説明

非破壊検査船

【課題】海上や河川上に設けられたコンクリート構造物の内部状態を容易に非破壊検査する。
【解決手段】船体本体1と、検査線発生部5と、該検査線発生部5から入射した中性子線を検査対象物Rに対して走査状に照射する照射手段6と、中性子線が検査対象物Rによって回折されて得られる回折中性子線を照射手段6の走査位置に応じて検出する検出手段8と、該検出手段8から入力される回折中性子線の検出信号に基づいて検査対象物Rの走査位置における物質の格子定数dを算出する格子定数算出手段9と、各走査位置における検査対象物Rの格子定数に基づいて検査対象物Rの内部状態を可視化する可視化手段9とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中性子線を用いた非破壊検査船に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1にはPC鋼材のグラウト欠陥を検査する装置(グラウト欠陥検査装置)が開示されている。このグラウト欠陥検査装置は、中性子線の散乱状態がコンクリートの構成物質(骨材や鉄等)とグラウト欠陥のある空洞部分とで異なることを利用するものであり、中性子線がコンクリート構造物を透過して得られる熱中性子を検知することによりグラウト欠陥を判別するものである。すなわち、このグラウト欠陥検査装置は、中性子線源と反対側で検出される熱中性子の線量に基づいてPC鋼材中のグラウト欠陥を判別する。
なお、中性子線を用いる非破壊検査技術として、このような特許文献1の技術の他に特許文献2に示す3次元動体可視化計測装置及び方法があるが、この3次元動体可視化計測装置及び方法も中性子の散乱現象を利用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−041908号公報
【特許文献2】特開2007−333663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記グラウト欠陥検査装置は、中性子線を用いた非破壊検査装置の一種であるが、中性子線の散乱状態がコンクリートの構成物質(骨材や鉄等)とグラウト欠陥のある空洞部分とで異なることを利用するものなので、コンクリートの構成物質である鉄筋の状態を非破壊検査することはできない。
【0005】
また、コンクリート構造物には、陸上の構築されたものだけではなく、海上や河川上に構築されたものがある。例えば、コンクリート製の道路橋は、陸上だけではなく、必要に応じて海峡や河川の上にも構築される。このような海上や河川上の道路橋は、床版が橋脚によって海上あるいは河川上から数〜数十メートルの高さに支持され、また床版上に構築される道路に凍結防止剤や融雪剤等の散布材を撒くことが行われており、このような散布材の影響による床版の劣化、例えば床版内に埋設される鉄筋の腐食(サビの発生)が懸念される。海上や河川上の道路橋の床版において、床版の下側(海や川に対向する側)の劣化を非破壊検査する場合、従来では道路上から床版の下側までアームを伸ばす必要があり、検査準備と実際の検査とに時間を要するという問題がある。
【0006】
また、このような床版の下側を中性子線を用いて非破壊検査しようと試みた場合、非破壊検査装置の重量が極めて重い(既存のものは例えば7トン近い重量)があるために、実質的に検査を行うことができない。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、海上や河川上に設けられたコンクリート構造物の内部状態を容易に非破壊検査することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、非破壊検査船に係る第1の解決部として、船体本体と、検査線発生部と、該検査線発生部から入射した中性子線を検査対象物に対して走査状に照射する照射手段と、中性子線が検査対象物によって回折されて得られる回折中性子線を照射手段の走査位置に応じて検出する検出手段と、該検出手段から入力される回折中性子線の検出信号に基づいて検査対象物の走査位置における物質の格子定数を算出する格子定数算出手段と、各走査位置における検査対象物の格子定数に基づいて検査対象物の内部状態を可視化する可視化手段とを具備する、という手段を採用する。
【0009】
非破壊検査船に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、検査対象物の特定個所を検出する特定個所検出手段と、該特定個所検出手段の検出結果に応じて照射手段による中性子線の照射位置を制御する制御手段とをさらに備える、という手段を採用する。
【0010】
非破壊検査船に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、制御手段は、照射手段の位置及び検査対象物の少なくとも一方に対する角度を変更することにより中性子線の照射位置を目標位置に一致させる、という手段を採用する。
【0011】
非破壊検査船に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、少なくとも照射手段及び検出手段、あるいは少なくとも照射手段、検出手段及び検査部位検出手段を船体本体に支持する除振装置をさらに備える、という手段を採用する。
【0012】
非破壊検査船に係る第5の解決手段として、上記第4の解決手段において、除振装置は、少なくとも照射手段及び検出手段、あるいは少なくとも照射手段、検出手段及び検査部位検出手段が上面に設置される基台と、該基台と船体本体との間に設けられる複数の油圧シリンダと、該油圧シリンダを駆動する油圧装置とからなる、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、中性子線発生部と照射手段と検出手段と格子定数算出手段と可視化手段とが船体本体に設けられているので、海上や河川上に設けられたコンクリート構造物の内部状態を容易に非破壊検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンクリート検査船Aの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るコンクリート検査船Aにおいて、中性子パルスの補正に関する処理を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係るコンクリート検査船Aは、図1に示すように、船体本体1、基台2、油圧シリンダ3A〜3D、油圧装置4、検査線発生部5、検査線照射部6(照射手段)、検査用カメラ7(特定個所検出手段)、検査線検出部8(検出手段)及び制御処理装置9(格子定数算出手段、可視化手段、制御手段)によって構成されている。
【0016】
コンクリート検査船Aは、海上や河川上に構築された橋梁等のコンクリート構造物(検査対象物)に下から中性子パルス(中性子線)を照射することにより、コンクリート構造物の内部状態を非破壊検査するものである。中性子パルスは、X線に比べてコンクリートに対する透過性能が高く、例えば10cm程度の深さまで透過するので、コンクリート構造物の内部状態を検査することが可能な検査線である。一方、コンクリートの診断においては、鉄筋付近の腐食状況を評価することが重要であるが、鉄筋は表面から高々10cmの深さに位置するため、中性子線による非破壊検査が現実的である。
【0017】
上記コンクリート構造物は、図示するような高速道路用の高架橋R(道路橋)である。高架橋Rは、床版r1(コンクリート床版)及び当該床版r1を地上から数〜数十メートルの高さに支承する橋脚r2等から構成されたコンクリート構造物である。このような高架橋Rでは、床版r1の上に施工される道路に凍結防止剤や融雪剤等の散布材を撒くことが行われており、このような散布材の影響による床版r1の劣化、例えば床版r1内に埋設される鉄筋r3の腐食(サビの発生)が懸念される。コンクリート検査船Aでは、上記床版r1の内部状態として、当該床版r1を構成する複数の物質(鉄筋r3、骨材及びコンクリート等)の中の特定物質、例えば鉄筋r3の位置や状態(サビの発生状態等)を検査する。
【0018】
船体本体1は、図示するように推進装置を備えた自走式に構成されており、操舵者によって操舵装置が操作されることによって海上あるいは河川上での航行が制御される。このような船体本体1の内部には、図示するように収納室Sが形成されている。この収納室Sの床面には、基台2が複数の油圧シリンダ3A〜3Dによって船体本体1に支持された状態で設けられている。この基台2の上面には、鋼材等から形成された矩形の平板状部材であり、検査線発生部5、検査線照射部6、検査カメラ7、検査線検出部8及び制御処理装置9が設置されている。
【0019】
油圧シリンダ3A〜3D及び油圧装置4は除振装置を構成している。これら油圧シリンダ3A〜3Dのうち、油圧シリンダ3A,3Dは、図示するように基台2の側部に設けられ、一方、油圧シリンダ3B,3Cは、基台2の底部に設けられている。また、図示していないが、図1の紙面前後にも油圧シリンダが複数設けられている。すなわち、基台2は、前後左右及び下側から油圧シリンダ3A〜3D等によって支持されている。
【0020】
これら油圧シリンダ3A〜3Dは、油圧装置4から供給される圧油によって駆動されることにより、基台2を収納室Sの壁面(つまり船体本体1)に対して支持する。油圧装置4は、上記基台2が振動しないように、船体本体1の振動に応じて各油圧シリンダ3A〜3Dに圧油を供給するものであり、船体本体1の振動を検出する振動センサ及び圧油を生成する油圧ポンプ等からなる。振動センサとしては、例えば圧電素子を用いて角速度の変化に伴うコリオリ力を感知するものを採用することが考えられる。
【0021】
検査線発生部5は、中性子パルスを生成して検査線照射部6に出射する。検査線照射部6は、検査線発生部5から入射した中性子パルスを床版r1の下面(平面)に対して照射する。この検査線発生部5は、中性子パルスの出射方向と同軸かつ目視可能なガイド光(レーザ光)を出射する機能を備えており、検査作業員がガイド光によって中性子パルスの出射方向を目視できるように構成されている。
【0022】
また、この検査線照射部6は、中性子パルスの出射タイミングt1を検出し、該出射タイミングt1を示す出射検出信号を制御処理装置9に出力する。例えば、検査線照射部6は、所定部材を中性子パルスが透過することによって発生するガンマ線(γ線)を捉えることにより中性子パルスの出射タイミングt1を検出する。
【0023】
検査用カメラ7は、床版r1の下面に予め書き込まれたマークを撮影する望遠機能付きのビデオカメラ(CCDカメラ)であり、撮影方向を任意に変更可能なカメラ台を介して検査線照射部6上に固定されている。また、検査用カメラ7は、床版r1の映像を検査映像信号として制御処理装置9に出力する。このような検査用カメラ7は、特定個所検出手段に相当する。
【0024】
なお、上記マークは、例えば事前の目視検査で内部に損傷が発生している可能性が判断された箇所に書き込まれた所定の図形あるいは記号であり、床版r1の下面においてマークが付与された箇所は特定個所に相当する。
【0025】
検査線検出部8は、図示するように一定間隔で配列する複数(図1では一例として4個)の検出器から構成されている。検査線検出部8は、上記中性子パルスが床版r1で回折された回折中性子パルスを各検出器で検出し、回折中性子パルスの入射タイミングt2を示す入射検出信号を制御処理装置9に出力する。
【0026】
制御処理装置9は、上記検査線発生部5を制御して中性子パルスを発生させると共に、上記検査映像信号に基づいて検査線照射部6の位置あるいは/及び角度を制御し、また当該検査線照射部6の位置あるいは/及び角度に応じて検査線検出部8の位置あるいは/及び角度を制御する。また、制御処理装置9は、検査線照射部6から入力される出射検出信号及び検査線検出部8から入力される入射検出信号に基づいて床版r1の内部状態を評価する。
【0027】
この内部状態の評価は、上記出射タイミングt1と入射タイミングt2との時間差ΔTを格子定数計算式に導入することにより、床版r1の各回折部位における物質の格子定数dをそれぞれ計算することによって行われる。なお、上記格子定数計算式は、周知のものなので詳細な説明を割愛するが、回折現象を示すブラッグの式に基づくものであり、当該ブラッグの式における中性子の波長を周知のドブロイの式によって与えると共に、当該ドブロイの式における中性子の運動量を時間差ΔTから幾何学的に求められる中性子の速度、また質量及び光速によって与えるものである。
【0028】
また、制御処理装置9は、検査用カメラ7から入力される検査映像信号に基づいて床版r1の下面画像をモニタに表示させると共に、各回折部位における格子定数dに基づいて床版r1の内部状態を可視化した検査画像を生成してモニタに表示する。なお、このような制御処理装置9は、格子定数算出手段、可視化手段及び制御手段に相当する。
【0029】
次に、このようなコンクリート検査船Aを用いた非破壊検査方法について、図2をも参照して詳しく説明する。
【0030】
検査作業員は、コンクリート検査船Aを航行させて検査対象となる架橋Rの下で係留する。そして、検査作業員は、検査用カメラ7を操作して床版r1を撮影させてモニタ上に床版r1の下面画像を表示させ、さらに下面画像上におけるマーク近傍領域に中性子パルスが照射されるように検査線照射部6を設定する。ここで、検査線照射部6は中性子パルスの出射方向と同軸かつ目視可能なガイド光を出射する機能を備えるので、検査作業員は、視認不可能な中性子パルスを確実にマーク近傍領域に照射することができる。
【0031】
このようにして検査線照射部6の照射準備が整うと非破壊検査が開始されるが、この非破壊検査は、制御処理装置9が検査線照射部6及びを検査線検出部8等を自動制御することにより自動的に行われる。すなわち、制御処理装置9は、中性子パルスがマーク近傍領域に走査状に照射されるように検査線照射部6における中性子パルスの出射位置や出射角度を設定すると共に、上記中性子パルスがマーク近傍領域で回折して得られる回折中性子パルスを捉えるように検査線検出部8の位置や角度を設定する。
【0032】
ここで、係留状態にある船体本体1は波浪等の影響を受けて多少移動する虞があるが、検査用カメラ7による床版r1の下面の撮影は検査中も継続されて行われており、よって船体本体1が移動すると、図2に示すように検査用カメラ7で撮影されている下面画像上におけるマーク位置(計測した位置)は、検査開始時の位置(本来あるべき位置;目標位置)に対して移動する。制御処理装置9は、マーク位置の移動量及び移動方向に応じて中性子パルスの出射位置や出射角度を補正することにより、中性子パルスをマーク近傍領域に確実に照射させる。
【0033】
また、非破壊検査中において船体本体1で発生する振動は、油圧シリンダ3A〜3D及び油圧装置4から構成される除振装置の作用によって基台2には伝搬しない。すなわち、船体本体1の縦振動は、油圧装置4の振動センサによって検出され、油圧装置4が当該縦振動を打ち消すように基台2の底部に設けられた油圧シリンダ3B,3Cをフィードバック制御することによって吸収され、また船体本体1の横振動は、油圧装置4の振動センサによって検出され、油圧装置4が当該横振動を打ち消すように基台2の側部に設けられた油圧シリンダ3A,3Dをフィードバック制御することによって吸収される。したがって、このような除振装置の作用によっても、中性子パルスをマーク近傍領域に確実に照射させることができる。
【0034】
制御処理装置9は、このような検査環境において検査線照射部6から入力される出射検出信号及び検査線検出部8から入力される入射検出信号に基づいて出射タイミングt1と入射タイミングt2との時間差ΔTを計算し、この時間差ΔTを格子定数計算式に導入することにより床版r1の各回折部位における物質の格子定数dをそれぞれ計算し、当該各回折部位の格子定数d(格子定数群)に基づいて床版r1の内部状態を示す検査画像(2次元画像)を生成する。
【0035】
例えば、上記マーク近傍領域内に鉄筋r3が存在する場合、当該鉄筋r3と周囲のセメントや骨材とは結晶構造が異なるので、鉄筋r3と周囲部分とでは格子定数dが当然に異なる。また、上記鉄筋r3が腐食して鉄筋r3の周囲にサビが発生している場合、このサビは、鉄の酸化物なので、鉄筋r3とは異なる結晶構造であり、よって格子定数dが鉄筋s1とは異なる。したがって、上記格子定数d(格子定数群)は、床版r1の内部状態を示す情報である。
【0036】
このような本実施形態によれば、中性子パルスを船体本体1から床版r1の下面に向けて照射することにより床版r1の回折部位における物質の格子定数dを検査情報として取得するので、床版r1を構成する複数の物質中の特定物質、特に鉄筋r3の位置や状態(サビの発生状態等)を容易に非破壊検査することができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では高架橋Rを検査対象物としたが、本発明はこれに限定されない。検査対象物は、中性子を回折させると共に海や川の上や近傍にあるものであれば、如何なるいかなるコンクリート構造物であっても良い。
【0038】
(2)上記コンクリート検査船Aは、船体本体1上に検査対象物を構成する物体の格子定数dを計測する中性子を用いた計測手段を設けることを最も基本的な特徴点とするものであり、よってこれ以外の機能は必要に応じて削除しても良い。ただし、船体本体1上から中性子パルスを検査対象物に照射するという計測環境上、計測手段の位置決めが不安定になり易いので、上述した中性子パルスの出射位置や出射角度の補正や除振装置による除振が好ましい。
【0039】
(3)上記実施形態では特定個所検出手段として検査用カメラ7を採用したが、本発明はこれに限定されない。特定個所検出手段として、例えばレーザレーダを用いても良い。
【0040】
(4)また、船体本体1として、複数の推進装置(スラスタ)を備えることにより前後左右に航行することが可能なものを用いても良い。複数の推進装置(スラスタ)を備える船体では、各推進装置の推進力や向きを調節することにより、水上の一定場所に停泊することができるので、本願発明に好適である。また、推進装置(スラスタ)は、振動が少ないモータ駆動のものが好ましい。
【0041】
(5)上記実施形態では油圧シリンダ3A〜3Dと油圧装置4とによって除振装置を構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ジャイロダンパを除振装置として採用しても良い。すなわち、上述した基台2をバネ等の弾性材を介して船体本体1に支持させると共に、基台2に平行な回転面で回転するフラーホイール(コマ)を所定のケーシングに収納した状態で基台2に取り付ける。このよいうな弾性材、フラーホイール及びケーシングからなるジャイロダンパによっても船体本体1で発生する振動を基台2に伝搬することを防止することができる。
【符号の説明】
【0042】
A…コンクリート検査船(非破壊検査船)、1…船体本体、2…基台、3A〜3D…油圧シリンダ、4…油圧装置、5…検査線発生部、6…検査線照射部(照射手段)、7…検査用カメラ(特定個所検出手段)、8…検査線検出部(検出手段)、9…制御処理装置(格子定数算出手段、可視化手段、制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体本体と、
検査線発生部と、
該検査線発生部から入射した中性子線を検査対象物に対して走査状に照射する照射手段と、
中性子線が検査対象物によって回折されて得られる回折中性子線を照射手段の走査位置に応じて検出する検出手段と、
該検出手段から入力される回折中性子線の検出信号に基づいて検査対象物の走査位置における物質の格子定数を算出する格子定数算出手段と、
各走査位置における検査対象物の格子定数に基づいて検査対象物の内部状態を可視化する可視化手段と
を具備することを特徴とする非破壊検査船。
【請求項2】
検査対象物の特定個所を検出する特定個所検出手段と、
該特定個所検出手段の検出結果に応じて照射手段による中性子線の照射位置を制御する制御手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の非破壊検査船。
【請求項3】
制御手段は、照射手段の位置及び検査対象物の少なくとも一方に対する角度を変更することにより中性子線の照射位置を目標位置に一致させることを特徴とする請求項2記載の非破壊検査船。
【請求項4】
少なくとも照射手段及び検出手段、あるいは少なくとも照射手段、検出手段及び検査部位検出手段を船体本体に支持する除振装置をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の非破壊検査船。
【請求項5】
除振装置は、
少なくとも照射手段及び検出手段、あるいは少なくとも照射手段、検出手段及び検査部位検出手段が上面に設置される基台と、
該基台と船体本体との間に設けられる複数の油圧シリンダと、
該油圧シリンダを駆動する油圧装置と
からなることを特徴とする請求項4記載の非破壊検査船。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−185722(P2011−185722A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50809(P2010−50809)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】