説明

非粘着用コーティング方法、非粘着部材および非粘着シート

【課題】ライナーレスラベルの走行面にライナーレスラベルの裏面の粘着剤が貼り付くことがない非粘着用コーティング方法、非粘着部材および非粘着シートを提供しようとするものである。
【解決手段】ライナーレスラベル3が走行またはバックフィードすると、ライナーレスラベル3の裏面の粘着剤層と被覆層12の表面とが繰り返し摺接して、被覆層12の表層が磨耗して小球10の頂部が露出し始め、遂に小球10が剥落し走行部材8の表面が露出する。そうすると、走行部材8の表面の色と小球10の色が識別できるように異なる色に着色されているので、小球10が剥落して非粘着性が低下しているのが分かるので、非粘着用コーティング方法による走行部材8への再コーティングの目安としたり、または、非粘着部材の交換の目安としたりすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻回されたライナーレスラベルに印字するライナーレスラベルプリンタにおいて、ライナーレスラベルの裏面の粘着剤とライナーレスラベルの走行面とが貼り付くことがない非粘着用コーティング、非粘着部材および非粘着シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の台紙にラベルが仮着されたロール紙がラベルプリンタに装着されて、印字されたラベルが台紙から剥離発行されて商品などに貼付されている。ところが、近年、環境保護の高まりから台紙を必要としないライナーレスラベルが普及し始めている。
【0003】
しかしながら、このライナーレスラベルは、裏面に塗布された粘着剤がライナーレスラベルの走行面に摺接しながら走行するので、粘着剤が走行面に貼り付いてしまうという問題がある。特に、印字発行されたライナーレスラベルを取り除いた後に、ライナーレスラベルを印字位置までバックフィード(巻き戻し)するときに貼り付き易いという問題がある。そのために、走行面に貼り付かないような非粘着性が要求されている。たとえば、印刷装置の印刷紙面と接する部材に、このような非粘着性構造を備えた印刷装置用部材が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007− 1201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ライナーレスラベルプリンタにおいて、特許文献1に記載の非粘着性構造を備えた印刷装置用部材がライナーレスラベルの走行面に適用されている。また、特許文献1に記載の印刷装置の印刷紙面と接する部材に適用された印刷装置用部材は、使用していくと劣化し印刷装置用部材に埋設された小球が剥落して非粘着性が低下してしまうおそれがあるため、印刷機の圧胴の近辺に洗浄装置や塗布装置を設置して所定時間後に洗浄したり塗布したりしている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の印刷装置用部材をライナーレスラベルの走行面に適用すると、ライナーレスラベルプリンタのスペース上、洗浄装置や塗布装置を設置することができないという問題があった。また、使用していくと印刷装置用部材に埋設された小球が剥落して非粘着性が低下してしまい、いつ小球が剥落したのか、どこの小球が剥落したのか分からないため、いつどこの印刷装置用部材を交換したらいいのか分からないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、ライナーレスラベルの走行面にライナーレスラベルの裏面の粘着剤が貼り付くことがない非粘着用コーティング方法、非粘着部材および非粘着シートを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために請求項1に記載の非粘着用コーティング方法は、基材上に小球が埋設された被覆材料をコーティングして被覆層を形成し、該被覆層の表面が凹凸を有するような非粘着用コーティング方法であって、前記小球は、前記基材表面の色と識別できるように異なる色に着色されているものである。
【0008】
また、上記の課題を解決するために請求項2に記載の非粘着部材は、ライナーレスラベルの走行面に配設された走行部材に請求項1に記載のコーティング方法でコーティングされているものである。
【0009】
また、上記の課題を解決するために請求項3に記載の非粘着シートは、シート状の基材に請求項1に記載のコーティング方法でコ−ティングされているものである。
【0010】
また、上記の課題を解決するために請求項4に記載の非粘着シートは、前記シート状の基材にコーティングされた面の他方の面に粘着層を形成しているものである。
【0011】
また、上記の課題を解決するために請求項5に記載の非粘着シートは、前記非粘着シートの粘着層がライナーレスラベルの走行面に配設された走行部材に貼付されているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の非粘着用コーティング方法は、基材上に小球が埋設された被覆材料をコーティングして被覆層を形成し、該被覆層の表面が凹凸を有するような非粘着用コーティング方法であって、前記小球は、前記基材表面の色と識別できるように異なる色に着色されているので、被覆層が磨耗したり非粘着性シートに埋設された小球が剥落して非粘着性が低下して、小球の表面の色が露出したり剥落した小球の跡に基材表面の色が露出したりすると、被覆層が磨耗したり小球が剥落したことが容易に分かり、再非粘着用コーティングをする目安とすることができる。
【0013】
また、請求項2に記載の非粘着部材は、ライナーレスラベルの走行面に配設された走行部材に請求項1に記載のコーティング方法でコーティングされているので、請求項1と同様な効果を奏するので、容易に非粘着部材を取り替えたり、非粘着部材に再コーティングをする目安とすることができる。
【0014】
また、請求項3に記載の非粘着シートは、シート状の基材に請求項1に記載のコーティング方法でコ−ティングされているので、請求項1と同様な効果を奏するので、容易に非粘着シートを取り替える目安とすることができる。
【0015】
また、請求項4に記載の非粘着シートは、前記シート状の基材にコーティングされた面の他方の面に粘着層を形成しているので、非粘着性を要する部材に非粘着シートを容易に貼付することができる。
【0016】
また、請求項5に記載の非粘着シートは、前記非粘着シートの粘着層がライナーレスラベルの走行面に配設された走行部材に貼付されているので、走行部材を取り替える必要がなく、非粘着シートを取り替えるだけで良く、交換作業も容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。本実施の形態は、ライナーレスラベルプリンタにおいて、非粘着用コーティング、非粘着部材または非粘着シートがライナーレスラベルの走行面に適用された場合について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係るライナーレスラベルプリンタの全体概念図である。図1において、ライナーレスラベルプリンタ1は、主として台紙のないライナーレスラベル3を巻回したライナーレスラベルロール3aが収納された収納部2と、ライナーレスラベル3に印字する印字部4と、収納部2から印字部4へライナーレスラベル3の表面を押さえる規制ガイド7と、ライナーレスラベル3の走行面と摺接しながら支持する走行部材8とから構成されている。
【0019】
印字部4は、サーマルヘッド5とプラテンローラ6とから構成されている。ライナーレスラベル3を挟持するようにサーマルヘッド5にプラテンローラ6を弾接させながら、図示されていない制御部から制御信号をサーマルヘッド5に供給することによって印字動作を行わせるとともに、プラテンローラ6を反時計方向に回転駆動させてライナーレスラベル3を下流側に排出し印字発行を行う。
【0020】
ここでは、台紙のないライナーレスラベル3がミシン目などで接続されてロール状に巻回されているライナーレスラベルロール3aについて説明してあるが、ミシン目などがないロール状に巻回されたライナーレスラベルロール3aであっても、下流側に図示されていないカッターを配設して一枚ずつカッティングして排出することもできる。
【0021】
規制ガイド7は、印字部4にライナーレスラベル3が略水平に走行されるようにライナーレスラベル3の上面を抑えるように上流側(収納部2側)に配設されている。ここでは、規制ガイド7は単独部材として示されているが、これに限定されることなくライナーレスラベルロール3aを保持するラベルホルダー(図示されていない)と一体の部材とすることもできる。
【0022】
ライナーレスラベル3の表面(サーマルヘッド5に接する面)に剥離剤層が形成され、裏面(プラテンローラ6に接する面)に粘着剤層が形成され、この剥離剤層の上に粘着剤層が重なるようにロール状に紙管9に巻回されてライナーレスラベルロール3aが構成されている。また、ライナーレスラベル3は、一定間隔をおいてミシン目で接続されてライナーレスラベルロール3aを構成している。
【0023】
ここでは、紙管9に巻回されたライナーレスラベルロール3aの場合について示しているが、これに限定されることなく、紙管9がないライナーレスラベルロール3aの場合についても適用することができる。
【0024】
印字部4と規制ガイド7との間にあって印字部4にライナーレスラベル3が略水平に走行するようにライナーレスラベル3の裏面の粘着剤層と摺接しながら支持する走行部材8がライナーレスラベル3の走行面に配設されている。なお、基材としての走行部材8の上面には、後述する非粘着用コーティング方法でコーティングされた被覆層12が形成された非粘着部材11を構成している。
【0025】
印字部4で印字されたライナーレスラベル3が排出されたり、または、印字後いったん排出位置まで排出されたライナーレスラベル3が印字位置までバックフィード(巻き戻し)される時に、ライナーレスラベル3の裏面の粘着剤層が、非粘着部材11によって貼り付かないようになっている。
【0026】
図2は、本発明の実施の形態に係る非粘着用コーティング方法でコーティングされた非粘着部材の概略断面図である。非粘着用コーティング方法は、被覆材料に小球10を混練させて基材としての走行部材8の表面にコーティングすることによって被覆層12が形成されている。ここで、小球10は、均一に埋設されていることが望ましい。また、被覆層12の表面は、小球10の外形に沿って凹凸状に形成されている。そのため、被覆層12の表面とライナーレスラベル3の裏面の粘着剤層との接触面積が最小となってライナーレスラベル3が走行またはバックフィードするときに、貼り付かないでスムーズに走行またはバックフィードすることができる。
【0027】
走行部材8の材質は、紙、プラスチックまたは繊維織物などが好ましい。また、小球10の材質は、プラスチック、セラミックまたはガラスビーズなどが好ましい。また、被覆層12の材料は、シリコーン系材料またはフッ素系材料のいずれか一方あるいはこれらの混合物が好ましい。
【0028】
非粘着用コーティング方法は、これに限定されることなく、走行部材8の表面に中間層を設けて、その上に被覆層12を形成させたり、小球10に薄膜層を形成した後に被覆層12を構成する被覆材料に混練して走行部材8上に形成させたりすることもできる。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態に係る非粘着部材の小球が剥落した断面図である。図3に示されるように、ライナーレスラベル3が走行またはバックフィードすることによって、ライナーレスラベル3の裏面に形成された粘着剤層と非粘着部材11の被覆層12の表面とが繰り返し摺接し、被覆層12の表層が磨耗して小球10の頂部が露出し始め、遂には小球10が剥落してしまう。小球10が剥落すると、走行部材8の表面が露出する。ここでは、真ん中の小球10が剥落して走行部材8の表面が露出した場合について示されている。
【0030】
走行部材8の表面の色と小球10の色が識別できるように異なる色に着色されているので、小球10が剥落すると被覆層12の上方から見ると小球10が剥落している所がまだら模様になる。小球10が剥落すると、ライナーレスラベル3が走行またはバックフィードするときに、非粘着性が低下して走行面に貼り付いてプラテンローラを駆動するステッピングモーターが脱調したり、ジャミングしたりする。
【0031】
小球10が剥落している所がまだら模様になると、小球10が剥落して非粘着性が低下しているのが分かるので、再非粘着用コーティングの目安としたり、剥離部材11の交換の目安とすることができる。したがって、非粘着性が低下して走行面に貼り付いてプラテンローラを駆動するステッピングモーターが脱調したり、ジャミングしたりすることを事前に防止することができる。
【0032】
本実施の形態では、ライナーレスラベル3の走行面に配設された基材としての走行部材8の上面に非粘着用コーティング方法でコーティングされた被覆層12が形成された非粘着部材11について説明してあるが、これに限定されることなく、基材を非粘着シートとして非粘着用コーティング方法でコーティングし、裏面に粘着層を形成して走行部材8の上面に貼付して非粘着部材11とすることもできる。また、非粘着用コーティング方法、非粘着部材および非粘着シートは、これに限定されることなく、粘着剤層が摺接するような部位に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係るライナーレスラベルプリンタの全体概念図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る非粘着用コーティング方法でコーティングされた非粘着部材の概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る非粘着部材の小球が剥落した断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ライナーレスラベルプリンタ
2 収納部
3 ライナーレスラベル
3a ライナーレスラベルロール
4 印字部
5 サーマルヘッド
6 プラテンローラ
7 規制ガイド
8 走行部材
9 紙管
10 小球
11 非粘着部材
12 被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に小球が埋設された被覆材料をコーティングして被覆層を形成し、該被覆層の表面が凹凸を有するような非粘着用コーティング方法であって、
前記小球は、前記基材表面の色と識別できるように異なる色に着色されていることを特徴とする非粘着用コーティング方法。
【請求項2】
ライナーレスラベルの走行面に配設された走行部材に請求項1に記載のコーティング方法でコーティングされていることを特徴とする非粘着部材。
【請求項3】
シート状の基材に請求項1に記載のコーティング方法でコ−ティングされていることを特徴とする非粘着シート。
【請求項4】
前記シート状の基材にコーティングされた面の他方の面に粘着層を形成していることを特徴とする請求項3に記載の非粘着シート。
【請求項5】
前記非粘着シートの粘着層がライナーレスラベルの走行面に配設された走行部材に貼付されていることを特徴とする請求項4に記載の非粘着シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−106178(P2012−106178A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256892(P2010−256892)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(591110078)株式会社新盛インダストリーズ (18)
【Fターム(参考)】