説明

非水系二次電池およびその製造方法

【課題】優れた生産性および安全性を両立した非水系二次電池を提供する。
【解決手段】帯状の正極、帯状の負極、正極と負極との間に介在する第1絶縁層および非水電解質を含み、正極の幅は、負極の幅よりも狭く、正極の長手方向に沿う両方の端面が、第2絶縁層で被覆されており、第1絶縁層および第2絶縁層が、それぞれ多孔質である、非水系二次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系二次電池に関し、特に、正極に形成する絶縁層の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器のポータブル化およびコードレス化が急速に進んでいる。これらの電子機器の電源として、小型かつ軽量であり、さらに高エネルギー密度を有する二次電池への要望が高まっている。また、小型民生用途のみならず、電力貯蔵用や電気自動車といった長期に渡る耐久性や安全性が要求される大型の二次電池に対する技術展開も加速してきている。
【0003】
なかでも、非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池は高電圧であり、かつ高エネルギー密度を有するため、上記のような機器の電源として期待されている。
【0004】
非水系二次電池は、一般に、正極、負極、正極と負極との間に介在するセパレータおよび非水電解質を含む。セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁する機能と、非水電解質を保持する機能とを有する。例えば、リチウムイオン二次電池の場合、セパレータには樹脂材料を含む微多孔膜等が使われている。樹脂材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが用いられている。
【0005】
しかし、樹脂材料を含むセパレータは、高温下において収縮しやすい。そのため、釘のような鋭利な形状の突起物で電池を貫くと、短絡反応熱によりセパレータが収縮する。その結果、短絡部が拡大し、さらに発熱が激しくなるため、電池の異常加熱が促進される。
【0006】
そこで、電池の安全性を向上させるために、セパレータとして、無機固体粒子とポリマーからなる高耐熱性の多孔質絶縁層を用いる技術が提案されている。多孔質絶縁層は、正極または負極の両面に接合される。しかし、一般的に、正極の幅は、負極の幅よりも小さくなっている。そのため、正極の両面のみに絶縁層を形成する場合、絶縁層が形成されていない正極の長手方向に沿う端面が負極と接触し、内部短絡が発生することがある。電池が振動や衝撃を受けた場合、内部短絡が発生する可能性は更に高くなる。
【0007】
特許文献1は、上記のような内部短絡を抑制するために、正極と負極とを積層または捲回した電極群の端面を絶縁体で被覆することを提案している。特許文献1では、振動や衝撃に伴う極板の動きが抑制されるため、電池の安全性を向上することができると述べられている。
【特許文献1】特開2005−190912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1においては、電極群の端面を絶縁体で一度に被覆する場合、幅の小さい正極の長手方向に沿う端面を全面に亘って絶縁体で被覆することが困難であり、絶縁体で被覆されていない部分が残ると考えられる。そのため、絶縁体で被覆されていない正極の端面と負極とが接触し、内部短絡が発生する場合がある。
【0009】
また、特許文献1のように、電極群全体の端面を絶縁体で被覆すると、非水電解質が電極群に含浸されにくくなり、電池の生産性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、帯状の正極、帯状の負極、正極と負極との間に介在する第1絶縁層および非水電解質を含み、正極の幅は、負極の幅よりも狭く、正極の長手方向に沿う両方の端面が、第2絶縁層で被覆されており、第1絶縁層および第2絶縁層が、それぞれ多孔質である、非水系二次電池を提供する。
【0011】
正極の幅とは、正極の短手方向の長さのことをいう。すなわち、本発明においては、正極の短手方向の長さが、負極の短手方向の長さより短くなっている。なお、正極の長手方向の長さも、負極の長手方向の長さより短くなっていることが好ましい。
【0012】
第1絶縁層は、樹脂多孔膜および無機酸化物粒子膜より選ばれる少なくとも一方を含む。ただし、無機酸化物粒子膜は、無機酸化物粒子および結着剤を含み、かつ、正極の両面に接合されている。
第1絶縁層は、無機酸化物粒子膜および樹脂多孔膜の両方を含むことが好ましい。
正極の短手方向に沿う少なくとも一方の端面は、第3絶縁層で被覆されていることが好ましい。
【0013】
発明の一態様において、第2絶縁層および第3絶縁層の少なくとも一方は、無機酸化物粒子膜の構成材料と同じ材料を含む。すなわち、第2絶縁層および第3絶縁層の少なくとも一方は、無機酸化物粒子および結着剤を含む絶縁層であってもよい。
発明の一態様において、第3絶縁層は、絶縁性テープからなる。
【0014】
本発明は、負極が、珪素、珪素合金、珪素酸化物および珪素窒化物よりなる群から選択される少なくとも1種を負極活物質として含む場合に、特に有効である。
【0015】
また、本発明は、
(i)正極集電体シートの両面に正極合剤層を間欠的に形成し、正極連続体を形成する工程、
(ii)複数の正極合剤層の表面に、無機酸化物粒子、結着剤および液状成分を含む第1ペーストを塗布し、乾燥により液状成分を除いて、第1絶縁層を形成する工程、
(iii)正極連続体を裁断して帯状の正極を得る工程、
(iv)正極の長手方向に沿う両方の端面を、第2絶縁層で被覆する工程、
(v)第1絶縁層および第2絶縁層を有する正極と、負極とを、第1絶縁層を介して積層もしくは捲回し、電極群を構成する工程、を有する非水系二次電池の製造方法を提供する。
【0016】
本発明の製造方法では、工程(iv)において、第1ペーストの構成材料と同じ材料を含む第2ペーストで、第2絶縁層を形成してもよい。
第2ペーストは、第1ペーストよりも高い含有率で結着剤を含むことが好ましい。
【0017】
さらに、本発明は、
(a)正極集電体シートの両面に正極合剤層を間欠的に形成し、正極連続体を形成する工程、
(b)正極連続体を裁断して帯状の正極を得る工程、
(c)正極の幅よりも塗布幅が大きくなるように、無機酸化物粒子、結着剤および液状成分を含むペーストを正極に塗布し、乾燥により液状成分を除いて、正極の両面および正極の長手方向に沿う両方の端面を、それぞれ第1絶縁層および第2絶縁層で被覆する工程、
(d)第1絶縁層および第2絶縁層を有する正極と、負極とを、第1絶縁層を介して積層もしくは捲回し、電極群を構成する工程、を有する非水系二次電池の製造方法を提供する。
【0018】
本発明の製造方法は、更に、正極の短手方向に沿う少なくとも一方の端面を、第3絶縁層で被覆する工程Xを含むことが好ましい。
工程Xにおいて、短手方向に沿う端面を、絶縁性テープで被覆して、第3絶縁層を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、非水系二次電池において、優れた生産性と安全性とを両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の非水系二次電池は、帯状の正極、帯状の負極、正極と負極との間に介在する多孔質な第1絶縁層および非水電解質を含む。正極と負極は、第1絶縁層を介して積層または捲回されることにより、電極群を構成している。正極は帯状の正極集電体およびこれに担持された正極活物質層を有する。負極は帯状の負極集電体およびこれに担持された負極活物質層を有する。よって、正極の長手方向および短手方向に沿う端面には、通常、正極集電体が露出している。
【0021】
正極の幅は、負極の幅よりも狭いため、落下などの衝撃で正極と負極との位置ずれが起こると、正極の短手方向に沿う端面は負極に接触しやすい。ただし、正極の長手方向に沿う両方の端面は、多孔質な第2絶縁層で被覆されている。よって、正極の短手方向に沿う端面が負極に接触しても、内部短絡が起こらない。また、第2絶縁層は、電極群の全ての端面を被覆するものではなく、かつ多孔質であるため、電極群に対する非水電解質の含浸性を大きく妨害するものではない。
【0022】
第1絶縁層は、樹脂多孔膜および無機酸化物粒子膜より選ばれる少なくとも一方を含む。ただし、無機酸化物粒子膜は、正極の両面に接合されている。無機酸化物粒子膜は、例えば釘刺しによって激しい短絡が発生した場合に、短絡部の拡大を防ぐ機能を有する。よって、無機酸化物粒子膜は、反応熱によって収縮しない材料で構成する必要がある。無機酸化物粒子膜は、正極の両面全面を被覆していることが最も望ましく、少なくとも正極活物質層の負極との対向面を被覆していることが望ましい。
【0023】
無機酸化物粒子膜は、無機酸化物粒子および結着剤を含む。無機酸化物粒子を含むことで、優れた耐熱性および安定性を有する無機酸化物粒子膜が得られる。無機酸化物粒子は、電気化学的な安定性の観点から、例えば、アルミナ、マグネシア等を含むことが好ましい。無機酸化物粒子の体積基準のメディアン径は、適度な空隙および厚みを有する膜を得る観点から、例えば0.1〜3μmであることが好ましい。無機酸化物は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
第1絶縁層が多孔質であるため、イオンは正極と負極との間を自由に移動できる。よって、第1絶縁層は、電極反応を阻害するものではない。ただし、無機酸化物粒子膜の空隙率は、例えば40〜80%であることが好ましく、40〜60%であることがさらに好ましい。無機酸化物粒子膜の空隙率が40%未満であると、電極群に対する非水電解質の含浸が絶縁層に阻害される場合がある。一方、無機酸化物粒子膜の空隙率が80%を超えると、膜強度が不十分となる場合がある。
【0025】
第1絶縁層は、樹脂多孔膜を含んでもよく、樹脂多孔膜を含まなくてもよい。樹脂多孔膜は、独立したシート状であり、樹脂材料を主成分として含む。樹脂多孔膜は、高温で収縮する性質を有するが、収縮を開始する温度よりも低温で細孔を閉塞し、電流を遮断する安全機能を持たせることができる。樹脂多孔膜の材質には、ポリオレフィン樹脂、アラミド樹脂などが用いられる。なかでも、アラミド樹脂を用いることで、高い耐熱性を有する第1絶縁層を形成することができる。樹脂多孔膜の厚さは、例えば5〜20μmである。
【0026】
第1絶縁層が樹脂多孔膜を含まない場合、無機酸化物粒子膜がセパレータとして機能する。第1絶縁層が樹脂多孔膜を含む場合、無機酸化物粒子膜の厚さは例えば2〜5μmであることが好ましい。非水系二次電池が樹脂多孔膜を含まない場合、無機酸化物粒子膜の厚さは例えば15〜25μmであることが好ましい。
【0027】
無機酸化物粒子膜に含まれる無機酸化物粒子の含有量は、例えば50重量%〜99重量%であることが好ましい。無機酸化物粒子の含有量が50重量%未満であると、第1絶縁層において、無機酸化物粒子間に形成される細孔の制御が困難になる場合がある。一方、無機酸化物粒子の含有量が99重量%を超えると、無機酸化物粒子膜の正極に対する密着性が低下し、無機酸化物粒子膜が正極から脱落する場合がある。無機酸化物粒子膜中の無機酸化物粒子の含有量は、90〜99重量%であることが更に好ましく、94〜98重量%であることが特に好ましい。
【0028】
無機酸化物粒子膜に含まれる結着剤は、耐熱性が高く、かつ非結晶性であることが好ましい。内部短絡が発生すると、局所的に数百℃を超える短絡反応熱が生じる場合がある。そのため、結晶性であり、かつ結晶融点が低い結着剤や、非結晶性であっても分解開始温度が低い結着剤を用いると、無機酸化物粒子膜が変形したり正極から絶縁層が脱落したりして、内部短絡が更に拡大する場合がある。結着剤の耐熱性は、例えば300℃以上であることが好ましい。結着剤としては、例えばアクリロニトリル単位を含むゴム性状高分子等が挙げられる。
【0029】
第2絶縁層は、正極の長手方向に沿う両方の端面を被覆している。正極の長手方向に沿う端面に第2絶縁層を形成することで、正極の端面と負極とが接触することで発生する電池の内部短絡を抑制することができる。ここで、「端面」とは、一般に正極集電体および/または正極活物質層の切断により生じる断面を意味する。ただし、端面(すなわち断面)に連続する両側の縁部にも第2絶縁層を形成してもよい。特に、正極の縁部が、正極活物質層を担持しない正極集電体の露出部である場合、縁部にも第2絶縁層を形成することが好ましい。この場合、縁部における正極集電体と第2絶縁層との合計厚み(厚みA)は、正極の中心部における正極集電体と正極活物質層と第1絶縁層との合計厚み(厚みB)以下であることが望ましい。厚みAが厚みBより大きくなると、電極群を構成したときに、第2絶縁層が電極群の端面の一部を塞ぐため、電極群による非水電解質の含浸性が低下する場合がある。
【0030】
第2絶縁層は、第1絶縁層と同様に多孔質である。第2絶縁層が多孔質であれば、電極群の端面付近において、非水電解質が電極群に侵入しやすくなる。また、多孔質な第2絶縁層は、無機酸化物粒子膜と同様の方法で形成することができるため、第2絶縁層の形成に必要な設備コストを削減できる。第2絶縁層は、無機酸化物粒子膜と同じ材料を同じ組成で用いて形成することができる。ただし、無機酸化物粒子膜よりも第2絶縁層の方が結着剤の含有率が高いことが望ましい。例えば、第2絶縁層に含まれる結着剤の含有率を、無機酸化物粒子膜に含まれる結着剤の含有率の1.1倍〜3倍にすることが好ましい。これにより、正極の長手方向に沿う端面からの第2絶縁層の脱落を抑制することができる。
【0031】
第2絶縁層の空隙率は、例えば3〜80%であることが好ましい。第2絶縁層の空隙率が3%未満であると、電極群に対する非水電解質の含浸が絶縁層に阻害される場合がある。一方、第2絶縁層の空隙率が80%を超えると、膜強度が不十分となる場合がある。第2絶縁層の厚さは特に限定されないが、例えば1μm以下であることが好ましい。
【0032】
正極の短手方向に沿う少なくとも一方の端面は、第3絶縁層で被覆されていることが好ましい。短手方向に沿う端面を第3絶縁層で被覆することで、正極の端面と負極とが接触することで発生する電池の内部短絡を抑制することができる。ここでも、「端面」とは、正極集電体および/または正極活物質層の切断により生じる断面を意味する。また、端面(すなわち断面)に連続する両側の縁部にも第3絶縁層を形成してもよい。また、短手方向に沿う縁部における正極集電体と第3絶縁層との合計厚み(厚みC)は、正極の中心部における正極集電体と正極活物質層と第1絶縁層との合計厚み(厚みD)以下であることが望ましい。厚みCが厚みDより大きくなると、電極群を構成したときに、第3絶縁層により電極群に局所的な圧力を印加されるため、電極反応が不均一になる場合がある。
第3絶縁層は、特に、正極と負極との間に樹脂多孔膜を介在させることなく非水系二次電池を作製する場合に有効である。
【0033】
第3絶縁層は、多孔質である必要はないが、多孔質であってもよい。多孔質な第3絶縁層は、第1絶縁層と同様の方法で形成することができる。ただし、第2絶縁層と同程度に、第1絶縁層よりも第3絶縁層の方が結着剤の含有率が高いことが望ましい。
【0034】
第3絶縁層は、絶縁性テープであってもよい。第3絶縁層は、絶縁性テープにより簡便に形成することができるため、電池の生産性が向上する。
【0035】
絶縁性テープの材質は特に限定されないが、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が挙げられる。絶縁性テープの糊剤は、特に限定されないが、例えばブチル系またはアクリル系の接着剤等が挙げられる。ブチル系の接着剤を有する絶縁テープとしては、例えば(株)寺岡製作所製の466M(品番)が挙げられる。また、アクリル系の接着剤を有する絶縁テープとしては、例えば、(株)寺岡製作所製の4663(品番)が挙げられる。
【0036】
正極は、正極集電体と正極合剤とを含む。正極合剤は、必須成分として正極活物質を含み、任意成分として結着剤と導電材とを含む。
正極活物質としては、例えばリチウム含有複合金属酸化物を用いる。リチウム含有複合金属酸化物としては、LixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNi1-y2、LixCoy1-yz、LixNi1-yyz、LixMn24、LixMn2-yy4、LiMPO4、Li2MPO4F、(M=Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBのうち少なくとも1種)等が挙げられる。0≦x≦1.2、0≦y≦0.9、2≦z≦2.3である。x値はリチウムのモル比であり、充放電に伴って値が増減する。0.8≦x≦1.1であることが更に好ましく、0<y≦0.9であることが更に好ましい。正極活物質は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
正極の結着剤は特に限定されないが、例えば、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。
導電材としては、例えば、天延黒鉛や人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、等の炭素材料が挙げられる。
【0038】
負極は、負極集電体と負極活物質層とを含む。負極活物質層は、必須成分として負極活物質を含み、任意成分として結着剤と導電材とを含む。
本発明は、負極が珪素、珪素合金、珪素酸化物および珪素窒化物よりなる群から選択される少なくとも1種を負極活物質として含む場合に特に有効である。これらの負極活物質は、充放電による膨張、収縮が比較的大きいため、負極の表面に無機酸化物粒子膜を形成することが困難である。そのため、負極よりも幅が小さい正極の表面に無機酸化物粒子膜を形成する必要がある。ただし、負極が上記以外の負極活物質を含む場合であっても、本発明が一定の効果を奏することに変わりはない。
【0039】
負極が珪素、珪素合金、珪素酸化物および珪素窒化物よりなる群から選択される少なくとも1種を負極活物質として含む場合、負極活物質層は、複数の柱状粒子を含むことが好ましい。
珪素合金に含まれる、ケイ素以外の金属元素Mは、リチウムと合金を形成しない金属元素を含むことが望ましい。金属元素Mは、例えば、チタン、銅およびニッケルよりなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。金属元素Mは、1種が単独で珪素合金に含まれていてもよく、複数種が同時にケイ素合金に含まれていてもよい。
珪素酸化物は、一般式(1):SiOx(ただし、0<x<2)で表される組成を有することが望ましい。また、珪素窒化物は、一般式(2):SiNy(ただし、0<y<4/3)で表される組成を有することが望ましい。
【0040】
以下、非水系二次電池の製造方法の一形態について、図面を参照しながら説明する。図1A〜Cは、非水系二次電池の製造過程における正極を概略的に示す上面図である。
工程(i)
まず、正極集電体シート11の両面に正極活物質層12を間欠的に形成し、正極連続体10を形成する。正極活物質層12は、図1Aに示すように、正極の長さに合わせて、長尺の正極集電体シート11に間欠的に形成される。正極連続体には、正極活物質層12を担持しない正極集電体シートの露出部11'が残される。
【0041】
工程(ii)
次に、複数の正極活物質層の表面(図1Bの領域X)に、無機酸化物粒子、結着剤および液状成分を含む第1ペーストを塗布し、乾燥により液状成分を除いて、無機酸化物粒子膜を第1絶縁層として形成する。第1ペーストの固形分濃度は35〜50重量%が好適である。液状成分には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、シクロヘキサノン(ANON)、メチルエチルケトン(MEK)、キシレンなどが、単独でまたは混合物として用いられる。乾燥温度は80〜130℃が好適である。無機酸化物粒子膜は、正極活物質層が完全に覆われるように形成することが望ましい。
【0042】
工程(iii)
その後、正極連続体10'を裁断すると、帯状の正極を得ることができる。正極連続体10'の裁断は、例えば図1Bに示すように、切断線YおよびZに沿って、正極の長さに合わせて行う。よって、図1Cに示すように、正極13の短手方向に沿う端面14には、正極集電体の断面が露出しており、断面に連続する両側の縁部15にも、正極集電体が露出していることが多い。また、通常、正極13の長手方向に沿う端面16にも、正極集電体の断面が露出しており、断面に連続する両側の縁部にも、正極集電体が露出していることが多い。
【0043】
上記のように、無機酸化物粒子膜が形成された正極連続体を裁断することで、複数の帯状の正極に無機酸化物粒子膜を容易に形成することができる。よって、非水系二次電池の生産性が向上する。
【0044】
工程(iv)
図2に示すように、無機酸化物粒子膜21を担持した正極13'において、長手方向に沿う両方の端面16を、第2絶縁層22で被覆する。その際、端面16に連続する縁部17も、第2絶縁層22で被覆することが望ましい。第2絶縁層22は、絶縁性テープを貼り付けることにより形成してもよいが、工程(ii)で用いた第1ペーストの構成材料と同じ材料を含む第2ペーストを利用して形成する方が容易である。あるいは、第1ペーストをそのまま用いて、第2絶縁層22を形成してもよい。
【0045】
工程(iv)において、第1ペーストの構成材料と同じ材料を含む第2ペーストで、第2絶縁層22を形成してもよい。第2ペーストを用いて第2絶縁層22を形成する方法としては、例えば、第2ペーストに正極をディッピングする方法、正極の端面に第2ペーストをスプレーする方法、刷毛等を用いて第2ペーストを塗布する方法等が挙げられる。
【0046】
第2ペーストは、第1ペーストよりも高い含有率で結着剤を含むことが好ましい。第2ペーストにおける結着剤の含有量は、正極からの第2絶縁層の脱落を抑制する観点から、例えば第1ペーストの1.1倍〜3倍であることが好ましい。
【0047】
工程(v)
第1絶縁層21および第2絶縁層22を有する正極13'と、負極とを、第1絶縁層21を介して積層もしくは捲回し、電極群を構成する。得られた電極群を電池ケースに収容し、電池ケース内の電極群に非水電解質を含浸させ、電池ケースを密封することで、電池が完成する。
【0048】
本発明の製造方法においては、工程(v)において電極群を構成する前に、工程(ii)〜(iv)において、予め正極に多孔質な無機酸化物粒子膜を形成している。これにより、電極群に対する非水電解質の含浸性が大きく向上すると考えられる。一方、従来のように、電極群を構成した後、電極群の端面を絶縁層で被覆する場合、電極群に対する非水電解質の含浸性が比較的小さいと考えられる。すなわち、本発明の製造方法を用いることによって、非水系二次電池の生産性が大きく向上する。
【0049】
更に、正極の短手方向に沿う少なくとも一方の端面14を、第3絶縁層23で被覆することが好ましい。その際、端面14に連続する縁部18も、第3絶縁層23で被覆することが望ましい。第3絶縁層23で正極の短手方向に沿う端面を被覆することで、正極と負極との間の短絡を、より効果的に抑制することができる。例えば、短手方向に沿う端面を絶縁性テープで被覆して、第3絶縁層23を形成することが好ましい。
【0050】
非水系二次電池の製造方法の別の一形態について説明する。
工程(a)
まず、上記の工程(i)と同様に、正極集電体シートの両面に正極活物質層を間欠的に形成し、正極連続体を形成する。
【0051】
工程(b)
その後、正極連続体を裁断すると、帯状の正極を得ることができる。得られた正極の長手方向に沿う端面および端面に連続する縁部には、正極集電体が露出している。また、正極の短手方向に沿う端面および端面に連続する縁部にも、正極集電体が露出している。
【0052】
工程(c)
次に、正極の幅よりもペーストの塗布幅が大きくなるように、無機酸化物粒子、結着剤および液状成分を含むペーストを、裁断した正極に塗布する。その後、乾燥により液状成分を除いて、無機酸化物粒子膜を第1絶縁層および第2絶縁層として正極に形成する。ペーストの固形分濃度は35〜50重量%が好適である。液状成分には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、シクロヘキサノン(ANON)、メチルエチルケトン(MEK)、キシレンなどが、単独でまたは混合物として用いられる。乾燥温度は80〜130℃が好適である。無機酸化物粒子膜は、正極活物質層が完全に覆われるように、また、正極の長手方向に沿う端面が完全に覆われるように形成する。
【0053】
工程(c)において、ペーストを正極に塗布する方法は特に限定されない。例えば、ペーストの塗布幅が正極よりも広くなるように、ダイコートを用いて第1ペーストを塗布すればよい。工程(c)では、ペーストの塗布幅を正極の幅よりも大きくしているため、正極の表面だけでなく、正極の長手方向に沿う端面にもペーストを塗布することができる。すなわち、1つの工程で第1絶縁層と第2絶縁層の両方を形成することができる。そのため、第1絶縁層と第2絶縁層とをそれぞれ形成する場合に比べて、非水系二次電池の生産性が向上する。
【0054】
工程(d)
第1絶縁層および第2絶縁層を有する正極と、負極とを、第1絶縁層を介して積層もしくは捲回し、電極群を構成する。得られた電極群を電池ケースに収容し、電池ケース内の電極群に非水電解質を含浸させ、電池ケースを密封することで、電池が完成する。
【0055】
更に、正極の短手方向に沿う少なくとも一方の端面を、第3絶縁層で被覆してもよい。
【0056】
円筒型の非水系二次電池の作製方法の一例について説明する。図3は、本発明の実施の一形態である円筒型の非水系二次電池の縦断面図である。
電極群の上部および下部に、上部絶縁板8aおよび下部絶縁板8bを配し、電極群を電池ケース1の内部に挿入する。正極および負極には、電極群を構成する前に、正極リード5aおよび負極リード6aを取り付けておく。負極リード6aの他端は、電池ケース1の内面に接続し、正極リード5aの他端は、内圧作動型の安全弁を有する封口板2に溶接する。その後、電池ケース1の内部に非水電解質を減圧方式により注液する。電池ケース1の開口端部を、ガスケット3を介して封口板2にかしめることにより、電池が完成する。
【0057】
上記では、円筒型の非水系二次電池について説明したが、電池の形状はこれに限定されず、角形、その他の形状であってもよい。
【実施例】
【0058】
《実施例1》
(1)正極の作製
正極活物質100重量部に対して、導電材としてアセチレンブラック3重量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)4重量部を溶解した溶液とを混合して、正極合剤ペーストを調製した。正極活物質には、コバルト酸リチウムを用いた。集電体の両面に、図1Aに示すように、正極合剤ペーストを間欠塗布し、乾燥させた後、圧延し、正極連続体を形成した。その後、正極連続体を所定の寸法に裁断して、帯状の正極を得た。正極集電体には、厚さ15μmのアルミニウム箔を用いた。両面の正極合剤層と集電体との合計厚さは165μmとした。
【0059】
(2)負極の作製
鱗片上の人造黒鉛を粉砕、分級して、平均粒子径を20μmに調整し、負極活物質とした。負極活物質100重量部に対して、結着剤であるスチレン/ブタジエンゴム1重量部と、カルボキシメチルセルロースを1重量%含む水溶液100重量部とを混合して、負極合剤ペーストを調製した。負極合剤ペーストを集電体の両面に塗布し、乾燥させた後、圧延し、所定の寸法に裁断した。帯状の負極を得た。負極の集電体には、厚さ10μmの銅箔を用いた。両面の負極合剤層と集電体との合計厚さは155μmとした。
【0060】
(3)絶縁層の形成
メディアン径0.3μmのアルミナ970gと、日本ゼオン(株)製のポリアクリロニトリル変性ゴム結着剤BM−720H(固形分8重量部)375gと、適量のNMPとを、双腕型練合機を用いて攪拌し、絶縁層ペーストを調製した。正極を絶縁層ペーストにディッピングした後乾燥させて、正極の長手方向に沿う両方の端面に第2絶縁層を形成した。第2絶縁層の厚さは1μm前後であった。
【0061】
(4)非水電解質の調製
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:3で混合した混合溶媒に対して、1重量%のビニレンカーボネートを添加して、混合溶液を得た。その後、濃度が1.0mol/LとなるようにLiPF6を混合溶液に溶解して、非水電解質を調製した。
【0062】
(5)円筒型電池の作製
正極5の集電体には、アルミニウム製の正極リード5aの一端を取り付けた。負極6の集電体には、ニッケル製の負極リード6aの一端を取り付けた。第1絶縁層として樹脂多孔膜7を介してこれらの極板を捲回し、電極群を作製した。樹脂多孔膜には、ポリエチレン製のシート状の微多孔膜を用いた。電極群を電池ケース1に挿入し、電極群の上部および下部に、上部絶縁板8aおよび下部絶縁板8bを配した。負極リード6aの他端は、電池ケース1の内部に接続した。正極リード5aの他端は、内圧作動型の安全弁を有する封口板2に溶接した。その後、電池ケース1の内部に非水電解質を減圧方式により注入した。電池ケース1の開口端部を、ガスケット3を介して封口板2にかしめることにより、電池を完成させた。
【0063】
《実施例2》
実施例1で調製したものと同様の組成の絶縁層ペーストを用いて、正極の短手方向に沿う両方の端面に第3絶縁層を形成したこと以外、実施例1と同様にして電池を作製した。第3絶縁層は、第2絶縁層と同様にディッピングによって形成した。第3絶縁層の厚さは1μm前後であった。
【0064】
《実施例3》
実施例1で調製したものと同様の組成の絶縁層ペーストを用いて、正極の両面に、図1Cに示すように、無機酸化物粒子膜を形成したこと以外、実施例1と同様にして電池を作製した。無機酸化物粒子膜の厚さは4μmとした。無機酸化物粒子膜は、グラビアロールを用いて形成した。
【0065】
《実施例4》
ポリエチレン製の微多孔膜を使用せず、実施例1で調製したものと同様の組成のペーストを用いて、正極の両面に無機酸化物粒子膜を形成し、更に、正極の短手方向に沿う両方の端面に第3絶縁層を形成したこと以外、実施例1と同様にして電池を作製した。無機酸化物粒子膜の厚さは20μmとした。
【0066】
《比較例1》
第2絶縁層を形成せず、実施例1で調製したものと同様の組成の絶縁性ペーストを用いて、正極の両面に無機酸化物粒子膜を形成した。無機酸化物粒子膜を形成した正極と、負極と、ポリエチレン製の微多孔膜とを捲回して電極群を作製した。得られた電極群の端面を絶縁層ペーストにディッピングして絶縁処理を行った。その他は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0067】
《比較例2》
無機酸化物粒子膜および第2絶縁層を形成せず、実施例1で調製したものと同様の組成の絶縁層ペーストを用いて、正極の短手方向に沿う両方の端面に第3絶縁層を形成したこと以外、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0068】
《比較例3》
第2絶縁層を形成せず、実施例1で調製したものと同様の組成の絶縁層ペーストを用いて、正極の両面に無機酸化物粒子膜を形成し、更に、正極の短手方向に沿う両方の端面に第3絶縁層を形成したこと以外、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0069】
《比較例4》
ポリエチレン製の微多孔膜を使用せず、第2絶縁層も形成しなかった。実施例1で調製したものと同様の組成の絶縁層ペーストを用いて、正極の両面に無機酸化物粒子膜を形成した。無機酸化物粒子膜の厚さは20μmとした。その他は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0070】
《比較例5》
ポリエチレン製の微多孔膜を使用せず、第2絶縁層も形成しなかった。実施例1で調製したものと同様の組成の絶縁層ペーストを用いて、正極の両面に無機酸化物粒子膜を形成し、更に、正極の短手方向に沿う両方の端面に第3絶縁層を形成した。無機酸化物粒子膜の厚さは20μmとした。その他は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0071】
《比較例6》
絶縁層ペーストを塗布する代わりに、絶縁性テープを用いて正極の長手方向に沿う両方の端面に第2絶縁層を形成したこと以外、実施例1と同様にして電池を作製した。絶縁テープには、(株)寺岡製作所製の4663(品番)を用いた。
各電池の構成と結果を、表1および表2に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
表2から明らかなように、正極の長手方向に沿う端面を第2絶縁層で被覆した実施例1の電池は、電極群の端面を絶縁処理した比較例1の電池よりも、電極群に対する非水電解質の含浸性が大きく向上していた。これは、比較例1の電池において、電極群の上下の端面が全て絶縁層で覆われているのに対して、実施例1の電池では、正極の長手方向に沿う端面のみを第2絶縁層で被覆しているためであると考えられる。
【0075】
正極の長手方向に沿う端面を第2絶縁層で被覆した実施例1〜4の電池は、第2絶縁層で被覆していない比較例1〜3の電池と比較して、落下試験後の内部短絡が抑制されていた。これは、正極の長手方向に沿う端面を第2絶縁層で被覆することで、落下によって電極群にずれが生じた場合でも、正極の端面と負極との接触が起こらないためであると考えられる。また、比較例4および5の電池は、充放電を行うことができなかった。比較例6の電池は、正極の長手方向に沿う端面を、多孔質でない絶縁性テープで被覆しているため、電極群に対する非水電解質の含浸性が低下していた。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明によれば、優れた生産性および安全性を有する非水系二次電池を提供することができる。上記の非水系二次電池は、ノートパソコン、携帯電話、デジタルスチルカメラ等の電子機器の電源ならびに高い出力が必要である電力貯蔵用および電気自動車の電源として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1A】非水系二次電池の製造過程における正極を概略的に示す上面図である。
【図1B】非水系二次電池の製造過程における正極を概略的に示す上面図である。
【図1C】非水系二次電池の製造過程における正極を概略的に示す上面図である。
【図2】正極の一実施形態を概略的に示す上面図である。
【図3】円筒型の非水系二次電池を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 電池ケース
2 封口板
3 ガスケット
5 正極
5a 正極リード
6 負極
6a 負極リード
7 樹脂微多孔膜
8a 上部絶縁板
8b 下部絶縁板
10、10’ 正極連続体
11 正極集電体シート
12 正極活物質層
13 正極
14 正極の短手方向に沿う端面
15、17、18 縁部
16 正極の長手方向に沿う端面
21 無機酸化物粒子膜
22 第2絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の正極、帯状の負極、前記正極と前記負極との間に介在する第1絶縁層および非水電解質を含み、
前記正極の幅は、前記負極の幅よりも狭く、
前記正極の長手方向に沿う両方の端面が、第2絶縁層で被覆されており、
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層が、それぞれ多孔質である、非水系二次電池。
【請求項2】
前記第1絶縁層は、樹脂多孔膜および無機酸化物粒子膜より選ばれる少なくとも一方を含み、前記無機酸化物粒子膜は、無機酸化物粒子および結着剤を含み、かつ、前記正極の両面に接合されている、請求項1記載の非水系二次電池。
【請求項3】
前記第1絶縁層が、前記無機酸化物粒子膜および前記樹脂多孔膜の両方を含む、請求項2記載の非水系二次電池。
【請求項4】
前記正極の短手方向に沿う少なくとも一方の端面が、第3絶縁層で被覆されている、請求項1〜3のいずれかに記載の非水系二次電池。
【請求項5】
前記第2絶縁層および前記第3絶縁層の少なくとも一方が、前記無機酸化物粒子膜の構成材料と同じ材料を含む、請求項4記載の非水系二次電池。
【請求項6】
前記第3絶縁層が絶縁性テープからなる、請求項4記載の非水系二次電池。
【請求項7】
前記負極が、珪素、珪素合金、珪素酸化物および珪素窒化物よりなる群から選択される少なくとも1種を負極活物質として含む、請求項1〜6のいずれかに記載の非水系二次電池。
【請求項8】
(i)正極集電体シートの両面に正極合剤層を間欠的に形成し、正極連続体を形成する工程、
(ii)前記複数の正極合剤層の表面に、無機酸化物粒子、結着剤および液状成分を含む第1ペーストを塗布し、乾燥により前記液状成分を除いて、第1絶縁層を形成する工程、
(iii)前記正極連続体を裁断して帯状の正極を得る工程、
(iv)前記正極の長手方向に沿う両方の端面を、第2絶縁層で被覆する工程、
(v)前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を有する正極と、負極とを、前記第1絶縁層を介して積層もしくは捲回し、電極群を構成する工程、を有する非水系二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記工程(iv)において、前記第1ペーストの構成材料と同じ材料を含む第2ペーストで、前記第2絶縁層を形成する、請求項6記載の非水系二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記第2ペーストが、前記第1ペーストよりも高い含有率で前記結着剤を含む、請求項8または9記載の非水系二次電池の製造方法。
【請求項11】
(a)正極集電体シートの両面に正極合剤層を間欠的に形成し、正極連続体を形成する工程、
(b)前記正極連続体を裁断して帯状の正極を得る工程、
(c)前記正極の幅よりも塗布幅が大きくなるように、無機酸化物粒子、結着剤および液状成分を含むペーストを前記正極に塗布し、乾燥により前記液状成分を除いて、前記正極の両面および前記正極の長手方向に沿う両方の端面を、それぞれ第1絶縁層および第2絶縁層で被覆する工程、
(d)前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を有する正極と、負極とを、前記第1絶縁層を介して積層もしくは捲回し、電極群を構成する工程、を有する非水系二次電池の製造方法。
【請求項12】
更に、前記正極の短手方向に沿う少なくとも一方の端面を、第3絶縁層で被覆する工程Xを含む、請求項8または11記載の非水系二次電池の製造方法。
【請求項13】
前記工程Xにおいて、前記短手方向に沿う端面を、絶縁性テープで被覆して、前記第3絶縁層を形成する、請求項12記載の非水系二次電池の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−163942(P2009−163942A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340741(P2007−340741)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】