説明

鞍乗型車両

【課題】チャタリングなどの原因となる車体の振動を効果的に減衰できる鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】自動二輪車10は、車体フレーム30に連結されており、車体フレーム30を含む車体11の振動を減衰させるダンパー装置100Aを備える。ダンパー装置100Aは、外部からの入力に対してストロークするピストンロッド120及びピストン130と、流体(例えば、オイル)が封入されるインナーチューブ140と、インナーチューブ140の周囲を覆う筒状のアウターチューブ160とを備える。アウターチューブ160は、ピストンロッド120及びピストン130と、インナーチューブ140との間に介在される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームに連結され、車体フレームを含む車体の振動を減衰させるダンパー装置を備える鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車などの鞍乗型車両では、走行時における車体の振動を減衰するため、振動を減衰させるダンパー装置を車体フレームに装着する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、車体フレームを構成する前フレームパイプと後フレームパイプとの間に、ウレタンゴム製の弾性部材を介在させることによって、車体に対する駆動反力や路面からの反力に起因する主に低周波の振動を減衰させる方法が知られている。
【特許文献1】特開2007−145268号公報(第4−5頁、第2−3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のダンパー装置には、次のような問題があった。すなわち、従来のダンパー装置は、主に低周波の振動を減衰することを目的としているため、コーナー進入時にフロントタイヤがコーナー外側に向かって細かく跳ねるようなチャタリングなどに対しては、必ずしも効果的ではないといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、チャタリングなどの原因となる車体の振動を効果的に減衰できる鞍乗型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、車体フレーム(車体フレーム30)と、前記車体フレームに連結され、前記車体フレームを含む車体(車体11)の振動を減衰させるダンパー装置(例えば、ダンパー装置100A,100B,100C)とを備える鞍乗型車両(自動二輪車10)であって、前記ダンパー装置は、外部からの入力に対してストロークするストローク部(ピストンロッド120及びピストン130)と、前記ストローク部が挿通され、流体(例えば、オイル)が封入される筒体部(インナーチューブ140)と、前記筒体部の周囲を覆う筒状の外装部(アウターチューブ160)とを備え、前記ストローク部は、前記筒体部に対して所定量ストローク可能であり、前記外装部は、前記ストローク部と前記筒体部との間に介在されることを要旨とする。
【0007】
このような鞍乗型車両は、外部からの入力に対して、ダンパー装置に備えられるストローク部が筒体部に対して所定量ストロークする。従って、チャタリングなどの原因となる車体の振動を効果的に減衰できる。
【0008】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記外装部は、前記ストローク部のストロークに応じて撓むことを要旨とする。
【0009】
このように、外装部は、ストローク部がストロークすることに応じて撓む。従って、ストローク部の作動性を損なうことなく、ストローク部の剛性を確保することができる。
【0010】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記外装部の一端(端部160a)は、前記ストローク部に連結され、前記外装部の他端(端部160b)は、前記筒体部に連結されることを要旨とする。
【0011】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記外装部は、円筒状であることを要旨とする。
【0012】
本発明の第5の特徴は、本発明の第4の特徴に係り、前記筒体部は、円筒状であることを要旨とする。
【0013】
本発明の第6の特徴は、本発明の第5の特徴に係り、前記外装部と、前記筒体部とは、同軸上に配設されることを要旨とする。
【0014】
このように、外装部と筐体部とが同軸上に配設されることにより、ダンパー装置をコンパクト化しつつ、減衰効果を確保することができる。
【0015】
本発明の第7の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記外装部は、所定の金属材料(例えば、アルミニウム合金)で形成されることを要旨とする。
【0016】
本発明の第8の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記ダンパー装置は、前記車体フレームの間に介在されることを要旨とする。
【0017】
このように、ダンパー装置は、車体フレームの間に介在されることにより、チャタリングなどの原因となり得る車体フレームの振動を減衰できる。
【0018】
本発明の第9の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記車体フレームは、車幅方向に並んで配設される左側フレーム部(左側フレーム部32L)と右側フレーム部(右側フレーム部32R)とを有し、前記ダンパー装置は、前記左側フレーム部と前記右側フレーム部とに連結されることを要旨とする。
【0019】
このように、ダンパー装置は、左側フレーム部と右側フレーム部とに連結されることにより、チャタリングなどの原因となり得る車体フレームの振動を減衰できる。
【0020】
本発明の第10の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、動力を発生するパワーユニット(エンジン40)を備え、前記ダンパー装置は、前記車体フレームと前記パワーユニットとに連結されることを要旨とする。
【0021】
このように、ダンパー装置は、車体フレームとパワーユニットとに連結されることにより、チャタリングなどの原因となり得る振動を減衰できる。
【0022】
本発明の第11の特徴は、本発明の第10の特徴に係り、前記車体フレームは、ステアリングシャフト(ステアリングシャフト22)を回動可能に支持するステアリングヘッドパイプ部(ステアリングヘッドパイプ31)を有し、前記ダンパー装置は、前記ステアリングヘッドパイプ部と前記パワーユニットとに連結されることを要旨とする。
【0023】
このように、ダンパー装置は、ステアリングヘッドパイプ部とパワーユニットとに連結されることにより、チャタリングなどの原因となり得る振動を減衰できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の特徴によれば、チャタリングなどの原因となる車体の振動を効果的に減衰できる鞍乗型車両を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明に係る鞍乗型車両の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)全体概略構成、(2)ダンパー装置の構成、(3)作用・効果、(4)その他の実施形態について説明する。
【0026】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0027】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0028】
(1)全体概略構成
まず、本実施形態に係る鞍乗型車両である自動二輪車10の全体概略構成について説明する。図1は、自動二輪車10の左側面図である。図2は、自動二輪車10のフロントカウル等のカウリングを除いた車体11の左側面図である。
【0029】
図1に示すように、自動二輪車10は、前輪20、フロントフォーク21、ステアリングシャフト22、フロントカウル23を有する。自動二輪車10は、車体フレーム30、ステアリングシャフト支持部24、ステアリングシャフトパイプ31、左側フレーム部32L、シートレール33、リヤアーム35を備える。自動二輪車10は、エンジン40、ラジエター41、排気管42、ドライブチェーン43を備える。自動二輪車10は、シート80、後輪90、ダンパー装置100A、ダンパー装置100B、ダンパー装置100Cを備える。
【0030】
前輪20は、一対のフロントフォーク21(右側のフロントフォークは不図示)によって回転可能に支持される。ステアリングヘッドパイプ31は、車体フレーム30の前端に配設される。
【0031】
一対のフロントフォーク21は、アンダーブラケット25によって連結される。ステアリングシャフト22は、アンダーブラケット25に連結される。ステアリングシャフト22は、ステアリングシャフト支持部24に設けられたステアリングヘッドパイプ31によって車体フレームに対して回動可能に支持される。
【0032】
フロントカウル23は、ステアリングシャフト支持部24の前方を覆う。フロントカウル23は、ステアリングシャフト支持部24の前方からステアリングシャフト支持部24の両側方にかけて延設される。
【0033】
車体フレーム30は、前端にステアリングシャフトを支持するステアリングシャフト支持部24を有する。ステアリングシャフト支持部24は、ステアリングヘッドパイプ31を有する。ステアリングシャフト支持部24には、後述するダンパー装置100Aが連結される。
【0034】
また、車体フレーム30は、車幅方向に並んで配設される左側フレーム部32Lと右側フレーム32R(図1,2には、不図示)とを有する。左側フレーム部32Lと右側フレーム32Rはともに、ステアリングヘッドパイプ31から後方かつ下方に向かって延びる。左側フレーム部32Lの内側には、後述するダンパー装置100Cを取り付ける取付部34Lが形成される。
【0035】
車体フレーム30は、シートフレーム33を有する。シートフレーム33は、車両後方に向かって延びる。シートフレーム33は、左側フレーム部32Lと右側フレーム32Rに連結される。シート80は、シートフレーム33に取り付けられる。
【0036】
リヤアーム35は、車体フレーム30における左側フレーム部32Lと右側フレーム32Rの後端部に、上下方向に揺動可能に連結される。後輪90は、リヤアーム35の後端部に回転自在に支持される。
【0037】
エンジン40は、自動二輪車10の駆動力を発生させるパワーユニットである。エンジン40は、車体の前後方向略中央において、車体フレーム30に取り付けられる。エンジンには、排気管42が連結される。
【0038】
ラジエータ41は、車体フレーム30及びエンジン40によって支持され、車両上下方向に沿って配設される。
【0039】
ドライブチェーン43は、エンジン40によって発生される駆動力を後輪90に伝達する。
【0040】
後輪90は、エンジン40によって発生されて、ドライブチェーン43によって伝達された駆動力によって駆動される。
【0041】
ダンパー装置100Aは、ステアリングシャフト支持部24とエンジン40との間で連結される。
【0042】
ダンパー装置100Bは、シートフレーム33と、左側フレーム部32Lとに連結される。すなわち、ダンパー装置100Bは、車体フレーム30の間に介在される。
【0043】
ダンパー装置100C(図1,2には不図示、図3参照)は、左側フレーム部32Lと右側フレーム部32Rとに連結される。
【0044】
このような位置に配置されたダンパー装置100A,100B,100Cは、車体フレーム30、エンジン40等の振動を緩和する。
【0045】
図3は、ステアリングヘッドパイプ31の周囲の平面図である。図3を用いて、ダンパー装置100Cの取付位置について説明する。
【0046】
図3に示すように、車体フレーム30は、ステアリングヘッドパイプ31を有する。また、車体フレーム30は、左側フレーム部32Lと右側フレーム部32Rとを有する。
【0047】
左側フレーム部32Lと右側フレーム部32Rとは、ステアリングヘッドパイプ31において互いに連結される。
【0048】
左側フレーム部32Lは、ダンパー装置100Cが取り付けられる取付部34Lを有する。また、右側フレーム部32Rは、ダンパー装置100Cが取り付けられる取付部34Rを有する。
【0049】
ダンパー装置100Cは、一方の端部が取付部34Lに連結され、他方の端部が取付部34Rに連結される。すなわち、ダンパー装置100Cは、車幅方向に並んで配設される左側フレーム部32Lと右側フレーム部32Rとに連結される。
【0050】
(2)ダンパー装置の構成
次に、図4を用いて、ダンパー装置100A〜100Cの構成について詳細に説明する。ダンパー装置100A,100B,100Cは、それぞれ同一のものが使用可能である。従って、ここでは、ダンパー装置100Aの構成を説明する。
【0051】
図4は、ダンパー装置100Aを示す断面図である。ダンパー装置100Aは、連結部110と、ピストンロッド120と、ピストン130と、フリーピストン114と、インナーチューブ140と、アウターチューブ160とを備える。
【0052】
連結部110は、ピストンロッド120の一方の端部に結合されている。連結部110は、車体フレーム30の一部、エンジン40等に連結される。連結部110は、外周にネジ部110aを有する。ネジ部110aには、後述するアウターチューブ160aの端部とロックナット171とが螺入される。
【0053】
ピストンロッド120は、インナーチューブ140の内部に挿通される。ピストンロッド120は、他方の端部、すなわち、インナーチューブ140に挿通される方の端部にピストン130を有する。
【0054】
ピストン130は、インナーチューブ140の内径の形状と略同一の形状の外径を有する。ピストン130の外周の全体は、インナーチューブ140の内壁に当接されている。この状態で、ピストン130は、インナーチューブ140の長手方向に移動する。ピストンロッド120及びピストン130は、外部からの入力に対してストロークするストローク部である。
【0055】
また、ピストン130は、オリフィス130aを有する。オリフィス130aは、ピストン130に設けられた孔である。
【0056】
フリーピストン114は、インナーチューブ140の内部に配設される。フリーピストン114は、インナーチューブ140の内径の形状と略同一の形状の外径を有する。フリーピストン114の外周の全体は、インナーチューブ140の内壁に当接されている。この状態で、フリーピストン114は、インナーチューブ140の長手方向に自由に動くことができる。
【0057】
インナーチューブ140は、円筒状である。インナーチューブ140の一方の端部は、ピストンロッド120の一部及びピストン130が挿通される。また、インナーチューブ140の他方の端部には連結部150が形成される。
【0058】
連結部150は、車体フレーム30の一部、エンジン40等に連結される。また、連結部150は、外周にネジ部150aを有する。ネジ部110aには、後述するアウターチューブ160aの端部とロックナット171とが螺入される。
【0059】
インナーチューブ140の内部は、フリーピストン114によってガス室140aと流体室140bに仕切られる。ガス室140aには、高圧のガスが充填される。また、流体室140bには、例えば、オイルが充填される。流体室140aには、ピストンロッド120の一部及びピストン130が挿通される。
【0060】
ピストンロッド120及びピストン130がインナーチューブ140に挿入されると、インナーチューブ140の流体室140bの内部に充填される流体は、オリフィス130aを経路として移動する。
【0061】
ダンパー装置100Aが縮むとき、すなわち、ピストンロッド120及びピストン130がインナーチューブ140に挿入されるとき、フリーピストン114は、流体室140b内の流体を介してガス室側に押される。このとき、流体室140bの容積は増加し、ガス室140aの容積は減少する。
【0062】
一方、ダンパー装置100Aが延びるとき、ピストンロッド120及びピストン130がインナーチューブ140から引き出されるとき、フリーピストン114は、ガス室140a側から押し戻される。このとき、ガス室140aの容積は増加し、流体室140bの容積は減少する。
【0063】
このように、ピストンロッド120及びピストン130のインナーチューブ140に対するストローク動作は、流体室140b内部を移動するピストン130によって減衰される。
【0064】
アウターチューブ160は、筒形状を有する。アウターチューブ160は、インナーチューブ140の周囲を覆う。すなわち、ピストンロッド120とインナーチューブ140は、アウターチューブ160の筒内部に配設される。
【0065】
このとき、アウターチューブ160とインナーチューブ140とは、同軸上に配設される。また、アウターチューブ160は、ピストンロッド120とインナーチューブ140との間に介在される。
【0066】
アウターチューブ160は、一方の端部160aと他方の端部160bの開口部に図示しないネジ部を有する。ピストンロッド120とインナーチューブ140は、アウターチューブ160の筒内部に挿入される。この状態で、端部160aのネジ部は、連結部110のネジ部110aと螺合する。また、端部160bのネジ部は、連結部150のネジ部150aと螺合する。
【0067】
連結部110は、一方向に回転されると、連結部110は、アウターチューブ160の端部160aに螺入する。このとき、アウターチューブ160の全長は、短くなる。また、連結部110は、逆方向に回転されると、アウターチューブ160の全長は、長くなる。
【0068】
連結部150においても同様に、連結部150は、一方向に回転されると、連結部150は、アウターチューブ160の端部160bに螺入する。このとき、アウターチューブ160の全長は、短くなる。また、連結部150は、逆方向に回転されると、アウターチューブ160の全長は、長くなる。
【0069】
このようにして、ダンパー装置100Aの全長は、調節可能である。
【0070】
更に、ネジ部110aには、ロックナット171が螺入される。これにより、連結部110と端部160aとが不要に回転することを防止する。また、ネジ部150aには、ロックナット171が螺入される。これにより、連結部150と端部160bとが不要に回転することを防止する。これにより、調整後のダンパー装置100Aの全長は、確実に固定される。
【0071】
アウターチューブ160は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、又はこれらと他の金属との合金等の金属材料から形成される。
【0072】
以上説明したように、ダンパー装置100Aは、アウターチューブ160の両方の端部(160a、160b)において、連結部110と連結部150とにネジで固定される。従って、アウターチューブ160は、ピストンロッド120及びピストン130のストロークを規制している。しかし、アウターチューブ160は、ピストンロッド120及びピストン130のストロークに応じて微少に撓むことができる。
【0073】
すなわち、ダンパー装置100Aは、アウターチューブ160に生じる微少な振動や撓みを、アウターチューブ160の筒内に装備したピストン構造によって緩衝するものである。
【0074】
(3)作用・効果
本実施形態に係る自動二輪車10は、車体フレーム30を含む車体11の振動を減衰させるダンパー装置100A(ダンパー装置100B,100C)を備える。
【0075】
ダンパー装置100Aは、外部からの入力に対してストロークするストローク部として、ピストンロッド120及びピストン130を有する。また、ピストンロッド120及びピストン130が挿通され、流体(例えば、オイル)が封入されるインナーチューブ140と、インナーチューブ140の周囲を覆うアウターチューブ160とを有する。ピストンロッド120及びピストン130は、インナーチューブ140に対して所定量ストローク可能である。アウターチューブ160は、ピストンロッド120及びピストン130とインナーチューブ140の間に介在される。
【0076】
このように、自動二輪車10は、外部からの入力に対して、ダンパー装置100Aに備えられるピストンロッド120及びピストン130がインナーチューブ140に対して所定量ストロークする。従って、チャタリングなどの原因となる車体の振動を効果的に減衰できる。
【0077】
本実施形態では、アウターチューブ160は、円筒状であり、ピストンロッド120及びピストン130、インナーチューブ140が筒内部に配設される。すなわち、アウターチューブ160とインナーチューブ140とは、同軸上に配設される。また、アウターチューブ160は、ピストンロッド120とインナーチューブ140との間に介在される。
【0078】
このように、アウターチューブ160とインナーチューブ140とが同軸上に配設されることにより、ダンパー装置100Aをコンパクト化しつつ、減衰効果を確保することができる。
【0079】
アウターチューブ160の端部160aは、ピストンロッド120に結合された連結部110に連結されるとともに、アウターチューブ160の端部160bは、インナーチューブ140の端部に形成された連結部150に連結される。
【0080】
アウターチューブ160は、連結部110及び連結部150に連結されていても、アウターチューブ160は、ピストンロッド120及びピストン130のストロークに応じて撓むことができる。従って、アウターチューブ160は、ピストンロッド120及びピストン130のストローク動作の作動性を損なうことがない。また、ピストンロッド120及びピストン130とインナーチューブ140との剛性を確保することができる。
【0081】
アウターチューブ160は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、又はこれらと他の金属との合金等の金属材料から形成される。アウターチューブ160の剛性、応答性等は、金属材料を選択することにより適宜調整が可能である。
【0082】
本実施形態では、ダンパー装置100Aは、ステアリングシャフト支持部24とエンジン40の一部との間で連結される。すなわち、ダンパー装置100Aは、車体フレーム30とエンジン40に連結される。このように、ダンパー装置100Aは、車体フレーム30とエンジン40とに連結されることにより、チャタリングなどの原因となり得る振動を減衰できる。
【0083】
ダンパー装置100Bは、シートフレーム33と、左側フレーム部32Lとに連結される。すなわち、ダンパー装置100Bは、車体フレーム30の間に介在される。このように、ダンパー装置10Bは、車体フレーム30の間に介在されることにより、チャタリングなどの原因となり得る車体フレームの振動を減衰できる。
【0084】
ダンパー装置100Cは、左側フレーム部32Lと右側フレーム部32Rの間に介在される。ダンパー装置100Cは、左側フレーム部32Lと右側フレーム部32Rとに連結される。
【0085】
このように、ダンパー装置100Cは、左側フレーム部32Lと右側フレーム部32Rとに連結されることにより、チャタリングなどの原因となり得る車体フレームの振動を減衰できる。
【0086】
(4)その他の実施形態
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなる。
【0087】
上述の実施形態では、鞍乗型車両の一例として自動二輪車10を挙げたが、鞍乗型車両であればよく、車輪の数は2つに限定されない。
【0088】
また、上述の実施形態では、自動二輪車10のパワーユニットがエンジン40であるとしたが、内燃式機関でなくてもよい。例えば、モータなどでもよい。
【0089】
上述の実施形態では、ダンパー装置100Aは、ステアリングシャフト支持部24とエンジン40の一部との間で連結されると説明した。より具体的には、ダンパー装置100Aは、ステアリングヘッドパイプ31とエンジン40とに連結されてもよい。この場合、チャタリングなどの原因となり得る振動をより効果的に減衰することができる。
【0090】
上述の実施形態では、図4に示すダンパー装置100Aについて説明した。しかし、ダンパー装置100Aは、インナーチューブ140のような筒体部と、その内部をストロークするストローク部とを備えており、インナーチューブ140とストローク部とがアウターチューブ160の筒内部に装備された構造であればよく、図4に示すものに限定されない。
【0091】
上述の実施形態では、アウターチューブ160は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、又はこれらと他の金属との合金とした。しかし、アウターチューブ160の材料は、これらに限定されることなく、ダンパー装置100Aの剛性、応答性等に応じて適宜選択可能である。
【0092】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両である自動二輪車の左側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両である自動二輪車の車体の左側面図である。
【図3】本発明の実施形態に鞍乗型車両である自動二輪車のステアリングヘッドパイプの周囲の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るダンパー装置の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0094】
10…自動二輪車、20…前輪、21…フロントフォーク、22…ステアリングシャフト、23…フロントカウル、24…ステアリングシャフト支持部、30…車体フレーム、31…ステアリングシャフトパイプ、32L…左側フレーム部、32R…右側フレーム部、33…シートレール、34L,34R…取付部、35…リヤアーム、40…エンジン40、41…ラジエータ、42…排気管、43…ドライブチェーン、80…シート、90…後輪、100A,100B,100C…ダンパー装置、110…連結部、110a…ネジ部、114…フリーピストン、120…ピストンロッド、130…ピストン、130a…オリフィス、140…インナーチューブ、140a…ガス室、140b…流体室、150…連結部、150a…ネジ部、160…アウターチューブ、160a,160b…端部、171,172…ロックナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームに連結され、前記車体フレームを含む車体の振動を減衰させるダンパー装置とを備える鞍乗型車両であって、
前記ダンパー装置は、
外部からの入力に応じてストロークするストローク部と、
前記ストローク部の一部が挿通され、流体が封入される筒体部と、
前記筒体部の周囲を覆う筒状の外装部と
を備え、
前記ストローク部は、前記筒体部に対して所定量ストローク可能であり、
前記外装部は、前記ストローク部と前記筒体部との間に介在される鞍乗型車両。
【請求項2】
前記外装部は、前記ストローク部のストロークに応じて撓む請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記外装部の一端は、前記ストローク部に連結され、前記外装部の他端は、前記筒体部に連結される請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記外装部は、円筒状である請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記筒体部は、円筒状である請求項4に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記外装部と、前記筒体部とは、同軸上に配設される請求項5に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記外装部は、所定の金属材料で形成される請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記ダンパー装置は、前記車体フレームの間に介在される請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記車体フレームは、車幅方向に並んで配設される左側フレーム部と右側フレーム部とを有し、
前記ダンパー装置は、前記左側フレーム部と前記右側フレーム部とに連結される請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
動力を発生するパワーユニットをさらに備え、
前記ダンパー装置は、前記車体フレームと前記パワーユニットとの間で連結される請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項11】
前記車体フレームは、ステアリングシャフトを回動可能に支持するステアリングヘッドパイプ部を有し、
前記ダンパー装置は、前記ステアリングヘッドパイプ部と前記パワーユニットとの間で連結される請求項10に記載の鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−190454(P2009−190454A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30578(P2008−30578)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】