非破壊検査装置
【課題】 検出コイルの面積を大きくすることなく、検査対象物全体の検査時間を短縮する。
【解決手段】 検出コイルを含み、当該検出コイルによって検出される磁界に応じた測定磁界データを出力する磁気センサと、検査対象物表面の、前記検出コイルより面積が大きい領域からの磁界を前記検出コイルに集束する磁界集束部と、前記測定磁界データに基づいて、前記検査対象物表面からの磁界を求めるデータ処理部と、を備える。
【解決手段】 検出コイルを含み、当該検出コイルによって検出される磁界に応じた測定磁界データを出力する磁気センサと、検査対象物表面の、前記検出コイルより面積が大きい領域からの磁界を前記検出コイルに集束する磁界集束部と、前記測定磁界データに基づいて、前記検査対象物表面からの磁界を求めるデータ処理部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非破壊検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物を物理的に破壊することなく、きずや欠陥などの不連続部を検出する非破壊検査技術として、検査対象物表面からの磁界(磁場)を磁気センサによって測定するものが知られている。例えば、磁気センサとして、高感度のFG(Flux-Gate:フラックスゲート)センサやMI(Magneto-Impedance:磁気インピーダンス)センサ、さらに高感度のSQUID(Superconducting QUantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)などを用いて、検査対象物の内部や表面の不連続部に起因する漏洩磁束を測定することによって、当該不連続部を検出することができる。
【0003】
また、コイルから発生する磁界によって検査対象物に渦電流を誘導し、当該渦電流によって発生する磁界を測定して検査対象物の不連続部を検出する、渦電流探傷試験(渦流探傷試験)と呼ばれる非破壊検査方法(以下、渦電流法と称する)も一般に知られている。例えば、特許文献1では、当該渦電流法によって測定された磁界の各周波数成分の振幅を算出し、異なる周波数成分の振幅間で差分を計算することによって、磁気センサと検査対象物との距離の変化による影響を低減することができる非破壊検査装置が開示されている。
【0004】
ところで、上記のような非破壊検査装置は、固定された磁気センサのセンサ面に対して略平行に検査対象物側を移動させる走査方式のものと、固定された検査対象物表面に対して略平行に磁気センサ側を移動させる走査方式のものとに大別することができる。そして、例えば電力設備などのように、検査対象物が大型構造物である場合には、一般に、磁気センサ側の走査方式が採用される。例えば、特許文献2では、多軸ロボットを用いて磁気センサを走査することによって、磁気センサと検査対象物との距離および角度を一定に保つ非破壊検査装置・方法が開示されている。
【0005】
このようにして、検査対象物側または磁気センサ側を走査し、検査対象物表面からの磁界を測定することによって、検査対象物の不連続部を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−149212号公報
【特許文献2】特開2006−329632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、検査対象物表面からの磁界を測定して検査対象物の不連続部を検出する、一般的な非破壊検査装置の構成の一例を図13に示す。
図13に示されている一般的な非破壊検査装置において、センサ部1は、例えばSQUIDなどを備えており、検出コイル11が接続されて磁気センサを構成している。また、当該非破壊検査装置は、検査対象物9側または検出コイル11側を走査するが、いずれの場合も、検査対象物9全体の検査時間を短縮するためには、走査回数を減らす必要がある。
【0008】
しかしながら、走査回数を減らすためには、1つの測定箇所(検査対象物9表面に対する検出コイル11の水平位置)における測定範囲を大きくすることとなり、検出コイル11の面積を大きくする必要がある。そのため、検出コイル11側を走査する場合には、検出コイル11を含む走査ユニット(不図示)が大きくなり、可搬性が悪くなる。また、検出コイル11が特にSQUIDに接続されている場合には、検出コイル11を冷却する必要があるため、非破壊検査装置のコストの上昇を招くこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決する主たる本発明は、検出コイルを含み、当該検出コイルによって検出される磁界に応じた測定磁界データを出力する磁気センサと、検査対象物表面の、前記検出コイルより面積が大きい領域からの磁界を前記検出コイルに集束する磁界集束部と、前記測定磁界データに基づいて、前記検査対象物表面からの磁界を求めるデータ処理部と、を備えることを特徴とする非破壊検査装置である。
【0010】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検出コイルの面積を大きくすることなく、検査対象物全体の検査時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1(第4および第5)実施形態における非破壊検査装置の構成(の概略)を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1(第4および第5)実施形態における非破壊検査装置の構成(の概略)を示す側面図である。
【図3】本発明の第2実施形態における非破壊検査装置の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態における非破壊検査装置の構成を示す側面図である。
【図5】本発明の第3(第6および第7)実施形態における非破壊検査装置の構成(の概略)を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3(第6および第7)実施形態における非破壊検査装置の構成(の概略)を示す側面図である。
【図7】本発明の第4実施形態における非破壊検査装置の構成の詳細を示す平面図である。
【図8】本発明の第5実施形態における非破壊検査装置の構成の詳細を示す平面図である。
【図9】本発明の第5実施形態における検査対象物表面からの磁界の領域ごとの分布の算出方法を説明する図である。
【図10】本発明の第6実施形態における非破壊検査装置の構成の詳細を示す平面図である。
【図11】本発明の第7実施形態における非破壊検査装置の構成の詳細を示す平面図である。
【図12】本発明の第7実施形態における検査対象物表面からの磁界の領域ごとの分布の算出方法を説明する図である。
【図13】一般的な非破壊検査装置の構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0014】
<第1実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、図1および図2は、それぞれ非破壊検査装置の構成を示す斜視図および側面図である。
【0015】
図1および図2に示されている非破壊検査装置は、検査対象物9の内部や表面の不連続部91を検出するための装置であり、センサ部1、検出コイル11、データ処理部2、および集束磁性体4を含んで構成されている。
【0016】
センサ部1は、検出コイル11が接続されて磁気センサを構成している。また、センサ部1から出力される測定磁界データHqは、データ処理部2に入力されている。
集束磁性体4(磁界集束部)は、保磁力が小さく透磁率が大きい軟磁性材料を成形したものであり、検査対象物9表面と対向する側の周長が検出コイル11と対向する側の周長より長くなるよう、例えば円錐台の外形を有している。また、軟磁性材料としては、例えばパーマロイやセンダストなどが用いられる。そして、検出コイル11および集束磁性体4は、互いに平行となるように配置されており、さらに、それぞれの中心を通る垂線が一致するように配置することが望ましい。
【0017】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、本実施形態において、センサ部1は、検査対象物9の不連続部91に起因する漏洩磁束H1を測定するのに十分な感度を有しているものとする。本実施形態では、一例として、センサ部1がSQUIDを備えている場合について説明する。
【0018】
本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル11側のいずれを走査してもよい。検査対象物9側を走査する場合には、検出コイル11は固定されており、検査対象物9は、検出コイル11のコイル面に対して略平行に移動する。この場合の検査対象物9の移動方向は、図1において、x0方向およびy0方向の矢印で示されている。一方、検出コイル11側を走査する場合には、検査対象物9は固定されており、検出コイル11は、検査対象物9表面に対して略平行に移動する。この場合の検出コイル11の移動方向は、図1において、x1方向およびy1方向の矢印で示されている。なお、検出コイル11側を走査する場合でも、検出コイル11と集束磁性体4との位置関係が変化しないように構成されているものとする。
【0019】
検出コイル11は、不連続部91に起因する検査対象物9表面からの磁界(漏洩磁束H1)を検出する。例えば、漏洩磁束H1は、オーステナイト系ステンレス鋼に応力が加わり、マルテンサイト変態が生じることによって発生する。そのため、本実施形態の非破壊検査装置は、初期段階の小さなきずや欠陥などを、検査対象物9に対する悪影響が顕在化する前に検出することができる。
【0020】
センサ部1は、検出コイル11の位置における磁界の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHqを出力する。したがって、測定磁界データHqは、検査対象物9表面に対する検出コイル11の垂直位置における、漏洩磁束H1の強さまたは磁束密度に応じて出力される。
【0021】
ここで、軟磁性材料製の集束磁性体4は、図1および図2に示されているように、検査対象物9表面の、検出コイル11より面積が大きい領域からの磁界を、検出コイル11に集束することができる。したがって、センサ部1は、検出コイル11の面積より広い範囲の漏洩磁束H1を測定することができる。なお、本実施形態の非破壊検査装置は、センサ部1がSQUIDを備えることによって、不連続部91に起因する微弱な漏洩磁束H1も測定することができる。
【0022】
データ処理部2は、測定磁界データHqに基づいて、各測定箇所における漏洩磁束H1の分布を算出する。
【0023】
このようにして、各測定箇所において、漏洩磁束H1の分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。
【0024】
<第2実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図3および図4を参照して、本発明の第2の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、図3および図4は、それぞれ非破壊検査装置の構成を示す斜視図および側面図である。
【0025】
図3および図4に示されている非破壊検査装置は、渦電流法を用いる非破壊検査装置であり、第1実施形態の非破壊検査装置に対して、交流電流供給部3および励磁コイル31をさらに含んで構成されている。
【0026】
交流電流供給部3は、励磁コイル31が接続されて磁界発生部を構成している。また、検出コイル11、集束磁性体4、および励磁コイル31は、互いに平行となるように配置されており、さらに、それぞれの中心を通る垂線が一致するように配置することが望ましい。そして、交流電流供給部3から出力される(第1の)交流電流I1は、励磁コイル31に供給されている。
【0027】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、本実施形態において、センサ部1は、渦電流によって発生する磁界H2を測定するのに十分な感度を有しているものとする。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、一例として、センサ部1がSQUIDを備えている場合について説明する。
【0028】
第1実施形態と同様に、本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル11側のいずれを走査してもよい。なお、検出コイル11側を走査する場合でも、検出コイル11と、集束磁性体4および励磁コイル31との位置関係が変化しないように構成されているものとする。
【0029】
交流電流供給部3は、励磁コイル31に交流電流I1を供給して交流磁界(以下、交流磁界H31と称する)を発生させ、検査対象物9に渦電流を誘導する。また、検出コイル11は、当該渦電流によって発生する磁界H2を検出する。
【0030】
第1実施形態の非破壊検査装置と同様に、センサ部1は、検出コイル11の位置における磁界の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHqを出力する。したがって、測定磁界データHqは、検査対象物9表面に対する検出コイル11の垂直位置における、渦電流によって発生する磁界H2の強さまたは磁束密度に応じて出力される。また、センサ部1は、集束磁性体4を用いて、検出コイル11の面積より広い範囲の渦電流によって発生する磁界H2を測定することができる。そのため、本実施形態の非破壊検査装置では、検出コイル11の面積を励磁コイル31より小さくすることができる。
【0031】
データ処理部2は、測定磁界データHqに基づいて、各測定箇所における渦電流によって発生する磁界H2の分布を算出する。ここで、検査対象物9に不連続部91が存在すると、不連続部91によって渦電流に乱れが生じ、当該渦電流によって発生する磁界H2が弱くなるため、測定磁界データHqの値は減少する。そのため、算出される磁界分布は、検査対象物9の内部や表面における不連続部91の分布を間接的に示している。
【0032】
なお、交流電流供給部3が供給する交流電流I1の周波数を高くし、交流磁界H31の周波数を高くすると、表皮効果によって検査対象物9の略表面のみに渦電流が誘導され、検査対象物9表面の不連続部91を検出することができる。反対に、周波数を低くすると、表皮深さが大きくなるため、検査対象物9内部の不連続部91を検出することができるようになる。また、当該交流電流I1および交流磁界H31は、複数の周波数成分を含んでいてもよい。
【0033】
このようにして、各測定箇所において、渦電流によって発生する磁界H2の分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。
【0034】
<第3実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図5および図6を参照して、本発明の第3の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、図5および図6は、それぞれ非破壊検査装置の構成を示す斜視図および側面図である。
【0035】
図5および図6に示されている非破壊検査装置は、渦電流法を用いる非破壊検査装置であり、第2実施形態の非破壊検査装置に対して、集束磁性体4の代わりに集束コイル39を含んで構成されている。
【0036】
集束コイル39(磁界集束部)は、面積が励磁コイル31より小さく、交流電流供給部3に接続されている。また、検出コイル11、集束コイル39、および励磁コイル31は、互いに平行となるように配置されており、さらに、それぞれの中心を通る垂線が一致するように配置することが望ましい。そして、交流電流供給部3から出力される(第2の)交流電流I2は、集束コイル39に供給されている。
【0037】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、第2実施形態と同様に、本実施形態においても、センサ部1は、SQUIDを用いて渦電流によって発生する磁界H2を測定するものとする。
【0038】
第2実施形態と同様に、本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル11側のいずれを走査してもよい。なお、検出コイル11側を走査する場合でも、検出コイル11と、集束コイル39および励磁コイル31との位置関係が変化しないように構成されているものとする。
【0039】
第2実施形態の非破壊検査装置と同様に、交流電流供給部3は、励磁コイル31に交流電流I1を供給して交流磁界H31を発生させ、検査対象物9に渦電流を誘導する。また、検出コイル11は、当該渦電流によって発生する磁界H2を検出する。さらに、センサ部1は、検出コイル11の位置における、渦電流によって発生する磁界H2の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHqを出力する。
【0040】
交流電流供給部3から集束コイル39には、交流電流I1に同期する交流電流I2が供給され、集束コイル39は、交流磁界H31に同期する同方向の交流磁界(以下、交流磁界H39と称する)を発生する。なお、交流電流I2は、集束コイル39の巻き方向が励磁コイル31と同一方向である場合には、交流電流I1と同相となり、反対方向である場合には、交流電流I1と逆相となる。
【0041】
ここで、渦電流によって発生する磁界H2は、当該渦電流の原因となった交流磁界H31の変化を妨げる方向に発生しているため、交流磁界H31と同方向の交流磁界H39との間に引力が働く。また、集束コイル39は、面積が励磁コイル31より小さいため、図5および図6に示されているように、検査対象物9表面の、検出コイル11より面積が大きい領域からの磁界を、検出コイル11に集束することができる。したがって、第2実施形態の非破壊検査装置と同様に、センサ部1は、検出コイル11の面積より広い範囲の渦電流によって発生する磁界H2を測定することができる。
【0042】
第2実施形態の非破壊検査装置と同様に、データ処理部2は、測定磁界データHqに基づいて、各測定箇所における渦電流によって発生する磁界H2の分布を算出する。
【0043】
このようにして、各測定箇所において、渦電流によって発生する磁界H2の分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。
【0044】
<第4実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図7を参照して、本発明の第4の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、本実施形態における非破壊検査装置の構成の概略は、第1実施形態と同様に、図1および図2に示されている。また、図7は、非破壊検査装置のうち、特にセンサ部1および検出コイル11の構成の詳細を示す平面図である。
【0045】
図7に示されているように、本実施形態の非破壊検査装置において、センサ部1は、9個のセンサ部1aないし1iからなるセンサ部群(以下、センサ部群1と称する)となっている。また、検出コイル11は、9個の検出コイル11aないし11iからなる検出コイル群(以下、検出コイル群11と称する)となっている。
【0046】
検出コイル11aないし11iは、略同一の矩形(正方形または長方形)コイルであり、3行3列の行列状に隣接して平面的に配置され、それぞれ略同一の矩形領域AないしIを形成している。また、センサ部1aないし1iは、それぞれ検出コイル11aないし11iが接続されて9個の磁気センサを構成している。そして、センサ部1aないし1iからそれぞれ出力される測定磁界データHaないしHiは、いずれもデータ処理部2に入力されている。
【0047】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、本実施形態において、センサ部1aないし1iは、それぞれ漏洩磁束H1を測定するのに十分な感度を有しているものとする。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、一例として、各センサ部がSQUIDを備えている場合について説明する。
【0048】
第1実施形態と同様に、本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル群11側のいずれを走査してもよい。また、検出コイル11aないし11iは、それぞれ不連続部91に起因する漏洩磁束H1を検出する。
【0049】
センサ部1aないし1iは、それぞれ検出コイル11aないし11iの位置における磁界の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHaないしHiを出力する。また、第1実施形態の非破壊検査装置と同様に、センサ部群1は、集束磁性体4を用いて、検出コイル群11の面積より広い範囲の漏洩磁束H1を測定することができる。
【0050】
したがって、当該測定範囲のうち、矩形領域AないしIに対応する領域をそれぞれ測定領域A’ないしI’とすると、測定磁界データHaないしHiは、それぞれ測定領域A’ないしI’からの漏洩磁束H1の強さまたは磁束密度に応じて出力される。なお、検出コイル群11に対応する測定範囲全体のサイズは、図7において長破線で示されている。
【0051】
データ処理部2は、測定磁界データHaないしHiに基づいて、漏洩磁束H1の測定領域A’ないしI’ごとの分布を算出する。
【0052】
このようにして、各測定箇所において、漏洩磁束H1の測定領域A’ないしI’ごとの分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。したがって、それぞれSQUIDを備える9個のセンサ部を用いて、9個の測定領域ごとの磁界分布を算出することができる。
【0053】
また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル群11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。したがって、測定箇所を測定範囲全体のサイズごとに移動させることによって、検査対象物9全体の検査時間が長くなることなく、空間分解能を向上させることができる。以下、このような測定範囲全体のサイズごとに走査する検査工程を、基本検査工程と称する。
【0054】
<第5実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図8を参照して、本発明の第5の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、本実施形態における非破壊検査装置の構成の概略は、第4実施形態と同様に、図1および図2に示されている。また、図8は、非破壊検査装置のうち、特にセンサ部群1および検出コイル群11の構成の詳細を示す平面図である。
【0055】
本実施形態の非破壊検査装置では、図8に示されているように、センサ部群1は、4個のセンサ部1rないし1uを含んでおり、検出コイル群11は、4個の検出コイル11rないし11uを含んでいる。
【0056】
検出コイル11rないし11uは、略同一の矩形コイルであり、隣接する2つの検出コイル同士、すなわち、検出コイル11rと11s、11rと11t、11sと11u、および11tと11uは、互いに略2分の1ずつ重なって配置されている。ここで、図8に示すように、各検出コイルを2a×2aのサイズの矩形(正方形)コイルとすると、検出コイル11rないし11uは、略a×aのサイズの矩形(正方形)領域AないしIを形成する。したがって、略同一の4個の矩形コイルによって、当該矩形コイルの略4分の1の面積を有する9個の矩形領域が形成され、1個の検出コイル当たり平均(9÷4=)2.25個の領域が形成されている。
【0057】
センサ部1rないし1uは、それぞれ検出コイル11rないし11uが接続されて4個の磁気センサを構成している。また、センサ部1rないし1uからそれぞれ出力される測定磁界データHrないしHuは、いずれもデータ処理部2に入力されている。
【0058】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、第4実施形態と同様に、本実施形態においても、各センサ部は、SQUIDを用いて漏洩磁束H1を測定するものとする。
【0059】
第4実施形態と同様に、本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル群11側のいずれを走査してもよい。また、検出コイル11rないし11uは、それぞれ不連続部91に起因する漏洩磁束H1を検出する。
【0060】
センサ部1rないし1uは、それぞれ検出コイル11rないし11uの位置における磁界の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHrないしHuを出力する。また、第4実施形態の非破壊検査装置と同様に、センサ部群1は、集束磁性体4を用いて、検出コイル群11の面積より広い範囲の漏洩磁束H1を測定することができる。
【0061】
したがって、当該測定範囲のうち、矩形領域AないしIに対応する領域をそれぞれ測定領域A’ないしI’とすると、測定磁界データHrは、測定領域A’、B’、D’、およびE’からの漏洩磁束H1の強さまたは磁束密度に応じて出力される。同様に、測定磁界データHsは、測定領域B’、C’、E’、およびF’から、測定磁界データHtは、測定領域D’、E’、G’、およびH’から、測定磁界データHuは、測定領域E’、F’、H’、およびI’からの漏洩磁束H1に応じて、それぞれ出力される。なお、検出コイル群11に対応する測定範囲全体のサイズは、図8において長破線で示されている。
【0062】
データ処理部2は、測定磁界データHrないしHuに基づいて、漏洩磁束H1の測定領域A’ないしI’ごとの分布を算出する。なお、本実施形態における磁界分布の算出方法についての詳細な説明は後述する。
【0063】
このようにして、各測定箇所において、漏洩磁束H1の測定領域A’ないしI’ごとの分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル群11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。
【0064】
===磁界分布の算出方法===
以下、図8および図9を参照して、本実施形態における磁界分布の算出方法について説明する。
【0065】
前述したように、本実施形態の非破壊検査装置は、各センサ部がSQUIDを備えているため、不連続部91に起因する微弱な漏洩磁束H1も測定することができる。したがって、本実施形態の非破壊検査装置は、初期段階の小さな不連続部を、検査対象物9に対する悪影響が顕在化する前に検出することができ、交換や修理などの対策を適宜実施している場合には、1回の検査において検出される不連続部の個数は通常少ない。そこで、まず、漏洩磁束H1を発生する不連続部の個数が、1つの測定箇所において1個以下の場合について説明する。
【0066】
図9は、測定磁界データの値が1(図9において、「+1」と記載)となるような不連続部が、測定領域A’ないしI’のいずれにも存在しない場合(図9において、「なし」と記載)、または何れか1つに1個存在する場合における、測定磁界データHrないしHuの値を示している。
【0067】
例えば、不連続部が測定領域A’に1個存在する場合には、Hr=1,Hs=Ht=Hu=0となる。また、例えば、不連続部が測定領域E’に1個存在する場合には、Hr=Hs=Ht=Hu=1となる。さらに、例えば、不連続部が測定領域F’に1個存在する場合には、Hr=Ht=0,Hs=Hu=1となる。
【0068】
図9から明らかなように、測定磁界データHrないしHuに基づいて、不連続部が存在する矩形領域を識別することができる。したがって、4個のセンサ部を用いて、センサ部の個数より多い9個の矩形領域ごとの磁界分布を算出することができるため、各センサ部が備えるSQUIDの個数を抑えることができる。また、測定範囲全体のサイズごとに走査する基本検査工程において、検査対象物9全体の検査時間が長くなることなく、空間分解能を向上させることができる。
【0069】
次に、漏洩磁束H1を発生する不連続部の個数が、1つの測定箇所において2個以上の場合について説明する。
複数の不連続部が存在する場合における各測定磁界データの値は、図9の各矩形領域における値(0または+1)を不連続部の個数分だけ加算すればよい。
例えば、不連続部が測定領域D’およびE’に1個ずつ存在する場合、Hr=Ht=1+1=2,Hs=Hu=0+1=1となる。
【0070】
また、例えば、不連続部が測定領域B’およびH’に1個ずつ存在する場合には、Hr=Hs=Ht=Hu=1となる。この場合、不連続部が測定領域E’に1個存在する場合と区別することができないが、測定箇所をy0(y1)方向に測定領域1個分だけ移動させることによって、両者を区別することが可能となる。当該移動によって、移動前に不連続部が測定領域B’およびH’に1個ずつ存在した場合には、移動後には不連続部が測定領域E’に1個存在することとなる。一方、移動前に不連続部が測定領域E’に1個存在した場合には、移動後には不連続部が測定領域B’に1個存在することとなる。
【0071】
さらに、同様に、不連続部が測定領域D’およびF’に1個ずつ存在する場合と、測定領域E’に1個存在する場合とは、測定箇所をx0(x1)方向に測定領域1個分だけ移動させることによって、両者を区別することができる。
【0072】
このようにして、測定箇所をx0(x1)方向またはy0(y1)方向に測定領域1個分だけ移動させることによって、複数の不連続部が存在する場合についても区別することがより望ましい。なお、このような細かい移動を検査対象物9全体に対して行う必要はなく、基本検査工程において測定磁界データHrないしHuの複数が0でなかった測定箇所に対してのみ、追加的に行えば十分である。したがって、検査対象物9全体の検査時間が大幅に長くなることはない。以下、このような測定領域1個分だけ移動させる検査工程を、追加検査工程と称する。
【0073】
<第6実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図10を参照して、本発明の第6の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、本実施形態における非破壊検査装置の構成の概略は、第2実施形態と同様に、図3および図4に示されている。また、図10は、非破壊検査装置のうち、特に交流電流供給部3および励磁コイル31の構成の詳細を示す平面図であり、集束磁性体4のうち、検査対象物9表面と対向する側の形状のみを示している。
【0074】
図10に示されているように、本実施形態の非破壊検査装置において、励磁コイル31は、9個の励磁コイル31aないし31iからなる励磁コイル群(以下、励磁コイル群31と称する)となっている。
【0075】
交流電流供給部3は、例えば交流発生部32、DEMUX(デマルチプレクサ)33、およびカウンタ34を含んで構成されている。交流発生部32から出力される交流電流I1は、DEMUX33のデータ入力に入力されている。また、カウンタ34から出力されるカウント値CNは、DEMUX33の選択制御入力に入力されるとともに、データ処理部2にも入力されている。さらに、DEMUX33の選択制御入力の値に対応する9つの出力には、それぞれ励磁コイル31aないし31iが接続されている。そして、励磁コイル31aないし31iは、略同一の矩形コイルであり、3行3列の行列状に隣接して平面的に配置され、それぞれ略同一の矩形領域AないしIを形成している。
【0076】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、第2実施形態と同様に、本実施形態においても、センサ部1は、SQUIDを用いて渦電流によって発生する磁界H2を測定するものとする。
第2実施形態と同様に、本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル11側のいずれを走査してもよい。
【0077】
交流電流供給部3のカウンタ34は、順次カウントアップまたは順次カウントダウンし、カウント値CNを出力する。本実施形態では、カウンタ34は、例えば4ビットのバイナリカウンタであり、カウント値CNが0から8まで(2進数で0000から1000まで)順次増加、または8から0まで順次減少する。また、DEMUX33は、カウント値CNに応じて励磁コイル31aないし31iのうちの何れか1つを順次選択し、当該選択されている励磁コイルに、交流発生部32が発生する交流電流I1を供給する。したがって、交流電流供給部3は、励磁コイル31aないし31iに交流電流I1を順次供給して、それぞれ矩形領域AないしIに交流磁界を順次発生させ、検査対象物9に渦電流を誘導する。
【0078】
第2実施形態の非破壊検査装置と同様に、検出コイル11は、当該渦電流によって発生する磁界H2を検出する。また、センサ部1は、検出コイル11の位置における磁界の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHqを出力する。さらに、センサ部1は、集束磁性体4を用いて、検出コイル11の面積より広い範囲の渦電流によって発生する磁界H2を測定することができる。したがって、測定磁界データHqは、渦電流によって矩形領域AないしIに順次発生する磁界H2の強さまたは磁束密度に応じて出力される。
【0079】
データ処理部2は、測定磁界データHqと、DEMUX33において選択されている励磁コイルを示すカウント値CNとに基づいて、渦電流によって発生する磁界H2の矩形領域AないしIごとの分布を算出する。
【0080】
このようにして、各測定箇所において、渦電流によって発生する磁界H2の矩形領域AないしIごとの分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。したがって、SQUIDを備える1個のセンサ部を用いて、9個の矩形領域ごとの磁界分布を算出することができる。
【0081】
また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。したがって、測定範囲全体のサイズ、すなわち、励磁コイル群31全体のサイズごとに走査する基本検査工程において、検査対象物9全体の検査時間が長くなることなく、空間分解能を向上させることができる。
【0082】
<第7実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図11を参照して、本発明の第7の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、本実施形態における非破壊検査装置の構成の概略は、第6実施形態と同様に、図3および図4に示されている。また、図11は、非破壊検査装置のうち、特に交流電流供給部3および励磁コイル群31の構成の詳細を示す平面図であり、集束磁性体4のうち、検査対象物9表面と対向する側の形状のみを示している。
【0083】
本実施形態の非破壊検査装置では、図11に示されているように、励磁コイル群31は、4個の励磁コイル31rないし31uを含んでいる。
【0084】
第6実施形態の非破壊検査装置と同様に、交流電流供給部3は、例えば交流発生部32、DEMUX33、およびカウンタ34を含んで構成されている。交流発生部32から出力される交流電流I1は、DEMUX33のデータ入力に入力されている。また、カウンタ34から出力されるカウント値CNは、DEMUX33の選択制御入力に入力されるとともに、データ処理部2にも入力されている。さらに、DEMUX33の選択制御入力の値に対応する4つの出力には、それぞれ励磁コイル31rないし31uが接続されている。
【0085】
励磁コイル31rないし31uは、略同一の矩形コイルであり、隣接する2つの励磁コイル同士、すなわち、励磁コイル31rと31s、31rと31t、31sと31u、および31tと31uは、互いに略2分の1ずつ重なって配置されている。ここで、図11に示すように、各励磁コイルを2b×2bのサイズの矩形(正方形)コイルとすると、励磁コイル31rないし31uは、略b×bのサイズの矩形(正方形)領域AないしIを形成する。したがって、略同一の4個の矩形コイルによって、当該矩形コイルの略4分の1の面積を有する9個の矩形領域が形成され、1個の励磁コイル当たり平均(9÷4=)2.25個の領域が形成されている。
【0086】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、第6実施形態と同様に、本実施形態においても、センサ部1は、SQUIDを用いて渦電流によって発生する磁界H2を測定するものとする。
第6実施形態と同様に、本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル11側のいずれを走査してもよい。
【0087】
交流電流供給部3のカウンタ34は、順次カウントアップまたは順次カウントダウンし、カウント値CNを出力する。本実施形態では、カウンタ34は、例えば2ビットのバイナリカウンタであり、カウント値CNが0から3まで(2進数で00から11まで)順次増加、または3から0まで順次減少する。また、DEMUX33は、カウント値CNに応じて励磁コイル31rないし31uのうちの何れか1つを順次選択し、当該選択されている励磁コイルに、交流発生部32が発生する交流電流I1を供給する。
【0088】
したがって、交流電流供給部3は、励磁コイル31rないし31uに交流電流I1を順次供給して、交流磁界を順次発生させ、検査対象物9に渦電流を誘導する。なお、励磁コイル31rに交流電流I1が供給されている間、交流磁界は矩形領域A、B、D、およびEに発生する。また、励磁コイル31sに交流電流I1が供給されている間、交流磁界は矩形領域B、C、E、およびFに発生する。さらに、励磁コイル31tに交流電流I1が供給されている間、交流磁界は矩形領域D、E、G、およびHに発生する。そして、励磁コイル31uに交流電流I1が供給されている間、交流磁界は矩形領域E、F、H、およびIに発生する。
【0089】
第6実施形態の非破壊検査装置と同様に、検出コイル11は、渦電流によって発生する磁界H2を検出する。また、センサ部1は、検出コイル11の位置における磁界の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHqを出力する。さらに、センサ部1は、集束磁性体4を用いて、検出コイル11の面積より広い範囲の渦電流によって発生する磁界H2を測定することができる。
【0090】
データ処理部2は、測定磁界データHqと、DEMUX33において選択されている励磁コイルを示すカウント値CNとに基づいて、渦電流によって発生する磁界H2の矩形領域AないしIごとの分布を算出する。なお、本実施形態における磁界分布の算出方法についての詳細な説明は後述する。
【0091】
このようにして、各測定箇所において、渦電流によって発生する磁界H2の矩形領域AないしIごとの分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。したがって、SQUIDを備える1個のセンサ部を用いて、9個の矩形領域ごとの磁界分布を算出することができる。
【0092】
また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。
【0093】
===磁界分布の算出方法===
以下、図11および図12を参照して、本実施形態における磁界分布の算出方法について説明する。
【0094】
前述したように、本実施形態の非破壊検査装置は、センサ部1がSQUIDを備えているため、渦電流によって発生する微弱な磁界H2も測定することができる。したがって、本実施形態の非破壊検査装置は、初期段階の小さな不連続部を、検査対象物9に対する悪影響が顕在化する前に検出することができ、交換や修理などの対策を適宜実施している場合には、1回の検査において検出される不連続部の個数は通常少ない。そこで、まず、渦電流に乱れが生じるような不連続部の個数が、1つの測定箇所において1個以下の場合について説明する。
【0095】
図12は、不連続部が矩形領域AないしIのいずれにも存在しない場合(図12において、「なし」と記載)、または何れか1つに1個存在する場合において、各励磁コイルに交流電流I1が流れている間の測定磁界データHqの値およびその減少分を示している。なお、図12においては、説明の便宜上、渦電流によって測定磁界データHqの値が4(矩形領域当たり1)となるような磁界H2が発生し、不連続部が存在する矩形領域にはまったく渦電流が流れないものとしている。また、図12の各上段の(括弧が付いていない)値は、不連続部による測定磁界データHqの値の減少分を示しており、この場合の測定磁界データHqの値は、図12の各下段の(括弧が付いている)式のように求めることができる。
【0096】
例えば、不連続部が矩形領域Aに1個存在する場合には、励磁コイル31rに交流電流I1が流れている間のみ、測定磁界データHqの値が1個の矩形領域に相当する1だけ減少(図12において、「−1」と記載)し、Hq=4−1=3となる。また、例えば、不連続部が矩形領域Eに1個存在する場合には、いずれも、測定磁界データHqの値が1だけ減少し、Hq=4−1=3となる。さらに、例えば、不連続部が矩形領域Fに1個存在する場合には、励磁コイル31sまたは31uに交流電流I1が流れている間のみ、測定磁界データHqの値が1だけ減少し、Hq=4−1=3となる。
【0097】
図12から明らかなように、測定磁界データHqと、交流電流I1が流れている励磁コイルを示すカウント値CNとに基づいて、不連続部が存在する矩形領域を識別することができる。また、測定範囲全体のサイズ、すなわち、励磁コイル群31全体のサイズ(略3b×3b)ごとに走査する基本検査工程において、検査対象物9全体の検査時間が長くなることなく、空間分解能を向上させることができる。なお、本実施形態の非破壊検査装置は、用いる励磁コイルの個数(4個)が矩形領域の個数(9個)より少なくなっているため、交流電流供給部3および励磁コイル群31間を容易に配線することができる。
【0098】
次に、渦電流に乱れが生じるような不連続部の個数が、1つの測定箇所において2個以上の場合について説明する。
【0099】
複数の不連続部が存在する場合における、不連続部による各測定磁界データの値の減少分は、図12の各矩形領域における値(0または−1)を不連続部の個数分だけ加算すればよい。
例えば、不連続部が矩形領域DおよびEに1個ずつ存在する場合、励磁コイル31rまたは31tに交流電流I1が流れている間には、測定磁界データHqの値が2だけ減少し、Hq=4−2=2となる。また、励磁コイル31sまたは31uに交流電流I1が流れている間には、測定磁界データHqの値が1だけ減少し、Hq=4−1=3となる。
【0100】
また、例えば、不連続部が矩形領域BおよびHに1個ずつ存在する場合には、いずれも、測定磁界データHqの値が1だけ減少し、Hq=4−1=3となる。この場合、不連続部が矩形領域Eに1個存在する場合と区別することができないが、測定箇所をy0(y1)方向に距離bだけ、すなわち、矩形領域1個分だけ移動させることによって、両者を区別することが可能となる。当該移動によって、移動前に不連続部が矩形領域BおよびHに1個ずつ存在した場合には、移動後には不連続部が矩形領域Eに1個存在することとなる。一方、移動前に不連続部が矩形領域Eに1個存在した場合には、移動後には不連続部が矩形領域Bに1個存在することとなる。
【0101】
さらに、同様に、不連続部が矩形領域DおよびFに1個ずつ存在する場合と、矩形領域Eに1個存在する場合とは、測定箇所をx0(x1)方向に矩形領域1個分だけ移動させることによって、両者を区別することができる。
【0102】
このようにして、測定箇所をx0(x1)方向またはy0(y1)方向に矩形領域1個分だけ移動させる追加検査工程によって、複数の不連続部が存在する場合についても区別することがより望ましい。なお、当該追加検査工程は、基本検査工程において測定磁界データHqの値の減少分が複数の励磁コイルについて0でなかった測定箇所に対してのみ、追加的に行えば十分である。したがって、検査対象物9全体の検査時間が大幅に長くなることはない。
【0103】
前述したように、検査対象物9表面の、検出コイル11より面積が大きい領域からの磁界を、磁界集束部を用いて検出コイル11に集束することによって、非破壊検査装置は、検出コイル11の面積を大きくすることなく、より広い範囲の磁界を測定することができ、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。
【0104】
また、図7に示したように、検出コイルをそれぞれ含む複数の磁気センサを用いて、検査対象物9表面からの磁界の、検出コイルによって形成される領域ごとの分布を算出することによって、検査対象物9全体の検査時間が長くなることなく、空間分解能を向上させることができる。
【0105】
また、図8に示したように、検出コイル群11に含まれる複数の検出コイルの一部を重ねて配置することによって、略同一面積の領域を検出コイルの個数より多く形成でき、より少ない個数の磁気センサで空間分解能を向上させることができる。
【0106】
また、励磁コイル31に交流電流I1を供給して、検査対象物9に渦電流を誘導する交流磁界を発生させ、当該渦電流によって発生する磁界H2を検出することによって、渦電流法を用いる非破壊検査装置を構成することができる。
【0107】
また、図10に示したように、励磁コイル群31に含まれる複数の励磁コイルのうちの何れか1つを順次選択し、当該選択されている励磁コイルに交流電流I1を供給して、検査対象物9に渦電流を誘導する交流磁界を発生させ、当該渦電流によって発生する磁界H2の、励磁コイルによって形成される領域ごとの分布を算出することによって、磁気センサの個数を増加させることなく、空間分解能を向上させることができる。
【0108】
また、図11に示したように、励磁コイル群31に含まれる複数の励磁コイルの一部を重ねて配置することによって、用いる励磁コイルの個数が領域の個数より少なくなり、交流電流供給部3および励磁コイル群31間を容易に配線することができる。
【0109】
また、磁界集束部として、軟磁性材料を成形した集束磁性体4を用いることによって、検査対象物9表面からの磁界を検出コイル11に集束することができる。
【0110】
また、集束磁性体4は、検査対象物9表面と対向する側の周長を検出コイル11と対向する側の周長より長くすることによって、検査対象物9表面の、検出コイル11より面積が大きい領域からの磁界を検出コイル11に集束することができる。
【0111】
また、集束磁性体4は、円錐台の外形を有することによって、磁界集束部として好適な形状とすることができる。
【0112】
また、磁界集束部として、交流電流I1に同期する交流電流I2が供給される集束コイル39を用いることによって、渦電流によって発生する磁界H2を検出コイル11に集束することができる。
【0113】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0114】
上記実施形態では、センサ部がSQUIDを備える場合について説明したが、これに限定されるものではない。センサ部は、SQUID以外にFGセンサやMIセンサを備えていてもよい。
【0115】
上記第4および第5実施形態では、第1実施形態の非破壊検査装置に対して、複数の検出コイルを有する構成となっているが、これに限定されるものではない。第2および第3実施形態の非破壊検査装置に対しても同様に、複数の検出コイルを有する構成とすることができる。
【0116】
上記第5実施形態では、検出コイル群11全体のサイズと、各検出コイルによって形成される略同一面積の領域の合計サイズとが等しくなっているが、これに限定されるものではない。検出コイル群11は、略同一面積の領域以外の不使用領域を含むように各検出コイルを配置してもよい。
【0117】
上記第6および第7実施形態では、第2実施形態の非破壊検査装置に対して、複数の励磁コイルを有する構成となっているが、これに限定されるものではない。第3実施形態の非破壊検査装置に対しても同様に、複数の励磁コイルを有する構成とすることができる。
【0118】
上記第7実施形態では、励磁コイル群31全体のサイズと、各励磁コイルによって形成される略同一形状の領域の合計サイズとが等しくなっているが、これに限定されるものではない。励磁コイル群31は、略同一形状の領域以外の不使用領域を含むように各励磁コイルを配置してもよい。
【0119】
上記第4ないし第7実施形態では、検出コイルや励磁コイルとして、矩形コイルが用いられているが、これに限定されるものではない。例えば三角形コイルや正六角形コイルを用いて、これらを隣接して平面的に配置することによっても、検出コイル群11全体や励磁コイル群31全体のコイル面を隙間なく敷き詰めることができる。また、例えば三角形コイルや正六角形コイルを用いて、これらの一部を重ねて配置することによって、検出コイル群11や励磁コイル群31が不使用領域を含まないように配置することもできる。
【符号の説明】
【0120】
1 センサ部(群)
1a〜1i センサ部
1r〜1u センサ部
2 データ処理部
3 交流電流供給部
4 集束磁性体
9 検査対象物
11 検出コイル(群)
11a〜11i 検出コイル
11r〜11u 検出コイル
31 励磁コイル(群)
31a〜31i 励磁コイル
31r〜11u 励磁コイル
32 交流発生部
33 DEMUX(デマルチプレクサ)
34 カウンタ
39 集束コイル
91 不連続部
【技術分野】
【0001】
本発明は、非破壊検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物を物理的に破壊することなく、きずや欠陥などの不連続部を検出する非破壊検査技術として、検査対象物表面からの磁界(磁場)を磁気センサによって測定するものが知られている。例えば、磁気センサとして、高感度のFG(Flux-Gate:フラックスゲート)センサやMI(Magneto-Impedance:磁気インピーダンス)センサ、さらに高感度のSQUID(Superconducting QUantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)などを用いて、検査対象物の内部や表面の不連続部に起因する漏洩磁束を測定することによって、当該不連続部を検出することができる。
【0003】
また、コイルから発生する磁界によって検査対象物に渦電流を誘導し、当該渦電流によって発生する磁界を測定して検査対象物の不連続部を検出する、渦電流探傷試験(渦流探傷試験)と呼ばれる非破壊検査方法(以下、渦電流法と称する)も一般に知られている。例えば、特許文献1では、当該渦電流法によって測定された磁界の各周波数成分の振幅を算出し、異なる周波数成分の振幅間で差分を計算することによって、磁気センサと検査対象物との距離の変化による影響を低減することができる非破壊検査装置が開示されている。
【0004】
ところで、上記のような非破壊検査装置は、固定された磁気センサのセンサ面に対して略平行に検査対象物側を移動させる走査方式のものと、固定された検査対象物表面に対して略平行に磁気センサ側を移動させる走査方式のものとに大別することができる。そして、例えば電力設備などのように、検査対象物が大型構造物である場合には、一般に、磁気センサ側の走査方式が採用される。例えば、特許文献2では、多軸ロボットを用いて磁気センサを走査することによって、磁気センサと検査対象物との距離および角度を一定に保つ非破壊検査装置・方法が開示されている。
【0005】
このようにして、検査対象物側または磁気センサ側を走査し、検査対象物表面からの磁界を測定することによって、検査対象物の不連続部を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−149212号公報
【特許文献2】特開2006−329632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、検査対象物表面からの磁界を測定して検査対象物の不連続部を検出する、一般的な非破壊検査装置の構成の一例を図13に示す。
図13に示されている一般的な非破壊検査装置において、センサ部1は、例えばSQUIDなどを備えており、検出コイル11が接続されて磁気センサを構成している。また、当該非破壊検査装置は、検査対象物9側または検出コイル11側を走査するが、いずれの場合も、検査対象物9全体の検査時間を短縮するためには、走査回数を減らす必要がある。
【0008】
しかしながら、走査回数を減らすためには、1つの測定箇所(検査対象物9表面に対する検出コイル11の水平位置)における測定範囲を大きくすることとなり、検出コイル11の面積を大きくする必要がある。そのため、検出コイル11側を走査する場合には、検出コイル11を含む走査ユニット(不図示)が大きくなり、可搬性が悪くなる。また、検出コイル11が特にSQUIDに接続されている場合には、検出コイル11を冷却する必要があるため、非破壊検査装置のコストの上昇を招くこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決する主たる本発明は、検出コイルを含み、当該検出コイルによって検出される磁界に応じた測定磁界データを出力する磁気センサと、検査対象物表面の、前記検出コイルより面積が大きい領域からの磁界を前記検出コイルに集束する磁界集束部と、前記測定磁界データに基づいて、前記検査対象物表面からの磁界を求めるデータ処理部と、を備えることを特徴とする非破壊検査装置である。
【0010】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検出コイルの面積を大きくすることなく、検査対象物全体の検査時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1(第4および第5)実施形態における非破壊検査装置の構成(の概略)を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1(第4および第5)実施形態における非破壊検査装置の構成(の概略)を示す側面図である。
【図3】本発明の第2実施形態における非破壊検査装置の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態における非破壊検査装置の構成を示す側面図である。
【図5】本発明の第3(第6および第7)実施形態における非破壊検査装置の構成(の概略)を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3(第6および第7)実施形態における非破壊検査装置の構成(の概略)を示す側面図である。
【図7】本発明の第4実施形態における非破壊検査装置の構成の詳細を示す平面図である。
【図8】本発明の第5実施形態における非破壊検査装置の構成の詳細を示す平面図である。
【図9】本発明の第5実施形態における検査対象物表面からの磁界の領域ごとの分布の算出方法を説明する図である。
【図10】本発明の第6実施形態における非破壊検査装置の構成の詳細を示す平面図である。
【図11】本発明の第7実施形態における非破壊検査装置の構成の詳細を示す平面図である。
【図12】本発明の第7実施形態における検査対象物表面からの磁界の領域ごとの分布の算出方法を説明する図である。
【図13】一般的な非破壊検査装置の構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0014】
<第1実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、図1および図2は、それぞれ非破壊検査装置の構成を示す斜視図および側面図である。
【0015】
図1および図2に示されている非破壊検査装置は、検査対象物9の内部や表面の不連続部91を検出するための装置であり、センサ部1、検出コイル11、データ処理部2、および集束磁性体4を含んで構成されている。
【0016】
センサ部1は、検出コイル11が接続されて磁気センサを構成している。また、センサ部1から出力される測定磁界データHqは、データ処理部2に入力されている。
集束磁性体4(磁界集束部)は、保磁力が小さく透磁率が大きい軟磁性材料を成形したものであり、検査対象物9表面と対向する側の周長が検出コイル11と対向する側の周長より長くなるよう、例えば円錐台の外形を有している。また、軟磁性材料としては、例えばパーマロイやセンダストなどが用いられる。そして、検出コイル11および集束磁性体4は、互いに平行となるように配置されており、さらに、それぞれの中心を通る垂線が一致するように配置することが望ましい。
【0017】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、本実施形態において、センサ部1は、検査対象物9の不連続部91に起因する漏洩磁束H1を測定するのに十分な感度を有しているものとする。本実施形態では、一例として、センサ部1がSQUIDを備えている場合について説明する。
【0018】
本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル11側のいずれを走査してもよい。検査対象物9側を走査する場合には、検出コイル11は固定されており、検査対象物9は、検出コイル11のコイル面に対して略平行に移動する。この場合の検査対象物9の移動方向は、図1において、x0方向およびy0方向の矢印で示されている。一方、検出コイル11側を走査する場合には、検査対象物9は固定されており、検出コイル11は、検査対象物9表面に対して略平行に移動する。この場合の検出コイル11の移動方向は、図1において、x1方向およびy1方向の矢印で示されている。なお、検出コイル11側を走査する場合でも、検出コイル11と集束磁性体4との位置関係が変化しないように構成されているものとする。
【0019】
検出コイル11は、不連続部91に起因する検査対象物9表面からの磁界(漏洩磁束H1)を検出する。例えば、漏洩磁束H1は、オーステナイト系ステンレス鋼に応力が加わり、マルテンサイト変態が生じることによって発生する。そのため、本実施形態の非破壊検査装置は、初期段階の小さなきずや欠陥などを、検査対象物9に対する悪影響が顕在化する前に検出することができる。
【0020】
センサ部1は、検出コイル11の位置における磁界の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHqを出力する。したがって、測定磁界データHqは、検査対象物9表面に対する検出コイル11の垂直位置における、漏洩磁束H1の強さまたは磁束密度に応じて出力される。
【0021】
ここで、軟磁性材料製の集束磁性体4は、図1および図2に示されているように、検査対象物9表面の、検出コイル11より面積が大きい領域からの磁界を、検出コイル11に集束することができる。したがって、センサ部1は、検出コイル11の面積より広い範囲の漏洩磁束H1を測定することができる。なお、本実施形態の非破壊検査装置は、センサ部1がSQUIDを備えることによって、不連続部91に起因する微弱な漏洩磁束H1も測定することができる。
【0022】
データ処理部2は、測定磁界データHqに基づいて、各測定箇所における漏洩磁束H1の分布を算出する。
【0023】
このようにして、各測定箇所において、漏洩磁束H1の分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。
【0024】
<第2実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図3および図4を参照して、本発明の第2の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、図3および図4は、それぞれ非破壊検査装置の構成を示す斜視図および側面図である。
【0025】
図3および図4に示されている非破壊検査装置は、渦電流法を用いる非破壊検査装置であり、第1実施形態の非破壊検査装置に対して、交流電流供給部3および励磁コイル31をさらに含んで構成されている。
【0026】
交流電流供給部3は、励磁コイル31が接続されて磁界発生部を構成している。また、検出コイル11、集束磁性体4、および励磁コイル31は、互いに平行となるように配置されており、さらに、それぞれの中心を通る垂線が一致するように配置することが望ましい。そして、交流電流供給部3から出力される(第1の)交流電流I1は、励磁コイル31に供給されている。
【0027】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、本実施形態において、センサ部1は、渦電流によって発生する磁界H2を測定するのに十分な感度を有しているものとする。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、一例として、センサ部1がSQUIDを備えている場合について説明する。
【0028】
第1実施形態と同様に、本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル11側のいずれを走査してもよい。なお、検出コイル11側を走査する場合でも、検出コイル11と、集束磁性体4および励磁コイル31との位置関係が変化しないように構成されているものとする。
【0029】
交流電流供給部3は、励磁コイル31に交流電流I1を供給して交流磁界(以下、交流磁界H31と称する)を発生させ、検査対象物9に渦電流を誘導する。また、検出コイル11は、当該渦電流によって発生する磁界H2を検出する。
【0030】
第1実施形態の非破壊検査装置と同様に、センサ部1は、検出コイル11の位置における磁界の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHqを出力する。したがって、測定磁界データHqは、検査対象物9表面に対する検出コイル11の垂直位置における、渦電流によって発生する磁界H2の強さまたは磁束密度に応じて出力される。また、センサ部1は、集束磁性体4を用いて、検出コイル11の面積より広い範囲の渦電流によって発生する磁界H2を測定することができる。そのため、本実施形態の非破壊検査装置では、検出コイル11の面積を励磁コイル31より小さくすることができる。
【0031】
データ処理部2は、測定磁界データHqに基づいて、各測定箇所における渦電流によって発生する磁界H2の分布を算出する。ここで、検査対象物9に不連続部91が存在すると、不連続部91によって渦電流に乱れが生じ、当該渦電流によって発生する磁界H2が弱くなるため、測定磁界データHqの値は減少する。そのため、算出される磁界分布は、検査対象物9の内部や表面における不連続部91の分布を間接的に示している。
【0032】
なお、交流電流供給部3が供給する交流電流I1の周波数を高くし、交流磁界H31の周波数を高くすると、表皮効果によって検査対象物9の略表面のみに渦電流が誘導され、検査対象物9表面の不連続部91を検出することができる。反対に、周波数を低くすると、表皮深さが大きくなるため、検査対象物9内部の不連続部91を検出することができるようになる。また、当該交流電流I1および交流磁界H31は、複数の周波数成分を含んでいてもよい。
【0033】
このようにして、各測定箇所において、渦電流によって発生する磁界H2の分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。
【0034】
<第3実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図5および図6を参照して、本発明の第3の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、図5および図6は、それぞれ非破壊検査装置の構成を示す斜視図および側面図である。
【0035】
図5および図6に示されている非破壊検査装置は、渦電流法を用いる非破壊検査装置であり、第2実施形態の非破壊検査装置に対して、集束磁性体4の代わりに集束コイル39を含んで構成されている。
【0036】
集束コイル39(磁界集束部)は、面積が励磁コイル31より小さく、交流電流供給部3に接続されている。また、検出コイル11、集束コイル39、および励磁コイル31は、互いに平行となるように配置されており、さらに、それぞれの中心を通る垂線が一致するように配置することが望ましい。そして、交流電流供給部3から出力される(第2の)交流電流I2は、集束コイル39に供給されている。
【0037】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、第2実施形態と同様に、本実施形態においても、センサ部1は、SQUIDを用いて渦電流によって発生する磁界H2を測定するものとする。
【0038】
第2実施形態と同様に、本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル11側のいずれを走査してもよい。なお、検出コイル11側を走査する場合でも、検出コイル11と、集束コイル39および励磁コイル31との位置関係が変化しないように構成されているものとする。
【0039】
第2実施形態の非破壊検査装置と同様に、交流電流供給部3は、励磁コイル31に交流電流I1を供給して交流磁界H31を発生させ、検査対象物9に渦電流を誘導する。また、検出コイル11は、当該渦電流によって発生する磁界H2を検出する。さらに、センサ部1は、検出コイル11の位置における、渦電流によって発生する磁界H2の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHqを出力する。
【0040】
交流電流供給部3から集束コイル39には、交流電流I1に同期する交流電流I2が供給され、集束コイル39は、交流磁界H31に同期する同方向の交流磁界(以下、交流磁界H39と称する)を発生する。なお、交流電流I2は、集束コイル39の巻き方向が励磁コイル31と同一方向である場合には、交流電流I1と同相となり、反対方向である場合には、交流電流I1と逆相となる。
【0041】
ここで、渦電流によって発生する磁界H2は、当該渦電流の原因となった交流磁界H31の変化を妨げる方向に発生しているため、交流磁界H31と同方向の交流磁界H39との間に引力が働く。また、集束コイル39は、面積が励磁コイル31より小さいため、図5および図6に示されているように、検査対象物9表面の、検出コイル11より面積が大きい領域からの磁界を、検出コイル11に集束することができる。したがって、第2実施形態の非破壊検査装置と同様に、センサ部1は、検出コイル11の面積より広い範囲の渦電流によって発生する磁界H2を測定することができる。
【0042】
第2実施形態の非破壊検査装置と同様に、データ処理部2は、測定磁界データHqに基づいて、各測定箇所における渦電流によって発生する磁界H2の分布を算出する。
【0043】
このようにして、各測定箇所において、渦電流によって発生する磁界H2の分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。
【0044】
<第4実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図7を参照して、本発明の第4の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、本実施形態における非破壊検査装置の構成の概略は、第1実施形態と同様に、図1および図2に示されている。また、図7は、非破壊検査装置のうち、特にセンサ部1および検出コイル11の構成の詳細を示す平面図である。
【0045】
図7に示されているように、本実施形態の非破壊検査装置において、センサ部1は、9個のセンサ部1aないし1iからなるセンサ部群(以下、センサ部群1と称する)となっている。また、検出コイル11は、9個の検出コイル11aないし11iからなる検出コイル群(以下、検出コイル群11と称する)となっている。
【0046】
検出コイル11aないし11iは、略同一の矩形(正方形または長方形)コイルであり、3行3列の行列状に隣接して平面的に配置され、それぞれ略同一の矩形領域AないしIを形成している。また、センサ部1aないし1iは、それぞれ検出コイル11aないし11iが接続されて9個の磁気センサを構成している。そして、センサ部1aないし1iからそれぞれ出力される測定磁界データHaないしHiは、いずれもデータ処理部2に入力されている。
【0047】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、本実施形態において、センサ部1aないし1iは、それぞれ漏洩磁束H1を測定するのに十分な感度を有しているものとする。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、一例として、各センサ部がSQUIDを備えている場合について説明する。
【0048】
第1実施形態と同様に、本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル群11側のいずれを走査してもよい。また、検出コイル11aないし11iは、それぞれ不連続部91に起因する漏洩磁束H1を検出する。
【0049】
センサ部1aないし1iは、それぞれ検出コイル11aないし11iの位置における磁界の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHaないしHiを出力する。また、第1実施形態の非破壊検査装置と同様に、センサ部群1は、集束磁性体4を用いて、検出コイル群11の面積より広い範囲の漏洩磁束H1を測定することができる。
【0050】
したがって、当該測定範囲のうち、矩形領域AないしIに対応する領域をそれぞれ測定領域A’ないしI’とすると、測定磁界データHaないしHiは、それぞれ測定領域A’ないしI’からの漏洩磁束H1の強さまたは磁束密度に応じて出力される。なお、検出コイル群11に対応する測定範囲全体のサイズは、図7において長破線で示されている。
【0051】
データ処理部2は、測定磁界データHaないしHiに基づいて、漏洩磁束H1の測定領域A’ないしI’ごとの分布を算出する。
【0052】
このようにして、各測定箇所において、漏洩磁束H1の測定領域A’ないしI’ごとの分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。したがって、それぞれSQUIDを備える9個のセンサ部を用いて、9個の測定領域ごとの磁界分布を算出することができる。
【0053】
また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル群11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。したがって、測定箇所を測定範囲全体のサイズごとに移動させることによって、検査対象物9全体の検査時間が長くなることなく、空間分解能を向上させることができる。以下、このような測定範囲全体のサイズごとに走査する検査工程を、基本検査工程と称する。
【0054】
<第5実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図8を参照して、本発明の第5の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、本実施形態における非破壊検査装置の構成の概略は、第4実施形態と同様に、図1および図2に示されている。また、図8は、非破壊検査装置のうち、特にセンサ部群1および検出コイル群11の構成の詳細を示す平面図である。
【0055】
本実施形態の非破壊検査装置では、図8に示されているように、センサ部群1は、4個のセンサ部1rないし1uを含んでおり、検出コイル群11は、4個の検出コイル11rないし11uを含んでいる。
【0056】
検出コイル11rないし11uは、略同一の矩形コイルであり、隣接する2つの検出コイル同士、すなわち、検出コイル11rと11s、11rと11t、11sと11u、および11tと11uは、互いに略2分の1ずつ重なって配置されている。ここで、図8に示すように、各検出コイルを2a×2aのサイズの矩形(正方形)コイルとすると、検出コイル11rないし11uは、略a×aのサイズの矩形(正方形)領域AないしIを形成する。したがって、略同一の4個の矩形コイルによって、当該矩形コイルの略4分の1の面積を有する9個の矩形領域が形成され、1個の検出コイル当たり平均(9÷4=)2.25個の領域が形成されている。
【0057】
センサ部1rないし1uは、それぞれ検出コイル11rないし11uが接続されて4個の磁気センサを構成している。また、センサ部1rないし1uからそれぞれ出力される測定磁界データHrないしHuは、いずれもデータ処理部2に入力されている。
【0058】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、第4実施形態と同様に、本実施形態においても、各センサ部は、SQUIDを用いて漏洩磁束H1を測定するものとする。
【0059】
第4実施形態と同様に、本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル群11側のいずれを走査してもよい。また、検出コイル11rないし11uは、それぞれ不連続部91に起因する漏洩磁束H1を検出する。
【0060】
センサ部1rないし1uは、それぞれ検出コイル11rないし11uの位置における磁界の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHrないしHuを出力する。また、第4実施形態の非破壊検査装置と同様に、センサ部群1は、集束磁性体4を用いて、検出コイル群11の面積より広い範囲の漏洩磁束H1を測定することができる。
【0061】
したがって、当該測定範囲のうち、矩形領域AないしIに対応する領域をそれぞれ測定領域A’ないしI’とすると、測定磁界データHrは、測定領域A’、B’、D’、およびE’からの漏洩磁束H1の強さまたは磁束密度に応じて出力される。同様に、測定磁界データHsは、測定領域B’、C’、E’、およびF’から、測定磁界データHtは、測定領域D’、E’、G’、およびH’から、測定磁界データHuは、測定領域E’、F’、H’、およびI’からの漏洩磁束H1に応じて、それぞれ出力される。なお、検出コイル群11に対応する測定範囲全体のサイズは、図8において長破線で示されている。
【0062】
データ処理部2は、測定磁界データHrないしHuに基づいて、漏洩磁束H1の測定領域A’ないしI’ごとの分布を算出する。なお、本実施形態における磁界分布の算出方法についての詳細な説明は後述する。
【0063】
このようにして、各測定箇所において、漏洩磁束H1の測定領域A’ないしI’ごとの分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル群11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。
【0064】
===磁界分布の算出方法===
以下、図8および図9を参照して、本実施形態における磁界分布の算出方法について説明する。
【0065】
前述したように、本実施形態の非破壊検査装置は、各センサ部がSQUIDを備えているため、不連続部91に起因する微弱な漏洩磁束H1も測定することができる。したがって、本実施形態の非破壊検査装置は、初期段階の小さな不連続部を、検査対象物9に対する悪影響が顕在化する前に検出することができ、交換や修理などの対策を適宜実施している場合には、1回の検査において検出される不連続部の個数は通常少ない。そこで、まず、漏洩磁束H1を発生する不連続部の個数が、1つの測定箇所において1個以下の場合について説明する。
【0066】
図9は、測定磁界データの値が1(図9において、「+1」と記載)となるような不連続部が、測定領域A’ないしI’のいずれにも存在しない場合(図9において、「なし」と記載)、または何れか1つに1個存在する場合における、測定磁界データHrないしHuの値を示している。
【0067】
例えば、不連続部が測定領域A’に1個存在する場合には、Hr=1,Hs=Ht=Hu=0となる。また、例えば、不連続部が測定領域E’に1個存在する場合には、Hr=Hs=Ht=Hu=1となる。さらに、例えば、不連続部が測定領域F’に1個存在する場合には、Hr=Ht=0,Hs=Hu=1となる。
【0068】
図9から明らかなように、測定磁界データHrないしHuに基づいて、不連続部が存在する矩形領域を識別することができる。したがって、4個のセンサ部を用いて、センサ部の個数より多い9個の矩形領域ごとの磁界分布を算出することができるため、各センサ部が備えるSQUIDの個数を抑えることができる。また、測定範囲全体のサイズごとに走査する基本検査工程において、検査対象物9全体の検査時間が長くなることなく、空間分解能を向上させることができる。
【0069】
次に、漏洩磁束H1を発生する不連続部の個数が、1つの測定箇所において2個以上の場合について説明する。
複数の不連続部が存在する場合における各測定磁界データの値は、図9の各矩形領域における値(0または+1)を不連続部の個数分だけ加算すればよい。
例えば、不連続部が測定領域D’およびE’に1個ずつ存在する場合、Hr=Ht=1+1=2,Hs=Hu=0+1=1となる。
【0070】
また、例えば、不連続部が測定領域B’およびH’に1個ずつ存在する場合には、Hr=Hs=Ht=Hu=1となる。この場合、不連続部が測定領域E’に1個存在する場合と区別することができないが、測定箇所をy0(y1)方向に測定領域1個分だけ移動させることによって、両者を区別することが可能となる。当該移動によって、移動前に不連続部が測定領域B’およびH’に1個ずつ存在した場合には、移動後には不連続部が測定領域E’に1個存在することとなる。一方、移動前に不連続部が測定領域E’に1個存在した場合には、移動後には不連続部が測定領域B’に1個存在することとなる。
【0071】
さらに、同様に、不連続部が測定領域D’およびF’に1個ずつ存在する場合と、測定領域E’に1個存在する場合とは、測定箇所をx0(x1)方向に測定領域1個分だけ移動させることによって、両者を区別することができる。
【0072】
このようにして、測定箇所をx0(x1)方向またはy0(y1)方向に測定領域1個分だけ移動させることによって、複数の不連続部が存在する場合についても区別することがより望ましい。なお、このような細かい移動を検査対象物9全体に対して行う必要はなく、基本検査工程において測定磁界データHrないしHuの複数が0でなかった測定箇所に対してのみ、追加的に行えば十分である。したがって、検査対象物9全体の検査時間が大幅に長くなることはない。以下、このような測定領域1個分だけ移動させる検査工程を、追加検査工程と称する。
【0073】
<第6実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図10を参照して、本発明の第6の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、本実施形態における非破壊検査装置の構成の概略は、第2実施形態と同様に、図3および図4に示されている。また、図10は、非破壊検査装置のうち、特に交流電流供給部3および励磁コイル31の構成の詳細を示す平面図であり、集束磁性体4のうち、検査対象物9表面と対向する側の形状のみを示している。
【0074】
図10に示されているように、本実施形態の非破壊検査装置において、励磁コイル31は、9個の励磁コイル31aないし31iからなる励磁コイル群(以下、励磁コイル群31と称する)となっている。
【0075】
交流電流供給部3は、例えば交流発生部32、DEMUX(デマルチプレクサ)33、およびカウンタ34を含んで構成されている。交流発生部32から出力される交流電流I1は、DEMUX33のデータ入力に入力されている。また、カウンタ34から出力されるカウント値CNは、DEMUX33の選択制御入力に入力されるとともに、データ処理部2にも入力されている。さらに、DEMUX33の選択制御入力の値に対応する9つの出力には、それぞれ励磁コイル31aないし31iが接続されている。そして、励磁コイル31aないし31iは、略同一の矩形コイルであり、3行3列の行列状に隣接して平面的に配置され、それぞれ略同一の矩形領域AないしIを形成している。
【0076】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、第2実施形態と同様に、本実施形態においても、センサ部1は、SQUIDを用いて渦電流によって発生する磁界H2を測定するものとする。
第2実施形態と同様に、本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル11側のいずれを走査してもよい。
【0077】
交流電流供給部3のカウンタ34は、順次カウントアップまたは順次カウントダウンし、カウント値CNを出力する。本実施形態では、カウンタ34は、例えば4ビットのバイナリカウンタであり、カウント値CNが0から8まで(2進数で0000から1000まで)順次増加、または8から0まで順次減少する。また、DEMUX33は、カウント値CNに応じて励磁コイル31aないし31iのうちの何れか1つを順次選択し、当該選択されている励磁コイルに、交流発生部32が発生する交流電流I1を供給する。したがって、交流電流供給部3は、励磁コイル31aないし31iに交流電流I1を順次供給して、それぞれ矩形領域AないしIに交流磁界を順次発生させ、検査対象物9に渦電流を誘導する。
【0078】
第2実施形態の非破壊検査装置と同様に、検出コイル11は、当該渦電流によって発生する磁界H2を検出する。また、センサ部1は、検出コイル11の位置における磁界の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHqを出力する。さらに、センサ部1は、集束磁性体4を用いて、検出コイル11の面積より広い範囲の渦電流によって発生する磁界H2を測定することができる。したがって、測定磁界データHqは、渦電流によって矩形領域AないしIに順次発生する磁界H2の強さまたは磁束密度に応じて出力される。
【0079】
データ処理部2は、測定磁界データHqと、DEMUX33において選択されている励磁コイルを示すカウント値CNとに基づいて、渦電流によって発生する磁界H2の矩形領域AないしIごとの分布を算出する。
【0080】
このようにして、各測定箇所において、渦電流によって発生する磁界H2の矩形領域AないしIごとの分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。したがって、SQUIDを備える1個のセンサ部を用いて、9個の矩形領域ごとの磁界分布を算出することができる。
【0081】
また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。したがって、測定範囲全体のサイズ、すなわち、励磁コイル群31全体のサイズごとに走査する基本検査工程において、検査対象物9全体の検査時間が長くなることなく、空間分解能を向上させることができる。
【0082】
<第7実施形態>
===非破壊検査装置の構成===
以下、図11を参照して、本発明の第7の実施形態における非破壊検査装置の構成について説明する。なお、本実施形態における非破壊検査装置の構成の概略は、第6実施形態と同様に、図3および図4に示されている。また、図11は、非破壊検査装置のうち、特に交流電流供給部3および励磁コイル群31の構成の詳細を示す平面図であり、集束磁性体4のうち、検査対象物9表面と対向する側の形状のみを示している。
【0083】
本実施形態の非破壊検査装置では、図11に示されているように、励磁コイル群31は、4個の励磁コイル31rないし31uを含んでいる。
【0084】
第6実施形態の非破壊検査装置と同様に、交流電流供給部3は、例えば交流発生部32、DEMUX33、およびカウンタ34を含んで構成されている。交流発生部32から出力される交流電流I1は、DEMUX33のデータ入力に入力されている。また、カウンタ34から出力されるカウント値CNは、DEMUX33の選択制御入力に入力されるとともに、データ処理部2にも入力されている。さらに、DEMUX33の選択制御入力の値に対応する4つの出力には、それぞれ励磁コイル31rないし31uが接続されている。
【0085】
励磁コイル31rないし31uは、略同一の矩形コイルであり、隣接する2つの励磁コイル同士、すなわち、励磁コイル31rと31s、31rと31t、31sと31u、および31tと31uは、互いに略2分の1ずつ重なって配置されている。ここで、図11に示すように、各励磁コイルを2b×2bのサイズの矩形(正方形)コイルとすると、励磁コイル31rないし31uは、略b×bのサイズの矩形(正方形)領域AないしIを形成する。したがって、略同一の4個の矩形コイルによって、当該矩形コイルの略4分の1の面積を有する9個の矩形領域が形成され、1個の励磁コイル当たり平均(9÷4=)2.25個の領域が形成されている。
【0086】
===非破壊検査装置の動作===
次に、本実施形態における非破壊検査装置の動作について説明する。なお、第6実施形態と同様に、本実施形態においても、センサ部1は、SQUIDを用いて渦電流によって発生する磁界H2を測定するものとする。
第6実施形態と同様に、本実施形態の非破壊検査装置は、検査対象物9側および検出コイル11側のいずれを走査してもよい。
【0087】
交流電流供給部3のカウンタ34は、順次カウントアップまたは順次カウントダウンし、カウント値CNを出力する。本実施形態では、カウンタ34は、例えば2ビットのバイナリカウンタであり、カウント値CNが0から3まで(2進数で00から11まで)順次増加、または3から0まで順次減少する。また、DEMUX33は、カウント値CNに応じて励磁コイル31rないし31uのうちの何れか1つを順次選択し、当該選択されている励磁コイルに、交流発生部32が発生する交流電流I1を供給する。
【0088】
したがって、交流電流供給部3は、励磁コイル31rないし31uに交流電流I1を順次供給して、交流磁界を順次発生させ、検査対象物9に渦電流を誘導する。なお、励磁コイル31rに交流電流I1が供給されている間、交流磁界は矩形領域A、B、D、およびEに発生する。また、励磁コイル31sに交流電流I1が供給されている間、交流磁界は矩形領域B、C、E、およびFに発生する。さらに、励磁コイル31tに交流電流I1が供給されている間、交流磁界は矩形領域D、E、G、およびHに発生する。そして、励磁コイル31uに交流電流I1が供給されている間、交流磁界は矩形領域E、F、H、およびIに発生する。
【0089】
第6実施形態の非破壊検査装置と同様に、検出コイル11は、渦電流によって発生する磁界H2を検出する。また、センサ部1は、検出コイル11の位置における磁界の強さまたは磁束密度に応じて、測定磁界データHqを出力する。さらに、センサ部1は、集束磁性体4を用いて、検出コイル11の面積より広い範囲の渦電流によって発生する磁界H2を測定することができる。
【0090】
データ処理部2は、測定磁界データHqと、DEMUX33において選択されている励磁コイルを示すカウント値CNとに基づいて、渦電流によって発生する磁界H2の矩形領域AないしIごとの分布を算出する。なお、本実施形態における磁界分布の算出方法についての詳細な説明は後述する。
【0091】
このようにして、各測定箇所において、渦電流によって発生する磁界H2の矩形領域AないしIごとの分布を算出することによって、検査対象物9の不連続部91を検出することができる。したがって、SQUIDを備える1個のセンサ部を用いて、9個の矩形領域ごとの磁界分布を算出することができる。
【0092】
また、本実施形態の非破壊検査装置は、各測定箇所において、検出コイル11の面積より広い範囲を測定することができるため、走査回数を減らし、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。
【0093】
===磁界分布の算出方法===
以下、図11および図12を参照して、本実施形態における磁界分布の算出方法について説明する。
【0094】
前述したように、本実施形態の非破壊検査装置は、センサ部1がSQUIDを備えているため、渦電流によって発生する微弱な磁界H2も測定することができる。したがって、本実施形態の非破壊検査装置は、初期段階の小さな不連続部を、検査対象物9に対する悪影響が顕在化する前に検出することができ、交換や修理などの対策を適宜実施している場合には、1回の検査において検出される不連続部の個数は通常少ない。そこで、まず、渦電流に乱れが生じるような不連続部の個数が、1つの測定箇所において1個以下の場合について説明する。
【0095】
図12は、不連続部が矩形領域AないしIのいずれにも存在しない場合(図12において、「なし」と記載)、または何れか1つに1個存在する場合において、各励磁コイルに交流電流I1が流れている間の測定磁界データHqの値およびその減少分を示している。なお、図12においては、説明の便宜上、渦電流によって測定磁界データHqの値が4(矩形領域当たり1)となるような磁界H2が発生し、不連続部が存在する矩形領域にはまったく渦電流が流れないものとしている。また、図12の各上段の(括弧が付いていない)値は、不連続部による測定磁界データHqの値の減少分を示しており、この場合の測定磁界データHqの値は、図12の各下段の(括弧が付いている)式のように求めることができる。
【0096】
例えば、不連続部が矩形領域Aに1個存在する場合には、励磁コイル31rに交流電流I1が流れている間のみ、測定磁界データHqの値が1個の矩形領域に相当する1だけ減少(図12において、「−1」と記載)し、Hq=4−1=3となる。また、例えば、不連続部が矩形領域Eに1個存在する場合には、いずれも、測定磁界データHqの値が1だけ減少し、Hq=4−1=3となる。さらに、例えば、不連続部が矩形領域Fに1個存在する場合には、励磁コイル31sまたは31uに交流電流I1が流れている間のみ、測定磁界データHqの値が1だけ減少し、Hq=4−1=3となる。
【0097】
図12から明らかなように、測定磁界データHqと、交流電流I1が流れている励磁コイルを示すカウント値CNとに基づいて、不連続部が存在する矩形領域を識別することができる。また、測定範囲全体のサイズ、すなわち、励磁コイル群31全体のサイズ(略3b×3b)ごとに走査する基本検査工程において、検査対象物9全体の検査時間が長くなることなく、空間分解能を向上させることができる。なお、本実施形態の非破壊検査装置は、用いる励磁コイルの個数(4個)が矩形領域の個数(9個)より少なくなっているため、交流電流供給部3および励磁コイル群31間を容易に配線することができる。
【0098】
次に、渦電流に乱れが生じるような不連続部の個数が、1つの測定箇所において2個以上の場合について説明する。
【0099】
複数の不連続部が存在する場合における、不連続部による各測定磁界データの値の減少分は、図12の各矩形領域における値(0または−1)を不連続部の個数分だけ加算すればよい。
例えば、不連続部が矩形領域DおよびEに1個ずつ存在する場合、励磁コイル31rまたは31tに交流電流I1が流れている間には、測定磁界データHqの値が2だけ減少し、Hq=4−2=2となる。また、励磁コイル31sまたは31uに交流電流I1が流れている間には、測定磁界データHqの値が1だけ減少し、Hq=4−1=3となる。
【0100】
また、例えば、不連続部が矩形領域BおよびHに1個ずつ存在する場合には、いずれも、測定磁界データHqの値が1だけ減少し、Hq=4−1=3となる。この場合、不連続部が矩形領域Eに1個存在する場合と区別することができないが、測定箇所をy0(y1)方向に距離bだけ、すなわち、矩形領域1個分だけ移動させることによって、両者を区別することが可能となる。当該移動によって、移動前に不連続部が矩形領域BおよびHに1個ずつ存在した場合には、移動後には不連続部が矩形領域Eに1個存在することとなる。一方、移動前に不連続部が矩形領域Eに1個存在した場合には、移動後には不連続部が矩形領域Bに1個存在することとなる。
【0101】
さらに、同様に、不連続部が矩形領域DおよびFに1個ずつ存在する場合と、矩形領域Eに1個存在する場合とは、測定箇所をx0(x1)方向に矩形領域1個分だけ移動させることによって、両者を区別することができる。
【0102】
このようにして、測定箇所をx0(x1)方向またはy0(y1)方向に矩形領域1個分だけ移動させる追加検査工程によって、複数の不連続部が存在する場合についても区別することがより望ましい。なお、当該追加検査工程は、基本検査工程において測定磁界データHqの値の減少分が複数の励磁コイルについて0でなかった測定箇所に対してのみ、追加的に行えば十分である。したがって、検査対象物9全体の検査時間が大幅に長くなることはない。
【0103】
前述したように、検査対象物9表面の、検出コイル11より面積が大きい領域からの磁界を、磁界集束部を用いて検出コイル11に集束することによって、非破壊検査装置は、検出コイル11の面積を大きくすることなく、より広い範囲の磁界を測定することができ、検査対象物9全体の検査時間を短縮することができる。
【0104】
また、図7に示したように、検出コイルをそれぞれ含む複数の磁気センサを用いて、検査対象物9表面からの磁界の、検出コイルによって形成される領域ごとの分布を算出することによって、検査対象物9全体の検査時間が長くなることなく、空間分解能を向上させることができる。
【0105】
また、図8に示したように、検出コイル群11に含まれる複数の検出コイルの一部を重ねて配置することによって、略同一面積の領域を検出コイルの個数より多く形成でき、より少ない個数の磁気センサで空間分解能を向上させることができる。
【0106】
また、励磁コイル31に交流電流I1を供給して、検査対象物9に渦電流を誘導する交流磁界を発生させ、当該渦電流によって発生する磁界H2を検出することによって、渦電流法を用いる非破壊検査装置を構成することができる。
【0107】
また、図10に示したように、励磁コイル群31に含まれる複数の励磁コイルのうちの何れか1つを順次選択し、当該選択されている励磁コイルに交流電流I1を供給して、検査対象物9に渦電流を誘導する交流磁界を発生させ、当該渦電流によって発生する磁界H2の、励磁コイルによって形成される領域ごとの分布を算出することによって、磁気センサの個数を増加させることなく、空間分解能を向上させることができる。
【0108】
また、図11に示したように、励磁コイル群31に含まれる複数の励磁コイルの一部を重ねて配置することによって、用いる励磁コイルの個数が領域の個数より少なくなり、交流電流供給部3および励磁コイル群31間を容易に配線することができる。
【0109】
また、磁界集束部として、軟磁性材料を成形した集束磁性体4を用いることによって、検査対象物9表面からの磁界を検出コイル11に集束することができる。
【0110】
また、集束磁性体4は、検査対象物9表面と対向する側の周長を検出コイル11と対向する側の周長より長くすることによって、検査対象物9表面の、検出コイル11より面積が大きい領域からの磁界を検出コイル11に集束することができる。
【0111】
また、集束磁性体4は、円錐台の外形を有することによって、磁界集束部として好適な形状とすることができる。
【0112】
また、磁界集束部として、交流電流I1に同期する交流電流I2が供給される集束コイル39を用いることによって、渦電流によって発生する磁界H2を検出コイル11に集束することができる。
【0113】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0114】
上記実施形態では、センサ部がSQUIDを備える場合について説明したが、これに限定されるものではない。センサ部は、SQUID以外にFGセンサやMIセンサを備えていてもよい。
【0115】
上記第4および第5実施形態では、第1実施形態の非破壊検査装置に対して、複数の検出コイルを有する構成となっているが、これに限定されるものではない。第2および第3実施形態の非破壊検査装置に対しても同様に、複数の検出コイルを有する構成とすることができる。
【0116】
上記第5実施形態では、検出コイル群11全体のサイズと、各検出コイルによって形成される略同一面積の領域の合計サイズとが等しくなっているが、これに限定されるものではない。検出コイル群11は、略同一面積の領域以外の不使用領域を含むように各検出コイルを配置してもよい。
【0117】
上記第6および第7実施形態では、第2実施形態の非破壊検査装置に対して、複数の励磁コイルを有する構成となっているが、これに限定されるものではない。第3実施形態の非破壊検査装置に対しても同様に、複数の励磁コイルを有する構成とすることができる。
【0118】
上記第7実施形態では、励磁コイル群31全体のサイズと、各励磁コイルによって形成される略同一形状の領域の合計サイズとが等しくなっているが、これに限定されるものではない。励磁コイル群31は、略同一形状の領域以外の不使用領域を含むように各励磁コイルを配置してもよい。
【0119】
上記第4ないし第7実施形態では、検出コイルや励磁コイルとして、矩形コイルが用いられているが、これに限定されるものではない。例えば三角形コイルや正六角形コイルを用いて、これらを隣接して平面的に配置することによっても、検出コイル群11全体や励磁コイル群31全体のコイル面を隙間なく敷き詰めることができる。また、例えば三角形コイルや正六角形コイルを用いて、これらの一部を重ねて配置することによって、検出コイル群11や励磁コイル群31が不使用領域を含まないように配置することもできる。
【符号の説明】
【0120】
1 センサ部(群)
1a〜1i センサ部
1r〜1u センサ部
2 データ処理部
3 交流電流供給部
4 集束磁性体
9 検査対象物
11 検出コイル(群)
11a〜11i 検出コイル
11r〜11u 検出コイル
31 励磁コイル(群)
31a〜31i 励磁コイル
31r〜11u 励磁コイル
32 交流発生部
33 DEMUX(デマルチプレクサ)
34 カウンタ
39 集束コイル
91 不連続部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出コイルを含み、当該検出コイルによって検出される磁界に応じた測定磁界データを出力する磁気センサと、
検査対象物表面の、前記検出コイルより面積が大きい領域からの磁界を前記検出コイルに集束する磁界集束部と、
前記測定磁界データに基づいて、前記検査対象物表面からの磁界を求めるデータ処理部と、
を備えることを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項2】
前記検出コイルをそれぞれ含む前記磁気センサを複数備え、
前記データ処理部は、前記磁気センサからそれぞれ出力される前記測定磁界データに基づいて、前記検査対象物表面からの磁界を前記検出コイルによって形成される領域ごとに求めることを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査装置。
【請求項3】
前記検出コイルは、前記検出コイルより多い個数の略同一面積の複数の領域を形成するように一部が重なって配置されることを特徴とする請求項2に記載の非破壊検査装置。
【請求項4】
励磁コイルを含み、当該励磁コイルに第1の交流電流を供給して前記検査対象物に渦電流を誘導する交流磁界を発生させる磁界発生部をさらに備え、
前記磁気センサは、前記渦電流によって発生する前記検査対象物表面からの磁界に応じた前記測定磁界データを出力することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の非破壊検査装置。
【請求項5】
前記磁界発生部は、前記励磁コイルを複数含み、当該励磁コイルのうちの何れか1つを順次選択して前記第1の交流電流を供給し、
前記データ処理部は、前記測定磁界データに基づいて、前記検査対象物表面からの磁界を前記励磁コイルによって形成される領域ごとに求めることを特徴とする請求項4に記載の非破壊検査装置。
【請求項6】
前記励磁コイルは、前記励磁コイルより多い個数の略同一形状の複数の領域を形成するように一部が重なって配置されることを特徴とする請求項5に記載の非破壊検査装置。
【請求項7】
前記磁界集束部は、軟磁性材料を成形した集束磁性体であることを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載の非破壊検査装置。
【請求項8】
前記集束磁性体は、前記検査対象物表面と対向する側の周長が前記検出コイルと対向する側の周長より長いことを特徴とする請求項7に記載の非破壊検査装置。
【請求項9】
前記集束磁性体は、外形が円錐台であることを特徴とする請求項8に記載の非破壊検査装置。
【請求項10】
前記磁界集束部は、前記第1の交流電流に同期する第2の交流電流が供給される集束コイルであることを特徴とする請求項4に記載の非破壊検査装置。
【請求項1】
検出コイルを含み、当該検出コイルによって検出される磁界に応じた測定磁界データを出力する磁気センサと、
検査対象物表面の、前記検出コイルより面積が大きい領域からの磁界を前記検出コイルに集束する磁界集束部と、
前記測定磁界データに基づいて、前記検査対象物表面からの磁界を求めるデータ処理部と、
を備えることを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項2】
前記検出コイルをそれぞれ含む前記磁気センサを複数備え、
前記データ処理部は、前記磁気センサからそれぞれ出力される前記測定磁界データに基づいて、前記検査対象物表面からの磁界を前記検出コイルによって形成される領域ごとに求めることを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査装置。
【請求項3】
前記検出コイルは、前記検出コイルより多い個数の略同一面積の複数の領域を形成するように一部が重なって配置されることを特徴とする請求項2に記載の非破壊検査装置。
【請求項4】
励磁コイルを含み、当該励磁コイルに第1の交流電流を供給して前記検査対象物に渦電流を誘導する交流磁界を発生させる磁界発生部をさらに備え、
前記磁気センサは、前記渦電流によって発生する前記検査対象物表面からの磁界に応じた前記測定磁界データを出力することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の非破壊検査装置。
【請求項5】
前記磁界発生部は、前記励磁コイルを複数含み、当該励磁コイルのうちの何れか1つを順次選択して前記第1の交流電流を供給し、
前記データ処理部は、前記測定磁界データに基づいて、前記検査対象物表面からの磁界を前記励磁コイルによって形成される領域ごとに求めることを特徴とする請求項4に記載の非破壊検査装置。
【請求項6】
前記励磁コイルは、前記励磁コイルより多い個数の略同一形状の複数の領域を形成するように一部が重なって配置されることを特徴とする請求項5に記載の非破壊検査装置。
【請求項7】
前記磁界集束部は、軟磁性材料を成形した集束磁性体であることを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載の非破壊検査装置。
【請求項8】
前記集束磁性体は、前記検査対象物表面と対向する側の周長が前記検出コイルと対向する側の周長より長いことを特徴とする請求項7に記載の非破壊検査装置。
【請求項9】
前記集束磁性体は、外形が円錐台であることを特徴とする請求項8に記載の非破壊検査装置。
【請求項10】
前記磁界集束部は、前記第1の交流電流に同期する第2の交流電流が供給される集束コイルであることを特徴とする請求項4に記載の非破壊検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−21904(P2011−21904A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164627(P2009−164627)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
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