説明

非重合体カテキン類低ガレート体の精製法

【課題】カテキン類のガレート体は苦味が強いことが知られている。飲料などで、カテキン類を高濃度で含有しながら苦味を低下させるため、簡便な手段により高純度の非重合体カテキン類低ガレート体を選択的に取得する方法を提供すること。
【解決手段】ガレート体を含有する非重合体カテキン類として固形分当たり40〜90質量%含有する水溶液を10℃以下に冷却し、析出した結晶を遠心分離、濾過、デカンテーションによって回収する非重合体カテキン類低ガレート体結晶の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度の非重合体カテキン類低ガレート体を選択的に取得する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カテキンの効果としてはαアミラーゼ活性阻害作用などが報告されている(例えば、特許文献1参照)。このような生理効果を発現させるためには、成人一日あたり4〜5杯のお茶を飲むことが必要であることから、より簡便に大量のカテキンを摂取するため、飲料にカテキンを高濃度配合する技術が望まれていた。
【0003】
しかし、高濃度にカテキンを配合した飲料は苦味や渋味が強くなる傾向があることから、カテキンを高濃度に含有しながら苦味を低下させようとする技術が種々開発されている。その技術としては、甘味料や苦味抑制剤を添加する方法もある。
【0004】
一方、茶抽出物の処理による苦味や渋味の改善手段として、カテキンのガレート体に苦味が強いことが知られていることから、タンナーゼ処理によりガレート体率を低下させる方法(特許文献2、3)が提案されている。
【特許文献1】特開2002−142677号公報
【特許文献2】特開2004−321105号公報
【特許文献3】特開2005−130809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、添加剤に依存することのない苦味や渋みの抑制技術や、タンナーゼ処理に依存することのないカテキンのガレート体率の低下技術が望まれていた。
従って、本発明の目的は簡便な手段により、高純度の非重合体カテキン類低ガレート体を選択的に取得する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、非重合体カテキン類含有組成物から、酵素などの使用を必ずしも必要とせず、かつ簡便な手段でガレート体を低下させるべく検討した結果、全く意外にも非重合体カテキン類含有水溶液を10℃以下に冷却したところ、非重合体カテキン類の非ガレート体が選択的に結晶化することから、何ら有機溶剤等を利用しなくても、自然分別法により非重合体カテキン類低ガレート体が選択的に結晶として取得できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、ガレートを含む体非重合体カテキン類を固形分当たり40〜90質量%含有する水溶液を10℃以下に冷却し、析出した結晶を回収することを特徴とする非重合体カテキン類低ガレート体結晶の製造法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明方法によれば、非重合体カテキン類低ガレート体が自然分別法により効率良く精製できる。従って、これを用いれば、ガレート体率を低下させた苦味や渋味の低減した非重合体カテキン類を高濃度に含有する飲料が製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で非重合体カテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキンをあわせての総称である。
【0010】
本発明で非重合体カテキン類ガレート体とは、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどをあわせての総称である。また非重合体カテキン類ガロ体とは、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートなどをあわせての総称である。
【0011】
ガレート体含有率とは、上記非重合体カテキン類中のガレート体の割合をいう。また、非エピ体含有率とは、非重合体カテキン類中の非エピ体カテキンの割合をいう。
【0012】
本発明方法に用いられるガレート体を含有した非重合体カテキン類を固形分当たり40〜90質量%含有する水溶液としては、緑茶抽出物、その濃縮物、その精製物等が挙げられる。
【0013】
緑茶抽出物の原料に使用する緑茶葉としては、Camellia属、例えばC. sinensis、C. assamica及びやぶきた種、又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された茶葉が挙げられる。当該製茶された茶葉は不発酵茶であれば全て利用できる。例えば、原料の調達の容易な蒸し製茶葉が好ましく、普通煎茶、深蒸し煎茶、玉露、かぶせ茶、玉緑茶、番茶などが挙げられる。
【0014】
本発明で使用する非重合体カテキン類含有水溶液は、通常の緑茶の抽出条件で製造される。緑茶葉からの抽出時の温度は、非重合体カテキン類の抽出効率を高くする観点から70℃〜沸騰水、さらに好ましくは80℃〜沸騰水を使ってもよい。緑茶葉から抽出する際の水の量は、緑茶葉に対して5〜60重量倍、特に5〜40重量倍が好ましい。緑茶葉からの抽出時間は1〜60分が好ましく、より好ましくは1〜40分、さらに好ましくは1〜30分である。抽出時間は短すぎると非重合体カテキン類の溶出が不十分であり、長すぎると非重合体カテキン類の熱変性異性化反応が進行してしまう。
【0015】
本発明においては、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報、特願2002−114355、特願2002−020415などに詳細に例示されている方法で調製した緑茶抽出物の濃縮品を使用しても良い。市販品としては、三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」などが挙げられる。そのほか、カラム精製品及び化学合成品でも使用できる。ここでいう茶抽出物の濃縮物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状など種々のものが挙げられるが、本発明の処理においては事前に水溶液の状態に調整する。
【0016】
本発明で用いる非重合体カテキン類含有水溶液中の非重合体カテキン類含有量は、低ガレート体の得やすさの点から固形分当たり40〜90質量%である。このうち、50〜85質量%、特に60〜80質量%が好ましい。また、当該水溶液中のガレート体含有率は、低ガレート体を効率良く得る観点から、10〜80質量%、11〜50質量%、さらに12〜45質量%、特に13〜40質量%が好ましい。また用いる水溶液中の非重合体カテキン類濃度は5〜50質量%、5〜35さらに8〜35質量%、特に10〜20質量%が好ましい。また、下記冷却工程において原料として使用する非重合体カテキン類含有水溶液は、事前にある程度ガレート体率を低下させる為には、タンナーゼ処理を行うことが好ましい。またここで定義する水溶液にはエタノール水溶液などの有機溶媒水溶液も含まれる。
【0017】
本発明においては、前記非重合体カテキン類含有水溶液を10℃以下にする。冷却温度は、非ガレート体を優先的に結晶化させる点から、−30〜10℃、特に−20〜9℃が好ましい。また、冷却時間は2時間以上、より好ましくは24時間以上、さらに好ましくは72時間以上、特に好ましくは90日以上、最も好ましくは半年以上が良い。その間は、前記水溶液は静置しておくのが好ましい。
【0018】
かかる冷却処理により、非ガレート体が選択的に結晶として析出する。このように非ガレート体が結晶として析出することは全く予想外であった。
【0019】
析出した低ガレート体結晶は、遠心分離、濾過、デカンテーション等の固液分離操作により容易に分取することができる。また結晶の分離操作等は、低温(0〜20℃)、さらに0〜10℃、特に0〜5℃で行う事が好ましい。
【0020】
かくして得られる非重合体カテキン類低ガレート体の非ガレート体含有率は60〜100質量%、さらに70〜100質量%、さらに80〜100質量%、特に95〜100質量%であるのが好ましい。
尚、ここでいう“固形分”とは乾燥重量法により測定される。
【0021】
また、原料として非重合体カテキン類中の非エピ体含有率が相違する水溶液を用いて本発明方法を実施したところ、原料中の非エピ体含有率が15質量%未満の場合と、15質量%以上の場合とで、得られる低ガレート体の非エピ体含有率が大きく変化することを見出した。すなわち、原料として非エピ体含有率が15質量%未満の非重合体カテキン類を用いた場合には、非エピ体含有率が0〜20質量%の非重合体カテキン類低ガレート体が選択的に得られる。一方、原料として非エピ体含有率が15〜100質量%の非重合体カテキン類を用いた場合には、非エピ体含有率が20〜100質量%の非重合体カテキン類低ガレート体が得られる。
【0022】
非エピ体含有率が低い非重合体カテキン類低ガレート体を得る場合の原料の好ましい非エピ体含有率は0〜14.9質量%、さらに好ましくは0〜14質量%、特に好ましくは0〜13質量%である。この場合は、得られる非重合体カテキン類低ガレート体の非エピ体含有率は、好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、特に好ましくは0〜5質量%である。
【0023】
一方、非エピ体含有率が高い非重合体カテキン類低ガレート体を得る場合の原料の好ましい非エピ体含有率は15質量%、さらに好ましくは16質量%、特に好ましくは17質量%である。この場合は、得られる非重合体カテキン類低ガレート体の非エピ体含有率は好ましくは20質量%、さらに好ましくは60質量%、特に好ましくは90質量%である。
【0024】
本発明方法により得られる非重合体カテキン類は、ガレート体率が低いので、苦味や渋味が低減されている。従って、非重合体カテキン類を高濃度、例えば0.05〜0.5質量%含有する緑茶飲料や非茶系飲料に配合してガレート体率を調整することができる。
【実施例】
【0025】
(カテキンの測定法)
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL-10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により行った。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
固形分分析
乾燥重量法により求めた。
【0026】
実施例1
(1)(原料水溶液の調製)
カテキン含量が30質量%の緑茶抽出物にタンナーゼ処理(タンナーゼ濃度2質量%;反応温度20℃)を行い、スプレードライ法により噴霧乾燥させる。得られたパウダーをエタノールと水の混合溶媒(水:エタノール=15:85)でカテキンを抽出した後に混合液に対して8重量部の活性炭を添加して精製を行って、カテキン製剤水溶液(A)を得た。
得られたカテキン製剤(精製緑茶抽出物)のガレート体率は44.7質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は63質量%、固形分は24.9質量%、固形分中の没食子酸濃度は2.7質量%であった。
【0027】
(2)得られた水溶液(A)(水溶液中の非重合体カテキン濃度15質量%)を、−20℃で6ヶ月保存後、室温25℃で解凍したところ、結晶が析出していた。
結晶を採取し、分析したところ、非重合体カテキン類の組成中のほぼ100質量%の非重合体カテキン類の非ガレート体であった。
【0028】
(3)非重合体カテキン類のガレート体率の相違するカテキン水溶液を調製した。すなわち、カテキン含量が30質量%の緑茶抽出物にタンナーゼ処理を行わず、スプレードライ法により噴霧乾燥させる。得られたパウダーをエタノールと水の混合溶媒(水:エタノール=15:85)でカテキンを抽出した後に混合液に対して8質量部の活性炭を添加して精製を行ってカテキン製剤水溶液(B)を得た。得られたカテキン製剤(精製緑茶抽出物)のガレート体率は50.1質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は63.1質量%、固形分は36.6質量%、固形分中の没食子酸濃度は0.3質量%であった。
それらの水溶液(B)を(2)の手法で(A)と同様に冷却したところ、非ガレート体率に依存して結晶量が増加することが判明した(図1:縦軸はサンプル管に水溶液を封入し、一定時間経過後の沈殿結晶量をサンプル管底部からの液面までの高さを100質量%としてそれに対する沈殿結晶量の割合を目視にて観察し、体積百分率で表したもの)。
【0029】
(4)非重合体カテキン類のガレート体率の相違するカテキン水溶液を調製した。すなわち、カテキン含量が30質量%の緑茶抽出物にタンナーゼ処理(タンナーゼ濃度2質量%;反応温度20℃)を行い、スプレードライ法により噴霧乾燥させる。得られたパウダーをエタノールと水の混合溶媒(水:エタノール=15:85)でカテキンを抽出した後に混合液に対して8質量部の活性炭を添加して精製を行ってカテキン製剤水溶液(C)を得た。得られたカテキン製剤(精製緑茶抽出物)のガレート体率は0.4質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は40.4質量%、固形分は36.9質量%、固形分中の没食子酸濃度は14.4質量%であった
それらの水溶液(C)を(2)の手法で(A)と同様に冷却したところ、非ガレート体率に依存して結晶量が増加することが判明した(図1)。
【0030】
(5)非重合体カテキン類のガレート体率の相違するカテキン水溶液を調製した。すなわち、カテキン含量が30質量%の緑茶抽出物にタンナーゼ処理(タンナーゼ濃度2質量%;反応温度20℃)を行い、スプレードライ法により噴霧乾燥させる。得られたパウダーをエタノールと水の混合溶媒(水:エタノール=15:85)でカテキンを抽出した後に混合液に対して8質量部の活性炭を添加して精製を行ってカテキン製剤水溶液(D)を得た。得られたカテキン製剤(精製緑茶抽出物)のガレート体率は19.0質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は55.9質量%、固形分は37.0質量%、固形分中の没食子酸濃度は10.0質量%であった
それらの水溶液(D)を(2)の手法で(A)と同様に冷却したところ、非ガレート体率に依存して結晶量が増加することが判明した(図1)。
【0031】
(6)非重合体カテキン類のガレート体率の相違するカテキン水溶液を調製した。すなわち、カテキン含量が30質量%の緑茶抽出物にタンナーゼ処理(タンナーゼ濃度2質量%;反応温度20℃)を行い、スプレードライ法により噴霧乾燥させる。得られたパウダーをエタノールと水の混合溶媒(水:エタノール=15:85)でカテキンを抽出した後に混合液に対して8質量部の活性炭を添加して精製を行ってカテキン製剤水溶液(E)を得た。得られたカテキン製剤(精製緑茶抽出物)のガレート体率は30.0質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は60.1質量%、固形分は36.4質量%、固形分中の没食子酸濃度は7.3質量%であった
それらの水溶液(E)を(2)の手法で(A)と同様に冷却したところ、非ガレート体率に依存して結晶量が増加することが判明した(図1)。
【0032】
(7)非重合体カテキン類のガレート体率の相違するカテキン水溶液を調製した。すなわち、カテキン含量が30質量%の緑茶抽出物にタンナーゼ処理(タンナーゼ濃度2質量%;反応温度20℃)を行い、スプレードライ法により噴霧乾燥させる。得られたパウダーをエタノールと水の混合溶媒(水:エタノール=15:85)でカテキンを抽出した後に混合液に対して8質量部の活性炭を添加して精製を行ってカテキン製剤水溶液(F)を得た。得られたカテキン製剤(精製緑茶抽出物)のガレート体率は37.8質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は61.4質量%、固形分は36.4質量%、固形分中の没食子酸濃度は5.0質量%であった
それらの水溶液(F)を(2)の手法で(A)と同様に冷却したところ、非ガレート体率に依存して結晶量が増加することが判明した(図1)。
【0033】
(8)非重合体カテキン類のガレート体率の相違するカテキン水溶液を調製した。すなわち、カテキン含量が30質量%の緑茶抽出物にタンナーゼ処理(タンナーゼ濃度2質量%;反応温度20℃)を行い、スプレードライ法により噴霧乾燥させる。得られたパウダーをエタノールと水の混合溶媒(水:エタノール=15:85)でカテキンを抽出した後に混合液に対して8質量部の活性炭を添加して精製を行ってカテキン製剤水溶液(G)を得た。得られたカテキン製剤(精製緑茶抽出物)のガレート体率は44.7質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は62.8質量%、固形分は24.9質量%、固形分中の没食子酸濃度は2.7質量%であった
【0034】
(9)非重合体カテキン類のガレート体率の相違するカテキン水溶液を調製した。三井農林(株)「ポリフェノン70S」を用いた。カテキン製剤のガレート体率は62.3質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は81.8質量%、粉体であった。固形分中の没食子酸濃度は0.9質量%であった
それらの水溶液(H)を(2)の手法で(A)と同様に冷却したところ、非ガレート体率に依存して結晶量が増加することが判明した(図1)。
【0035】
(10)非重合体カテキン類のガレート体率の相違するカテキン水溶液を調製した。三井農林(株)「ポリフェノン70A」を用いた。カテキン製剤のガレート体率は95.1質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類濃度は77.4質量%、粉体であった。固形分中の没食子酸濃度は0.2質量%であった
それらの水溶液(I)を(2)の手法で(A)と同様に冷却したところ、非ガレート体率に依存して結晶量が増加することが判明した(図1)。
【0036】
実施例2
(1)(原料水溶液の調製)
実施例1のカテキン水溶液(C)及び(D)を用いる。
(2)得られた水溶液(C)及び(D)(水溶液中の非重合体カテキン濃度15質量%)を、室温25℃で数時間静置したところ、結晶が析出していた。
結晶を採取し、分析したところ、非重合体カテキン類の組成中のほぼ100質量%の非重合体カテキン類の非ガレート体であった。(図2)
【0037】
実施例3
(1)(原料水溶液の調製)
実施例1のカテキン水溶液(A)〜(I)を用いる。
(2)得られた水溶液(C)及び(D)(水溶液中の非重合体カテキン濃度15質量%)を、室温25℃で数時間静置したところ、結晶が析出していた。
結晶を採取し、分析したところ、非重合体カテキン類の組成中のほぼ100質量%の非重合体カテキン類の非ガレート体であった。(図2)
【0038】
実施例4
(1)(原料水溶液の調製)
実施例1のカテキン水溶液(A)〜(I)を用いる。
(2)得られた水溶液(C)、(D)及び(E)(水溶液中の非重合体カテキン濃度15質量%)を、5℃で3日間静置したところ、結晶が析出していた。
結晶を採取し、分析したところ、非重合体カテキン類の組成中のほぼ100質量%の非重合体カテキン類の非ガレート体であった。(図3)
【0039】
実施例5
原料として非エピ体率が15〜100質量%のカテキン水溶液を用いた場合と、非エピ体率が15質量%未満の水溶液を用いた場合の結果(操作は、実施例1と同様)を表1及び表2に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
表1及び表2から明らかなように、原料の非エピ体含有率が15〜100質量%の場合には、非エピ体率が20〜100質量%の非ガレート体が選択的に得られることがわかる。一方、原料の非エピ体含有率が15質量%未満の場合には、非エピ体率が0〜20質量%の非ガレート体が選択的に得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】原料水溶液中のガレート体率と結晶量との関係を示す図である。
【図2】原料水溶液中のガレート体率と結晶量との関係を示す図である。
【図3】原料水溶液中のガレート体率と結晶量との関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガレート体を含有する非重合体カテキン類を固形分当たり40〜90質量%含有する水溶液を10℃以下に冷却し、析出した結晶を回収することを特徴とする非重合体カテキン類低ガレート体結晶の製造方法。
【請求項2】
結晶の回収方法が遠心分離、濾過、デカンテーションから選ばれる請求項1項記載の製造方法。
【請求項3】
得られた固形分中の非重合体カテキン類中の非ガレート体含有率が60〜100質量%である請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
原料として非重合体カテキン類中の非エピ体含有率が15〜100質量%の非重合体カテキン類を用い、当該非エピ体含有率が20〜100質量%の非重合体カテキン類低ガレート体を得るものである請求項1〜3のいずれか1項記載の製造法。
【請求項5】
原料として非重合体カテキン類中の非エピ体含有率が15質量%未満の非重合体カテキン類を用い、当該非エピ体含有率が0〜20質量%の非重合体カテキン類低ガレート体を得るものである請求項1〜3のいずれか1項記載の製造法。
【請求項6】
ガレート体を含有する非重合体カテキン類をタンナーゼ処理し、次に得られた非重合体カテキン類を精製することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−308460(P2008−308460A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159453(P2007−159453)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】