説明

非線形処理回路、非線形処理方法、コントラスト補正回路及びコントラスト補正方法

【課題】パラメータが少なく、適応的な処理に適した非線形処理方法を提供する。
【解決手段】入力データに対する出力データの関係が所定の曲線となるように非線形変換する非線形変換部101と、非線形変換部101からの出力データに対し、パラメータである係数を乗じる乗算回路102と、非線形変換部101及び乗算回路102と並列に接続され、入力データの遅延を調整する遅延調整回路103と、乗算回路102からの出力データと遅延調整回路103からの出力データとを加減算する加減算回路104と、を備える非線形処理回路100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非線形処理回路、非線形処理方法、コントラスト補正回路及びコントラスト補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、デジタルカメラやデジタルビデオでは、画像におけるいわゆる「白潰れ」や「黒飛び」を防止するため、非線形処理によるコントラスト補正(いわゆるガンマ補正)機能を有しているものが多い。このような非線形処理方法では、全入力ポイントにおける非線形処理結果すなわちガンマ曲線を変換テーブルとしてROM(Read Only Memory)に記憶させる技術が知られている。
【0003】
このようなROMを用いた非線形処理方法では、種々の撮影条件などに対応するためには、多数のコントラスト補正曲線を記憶する必要があり、ROMが大型化するという問題があった。これに対し、特許文献1には、ROMを用いずにガンマ曲線を多数の一次関数により折れ線近似する方法が開示されている。より具体的には、異なる傾きの一次関数を複数用意し、複数の「折れ点」により分割された入力信号の範囲(定義域)毎に、一次関数の「傾き」を切り換え、折れ線近似されたガンマ曲線を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−312076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、パラメータである「折れ点」及び「傾き」について多数のテンプレートが必要となるという問題があった。また、動画について適応的(例えば、1/30秒毎)にコントラスト補正する場合、このような多数のパラメータを複雑に制御する必要が生じ、連続的かつスムーズに実行することが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る非線形処理回路は、
入力データに対する出力データの関係が所定の曲線となるように非線形変換する非線形変換部と、
前記非線形変換部からの出力データに対し、パラメータである係数を乗じる乗算回路と、
前記非線形変換部及び前記乗算回路と並列に接続され、前記入力データの遅延を調整する遅延調整回路と、
前記乗算回路からの出力データと前記遅延調整回路からの出力データとを加減算する加減算回路と、を備えるものである。
【0007】
本発明に係る非線形処理方法は、
入力データに対する出力データの関係が所定の曲線となるように非線形変換し、
非線形変換されたデータに対し、パラメータである係数を乗じ、
前記係数を乗じたデータと前記入力データとを加減算するものである。
【0008】
本発明に係るコントラスト補正回路は、
入力データに対する出力データの関係が所定の曲線となるように非線形変換する第1の非線形変換部と、
前記第1の非線形変換部からの出力データに対し、パラメータである第1の係数を乗じる第1の乗算回路と、
前記第1の非線形変換部及び前記第1の乗算回路と並列に接続され、前記入力データの遅延を調整する第1の遅延調整回路と、
前記第1の乗算回路からの出力データと前記第1の遅延調整回路からの出力データとを加減算する第1の加減算回路と、
前記入力データに対する出力データの関係が前記所定の曲線となるように非線形変換する第2の非線形変換部と、
前記第2の非線形変換部からの出力データに対し、パラメータである第2の係数を乗じる第2の乗算回路と、
前記第2の非線形変換部及び前記第2の乗算回路と並列に接続され、前記入力データの遅延を調整する第2の遅延調整回路と、
前記第2の乗算回路からの出力データと前記第2の遅延調整回路からの出力データとを加減算する第2の加減算回路と、
前記第1の加減算回路からの出力データと、前記第2の加減算回路からの出力データとを選択するセレクタと、を備えるものである。
【0009】
本発明に係るコントラスト補正方法は、
入力データに対する出力データの関係が所定の曲線となるように非線形変換し、
非線形変換されたデータにパラメータである第1の係数を乗じたデータと、前記入力データとを加減算して上に凸の第1の曲線を生成し、
前記非線形変換されたデータにパラメータである第2の係数を乗じたデータと、前記入力データとを加減算して下に凸の第2の曲線を生成し、
xy座標(但し、入力データをx、出力データをyとする)上にパラメータとして設定した変化点において、前記第1の曲線と前記第2の曲線とを切り換えるものである。
【0010】
本発明では、入力データに対する出力データの関係が所定の曲線となるように非線形変換し、これにパラメータである係数を乗じる。そして、このデータに入力データを加減算して非線形処理曲線を生成する。そのため、特許文献1に比べパラメータが少なくてすみ、適応的な処理に適した非線形処理方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パラメータが少なく、適応的な処理に適した非線形処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1に係る非線形処理回路のブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る非線形処理方法の概念図である。
【図3】実施の形態2に係るコントラスト補正回路のブロック図である。
【図4】実際の画像のコントラスト補正の模式図である。
【図5】正規化による非線形処理を示すグラフである。
【図6】正規化による非線形処理を示すグラフである。
【図7】実施の形態2に係るコントラスト補正方法を説明するためのグラフである。
【図8】実施の形態2に係るコントラスト補正方法を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0014】
(実施の形態1)
図1を参照して本発明の第1の実施の形態に係る非線形処理回路について説明する。図1は、実施の形態1に係る非線形処理回路のブロック図である。図1に示す非線形処理回路100は、非線形変換部101、利得調整部102、遅延調整部103、加減算回路104、ROM(Read Only Memory)105を備えている。この非線形処理回路100は、例えば、画像のコントラスト補正に用いられる。そこで、発明の理解を容易にするため、画像のコントラスト補正を例に説明する。
【0015】
非線形変換部101には、入力データDATAinが入力される。非線形変換部101は、ROM105に格納された変換テーブルにより、入出力関係が放物線様の曲線となるように入力データDATAinを非線形変換する。ROM105に格納された変換テーブルは、唯一の曲線であることが好ましい。なお、ROM105に格納された変換テーブルを用いずに、非線形変換部101が多項式近似などにより演算処理してもよい。
利得調整部102は、乗算回路であって、非線形変換部101から出力された非線形データに係数CEを乗じる。
【0016】
遅延調整部103は、非線形変換部101及び利得調整部102と並列に接続されている。遅延調整部103にも、入力データDATAinが入力されるが、遅延させるのみであって、入力データDATAinをそのまま出力する。ここで、非線形変換部101及び利得調整部102を介して出力されるデータと、遅延調整部103を介して出力されるデータとが、同期するように、遅延調整部103により遅延量が調整されている。
加減算回路104は、非線形変換部101及び利得調整部102を介して出力されるデータと、遅延調整部103を介して出力されるデータと、を加算する。
【0017】
次に、図2を用いて実施の形態1に係る非線形処理方法を説明する。図2は、実施の形態1に係る非線形処理方法の概念図である。図1に示した非線形変換部101、利得調整部102、遅延調整部103及び加減算回路104から出力されるデータと入力データDATAinとの関係を示す4つのグラフG1〜G4がブロック図と共に示されている。グラフG1〜G4の横軸は入力データDATAin、縦軸は各機能ブロックから出力されるデータである。横軸も縦軸も最大値1として正規化されている。
【0018】
図2のG1に示すように、入力データDATAinは、非線形変換部101により、入出力関係が放物線様の曲線となるように非線形変換される。放物線様の曲線とは、入力データDATAinの最小値(グラフG1では0)及び最大値(グラフG1では1)の場合、出力が0となり、その間に極大値を有するいわゆる上に凸の曲線である。また、この放物線様の曲線は、予め決定された唯一の曲線である。即ち、入力データDATAinに応じて、予め用意された複数の曲線の中から選択される訳ではない。この唯一の放物線様の曲線を具体的にどのような曲線とするのかについては、回路設計者あるいはソフトウェア設計者が用途等に応じて適宜決定すればよい。なお、放物線様の曲線は下に凸の曲線であってもよい。
【0019】
非線形変換部101からの出力データは、利得調整部102により係数CE倍される。利得調整部102から出力されるデータは、係数CEに応じて、図2のG2に示すように変化する。即ち、係数CEが大きくなる程、放物線様の曲線の極大値が大きくなる。図2のG2には、係数CE(0<CE≦1)を5段階で変化させた様子が示されている。この係数CEは、入力データDATAinに応じて選択されるパラメータである。なお、係数CEは特に0<CE≦1に限定されるものではない。
【0020】
他方、遅延調整部103からは入力データDATAinがそのまま出力される。即ち、入力データDATAinをx、出力データをyとすると、図2のG3に示すように、y=xの関係となる。
【0021】
そして、非線形変換部101及び利得調整部102を介して出力されるデータ(図2のG2)と、遅延調整部103を介して出力されるデータ(図2のG3)と、が加減算回路104により加算される。これにより、図2のG4に示すように、入力データDATAinをx、出力データをyとして、べき乗関数y=xα(0<α<1)に近似した上に凸の曲線を得ることができる。この上に凸の曲線を用いてコントラスト補正を行うことができる。なお、非線形変換部101において下に凸の放物線様の曲線を用い、加減算回路104により減算しても、同様にべき乗関数y=xα(0<α<1)に近似した上に凸の曲線を得ることができる。また、非線形変換部101において下に凸の放物線様の曲線を用い、加減算回路104により加算すれば、べき乗関数y=xβ(1<β)に近似した下に凸の曲線を得ることができる。
【0022】
上述の通り、本実施の形態では、入力データDATAinを予め定められた唯一の非線形関数により変換する。そして、この変換されたデータに対し、パラメータである係数CEを乗じ、これに入力データDATAinを加算する。即ち、実施の形態1でのパラメータは、係数CEのみであり、適応的な処理に適している。
【0023】
(実施の形態2)
次に、図3を参照して本発明の第2の実施の形態に係るコントラスト補正回路について説明する。図3は、実施の形態2に係るコントラスト補正回路200のブロック図である。図3に示すコントラスト補正回路200は、第1遅延調整部201、XY振幅変更部202、正規化処理部203a、203b、非線形処理回路100a、100b、逆正規化処理部204a、204b、Y振幅変更部205a、205b、デコーダ206、第2遅延調整部207、セレクタ208を備えている。
【0024】
図3に示すコントラスト補正回路200は、出力データDATAoutとして選択されるデータを生成する3つの経路を備えている。第1経路は、第1遅延調整部201、XY振幅変更部202を備えている。第2経路は、正規化処理部203a、非線形処理回路100a、逆正規化処理部204a、Y振幅変更部205aを備えている。第3経路は、正規化処理部203b、非線形処理部100b、逆正規化処理部204b、Y振幅変更部205bを備えている。そして、デコーダ206を介して入力データDATAinから生成されたバイナリ信号に基づいて、第1経路〜第3経路からの出力が、セレクタ208により選択され、このコントラスト補正回路の出力データDATAoutとして出力される。
【0025】
ここで、このコントラスト補正回路は、図1に示した非線形処理回路100を2つ(100a、100b)備えている。この理由について説明する。図4は実際の画像のコントラスト補正の模式図である。一例として、入力データDATAinが12ビット(0〜4095)である場合を例示している。横軸は入力輝度、縦軸は出力輝度であり、実線で示された曲線が、点線で示す線形出力に対するコントラスト補正曲線である。実際のコントラスト補正では、原点近傍の「黒潰れ」及び入力最大値近傍の「白飛び」を同時に緩和する必要がある。
【0026】
そのため、図4に示すように、コントラスト補正曲線が、変化点P1(x1、y1)〜P2(x2、y2)では上に凸、変化点P2(x2、y2)〜最大点(4095、4095)では下に凸となっている。関数的には、入力x、出力yとして、変化点P1〜P2ではべき乗関数y=xα(0<α<1)、変化点P2〜最大点ではべき乗関数y=xβ(1<β)により表すことができる。なお、原点(0、0)から変化点P1(x1、y1)まではy=xの関係となっており、黒をより鮮明に見せるためのオフセット(以下、「黒のオフセット」とも言う)である。また、本実施の形態において、このオフセットは必須ではない。
【0027】
本実施の形態では、非線形処理回路100aが、べき乗関数y=xα(0<α<1)に近似した上に凸の曲線を生成する。一方、非線形処理回路100bが、べき乗関数y=xβ(1<β)に近似した下に凸の曲線を生成する。従って、これら2つの非線形処理回路100a、100bにより、「黒潰れ」及び「白飛び」を同時に緩和することができる。
【0028】
次に、各ブロックについて順に説明する。まず、第1経路を構成する第1遅延調整部201、XY振幅変更部202について説明する。
【0029】
第1遅延調整部201は、入力データDATAinを遅延させ、そのまま出力する。従って、第1経路では、入力データDATAinをx、出力データをyとして、y=xの関係となる。ここで、第2経路及び第3経路の出力と同期するように、第1遅延調整部201により遅延量が調整されている。
【0030】
XY振幅変更部202には、第1遅延調整部201から出力されたデータに加え、パラメータである2つの変化点P1(x1、y1)、P2(x2、y2)のxy座標が入力される。そして、XY振幅変更部202は、原点(0、0)とパラメータである変化点P1(x1、y1)とに基づき、y=xの関係を保持したまま、入力データ範囲(xの定義域)及び出力データ範囲(yの値域)を変更する。
【0031】
次に、第2経路を構成する正規化処理部203a、非線形処理回路100a、逆正規化処理部204a、Y振幅変更部205aについて説明する。
正規化処理部203aには、変化点P1、P2のx座標x1、x2が入力される。この変化点P1、P2のx座標x1、x2に基づいて、正規化処理部203aは入力データの範囲x1〜x2を範囲0〜4095へ正規化する。
【0032】
非線形処理回路100aは、図5に示すように、正規化された入力データ範囲0〜4095において、入力データを予め定められた非線形関数により変換する。そして、この変換したデータに対し、パラメータである係数CE1を乗じ、これに正規化された入力データDATAinを加算する。これにより、上に凸の曲線、即ち、入力x、出力yとして、べき乗関数y=xα(0<α<1)に近似した上に凸の曲線を得る。この非線形処理回路100aの処理は実施の形態1において説明した通りである。
【0033】
逆正規化処理部204aには、変化点P1、P2のx座標x1、x2が入力される。この情報に基づいて、逆正規化処理部204aは正規化された入力データ範囲0〜4095から元の入力データの範囲x1〜x2へ戻す。これにより、図7の非線形領域NLA1における補正曲線が得られる。ここで得られる補正曲線は、図7に示すように、y=xを基軸とした補正曲線のままであるので、出力データ範囲(yの値域)は入力データ範囲(xの定義域)と同じ範囲x1〜x2である。
Y振幅変更部205aには、逆正規化処理部204aから出力されたデータに加え、パラメータである2つの変化点P1(x1、y1)、P2(x2、y2)のxy座標が入力される。そして、Y振幅変更部205aはパラメータである2つの変化点P1(x1、y1)、P2(x2、y2)のxy座標に基づき、図8に示すように、出力データ範囲(yの値域)を範囲x1〜x2から範囲y1〜y2へ変更する。
【0034】
次に、第3経路を構成する正規化処理部203b、非線形処理部100b、逆正規化処理部204b、Y振幅変更部205bについて説明する。
正規化処理部203bには、変化点P1、P2のx座標x1、x2が入力される。変化点P2のx座標x2と最大点のx座標4095に基づいて、正規化処理部203bは入力データの範囲x2〜4095を範囲0〜4095へ正規化する。
【0035】
非線形処理部100bは、図6に示すように、正規化された入力データ範囲0〜4095において、入力データを予め定められた非線形関数により変換する。この変換関数は非線形処理回路100aと同一である。そして、この変換したデータに対し、パラメータである係数CE2(但し、CE1と同符号であって、正の値)を乗じ、これを正規化された入力データDATAinから減算する。これにより、下に凸の曲線、即ち、入力x、出力yとして、べき乗関数y=xβ(1<β)に近似した下に凸の曲線を得る。なお、係数CE2を負の値とし、加算してもよい。
【0036】
逆正規化処理部204bには、変化点P1、P2のx座標x1、x2が入力される。この情報に基づいて、逆正規化処理部204bは正規化された入力データ範囲0〜4095から元の入力データの範囲x2〜4095へ戻す。これにより、図7の非線形領域NLA2における補正曲線が得られる。ここで得られる補正曲線は、図7に示すように、y=xを基軸とした補正曲線のままであるので、出力データ範囲(yの値域)は入力データ範囲(xの定義域)と同じ範囲x2〜4095である。
Y振幅変更部205bには、逆正規化処理部204bから出力されたデータに加え、パラメータである2つの変化点P1(x1、y1)、P2(x2、y2)のxy座標が入力される。そして、Y振幅変更部205bはパラメータである変化点P2(x2、y2)と最大点(4095、4095)のxy座標に基づき、図8に示すように、出力データ範囲(yの値域)を範囲x2〜4095から範囲y2〜4095へ変更する。
【0037】
次に、デコーダ206は入力データDATAinをデコードし、バイナリ信号を生成する。このバイナリ信号は第2遅延調整部207を介してセレクタ208に入力される。セレクタ208は、入力されたバイナリ信号に基づいて、第1経路〜第3経路からの出力を選択する。
【0038】
具体的には、入力データDATAinがx=0〜x1の範囲では、第1経路の出力(y=x)が選択される。入力データDATAinがx=x1〜x2の範囲では、第2経路の出力(y=xα(0<α<1)に近似した上に凸の曲線)が選択される。入力データDATAinがx=x2〜4095の範囲では、第3経路の出力(y=xβ(1<β)に近似した下に凸の曲線)が選択される。
【0039】
次に、図7、8のグラフを用いて実施の形態2に係るコントラスト補正方法を説明する。図7、8は、コントラスト補正の模式図である。入力データDATAinが12ビット(0〜4095)である場合を例示している。横軸は入力輝度、縦軸は出力輝度であり、実線で示された曲線が、点線で示す線形出力(y=x)に対するコントラスト補正曲線である。
【0040】
ここで、図7は第1経路及び第2経路における逆正規化処理部204a、204bでの処理までが終了した状態を模式的に示している。図7における非線形領域NLA1の補正曲線は、図5に示す正規化により得られた補正曲線を逆正規化したものである。図7における非線形領域NLA2の補正曲線は、図6に示す正規化により得られた補正曲線を逆正規化したものである。図5、6に示すように、正規化により得られた補正曲線はいずれもy=xを基軸とした補正曲線である。そのため、図7に示すように、逆正規化した後に両者を組み合わせることにより得られる補正曲線もy=xを基軸とした補正曲線となる。即ち、入力x2に対する出力y=x2となっている。
【0041】
図8は、最終的に得られる補正曲線である。また、この図8は、図7における入力x2に対する出力y=x2から所望のy2へ変更するための処理を示している。図8に示すように、非線形領域NLA1、NLA2のY振幅(定義域)を圧縮又は伸張することにより入力x2に対する所望の出力y=y2を得ることができる。この処理をY振幅変更部205a、205bが行なっている。更に、第1経路から出力される黒のオフセットのためのy=xを線形領域LA(x=0〜x1)に組み合わせることにより、最終的な補正曲線が得られる。
【0042】
上述の通り、本実施の形態2におけるパラメータは、係数CE1、CE2、変化点P1の座標(x1、y1)、変化点P2の座標(x2、y2)の6つのみである。さらに、黒のオフセット量を定める変化点P1の座標(x1、y1)は通常固定値であるから、実質的なパラメータは係数CE1、CE2、座標(x2、y2)の4つのみとなる。本実施の形態によれば、少ないパラメータの単純制御により、極めて自由度の高いコントラスト補正曲線が得られ、適応的なコントラスト補正が可能となる。
【0043】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、本願に係る発明は、画像のコントラスト補正に限られず、例えば、音声の非線形処理に用いることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
100、100a、100b 非線形処理回路
101 非線形変換部
102 利得調整部
103 遅延調整部
104 加減算回路
200 コントラスト補正回路
201 第1遅延調整部
202 振幅変更部
203a、203b 正規化処理部
204a、204b 逆正規化処理部
205a、205b 振幅変更部
206 デコーダ
207 第2遅延調整部
208 セレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力データに対する出力データの関係が所定の曲線となるように非線形変換する非線形変換部と、
前記非線形変換部からの出力データに対し、パラメータである係数を乗じる乗算回路と、
前記非線形変換部及び前記乗算回路と並列に接続され、前記入力データの遅延を調整する遅延調整部と、
前記乗算回路からの出力データと前記遅延調整部からの出力データとを加減算する加減算回路と、を備える非線形処理回路。
【請求項2】
前記所定の曲線が放物線様の曲線であることを特徴とする請求項1に記載の非線形処理回路。
【請求項3】
前記所定の曲線が唯一の曲線であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非線形処理回路。
【請求項4】
前記所定の曲線の変換テーブルが格納された記憶部を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の非線形処理回路。
【請求項5】
前記非線形変換部が、多項式近似により演算処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の非線形処理回路。
【請求項6】
入力データに対する出力データの関係が所定の曲線となるように非線形変換し、
非線形変換されたデータに対し、パラメータである係数を乗じ、
前記係数を乗じたデータと前記入力データとを加減算する非線形処理方法。
【請求項7】
前記所定の曲線が放物線様の曲線であることを特徴とする請求項6に記載の非線形処理方法。
【請求項8】
前記所定の曲線が唯一であることを特徴とする請求項6又は7に記載の非線形処理方法。
【請求項9】
前記非線形変換において、記憶部に格納された前記所定の曲線の変換テーブルを用いることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の非線形処理方法。
【請求項10】
前記非線形変換において、多項式近似により演算処理することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の非線形処理方法。
【請求項11】
入力データに対する出力データの関係が所定の曲線となるように非線形変換する第1の非線形変換部と、
前記第1の非線形変換部からの出力データに対し、パラメータである第1の係数を乗じる第1の乗算回路と、
前記第1の非線形変換部及び前記第1の乗算回路と並列に接続され、前記入力データの遅延を調整する第1の遅延調整部と、
前記第1の乗算回路からの出力データと前記第1の遅延調整部からの出力データとを加減算する第1の加減算回路と、
前記入力データに対する出力データの関係が前記所定の曲線となるように非線形変換する第2の非線形変換部と、
前記第2の非線形変換部からの出力データに対し、パラメータである第2の係数を乗じる第2の乗算回路と、
前記第2の非線形変換部及び前記第2の乗算回路と並列に接続され、前記入力データの遅延を調整する第2の遅延調整部と、
前記第2の乗算回路からの出力データと前記第2の遅延調整部からの出力データとを加減算する第2の加減算回路と、
前記第1の加減算回路からの出力データと、前記第2の加減算回路からの出力データとを選択するセレクタを備えるコントラスト補正回路。
【請求項12】
入力データに対する出力データの関係が所定の曲線となるように非線形変換し、
非線形変換されたデータにパラメータである第1の係数を乗じたデータと、前記入力データとを加減算して上に凸の第1の曲線を生成し、
前記非線形変換されたデータにパラメータである第2の係数を乗じたデータと、前記入力データとを加減算して下に凸の第2の曲線を生成し、
xy座標(但し、入力データをx、出力データをyとする)上にパラメータとして設定した変化点において、前記第1の曲線と前記第2の曲線とを切り換えるコントラスト補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−172002(P2011−172002A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33750(P2010−33750)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】