説明

面付印刷制御装置、面付印刷システム、面付印刷方法およびプログラム

【課題】面付印刷において、印刷された画像にムラや色ずれが生じることがあった。
【解決手段】 完成時に接して配置される複数のページの各々を構成する画像を、1枚のシートの中に互いに離間して配置した状態で印刷を行なうに先立って、色の微調整を行なうべきページをペアとして指定し、色の微調整を行なうべき領域が印刷装置の幅方向の同一位置あるいは近接位置となるように、各ページを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、完成時に接して配置される複数のページの各々を構成する画像を、1枚のシートの中に互いに離間して配置した状態で印刷を行なう面付印刷に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、完成時に接して配置される複数のページの各々を構成する画像を、1枚のシートの中に互いに離間して配置した状態で印刷を行なう面付印刷制御装置が知られており、いわゆるカンプの出力時などに用いられている。こうした面付印刷制御装置としては、例えば下記特許文献1記載の技術が知られている。この面付印刷制御装置では、画像と文字とにより、画像処理の内容を変えて、全体として望ましい画像を形成しようとしている。
【0003】
【特許文献1】特開平06−194818号公報
【特許文献2】特開平09−261493号公報
【特許文献3】特開平06−135051号公報
【0004】
また刷版データの補正を行なう特許文献2のように、画像毎にトーンカーブを調整することで、画像毎の濃淡や色ずれなどを調整するものが知られている。更に、通常のプリンタでは、用紙幅方向の色むらを補正するために、シェーディング補正と呼ばれる技術も知られている(特許文献3)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの補正を施した上で面付印刷を行なっても、なお色ムラが取り切れない場合が存在した。その一例を図29に基づいて説明する。図29は、4頁(第1、第2、第3、第4頁)分の画像データを、一枚の用紙に面付印刷する場合を示している。このとき、第2頁と第3頁とが、いわゆる見開きを構成する場合がある。見開きの左右の頁に亘る画像が存在すると、両画像は、連続した一つの画像を形成するので、その隣接する領域a1,b1では、見る者は、僅かな色ムラが存在しても気づいてしまう。もとより、用紙幅方向の色ムラを修正するシェーディング補正が完璧に行なわれていれば、こうした色ムラは生じないとも考えられるが、実際には、図29に示したように、第2頁と第3頁は、用紙に対して、幅方向Xにも、搬送方向Yにもずれて配置されているから、印刷条件を完全に揃えることは困難であり、色むらは生じてしまう。なお、こうした課題は、カラー印刷の場合に強く意識されるが、モノトーンの印刷の場合でも、同様の問題が生じることは言うまでもない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の問題の少なくとも一部を解決することを目的としてなされたものであり、次の態様または適用例として実施可能である。
【0007】
[適用例1]
画像の印刷を行なう印刷装置に画像データを出力することにより、少なくとも一組は完成時に接して配置される複数のページの各々を構成する画像を、1枚のシートの中に互いに離間して配置した状態で印刷を行なわせる面付印刷制御装置であって、
前記シートへの印刷に先立って、前記完成時に接して配置される一組のページを、前記印刷装置における印刷条件が近似する位置に配置する印刷位置配置手段と、
該配置後の画像データを前記印刷装置に出力することで印刷を行なわせる印刷指示手段と
を備えた面付印刷制御装置。
【0008】
この面付印刷制御装置では、シートへの印刷に先立って、完成時に接して配置される一組のページを、印刷装置における印刷条件が近似する位置に配置するから、両ページの印刷の条件は近似し、印刷のムラなどの発生を抑制することができる。
【0009】
[適用例2]
適用例1記載の面付印刷制御装置であって、
前記印刷位置配置手段は、前記一組のページを、該一組のページにおける互いの隣接側の画像を、前記印刷装置において、完成時の隣接関係と近似の位置になるよう配置する
面付印刷制御装置。
【0010】
この面付印刷制御装置では、印刷物としての完成時には接して配置される一組のページを、この一組のページにおける互いの隣接側の画像が、印刷装置において、完成時の隣接関係と近似の位置になるよう配置するから、両ページの印刷条件も近似することになり、印刷のムラなどの発生を抑制することができる。
【0011】
[適用例3]
適用例1記載の面付印刷制御装置であって、
前記印刷位置配置手段は、前記一組のページを、該一組のページにおける互いの隣接側の画像を、前記印刷装置における印刷位置が同じ位置になるよう配置する
面付印刷制御装置。
この場合には、印刷位置が同じ位置になるので、印刷のムラなどの発生は更に抑制される。
【0012】
[適用例4]
適用例3記載の面付印刷制御装置であって、
前記印刷位置配置手段は、前記一組のページの一方を他方に対して、上下が反対になるように回転すると共に、両ページが、印刷時において前記シートの搬送方向に並ぶ位置に配置する
面付印刷制御装置。
かかる面付印刷制御装置では、容易に印刷位置を同じ位置にすることができる。
【0013】
[適用例5]
適用例1記載の面付印刷制御装置であって、
前記完成時に接して配置される複数のページは、中綴じ印刷物において隣接配置されるページであり、
前記印刷位置配置手段は、中綴じ印刷において印刷時に隣接配置される2つのページを対にして印刷の単位とし、前記一組のページを、該一組のページにおける互いの隣接側の画像が、前記印刷装置における印刷位置が同じ位置になるよう前記対にされたページを配置する
面付印刷制御装置。
【0014】
かかる面付印刷制御装置では、いわゆる中綴じ印刷物においても、完成時に接して配置されるページを、印刷条件が近似する条件で印刷することができ、印刷のムラなどの発生を抑制することができる。
【0015】
上記の印刷制御装置は、ページを単位とした画像データを処理し出力するアプリケーションプログラムを実行するコンピュータや、プリンタドライバを組み込んだコンピュータとして実施することができる。あるいは、印刷装置(例えばプリンタ)とコンピュータとからなる面付印刷システムとしても実現することができる。あるいは、それらの方法として、更にはその方法をコンピュータに実現させるプログラムとしても実施することができる。
【0016】
なお、印刷装置としては、各種プリンタ、プロッタ、印刷機などが考えられる。プリンタとしては、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、LEDプリンタなど、種々のタイプのプリンタが使用可能である。モノクロでもカラーでも適用可能だが、特にカラープリンタ等の場合には、色ずれや色ムラの抑制という点でメリットが大きい。また、印刷の手法の違うものとしては、ヘッドが用紙の幅を方向に往復動するシリアルプリンタや用紙の幅方向に亘るヘッドを備えたラインプリンタなどがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
実施例の概要:
本発明を実施するための最良の形態について、以下、実施例を挙げて説明する。図1は、実施例としての面付印刷システム10の概略構成を示す説明図である。図示するように、この面付印刷システム10は、面付印刷制御装置として動作するパーソナルコンピュータPCと印刷装置20とからなる。印刷装置20は、印刷制御を司る制御部30、この制御部30に接続されて各種入力操作や表示を行なう操作パネル40、メモリカードSDからのデータを読み込むメモリカードリーダ50、パーソナルコンピュータPCなどに接続するためのUSBコネクタ60、6色のカラーインクをそれぞれ収納するインクカートリッジ70、シート(用紙)PPの幅方向に亘ってインクを噴射可能なラインヘッド80、シート(用紙)PPを搬送する搬送機構90などを備える。印刷装置20での印刷に用いられるシートPPは、通常は紙(用紙)であるが、もともと面付印刷が、カンプの作成など、実際の印刷物に近いものを作成することを目的としているため、裏表が加工されたアート紙など、特殊な用紙が用いられることも少なくない。このため以下の説明では、シートとの呼称に統一する。シートは、紙(用紙)でも良いし、フィルムなどであっても差し支えない。また、以下の説明で、印刷物の頁(ページ)については、第2頁というように、順序を特定した頁を意味するときには、漢字の「頁」で表記し、ページ単位というように、順序を特定しないページを意味するときは、カナの「ページ」で表記することを原則とする。
【0018】
制御部30は、全ての処理を司るCPU31、このCPU31が実行するプログラムや処理中のデータなどを保存するメモリ32、ラインヘッド80にデータを出力するためのラインヘッドドライバ回路(以下、単にドライバ回路)34、USBコネクタ60に接続されてデータの入出力を行なうUSBインタフェース36、メモリカードリーダ50殿やり取りを行なうメモリカードインタフェース37および操作パネル40とのやり取りとを行なうI/Oインタフェース38を備え、これらの素子および回路を、バスにより相互に接続している。なお、操作パネル40は、カーソルキーや決定キーなどの複数の操作キーと、液晶表示パネルとを有する。
【0019】
制御部30は、単独で印刷を行なう場合には、メモリカードSDから読み取った印刷すべき画像を、内部のメモリ32に展開し、ハーフトーン処理を行なって、ドットのオン・オフのデータに変換し、印刷を行なう。他方、パーソナルコンピュータPCからの指示を受けて印刷を行なう場合には、いわゆるハーフトーン処理済みのデータ、すなわちドットのオン・オフのデータをパーソナルコンピュータPCから受け取り、印刷を行なう。印刷は、この印刷装置20では、インクカートリッジ70、ラインヘッド80および用紙搬送機構90からなるラインプリンタエンジンを用いて行なわれる。
【0020】
ラインプリンタエンジンは、シートPPの幅方向に亘って設けられたラインヘッド80から、多色のインクドットを、シートPP上の所望の位置に噴射することにより、ラインを単位として印刷を行なう。本実施例では、ラインヘッド80は、シートPPの幅方向に亘って、各色1600dpiのピッチで用意された多数のインク噴射用ノズルを、6色分、つまり6列分有する。このインク噴射用ノズルには、インクカートリッジ70からインク供給管72を介して、6色のインクがそれぞれ送り込まれる構成となっている。6色のインクの内訳は、K(ブラック)、Y(イエロ)、LC(ライトシアン)、C(シアン)、LM(ライトマゼンタ)、M(マゼンタ)である。なお、本実施例のラインヘッド80は、各ノズルに小さなヒータを備え、ヒータの加熱時に発生する泡(バブル)を利用してインクを噴射するいわゆるバブルジェット方式を採用している。本実施例では、噴射するインク滴の大きさは変更できないが、ピエゾの歪みを利用してインクを噴射する方式などを採用し、インク滴の大きさを制御する構成としても差し支えない。また、インク噴射用ノズルは、1600dpiの密度で一直線上に配列しても良いし、千鳥の位置にずらして2列に配置しても良い。
【0021】
かかるラインヘッド80には、各インク出力用ノズル列毎にラインバッファが設けられており、制御部30は、このラインバッファにデータを送信する。1列分のデータが用意されたところで、用紙の搬送に同期して、制御部30は、ラインヘッド駆動パルスを出力する。ラインヘッド80は、このラインヘッド駆動パルスを受けると、ラインバッファに用意されたデータに従って、インク噴射用ノズルからインク滴を噴射する。インク滴が噴射されると、制御部30は、用紙搬送機構90を駆動して用紙を搬送する。
【0022】
用紙搬送機構90は、ラインヘッド80と対向する位置に設けられたプラテン91と、このプラテン91および図示しない搬送ローラなどを同期して駆動する紙送りモータ92とを備える。紙送りモータ92は、ステップモータであり、I/Oインタフェース38を介して出力されたパルスに同期して回転する。紙送りモータ92が回転すると、プラテン91と搬送ローラとが回転し、シートPPが所定量、例えば1/720インチだけ搬送される。
【0023】
インク噴射用ノズルはシートPPの搬送方向に僅かずつずれて設けられているから、制御部30は、これらの差異を吸収して、所望の位置にインク滴を噴射できるよう、ドットのオン・オフのデータの準備、ラインヘッド駆動パルスの出力、用紙搬送機構90の駆動などを全て計算し、制御を実施する。
【0024】
このラインヘッド80に送信されるデータは、本実施例では、印刷装置20に接続されたパーソナルコンピュータPC側で作られる。本実施例では、面付印刷処理は、パーソナルコンピュータPCでの処理に基づいて行なわれるものとしている。具体的な処理については後で詳しく説明するが、概略を示せば、使用者は、パーソナルコンピュータPCのディスプレイDPを見ながら、キーボードKBを操作して文字を入力したり、ポインティングデバイスであるマウスMCなどを操作し、必要な指示を行なう。パーソナルコンピュータPCは、指示を受けて、複数のページの配置の組み替え、ラスタライズやハーフトーン処理などを行ない、データを印刷装置20に出力する。
【0025】
第1実施例の面付印刷処理の概要:
次に、第1実施例の面付印刷処理の概要について説明する。図2は、パーソナルコンピュータPCで実行される面付印刷処理の概要を示すフローチャートである。図示するように、面付印刷処理は、色合わせペア指定処理(ステップS100)、面付け処理(ステップS200)、および印刷処理(ステップS400)を順次実行することにより行なわれる。色合わせペア指定処理(ステップS100)は、印刷物としての完成時に見開きページになるために高度な色合わせを行なうべきページの関係を指定する処理である。この処理が実行されると、色合わせペアデータCTが作成され、テーブルの形でパーソナルコンピュータPC内のメモリ(通常はRAM)に保存される。またこの色合わせペアデータCTは、次の面付け処理で参照される。面付け処理(ステップS200)が実行されると、面付きデータPTが作成され、メモリにテーブルの形で記憶される。この面付きデータPTは、印刷処理で参照される。なお、パーソナルコンピュータPCには、ハードディスクも内蔵されているため、各テーブルはハードディスクに保存しても良い。
【0026】
色合わせペアの指定処理:
色合わせペア指定処理(ステップS100)を、図3のフローチャートに示した。この処理は、パーソナルコンピュータPC上で実行されているデスクトップパブリッシング(DTP)ソフトウェアから印刷指示を出したとき、DTPソフトウェアに組み込まれたアドインソフトとして、いわゆる印刷処理(ラスタライズなどの処理)に先立って行なわれる。この処理が開始されると、パーソナルコンピュータPCは、そのディスプレイDP上に、図4に示した画面を表示する。
【0027】
この例では、DTPソフトウェアが作成した複数のページ(この例では、1ないし9)をディスプレイDPの左側に、操作用のボタンなどを右側に、それぞれ表示している。複数ページの表示は、見開きの状態が考慮されており、この例では、第2頁と第3頁、第4頁と第5頁、第6頁と第7頁、第8頁と第9頁が、それぞれ見開きの関係にあることが分かるように、それぞれ近接して表示される(後述するように、こうした表示を「ページ連結性表示」と呼ぶ)。
【0028】
画面右側の操作ボタンとしては、「ページ連結性表示」ボタンBT1、「ページ単位表示」ボタンBT2、「テキスト編集表示」ボタンBT3」、「色合わせ位置指定」ボタンBT4が表示されている。そこで、まずどのボタンが操作されたかの判断を行なう(ステップS110)。マウスMCを操作してカーソルM1を「ページ連結性」ボタンBT1の上において、マウスボタンをクリックすると、ステップS110では、「ページ連結性表示」ボタンBT1が操作されたものと判断し、図4に示したページ連結性表示を行なう(ステップS120)。その後、処理は一旦「NEXT」に抜けて、また最初から繰り返す。
【0029】
図4の表示に切り替えられた後、使用者が「ページ位置指定」ボタンBT4を操作したことを検出すると(ステップS110)、処理はステップS130以下に移行するが、このとき、カーソルを、色合わせペアの指定を行なうことを示す専用のポインタMMの表示に切り換えた上で、マウスクリックが行なわれるまで待機する。使用者がポインタMMを、画面左側のページの表示のところに持って行き、マウスボタンをクリックすると、これを検出し(ステップS130)、そのときのポインタの位置を読み取る(ステップS140)。そしてポインタMMの位置と、ディスプレイDPに表示されているページの位置から、ポインタMMの左右に存在する対応ページK1、K2を特定する(ステップS150)。ポインタMMの位置を読み取って左右の対応ページK1,K2を特定するには、ポインタの位置から左右に所定量だけ隔たった位置のページ番号を読み取ることにより行なうことができる。読み取ったページ番号が同一の番号であったり、一方または両方の位置にページが存在しなかったりすれば、ポイント位置が不正であるとして、ステップS130から処理をやり直せばよい。もとより、「ページの境界をクリックしてください」といった警告を表示することも差し支えない。
【0030】
左右の対応ページK1,K2を特定した後、両ページK1,K2が連結性を有するか否かを判定する(ステップS160)。例えば、ポインタMMを、第3頁と第4頁の間においてクリックした場合には、両ページ間には連結性がそもそも存在しないので、この場合もステップS130に戻って処理を繰り返す。ポインタMMで指定し、特定された対応ページK1,K2が連結性を有していれば(ステップS160)、このページK1,K2を色合わせを行なうべきペアであるとして、色合わせペアデータCTとして記録する処理を行なう(ステップS170)。例えば、図4に示した例のように、第2頁と第3頁の間にポインタMMを持って行ってクリックすれば、K1=2、K2=3として、色合わせのペアがテーブルに記録される。以上の処理の後、「NEXT」に抜けて処理を一旦終了する。
【0031】
なお、図4に例示した画面で、上記の「ページ連結性表示」ボタンBT1、「色合わせ位置指定」ボタンBT4以外のボタンをクリックすると、その他の処理(ステップS190)が行なわれる。「ページ単位表示」ボタンBT2をクリックすれば、各ページ単位での表示に切り換わり、「テキスト編集表示」ボタンBT3をクリックすれば、各ページに収められたテキストの編集が可能となる。
【0032】
上述した色合わせペアの指定処理を実行することで、色合わせペアデータCTが作成される。この色合わせペアデータCTの一例を、図5に示した。図示するように、この例では、第2,第3頁間にペア配置指定がなされ、ペアの相手が記録される。また、連結性データを参照することにより、左側に第2頁、右側に第3頁がくることが分かるので、色の微調整を行なうべき位置が、第2頁については右側、第3頁については左側であることも、色合わせペアデータCTには記録される。一般に横組みの印刷物では、見開きの左側が偶数ページ、右側が奇数ページで、かつ左から右側に向かってページ番号が増大するようになっている。他方、縦組みの印刷物では、見開きの右側が偶数ページ、左側が奇数ページで、かつ右から左側に向かってページ番号が増大するようになっている。この情報を利用して、色の微調整を行なう位置を特定するのである。
【0033】
面付け処理:
以上説明した色合わせ位置指定処理が完了し、色合わせペアデータCTを作成した後、次の面付け処理(ステップS200)を実行する。面付け処理(ステップS200)は、パーソナルコンピュータPC上では、プリンタドライバの処理の一部として実行されている。もとより上記の色合わせペアの指定処理を行なったアドインソフトの一部として実施することも差し支えない。面付け処理(ステップS200)の詳細を説明する前に、面付印刷のレイアウトについて図6を用いて説明する。図6は、面付きレイアウトの位置を示す説明図である。第1実施例では、面付印刷は、ページ毎に、長尺のシートに裏表で行なう。長尺のシートへの裏表の印刷は、一旦表面の位置A1、A2、A3に割り当てられたページを印刷し、次のこのシートを裏返して印刷装置20に装着し、今度は裏面の位置B1、B2、B3に割り当てられたページを印刷することにより行なわれる。もとより、図4に示した例では、第1ないし第9までのページが表示されていたが、ここでは、シートの長さの関係で、シートの送り方向に、三枚ずつ印刷するものとして説明する。この結果、印刷が完了すると、位置A1ないしA3に印刷された各ページの裏面には別のページがそれぞれ位置B1、B2、B3に印刷されることになる。シートPPの幅方向(左右方向)を基準にすると、位置A1ないしA3に配置されたページの右端の裏面には、位置B1ないしB3に配置されたページの左端が位置することになる。
【0034】
この条件の下で、図7に示した面付け処理(ステップS200)を開始する。面付け処理とは、実質的には、図6に示したシートのどこにどのページどのように配置するか、という処理である。この処理が開始されると、まず処理対象頁を示す変数Nを初期化する(ステップS210)。すなわち、変数Nに値1を入れるのである。処理を開始する頁が、全体の途中からであれば、その開始頁に対応した数値を入れれば良い。次に、配置ポインタKを初期化(「A1」を設定)し、更に「上下反転」のフラグを「なし」に初期化する。配置ポインタKは、図6のいずれの位置にページを割り当てるかを示す変数である。また「上下反転」フラグとは、シートPPに対して、ページを上下反転して配置するか否かを示すものである。
【0035】
次に、色合わせペアデータCTを参照し、第N頁についての色合わせ情報をチェックする処理を行なう(ステップS230)。図5に例示した色合わせペアデータCTを参照するのである。色合わせペアデータCTにペア配置指定といった情報がなければ、第N頁をポインタKの位置(初期位置は「A1」)に配置し、レイアウト上の位置と上下反転の有無を、面付きデータPTとして記録する処理を行なう(ステップS240)。上下反転は、図8に示すように、例えば第3頁を上下入れ替えて配置する場合に上下反転「有り」となる。図7に示した処理が最初に実行された時点では、上下反転フラグは「なし」に初期化されているので(ステップS210)、第1頁については、レイアウト位置「A1」、上下反転フラグ「なし」となる。こうした面付きデータPTの一例を図9に示した。
【0036】
第N頁についての処理を終了すると(ステップS240)、次のこのレイアウト位置(最初は「A1」)の裏ページが既に配置済みであるか否かの判断を行なう(ステップS245)。裏ページの配置が済んでいなければ、配置ポインタKを反転する処理を行なう(ステップS250)。つまり配置ポインタKが図6の「A1」「A2」「A3」なら、配置ポインタを「B1」「B2」「B3」とするのである。そして、最終ページまで処理が済んだかを判断し(ステップS265)、処理が済んでいなければ、ページ番号を示す変数Nを値1だけインクリメントし(ステップS270)、ステップS230に戻って処理を再度実行する。
【0037】
N=2、K=「B1」として、ステップS230以下の処理を実行すると、色合わせ情報は有り、となる(ステップS235)。この場合には、ペアの相手が既に配置済みか否かを判断する(ステップS275)。第2頁のように、ペア配置情報「有り」のページの最初の側を特定した場合は、ステップS275での判断は「NO」となり、上述したステップS240以下を実行する。第2頁の場合、「裏ページは配置済みか」というステップS245での判断が「YES」になるから、この場合には、配置ポインタKを「A」側にセットし、配置ポインタKを値1だけインクリメントし、上下反転フラグを「無し」に初期化する処理を行なう(ステップS260)。この結果、第2頁(N=2)を処理した後には、K=「A2」、上下反転フラグ「なし」、N=3となる。
【0038】
処理の対象ページが進み、N=3、つまり第3頁を処理する際には、色合わせ情報がありとなり(ステップS235)、ペアの相手は配置済みとなる(ステップS275)。この場合には、処理はステップS280以下に進み、配置ポインタKをペア配置裏表に合わせてる処理を行なう。この処理を、図8を用いて説明する。第3頁を処理する際には、配置ポインタKは、「A2」となっている。従って、図8(B)に示すように、第3頁はそのままであれば、「A2」の位置に配置される。しかし、ペアの相手が配置済みである場合には、ステップS280の処理により、既に配置されたペアの配置された側に合わせるのである。つまり、表面(A1、A2、A3)側か、裏面(B1、B2、B3)側かを合わせるのである。この例では、図8(A)に示したように、第3頁は第2頁と同じ側(B側)に配置される。
【0039】
更にその上で、色微調整位置(左右)がペアで位置するように上下反転フラグのセットを行なう(ステップS290)。ペア配置指定がなされた第2,第3頁については、色の微調整位置は、図5に示したように、第2頁が右、第3頁が左である。図8(A)に示したように、第3頁について上下反転を行なわないと、それらのサイドは左右に分かれて一致しない。そこで、図8(A)に示したように、着目しているページ(ここでは第3頁)については、上下反転フラグを「有り」に設定するのである。この結果、図8(A)に示したように、第3頁は、裏面B2の位置に配置され、かつ上下が反転されることになる。
【0040】
ステップS280の処理の後、上述したステップS240以下の処理を繰り返す。つまり第N頁を配置ポインタKの位置に配置し、レイアウト位置と上下反転の有無を、面付けデータPTとして記録し(ステップS240)、裏ページにはまだ配置されていないことから、配置ポインタKを反転(この場合は、B2→A2)する(ステップS245、S250)。なお、第4頁を処理する場合には、色合わせ情報はないので(ステップS253)、そのまま第4頁を配置ポインタK(この場合は「A2」)の位置に配置し、レイアウト位置と上下反転の有無を、面付きデータPTとして記録し(ステップS240)、裏ページは第3頁が配置済みであることから、配置ポインタKを「A」側にセットし、配置ポインタKをインクリメントし、更に上下反転フラグを「なし」に初期化する(ステップS245、S260)。
【0041】
こうした処理を、第1頁(N=1)から最終ページまで行ない、最終ページにいたったら(ステップS265)、本処理を終了する。この結果、面付けデータPTは、図9に示したようになり、これに従う各ページの面付きの状態は、図8(A)に示した状態となる。図7に示した面付け処理を行なわなければ、図8(B)に示した状態となり、面付け処理(ステップS200)により、第3、第4頁の印刷位置が入れ替えられ、かつ上下が反転されて印刷されることが分かる。
【0042】
上述した面付け処理(ステップS200)の後、印刷処理(ステップS400)が行なわれ、シートPPの裏表に、第1ないし第6頁が印刷される。具体的には、アドインソフトウェアが、面付けデータPTを参照して、印刷すべきページの画像を配置し、これをプリンタドライバに出力する。プリンタドライバは、受け取ったデータに対して、ラスタライズ、色変換、ハーフトーン処理などを施し、印刷装置20が処理できるドットのオン・オフのデータに変換して出力する。印刷装置20は、このデータを受け取り、用紙搬送機構90やラインヘッド80を駆動して、印刷を行なう。この結果、ペア指定がなされた第2,第3頁については、第2頁の右側a2と第3頁の左側b2とが、印刷装置20の印字の幅方向については、ほぼ同じ位置で印刷されることになる。従って、印刷物として完成された時には、第2頁と第3頁は、図8(C)に示したように、見開きとなり、その互いに突き当てられた領域a2、b2は、印刷装置20の印刷条件がきわめて近い状態で印刷されたものとなる。つまり、一つの図柄が見開きの頁にまたがって配置されているケースで、印刷装置20の印刷位置の違いなどによる色のずれが生じることがない。
【0043】
変形例:以上説明した第1実施例の変形例として、ステップS280での処理を行なわないものを考えることができる。この場合、ペアの相手が配置済みでも、ペアの配置の裏表を合わせるための配置の入れ替えを行なわない。但し、色の微調整位置(左右)がペア同士で一致しない場合は、上下の反転を行なうこと(ステップS290)に代わりはない。この結果、各ページの配置は、図10(A)に示しものとなる。このとき、第3、第4頁の配置の入れ替えは生じず、単に上下の反転のみが生じる。この場合でも、印刷物として完成すると、第2,第3頁は、図10(B)に示すように、見開きになるが、見開きの状態で付き合わされる領域a3、b3は、図10(A)に示したように、シートPPの印刷としては、表と裏で別れているものの、印刷装置20の幅方向における印刷位置としては、ほぼ同一となる。この結果、印刷位置の違いによる色ずれなどの発生は最小限度に抑えられることになる。
【0044】
第2実施例:次に、第2実施例として、完成する印刷物との綴じ方が異なる例について説明する。印刷物には、雑誌などで用いられる、いわゆる中綴じと呼ばれる綴じ方が存在する。この場合は、各ページは、図11に示すように、例えば全12ページを中綴じすると、第1頁+第12頁(図11では背面になっており、符号のみを図示)の裏面に、第2頁+第11頁が印刷される。以下、第3頁+第10頁の裏に、第4頁+第9頁が印刷され、第5頁+第8頁の裏面に第6頁+第7頁が印刷される。要するに、全Sページ(但し、Sは4の倍数)を中綴じで製本するものとして印刷する場合、第(2J+1)頁+第(S−2J)頁の裏に、第(2J+2)頁+第(S−2J−1)頁を印刷するのである(但しJは、0、1、2・・・)。
【0045】
この場合には、図13に示すように、左右2ページを一つの印刷単位としてみて、これを、表面については「A1」「A2」「A3」のいずれかに配置すると考え、裏面については「B1」「B2」「B3」のいずれかに配置すると考える。第1実施例では、各ページの配置を配置ポインタKにより示したが、第2実施例では、左右2ページを一つの単位(以下、「葉」と呼ぶ)とし、その配置を配置ポインタKにより示す。従って、面付けデータPTについても、この「葉」に基づいて記録を行なうものとし、図12に例示したように、各葉に、いずれのページが含まれるかを併せて記録する。
【0046】
こうした中綴じ印刷でのペアの配置と色の微調整位置との関係について説明する。図14は、中綴じされた印刷物の様子を示す説明図である。図示するように、左開きで中綴じされた印刷物は、扉を第1頁とすると、第2頁と第3頁が見開きになるが、第2頁と第3頁とは異なる葉に、それぞれ印刷されることになる。従って、第2頁と第3頁とがペア指定されるということは、色の微調整位置a4,b4は、シートPPからすれば、図12の色合わせペアデータCTに記録されたように、第2頁が属する第2葉では中央左寄りとなり、第3頁が属する第3葉では中央右寄りということになる。
【0047】
上記の前処理および前提を踏まえて、図7に示した面付け処理を行なう。但し、図15に示したように、図7のステップS290と図15のステップS295は、色の微調整を行なう位置の考え方が異なる。これは、色微調整が、第1実施例では、左右の端であったのに対して、本実施例では、図12に示したように、中央左右寄りのいずれかであることに拠っている。この結果を、図16に示した。第2実施例では、左右の端ではなく、各葉に含まれるページの左右端、結果的には、各様の中央左寄りか右寄りかに位置する領域a4,b4が一致するように、配置と上下の反転とを設定している。
【0048】
この例では、結果的に、第3および第10頁が配置された第4葉が裏面の「B2」の位置に配置され、かつ上下反転されることになる。従って、第3頁とペアになる第2頁(裏面B1に配置)と、印刷の位置が、印刷装置20の幅方向においてほぼ同一位置となる。このため、第2頁の右端a4と第3頁の左端b4との色ずれなどはほとんど発生しない。これに対して、面付け処理を行なわない場合は、図17に示した配置となり、色ずれが生じる可能性が高くなる。
【0049】
なお、第1実施例の変形例と同様に処理を行なうことにより、図18に示した配置を得ることも容易である。この場合、図15のステップS295の処理を行なわないものとしている。この結果、第3葉と第4葉については、上下を反転する処理は行なわれない。この場合には、印刷位置は、完全には一致しないが、印刷装置20の幅方向中央部であって、比較的近い位置にあること、および第2頁を含む第2葉を印刷してから、第3頁を含む第4葉を印刷するまでの時間的な差が小さいので、インクカートリッジ70内のインク量の変化が小さい、印刷条件が大きくは相違しないという利点がある。インクカートリッジ70内のインク量が大きく変化すると、特に微小なインク滴を形成する場合には、影響を受けることがあるからである。この変形例では、印刷の時間的な違いが小さく、かつ印刷位置が近いため、色ずれの発生は大幅に抑制される。
【0050】
第3実施例:次に本発明の第3実施例について説明する。この実施例は、上記の他の実施例と同一のハードウェア構成を用いるが、面付印刷では、シートPPの幅方向に2ページを、シートPPの長さ方向(搬送方向)にも2ページを配置し、計4ページを一組として扱う。図19は、第3実施例における色合わせペアデータCTの内容を示す説明図である。この例では、色合わせペアの指定処理により、第2頁と第3頁が、色合わせを行なうべきペアとされている。かかる色合わせペアデータCTが作成されたのち、面付け処理として、図20の処理を実施する。
【0051】
この処理が開始されると、まず、変数Nを値1に初期化し(ステップS510)、かつ配置を示すポインタKについてもこれを初期化する(K←A1)処理を行なう(ステップS520)。ポインタKの配置は、図20に示したように、1枚のシートにA1ないしB2の4箇所が設定されており、ポインタKは、A1→B1→A2→B2の順に更新される。初期化の処理の後、まず第N頁について、色合わせペアデータCTを参照し、そこに登録された色合わせ情報をチェックする(ステップS530)。色合わせペアデータCTには、色合わせを行なうべきペアの配置指定があるか否かの情報が記録されているので、これを参照して、色合わせ情報が有るかないかを判断する(ステップS535)。色合わせペアデータCTに色合わせのペア配置指定の情報が「有り」となっていれば、色合わせ位置に応じてペアを配置する処理を行ない(ステップS540)、色合わせのペア配置指定の情報が「なし」であれば、現在の配置にそのまま仮配置する(ステップS550)。その上で、全てのページについての配置を済ませたか確認し(ステップS555)、第1頁ないし第4頁について完了していなければ、ページ数を示す変数Nを値1だけインクリメントして(ステップS560)、上述したステップS530から処理を繰り返す。全てのページについての処理が完了すれば(ステップS555)、それまでに行なった配置を確定させ(ステップS570)、面付けデータPTとして出力する。
【0052】
図20において、色合わせ位置に応じてペアを配置する処理(ステップS540)を行なう際、種々のバリエーションを考えることができる。最も単純な配置は、図21に示したように、ペアに指定されたページを見開きのままに配置するものである。この場合、色合わせを行なうべき領域a6,b6は、印刷装置20の幅を方向に対して同一の位置とはならないが、近接した位置となることから、色ずれは比較的小さく保たれる。他方、図22に示すように、第2頁を配置ポインタK=A1の位置に、第3頁を配置ポインタA2の位置に配置し、かつ第3頁または第2頁を上下反転させることもできる。この場合には、第2,第3頁の色合わせすべき領域a7,a8は、印刷装置20の幅方向に対して同一の位置となるので、色合わせはきわめて良好に行なわれる。こうした効果は、第1,第2実施例と同一である。
【0053】
こうした配置は、ステップS540において、色合わせ位置に応じてペアを配置する際のアルゴリズムを予め決めておくことにより実現可能である。なお、このステップS540の処理以前に配置されたページがあっても、色合わせ位置に応じたペアの配置以外は仮配置(ステップS550)なので、色合わせ位置に応じたペアの配置が優先され、仮配置されたページは他の位置に移動される。図22に示した例では、第1頁は、最初配置ポインタK=A1の位置に仮配置されるが、次に着目した第2頁に色合わせ配置指定が「有り」になっていることから、第2,第3頁をA1、A2の位置に配置する処理が優先され、仮配置された第1頁は、B1の位置に移動される。また第3頁は、色の微調整位置を合わせるための上下反転されることになる。
【0054】
第4実施例:次に、本発明の第4実施例について説明する。第4実施例は、第3実施例と同位置のハードウェア構成を採用している。第4実施例では、パーソナルコンピュータPCは、図23に示した面付印刷処理を実行する。この処理は第1実施例の処理(図2)とは、バーコードの配置処理(ステップS300)を付加して点以外は同一である。そこで、第3実施例を前提として、第4実施例に独自のバーコード配置処理(ステップS300)について説明する。バーコード配置処理(ステップS300)では、面付け処理(ステップS200)で作成された面付けデータPTを参照し、各ページの近傍に、バーコードを配置するのである。例えば第3実施例の図22の配置がなされた場合に、図24に示すように、各ページの右下に、ページ番号を示すバーコードbc1ないしbc4が配置される。この例では、バーコードは、印刷するページ番号を示しているので、印刷処理(ステップS400)で、各ページの画像と共に印刷され、図示しない後工程で、ページの裁断・製本に利用される。各ページ内にページ数が印刷されているとは限らないため、シートPPから各ページを切り落とした後、ページの順番などが分からなくなるということがない。特に本実施例では、各ページは、色合わせのために、ページの順番通りには、配置されないから、こうしたページの順番を示す符号(本実施例ではバーコード)を印刷することは有用である。
【0055】
変形例:第4実施例では、バーコードは、全てページの右下に配置したが、バーコードを、各ページの配置の上下関係に合わせて配置することも有用である。図22は、第3頁が上下反転されたのに応じて、バーコードbc3も反転され、ページの左上に配置された例を示している。こうしておけば、印刷されたページの上下を容易に知ることができる。グラフィカルなページでは、必ずしも図柄だけではページの上下を判別しにくいこともあるので、こうした符号(本実施例ではバーコード)の配置は有用である。
【0056】
最後に、上述した第1ないし第4実施例の変形例として、色合わせペアの指定処理の他の例について説明する。上記の実施例では、図4に示したように、色合わせのペアは、ページ連結性表示を行なった上で、特殊な形状のポインタMMを持って行き、マウスボタンをクリックすることにより指定した。これに対して、図26に示すように、特にページ間の連結性を表示せず、各ページを表示した状態で、指定するものとしても良い。例えば、まず有るページ(図26では第2頁)の右端でクリックし、続けて隣のページの左端でクリックすると、第2頁の左端と第3頁の右端で色合わせを行なうという指定とみなすものとすることができる。なお、印刷物によっては、ある種のギミックを採用し、第2頁と第4頁で一つの図柄を表わすということもあり得る。例えば、第4頁を通常の頁より小さくしておき、あるいは第4頁を折り込むことにし、またはミシン目などから切り取る構成とし、第2頁の一部を第4頁が覆った状態で一つながりの図柄となる、という構成を採ることができる。こうした場合を想定し、色合わせのペアの指定を、連続するページに限定せず、例えば第2頁の中央と、第4頁の中央(折り込んだり切り取る場合)、あるいは第4頁の左端(第4頁が半ページの場合)とをペアとして指定できるものとしても良い。
【0057】
図4に示した連結性表示を採用する場合には、第1実施例では、特殊な形状のポインタMMを表示し、これを用いて連結されたページの境目をクリックするものとしたが、既に連結性が指定されているのであれば、連結されたページのいずれか一方を、通常のカーソルを用いて指定しクリックするだけで、色合わせのペアの指定とみなすものとしても良い。同様に、ページ間の連結性が既に指定されている場合には、ページ間にまたがる図柄の存在をパーソナルコンピュータPCが自動的に判別し、色合わせのペアを指定しても良い。図27に示した例では、左開きの印刷物として、第2−第3頁、第4−第5頁・・・が指定されており、これらのページにまたがる図柄が存在する場合を示している。こうした場合には、ページにまたがる図柄の存在するページを、色合わせのペアとして、自動的に指定するものとしても良い。このように多数のページが、色合わせのペアとして指定されても、図28に示すように、各ページの配置位置、上下反転を設定することで、色合わせのペア同士の印刷位置を、印刷装置20の幅方向で揃えることができる。
【0058】
以上説明した実施例では、面付印刷のための処理はパーソナルコンピュータPC側で行なったが、印刷装置20単独で、ほぼ同一の動作を行なうことも可能である。この場合、ラインヘッド80に送られるデータは、メモリカードSDからの読み取ったデータを、制御部30で展開することにより作られる。具体的には、制御部30が、メモリカードSD内のデータをカードリーダ50を用いて読み取り、操作パネル40に画像データを表示させる。これに対してカーソルキーなどを操作して、隣接関係などの指定を行なうと、制御部30は、この指定を元に画像データの印字上の配置を決定し、その後、画像データを解析して、各画素毎に所定階調値を有する画像データにするラスタライザ処理、ラスタライズされた画素毎の画像データを色変換する処理、および色変換済みのデータをラインヘッド80が形成するドットのオン・オフのデータに変換する処理を実施する。
【0059】
上記の実施例や変形例では、印刷媒体として通常の用紙を用いたが、印刷媒体としてはシート状のものであればよい。例えば、特殊なフィルムや写真用マット紙などであっても同様に印刷することができる。また、上記の実施例や変形例では、印刷手段として用紙の幅方向に亘って設けられたラインヘッドからインクを噴射するラインプリンタエンジンを用いたが、印刷手段としては、ヘッドを印刷媒体搬送方向と交差する方向に走査しつつインクを噴射するシリアルプリンタエンジンを用いてもよいし、あるいは感光ドラムに潜像を順次形成してトナーを転写する電子写真方式のページプリンタエンジンを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施例の面付印刷システム10の概略構成を示す説明図である。
【図2】面付印刷処理の概要を示すフローチャートである。
【図3】色合わせペアの指定処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】色合わせのペアの指定画面の一例を示す説明図である。
【図5】色合わせペアデータCTの一例を示す説明図である。
【図6】面付きレイアウトの位置を示す説明図である。
【図7】面付け処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】第1ないし第6頁の配置の入れ替えと上下の入れ替えの様子を示す説明図である。
【図9】変形例における面付きデータPTの一例を示す説明図である。
【図10】第1ないし第6ページ配置の入れ替えと色合わせての微調整を行なう領域の関係を示す説明図である。
【図11】第2実施例に関し、中綴じ印刷物のページ配置について説明する説明図である。
【図12】第2実施例における面付けデータPTの一例を示す説明図である。
【図13】第2実施例のおける面付け処理での各葉の配置位置A1ないしA3、B1ないしB3を示す説明図である。
【図14】第2実施例における中綴じ印刷物の丁合された形態を示す説明図である。
【図15】第2実施例における面付け処理の要部を示すフローチャートである。
【図16】第2実施例における各ページの配置の一例を示す説明図である。
【図17】第2実施例と対比するために面付け処理を行なわない配置の一例を示す説明図である。
【図18】第2実施例の変形例による配置の一例を示す説明図である。
【図19】第3実施例における色合わせペアデータCTの例を示す説明図である。
【図20】第3実施例における面付け処理の概要を示すフローチャートである。
【図21】第3実施例による面付け処理の結果の一例を示す説明図である。
【図22】第3実施例による面付け処理の他の結果を例示する説明図である。
【図23】第4実施例の面付印刷処理の概要を示すフローチャートである。
【図24】第4実施例による面付け処理の結果の一例を示す説明図である。
【図25】第4実施例による面付け処理の他の結果を例示する説明図である。
【図26】色合わせのペア指定の他の対応について説明する説明図である。
【図27】色合わせのペアを自動計算する例を示す説明図である。
【図28】各ページの面付け処理の一例を示す説明図である。
【図29】従来技術について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0061】
10…面付印刷システム
20…印刷装置
30…制御部
31…CPU
32…メモリ
34…ラインヘッドドライバ回路
36…USBインタフェース
37…カードリーダインタフェース
38…I/Oインタフェース
40…操作パネル
50…メモリカードリーダ
60…USBコネクタ
62…USBケーブル
70…インクカートリッジ
72…インク供給管
80…ラインヘッド
90…用紙搬送機構
91…プラテン
92…紙送りモータ
KB…キーボード
MC…マウス
PC…パーソナルコンピュータ
SD…メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の印刷を行なう印刷装置に画像データを出力することにより、少なくとも一組は完成時に接して配置される複数のページの各々を構成する画像を、1枚のシートの中に互いに離間して配置した状態で印刷を行なわせる面付印刷制御装置であって、
前記シートへの印刷に先立って、前記完成時に接して配置される一組のページを、前記印刷装置における印刷条件が近似する位置に配置する印刷位置配置手段と、
該配置後の画像データを前記印刷装置に出力することで印刷を行なわせる印刷指示手段と
を備えた面付印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の面付印刷制御装置であって、
前記印刷位置配置手段は、前記一組のページを、該一組のページにおける互いの隣接側の画像を、前記印刷装置において、完成時の隣接関係と近似の位置になるよう配置する
面付印刷制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の面付印刷制御装置であって、
前記印刷位置配置手段は、前記一組のページを、該一組のページにおける互いの隣接側の画像を、前記印刷装置における印刷位置が同じ位置になるよう配置する
面付印刷制御装置。
【請求項4】
請求項3記載の面付印刷制御装置であって、
前記印刷位置配置手段は、前記一組のページの一方を他方に対して、上下が反対になるように回転すると共に、両ページが、印刷時において前記シートの搬送方向に並ぶ位置に配置する
面付印刷制御装置。
【請求項5】
請求項1記載の面付印刷制御装置であって、
前記完成時に接して配置される複数のページは、中綴じ印刷物において隣接配置されるページであり、
前記印刷位置配置手段は、中綴じ印刷において印刷時に隣接配置される2つのページを対にして印刷の単位とし、前記一組のページを、該一組のページにおける互いの隣接側の画像が、前記印刷装置における印刷位置が同じ位置になるよう前記対にされたページを配置する
面付印刷制御装置。
【請求項6】
画像の印刷を行なう印刷装置と、該印刷装置に画像データを出力する画像処理装置とからなり、少なくとも一組は完成時に接して配置される複数のページの各々を構成する画像を、1枚のシートの中に互いに離間して配置した状態で印刷を行なわせる面付印刷システムであって、
前記画像処理装置は、前記シートへの印刷に先立って、前記完成時に接して配置される一組のページを、前記印刷装置における印刷条件が近似する位置に配置する印刷位置配置手段と、
該配置後の画像データを前記印刷装置に出力することで印刷を行なわせる印刷指示手段と
を備えた面付印刷システム。
【請求項7】
画像の印刷を行なう印刷装置に画像データを出力することにより、少なくとも一組は完成時に接して配置される複数のページの各々を構成する画像を、1枚のシートの中に互いに離間して配置した状態で印刷を行なわせる面付印刷方法であって、
前記シートへの印刷に先立って、前記完成時に接して配置される一組のページを、前記印刷装置における印刷条件が近似する位置に配置し、
該配置後の画像データを前記印刷装置に出力することで印刷を行なわせる
面付印刷方法。
【請求項8】
画像の印刷を行なう印刷装置に画像データを出力することにより、少なくとも一組は完成時に接して配置される複数のページの各々を構成する画像を、1枚のシートの中に互いに離間して配置した状態で印刷を行なわせるプログラムであって、
コンピュータに、
前記シートへの印刷に先立って、前記完成時に接して配置される一組のページを、前記印刷装置における印刷条件が近似する位置に配置する第1の機能と、
該配置後の画像データを前記印刷装置に出力することで印刷を行なわせる第2の機能と
を実現させるための面付印刷プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−223846(P2009−223846A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70603(P2008−70603)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】