。
【0058】
経口の、固形投与薬剤の顆粒は、一般に約50μm〜5000μmの平均粒径を有する。顆粒を生成するための技術は、湿式造粒法及び様々な流動床崩壊方法を含むが、これに限定するものではない。
【0059】
ここに記載した増強生体利用性のエファビレンツを備える医薬品組成物を、従来の技術に従って調製することができる。本発明の一つの態様によれば、エファビレンツ及び崩壊剤を備える薬剤投与形態が供与される。該組成物に用いる崩壊剤は、いわゆる超崩壊剤タイプのものが好ましく、この種の崩壊剤は当業者に周知である。かかる崩壊剤の一例として、特にクロスポビドンのような架橋ポリビニルピロリドン類、特にナトリウム澱粉グリコラートのような変性澱粉類、特にクロスカルメロースナトリウム(架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)及びLHPC(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)のような変性セルロース類を挙げることができる。崩壊剤または超崩壊剤は、組成物の約2%〜90%、好ましくは約3%〜60%の量で存在することができる。
【0060】
ここに記載した方法によって製造したこれら組成物のエファビレンツ組成物を、人または動物に投与することができる。ここに記載した組成物を、医薬品組成物として投与することができる。エファビレンツ組成物を、このような治療を必要とする人間または動物に、治療上有効量で投与することができる。ここで用いる「治療上有効量」の用語は、疾患の症状を治療、予防または軽減するのに有効な薬剤成分の量をいう。本発明の医薬品組成物を単独または他の抗レトロウィルス薬剤と組合わせて用いて、これに限定するものではないが、児童及び成人のHIV−1感染治療のような種々の疾患を治療することができる。
【0061】
さらにまた、本発明の組成物は、エファビレンツに対する付加活性成分を含むことができる。かかる付加活性の薬剤成分は、これに限定するものではないが、鎮痛薬、抗不整脈薬、抗細菌剤、抗痙攣剤、抗アルツハイマー薬、糖尿病治療薬、制吐剤、抗菌類、抗ヒスタミン剤、抗高脂血症、高リポたん白質血症治療薬、降圧剤、抗炎症薬、パーキンソン治療薬、肺循環の降圧剤、抗リウマチ薬、抗潰瘍薬、抗ウイルス薬、心臓血管作用薬、化学療法剤、中枢神経系鎮静薬及び刺激薬、利尿薬、胃腸薬、ホルモン剤、呼吸薬、皮膚薬、並びに座瘡、前立腺肥大症、過敏性腸症候群の治療用の有効成分がある。
【実施例】
【0062】
本発明を、次の限定しない実施例によって更に詳細に説明する。
A.実施例#1
1.エファビレンツを、100%ジクロロメタンからポリビニルピロリドン(PVP)(Plasdone(登録商標)K−29/32、ISP)とエファビレンツ3:PVP1の比率で噴霧乾燥した。ジクロロメタンは、エファビレンツ及びPVP両方の溶媒である。
2.示差走査熱量測定(DSC)(Q1000(登録商標)、TA計測器)によるエファビレンツ結晶化度の分析は、エファビレンツ溶融物の吸熱量が完全にないことを示した。噴霧乾燥粉末は、完全に非晶質エファビレンツのみを含有する(図1)。
【0063】
B.実施例#2
実施例#1のエファビレンツ組成物を、20℃及び40℃の貯蔵庫に入れた。196日の貯蔵後、サンプルは、エファビレンツ結晶化度を示さず、両貯蔵温度で、完全に非晶質エファビレンツのみを含有する(図2)。
【0064】
C.実施例#3
1.エファビレンツを、100%アセトンからポリビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体(PVP−VA)(Plasdone(登録商標)S−630、ISP)とエファビレンツ3:PVP−VA1の比率で噴霧乾燥した。アセトンは、エファビレンツ及びPVP−VA両方の溶媒である。
2.DSC(Q1000(登録商標)、TA計測器)によるエファビレンツ結晶化度の分析は、エファビレンツ溶融物の吸熱量が完全にないことを示した。噴霧乾燥粉末は、完全に非晶質エファビレンツのみを含有する(図3)。
【0065】
D.実施例#4
実施例#3のエファビレンツ組成物を、20℃及び40℃で貯蔵庫に入れた。216日の貯蔵後、両方のサンプルは、エファビレンツの結晶化度を示さず、両貯蔵温度で、完全に非晶質エファビレンツのみを含有する(図4)。
【0066】
E.実施例#5
1.エファビレンツを、66%アセトン/33%ヘキサンからPVP−VA(Plasdone(登録商標)S−630、ISP)とエファビレンツ1:PVP−VAコポリマー3の比率で噴霧乾燥した。ヘキサンは、PVP−VAの非溶媒である。
2.DSC(Q1000(登録商標)、TA計測器)によるエファビレンツ結晶化度の分析は、エファビレンツ溶融物の吸熱量がないことを示した。噴霧乾燥粉末は、完全に非晶質エファビレンツのみを含有する(図5)。
【0067】
F.実施例#6
実施例#5のエファビレンツ組成物を、2O℃及び40℃の貯蔵庫に入れた。92日の貯蔵後、両方のサンプルは、エファビレンツの結晶化度を示さず、両貯蔵温度で、完全に非晶質エファビレンツのみを含有する(図6)。
【0068】
G.実施例#7
1.実施例#5を、100%のアセトンの混合溶媒に変えることによって、繰り返した。全ての他の実験条件は、他の点では変わっていないままだった。両方の粉体の嵩密度及びタップ密度を、タップデンシトメータ(TD−1020(Distek社)使用して測定した。
2.結果:
a.100%溶媒溶液からのエファビレンツ(実施例#7)
1)粒子形態:図7Aに示すような球形
2)粒径(光学顕微鏡検査):5μm
3)嵩密度:0.13g/mL
4)1250タップ後の密度:0.21g/mL
5)噴霧乾燥生成物に存在する結晶エファビレンツ量:0
b.溶媒/非溶媒溶液からのエファビレンツ(実施例#5)
1)粒子形態:図7Bに示すような球形
2)粒径(光学顕微鏡検査):1μm
3)嵩密度:0.28g/mL
4)1250タップ後の密度:0.47g/mL
5)噴霧乾燥生成物に存在する結晶エファビレンツ量:0(図5)。
【0069】
H.実施例#8
1.エファビレンツを、二つの溶液から2%ドデシル硫酸ナトリウム(乾燥重量基準)を有するPVP(Plasdone(登録商標)K−29/32、ISP)とエファビレンツ1:PVP3の比率で噴霧乾燥した。一つの処方は溶媒(ジクロロメタン)のみを含有し、もう一方は非溶媒(アセトン)を添加した同じ溶媒を含有する。
【0070】
【表1】
【0071】
二つの溶液を同一の条件下で噴霧乾燥して、噴霧乾燥粉末を得た。
2.示差走査熱量測定(Q1000(登録商標)、TA計測器)を用いて、二種の噴霧乾燥粉末のエファビレンツ結晶化度を分析した。両粉末は、エファビレンツ溶融物吸熱量の欠如によって示されるように、完全に非晶質であった(図8)。
3.両非晶質組成物の溶解性を試験し、結晶薬物の形態と比較した。50mgエファビレンツに相当する量を分析した。かかる粉体を、追加の15%のクロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol(登録商標)FMC BioPolymers)と共に、サイズ1の硬質ゼラチンカプセル(Shinogi Qualicaps)に手動で充填した。USP装置II(パドル)(VK7010(登録商標),Varian Inc)を、浴温37℃、パドル速度100回転数/分で240分間使用した。両非晶質エファビレンツ組成物は、結晶形のものより、速い放出割合及び高い最大水溶性の濃度を達成した(図9、表2)。溶媒/非溶媒から噴霧乾燥した粉末が、溶媒のみの溶液から噴霧乾燥したものより、速い放出割合及び高い程度を達成したことが驚くべき発見である。
【0072】
【表2】
【0073】
I.実施例#9
1.結晶エファビレンツ、及び溶媒/非溶媒の溶液を噴霧乾燥した非晶質エファビレンツの薬物動態を、絶食した状態の雄スピローグドーリーネズミで研究した。6匹のネズミに、40mg/kgの結晶エファビレンツ、または等量の式8bの非晶質エファビレンツを単一投与した。
2.非晶質エファビレンツ処方物は、最大エファビレンツ血漿濃度における3.0倍、及び露出量における2.3倍の増加を達成した(すなわち0−8時間のカーブ下の領域)(図10)。
【0074】
ここで説明された組成物および/または製造方法の工程若しくは連続の工程を、特許請求の範囲に規定される本発明の趣旨から逸脱することなく、当業者によって変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施例#1に従って製造した噴霧乾燥試料の熱流量対温度の図表である。
【図2】実施例#1に従って製造した噴霧乾燥試料の20℃及び40℃で196日間貯蔵後の熱流量対温度の図表である。
【図3】実施例#3に従って製造した噴霧乾燥試料の熱流量対温度の図表である。
【図4】実施例#3に従って製造して噴霧乾燥試料の20℃及び40℃で216日間貯蔵後の熱流量対温度の図表である。
【図5】実施例#5に従って製造した噴霧乾燥試料の熱流量対温度の図表である。
【図6】実施例#5に従って製造した噴霧乾燥試料の20℃及び40℃で92日間貯蔵後の熱流量対温度の図表である。
【図7】A〜Bは、実施例#5及び#7の粒子の顕微鏡写真である。
【図8】実施例#8に従って製造した噴霧乾燥試料の熱流量対温度の図表である。
【図9】実施例#8に従う溶媒/非溶媒方法を用いる噴霧乾燥生成物に関して、時間の関数として水内に放出されたエファビレンツ%の図表である。
【図10】実施例#9に従って40mg/kgの経口投与後の雄のスピローグドーリーネズミにおけるエファビレンツに関する平均血漿濃度時間プロファイルを示す図表である。
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2005年7月28日に出願した、米国特許出願番号60/703,374の利益を主張し、その内容は本願明細書に引用したものとする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、非晶質エファビレンツを含有する組成物及び非晶質エファビレンツの製造方法を対象とする。より詳細には、本発明は、少なくとも一つの溶解性強化ポリマーを利用する非晶質エファビレンツの組成物並びに製造方法に関する。一つの実施形態によれば、エファビレンツをポリマー含有溶媒に溶解する。さらに別の実施形態では、ポリマー用の溶媒/非溶媒混合物を使用する。非晶質エファビレンツ組成物は、該組成物に適したあらゆる方法によって製造することができる。必要に応じて、溶媒を組成物から除去して非晶質エファビレンツ組成物を生成することができる。本発明の一つの更なる成果においては、エファビレンツ・ポリマー溶媒(または溶媒/非溶媒の混合物)を噴霧乾燥してエファビレンツを優れた生体利用性を示す形態で生成する。生体増強エファビレンツ組成物は、当業者によって認識されるような噴霧乾燥以外の方法によって調製することができる。かかる方法は、これに限定するものではないが、溶融押出、噴霧凝固、造粒及び凍結乾燥を含む。本発明の特定の実施形態によれば、相当部分のエファビレンツを非晶質状態で供与する。本発明のある実施形態によれば、エファビレンツを非晶質状態に略完全に変換する。本発明の一つの好ましい実施形態においては、エファビレンツを完全に非晶質状態に変換する。
【0003】
エファビレンツは、(S)−6−クロロ−4−(シクロプロピルエチニル)−1,4−ジヒドロ−4−(トリフルオロメチル)−2H−3,1−ベンゾオキサジン−2−オンである。これは、HIV−1逆転写酵素の抗ヌクレオシド阻害剤(NNRTI)として有用なベンゾオキサジノンであり、子供及び成人のHIV−1感染の治療用の他の抗レトロウィルス薬剤と組合わせて使用することができる。エファビレンツの合成方法は、米国特許5,519,021号公報、5,663,169号公報、5,665,720号公報及び5,811,423号公報において開示され、その開示を参照してここに援用する。
【0004】
エファビレンツは、50mg,100mg,200mg及び600mgの有効量を有する投薬形態で現在利用可能である。かかる投薬形態は、微結晶質形状のエファビレンツと、錠剤の崩壊及び溶解を助けるクロスカルメロースナトリウムのような一つ以上の崩壊剤とを含有する。国際公開第99/64405号公報に記載されてているように、結晶質エファビレンツは、粉体X線回折(PXRD)及び示差走査熱量測定(DSC)によって特徴づけ得るいくつかの物理的形態で存在する。
【0005】
結晶質形状の化合物と比較して、優れた生体利用性を示すエファビレンツを生成する方法を提供することが望ましい。結晶質エファビレンツの相当部分を非晶質に変換することによって、水溶性及び生体利用性が増強される。その上、非晶質固体として存在するエファビレンツは、活性成分及び完成品の両方の製造を容易にすることができ、投薬形態のサイズを減じた使用を可能にする。さらに、エファビレンツを備える粒子の性質の選択的なカスタマイズは、薬剤生成及び薬物送達に対して興味深い機会を提供することができる。個々の粒子の形態が密度、残留溶媒含量及び流動性のような大部分の粉末特性に直接影響を与えるので、該形態がこの研究において中心的な役割を果たす。更に、粒子形状及び内部構造を変える技術は、薬物放出速度、溶解性及び生体利用性のような薬物動態学的性質に非常に影響を及ぼすことができる。このように、粒子形態を設計する能力は、製造プロセス及び製品特性に関して重大な関係がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、非晶質エファビレンツを製造する組成物及び方法を提供する。エファビレンツの固形分散体と、少なくとも一つの溶解性強化ポリマーとを備え、前記分散体中のエファビレンツが実質的に非晶質である組成物が本発明のある実施形態において付与される。本発明の一つの態様では、結晶質エファビレンツを非晶質状態への変換を記載する。この変換を生成する一つの方法は、溶媒噴霧乾燥による。この変換を達成する他の技術としては、これに限定するものではないが、フラッシュ溶媒蒸発、溶融凝固噴霧、凍結乾燥及び溶融押出である。これらの方法は、単一の溶解性強化ポリマーまたはポリマー混合物を使用することができる。エファビレンツの非晶質変換程度は、限定するものではないが、ポリマーの種類及び量並びに処理条件等を含む様々な要因に依存する。本発明のある態様によれば、単一の有機溶媒、溶媒混合物、溶媒または非溶媒混合物を使用することができる。
【0007】
一つの態様では、本発明は、非晶質エファビレンツを具える噴霧乾燥粉末または顆粒生成物に関するものである。更に、ある実施形態に従って製造した粉末は、従来の方法によって製造したものと較べ、粒子形態及び大きさの変化によって通常残留溶媒含量が低く、タップ密度が高い。薬剤を生成するのに適用する場合、複数ポリマーの系を使用して粒子形態だけでなく、有効成分の薬物動態学的性質も変えることができる。
【0008】
本発明の一つの態様は、溶媒または溶媒混合物中にエファビレンツ及び溶解性強化ポリマーを含有する組成物から調製した非晶質エファビレンツからなる。この溶媒または溶媒混合物は、ポリマーが可溶な一つ以上の溶媒からなる。「可溶」の用語は、ポリマーと溶媒分子間力がポリマー分子間の競合する分子間力及び分子内力より大きいことを意味する。説明を簡単にするため、この溶媒を単に「溶媒」という。溶媒混合物が溶媒を含有する組成物も開示するが、逆もまた真実である。ポリマー及び溶媒分子間力は、ポリマー分子間の分子外力及び分子内力未満である。この第二の溶媒を「非溶媒」とする。ポリマーは、非溶媒内で膨張し得るが、溶解しない。本発明の一つの実施形態によれば、溶解性強化ポリマー及び適切な溶媒/非溶媒の混合物を提供する。さらに、溶媒は非溶媒より低い沸点を有する。好ましくは、溶媒及び非溶媒は混和性である。非溶媒に対する溶媒の比率は、ポリマーを溶媒系内で「溶解」したと考慮し得るようなものである。
【0009】
独特の粒子物性は、溶媒/非溶媒の混合物を蒸発させることによって得ることができる。例えば、かかる蒸発は、供給溶液の噴霧乾燥または造粒プロセスの間に起こすことができる。溶媒の混合物を含む噴霧液滴は、蒸発による総溶媒組成の変化を生じることになる。この方法は、液滴を生成または霧化する方法と無関係であること明らかである。まず最初に、ポリマーは、溶媒の十分な量により、溶解状態で存在する。これが蒸発する(溶媒が非溶媒より低い温度で沸騰する)と、液滴内の非溶媒の濃度が増大する。最終的には、溶媒組成物は、ポリマーを溶液内で保持するには不十分になる。この際、ポリマーが溶液から崩壊する。このポリマー構造の変化が、液滴の蒸発力学を変更して最終粉末物性に影響を与える粒子形態を生成することができる。
【0010】
溶媒/非溶媒混合物系の使用は、溶媒のみの系で得られる利益を超えた追加の利益を供与することを見出した。この溶媒/非溶媒の取扱いは、低い残留溶媒含量及び小さな粒径の噴霧乾燥粉末を生成することができる。この設計された粒子形態の更なる結果は、原料粉末密度の増加である。増加した粉末密度は、多くの用途ために重要な性質である。ポリマー崩壊の程度、従って噴霧乾燥粉末物性に対する正味の効果は、非溶媒に対する溶媒の初期比率、ポリマー化学構造及びポリマー分子量のようなポリマー溶媒和要因に依存する。残留溶媒含量を減じ、密度を増大することに加えて、粒子の形態だけでなく、エファビレンツの形態に影響を及ぼすためには、主要なポリマーを溶媒/非溶媒系と組合わせることができ、それによってエファビレンツ負荷、結晶化度、溶解性、安定性及び放出性に影響を及ぼす。
【0011】
付加ポリマーの存在は、第一ポリマー及び溶媒系との相互作用によって、最終的な粒子形態に関与することができる。かかる付加ポリマーはまた、有効成分の特別な放出性を創出し得るのに有利である。例えば、粒子形態、従って残留溶媒含量及び原料粉末密度に影響を及ぼすためには、主要なポリマーを溶媒/非溶媒系と組合わせることができる。付加重合補助剤を加えて追加の目的を満たす、すなわち有効成分の再結晶を抑制し、有効成分濃度を最大にし、溶解速度を増強/延期/遅延することができる。これらの機能性を達成するために、補助剤の溶解性を主ポリマー用に選択した混合溶媒に適当に適合させることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
「備える」の用語は、「基本的になる」及び「からなる」の比較的制限する用語を包含する。
【0013】
ここで用いる全ての%、比率及び割合は、別段の定めがない限り重量による。
【0014】
ここで用いる「固体分散系」の用語は、少なくとも二つの成分を備え、一つの成分が他の成分または他の複数の成分の全体にわたって均一分散する固体状態の系をいう。「固体分散系」の用語は、他の相内に分散した一つの相の、完全な結晶、完全な非晶質または中間のいずれかの状態で、通常直径が約1μm未満の小粒子を有する系を含む。
【0015】
ここで用いる「固溶体」の用語は、系が全体で化学的及び物理的に均一及び均質であるような一つの成分が他の成分の全体にわたって分子的に分散されたタイプの固体分散系をいう。これらの系は、熱分析またはX線回折によって証明されたように、その結晶または微結晶性の状態での相当な量の有効成分を含まない。
【0016】
「溶解性強化ポリマー」の用語は、溶解性強化ポリマーなしのコントロール組成物と比較して、その存在の結果として、以下の性質の少なくとも一つを有するポリマーをいう。
a)少なくとも約25%の初期放出の増加
b)少なくとも約25%の放出範囲の増加
c)少なくとも約25%の最大血漿濃度の増加
d)少なくとも約25%のAUC0−8の増加。
【0017】
後述の記載は、エファビレンツを含有する噴霧乾燥組成物の調製に主として指向するが、本発明はエファビレンツ噴霧乾燥組成物に限定するものでない。本発明の範囲は、非晶質状態にエファビレンツを変換し、改良した生体利用性に対応するのにも役立つところのここに記載した他の方法を含む。これらの方法は、限定するものでなく、溶融押出、噴霧凝固、造粒及び凍結乾燥を含む。
【0018】
一つ以上の溶解性強化ポリマーと組合わせた非晶質エファビレンツ以外の組成物の状況に置いた条件はない。「組合わせ」の用語は、限定するものではないが、ブレンド、混ぜ合わせ、溶解、押出、破砕、溶融、混練り、混合、篩かけ、懸濁、噴霧、撹拌及びこれらと他の方法との組合せを含む。他の技術は、当業者によって認識することができる。
【0019】
一つの実施形態によれば、本発明は、エファビレンツ及びポリマーを含有する混合物を単一溶媒、溶媒混合物または溶媒とポリマー用の非溶媒との混合物内で供与し、該混合物を噴霧乾燥して噴霧乾燥組成物を形成することによる噴霧乾燥組成物の製造方法に関する。
【0020】
本発明の一つの態様によれば、ポリマー、いわゆる主ポリマーと、適切な溶媒または溶媒混合物とを備えるポリマー系が供与される。これは、ポリマーが可溶な溶媒を備える。ポリマー溶解性を規定する指針は、下記の膨張係数(α)によって提供される。
【数1】
ここで、r−2は主鎖間の平均平方距離、r0−2は非摂動寸法である。(数1は、引力中心の周りの平均回転半径の平均半径(s−2)、対応する非摂動寸法(s0−2)を用いて類似した方法で分岐鎖ポリマーを示すことができる。)ポリマー溶解度は、αが1またはそれ以上の場合に得られ、この状態を満たす溶媒は「良溶媒」、または、簡単に、「溶媒」と称する。ポリマーと溶媒の分子間力がポリマー同士の分子間力より大きいので、溶媒は、ポリマー分子を溶解(または膨張)する。光散乱検出器(例えば、TripleDetectorArray、Viscotek Corp.)のような光散乱方法を用いて、数1で現される変数を求めることができる。かかる概念は、MalcolmP.Stevens著のPolymerChemistry,AnIntroductionに規定され、ここに援用する。
【0021】
αが1に等しい場合、ポリマーと溶媒の分子間力及びポリマー同士の分子間力が釣り合う特別な状況が存在する。この状況が可能な溶媒をθ溶媒という。本発明の脈絡内で、溶媒は、αが1又はそれ以上に略等しい時に「良溶媒」と考えられる。単に温度を変えることによって良溶媒を非溶媒に変換することができるように、温度がαに影響を及ぼすことを認識する。
【0022】
本発明のさらにもう一つの実施形態において、溶媒混合物もある溶媒を含み、その逆も言える。ポリマー同士の分子間力が、ポリマーと溶媒の分子間力を支配する。この場合、αは1未満であり、ポリマーが崩壊状態で存在するため、溶媒を「非溶媒」という。本発明の一つの実施形態によれば、一つのポリマーを適当な溶媒/非溶媒の混合物と共に提供する。溶媒/非溶媒の混合物は、ポリマーを溶媒系内に「溶解」したとみなし得るようなポリマーの溶媒和状態を維持する。さらに、溶媒は非溶媒より低い沸点を有する。(共沸混合物を形成する溶媒/非溶媒の対は、この評価基準を満たさない。)溶媒及び非溶媒が混和性であるのが好ましい。
【0023】
溶媒/非溶媒混合物を蒸発させることによって独特の粒子物性を生成することができる。例えば、この蒸発は、供給溶液の噴霧乾燥または造粒プロセスの間に生起することができる。溶媒の混合物を含む霧化液滴は、蒸発により総溶媒組成に変化を受けることになる。本方法は、液滴を発生または霧化することから独立すること明らかである。まず最初に、ポリマーが十分な量の溶媒により溶存状態にある。これが蒸発(溶媒は非溶媒より低い温度で沸騰)すると、液滴内の非溶媒の濃度は増大する。最終的には、溶媒組成は、ポリマーを溶液中に維持するには不十分である。この場合、ポリマーが崩壊し及び溶液から沈殿する。このポリマー構造の変化は液滴の蒸発力学を変更して、最終的な粉末物性に影響を与える粒子形態を生成することができる。適切なポリマー/溶媒/非溶媒の組合せの例としては、これに限定するものではないが、ポリビニルピロリドン/ジクロロメタン/アセトン、ポリビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体/アセトン/ヘキサン及びエチルセルロース/アセトン/水が挙げられる。
【0024】
独特な粒子構成は、非溶媒濃度が臨界値を超える際のポリマーの析出によって生成される。この臨界比Rcを、下記
【数2】
のように規定することができ、ポリマー崩壊が発生する前の非溶媒の最大比率である。所定の系に関する比率Rcは、溶液濁度の相当な増加を生ずる各成分の質量分率を同定することによって、実験的に求めることができる。Rc値をある系で同定することができる場合、かかる系は溶媒/非溶媒の混合物を備える。Rcが0.80と等しい一例は、約10%(w/w)ポリビニルピロリドン、18%(w/w)ジクロロメタン及び72%(w/w)アセトンからなる溶液である。通常、ポリマー系を、該系に関するRc値以下である溶媒/非溶媒の混合物で使用することになる。粒子形態/大きさ並びにエファビレンツの結晶化度、溶解度、生体利用性および/または放出性を制御するために、一層複雑なポリマー/溶媒系を調製することが有利な場合がある。
【0025】
他の実施形態に従う本発明は、噴霧乾燥粉末の密度を増大する方法を提供する。一般的に、噴霧乾燥は、ある程度の内部空隙を有する球状粒子を生ずる。この空隙は、質量なしに粒子の嵩を増加し、低比重材料を生成する。使用液/分散体に非溶媒を加えることは粒径及び形態を変更し、密度の増加に至る。粒子は、溶媒のみを用いて調製したものと比較して、より小さく、しわが寄り、くぼんで、および/または崩壊する場合がある。また、溶媒/非溶媒系が平均粒径を減らして、よりよく粉末を包み込むことを可能にする。更に、粉末流動及び粉末同士の混合性が高められる。
【0026】
ある態様に従う本発明は、噴霧乾燥粉末及び粒状材料の二次的乾燥の必要性を減少または除去する方法を提供する。これら生成物はしばしば残留溶媒を含むので、より乾燥した生成物を製造することが望ましいかまたは必要である。高い残留溶媒含量は、処方または処理制限に起因する可能性がある。一般的処理は、噴霧乾燥した固体を溶解する溶媒を使用することである。この際、溶媒を肌焼きにより噴霧乾燥粉末または顆粒状ビーズの内部に閉じ込めることができる。処理する材料に対する高沸点非溶媒と低沸点溶媒の意図的な組合せは、処理ポリマーに対する非溶媒の(複数の)作用により比較的低い残留溶媒の生成物を生成することができる。
【0027】
本発明は、溶媒または溶媒/非溶媒の混合物を有するポリマー系の選択により水溶解度を高め、また有効成分の放出性を変える方法を更に提供することができる。一つ(以上)のポリマーが溶媒/非溶媒と共に作用して新規の粒子形態を生成するようにポリマー系を選択する。追加のポリマーを所要に応じて添加して、エファビレンツの溶解性及び放出性並びに粒子形態に影響を及ぼすことができる。強化された溶解性は、優れた湿潤性、非晶質の薬物形態の生成、再結晶に対する安定化および/または共溶媒和効果を含む多くの要因(これに限定するものではない)により達成することができる。この際、エファビレンツの超飽和溶液を発生する。「改良された放出」は、有効成分を放出する時間枠を変える、すなわち、即時、遅延、延長されることをいう。かかる改良された放出は、機能性ポリマーを適切な溶媒/非溶媒の混合物に適合させることによって生成される。
【0028】
本発明の方法に用いるに適した溶媒及び非溶媒は、主要なポリマーが溶媒の場合可溶で、非溶媒の場合不溶にするあらゆる有機化合物(水を含む)とすることができる。溶媒/非溶媒の選択及び比率は、主要なポリマーの選択に依存する。したがって、溶媒または非溶媒としての有機化合物の同定は、主要なポリマーに依存する。それ故、ある系の溶媒は、他方では非溶媒になる場合がある。特に有用な溶媒及び非溶媒は、これに限定するものではないが、酢酸、アセトン、アセトニトリル、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブチルアセテート、ter−ブチルメチルエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、クメン、シクロヘキサン、1−2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、1−2−ジメトキシエタン、N−N−ジメチルアセトアミド、N−N−ジメチルホルムアミド、1−4−ジオキサン、エタノール、2−エトキシエタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、エチルエーテル、蟻酸エチル、ホルムアミド、蟻酸、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メタノール、メチルアセテート、2−メトキシエタノール、3−メチル−1−ブタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1−プロパノール、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ペンタン、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸プロピル、ピリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン、テトラリン、1−2−2−トリクロロエテン、トルエン、水及びキシレンである。溶媒の混合物及び非溶媒の混合物も使用することができる。特定の実施形態によれば、共沸組成(一つの共通温度で沸騰する)での溶媒の混合物は、溶媒または非溶媒のいずれかを備えることができるが、溶媒/非溶媒の混合物でない。
【0029】
本発明の混合物での使用に適した溶解性強化ポリマーは、結晶エファビレンツの少なくとも一部を非晶質状態に変換すべきである。溶媒/非溶媒の混合物を用いる実施形態によれば、少なくとも一つのポリマーは、溶媒に可溶で、非溶媒に不溶とすべきである。有用なポリマーの具体的な例は、これに限定するものではないが、脂肪族ポリエステル類(例えばポリD−ラクチド)、炭水化物類(例えばスクロース)、カルボキシアルキルセルロース類(例えばカルボキシメチルセルロース)、アルキルセルロース類(例えばエチルセルロース)、ゼラチン類、ヒドロキシアルキルセルロース類(例えばヒドロキシメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類(例えばヒドロキシエチルメチルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート)、ポリアミン類(例えばキトサン)、ポリエチレングリコール類(例えばPEG8000、PEG20000)、メタクリル酸ポリマー及びコポリマー(例えばポリマーのオイドラギット種)、N−ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー(例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体)、ビニルラクタムのホモポリマー及びコポリマー、澱粉、多糖類(例えばアルギン酸)、ポリグリコール類(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ポリビニルエステル類(例えばポリビニルアセテート)及び精製/変性セラックからなる。混合物中に存在するポリマーの量は、該混合物の重量で、約1%〜95%、特に約5%〜90%の範囲とすることができ、またある実施形態では約25%〜75重量%とすることができる。ポリマーの混合物も使用することができる。
【0030】
噴霧乾燥混合物は有効成分としてエファビレンツを含む。混合物は、有効成分の所望投与量に応じて、約1%〜95%の有効成分、より詳細には約20%〜80%の有効成分を含むことができる。エファビレンツ対ポリマーの重量比は、通常約95%エファビレンツ:5%総ポリマー〜約5%エファビレンツ:95%総ポリマー、特に約70%エファビレンツ:30%総ポリマー〜約30%エファビレンツ:70%総ポリマー、及び特定の態様では約60%エファビレンツ:約40%エファビレンツ〜40%総ポリマー:60%総ポリマーである。
【0031】
本発明の組成物は、少なくともエファビレンツの一部が非晶質状態である組成物を生成する。「非晶質」の用語は、非結晶状態の化合物をいう。言い換えれば、非晶質化合物は、広範囲で、明確な結晶構造を欠くものである。本発明のある実施形態によれば、組成物中の少なくともいくらか、とりわけ少なくとも約10%、少なくとも約25%または少なくとも約40%のエファビレンツが非晶質である。他の実施形態において、組成物中の化合物の少なくとも大部分が非晶質である。ここで用いるような化合物の「大部分」の用語は、組成物中の化合物の少なくとも約50%が結晶形よりむしろ非晶質の形態であることを意味する。さらに詳しくは、組成物中の化合物が実質的に非晶質であることができる。ここで用いるような「実質的に非晶質」は結晶形態の化合物の量が約25%を超えないことを意味する(すなわち、約75%を超える化合物が非晶質の形態である)。本発明の特定の実施形態によれば、組成物中の化合物が、「ほぼ完全に非晶質」であり、これは結晶形態の薬物の量が約10%(すなわち、約90%を超える化合物が非晶質である)を超えないことを意味する。薬物の結晶形がX線回折または熱分析のような従来技術を用いて検出可能でないことを意味する「完全に非晶質」であると組成物中の化合物がみなされる組成物を提供する。完全に非晶質としての組成物の参照は、薬物の結晶形の極微量(約1%未満)からなる組成物を除外しない。
【0032】
非晶質材料は、いくつかの予測可能な性質、例えば結晶形を特徴づける示差走査熱量測定で測定されるような吸熱溶解性を欠いている。結晶形薬物の量を、粉体X線回折(PXRD)、示差走査熱量測定(DSC)または他のいずれかの標準定量分析によって測定することができる。組成物中に存在する結晶エファビレンツの量を、当業者に既知の他の標準測定によって検出することができる。このような性質の測定は、機器種類及び感度に依存し得ることが認識される。
【0033】
エファビレンツを非晶質の形態で提供することによって、本発明に係る噴霧乾燥生成物は、主として結晶形態成分を含有する生成物と比較して、エファビレンツの増強された生体利用性を提供する。また、有効成分の増強された生体利用性は、該有効成分の投与サイズ及び投与量の減少に至る。本出願人はまた、薬物放出速度を処理溶媒溶液内に加えるポリマーの適当な選択により制御できることを認識した。本発明のある実施形態において、処理は噴霧乾燥である。
【0034】
また、噴霧乾燥混合物は、組成物の性質を変性し得る追加の重合性物質を含むことができる。例えば、あるポリマーを含有させて粒子形態/サイズ並びに有効成分の生体利用性及び活性成分の放出性を制御することができる。また、追加のポリマーを混合物に含めて有効成分の更なる再結晶を抑制し、有効成分の濃度を最大化し、溶解速度を更に改良/遅延/遅滞することができる。この系内に添加し得る追加のポリマーは特に限定されない。
【0035】
噴霧乾燥すべき混合物は、該混合物の総重量に対し通常総溶媒または溶媒/非溶媒約40%〜99.9重量%、とりわけ総溶媒または溶媒/非溶媒約80%〜95重量%を含有する。溶媒/非溶媒の混合物を使用する場合、臨界比Rcを約0.01〜0.99、とりわけ約0.3〜0.8、特に約0.1〜0.9で変更することができる。
【0036】
溶媒、ポリマー及びエファビレンツに加えて、噴霧乾燥すべき混合物は、該混合物の性能、取扱いまたは処理を改善するための他の成分を含むこともできる。あるいは、かかる成分をすでに調製したエファビレンツ・ポリマー内に、タンブル混合及び造粒技術を含むがこれに限定するものではない方法によって混合することができる。典型的な成分は、これに限定するものではないが、界面活性剤、pH調節剤、充填剤、錯化剤、可溶化剤、色素、潤滑剤、流動促進剤、風味剤、可塑剤、味覚マスキング剤等を含み、慣習的な目的及び典型的量で使用することができる。
【0037】
本発明の方法に用いる噴霧乾燥装置は、様々な市販の装置のいずれかとすることができる。特定の噴霧乾燥装置の例としては、Niro Inc.(例えばSD−Micro(登録商標)、PSD(登録商標)−1、PSD(登録商標)−2等)によって製造された噴霧乾燥器、the Mini Spray Dryer(Buchi Labortechnik AG)、Spray Drying Systems,Inc.(例えばモデル30,48,72)、及びSSP Pvt Ltd.によって製造された噴霧乾燥器である。
【0038】
噴霧乾燥処理及び噴霧乾燥装置は、一般にPerry’s Chemical Engineers Handbook, 第6版(R.H.ペリー、D.W.グリーン、J.O.マロニー、編集)マグロウヒルブック社1984、20−54〜20−57に記述されている。噴霧乾燥処理及び装置に関する更なる詳細が、Marshall“AtomizationandSprayDrying,”50Chem.Eng.Prog.Monogr.Series2(1954)によって概説される。これら文献の内容を、本願明細書に援用する。
【0039】
「噴霧乾燥」の用語は、従来使用され、一般に溶媒の液滴からの蒸発用の強い駆動力がある容器(噴霧乾燥装置)内で液体混合物を小さい液滴に破壊し、溶媒を該混合物から急速に除去することを含む処理をいう。霧化技術は、二流体及び加圧ノズルと、回転式噴霧器とを具える。溶媒蒸発用の強い駆動力は、一般に噴霧乾燥装置内の溶媒の分圧を乾燥液滴の温度で該溶媒の蒸気圧以下に維持することによって供与される。これは、(1)噴霧乾燥装置内の圧力を部分真空で保持、(2)液滴を暖かい乾燥ガスと混合、または(3)両方のいずれかによって達成することができる。
【0040】
一般に、乾燥ガスの温度及び流速、並びに噴霧乾燥器の設計を、ポリマー/活性溶液の液滴が装置の壁面に到達してほぼ固体となる時間により十分に乾燥し、またこれらが微粉末を形成し装置壁面に貼着しないように選択する。また、生成物を装置壁に集め、次いで手動、空気作用、機械的または他の手段で材料を除去することによって回収するように、噴霧乾燥器を操作することができる。好ましい乾燥レベルを達成するための実際の延べ時間は、液滴の大きさ、調製及び噴霧乾燥器操作に依存する。凝固に続いて、固形粉末を噴霧乾燥室内に5〜60秒間留まらせて、溶媒を固形粉末から更に蒸発させることができる。乾燥機に存在する固体分散体の最終的な溶媒含量は、生成物の安定性を改善するために、低くすべきである。一般に、噴霧乾燥組成物の残留溶媒含量は、約10重量%未満、好ましくは約2重量%未満とすべきである。ある実施形態によれば、残留溶媒含量は、医薬品規制整合化国際会議(ICH)ガイダンスに記載された許容値内である。本発明のある態様によれば通常要求されないが、非溶媒の存在が低い残留溶媒含量の噴霧乾燥粉末を生成するので、本発明のある実施形態によれば噴霧乾燥組成物に更なる乾燥を施して残留溶媒をさらに低いレベルに下げるのが有用な場合がある。溶媒レベルを更に低下させる方法は、限定するものではないが、流動床乾燥、赤外線乾燥、タンブル乾燥、真空乾燥並びにこれらと他の方法との組合せがある。特定の噴霧乾燥処理に関する付加詳細を、実施例において更に詳細に説明する。しかしながら、粉末を噴霧乾燥する操作条件は当業界で周知で、当業者によって容易に調整することができる。さらに、実施例は、実験室規模の噴霧乾燥器によって得られた結果を説明する。当業者は、生産規模ユニットで同様の結果を得るために修正すべき変数を容易に認識する。
【0041】
上述したように、本発明は、噴霧乾燥によって生成した非晶質エファビレンツに限定されない。噴霧乾燥に加えて、本発明の組成物は、限定するものではないが、押出し、球形化及び噴霧凝固を含む他の方法によって調製することができる。
【0042】
押出しは、オリフィスまたは所定の開口を介して流れるまで圧力を湿ったまたは溶融した組成物にかける周知の方法である。押出し可能な長さは、押出すべき材料の物理的性質、押出し方法及び押出し後の粒子の取扱い方法によって変わる。スクリュー、篩及びバスケット、ロール及びラム押出し機のような種々のタイプの押出し装置を使用することができる。
【0043】
溶融押出においては、溶媒及び添加剤の含有の有無にかかわらず諸成分を連続法によって溶融、押出すことができる。かかる方法は当業者によって確立され、周知である。
【0044】
球形化は、材料を最小の表面積対体積比を有する形状の球に変換する方法である。一般に、球形化は湿った押出粒子から始まる。押出粒子を即座に均一な長さに破壊し、球形に徐々に変換する。更に、混合器から液体または素材のいずれかの添加を必要とする粉末状の原料を、空気補助の球形化器中で処理することができる。
【0045】
噴霧凝固は、一般に材料の構造を変えて液体から自由流動粉末を得、サイズが約0.25〜2.0mmの範囲であるペレットを提供するのに用いる方法である。噴霧凝固は、他の添加剤のホットメルト中で興味ある物質を溶融、分散または溶解し得ることを含む。次いで、溶融混合物を、温度が処方成分の融点以下である空気室内に噴霧して、球状凝固ペレットを得る。使用する冷却空気の温度は、生成物の凝固点に依存する。粒子は、凝固融成物から形成された固形の結合によって保持される。ほとんどの噴霧凝固方法では溶媒蒸発がないために、粒子は一般に非多孔性で、強固であり、撹拌で影響を受けない。最終的な凝固生成物の特性は、一つには用いた添加剤の性質に依存する。供給速度及び入口/出口温度を調整して霧化液滴の凝固を確実にする。供給物は、均質性を確保するに十分な粘度を有する必要がある。溶融供給物の粉末への変換は、単一の連続工程である。適当な噴霧化及び制御された冷却率が、高表面積で均一及び均質な凝固ペレットを得るために重要である。これらパラメータの調整は、当業者によって容易に達成される。
【0046】
噴霧凝固方法は、溶媒を使用しない以外、噴霧乾燥と類似している。その代わりに、有効成分を溶融処理可能なポリマーからなるマトリックス内に分散および/または溶融する。噴霧凝固は、均一で、高速な処理であり、生成物がいかなる装置表面と接触する前に完了する。室温で固体であり、分解することなく溶融する大部分の有効成分及び添加剤が、この方法に適している。
【0047】
冷たい入口空気で作動する従来の噴霧乾燥器が、噴霧凝固に使用された。溶融物の噴霧化のいくつかの方法、例えば圧力または空気圧若しくは遠心の噴霧化を使用することができる。噴霧凝固技術の当業者には、マトリックス材料、粘度のようないくつかの形態並びに、温度、噴霧化及び冷却率のような処理要因が、噴霧凝固ペレットの品質(形態、粒径分布、多型及び溶解特性)に影響を及ぼすことが周知である。噴霧凝固粒子を、錠剤造粒の形態、カプセル化形態に使用でき、または液懸濁液の形態で組み入れることができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態に従って製造したエファビレンツは、固溶体または固体分散体のような固体形態で存在する時、改良された生体利用性を示す。エファビレンツは、かかる組成物内に、該組成物の約5重量%超、とりわけ約10%超、場合によっては約25%、40%、50%またはさらに75%超のレベルで存在させることができ、該化合物の結晶形と比較してもなお、改良された生体利用性を示す。
【0049】
あるポリマーは、組成物内のポリマーの存在が様々な条件下でエファビレンツの溶解性を改良する点で、溶解性強化ポリマーとして機能する。溶解性強化ポリマーは、組成物内に存在する結果として、溶解性強化ポリマーなしのコントロール組成物または結晶形の薬物を含有する組成物と比較して、以下の性質の少なくとも一つを提供する。
a)少なくとも約25%、とりわけ少なくとも約100%、ある実施形態では少なくとも約200%の初期放出の増加
b)少なくとも約25%、とりわけ少なくとも約100%、ある実施形態では少なくとも約200%の放出範囲の増加
c)少なくとも約25%、とりわけ少なくとも約100%、ある実施形態では少なくとも約200%の最大血漿濃度の増加
d)少なくとも約25%、とりわけ少なくとも約100%、ある実施形態では少なくとも約200%のAUC0−8の増加。
【0050】
初期放出は、標準溶解試験方法に従って15分後に放出された薬物の%をいう。放出範囲は、上記と同じ標準溶解試験方法に従って240分後に放出された薬物の%をいう。
【0051】
本発明の特定の実施形態によれば、ポリマーと、ここに記載したような溶媒/非溶媒系から噴霧乾燥した非晶質エファビレンツとを備える系からなる組成物は、同じポリマーと、非溶媒なしの同じ溶媒から同様の状況下で噴霧乾燥したエファビレンツとを備える系からなるコントロール組成物と比べて、ある時点で放出された有効成分の%が少なくとも約25%、とりわけ少なくとも約50%、ある場合には少なくとも約100%より大きい溶解分布を示す。これらの許容値が、約120分以内、とりわけ約60分以内、さらにより詳しくは約30分以内に得られるのが好ましい。溶解分布は、USP装置II(パドル)(VK7010(登録商標)、Varian Inc.)を使用して浴温37°C及びパドル速度100回転数/分で240分間で求めることができる。
【0052】
本発明の特定の実施形態によれば、ポリマーと、ここに記載したような溶媒/非溶媒系から噴霧乾燥した非晶質エファビレンツとを備える系からなる組成物は、同じポリマーと、非溶媒なしの同じ溶媒から同様の状況下で噴霧乾燥したエファビレンツとを備える系からなるコントロール組成物と比べて、少なくとも約25%、とりわけ少なくとも約50%、ある場合には少なくとも100%より大きい嵩密度またはタップ密度の増加を示す。
【0053】
一般に、溶媒/非溶媒系からなるエファビレンツ組成物は、粒径が減ずるようになる。本発明の特定の実施形態によれば、ポリマーと、ここに記載したような溶媒/非溶媒系から噴霧乾燥した非晶質エファビレンツとを備える系からなる組成物は、同じポリマーと、非溶媒なしの同じ溶媒から同様の状況下で噴霧乾燥したエファビレンツとを備える系からなるコントロール組成物と比べて、少なくとも約50%、とりわけ少なくとも100%、ある場合には少なくとも約300%のオーダーで粒径の低減を生じる。
【0054】
本発明の組成物は、口腔、経皮、静脈内、鼻、経口、肺、直腸、皮下、舌下及び膣を含むが、これに限定することもない多種多様なルートで送達することができる。一般に、経口ルートが好ましい。
【0055】
本発明の組成物を、多くの形態で供与することができる。代表的な形態は、パウダー、顆粒及び多粒子である。これらの形態を、直接カプセルに加えるか、圧縮して錠剤、カプセルまたはピルを生成するか、水または他の液体の添加により再構成してペースト、スラリー、軟膏、懸濁液または溶液を形成することができる。様々な添加剤を、本発明の組成物と混合するか、粉砕するかまたは顆粒化して、上記の投薬形に適した材料を形成することができる。
【0056】
本発明の組成物は、液体媒質中の粒子懸濁液として送達するように、様々な形態で調製することができる。かかる懸濁液は製造時に液体またはペーストとして処方するか、または、乾燥粉末として後で添加するが経口投与前の液体、一般に水で処方することができる。かかる懸濁液を構成する粉末を、小袋(sachet)または経口パウダー組成(OPC)と呼ぶことが多い。このような投薬形態を、あらゆる既知の方法により、調製及び再構築することができる。
【0057】
経口の、固形投与薬剤の噴霧乾燥粉末は、一般に約0.5μm〜500μmの平均粒径を有し、通常溶液から1%以上、とりわけ約2%〜50%、さらには約3%〜30%の全固体濃度で調製される。
【0058】
経口の、固形投与薬剤の顆粒は、一般に約50μm〜5000μmの平均粒径を有する。顆粒を生成するための技術は、湿式造粒法及び様々な流動床崩壊方法を含むが、これに限定するものではない。
【0059】
ここに記載した増強生体利用性のエファビレンツを備える医薬品組成物を、従来の技術に従って調製することができる。本発明の一つの態様によれば、エファビレンツ及び崩壊剤を備える薬剤投与形態が供与される。該組成物に用いる崩壊剤は、いわゆる超崩壊剤タイプのものが好ましく、この種の崩壊剤は当業者に周知である。かかる崩壊剤の一例として、特にクロスポビドンのような架橋ポリビニルピロリドン類、特にナトリウム澱粉グリコラートのような変性澱粉類、特にクロスカルメロースナトリウム(架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)及びLHPC(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)のような変性セルロース類を挙げることができる。崩壊剤または超崩壊剤は、組成物の約2%〜90%、好ましくは約3%〜60%の量で存在することができる。
【0060】
ここに記載した方法によって製造したこれら組成物のエファビレンツ組成物を、人または動物に投与することができる。ここに記載した組成物を、医薬品組成物として投与することができる。エファビレンツ組成物を、このような治療を必要とする人間または動物に、治療上有効量で投与することができる。ここで用いる「治療上有効量」の用語は、疾患の症状を治療、予防または軽減するのに有効な薬剤成分の量をいう。本発明の医薬品組成物を単独または他の抗レトロウィルス薬剤と組合わせて用いて、これに限定するものではないが、児童及び成人のHIV−1感染治療のような種々の疾患を治療することができる。
【0061】
さらにまた、本発明の組成物は、エファビレンツに対する付加活性成分を含むことができる。かかる付加活性の薬剤成分は、これに限定するものではないが、鎮痛薬、抗不整脈薬、抗細菌剤、抗痙攣剤、抗アルツハイマー薬、糖尿病治療薬、制吐剤、抗菌類、抗ヒスタミン剤、抗高脂血症、高リポたん白質血症治療薬、降圧剤、抗炎症薬、パーキンソン治療薬、肺循環の降圧剤、抗リウマチ薬、抗潰瘍薬、抗ウイルス薬、心臓血管作用薬、化学療法剤、中枢神経系鎮静薬及び刺激薬、利尿薬、胃腸薬、ホルモン剤、呼吸薬、皮膚薬、並びに座瘡、前立腺肥大症、過敏性腸症候群の治療用の有効成分がある。
【実施例】
【0062】
本発明を、次の限定しない実施例によって更に詳細に説明する。
A.実施例#1
1.エファビレンツを、100%ジクロロメタンからポリビニルピロリドン(PVP)(Plasdone(登録商標)K−29/32、ISP)とエファビレンツ3:PVP1の比率で噴霧乾燥した。ジクロロメタンは、エファビレンツ及びPVP両方の溶媒である。
2.示差走査熱量測定(DSC)(Q1000(登録商標)、TA計測器)によるエファビレンツ結晶化度の分析は、エファビレンツ溶融物の吸熱量が完全にないことを示した。噴霧乾燥粉末は、完全に非晶質エファビレンツのみを含有する(図1)。
【0063】
B.実施例#2
実施例#1のエファビレンツ組成物を、20℃及び40℃の貯蔵庫に入れた。196日の貯蔵後、サンプルは、エファビレンツ結晶化度を示さず、両貯蔵温度で、完全に非晶質エファビレンツのみを含有する(図2)。
【0064】
C.実施例#3
1.エファビレンツを、100%アセトンからポリビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体(PVP−VA)(Plasdone(登録商標)S−630、ISP)とエファビレンツ3:PVP−VA1の比率で噴霧乾燥した。アセトンは、エファビレンツ及びPVP−VA両方の溶媒である。
2.DSC(Q1000(登録商標)、TA計測器)によるエファビレンツ結晶化度の分析は、エファビレンツ溶融物の吸熱量が完全にないことを示した。噴霧乾燥粉末は、完全に非晶質エファビレンツのみを含有する(図3)。
【0065】
D.実施例#4
実施例#3のエファビレンツ組成物を、20℃及び40℃で貯蔵庫に入れた。216日の貯蔵後、両方のサンプルは、エファビレンツの結晶化度を示さず、両貯蔵温度で、完全に非晶質エファビレンツのみを含有する(図4)。
【0066】
E.実施例#5
1.エファビレンツを、66%アセトン/33%ヘキサンからPVP−VA(Plasdone(登録商標)S−630、ISP)とエファビレンツ1:PVP−VAコポリマー3の比率で噴霧乾燥した。ヘキサンは、PVP−VAの非溶媒である。
2.DSC(Q1000(登録商標)、TA計測器)によるエファビレンツ結晶化度の分析は、エファビレンツ溶融物の吸熱量がないことを示した。噴霧乾燥粉末は、完全に非晶質エファビレンツのみを含有する(図5)。
【0067】
F.実施例#6
実施例#5のエファビレンツ組成物を、2O℃及び40℃の貯蔵庫に入れた。92日の貯蔵後、両方のサンプルは、エファビレンツの結晶化度を示さず、両貯蔵温度で、完全に非晶質エファビレンツのみを含有する(図6)。
【0068】
G.実施例#7
1.実施例#5を、100%のアセトンの混合溶媒に変えることによって、繰り返した。全ての他の実験条件は、他の点では変わっていないままだった。両方の粉体の嵩密度及びタップ密度を、タップデンシトメータ(TD−1020(Distek社)使用して測定した。
2.結果:
a.100%溶媒溶液からのエファビレンツ(実施例#7)
1)粒子形態:図7Aに示すような球形
2)粒径(光学顕微鏡検査):5μm
3)嵩密度:0.13g/mL
4)1250タップ後の密度:0.21g/mL
5)噴霧乾燥生成物に存在する結晶エファビレンツ量:0
b.溶媒/非溶媒溶液からのエファビレンツ(実施例#5)
1)粒子形態:図7Bに示すような球形
2)粒径(光学顕微鏡検査):1μm
3)嵩密度:0.28g/mL
4)1250タップ後の密度:0.47g/mL
5)噴霧乾燥生成物に存在する結晶エファビレンツ量:0(図5)。
【0069】
H.実施例#8
1.エファビレンツを、二つの溶液から2%ドデシル硫酸ナトリウム(乾燥重量基準)を有するPVP(Plasdone(登録商標)K−29/32、ISP)とエファビレンツ1:PVP3の比率で噴霧乾燥した。一つの処方は溶媒(ジクロロメタン)のみを含有し、もう一方は非溶媒(アセトン)を添加した同じ溶媒を含有する。
【0070】
【表1】
【0071】
二つの溶液を同一の条件下で噴霧乾燥して、噴霧乾燥粉末を得た。
2.示差走査熱量測定(Q1000(登録商標)、TA計測器)を用いて、二種の噴霧乾燥粉末のエファビレンツ結晶化度を分析した。両粉末は、エファビレンツ溶融物吸熱量の欠如によって示されるように、完全に非晶質であった(図8)。
3.両非晶質組成物の溶解性を試験し、結晶薬物の形態と比較した。50mgエファビレンツに相当する量を分析した。かかる粉体を、追加の15%のクロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol(登録商標)FMC BioPolymers)と共に、サイズ1の硬質ゼラチンカプセル(Shinogi Qualicaps)に手動で充填した。USP装置II(パドル)(VK7010(登録商標),Varian Inc)を、浴温37℃、パドル速度100回転数/分で240分間使用した。両非晶質エファビレンツ組成物は、結晶形のものより、速い放出割合及び高い最大水溶性の濃度を達成した(図9、表2)。溶媒/非溶媒から噴霧乾燥した粉末が、溶媒のみの溶液から噴霧乾燥したものより、速い放出割合及び高い程度を達成したことが驚くべき発見である。
【0072】
【表2】
【0073】
I.実施例#9
1.結晶エファビレンツ、及び溶媒/非溶媒の溶液を噴霧乾燥した非晶質エファビレンツの薬物動態を、絶食した状態の雄スピローグドーリーネズミで研究した。6匹のネズミに、40mg/kgの結晶エファビレンツ、または等量の式8bの非晶質エファビレンツを単一投与した。
2.非晶質エファビレンツ処方物は、最大エファビレンツ血漿濃度における3.0倍、及び露出量における2.3倍の増加を達成した(すなわち0−8時間のカーブ下の領域)(図10)。
【0074】
ここで説明された組成物および/または製造方法の工程若しくは連続の工程を、特許請求の範囲に規定される本発明の趣旨から逸脱することなく、当業者によって変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施例#1に従って製造した噴霧乾燥試料の熱流量対温度の図表である。
【図2】実施例#1に従って製造した噴霧乾燥試料の20℃及び40℃で196日間貯蔵後の熱流量対温度の図表である。
【図3】実施例#3に従って製造した噴霧乾燥試料の熱流量対温度の図表である。
【図4】実施例#3に従って製造して噴霧乾燥試料の20℃及び40℃で216日間貯蔵後の熱流量対温度の図表である。
【図5】実施例#5に従って製造した噴霧乾燥試料の熱流量対温度の図表である。
【図6】実施例#5に従って製造した噴霧乾燥試料の20℃及び40℃で92日間貯蔵後の熱流量対温度の図表である。
【図7】A〜Bは、実施例#5及び#7の粒子の顕微鏡写真である。
【図8】実施例#8に従って製造した噴霧乾燥試料の熱流量対温度の図表である。
【図9】実施例#8に従う溶媒/非溶媒方法を用いる噴霧乾燥生成物に関して、時間の関数として水内に放出されたエファビレンツ%の図表である。
【図10】実施例#9に従って40mg/kgの経口投与後の雄のスピローグドーリーネズミにおけるエファビレンツに関する平均血漿濃度時間プロファイルを示す図表である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エファビレンツ及び溶解性強化ポリマーを備える組成物であって、該エファビレンツが溶解性強化ポリマーなしのコントロール組成物と比較して優れた生体利用性を示す組成物。
【請求項2】
前記エファビレンツが実質的に非晶質である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エファビレンツがほぼ完全に非晶質である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エファビレンツが完全に非晶質である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記エファビレンツが、非晶質形態で少なくとも180日の期間にわたり安定である請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリマーを、脂肪族ポリエステル類、炭水化物、カルボキシアルキルセルロース類、アルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体、ポリアミン類、ポリエチレングリコール、メタクリル酸のポリマー及びコポリマー、N−ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー、ビニルラクタムのホモポリマー及びコポリマー、多糖類、ポリグリコール、ポリビニルエステル、精製/修飾されたセラック、並びにこれらの混合物からなる群から選択する請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリマーがポリビニルピロリドンからなる請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
全ポリマーに対するエファビレンツの比率が、約5%エファビレンツ:95%全ポリマーと、約95%エファビレンツ:5%全ポリマーとの間である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
溶解性強化ポリマーに対するエファビレンツの比率が、約25%エファビレンツ:75%ポリマーと、約75%エファビレンツ:25%ポリマーとの間である請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物がエファビレンツ及びポリマーの噴霧乾燥粒子からなる請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
エファビレンツ及びポリマーの噴霧乾燥粒子が約0.5μm〜500μmの平均粒径を有する請求項10に記載の組成物
【請求項12】
請求項1の記載の組成物を備える製薬剤形。
【請求項13】
前記剤形が、固形の経口投与剤形である請求項12に記載の製薬剤形。
【請求項14】
前記剤形が、錠剤、コーティング錠、咀嚼錠、カプセル及びゼラチンカプセルからなる群から選択した固形の経口投与剤形である請求項13に記載の製薬剤形。
【請求項15】
前記エファビレンツが実質的に非晶質である請求項14に記載の製薬剤形。
【請求項16】
前記非晶質エファビレンツが、結晶エファビレンツを含有するコントロール組成物より少なくとも1.25倍大きい最大エファビレンツ血漿濃度を与える請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記非晶質エファビレンツが、結晶エファビレンツを含有するコントロール組成物より少なくとも2倍大きい最大エファビレンツ血漿濃度を与える請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記非晶質エファビレンツが、結晶エファビレンツを含有するコントロール組成物より少なくとも3倍大きい最大エファビレンツ血漿濃度を与える請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記非晶質エファビレンツが、結晶エファビレンツを含有するコントロール組成物より少なくとも1.25倍の被曝(AUC0−8)で増加する請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
前記非晶質エファビレンツが、結晶エファビレンツを含有するコントロール組成物より少なくとも2倍の被曝(AUC0−8)で増加する請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記非晶質エファビレンツが、結晶エファビレンツを含有するコントロール組成物より少なくとも3倍の被曝(AUC0−8)で増加する請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
界面活性剤、pH調節剤、充填剤、錯化剤、可溶化剤、顔料、潤滑剤、流動促進剤、風味剤、可塑剤、味覚マスキング剤、放出改良ポリマー及びその混合物からなる群から選択した一つ以上の成分を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物がペースト、溶液、スラリー、軟膏または分散の形態である請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記エファビレンツ及び前記ポリマーの少なくとも1つが溶融加工可能である請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が固形の経口投与剤形である請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記固形の経口投与剤形が、錠剤、コーティング錠、咀嚼錠、カプセルまたはゼラチンカプセルである請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、前記エファビレンツ・ポリマー溶融生成物からなるペースト、溶液、スラリー、軟膏または分散体である請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
該所定量のエファビレンツを溶解性強化ポリマーとポリマー用溶媒中で接触させて優れた生体利用性のエファビレンツを含有する混合物を形成する工程を備えるエファビレンツからなる組成物を製造する方法。
【請求項29】
溶媒を除去してエファビレンツ・ポリマー組成物を形成する工程を更に備える請求項28に記載の方法。
【請求項30】
全ポリマーに対するエファビレンツの比率が、約5%エファビレンツ:95%全ポリマーと、約95%エファビレンツ:5%全ポリマーとの間である請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、一つ以上の薬学的に許容できる成分を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリマーを、脂肪族ポリエステル類、カルボキシアルキルセルロース類、炭水化物、アルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、メタクリル酸のポリマー及びコポリマー、N−ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー、ビニルラクタムのホモポリマー及びコポリマー、多糖類、ポリグリコール、ポリビニルエステル、精製/修飾されたセラック、並びにその混合物からなる群から選択する請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリマーがポリビニルピロリドンからなる請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記混合物がポリマー用の非溶媒を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記溶媒及び非溶媒が、約5%溶媒:95%非溶媒〜約95%溶媒:5%非溶媒の比率で存在する請求項34に記載の方法。
【請求項36】
非溶媒に対する溶媒の比率を、前記ポリマーを溶媒混合液中に溶解するように選択する請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記エファビレンツの優れた生体利用性が、前記ポリマー用の非溶媒なしに形成したエファビレンツ組成物と比較して、速い溶解性、大きな溶解度、またはその両方を示す請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記混合物内のポリマーの濃度が、約1%〜約90%である請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記混合物を噴霧乾燥してエファビレンツからなる粒子を形成することにより前記溶媒を除去する請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記粒子が約2%未満の残留溶媒を含有する請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記混合物中のエファビレンツの主要部が非晶質である請求項28に記載の方法。
【請求項42】
前記混合物中のエファビレンツがほぼ完全に非晶質である請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項39に記載の方法により製造した粒子を備える組成物。
【請求項44】
請求項39に記載の方法により製造した粒子を備える固形の経口投与剤形。
【請求項45】
カプセル、錠剤、咀嚼錠、顆粒、ビーズ、ゼラチンカプセルまたはペレットの形態である請求項44に記載の固形の経口投与剤形。
【請求項46】
請求項28に記載の方法により製造したエファビレンツ組成物。
【請求項47】
請求項45に記載の固形の経口投与剤形を被検体に投与することを備えるエファビレンツの被検体への供与方法。
【請求項48】
前記剤形をHIV−1の治療用に投与する請求項47に記載の方法。
【請求項49】
エファビレンツ及び少なくとも一つの溶解性強化ポリマーの固体分散体を備え、該分散体内のエファビレンツが実質的に非晶質である組成物。
【請求項50】
前記分散体内のエファビレンツがほぼ完全に非晶質である請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記混合物内のエファビレンツが完全に非晶質である請求項50に記載の方法。
【請求項52】
a.エファビレンツ及び有機材料を溶媒又は溶媒と前記有機材料用の非溶媒との混合物中に備える混合物を用意し、
b.前記混合物を液滴または顆粒のいずれかに分配し、
c.前記溶媒または溶媒及び非溶媒を前記混合物から蒸発して、粒子が非晶質エファビレンツからなる粒子含有組成物を形成する
ことを特徴とする非晶質エファビレンツを備える組成物の製造方法。
【請求項53】
前記粒子が、約0.5μm〜約5000μmの平均大きさを有する請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記混合物が、溶媒及び前記有機材料用の非溶媒の混合物からなる請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記粒子が、溶媒のみを含有する混合物から製造した粒子よりも少ない結晶形薬物を有する請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記混合物が、ポリビニルピロリドン/ジクロロメタン/アセトン、ポリビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体/アセトン/ヘキサン及びエチルセルロース/アセトン/水からなる群から選ばれる主ポリマー/溶媒/非溶媒の組合せである請求項53に記載の方法。
【請求項57】
エファビレンツ及び溶解性強化ポリマーを備える組成物で、該組成物が溶解性強化ポリマーなしのコントロール組成物と比較して、
a)少なくとも約25%の初期放出の増加
b)少なくとも約25%の放出範囲の増加
c)少なくとも約25%の最大血漿濃度の増加
d)少なくとも約25%のAUC0−8の増加
の少なくとも1つを示すことを特徴とする組成物。
【請求項58】
前記溶解性強化ポリマーを、脂肪族ポリエステル類、カルボキシアルキルセルロース類、アルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体、ポリアミン、ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリマー及びコポリマー、N−ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー、ビニルラクタムのホモポリマー及びコポリマー、多糖類、ポリグリコール、ポリビニルエステル、精製/修飾改良されたセラック及びその混合物からなる群から選択する請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記組成物が、エファビレンツ及び溶解性強化ポリマーの噴霧乾燥粒子からなる請求項57に記載の組成物。
【請求項60】
前記エファビレンツが実質的に非晶質である請求項57に記載の組成物。
【請求項61】
前記組成物内のエファビレンツが、ほぼ完全に非晶質である請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
前記組成物内のエファビレンツが完全に非晶質である請求項61に記載の方法。
【請求項1】
エファビレンツ及び溶解性強化ポリマーを備える組成物であって、該エファビレンツが溶解性強化ポリマーなしのコントロール組成物と比較して優れた生体利用性を示す組成物。
【請求項2】
前記エファビレンツが実質的に非晶質である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エファビレンツがほぼ完全に非晶質である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エファビレンツが完全に非晶質である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記エファビレンツが、非晶質形態で少なくとも180日の期間にわたり安定である請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリマーを、脂肪族ポリエステル類、炭水化物、カルボキシアルキルセルロース類、アルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体、ポリアミン類、ポリエチレングリコール、メタクリル酸のポリマー及びコポリマー、N−ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー、ビニルラクタムのホモポリマー及びコポリマー、多糖類、ポリグリコール、ポリビニルエステル、精製/修飾されたセラック、並びにこれらの混合物からなる群から選択する請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリマーがポリビニルピロリドンからなる請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
全ポリマーに対するエファビレンツの比率が、約5%エファビレンツ:95%全ポリマーと、約95%エファビレンツ:5%全ポリマーとの間である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
溶解性強化ポリマーに対するエファビレンツの比率が、約25%エファビレンツ:75%ポリマーと、約75%エファビレンツ:25%ポリマーとの間である請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物がエファビレンツ及びポリマーの噴霧乾燥粒子からなる請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
エファビレンツ及びポリマーの噴霧乾燥粒子が約0.5μm〜500μmの平均粒径を有する請求項10に記載の組成物
【請求項12】
請求項1の記載の組成物を備える製薬剤形。
【請求項13】
前記剤形が、固形の経口投与剤形である請求項12に記載の製薬剤形。
【請求項14】
前記剤形が、錠剤、コーティング錠、咀嚼錠、カプセル及びゼラチンカプセルからなる群から選択した固形の経口投与剤形である請求項13に記載の製薬剤形。
【請求項15】
前記エファビレンツが実質的に非晶質である請求項14に記載の製薬剤形。
【請求項16】
前記非晶質エファビレンツが、結晶エファビレンツを含有するコントロール組成物より少なくとも1.25倍大きい最大エファビレンツ血漿濃度を与える請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記非晶質エファビレンツが、結晶エファビレンツを含有するコントロール組成物より少なくとも2倍大きい最大エファビレンツ血漿濃度を与える請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記非晶質エファビレンツが、結晶エファビレンツを含有するコントロール組成物より少なくとも3倍大きい最大エファビレンツ血漿濃度を与える請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記非晶質エファビレンツが、結晶エファビレンツを含有するコントロール組成物より少なくとも1.25倍の被曝(AUC0−8)で増加する請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
前記非晶質エファビレンツが、結晶エファビレンツを含有するコントロール組成物より少なくとも2倍の被曝(AUC0−8)で増加する請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記非晶質エファビレンツが、結晶エファビレンツを含有するコントロール組成物より少なくとも3倍の被曝(AUC0−8)で増加する請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
界面活性剤、pH調節剤、充填剤、錯化剤、可溶化剤、顔料、潤滑剤、流動促進剤、風味剤、可塑剤、味覚マスキング剤、放出改良ポリマー及びその混合物からなる群から選択した一つ以上の成分を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物がペースト、溶液、スラリー、軟膏または分散の形態である請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記エファビレンツ及び前記ポリマーの少なくとも1つが溶融加工可能である請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が固形の経口投与剤形である請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記固形の経口投与剤形が、錠剤、コーティング錠、咀嚼錠、カプセルまたはゼラチンカプセルである請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、前記エファビレンツ・ポリマー溶融生成物からなるペースト、溶液、スラリー、軟膏または分散体である請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
該所定量のエファビレンツを溶解性強化ポリマーとポリマー用溶媒中で接触させて優れた生体利用性のエファビレンツを含有する混合物を形成する工程を備えるエファビレンツからなる組成物を製造する方法。
【請求項29】
溶媒を除去してエファビレンツ・ポリマー組成物を形成する工程を更に備える請求項28に記載の方法。
【請求項30】
全ポリマーに対するエファビレンツの比率が、約5%エファビレンツ:95%全ポリマーと、約95%エファビレンツ:5%全ポリマーとの間である請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、一つ以上の薬学的に許容できる成分を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリマーを、脂肪族ポリエステル類、カルボキシアルキルセルロース類、炭水化物、アルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、メタクリル酸のポリマー及びコポリマー、N−ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー、ビニルラクタムのホモポリマー及びコポリマー、多糖類、ポリグリコール、ポリビニルエステル、精製/修飾されたセラック、並びにその混合物からなる群から選択する請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリマーがポリビニルピロリドンからなる請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記混合物がポリマー用の非溶媒を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記溶媒及び非溶媒が、約5%溶媒:95%非溶媒〜約95%溶媒:5%非溶媒の比率で存在する請求項34に記載の方法。
【請求項36】
非溶媒に対する溶媒の比率を、前記ポリマーを溶媒混合液中に溶解するように選択する請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記エファビレンツの優れた生体利用性が、前記ポリマー用の非溶媒なしに形成したエファビレンツ組成物と比較して、速い溶解性、大きな溶解度、またはその両方を示す請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記混合物内のポリマーの濃度が、約1%〜約90%である請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記混合物を噴霧乾燥してエファビレンツからなる粒子を形成することにより前記溶媒を除去する請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記粒子が約2%未満の残留溶媒を含有する請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記混合物中のエファビレンツの主要部が非晶質である請求項28に記載の方法。
【請求項42】
前記混合物中のエファビレンツがほぼ完全に非晶質である請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項39に記載の方法により製造した粒子を備える組成物。
【請求項44】
請求項39に記載の方法により製造した粒子を備える固形の経口投与剤形。
【請求項45】
カプセル、錠剤、咀嚼錠、顆粒、ビーズ、ゼラチンカプセルまたはペレットの形態である請求項44に記載の固形の経口投与剤形。
【請求項46】
請求項28に記載の方法により製造したエファビレンツ組成物。
【請求項47】
請求項45に記載の固形の経口投与剤形を被検体に投与することを備えるエファビレンツの被検体への供与方法。
【請求項48】
前記剤形をHIV−1の治療用に投与する請求項47に記載の方法。
【請求項49】
エファビレンツ及び少なくとも一つの溶解性強化ポリマーの固体分散体を備え、該分散体内のエファビレンツが実質的に非晶質である組成物。
【請求項50】
前記分散体内のエファビレンツがほぼ完全に非晶質である請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記混合物内のエファビレンツが完全に非晶質である請求項50に記載の方法。
【請求項52】
a.エファビレンツ及び有機材料を溶媒又は溶媒と前記有機材料用の非溶媒との混合物中に備える混合物を用意し、
b.前記混合物を液滴または顆粒のいずれかに分配し、
c.前記溶媒または溶媒及び非溶媒を前記混合物から蒸発して、粒子が非晶質エファビレンツからなる粒子含有組成物を形成する
ことを特徴とする非晶質エファビレンツを備える組成物の製造方法。
【請求項53】
前記粒子が、約0.5μm〜約5000μmの平均大きさを有する請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記混合物が、溶媒及び前記有機材料用の非溶媒の混合物からなる請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記粒子が、溶媒のみを含有する混合物から製造した粒子よりも少ない結晶形薬物を有する請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記混合物が、ポリビニルピロリドン/ジクロロメタン/アセトン、ポリビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体/アセトン/ヘキサン及びエチルセルロース/アセトン/水からなる群から選ばれる主ポリマー/溶媒/非溶媒の組合せである請求項53に記載の方法。
【請求項57】
エファビレンツ及び溶解性強化ポリマーを備える組成物で、該組成物が溶解性強化ポリマーなしのコントロール組成物と比較して、
a)少なくとも約25%の初期放出の増加
b)少なくとも約25%の放出範囲の増加
c)少なくとも約25%の最大血漿濃度の増加
d)少なくとも約25%のAUC0−8の増加
の少なくとも1つを示すことを特徴とする組成物。
【請求項58】
前記溶解性強化ポリマーを、脂肪族ポリエステル類、カルボキシアルキルセルロース類、アルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース誘導体、ポリアミン、ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリマー及びコポリマー、N−ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー、ビニルラクタムのホモポリマー及びコポリマー、多糖類、ポリグリコール、ポリビニルエステル、精製/修飾改良されたセラック及びその混合物からなる群から選択する請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記組成物が、エファビレンツ及び溶解性強化ポリマーの噴霧乾燥粒子からなる請求項57に記載の組成物。
【請求項60】
前記エファビレンツが実質的に非晶質である請求項57に記載の組成物。
【請求項61】
前記組成物内のエファビレンツが、ほぼ完全に非晶質である請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
前記組成物内のエファビレンツが完全に非晶質である請求項61に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2009−502969(P2009−502969A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524271(P2008−524271)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029822
【国際公開番号】WO2007/014393
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(596121138)アイエスピー インヴェストメンツ インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】ISP INVESTMENTS INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029822
【国際公開番号】WO2007/014393
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(596121138)アイエスピー インヴェストメンツ インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】ISP INVESTMENTS INC.
【Fターム(参考)】
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