面状発熱体
【課題】被取付部への面状発熱体の切り欠き部を合理的に形成できることを目的とする。
【解決手段】電気絶縁性基材１と、前記電気絶縁性基材１上にスクリーン印刷により形成された対となる給電電極３ａ，３ｂおよびそれぞれの給電電極３ａ，３ｂから交互に分岐配設した櫛形形状の接続電極２ａ，２ｂからなる電極と、前記電極に重ねてスクリーン印刷され、前記電極より給電されて発熱する高分子抵抗体４と、前記電気絶縁性基材１の電極、高分子抵抗体４がない箇所に形成した切り欠き部７ａ，７ｂとを具備し、前記切り欠き部７ａ，７ｂは、印刷により形成される前記電極、高分子抵抗体のいずれか一つと同時に施したマーキング８ａ，８ｂにもとづき形設したものである。
【解決手段】電気絶縁性基材１と、前記電気絶縁性基材１上にスクリーン印刷により形成された対となる給電電極３ａ，３ｂおよびそれぞれの給電電極３ａ，３ｂから交互に分岐配設した櫛形形状の接続電極２ａ，２ｂからなる電極と、前記電極に重ねてスクリーン印刷され、前記電極より給電されて発熱する高分子抵抗体４と、前記電気絶縁性基材１の電極、高分子抵抗体４がない箇所に形成した切り欠き部７ａ，７ｂとを具備し、前記切り欠き部７ａ，７ｂは、印刷により形成される前記電極、高分子抵抗体のいずれか一つと同時に施したマーキング８ａ，８ｂにもとづき形設したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、薄くて長尺の面状発熱体に関するものであり、特に電極および抵抗体のパターン構成に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
図２，３は従来の面状発熱体を示し、ポリエステルシートなどの電気絶縁性の基材５１上に導電性ペーストを印刷・乾燥して一対の櫛形形状の接続電極５２ａ，５３ａを有する給電電極５２，５３を形成するとともに、この接続電極５２ａ，５３ａにより給電される位置に高分子抵抗体インクを印刷・乾燥して高分子抵抗体５４を設け、さらに、基材５１と同様の材質の被覆材５５で接続電極５２，５３および高分子抵抗体５４を被覆して保護する構成としたものである。
【０００３】
基材５１および被覆材５５としてポリエステルフィルムを用いる場合には、被覆材５５に、例えばポリエチレン系の熱融着性樹脂５６を予め接着しておき、熱時加圧することにより、基材５１と被覆材５５とがこの熱融着性樹脂５６を介して接合されるものである。
【０００４】
これにより、接続電極５２ａ，５３ａおよび高分子抵抗体５４は外界から隔離され、長期信頼性を付与されるのである。
【０００５】
前記した熱時加圧の手段としては、図４に示すように、２本の加熱ロール５７，５８からなるラミネーター５９を用いるのが一般的である。
【０００６】
ＰＴＣ特性とは、温度上昇によって抵抗値が上昇し、ある温度に達すると抵抗値が急激に増加する抵抗温度特性（Ｐｏｓｉｔｉｖｅ Ｔｅｍｐｅｒａｔｕｒｅ Ｃｏｅｆｆｉｃｉｅｎｔ）を意味しており、ＰＴＣ特性を有する高分子抵抗体５４は、自己温度調節機能を有する面状発熱体を提供できる（例えば、特許文献１，２，３参照）。
【０００７】
また、例えば、家庭の床暖房に活用した場合に、床仕様に合わせて切り欠き部を設けておく必要があるが、この切り欠き部を面状発熱体のコネクタを配設した部位に対応して形成したものも見受けられる（例えば、特許文献４参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開昭５６−１３６８９号公報
【特許文献２】特開平６−９６８４３号公報
【特許文献３】特開平８−１２０１８２号公報
【特許文献４】特開２００１−１７８７９３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかし、上記従来の面状発熱体では、切り欠き部を形成する具体的なものまでは開示されておらず、さらに、その位置精度向上に関する開示もなかった。
【００１０】
先にも述べたように、面状発熱体を床暖房や堀こたつなどに利用する場合には、面状発熱体以外の構造物を避ける必要があり、そのため、面状発熱体に切り欠きが必要となる。そして、面状発熱体以外の構造物との干渉を避けるために、その位置精度の要求は厳しいものがある。
【００１１】
上記従来の技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、位置精度に優れた切り欠き部を持つ面状発熱体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
前記課題を解消するために、本発明は、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上にスクリーン印刷により形成された対となる給電電極およびそれぞれの給電電極から交互に分岐配設した櫛形形状の接続電極からなる電極と、前記電極に重ねてスクリーン印刷され、前記電極より給電されて発熱する高分子抵抗体と、前記電気絶縁性基材の電極、高分子抵抗体がない箇所に形成した切り欠き部とを具備し、前記切り欠き部は、印刷により形成される前記電極、高分子抵抗体のいずれか一つと同時に施したマーキングにもとづき形設したものである。
【発明の効果】
【００１３】
本発明の面状発熱体は、優れた位置精度で切り欠き部を形成することができるので、面状発熱体の被取付部位への取付けを容易、かつ簡便に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明の実施の形態１における面状発熱体の平面図
【図２】従来の面状発熱体の平面図
【図３】図２のＸ−Ｙ断面図
【図４】同面状発熱体の製造説明図
【発明を実施するための形態】
【００１５】
第１の発明は、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上にスクリーン印刷により形成された対となる給電電極およびそれぞれの給電電極から交互に分岐配設した櫛形形状の接続電極からなる電極と、前記電極に重ねてスクリーン印刷され、前記電極より給電されて発熱する高分子抵抗体と、前記電気絶縁性基材の電極、高分子抵抗体がない箇所に形成した切り欠き部とを具備し、前記切り欠き部は、印刷により形成される前記電極、高分子抵抗体のいずれか一つと同時に施したマーキングにもとづき形設したものである。
【００１６】
これにより、切り欠き部をマーキングにしたがって正確に形成することが可能となり、面状発熱体の被取付部への取付けを容易、かつ簡便に行うことができるようになる。
【００１７】
第２の発明は、特に、前記第１の発明において、マーキングは印刷により形成される電極、高分子抵抗体のいずれか一つと同時に、しかも同一版で施すようにした。
【００１８】
これにより、外形における切り欠き部の位置精度が向上する。
【００１９】
第３の発明は、特に、前記第１または第２の発明において、一箇所の切り欠き部に対し複数個のマーキングを施し、切り欠き部の位置精度をさらに高めることができる。
【００２０】
第４の発明は、特に、前記第１〜３いずれか一つの発明において、切り欠き部のコーナ部は角丸とし、電気絶縁性基材の切り欠き部からの破損を可及的に抑制したものである。
【００２１】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【００２２】
（実施の形態１）
図１において、電気絶縁性基材１上に複数対の接続電極２ａ，２ｂおよびその上に幅の
広い一対の給電電極３ａ，３ｂが形成してある。これら接続電極２ａ，２ｂ、給電電極３ａ，３ｂはポリエステルフィルムなどの電気絶縁性基材２上に銀ペーストをスクリーン印刷するとともに、乾燥して形設したものである。
【００２３】
前記接続電極２ａ，２ｂは、給電電極３ａ，３ｂから分岐しており、かつこれら接続電極２ａ，２ｂは対向するごとく交互に配置してある。
【００２４】
そして、電気絶縁性基材１上の接続電極２ａ，２ｂと接続した状態で高分子抵抗体４が形成され、これにより面状発熱体５が作製されるものである。
【００２５】
高分子抵抗体４は、樹脂にカーボンを練り込んだ高分子抵抗体インキからなる高分子抵抗材を溶剤に溶かしたもの、或いは結晶性樹脂にカーボンを練り込んだ高分子抵抗材を溶剤に溶かしたものを使用し、印刷・乾燥により形成している。
【００２６】
これら給電電極３ａ，３ｂ、接続電極２ａ，２ｂ、高分子抵抗体４の印刷としてはＲｏｌｌ−ｔｏ−Ｒｏｌｌで電気絶縁性基材１を送り出し、巻き取り可能な設備にて電気絶縁性基材１を所定の距離だけ移動させながらスクリーン印刷を行う方法が一般的である。
【００２７】
接続電極２ａ，２ｂの印刷版内には外形を示す外形線６および切り欠き部７ａ，７ｂを形成するためのマーキング８ａ，８ｂが形成されており、接続電極４ａ，４ｂと同時に印刷される構成となっている。
【００２８】
また、図では省略したが、面状発熱体５の絶縁性を確保するため電気絶縁性基材１の全体にホットメルトや粘着材などの固定手段を備えた電気絶縁性被覆材を取り付けるのが一般的である。
【００２９】
全ての印刷が終了した後、外形線６そって長手方向をスリッターなどの切断手段で幅を揃えたロールを作り、次いで、短手方向を切断することで略長方形の形状の枚葉にする。その後、マーキング８ａ，８ｂを基点として切り欠き部７ａ，７ｂを形成する。
【００３０】
さらに、給電電極３ａ，３ｂにそれぞれ端子やリード線などの給電手段を取り付けることで面状発熱体５が完成する。
【００３１】
切り欠き部７ａ，７ｂを形成する方法としてはトムソンなどで型抜きする方法やレーザーなどで電気絶縁性基材１を焼ききる方法などがあり、いずれの方法でもマーキング８ａ，８ｂを位置決めとして用いる。
【００３２】
面状発熱体５は通常は枠材に嵌め込まれて使用される。
【００３３】
一般的に、枠材は面状発熱体５を内部に入れ込むため強度が不足するが、補強部材を入れることでその強度不足を緩和する方法が取られており、よって、面状発熱体５としてはその補強部材を避けるために切り欠き部７ａ，７ｂのような形状を必要とする。
【００３４】
次に、動作、作用について説明する。
【００３５】
切り欠き部７ａ，７ｂは給電電極３ａ，３ｂ及び接続電極２ａ，２ｂ、高分子抵抗体４のいずれも配設されていない位置にある。
【００３６】
これにより切り欠き部７ａ，７ｂによって面状発熱体５の絶縁性を低下させることなく切り欠き部７ａ，７ｂを配設することができる。
【００３７】
当然のことながら、マーキング８ａ，８ｂも給電電極３ａ，３ｂおよび接続電極２ａ，２ｂ、高分子抵抗体４のいずれとも離反しているところから、絶縁性を低下させることはない。
【００３８】
マーキング８ａ，８ｂと外形線６は接続電極２ａ，２ｂと同時に印刷される構成としてある。
【００３９】
これにより、マーキング８ａ，８ｂと外形線６は位置ずれすることがなくなる。その結果、マーキング８ａ，８６ｂにそって切り欠き部７ａ，７ｂを形成することができ、切り欠き加工時の位置精度が向上するだけでなく、外形線６との位置精度も向上する。
【００４０】
切り欠き部７ａの近傍にはマーキング８ａが２箇所配設されている。しなわち、マーキングが一箇所の場合、角度・回転を含んだ位置ずれが懸念されるが、マーキング８ａを２箇所配設することにより、複数個の狙い位置を同時に満たすよう加工できるため、切り欠き部形成時の単純な縦横の位置ずれだけでなく、角度・回転を含んだ位置ずれ精度も同時に向上することができる。
【００４１】
図１には記載されていないが、切り欠き部７ｂの内部にもマーキング８ｂを複数設けてもよい。
【００４２】
面状発熱体５を枠材へ取り付ける際においては、その面状発熱体５以外の構造物を避ける必要性から、切り欠き部７ａ，７ｂを含む外形を所定の場所に収める必要があるため、外形における切り欠き部７ａ，７ｂの距離精度を向上させ、それらの位置公差を小さくさせることが取り付け性向上において重要である。
【００４３】
本実施の形態では、切り欠き部７ａ，７ｂの角部を丸めた構成としてある。角部に丸部設けているため、電気絶縁性基材１が裂けやすい材料を用いた際にでも角部に応力が集中することがなく、切り欠き部７ａ，７ｂからの裂けを防ぐことができる。
【００４４】
また、切り欠き部７ａ，７ｂを設けた後、製造過程や持ち運びの際に切り欠き部７ａ，７ｂを基点にひっかかる等の懸念があるが、角部を丸めることにより、切り欠き部７ａ，７ｂのひっかかりを格段に軽減することができる。
【００４５】
また、角部を丸めた構成は、トムソン型やレーザーのプログラミングなどにより切り欠き部７ａ，７ｂと同時に形成することができるため、製造方法は簡便であり、複雑になることはない。
【００４６】
なお、本実施の形態では接続電極２ａ，２ｂと同一版で外形線６を印刷しているため、マーキング８ａ，８ｂも接続電極２ａ，２ｂと同一版で印刷を行った構成としているが、外形線６を給電電極３ａ，３ｂ、または高分子抵抗体４と同一版で印刷を行った場合にはマーキング８ａ，８ｂも外形線６と同一版で印刷すれば良いことは言うまでもない。また、外形線６の線種類としては点線や実線が考えられ、場合によっては、面状発熱体５の各要点に点や十字をマーキングにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【００４７】
以上のように、本発明にかかる面状発熱体は、さまざまな形状の切り欠き部の位置精度を高めることができるため、被取付部への取付けが簡便になり、そのため、比較的長尺の面状発熱体にもかかわらず高い位置精度を要求される床暖房や堀座卓などの暖房商品に特に有用である。
【符号の説明】
【００４８】
１ 電気絶縁性基材
２ａ，２ｂ 接続電極
３ａ，３ｂ 給電電極
４ 高分子抵抗体
７ａ，７ｂ 切り欠き部
８ａ，８ｂ マーキング
【技術分野】
【０００１】
本発明は、薄くて長尺の面状発熱体に関するものであり、特に電極および抵抗体のパターン構成に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
図２，３は従来の面状発熱体を示し、ポリエステルシートなどの電気絶縁性の基材５１上に導電性ペーストを印刷・乾燥して一対の櫛形形状の接続電極５２ａ，５３ａを有する給電電極５２，５３を形成するとともに、この接続電極５２ａ，５３ａにより給電される位置に高分子抵抗体インクを印刷・乾燥して高分子抵抗体５４を設け、さらに、基材５１と同様の材質の被覆材５５で接続電極５２，５３および高分子抵抗体５４を被覆して保護する構成としたものである。
【０００３】
基材５１および被覆材５５としてポリエステルフィルムを用いる場合には、被覆材５５に、例えばポリエチレン系の熱融着性樹脂５６を予め接着しておき、熱時加圧することにより、基材５１と被覆材５５とがこの熱融着性樹脂５６を介して接合されるものである。
【０００４】
これにより、接続電極５２ａ，５３ａおよび高分子抵抗体５４は外界から隔離され、長期信頼性を付与されるのである。
【０００５】
前記した熱時加圧の手段としては、図４に示すように、２本の加熱ロール５７，５８からなるラミネーター５９を用いるのが一般的である。
【０００６】
ＰＴＣ特性とは、温度上昇によって抵抗値が上昇し、ある温度に達すると抵抗値が急激に増加する抵抗温度特性（Ｐｏｓｉｔｉｖｅ Ｔｅｍｐｅｒａｔｕｒｅ Ｃｏｅｆｆｉｃｉｅｎｔ）を意味しており、ＰＴＣ特性を有する高分子抵抗体５４は、自己温度調節機能を有する面状発熱体を提供できる（例えば、特許文献１，２，３参照）。
【０００７】
また、例えば、家庭の床暖房に活用した場合に、床仕様に合わせて切り欠き部を設けておく必要があるが、この切り欠き部を面状発熱体のコネクタを配設した部位に対応して形成したものも見受けられる（例えば、特許文献４参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開昭５６−１３６８９号公報
【特許文献２】特開平６−９６８４３号公報
【特許文献３】特開平８−１２０１８２号公報
【特許文献４】特開２００１−１７８７９３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかし、上記従来の面状発熱体では、切り欠き部を形成する具体的なものまでは開示されておらず、さらに、その位置精度向上に関する開示もなかった。
【００１０】
先にも述べたように、面状発熱体を床暖房や堀こたつなどに利用する場合には、面状発熱体以外の構造物を避ける必要があり、そのため、面状発熱体に切り欠きが必要となる。そして、面状発熱体以外の構造物との干渉を避けるために、その位置精度の要求は厳しいものがある。
【００１１】
上記従来の技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、位置精度に優れた切り欠き部を持つ面状発熱体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
前記課題を解消するために、本発明は、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上にスクリーン印刷により形成された対となる給電電極およびそれぞれの給電電極から交互に分岐配設した櫛形形状の接続電極からなる電極と、前記電極に重ねてスクリーン印刷され、前記電極より給電されて発熱する高分子抵抗体と、前記電気絶縁性基材の電極、高分子抵抗体がない箇所に形成した切り欠き部とを具備し、前記切り欠き部は、印刷により形成される前記電極、高分子抵抗体のいずれか一つと同時に施したマーキングにもとづき形設したものである。
【発明の効果】
【００１３】
本発明の面状発熱体は、優れた位置精度で切り欠き部を形成することができるので、面状発熱体の被取付部位への取付けを容易、かつ簡便に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明の実施の形態１における面状発熱体の平面図
【図２】従来の面状発熱体の平面図
【図３】図２のＸ−Ｙ断面図
【図４】同面状発熱体の製造説明図
【発明を実施するための形態】
【００１５】
第１の発明は、電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上にスクリーン印刷により形成された対となる給電電極およびそれぞれの給電電極から交互に分岐配設した櫛形形状の接続電極からなる電極と、前記電極に重ねてスクリーン印刷され、前記電極より給電されて発熱する高分子抵抗体と、前記電気絶縁性基材の電極、高分子抵抗体がない箇所に形成した切り欠き部とを具備し、前記切り欠き部は、印刷により形成される前記電極、高分子抵抗体のいずれか一つと同時に施したマーキングにもとづき形設したものである。
【００１６】
これにより、切り欠き部をマーキングにしたがって正確に形成することが可能となり、面状発熱体の被取付部への取付けを容易、かつ簡便に行うことができるようになる。
【００１７】
第２の発明は、特に、前記第１の発明において、マーキングは印刷により形成される電極、高分子抵抗体のいずれか一つと同時に、しかも同一版で施すようにした。
【００１８】
これにより、外形における切り欠き部の位置精度が向上する。
【００１９】
第３の発明は、特に、前記第１または第２の発明において、一箇所の切り欠き部に対し複数個のマーキングを施し、切り欠き部の位置精度をさらに高めることができる。
【００２０】
第４の発明は、特に、前記第１〜３いずれか一つの発明において、切り欠き部のコーナ部は角丸とし、電気絶縁性基材の切り欠き部からの破損を可及的に抑制したものである。
【００２１】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【００２２】
（実施の形態１）
図１において、電気絶縁性基材１上に複数対の接続電極２ａ，２ｂおよびその上に幅の
広い一対の給電電極３ａ，３ｂが形成してある。これら接続電極２ａ，２ｂ、給電電極３ａ，３ｂはポリエステルフィルムなどの電気絶縁性基材２上に銀ペーストをスクリーン印刷するとともに、乾燥して形設したものである。
【００２３】
前記接続電極２ａ，２ｂは、給電電極３ａ，３ｂから分岐しており、かつこれら接続電極２ａ，２ｂは対向するごとく交互に配置してある。
【００２４】
そして、電気絶縁性基材１上の接続電極２ａ，２ｂと接続した状態で高分子抵抗体４が形成され、これにより面状発熱体５が作製されるものである。
【００２５】
高分子抵抗体４は、樹脂にカーボンを練り込んだ高分子抵抗体インキからなる高分子抵抗材を溶剤に溶かしたもの、或いは結晶性樹脂にカーボンを練り込んだ高分子抵抗材を溶剤に溶かしたものを使用し、印刷・乾燥により形成している。
【００２６】
これら給電電極３ａ，３ｂ、接続電極２ａ，２ｂ、高分子抵抗体４の印刷としてはＲｏｌｌ−ｔｏ−Ｒｏｌｌで電気絶縁性基材１を送り出し、巻き取り可能な設備にて電気絶縁性基材１を所定の距離だけ移動させながらスクリーン印刷を行う方法が一般的である。
【００２７】
接続電極２ａ，２ｂの印刷版内には外形を示す外形線６および切り欠き部７ａ，７ｂを形成するためのマーキング８ａ，８ｂが形成されており、接続電極４ａ，４ｂと同時に印刷される構成となっている。
【００２８】
また、図では省略したが、面状発熱体５の絶縁性を確保するため電気絶縁性基材１の全体にホットメルトや粘着材などの固定手段を備えた電気絶縁性被覆材を取り付けるのが一般的である。
【００２９】
全ての印刷が終了した後、外形線６そって長手方向をスリッターなどの切断手段で幅を揃えたロールを作り、次いで、短手方向を切断することで略長方形の形状の枚葉にする。その後、マーキング８ａ，８ｂを基点として切り欠き部７ａ，７ｂを形成する。
【００３０】
さらに、給電電極３ａ，３ｂにそれぞれ端子やリード線などの給電手段を取り付けることで面状発熱体５が完成する。
【００３１】
切り欠き部７ａ，７ｂを形成する方法としてはトムソンなどで型抜きする方法やレーザーなどで電気絶縁性基材１を焼ききる方法などがあり、いずれの方法でもマーキング８ａ，８ｂを位置決めとして用いる。
【００３２】
面状発熱体５は通常は枠材に嵌め込まれて使用される。
【００３３】
一般的に、枠材は面状発熱体５を内部に入れ込むため強度が不足するが、補強部材を入れることでその強度不足を緩和する方法が取られており、よって、面状発熱体５としてはその補強部材を避けるために切り欠き部７ａ，７ｂのような形状を必要とする。
【００３４】
次に、動作、作用について説明する。
【００３５】
切り欠き部７ａ，７ｂは給電電極３ａ，３ｂ及び接続電極２ａ，２ｂ、高分子抵抗体４のいずれも配設されていない位置にある。
【００３６】
これにより切り欠き部７ａ，７ｂによって面状発熱体５の絶縁性を低下させることなく切り欠き部７ａ，７ｂを配設することができる。
【００３７】
当然のことながら、マーキング８ａ，８ｂも給電電極３ａ，３ｂおよび接続電極２ａ，２ｂ、高分子抵抗体４のいずれとも離反しているところから、絶縁性を低下させることはない。
【００３８】
マーキング８ａ，８ｂと外形線６は接続電極２ａ，２ｂと同時に印刷される構成としてある。
【００３９】
これにより、マーキング８ａ，８ｂと外形線６は位置ずれすることがなくなる。その結果、マーキング８ａ，８６ｂにそって切り欠き部７ａ，７ｂを形成することができ、切り欠き加工時の位置精度が向上するだけでなく、外形線６との位置精度も向上する。
【００４０】
切り欠き部７ａの近傍にはマーキング８ａが２箇所配設されている。しなわち、マーキングが一箇所の場合、角度・回転を含んだ位置ずれが懸念されるが、マーキング８ａを２箇所配設することにより、複数個の狙い位置を同時に満たすよう加工できるため、切り欠き部形成時の単純な縦横の位置ずれだけでなく、角度・回転を含んだ位置ずれ精度も同時に向上することができる。
【００４１】
図１には記載されていないが、切り欠き部７ｂの内部にもマーキング８ｂを複数設けてもよい。
【００４２】
面状発熱体５を枠材へ取り付ける際においては、その面状発熱体５以外の構造物を避ける必要性から、切り欠き部７ａ，７ｂを含む外形を所定の場所に収める必要があるため、外形における切り欠き部７ａ，７ｂの距離精度を向上させ、それらの位置公差を小さくさせることが取り付け性向上において重要である。
【００４３】
本実施の形態では、切り欠き部７ａ，７ｂの角部を丸めた構成としてある。角部に丸部設けているため、電気絶縁性基材１が裂けやすい材料を用いた際にでも角部に応力が集中することがなく、切り欠き部７ａ，７ｂからの裂けを防ぐことができる。
【００４４】
また、切り欠き部７ａ，７ｂを設けた後、製造過程や持ち運びの際に切り欠き部７ａ，７ｂを基点にひっかかる等の懸念があるが、角部を丸めることにより、切り欠き部７ａ，７ｂのひっかかりを格段に軽減することができる。
【００４５】
また、角部を丸めた構成は、トムソン型やレーザーのプログラミングなどにより切り欠き部７ａ，７ｂと同時に形成することができるため、製造方法は簡便であり、複雑になることはない。
【００４６】
なお、本実施の形態では接続電極２ａ，２ｂと同一版で外形線６を印刷しているため、マーキング８ａ，８ｂも接続電極２ａ，２ｂと同一版で印刷を行った構成としているが、外形線６を給電電極３ａ，３ｂ、または高分子抵抗体４と同一版で印刷を行った場合にはマーキング８ａ，８ｂも外形線６と同一版で印刷すれば良いことは言うまでもない。また、外形線６の線種類としては点線や実線が考えられ、場合によっては、面状発熱体５の各要点に点や十字をマーキングにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【００４７】
以上のように、本発明にかかる面状発熱体は、さまざまな形状の切り欠き部の位置精度を高めることができるため、被取付部への取付けが簡便になり、そのため、比較的長尺の面状発熱体にもかかわらず高い位置精度を要求される床暖房や堀座卓などの暖房商品に特に有用である。
【符号の説明】
【００４８】
１ 電気絶縁性基材
２ａ，２ｂ 接続電極
３ａ，３ｂ 給電電極
４ 高分子抵抗体
７ａ，７ｂ 切り欠き部
８ａ，８ｂ マーキング
【特許請求の範囲】
【請求項１】
電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上にスクリーン印刷により形成された対となる給電電極およびそれぞれの給電電極から交互に分岐配設した櫛形形状の接続電極からなる電極と、前記電極に重ねてスクリーン印刷され、前記電極より給電されて発熱する高分子抵抗体と、前記電気絶縁性基材の電極、高分子抵抗体がない箇所に形成した切り欠き部とを具備し、前記切り欠き部は、印刷により形成される前記電極、高分子抵抗体のいずれか一つと同時に施したマーキングにもとづき形設した面状発熱体。
【請求項２】
マーキングは印刷により形成される電極、高分子抵抗体のいずれか一つと同時に、しかも同一版で施すようにした請求項１記載の面状発熱体。
【請求項３】
一箇所の切り欠き部に対し複数個のマーキングを施した請求項１または２記載の面状発熱体。
【請求項４】
切り欠き部のコーナ部は角丸とした請求項１〜３いずれか１項記載の面状発熱体。
【請求項１】
電気絶縁性基材と、前記電気絶縁性基材上にスクリーン印刷により形成された対となる給電電極およびそれぞれの給電電極から交互に分岐配設した櫛形形状の接続電極からなる電極と、前記電極に重ねてスクリーン印刷され、前記電極より給電されて発熱する高分子抵抗体と、前記電気絶縁性基材の電極、高分子抵抗体がない箇所に形成した切り欠き部とを具備し、前記切り欠き部は、印刷により形成される前記電極、高分子抵抗体のいずれか一つと同時に施したマーキングにもとづき形設した面状発熱体。
【請求項２】
マーキングは印刷により形成される電極、高分子抵抗体のいずれか一つと同時に、しかも同一版で施すようにした請求項１記載の面状発熱体。
【請求項３】
一箇所の切り欠き部に対し複数個のマーキングを施した請求項１または２記載の面状発熱体。
【請求項４】
切り欠き部のコーナ部は角丸とした請求項１〜３いずれか１項記載の面状発熱体。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１１−１４２６７（Ｐ２０１１−１４２６７Ａ）
【公開日】平成２３年１月２０日（２０１１．１．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１５４９６８（Ｐ２００９−１５４９６８）
【出願日】平成２１年６月３０日（２００９．６．３０）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１月２０日（２０１１．１．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年６月３０日（２００９．６．３０）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
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