説明

非水銀平面型蛍光灯の起動方法

【目的】非水銀平面型蛍光灯の迅速な点灯、均一な照明、および低起動電流を実現する起動方法を提供する。
【解決手段】蛍光灯の起動時において、蛍光灯の駆動のための一連の電圧パルスを提供し、デューティサイクル、スイッチング周波数、駆動された電圧パルスの作動電圧レベルを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非水銀平面型蛍光灯の起動方法に関し、特に、迅速な点灯、均一な照明、および低起動電流という利点を有する、非水銀平面型蛍光灯の起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷陰極平面型蛍光灯は、典型的な動作方法において、図1に示されるように、正弦波形を用いることによって作動している。図1は、蛍光灯の測定された電圧120および電流110の波形である。しかし、駆動回路は、正弦の駆動方法を用いて非常に大きい循環エネルギーを提供する必要がある。循環電流が駆動回路および蛍光灯のガラスを流れることにより大きな電力損失が生じるが、これは蛍光灯の光の発光効率を低下させるだけでなく、蛍光灯の温度を上昇させる。
【0003】
平面型蛍光灯は、点灯していないときでも大きなインピーダンスを有するので、共振法によって点灯可能である。不都合ながら、共振によって大きい循環電流が生じ、その結果駆動回路の破損をまねくので、駆動回路を長時間にわたって起動状態で作動させることができない。したがって、駆動回路では、蛍光灯が切断または破損されることのないよう、出力開回路保護を設計する必要がある。従来の技術では、大きい循環電流を下げるために可変周波数制御法が採用されている。しかし、最適な磁性部品は、設計が困難であり、スイッチング損失やコストの増大、制御の複雑化につながる。一方で、平面型蛍光灯は大きな領域を有するため、迅速に、均一に、かつ同時に点灯するのは困難であり、共振法を用いることで輝度が非均一になる。
【0004】
この問題を解決するため、OSRAM社によって提示された改良方法がある。この方法は、非水銀平面型蛍光灯を均一に点灯させるよう、スイッチング周波数を変更しバースト方式の調光で実行するものである。例えば、図2は、バースト方式の調光により起動した場合を示す。図2に示されるように、何度もバースト方式の調光を実行した後に、安定した点灯状態が得られる。210Aで示されるように実験結果の小部分210を拡大しているが、これは、バースト方式の調光シーケンスである。図3は可変周波数制御による起動を示す。ここで、310に示されるように、起動期間には駆動体の作動周波数が低下する。また、駆動体の通常の作動周波数を320に示す。しかし、この方法には、起動電流が高い、磁気要素が飽和しやすい、負荷をオープンにできないといった欠点がある。さらに、共振によって電圧を低電位の状態から点灯電圧に上げるために少し時間がかかるので、多くの場合、蛍光灯は正確かつ迅速に点灯できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、迅速な点灯および均一な照明に使用される、非水銀平面型蛍光灯の起動方法を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、低起動電流における迅速な点灯および照明に使用される、非水銀平面型蛍光灯の起動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的またはその他の目的を実現するために、起動期間中、蛍光灯の駆動のための一連の電圧パルスを提供し、デューティサイクル、スイッチング周波数、駆動された電圧パルスの作動電圧を調整することのいずれか、またはすべてを含む、非水銀平面型蛍光灯の起動方法を提供する。迅速な点灯、均一な照明、および低起動電流を実現するには、上記の三つの要素を適切に組み合わせることが必要である。
【発明の効果】
【0008】
上記の非水銀平面型蛍光灯の起動方法において、電圧パルスは、直流電圧源または交流電圧を整流しフィルタすることで得られる直流電圧源を、分割して方形波電圧にすることにより生成され、この電圧パルスの生成により蛍光灯を駆動する。
【0009】
上記の非水銀平面型蛍光灯の起動方法において、起動期間中に電圧パルスのデューティサイクルを変更する。この変更プロセスでは、以前のデューティサイクルを増大または低減させる。
【0010】
上記の非水銀平面型蛍光灯の起動方法において、起動期間中に電圧パルスのスイッチング周波数を変更する。この変更プロセスでは、以前のスイッチング周波数を増加または減少させる。
【0011】
上記の非水銀平面型蛍光灯の起動方法において、起動期間中に電圧パルスの作動電圧値を変更する。この変更プロセスでは、以前の作動電圧を増大させる。
【0012】
上記の非水銀平面型蛍光灯の起動方法は、バースト方式の調光制御にも適用することができる。バースト方式の調光制御のための連続的な点灯および消灯操作の起動期間中、この起動は単一のものとして扱い、デューティサイクル、スイッチング周波数、電圧パルスの作動電圧の三つの要素のいずれかまたはすべてを、迅速な点灯、均一な照明、および低起動電流を実現するために適切に組み合わせることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の前述のおよびその他の目的、特徴および利点を理解可能にするために、図を添付の上で好適な実施例について、以下に詳細に記載する。
【0014】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、共に例であり、特許請求の範囲の発明についてさらに説明を加えることを目的とする。
【0015】
添付の図面は、本発明のより深い理解のために含まれており、これは本明細書に組み込まれており明細書の一部をなす。図面は本発明の実施例、さらに、本発明の原則を説明するために役立つ描写を示す。
【0016】
外部電極を有する非水銀平面型蛍光灯を均一に点灯させることを目的として、本発明において効果的な起動方法を提供する。それにより蛍光灯の起動電流が低い場合に、迅速に、正常に、かつ均一に非水銀平面型蛍光灯を始動および点灯可能とする。本発明の第一の方法は、正弦波電圧を電圧パルスを駆動する方法に置換することである。ここで蛍光灯に適用される蛍光灯電圧の波形は方形波およびパルスタイプの電圧であり、電流の波形もパルスタイプの電流である。
【0017】
本発明によって提供される、迅速に、正常に、かつ均一に蛍光灯を点灯する方法を、以下で詳細に説明する。まず、電力素子または当業者に公知のその他の方法を採用することによって、直流電流源を一連の方形波電圧パルスに分割する必要がある。次に、従来の高周波数変圧器、自動変圧器または結合インダクタを利用して、方形波電圧パルスを点灯するための点灯電圧まで上げる。点灯後、点灯電圧の波形は方形波およびパルスタイプ電圧となり、電流の波形もパルスタイプ電流となる。
【0018】
本発明による起動方法において、蛍光灯を流れる電流はパルスタイプ電流であり、電流は、蛍光灯電圧が上昇しているまたは下降しているときにのみ発生する。蛍光灯の電流はパルスタイプ電流となっているので、迅速な点灯および均一な照明を実現するためには、電力を上げて蛍光灯を均一に点灯させる必要がある。そして使用する方法により電力素子の処理時間を変更する。電力を上げるにあたり、本発明で開示されている起動方法は、デューティサイクル、スイッチング周波数、作動電圧を変更することのいずれかまたはすべてである。この起動方法において、上記の三つの要素を、迅速な点灯、均一な照明、および低起動電流という目的を実現するために適切に組み合わせる。
【0019】
本発明による起動期間中に電力供給を増やすにあたり、一実施例で、作動電圧の変更によってアーク点灯電圧を超える蛍光灯電圧を作動させ、迅速に点灯することが可能である。別の実施例では、スイッチング周波数を変更することにより、さらに電力を増加させるよう、通常に蛍光灯が点灯される。さらに、スイッチング周波数変更も利用可能である。それにより蛍光灯内部のプラズマの分布をかき乱し、その結果蛍光灯がより均一に起動および点灯する。さらに他の実施例において、デューティサイクルの変更により、蛍光灯で必要な起動電流を低減可能である。
【0020】
本発明により提供される起動方法は、蛍光灯が調光制御で作動している間のフリッカー現象を低減させるためのバースト方式の調光にも適用することができる。その場合、外部電極を有する非水銀平面型蛍光灯を均一に点灯させるのに非常に適している。
【0021】
本発明による起動方法の実施例における蛍光灯の電圧および電流の理想的な波形の概念図が図4に示されている。まず、蛍光灯の電圧が方形波として与えられ、この電圧から生じる電流の波形もパルス型の電流となる。起動時間TSTARTに、この実施例の駆動方法では、デューティサイクルの調整、スイッチング周波数の調整、作動電圧の調整のいずれかまたはすべての方法を組み合わせて用いる。例えば、蛍光灯電圧の通常のデューティサイクルDは、起動時間TSTARTなどのより小さいデューティサイクルDに変わるので、蛍光灯で必要とされる起動電流を大幅に低減することが可能である。このデューティサイクルDは、通常のデューティサイクルDを5%から80%の範囲にすることが可能であり、設計要件によって変わる。さらに、他の実施例において、以前の通常のデューティサイクルDから、起動時間TSTARTに約5%から80%ほど増やして、長いデューティサイクルに変更することも可能である。
【0022】
さらに、一実施例において、例えば、蛍光灯電圧のスイッチング周波数は、以前の通常のスイッチング周波数fからさらに高い周波数fに変更可能である。周波数の上昇時において、蛍光灯を点灯させるようこれに応じてさらに電力が増加される。さらに、蛍光灯がより均一に起動および点灯するよう、スイッチング周波数の変更によってプラズマの分布をかき乱すことが可能である。以前の通常のスイッチング周波数はおよそ40KHから80KHである。一方で周波数は約5%から80%ほど増加するが、もちろん、この増加は設計要件に応じて変更可能である。さらに、他の実施例では、以前の通常のスイッチング周波数fから、起動時間TSTARTに約5%から80%ほど減らしてより低い周波数に変更することも可能であり、設計要件に応じて変更される。
【0023】
さらに別の実施例において、例えば、蛍光灯電圧の作動電圧値を変更可能である。図示されるように、例えば、蛍光灯電圧の作動電圧レベルを、通常のレベルVからより長い起動時間がかかる作動電圧レベルVに調整可能である。従って、蛍光灯電流値も以前の電流Iからより大きい電流Iに増加する。一実施例において、作動電圧は以前の電圧レベルの約150%から200%増となる。
【0024】
上記の実施例の起動方法を、バースト方式の調光操作にも適用可能である。デジタル調光制御とも言われるバースト方式調光制御の技術は、蛍光灯の電圧および電流を特定の範囲に固定して作動させ、低周波数調光(LFD)制御を利用することによって蛍光灯のオン/オフの時期を調整してパルスを制御する。すなわち、パルス信号の作動期間と反比例し、それにより、蛍光灯の平均輝度は平均的な輝度を制御する。一般的に、現在のCCFL駆動技術において、400対1またはそれより高い比率の調光制御を実現可能である。しかし、蛍光灯管は、この方法において何度もオンとオフに切り替える必要がある。すなわち、各切り替え時における起動が、高い起動電圧および蛍光灯管の過電流の原因になっている。実際に、連続的な点灯および消灯と類似しているこの方法で、より低い平均輝度を得ることができるが、ガス放電蛍光灯の電極には悪影響が生じる。このため、デジタル調光はCCFL蛍光灯管の寿命に非常に悪い影響をおよぼす。平面型蛍光灯は余熱することなく点灯可能であるが、この調光モードの高い起動電圧によって生じるランプの連続的な消費を回避するには、改良を実現するために、従来の蛍光灯の余熱起動の概念を適用可能である。
【0025】
本発明によって提供される起動方法において、デューティサイクルの調整、スイッチング周波数の調整、動作電圧の調整を個々にまたは組み合わせて利用することにより、迅速な点灯、均一な照明、および低起動電流を実現することができる。本発明の利点は、バースト方式調光制御の継続的な点灯および消灯の作動プロセスにおいてより明らかになるであろう。一方で、図5で示される上述の実施例の起動方法に関して、本発明によって提供される起動方法による起動プログラムは、図示されるように、連続的な点灯および消灯の起動時の各作動プロセス510、520、および530において実行される。例えば、図5上部に示されるように、蛍光灯電圧の作動電圧レベルVは、通常のVからより高い点灯電圧、つまり、Vプラス電圧差分ΔVに調整され、蛍光灯電流も、迅速な点灯に役立つよう、それに応じて増加する。一実施例において、作動電圧ΔVは以前の通常電圧Vに対して約150%から200%とすることが可能である。
【0026】
起動時において作動電圧レベルを変更する以外にも、蛍光灯電圧のデューティサイクルも図4に示されるように変更可能であり、それにより、蛍光灯が必要とする起動電流を大幅に低下させる。例えば、デューティサイクルDを、通常のデューティサイクルの5%から95%に変更可能である。さらに、図4に示されるように、スイッチング周波数を変更すること、例えば、以前の通常のスイッチング周波数から約20%ほど増加させることが可能である。さらに、周波数変更によって、蛍光灯を点灯するための電力をさらに増加させるだけでなく、蛍光灯をより均一に点灯させるようプラズマの分布をかき乱すことも可能である。当然ながら、上述の全調整は、設計要件に応じて変更することが可能である。
【0027】
本発明の範囲または精神を逸脱しない限り、本発明の構成に様々な修正および変更を加えることが可能であることが、当業者に明らかであろう。上記を考慮の上、以下の請求項およびその同等物の範囲内にある限り、本発明は修正および変形したものを網羅するよう意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】正弦波形を用いた、従来の冷陰極平面型蛍光灯の電圧および電流の測定波形である。
【図2】起動プロセスとしてバースト方式調光を用いた、蛍光灯の電圧および電流の測定波形である。
【図3】起動プロセスとして可変周波数制御を用いた、蛍光灯の電圧および電流の測定波形である。
【図4】本発明の実施例による駆動方法における蛍光灯の電圧および電流の理想的な波形の概念図である。
【図5】本発明の実施例によるバースト方式の調光制御の駆動方法における電圧および電流の測定波形である。
【符号の説明】
【0029】
110 電流
120 電圧
210 実験結果の小部分
210A 実験結果の小部分の拡大
310 低下した作動周波数
320 通常の作動周波数
510、520、530 作動プロセス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面型蛍光灯を駆動するための電圧パルスを提供するステップと、
起動期間中、電圧パルスのデューティサイクルの変更、スイッチング周波数の変更、作動電圧レベルの変更の三つの方法の一つまたは所定の組み合わせを選択することにより前記蛍光灯を点灯するステップと、
を含む、非水銀平面型蛍光灯の起動方法。
【請求項2】
直流電流源を提供するステップと、
前記直流電流源によって提供される直流電圧を、蛍光灯を駆動するための一連の方形波電圧パルスに分割するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の非水銀平面型蛍光灯の起動方法。
【請求項3】
起動期間中、前記パルス電圧の前記デューティサイクルを変更するステップは、以前のデューティサイクルを増加または減少させることである、請求項1に記載の非水銀平面型蛍光灯の起動方法。
【請求項4】
前記以前のデューティサイクルを前記以前のデューティサイクルの5%から95%増やすまたは減らす、請求項3に記載の非水銀平面型蛍光灯の起動方法。
【請求項5】
起動期間中、前記電圧パルスの前記スイッチング周波数を変更するステップは、前記以前のスイッチング周波数を増加または減少させることである、請求項1に記載の非水銀平面型蛍光灯の起動方法。
【請求項6】
上述の以前のスイッチング周波数を、5%から80%増やすまたは減らす、請求項5に記載の平非水銀面型蛍光灯の起動方法。
【請求項7】
起動期間中、前記パルス電圧の前記作動電圧レベルを変更するステップは、前記以前の作動電圧を増加させることである、請求項1に記載の非水銀平面型蛍光灯の起動方法。
【請求項8】
上述の以前の作動電圧レベルを前記以前の作動電圧の150%から200%に増やす、請求項7に記載の非水銀平面型蛍光灯の起動方法。
【請求項9】
前記起動方法をバースト方式調光制御に適用し、
前記バースト方式調光制御の連続的な点灯および消灯の起動期間中、前記パルス電圧の前記デューティサイクル、前記パルス電圧の前記スイッチング周波数、および/または前記パルス電圧の前記作動電圧レベルを変化させる、請求項1に記載の非水銀平面型蛍光灯の起動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−141826(P2007−141826A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−283298(P2006−283298)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(500213753)翰立光電股▲ふん▼有限公司 (8)
【Fターム(参考)】